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特許7011704エッジ面を使用したナノファイバシートの密度の変更
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】エッジ面を使用したナノファイバシートの密度の変更
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/168 20170101AFI20220203BHJP
   D02J 1/22 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C01B32/168
D02J1/22 303
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020507112
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 US2018043630
(87)【国際公開番号】W WO2019032291
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】62/542,355
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519164079
【氏名又は名称】リンテック・オヴ・アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】リマ,マルシオ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ブイコワ,ジュリア
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106044739(CN,A)
【文献】特表2008-523254(JP,A)
【文献】特開2016-191173(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069153(WO,A3)
【文献】特表2009-535530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0208708(US,A1)
【文献】ZHANG Liwen et al.,small-journal.com,2015年,P.1-P.7,DOI:10.1002/small.201500111
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00-32/991
D02J 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノファイバシートの密度を高めるためのシステムであって、
ナノファイバシートソースと、
前記ナノファイバシートソースから引き出されたナノファイバシートに、引っ張り力を印加するための引き出し機構と、
前記ナノファイバシートソースと前記引き出し機構との間に配置された少なくとも1つの弓形のエッジと
を備え
前記少なくとも1つの弓形のエッジが可撓性であり、前記少なくとも1つの弓形のエッジを圧縮することで、前記少なくとも1つの弓形のエッジの湾曲の量が調整可能であり、
前記少なくとも1つの弓形のエッジの湾曲が、凹状または凸状であり、
前記少なくとも1つの弓形のエッジが、前記引き出されたナノファイバシートと接触するように配置され、
前記湾曲の量が、前記ナノファイバシートソースから引き出される前記ナノファイバシートの密度によって調整され、
前記少なくとも1つの弓形のエッジが、前記ナノファイバシートの平面、前記ナノファイバシートの整列された複数のナノファイバの軸、または前記ナノファイバシートの引き出し方向のうちの少なくとも1つに対して90°±30°に配向される半径を有する、システム。
【請求項2】
前記ナノファイバシートソースが、
基板と、
前記基板上に配置されたナノファイバフォレストと
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記引き出し機構がボビンを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの弓形のエッジが、分割されたシリコンウェハの破断面を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの弓形のエッジがブレードを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ブレードの少なくとも一部分が、セラミック、ポリマー、及びガラスのうちの少なくとも1つから選択された低エネルギー材料でコーティングされたブレードである、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ブレードがポリテトラフルオロエチレンでコーティングされる、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ナノファイバシートの第1の主面と接触するように配置された第1の弓形のエッジと、
前記ナノファイバシートの第2の主面と接触するように配置された第2の弓形のエッジと
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の弓形のエッジ及び前記第2の弓形のエッジが、互いに同一平面上にはない、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の弓形のエッジ及び前記第2の弓形のエッジの少なくとも1つが、前記引き出し機構と同一平面上にはない、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の弓形のエッジ及び前記第2の弓形のエッジの少なくとも1つが、前記ナノファイバシートソースと同一平面上にはない、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記弓形のエッジが、円、放物線、または楕円の一部分から選択された曲線を転写する、請求項1~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記弓形のエッジが、前記ナノファイバシートの主面に垂直な半径を有する曲線を転写する、請求項1~12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記弓形のエッジが2つの異なる平面で曲げられる、請求項1~12のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
ナノファイバシートの密度を高めるための方法であって、
第1の密度と、
第1の主面と、
前記第1の主面に向かい合った第2の主面と
を有するナノファイバシートを提供するステップと、
ナノファイバシートソースから、前記第1の主面及び前記第2の主面の少なくとも一方が、対応する形のエッジの上で及び対応する形のエッジに接触して引き出されるように、第1の方向で前記第1の密度を有する前記ナノファイバシートを引き出すステップであって、前記弓形のエッジが可撓性である、ステップと、
前記ナノファイバシートを、前記形のエッジの上で及び前記形のエッジに接触して引き出すことに応答して、前記ナノファイバシートの前記第1の密度を第2の密度に変更するステップと
前記弓形のエッジを圧縮して、前記弓形のエッジの湾曲の量を調整するステップと
を含み、
前記弓形のエッジの湾曲が、凹状または凸状であり、
前記弓形のエッジの湾曲の量が、前記ナノファイバシートソースから引き出される前記ナノファイバシートの密度によって調整され、
前記弓形のエッジが、前記ナノファイバシートの平面、前記ナノファイバシートの整列された複数のナノファイバの軸、または前記ナノファイバシートの引き出し方向のうちの少なくとも1つに対して90°±30°に配向される半径を有する、方法。
