(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 8/08 20060101AFI20220120BHJP
B43K 8/02 20060101ALI20220120BHJP
B43K 5/18 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
B43K8/08
B43K8/02 100
B43K5/18 100
(21)【出願番号】P 2017018575
(22)【出願日】2017-02-03
【審査請求日】2019-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】中島 徹
【審査官】渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-159272(JP,U)
【文献】特表平06-510491(JP,A)
【文献】特開2014-108601(JP,A)
【文献】特開2016-078332(JP,A)
【文献】特開2014-111345(JP,A)
【文献】実開平02-048377(JP,U)
【文献】特開昭53-104318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00 - 1/12
B43K 5/00 - 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン先と、インクを直に収容してなるインクタンクと、該インクタンクのペン先側に設けた少なくとも1つのインク流出孔と、高密度部を有する多孔体部材を少なくとも備え、
前記インク流出孔に多孔体部材の高密度部の一端が接触し、高密度部の他端はペン先に接触してなるとともに、多孔体部材のインク流出孔付近は高次高密度部を有することを特徴とする筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクタンク内にインクを直に収容し、インクタンクとペン先との間に多孔体部材を介在させた直液式の筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクタンク内にインクを直に収容したタイプの直液式の筆記具は、多種多様な構造のものが知られている。
例えば、1)液状インクをそのまま収納する軸筒の頭部に鍔及び小孔を有するポリエチレン合成樹脂の弾性材からなる筺体を嵌合し、その中に充填した綿状フェルト中に軸筒端に螺着する軸頚蓋の軸頚に挿通したフェルトペンの尾端を挿入してなるフェルト万年筆の構造(例えば、特許文献1参照)、2)ペン先とインクタンクとの間に多孔質材料よりなるインク吸蔵体を設け、前記インク吸蔵体と前記インクタンクとの間に、その両者間を連通させる連通孔を備える隔壁を設けた直液式筆記具であって、前記隔壁に、インクタンクからペン先へインクを供給する棒状のインク誘導部材を貫装させると共に、前記インク吸蔵体の後端部に毛細管力を増強させる縮径部を設けたことを特徴とする直液式筆記具(例えば、特許文献2参照)、3)インクタンク内の圧力変化に応じた溢出インクを一時的に溜めるインク溜め部材(所謂コレクター部材)を軸筒内に有した液体塗布具において、軸筒にはインク溜め部材の配設側の反対側端から中央部に寄った位置に仕切り壁を設けて、インク溜め部材後端と仕切り壁との間の軸筒内空間をインクタンクとし、軸筒部外面部の仕切り壁周辺位置は不透明に形成したことを特徴とする液体塗布具(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示された筆記具では、インクは小孔からフェルトを介してフェルトペンに順次浸潤して供給されるものであるが、小孔からフェルトペンまでの距離が長い場合には、ペン先となるフェルトペンまでインクの供給が途絶えたり、不良となったり、また、二部品同士で隙間を形成する必要があるため、安定的な間隔を調整することが困難であるため、インク供給性とインク垂れの両立をさせることが困難であるなどの課題があった。
上記特許文献2に開示された筆記具では、インク誘導部材の先端がペン芯(筆記部)となるものであり、インク誘導部材は均一な毛管力を有するものであり、インクはインク誘導部材の後部に固着した尖頭部材を介してインク誘導部材へ供給されるものであるが、尖頭部材からインク誘導部材の先端となるペン芯(筆記部)までの距離が長い(遠い)場合には、上記特許文献1と同様に、ペン先の先端部となるペン芯(筆記部)までインクの供給が順調になされないなどの課題があった。
