(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】自動給水装置及び壁面緑化方法
(51)【国際特許分類】
A01G 27/00 20060101AFI20220120BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20220120BHJP
A01G 27/02 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A01G27/00 502E
A01G9/02 E
A01G27/02 B
(21)【出願番号】P 2018016009
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】597067231
【氏名又は名称】株式会社 マップ
(74)【代理人】
【識別番号】100158023
【氏名又は名称】牛田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】森 隆治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博喜
(72)【発明者】
【氏名】森 正
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-150867(JP,A)
【文献】登録実用新案第3027161(JP,U)
【文献】特開2005-110515(JP,A)
【文献】特開2017-131207(JP,A)
【文献】特開2005-304452(JP,A)
【文献】特開2001-95402(JP,A)
【文献】実開昭52-87563(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 27/00 - 27/06
A01G 9/00 - 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物育成容器の土中に少なくとも一部が埋設されて使用される自動給水装置であって、
フロートと、
前記フロートの位置に応じて給水を行う給水部と、
前記フロートを収容し、
前記給水部から給水され、前記フロートに対向する位置に開口が形成された
接続パイプを有する本体部と、
前記
接続パイプを介して前記本体部に接続され、前記本体部から給水されるメンテナンス部と、を有し、
前記メンテナンス部には、前記植物育成容器の前記土から露出した蓋部が設けられていて、
前記メンテナンス部から、前記メンテナンス部内に侵入した根を除去可能であって、
前記メンテナンス部の
前記植物育成容器に当接する下端部は、前記植物育成容器の底面から離間するように凹凸部が形成されていて、
前記給水部からの水は前記凹凸部から前記植物育成容器に供給されることを特徴とする自動給水装置。
【請求項2】
前記本体部には、前記植物育成容器の前記土から露出し、前記フロートを視認可能な目視窓が形成され、
前記目視窓には、前記目視窓を開閉する窓蓋が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動給水装置。
【請求項3】
前記植物育成容器には多孔質材が敷設されていて、
前記フロートによる水位は、前記多孔質材の位置よりも低く設定され、
前記植物育成容器には、前記多孔質材よりも低い位置であって前記水位よりも高い位置に排水口が形成されていることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の自動給水装置。
【請求項4】
請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の自動給水装置と、
前記給水部に水を供給する水源と、を用いた壁面緑化方法。
【請求項5】
植物育成容器の土中に少なくとも一部が埋設されて使用される自動給水装置であって、
フロートと、
前記フロートの位置に応じて所定の水位まで給水を行う給水部と、
前記フロートを収容し、前記給水部から給水され、前記フロートに対向する位置に開口が形成された接続パイプを有する本体部と、
前記接続パイプを介して前記本体部に接続され、前記本体部から前記フロートの位置に応じて給水されるメンテナンス部と、を有し、
前記メンテナンス部には、前記植物育成容器の前記土から露出した蓋部が設けられていて、
前記メンテナンス部から、前記メンテナンス部内に侵入した根を除去可能であって、