【請求項16】
前記第1の密度を前記第2の密度に変更することが、前記ナノファイバシートと前記少なくとも1つの弓形のエッジとの間の接触線に近接する場所で発生する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接触線に近接する前記場所が、遷移セクションを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノファイバシートがカーボンチューブナノファイバシートである、請求項15~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
ノファイバシートであって、
ノファイバシートソースとッジ面の第1の側面との間に配置された前記ナノファイバシートの第1のセクションであって、第1の密度を有する1のセクションと、
前記エッジ面の前記第1の側面とき出し機構との間に配置された前記ナノファイバシートの第2のセクションであって、前記第1の密度とは異なる第2の密度を有する2のセクションと、
前記第1のセクションと前記エッジ面の前記第1の側面との間に配置された前記ナノファイバシートの遷移セクションと
を備え
前記エッジ面が、凹状または凸状の湾曲であり、
前記エッジ面が可撓性であり、前記エッジ面を圧縮することで、前記エッジ面の湾曲の量が調整可能であり、
前記エッジ面の湾曲の量が、前記ナノファイバシートの密度によって調整可能であり、
前記エッジ面が、前記ナノファイバシートの平面、または前記ナノファイバシートの整列された複数のナノファイバの軸のうちの少なくとも1つに対して90°±30°に配向される半径を有する、ナノファイバシート。
【請求項20】
前記第2のセクションの前記第2の密度が、前記第1のセクションの前記第1の密度よりも大きい、請求項19に記載のナノファイバシート。
【請求項21】
前記第1のセクションが第1の幅を有し、前記第2のセクションが、前記第1の幅に満たない第2の幅を有する、請求項20に記載のナノファイバシート。
【請求項22】
前記第2のセクションの前記第2の密度が、前記第1のセクションの前記第1の密度に満たない、請求項19に記載のナノファイバシート。
【請求項23】
前記第1のセクションが第1の幅を有し、前記第2のセクションが、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有する、請求項22に記載のナノファイバシート。
【請求項24】
前記第1の幅が、前記ナノファイバシートソースでのナノファイバシートの幅に対応する、請求項21に記載のナノファイバシート。
【請求項25】
前記第1の密度が、前記弓形のエッジの上流のナノファイバシートを測定した密度に対応する、請求項15~18のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、米国特許法第119条(e)の下で、ここに引用することでその全体が本明細書の記載の一部をなす、2017年8月8日に出願された「Changing a Density of a Nanofiber Sheet Using an Edged Surface」と題する米国仮特許出願第62/542,355号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概してナノファイバ製造に関する。具体的には、本開示は、エッジ面(edged surface)を使用し、ナノファイバシートの密度を変更することに関する。
【背景技術】
【0003】
単一壁ナノチューブと多壁ナノチューブの両方から成るナノファイバフォレストは、ナノファイバリボンまたはナノファイバシートの中に引き出すことができる。その引き出し前の状態で、ナノファイバフォレストは、互いに平行であり、成長基板の表面に垂直であるナノファイバの1つの層(またはいくつかの積層)を含む。ナノファイバシートの中に引き出されると、ナノファイバの向きは成長基板の表面に対して垂直から平行に変化する。引き出されたナノファイバシート内の複数のナノチューブは、端から端へと互いに結合して連続的なシートを形成し、このシートにおける複数のナノファイバの長手方向の軸は、シートの平面に平行となる(つまり、ナノファイバシートの第1の主面と第2の主面の両方に平行となる)。ナノファイバシートは、ナノファイバシートをナノファイバヤーンに紡ぐことを含む、さまざまな方法のいずれかで処理できる。
【発明の概要】
【0004】
例1(Example 1)は、引き出し機構によりナノファイバシートソースから引き出され、エッジ面を使用し、密度を高められたナノファイバシートであって、ナノファイバシートは、ナノファイバシートソースとエッジ面の第1の側面との間に配置されたナノファイバシートの第1のセクションであって、第1の密度を有する第1のセクションと、エッジ面の第1の側面と引き出し機構との間に配置されたナノファイバシートの第2のセクションであって、第1の密度とは異なる第2の密度を有する第2のセクションと、第1のセクションとエッジ面の第1の側面との間に配置されたナノファイバシートの遷移セクションとを含む。
【0005】
例2(Example 2)は、例1の主題を含み、第2のセクションの第2の密度は、第1のセクションの第1の密度よりも大きい。
【0006】
例3(Example 3)は、例2の主題を含み、第1のセクションは第1の幅を有し、第2のセクションは第1の幅に満たない第2の幅を有する。
【0007】
例4(Example 4)は、例1の主題を含み、第2のセクションの第2の密度は第1のセクションの第1の密度に満たない。
【0008】
例5(Example 5)は例4の主題を含み、第1のセクションは第1の幅を有し、第2のセクションは、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する。
【0009】
例6(Example 6)はナノファイバシートソース、ナノファイバシートソースから引き出されたナノファイバシートに引っ張り力を印加するために構成された引き出し機構、及びナノファイバシートソースと引き出し機構との間に配置された少なくとも1つの弓形のエッジを含むナノファイバシートの密度を高めるためのシステムである。
【0010】
例7(Example 7)は例6の主題を含み、少なくとも1つの弓形のエッジは凹状であり、ナノファイバシートの平面、ナノファイバシートの整列された複数のナノファイバの軸、またはナノファイバシートが引き出される方向のうちの少なくとも1つに対して90°±30°に配向される半径を有する。
【0011】
例8(Example 8)は例6の主題を含み、少なくとも1つの弓形のエッジは凸状であり、ナノファイバシートの平面、ナノファイバシートの整列された複数のナノファイバの軸、または引き出し方向のうちの少なくとも1つに対して90°±30°に配向される半径を有する。
【0012】
例9(Example 9)は例6~例8にずれかの主題を含み、ナノファイバシートソースは、基板、及び基板上に配置されたナノファイバフォレストをさらに含む。
【0013】
例10(Example 10)は例6~9のいずれかの主題を含み、引き出し機構がボビンを含む。
【0014】
例11(Example 11)は例6~10のいずれかの主題を含み、少なくとも1つの弓形のエッジは分割したシリコンウェハの破断面を含む。
【0015】
例12(Example 12)は例6~10のいずれかの主題を含み、少なくとも1つの弓形のエッジはブレードを含む。
【0016】
例13(Example 13)は例12の主題を含み、ブレードはポリテトラフルオロエチレンでコーティングされる。
【0017】
例14(Example 14)は例13の主題を含み、ブレードはポリテトラフルオロエチレンでコーティングされる。
【0018】
