(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】加湿器及びそれを含む気道圧支持システム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20220203BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61M16/16 A
A61M16/00 305A
(21)【出願番号】P 2020535999
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2018097035
(87)【国際公開番号】W WO2019129817
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-12
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マクラッケン,クリストファー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】マサレム,マイケル ジョゼフ
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/139645(WO,A1)
【文献】特表2017-525513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0129795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿された呼吸ガスの流れを患者の気道に送達する気道圧支持システムのための加湿器であって、前記加湿器は、
入口及び出口を有する、ある体積の水を収容するように構成された水チャンバと、
ハウジングであり、その中に濾過媒体を収容するように構成されたハウジングを有し、さらに、前記水チャンバの出口の下流で流体的に接続される入口及び出口を有するフィルタと、
濾過メータであり、
前記フィルタの出口の下流で流体的に接続される入口、
出口、
前記入口と前記出口との間に延びる本体部分であり、前記濾過メータの入口から前記濾過メータの出口まで水を運ぶように構成された本体部分、及び
前記本体部分内に配置された機構であり、前記本体部分を通って運ばれる水の濾過データを測定するように構成された機構、
を含む濾過メータと、
導管であり、
前記呼吸ガスの流れを発生させるように構成されたガスフロージェネレータと流体的に接続するように構成された第1の端部、
前記患者の気道まで前記呼吸ガスの流れを送達するように構成された患者インターフェース装置と流体的に接続するように構成された反対側の第2の端部、及び
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる内部経路を画定する壁部であり、前記内部経路は、前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記呼吸ガスの流れを運ぶように構成されている、壁部、
を含む導管と、
前記濾過メータの出口と流体的に接続した入口を有し、前記水チャンバから受け、前記フィルタによって濾過され、前記濾過メータによって濾過データについて測定された水から水滴を生成するように構成された出口を有するノズルと、
(i)前記内部経路と流体的に連結され、前記内部経路から離れるように延びるポケットを画定する環状の本体部分、及び(ii)前記本体部分から半径方向外側に延びる舌状部材を有する受け部材であって、前記受け部材は、舌状の溝機構を介して前記導管の壁部に連結され、それによって、前記受け部材の舌状部材は、前記導管の壁部に連結されたフレーム部材の溝付き領域に位置する、受け部材と、
前記受け部材のポケットを介して前記壁部に連結し、前記内部経路に曝露されたヒータープレートであり、前記ノズルの出口が、前記ポケット内及び前記ヒータープレートの上に配置され、前記ノズルから前記水滴を受けるように置かれたヒータープレートと、
を含む、加湿器。
【請求項2】
前記水チャンバの出口と前記ノズルとの間で流体的に接続されるポンプをさらに含む、請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記ポンプは、前記濾過メータの出口と前記ノズルとの間で流体的に接続されている、請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記水チャンバは、前記水チャンバの入口に選択的に連結されるキャップをさらに含み、前記キャップは、そこを通って画定されたベント通路を有する、請求項2に記載の加湿器。
【請求項5】
前記水チャンバは、前記水チャンバの出口に選択的に連結されるベースをさらに含み、前記ベースは、そこを通って画定された流体通路を有する、請求項4に記載の加湿器。
【請求項6】
前記フィルタのハウジングは、前記水チャンバに直接連結している、請求項2に記載の加湿器。
【請求項7】
前記水チャンバは、第1の位置から第2の位置まで折りたためるように構成されており、前記水チャンバが前記第2の位置にある場合、前記水チャンバの入口は、前記水チャンバの出口に対して内側に配置され且つ同心である、請求項2に記載の加湿器。
【請求項8】
前記濾過メータは、総溶解固形分メータである、請求項2に記載の加湿器。
【請求項9】
前記濾過メータの前記機構は、
前記ガスフロージェネレータと電気的に接続されて、前記濾過データを
前記ガスフロージェネレータに伝えるように構成されている、請求項8に記載の加湿器。
【請求項10】
加湿された呼吸ガスの流れを患者の気道に送達する気道圧支持システムであって、前記気道圧支持システムは、
患者インターフェース装置と、
前記患者の気道まで前記患者インターフェース装置を通って送達されることになる前記呼吸ガスの流れを発生させるように構成されたガスフロージェネレータと、
加湿器と、
を含み、前記加湿器は、
入口及び出口を有する、ある体積の水を収容するように構成された水チャンバと、
ハウジングであり、その中に濾過媒体を収容するように構成されたハウジングを有し、さらに、前記水チャンバの出口の下流で流体的に接続される入口及び出口を有するフィルタと、
濾過メータであり、
前記フィルタの出口の下流で流体的に接続される入口、
出口、
前記入口と前記出口との間に延びる本体部分であり、前記濾過メータの入口から前記濾過メータの出口まで水を運ぶように構成された本体部分、及び
前記本体部分内に配置された機構であり、前記本体部分を通って運ばれる水の濾過データを測定するように構成された機構、
を含む濾過メータと、
導管であり、
前記ガスフロージェネレータと流体的に接続される第1の端部、
前記患者インターフェース装置と流体的に接続される反対側の第2の端部、及び
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる内部経路を画定する壁部であり、前記内部経路は、前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記呼吸ガスの流れを運ぶように構成されている、壁部、
を含む導管と、
前記濾過メータの出口と流体的に接続した入口を有し、前記水チャンバから受け、前記フィルタによって濾過され、前記濾過メータによって濾過データについて測定された水から水滴を生成するように構成された出口を有するノズルと、
(i)前記内部経路と流体的に連結され、前記内部経路から離れるように延びるポケットを画定する環状の本体部分、及び(ii)前記本体部分から半径方向外側に延びる舌状部材を有する受け部材であって、前記受け部材は、舌状の溝機構を介して前記導管の壁部に連結され、それによって、前記受け部材の舌状部材は、前記導管の壁部に連結されたフレーム部材の溝付き領域に位置する、受け部材と、
前記受け部材のポケットを介して前記壁部に連結し、前記内部経路に曝露されたヒータープレートであり、前記ノズルの出口が、前記ポケット内及び前記ヒータープレートの上に配置され、前記ノズルから前記水滴を受けるように置かれたヒータープレートと、
を含む、気道圧支持システム。
【請求項11】
前記濾過メータは、総溶解固形分メータである、請求項10に記載の気道圧支持システム。
【請求項12】
前記濾過メータの機構は、前記ガスフロージェネレータと電気的に接続されて、前記濾過データを前記ガスフロージェネレータに伝える、請求項11に記載の気道圧支持システム。
【請求項13】
前記水チャンバの出口と前記ノズルとの間で流体的に接続されるポンプをさらに含む、請求項12に記載の気道圧支持システム。
【請求項14】
前記ポンプは、前記濾過メータの出口と前記ノズルとの間で流体的に接続されている、請求項13に記載の気道圧支持システム。
【請求項15】
前記水チャンバは、前記水チャンバの入口に選択的に連結されるキャップをさらに含み、前記キャップは、そこを通って画定されたベント通路を有する、請求項12に記載の気道圧支持システム。
