(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】電池ラッピングフィルムを有する端末
(51)【国際特許分類】
H01M 50/244 20210101AFI20220203BHJP
H01M 50/22 20210101ALI20220203BHJP
H01M 50/256 20210101ALN20220203BHJP
H01M 50/247 20210101ALN20220203BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
H01M50/22
H01M50/256 201
H01M50/247
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020109713
(22)【出願日】2020-06-25
(62)【分割の表示】P 2019512030の分割
【原出願日】2017-03-29
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】201710007886.6
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ゥレンウエイ
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-173050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10-50/198
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、電池ラッピングフィルムと、筐体とを有する端末であって、
前記電池ラッピングフィルムは、
前記電池に接続された第1表面と、
前記第1表面上に配された第1の接着剤ドット領域及び第2の接着剤ドット領域と、
を有し、
前記第1の接着剤ドット領域は、前記筐体の面内の突出領域に対応し、前記第2の接着剤ドット領域は、前記筐体の前記面内の凹所領域に対応し、
前記第1の接着剤ドット領域は接着剤ドット疎領域であり、前記第2の接着剤ドット領域は接着剤ドット密領域であり、単位面積当たりの前記第1の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの分注量が、単位面積当たりの前記第2の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの分注量よりも少な
く、
前記第1の接着剤ドット領域内の接着剤ドット及び前記第2の接着剤ドット領域内の接着剤ドットは同じ材料を使用している、
端末。
【請求項2】
前記第1の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量が、前記第2の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量よりも少ない、請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記第1の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量が、前記第2の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量と同じであり、前記第1の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの数が、前記第2の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの数よりも少ない、
請求項1に記載の端末。
【請求項4】
前記第1の接着剤ドット領域内の分注量はゼロである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の端末。
【請求項5】
電池と、電池ラッピングフィルムと、筐体とを有する端末であって、
前記電池ラッピングフィルムは、
前記電池に接続された第1表面と、
前記第1表面上に配された第1の接着剤ドット領域及び第2の接着剤ドット領域と、
を有し、
前記第1の接着剤ドット領域は、前記筐体の面内の突出領域に対応し、前記第2の接着剤ドット領域は、前記筐体の前記面内の凹所領域に対応し、
前記第1の接着剤ドット領域は接着剤ドット疎領域であり、前記第2の接着剤ドット領域は接着剤ドット密領域であり、前記第1の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量が、前記第2の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量よりも少なく、
前記第1の接着剤ドット領域内の接着剤ドット及び前記第2の接着剤ドット領域内の接着剤ドットは同じ材料を使用している、
端末。
【請求項6】
前記第1の接着剤ドット領域内の分注量はゼロである、請求項
5に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年1月5日に中国特許庁に出願された、「電池コンポーネント及びモバイル端末」と題された中国特許出願第201710007886.6号に対する優先権を主張するものであり、その全体をここに援用する。
【0002】
この出願の実施形態は、端末の分野に関し、特に、電池ラッピングフィルム、電池コンポーネント、及び端末に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、端末に関する電池再利用技術が、コストを削減する一手段である。電池再利用技術は、ラッピングフィルムを用いることによって電池を包み込み、そして、該ラッピングフィルムを電池から引き剥がした後にその電池をなおも使用することができる技術である。この技術において、電池は、取り外された後に再利用されることができる。従来、電池の力に耐えるために、
図1に示すように、電池に使用されるラッピングフィルム上に均一なドット接着剤(すなわち、分注(dispensing)ドット)が設計されている。通常、ラッピングフィルムは内表面と外表面との2つの表面を有する。内表面を第1表面として参照し、外表面を第2表面として参照する。ラッピングフィルムの第1表面上に均一なドット接着剤が配置され、ラッピングフィルムの第1表面が電池に貼り付けられ、そして、ラッピングフィルムの第2表面上をローラが転がることで、ラッピングフィルムを用いることによる電池の包み込みのプロセスが完了する。ラッピングフィルムを用いることによって電池が包み込まれた後に、電池とラッピングフィルムとが一緒に電池コンポーネントの筐体内に設置される。
【0004】