例15(Example 15)は例6~14のいずれかの主題を含み、ナノファイバシートの第1の主面と接触するように配置された第1の弓形のエッジ、及びナノファイバシートの第2の主面と接触するように配置された第2の弓形のエッジを含む。
【0019】
例16(Example 16)は例6~15のいずれかの主題を含み、第1の弓形のエッジ及び第2の弓形のエッジは互いに同一平面上にない。
【0020】
例17(Example 17)は例6~16のいずれかの主題を含み、第1の弓形のエッジ及び第2の弓形のエッジの少なくとも1つが引き出し機構と同一平面上にない。
【0021】
例18(Example 18)は例6~17のいずれかの主題を含み、第1の弓形のエッジ及び第2の弓形のエッジの少なくとも1つは、ナノファイバシートソースと同一平面上にない。
【0022】
例19(Example 19)は例6~18のいずれかの主題を含み、弓形のエッジは、円、放物線、または楕円の一部分から選択された曲線を転写する。
【0023】
例20(Example 20)は例6~19のいずれかの主題を含み、弓形のエッジは、ナノファイバシートソースからまたは引き出し機構から伸長する半径に沿って曲線を転写する。
【0024】
例21(Example 21)は例6~20のいずれかの主題を含み、弓形のエッジはナノファイバシートの主面に垂直である半径を有する曲線を転写する。
【0025】
例22(Example 22)は例6~21のいずれかの主題を含み、弓形のエッジは2つの異なる平面内で曲げられる。
【0026】
例23(Example 23)は例6~22のいずれかの主題を含み、弓形のエッジの湾曲は調整可能である。
【0027】
例24(Example 24)は、第1の密度、第1の主面、及び第1の主面に向かい合った第2の主面を有するナノファイバシートを提供することと、第1の主面及び第2の主面の少なくとも1つが、対応する少なくとも1つの弓形のエッジの上で及び少なくとも1つの弓形のエッジに接触して引き出されるように第1の方向で第1の密度を有するナノファイバシートを引き出すことと、少なくとも1つの弓形のエッジの上で及び少なくとも1つの弓形のエッジに接触して引き出すことに応えて、ナノファイバシートの第1の密度を第2の密度に変更することとを含むナノファイバシートの密度を高めるための方法である。
【0028】
例25(Example 25)は例24の主題を含み、第1の密度を第2の密度に変更することは、ナノファイバシートと少なくとも1つの弓形のエッジとの間の接触線に近接した場所で発生する。
【0029】
例26(Example 26)は例25の主題を含み、接触線に近接した場所は遷移セクションを含む。
【0030】
例27(Example 27)は例24~26のいずれかの主題を含み、ナノファイバシートはカーボンナノチューブナノファイバシートである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態における基板上のナノファイバの例のフォレストを示す。
図2図2Aは、実施形態において、それぞれが直線部及び弓形部分を含む複数の個々のナノチューブを有するカーボンナノチューブフォレスト(本明細書では代わりに「層」と呼ぶ)の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の斜視図である。図2Bは、実施形態において、カーボンナノチューブフォレストの個々のナノファイバの弓形部分から成るもつれた部分のSEM画像の平面図である。
図3】ナノファイバーシートの相対的な寸法を識別するナノファイバーシートの図であって、一実施形態において、シート内の複数のナノファイバーが端から端へと、シートの表面に平行な平面に整列されていることを概略的に示す図である。
図4】ナノファイバフォレストから側面方向に引き出されているナノファイバシートの画像であって、図2Aに概略的に示されているように、複数のナノファイバーは端から端へと整列されている。
図5図5A及び図5Bは、実施形態において、エッジ面を使用し、ナノファイバシートの密度を変更するためのシステムの多様な構成の側面図である。
図6A-6C】図6A図6B、及び図6Cは、実施形態において、ナノファイバシートの密度を変更するために使用されるエッジ面の平面図である。
図6D-6G】図6D図6E図6F、及び図6Gは、実施形態において、ナノファイバシートの密度を変更するために使用される代替構成のエッジ面の平面図及び断面図である。
図7】実施形態において、エッジ面を使用し、ナノファイバシートの密度を機械的に変更するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図は、例示のためだけに本開示の多様な実施形態を示す。多数の変形形態、構成、及び他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態から明らかになる。
【0033】
[概要]
ナノファイバシートの密度を高めるために使用できる様々な方法がある。一部の例では、ナノファイバシートは溶剤または他の液体にさらされる場合がある。溶剤または他の液体の除去時、ナノファイバはともに引き出され、このようにして(単位体積あたりのナノファイバで測定されるのか、それとも単位体積あたりの質量で測定されるのかに関わりなく)ナノファイバシートの密度を高める。
【0034】
液体をベースにした高密度化は効果的かつ便利である一方、液体をベースにした高密度化はいくつかの欠点を有する。例えば、引き出された通りの(as-drawn)、密度を高められていないシート内のナノファイバは、多くの場合絡まっている。また、引き出された通りの、密度を高められていないシート内のナノファイバは、概して完全に真直ぐではなく、むしろ各ナノファイバはさまざまな曲線を含み、その長さに沿って形状または向きが変化する。ナノファイバ間の絡み合い及びナノファイバの非線形の形状は、ナノファイバシートの密度を高めることができる程度を制限する。溶剤の適用及びナノファイバシートからの後続の除去は、ナノファイバを互いにより近くに引き出させる(言い換えると、密度を高めさせる)が、溶剤の除去は通常ナノファイバのもつれを一斉に解き、真直ぐにするには十分ではない。ナノファイバの機械的特性及び電気的特性はナノファイバの長手方向軸に沿った方向できわめて異方性であるため、ナノファイバの絡み合い及び非線形の形状を保持するナノファイバシート、ヤーン、及び他のアセンブリは、ナノファイバのもつれを解き、真直ぐにすることにより改善できるであろう機械的特性及び電気的特性を有する。
【0035】
ナノファイバシートを「マイクロコーミングすること」は、ナノファイバのもつれを解き、真直ぐにするための1つの技術である。この技術では、ナノファイバシートは、例えば剃刀の刃等の真直ぐな(つまり、直線である端縁を有する)ブレードを使用し、金属繊維の端縁全体で引き出される。ブレードの端縁のミクロン規模の凹凸は、シート内のナノファイバのもつれを解き、真直ぐするのを助ける櫛として働く。このマイクロコーミングが完了すると、溶剤を使用し、シートの密度を高めることができる。
【0036】
しかしながら、マイクロコーミングと液体高密度化の組み合わせは、それがナノファイバシートを完全に処理するためには2ステップのプロセスを必要とするため効率的ではない。さらに、液体高密度化されたナノファイバシートの最終的な密度は、部分的には、液体をベースにした高密度化で使用する液体にさらされる前のナノファイバシートの密度の関数である。言い換えると、ナノファイバシートが、液体をベースにした高密度化の前により高密度であるほど、ナノファイバシートは液体をベースにした高密度化の後により高密度になる。
【0037】
したがって、本開示の実施形態によれば、エッジ面、特に弓形のエッジ面を使用し、ナノファイバの密度を変化させるための技術が説明される。本明細書に説明するように、ナノファイバシートは弓形のエッジ面の上で(及び弓形のエッジ面に接触して)引き出される。弓形の面が(ナノファイバシートの引き出し方向に対して)凸状であるか又は凹状であるかに応じて、ナノファイバシートの密度が、引き出された通りのシートに対して増加するか又は引き出された通りのシートに対して減少するかが決まる。
