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  • 特許-運搬容器用のクッション材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】運搬容器用のクッション材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
B65D81/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021020103
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2021-09-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390032056
【氏名又は名称】ヒロホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】小早川 昌士
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-172368(JP,A)
【文献】特開2005-186939(JP,A)
【文献】特開平05-261819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0237225(US,A1)
【文献】実開平03-126819(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
山部、谷部及び山部の頂上に収容すべき製品を前記谷部に案内する導入斜面が設けられたクッション材の製造方法であって、
周囲に山肉部、谷肉部が設けられるように、発泡樹脂の板材から本体発泡部をプレス刃型により切り出し、
前記本体発泡部の山肉部、谷肉部の側面形状に対して若干大きい相似形を有し、かつ導入斜面皮部が形成されている成形部を熱可塑シートに真空成形し、
前記成形部を内側に有し、前記本体発泡部の板材の板厚に相当する間隔を開けて互いに平行な一対の折り線と、前記一対の折り線の外側に両側に設けられた平坦な平面で構成された耳部とを具備する閉曲線に沿って熱可塑シートから表皮部材を切り取り、
前記本体発泡部の山部、谷部が前記成形部に挿入され、前記折り線において折曲げられた前記耳部が前記本体発泡部の他の部分を挟んだ状態において、前記耳部と前記本体発泡部とを結合部材により結合することを特徴とする運搬容器用のクッション材の製造方法
【請求項2】
前記本体発泡部は、前記山肉部の頂上に前記導入斜面皮部の内側に配置される導入斜面肉部を有することを特徴とする請求項1に記載の運搬容器用のクッション材の製造方法
【請求項3】
前記導入斜面皮部は、頂上から四方に下降傾斜する導入斜面を形成され、前記四方に下降傾斜する導入斜面の内側は空洞であることを特徴とする請求項1に記載の運搬容器用のクッション材の製造方法
【請求項4】
前記収容すべき製品を直接支持する本体発泡部の箇所として、前記クッション材の山部、谷部に夫々対応して前記成形部に設けられた山皮部、谷皮部、若しくは前記耳部の一部又はいずれかに跨がって選択された前記表面皮部の箇所を部分的にトリミングし、当該表面皮部の箇所下側の本体発泡部を露出させることを特徴とする請求項1に記載の運搬容器用のクッション材の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を収容する運搬容器に用いられるクッション材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品が傷付き若しくは変形しないように、クッション材を配置し、その上に製品を搭載する運搬容器が知られている。クッション材は、収容する製品の形状に従って安定的に収容できる形状に製造されている。工場間で例えば自動車部品などの製品を運搬するに際して用いられるクッション材は、製品対応に少ロット生産のものが多い。このようなクッション材を開示する文献として、例えば、特許文献1においては、運搬容器のチャネルの上にクッション材を配置する例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6813902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1Aは、運搬容器1の多段のチャネル4に結束バンド等の結束部材3により固定されるクッション材2を示している。クッション材2は、ポリエチレン等の発泡樹脂の板材から切り出されて作成されており、切り出しには、目的とするクッション材2の側面の形状に相当する刃で構成されたプレス刃型が用いられる。このようにして切り出されたクッション材2は、切り出された面に凹凸を有し、元々の板材の表裏面はそのままの平面である。以降、このようなクッション材2は、元々の板材の板厚の寸法が一定であることから、2次元的なクッション材である。プレス刃型の刃の形状のみで対応可能なため、少ロットのクッション材2の生産には、都合が良い。
