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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】二酸化炭素を検出する装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20220119BHJP
【FI】
G01N21/3504
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020547316
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018084959
(87)【国際公開番号】W WO2019121395
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-03
(31)【優先権主張番号】PA201700742
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】506385900
【氏名又は名称】ラディオメーター・バーゼル・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】フェール,ジャン-ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ルーレ,ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ベーバー,パトリツィア
(72)【発明者】
【氏名】フィンチ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】シェーラー,ルーカス
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/173877(WO,A1)
【文献】特表2014-506488(JP,A)
【文献】特表2016-527505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/17 - G01N 21/61
A61B 5/145 - A61B 5/1495
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を検出する装置(10)であって、
ハウジング(20)と、
ガス測定チャンバ(30)と、
放射線源(40)と、
第1の放射線検出器(50)と、
第2の放射線検出器(60)と、
放射線フィルター(70)と、を備え、
前記ガス測定チャンバ、前記放射線源、前記第1の放射線検出器、前記第2の放射線検出器、及び前記放射線フィルターは、前記ハウジング内に収容されており、
前記ハウジングの一部は、患者の皮膚領域と接触して位置決めされるように構成されており、
前記ハウジングの前記一部及び前記ガス測定チャンバは、前記患者の前記皮膚領域を通過して拡散するガスが前記ガス測定チャンバに入るように構成されており、
前記ガス測定チャンバ及び放射線源は、前記放射線源によって放射された放射線の少なくとも一部が前記ガス測定チャンバに入るように構成されており、
前記ガス測定チャンバに入る前記放射線は、二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ二酸化炭素の前記吸収帯以外の領域にわたる波長を有し、
前記放射線フィルターは、相互作用放射線経路が前記ガス測定チャンバを通って前記放射線源と前記放射線フィルターとの間に画定されるように、前記ガス測定チャンバに対して配置されており、
前記第1の放射線検出器は、前記相互作用放射線経路に加えて第1の検出放射線経路が画定される(defined)ように、前記放射線フィルターに対して配置されており、
前記第2の放射線検出器は、前記相互作用放射線経路に加えて第2の検出放射線経路が画定されるように、前記放射線フィルターに対して配置されており、
前記放射線フィルターは、前記第1の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の前記吸収帯にわたる波長を有し、かつ前記吸収帯以外の前記領域にわたる放射線の強度が前記相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく(significantly)小さいように構成されており、
前記放射線フィルターは、前記第2の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の前記吸収帯以外の前記領域にわたる波長を有し、かつ前記吸収帯にわたる放射線の強度が前記相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように構成されており、
前記第1及び第2の放射線検出器からの信号は、前記患者の前記皮膚における二酸化炭素の分圧の決定に使用可能であ
前記放射線フィルターは、ガスシール(gaseous seal)として前記ガス測定チャンバに作用する、
装置。
【請求項2】
前記放射線フィルターは、前記第2の検出放射線経路が前記放射線フィルターを透過した放射線を含み、前記第1の検出放射線経路が前記放射線フィルターから反射された放射線を含むように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線フィルターは、ガスによる吸収が最小になる波長を中心とした透過通過帯域を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記透過通過帯域の中心波長は、3.91マイクロメートルである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記透過通過帯域の全幅半値(full width half maximum)は、90ナノメートルである、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、第2の放射線フィルター(80)を備え、前記第2の放射線フィルターは、前記第1の検出放射線経路が前記第2の放射線フィルターを透過した放射線を含むように構成されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の放射線フィルターは、二酸化炭素の前記吸収帯にわたる透過通過帯域を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記透過通過帯域の中心波長は、4.26マイクロメートルである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記透過通過帯域の全幅半値は、180ナノメートルである、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の放射線フィルターは、ガスシールとして前記ガス測定チャンバに作用する、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
二酸化炭素を検出するシステム(100)であって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の二酸化炭素を検出する装置(10)と、
処理ユニット(110)と、
出力ユニット(120)と、を備え、
前記処理ユニットは、前記装置を制御するように構成されており、かつ前記出力ユニットを制御するように構成されており、
前記装置は、前記第1の放射線検出器からの前記信号及び前記第2の放射線検出器からの前記信号を前記処理ユニットに提供するように構成されており、
前記処理ユニットは、前記患者の前記皮膚における二酸化炭素の前記分圧を計算するように構成されており、前記計算は、前記第1の放射線検出器からの前記信号及び前記第2の放射線検出器からの前記信号を含み、
前記出力ユニットは、二酸化炭素の前記分圧を表すデータを出力するように構成されている、システム。