【請求項16】
前記水チャンバは、前記水チャンバの出口に選択的に連結されるベースをさらに含み、前記ベースは、そこを通って画定された流体通路を有する、請求項15に記載の気道圧支持システム。
【請求項17】
前記フィルタのハウジングは、前記水チャンバに直接連結している、請求項10に記載の気道圧支持システム。
【請求項18】
前記水チャンバは、第1の位置から第2の位置まで折りたためるように構成されており、前記水チャンバが前記第2の位置にある場合、前記水チャンバの入口は、前記水チャンバの出口に対して内側に配置され且つ同心である、請求項10に記載の気道圧支持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿されたガスの流れを患者の気道に送達する際に使用する気道圧支持システムに関する。本発明は、気道圧支持システムのための加湿器にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が睡眠中の呼吸障害に苦しんでいる。睡眠時無呼吸は、世界中で何百万もの人々が苦しんでいるそのような睡眠時呼吸障害の一般的な例である。睡眠時無呼吸の1つのタイプに閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)があり、これは、気道の閉塞のために呼吸できないことによって睡眠が繰り返し中断される状態であり;典型的には、上気道又は咽頭領域において生じる。気道の閉塞は、一般的に、少なくとも部分的に、上気道の部分を安定化させる筋肉の一般的な弛緩により、それによって組織が気道を虚脱させるのを可能にするものであると信じられている。睡眠時無呼吸症候群の別のタイプは中枢性無呼吸であり、これは、脳の呼吸中枢からの呼吸シグナルの欠如による呼吸の休止である。無呼吸状態は、閉塞性、中枢性、又は閉塞性と中枢性の組み合わせである混合型のいずれであっても、呼吸の完全な又はそれに近い休止、例えば、最大呼吸気流量の90%以上の減少等として定義される。
【0003】
睡眠時無呼吸に苦しめられる人々は、睡眠断片化及び睡眠中間欠的に完全な又はほぼ完全な換気の休止を経験し、重度のオキシヘモグロビン飽和度低下の可能性を有している。これらの症状は、極度の日中の眠気、不整脈、肺動脈高血圧症、うっ血性心不全、及び/又は認知機能障害と臨床的に翻訳され得る。他の睡眠時無呼吸の結果には、右室機能不全、覚醒時だけでなく睡眠時の二酸化炭素蓄積、及び持続的な動脈血酸素分圧の低下が含まれる。睡眠時無呼吸に苦しむ者は、これらの因子による超過死亡率のリスクだけでなく、運転及び/又は潜在的に危険な装置を操作している間の高い事故のリスクもあり得る。
【0004】
患者が完全な又はほぼ完全な気道の閉塞に苦しんでいなくても、部分的な気道の閉塞のみがある場合には、睡眠からの覚醒等の有害作用が発生し得るということも知られている。部分的な気道の閉塞は、典型的には、呼吸低下と呼ばれる浅呼吸をもたらす。呼吸低下は、典型的には、最大呼吸気流量の50%以上の減少として定義される。睡眠時呼吸障害の他のタイプには、上気道抵抗症候群(UARS)及び一般的にいびきと呼ばれる咽頭壁の振動等、気道の振動が含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
患者の気道に持続的気道陽圧法(CPAP)を適用することによって睡眠時呼吸障害を治療することはよく知られている。この陽圧は、気道を効果的に「スプリント固定(splint)」し、それによって、肺への開いた通路を維持する。患者に送達されるガスの圧力が、患者の呼吸サイクルと共に変化するか又は患者の呼吸努力と共に変化する陽圧療法を提供して、患者に対する快適さを高めることも知られている。この圧支持技術は、患者に送達される吸気気道陽圧(IPAP)が呼気気道陽圧(EPAP)よりも高いバイレベル圧支持法と呼ばれる。患者が無呼吸及び/又は呼吸低下を経験しているかどうか等、検出された患者の状態に基づき圧力が自動的に調節される陽圧療法を提供することがさらに知られている。この圧支持技術は、圧支持装置が、呼吸障害を治療するために必要なだけ高い圧力を患者に提供しようと努力するため、自動滴定タイプの圧支持法と呼ばれる。
【0006】
上述した圧支持療法は、患者の顔への、柔らかく可撓性のシーリングクッションを有するマスク構成要素を含む患者インターフェース装置の配置を含む。マスク構成要素は、限定されることなく、患者の鼻を覆う鼻マスク、患者の鼻及び口を覆う鼻/口マスク、又は患者の顔を覆うフルフェイスマスクであってもよい。そのような患者インターフェース装置は、額支持体、頬パッド、及び顎パッド等、他の患者接触構成要素を利用してもよい。患者インターフェース装置は、典型的には、ヘッドギア構成要素によって患者の頭部に固定される。患者インターフェース装置は、ガス送達管又は導管に接続され、圧支持装置と患者の気道とのインターフェースをとるため、呼吸ガスの流れを圧力/流れ発生装置から患者の気道まで送達することができる。
【0007】
加湿器は、多くの場合、PAPマシンとユーザインターフェースとの間に、又はそれらと一体になって提供されて、PAPマシンによって生成される圧縮空気を加湿し、さもなければ圧縮空気は比較的乾燥したままである。典型的には、加湿器は、加熱型又はパスオーバー型として分類することができる。
【0008】
加熱式加湿器は、CPAPマシンとマスクの間で運ばれている空気の温度を上げる内蔵のヒーターを有する。冷たい空気での呼吸は不快で、のどの痛みを引き起こし得る。現在市販されているほとんどのマシンは、快適な呼吸状態を提供する傾向があるため、加熱式加湿器を使用している。
【0009】
パスオーバー型加湿器は、空気がマシンからマスクへの移動時に加湿器内の水の上を文字通り「通過(パスオーバー)」するため、そのような名前が付けられており、水分を毛管作用で運び、加熱式加湿器と同様に、空気を呼吸しやすくし、のどへの刺激を少なくする。
【発明の概要】
【0010】
従って、改善された加湿器及びそれを含む気道圧支持システムを提供することが本発明の目的である。
【0011】
開示される概念の一態様によると、加湿された呼吸ガスの流れを患者の気道に送達する気道圧支持システムのための加湿器が提供される。気道圧支持システムは、患者インターフェース装置及びガスフロージェネレータを含む。ガスフロージェネレータは、患者インターフェース装置を通って患者の気道に送達されることになる呼吸ガスの流れを発生させるように構成される。加湿器は、入口及び出口を有する、ある体積の水を収容するように構成された水チャンバ;ハウジングを有するフィルタであり、ハウジングは、その中に濾過媒体を収容するように構成され、水チャンバの出口と流体的に接続される入口及び出口を有する、フィルタ;濾過メータであり、フィルタの出口と流体的に接続される入口、出口、入口と出口との間に延びる本体部分であり、濾過メータの入口から濾過メータの出口まで水を運ぶように構成された本体部分、及び本体部分内に配置された機構であり、本体部分を通って運ばれる水の濾過データを測定するように構成された機構を含む濾過メータ;導管であり、ガスフロージェネレータと流体的に接続するように構成された第1の端部、患者インターフェース装置と流体的に接続するように構成された反対側の第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に延びる内部経路を画定する壁部であり、内部経路は、第1の端部と第2の端部との間で呼吸ガスの流れを運ぶように構成されている、壁部を含む導管;濾過メータの出口と流体的に接続し、水チャンバから受けた水から水滴を生成するように構成されたノズル;並びに、壁部に連結し、内部経路に曝露されたヒータープレートであり、ノズルから水滴を受けるように置かれたヒータープレート;を含む。
【0012】
開示される概念の別の態様によると、患者インターフェース装置、ガスフロージェネレータ、及び上述の加湿器を含む気道圧支持システムが提供される。
【0013】
本発明の上記及び他の目的、特徴、並びに特性だけでなく、作動方法及び関連する構造要素及び部品の組み合わせの機能も製造のむだを省くことも、付随の図面を参考にして以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することによってより明らかになり、付随の図面の全てが本願明細書の一部を形成し、類似の参照番号は種々の図において対応する部分を示している。しかし、図面は例証及び説明目的のためだけにあり、本発明の範囲を規定するとして意図されないことを明確に理解されたい。本願明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数名詞を言及する際に不定冠詞又は定冠詞が使用されている場合は、何か他に明確に述べられていない限りその名詞の複数形を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】1つの特定の非限定的な実施形態による気道圧支持システムの概略図であり、その様々な実施形態における本発明を実施することができ、その患者インターフェース装置が患者の顔に配置された状態で示されている。
