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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 11/02 20060101AFI20220119BHJP
   F03B 3/04 20060101ALI20220119BHJP
   F03B 7/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
F03B11/02
F03B3/04
F03B7/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020215347
(22)【出願日】2020-12-24
(62)【分割の表示】P 2016035878の分割
【原出願日】2016-02-26
(65)【公開番号】P2021060039
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 智哉
(72)【発明者】
【氏名】藤川 芳夫
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/010675(WO,A1)
【文献】特開2013-241841(JP,A)
【文献】特開2015-014219(JP,A)
【文献】特開2008-202285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 11/02
F03B 3/04
F03B 7/00
F03B 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼と、前記回転翼の回転により発電する発電機とを含む水力発電モジュールと、
前記水力発電モジュールを支持する支持部とを備え、前記支持部は水路に設置可能であって、さらに、
前記支持部から突出するように、前記支持部に接続された棒状体を備え、
前記支持部は、前記水路を横切るように延在しているとともに、両端部がそれぞれ前記水路の互いに対向する一対の壁部の上部表面上に配置されている梁を有し、
前記棒状体は、前記梁の延在方向に交差する方向に延在しており、
前記棒状体の一方端部は、前記梁の端部に接続されており、
前記棒状体の前記一方端部および前記水路の前記壁部に接触している前記梁の部分のいずれかを中心部として、前記棒状体の前記一方端部と反対側に位置する他方端部を持ち上げて回転移動させることにより、前記水力発電モジュールの前記回転翼が前記水路中の水面より下に位置する第1状態から前記回転翼が前記水路中の水面より上に位置する第2状態へと切り替えることが可能であり、
前記棒状体は、前記第1状態において、前記水路の前記水面に沿って直線状に延びている、水力発電装置。
【請求項2】
前記棒状体を前記支持部に対して着脱可能に接続する接続部材をさらに備える、請求項1に記載の水力発電装置。
【請求項3】
前記中心部は、前記水路に対して前記水力発電モジュールを回転可能に支持する支持部材を含む、請求項1又は請求項2に記載の水力発電装置。
【請求項4】
前記回転翼は、水平軸型のプロペラ式回転翼である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の水力発電装置。
【請求項5】
前記回転翼は、垂直軸型の回転翼である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の水力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水力発電装置に関し、より特定的には水路に設置される水力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水路に設置される水力発電装置が知られている。農業用水や水道用水、工業用水などの水路を利用した小型の水力発電装置において、回転翼やギア、軸受、オイルシールなどの交換メンテナンスのため、水力発電装置を水流から引き上げる必要がある。また、増水などの緊急時にも水力発電装置の破損を防止するため、水力発電装置を水流から引き上げる必要がある。従来は、水力発電装置を引き上げる際クレーン車を使用したり、引き上げるための大掛かりな引き上げ機構を使用していた(たとえば、特開2015-14219号公報参照)。