【請求項12】
二酸化炭素を検出する方法(200)であって、
a)ハウジングの一部を、患者の皮膚領域と接触して位置決めする(placing)工程(210)であって、前記ハウジングの前記一部及び前記ハウジング内のガス測定チャンバは、前記患者の前記皮膚領域を通過して拡散するガスが前記ガス測定チャンバに入るように構成されている、工程(210)と、
b)前記ハウジング内の放射線源から放射線を放射する工程(220)であって、前記放射線源によって放射された前記放射線の少なくとも一部が、前記ガス測定チャンバに入り、前記ガス測定チャンバに入る前記放射線は、二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ二酸化炭素の前記吸収帯以外の領域にわたる波長を有する、工程(220)と、
c)相互作用放射線経路が前記ガス測定チャンバを通って前記放射線源と放射線フィルターとの間に画定されるように、前記放射線フィルターを、前記ガス測定チャンバに対して配置する工程(230)と、
d)前記相互作用放射線経路に加えて第1の検出放射線経路が画定されるように、第1の放射線検出器を、前記放射線フィルターに対して配置する工程(240)であって、前記相互作用放射線経路に加えて第2の検出放射線経路が画定されるように、第2の放射線検出器が、前記放射線フィルターに対して配置され、前記放射線フィルターは、前記第1の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の前記吸収帯にわたる波長を有し、かつ前記吸収帯以外の前記領域にわたる放射線の強度が前記相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように構成されており、前記放射線フィルターは、前記第2の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の前記吸収帯以外の前記領域にわたる波長を有し、かつ前記吸収帯にわたる放射線の強度が前記相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている、工程(240)と、
e)前記第1の放射線検出器からの信号及び前記第2の放射線検出器からの信号を使用して、前記患者の前記皮膚における二酸化炭素の分圧を決定する工程(250)と、を含
前記放射線フィルターは、ガスシール(gaseous seal)として前記ガス測定チャンバに作用する、
方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置を制御する、及び/又は請求項11に記載のシステムを制御するコンピュータプログラムであって、プロセッサによって実行されると、請求項12に記載の方法を実施するように構成されている、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を検出する装置、二酸化炭素を検出するシステム、二酸化炭素を検出する方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
血液ガス分圧を測定するための、人間又は動物の皮膚に適用されるセンサーなどの装置による血液ガス分圧の非侵襲測定が、多くの臨床状況における有用なツールとして、多くの文献に記載されている。二酸化炭素(CO)及び酸素(O)などの血液ガスを非侵襲的に測定するためのセンサーは、集中治療室(ICU)及び新生児集中治療室(NICU)において不可欠なツールである。それは、これらのセンサーにより、非侵襲的な方法で、かつ、病院スタッフの最小限の作業量で、人間又は動物の患者の呼吸機能に対して、信頼性の高い持続的なモニタリングができるからである。
【0003】
皮膚/経皮血液ガスセンサーの分野においては、概して、センサー及びモニターの両方を小型化させる傾向がある。経皮血液ガス分圧の測定に好ましい部位の1つに、耳垂がある。これは、耳垂の皮膚は非常に薄いからである。更に、経皮血液ガス分圧の測定は、早期新生児に対してよく使用される。センサーの使用対象が新生児であるか大人であるかに関わらず、皮膚上で、血液ガスセンサーを受け入れるのに十分な大きさの好ましい平坦な領域を見つけることが難しいことがある。そのため、センサーの大きさを最小限にする必要がある。
【0004】
このようなセンサーは、小さいサンプル表面に対する測定が可能なものであるべきである。また、応答時間が短いものであるべきである。ガス濃度の変化が小さいので、センサーの必要な感度を高くする必要があるため、信号強度は、できるだけ大きくするべきであり(例えば、60秒以下)、したがって、利用可能な信号強度は、できるだけ大きくするべきである。モニタリングシステムをできるだけ使いやすくするために、モニタリングシステムは常に使用可能な状態であり、使用中にドリフトがないことも必要である。このようなセンサーはまた、比較的安価であり、組み立てが簡単であるべきである。
【0005】
血液ガス分圧の皮膚又は経皮測定のための市販製品は、通常、電気化学センサーである。これらの電気化学センサーは、何十年もの間、人間の皮膚中の血液ガス分圧の正確な推定値を提供するものとして知られてきた。この推定値から、動脈の分圧を計算することができる。それによって、血液サンプルの採取を必要とせず、特にICU、NICU、及び睡眠検査室における医療スタッフに、患者の呼吸機能を明確に示してきた。前述したような電気化学センサーは、例えば、米国特許第6,654,622(B1)号に記載されているものが知られている。
【0006】
既に知られているように、電気化学センサーが病院における不可欠なツールであることは実証されているが、これらのセンサーは較正を頻繁に行う必要があり、また、信号のドリフトが発生することもある。そのため、使用時間が長い場合(例えば、睡眠モニタリング)に問題が発生することがある。更に、電解液の添加などの再膜化(remembraning)を頻繁に行う必要もある。そのため、これらの問題のない別種の装置の開発が望まれていた。
【0007】
WO2008/110927は、チューナブルレーザーダイオード技術を使用した光学センサーを開示している。この光学センサーによれば、光線が、検出器に受信されるまでサンプル細胞中を1つの単一モード伝播によって伝播して、このサンプルの化学物質を反映する出力信号を生成する。
【0008】
WO2003/023374は、エバネッセント場を使用した光学センサーを開示している。この光学センサーは、皮膚に貫通して皮膚中の化学物質を検出する。
【0009】
WO2003/023374及びWO2008/110927の両技術では、光源は、センサーの外部に取り付けられたレーザーであり、導光部を介してセンサーに光を伝送する。これらのシステムには、光路における光学干渉によってレーザーキャビティ内のバックライト干渉が発生し、その結果、感度が著しく低減するなど、いくつかのデメリットがある。更に、これらのシステムは、1つの単一周波数で光を提供するレーザー光源を使用しており、基調又はその倍音の1つのいずれかが1種類のガス(例えば、二酸化炭素)によって吸収されるように調整されている場合がある。しかし、レーザーには、いくつかのデメリットがある。レーザーは、他の光源より高価でかさばる。レーザーは大きいため、外部デバイスに取り付けられ、光ファイバーを介してセンサーに光が伝送されていた。光ファイバーケーブルは、何回か使用すると、ストレスにより破損する可能性が高い。更に、レーザーは特定の波長に調整されているが、温度変化によりレーザーのドリフトが発生する。これは、睡眠モニタリングに使用して、夜間の室温低下により検出システム内の光の波長が変化した場合に問題となる。そのため、レーザーを使用したシステムは、レーザーに確実に意図した波長の光を供給させるために、持続的な変調モニタリングを必要としている。
【0010】