【0005】
図1Bに示すクッション材2は、山部75の間の谷部76に製品5を収容するのであり、一般に谷部76が重力方向に製品を受けて、山部75が製品5の揺動を抑止する作用を有する。製品5をクッション材2に収容する過程で谷部76へ製品5を誘導するために、最初に製品5が当接する山部75の頂上には導入斜面77が設けられている。製品5は、この導入斜面77を滑って谷部76へ誘導されるのであるが、この際には、導入斜面77と製品5とは擦れ合う。クッション材2は、一般には発泡性の樹脂が用いられており、こすれにより容易に表面が荒立ち、発塵が避けられない。
【0006】
発塵に対応するために、擦れが発生する面に対してポリプロピレンシートやポリエチレンテープなどの摺動材を貼り付ける対応がなされることがある。この貼付には両面テープなどの粘着接着が用いられているが、剥がれが起きる可能性や、剥がれた粘着物が収容された製品へ転写する可能性がつきまとう。また、クッション材2の指定された箇所への摺動材の貼付は、作業負担が大きく、かつヒューマンエラーが発生しやすいという問題があった。
【0007】
また、発泡樹脂の板材から切り出された2次元的クッション材の他の問題点として、3次元形状が必要とされる用途には適用しづらいという問題点がある。図1Cには、枠形の製品6を例としたクッション材7が示されている。このクッション材7は、製品6が摺動する導入斜面73が山部71の左右に設けられ、谷部72で重力方向を支える2次元的なクッション材である。導入斜面73は、製品6の縦梁61に対して案内する作用をする。一方で、クッション材7は、横梁63に対して案内をする導入斜面を有していない。このため、製品6を正しく位置決めしてからクッション材7に搭載しないと、山部71の端辺74が、製品6の横梁63により変形し、若しくは欠落する可能性がある。端辺74に導入斜面を作成するために、プレス刃型で切り出したクッション材にさらに加工を施さなければならず、しかもその加工は発泡樹脂に対する切削加工であるため作業的には限界がある。
【0008】
なお、上下、左右、高さ方向が自由に設定される3次元的クッション材は存在している。このような、3次元的クッション材は、発泡ビーズ等を用いて成型されるが、成型に用いる金型のコストが大きく、少ロット対応は困難である。よって、発泡樹脂の板材から切り出されたクッション材を、そのまま使用しているのが現状であり、製品の収容具合にも限界があった。
【0009】
そこで本発明は、発塵が少ない、かつ作成の容易な運搬容器用のクッション材を提供することを目的とする。また、安価でかつ短期で作成できる3次元的な運搬容器用のクッション材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明のクッション材の製造方法は、山部、谷部及び山部の頂上に収容すべき製品を前記谷部に案内する導入斜面が設けられたクッション材の製造方法であって、
周囲に山肉部、谷肉部が設けられるように、発泡樹脂の板材から本体発泡部をプレス刃型により切り出し、
前記本体発泡部の山肉部、谷肉部の側面形状に対して若干大きい相似形を有し、かつ導入斜面皮部が形成されている成形部を熱可塑シートに真空成形し、
前記成形部を内側に有し、前記本体発泡部の板材の板厚に相当する間隔を開けて互いに平行な一対の折り線と、前記一対の折り線の外側に両側に設けられた平坦な平面で構成された耳部とを具備する閉曲線に沿って熱可塑シートから表皮部材を切り取り、
前記本体発泡部の山部、谷部が前記成形部に挿入され、前記折り線において折曲げられた前記耳部が前記本体発泡部の他の部分を挟んだ状態において、前記耳部と前記本体発泡部とを結合部材により結合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、表皮部材で本体発泡部を被覆することにより、本体発泡部に収容する製品が本体発泡部に直接触れることが無く、本体発泡部から発塵が発生することはない。また、表皮部材は、導入斜面のみでは無く、その下に位置する山部や谷部を含めて覆い、且つこれらの下側の折り線よりも下側の耳部で本体発泡部と連結するものであるから、指定された箇所への摺動材の貼付とは違い、作業負担が小さく、かつヒューマンエラーも発生しにくいという効果がある。また、安価で且つ短期間で作成できる真空成形による表皮部材と、表皮部材の内側で肉盛りする本体発泡部による複合体により、簡易的に3次元的なクッション材を容易に得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】運搬容器に使用される2次元的なクッション材を説明する図である。