上述した文献に開示されている従来の水力発電装置は、プーリやワイヤ、錘などにより構成される引き上げ機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-14219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した水路に設置するような小型の水力発電装置では、上記のような大掛かりな引き上げ機構を設置することはコストの増大要因となる。すなわち、上述のような水路を利用した小型の水力発電装置は発電量が小さい。そのため、上記のような引き上げ機構を設置すると、発電量に対して水力発電装置の設置費用が過大になってしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、水力発電装置を水流から引き上げる際に大掛かりな装置が不要であり、たとえば人力による作業などのように簡単に水流から引き上げることが可能な水力発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った水力発電装置は、水力発電モジュールと、支持部と、棒状体とを備える。水力発電モジュールは、回転翼と、当該回転翼の回転により発電する発電機とを含む。支持部は水力発電モジュールを支持する。支持部は水路に設置可能である。棒状体は、支持部から突出するように、支持部に接続される。棒状体における支持部側の一方端部および支持部の一部のいずれかを中心部として、棒状体の一方端部と反対側に位置する他方端部を回転移動させることにより、第1状態と第2状態とを切り替えることが可能である。第1状態は、水力発電モジュールの回転翼が水路中の水面より下に位置する状態である。第2状態は、回転翼が水路中の水面より上に位置する状態である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大掛かりな装置を必要とせず、簡単に水流から引き上げることが可能な水力発電装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る水力発電装置の正面模式図である。
図2図1に示した水力発電装置の上面模式図である。
図3図1に示した水力発電装置の側面模式図である。
図4図1に示した水力発電装置を水路に設置した状態を説明するための正面模式図である。
図5図4に示した水力発電装置の上面模式図である。
図6図4に示した水力発電装置の側面模式図である。
図7図4に示した水力発電装置を水路にの水面から引き上げた状態を説明するための正面模式図である。
図8図7に示した水力発電装置の側面模式図である。
図9】本発明の実施の形態2に係る水力発電装置を説明するための正面模式図である。
図10図9に示した水力発電装置の側面模式図である。
図11】本発明の実施の形態3に係る水力発電装置を説明するための正面模式図である。
図12図11に示した水力発電装置の上面模式図である。
図13図11に示した水力発電装置の側面模式図である。
図14図11に示した領域XIVの拡大模式図である。
図15】本発明の実施の形態4に係る水力発電装置を説明するための正面模式図である。
図16図15に示した水力発電装置の上面模式図である。
図17図15に示した水力発電装置の側面模式図である。
図18図15に示した領域XVIIIの拡大模式図である。
図19】本発明の実施の形態5に係る水力発電装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0010】
(実施の形態1)
<水力発電装置の構成>
図1図3は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図1図3に基づき、本実施形態に係る水力発電装置の構成を説明する。
【0011】
図1図3に示す水力発電装置は、流水が持つ運動エネルギーを発電に利用し、既存の農業用水や水道用水、工業用水などの水路に設置する小型で軽量なシステムである。図1図4に示すように、水力発電装置は、回転翼1を含む水力発電モジュールと、梁4を含む支持部と、棒状体5a、5bと、制御装置とを備える。棒状体5a、5bを用いて、後述するように水力発電装置の水力発電モジュールを水路から引き上げることができる。なお詳細は後述する。水力発電モジュールは、回転翼1と、ギヤボックス2と、発電機3とを含む。回転翼1は、水平軸型のプロペラ式回転翼である。ギヤボックス2は回転翼1に接続されている。発電機3は、支柱を介してギヤボックス2と接続されている。回転翼1が水流により回転すると、ギヤボックス2および支柱を介して当該回転翼1の回転が発電機3に伝えられる。発電機3は回転翼1の回転により発電する。
【0012】