WO2015/010709は、赤外(IR)光源を使用してCOを検出するための光学センサーを開示しており、赤外光を、開口数(NA)変換器及び波長フィルターを介して、信号経路を増やすためのいくつかの反射面を有する測定容積へ、そして、この測定容積を通過して来る光の量を検出する検出器へ伝送する。測定容積を介して伝送される光の変化が、測定容積中のCO量の変化の推定に使用される。これは、光学において、「非結像」、すなわち、光検出器を使用して測定容積中のサンプルの画像を形成せず、代わりに、測定容積内の変化を検出するものとしても知られている。
【0011】
この関連において皮膚(cutaneous)という用語は、人間又は動物の患者の表皮層の状況を測定することを意味する。経皮(transcutaneous)という用語は、多くの場合、表皮層の下方の状況を検査する測定を指す。経皮測定と皮膚測定とが異なるのは、次の点においてのみである。それは、経皮測定の温度の方が高く、そのため表皮層中の血流が増加し、表皮層がより動脈化される、すなわち、表皮層が表皮の下方の層のような挙動をする。経皮測定を行うために必要な温度上昇の程度は、患者の皮膚によって決まる。新生児又は早期新生児の皮膚は非常に薄いので、血液ガスの経皮測定には、例えば40℃の温度で十分である場合がある。一方、高齢者の皮膚はより厚みがあるので、表皮を動脈化するためには44℃又は45℃の温度が必要となる場合がある。本発明の文脈内では、測定の目的が、表皮の状況の検査であるか表皮下方の状況の検査であるかは重要ではない。したがって、皮膚(cutaneous)と経皮(transcutaneous)のうちどちらの用語が本発明の説明に使用されようとも、どちらの用語も、人間の皮膚に適用されたセンサーを使用して血液ガス分圧を測定するものとして理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明の一実施例は、例えば、二酸化炭素を検出する装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
改善されたセンサーシステム及び関連する二酸化炭素を検出する方法を有することが有利であるだろう。
【0014】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に記載された態様及び実施例はまた、二酸化炭素を検出する装置、二酸化炭素を検出するシステム、二酸化炭素を検出する方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に適用されるという点に留意すべきである。
【0015】
第1の態様によれば、
ハウジングと、
ガス測定チャンバと、
放射線源と、
第1の放射線検出器と、
第2の放射線検出器と、
放射線フィルターと、を備える、二酸化炭素を検出する装置を提供する。
【0016】
ガス測定チャンバ、放射線源、第1の放射線検出器、第2の放射線検出器、及び放射線フィルターは、ハウジング内に収容されている。ハウジングの一部は、患者の皮膚領域と接触して位置決めされるように構成されている。ハウジングの一部及びガス測定チャンバは、患者の皮膚領域を通過して拡散するガスがガス測定チャンバに入るように構成されている。ガス測定チャンバ及び放射線源は、放射線源によって放射された放射線の少なくとも一部がガス測定チャンバに入るように構成されている。ガス測定チャンバに入る放射線は、二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ二酸化炭素の吸収帯以外の領域にわたる波長を有する。放射線フィルターは、相互作用放射線経路がガス測定チャンバを通って放射線源と放射線フィルターとの間に画定されるように、ガス測定チャンバに対して配置されている。第1の放射線検出器は、相互作用放射線経路に加えて第1の検出放射線経路が画定されるように、放射線フィルターに対して配置されている。第2の放射線検出器は、相互作用放射線経路に加えて第2の検出放射線経路が画定されるように、放射線フィルターに対して配置されている。放射線フィルターは、第1の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ吸収帯以外の領域にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の吸収帯以外の領域にわたる放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている。放射線フィルターは、第2の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の吸収帯以外の領域にわたる波長を有し、かつ吸収帯にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の吸収帯にわたる放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている。第1及び第2の放射線検出器からの信号は、患者の皮膚における二酸化炭素の分圧の決定に使用可能である。
【0017】
換言すれば、非侵襲二酸化炭素測定装置は、干渉フィルターを使用して、二酸化炭素吸収帯にわたる放射線を二酸化炭素吸収帯ではない放射線から分離する。次いで、吸収帯にわたる全ての放射線は、第1の検出器に向けられ、この波長範囲上の最小放射線は、第2の検出器に送られ得る。しかし、第2の検出器は、二酸化炭素による吸収が最小になり得る異なる波長範囲上の放射線を全て検出でき、第1の検出器は、この波長範囲上の放射線は検出できない。このようにして、各検出器には、バックグラウンド信号が最小限に抑えられた、可能な限り最大の信号が提供され、第1の検出器が、二酸化炭素の吸収を検出し、第2の検出器が、基準信号検出器として作用する。
【0018】
そのため、フィルターは、二酸化炭素の吸収帯の波長を透過し、他の波長を反射する通過帯域フィルターとすることができ、又はフィルターは、二酸化炭素の吸収帯の波長を反射し、他の波長を透過させることができる。
【0019】
そのため、ガスセンサーは最小限の構成要素を備え、これはサイズが低減することにつながり、同時に、信号強度が増大され、これは信号対雑音を増大し、検出時間を低減することができることにつながり、製造及び組み立ての許容誤差が厳格ではないため、組み立てが容易であり、これは非常にコンパクトであり、高い信号強度を示し、組み立てが簡単であり、過度に高価ではないセンサー装置全体につながる。
【0020】
一実施例では、放射線フィルターは、第2の検出放射線経路が放射線フィルターを透過した放射線を含み、第1の検出放射線経路が放射線フィルターから反射された放射線を含むように構成されている。
【0021】
換言すれば、放射線フィルターから反射された放射線は、二酸化炭素の吸収帯の放射線を有し、ガス状二酸化炭素の存在を検出するために使用される。同時に、フィルターによって透過された放射線は、二酸化炭素の吸収帯以外の領域の放射線を有し、基準信号として使用することができる。
【0022】
別の言い方をすれば、装置は、検出されるガスの吸収帯を反射し、基準チャネルとして他の波長にわたって透過するフィルターを使用する。
【0023】
一実施例では、放射線フィルターは、ガスによる吸収が最小になる波長を中心とした透過通過帯域を含む。
【0024】
このようにして、基準信号として作用する放射線フィルターを透過した放射線は、低吸収領域が中心であり、測定チャンバ内のガスの存在によって摂動されない。
【0025】
一実施例では、透過通過帯域の中心波長は、3.91マイクロメートル(μm)である。他の通過帯域波長は、特に他のガスを検出する際に使用することができる。
【0026】
このように放射線フィルターを構成することによって、中心通過帯域透過波長は、HO又はNOの寄生吸収線のような寄生吸収線から離れている。
【0027】
一実施例では、透過通過帯域の全幅半値は、90ナノメートル(nm)である。他の全幅半値を使用することができる。
【0028】
