(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】環境制御組立品
(51)【国際特許分類】
B60N 2/56 20060101AFI20220119BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 C
(21)【出願番号】P 2020037068
(22)【出願日】2020-03-04
(62)【分割の表示】P 2016564972の分割
【原出願日】2015-05-07
【審査請求日】2020-03-30
(32)【優先日】2014-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511014862
【氏名又は名称】ジェンサーム インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Gentherm Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ロフィ、 ジョン、 ディー.
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 雅彦
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-529894(JP,A)
【文献】特開2006-069376(JP,A)
【文献】特表2002-514735(JP,A)
【文献】特開2010-000253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/56
A47C 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境制御シート組立品であって、
第1の流体の流れを、乗員と接触するように構成された座面に導くように構成された第1の流体流路と、
前記第1の流体流路と流体的に連結され、少なくとも部分的に前記シート組立品のスペーサファブリックを通って延びて、前記第1の流体の流れを少なくとも部分的に前記スペーサファブリックを通して導くように構成されているダクトと、
第2の流体の流れを、前記座面の近傍の位置と流体接続するように構成されている導管を通して、前記座面の近傍の前記位置から少なくとも部分的に前記座面を通って前記座面から離れるように導くように構成された第2の流体流路と、
前記第1の流体流路と前記第2の流体流路の少なくとも一方と流体的に連結された第1のポンプ装置と、を有し、
前記第1のポンプ装置は、
複数のフィンを備えたロータと、
前記ロータと連結されたモータと、
第1の出口と流体接続された第1の入口と、
第2の出口と流体接続された第2の入口と、を有し、
前記第1のポンプ装置の前記第1の入口および前記第1の出口は、前記第1の流体流路と流体的に連結され、前記第2の入口および前記第2の出口は、前記第2の流体流路と流体的に連結されている、環境制御シート組立品。
【請求項2】
前記第1の流体流路は、前記座面から離れた位置から前記第1の流体の流れを引き込む、請求項1に記載の環境制御シート組立品。
【請求項3】
前記第2の流体流路は、前記座面から離れた位置に前記第2の流体の流れを排出する、請求項1または2に記載の環境制御シート組立品。
【請求項4】
主面および排出面を有する熱電装置と、
前記第1の流体の流れから調整流体の流れを生成するための、前記熱電装置の前記主面と連結された主熱交換器と、
前記第2の流体の流れから排出流体の流れを生成するための、前記熱電装置の前記排出面と連結された排熱交換器と、をさらに有し、
前記第1の流体流路は、前記調整流体の流れを前記座面に導くように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の環境制御シート組立品。
【請求項5】
前記主熱交換器は、前記第1の入口と前記第1の出口との間に配置される、請求項4に記載の環境制御シート組立品。
【請求項6】
前記排熱交換器は、前記第2の入口と前記第2の出口との間に配置される、請求項4または5に記載の環境制御シート組立品。
【請求項7】
ハウジングをさらに有し、前記第1のポンプ装置と前記熱電装置は前記ハウジング内に配置されている、請求項4から6のいずれか1項に記載の環境制御シート組立品。
【請求項8】
前記ロータの前記フィンの周囲に配置された板をさらに有し、前記板は、前記第1の入口および前記第1の出口を、前記第2の入口および前記第2の出口から分離している、請求項1から7のいずれか1項に記載の環境制御シート組立品。
【請求項9】
前記第1のポンプ装置は、前記第1の入口および前記第1の出口と流体的に連結するダクトを有し、前記第1の出口を通る流れの方向は、前記ダクトを通る流れの方向と略直交する、請求項1から8のいずれか1項に記載の環境制御シート組立品。
【請求項10】
第2のポンプ装置をさらに有し、前記第1のポンプ装置は、前記第1の流体流路と流体的に連結され、前記第2のポンプ装置は、前記第2の流体流路と流体的に連結される、請求項1から9のいずれか1項に記載の環境制御シート組立品。
【請求項11】
前記第2のポンプ装置は、前記第1のポンプ装置の前記ロータと連結された複数のフィンを有し、前記第1のポンプ装置の複数の前記フィンは、前記第2のポンプ装置の複数の前記フィンから分離している、請求項10に記載の環境制御シート組立品。
【請求項12】
前記ロータの周囲に配置された板をさらに有し、前記板は、前記第1の入口および前記第1の出口を、前記第2の入口および前記第2の出口から分離し、前記板は、前記第1のポンプ装置の複数の前記フィンと前記第2のポンプ装置の複数のフィンとの間を延びている、請求項10または11に記載の環境制御シート組立品。
【請求項13】
前記第2のポンプ装置は、前記第2の入口および前記第2の出口と流体的に連結するダクトを有し、前記第2の出口を通る流れの方向は、前記ダクトを通る流れの方向と略直交する、請求項10から12のいずれか1項に記載の環境制御シート組立品。
【請求項14】
前記第1のポンプ装置は、前記第2の入口および前記第2の出口と流体的に連結するダクトを有し、前記第2の出口を通る流れの方向は、前記ダクトを通る流れの方向と略直交する、請求項1から13のいずれか1項に記載の環境制御シート組立品。
【請求項15】
前記ダクトは、前記スペーサファブリックを通って当該スペーサファブリックを超えて延びて、前記スペーサファブリックを完全に迂回する、請求項1から14のいずれか1項に記載の環境制御シート組立品。
【請求項16】
環境制御組立品用のポンプ装置組立品であって、
第1の出口と流体連結した第1の入口と、第2の出口と流体連結した第2の入口と、第1の流体の流れを、前記第1の出口を通って前記環境制御組立品の乗員用面に導くように構成された第1の流体流路と、第2の流体の流れを、前記第2の入口と前記乗員用面の近傍の位置とを流体接続させるように構成されている前記環境制御組立品の導管を通して、前記乗員用面の近傍の前記位置から少なくとも部分的に前記乗員用面を通り前記第2の入口を通って前記乗員用面から離れるように導くように構成されている第2の流体流路と、を有し、前記第1の入口および前記第1の出口は前記第1の流体流路と流体的に連結され、前記第2の入口および前記第2の出口は前記第2の流体流路と流体的に連結されている、ハウジングと、
前記第1の流体流路と前記第2の流体流路の少なくとも一方と流体的に連結された複数のフィンを備えたロータと、
前記ロータと連結されたモータと、を有するポンプ装置組立品。
【請求項17】
複数の他のフィンを備えた他のロータをさらに有し、
前記モータは、前記ロータおよび前記他のロータと連結され、
前記ロータの複数の前記フィンは、前記第1の流体流路と流体的に連結され、前記他のロータの複数の前記他のフィンは、前記第2の流体流路と流体的に連結されている、請求項16に記載のポンプ装置組立品。
【請求項18】
前記ロータの周囲に配置された板をさらに有し、前記板は、前記第1の流体流路と前記第2の流体流路とを分離し、前記板は、前記ロータの複数の前記フィンと前記他のロータの複数の前記他のフィンとの間を延びている、請求項17に記載のポンプ装置組立品。
【請求項19】
主面および排出面を有する熱電装置と、
前記第1の流体の流れから調整流体の流れを生成するための、前記熱電装置の前記主面と連結された主熱交換器と、
前記第2の流体の流れから排出流体の流れを生成するための、前記熱電装置の前記排出面と連結された排熱交換器と、をさらに有し、
前記第1の流体流路は、前記調整流体の流れを前記乗員用面に導くように構成されている、請求項16から18のいずれか1項に記載のポンプ装置組立品。
【請求項20】
前記ロータの前記フィンの周囲に配置された板をさらに有し、前記板は、前記第1の流体流路と前記第2の流体流路とを分離している、請求項16から19のいずれか1項に記載のポンプ装置組立品。
【請求項21】
前記第1の流体流路は、前記第1の入口および前記第1の出口と流体的に連結するダクトを有し、前記第1の出口を通る流れの方向は、前記ダクトを通る流れの方向と略直交する、請求項16から20のいずれか1項に記載のポンプ装置組立品。
【請求項22】
前記第2の流体流路は、前記第2の入口および前記第2の出口と流体的に連結するダクトを有し、前記第2の出口を通る流れの方向は、前記ダクトを通る流れの方向と略直交する、請求項16から21のいずれか1項に記載のポンプ装置組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、環境制御組立品(CLIMATE CONTROL ASSEMBLY)の名称で2014年5月9日に出願した米国特許出願61/991310明細書の優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に取り込み、本明細書の一部とみなす。
本発明は、環境制御に関し、特には、環境制御組立品に関する。
【背景技術】
【0002】
生活空間や作業空間における環境制御のための温度調整空気は、通常、建物の全体、選択されたオフィスまたは一続きの部屋などの比較的広い領域に供給される。自動車のような車両の場合、通常、車両全体は、1つの単位として冷却または加熱される。しかしながら、選択的または制限的な空気温度調整が望ましい状況も多い。例えば、十分早く加熱または冷却されるように、乗員用シートに対する個別的な温度制御が望まれることが多い。例えば、日陰のないエリアに長時間にわたって駐車され、夏の気候にさらされた自動車では、通常の空調装置を備えている場合でさえ、自動車に乗り込んで使用を開始した後のしばらくの間は、その自動車のシートが乗員にとって非常に熱くかつ不快であると考えられる。また、通常の空調装置を備えている場合でさえ、暑い日には、乗員の背中や他の圧点が着座中に汗でぬれた状態のままになると考えられる。冬においては、特に通常の乗物ヒータが乗物の内部を迅速に暖める見込みがない場合には、乗員の快適性を促進するために、その乗員のシートを迅速に暖める能力を有することが非常に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7114771号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0087160号明細書
【文献】米国特許第6223536号明細書
【文献】米国特許第5524439号明細書
【文献】米国特許第5626021号明細書
【文献】米国特許第7587901号明細書
【文献】米国特許第8777320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような理由から、車両シートのための様々なタイプの個別環境制御システムが存在する。環境制御システムは、シートのクッション内に形成される溝や流路の組み合わせを有する流体分配システムを含むことができる。熱モジュールは、空気の温度を調整し、その調整空気をシートの流路に配送する。調整空気は、溝と流路を流れて、車両シートの表面に隣接している空間を冷却または加熱する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態では、環境制御シート組立品は、主面および排出面を備えた熱電装置を有してもよい。環境制御シート組立品は、第1の流体の流れから調整流体の流れを生成するための、前記熱電装置の前記主面と連結された主熱交換器を有してもよい。環境制御シート組立品は、第2の流体の流れから排出流体の流れを生成するための、前記熱電装置の前記排出面と連結された排熱交換器を有してもよい。環境制御シート組立品は、前記第1の流体の流れと、乗員と接触するように設計された座面への前記調整流体の流れとを導く、当該シート組立品内の第1の流体流路を有してもよい。環境制御シート組立品は、前記座面近傍の位置から前記排熱交換器への前記第2の流体の流れと、前記乗員から離れた前記排出流体の流れとを導く第2の流体流路と、を有してもよい。
【0006】
ある実施形態では、前記第1の流体流路は、前記座面から離れた位置から前記第1の流体の流れを引き込んでもよい。ある実施形態では、前記第1の流体流路は、前記乗員の反対側の位置から前記第1の流体の流れを引き込んでもよい。ある実施形態では、前記第2の流体流路は、前記排出流体を前記座面から離れた位置に排出してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体流路は、前記排出流体を前記乗員の反対側に排出してもよい。
ある実施形態では、前記調整流体の流路と前記排出流体の流路の少なくとも一方と流体的に連結された第1のポンプ装置をさらに有してもよい。ある実施形態では、第2のポンプ装置をさらに有し、前記第1のポンプ装置は、前記調整流体の流路と流体的に連結され、前記第2のポンプ装置は、前記排出流体の流路と流体的に連結されてもよい。ある実施形態では、前記第1のポンプ装置は、複数のフィンを備えたロータと、前記ロータと連結されたモータと、第1の出口と流体連結した第1の入口と、第2の出口と流体連結した第2の入口と、を有してもよい。