上記特許文献3は、インク供給の際の空気置換でコレクター部材を必要とするものであり、部品点数も多く、本発明とは技術思想(構成及びその作用効果)が異なるものである。
【0004】
一方、軸筒内にインクを充填した中綿(インク吸蔵体又は中芯)を収容し、この中綿にペン先の一端を接触させた筆記具として、例えば、1)中綿を巻縮繊維を用いて構成し、中心部分の繊維の太さを1.5~4デニール、周辺部分の繊維の太さを前記中心部分の1.5~3倍で構成し、かつ前記中心部分の占有断面積が先芯の基部の断面積より小さくないことを特徴とした筆記用フェルトペンの中芯(例えば、特許文献4参照)や、2)軸筒と、細径繊維と該細径繊維と比べ繊維相互の間の間隙が大きい太径繊維とで構成され、かつ、前記軸筒内に収容される中綿と、前記中綿に一端を接触させ、他端を前記軸筒から露出するペン先とを備えた筆記具において、前記太径繊維が前記中綿全体の5~30%の割合を占めることを特徴とする筆記具(例えば、特許文献5参照)が知られている。
【0005】
上記特許文献4及び5は、直接インクをインクタンク内に収容した直液式の筆記具でなく、いわゆる中綿方式の筆記具であり、本発明とは、発明の課題、技術思想(構成及びその作用効果)が異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公昭35-3317号公報(登録請求の範囲、第2図)
【文献】特開平11-301168号公報(特許請求の範囲、
図1)
【文献】特開2001-113877号公報(特許請求の範囲、
図1)
【文献】特開昭53-104318号公報(特許請求の範囲、
図1、
図2)
【文献】特開2015-120257号公報(特許請求の範囲、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、空気置換部とペン先(ペン芯)との距離が遠くても、ペン先にインクを確実に供給することができ、インク供給のためのパイプ等が不要となるため、インク供給機構がシンプルとなり、細軸化が可能となる等のメリットを有する直液式の筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記従来の課題等を解決するために鋭意検討した結果、ペン先と、インクを直に収容してなるインクタンクと、該インクタンクのペン先側に設けた少なくとも1つのインク流出孔と、特定構造の多孔体部材を少なくとも備えることにより、上記目的の筆記具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明の筆記具は、ペン先と、インクを直に収容してなるインクタンクと、該インクタンクのペン先側に設けた少なくとも1つのインク流出孔と、高密度部を有する多孔体部材を少なくとも備え、前記インク流出孔に多孔体部材の高密度部の一端が接触し、高密度部の他端はペン先に接触してなることを特徴とする。
前記多孔体部材の中心部は外周部に比べ、細い繊維径を用いることが好ましい。
前記多孔体部材のインク流出孔付近は圧縮部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空気置換部とペン先(ペン芯)との距離が遠くても、ペン先にインクを確実に供給することができ、また、直液タイプであるので、流量が安定し、かすれない、残量が判読しやすく、直液タイプでも上向きに筆記でき、種々のペン先との組み合わせが可能となり、しかも、インク供給のためのパイプ等が不要となるため、インク供給機構がシンプルとなり、極細軸や太軸の設計が容易となるなどの数々のメリットを有する直液式の筆記具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の筆記具の実施形態の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は中央縦断面図である。
【
図2】
図1の筆記具において、多孔体部材を外した状態を示す部分断面斜視図である。
【
図3】本発明の筆記具の実施形態の他例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は中央縦断面図である。
【
図4】
図3の筆記具において、多孔体部材を外した状態を示す部分断面斜視図である。
【
図5】本発明の筆記具の実施形態の他例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は中央縦断面図である。
【
図6】(a)~(e)は、
図5の筆記具におけるペン先(保持体に筆記芯を取り付けた状態)を示す各図面であり、(a)は正面図、(b)は(a)の中央縦断面図、(c)は背面図、(d)は正面側の後方から見た斜視図、(e)は背面側の後方から見た斜視図である。