しかしながら、電池コンポーネントの内部のフラットケーブルを収容するために、電池コンポーネントの筐体は凹凸構造として構成され、凹所にされた位置にフラットケーブルが収容される。凹凸構造を有する筐体では、均一な分注ドットを持ったラッピングフィルムが筐体に接触するとき、筐体上の突出位置は相対的に高い接着強度を有し、凹所位置は相対的に低い接着強度を有する。筐体が凸凹な表面を持っていて均一に力を受けないため、電池からラッピングフィルムを引き剥がすプロセスにおいて、電池は均一に力を受けない。結果として、電池の表面が損傷され、また、電池コンポーネントが転がる又は落下するときに電池が変形されてしまう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、電池ラッピングフィルム、電池コンポーネント、端末を提供する。電池コンポーネントの電池ラッピングフィルム上の疎な接着剤ドット領域が、電池コンポーネントの筐体上の突出領域に対応し、電池ラッピングフィルム上の密な接着剤ドット領域が、電池コンポーネントの筐体上の凹所領域に対応して、電池コンポーネント内の電池が均一に力を受けて取り外し容易になることが確保される。
【0006】
第1の態様に従って、電池ラッピングフィルムが提供される。電池を電池ラッピングフィルムに接続するため、電池ラッピングフィルムの第1の面に、第1の接着剤ドット領域と第2の接着剤ドット領域とが設けられる。
【0007】
第1の接着剤ドット領域は、筐体の第1の面内の突出領域に対応し、第2の接着剤ドット領域は、筐体の第1の面内の凹所領域に対応する。
【0008】
オプションの一実装において、第1の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの分注量が、第2の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの分注量よりも少ない。
【0009】
オプションの一実装において、第1の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量が、第2の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量と異なるとき、第1の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量が、第2の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量よりも少ない。
【0010】
オプションの一実装において、第1の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量が、第2の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量と同じであるとき、第1の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの数が、第2の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの数よりも少ない。
【0011】
オプションの一実装において、第1の接着剤ドット領域内の分注量はゼロである。
【0012】
オプションの一実装において、第1の接着剤ドット領域内の接着剤ドットは第1の材料を使用し、第2の接着剤ドット領域内の接着剤ドットは第2の材料を使用している。
【0013】
第2の態様に従って、電池コンポーネントが提供される。電池コンポーネントは、電池と、筐体と、第1の態様に従った電池ラッピングフィルムとを含み得る。
【0014】
第3の態様に従って、端末が提供される。端末は、第2の態様に従った電池コンポーネントを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ラッピングフィルムの概略的な構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に従った電池コンポーネントの断面の概略的な構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に従ったラッピングフィルムの概略的な構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態に従った別のラッピングフィルムの概略的な構成図である。
【
図5】本発明の一実施形態に従った更なる別のラッピングフィルムの概略的な構成図である。
【
図6】本発明の一実施形態に従った更なる別のラッピングフィルムの概略的な構成図である。
【
図7】本発明の一実施形態に従った更なる別のラッピングフィルムの概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面及び実施形態を参照して、この出願の技術的ソリューションを更に詳細に説明する。
【0017】
この出願にて提供される電池コンポーネントは、端末に適用可能であるとすることができ、端末は、例えば携帯電話(又は“セルラー”電話と呼ばれる)、モバイルコンピュータ、又はスマートウォッチなどのユーザ機器(User Equipment、UE)とし得る。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態に従った電池コンポーネント200の断面の概略的な構成図である。
図2に示すように、電池コンポーネント200は、電池210と、電池ラッピングフィルム220と、筐体230とを含み得る。
【0019】
電池ラッピングフィルム220の第1表面220Aに、第1の接着剤ドット領域220Xと第2の接着剤ドット領域220Yとが配され、第1の接着剤ドット領域220X及び第2の接着剤ドット領域220Yに分注(dispensing)ドットが配置され、それらの分注ドットを用いて電池210と電池ラッピングフィルム220とが接着される。電池ラッピングフィルム220は、例えば、樹脂材料で作製され得る。
【0020】
電池ラッピングフィルム220で包まれた電池210が、筐体230の第1の面230Aに配置される。第1の接着剤ドット領域220Xは、筐体230の第1の面230A内の突出領域230Yに対応し、第2の接着剤ドット領域220Yは、筐体230の第1の面230A内の凹所領域230Xに対応する。凹所領域230Xは、電力伝送に用いられる導線を収容するために使用される。筐体230は、金属材料で作製され得る。
【0021】
オプションで、電池210が均一に力を受けることを確保するため、電池ラッピングフィルム220の第1表面220A上の第1の接着剤ドット領域220X内の各接着剤ドットの分注量は、第2の接着剤ドット領域220Y内の各接着剤ドットの分注量よりも少ない。換言すれば、第1の接着剤ドット領域220Xは、疎な接着剤ドット領域として参照することができ、第2の接着剤ドット領域220Yは、密な接着剤ドット領域として参照することができる。