【0007】
ある実施形態では、前記第1のポンプ装置の第1の入口および第1の出口は、前記調整流体の流路と流体的に連結され、前記第1のポンプ装置の第2の入口および第2の出口は、前記排出流体の流路と流体的に連結されてもよい。ある実施形態では、前記主熱交換器は、前記第1の入口と前記第1の出口との間に配置されてもよい。ある実施形態では、前記排熱交換器は、前記第2の入口と前記第2の出口との間に配置されてもよい。ある実施形態では、前記第1の入口を通る流れの方向と、前記第1の出口を通る流れの方向とは、略平行でもよい。ある実施形態では、前記第1の出口は、前記第1のポンプ装置の上面に配置されてもよい。ある実施形態では、前記第2の入口を通る流れの方向と、前記第2の出口を通る流れの方向とは、略平行でもよい。ある実施形態では、前記第2の出口は、前記第1のポンプ装置の左面および右面の少なくとも一方に配置されてもよい。
【0008】
ある実施形態では、前記第1のポンプ装置は、前記第1の入口および前記第1の出口と流体的に連結する第1のダクトを有し、前記第1の出口を通る流れの方向は、前記第1のダクトを通る流れの方向と略直交してもよい。ある実施形態では、前記第1のポンプ装置は、前記第2の入口および前記第2の出口と流体的に連結する第2のダクトを有し、前記第2の出口を通る流れの方向は、前記第2のダクトを通る流れの方向と略直交してもよい。
【0009】
ある実施形態では、乗員と接触するように設計された前記座面は、シートの上面でもよい。ある実施形態では、前記第1のポンプ装置は、前記シートの上面の下に配置されてもよい。ある実施形態では、乗員と接触するように設計された前記座面は、背もたれの前面でもよい。ある実施形態では、前記第1のポンプ装置は、前記背もたれの前面の後ろに配置されてもよい。
【0010】
ある実施形態では、前記シート組立品は、前記第2の流体の流れが引き込まれるサイドボルスタの上面に沿った複数の溝を有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体の流れは、前記シートの台座領域または前記台座領域の近傍に引き込まれてもよい。ある実施形態では、前記調整流体の流れは、前記シートの大腿領域または前記大腿領域の近傍に前記乗員へ導かれてもよい。ある実施形態では、前記シートは、前記シートの台座領域または前記台座領域の近傍に、第1の流体分配システムを有してもよい。ある実施形態では、前記第1の流体分配システムは、前記シートの側面に向かって横方向外側に延びる溝を有してもよい。ある実施形態では、前記第1の流体分配システムは、前記溝と前記シートの上層との間に配置された中間層を有し、前記中間層は、前記溝と前記上層との間の隙間を維持するように構成されてもよい。ある実施形態では、前記上層は、前記中間層と前記シートのクッションとの間に配置されるスペーサファブリックでもよい。ある実施形態では、前記シートは、前記シートの大腿領域または前記大腿領域の近傍に、第2の流体分配システムを有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体分配システムは、前記シートの側面に向かって横方向外側に延びる溝を有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体分配システムは、前記溝と前記シートの上層との間に配置された中間層を有し、前記中間層は、前記溝と前記上層との間の隙間を維持するように構成されてもよい。ある実施形態では、前記上層は、前記シートのクッションでもよい。
【0011】
ある実施形態では、前記第2の流体の流れは、前記背もたれの腰部または前記腰部の近傍に引き込まれてもよい。ある実施形態では、前記調整流体の流れは、前記背もたれの上背領域または前記上背領域の近傍で乗員へ導かれてもよい。ある実施形態では、前記背もたれは、前記背もたれの腰部または前記腰部の近傍に第1の流体分配システムを有してもよい。ある実施形態では、前記第1の流体分配システムは、前記背もたれの側面に向かって横方向外側に延びる溝を有してもよい。ある実施形態では、前記背もたれは、前記背もたれの上背領域または前記上背領域の近傍に、第2の流体分配システムを有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体分配システムは、前記背もたれの側面に向かって横方向外側に延びる溝を有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体分配システムは、前記溝と前記シートの上層との間に配置された中間層を有し、前記中間層は、前記溝と前記上層との間の隙間を維持するように構成されてもよい。ある実施形態では、前記上層は、前記シートのクッションでもよい。
【0012】
ある実施形態では、環境制御シート組立品は、主面および排出面を備えた熱電装置を有してもよい。環境制御シート組立品は、第1の流体の流れから調整流体の流れを生成するための、前記熱電装置の前記主面と連結された主熱交換器を有してもよい。環境制御シート組立品は、第2の流体の流れから排出流体の流れを生成するための、前記熱電装置の前記排出面と連結された排熱交換器と、を有してもよい。ある実施形態では、前記調整流体の流れは、乗員と接触するように設計された座面の近傍に導かれてもよい。ある実施形態では、前記第2の流体の流れは、乗員と接触するように設計された座面の近傍から引き込まれてもよい。
【0013】
ある実施形態では、前記第2の流体の流れが引き込まれるサイドボルスタの上面に沿った複数の溝を有してもよい。ある実施形態では、乗員と接触するように設計された前記座面は、シートの上面でもよい。ある実施形態では、乗員と接触するように設計された前記座面は、前記背もたれの前面でもよい。ある実施形態では、前記第1の流体の流れは、前記乗員の反対側の位置から引き込まれてもよい。
【0014】
ある実施形態では、前記第2の流体の流れは、前記シートの台座領域または前記台座領域の近傍に引き込まれてもよい。ある実施形態では、前記調整流体の流れは、前記シートの大腿領域または前記大腿領域の近傍で前記乗員へ導かれてもよい。ある実施形態では、前記シートは、前記シートの台座領域または前記台座領域の近傍に、第1の流体分配システムを有してもよい。ある実施形態では、前記第1の流体分配システムは、前記シートの側面に向かって横方向外側に延びる溝を有してもよい。ある実施形態では、前記第1の流体分配システムは、前記溝と前記シートの上層との間に配置された中間層を有し、前記中間層は、前記溝と前記上層との間の隙間を維持するように構成されてもよい。ある実施形態では、前記上層は、前記中間層と前記シートのクッションとの間に配置されるスペーサファブリックでもよい。ある実施形態では、前記シートは、前記シートの大腿領域または前記大腿領域の近傍に、第2の流体分配システムを有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体分配システムは、前記シートの側面に向かって横方向外側に延びる溝を有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体分配システムは、前記溝と前記シートの上層との間に配置された中間層を有し、前記中間層は、前記溝と前記上層との間の隙間を維持するように構成されてもよい。ある実施形態では、前記上層は、前記シートのクッションでもよい。
【0015】
ある実施形態では、前記第2の流体の流れは、前記背もたれの腰部または前記腰部の近傍に引き込まれてもよい。ある実施形態では、前記調整流体の流れは、前記背もたれの上背領域または前記上背領域に乗員へ導かれてもよい。ある実施形態では、前記背もたれは、前記背もたれの腰部または前記腰部の近傍に第1の流体分配システムを有してもよい。ある実施形態では、前記第1の流体分配システムは、前記背もたれの側面に向かって横方向外側に延びる溝を有してもよい。ある実施形態では、前記背もたれは、前記背もたれの上背領域または前記上背領域の近傍に、第2の流体分配システムを有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体分配システムは、前記背もたれの側面に向かって横方向外側に延びる溝を有してもよい。ある実施形態では、前記第2の流体分配システムは、前記溝と前記シートの上層との間に配置された中間層を有し、前記中間層は、前記溝と前記上層との間の隙間を維持するように構成されてもよい。ある実施形態では、前記上層は、前記シートのクッションでもよい
【0016】
ある実施形態では、環境制御シート組立品は、ポンプ装置を有してもよい。ある実施形態では、ポンプ装置は、複数のフィンを備えたロータと、前記ロータと連結されたモータと、第1の出口と流体連結した第1の入口と、第2の出口と流体連結した第2の入口と、を有してもよい。
【0017】
ある実施形態では、前記主熱交換器は、前記ポンプ装置の前記第1の入口と前記第1の出口との間に配置され、前記排熱交換器は、前記ポンプ装置の前記第2の入口と前記第2の出口との間に配置されてもよい。ある実施形態では、前記第1の入口を通る流れの方向と、前記第1の出口を通る流れの方向とは、略平行でもよい。ある実施形態では、前記第1の出口は、前記第1のポンプ装置の上面に配置されてもよい。ある実施形態では、前記第2の入口を通る流れの方向と、前記第2の出口を通る流れの方向とは、略平行でもよい。ある実施形態では、前記第2の出口は、前記第1のポンプ装置の左面および右面の少なくとも一方に配置されてもよい。ある実施形態では、前記第1のポンプ装置は、前記第1の入口および前記第1の出口と流体的に連結する第1のダクトを有してもよく、前記第1の出口を通る流れの方向は、前記第1のダクトを通る流れの方向と略直交してもよい。ある実施形態では、前記第1のポンプ装置は、前記第2の入口および前記第2の出口と流体的に連結する第2のダクトを有してもよく、前記第2の出口を通る流れの方向は、前記第2のダクトを通る流れの方向と略直交してもよい。
【0018】
ある実施形態では、前記ポンプ装置の第1の入口は、前記主熱交換器および前記排熱交換器の一方と流体的に連結されてもよく、前記第2の出口は、前記主熱交換器および前記排熱交換器の他方と流体的に連結されてもよい。
【0019】
ある実施形態では、熱調整モジュールは、主面および排出面を備えた熱電装置を有してもよい。熱調整モジュールは、調整流体を生成するための、前記熱電装置の主面と連結する複数のフィンを備えた主熱交換器を有してもよい。熱調整モジュールは、前記熱電装置の排出面と連結する複数のフィンを備えた排熱交換器を有してもよい。ある実施形態では、前記主熱交換器の複数のフィンと前記排熱交換器の複数のフィンは、前記主熱交換器および前記排熱交換器を通る流れが交差または直交するように設計されてもよい。ある実施形態では、前記主熱交換器および前記排熱交換器を通る流れは、実質的に直交してもよい。ある実施形態では、前記主熱交換器および前記排熱交換器を通る流れは、直交してもよい。
【0020】
ある実施形態では、シート組立品を調整するための方法は、第1の流体の流れから調整流体の流れを生成するステップを含んでもよい。方法は、前記調整流体を、乗員と接触するように設計された支持面に導くステップを含んでもよい。方法は、前記支持面の近傍の位置から第2の流体の流れを引き込むステップを含んでもよい。
【0021】
ある実施形態では、前記第2の流体の流れから排出流体の流れを生成するステップを含んでもよい。ある実施形態では、方法は、前記排出流体を、前記座面から離れた位置へ排出することを有してもよい。ある実施形態では、調整流体の流れを生成するステップは、前記第1の流体の流れを、第1の熱交換器に通過させることを含んでもよい。ある実施形態では、方法は、前記座面から離れた位置から前記第1の流体の流れを回収することを含んでもよい。
【0022】
ある実施形態では、乗員と接触するように設計された支持面に前記調整流体の流れを導くことは、前記シート組立品の背もたれの上背領域または前記上背領域の近傍に前記調整流体の流れを導くことを含んでもよい。ある実施形態では、前記支持面の近傍から第2の流体の流れを引き込むことは、前記シート組立品の台座領域または前記台座領域の近傍に前記第2の流体の流れを引き込むことを含んでもよい。ある実施形態では、前記支持面近傍の位置から第2の流体の流れを引き込むことは、前記シート組立品のシートの腰部または前記腰部の近傍に前記第2の流体の流れを引き込むことを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による環境制御システムを含む車両シート組立品の斜視図である。
【
図2A】
図2の2A-2A線に沿った、
図1の車両シート組立品の断面図である。
【
図2B】
図2の2B-2B線に沿った、
図1の車両シート組立品の断面図である。
【
図3】シート組立品のカバーを取り除いた、
図1の車両シート組立品の正面図である。
【
図4】
図1の車両シート組立品および環境制御システムの模式図である。
【
図5】本発明による車両シート組立品および環境制御システムの実施形態の模式図である。
【
図6】本発明による車両シート組立品および環境制御システムの他の実施形態の模式図である。
【
図7】本発明による車両シート組立品および環境制御システムの他の実施形態の模式図である。
【
図8】本発明による、ハウジングを除いた熱モジュールの実施形態の斜視図である。
【
図9】本発明による、ハウジングを除いた熱モジュールの実施形態の上面透視図である。
【
図11A】本発明による開口の第1の構成を備えた、シート組立品および環境制御システムの実施形態の上面図である。
【
図11B】本発明による開口の第2の構成を備えた、シート組立品および環境制御システムの実施形態の上面図である。
【