制御装置は、発電機3の出力および回転翼1を制御する。ここで、発電機3より取り出す最大電力は、水流の流速により変化する。このため、制御装置は、水流の流速、あるいは回転翼1の回転速度、あるいは発電機3の発電電圧を計測し、発電機3より取り出す電力が最大となる最適な電流値を決定する。そして、制御装置は発電機3の電流量と最適値が一致するように、水力発電モジュールを制御する。
【0013】
支持部は水力発電モジュールを支持する。支持部は2本の梁4a,4bと、架台4cと、支柱4dと、ベース板4eとを含む。2本の梁4a、4bはたがいに平行に並ぶように配置されている。2本の梁4a,4bの中央部において、2本の梁4a,4bを繋ぐように架台4cが配置されている。架台4cは梁4a,4bに固定されている。架台4cの上部表面には2本の支柱4dが間隔を隔てて配置されている。2本の支柱4dは、それぞれ架台4cの端部に配置されている。また、支柱4dは梁4a,4bと平面視において重なる位置に配置されている。2本の支柱4dの間を繋ぐようにベース板4eが配置されている。ベース板4eに発電機3が固定されている。発電機3は架台4cとベース板4eとの間に配置されている。水力発電モジュールの支柱の一端は、架台4cの下部表面に接続されている。
【0014】
引き上げ棒としての棒状体5a、5bは、梁4a、4bにボルト15を用いて固定されている。棒状体5aは、梁4a、4bの一方の端部に接続されている。棒状体5bは、梁4a、4bの上記一方の端部と反対側の他方の端部に接続されている。棒状体5a、5bの延在方向は、梁4a、4bの延在方向と交差する方向であり、たとえば梁4a、4bと直交する方向である。
【0015】
棒状体5a、5bは、梁4a、4bと接続部材を構成するボルト15により着脱可能に接続されている。具体的には、梁4a、4bの両端部にボルト15を通すための穴が形成されている。また、棒状体5a、5bにも、ボルト15を通すための穴が形成されている。棒状体5a、5bの上記穴が梁4a、4bの上記穴と重なるように、棒状体5a、5bを梁4a、4bに対して位置決めする。図1図3に示した水力発電装置では、棒状体5a、5bは梁4a、4bの下側の面に接するように配置されている。そして、棒状体5a、5bおよび梁4a、4bの穴にボルト15を通す。その後、接続部材を構成するナットをボルト15に固定することにより、ボルト15を介して棒状体5a、5bを梁4a、4bに固定する。このようにして、棒状体5a、5bを梁4a、4bに着脱可能に接続する。なお、ボルト15とナットとの結合を解除することで、棒状体5a、5bを梁4a、4bから取り外すことができる。このため、棒状体5a、5bは、後述するように水力発電装置を水路から引き上げるときだけ、梁4a、4bに接続される。
【0016】
<水力発電装置の引き上げ方法>
図4図8は、図1図3に示した水力発電装置を水路から引き上げる方法を説明するための模式図である。図4図8を用いて、水力発電装置を水路から引き上げる方法を説明する。
【0017】
まず、図4図6に示すように、水路において水力発電装置が所定の位置に配置される。このとき、水力発電モジュールの回転翼1は水路の水面40より下に位置している(第1状態)。なお、水面40の位置は時期によって変化するが、その都度、第1状態となるように調節が可能である。また、水力発電装置の梁4a,4bの端部が水路の壁部8の上部表面に接している。梁4a、4bの最端部は水路の壁部8の外周表面より外側に突出している。この梁4a、4bの最端部に、上述した棒状体5a、5bを接続する。棒状体5a、5bは、水路の水面40に沿った方向、あるいは水路の壁部8の上部表面に沿った方向に延びるように配置されている。
【0018】
次に、棒状体5a、5bの端部(梁4a、4bと接続された一方端部と反対側に位置する他方端部)を、図6の矢印10に示す方向に持上げる。この結果、水力発電装置は、梁4a、4bが水路の壁部8と接触した部分を中心として回転する。棒状体5a、5bの長さを十分に長くしておくことで(たとえば3m以上5m以下)、棒状体5a、5bの他方端部を持上げる力は十分小さくできる。このため、棒状体5a、5bの他方端部を持上げる作業は1名~数名の作業員により実施することができる。
【0019】
また、上述した構成では、棒状体5a、5bの他方端部を持ち上げるときの回転中心は梁4a、4bが水路の壁部8と接触した部分であったが、棒状体5a、5bにおいて梁4a側に位置する一方端部が回転中心となってもよい。
【0020】
