(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】忘れ物防止トレイ及び忘れ物防止トレイの設置構造
(51)【国際特許分類】
A47B 96/16 20060101AFI20220120BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20220120BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20220120BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20220120BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20220120BHJP
E05C 1/04 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A47B96/16
A47K17/00
E03D11/00 Z
E05B1/00 311M
E05B65/06 B
E05C1/04 A
(21)【出願番号】P 2019048859
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2020-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】石田 美津雄
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 賢吾
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3111639(JP,U)
【文献】実開昭56-036232(JP,U)
【文献】特開2006-263439(JP,A)
【文献】特開2006-028900(JP,A)
【文献】取付・取扱説明書No1660 忘れ物ゼロトレー,2019年01月,https://www3.best-x.co.jp/besthp/prod/manual/pdf/1660/1660/1660 忘れ物ゼロトレー.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/16
A47K 17/00
E03D 11/00
E05B 1/00
E05B 65/06
E05C 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉用の錠を備えた扉又は袖パネルに取り付けて使用する忘れ物防止トレイにおいて、
前記扉又は袖パネルに設けられた錠よりも上側に固定される固定プレートと小物類を載せる載せ台を備え、
前記載せ台は前記固定プレートに近づく方向と固定プレートから離れる方向に回動できるように固定プレートに連結され、
前記載せ台は、前記錠の上側又は上側及び手前側に被さる使用位置と、前記錠の上側又は上側及び手前側に被さらない起立位置の間で回動可能である、
ことを特徴とする忘れ物防止トレイ。
【請求項2】
請求項1記載の忘れ物防止トレイにおいて、
載せ台が連結手段を介して固定プレートに連結された、
ことを特徴とする忘れ物防止トレイ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の忘れ物防止トレイにおいて、
固定プレートに、載せ台の一部が扉又は袖パネルに接触するのを防止する接触防止部が設けられた、
ことを特徴とする忘れ物防止トレイ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の忘れ物防止トレイにおいて、
固定プレートと載せ台とが弾性部材を備えた連結手段で連結され、
前記載せ台は、前記弾性部材によって扉側又は袖パネル側に立ち上がる方向に付勢されている、
ことを特徴とする忘れ物防止トレイ。
【請求項5】
扉用の錠を備えた扉又は袖パネルへの忘れ物防止トレイの設置構造において、
前記忘れ物防止トレイが請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の忘れ物防止トレイであり、
前記忘れ物防止トレイの固定プレートが前記扉又は袖パネルの前記錠の上側に取り付けられ、
前記忘れ物防止トレイの載せ台は、使用位置で前記錠の上側又は上側及び手前側に被さる、
ことを特徴とする忘れ物防止トレイの設置構造。
【請求項6】
請求項5記載の忘れ物防止トレイの設置構造において、
錠がスライド錠である、