【
図7】
図5に示した実施形態の筆記具のインク交換を示すものであり、(a)は平面図、(b)は中央縦断面図である。
【
図8】本発明の筆記具の実施形態の他例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳しく説明する。
図1及び
図2は、本発明の筆記具の第1実施形態を示すものであり、
図1(a)は平面図、(b)は中央縦断面図、
図2は、
図1の筆記具において、多孔体部材を外した状態を示す部分断面斜視図である。
本第1実施形態の筆記具Aは、
図1(a)及び(b)に示すように、インタンクとなる軸筒10、先軸20、液体インク25、多孔体部材30、継手35、保持体40、ペン先(筆記部:ペン芯)50を備えている。
【0013】
軸筒10は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いて有底筒状に形成されるものであり、
図1(b)に示すように、液体インクを直に収容してインクタンクを構成するものである。
この軸筒10は、全体又はその一部が不透明又は透明(及び半透明)に成形されるが、外観上や実用上の観点からいずれを採用しても良い。本実施形態では、残量が判読しやすくするために、軸筒10のインク収容箇所は視認できるようになっている。
【0014】
先軸20は、ペン先側となる前部に多孔体部材30、継手35などを内部に保持するための前部筒状部21と、後方側に後部筒状部22とを有し、後部筒状部22の外周は、軸筒10の先端開口部が嵌合により固着される構成となっている。
また、後部筒状部22の内部は前部筒状部21側へ先細状に縮径し、中央部に、小径のインク流出孔23が形成され、前部筒状部21と連通し、軸筒10内に直に収容される液体インク25がインク流出孔23を通過する構造となっている。
この構造の先軸20は、例えば、PP等からなる樹脂などで成形されるものである。
また、
図2に示すように、ペン先50から軸筒10に入り込む空気は先軸20の前部からインク流出孔23に掛けて内面に形成された複数のリブ24、24…間と多孔体部材30の隙間を通り、多孔体部材30を一度経由してからインク流出孔23に到達し、液体インク25と置換される。
【0015】
インタンクとなる軸筒10に直に収容する液体インク25としては、水性インク、油性インクが挙げられる。好ましくは、水性インク、油性インクとした25℃におけるコーン・プレート型粘度計(ELD型回転粘度計)のずり速度191.5(S-1)における粘度の測定値が、2~30(mPa・s)の比較的低粘度のインクが好適である。用いるインク組成としては、その用途(水性インク、油性インク)、筆記具種(マーキングペン、ボールペン等)に応じて顔料(樹脂顔料含む)、染料などの着色剤、主溶剤、樹脂、増粘剤及び筆記具用のインクに含有される任意成分などを用いることができる。
任意成分としては、例えば、インクに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を含有することができる。ボールペン用のインクでは、脂肪酸などは潤滑剤として好適に使用できる。また、乾燥抑制用添加剤として製品特性上、悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も含有することができる。
【0016】
多孔体部材30は、全体形状が柱状体となっており、長手方向の中心部に毛管力が高い高密度部31と、該高密度部31の外周部に高密度部31より毛管力が低い低密度部32を備えたものである。この高密度部31と低密度部32とは繊維密度、繊維繊度や気孔率等を異ならしめることにより毛管力が異なる構造(毛管力:高密度部31>低密度部32)となるものであれば、その材質、成形方法、製造方法等は特に限定されず、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせからなる繊維や繊維束、フェルト等、また、スポンジ、樹脂粒子、焼結体等の多孔体などの材料等を用いて構成することができ、上記繊維等を用いる場合、例えば、細い繊維径(細径繊維)のものを用いて高密度部31を形成し、該細い繊維径より太い繊維径(太径繊維)を用いて低密度部32を形成することができる。
このタイプの多孔体部材30の構成は、各繊維は長手方向に延びていて、細径繊維と太径繊維を備えている。前記細径繊維と前記太径繊維は、巻きフィルムによって包まれる。このとき、前記太径繊維は、前記多孔体部材の中心にまとめて配置される。そして前記多孔体部材は、前記細径繊維と前記太径繊維とを筒状に束ね、巻きフィルムによって包まれる。このとき、前記巻きフィルムは、樹脂等のフィルムで前記多孔体部材を包む方法や、前記多孔体部材の外周部をコーティングする方法等がある。