図2】実施例1によるクッション材を説明する図である。
図3】実施例2によるクッション材を説明する図である。
図4】実施例2によるクッション材の構成を説明する図である。
図5】実施例のクッション材にトリミングを適用した例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
[実施例1]
図2を参照して実施例1のクッション材10について説明する。クッション材10は、本体発泡部21と、本体発泡部21を覆う表皮部材15と、両者を結合する結合部材28とを具備する。クッション材10は、山部11、谷部12、山部11の頂上には導入斜面13が設けられている。
【0014】
本体発泡部21は、発泡樹脂の板材からプレス刃型により切り出されて作成されており、元々の板材の表裏の主面はそのままの平面であり、その周囲にプレス刃型に沿って切断された側面を有している。すなわち、本体発泡部21の厚さ寸法は、元々の板材の板厚の寸法であって一定であることから、2次元的である。本体発泡部21は、図1Bに示したクッション材2と同様の形状を有し、山部11、谷部12、導入斜面13に対応して、夫々山肉部23、谷肉部25、導入斜面肉部24(山肉部23の頂上)が設けられている。
【0015】
表皮部材15は、ポリプロピレンなどの熱可塑シートを加熱軟化させ、真空の圧力で変形させたまま冷却した真空成形による部材であり、冷却後に熱可塑シートから切り取られることにより、周囲を閉曲線c1で囲まれている。本体発泡部21の元々の板材の板厚d1に相当する間隔D1を開けて互いに平行な一対の折り線19が設けられている。一対の折り線19は、溝若しくは、リード罫で形成され、閉曲線c1の縁から始まり他方の縁まで続いている。この折り線19の間には、成形部14が真空形成されている。成形部14は、本体発泡部21の山肉部23、谷肉部25の側面形状に対して若干大きい相似形を有している。山肉部23、谷肉部25に対応し、成形部14に山皮部16、谷皮部17が設けられている。山皮部16には導入斜面皮部18も含まれている。この成形部14の内側に本体発泡部21の山肉部23、谷肉部25、導入斜面肉部24が挿入できる様になっている。導入斜面肉部24は、導入斜面皮部18を内側に配置される。
【0016】
一対の折り線19は、成形部14に対して、「山折り」の折り線である。一対の折り線19の外の両側には平坦な平面で構成された耳部20が設けられている。耳部20は、成形部14に本体発泡部21が挿入され、かつ一対の折り線19が折曲げられたときに、折り線19よりも下側における本体発泡部21の表裏の主面29(本体発泡部21の山肉部23、谷肉部25、導入斜面肉部24では無い他の部分)に対して夫々正対して、これを挟む。
【0017】
一般に、真空成形では、100~180mmを超えるような高さをもつ凸成形をすると、熱可塑シートが薄くなりすぎまたは破断する。このように一対の折り線19において折曲げることで、真空成形の欠点である高さ制限を克服して、比較的高い高さhの本体発泡部21を被覆することができる。
【0018】
結合部材28は、両側の耳部20及びその間に挟まれた本体発泡部21を貫通して、これらを一体化するものであり、1又は複数個設けられる。図の例においては、結合部材28としてリベットが利用され、折り線19に沿って等間隔にこれらを結合している。結束部材として、リベット、ボルト、ネジ、結束バンドが利用できる。例えば、特許第5840725号に開示されたリベットは、好適である。リベット、ボルトを利用するときには、両側の耳部20に頭部を出し本体発泡部21を挟むように固定するものが良い。リベット、ボルトを使用する際に下孔が必要であれば、本体発泡部21については発泡樹脂の板材からプレス刃型で打ち抜く際、表皮部材15については熱可塑シートから切り取る際に下孔を形成しておけば良い。尚、結束部材としては、一方側の耳部20から本体発泡部21に打ち込む木ねじなどのテーパーネジ、ドリルネジやタッカーを用いれば、下孔を設けなくともよい。
【0019】
結合部材28として結束バンドを用いた場合には、表皮部材15と本体発泡部21を結合するだけでは無く、クッション材10を運搬容器1のチャネル4に固定することを結束バンドが兼ねても良い。すなわち、両側の耳部20及びその間に挟まれた本体発泡部21を貫通し、チャネル4を1つのループの中に納めるようにして結束する。
【0020】