ことを特徴とする忘れ物防止トレイの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個室の扉や袖パネルに設置して、スマートフォンや携帯電話、財布といった各種小物(以下「小物類」という)の置き忘れを防止する忘れ物防止トレイと、その忘れ物防止トレイの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレ等の個室内に小物類を置き忘れる事案が増加している。
【0003】
このような置き忘れを防止する一案として、小物類を載せることのできる折り畳み式棚が提案されている(特許文献1)。この折り畳み式棚は、壁(袖パネル)に突設された取付け軸に設けられた載せ台を、その取付け軸を回転軸として扉側に倒すことによって、その載せ台の上に小物類を載せられるようにしたものである。
【0004】
置き忘れを防止する他の案として、扉の内側面に取り付けられた本体と、当該本体と係合する係合具を備え、本体に物を載置可能な載置部を備えたドア錠が提案されている(特許文献2)。このドア錠は、解錠操作する際等に使用者の視界に入るようにして、載置した物の置き忘れを防止しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-263439号公報
【文献】特開2006-28900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1の折り畳み式棚は、使用時に載せ台が袖パネルと扉の双方に跨がるため錠と同様の役割を果たす。このため、個室が空いている状態(使用可能な状態)で載せ台が不用意に倒れると、施錠されたのと同様の状態となり、本来は使用できるはずの個室が使えなくなるという不都合が生じる。
【0007】
前記特許文献2のドア錠では、前記ドア錠を既設の扉に設置するためには既設扉から錠を外して付け替えなければならず、既存の錠をそのまま利用することができないという不都合がある。また、載置部が破損或いは欠損等した場合に、載置部だけを交換することはできず、新たなドア錠に交換しなければならない(ドア錠自体を交換しなければならない)という不都合もある。
【0008】
本発明の解決課題は、個室内での小物類の置き忘れを防止することができ、前記各不都合のない忘れ物防止トレイと、当該忘れ物防止トレイの設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[忘れ物防止トレイ]
本発明の忘れ物防止トレイは、扉用の錠を備えた扉又は袖パネルに取り付けて使用するものであって、扉又は袖パネルに設けられた錠よりも上側に固定される固定プレートと小物類を載せる載せ台を備えている。載せ台は固定プレートに近づく方向と固定プレートから離れる方向に回動できるように固定プレートに連結されている。載せ台は錠の上側又は上側及び手前側に被さる使用位置と、錠の上側又は上側及び手前側に被さらない起立位置の間で回動できるようにしてある。
【0010】
[忘れ物防止トレイの設置構造]
本発明の忘れ物防止トレイの設置構造は、前記忘れ物防止トレイの、扉用の錠を備えた扉又は袖パネルへの設置構造であって、忘れ物防止トレイの固定プレートは扉又は袖パネルの前記錠の上側に取り付けられ、忘れ物防止トレイの載せ台が、使用位置で前記錠の上側又は上側及び手前側に被さるようにしたものである。
【0011】
なお、本願において「使用位置」とは、小物類を載置可能な位置であって、固定プレートが取り付けられた扉又は袖パネルの手前側に倒伏した位置をいう。「使用位置」にある載せ台は、固定プレートが取り付けられた扉又は袖パネルと直交又は略直交する角度で扉又は袖パネルの手前側に倒伏した状態となる。
【0012】
本願において、「起立位置」とは、固定プレートが取り付けられた扉又は袖パネルと対向するように立ち上がった位置をいう。「起立位置」にある載せ台は、その小物類を載せる側の面が、固定プレートが取り付けられた扉又は袖パネルと対向するように立ち上がった状態となる。
【0013】
本願において、「起立方向」とは、載せ台が使用位置から起立位置に立ち上がる方向をいい、「倒伏方向」とは載せ台が起立位置から使用位置に倒れる方向をいう。
【0014】
本願において、「固定プレートに近づく方向」とは、載せ部の小物類を載せる面と扉又は袖パネルの表面とが近づく方向をいい、「固定プレートから離れる方向」とは、載せ部の小物類を載せる面と扉又は袖パネルの表面とが離れる方向をいう。
【発明の効果】
【0015】
[忘れ物防止トレイ]
本発明の忘れ物防止トレイは、次の効果を奏する。
(1)使用位置にある載せ台が錠の上側又は錠の上側及び手前側に被さるようにしてあり、載せ台上の小物類を取りあげて載せ台を起立位置に回動させない限り解錠操作をすることができないため、小物類の置き忘れを確実に防止することができる。
(2)載せ台は固定プレートに近づく方向と固定プレートから離れる方向に回動可能に連結されているため、空室の状態で載せ台が使用位置に倒れても、これによって施錠されることはなく、空室の個室が使用できなくなるという不都合がない。