高密度部31と低密度部32とは上記材料(同一材料又は別々の材料)を用いて一体成形、または、別々に(二部材で)形成して、最後の工程等で高密度部31と低密度部32を嵌合、溶着、縫製などにより一体とすることができる。
多孔体部材30の全体形状が柱状体であれば、円柱状、楕円柱状、方形柱状など、その外周形状は特に限定されない。本実施形態では円柱状から構成されている。
また、高密度部31は中心部に無くても良く、少なくても1箇所、低密度部32内に形成されていれば良い。
【0017】
好ましい多孔体部材30としては、インク流出孔23からの液体インク25の排出を良好とする点、耐直流の点から、高密度部31の毛管力をM1、低密度部32の毛管力をM2とし、毛管力M1を1とした場合に、M2の毛管力が0.5~0.95とすることが好ましく、特に好ましくは、0.6~0.75とすることが望ましい。この毛管力M2が0.5未満になると、低密度部に入ったインクが垂れてしまう可能性があり、一方、1.0以上であると、低密度部に入ったインクがインクタンクに戻ることが出来ない可能性がある。
上記範囲となる毛管力M1、M2の調整は、例えば、多孔体部材30の材質が上記繊維で構成する場合は、繊維径が細いものと太いものを用いて高密度部31と低密度部32を構成したり、多孔体部材30の材質がスポンジ、樹脂粒子、焼結体等の多孔体などの材料を用いたものであれば、気孔率が高いものと低いもので構成することができる。
なお、本発明において、毛管力とは、液体インクを上昇させる力であり、シリコーン製のチューブをインキの収容された容器に入れ、一方を測定対象物(インキ吸蔵体、中継芯、ペン先)と連結させ、チューブ内をインキで満たす。このとき測定対象物内はインキで満たされ測定対象物の上端までインキは充填される。次いで、測定対象物の下端を徐々に上げる。このとき、測定対象物の上端でメニスカスが発生し、測定対象物の毛管力でインキ柱を保持する。測定対象物の下端と液面との距離(x)が測定対象物が支えているインキ柱の高さを比較することで求めることが可能である。
【0018】
上記構成の多孔体部材30は、先軸20の前部筒状部21内に充填(収容)され、多孔体部材30の後端面は前部筒状部21の後端壁面21aに密着し、前記インク流出孔23に多孔体部材30の高密度部31の一端となる後端面が接触する構成となっている。本実施形態では、インク流出孔23の面積より高密度部31の後端面の面積の方が大きくなっており、インク流出孔23から毛管力により良好に流出できる構造となっている。
【0019】
ペン先50の構造、インク種の粘度、高密度部31の毛管力などにより、インク流出孔23の孔径の面積S1(=接触面積)と高密度部31の面積S2は変動するが、耐インク漏れ性を良好とする点から、好ましくは、S1:S2が1:2~1:16とすることが望ましい。
上記前部筒状部21内に充填された多孔体部材30は、筒状の継手35が前部筒状部21内に嵌合により取り付けられることにより、前部筒状部21内に保持される構造となっている。前部筒状部21内に取り付けられた継手35内には、保持体40が嵌合により取り付けられ、更に保持体40内には筆記部50が嵌合により保持されており、ペン先(ペン芯)50の後端面が多孔体部材30の高密度部31の他端となる前端面と接触する構成(図示符号33)となっている。
【0020】
ペン先50は、使用する材質、形状、構造、製法等は、特に限定されるものではなく、例えば、天然繊維、獣毛繊維、合成樹脂(プラスチック)などの1種又は2種以上の組み合わせからなる平行繊維束、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、上記各種のプラスチック材の軸方向にインキ溝を形成したプラスチック芯、上記各種のプラスチック粉末などを融結したポーラス体、毛筆体などからなるものが挙げられ、その形態も板状体、繊維集束体、焼結体、発泡体等任意であり、多孔体部材30との任意の組み合わせができる。本実施形態のペン先(ペン芯)50は、先端が細い繊維芯から構成されている。
【0021】
本実施形態の筆記具Aでは、筆記具のインクタンクとなる軸筒10内に筆記具用インクを収容し、先軸20に多孔体部材30、継手35、保持体40、ペン先となる筆記部(ペン芯)50を取り付けたものを上記軸筒10の開口部に嵌合等により固着せしめることにより、簡単に筆記具Aを作製することができる。
【0022】