そのため、放射線フィルターは、獲得することができる信号を最大化する中心透過波長及び全幅半値を有する狭帯域透過フィルターとして構成され、同時に、HO又はNOの寄生吸収線などの寄生吸収線上にわたる放射線が検出されないことを確実にする。
【0029】
一実施例では、装置は、第2の放射線フィルターを備える。第2の放射線フィルターは、第1の検出放射線経路が第2の放射線フィルターを透過した放射線を含むように構成されている。
【0030】
換言すれば、第1の放射線フィルターは、基準信号に使用される放射線を透過し、第1の放射線フィルターは、二酸化炭素の存在を検出するために使用される放射線を反射する。そのため、コスト的に有効な第1のフィルターを使用して、放射線を透過して、基準信号の検出を最適化し、かつ反射信号を提供することができ、この反射信号は、この反射された信号を最適化できない場合に二酸化炭素の検出に使用される。しかし、この検出チャネルでは、第2の放射線フィルターを使用することができ、例えば、二酸化炭素の吸収帯が中心となる狭通過帯域を有する。次いで、この組み合わせにより、全ての利用可能な光子が各チャネルにおいて検出されるため、信号対雑音の増大及びダイナミックレンジの増大をもたらす。これは、各チャネルが効果的に、必要な光子のみをそれぞれの検出器に伝搬することを可能にするフィルターを有し、必要な基準信号又は必要な二酸化炭素検出信号のいずれも提供しない外来光子をそれぞれのチャネルから除外するためである。
【0031】
別の言い方をすれば、第1のフィルターは、吸収がほとんどないスペクトルの一部に中心を置く狭通過帯域透過フィルターとすることができ、例えば、出力源におけるドリフトを考慮する基準チャネルを提供する。このフィルターは、次いで、二酸化炭素の吸収帯にわたる広帯域反射を有することができる。次いで、この第2の検出チャネルで使用される第2の放射線フィルターは、再び狭通過帯域透過フィルターであり、これは、二酸化炭素の吸収帯に中心を置く。
【0032】
このようにして、第1及び第2の検出放射線経路内の放射線は、最適な基準信号決定と共に最適な二酸化炭素検出を提供するように別々に制御することができる。これは、検出対象の放射線を最大化し、不要な放射線を除外し、それによって、信号対雑音及びダイナミックレンジを最大化する方式で行うことができる。2つのフィルターを使用することにより、ガス検出選択性が改善される。
【0033】
一実施例では、第2の放射線フィルターは、二酸化炭素の吸収帯にわたる透過通過帯域を含む。
【0034】
一実施例では、透過通過帯域の中心波長は、4.26マイクロメートル(μm)である。他の通過帯域波長は、他のガスを検出する際に使用することができる。
【0035】
一実施例では、透過通過帯域の全幅半値は、180ナノメートル(nm)である。他の全幅半値を使用することができる。
【0036】
一実施例では、放射線フィルターは、ガスシールとしてガス測定チャンバに作用する。
【0037】
一実施例では、第2の放射線フィルターは、ガスシールとしてガス測定チャンバに作用する。
【0038】
第2の態様によれば、
第1の態様による二酸化炭素を検出する装置と、
処理ユニットと、
出力ユニットと、を備える、二酸化炭素を検出するシステムを提供する。
【0039】
処理ユニットは、装置を制御するように構成されており、かつ出力ユニットを制御するように構成されている。装置は、第1の放射線検出器からの信号及び第2の放射線検出器からの信号を処理ユニットに提供するように構成されている。処理ユニットは、患者の皮膚における二酸化炭素の分圧を計算するように構成されており、この計算は、第1の放射線検出器からの信号及び第2の放射線検出器からの信号の利用を含む。出力ユニットは、二酸化炭素の分圧を表すデータを出力するように構成されている。
【0040】
一実施例では、計算は、第2の放射線検出器からの信号と第1の放射線検出器からの信号との差を含む。
【0041】
第3の態様によれば、
a)ハウジングの一部を、患者の皮膚領域と接触して位置決めする工程であって、ハウジングの一部及びハウジング内のガス測定チャンバは、患者の皮膚領域を通過して拡散するガスがガス測定チャンバに入るように構成されている、工程と、
b)ハウジング内の放射線源から放射線を放射する工程であって、放射線源によって放射された放射線の少なくとも一部が、ガス測定チャンバに入り、ガス測定チャンバに入る放射線は、二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ二酸化炭素の吸収帯以外の領域にわたる波長を有する、工程と、
c)相互作用放射線経路がガス測定チャンバを通って放射線源と放射線フィルターとの間に画定されるように、放射線フィルターを、ガス測定チャンバに対して配置する工程と、
d)相互作用放射線経路に加えて第1の検出放射線経路が画定されるように、第1の放射線検出器を、放射線フィルターに対して配置する工程であって、相互作用放射線経路に加えて第2の検出放射線経路が画定されるように、第2の放射線検出器が、放射線フィルターに対して配置され、放射線フィルターは、第1の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ吸収帯以外の領域にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように構成されており、放射線フィルターは、第2の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の吸収帯以外の領域にわたる波長を有し、かつ吸収帯にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている、工程と、
e)第1の放射線検出器からの信号及び第2の放射線検出器からの信号を使用して、患者の皮膚における二酸化炭素の分圧を決定する工程と、を含む、二酸化炭素を検出する方法を提供する。
【0042】
別の態様によれば、コンピュータプログラム要素が処理ユニットによって実行されると、前述のような方法工程を実行するように適合された、前述のような装置及び/又はシステムを制御するコンピュータプログラム要素が提供される。
【0043】
また、前述のようなコンピュータ要素を記憶しているコンピュータ可読媒体も提供される。
【0044】
有利には、上記の態様のいずれかによって提供されるメリットは、他の態様の全てに等しく適用され、逆もまた同様である。
【0045】
上記の態様及び実施例は、以下に記載される実施形態から明らかになり、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
以下の図面を参照して、例示的な実施形態を以下に説明する。
図1】二酸化炭素を検出する装置の一例の概略セットアップを示す。
図2】二酸化炭素を検出するシステムの一例の概略セットアップを示す。
図3】二酸化炭素を検出する方法を示す。
図4】二酸化炭素を検出する装置の詳細な概略例を示す。
図5】二酸化炭素を検出する装置の一部の詳細な概略例を示す。
図6】二酸化炭素を検出する装置の一部の詳細な概略例を示す。
図7】二酸化炭素を検出する装置の一例のアクティブ透過窓及び基準透過窓を示す。
図8】二酸化炭素を検出する装置の一例に使用される放射線フィルターを傾斜させる効果を示す。