【0038】
本明細書に説明する実施形態は多くに利点を生み出す。1つの利点は、ナノファイバシートの中で複数のナノファイバを真直ぐにし、整列させ、このようにしてシート(またはシートから作り出されるヤーン)の特性を改善する能力、及びナノファイバシートの密度を増加もしくは減少させる能力である。別の利点は、例えば、ナノファイバシートがその上で引き出され、それと接触するエッジ面の寸法及び湾曲に基づいてナノファイバシートの幅を調整する能力である。これは、材料を取り除くことなく、提供された通りの(as-provided)ナノファイバシートの幅にも関わらず、所望する幅のナノファイバシートを作り出すことを可能にする。別の利点は、例えば、シート幅の単位またはシート表面積当たりと、シート体積の単位当たりの両方のナノファイバ数(または関係するパラメータナノファイバ質量)に関してナノファイバシートの密度を変更する能力である。単位体積あたりでナノファイバの密度を変更することは、同様に、シートにより吸収される溶剤及び/または浸透材料の量を変更する場合がある。一例では、ナノファイバシートは、その容積密度を削減し、シートのファイバ間の割れ目空間の体積を増加させ、このようにしてシートによって吸収可能であるよりも浸透材料の量を増加させるように引き出すことができる。同様に、ナノファイバシートがその容積密度を増加させるように引き出される場合、ファイバ間の割れ目空間はサイズが減少し、このようにしてシートによって吸収可能であるよりも浸透材料の量を削減する。別の例では、ナノファイバシートは、その容積密度を増加させるように引き出され、シートのファイバ間の割れ目の空間の体積を減少させ、このようにしてシートによって吸収可能であるよりも浸透材料の量を減少させることができる。一部の実施形態では、シート密度は、50%より大きく、100%より大きく、または200%より大きく増加させることができる。他の実施形態では、シート密度は、10%より大きく、20%より大きく、または50%より大きく減少させることができる。同様に、ナノファイバシートの面密度は増加または減少させることができ、一部の場合には、面密度は10%を超えて、20%を超えて、または50%を超えて増加させ得る。他の実施形態では、面密度は、10%を超えて、20%を超えて、または50%を超えて減少させ得る。
【0039】
本開示の実施形態に従って製造されたナノファイバシートの応用例は、そのうちのいくつかが自立構造で立っている部分(つまり、基板と直接的に接触していない部分)を有するシートを含む、さまざまな応用例で使用できる。例の応用例は、フィルタ、ペリクル、電磁干渉(EMI)シールド、及び熱音響スピーカを含むが、これに限定されるものではない。他の応用例では、ナノファイバシート(例えば、支えられていない中心及び周辺フレームに取り付けられた外周を有するシート)の自立構造で立っている部分は、セラミック、金属、ポリマー、及びそのフィルムを含む1つ以上の他のCNTシートまたは材料のための支持体として使用され得る。
【0040】
ナノファイバフォレスト及びシートの説明は、エッジ面を使用し、ナノファイバシートの密度を高めるための技術の説明に先行する。
【0041】
ナノファイバフォレスト
本明細書で使用するように、用語「ナノファイバ」は、1μm未満の直径を有するファイバを意味する。本明細書の実施形態はカーボンナノチューブから製造されるとしておもに説明しているが、他の炭素同素体が、グラフェンであるのか、ミクロンもしくはナノスケールのグラファイトファイバ及び/またはプレートであるのか、ならびに例えば窒化ホウ素等のナノスケールファイバの他の組成物であるのかに関わらず、以下に説明する技術を使用し、密度を高め得ることが理解される。本明細書で使用するように、用語「ナノファイバ」及び「カーボンナノチューブ」は、炭素原子が互いに連結されて円筒形の構造を形成する、単一壁カーボンナノチューブ及び/または多壁ナノチューブの両方を包含する。一部の実施形態では、本明細書で参照されるカーボンナノチューブは、4と10の間の壁を有する。本明細書で使用するように、「ナノファイバシート」又は単に「シート」は、引き出しプロセスを介して整列された複数のナノファイバのシートを指し(ここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする国際公開第2007/015710号に記載されている)、このシートのナノファイバの長手方向の軸は、シートの主面に垂直よりむしろ、シートの主面に平行である(すなわち、しばしば「フォレスト」と呼ばれる、シートの成膜直後(as-deposited)の状態で)。これは、それぞれ図3及び図4に説明され、示される。
【0042】
カーボンナノチューブの寸法は、使用する生産方法に応じて大きく変わる場合がある。例えば、カーボンナノチューブの直径は0.4nm~100nmであってよく、その長さは10μmから55.5cmを超えるまでに及ぶ場合がある。また、カーボンナノチューブは、132,000,000:1以上ほど高いなにかで、非常に高いアスペクト比(長さ対直径の比)を有することも可能である。広範囲の寸法上の可能性を所与として、カーボンナノチューブの特性は、きわめて調整可能、つまり「調節可能」である。カーボンナノチューブの多くの興味深い特性が特定されてきたが、カーボンナノチューブの特性を実際的な応用例で利用することは、カーボンナノチューブの特徴を維持または拡張できるようにする拡張可能かつ制御可能な生産方法を必要とする。
【0043】
カーボンナノチューブは、その一意な構造のため、カーボンナノチューブを特定の応用例に適切にする特定の機械的特性、電気的特性、化学的特性、熱的特定、及び光学的特性を所有する。特に、カーボンナノチューブは、優れた電気伝導性、高い機械的強度、良好な熱安定性を示し、疎水性でもある。これらの特性に加えて、カーボンナノチューブは、有用な光学的特性も示す場合がある。例えば、カーボンナノチューブは、狭く選択された波長で光を発するまたは検出するために発光ダイオード(LED)及び光検知器で使用されてよい。また、カーボンナノチューブは、光子輸送及び/またはフォノン輸送にも有用であることが判明する場合がある。
【0044】
本開示の多様な実施形態によれば、(カーボンナノチューブを含むが、これに限定されるものではない)ナノファイバは、本明細書で「フォレスト」と呼ぶ構成においてを含む、多様な構成において配置される場合がある。本明細書に使用するように、ナノファイバまたはカーボンナノチューブの「フォレスト」は、基板上で互いに対して実質的に平行に配置されるほぼ同等な寸法を有するナノチューブのアレイを指す。図1は、基板上のナノファイバの例のフォレストを示す。基板は、任意の形状であってよいが、一部の実施形態では、基板は、フォレストがアセンブルされる平面を有する。図1で分かるように、フォレスト内のナノチューブは、高さ及び/または直径がほぼ等しい場合がある。一部の場合には、フォレストは、ナノチューブが基板上に形成されたことを意味する「堆積された通り(as-deposited)」である場合もあれば、他の場合には、成長基板から二次基板上に移された可能性もある。
【0045】
ナノファイバフォレストの一部の実施形態は、その「堆積された通り」の形式の2つの部分を有するナノファイバを含む。図2A及び図2Bを参照すると、一方の部分は成長基板に結合し、成長基板の近くに配置される(「開放端部」で終端する)「直線部」である。他方の部分は、ナノファイバ層の露呈面に配置され、直線部の長手方向軸から離れて曲がる(「もつれた端部」と呼ぶこともある)「弓形部分」である。これらの端部は、約300Xの倍率及び10kVの加速電圧で撮影された図2Aの走査型電子顕微鏡(SEM)画像に示される。図2Bは、ナノファイバ層の平面図であり、弓形部分のもつれた性質を示す。
【0046】