このように構成される筆記具Aでは、インクタンク10内に直に収容された液体インク25は、インク流出孔23を介して、多孔体部材30の高密度部31、筆記部(ペン芯)50へと毛管力により順次良好に流出していく構成となっている。また、ペン先上向き状体やインクタンク内圧の変化などのインクタンクとなる軸筒10からインク流出孔23を介して高密度部31へのインク供給が十分でない場合にも、低密度部32に含浸された液体インクで高密度部31を介してペン先50に供給できるため筆記が可能となる。
この筆記具Aでは、空気置換部となるインク流出孔23付近とペン先(ペン芯)50との距離が遠くても、ペン先50にインクを確実に供給することができ、また、直液タイプであるので、流量が安定し、かすれない、残量が判読しやすく、直液タイプでも上向きに筆記でき、種々のペン先との組み合わせが可能となり、しかも、インク供給のためのパイプ等が不要となるため、インク供給機構がシンプルとなり、極細軸や太軸の設計が容易となるなどの数々のメリットを有する直液式の筆記具が得られるものとなる。
【0023】
図3及び
図4は、本発明の筆記具の第2実施形態を示すものであり、
図3(a)は平面図、(b)は中央縦断面図、
図4は、
図3の筆記具において、多孔体部材を外した状態を示す部分断面斜視図である。
以下の第2~第4実施形態において、上記第1実施形態の筆記具Aと同様の構成、機能を有するものは、図中、同一符号を示して、その説明を省略する。
本第2実施形態の筆記具Bは、
図3及び
図4に示すように、インクタンクとなる軸筒10、先軸20、液体インク25、多孔体部材30、保持体40、ペン先(ペン芯)50を備えている。
【0024】
軸筒10は、上記第1実施形態の軸筒に比べ大径であり、ペン先側となる先端開口部に先軸20が嵌合により固着されている。
先軸20は、ペン先側となる前部に多孔体部材30、保持体40を内部に保持するための小径の前部筒状部24aと、中間に傾斜状中間部24bと、後方側に大径の後部筒状部24cとを有し、後部筒状部24cの外周は、軸筒10の先端開口部が嵌合により固着される構成となっている。後部筒状部24cの内周は、嵌合リブ24dが形成され、多孔体部材30を保持する構造となっている。
また、後部筒状部24cの後端開口部を塞ぐ蓋部26が取り付けられており、蓋部26の中央部にインク流出孔27が形成され、軸筒10内に直に収容される液体インク25がインク流出孔27を通過する構造となっている。インク流出孔27において、液体インクの排出性を良好とするため、インクタンク側がやや大きめ孔径となっている。
これらの構造となる先軸20、蓋部26は、例えば、PP等からなる樹脂などで成形されるものである。
【0025】
多孔体部材30は、上記第1実施形態と同様の機能を発揮するものであり、長手方向の中央部に毛管力が高い高密度部31と、該高密度部31の外周部に高密度部31より毛管力が低い低密度部32を備えたものである。
本実施形態では、多孔体部材30の高密度部31の一端となる後端面側は圧縮して毛管力を更に高めた圧縮部による高次高密度部34となって、液体インク25の流出性を更に良好としている。
この多孔体部材30は、先軸20の後部筒状部24c内に充填(収容)され、多孔体部材30の後端面は蓋部26の後端面に密着し、前記インク流出孔27に多孔体部材30の高密度部31の一端となる後端面が接触する構成となっている。本実施形態においても、インク流出孔27の面積より高密度部31の後端面の面積の方が大きくなっており、インク流出孔27から毛管力により良好に流出できる構造となっている。
上記後部筒状部24c内に充填された多孔体部材30は、筒状の保持体40が前部筒状部24a内に取り付けられることにより、前部筒状部24a内に保持される構造となっている。保持体40内には太目のペン先(ペン芯)50が嵌合により保持されており、ペン先50の後端面が多孔体部材30の高密度部31の他端となる前端面と接触する構成(図示符号33)となっている。
【0026】
このように構成される筆記具Bでは、インクタンク10内に直に収容された液体インク25は、インク流出孔27を介して多孔体部材30の高密度部31、ペン芯50へと毛管力により順次良好に流出していく構成となっている。また、ペン先上向き状態やインクタンク内圧の変化などのインクタンクとなる軸筒10からインク流出孔27を介して高密度部31へのインク供給が十分でない場合にも、低密度部32に含浸された液体インクで高密度部31を介してペン先50に供給できるため筆記が可能となる。この実施形態の筆記具Bでは、ペン先50から軸筒10に入り込む空気は、