図9】フィルターのための二酸化炭素を検出する装置の一例のアクティブ透過窓及び基準透過窓を示し、基準チャネル上の放射線フィルターは、45度傾斜している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、二酸化炭素を検出する装置10の一例を示す。装置は、ハウジング20と、ガス測定チャンバ30、放射線源40と、第1の放射線検出器50と、第2の放射線検出器60と、放射線フィルター70とを備える。ガス測定チャンバ30、放射線源40、第1の放射線検出器50、第2の放射線検出器60、及び放射線フィルター70は、ハウジング20内に収容されている。ハウジング20の一部は、患者の皮膚領域と接触して位置決めされるように構成されている。ハウジング20の一部及びガス測定チャンバ30は、患者の皮膚領域を通過して拡散するガスがガス測定チャンバ30に入るように構成されている。ガス測定チャンバ30及び放射線源40は、放射線源40によって放射された放射線の少なくとも一部がガス測定チャンバ30に入るように構成されている。ガス測定チャンバ30に入る放射線は、二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ二酸化炭素の吸収帯以外の領域にわたる波長を有する。放射線フィルター70は、相互作用放射線経路がガス測定チャンバ30を通って放射線源40と放射線フィルター70との間に画定されるように、ガス測定チャンバ30に対して配置されている。第1の放射線検出器50は、相互作用放射線経路に加えて第1の検出放射線経路が画定されるように、放射線フィルター70に対して配置されている。第2の放射線検出器60は、相互作用放射線経路に加えて第2の検出放射線経路が画定されるように、放射線フィルター70に対して配置されている。放射線フィルター70は、第1の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ吸収帯以外の領域にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の吸収帯以外の領域にわたる放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている。放射線フィルター70は、第2の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の吸収帯以外の領域にわたる波長を有し、かつ吸収帯にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の吸収帯にわたる放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている。第1の放射線検出器50及び第2の放射線検出器60からの信号は、患者の皮膚における二酸化炭素の分圧の決定に使用可能である。
【0048】
一実施例では、ガス測定チャンバは、内面が金、銀、又はアルミニウム若しくは酸化アルミニウムでコーティングされている。このようにして、最大量の放射線が検出器に入る。
【0049】
一実施例では、ガス測定チャンバは、反射管を備える。
【0050】
一実施例では、ガス測定チャンバの内面は、二酸化炭素の吸収帯の波長よりも小さい表面粗さを有する。一実施例では、ガス測定チャンバの内面は、二酸化炭素の吸収帯の波長の半分よりも小さい表面粗さを有する。一実施例では、ガス測定チャンバの内面は、二酸化炭素の吸収帯の波長の4分の1よりも小さい表面粗さを有する。一実施例では、ガス測定チャンバの内面は、二酸化炭素の吸収帯の波長の8分の1よりも小さい表面粗さを有する。このようにして、散乱が低減され、最大量の放射線が検出器に向かうことにつながる。
【0051】
一実施例では、放射線源は、ガスシールとしてガス測定チャンバに作用する。このようにして、必要な構成要素数を更に削減し、固有コスト及び組み立てコストの点で、更なるコスト的に有効な解決策をもたらす。
【0052】
一実施例では、放射線源は、LEDである。
【0053】
一実施例では、放射線源は、中赤外線波長範囲にわたって動作する。一実施例では、放射線源は、赤外線波長範囲にわたって動作する。一実施例では、放射線源は、可視波長範囲にわたって動作する。
【0054】
一実施例では、放射線源は、波長範囲3.8~4.5μmにわたる、その放射線の大部分を生成する。
【0055】
一実施例では、装置は、ガス測定チャンバと流体連通し、患者の皮膚領域と接触して位置決めされるように構成されたハウジングの一部と流体連通する少なくとも1つのチムニーを備える。このようにして、患者の皮膚を通過して拡散するガスを、ガス測定チャンバに移送することができる。チムニーはガス測定チャンバに対して垂直であり得る。これによって、ガス測定チャンバの効率が向上する。
【0056】
一実施例では、第2の放射線検出器からの信号は、放射線源の較正に使用可能である。そのため、供給源が同じ強度の放射線をガス測定チャンバ内に提供するように、フィードバックループを提供することができる。
【0057】
一実施例では、第2の放射線検出器及び第1の放射線検出器からの信号の差は、患者の皮膚における二酸化炭素の分圧の計算に使用可能である。
【0058】
一実施例では、ガス測定チャンバの総容量は、2μL以下である。一実施例では、ガス測定チャンバ及び少なくとも1つのチムニーの総容量は、2μL以下である。
【0059】
一実施例では、代替的な構成の装置は、二酸化炭素の検出のために動作するのではなく、HO又は麻酔ガスの検出のために動作することができる。放射線フィルターは、第1の検出放射線経路内の放射線がHO(又は麻酔ガス)の吸収帯にわたる波長を有し、かつ吸収帯以外の領域にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように適切に構成されており、放射線フィルターは、第2の検出放射線経路内の放射線がHO(又は麻酔ガス)の吸収帯以外の領域にわたる波長を有し、かつ吸収帯にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている。
【0060】
一実施例によれば、放射線フィルターは、第2の検出放射線経路が放射線フィルターを透過した放射線を含み、第1の検出放射線経路が放射線フィルターから反射された放射線を含むように構成されている。
【0061】
一実施例では、放射線フィルターは、二酸化炭素の吸収帯にわたる反射通過帯域を含む。
【0062】
一実施例では、反射通過帯域の中心波長は、4.26マイクロメートルである。
【0063】
一実施例では、反射通過帯域の全幅半値は、180ナノメートルである。
【0064】
一実施例では、装置は、第2の放射線フィルターを備え、第2の放射線フィルターは、第2の検出放射線経路が第2の放射線フィルターを透過した放射線を含むように構成されている。
【0065】
一実施例では、第2の放射線フィルターは、ガスによる吸収が最小になる中心波長を中心とした透過通過帯域を含む。
【0066】
一実施例では、透過通過帯域の中心波長は、3.91マイクロメートルである。一実施例では、透過通過帯域の中心波長は、3.77マイクロメートルである。一実施例では、透過通過帯域の中心波長は、3.91~3.77マイクロメートルである。換言すれば、3.91μmのために設計されたフィルターは、法線入射にて3.91μmで動作するように使用することができる。しかし、効果的に、透過通過帯域をシフトするように、同じフィルターを角度付けすることができ、45度の角度では、透過通過帯域は、同じフィルターで3.77μmにシフトされ得る。しかし、寄生吸収が発生しない限り、基準データを依然として効果的に得ることができる。そのため、当業者は、所望の向きで機能するように適切な干渉フィルターを設計することができる、又は設計することができた。
【0067】
一実施例では、透過通過帯域の全幅半値は、90ナノメートルである。
【0068】
一実施例では、放射線フィルター及び第2の放射線フィルターは、互いに平行に配向される。
【0069】
そのため、第1のフィルターは、二酸化炭素の吸収帯が存在し、検出チャネルを提供するスペクトルの一部に中心を置く狭通過帯域反射フィルターとすることができる。フィルターは、吸収がほとんどないスペクトルの一部上にわたる広帯域透過プロファイルを有することができ、例えば、出力源におけるドリフトを考慮する基準チャネルを提供する。基準チャネルでは、このチャネルにおける信号対雑音を更に増大させ、ダイナミックレンジを最大化するために、吸収がほとんどないスペクトルの一部に中心を置く第2の狭帯域透過フィルターを配置することができる。このようにして、干渉放射線フィルターを再び使用して、検出チャネル及び基準チャネルを提供することができるが、第1のフィルターは、狭帯域ではなく狭帯域反射プロファイルを有する。