前記メンテナンス部の前記植物育成容器に当接する下端部は、前記植物育成容器の底面から離間した凹部と前記底面に当接する部分とが形成されていて、前記給水部からの水は前記凹部から前記植物育成容器に供給されることを特徴とする自動給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動給水装置及び壁面緑化方法に関し、特に植物を高い位置まで育成可能な自動給水装置及び壁面緑化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、花壇への自動給水装置が知られている(例えば、特許文献1)。自動給水装置は、フロートの上下動に応じて定水位給水器から水を花壇に供給している。定水位給水器には、花壇に水を供給する出水口が形成されていて、円周方向全周に小孔が形成された多孔通気排水管によって花壇に水が供給される。
【0003】
他の自動給水器では、有底容器の土壌に自動的に給水する自動給水装置に、プランター内の土壌に空気を送り込む送風機が接続されている(例えば、特許文献2)。自動給水装置には、小孔が形成された多孔通気排水管が接続されていて、当該小孔から水を給水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-150867号公報
【文献】特開平10-296045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の自動給水装置では、植物の根が出水口から内部に侵入しフロートに絡みつくという問題があった。フロートに植物の根が絡むと、正常な水位を保つことができずに常に水が供給されることによりオーバーフローしたり、水が供給されずに水位が下がってしまって植物に十分な水を供給できない事態が発生していた。
【0006】
また、植物の根がフロートに絡みついているか否かは外部から判断することができず、異常な水位の状態が長く続くことにより植物への悪影響も発生していた。フロートに根が絡んでいるかを確認し絡みついた根を除去するためには、自動給水装置を分解清掃しなければならず多くの手間と時間がかかっていた。
【0007】
そこで、本発明は植物の根がフロートに絡むことを抑制しメンテナンスが容易な自動給水装置及び高い位置まで植物を育成することができる壁面緑化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために第1の発明は、植物育成容器の土中に少なくとも一部が埋設されて使用される自動給水装置であって、フロートと、前記フロートの位置に応じて給水を行う給水部と、前記フロートを収容し、前記給水部から給水され、前記フロートに対向する位置に開口が形成された接続パイプを有する本体部と、前記接続パイプを介して前記本体部に接続され、前記本体部から給水されるメンテナンス部と、を有し、前記メンテナンス部には、前記植物育成容器の前記土から露出した蓋部が設けられていて、前記メンテナンス部から、前記本体部の前記メンテナンス部内に侵入した根を除去可能であって、前記メンテナンス部の前記植物育成容器に当接する下端部は、前記植物育成容器の底面から離間するように凹凸部が形成されていて、前記給水部からの水は前記凹凸部から前記植物育成容器に供給されることを特徴とする自動給水装置を提供している。
【0009】
第2の発明では、第1の発明に記載された自動給水装置であって、前記本体部には、前記植物育成容器の前記土から露出し、前記フロートを視認可能な目視窓が形成され、前記目視窓には、前記目視窓を開閉する窓蓋が設けられていることを特徴としている。
【0011】
第3の発明では、第1の発明または第2の発明に記載された自動給水装置であって、前記植物育成容器には多孔質材が敷設されていて、前記フロートによる水位は、前記多孔質材の位置よりも低く設定され、前記植物育成容器には、前記多孔質材よりも低い位置であって前記水位よりも高い位置に排水口が形成されていることを特徴としている。
【0013】
第4の発明では、上述の自動給水装置と、前記給水部に水を供給する水源と、を用いた壁面緑化方法を提供している。第5の発明では、植物育成容器の土中に少なくとも一部が埋設されて使用される自動給水装置であって、フロートと、前記フロートの位置に応じて所定の水位まで給水を行う給水部と、前記フロートを収容し、前記給水部から給水され、前記フロートに対向する位置に開口が形成された接続パイプを有する本体部と、前記接続パイプを介して前記本体部に接続され、前記本体部から前記フロートの位置に応じて給水されるメンテナンス部と、を有し、前記メンテナンス部には、前記植物育成容器の前記土から露出した蓋部が設けられていて、前記メンテナンス部から、前記メンテナンス部内に侵入した根を除去可能であって、前記メンテナンス部の前記植物育成容器に当接する下端部は、前記植物育成容器の底面から離間する凹部と前記底面に当接する部分とが形成されていて、前記給水部からの水は前記凹部から前記植物育成容器に供給されることを特徴とする自動給水装置を提供している。