図12A】本発明による車両シート組立品および環境制御システムの他の実施形態の上面図である。
【
図12C】本発明による車両シート組立品および環境制御システムの他の実施形態の上面図である。
【
図12D】熱モジュールの上に置かれたクッションを備えた、
図12Cの実施形態の上面図である。
【
図13】本発明による、内部に環境制御システムを備えた車両シート組立品の実施形態の模式図である。
【
図14】本発明による流体分散部の態様を備えたシート組立品および環境制御システムの実施形態の上面図である。
【
図15】本発明による流体分散部の他の態様を備えたシート組立品および環境制御システムの実施形態の上面図である。
【
図16】本発明による流体分散部の他の態様を備えたシート組立品および環境制御システムの実施形態の上面図である。
【
図17】本発明によるシート組立品および環境制御システムの実施形態の底面図である。
【
図18】本発明によるシートフレームの実施形態の上面図である。
【
図19A】本発明による、一体形成された第1の流体分配要素および第2の流体分配要素を備えたシートフレームの実施形態の底面図である。
【
図19B】第1の流体分配要素を強調した、
図19Aのシート組立品の底面図である。
【
図19C】第2の流体分配要素を強調した、
図19Aのシート組立品の底面図である。
【
図20A】本発明による別々に形成された第1の流体分配要素および第2の流体分配要素を備え、第1の流体分配要素を強調したシートフレームの実施形態の底面図である。
【
図20B】第2の流体分配要素を強調した、
図20Aのシート組立品の底面図である。
【
図21】本発明によるデュアルモードポンプ装置を備えた車両シート組立品および環境制御システムの実施形態の模式図である。
【
図22】本発明によるデュアルモードポンプ装置の実施形態の模式図である。
【
図23】本発明によるデュアルモードポンプ装置を備えた車両シート組立品および環境制御システムの他の実施形態の模式図である。
【
図24】本発明によるデュアルモードポンプ装置の実施形態の斜視図である。
【
図25】
図24のデュアルモードポンプ装置の横断面図である。
【
図26】
図24のデュアルモードポンプ装置の上面分解図である。
【
図27】
図24のデュアルモードポンプ装置の底面分解図である。
【
図28】本発明によるデュアルモードポンプ装置の実施形態の上面図である。
【
図29】レイヤを備えた、
図28のシートおよび環境制御システムの上面図である。
【
図30】スペーサファブリック(spacer fabric)を備えた、
図29のシートおよび環境制御システムの上面図である。
【
図31】追加のクッションを備えた、
図30のシートおよび環境制御システムの上面図である。
【
図32】
図28のシートおよび環境制御システムの底面図である。
【
図33】追加のクッションを備えた、
図28のシートおよび環境制御システムの底面図である。
【
図34】
図31のシートおよび環境制御システムの概略断面図である。
【
図35】本発明による背もたれおよび環境制御システムの他の実施形態の正面図である。
【
図36】追加のクッションを備えた、
図35の背もたれおよび環境制御システムの正面図である。
【
図37】
図35の背もたれおよび環境制御システムの背面図である。
【
図38】追加要素を備えた、
図37の背もたれおよび環境制御システムの背面図である。
【
図39】シート組立品および環境制御システムの他の実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および
図2は、特定の配置において、以下の
図6~
図22を参照して説明する1つ以上の特徴および構成を使用できる環境制御シート組立品30の正面斜視図および側面図である。図示されたように、シート組立品30は、座部32および背もたれ34を有する。また、シート組立品30は、以下の
図4を参照して詳細に説明する環境制御システム36を含む。
【0025】
乗員がシート組立品30に座る場合、乗員の臀部は、一般的に、シートすなわち座部32の台座領域(seat are)40に置かれ、少なくとも足の一部は、座部32の大腿領域(thigh area)42によって支持される。本実施形態では、座部32の後端部44は、背もたれまたは背もたれ部34の下端部46に連結される。乗員がシート組立品30に座る場合、乗員の背中は背もたれ部34の前面48と接触し、乗員の臀部および足は座部32の上面50と接触する。面48および50は、着座位置において乗員を支持する。シート組立品30は、様々な大きさや重さの乗員を収容できるように作られる。
【0026】
図示された実施形態では、シート組立品30は、標準的な自動車のシートと類似している。しかしながら、本明細書で開示されている実施形態および構成の特徴や態様は、様々な他の状況や環境でも使用することができる。例えば、本明細書で開示されている実施形態および構成におけるシート組立品30の特徴および態様は、例えば、航空機や船舶などのような他の乗物での使用に適用することができる。さらに、本明細書で開示されている実施形態および構成における特徴および態様は、例えば、椅子、ソファ、劇場の座席、マットレス、マットレスのトッパー、および、人を支えることができ、かつ温度調整が望まれているビジネスや居住地や他の場所で使用されるオフィスシートのような、静止している環境での使用にも適用することができる。また、本明細書で開示されている実施形態および構成における特徴および態様は、例えば、カップフォルダや加熱または冷却されたビンのような、閉鎖された、または部分的に閉鎖された空間を冷却することが望まれている用途での使用に適用することができる。
【0027】
図1および
図2の参照を続ける。背もたれ34は、前面54、背面56、上面58および底面60を有する。背もたれ34は、シート組立品30の乗員に対する横方向の支持を提供するための、上面58および底面60の間を延びている一組の側面57および59を含む。背もたれ34の腰部62は、一般的には、座部32の近傍における背もたれ34の側面57および59の間に配置される。
【0028】
同様に、座部32は、前面64、背面66、上面68および底面70を有する。また、座部32は、シート組立品30の乗員に対する横方向の支持を提供するための、背面66から前面64の間を延びている一組の側面69および71を含む。一実施形態では、シート組立品30は、座部32の底面70を車両の床に取り付けることによって車両に固定される。
【0029】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ背もたれ34および座部32の一部の断面図である。図示されたように、背もたれ34および座部32は、一般的にクッション72によって形成され、クッション72は、適切なカバー部材74(例えば、室内装飾材、皮革または革状材料)で覆われている。クッション72は、金属製(ただし、プラスチックや複合材料のような他の材料で形成されてもよい)のフレーム(図示せず)にて支持される。いくつかの実施形態では、フレームとクッションの間にスプリングが配置される。フレームは、クッションにより柔らかい座面を提供しながら、構造的な支持を備えたシート組立品30を提供する。カバー74は、シート組立品30の表面に美観と柔らかな感触を提供する。
【0030】
図3は、カバー74を取り除き、クッション72を露出させた、
図1および
図2のシート組立品30を示す。クッション72は、典型的な自動車のシートクッション発泡体、または、乗員を支持するために提供する適切な特性を備えた他の種類の材料で形成することができる。このような材料としては、独立気泡発泡体または連続気泡発泡体が挙げられるが、これらには限定されない。
【0031】
図3に示すように、シート組立品30の背もたれ34は、背もたれの流体分配システム76Aを提供する。流体分配システム76Aは、シートのクッション72の前面54から背面56に通る入口流路78Aを有する(
図2Aも参照)。また、流体分配システム76Aは、入口流路78Aから延びる、少なくとも1つ、通常は複数の溝80Aを含む。
【0032】
上述したように、クッション72は、例えば、独立気泡発泡体または連続気泡発泡体のような典型的な自動車のクッション材料で形成することができる。一実施形態では、クッション72は、流路78Aおよび溝80Aの少なくとも一方を形成するために予備成形される発泡体で作られる。いくつかの実施形態では、クッション72の一部は、クッション72の他の部分の構造的特徴と異なる構造的特徴を有してもよい。例えば、クッション72のある一部は、クッションの他の部分よりも柔軟(compliant)であってもよい。いくつかの実施形態では、溝80Aとカバー部材74との間に配置されるクッション72の一部は、望ましくは、シートの換気機能を容易にする材料、つまり、空気が上面を抜けてシート組立品30の内部の溝まで押し出される、または引き込まれる多孔材料でもよい。いくつかの実施形態では、溝80Aとカバー部材74との間に配置されるクッション72の一部は、平滑な層でもよい。溝80Aとカバー部材74との間に配置されるクッション72の一部は、例えば、接着剤および縫製の少なくとも一方によってカバー層74に取り付けられてもよい。他の実施形態では、流路78Aおよび溝80Aの少なくとも一方は、シートクッション72の外側の発泡体を切断することによって形成されてもよい。他の実施形態では、流路78Aおよび溝80Aの少なくとも一方は、プレナム、またはクッション72を介して空気流を分配する1つ以上の空気流路を有する他の同様な装置を使用して形成されてもよい。溝は、例えば、空気を通しながら支持することができるスペーサファブリックのような空気を通過させる材料で満たされてもよい。
【0033】
図2Aの参照に戻る。溝80Aは、シート組立品30を介して空気を配送するための分配流路82Aを区画するためのスクリム81Aによって覆われてもよい。スクリム81Aは、分配流路82Aからの空気または分配流路82Bへの空気を配送するための1つ以上の開口84Aを含む。スクリム81Aは、クッション72と同じ材料で形成されてもよい。図示した実施形態では、スクリム81Aは、スクリム81Aとクッション72の間からの空気の漏れを制限し、空気の流れを、開口84Aを経由させるようにクッション72に取り付けられている。一実施形態では、接着剤がスクリム81Aをクッションに取り付けるために使用される。他の実施形態では、熱かしめまたは留め具が使用されてもよい。
【0034】
図2Aの参照を続ける。分配層86Aがスクリム81Aとシートカバー74との間に配置されてもよい。分配層86Aは、カバー74の底面に沿って複数の開口84Aを通る空気を分散させることができる。分配層86Aと背もたれ34の前面48近傍の空間との間に空気が流れることを可能にするために、カバー74は、通気性材料で形成されてもよい。例えば、一実施形態では、カバー74は、天然繊維および合成繊維の少なくとも一方から形成される通気性繊維を含む。別の実施形態では、カバーは、皮革、または小さな開口または穴を備えた革状材料から形成されてもよい。
【0035】
図2Bおよび
図3を参照すると、シート組立品30の座部32は、シートクッションの流体分配システム76Bを提供することができる。また、シートの流体分配システム76Bは、シートクッション72の上面68から底面70に抜ける入口流路78Bを有する。背もたれの流体分配システム76Aと同様に、シートの流体分配システム76Bは、入口流路78Aから延びる、少なくとも1つ、通常は複数の溝80Bを含む。溝80Bは、上述したような構成でもよい。
【0036】
また、シートの流体分配システム76Bでは、溝80Bは、シート組立品30を介して空気を配送するための分配流路82Bを区画するためのスクリム81Bによって覆われてもよい。スクリム81Bは、分配流路82Bからの空気または分配流路82Bへの空気を配送するための1つ以上の開口84Bを含む。上述したように、スクリム81Aは、クッション72と同じ材料で形成されてもよいし、好ましくは、スクリム81Bとクッション72との間からの空気の漏れを制限するようにクッション72に取り付けられる。分配層86Bがスクリム81Bとシートカバー74の間に配置されてもよい。
【0037】
後で詳細に説明するように、一実施形態では、調整空気は、入口流路78A、78Bを介して分配流路82A、82Bへ配送される。その後、空気は、開口84A、84Bを介して、分配層86A、86Bへと流れる。そして、空気は、カバー74を介して背もたれ34の前面48または座部32の上面50に隣接する空間へ導かれる。
【0038】
また、後述するように、環境制御システム36は、背もたれ34の前面48または座部32の上面50に隣接する空気を取り除くことができる。一構成では、空気は、カバー74を介して分配層86a、86bに引き込まれてもよい。そして、空気を、開口、分配層、および、座部32に設けられた出口流路(不図示)の少なくとも1つを介して引き込むことができる。後述するいくつかの実施形態では、調整空気は、シート組立品30の少なくとも一部に配送され、空気は、シート組立品30の他の部分から取り除かれる。例えば、調整空気は、入口流路78A、78Bを介して分配流路82A、82Bに配送することができる。そして、その調整空気は、空気が背もたれ34の前面48および座部32の上面50の少なくとも一方に隣接する空間にカバー74を介して導く分配層86A、86Bに流れ込む。後述する構成では、空気は、その後、または、それと同時に、出口流路の組を介して他の分配層の組から取り除くことができる。カバー74と分配層の他の組とを介して空気を引き込むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、空気が引き込まれる分配層は、調整空気が配送される分配層86A、86Bと共通化することができる。これは、乗員によって加熱または冷却された調整空気を取り除き、それにより、乗員に対する新鮮な調整空気の一定の流れを保障するのに有利である。いくつかの実施形態では、空気が引き込まれる分配層は、分配層86A、86Bから流体的に分離される。例えば、空気を引き込むために使用される分配層は、シートの表面(例えば、側面57、59、69、71のようなシート支持物、座部32の側面69および背面66の少なくとも一方に近接するエリア、背もたれ34の上面58および底面60の少なくとも一方に近接するエリア)の外周に沿ってまたは外周の近くに設けられる。