【0070】
一実施例によれば、放射線フィルターは、ガスによる吸収が最小になる波長を中心とした透過通過帯域を含む。
【0071】
一実施例によれば、透過通過帯域の中心波長は、3.91マイクロメートルである。
【0072】
一実施例では、中心波長は、異なる寄生吸収帯に関連し得る。
【0073】
一実施例によれば、透過通過帯域の全幅半値は、90ナノメートルである。
【0074】
一実施例によれば、装置は、第2の放射線フィルター80を備える。第2の放射線フィルター80は、第1の検出放射線経路が第2の放射線フィルター80を透過した放射線を含むように構成されている。
【0075】
一実施例では、第2の放射線フィルターは、放射線フィルターに対して45度の角度で配向される。そのため、第2の放射線フィルター、及び第2の放射線フィルターの背後に置かれた第2の放射線検出器は、入射放射線に対して概ね垂直に配向され得る。これは、最大の利用可能な信号が存在し、干渉フィルターは、90度で動作するものを選択することができ、より安価で正確な二酸化炭素検出ソリューションを提供することができることを意味する。放射線フィルター及び第1の放射線検出器は、効果的に基準放射線チャネルを検出し、入射放射線に対して45度で配向され得る。放射線が角度検出器の上に拡散されるため、最大利用可能信号に対する信号の損失があるが、放射線フィルターは、これが問題とならないように、検出される放射線の強度が依然として十分にあるように設計され得る。
【0076】
一実施例では、放射線フィルターは、ガス測定チャンバの中心軸に対して45度の角度で配向される。
【0077】
一実施例では、装置は、ガス測定チャンバの一端に位置するプリズムを備え、放射線フィルターは、プリズムの第1の表面に位置し、第2の放射線フィルターは、プリズムの第2の表面に位置する。
【0078】
一実施例では、プリズムの第3の表面は、ガス測定チャンバのガスシールとして作用する。このようにして、必要な構成要素数を更に削減し、固有コスト及び組み立てコストの点で、更なるコスト的に有効な解決策をもたらす。
【0079】
一実施例では、プリズムは、サファイアプリズムである。
【0080】
一実施例では、第1、第2、及び第3の表面に加えて、プリズムの少なくとも1つの表面は、金、銀、又はアルミニウムでコーティングされている。
【0081】
一実施例によれば、第2の放射線フィルターは、二酸化炭素の吸収帯にわたる透過通過帯域を含む。
【0082】
一実施例によれば、透過通過帯域の中心波長は、4.26マイクロメートルである。
【0083】
一実施例によれば、透過通過帯域の全幅半値は、180ナノメートルである。
【0084】
一実施例によれば、放射線フィルターは、ガスシールとしてガス測定チャンバに作用する。このようにして、必要な構成要素数を更に削減し、固有コスト及び組み立てコストの点で、更なるコスト的に有効な解決策をもたらす。
【0085】
一実施例によれば、第2の放射線フィルターは、ガスシールとしてガス測定チャンバに作用する。このようにして、必要な構成要素数を更に削減し、固有コスト及び組み立てコストの点で、更なるコスト的に有効な解決策をもたらす。
【0086】
上述のように、異なる構成の装置は、二酸化炭素の代わりにHO又は麻酔ガスを検出することができ、放射線フィルター及び第2の放射線フィルターは、適切に構成されており、この二酸化炭素の吸収帯及び二酸化炭素の吸収帯以外の領域は、H2O又は麻酔ガスのためのかかるスペクトル領域を指すことができる。
【0087】
図2は、二酸化炭素を検出するシステム100の一例を示す。システム100は、図1に関して上述のように、二酸化炭素を検出する装置10を備える。システムはまた、処理ユニット110及び出力ユニット120を含む。処理ユニット110は、装置10を制御するように構成されており、かつ出力ユニット120を制御するように構成されている。装置10は、第1の放射線検出器からの信号及び第2の放射線検出器からの信号を処理ユニット110に提供するように構成されている。処理ユニット110は、患者の皮膚における二酸化炭素の分圧を計算するように構成されている。計算は、第1の放射線検出器50からの信号及び第2の放射線検出器60からの信号の利用を含む。出力ユニット120は、二酸化炭素の分圧を表すデータを出力するように構成されている。
【0088】
一実施例では、計算は、第2の放射線検出器からの信号と第1の放射線検出器からの信号との差を含む。
【0089】
システムに対しては、工場を去る前の初期較正は依然として必要であり得るが、使用中の較正は不要である。これは、既製であり得る構成要素が最小数で、組み立てが容易になり、したがって、コスト的に有効な解決策を提供する。必要な波長範囲にわたる利用可能な光子の最大量がアクティブ(二酸化炭素検出チャネル)及び基準(比較的非吸収性及び非摂動チャネル)の両方において使用されるため、長期間にわたって、CO濃度測定について、短い応答時間で信頼性のある結果を提供する。システムの装置は、時々交換が行われることのある膜を有する場合があるが、電気化学センサーにおいて知られている複雑な再膜化(re-membraning)手順は避けられる。システムは、温度的に安定しており、使用時の信頼性が高く、光ガイドを必要としない。なぜなら、光源が、内蔵型広帯域光源であるからである。更に、これは、チューナブルレーザーより安価である。
【0090】
図3は、基本工程における二酸化炭素を検出する方法200を示す。方法200は、以下の工程を含む。
【0091】
工程a)とも呼ばれる位置決めする工程210において、ハウジングの一部を、患者の皮膚領域と接触して位置決めする工程であって、ハウジングの一部及びハウジング内のガス測定チャンバは、患者の皮膚領域を通過して拡散するガスがガス測定チャンバに入るように構成されている、工程。
【0092】
工程b)とも呼ばれる放射する工程220において、ハウジング内の放射線源から放射線を放射する工程。放射線源によって放射された放射線の少なくとも一部は、ガス測定チャンバに入る。ガス測定チャンバに入る放射線は、二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ二酸化炭素の吸収帯以外の領域にわたる波長を有する。
【0093】
工程c)とも呼ばれる配置する工程230において、相互作用放射線経路がガス測定チャンバを通って放射線源と放射線フィルターとの間に画定されるように、放射線フィルターを、ガス測定チャンバに対して配置する工程。
【0094】
工程d)とも呼ばれる配置する工程240において、相互作用放射線経路に加えて第1の検出放射線経路が画定されるように、第1の放射線検出器を、放射線フィルターに対して配置する工程。工程d)はまた、相互作用放射線経路に加えて第2の検出放射線経路が画定されるように、第2の放射線検出器を、放射線フィルターに対して配置する工程を含む。放射線フィルターは、第1の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の吸収帯にわたる波長を有し、かつ吸収帯以外の領域にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている。放射線フィルターはまた、第2の検出放射線経路内の放射線が二酸化炭素の吸収帯以外の領域にわたる波長を有し、かつ吸収帯にわたる放射線の強度が相互作用放射線経路内の放射線の強度よりも著しく小さいように構成されている。
【0095】
工程e)とも呼ばれる決定する工程250において、第1の放射線検出器からの信号及び第2の放射線検出器からの信号を使用して、患者の皮膚における二酸化炭素の分圧を決定する工程。
【0096】
一実施例では、第2の検出放射線経路を形成することは、放射線フィルターを放射線が透過することを含み、第1の検出放射線経路を形成することは、放射線フィルターから放射線を反射することを含む。
【0097】