【
図2】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による加湿器の概略図であり、本発明の様々な他の例となる実施形態を実施することができる。
【
図3】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、加湿器を通る空気流路の縦軸上に位置する平面に沿った、別の気道圧支持システム及び該システムのための加湿器の部分的に概略的な断面立面図である。
【
図4】加湿器を通る空気流路の縦軸に垂直な平面に沿った、
図3の加湿器の断面立面図である。
【
図5】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、加湿器を通る空気流路の縦軸上に位置する平面に沿った、別の気道圧支持システム及び該システムのための加湿器の部分的に概略的な断面立面図である。
【
図6】
図5の線A-Aに沿った、
図5の加湿器の一部の略示断面図である。
【
図7】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、別の加湿器の一部の略示断面図である。
【
図8】1つの特定の非限定的な実施形態による、別の気道圧支持システム及び該システムのための加湿器の概略図であり、その様々な実施形態における本発明を実施することができる。
【
図9】
図8の気道圧支持システム及び該システムのための加湿器に対する水チャンバ及びフィルタの等角図であり、水チャンバが第1の位置にある状態で示されている。
【
図10】
図8の気道圧支持システム及び該システムのための加湿器に対する水チャンバ及びフィルタの正面図であり、水チャンバが第1の位置にある状態で示されている。
【
図11A】
図8の気道圧支持システム及び該システムのための加湿器に対する水チャンバ及びフィルタの断面図であり、水チャンバが第1の位置にある状態で示されている。
【
図11B】
図8の気道圧支持システム及び該システムのための加湿器に対する水チャンバ及びフィルタの断面図であり、水チャンバが第2の位置にある状態で示されている。
【
図12】
図9~11の水チャンバ及びフィルタの分解等角図である。
【
図13】
図12の水チャンバ及びフィルタの正面図であり、水チャンバが第2の位置まで折りたたまれた状態で示されている。
【
図14】
図12の水チャンバ及びフィルタの等角図であり、水チャンバが第2の位置まで折りたたまれた状態で示されている。
【
図15】1つの特定の非限定的な実施形態による、気道圧支持システムのための別の加湿器の一部の概略図であり、その様々な実施形態における本発明を実施することができる。
【
図17】
図15の加湿器の一部の別の概略図であり、加湿器が最大作動角度回転した状態で示されている。
【
図18】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、気道圧支持システムのガスフロージェネレータ及び加湿器の概略図である。
【
図19】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、加湿器を開始する方法の流れ図である。
【
図20】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、例となるポンプの概略断面図である。
【
図21】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、ポンプに対する例となる概略配線図である。
【
図22】本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、ソレノイドポンプを作動させるための例となる動力供給プロファイルを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
要求事項として、本発明の詳細な実施形態が本明細書において開示されているが、開示された実施形態は単に本発明の例示であり、種々の形で具体化することができるということを理解されたい。従って、本明細書において開示された特定の構造的及び機能的な詳細は、限定するとして解釈されず、特許請求の範囲に対する基本原理として、及び、実質的にはいかなる適した詳細な構造においても本発明をさまざまに利用するよう当業者に教示するための代表する基本原理として単に解釈される。
【0016】
本明細書において使用される場合、単数形の不定冠詞又は定冠詞は、その内容が何か他に明確に指示していない限り、その複数形を含む。本明細書において使用される場合、2つ以上の部品又は構成要素が「連結される」という記載は、連接が生じる限り、その部品が結合されるか、又は、直接的若しくは間接的に、すなわち、1つ以上の中間の部品又は構成要素を介して共に作動することを意味する。本明細書において使用される場合、「直接連結される」は、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本明細書において使用される場合、「固定して連結される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら1つのものとして動くように連結されることを意味する。
【0017】
本明細書において使用される場合、「単体構造(unitary)」という単語は、構成要素がシングルピース又はユニットとして作製されることを意味する。すなわち、別々に作製され、次に、ユニットとして共に連結される部分品を含む構成要素は、「単体構造」構成要素又は「単体構造」体ではない。本明細書において利用される場合、2つ以上の部品又は構成要素が互いに「かみ合う/係合する」という記載は、その部品が、直接又は1つ以上の中間の部品又は構成要素を介して互いに対して力を及ぼすことを意味する。本明細書において利用される場合、「数」という用語は、1又は1を超える整数(すなわち、複数)を意味する。
【0018】
例えば限定することなく、上、下、左、右、上方、下方、前、後ろ、及びその派生語等、本明細書において使用される方向を示す句は、図面において示されている要素の向きに関し、明確に記載されていない限り、請求項の範囲を限定しない。
【0019】
図1は、1つの特定の非限定的な実施形態による、気道圧支持システム2の概略図であり、その様々な実施形態における本発明を実施することができる。圧支持システム2は、ガスフロージェネレータ4と、送達導管6と、患者の気道の周りに係合するように構成された患者インターフェース装置8と、患者インターフェース装置8を患者(P)の頭部に固定するためのヘッドギア10とを含む。ガスフロージェネレータ4は、患者インターフェース装置8を介して患者Pの気道に送達されることになる呼吸ガスの流れを発生させるように構成されている。呼吸ガスの流れは、(
図1において破線で示されているもの等)ガスフロージェネレータ4と共通のハウジング14に提供されたか、或いは、圧力発生装置4とは別の、圧力発生装置4の外部に位置するユニットとして提供された加湿器12によって加熱及び/又は加湿されてもよい。以下においてさらに詳細に論じているように、加湿器12は、ドリップフィード(drip feed)加湿器である。
【0020】
ガスフロージェネレータ4は、限定されるものではないが、換気装置、定圧支持装置(持続的気道陽圧装置又はCPAP装置等)、可変圧装置(例えば、ペンシルベニア州マリーズビルのPhilips Respironicsによって製造及び販売されているBiPAP(登録商標)、Bi-Flex(登録商標)、又はC-Flex(商標)の装置等)、及び自動滴定圧支持装置を含んでもよい。送達導管6は、ガスフロージェネレータ4から患者インターフェース装置8まで呼吸ガスの流れを送るように構成される。送達導管6及び患者インターフェース装置8は、総称して患者回路ということが多くある。
【0021】
BiPAP(登録商標)装置は、患者に提供される圧力が患者の呼吸周期と共に変わるため、より高い圧力が、呼気中よりも吸気中に送達されるバイレベル装置である。自動滴定圧支持システムは、患者がいびきをかいているか、又は、無呼吸若しくは呼吸低下を経験しているか等、患者の状態と共に圧力が変わるシステムである。ガスフロージェネレータ4が、ガスの流れを患者の気道に送達するための、又は、患者の気道においてガスの圧力を上昇させるための、先に要約した圧支持システム及び非侵襲的換気システムを含む任意の従来のシステムであるということを本発明は熟考している。本明細書では、加圧されたガスの流れが利用される例となる実施形態において記載されているけれども、本明細書において記載されている本発明の実施形態は、他の一般的に加圧されていない用途(例えば、限定されるものではないが、高流量療法用途等)においても容易に使用され得るということが正しく理解されることになる。