【0040】
クッション72を介して、かつ、カバー74に沿って空気を分配するという目的を考えると、背もたれ34および座部32の流体分配システム76A、76Bは、いくつかの異なる方法で変更することができる。例えば、溝80A、80Bの形状および数の少なくとも一方は、変更または兼用されてもよい。スクリム81A、81Bおよび分配流路82A、82Bは、組み合わせられたり、同様な機能を持つ他の要素に置き換えられたり、それらの両方が行われたりしてもよい。さらに別の実施形態では、独立した挿入物が空気を分配するための溝80A、80Bの中に配置されてもよい。例えば、2004年5月25日に出願された米国特許明細書第7114771を参照し、その全内容をその参照により本明細書に取り込む。他の実施形態では、流体分配システム76A、76Bまたはその一部が互いに組み合わせられてもよい。また、スペーサファブリックすなわちスペーサ層は、特定の構成において溝80A、80Bの中に配置されてもよい。
【0041】
図4は、本明細書で開示された実施形態および構成の組み合わせ、部分的な組み合わせまたは変形により使用することができる環境制御システム36の一例を示す模式図である。図示された実施形態では、環境制御システムは、背もたれの熱モジュール92Aおよび座部の熱モジュール92Bを含む。以下で説明するように、熱モジュール92Aおよび92Bの両方は、上述した流体分配システム76A、76Bに調整空気を提供する(および/または、いくつかの実施形態では空気を取り除く)ように構成される。このように、熱モジュール92A、92Bは、それぞれ背もたれ34の前面48と座部32の上面50とを加熱または冷却する流体の流れを提供する。環境制御システム36は、背もたれ34の前面48と座部32の上面50の温度に対して加熱または冷却された調整空気を供給する。
【0042】
図示された実施形態では、熱モジュール92A、92Bは、それぞれ熱電装置94A、94Bを含み、熱電装置94A、94Bは、その装置94A、94Bを通って流れる流体の温度を調整する(すなわち、選択的に加熱または冷却を行う)。一構成では、熱電装置94A、94Bは、ペルチェ熱電素子である。また、図示された熱モジュール92A、92Bは、その熱モジュール92A、92Bを通って流体分配システム76A、76Bに流れる流体から熱エネルギーを転換または取り除くための主熱交換器96A、96Bを含んでもよい。このような流体は、ダクト98A、98Bを通って流体分配システム76A、76Bに転送される(2004年10月25日の公開された米国特許出願公開第2006/0087160号明細書を参照し、その内容を参照により本明細書に取り込む)。また、熱モジュール92A、92Bは、一般的に主熱交換器96A、96Bとは反対の、熱電装置94A、94Bから延びる第2の熱交換器すなわち排熱交換器100A、100Bを含んでもよい。ポンプ装置102A、102Bは、主熱交換器96A、96Bおよび排熱交換器100A、100Bの少なくとも一方の上に流体を導くために、熱モジュール92A、92Bのそれぞれに関連付けられてもよい。ポンプ装置102A、102Bは、例えば、軸流送風機およびラジアルファンの少なくとも一方のような電気ファンまたは送風機を有してもよい。図示された実施形態では、単一のポンプ装置102A、102Bが主熱交換器96Aおよび排熱交換器100Aと主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bとの両方で使用されている。しかしながら、主熱交換器96A、96B、排熱交換器100A、100Bのそれぞれに個別にポンプ装置が関連付けられてもよい。
【0043】
熱モジュール92A、92Bは、流体分配システム76A、76Bに調整空気を供給するために使用できる装置の一実施形態のみを表している。異なる構成の種々の任意の熱モジュールが調整空気の供給のために使用することができる。熱モジュールの他の例は、米国特許第6223536号明細書、米国特許第5524439号明細書または米国特許第5626021号明細書に記載され、それらの全内容を参照により本明細書に取り込む。このような熱モジュールの他の例は、現在販売されている、アメリゴン社のトレードマーク・マイクロ・熱モジュール(trademark Micro-Thermal Module)がある。別の例では、熱モジュールは空気の温度調整のための熱電装置がないポンプ装置を含んでもよい。このような実施形態では、ポンプ装置は、流体分配システム76A、76Bから空気を取り除くか、流体分配システム76A、76Bに空気を供給するために使用されてもよい。さらに他の実施形態では、熱モジュール92A、92Bは、1つ以上の要素(例えば、ポンプ装置、熱電装置など)を一般的な車両環境制御システムと共有することができる。
【0044】
図4の参考を続ける。動作中、空気の形をとった流体は、熱モジュール92A、92Bから、特に主熱交換器96A、96Bおよびダクト98A、98Bを介して流体分配システム76A、76Bに配送されてもよい。上述したように、空気は、分配流路82A、82Bを通って開口84A、84Bに入り、そして分配層86A、86Bに沿って流れてカバー74を通る。このように、調整空気は、背もたれ34の前面48および座部32の上面50に供給することができる。また、空気は、排熱交換器100A、100Bを通って周囲に配送することができる。
【0045】
変形例では、自動車の車室の内部からの空気は、カバー74を通り、開口84A、84Bを介して分配層86A、86Bに引き込まれる。そして、空気は、分配流路82A、82Bを介して入口流路78A、78Bに流れ、さらにダクト98A、98Bに流れる。このように、環境制御システム36は、シート組立品30の近くの空気を取り除くように吸引することができる。
【0046】
適切な制御システムは、様々な制御ルーチンおよびユーザ入力の少なくとも一方に応答して環境制御システム36を制御するように提供することができる。2005年1月31に出願された米国特許第7587901号明細書を参照し、その全内容をその参照によって本明細書に取り込む。
【0047】
図2で図示されたような実施形態では、熱モジュール92A、92Bは、それぞれ、背もたれ34の背面56および座部32の底面70と連結することができる。ある実施形態では、熱モジュール92A、92Bは、熱モジュール92A、92Bの少なくとも一部がそれぞれ背もたれ34および座部32の中に収まるように、シート組立品30の内部に組み込まれてもよい。熱モジュール92A、92Bをシート組立品30の内部に組み込むことによって、ダクトの長さと組立品の全サイズを大幅に低減することが可能になる。
【0048】
本開示の目的のために、破線を伴う矢印は、熱電装置の排出面および排出流体の少なくとも一方を向いた空気の流れを示す。実線を伴う矢印は、熱電装置の主面および調整流体の少なくとも一方を向いた空気の流れを示す。ここで
図5を参照すると、環境制御シート組立品の一実施形態の模式図は、単一のポンプ装置を介して生じる、熱電装置94Bに取り付けられた主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bの両方を通る流体の流れを示している。本実施形態では、座部32および座部32の要素について説明するが、本システムは背もたれ34および背もたれ34の要素にも適用できる。主熱交換器96Bに関して、ポンプ装置102Bは、
図4のダクト98Bや、
図14で示されたプレナムつまりバッグ130を含んでもよい
図13の流体分配要素128のような導管を介して、冷却または加熱される表面とは離れた位置から主熱交換器96Bに向かう、空気のような流体を導くように設計することができる。図示された実施形態では、ポンプ装置は、座部32における乗員を支持する表面の反対側に設けられる。主熱交換器96Bからの調整流体97Bは、座部の流体分配システム76Bのような導管を介して、冷却または加熱された表面に向かうように導かれてもよい。排熱交換器100Bに関して、ポンプ装置102Bは、導管を介して、冷却または加熱される表面とは離れた位置から、排出流体101Bを周囲大気に排出することができる排熱交換器100Bに向かう方向に、空気のような流体を導くように設計することができる。上述したように、図示された実施形態では、ポンプ装置は、シートにおける乗員を支持する表面とは反対側に設けられる。
【0049】
当然ながら、主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bの両方を通る流体は、主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bの両方を通る流体が熱交換器によって直ぐには調整されないように、冷却または加熱される表面から離れた場所から引き込まれる。図示された実施形態のように、空気がシート組立品30における乗員の反対側に押し出されてもよい。したがって、排熱交換器100Bを通る流体は、大気条件または車両の内部の一般的な条件で、一般的に流動的である。さらに乗員からの流体または乗員への流体の流れだけが調整流体97Bの流れである。
【0050】
ここで
図6を参照すると、環境制御シート組立品30の他の実施形態の模式図は、2つ以上のポンプ装置102B、103Bを介して生じる、熱電装置94Bに取り付けられた主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bの両方を通る流体の流れを示している。当然ながら、環境制御シート組立品30の「直交流」動作は、非「直交流」の設計上の利点を提供することができる。実施形態は座部32および座部32の要素について説明するが、本システムは背もたれ34および背もたれ34の要素にも適用できる。さらに
図6~22に関連して記載される実施形態は、上述されたシート組立品および制御システムの少なくとも一方と、変形されたシート組立品および制御システムの少なくとも一方とを組み合わせて使用することができる。さらに上述したように、この開示の構成は、例えば、航空機や船舶などのような他の乗物や、椅子、ソファ、劇場の座席、マットレス、マットレスのトッパー、および、人を支えることができ、かつ温度調整が望まれているビジネスや居住地や他の場所で使用されるオフィスシートのような、静止している環境で使用することができる。
【0051】
図示された実施形態で示されたように、ポンプ装置102Bが主熱交換器96Bに向けて空気を押し出すように設計され、ポンプ装置103Bが排熱交換器100Bに向けて空気を押し出すように設計されてもよい。
図5で示した実施形態と同様に、主熱交換器96Bに関して、ポンプ装置102Bは、調整される(例えば、冷却および加熱の少なくとも一方が行われる)表面から離れた位置、および流体の大部分が熱モジュール92Bによって直ぐには調整されないような乗員を支持する位置の少なくとも一方から空気のような流体を導くことができる。ポンプ装置102Bは、流体が
図4のダクト98Bや、
図14で示されたプレナムつまりバッグ130を含んでもよい
図13の流体分配要素128のような導管を通るように導くことができる。調整流体97Bは、
図2および
図3のシートの流体分配システム76Bのような導管を介して、冷却または加熱される表面の方へ導かれてもよい。排熱交換器100Bに関して、ポンプ装置103Bは、空気のような流体を、調整される(例えば、冷却および加熱の少なくとも一方が行われる)表面側の上および近傍の少なくとも一方の位置、および
図15の収集バッグ134または
図16のプレナムを含んでもよい
図13の流体分配要素132のような導管の少なくとも一方を介して、排出流体101Bが周囲大気に排出できる排熱交換器100Bに向けて導くことができる。
【0052】
本実施形態では当然であるが、排熱交換器100Bを通る流体は、冷却または加熱される面の近傍の位置、または冷却または加熱される支持組立品上の側から引き込まれ、それにより、このような流体は、乗員の近傍から引き込まれ、図示された実施形態では、排熱交換器100Bに入る前に座部32の少なくとも一部を通って移動する。例えば、座部32のための流体分配システムでは、排熱交換器100Bのための流体は、座部32の上面50または上面50の近傍から引き込まれ、そして、図示された実施形態では、少なくとも部分的に座部32を通って延びるまたは座部32に沿って延びる溝を介して引き込まれる。背もたれ34のための流体分配システムでは、排熱交換器100Bのための流体は、背もたれ34の前面48または前面48の近傍から引き込まれ、そして一実施形態では、少なくとも部分的に背もたれ34を通って延びるまたは背もたれ34を沿って延びる溝を介して引き込まれる。これは、有利なことに、乗員の快適性をさらに向上させるために排熱交換器100Bを通って流れる空気を使用することによって、システムの効率を向上させることができる。例えば、乗員近傍の空気を引き込むことによって、空気が乗員の周囲を滞留しないように循環を強めることができる。この「ベント(vent)」冷却は、調整流体97Bからの「アクティブ(active)」冷却を補うために使用することができる。
【0053】