このように棒状体5a、5bの他方端部を矢印10(図6参照)の方向に持上げることで、水力発電装置を矢印10で示す方向に回転させることができる。この結果、棒状体5a、5bをほぼ90°回転させると、図7および図8に示すように、水力発電装置を90°回転させて、当該水力発電装置の水力発電モジュールを水路の水面から引き上げることができる。
【0021】
なお、上述した水力発電装置は、梁4a、4bが水路の壁部8上に直接設置されていたが、異なる構成の水力発電装置に対しても上記棒状体5a、5bを適用してもよい。たとえば、水路の両側に水力発電装置用の基礎を別途形成し、当該基礎上に梁4a、4bなどが搭載されているような構成においても、同様に棒状体5a、5bを梁4a、4bに接続してもよい。この場合も、棒状体5a、5bの他方端部を持上げることで、水力発電装置の水力発電モジュールを水路から引き上げることができる。
【0022】
また、図7および図8に示すように、回転翼1が下向きになるように水力発電装置を引き上げる場合を説明したが、引き上げたときの回転翼1の向き(水力発電装置の向き)は、メンテナンスのし易さなどを考慮して変更してもよい。たとえば、図3においてギヤボックス2から見て回転翼1が位置する側に伸びるように棒状体5a、5bを梁4a、4bに接続してもよい。この場合、棒状体において梁4a、4bから遠い側の端部を持ち上げることで、水力発電装置を水路から引き上げることができる。そして、引き上げた状態の水力発電装置では、回転翼1が上向きになっている。
【0023】
<水力発電装置の動作>
水路に固定された水力発電装置では、水路を流れる水の流れにより回転翼が回転する。回転翼において発生した回転エネルギーは、ギヤボックス2や支柱の内部に配置された回転軸などを介して発電機3に伝達される。発電機3では伝達された回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。発電機3で発生した電気エネルギーは、出力配線などにより外部へ出力される。
【0024】
<特徴的な構成及び作用効果>
上述した水力発電装置は、水力発電モジュールと、支持部(梁4a,4b、架台4c、支柱4d、ベース板4e)と、棒状体5a、5bとを備える。水力発電モジュールは、回転翼1と、当該回転翼1の回転により発電する発電機3とを含む。支持部は水力発電モジュールを支持する。支持部は水路に設置可能である。棒状体5a、5bは、支持部から突出するように、支持部に接続される。棒状体5a、5bにおける支持部側の一方端部および支持部の一部のいずれかを中心部として、棒状体5a、5bの一方端部と反対側に位置する他方端部を回転移動させることにより、第1状態と第2状態とを切り替えることが可能である。第1状態は、図4に示すように水力発電モジュールの回転翼1が水路中の水面より下に位置する状態である。第2状態は、図8に示すように回転翼1が水路中の水面より上に位置する状態である。
【0025】
このようにすれば、棒状体5a、5bの他方端部を持ち上げて、梁4a、4bを中心として水力発電装置を回転させることができる。また、棒状体5a、5bの長さを十分長くすることで、回転中心と他方端部との距離を大きくできるので、てこの原理により比較的小さな力で水力発電装置を回転させることができる。したがって、滑車やロープなどを使った大掛かりな装置を用いることなく、人力により棒状体5a、5bの他方端部を持ち上げるといった作業により、短時間で容易に水力発電装置を水路から引き上げることができる。
【0026】
たとえば、大雨などによる水路の水位上昇のため、水力発電装置を水流から引き上げる必要が生じた場合、本実施形態に係る水力発電装置ではクレーン車などを用いなくても水力発電装置を水流から引き上げることができる。また、引き上げ作業のための大掛かりな装置が不要であるため、水力発電装置の製造コストや設置コストを低減することができる。また、上述した引き揚げ作業は人力で行うことが可能であり、特に動力が不要であるため、水力発電装置の設置場所の自由度を大きくできる。
【0027】
上記水力発電装置は、棒状体5a、5bを支持部に対して着脱可能に接続する接続部材(ボルト15、ナット)をさらに備えていてもよい。この場合、水力発電装置を水路から引き上げるときだけ棒状体5a、5bを梁4a、4bに接続することができる。また、水路から水力発電装置を引き上げたときの回転翼1の向きを任意に変更するように、梁4a、4bに対する棒状体5a、5bの接続時の向きを適宜変更できる。
【0028】
(実施の形態2)
<水力発電装置の構成>