【0022】
例証的な実施形態では、患者インターフェース装置8は患者シーリングアセンブリ16を含み、これは、例示されている実施形態において、フルフェイスのマスクである。しかし、限定されるものではないが、鼻/口マスク、鼻クッション、又は、患者の気道への呼吸ガスの流れの送達を容易にする任意の他の構成等、他のタイプの患者シーリングアセンブリを、本発明の範囲内にありながら、患者シーリングアセンブリ16の代わりにしてもよいということが正しく理解されることになる。ヘッドギア10は、例証的な目的のためにのみ提供されているということ、及び、本発明の範囲から変わることなく、任意の適したヘッドギアの構成を利用することができるということも正しく理解されることになる。
【0023】
図2を参照すると、ドリップフィード加湿器12は、適した体積の水22を収容するように構成された水チャンバ20を含む。水は、ソレノイドにより作動するポンプ(例えば、ソレノイドポンプ24等)又は他の適した機構によって、水チャンバ20からヒータープレート28の上方に配置されたドリップノズル26まで所定の速度で移される。ドリップノズル26及びヒータープレート28は、第1の端部38(すなわち、入口)と反対側の第2の端部40(すなわち、出口)との間に延びる導管30内に配置される。第1の端部38は、例えば、限定されるものではないが、ガスフロージェネレータ4から呼吸ガスの流れを受けるように構成され、この流れは、次に、(ブロック矢印によって示されているように)導管30によって第2の端部40(さらには患者)まで伝導される。ヒータープレート28に送達される水22の量は、ソレノイドポンプ24の容積及びドリップノズル26の形状の関数である。
【0024】
図3は、本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、加湿器112(
図4も参照)を含む別の気道圧支持システム102の部分的に概略的な断面立面図である。気道圧支持システム102は、上述の気道圧支持システム2と類似の構成要素を含み、該システムと類似して機能する。そのようなものとして、同様の数字が、同様の構成要素を示すために使用されることになる。加湿器112は、水チャンバ120、ポンプ124、ノズル126、ヒータープレート128、導管130、及びセパレータ機構(例えば、限定されるものではないが、ポケット132等)を含む。導管130は、第1の端部138と、反対側の第2の端部140と、第1の端部138と第2の端部140との間に延びる内部経路144を画定する壁部142とを含む。第1の端部138は、ガスフロージェネレータ104に流体的に接続され、第2の端部140は、患者インターフェース装置108に流体的に接続される。従って、導管130の内部経路144は、第1の端部138と第2の端部140との間でガスフロージェネレータ104によって発生した呼吸ガスの流れを運ぶように構成されるということが理解されることになる。さらに、導管130の壁部142は、内部経路144を通って延び且つ導管130の縦軸131に対して略垂直に位置している概して中心に配置された受け部143を含む。示されているように、ノズル126は、少なくとも部分的に受け部143を通って延びる。
【0025】
引き続き
図3を参照すると、1つの例となる実施形態において、加湿器112は、受け部材134と、多くのフレーム部材170、171とをさらに含み、各々が導管130の壁部142に連結されている。受け部材134及びフレーム部材170、171は協同して、ヒータープレート128を導管130に連結する。ポケット132は、受け部材134によって画定される。ポケット132の機能は、以下において、受け部材134及びフレーム部材170、171、並びに水122の流路の構成が論じられた後に論じられる。
【0026】
受け部材134は、環状の本体部分156と、本体部分156から半径方向外側に延びる舌状部材160とを含んでもよい。さらに、本体部分156は、内部に面した溝付き領域158を有する。
図3において示されているように、ヒータープレート128の外周は、溝付き領域158内に位置し、溝付き領域158に係合している。受け部材134は、構造的に損なわれることなく、ヒータープレート128の位置決めを維持するように構成された任意の材料(例えば、限定されるものではないが、シリコーン等)で作ることができる。フレーム部材170、171は、例となる実施形態では、硬質熱可塑性材料で作られており、当技術分野において知られている任意の適した機構によって連結されてもよく(例えば、限定されるものではないが、スナップフィット機構によって連結され、共に溶接され)、好ましくは、溝付き領域172を形成する。開示される概念は、2つのフレーム部材170、171と関連して記載されているけれども、開示される概念の範囲から逸脱することなく、類似の適した代替の加湿器は、受け部材に連結するために1つのフレーム部材を含んでもよいということが正しく理解されることになる。示されているように、受け部材134の舌状部材160は、舌状の溝機構によって受け部材134をフレーム部材170、171に連結するために、溝付き領域172に位置している。しかし、適した代替の連結機構が、開示される概念によって熟考されるということが正しく理解されることになる。
【0027】
ノズル126は、水チャンバ120に流体的に接続され、水チャンバ120から受けた水122から水滴を生成するように構成される。より具体的には、ノズル126は、水チャンバ120に流体的に接続される入口150と、反対側の出口152とを有し、出口152から水滴はノズル126を出る。壁部142に連結されたヒータープレート128は、ノズル126から水滴を受けるように置かれる。1つの例となる実施形態では、ヒータープレート128は、
図3及び4の観点から見た場合、出口152の真下に置かれる。さらに、ヒータープレート128は、内部経路144に曝露される。そのようなものとして、作動中に、水滴が出口152を出てヒータープレート128に当たる場合、ヒータープレート128は、水滴を蒸発させ、従って、導管130の第1の端部138から導管130の第2の端部140まで流れる呼吸ガスの流れを加湿するように構成される。
【0028】
次に、ポケット132の機能が、
図3及び4と組み合わせて詳細に論じられる。示されているように、壁部142に連結されたポケット132は、内部経路144から離れて延びている。この様式で、ポケット132は、ノズル126の出口152からヒータープレート128まで通過する水滴を、呼吸ガスの流れから遮蔽するように構成される。これは、患者インターフェース装置108に水が不必要に吹き込まれる可能性を著しく最小限にする。例えば、ヒータープレート128上に水が不必要に蓄積する(例えば、急速に蒸発しない、及び/又は、出口152を出るのが速すぎる)事象において、出口152をポケット132内に位置づけ、出口152の下にヒータープレート128を位置づけることによって、水は、一般的に、ガス流の下且つガス流の外で維持される。そのようなものとして、ガス流は、一般的に、いかなる蓄積された水も導管130の第2の端部140に通して患者インターフェース装置108内に押し込むのに十分強くはない。正しくは、蓄積された水は、もしあれば、一般的に、ヒータープレート128上で維持され、及び/又は、ポケット132を画定する受け部材134に係合される。加えて、望ましくない傾斜状態の場合には、気道圧支持システム102が、それが位置する表面上で平らのままでないように不注意に傾けられると、すぐには蒸発しない出口152を出る水が、一般的に、ポケット132内で維持される。
【0029】
図5は、本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、加湿器212(
図6も参照)を含む別の気道圧支持システム202の部分的に概略的な断面立面図である。気道圧支持システム202は、上述の気道圧支持システム2及び102と類似の構成要素を含み、該システムと類似して機能する。そのようなものとして、同様の数字が、同様の構成要素を示すために使用されることになる。加えて、例示のし易さと開示のむだを省くために、重要な差異のみが詳細に論じられる。
【0030】
図5及び6において示されているように、加湿器212のセパレータ機構は、導管230の壁部242から半径方向内側に延びる壁部(例えば、限定されるものではないが、略平面部材232等)の形態である。1つの例となる実施形態では、平面部材232及び壁部242は、一体成形の材料から作られた単体構造構成要素を形成する。
図5及び6において示されているように、平面部材232は、第1の端部238とヒータープレート228との間に位置する。そのようなものとして、平面部材232は、ポケット132が加湿器112に与えるのと実質的に同じ利点を加湿器212に与えるということが正しく理解されることになる。