さらに上面50または前面48から引き込まれる空気は、座部の下側、支持組立品における支持面とは反対側、および、支持面の側の少なくとも一つの空気と比較して、(モードに依存して)低い温度または高い温度にすることができる。例えば、シート組立品30の上方、および、シート組立品における乗員の支持面上の少なくとも一方の流体がシート組立品30の下方、支持面および後ろ側(例えば、支持面の反対側)の少なくとも一つの温度よりも低いまたは高い温度を有するように、乗員が車両のHVACを使用する場合でもよい。また、調整流体の少なくとも一部が再循環させることができる場合でもよい。このように、熱電ユニットは、より効率的に動作させることができる。例えば、熱モジュール92Bが乗員の方へ冷却された流体を導くために使用される状況では、排熱交換器100Bは、熱電装置94Bの動作の結果としてより高い温度になる。上面50または前面48から引き込む流体を乗員から離れた周囲の流体よりも低い温度にすることができるため、この冷却された流体の使用により、排熱交換器100Bから熱をより効率的に取り除くことができる。対照的に、より高い温度の流体が使用されていた場合、より多くの流体に対して排熱交換器100Bから熱を同程度取り除く必要がある(すなわち、ポンプ装置103Bはより多くの流体を生成する必要があり、それにより、エネルギーをより消費する)。熱モジュール92Bが乗員の方へ加熱された流体を導くために使用される状況では、排熱交換器100Bは、熱電装置94Bの動作の結果としてより低い温度になる。上面50または前面48から引き込む流体を乗員から離れた周囲の流体よりも高い温度にすることができるため、この加熱された流体の使用により、排熱交換器100Bに熱をより効率的に送ることができる。対照的に、より低い温度の流体が使用されていた場合、より多くの流体に対して排熱交換器100Bに熱を同程度送る必要がある(すなわち、ポンプ装置103Bはより多くの流体を生成する必要があり、それにより、エネルギーをより消費する)。
【0054】
また、特定の実施形態、特に熱調整システムが冷却された調整流体97Bの生成のために使用される実施形態では、排熱交換器100Bの下流に位置するポンプ装置103を有することが有利になることがある。ポンプ装置103Bに内在する非効率性のために、流体の流れに温度の上昇が生じることがある。ポンプ装置103を排熱交換器100Bの下流に配置することによって、この温度の上昇が排熱交換器100Bから熱を取り除く能力に対して悪影響を及ぼさない。
【0055】
ある実施形態では、流体が引き込まれる位置は、調整流体97Bが導入される位置と隣接してもよい。ある実施形態では、流体が引き込まれる位置は、調整流体97Bが導入される位置から部分的に離れているが、それでも、シート組立品30または支持組立品(例えば、ベッド、ソファおよび椅子の少なくとも1つ)における乗員と同じ側でもよい。例えば、流体が、側面69、71などの座部32のサイドボルスタおよび側面57、59などの背もたれ34のサイドボルスタのような、座部32および背もたれ34の外周に沿って引き込まれ、その一方で、調整流体97Bが台座領域40のような座部の中央部および腰部62のような背もたれ34の中央部に導入されてもよい。さらに、分離は、調整流体97Bの実質的な量が乗員を冷却または加熱させる前に取り除かれる可能性を低減することによって、システムの効率を潜在的に高めることができる。
【0056】
当然ながら、
図6を参照して上述した実施形態は、他のタイプの支持組立品および応用例の少なくとも一方と使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
【0057】
図7は、熱モジュール92Bの要素が、単体または上述した実施形態と組み合わせて使用できるシートの内部に含まれている環境制御シート組立品30の他の実施形態の模式図である。以下で説明する他の実施形態において、この実施形態は、他の応用例や、例えば、ベッド、トッパー部材および椅子の少なくとも1つのような支持組立品に拡張することができる。当然ながら、熱モジュール92Bの要素の統合は、小型化や効率の向上などの効果を得ることができる。本実施形態は、座部32および座部32の要素について説明するが、本システムは背もたれ34および背もたれ34の要素にも適用できる。図示された実施形態では、熱電装置94B、主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bは座部32の中に設けられる。主熱交換器96Bを通る調整流体97Bは、乗員に向かって導かれ、その一方で排熱交換器100Bを通る排出流体が乗員の周囲から押し出され、乗員から離れるように導かれてもよい。
【0058】
当然ながら、
図7を参照して上述した実施形態は、他のタイプの支持組立品および応用例の少なくとも一方と使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
【0059】
図8~
図10は、熱交換器96B、100Bを通る流体の方向が互いに交差または実質的に直交するように配列した主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bを備えた熱モジュール92Bの他の実施形態を示す。先ず、
図8を参照すると、熱モジュール92Bの内部要素が示されている。図示された実施形態では、主熱交換器96Bは熱電装置(図示せず)の第1の側面に配置され、排熱交換器100Bは熱電装置の第2の側面に配置される。配線95Bは、熱電装置を動作させる電力を供給するために使用される。断熱材料103Bは、望まない方向への熱伝達を減少させるために、主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bの両方の周りに含んでもよい。また、半通気性層または非通気性層のような追加の材料および層の少なくとも一方が、望まない位置への流体の漏出の可能性を減少させるために含まれてもよい。
【0060】
図9および
図10を参照すると、熱モジュール92Bは、ハウジング116Bの中に配置されている。ハウジング116Bは、熱モジュール92Bのシート組立品30への取り付けを容易に行うことができるように、熱モジュール92Bの上面106Bの周囲にフランジ118Bを含んでもよい。ある実施形態では、ハウジング116Bは、熱モジュール92Bの内部要素が使用および組み立ての少なくとも一方の間に損傷を受ける恐れを軽減するために、耐久性を有する材料で作られてもよい。ある実施形態では、ハウジング116Bは、望まない方向への熱伝導をさらに軽減するために、断熱材料で作られてもよい。
【0061】
図示された実施形態では、熱モジュール92Bは、底面104B、上面106B、前面108B、背面110B、左面112Bおよび右面114Bを有する矩形状を有する。必要に応じて、より少ないまたはより多い面が使用され、熱モジュール92Bが任意の形状を有してもよい。主熱交換器96Bは、流体が底面104を介して主熱交換器96Bに流入し、調整流体97Bが反対側すなわち上面96Bから流出するように配置されてもよい。排熱交換器100Bは、流体が左面112から排熱交換器100Bに流入し、反対側から流出するように配置されてもよい。従って、主熱交換器96Bを通る流体は、排熱交換器100Bを通る流体に対して略直交してもよい。ある実施形態では、主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bを通る流体の方向は、90°よりも小さくてもよい。例えば、主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bを通る流体の方向は、約10°から約80°の間、約20°から約70°の間、約30°から約60°の間、約40°から約45°の間、これらの範囲内の任意の角度の部分範囲、または、これらの範囲内の任意の角度にすることができる。さらに、図示された実施形態は、熱交換器96B、100Bの通る流れを、例えば、底面104Bから上面106Bへ、または左面112Bから右面114Bへのように直線状として示しているが、熱交換器96Bは熱モジュール92Bを通る流れの向きを変えるように設計されてもよい。例えば、流体は、底面104から主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bのような熱交換器に入り、左面112Bから流出してもよい。
【0062】
当然ながら、
図8~
図10を参照して上述した実施形態は、他のタイプの支持組立品および応用例の少なくとも一方と使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
【0063】
図11A~
図11Cは、クッション72の一部を備えた他の環境制御シート組立品30を示しているが、それに含まれている熱モジュール92Bを露出するためにカバー部材74が取り除かれている。本実施形態は、座部32および座部32の要素について説明するが、本システムは背もたれ34および背もたれ34の要素にも適用できる。さらに、上述したように、この実施形態は、他のタイプの支持部材および他の冷却/加熱応用例(cooling/heating applications)にも使用することができる。図示された実施形態で示されたように、複数の熱モジュール92Bが座部32に沿って様々な場所に分配されてもよい。任意の数の熱モジュール92Bが座部32に沿って分配されてもよい。例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または11個以上の熱モジュール92Bを含んでもよい。さらに、熱モジュール92Bは、必要に応じて、任意のパターンで座部32に沿って分配されてもよい。図示された実施形態で示されているように、第1および第2の熱モジュール92Bが座部32の前部に沿って配置され、その一方で、第3および第4の熱モジュール92Bが第1および第2の熱モジュールの後部に配置される。ある実施形態では、
図11A~11Cに示されたように、偶数個の熱モジュール92Bが使用されている。他の実施形態では、奇数個の熱モジュール92Bが使用されている。座部32に沿って複数の熱モジュール92Bを分配させることにより、座部32の上面50を横切る温度分配の制御性を向上させることができる。例えば、座部32の特定の領域が座部32の他の領域よりも弱く加熱または冷却されるように熱モジュール92を制御することができる。さらに、複数の熱モジュール92Bを分配させることにより、温度調整システムの効率を向上させることができる。例えば、冷却する位置から乗員までの距離の低減のために、少ない熱損失となる。
【0064】
ある実施形態では、熱モジュール92Bは、例えば、座部32の大腿領域42のような乗員が接触すると思われるカバー部材74の位置の近傍に配置されてもよい。これは、調整流体97Bを乗員の方へ導くダクトの長さを低減するのに有利である。調整流体97Bを乗員の方へ導くことによって、調整流体97Bの効果を乗員により分かり易くすることができる。これは、同じ調整効果を得るために使用される全エネルギーを低減するのに有利である。図示された実施形態で示されたように、調整流体97Bは、乗員に対して垂直に導くことができるが、その一方で、排熱交換器100Bのための流体101Bが乗員の近傍の1つ以上の開口122から溝123に引き込むことができる。
【0065】
図11Aに示されたように、ある実施形態では、このような開口122は座部32の割れ目に沿って配置することができる。このような割れ目は、大腿領域42と座部32の側面69、71のようなボルスタとの間にあってもよい。このような割れ目は、調整空気97Bが開口122に引き込まれて排出される可能性をより高くするように、乗員に対してより近くに配置されてもよい。これは、調整流体97Bの乗員への新鮮な供給を確実にすることにより、淀む恐れを低減するのに有利である。背もたれ34のための調整システムでは、このような割れ目は腰部62と背もたれの側面57、59のようなボルスタとの間にあってもよい。
【0066】
図11Bに示したように、ある実施形態では、このような開口122は、
図11Bで示されたように座部32または背もたれ34のボルスタに沿うようにさらに外側に配置されてもよいし、ボルスタの外周に向かってさらに外側に配置されてもよい。開口122は、引き込まれた空気を溝123の方へかつ熱モジュール92Bの中に導くように、細長い窪みまたは溝のように形成されてもよい。必要に応じて、任意の形状の細長い窪みまたは溝を用いることができる。より長い窪みは、結果として、空気が引き込まれる領域をより大きくすることができ、その一方で、より短い窪みは、結果として、その領域をより集中させることができる。ある実施形態では、複数の細長い窪みまたは溝が単一の熱モジュール92Bの方へ指向されてもよい。引き込まれた流体は、排出流体が環境制御シート組立品30へ影響を略与えないように座部32の上面50または背もたれ34の前面48から離れた方へ導かれてもよい。
【0067】
当然ながら、
図11A~
図11Cを参照して上述した実施形態は、他のタイプの支持組立品および応用例の少なくとも一方と使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
【0068】
図12A~
図12Cは、クッション72の一部を備えた他の環境制御シート組立品30の他の実施形態を示しているが、それに含まれている熱モジュール92Bを露出するためにカバー部材74が取り除かれている。
図12A~
図12Cに示されたように、ある実施形態では、スペーサファブリック125が層120と層120上の要素との間に含まれてもよい。スペーサファブリック125は、流体を横方向および上方向の少なくとも一方へ動かすことができる流体チェンバが層120と要素との間に形成されるように、層120とクッション72のような層120上の要素との間の隙間を維持するように設計されてもよい。スペーサファブリックまたは層125は、ハニカム(honey-combed)発泡体、内部に溝や流路を備えた材料、3Dスペーサファブリック、メッシュネットファブリック(mesh netting fabrics)、間隙板(spacing plates)などのような様々な材料で形成することができる。例として、好ましい材料は、3MESHという登録商標で売られているものや、独国のMueller Textil社や米国ロードアイランド州のMueller Textil社から市販されているものである。他の好ましい間隙装置および間隙板は、米国特許8777320号明細書で開示され、その全体を参照により取り込む。