図9および図10は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図9および図10を用いて、本実施形態に係る水力発電装置を説明する。なお、図9図4に対応し、図10図6に対応する。
【0029】
図9および図10に示した水力発電装置は、基本的には図1図3に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、棒状体5c、5dの形状が図1図3に示した水力発電装置とは異なっている。図9および図10に示した水力発電装置の棒状体5c、5dは、側面からみた形状がL字形状となっている。具体的には、棒状体5dは、固定部6aと延在部6bとを含む。固定部6aは、図9および図10に示すように回転翼1が水路の水面より下に位置する第1状態において、水路の水面に沿って延びるように配置されるとともに梁4a、4bに固定されている。延在部6bは、固定部6aに接続され、固定部6aの延びる方向と異なる方向に延びている。具体的には、延在部6bは水力発電モジュールの延びる方向に沿って延びている。
【0030】
<水力発電装置の引き上げ方法>
図9および図10に示す水力発電装置を水路から引き上げる方法は、基本的には図4図8を用いて説明した方法と同様であるが、棒状体5c、5dの延在部6bを図10の矢印10に示す方向へ倒す点が、図4図8に示した引き上げ方法と異なっている。この場合、棒状体5c、5dにおいて固定部6aと延在部6bとの接続部に隣接する梁4aを回転中心として、水力発電装置が回転する。この場合も、図4図8に示した引き上げ方法と同様に、水力発電装置を容易に水路から引き上げることができる。
【0031】
(実施の形態3)
<水力発電装置の構成>
図11図14は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図11図14を用いて、本実施形態に係る水力発電装置を説明する。なお、図11図13図4図6に対応する。
【0032】
図11図14に示した水力発電装置は、基本的には図1図3に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、支持部を構成する梁4a、4bに固定装置9が接続されており、さらに固定装置9の端面と梁4aの側面とを繋ぐように蝶番11が配置されている点が図1図3に示した水力発電装置とは異なっている。
【0033】
固定装置9は、梁4a、4bの両端側において、梁4a、4b間を繋ぐように配置されている。異なる観点から言えば、固定装置9は、梁4a、4bの延びる方向と交差する方向に延びるように配置されている。固定装置9はたとえば柱状の形状を有する。固定装置9は通常時には梁4a、4bにボルトなどの固定部材により固定されている。一方、後述するように水力発電装置を引き上げるときには、梁4a、4bに対して固定装置9を固定しているボルトは取り外される。また、固定装置9は、水路の壁部8の内周面に面する位置に配置される。図14に示されるように、固定装置9はアンカボルト12などの固定部材により水路の壁部8に固定されている。
【0034】
蝶番11は、固定装置9の端面と梁4aの側面とを繋ぐように配置されている。蝶番11は固定装置9の端面と梁4aの側面とに固定されている。固定装置9が梁4a、4bに対してボルトにより固定されていない状態であれば、蝶番11を中心として固定装置9の端面に対して梁4aの側面が傾くように、水力発電装置を移動させる(回転させる)ことができる。
【0035】
<水力発電装置の引き上げ方法>
図11図14に示す水力発電装置を水路から引き上げる方法は、基本的には図4図8を用いて説明した方法と同様であるが、予め固定装置9と梁4a、4bとを繋ぐボルトを取り外してから、棒状体5a、5bの他方端部を図13の矢印10に示す方向へ持上げる点、および水力発電装置を回転させるときの中心部が蝶番11である点が、図4図8に示した引き上げ方法と異なっている。つまり、上記水力発電装置において、水力発電装置を回転させる中心部は、水路に対して水力発電モジュールを回転可能に支持する支持部材(蝶番11)を含んでいる。
【0036】
この場合も、図4図8に示した引き上げ方法と同様に、水力発電装置を容易に水路から引き上げることができる。また、固定装置9はアンカボルト12により水路の壁部8に固定されているため、棒状体5a、5bの他方端部を持上げるときに回転中心である蝶番の位置がずれたりしない。このため、水力発電装置を水路から引き上げる作業を安全かつ確実に実施することができる。
【0037】
(実施の形態4)
<水力発電装置の構成>