本明細書に開示するナノファイバフォレストは、相対的に高密度であってよい。具体的には、開示するナノファイバフォレストは、少なくとも10億ナノファイバ/cmの密度を有してよい。一部の具体的な実施形態では、本明細書に説明するナノファイバフォレストは、100億/cmと300億/cmとの間の密度を有してよい。他の例では、本明細書に説明するナノファイバフォレストは、900億ナノファイバ/cmの範囲の密度を有してよい。フォレストは、高密度または低密度の領域を含んでよく、特定の領域はナノファイバを欠いていてよい。また、フォレストの中のナノファイバは、ファイバ間接続性を示してもよい。例えば、ナノファイバフォレストの中の近傍のナノファイバは、ファンデルワールス力により互いに引きつけられてよい。にも関わらず、フォレストの中のナノファイバの密度は、本明細書に説明する技術を適用することによって増加することができる。
【0047】
ナノファイバフォレストを製造する方法は、例えば、ここに引用することでその全体が本明細書の記載の一部をなすものとする国際公開第2007/015710号に説明される。
【0048】
ナノファイバ前駆物質フォレストを作り出すために多様な方法を使用できる。例えば、一部の実施形態では、ナノファイバは高温炉内で成長する場合がある。一部の実施形態では、触媒が基板に付着され、リアクタ内に置かれてよく、次いでリアクタに供給される燃料化合物に曝露されてよい。基板は、800℃または1000℃も超える温度に耐えることができ、不活性物質である場合がある。他のセラミック基板が、Siウェハ(例えば、アルミナ、ジルコニア、SiO、ガラスセラミック)の代わりに使用されてよいが、基板は、下にあるシリコン(Si)ウェハに付着されたステンレス鋼またはアルミニウムを含んでよい。前駆物質フォレストのナノファイバがカーボンナノチューブである例では、例えばアセチレン等の炭素系化合物が燃料化合物として使用されてよい。リアクタに導入後、燃料化合物(複数可)は、次いで触媒に蓄積し始めてよく、ナノファイバのフォレストを形成するために基板から上方に成長することによって集合してよい。また、リアクタは、燃料化合物(複数可)及びキャリアガスがリアクタに供給されてよいガス入口、及び消費された燃料化合物及びキャリアガスがリアクタから放出されてよいガス出口を含んでもよい。キャリアガスの例は、水素、アルゴン、及びヘリウムを含む。また、特定の水素中のこれらのガスは、ナノファイバフォレストの成長を容易にするためにリアクタに導入されてもよい。さらに、ナノファイバに組み込まれるドーパントは、ガスストリームに加えられてよい。
【0049】
多層ナノファイバフォレストを製造するために使用されるプロセスでは、1つのナノファイバフォレストが基板上に形成され、続いて第1のナノファイバフォレストに接触する第2のナノファイバの成長が後に続く。多層ナノファイバフォレストは、例えば基板上に第1のナノファイバフォレストを形成し、第1のナノファイバフォレストに触媒を付着させ、次いでリアクタに追加の燃料化合物を導入して、第1のナノファイバフォレストに置かれた触媒から第2のナノファイバフォレストの成長を促進するために追加の燃料化合物をリアクタに導入することによって等、多数の適切な方法により形成することができる。適用する成長方法、触媒のタイプ、及び触媒の場所に応じて、第2のナノファイバ層は、第1のナノファイバ層の上部で成長するか、または例えば水素ガスで触媒をリフレッシュした後に、直接的に基板上で成長し、このようにして第1のナノファイバ層の下で成長するかのどちらかであってよい。にも関わらず、第1のフォレストと第2のフォレストとの間に容易に検出可能な界面があるが、第2のナノファイバフォレストは、第1のナノファイバフォレストの複数のナノファイバに対して実質的に端から端へと整列される場合がある。多層ナノファイバフォレストは、任意の数のフォレストを含んでよい。例えば、多層前駆物質フォレストは、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のフォレストを含んでよい。
【0050】
[ナノファイバシート]
フォレスト構成での配置に加えて、本願のナノファイバはシート構成で配置されてもよい。本明細書で使用するように、用語「ナノファイバシート」、「ナノチューブシート」、または単に「シート」は、複数のナノファイバが端から端へ平面に整列しているという、複数のナノファイバの配列を指す。例のナノファイバシートの図は、寸法のラベルとともに図3に示される。一部の実施形態では、シートはシートの厚さよりも100倍以上大きい長さ及び/または幅を有する。一部の実施形態では、長さ、幅、または両方は、シートの平均厚さよりも10倍、10倍、または10倍以上大きい。ナノファイバシートは、例えば約5nmと30μmの間の厚さ、及び意図した応用例に適した任意の長さ及び幅を有する場合がある。一部の実施形態では、ナノファイバシートは、1cmと10メートルの間の長さ、及び1cmと1メートルの間の幅を有する場合がある。これらの長さは、単に例示のために提供される。ナノファイバシートの長さ及び幅は、製造設備の構成によって制約され、ナノチューブ、フォレスト、またはナノファイバシートのいずれかの物理的特性または化学的特性によって制約されない。例えば、連続的なプロセスは、任意の長さのシートを作り出す場合がある。これらのシートは、それらが作り出されるにつれ、ロールに巻き付けることができる。
【0051】
図3で分かるように、複数のナノファイバが端から端へと整列している軸(axis)を、ナノファイバの整列方向と呼ぶ。一部の実施形態では、ナノファイバの整列方向は、ナノファイバシート全体を通して連続してよい。ナノファイバは、互いにとって必ずしも完璧に平行ではなく、ナノファイバの整列方向は、ナノファイバの整列方向の平均的なまたは一般的な指標であることが理解される。
【0052】
ナノファイバシートは、シートを作り出すことができる任意のタイプの適切なプロセスを使用し、アセンブルされてよい。一部の例の実施形態では、ナノファイバシートは、ナノファイバフォレストから引き出されてよい。ナノファイバフォレストから引き出されるナノファイバシートの例は、図4に示される。
【0053】
図4で分かるように、ナノファイバはフォレストから側面方向に引き出され、次いで端から端へと整列し、ナノファイバシートを形成してよい。ナノファイバシートがナノファイバフォレストから引き出される実施形態では、フォレストの寸法は、特定の寸法を有するナノファイバシートを形成するために制御されてよい。例えば、ナノファイバシートの幅は、シートがそれから引き出されたナノファイバフォレストの幅にほぼ等しくてよい。さらに、シートの長さは、例えば所望するシート長が達成されたときに引き出しプロセスを完了することによって制御される場合がある。
【0054】
ナノファイバシートは、多様な応用例に利用できる多くの特性を有する。例えば、ナノファイバシートは調節可能な不透過率、高い機械的強度及び機械的柔軟性、熱伝導性及び電気伝導性を有する場合があり、疎水性を示す場合もある。シートの中での複数のナノファイバの高度の整列を所与とすると、ナノファイバシートはきわめて薄い場合がある。一部の例では、ナノファイバシートの厚さは、(通常の測定公差の中で測定される)約10nmほどであり、ナノファイバシートをほぼ二次元にする。他の例では、ナノファイバシートの厚さは200nmまたは300nmほど高い場合がある。したがって、ナノファイバシートは、構成要素に最小の追加厚さを追加してよい。
【0055】
ナノファイバフォレストと同様に、ナノファイバシート内のナノファイバは、ナノファイバ単独とは異なる化学的活性を提供する、シートのナノファイバの表面に化学基または化学元素を添加することによって処理剤により機能的にされてよい。ナノファイバシートの機能化は、以前に機能化されたナノファイバに対して実行される場合もあれば、以前に機能化されていないナノファイバに対して実行される場合もある。機能化は、CVD及び多様なドーピング技術を含むが、これに限定されるものではない、本明細書に説明する技術のいずれかを使用し、実行できる。