図2と同様な構造、すなわち、先軸20の前部からインク流出孔27に掛けて内面に形成された複数のリブ(図示せず) 間と多孔体部材30の隙間を通り、多孔体部材30を一度経由してからインク流出孔27に到達し、液体インク25と置換される。また、この筆記具Bにおいても、空気置換部とペン先(ペン芯)との距離が遠くても、ペン先にインクを確実に供給することができ、また、直液タイプであるので、流量が安定し、かすれない、残量が判読しやすく、直液タイプでも上向きに筆記でき、種々のペン先との組み合わせが可能となり、しかも、インク供給のためのパイプ等が不要となるため、インク供給機構がシンプルとなり、極細軸や太軸の設計が容易となるなどの数々のメリットを有する直液式の筆記具が得られるものとなる。
【0027】
図5~
図7は、本発明の筆記具の第3実施形態を示すものであり、
図5(a)は平面図、(b)は中央縦断面図、
図6(a)~(e)は、
図5の筆記具における筆記部(保持体に筆記芯を取り付けた状態)を示す各図面である。
図7は、
図5に示した第3実施形態の筆記具Cのインク交換を示す状態図である。
本第3実施形態の筆記具Cは、
図5(a)及び(b)に示すように、インタンクとなる軸筒10、外筒15、先軸20、液体インク25、多孔体部材30、ペン先(筆記部:ペン芯)55、保持体60を備えている。
【0028】
第3実施形態の軸筒10、先軸20及び多孔部材30は、上記第1実施形態と同様の構成、機能を有するものであり、軸筒10及び多孔体部材30を収容した先軸20は、更に外筒15内に嵌合により固着される構造となっている。
この多孔体部材30は、上記第1実施形態と同様の機能等を発揮するものであり、長手方向の中央部に毛管力が高い高密度部31と、該高密度部31の外周部に高密度部31より毛管力が低い低密度部32を備えたものであり、後述するペン先(ペン芯)55は二つのインク誘導部の後端部が高密度部31内に突き刺し等により挿入されるため、高密度部31の面積(体積)は低密度部32より大きめになっている。
【0029】
ペン先55は、
図6(a)~(e)に示すように、断面が円形形状で、全体が略コ字型形状となるものであり、インク誘導部56、56と、該インク誘導部56、56からのインクを導出する筆記部57とを備えたものである。
このペン先55は、多孔体から構成されるものであり、例えば、気孔を有する多孔質で形成されたものが挙げられ、具体的には、スポンジ体、焼結体、繊維束体、発泡体、海綿体、フェルト体、ポーラス体などを挙げることができる。多孔体を形成する材料としては、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミドd系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポ
リフェニレン系樹脂などを用いることができる。本実施形態では、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結体から構成されている。
【0030】
保持体60は、
図6(a)~(e)に示すように、上記筆記芯55を固定して、外筒15の先端開口部に固着されるものであり、膨出状の本体部61と、該本体部61の前方側に、フランジ部62と、筆記方向を視認することができる可視部63とを有すると共に、可視部63の先端側にペン先55の先端側(端面)を保持する前方保持部64a,64bとを有するものである。
また、上記本体部61の後方側に、上記本体部61に連設される保持片65を有する後方保持部66とを備えたものである。これらの部材から構成される保持体60の長手方向外周面全体には、上記コ字型状の筆記芯55を嵌入保持する保持溝67が形成されている。更に、本体部61の幅方向外周面には、凹状の嵌合部61aが形成され、長手方向外周面となる両面空気流通溝には、それぞれ直線状の空気流通溝61bと屈曲状の空気流通溝61cが形成されている。
【0031】
このように構成される保持体60全体は、硬質材料で構成されており、例えば、視認性を有する硬質材料、例えば、金属、ガラス、ゴム弾性を有しない樹脂などから構成されるものである。視認可能となるゴム弾性を有しない樹脂としては、例えば、PP、PE、PET、PEN、ナイロン(6ナイロン、12ナイロン等の一般的なナイロン以外に非晶質ナイロン等を含む)、アクリル、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ABS等の可視光線透過率が50%以上の材料から成形により構成することにより、可視部63で筆記方向に書いてある文字を有効に視認できることとなる。なお、可視部63だけを視認性を有する材料で構成してもよい。なお、可視光線透過率は多光源分光測色計〔スガ試験機社製、(MSC-5N)〕にて反射率を測定することで求めることができる。