【0069】
ある実施形態では、調整流体97Bが追い出される開口がダクト127を含んでもよい。ダクト127は、例えば、フランジ118Bとダクト127との間の接続で比較的漏れない密閉(relatively leak-free seal)を生成する接着剤や他の接合剤を使用して、フランジ118Bに取り付けられてもよい。ある実施形態では、ダクト127は、比較的漏れない密閉を実現するように、半通気性部材または非通気性部材から作られてもよい。さらに、ダクト127は、調整流体97Bからスペーサファブリック125によって形成されるチェンバに収容された流体へ熱伝導が比較的少なくなるように設計されてもよい。
【0070】
図12Aおよび
図12Bに示されたように、ダクト127は、調整流体97Bがスペーサファブリック125によって形成されるチェンバを完全に迂回するように、フランジ118Bからスペーサファブリック125を超えて延びてもよい。
図12Cに示されたように、ある実施形態では、ダクト127は、調整流体97Bがスペーサファブリック125によって形成されるチェンバに収容される流体を少し混合させるように、フランジ118Bからスペーサファブリック125に部分的にのみ延びてもよい。ダクト127は、スペーサファブリック125の上方にあるクッション72または任意の他の要素にある開口129のような1つ以上の開口の方へまたは、当該開口に調整流体97Bを導くように設計されてもよい。
【0071】
ある実施形態では、スペーサファブリック125によって形成されるチェンバは、スペーサファブリック125の上方にあるクッション72または任意の他の要素にある開口131のような1つ以上の開口と流体接続してもよい。また、スペーサファブリック125によって形成されるチェンバは、チェンバ内の流体が排熱交換器100Bを通って引き込まれて、座部32の上面50のような調整面から離れる方に運ぶことができるように、開口122および溝123の少なくとも一方と流体接続してもよい。ある実施形態では、開口131は、開口129の近傍に配置されてもよい。これは、調整面に隣接する新鮮な調整流体97を一定の流れにするのに有利である。もちろん、開口131は、調整流体97Bの再生利用を低減するために開口129の遠くに配置されてもよい。
【0072】
当然ながら、
図12A~
図12Dを参照して上述した実施形態は、他のタイプの支持組立品および応用例の少なくとも一方と使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
図13を参照すると、調整流体97Bと排出流体101Bの混合を低減するために、熱モジュール92Bのフランジ118Bは、排出チェンバ124および調整チェンバ126を形成する層120の上方に置かれてもよい。フランジ118Bは、フランジ118Bと層120の間の比較的漏れない密閉が得られるように層120に取り付けられてもよい。層120は、排出チェンバ124から調整チェンバ126への流体の配送を低減するために、半通気性層または非通気性層でもよい。また、層120は、層120を横切って伝導する熱を低減するための断熱層とすることができ、それにより、排出チェンバ124および調整チェンバ126の間の熱伝達を低減することができる。
【0073】
調整チェンバ124は、クッション72および分配層86Bのように、他の層と流体接続されるように配置されてもよい。分配層86Bは調整チェンバ124からカバー74を横切ってさらに分配するのに有利であり、それにより、カバー74を横切る大きな温度差の恐れを低減することができる。
図13に示された実施形態は単一の分配層86Bを含むが、当然ながら、各調整チェンバ126は、分配層から他の調整チェンバを流体的に分離することができる独自の分配層86Bを有してもよい。これは、あるチェンバ126からの調整流体97Bを他のチェンバ126からの調整流体97Bと混合させたくない場合に有利である。これは、例えば、異なる温度が座面の異なる領域をわたることが望まれる場合、特に有益である。ある実施形態では、1つ以上の調整チェンバ126は、1つ以上の流体分配要素128に流体結合されてもよい。(
図14で示すような)プレナムまたはバッグ130のような、流体分配要素128は、1つ以上の主熱交換器96Bに流体を分配するために使用される。これは、本システムで使用されるポンプ装置102の数を低減するのに有利である。例えば、ある実施形態では、単一のポンプ装置102Bが乗員の反対側に配置されてもよい。例えば、流体分配要素128は、座部32における上面50とは反対側、または、背もたれにおける前面48とは反対側に配置されてもよい。
【0074】
排出チェンバ124は、開口122および溝123と流体接続されてもよい。開口122から引き込まれた流体は、排熱交換器100Bへの熱伝導のために使用されてもよい。調整チェンバ126と同様に、ある実施形態では、1つ以上の排出チェンバ124が1つ以上の流体分配要素132に流体結合してもよい。流体分配要素132は、1つ以上の排熱交換器100Bからの流体を集めて引き込むために使用されてもよい。ある実施形態では、流体分配要素132は、(
図15で示されたような)収集バッグ134または(
図16で示された)プレナム136としてもよい。これは、本システムにおいて使用されるポンプの数を低減するのに有利である。例えば、ある実施形態では、単一のポンプ装置103Bが使用されてもよい。ある実施形態では、流体分配要素132が乗員とは反対側に配置されてもよい。例えば、流体分配要素132は、座部32における上面50とは反対側、または、背もたれにおける前面48とは反対側に配置されてもよい。
【0075】
当然ながら、
図13および
図14~
図16の少なくとも一方を参照して上述した実施形態は、他のタイプの支持組立品および応用例の少なくとも一方と使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
【0076】
ここで
図17を参照すると、座部32の底面の実施形態が図示され、主熱交換器94Bを介して調整される流体を調整面に配送されるために受け付ける開口133と、排出流体112Bを調整面から離すことができる穴135の構成を示している。図示された実施形態で示されたように、座部の底面は、開口133、135の周りに配置される1つ以上のガスケット137を含んでもよい。ガスケット137は、追加の密閉を提供し、望まない方向への流体の漏れの軽減するための他の要素に対応する面と接続してもよい。ある実施形態では、ガスケット137は、必要に応じて、発泡体、ゴムまたは任意の材料から作ることができる。
【0077】
ここで
図18を参照すると、シート組立品30のためのフレーム73の上面が図示され、主熱交換器94Bを介して調整される流体が調整されるように配送されるために受け付ける開口139と、排出流体112Bを調整面から離すことができる開口141の構成が示されている。ある実施形態では、開口133は、開口139と開口141と流体接続することができる開口135と流体接続することができる。図示された実施形態で示されたように、フレーム73の上面は、開口139、141の周りに配置された1つ以上のガスケット143を含んでもよい。ガスケット143は、追加の密閉を提供し、望まない方向への漏れを低減するためにガスケット137のような、対応する面と接続されてもよい。ある実施形態では、ガスケット137は、必要に応じて、発泡体、ゴムまたは任意の材料から作ることができる。
【0078】
ここで
図19A-19Cを参照すると、主熱交換器94Bのための流体分配要素128と排熱交換器134のための流体分配要素132の両方を含む、フレーム73の底面が図示されている。図示された実施形態で示されたように、流体分配要素128、132は、継ぎ目または溶接部を介して分離された流体分配要素128、132を備えた単一のバッグとして一体形成される。
図19Bにより明確に示したように、ポンプ装置102Bは、流体を流体分配要素128の中に導くことができ、ポンプ装置103Bは、排出流体を流体分配要素132の外に導くことができる。流体分配要素128は開口139と流体接続でき、一方、流体分配要素132は開口141と流体接続することができる。流体分配要素132が負圧のための崩壊する恐れを低減するために、構造体が流体分配要素132の中に含まれてもよい。ある実施形態では、構造体はスペーサファブリック125と同様のものにすることができる。ある実施形態では、流体分配要素132および流体分配要素128の少なくとも一方は、剛性材料から製造することができる。これは、流体分配要素128、132が損傷する恐れを軽減することができる。さらに、流体分配要素132が負圧の結果として崩壊する恐れを軽減することができる。
【0079】
ここで
図20Aおよび20Bを参照すると、主熱交換器94Bのための流体分配要素128と排熱交換器134のための流体分配要素132の両方を含む、フレーム73の底面が図示されている。図示された実施形態で示されたように、流体分配要素128、132は、それらの流体分配要素を備えた2つのバッグとして分離形成される。このような実施形態は、流体分配要素132から流体分配要素128への、またはその逆からの流体の漏れの恐れを軽減するのに有益である。ポンプ装置102Bは、流体を流体分配要素128の中に導くことができ、ポンプ装置103Bは、流体を流体分配要素132の外に導くことができる。流体分配要素128は開口139と流体接続でき、一方、流体分配要素132は開口141と流体接続できる。流体分配要素132が負圧のための崩壊する恐れを低減するために、構造体が流体分配要素132の中に含まれてもよい。ある実施形態では、構造体はスペーサファブリック125と同様のものにすることができる。図示された実施形態で示されたように、2つの流体分配要素128、132の間に重複があってもよい。
【0080】
当然ながら、
図17~
図20Cの少なくとも一方を参照して上述した実施形態は、他のタイプの支持組立品および応用例の少なくとも一方と使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
【0081】
ここで
図21を参照すると、熱電装置94Bに取り付けられる主熱交換器96Bおよび排熱交換器100Bの両方を通って流れる流体が1つ以上のデュアルモードポンプ装置138Bを介して発生する、環境制御シート組立品30の実施形態の模式図が示されている。本実施形態では、座部32および座部32の要素について説明するが、本システムは背もたれ34および背もたれ34の要素にも適用できる。図示された実施形態では、デュアルモードポンプ装置138Bは、空気を主熱交換器96Bの方に押し出すと同時に、空気を排熱交換器100Bから引き抜くように設計されてもよい。主熱交換器96Bに関して、デュアルモードポンプ装置138Bは、流体の大部分が熱モジュール92Bによって直接調整されないように、調整される(例えば、冷却および加熱の少なくとも一方が行われる)面および乗員を支持する面の少なくとも一方とは離れた位置から、空気のような流体を導くことができる。デュアルモードポンプ装置138Bは、このような流体を、ダクト98Bのような導管を介して主熱交換器96Bの方へ導くことができる。そして、主熱交換器96Bからの調整流体97Bは、シート流体分配システム76Bのような導管を介して、冷却または加熱される面の方へ導かれてもよい。排熱交換器100Bに関しては、ポンプ装置103Bは、空気のような流体を、冷却または加熱される面の近傍の位置から導管を通って、そして、排出流体を周囲大気に排出することができる排熱交換器100Bの方へ導くことができる。
【0082】
図22に示すように、デュアルモードポンプ装置138Bは、デュアルモードポンプ装置138Bを介して流れる流体を生成するために、羽根車のような、複数のフィンを備えた1以上のロータ140Bを有してもよい。ロータ140Bは、単一のモータによって動力を受けることができるが、より多くの数のモータが使用されてもよい。羽根車140Bは、空気のような流体を第1の入口142Bおよび第2の入口144Bを介して引き込み、第1の出口146Bおよび第2の出口148Bを介して押し出すことができる。第1の入口142Bおよび第1の出口146Bは、板150のような要素を介して第2の入口144Bおよび第2の出口148Bから分離されてもよい。好ましくは、この板は、本システムの効率を低減させる流体の混合の恐れを低減するために、漏れが略ない密閉を得られるように、羽根車の周囲に配置される。
【0083】
図21で説明されたシステムと併せて使用された場合、第2の入口144Bは、流体を周囲領域から引き込み、その流体を第2の出口148Bを介して主熱交換器96Bの中に追い出し、一方、第1の入口142Bは、排出流体101Bを排熱交換器100Bから引き込み、その排出流体101Bを第1の出口146Bを介して周囲領域へ追い出すことができる。排出流体101Bのかなりの量が第2の入口144Bを介して本システムに再導入される恐れを低減するためには、第2の入口144Bと第1の出口146Bとの間の距離を大きくすること、または、第2の入口144Bおよび第1の出口146Bの少なくとも一方を含むことが有利である。
【0084】
当然ながら、
図21~
図22の少なくとも一方を参照して上述した実施形態は、他のタイプの支持組立品および応用例の少なくとも一方と使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
【0085】
ここで