【0056】
また、ナノファイバシートは、ナノファイバフォレストから引き出されると、高い純度を有する場合があり、いくつかの例では、ナノファイバシートの90%を超える、95%を超える、または99%を超える重量パーセントがナノファイバに起因する。同様に、ナノファイバシートは、炭素の90%を超える重量パーセント、95%を超える重量パーセント、99%を超える重量パーセント、または99.9%を超える重量パーセントを含んでよい。
【0057】
[ナノファイバシート密度の機械的な変更]
上述したように、本明細書に開示する実施形態は、ナノファイバシート(またはリボン)の密度を、その中のナノファイバのもつれを解き、真直ぐにしつつも機械的に改変する。以下により詳細に説明するように、これは、エッジ面の上で及びエッジ面に接触してナノファイバシートを引き出すことによって達成される。エッジ面の例は、外科用ブレード、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングされた外科用ブレード、及び分割されたシリコンウェハの破断面を含むが、これに限定されるものではない。多様な実施形態では、端縁の接触面は、5mm未満、1mm未満、500μm未満、250μm未満、または100μm未満のナノファイバシートとの(引き出しの軸の方向での)接触の長さを有する場合がある。接触面は円滑である場合があり、端縁に沿って、そうでなければ従来の剃刀の刃に存在する、例えば1μm、2μm、5μm、10μm、50μm、または100μmより大きい頂点または谷間の不在を示す場合がある。ナノファイバシートの整列された複数のナノファイバは、やはり通常、ナノファイバシートがエッジ面の上で引き出されるのと同じ方向である引き出し方向と同じ軸に沿って配向されてよい。
【0058】
特に、PTFEでコーティングされた外科用ブレード、及び分割されたシリコンウェハの破断面は、一様なナノファイバシートを作り出すその一様なエッジ面のために使用できる。これは、シート内のナノファイバを真直ぐにするために、ブレードの端縁の不均等性及び欠陥に頼る上述したマイクロコーミング技術とは別個である。本開示の実施形態とは異なり、従来のマイクロコーミング技術で使用されるブレードの欠陥は、ナノファイバ密度及び欠陥密度が変化するナノファイバシートを作り出す。従来の技術のこれらの変動は、ブレード内の欠陥のいくつかにより引き起こされるナノファイバシートの主面における長手方向の断裂を含む。ナノファイバシートの断裂していない部分はより高密度である場合がある一方、長手方向断裂はナノファイバシートの有用性を削減する。
【0059】
また、本明細書の実施形態は、弓形表面の端縁を使用することも含む。弓形表面上の点に垂直なベクトルは、ナノファイバシートの主面に平行である。言い換えると、弓形表面の湾曲の方向は、円筒の長手方向軸がナノファイバシートの主面に垂直である円筒の表面の一部分と考えられる場合がある。弓形表面の端縁は、実施形態では、ナノファイバシートの主面と部分的にまたは完全に同一平面上にある場合がある。一実施形態では、ナノファイバシートの引き出し方向を向く凸状表面を有するエッジ面を使用することによって、ナノファイバシートの幅は拡大する。シート内のナノファイバは真直ぐにされ、もつれを解かれるが、ナノファイバシートの単位体積当たりのナノファイバ数は、シートの幅が増加するために減少する。これは、任意の数の理由からナノファイバシートには有用である場合がある。例えば、真直ぐかつもつれが解かれたナノファイバを有する、より密度が高くないナノファイバシートは、より密度が高いナノファイバシートで可能であるよりも大きい割合で別の材料を染み込むことが所望される場合がある。
【0060】
別の実施形態では、エッジ面にナノファイバシートの引き出し方向に向く凹面を持たせることによって、ナノファイバシートの幅は、この表面に接触して引き出されるとき収縮する。これは、シート内のナノファイバを真直ぐにし、もつれを解くだけではなく、それはシートの幅を減少させることによってシートの単位体積当たりのナノファイバ数も増加させる。これは、ナノファイバシートから紡がれるより高密度なナノファイバヤーンにつながる場合がある。
【0061】
弓形表面の湾曲は一貫性がある場合もあれば、表面の端縁の長さに沿って変わる場合もある。多様な実施形態では、湾曲は、例えば円、放物線、または楕円の部分から形成されてよい。一部の場合では、湾曲は固定されている。一方、他の場合、湾曲は調整可能であってよい。例えば、可撓の曲線状のブレードは、2つの対向するクランプ面で圧縮して保つことができる。湾曲の量は、クランプ面間の距離を削減または拡大することにより調整できる。調整は、ナノファイバシートの異なるソースのために、または例えば密度の変動等、仕上げられたシートの異なる特性により保証され得る。また、湾曲は、品質を保証するためにリアルタイムで調整される場合もあり、下流または上流のシート密度の測定等、上流または下流の分析入力に対応してよい。
【0062】
図5A及び図5Bは、本明細書に説明するように、ナノファイバシートの処理に使用されるシステムの多様な実施形態を概略で示す。図5A及び図5Bは側面図であり、エッジ付きの弓形表面が、これらの側面図の中で、システムの他の特徴を強調するようにだけ便宜的に平面的として示されていることが理解される。図6B及び図6Cの平面図は、弓形表面の曲線状の形状をより明確に示す。
【0063】
図5Aに示すように、例のシステム500は、ブレード504及び508、ならびに引き出し機構512を含む。また図5Aには、システム500の動作の説明を助けるために例のシステム500との関連で説明されるナノチューブフォレスト516、基板520、及びナノファイバシート524も示す。
【0064】
上述したナノチューブフォレスト516は、基板520の上に配置される。基板520は、上述したもののような成長基板である場合もあれば、基板520は、ナノファイバフォレストが成長基板上で成長した後にその上に配置された搬送基板である場合もある。にも関わらず、ナノファイバフォレストは、ナノファイバシート524の中に引き出される。ナノファイバフォレストを成長させ、引き出してナノファイバシートとするための技術は、ここに引用することでその全体が本明細書の記載の一部をなすものとする国際公開第2007/015710号に説明される。
【0065】
例のシステム500では、ナノファイバシート524は、ブレード504の弓形のエッジ(図6B及び図6Cに示す例の弓形形状)及びブレード508の弓形のエッジの上で及びブレード504の弓形のエッジに接触して通され、次いで引き出し機構512に巻き付けられる。2つのブレード504及び508は、例のシステム500に示される。ブレード504は、ナノファイバシート524の「上部」主面に接触し、ブレード508は、上部主面に向かい合ったナノファイバシート524の「底部」主面と接触する。このようにして、主面の両方と関連付けられた複数のナノファイバは、整列され、もつれを解かれる。さらに、ブレード504、508のエッジ面が弓形である実施形態では、ナノファイバシート524のより多くは、図6A図6B、及び図6Cとの関連でより詳細に説明されるように、その密度を変化させる。他の実施形態では、1つのブレードしか使用されない。さらに他の実施形態では、2つ以上のブレードが使用される。
【0066】
上述するように、ブレード504及び508のそれぞれは、例えば外科用ブレード、PTFEでコーティングされた外科用ブレード、分割されたシリコンウェハの破断面、またはその組み合わせである場合がある。これらのオプションのすべては、ナノファイバ524がそれに対して引き出され、このようにして例えばナノファイバシートの中のナノファイバを真直ぐにし、もつれを解くことによりナノファイバシートの構造を改変できるエッジ面を提供する。また、一様なエッジ面を提供する他のタイプのブレード504、508は、上記に明確に識別されたものの代わりに使用されてもよい。