一実施例では、放射線フィルターは、ガスによる吸収が最小になる中心波長を中心とした透過通過帯域を含む。
【0098】
一実施例では、透過通過帯域の中心波長は、3.91マイクロメートルである。
【0099】
一実施例では、透過通過帯域の全幅半値は、90ナノメートルである。
【0100】
一実施例では、本方法は、第2の放射線フィルターを配置する工程を含み、第1の検出放射線経路を形成することは、第2の放射線フィルターを放射線が透過することを含む。
【0101】
一実施例では、第2の放射線フィルターは、二酸化炭素の吸収帯にわたる透過通過帯域を含む。
【0102】
一実施例では、透過通過帯域の中心波長は、4.26マイクロメートルである。
【0103】
一実施例では、透過通過帯域の全幅半値は、180ナノメートルである。
【0104】
一実施例では、放射線フィルターは、ガスシールとしてガス測定チャンバに作用する。
【0105】
一実施例では、第2の放射線フィルターは、ガスシールとしてガス測定チャンバに作用する。
【0106】
二酸化炭素を検出する装置、システム、及び方法は、ここで、図4図9と併せてより詳細に記載される。
【0107】
図4は、人間の患者の皮膚1中のCO分圧を測定するための装置10の例を示す詳細な概略ブロック図である。装置10は、外側の点線として示されるハウジング20と、内側の点線として示されるガス測定ユニットと、を備える。ハウジングの一部は、使用時に患者の皮膚1に接触する膜13の形態の患者インターフェースである。この膜はまた、例えば、水分及び埃から装置を保護する働きをする。装置はまた、加熱要素17の制御に使用される装置温度を測定するためのサーミスター11を含んでいる。更に、サーミスター11からの温度値は、検出器の信号をセバリングハウスの方程式などによりCO分圧に変換するときの信号処理に使用される。2つのチムニー18が、ガス測定チャンバ30を、膜13を介して皮膚表面に接続している。それによって、皮膚を通過して拡散するガスが、膜13及びチムニー18を通過して測定チャンバ30へと運ばれる。測定チャンバは、一方の端部が、光源40によって閉鎖される。測定チャンバは、他方の端部が、第1の放射線検出器50、第2の放射線検出器60、放射線フィルター70、及び第2の放射線フィルター80を有する検出器システムよって閉鎖される。電子基板14は、増幅、フィルタリング、A/D変換器、及び信号処理手段を含む。電子基板14は、デュアルチャネル検出器システムと通信を行い、第1の放射線検出器50及び第2の放射線検出器60から受信した信号を、患者の皮膚中の血液ガス分圧を表す値に変換する。更に、電子基板14における信号処理では、装置10の表面温度に関する情報を、サーミスター11のうちの少なくとも1つから受信し、装置10を加熱する加熱要素17を制御する。電子基板14のいくつかの機能は、例えば、二酸化炭素の分圧を計算し、次いで出力ユニット120(図示せず)によって出力される処理ユニット110(図示せず)によって引き受けられ得る。
【0108】
加熱要素17を使用して装置10をウォームアップし、それによって人間の患者の皮膚をウォームアップする。また、サーミスター11を使用して加熱要素17を制御し、適用中の装置の正確な温度を得て、患者の皮膚の火傷を防ぐ。図1を使用して説明されるデザインには、2つのサーミスター11がある。この目的のためには1つのサーミスター11で十分であるが、正確な温度を測定して血液ガス分圧を計算すること、並びに、患者の皮膚の火傷を防ぐことが重要であるため、2つ設けて温度制御を二重化させる。装置10の加熱は病院スタッフによってプログラミングされ、測定時間及び温度を定義し得る。電子基板14はまた、例えば、モニター、電気ケーブル若しくはスマートフォンを介して接続されるコントローラーユニット、コンピュータ、又は、WiFi、Bluetooth、GSM若しくは同様のネットワークなどの無線手段を介して接続されるタブレットなどの外部デバイス(図示せず)との通信を管理する。しかしながら、上述のように、電子基板14の機能の一部又は実際には全ては、処理ユニット110によって実行することができる。
【0109】
膜13は、装置10の内部部品(例えば、電子部品、チムニー18、及びガス測定チャンバ30)を、水分及び埃などの侵入粒子から保護する。膜13は、血液ガスに対して浸透性を有し、疎水性を有し、機械的に頑丈であり、また、アルコール消毒綿、コンタクトジェル、又は汗と接触したときに浸透性又は構造的挙動が変化しない。そのため、血液ガスが、患者の皮膚から拡散して、膜13を透過することができる。その一方で、埃及び水分が膜13を透過するのを阻止する。このような埃及び水分は、場合により、装置10、測定部、電子部品を損傷し得、又は、チムニー18を詰まらせて患者の皮膚とガス測定チャンバ30との間の血液ガス用通路が遮られるのを阻止し得る。
【0110】
チムニー18は、直径200μmを有することができ、長さ4mm以下を有することができる。チムニーの長さは、可能な限り短いことが好ましい。なぜなら、チムニー内のガスの量がガス測定チャンバ30の総容量に追加されるため、この量が、感度にマイナスに影響し得るからである。しかし、光検出器及び光源をガス測定チャンバ30のいずれかの側に配置し、かつ、サーミスター11を装置の表面に取り付けるため(皮膚温度を検出するためにサーミスターを皮膚の近くに配設する必要があるので)には、ある程度の長さが必要である。チムニー18の直径もまた、総容量に追加される。そのため、短いセンサー応答時間を維持するためには、可能な限り小さい直径を選択するべきである。その一方で、直径が大きいと、侵入粒子によるチムニー18の詰まりのリスクが低減され、また、皮膚と測定チャンバ23との間でガスが流れやすくなる。そのため、ここでは、直径200μmが妥協となる。1つのチムニーではチムニーの部分的又は完全な詰まりのリスクを増加させる場合があり、3つ以上のチムニー18では総容量及び応答時間を増加させる場合があるため、2つのチムニー18が選択されている。ガス測定チャンバ30は、総容量(ここでは2つのチムニー18の容積を含む)が2μL以下である。時間単位当たり少量のガスが皮膚を通過して拡散することにより、容積が大きいと、装置10の応答時間が増加するであろう。応答時間は、好ましくは1分を超えないべきである。このため、2μL以下の容積が良好な妥協であることが分かった。測定チャンバ30の相互作用長さ、すなわち、光が血液ガス分子と相互作用し得る測定チャンバ30の長さは、1.5mm~30mmの範囲内である。図6に示すように、装置の一例では7.5mmの長さが使用されている。
【0111】
図5は、二酸化炭素を検出する装置の一部の詳細な例を示す。この例では、サファイアプリズムを使用して、ガスシールをガス測定チャンバに提供し、ここでは「検出セル」として示される。1つの干渉フィルター検出器対は、ガス測定チャンバの中心軸に対して45度で配向される。干渉フィルターは、サファイアプリズムの出力面上に位置する。放射線フィルターは、ガスによる吸収が最小であり、他の波長で反射する波長に位置する透過通過帯域を有する。反射された放射線は、サファイアプリズムを通過して伝搬し、サファイアプリズムの第2の面に90度で入射する。第2の干渉フィルター検出器対は、サファイアプリズムのこの出射面に位置する。干渉フィルターは、二酸化炭素の吸収帯を中心とした透過通過帯域を有する。そのため、第2の干渉フィルター及び検出器対は、二酸化炭素を検出する働きをし、フィルターが90°で使用されているため、既製のフィルターを利用することができ、それによってコストを節約することができる。同時に、第1の干渉フィルター及び検出器対は、ガス測定チャンバを通過して伝搬する放射線の強度に関する情報を提供する基準チャネルとして機能する。サファイアプリズムは、利用可能な放射線を最大化するために、上述の金でコーティングされた、入力位相及び2つの出力面以外の面を有することができる。この構成では、ガス測定チャンバを通過して伝播する放射線の相互作用長さは、基準チャネル及び検出器チャネルに関してして正確に同じである。図では、光学フィルターは、上述の干渉フィルターを指すために使用され、帯域通過を有するフィルターは実際には、1つ目がローパスフィルターであり、2つ目がハイパスフィルターである2つのフィルターの組み合わせによって形成され得るという点に留意されたい。