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によると、本体部にメンテナンス部が接続されているため、メンテナンス部から開口を介してフロートに絡みついた植物の根を除去することができる。特に、フロートと対向する位置に開口が形成されているため、メンテナンス部内に侵入した植物の根を引っ張ることで容易にフロートに絡みついた植物の根を除去することができる。これにより、自動給水装置を分解することなく、容易にフロートに絡みついた植物の根を除去することができる。また、メンテナンス部の下端部には植物育成容器の底面から離間するように凹凸部が形成されているため、植物の根から最も離間した場所に凹凸部が位置している。これにより、メンテナンス部への植物の根の侵入を最小限に抑えることができる。さらに、メンテナンス部を介して給水部からの水を植物育成容器に供給することができる。
【0015】
第2の発明によると、メンテナンス部には外部に露出した開閉可能な蓋部が設けられているため、メンテナンス部の内部に土や埃などが入ることを防止できる。また、蓋部が外部に露出しているため、蓋部を開けることにより容易にメンテナンス部にアクセスすることができる。さらに、本体部にはフロートを視認可能な目視窓が設けられているため、自動給水装置を分解することなくフロートの状態を確認することができる。これにより、自動給水装置のメンテナンスの手間を軽減することができる。また、目視窓は開閉可能であるため、目視窓から本体部内部に土や埃が侵入することを防止できる。また、水に肥料等を供給するとき、自動給水装置を分解することなくメンテナンス部から直接水に肥料を供給することができるため、メンテナンスの負担を軽減することができる。
【0016】
また、蓋部を開けると目視可能な位置に接続開口及び凹凸部が設けられているため、凹凸部からの植物の根の侵入状態を目視で確認することができる。また、蓋部を開けることにより、接続開口から本体部に植物の根が侵入しているか否かを確認することができる。
【0017】
第3の発明によると、植物育成容器の底面には多孔質材が敷設されていて水位が多孔質材よりも低く設定されているため、多孔質材によって水の状態を良好に保つことができるため、自動給水装置を用いて植物を高い位置まで育成し壁面緑化や屋上緑化を行うことができる。また、多孔質材よりも低い位置であって水位よりも高い位置に排水口が形成されているため、雨などによる過剰な水を排出することができる。これにより、植物を枯らすことなく育成することができる。
【0018】
また、本体部にメンテナンス部が接続されているため、メンテナンス部から開口を介してフロートに絡みついた植物の根を除去することができる。特に、フロートと対向する位置に開口が形成されているため、メンテナンス部内に侵入した植物の根を引っ張ることで容易にフロートに絡みついた植物の根を除去することができる。これにより、自動給水装置を分解することなく、容易にフロートに絡みついた植物の根を除去することができる。また、メンテナンス部には水位よりも低い位置に複数の貫通孔が形成されているため、メンテナンス部を介して給水部からの水を植物育成容器に供給することができる。また、水位よりも低い位置に貫通孔が形成されているため、貫通孔と土とを離間させることができ、メンテナンス部への植物の根の侵入を最小限に抑えることができる。
【0019】
第4の発明によれば、上述の自動給水装置と自動給水装置に給水するための水源とを用いることにより、高い位置まで植物を育成することができる壁面緑化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による自動給水装置の斜視図。
【
図2】本発明の第1の実施の形態による自動給水装置の分解斜視図。
【
図3】本発明の第1の実施の形態による自動給水装置の部分断面図。
【
図4】本発明の第1の実施の形態による自動給水装置を植物育成容器に設置したときの断面図。
【
図5】本発明の第1の実施の形態による自動給水装置を用いた植物育成容器を用いて壁面緑化を行ったときの図。
【
図6】本発明の第2の実施の形態による自動給水装置の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施の形態による自動給水装置1を
図1乃至
図5に基づき説明する。
図1乃至
図3に示すように、前後上下左右方向を定義する。自動給水装置1は、
図4に示すように植物10を育成するための植物育成容器11の土14中に少なくとも一部が埋設するように設置され、水源12に接続されることにより植物10への自動給水を行っている。