(3)本発明の忘れ物防止トレイは、錠とは別体のものであるため、既設の錠を付けたまま利用することができる。また、載せ台が破損或いは欠損等した場合には、忘れ物防止トレイだけを交換することができる。
【0016】
[忘れ物防止トレイの設置構造]
本発明の忘れ物防止トレイの設置構造は、載せ台が錠の上側又は上側及び手前側に被さるようにしてあり、載せ台上の小物類を取りあげて載せ台を起立位置に回動させない限り解錠操作ができないため、小物類の置き忘れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の忘れ物防止トレイを取り付けた扉の一例を示すものであって、載せ台が起立位置にあるときの説明図。
【
図2】本発明の忘れ物防止トレイを取り付けた扉の一例を示すものであって、載せ台が使用位置にあるときの説明図。
【
図5】本発明の忘れ物防止トレイの一例を示す分解説明図。
【
図6】
図5に示す忘れ物防止トレイの組立図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図。
【
図7】本発明の忘れ物防止トレイを扉又は袖パネルに取り付けた状態を示すものであって、(a)は
図1から
図6に示す忘れ物防止トレイを取り付けた場合の側面図、(b)は載せ部よりも扉側に前側覆い部を備えた忘れ物防止トレイを取り付けた場合の側面図、(c)は載せ部の自由端側に前側覆い部を備えた忘れ物防止トレイを取り付けた場合の側面図。
【
図8】本発明の忘れ物防止トレイの他例を示す分解説明図。
【
図9】本発明の忘れ物防止トレイの他例を示す分解説明図であって、(a)は分解斜視図、(b)は分解正面図。
【
図10】本発明の使用例の一例を示すものであって、(a)はスライド錠が解錠位置にあり、忘れ物防止トレイが起立位置にある状態の正面図、(b)はスライド錠が施錠位置にあり、忘れ物防止トレイが起立位置にある状態の正面図、(c)はスライド錠が施錠位置にあり、忘れ物防止トレイが使用位置にある状態の正面図、(d)は使用位置に倒された忘れ物防止トレイ上に小物類が載せられた状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態)
本発明の忘れ物防止トレイ及び忘れ物防止トレイの設置構造の一例を、図面を参照して説明する。本発明の忘れ物防止トレイ1は、
図1~
図4のように、個室の扉D又は袖パネルSに取り付けて使用するものである。以下では、忘れ物防止トレイ1を扉Dに取り付けて使用する場合を一例として説明する。図示する扉Dは開き戸であり、扉Dに取り付けられた錠はスライド錠5である。
【0019】
一例として
図1~
図4に示す忘れ物防止トレイ1は、扉Dに取り付ける固定プレート2と、小物類Xを載せる載せ台3と、固定プレート2と載せ台3とを連結する連結手段4を備えている。
【0020】
前記固定プレート2は、扉Dへの取付け時に扉Dに宛がう部分である。一例として
図5に示す固定プレート2は、横長方形状のベース部2aと、ベース部2aに設けられたベース側連結部2bを備えている。この実施形態では、ベース側連結部2bとして、ベース部2aの長手方向両端部に前向きに突設されたフランジを設けている。両ベース側連結部2bには連結手段4の連結軸4aを挿通するための軸挿通孔2cが設けられている。
【0021】
この実施形態のベース側連結部2bは、ベース部2aの高さ方向の中央よりも下側に設けられている。ベース側連結部2bよりも下側の部分を含む固定プレート2の下側の部分(
図5のハッチング部分)は、載せ台3が扉Dに接触するのを防止する接触防止部2dである。載せ台3は繰り返し使用されるため、その一部が扉Dに接触する構成とした場合に扉Dに接触痕がつく。この実施形態のように接触防止部2dを設けて載せ台3の下端部が扉Dに接触しないような構成とすることで、扉Dに接触痕がつくのを防止することができる。
【0022】
前記載せ台3は、小物類Xを載せる板状の部材である。一例として
図5に示す載せ台3は、横長方形状の載せ部3aと、固定プレート2との連結に用いる載せ台側連結部3bを備えている。この実施形態の載せ部3aは縦55mm×横105mm×厚さ6mm程度としてあるが、この寸法は一例であり、載せ部3aはこれより大きくすることも小さくすることもできる。また、前記載せ部3aの形状も一例であり、載せ部3aはこれ以外の形状、例えば、
図7(b)(c)に示すような、スライド錠5の手前側に被さる前側覆い部3fを備えた形状とすることもできる。
【0023】