【0022】
理解され得ることには、第1の接着剤ドット領域220X及び第2の接着剤ドット領域220Yの接着剤ドットは、同じ材料を用いてもよいし、あるいは異なる材料を用いてもよい。
【0023】
オプションで、第1の接着剤ドット領域220X内の各接着剤ドットの分注量が、第2の接着剤ドット領域220Y内の各接着剤ドットの分注量と同じであるとき、第1の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの数は、第2の接着剤ドット領域内の接着剤ドットの数よりも少ない。
【0024】
図3に示すように、第2の接着剤ドット領域220Y内には塗りつぶした接着剤ドットが存在しており、第1の接着剤ドット領域220X内には塗りつぶしていない接着剤ドットが存在している。第1の接着剤ドット領域220X内の塗りつぶしていない各接着剤ドットの分注量は、第2の接着剤ドット領域220Y内の塗りつぶした各接着剤ドットのそれと同じであり、第1の接着剤ドット領域220X内の塗りつぶしていない接着剤ドットの行数は、第2の接着剤ドット領域220Y内の塗りつぶした接着剤ドットの行数よりも少ない。すなわち、第1の接着剤ドット領域220X内の塗りつぶしていない接着剤ドットの数は、第2の接着剤ドット領域220Y内の塗りつぶした接着剤ドットの数よりも少ない。
【0025】
オプションで、第1の接着剤ドット領域220X内の各接着剤ドットの分注量が、第2の接着剤ドット領域220Y内の各接着剤ドットの分注量と異なるとき、第1の接着剤ドット内の各接着剤ドットの分注量は、第2の接着剤ドット領域内の各接着剤ドットの分注量よりも少ない。
図4に示すように、第2の接着剤ドット領域220Y内には塗りつぶした接着剤ドットが存在しており、第1の接着剤ドット領域220X内には塗りつぶしていない接着剤ドットが存在している。第1の接着剤ドット領域220Xと第2の接着剤ドット領域220Yとにおいて、接着剤ドットの行数は同じである。各行において、第1の接着剤ドット領域220X内の塗りつぶしていない各接着剤ドットの円中心の高さと、塗りつぶした各接着剤ドットの円中心の高さとは、座標系のy軸上で同じであり、そして、塗りつぶした各接着剤ドットの分注量は、塗りつぶしていない各接着剤ドットの分注量よりも多い。
【0026】
理解され得ることには、
図3から
図5に示す内容から、第1表面220A上の第1の接着剤ドット領域220X及び第2の接着剤ドット領域220Yにおける接着剤ドットの位置及び数量は、筐体230上の凹所領域230X及び突出領域230Yの形状とともに変わり得ることが学習され得る。
図5に示すように、筐体230の第1の面230Aに4つの突出領域230Yが配置され、第1の面230Aの残りの部分に凹所領域230Xが配置されている。故に、突出領域230Yに対応する4つの第1の接着剤ドット領域220Xが、電池ラッピングフィルム220の第1表面220A上に配され、凹所領域230Xに対応する第2の接着剤ドット領域220Yが、第1表面220Aの残りの部分上に配され、そして、第1の接着剤ドット領域220X内の塗りつぶしていない各接着剤ドットの分注量は、第2の接着剤ドット領域220Y内の塗りつぶした各接着剤ドットの分注量よりも少ない。換言すれば、第1の接着剤ドット領域は、疎な接着剤ドット領域として参照することができ、第2の接着剤ドット領域は、密な接着剤ドット領域として参照することができる。
【0027】
オプションで、
図6及び
図7に示すように、電池ラッピングフィルム220の第1表面220A上の第1の接着剤ドット領域には、ゼロ個の塗りつぶしていない接着剤ドットが存在してもよい。
【0028】
なお、この実施形態における電池コンポーネントの電池ラッピングフィルムの第1表面220A上の第1の接着剤ドット領域及び第2の接着剤ドット領域における接着剤ドットの位置、数量、及び形状は、
図3から
図7に示した位置、数量、及び形状に限定されず、他の形態にあってもよい。これは、本発明のこの実施形態において限定されることではない。
【0029】
以上のことから学習され得ることには、本発明のこの実施形態にて提供される電池コンポーネントによれば、筐体の突出領域に対応する電池ラッピングフィルム上に疎な接着剤ドットが分注され、筐体の凹所領域に対応するラッピングフィルム上に密な接着剤ドットが分注され、電池コンポーネントの電池が均一に力を受けて取り外し容易になることが確保される。
【0030】
本発明の一実施形態は更に電池コンポーネントを提供する。このコンポーネントは、電池と、筐体と、上述の実施形態に記載の電池ラッピングフィルムとを含む。
【0031】
さらに、本発明の一実施形態は更に端末を提供する。この端末は、上述の実施形態に記載の電池コンポーネントを含む。
【0032】
当業者が更に認識し得ることには、この明細書に開示された実施形態にて記述された例と組み合わせて、ユニット及びアルゴリズムステップが、エレクトロニクスハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はこれらの組み合わせによって実装され得る。ハードウェアとソフトウェアとの間の互換性を明瞭に記述するために、以上では概して、機能に従って各例の構成とステップとを記述した。これらの機能がハードウェアによって実行されるのかソフトウェアによって実行されるのかは、技術的ソリューションの設計制約条件及び具体的な用途に依存する。当業者は、具体的な用途ごとに、記述された機能を実装するために異なる方法を使用することができるが、その実装はこの出願の範囲を超えるものと見なされるべきでない。
【0033】
当業者が理解し得ることには、上述の実施形態の方法の各々におけるステップの全て又は一部は、プロセッサに命令するプログラムによって実装され得る。上述のプログラムは、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に格納され得る。記憶媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ(magnetic tape)、フロッピーディスク(floppy disk)、光ディスク(optical disc)、又はこれらの任意の組み合わせなどの、非一時的(non-transitory)な媒体とし得る。
【0034】
以上の説明は、単に、この出願の特定の実装の例であり、この出願の保護範囲を限定することを意図したものではない。この出願にて開示された技術範囲内で当業者によって容易に考え付かれる如何なる変形又は置換も、この出願の保護範囲に入るものである。故に、この出願の保護範囲は、請求項の保護範囲次第のものである。