【0022】
図1乃至
図3に示すように、自動給水装置1は、本体部2と、メンテナンス部3と、フロート4と、給水部5と、から構成されている。本体部2は有底円筒形状をなし、円筒部21と、接続パイプ22と、底部23と、本体蓋24と、を有している。円筒部21は上部に略円形の本体開口2aが形成されていて、図示せぬ延長部材を接続することにより上下方向の長さを延長することができる。円筒部21の下部には、接続パイプ22が接続される略円形の開口2bが形成されている。
図3に示すように、開口2bは、常に前後方向においてフロート4の少なくとも一部と対向する位置に形成されている。
【0023】
接続パイプ22は、円筒部21の下部に前方に突出するように設けられ、前後が開口した円筒形状をなしている。底部23は、円筒部21の底面であって植物育成容器11の底面11Aに載置される。本体蓋24は、本体開口2aを塞ぐように設けられ、円筒部21と係合される。
図2に示すように、本体蓋24の後部には、本体蓋24を貫通する略矩形の目視窓24aが形成されていて、目視窓24aから円筒部21内部のフロート4を視認することができる。目視窓24aには、窓蓋25が着脱可能に設けられている。窓蓋25の下面から下方に向けて突出し目視窓24aと嵌合する嵌合部25Aが設けられていて、嵌合部25Aと目視窓24aとの嵌合は少しの力では外れない程度にきつめに設定されている。
【0024】
メンテナンス部3は、円筒体31と、蓋部32と、を有している。円筒体31は上下が開口した略円筒形状であって上部にメンテナンス開口3bが形成され、下端部には円周方向全周に亘って凹凸部33が形成されている。円筒体31は、人の腕が入る程度の内径を有しており、メンテナンス部3の内部に侵入した植物10の根10Aを除去することができる。凹凸部33は、円筒体31の端面が上方に窪むことにより形成され、当該窪みは円周方向に等間隔又はランダムに形成されている。凹凸部33は、加熱した網目状のヒーターを円筒体31の底部に複数回当接させることにより、円筒体31を部分的に溶融させて形成される。円筒体31の下部であって円筒部21の開口2bと対応する位置に、略円形の接続開口3aが形成されている。接続開口3aに接続パイプ22が挿入されることにより、本体部2の開口2bとメンテナンス部3の接続開口3aとを介して、本体部2とメンテナンス部3とが接続される。接続開口3aと接続パイプ22とは、本体部2とメンテナンス部3とは互いに回転できるが植物10の根10Aが侵入できない程度に嵌合されている。
【0025】
蓋部32は、メンテナンス開口3bを開閉可能に閉塞する蓋であって、取手部32Aを把持することにより開閉される。蓋部32を開けると、凹凸部33、接続開口3a、及び接続開口3aに接続された接続パイプ22を目視することができる。
図3に示すように、蓋部32の上下方向の位置は、本体蓋24よりも僅かに低く設定されている。蓋部32を円筒体31から取り外し、図示せぬ延長部材を円筒体31の上部に接続することにより上下方向の長さを延長することができる。円筒部21及び円筒体31に延長部材を接続したときは、
図3に示すように本体蓋24に対して蓋部32が僅かに低くなることが好ましい。
図4に示すように、メンテナンス部3が植物育成容器11に設置されたとき、凹凸部33と植物育成容器11の底面11Aとの間に給水口3cが形成される。
【0026】
フロート4は、略円柱形状をなし円筒部21の内径よりも僅かに小さい外径を有している。フロート4は例えば、発砲スチロールや密閉された中空の円柱部材を用いることができる。
図3に示すように、フロート4の中心部分には上方に向けて直線状に延びるロッド41が設けられていて、ロッド41の先端部41Aは尖るような形状をなしている。フロート4は、水位20に応じて円筒部21内を上下動する。
【0027】
給水部5は、
図3に示すように、ロッド支持部51と、パッキン部52と、給水パイプ53と、から構成されている。ロッド支持部51は円筒形状をなし、ロッド41を上下動可能に支持している。ロッド支持部51は、ロッド41がパッキン部52に対して垂直に挿入されるように、少なくとも5cm以上の長さを有していることが好ましい。
【0028】
パッキン部52は、ロッド41の先端部41Aと係合することにより給水パイプ53から供給される水を止水するための部材である。先端部41Aとパッキン部52とは、給水パイプ53からの水圧によっても水が漏れない程度に係合されている。植物10の根10Aからの吸水や自然蒸発によって水位20が下がると、フロート4及びロッド41が下降して先端部41Aとパッキン部52との係合が解除され、給水パイプ53から水が給水される。水位20が上昇すると、再び先端部41Aとパッキン部52とが係合し、給水パイプ53からの給水が停止する。水位20は、底面11Aから3cm程度に設定することが好ましい。給水パイプ53は、ホース54を介して水源12に接続されており常時水が供給されている。