【0031】
より具体的には、作動中、平面部材232は、水チャンバ220からの蓄積された水が患者インターフェース装置208内に吹き込まれる可能性を最小限にする。従って、平面部材232は、有利には、その可能性を避け、及び/又は、水滴が呼吸ガスの速度成分によって第2の端部240を通って運び去られる可能性が大きいことなく、液体から蒸気への水滴の相変化が生じるということを確実にする。
【0032】
図5において示されているように、加湿器212は、一般的に、ポケットを有していない。ヒータープレート228は、壁部242の高さに又はその上に(すなわち、
図5の観点から)位置してもよい。
図5の例では、ヒータープレート228は、一般的に、導管230の壁部242と同じ高さに位置し、さらに、受け部243は、一般的に内部経路244で終わるように、加湿器112の受け部143よりも短い。従って、ノズル226の出口252は、一般的に、内部経路244内に位置する。さらに、平面部材232は、ガスフロージェネレータ204からのガス流を妨げるバリアとして機能する。すなわち、ガスフロージェネレータ204から第1の端部238に入るガスは、一般的に、ヒータープレート228の上までの直接の経路を有しておらず、さもなければ、蓄積された水(例えば、十分急速に蒸発しなかった可能性のある水、及び/又は、ノズル226を出るのが速すぎた結果として蓄積した可能性のある水)が不必要に第2の端部240を通って患者インターフェース装置208に吹き込まれる状況となる。しかし、ヒータープレート228は、依然として、内部経路244に曝露されており、そのようなものとして、内部経路244内に水を蒸発させるように機能し、それによって、加湿されたガスが第2の端部240を出て、患者インターフェース装置208まで送達されることを可能にする。
【0033】
図7は、本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、別の加湿器312の一部の略示断面図である。加湿器312は、上述の加湿器212と実質的に同じである。そのようなものとして、同様の数字が、同様の構成要素を示すために使用されることになる。加えて、例示のし易さと開示のむだを省くために、重要な差異のみが詳細に論じられる。
【0034】
図7において示されているように、壁部332は、ヒータープレート328に面する略凹面形の表面333を有する。壁部332は、対応する平面部材232が加湿器212に提供するのと実質的に同じ利点を加湿器312に提供するけれども、壁部332は、さらなる利点を提供するということが正しく理解されることになる。具体的には、作動中、壁部332の凹面形状は、一般的に、呼吸ガスの流れに、比較的小さな乱流を有して導管330を通過させる。すなわち、呼吸ガスの流れは、一般的に、ヒータープレート328の上を直接流れないように妨げられ、壁部328によって進む向きが滑らかに変えられる様式で流れる。
【0035】
加湿器112、212、及び312は、開示される概念の異なる例を提供するということが正しく理解されることになる。具体的には、加湿器112、212、及び312の各々は、独特の機構を提供し、それによって、水は、ガス流に入ること、及び、対応する患者インターフェース装置108及び208(及び加湿器312を含む気道圧支持システムの患者インターフェース装置)に吹き込まれることから保護される。加湿器112、212、及び312は各々、セパレータ機構132、232、及び332のおかげでこの目的を達成するけれども、水がガス流に入るのを最小限にする及び/又は防ぐように機能する適した代替のセパレータ機構が、本明細書において熟考されるということが正しく理解されることになる。
【0036】
図8は、1つの特定の非限定的な実施形態による、加湿器412を含む別の気道圧支持システム402の概略図であり、その様々な実施形態における本発明を実施することができる。気道圧支持システム402は、上述の気道圧支持システム2、102、及び202(及び加湿器312を含む気道圧支持システム)と類似の構成要素を含み、該システムと類似して機能する。そのようなものとして、同様の数字が、同様の構成要素を示すために使用されることになる。
【0037】
ガスフロージェネレータ404は、呼吸ガスの流れに、導管430を通過させ、さらに患者インターフェース装置408まで通過させるように構成される。ノズル426は、水チャンバ420から受けた水422から水滴を生成するように構成される。導管430の壁部442に連結され、内部経路444に曝露されるヒータープレート428は、ノズル426から水滴を受けるように置かれている。この様式で、水滴が蒸発し、ガス流の流れに入ると、加湿された呼吸ガスが、患者インターフェース装置408を介して患者まで送達され得る。
【0038】
開示される概念によると、加湿器412、従って気道圧支持システム402は、例えば、限定されるわけではないが、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、塩化物、硫酸塩等の溶解固形物が、他の有機物と共に、水チャンバ420からポンプ424まで通され、及び/又は、水滴がヒータープレート428に当たり、内部経路444内に蒸発した後でヒータープレート428上に残される可能性を最小限にするようにさらに構成される。例えば、気道圧支持システムのための加湿器は、典型的には、蒸留水と共に使用することが推奨されるけれども、ユーザは、一般的に、望ましくない汚染物質を含有し得る市販の容器入り飲料水又は(例えば、井戸又は都市用水システムからの)水道水を使用することになる。これらの代替の水のタイプは、使用には推奨されず、一般的に、加湿器の作動に有害な影響を及ぼさないけれども、ポンプの長期間の使用には問題となる恐れがあり、一般的に、上述の汚染物質をヒータープレート上に残留物として残す。残留物の量が多すぎることになる場合、加湿器の構成要素は、一般的に、交換しなければいけなくなる。これらの懸念に取り組むために、加湿器412は、フィルタ433と、任意的に、濾過メータ447とをさらに含む。
【0039】
図9~14は、水チャンバ420及びフィルタ433の異なる図を示している。
図12を参照すると、水チャンバ420は、可撓性の本体部分461、キャップ463、環状の保持部材465、及びベース467を含む。水チャンバ420の本体部分461は、入口469と反対側の出口471とを含む。キャップ463は、入口469に選択的に連結され、そこを通って画定されるベント通路473を有する。そのようなものとして、ベント通路473は、その中の水位が使用中に低下するに従い空気が水チャンバ420に入るのを可能にするように構成される。保持部材465は、本体部分461の出口471をベース467に接続する。
図12において示されているように、ベース467は、水チャンバ420の本体部分461の出口471に選択的に連結される本体部分475を有し、そこを通って画定される通路部分477を有する。
【0040】
フィルタ433は、入口437及び反対側の出口439を有するハウジング435を有する。さらに、フィルタ433のハウジング435は、(
図12において部分的に示されている)濾過媒体441を収容するように構成されている。1つの例となる実施形態では、フィルタ433の入口437は、ベース467の通路部分477にねじ込み可能に接続され、水チャンバ420の本体部分461の出口471と流体的に接続される。そのようなものとして、フィルタ433のハウジング435は、水チャンバ420に直接連結されてもよい。しかし、(例えば、限定されるものではないが、ねじ及び/若しくはボルト、スナップ、並びに/又は4分の1回転の機構を介した連結等)適した代替の連結機構が、開示される概念によって熟考されるということが正しく理解されることになる。加えて、水チャンバ(図示せず)は、水チャンバからフィルタ内に水が流れることを可能にするために、任意の適した代替の数の通路を有し得るということが熟考される。さらに、水チャンバが適した代替の構成要素で構成され、適した代替の構成を有することは、開示される概念の範囲内である。
【0041】
濾過媒体441は、水がフィルタ433を通過するときに、水422から溶解固形物の大部分を除去するように選択されたフィルタ要素を含み(
図8)、従って、水を沸騰のために調製する。濾過媒体441のフィルタ要素は、粗粒子(gross particle)ステンレス鋼メッシュスクリーン、塩素及び細菌を除去する活性炭、多くの溶解固形物を除去するイオン交換樹脂、その樹脂を有するファイバーメッシュ、及び/又は任意の他の適した構成要素のうち1つ又は複数を含んでもよい。フィルタ433の出口439は、加湿器412の組み立てが完了する前に水が流れるのを防ぐ逆止弁も有してよいということも熟考される。
【0042】
水チャンバ420は、可搬性に関して改善された利点も提供する。より具体的には、水チャンバ420は、
図9~11Aにおいて示されている第1の(広げられた)位置から、