【0112】
図6は、二酸化炭素を検出する装置の一部の詳細な例を示し、これは、図5に示されるものとはわずかに異なる構成である。図6に示す構成では、サファイアプリズムは使用されず、それによってコストが削減される。第1及び第2のフィルター自体は、ガス測定チャンバの気密シールとして機能する。基準チャネル及び検出器チャネルについての放射線の相互作用経路長は、わずかに異なるが、未知の長さで異なるため、考慮することができる。図6に示す第1の放射線フィルター(干渉フィルター)及び第2の放射線フィルター(干渉フィルター)、並びに関連する第1及び第2の検出器は、図5に示すものと同じである。
【0113】
図5図6では、第1の干渉フィルターは、吸収機能から離れた透過帯域を有するが、検出されるガスの吸収帯にわたって反射し、この場合、適切なフィルターが設計されている場合には、二酸化炭素は他のガスである場合がある。次いで、第2のフィルターは、検出されるガスの吸収帯に位置する透過帯域を有する。しかし、装置は、反対の方式で動作することができる。そのため、第1の放射線フィルター及び検出器は、二酸化炭素の吸収帯にわたって位置する狭透過帯域を有する第1の放射線フィルターによって検出器チャネルに適合する。この第1の放射線フィルターは、第2の放射線フィルターに向かって他の放射線を反射する。次いで、第2の放射線フィルターは、摂動又は吸収がほとんど存在しないスペクトルの領域に位置する狭透過帯域を有することができる。
【0114】
図7は、上述の装置のスペクトルの様々な部分にわたって示される検出器チャネル(アクティブチャネル)及び基準チャネルによるスペクトルを示す。
【0115】
上述のように、装置は、患者の二酸化炭素の分圧を検出するためのコスト的に有効な解決策を提供することが重要である。記載された装置は、最小数の構成要素を有し、明らかに製造の許容誤差が厳格ではなく、製造が容易である。加えて、標準的な既製の干渉フィルターを、4.26μmmを中心とした検出器チャネルに使用することができる。出願人は、基準チャネルに好適な標準的な既製の干渉フィルターが、3.91μmmを中心とした通過帯域を有することを見出した。しかしながら、法線入射からフィルターを傾斜させることにより、透過通過帯域がわずかにシフトする。これは図8及び図9に示されており、このようなフィルターは、45°の角度で傾斜させた場合も依然として使用に適しているが、それは、得られた3.77μmでの透過通過帯域自体が、スペクトルの適切な非摂動及び非吸収部分に位置するためである。したがって、本システムはまた、構成要素自体、及びこれらの構成要素のアセンブリに関して、コスト的に有効な解決策を提供する。
【0116】
別の例示的な実施形態では、適切な装置又はシステム上で、前述の実施形態のうちの1つに従った方法の方法工程を実行するように構成されていることを特徴とする、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0117】
したがって、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニット上に記憶されてもよく、これは、一実施形態の一部でもあり得る。この算定ユニットは、上述の方法の工程を実行する、又は上述の方法の工程を実行することを誘導するように構成されてもよい。更に、算定ユニットは、上述の装置及び/又はシステムの構成要素を動作させるように構成されてもよい。算定ユニットは、自動的に動作するように、及び/又はユーザの注文を実行するように構成されてもよい。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリにロードされてもよい。そのため、データプロセッサは、前述の実施形態のうちの1つに従った方法を実行するように装備されてもよい。
【0118】
本発明のこの例示的な実施形態は、本発明を最初から使用しているコンピュータプログラムと、更新によって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を網羅する。
【0119】
更に、コンピュータプログラム要素は、上述の方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために、必要な全ての工程を提供することが可能であり得る。
【0120】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータ可読媒体(例えば、CD-ROM、USBスティックなど)が提示され、コンピュータ可読媒体は、その上に記憶されたコンピュータプログラム要素を有し、このコンピュータプログラム要素は、前述の節によって説明されている。
【0121】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体などの好適な媒体上に記憶及び/又は分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介して、他の形態で分散されてもよい。
【0122】
しかし、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上に提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードすることができる。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素が、本発明の前述の実施形態のうちの1つに従った方法を実行するように構成される、ダウンロードに利用可能なコンピュータプログラム要素を形成する媒体を提供する。
【0123】
本発明の実施形態は、異なる主題に関して説明されるという点に留意されたい。具体的には、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項に関して説明されているが、他の実施形態は、デバイスタイプの請求項に関して説明されている。しかし、当業者は、別の方法で通知されない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせも本出願で開示されると考えられることを、上記及び以下の説明から収集するであろう。しかし、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計よりも大きい共力効果を提供することができる。
【0124】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に説明及び記載されてきたが、そのような例証及び説明は、説明的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、開示、及び従属請求項の研究から、特許請求される発明を実施する際の当業者によって理解及び達成され得る。
【0125】
請求項において、「含む(comprising)」という語は、他の要素又は工程を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されたいくつかの項目の機能を満たすことができる。特定の手段が、互いに異なる従属請求項に挙げられている又は異なる実施形態に説明されているという事実だけでは、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないことにはならない。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
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図9