図23を参照すると、環境制御システムが座部32および背もたれ34に設けられる、環境制御シート組立品30の一実施形態の模式図を示す。図示された実施形態で示されたように、第1のデュアルモードポンプ装置138Bは、座部32を通る流体の流れを制御し、第2のデュアルモードポンプ装置138Aは、背もたれ34を通る流体の流れを制御する。図示された実施形態では、デュアルモードポンプ装置138A、138Bは、熱電モジュールに取り付けられた主熱交換器の方へ空気を押し出すと同時に、熱電モジュールに取り付けられた排熱交換器を介して空気を引き込むように設計されてもよい。
図24~
図27に関連してより詳細に説明するように、デュアルモードポンプ装置138A、138Bは、内部に、1つ以上の熱電モジュールと、1つ以上の主熱交換器と、1つ以上の排熱交換器との少なくとも1つを有する自己内蔵型ユニットとしてもよい。これは、要素のパッケージングを向上させ、環境制御システムの組み立ておよびメンテナンスを容易にすることができる。本明細書で説明されている環境制御シート組立品30は座部32および背もたれ34のそれぞれに対して単一のデュアルモードポンプ装置を示しているが、ある実施形態では、より多くのデュアルモードポンプ装置が座部32および背もたれ34の一方または両方に設けられてもよい。さらに、ある実施形態では、座部32または背もたれ34には、デュアルモードポンプ装置が設けられなくてもよい。
【0086】
主熱交換器に関しては、デュアルモードポンプ装置138A、138Bは、流体の大部分が熱電装置によって間接的に調整されないように、調整される(例えば、冷却および加熱の少なくとも一方が行われる)面および乗員を支持する面の少なくとも一方とは離れた位置から、空気のような流体を導くことができる。デュアルモードポンプ装置138A、138Bは、このような流体を、座部32および背もたれ34の少なくとも一方を通ったダクトのような導管を介して導くことができる。そして、デュアルモードポンプ装置138A、138Bの主熱交換器からの調整流体97A、97Bは、本明細書で説明したシート流体分配システムのような導管を介して導かれてもよい。デュアルモードポンプ装置138A、138Bの排熱交換器に関しては、デュアルモードポンプ装置138A、138Bは、空気のような流体を、冷却または加熱される面の近傍の位置から導管を通って、そして、排出流体を周囲大気に排出することができる排熱交換器100Bの方へ導くことができる。
【0087】
ここで
図24~
図27を参照すると、デュアルモードポンプ装置138Bの実施形態の様々な観点が提供される。デュアルモードポンプ装置138Bは、デュアルモードポンプ装置138Bを通って流れる流体を生成するための1つ以上のロータ140B、ロータ140Bに動力を供給するための1つ以上のモータ141B、1つ以上の熱電装置94B、1つ以上の主熱交換器96B、および1つ以上の排熱交換器100Bの少なくとも一つのような、デュアルモードポンプ装置138Bの要素を含んでもよいハウジング139Bを含むことができる。ある実施形態では、デュアルモードポンプ装置138Bは、それぞれのロータと結合した複数のモータ141Bを含んでもよい。さらに、デュアルモードポンプ装置138Bは、2つ以上の熱電装置94B、2つ以上の主熱交換器96B、および、2つ以上の排熱交換器100Bの少なくとも1つを含んでもよい。
【0088】
図示された実施形態で示すように、ロータ140Bは、デュアルモードポンプ装置138のハウジング139Bを通って流れる流体を生成するために、羽根車のような、複数のフィンを含んでもよい。デュアルモードポンプ装置138は、ハウジング139Bの第1の側の第1の入口142Bと、ハウジング139Bの離れた側の第2の入口144Bとを含んでもよい。例えば、第1の入口142Bは、ハウジング139Bの上面に配置され、第2の入口144Bは、ハウジング139Bの底面に配置されてもよい。ロータ140Bは、空気のような流体を、第1の入口142Bおよび第2の入口144Bを介して押し出し、その流体を、第1の出口146Bおよび第2の出口148のそれぞれを通って排出してもよい。第1の入口および第1の出口146Bは、板150のよう要素を介して第2の入口144Bおよび第2の出口148Bから分離されてもよい。また、好ましくは、この板150Bは、本システムの効率を低減させる流体の混合の恐れを低減するために、漏れがほとんどない密閉を得られるように、羽根車の周囲に配置される。
【0089】
図示された実施形態で示すように、第2の入口144Bを通過して引き込まれた流体は、ハウジング139Bを介して形成されるダクト98Bを通過し、第2の出口148Bを通って排出される前に主熱交換器96Bを通過してもよい。したがって、第2の入口144Bを通過して引き込まれた流体は、第2の出口148Bを通って排出される前に、調整流体97Bに変換されてもよい。同様に、第1の入口142Bを通過して引き込まれた流体は、ハウジング139Bを介して形成されるダクト98Bを通過し、第1の出口146Bを通って排出される前に、排熱交換器100Bを通過してもよい。したがって、第1の入口142Bを通過した流体は、第2の出口148Bから出る前に、排出流体101Bに変換されてもよい。排出流体101Bのかなりの量が第2の入口144Bを介して本システムに再導入される恐れを低減するために、第2の入口144Bと第1の出口146Bとの間の距離を大きくすること、または、第2の入口144Bおよび第1の出口146Bの少なくとも一方を含むことが有利である。
【0090】
第2の入口144Bおよび第2の出口148Bの少なくとも一方を通る流体は、ダクト98Bを通る流体と略直交してもよい。第2の入口144Bおよび第2の出口148Bを通る流体は、略平行でもよい。図示された実施形態で示されたように、第2の入口144Bはハウジング139Bの底面に配置され、第2の出口148Bはハウジング139Bの上面に配置されてもよい。図示された実施形態では、流体は、ハウジング139Bの前面からダクト98Bを介して背面に流れてもよい。
【0091】
第1の入口142Bおよび第1の出口146Bの少なくとも一方を通る流体は、ダクト98Bを通る流体と略直交してもよい。第1の入口142Bおよび第1の出口146Bを通る流体は、略平行でもよい。図示された実施形態で示されたように、第1の入口142Bはハウジング139Bの上面に配置され、第2の出口146Bはハウジング139Bの左面および右面の少なくとも一方に配置されてもよい。図示された実施形態では、流体は、ハウジング139Bの前面からダクト98Bを介して背面に流れてもよい。
【0092】
入口142B、144B、出口146B、148Bとダクト98とを流れる流体は互いに略直交するように説明されているが、他の角度が使用されてもよい。ある実施形態では、流体の方向によって形成される角度は90°よりも小さくてもよい。例えば、流体の方向によって形成される角度は、約10°から約80°の間、約20°から約70°の間、約30°から約60°の間、約40°から約45°の間、これらの範囲内の任意の角度の部分範囲、または、これらの範囲内の任意の角度にすることができる。流体の方向によって形成される角度は90°よりも大きくてもよい。例えば、流体の方向によって形成される角度は、約100°から約170°の間、約110°から約160°の間、約120°から約150°の間、約135°から約140°の間、これらの範囲内の任意の角度の部分範囲、または、これらの範囲内の任意の角度にすることができる。
【0093】
デュアルモードポンプ装置138Bのみについて説明したが、デュアルモードポンプ装置138Aは、デュアルモードポンプ装置138Bとデュアルモードポンプ装置138Bに関連して上述した変形例のいずれかとの少なくとも1つと同じまたは同様な特徴を含むことができる。したがって、デュアルモードポンプ装置138Aの同様な説明は、この例において、符号の末尾に記号「A」をつけたものとして参照される。
【0094】
図28~
図34は、環境制御シート組立品30の他の実施形態を示す。本実施形態は座部32および座部32の要素について説明するが、本システムは背もたれ34および背もたれ34の要素にも適用できる。さらに、上述したように、この実施形態は、他のタイプの支持部材および他の冷却/加熱応用例にも使用することができる。
【0095】
先ず、
図28を参照すると、座部32の一実施形態は、カバーを取り除き、それによりクッション72を露出させた形態が示されている。また、クッション72の層は、それらの層の下の構造を露出させるために取り除かれている。図示された実施形態で示されたように、座部32は、熱モジュールからの調整空気97Bを、座っている乗員へ配送することができる流体分配システム76Bを含んでもよい。流体分配システム76Bは、座部32の大腿領域またはその近傍に配置されてもよい。座部32は、周囲大気に排出される排出流体101Bを生成するために流体を集めて排熱交換器100Bの方へ分配することができる他の流体分配システム77Bを含んでもよい。流体分配システム77Bは、座部32の中央領域および台座領域42の少なくとも一方またはその近傍に配置されてもよい。したがって、図示された実施形態では、調整空気97Bを台座領域42またはその近傍の乗員に対して送ることができ、中央領域および台座領域42の少なくとも一方またはその近傍に流体を集めて引き込むことができる。また、この配置は、調整空気97Bが中央領域40またはその近傍の乗員に送られ、流体が大腿領域またはその近傍に集められて引き込まれるように反転させることができる。ある実施形態では、流体分配システム76B、77Bの両方は、乗員への調整空気97Bを配送するために使用されてもよいし、周囲大気に排出するための排出流体101Bを生成するために、流体を集めて排熱交換器100Bの方へ押し出すために使用されてもよい。
【0096】
図示された実施形態で示されたように、流体分配システム76Bは、熱モジュールからの調整空気97Bが通過する流路78Bを含むことができる。流路78Bは、溝80Bと流体接続されてもよい。溝80Bは、調整空気97Bの冷却効果または加熱効果が流路78Bに集中されるのとは対照的に、座部32のより広い領域に分散されるように、その広い領域にわたって調整空気97Bが分散させるのに有利である。溝80Bは、座部32の側面69、71の外側に横方向に延びるか、座部32の前面64および背面66の少なくとも一方に向けて前後方向に延びるかの少なくとも一方とすることができる。
【0097】
流体分配システム77Bは、流体分配システム76Bと同様な構成を有することができる。図示された実施形態で示されたように、流体分配システム77Bは、周囲大気に排出される排出流体101Bを生成するために流体を集めて排熱交換器100Bの方へ引き込むことができる流路79Bを含んでもよい。流路79Bは、溝123Bと流体接続されてもよい。溝123Bは、流体の流れが流路79Bに集中されるのとは対照的により広い領域に分散されるように、流体を座部32のより広い領域にわたって引き込むのに有利である。溝80Bは、座部32の側面69、71の外側に横方向に延びるか、座部32の前面64および背面66の少なくとも一方に向けて前後方向に延びるかの少なくとも一方とすることができる。例えば、溝123Bは、座部32の中央領域のさらに後ろに配置される部分85Bを含んでもよい。
【0098】
次に
図29を参照すると、流体分配システム76B、77Bのいずれかまたは両方は、溝80B、123Bとクッション72との間に層120が配置されてもよい。図示された実施形態で示されたように、層120は、流路78B、79Bにわたって配置されてもよい。このような配置は、溝80B、123Bとクッション72のような上層との間の隙間を維持するのに有益である。これは、上層が、流体分配システム76B、77Bを通る流れを潜在的に制限することができる、流路78B、79Bとおよび溝80B、123Bの一部との少なくとも一方の上で破損する恐れを低減することができる。ある実施形態では、層120は、薄いプラスチックのフィルムのような、ある程度の柔軟性を備えた材料から形成されてもよい。層120は、流路78B、79Bの直上からの流体の移動を低減するために、半通気性層または非通気性層でもよい。また、層120は、層120を横切る熱伝導を低減するために、断熱層または半断熱層でもよい。
【0099】
次に
図30を参照すると、溝80B、123Bの一部または全部は、スペーサファブリックのように、中を空気が通過可能でありながら、乗員を支持することができる通気性材料で満たされていてもよい。図示された実施形態で示されたように、スペーサファブリック125は、流体分配システム77Bの、部分85Bを含む溝の一部の中に配置されてもよい。スペーサファブリック125は、層120と同様な溝123Bの底面と、溝123Bおよびクッション72のような層120の少なくとも一方の上の要素との間の隙間を維持するように設計されてもよい。これは、これは、流体チェンバを崩壊させやすくなる、乗員がシートに座っている場合、および、溝123Bがチェンバを崩壊させやすくなる、大気よりも低い圧力にさらされている場合の少なくとも一方でも、溝123Bと、層120と、溝123Bおよび層120の上の要素との間における、横方向および上方向の少なくとも一方の流体の動作を可能にする流体チェンバを維持するのに有益である。
【0100】
図示された実施形態では、スペーサファブリック125は、流体分配システム76Bの中に配置されていない。流体分配システム76Bの内部が正の圧力(すなわち、大気圧よりも高い圧力)のため、たとえ座っている乗員からの力を受けた場合でも、チェンバが崩壊する恐れが低い。さらに、大腿領域42にかかる力の強さは、一般的に台座領域40が受ける力の強さよりも低く、したがって、流体分配システム77Bと比較してチェンバが崩壊する恐れをさらに低減することができる。ある実施形態では、スペーサファブリック125は、流体分配システム76Bの溝80Bの一部または全部に配置されてもよい。
【0101】
次に