【0067】
また、ブレード504、508の鋭い端縁は、少なくとも別の理由から役に立つ。ナノファイバシート524のようなナノファイバシートは、それらが接触する大部分の表面に張り付く。しかしながら、ナノファイバシート524は、その最小表面積のために、ブレード504、508の鋭い端縁には張り付かない。これは、PTFEでコーティングされた表面のように、低い表面エネルギーを有するそれらの端縁材料にとって特に当てはまる場合がある。低表面エネルギー材料は、例えば100°を超える、105°を超える、もしくは110°を超える等の大きい水滴角度を示す、または例えば0.3未満、0.2未満、もしくは0.1未満等の低い摩擦係数を有するものである場合がある。
【0068】
PTFEでコーティングされた外科用ブレード(または他のPTFEでコーティングされた鋭い端縁)、及び分割されたシリコンウェハの破断面を使用することは、別の利点を有する。これらの実施形態の両方ともで、ナノファイバシート524に接触して置かれた端縁は一様であり、例えば標準的なブレードまたは他の鋭い金属面で発見される凹み、欠け、不均等性、及び局所性の変形物を欠く。これらの局所性の変形物は、シート524が局所性の変形物の上で引き出されると、ナノファイバシート524内の長手方向の断裂または局所的な密度の変動をもたらす場合がある。断裂及び変動は、機械的特性及び電気的特性の場所に依存する変動を有するより一様ではないナノファイバシート524を作り出す。結果として、従来の急な端縁よりもより一様である端縁を提供することが好ましい。
【0069】
ブレード504、508の配向及び設置は、ブレード504、508のエッジ面の、ナノファイバシート524の中のナノファイバのもつれを解き、真直ぐにする能力を改善するために選択される。この改善は、2つの方法で達成される。最初に、ブレード504、508は、対応するエッジ面(またはブレード自体)が、ナノファイバシート524の対応する主面に対してある角度となるように置かれる。角度は、直交である場合もあれば、直交ではない場合もある。これらの角度は、角度α及びβとして図5Aに示される。角度α及びβは、同じ場合もあれば、異なる場合もあり、ナノファイバシート524がブレード504、508に近づくと、またはそれがブレード504、508を離れると、ナノファイバシート524の平面に関して測定された以下の範囲、つまり、10°~90°、45°~89°、45°~60°、60°~89°、85°~89°、75°~89°、80°~90°のいずれかの範囲内にある場合がある。
【0070】
第2に、ブレード504、508は、追加の引張り応力(または単に「張力」)を、引き出し機構512(例えば電動ボビンまたは他の引き出し機構等)により提供された引っ張り力を超えて、ブレード504、508の間に配置されたナノファイバシート524のセクションに印加するために互いに対して置かれる。この加えられた張力は、単独でブレード504、508のエッジ面により提供される真直ぐにし、もつれを解くことに加えて、ナノファイバシート524内のナノファイバを真直ぐにし、もつれを解くことを容易にする。一部の例では、引張り応力は約0.1MPa~1MPaである。例のシステム500では、ブレード504をブレード508に対して置くことは角度χにより示される。同様に、張力は、ブレード508を引き出し機構512に対して置くことにより加えられ、これは角度δにより示される。角度χは、ナノファイバフォレスト516とブレード504との間のナノファイバシート524のセクションに対する、ブレード504とブレード508の間のナノファイバシート524のセクションの角度である。同様に、角度δは、ブレード504とブレード508との間のナノファイバシート524のセクションに対する、ブレード508と引き出し機構512との間のナノファイバシート524のセクションの角度である。多様な実施形態では、角度χ及びδは、例えば1°を超える、5°を超える、10°を超える、20°を超える、45°を超える、120°未満、90°未満、または45°未満である場合がある。
【0071】
簡潔に図5B及びその中に示す例のシステム550を参照すると、システム500の角度χ及びδは、図5Bに示す対応する角度γ及びηよりも浅い(つまり、より鋭角ではない、または代わりに0°の角度により近い)ことが観察される。これは、ブレード504と508との間、及びブレード508と引き出し機構512との間の鉛直変位が、システム500に比較してシステム550で増加したためである。角度γ及びηの増加は、このようにしてナノファイバシート524のこのセクションに印加される張力を増加させる場合がある。この張力の増加は、ナノファイバシート524内の複数のナノファイバが真直ぐにされ、互いに整列する度合いを増加させる場合がある。
【0072】
例のシステム500に戻ると、引き出し機構512は、ナノファイバフォレスト516に引っ張り力を印加し、このようにして基板520上のナノファイバフォレスト516からナノファイバシート524を引き出す。引き出し機構512の例は、例えばボビン等の電動の回転機構を含む。引き出し機構は、ナノファイバシートの全長を通して引っ張り力または牽引力を提供し、このようにしてシートソースからナノファイバシートを引き出す。一部の例では、引っ張り力は、ナノファイバフォレストからのナノファイバが基板から取り除かれ、ナノファイバシート高密度化システムにより漸進的に処理されるように、基板上のナノファイバフォレストから直接的にナノファイバシートを引き出すために十分である。引っ張り力は一定である場合もあれば、モータ、ばね、または他の機構により引き出し機構に印加されるトルクを変えることによって変えられる場合もある。また、引っ張り力の大きさは、ヤーンの複数のナノファイバ間の整列に影響を与えるために使用される場合もある。一般的に言えば、引っ張り力の大きさが大きくなるほど、ナノファイバ間、ナノファイバとナノ粒子の間、及びナノ粒子間の整列の度合いも高くなる。引き出し機構により印加される引っ張り力は、上述したように、ブレード504、508の相対的な場所と協調して選択できる。
【0073】
[弓形のエッジ面]
弓形のエッジ面のナノファイバシートに対する影響は、図6A図6Gとの関連で以下に説明する。ナノファイバシートが引き出される方向は、ラベル付きの矢印により図6A図6Gのそれぞれに示される。図6A図6Cは、弓形表面に直交するベクトルがナノファイバシートの引き出し方向に対して平行(または逆平行)である実施形態を示す。図6D図6Gは、弓形表面の半径が、ナノファイバシートの引き出し方向に対して、及び整列された複数のナノファイバの軸に対して垂直である実施形態を示す。
【0074】
図6Aは、真直ぐなエッジ面が、ナノファイバシートのナノファイバに力を印加するために使用される例を示す。示すように、まだエッジ面604に接触していないナノファイバシートのセクション600は、エッジ面604の上で(つまり、エッジ面604に接触して)引き出され、エッジ面604を通り過ぎて引き出されたセクション608の幅と同じである幅W1を有する。
【0075】
図6Bは、ナノファイバシートのナノファイバに力を印加するために使用されるエッジ面612が弓形であり、ナノファイバシート600が引き出されている方向に向かって配置された凸面616を有する例を示す。示すように、その引き出された通りの(またはより一般的には、供給された通りの(as-supplied)状態のナノファイバシートセクション600は、幅W1を有する。図6Bに示すように、ナノファイバシート600を、凸状のエッジ面616の上で、及び凸状のエッジ面616に接触して引き出すと、ナノファイバシート600は、幅W2が幅W1よりも大きい第2のセクション624での幅W2まで広がる。ナノファイバシートのこの第2のセクション624は、その供給された通りの(つまり、引き出された通りの)状態のナノファイバシートのセクション600よりも密度が低い場合がある。いくつかの例では、この拡大は、ナノファイバシート600と凸面616との間の実際の接触の前に始まる。これは、W1からW2に増加する幅を含む遷移セクション628として図6Bに示される。この遷移セクション628(及び以下に説明する他)は、ナノファイバシートとエッジ面との間の接触線でまたは接触線に近接して発生する場合がある。