表皮部材15で本体発泡部21を被覆することにより、本体発泡部21に収容する製品5(図1)が本体発泡部21に直接触れることが無く、本体発泡部21から発塵が発生することはない。また、表皮部材15は、導入斜面皮部18のみでは無く、その下に位置する山皮部16や谷皮部17を含めて覆い、且つこれらの下側の折り線19よりも下側の耳部20で本体発泡部21と連結するものであるから、指定された箇所への摺動材の貼付とは違い、作業負担が小さく、かつヒューマンエラーも発生しにくい。結束部材によるチャネル4への結束を兼ねるものであれば、作業工数も殆ど増加しないという効果がある。
【0021】
尚、上記実施例においては、本体発泡部21の山肉部23には導入斜面肉部24が設けられていたが、導入斜面肉部24の始まりの位置(図2Bのs1)から上の山肉部23をカットしたような本体発泡部21であっても良い。この場合、本体発泡部21には、導入斜面肉部24は存在しないことになるが、表皮部材15は導入斜面皮部18を持った山皮部16のままとする。本体発泡部21には導入斜面肉部24が存在しないため、表皮部材15の導入斜面皮部18の内側は空洞の状態であるが、導入斜面皮部18の主機能は搭載時に製品を案内することであり、保管/運搬時の揺動抑止の作用を期待することはないので、このような変形も可能である。
【0022】
[実施例2]
図3Aは、3次元的なクッション材30に対応した実施例を示している。また、図3Bはクッション材30が保持する製品80を示している。製品80の形状は複雑であり、この例では2箇所の開口部81、82の位置で保持するように指定されていると仮定する。クッション材30は、右側の側面に製品80を載せる顎部35が設けられている。
【0023】
クッション材30は、本体発泡部40と、本体発泡部40を覆う表皮部材50と、両者を結合する結合部材39を有している。クッション材30は、製品80の開口部81、82に差し込まれて製品80を支持する。クッション材30には、山部31と谷部34が設けられ、山部31の頂上には導入斜面32a、32b、33a、33bが設けられている(33bは、図面の裏側の向きである)。導入斜面32a、32bは、図面の左右上向きの面で有り、導入斜面33a、33bは図面の表裏上向きの面である。導入斜面32a、32bは、製品80の梁81a、82aを案内する導入斜面であり、導入斜面33a、33bは製品80の梁81b、82bを案内する導入斜面である。
【0024】
図4は、クッション材30を構成する各部材を示している。図4Aにおいて、本体発泡部40は、板材からプレス刃型により切り出されて作成された2枚の発泡樹脂40a、40bが、表裏面同士を重ね合わされたものである。夫々の発泡樹脂40a、40bは、細部により形状が異なっているが、山肉部42と谷肉部43が設けられている点において同じである。但し、導入斜面32a、32b、33a、33bに対応する箇所はなく、導入斜面32a、32b、33a、33bの始まりの位置s2から上の山部をカットしたようになっている。また、本体発泡部40は、右側の側面に製品80を載せる顎肉部44が設けられている。
【0025】
表皮部材50は、ポリプロピレンなどの熱可塑シートを真空成形した部材であり、周囲を閉曲線c2で囲まれている。本体発泡部40の元々の板材の板厚を合計した間隔d2(図4C)に対応して間隔D2だけ開けて平行な一対の折り線54が設けられている。また、平行な一対の折り線56も、間隔D2だけ間隔を開けられている。これらの一対の折り線54、56は、夫々が閉曲線c2の縁から始まり他方の縁まで続いている。一対の折り線54の間に存在する成形部58は、山皮部51と谷皮部52及び。導入斜面皮部46a、46b、47a、47bが設けられている。導入斜面皮部46a、46bは、導入斜面32a、32bに対応し、導入斜面皮部47a、47bは導入斜面33a、33bに対応している。導入斜面皮部46a、46b、47a、47bは、位置s2に向けて頂上から四方に末広がり状に下降傾斜する斜面であり、3次元的な斜面を形成している。一対の折り線の間に存在する成形部59は、顎皮部57を有している。2つの一対の折り線54、56の間には、これらに対して垂直に下側に折曲げる折り線53が設けられている。
【0026】
一対の折り線54の間に存在する成形部58は、本体発泡部40の山肉部42、谷肉部43の側面形状に対して若干大きい相似形であり、成形部58の内側に本体発泡部40を部分的に挿入できる様になっている。他方、一対の折り線56の間に存在する顎皮部57は、折り線53で折曲げたときに本体発泡部40の顎肉部44が挿入できるようになっている。
【0027】
一対の折り線54の外の両側には平坦な平面で構成された耳部55が設けられている。耳部55は一対の折り線54において折曲げられたときに、山肉部42、谷肉部43の下側の折り線54よりもさらに下側における本体発泡部40を挟む。
【0028】