【0029】
植物育成容器11は、植物10を植えるためのプランター等であって、底面11Aから5cm程度の高さに排水口11aが形成されている。雨等によって多量に植物10に水が供給されたとしても、排水口11aから自動的に余分な水が排出される。これにより、植物10の根腐りを防止することができる。排水口11aは、水位20よりも高く多孔質材13よりも低い位置に形成されている。
【0030】
次に、
図4を参照して、植物育成容器11に自動給水装置1を設置する方法及び自動給水装置1から植物育成容器11への給水方法について説明する。
【0031】
本体部2の接続パイプ22を接続開口3aに挿入して本体部2とメンテナンス部3とを接続し、ロッド支持部51にロッド41を挿入した状態で本体蓋24を円筒部21に係合させ自動給水装置1を組み上げる。植物育成容器11の上部よりも蓋部32及び本体蓋24が僅かに上方に位置するように、必要に応じて円筒部21及び円筒体31に延長部材を接続し、自動給水装置1を植物育成容器11の底面11Aに載置する。このとき、底部23と底面11Aとが当接するとともに、凹凸部33と底面11Aとの間に給水口3cが形成される。植物育成容器11の底に、多孔質材13を所定の高さまで敷きつめる。多孔質材13は、木炭、シリカ、セラミック等を用いることができる。多孔質材13を植物育成容器11の内部に敷きつめることにより、給水部5からの水が腐敗し難くなるとともに土14内の湿度を一定に保つことができるため、水の状態を安定させ植物の成長を促すことができる。
【0032】
多孔質材13を所定の高さまで積み上げた後、土14を入れ植物10を植える。給水パイプ53にホース54を接続して水源12から水を供給すると、ロッド41の先端部41Aとパッキン部52との係合は外れているため、給水部5から本体部2に水が供給される。給水部5から給水された水は、ロッド支持部51とロッド41との間を通って円筒部21内部に飛散し、開口2bから接続パイプ22を通ってメンテナンス部3に供給され、給水口3cから植物育成容器11に給水される。水が所定の水位まで達すると、フロート4が上昇してロッド41の先端部41Aとパッキン部52とが係合し、給水が停止する。植物10の根10Aからの吸水や自然蒸発によって水位が下がると、フロート4が下がって再び給水部5から給水される。
【0033】
植物10が成長するにつれて根10Aが植物育成容器11の底まで伸び、メンテナンス部3の周囲に絡みつくとともに、給水口3cからメンテナンス部3内部及び本体部2内部に侵入することがある。侵入した10Aは、メンテナンス部3の蓋部32を開けて内部を確認することにより根10Aの侵入を目視で確認できる。また、メンテナンス部3から本体部2に侵入した根10Aは、窓蓋25を開けて目視窓24aからフロート4を目視することにより確認することができる。また、円筒体31に腕を入れてメンテナンス部3及び本体部2の内部に侵入した根10Aを除去することができる。定期的に、窓蓋25を開けメンテナンス開口3bから肥料等を投入する。
【0034】
図5に示すように、本実施の形態の自動給水装置1を用いてヘチマやゴーヤなどの蔓植物を植栽することで、高さ30mほどでビル30の10階程度まで到達する緑のカーテンを実現することができる。また、単一の植物育成容器11で複数種類の植物を育成することができるため、小学校や中学校の理科の教育等に役立てることができる。
【0035】
このような構成によると、本体部2にメンテナンス部3が接続されているため、メンテナンス部3から開口2bを介してフロート4に絡みついた植物10の根10Aを除去することができる。特に、フロート4と対向する位置に開口2bが形成されているため、メンテナンス部3内に侵入した植物10の根10Aを引っ張ることで容易にフロート4に絡みついた植物10の根10Aを除去することができる。これにより、自動給水装置1を分解することなく、容易にフロート4に絡みついた植物10の根10Aを除去することができる。また、メンテナンス部3の下端部には植物育成容器11の底面11Aから離間するように凹凸部33が形成されているため、植物10の根10Aから最も離間した場所に凹凸部33が位置している。これにより、メンテナンス部3への植物10の根10Aの侵入を最小限に抑えることができる。さらに、メンテナンス部3を介して給水部5からの水を植物育成容器11に供給することができる。
【0036】