載せ部3aの周縁には、クッション材6を取り付けてある。クッション材6はゴムやシリコンなどの弾性を備える材質製のを用いることができる。クッション材6は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することもできる。
【0024】
前記載せ台側連結部3bは、固定プレート2との連結に用いる部分であり、横長の基部3cと、当該基部3cの長手方向両端に前方側に立ち上げられた二枚の取付け片(フランジ)3dを備えている。両取付け片3dの間隔は、両ベース側連結部2bの間隔よりも若干広くしてあり、取付け片3dの間にベース側連結部2bが収まるようにしてある。両取付け片3dには、連結手段4の連結軸4aを挿通するための軸挿通孔3eが設けられている。
【0025】
前記連結手段4は、固定プレート2と載せ台3を連結するものである。一例として
図5に示す連結手段4は、連結軸4aと付勢スプリング4bと止め輪4cを備えている。連結軸4aは、突出部2cの軸挿通孔2cと取付け片3dの軸挿通孔3eに差し込んだときに、その両端又はいずれか一端が取付け片3dの外側に突出する、又は取付け片3dの端面と面一になる程度の長さを有する細長の丸棒である。連結軸4aの長手方向両端寄りの位置には、止め輪4cを嵌合する嵌合溝4dが設けられている。
【0026】
前記付勢スプリング4bは、載せ台3を起立方向に付勢するための部材である。この実施形態では、付勢スプリング4bが二本設けられている。付勢スプリング4bは二本より多くすることも少なくすることもできる。この実施形態の付勢スプリング4bはリング部4fと直線部4gを備えている。リング部4fは連結軸4aに装着され、直線部4gが固定プレート2に、リング部4f側の端部が載せ台側連結部3bに宛がわれている。
【0027】
前記止め輪4cは連結軸4aの抜けを防止するための部材である。止め輪4cは開口部を備えたC字状の部材であり、当該開口部側から連結軸4aの嵌合溝4dに嵌合することで連結軸4aに固定される。この実施形態では止め輪4cが二つ設けられている。
【0028】
前記連結手段4は一例であり、スプリング付の蝶番等、これ以外のものを用いることもできる。連結手段4には付勢スプリング4bのような弾性部材を備えないものを用いることもできる。この場合も、載せ台3を起立位置で停止させられるようなものを用いるのが好ましい。なお、連結手段4として弾性部材を備えないものを用いる場合、載せ台3は手動で起立位置まで立ち上げることとなる。
【0029】
図6(a)(b)に示すように、前記固定プレート2と載せ台3は、両取付け片3dの間に両ベース側連結部2bが収まるように配置され、両ベース側連結部2bの軸挿通孔2cと取付け片3dの軸挿通孔3eに連結軸4aが挿通され、その連結軸4aのスプリング装着部4eに付勢スプリング4bが装着されている。連結軸4aのうち、両ベース側連結部2bの内側に位置する両嵌合溝4dのそれぞれには、連結軸4aの抜けを防止する止め輪4cが装着されている。載せ台3は、付勢スプリング4bによって起立方向に付勢され、載せ台3から小物類Xが取り除かれたときに、その付勢スプリング4bの付勢力で自動的に起立位置まで復帰するようにしてある。
【0030】
前記忘れ物防止トレイ1は、スライド錠5の上側の位置に固定される。このように取り付けられた忘れ物防止トレイ1は、載せ台3を使用位置まで倒したときに、
図7(a)のように、当該載せ台3がスライド錠5の上側に被さり、その状態ではスライド錠5を操作できない又は操作しにくい構造となる。
【0031】
載せ台3は、
図7(b)(c)のように、スライド錠5の上側のみならず、スライド錠5の上側及び手前側に被さるようにすることもできる。いずれの場合も、スライド錠5を操作して解錠するには、載せ台3から小物類Xを取り上げて、スライド錠5の上側又は上側及び手前側に被さった載せ台3を起立位置まで復帰させる必要があり、利用者にこの動作をさせることによって、小物類Xの置き忘れを効果的に防止することができる。
【0032】
なお、載せ台3がスライド錠5の上側や手前側に被さらない位置に忘れ物防止トレイ1を設けた場合、スライド錠5の解錠操作時に当該載せ台3に小物類Xを載せることが可能であるため、解錠操作に際して載せ台3に小物類Xを載せ、そのまま小物類Xを置いたまま退室するおそれがある。これに対し、本発明の忘れ物防止トレイでは、解錠操作に際しては、必ず載せ台3の上の小物類Xを取らなければならない(載せ台3上に置いておくことができない)ため、忘れ物を確実に防止することができる。
【0033】
(その他の実施形態)
前記実施形態では、ベース側連結部2bがフランジの場合を一例としているが、
図8のように、固定プレート2に形成された貫通孔2eをベース側連結部2bとすることもできる。
図8に示す例では、固定プレート2を前記実施形態の場合よりも肉厚とし、その固定プレート2の長手方向に沿って貫通孔2eを設けている。この貫通孔2eは、連結軸4aが通過できる広さとしてある。