他方、一対の折り線56の外の両側にも、平坦な平面で構成された耳部48が設けられている。耳部48は一対の折り線56及び折り線53において折曲げられたときに、本体発泡部40を挟む。結合部材39は、両側の耳部55及びその間に挟まれた本体発泡部40を貫通して、これらを一体化する。図示の例では、特許第5840725号に開示されたリベットを利用した。
【0029】
本実施例においては、本体発泡部40には、導入斜面32a、32b、33a、33bに対応した導入斜面は存在せず、表皮部材50の導入斜面皮部46a、46b、47a、47bの内側は空洞の状態であるが、導入斜面の主機能は搭載時に製品を案内することであり、保管/運搬時の揺動抑止の作用は期待できない。しかしながら、クッション材30の導入斜面32a、32b、33a、33bの方向を多様に設定することができるという効果がある。
【0030】
真空成形は、金型の作成が比較的安価で小ロットでの製造が可能であり、射出成形に比べて真空成形の金型は大幅に低価格であり、かつ短時間に作成できるということが知られている。このような真空成形による表皮部材50を作成し、一方で保管/運搬時の揺動抑止する山部31、谷部34については、表皮部材50の内側の本体発泡部40で肉盛りする形になるため、簡易的に3次元的なクッション材30を容易に得ることができる。その上、熱可塑シートから作成された表皮部材50は、樹脂を発泡させた本体発泡部40よりも摩擦に対して耐性があり、こすれにより容易に表面が荒立ちにくく発塵が押さえられるという効果がある。また、指定された箇所への摺動材の貼付とは違い、表皮部材50を本体発泡部40に被せるものであるため、作業負担が小さく、かつヒューマンエラーも発生しにくいという効果がある。
【0031】
上記各実施例においては、表皮部材15、50の成形部14、58、59は、本体発泡部21、40の全ての面を覆っているが、真空成形品のトリミング加工の際、本体発泡部21、40の発泡体を露出させたい部分を表皮部材15、50からトリミングして除去しても良い。図5に示したクッション材10Aは、図2のクッション材10に対応するものである。図5Bに示す表皮部材15Aのうち、山皮部16、谷皮部17、耳部20に相当する部分が、部分的にトリミングされている。よって、製品は本体発泡部21の発泡樹脂に直接的に支持されることになる。トリミング箇所22aは山皮部16と耳部20に跨がってその一部がトリミングされた例、トリミング箇所22bは山皮部16、谷皮部17、耳部20に跨がってその一部がトリミングされた例、トリミング箇所22cは谷皮部17の一部がトリミングされた例である。このように製品が接触する箇所によっては、本体発泡部21の発泡樹脂で受けるほうが望ましい箇所、表皮部材15Aで受ける箇所が望ましい箇所が複合する場合に、山皮部16、谷皮部17、若しくは耳部20の箇所を一部又はいずれかに跨がって部分的に選択し、トリミングする事で対処ができる。
【符号の説明】
【0032】
1 運搬容器
2、7、10、10A、30 クッション材
3 結束部材
4 チャネル
5、6、80 製品
14、58、59 成形部
15、15A、50 表皮部材
11、31、71、75 山部
12、34、72、76 谷部
22a、22b、22c トリミング箇所
23、42 山肉部
25、43 谷肉部
16、51 山皮部
17、52 谷皮部
13、32a、32b、33a、33b、73、77 導入斜面
24 導入斜面肉部
18、46a、46b、47a、47b 導入斜面皮部
19、53、54、56 折り線
20、48、55 耳部
21、40 本体発泡部
28、39 結合部材
29 主面
35 顎部
44 顎肉部
57 顎皮部
40a、40b 発泡樹脂
61 縦梁
63 横梁
74 端辺
81a、81b、82a、82b 梁
81、82 開口部
【要約】      (修正有)
【課題】発塵が少ない、かつ作成の容易な運搬容器用のクッション材、また、安価でかつ短期で作成できる3次元的な運搬容器用のクッション材を提供する。
【解決手段】クッション材10は、山部11、谷部12及び導入斜面13を具備する。本体発泡部21は、発泡樹脂の板材から切り出され、周囲に山肉部23、谷肉部25が設けられる。表皮部材15は、熱可塑シートから真空成形され周囲を閉曲線c1で囲まれており、互いに平行な一対の折り線19と、折り線19の内側に設けられた成形部14と、折り線19の外側に両側に設けられた平坦な平面で構成された耳部20とを具備している。成形部14は、本体発泡部21の山肉部23、谷肉部25の側面形状に対して若干大きい相似形を有し、かつ導入斜面皮部24が形成されている。結合部材28は、耳部20と本体発泡部21とを結合する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5