図11B、13、及び14において示されている第2の(折りたたまれた)位置まで折りたためるように構成される。そのようなものとして機能するために、水チャンバ420の本体部分461は、好ましくは、例えば、限定されるものではないが、シリコーン等の柔らかく可撓性の材料で作られる。水チャンバ420が第2の位置にある場合(
図11B、13、及び14)、入口469は、一般的に、出口471に対して内側且つ同心(concentric)である。より具体的には、本体部分461は、複数のリッジ部分481、483、485を有する。リッジ部分481は出口471から延び、リッジ部分485は入口469から延び、リッジ部分483はリッジ部分481と485との間に延びる。
図9~11Aにおいて最も明瞭に示されているように、水チャンバ420が第1の位置にある場合、リッジ部分481、483、485は、それぞれ、広げられた位置にあり、互いに対して同心ではない。
図11B、13、及び14において示されているように、水チャンバ420が第2の位置にある場合、リッジ部分481、483、485は、それぞれが、一般的に、同じ高さに位置するように、折りたたまれた位置にある(
図11B及び
図13を参照)。そのようなものとして、水チャンバ420は、水で満たされない場合には、比較的容易に、かさばらないように構成することができ、従って、より容易に運ぶ及び保管することができるため、既存の水チャンバよりも運ぶのが容易である。1つの例となる実施形態では、水チャンバ420が広げられた位置にある場合、水チャンバ420は、加湿器412のハウジングから外向きに突出し、水チャンバ420が折りたたまれた位置にある場合、水チャンバ420は、加湿器412のハウジングの上面とほぼ同一平面になる。
【0043】
図8を再度参照すると、濾過メータ447は、入口449、出口451、入口449と出口451との間に延びる本体部分453、及び本体部分453内に位置する機構455を有する。入口449は、フィルタ433の出口439と流体的に接続されている。濾過メータ447の本体部分453は、濾過メータ447の入口449から濾過メータ447の出口451まで水を運ぶように構成されている。加湿器412の1つの例となる構成が提供され、ここでは、ポンプ424が、水チャンバ420の出口471とノズル426との間で流体的に接続されている。好ましい実施形態では、ポンプ424は、濾過メータ447の出口451とノズル426との間で流体的に接続されている。
【0044】
濾過メータ447の機構455は、本体部分453を通って運ばれる水の濾過データを測定するように構成される。1つの例となる実施形態では、機構455は、濾過データをガスフロージェネレータ404に伝えるために、ガスフロージェネレータ404の処理装置(番号は付されていない)に電気的に接続される。従って、フィルタ433及び濾過メータ447は、水422が蒸留されていない場合に、水422から溶解固形物を除去する機構を加湿器412に提供するために協同する。
【0045】
より具体的には、水422が濾過媒体441を通過し、フィルタ433の出口439を出た後で、水422は、濾過メータ447の入口449に入る。1つの例となる実施形態では、濾過メータ447は、2つの金属プローブ(例えば、限定されるものではないが、腐食を最小限にするために、金等の材料で被覆された銅プローブ等)を有する総溶解固形分メータである。プローブは、同じサイズであってもよく(例えば、限定されるものではないが、直径が1.5ミリメートルで、約2ミリメートルの長さが水に曝露されており)、中心から中心まで約5ミリメートルで並行して置かれてもよい。プローブを有する機構455は、ガスフロージェネレータ404と電気的に接続されているため、ガスフロージェネレータ404の基板回路は、2つのプローブ間の電気伝導率を測定するように構成されるということが正しく理解されることになる。電気伝導率の測定値は、百万分率(以下、「PPM」という)に変換することができ、これは、濾過メータ447を通過する水に含有される溶解固形物の量の指標を提供する。
【0046】
好ましい実施形態において、フィルタ433を通過する水は、30PPM未満の溶解固形物の含有量を有するべきであるということが理解されたい。濾過メータ447による溶解固形物の測定値が30PPMを超える場合、濾過メータ447とガスフロージェネレータ404との電気的接続によって、ガスフロージェネレータ404が、水質が不十分過ぎる(例えば、含有する溶解固形物が多過ぎる)、及びフィルタを変える必要があるという指示(例えば、スクリーン読み取り等)をユーザに提供するようにされる。さらに、加湿器412は、ポンプ424及びヒータープレート428を保護するように、30PPMを超える溶解固形物の含有量では作動することができないということが熟考される。さらに、加湿器412はまた、水の溶解固形物の含有量が20PPMに達すると、ユーザは、ガスフロージェネレータ404上で、フィルタがその寿命の終わりに近づいており、すぐに交換されるべきであるということが通知されるように構成される。
【0047】
水422が濾過メータ447を通過すると、水422はポンプ424に流れ込むことができ、ポンプ424は、水422をノズル426まで移動させるために圧力を発生させる。上述のように、ノズル426は、水422から水滴を生成するように構成され、ヒータープレート428は、その水滴を受けるように構成される。
【0048】
従って、気道圧支持システム402及び該システムのための加湿器412は、有利に、任意の飲料水(例えば、水道水、容器入り飲料水、蒸留水等)で機能するように構成されるということが正しく理解されることになる。具体的には、蒸留水は、一般的に、問題のある溶解固形物を含有しておらず、さもなければ、加湿器412の構成要素(例えば、ポンプ424及びヒータープレート428等)を損なう恐れがある。加湿器412を使用するユーザには望ましくないけれども、水道水及び容器入り飲料水が使用される場合、水は、有利に、濾過媒体441によって濾過されて、出口439を出る前に多くの溶解固形物が除去される。さらに、フィルタ433を含むことに加えて、濾過メータ447のフェイルセーフが、フィルタ433の出口439を出る水の質をユーザに警告するさらなる利点を提供する。すなわち、フィルタ433は、一般的に、水から溶解固形物を除去するように構成されているけれども、時間の経過に伴うフィルタ433の長時間の使用は、水から溶解固形物を除去する能力を損なう恐れがある。そのようなものとして、濾過メータ447は、この懸念に取り組む機構を提供する。すなわち、上述のように、機構455は、フィルタ433の出口439を出る水の質をユーザに警告するように容易に構成される。質が適切ではない(例えば、30PPMを超える)場合、ユーザは、濾過媒体441を交換する必要があるということを示す指示をガスフロージェネレータ404上で受けることができる。濾過媒体441がユーザによって交換されると、好ましくないけれども非蒸留水は、再度、確実に濾過され、比較的少ない溶解固形物がその中に含まれた状態で、ポンプ424及びヒータープレート428まで送られることになる。そのようなものとして、加湿器412は、作動構成要素(例えば、ポンプ424及びヒータープレート428等)の完全性を損なうことに対する重大な懸念なしに、蒸留水及び非蒸留水と共に利用されるように容易に構成されるという点で多用途である。
【0049】
図15は、本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、気道圧支持システムのための別の加湿器512の拡大部分の概略図である。加湿器512は、上述の加湿器12、112、212、312、及び412と類似の構成要素を含み、該加湿器と類似して機能する。そのようなものとして、同様の数字が、同様の構成要素を示すために使用されることになる。
【0050】
導管530は、第1の端部538と、第2の端部540と、第1の端部538と第2の端部540との間に延びる内部経路544を画定する壁部542とを含む。ノズル526は、水チャンバ(図示せず)から受けた水から水滴を生成するように構成された出口552を有する。示されているように、ヒータープレート528は、ノズル526に面する第1の側面529と、ノズル526とは反対の方向に向く反対側の第2の側面531とを有する。第1の側面529は、ノズル526から水滴を受けるように置かれる。1つの例となる実施形態では、加湿器512は、ヒータープレート528の第2の側面531に連結された複数の加熱要素571、573をさらに含む。加熱要素571、573は、第1の側面529に当たる水滴を蒸発させ、それによって呼吸ガスを加湿するために、ヒータープレート528を加熱するように構成される。
【0051】