【0034】
図8に示す固定プレート2と載せ台3は、両取付け片3dの間に配置された固定プレート2の貫通孔2eと取付け片3dの軸挿通孔3eに連結軸4aが挿通されることによって連結されている。固定プレート2と両取付け片3dの間に位置する両嵌合溝4dには止め輪4cが装着され、連結軸4aの抜けが防止されている。
【0035】
図示は省略しているが、
図8に示す例においても、付勢スプリング4b等の弾性部材によって載せ台3を起立方向に付勢しておき、載せ台3から小物類Xが取り除かれたときに、その付勢スプリング4bの付勢力で自動的に起立位置まで復帰するようにすることができる。また、
図8に示す例においても、固定プレート2に前記実施形態の接触防止部2dに相当する構成を設けることができる。
【0036】
前記実施形態では、固定プレート2と載せ台3を連結手段4で連結する場合を一例としているが、固定プレート2と載せ台3は、連結手段4を使わずに連結することもできる。例えば、
図9(a)(b)に示すように、固定プレート2の側面に設けた凹部2fに、載せ台3に設けた凸部3gを嵌合させることによって、載せ台3を固定プレート2に回動可能に連結することができる。
図9(a)(b)に示す例では、固定プレート2の表面に段差部2gを設けて、倒伏方向に回動した載せ台3がそれ以上回動しないようにしている。載せ台3は、段差部2g以外の方法で一定以上回転しないようにすることもできる。
【0037】
図9(a)(b)に示す例では、固定プレート2に凹部2fを設け、載せ台3に凸部3gを設ける場合を一例としているが、凸部3gに相当する構成を固定プレート2側に、凹部2fに相当する構成を載せ台3側に設けることもできる。
【0038】
いずれの場合も、図示しない付勢スプリング4b等の弾性部材で載せ台3を起立方向に付勢しておき、載せ台3から小物類Xが取り除かれたときに、その付勢スプリング4bの付勢力で自動的に起立位置まで復帰するようにすることができる。また、いずれの場合においても、固定プレート2に前記実施形態の接触防止部2dに相当する構成を設けることができる。
【0039】
前記実施形態では、扉Dに取り付けられた錠がスライド錠5の場合を一例としているが、本発明の忘れ物防止トレイ1は、スライド錠5以外の錠を備えた扉Dに取り付けて使用することもできる。同様に、本発明の忘れ物防止トレイの設置構造も、スライド錠5以外の錠を備えた構造とすることもできる。なお、本発明の忘れ物防止トレイ1は、袖パネルSに取り付けて使用することができる。本願の袖パネルSにはドア枠も含まれる。
【0040】
本発明の忘れ物防止トレイ1はトイレブースのほか、衣料品店の試着室や運動施設の更衣室といった各種個室の扉Dに取り付けて使用することができる。試着室に設けた場合には、メガネや腕時計等の置き忘れを、更衣室に設けた場合には、水泳帽やゴーグル、心拍計等の置き忘れを防止することができる。
【0041】
(使用方法:忘れ物防止トレイに小物類を載せる場合)
本発明の忘れ物防止トレイ1に小物類Xを載せる場合は、次のようにする。
(1)解錠位置にあるスライド錠5(
図10(a))を施錠方向(図中右方向)にスライドさせて施錠する(
図10(b))。
(2)施錠後、載せ台3を使用位置まで倒す(
図10(c))。
(3)使用位置まで倒した載せ台3の載せ部3aに小物類Xを載せる。
【0042】
(使用方法:扉を解錠して退出する場合)
本発明の忘れ物防止トレイ1を備えた扉Dを解錠して退出する場合は、次のようにする。
(1)載せ台3(
図10(d))から小物類Xを取り上げ(
図10(c))、載せ台3を起立位置まで復帰させる(
図10(b))。
(2)載せ台3が起立位置に復帰した後、スライド錠5を解錠方向(図中左方向)にスライドさせて解錠し(
図10(a))、扉Dを開けて退出する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の忘れ物防止トレイ1は、トイレブースや衣料品店の試着室、運動施設の更衣室をはじめ、各種個室の扉Dに取り付けて使用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 忘れ物防止トレイ
2 固定プレート
2a ベース部
2b ベース側連結部
2c 軸挿通孔
2d 接触防止部
2e 貫通孔
2f 凹部
2g 段差部
3 載せ台
3a 載せ部
3b 載せ台側連結部
3c 基部
3d 取付け片
3e 軸挿通孔
3f 前側覆い部
3g 凸部
4 連結手段
4a 連結軸
4b 付勢スプリング
4c 止め輪
4d 嵌合溝
4e スプリング装着部
4f リング部
4g 直線部
5 スライド錠
6 クッション材
D 扉
S 袖パネル
X 小物類