【0076】
ナノファイバシートの幅を、供給された通りのセクション600での幅W1から第2のセクション624でのより大きい幅W2に機械的に変更した結果は、第2のセクションの密度を供給された通りのセクション600の密度未満の密度に削減する効果を有する。
【0077】
図6Cは、エッジ面632の凹面636が、ナノファイバシートが引き出される方向に向くように配置されることを除き、図6Bに示す状況に類似した状況を示す。図6Bに示す状況と同様に、図6Cに示す状況は、幅W1を有する供給された通りのナノファイバシートセクション600を含む。ナノファイバシートの幅は、図6Cに示すように配向された凹状のエッジ面632の上で引き出されるとき(つまり、凹面636が引き出し方向に向かって配置された状態で)削減される。ナノファイバシートのこのより狭いセクション644は、幅W1に満たない幅W3を有する。図6Cにも示すように、幅の削減は、遷移セクション648により示されるように、ナノファイバシートと凹状のエッジ面636との間の実際の接触前に始まる場合がある。
【0078】
また、ナノファイバシートの幅を、供給された通りのセクション600での幅W1からセクション644での幅W3に機械的に変更した結果は、セクション644の密度を、供給された通りのセクション600の密度よりも大きい密度に増加させる効果も有する。
【0079】
実施形態では、ナノファイバフォレスト(または他のナノファイバシートソース)から引き出され、本明細書の実施形態に従って処理されたナノファイバシートは、3つのセクションを有すると考えられる場合がある。第1のセクション(例えば、セクション600)は、ナノファイバフォレストから引き出された通りの、またはナノファイバシートソース(例えば、ナノファイバシートのスプール)から提供された通りのナノファイバシートに対応する密度を有する。この第1のセクションは、(図6A図6Cに示していない)ナノファイバシートのソースと、弓形のエッジ面(例えば、弓形のエッジ面612、632)との間に配置される。第2のセクションは、より低い密度(例えば、セクション624)なのか、それともより高い密度(例えば、セクション644)なのかに関わりなく、第1のセクションとは異なる密度を有する。この第2のセクションは、弓形のエッジ面と引き出し機構(不図示)との間に配置される。別のセクションは、これらの第1のセクションと第2のセクションとの間に配置され、2つ(例えば、セクション628、648)の間の遷移セクションである。この遷移セクションは、第1のセクションの密度と第2のセクションの密度の間である中間密度を有する。一部の実施形態では、この遷移セクションの密度は、第1のセクションと第2のセクションとの間で一様に減少または増加する。
【0080】
図6D図6Gは、弓形表面が、弓形表面の半径が、ナノファイバシートが引き出される方向に実質的に垂直であるように構成され、配置される図6A図6Cに示す構成の代替構成を示す。関係する実施形態では、弓形表面の半径は、引き出しの軸または整列された複数のナノファイバの軸のどちらか、または両方から0°~90°、0°~80°、0°~70°、0°~60°、20°~90°、20°~70°、または30°~90°で引き出し方向の中にまたは引き出し方向から離れてのどちらかで配向(oriented)される場合がある。図6Dは、(例えば、曲線状のブレード等の)弓形表面652の端縁656が、ナノファイバシートの幅を広げるために使用される実施形態を示す。上記に提示した例と同様に、ナノファイバシートセクション600は、その引き出された通りの(つまり供給された通りの)状態で幅W1を有する。ナノファイバシートは、エッジ付き構造の弓形表面652の凸状の弓形のエッジ656の上で及び凸状の弓形のエッジ656に接触して引き出される。凸状の弓形のエッジ656は、ナノファイバシート600を、幅W4が幅W1よりも大きい、ナノファイバシートの第2のセクション654での幅W4まで広げさせる。上述したように、第2のセクション654は、その供給された通りのまたは引き出された通りの状態でナノファイバシートの第1のセクション600よりも密度が低い場合がある。上述の実施形態にも説明したように、一部の例では、ナノファイバシートの拡大は、ナノファイバシートと凸状の弓形のエッジ656との接触の前に始まる場合がある。これは、遷移ゾーン658として、及び遷移ゾーン658の中のナノファイバシート上の矢印により図6Dに示される。図6Dの断面図は、図6Eに表示される。
【0081】
図6Fは、凹状の弓形のエッジ662の端縁666が、その引き出された通りのまたは供給された通りの状態のナノファイバシートの幅を削減するために使用される実施形態を示す。上述したように、供給された通りのナノファイバシートセクション600は幅W1を有する。これは、構造662の凸状の端縁666の上で及び凸状の端縁666に接触して引き出される。図6Gに示される全体的な構造662は弓形で、凹状であるが、これが一実施形態にすぎないこと、及び端縁666だけが凸状である必要があり、構造662は(例えば、ブレード652の図6Eに示すように)任意の形状である場合があることが理解される。にも関わらず、凸状端縁666との接触は、幅W1を、ナノファイバシートの第2のセクション664の幅W1に満たない幅W5に削減させる。例では、第2のセクション664は、供給された通りのセクション600よりも高密度である。上述した例と同様に、幅の削減は、端縁666とナノファイバシートとの間の接触に先行する遷移セクション668で発生する場合がある。これは、図6F及び図6Gで矢印により示される。図6Fの断面図は、図6Gに表示される。
【0082】
[例示的な方法]
図7は、本開示の実施形態として、ナノファイバシートの密度を機械的に変更する例示的な方法700を示す。上述したように、方法700は、ナノファイバシートを提供するステップ704により開始する。ナノファイバシートは第1の密度を含み、第1の主面及び第2の主面を有する。第1の密度を有するナノファイバシートは、少なくとも1つの弓形のエッジ面の上で、且つ弓形のエッジ面に接触して引き出される708。この引き出し708は、ナノファイバシートの主面の少なくとも1つと、対応するエッジ面との間の物理的な接触を提供する。引き出し708に応答して、ナノファイバシートの第1の密度は、第2の密度に変化する(712)。凸状のエッジ面を使用し、第1の密度は、第1の密度に満たない第2の密度に減少する(716)。凹状のエッジ面を使用し、第1の密度は、第1の密度よりも大きい第2の密度に増加する(720)。
【0083】
[追加の考慮事項]
本開示の実施形態の上述の説明は、例示のために提示されている。包括的であること、または特許請求の範囲を開示された正確な形式に制限することは意図されていない。当業者は、多くの修正形態及び変形形態が、上記の開示を鑑みて可能であることを理解できる。
【0084】
本明細書に使用する言語は、おもに読みやすさ及び教育の目的で選択されており、言語は、本発明の主題を詳しく説明するまたは制限するために選択されなかった可能性がある。したがって、本開示の範囲が、本発明を実施するための形態によってではなく、むしろ本明細書に基づいた出願に関して生じるあらゆる特許請求の範囲によって制限されることが意図される。したがって、実施形態の開示は、例示的であることを意図するが、以下の特許請求の範囲に説明する本発明の範囲に制限的ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-6C】
図6D-6G】
図7