図15図18は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図15図18を用いて、本実施形態に係る水力発電装置を説明する。なお、図15図17図4図6に対応する。
【0038】
図15図18に示した水力発電装置は、基本的には図1図3に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、支持部を構成する梁4aが軸21を含み、当該軸21が軸受部20により支持されている点、さらに棒状体5a、5bが水路の壁部の内周側に配置されている点、が図1図3に示した水力発電装置とは異なっている。
【0039】
軸21は、梁4aの延在方向に沿うように、梁4aの両端部に接続されている。軸受部20は軸21を支持する。2つの軸受部20は、梁4aを挟むように配置されている。軸受部20は水路の壁部8の上部表面上に固定されている。軸受部20は、図18に示すように、内輪20a、転動体20c、外輪20b、および筐体20dを含む。内輪20aは、環状の形状を有する。内輪20aの内周面は軸21の外周面に接して固定されている。
【0040】
内輪20aの外周側に外輪20bが配置されている。外輪20bと内輪20aとの間に複数の転動体20cが配置されている。内輪20a、外輪20b、および転動体20cにより軸受が構成される。筐体20dは軸受を保持する。具体的には、筐体20dは外輪20bの外周を囲むように配置される。筐体20dは水路の壁部8の上部表面に固定されている。軸21は軸受部20により回転自在に支持されている。この結果、水力発電装置を水路から引き上げるときに、軸21および梁4aを中心として、後述するように水力発電装置を回転させることができる。
【0041】
棒状体5a、5bは、水路の内周側において梁4a、4bに接続されている。棒状体5a、5bは水路の壁部8の内壁面に沿って延びるように配置されている。
【0042】
なお、軸受部20は、図15などに示すように上流側の梁4aに接続されているが、作業性などを考慮して下流側の梁4bに接続してもよい。
【0043】
<水力発電装置の引き上げ方法>
図15図18に示す水力発電装置を水路から引き上げる方法は、基本的には図4図8を用いて説明した方法と同様であるが、水力発電装置を回転させるときの中心部が軸受部20である点が、図4図8に示した引き上げ方法と異なっている。つまり、上記水力発電装置において、水力発電装置を回転させる中心部は、水路に対して水力発電モジュールを回転可能に支持する支持部材(軸受部20)を含んでいる。
【0044】
この場合も、図4図8に示した引き上げ方法と同様に、水力発電装置を容易に水路から引き上げることができる。また、軸受部20はアンカボルトなどの固定部材により水路の壁部8に固定されているため、棒状体5a、5bの他方端部を持上げるときに回転中心である軸受部20、軸21および梁4aの位置が水路に対してずれたりしない。このため、水力発電装置を水路から引き上げる作業を安全かつ確実に実施することができる。
【0045】
(実施の形態5)
<水力発電装置の構成>
図19は、本実施形態に係る水力発電装置を説明するための模式図である。図19を用いて、本実施形態に係る水力発電装置を説明する。なお、図19図1に対応する。
【0046】
図19に示した水力発電装置は、基本的には図1図3に示した水力発電装置と同様の構造を備えるが、回転翼の形状が図1図3に示した水力発電装置と異なる。図19に示した水力発電装置では、水平軸型のプロペラ式回転翼に代えて垂直軸型の回転翼30が設置されている。このような構成によっても、図1図3に示した水力発電装置と同様の効果を得ることができる。
【0047】
なお、上述した水力発電装置では、回転翼の形式については任意の形式を採用することができる。
【0048】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明は、特に用水路などに設置される小型の水力発電装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0050】
1,30 回転翼、2 ギヤボックス、3 発電機、4,4a,4b 梁、4c 架台、4d 支柱、4e ベース板、5a,5b,5c,5d 棒状体、6a 固定部、6b 延在部、8 水路の壁部、9 固定装置、10 矢印、11 蝶番、12 アンカボルト、15 ボルト、20 軸受部、20a 内輪、20b 外輪、20c 転動体、20d 筐体、21 軸、40 水面。
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