図31を参照すると、クッション72は、乗員を支持し、かつ、溝80B、123Bが乗員の快適性に影響を与える恐れを低減するために、流体分配システム76B、77Bにわたって配置されてもよい。クッション72は、調整空気97Bがクッション72を通り、座った乗員へ向かうことを可能にするために、流体分配システム76Bと流体接続される1つ以上の開口129Bを含んでもよい。図示された実施形態では、開口129Bは、座部32に座っているときの乗員の大腿部の一般的な位置またはその近傍に配置されてもよい。このように開口129Bを配置することによって、調整流体97Bは、調整流体97Bの効果が乗員にとってより分かり易くなるように、調整流体97Bを乗員またはその近傍の領域に集中させることができる。これは、同じ調整効果を得るために使用される全エネルギーを低減するのに有益である。図示された実施形態は、乗員の大腿部の一般的な位置またはその近傍の領域の周りに概ね配置された開口129Bを含んでいるが、より少ないまたはより多い数の開口129Bが使用されていることを含む、開口129Bの他の配置が考慮されてもよい。
【0102】
クッション72は、周囲大気に排出するための排出流体101Bを生成するために、流体を集めて排熱交換器100Bに向けて分配する流体分配システム77Bと流体接続される1つ以上の開口131Bを含んでもよい。図示された実施形態のように、開口131Bは、座部32に座っているときの乗員の大腿部の一般的な位置またはその近傍に配置されてもよい。このように開口131Bを配置することによって、引き込まれた流体の効果が乗員により分かり易くなるように、引き込まれた流体を乗員またはその近傍の領域に集中させることができる。これは、同じ効果を得るために使用される全エネルギーを低減するのに有益である。図示された実施形態は、乗員の大腿部の一般的な位置またはその近傍の領域の周りに概ね配置された開口131Bを含んでいるが、より少ないまたはより多い数の開口131Bが使用されていることを含む、開口131Bの他の配置は考慮されてもよい。座部32の概略断面図は
図34に示される。
【0103】
次に
図32を参照すると、座部32の下部には、流路78B、79Bの位置が示されている。次に
図33を参照すると、デュアルモードポンプ装置138Bのようなポンプ装置は、クッション72および座部32の他の位置を支持するために使用されるシートフレーム73の下に取り付けられてもよい。図示された実施形態では、デュアルモードポンプ装置138Bは、流体が流路79Bを介してハウジング139の中に引き込まれ、かつ、排熱交換器(
図25の100B)を通り、排出流体101Bがハウジング139Bに集められて排出されるように、流路79Bと流体接続されるように配置された第1の入口(
図25の142B参照)を含んでもよい。ある実施形態では、排出流体101Bは、シートフレーム73の下部に向けて排出されてもよい。デュアルモードポンプ装置138Bは、流体が第2の入口144Bを介してハウジング139の中に引き込まれ、かつ、主熱交換器(
図25の96B参照)を通り、調整空気(
図25の97B参照)を集めて、流体分配システム76Bを介して座部32の一部を通して分散させることができる流路78Bに導入することができる、流路78と流体接続されるように配置された第2の出口(
図25の148B参照)と連結された第2の入口144Bを含んでもよい。図示された実施形態で示されたように、第2の入口144Bは、デュアルモードポンプ装置138Bが、排出流体101Bが混合される恐れの少ない位置から空気を引き込むことを可能にするために、延長ダクト152Bを含んでもよい。
【0104】
図35~
図38は、環境制御シート組立品30の別の実施形態を示す。本実施形態は、背もたれ34および背もたれ34の要素について説明するが、本システムは座部32および座部32の要素にも適用できる。さらに、上述したように、本実施形態は、他のタイプの支持組立品および他の冷却/加熱応用例にも使用することができる。
【0105】
先ず
図35を参照すると、背もたれ34の実施形態は、カバーを取り除き、そのためクッション72が露出しているものが図示されている。クッション72の層は、それらの層の下にある構想を露出するために取り除かれている。図示された実施形態で示されたように、背もたれ34は、熱モジュールからの調整空気97Aを座っている乗員に運ぶ流体分配システム76Aを含んでもよい。流体分配システム76Aは、背もたれ34の上背面63またはその近傍に配置することができる。背もたれ34は、周囲大気に排出される排出流体101Bを生成するために流体を集めて排熱交換器100Bの方へ分配することができる他の流体分配システム77Aを含んでもよい。流体分配システム77Aは、背もたれの腰部またはその近傍に配置されてもよい。したがって、図示された実施形態では、調整空気97Aを上背面63またはその近傍の乗員に配送し、流体を集めて腰部62から引き込むことができる。また、この配置は、調整空気97Aを腰部またはその近傍に配送し、流体を集めて上背面63またはその近傍に引き込むように、反転されてもよい。ある実施形態では、流体分配システム76A、77Aの両方は、調整空気97Aを乗員へ運ぶために使用されるか、または、周囲大気に排出される排出流体101Bを生成するために流体を集めて排熱交換器100Bの方へ引き込むために使用されてもよい。
【0106】
図示された実施形態で示されたように、流体分配システム76Aは、熱モジュールからの調整空気97Aを通る流路78Aを含んでもよい。流路78Aは、溝80Aと流体接続されてもよい。溝80Bは、調整空気97Aの冷却効果または加熱効果が、流路78Aに集中されるのとは対照的に、背もたれ34のより広い領域に分散されるように、その広い領域にわたって調整空気97Aが分散されるのに有利である。溝80Aは、背もたれ34の側面57、57の外側に横方向に延びるか、背もたれ34の上面58および底面60の少なくとも一方に向けて前後方向に延びるかの少なくとも一方とすることができる。
【0107】
流体分配システム77Aは、流体分配システム76Aと同様な構成を有することができる。図示された実施形態で示されたように、流体分配システム77Aは、周囲大気に排出される排出流体101Aを生成するために流体を集めて排熱交換器100Aの方へ引き込むことができる流路79Bを含んでもよい。流路79Aは、溝123Aと流体接続されてもよい。溝123Aは、溝流体が流路79Aに集中されるのとは対照的に、背もたれ34のより広い領域に分散されるように、その広い領域にわたって流体を引き込むのに有利である。溝123Aは、背もたれ34の側面57、57の外側に横方向に延びるか、背もたれ34の上面58および底面60の少なくとも一方に向けて前後方向に延びるかの少なくとも一方とすることができる。例えば、溝123Aは、背もたれ34の底面60に向けて引き込むように配置される部分85Aを含んでもよい。
【0108】
流体分配システム76A、77Aの一方または両方は、溝80A、123Aおよびクッション72の間に配置される層120を含んでもよい。図示された実施形態では、層120は、流路79Aの上方に配置されてもよい。このような配置は、溝123Aとクッション72のような上層との間の隙間を維持するのに有益である。これは、上層が、流体分配システム77Aを通る流体を潜在的に制限することができる、流路79Aと溝123Aの一部との少なくとも一方の上で崩壊する恐れを低減することができる。ある実施形態では、層120は、薄いプラスチックフィルムのような、ある程度の柔軟性を有する物質から形成されてもよい。層120は、流路79Aの直上からの流体の移動を制限するために、半通気性層または非通気性層でもよい。また、層120は、層120を横切る熱伝導を低減するために、断熱層または半断熱層でもよい。示されていないが、溝80A、123Aの一部または全部は、空気を通しながら支持することができるスペーサファブリックのような通気性材料で満たされてもよい。
【0109】
次に
図36を参照すると、クッション72は、乗員を支持し、かつ、溝80A、123Aが乗員の快適性に影響を与える恐れを低減するために、乗員の流体分配システム76A、77Aにわたって配置されてもよい。クッション72は、調整空気97Bがクッション72を通り座った乗員へ向かうことを可能にするために、流体分配システム76Bと流体接続される1つ以上の開口129Bを含んでもよい。図示された実施形態では、開口129Aは、背もたれに寄りかかっているときの乗員の上背面の一般的な位置またはその近傍に配置されてもよい。このように開口129Aを配置することによって、調整流体97Aの効果が乗員により分かり易くなるように、調整流体97Aを乗員またはその近傍の領域に集中させることができる。これは、同じ調整効果を得るために使用される全エネルギーを低減するのに有益である。図示された実施形態は、乗員の上背部の一般的な位置またはその近傍の領域の周りに概ね配置された4つの開口129Aを含んでいるが、より少ないまたはより多い数の開口129Aが使用されていることを含む、開口129Aの他の配置が考慮されてもよい。
【0110】
クッション72は、周囲大気に排出するために排出流体101Aを生成するために、流体を集めて排熱交換器100Aに向けて分配する流体分配システム77Aと流体接続される1つ以上の開口131Aを含んでもよい。図示された実施形態のように、開口131Aは、背もたれ34に寄りかかっているときの乗員の上背部の一般的な位置またはその近傍に配置されてもよい。このように開口131Aを配置することによって、引き込まれた流体の効果が乗員により分かり易くなるように、引き込まれた流体を乗員またはその近傍の領域に集中させることができる。これは、同じ効果を得るために使用される全エネルギーを低減するのに有益である。図示された実施形態は、乗員の上背部の一般的な位置またはその近傍の領域の周りに概ね配置された開口131Aを含んでいるが、より少ないまたはより多い数の開口131Aが使用されていることを含む、開口131Aの他の配置は考慮されてもよい。
【0111】
次に
図37を参照すると、背もたれの背面が図示され、流路78A、79Aの位置が示されている。次に
図38を参照すると、デュアルモードポンプ装置138Aのようなポンプ装置は、クッション72および背もたれ34の他の位置を支持するために使用される背もたれフレーム75の背面に取り付けられてもよい。図示された実施形態で示されたように、デュアルモードポンプ装置138Bは、流体が流路79Bを介してハウジング139の中に引き込まれ、かつ、排熱交換器を通り、排出流体101Aがハウジング139Aに集められて排出されるように、流路79Aと流体接続されるように配置された第1の入口を含んでもよい。ある実施形態では、排出流体101Bは、背もたれフレーム75の背面に向けて排出されてもよい。デュアルモードポンプ装置138Aは、流体が第2の入口144Aを介してハウジング139の中に引き込まれ、かつ、主熱交換器を通り、調整空気を集めて、流体分配システム76Aを介して背もたれ34の一部を通して分散させることができる流路78Aに導入することができる、流路78と流体接続されるように配置された第2の出口と連結された第2の入口144Aを含んでもよい。図示された実施形態で示されたように、第2の入口144Aは、デュアルモードポンプ装置138Aが、排出流体101Aが混合される恐れの少ない位置から空気を引き込むことを可能にするために、延長ダクト152Aを含んでもよい。
【0112】
図39を参照すると、座部32および背もたれ34を有する環境制御シート組立品30が示されている。図示された実施形態で示されたように、座部32は、調整流体97Bが乗員に向けて導かれる領域と、流体が乗員から離れた場所から引き込む領域とを含んでもよい。さらに、背もたれ34は、調整流体97Aが乗員に向けて導かれる領域と、流体を乗員から離れた場所から引き込む領域とを含んでもよい。この実施形態は、上述した
図28~
図38に関連して説明されたシステムに使用することができる。
【0113】
図28~
図39に関連して説明された実施形態は、他のタイプの支持組立品および他の冷却/加熱応用例にも使用されてもよいが、本明細書で説明される追加実施形態と組み合わせて使用される必要はない。
【0114】
開示された実施形態の説明を助けるために、上、下、前、後ろ、左、右、側方、上方および下方のような、使用された用語は、添付の図面で説明される。さらに、以下の用語は本明細書に使用される。また、文脈で明確に指示されていない限り、単一の構成は複数でもよい。このため、例えば、1つの項目は、1つ以上の項目に対する言及を含む。「単一(ones)」という用語は、1つ、2つまたはそれ以上について言及し、一般的に量のある部分または全部に適用することができる。「複数」という用語は、2つまたはそれ以上の項目について言及する。「約(about)」または「ほぼ(approximately)」という用語は、量、寸法、大きさ、処方、パラメータ、形状および他の特性が正確である必要がないことを意味するが、必要に応じて、許容範囲、換算係数、測定誤差、丸め込み、および、当業者に知られている他の要因などを反映した、近似と拡大または縮小との少なくとも一方でもよい。「実質的に」という用語は、特徴、パラメータまたは値が正確に達成される必要がないことを意味するが、例えば、許容範囲、測定エラー、測定精度限界および当業者に知られている他の要因を含む偏差またはばらつきが、提供するつもりの特徴や効果を妨げない範囲にしてもよい。しかしながら、当然ではあるが、図示された実施形態は、所望の様々な位置および向きとすることができる。
【0115】
好ましい実施形態の上述の説明は、特定の新規性を有する特徴について、図示し、記述し、そして説明したが、装置の詳細な形態における様々な省略、置換および変更、ならびにそれらの用途は、本開示の精神を逸脱することなく当業者によってなされると理解されるべきである。従って、本発明の範囲は、本発明の範囲を限定することを意図している上述した説明によって限定されるべきではありません。