加えて、加湿器512は、ヒータープレート528の第2の側面531に連結されたサーミスタ575をさらに含んでもよい。サーミスタ575は、加熱要素571、573がノズル526の出口552に対して位置しているよりも、ノズル526の出口552の近くに位置してもよい。サーミスタ575は、加湿器512を含む気道圧支持システムのガスフロージェネレータに(例えば、処理ユニットを介して)電気的に接続されてもよく、処理ユニットがヒータープレート528の温度をモニターするのを可能にする。この様式で、サーミスタ575は、出口552を出る水滴がヒータープレート528に当たるかどうかを検出する機構を提供する。
【0052】
図15を引き続き参照すると、ヒータープレート528の第1及び第2の側面529、531はそれぞれ、第1及び第2の側面529、531上の任意の他の対応する位置よりも出口552の近くに位置する対応する中央位置533、535を有する。中央位置533は、中央位置535の正反対に位置してもよい。平面図から見た場合(例えば、
図16を参照)、中央位置533、535は、出口552の真下に位置する。1つの例となる実施形態では、サーミスタ575は、第2の側面531の中央位置535に位置する。示されているように、ノズル526は、一般的に、第1及び第2の側面529、531を通って延び且つ加熱要素571、573を通過しない縦軸527の周りに位置する。
【0053】
従って、ヒータープレート528は、一般的に、
図16において最も明確に示されているように、中央に位置する「加熱なしゾーン」を有し、これは、いかなる加熱素子も含んでいないということが正しく理解されることになる。具体的には、加熱素子571、573の最も内側の境界が外側の破線の円として示されており、その内部の空間が「加熱なしゾーン」である。示されているように、加熱要素571、573は、中央位置533、535から少なくとも半径Rほど間隔があけられている。
【0054】
次に、
図17を参照し、ヒータープレート528からノズル526の出口552までの間隔の決定が詳細に論じられる。示されているように、出口552は、第1の側面529の中央位置533の上方の高さHに位置する。本発明者等は、Hが約4ミリメートル未満である場合、ヒータープレート428に当たる水滴によって引き起こされる沸騰した水の泡が跳ねて、出口552に当たること多く、この状況は、ノズル426に、望ましくあり得るよりも多くの水を水チャンバから引き出させ得るということを発見した。そのようなものとして、本発明者等は、Hが、好ましくは、約4ミリメートルから、X=(半径R)/タンジェント(θ)である約Xミリメートルの範囲にあることを発見した。
【0055】
図17において示されている例では、加湿器512は、最大作動角度θ傾けられている。角度θは、加湿規格ISO 8185:2007又は任意の他の所定の最大サージ作動角度に対応し得る。1つの例となる実施形態では、角度θは約20度であり、半径Rは約3ミリメートルである。言い換えると、サーミスタ575は、加熱要素571、573のそれぞれから少なくとも3ミリメートル間隔があけられていてもよい。従って、1つの例となる実施形態では、Hは約6ミリメートルであってもよい。この高さでは、ヒータープレート528に当たる水は、一般的に、出口552から十分離れており、ノズル526に必要以上に水チャンバから不注意により多くの水を引き出させることはない。さらに、この高さでは、ヒータープレート528に当たる水滴は、一般的に、(例えば、最大作動角度θまでの)不注意な又は望ましくない傾斜状態の場合に、サーミスタ575が依然として、水滴がヒータープレート528に当たったかどうかを検出することができるほど十分近い。
【0056】
図18は、本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、気道圧支持システム602のガスフロージェネレータ604及び加湿器612の概略図である。上述の加湿器の構成と類似して、加湿器612は、水チャンバ620からドリップノズル626までの水622の流れを供給するためのポンプ624を含む。ドリップノズル626は、水滴をヒータープレート628に送達するように置かれ、ヒータープレート628は、
図15~17の実施形態に関して論じられたように配置されたサーミスタ675及び加熱要素671、673を有する。圧支持システム602は、(示されているように)加湿器612の一部、ガスフロージェネレータ604の一部であり得る、又は別の要素として処理ユニット601を含む。処理ユニット601は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はいくつか他の適した処理装置であり得る処理部分と、処理部分の内部にあってもよく、又は処理部分に作動可能に連結されてもよいメモリ部分であって、ガスフロージェネレータ604、ポンプ624、及び加熱要素671、673の作動を制御するためだけでなく、ガスフロージェネレータ604の要素から及びサーミスタ675からの入力を受けるための、処理部分によって実行可能なソフトウェア及びデータのための記憶媒体を提供するメモリ部分とを含む。
【0057】
例となる方法700の流れ図が
図19において示されており、方法700は、本発明の1つの特定の非限定的な実施形態に従って実行することができ、加湿器612を起動する際に処理装置601によって実行することができる。方法700は、システム602の電源をオンにする指示を受ける702で開始される。典型的には、そのような指示は、圧力治療セッションを開始するために患者、介護者、又は他の人によって作動され得る電源ボタン又は他の適した装置等の入力装置(図示せず)から受ける。702にて指示を受けると、704にて示されているように、空気の流れが加湿器612の導管630を、患者に向かって通過し始めるように、動力がガスフロージェネレータ604に提供される。706にて示されているように、そのような流れは、本発明の例となる実施形態では10秒である第1の所定期間にわたって続くのが可能にされるが、他の時間増分が、本発明の範囲から変わることなく利用されてもよい。
【0058】
次に、708にて示されているように、ヒータープレート628の温度が、加熱要素671及び673の1つ以上に提供される動力供給によって、一般的に周囲環境の温度から第1の所定温度まで上げられる。本発明の例となる実施形態では、そのような第1の所定温度は約50℃であるが、他の温度が、本発明の範囲から変わることなく利用されてもよい。
図15~17の構成に関して上述したように、ヒータープレート628の温度は、サーミスタ675の抵抗をモニターすることによって容易に決定される。
【0059】
ヒータープレート628の温度が第1の所定温度に達すると、710にて示されているように、温度は、第2の所定期間、第1の所定温度で保たれる。本発明の例となる実施形態では、そのような第2の所定期間は10秒であるが、他の時間増分が、本発明の範囲から変わることなく利用されてもよい。第2の所定期間が経過すると、712にて示されているように、所定のカウントダウン時間からカウントダウンするカウントダウンタイマが開始され、714にて示されているように、第1の所定のデューティサイクルでポンプ624の作動を開始させるように、十分な動力がポンプ624に供給される。本発明の例となる実施形態では、そのような第1の所定のデューティサイクルは、約20%のデューティサイクルであるが、他の適したデューティサイクルが、本発明の範囲から変わることなく利用されてもよい。本発明の例となる実施形態では、カウントダウンタイマは5分間設定されるが、他の時限が、本発明の範囲から変わることなく利用されてもよい。
【0060】
ポンプ624が714にて作動し始めると、716にて示されているように、ヒータープレート628の温度が(サーミスタ675を介して)モニターされる。718及び720において示されているように、そのようなモニタリングは、温度の低下が検出されるまで、又はカウントダウンタイマがゼロに達するまで続く。718において温度の低下が検出される前に720においてカウントダウンタイマがゼロに達し、従って、(水チャンバ620内の水の欠如、ポンプの故障、水チャンバ620とノズル626との間のどこかでの妨害、又はいくつか他の問題のために)水がヒータープレート628に当たらなかったことを示す場合、722として示されているようにポンプ624はオフにされ、724にて示されているように、ヒーター要素671及び673もオフにされる。任意的に、信号又はメッセージが、加湿器が止められたということを示すために、任意の適した手段を介して患者に提供されてもよい。或いは、温度の低下が、カウントダウンタイマがゼロに達する前に718にて検出され、従って、1つ又は複数の水滴がヒータープレート628に当たった(すなわち、プレートに当たる水滴の蒸発のために、ヒータープレートの温度がわずかに下がる)ことを示す場合、ポンプ624のデューティサイクルは、726において示されているように、第3の所定期間待った後、所定の第2のデューティサイクルまで728において増加される。本発明の例となる一実施形態では、そのような第2のデューティサイクルは約25%のデューティサイクルであるが、他の適したデューティサイクルが、本発明の範囲から変わることなく利用されてもよい。本発明の例となる一実施形態では、そのような第3の所定期間は20秒であるが、他の適した時間増分が、本発明の範囲から変わることなく利用されてもよい。