このような構成によると、メンテナンス部3には外部に露出した開閉可能な蓋部32が設けられているため、メンテナンス部3の内部に土や埃などが入ることを防止できる。また、蓋部32が外部に露出しているため、蓋部32を開けることにより容易にメンテナンス部3にアクセスすることができる。さらに、本体部2にはフロート4を視認可能な目視窓24aが設けられているため、自動給水装置1を分解することなくフロート4の状態を確認することができる。これにより、自動給水装置1のメンテナンスの手間を軽減することができる。また、目視窓24aは開閉可能であるため、目視窓24aから本体部2内部に土や埃が侵入することを防止できる。また、水に肥料等を供給するとき、自動給水装置1を分解することなくメンテナンス部3から肥料を供給することができるため、メンテナンスの負担を軽減することができる。
【0037】
このような構成によると、蓋部32を開けると目視可能な位置に接続開口3a及び凹凸部33が設けられているため、凹凸部33からの根10Aの侵入状態を目視で確認することができる。また、蓋部32を開けることにより、接続開口3aから本体部2に根10Aが侵入しているか否かを確認することができる。
【0038】
このような構成によると、植物育成容器11の底面11Aには多孔質材13が敷設されていて水位が多孔質材13よりも低く設定されているため、多孔質材13によって水の状態を良好に保つことができるため、自動給水装置1によって植物10を高い位置まで育成し壁面緑化や屋上緑化を実現することができる。また、多孔質材13よりも低い位置であって水位20よりも高い位置に排水口11aが形成されているため、雨などによる過剰な水を排出することができる。これにより、植物を枯らすことなく育成することができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図6に基づいて説明する。第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0040】
自動給水装置101のメンテナンス部3の円筒体31下部には、略円形の複数の貫通孔131aが形成されている。貫通孔131aは、円筒体31の円周方向全周に亘って形成されていて、メンテナンス部3に供給された水は貫通孔131aから植物育成容器11に供給される。貫通孔131aは、水位20よりも低い位置に円筒体31の円周方向全周に亘って等間隔に又はランダムに形成されている。
【0041】
このような構成によると、本体部2にメンテナンス部3が接続されているため、メンテナンス部3から開口2bを介してフロート4に絡みついた植物10の根10Aを除去することができる。特に、フロート4と対向する位置に開口2bが形成されているため、メンテナンス部3内に侵入した植物10の根10Aを引っ張ることで容易にフロート4に絡みついた植物10の根10Aを除去することができる。これにより、自動給水装置1を分解することなく、容易にフロート4に絡みついた植物10の根10Aを除去することができる。また、メンテナンス部3には水位20よりも低い位置に複数の貫通孔131aが形成されているため、メンテナンス部3を介して給水部5からの水を植物育成容器11に供給することができる。また、水位20よりも低い位置に貫通孔131aが形成されているため、貫通孔131aと土14とを離間させることができ、メンテナンス部3への植物10の根10Aの侵入を最小限に抑えることができる。
【0042】
本発明による自動給水装置及び壁面緑化方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0043】
上述の実施の形態では、本体部2とメンテナンス部3とを別体として構成したが、これに限定されない。例えば、略矩形の中空部材を仕切板などで区画することにより本体部とメンテナンス部と規定してもよい。これにより、自動給水装置を小型化することができる。
【0044】
上述の実施の形態では、本体蓋24に目視窓24aを形成することによりフロート4の状態を確認可能としたが、これに限定されない。例えば、目視窓は、窓蓋を設けることなく本体蓋24の一部を透明なアクリル板等で形成してもよい。
【0045】
上述の実施の形態では、給水部5の給水パイプ53は外部に露出していたが、給水パイプ53に保護カバーを被せてもよい。これにより、給水パイプ53が踏まれて給水部5が破損することを防止できる。
【符号の説明】
【0046】
1 自動給水装置
2 本体部
2a 本体開口
3 メンテナンス部
4 フロート
5 給水部
10 植物
10A 根
11 植物育成容器
11A 底面
11a 排水口
12 水源
13 多孔質材
14 土
22 接続パイプ
24a 目視窓
25 窓蓋
32 蓋部
131a 貫通孔