【0061】
728においてポンプのデューティサイクルを増加させた後、730にて示されているように、ヒータープレート628の温度が、(正常な作動温度と一致する)およそ第2の所定温度まで上げられる。本発明の例となる一実施形態では、そのような第2の所定温度は約120℃であるが、他の適した温度が、本発明の範囲から変わることなく利用されてもよい。第2の所定温度に達した後、加湿器は正常に作動し続ける。上述のことから、従って、方法700は、水がヒータープレートまで送達されていることが確認されるまで、ヒータープレートが完全に動力供給されるのを防ぐ起動機構を提供するということが正しく理解されたい。加えて、低温でヒータープレートを湿らせることによって、ヒータープレート上に以前に堆積された(水チャンバ内に提供された水中の不純物からの)いかなる固形物も、粉砕されず、気流に放出されない。従って、そのような方法は不快なガスの放出も減少/排除し、さもなければそのような固形物から放出される恐れがある。
【0062】
図20は、本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、
図18のポンプ624等の例となるソレノイドポンプの概略断面図である。ポンプ624はハウジング680を含み、ハウジング680は、入口682と出口684とをその中に画定している。ポンプ624は、ハウジング680の一部と共にポンピングチャンバ688を画定する変形可能なダイヤフラム部材686をさらに含む。ポンピングチャンバ688は、流体がポンピングチャンバ688に流れ込むことのみを可能にする一方向入口弁690を介して入口682から、及び、流体がポンピングチャンバ688から流れ出ることのみを可能にする一方向送出弁692を介して出口684から離されている。ポンプ624はソレノイド694をさらに含み、ソレノイド694は、端子Tに動力を供給することによってエネルギーが与えられると、電機子696に、ポンピングチャンバ688の容積を減らす様式でダイヤフラム部材686を変形させ、従って、送出弁692を介してポンピングチャンバ688から、及び出口684から流体を押し出す。ポンプ624はスプリング部材698をさらに含み、スプリング部材698は、電機子696をソレノイド694の方へ引き戻すように張力をかけられ、従って、ダイヤフラム部材686を最初の位置まで動かし、ポンピングチャンバ688の容積を増加させる。ポンピングチャンバ688の容積が増加するに従い、流体が、入口682及び入口弁690を介してポンピングチャンバ688内に引き込まれる。
【0063】
図21は、本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、
図18及び20のポンプ624等、ドリップフィード加湿器内のポンプに動力を供給するための、例となるポンプ構成800に対する例となる概略配線図である。ソレノイド694の端子Tへの動力は、スイッチSを介して端子Tに電気的に接続される動力供給699から選択的に提供される。スイッチSは、
図18と関連して上述した処理ユニット601等の適したマイクロプロセッサによって制御される。スイッチSの高周波パルス幅変調(PWM)を使用することによって、所望のプロファイルに従ってソレノイド694に動力を供給することができる。本発明の1つの特定の非限定的な実施形態による、ポンプ624のソレノイド694等、ソレノイドポンプのソレノイドの単一作動に動力を供給するための1つのそのような動力プロファイル802の例が、
図22において示されている。
【0064】
動力プロファイル802は、開始点から完全に広げられた位置までの電機子696の動きに対応するポンプ容積範囲804と、総拡張時間806との間で延びており、これは、
図22において示されている例では、相対的な様式で表現されている(すなわち、完全な拡張のための時間は、拡張時間の100%を要する)。ソレノイド動力プロファイルの静かな作動を提供するためには、一般的に:概して第1の全体速度(overall rate)で増加する初期部分808と、概して第1の全体速度よりも大きい第2の全体速度で増加する中間部分810と、第3の全体速度で減少する最終部分812とが含まれる。初期部分808は、電機子696の最初の(引っ込んだ)位置814(すなわち、0,0)から、第2の位置816まで延びており、これは、範囲804及び時間806両方の約20%(すなわち、約20,20)である。初期部分808は、概して、最初の位置814の近くで低い速度で増加し、次に、第2の位置816の近くで増加する。中間部分810は、概して、第2の位置816から第3の位置818(すなわち、約40,60)まで延び、これは、範囲804の約40%及び時間806の20%である。中間部分810は、概して、第2の位置816の近くでより大きな速度で最初に増加し、次に、第3の位置818の近くで概してわずかに遅い速度で増加する。最終部分812は、概して、第3の位置818から、最後の、概して完全に広げられた位置820(すなわち、約100,100)まで延びており、これは、範囲804の約40%及び時間の60%である。最終部分812は、概して、第3の位置818の近くで概して第1の速度で、次に、最終位置820の近くで減少する速度で減少している。本発明の例となる一実施形態では、電機子696が引っ込んでいる間に、動力プロファイル802の(100,100を通過する垂直軸を中心として映される)鏡像に従って動力がソレノイド694にさらに提供され、制御された様式で電機子696を最初の位置0,0に戻す際にスプリング696によって加えられる力を選択的に相殺している。そのような所定の1つ又は複数の動力プロファイルを使用することによって、ソレノイド696は静かな様式で作動され、システム602のユーザに対するあり得る妨害を減少/排除する。
【0065】
図20のポンプ624等のソレノイド駆動ポンプは、ポンプのダイヤフラム628及び弁690及び692を作動させるために公称レベルの動力を必要とし、ポンプを通って流体を移動させるために静止力を克服するのに十分な動力を有してもよい。しかし、そのようなシステムは、公称レベルよりも大きな動力レベルが最初の静止状態を克服するために必要とされるスタートアップルーチンを必要とし得る。流体ポンプが長期間アイドリングしたままである場合、690及び692等の一方向流量弁は、公称ポンピング電力が克服するには不十分である状態に固着し始める可能性がある。この最初の固着した状態を克服する方法は、始動期間中に、ポンプシステムの共振周波数において又はその付近(+/-約5%)でポンプ駆動エネルギーを変調することである。共振周波数でポンプを駆動することは、アクティブな一方向弁に最大の力を提供するだけでなく、パッシブな一方向弁への動力を増加させる。ソレノイドアクチュエータへの動力供給がHブリッジ型のパワードライバで実行される例となる一実施形態では、ソレノイドへの動力の極性を、共振周波数において順極性と逆極性との間で交互にすることができる。この方法によって、両方の一方向弁を離すために等しい動力が供給される。
【0066】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれたいかなる参照番号も特許請求の範囲を限定するとして解釈するべきではない。「含む」又は「含んでいる」という用語は、請求項に述べられたもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段のうちいくつかは、1つの且つ同じハードウェアのアイテムによって実現することができる。単数名詞を言及する際に不定冠詞が使用されている場合は、その名詞の複数形の存在を除外しない。いくつかの手段を列挙するいかなる装置の請求項においても、これらの手段のうちいくつかは、1つの且つ同じハードウェアのアイテムによって実現することができる。特定の要素が互いに異なる従属項において列挙されているという単なる事実は、これらの要素を組合せて使用することができないと示しているのではない。
【0067】
本発明は、最も実用的で好ましい実施形態であると現在考慮されるものに基づき例示を目的として詳細に記述されてきたけれども、そのような詳細は単にその目的のためだけであり、本発明は開示された実施形態に限定されないが、それどころか、付随の特許請求の範囲の真意及び範囲内にある修正及び同等の構成をカバーするよう意図されることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限り、いかなる実施形態の1又は複数の特徴もいかなる他の実施形態の1又は複数の特徴とも組み合わせることができると意図していることを理解されたい。