また、保持体60は、上記各材料の一種類、または、耐久性、視認性の更なる向上の点などから、2種類以上の材料を用いて構成してもよく、射出成形、ブロー成形などの各種成形法により成形することができる。
【0032】
この筆記具Cにおいて、上記ペン先55の保持体への固着(装着)は、保持溝67に上記ペン先のインク誘導部56、56を嵌入し、前方保持部64a,64bと保持片65を有する後方保持部66との保持によりペン先55は固着されることとなる。更に、ペン先55の固着(抜け止め)を確実にするために、接着剤による接着、溶着などを更に用いても良いものである。また、ペン先55の筆記部57と接触する保持体60の保持溝67の接触面部に楔形状の非平滑面部を形成して更に上記ペン先55の保持体60への固着を確実にしてもよいものである。
【0033】
上記構成のペン先55を固着した保持体60(
図6)を、外筒15の先端開口部内に嵌合することにより、ペン先55は保持体60を介して外筒15に固着されると共に、ペン先55のインク誘導部56、56の後方側端部56a、56aは多孔体部材30の高密度部31に入り込む構成となっている。なお、高密度部31の先端側内部にインク誘導部56、56の後方側端部56a、56aを挿入する凹部を形成してもよい。また、軸筒10内の圧力等が増大にした際に、インク垂れ等がペン先から生じることがあるが、本実施形態の筆記具Cでは、
図4に示すように、空気流通溝61b,61cを介して軸筒10内と外気とを調整している。
この実施形態の筆記具Cでは、ペン先55から空気流通溝61b,61cを介して軸筒10に入り込む空気は、
図2と同様な構造、すなわち、先軸20の前部からインク流出孔23に掛けて内面に形成された複数のリブ(図示せず)間と多孔体部材30の隙間を通り、多孔体部材30を一度経由してからインク流出孔23に到達し、液体インク25と置換される。
【0034】
このように構成される筆記具Cでは、インクタンク10内に直に収容された液体インク25は、インク流出孔23、多孔体部材30の高密度部31、ペン先55の筆記部57へと毛管力により順次良好に流出していく構成となっている。
この筆記具Cにおいても、ペン先上向き状態やインクタンク内圧の変化などのインクタンクとなる軸筒10からインク流出孔23を介して高密度部31へのインク供給が十分でない場合にも、低密度部32に含浸された液体インクで供給できるため筆記が可能となり、空気置換部となるインク流出孔23付近とペン先(ペン芯)50との距離が遠くても、ペン先50にインクを確実に供給することができ、また、直液タイプであるので、流量が安定し、かすれない、残量が判読しやすく、種々のペン先との組み合わせが可能となり、しかも、インク供給のためのパイプ等が不要となるため、インク供給機構がシンプルとなり、極細軸や太軸の設計が容易となるなどの数々のメリットを有する直液式の筆記具が得られるものとなる。
【0035】
また、この実施形態の筆記具Cでは、上述の如く、ペン先55を固着した保持体60が、視認性を有する材料で構成されているので、当該保持体60の可視部63が、筆記方向を視認できる視認部となるものであり、筆記方向に書いてある文字を確実に読むことができる十分な視認性が付与することができると共に、終筆まで使用可能な筆記具が提供されるものとなる。
【0036】
更に、この実施形態の筆記具Cでは、上述の軸筒10、先軸20及び多孔部材30は、インク交換用のカートリッジとなるものであり、軸筒10内に液体インク25が収容され、ペン先側には先軸20、多孔部材30が固着されたものであり、ペン先側となる先軸20の開口箇所は蓋部材(キャップ部材、図示せず)で密封等されている。
【0037】
このカートリッジを交換する際には、上記蓋部材を取り、
図7(a)及び(b)に示すように、外筒15の先端開口部にペン先55が嵌合により固着された本体に対して、インク交換用のカートリッジを外筒15の後端開口部16から挿入し、
図5(a)及び(b)に示すように、インク誘導部56、56の後方側端部56a、56aに多孔体部材30の高密度部31に入り込む構成とすることにより、上記第3実施形態と同様の構成、数々の作用効果を発揮できることとなる。
【0038】
図8は、本発明の筆記具の第4実施形態を示すものであり、
図8(a)は平面図、(b)は中央縦断面図である。
第4実施形態の筆記具Dは、第1実施形態の筆記具Aの軸筒10内に撹拌棒80を備えた点、軸筒10の外周に凸部11を有する点でのみ、第1実施形態の筆記具Aと相違するものである。
この第4実施形態の筆記具Dでは、撹拌棒80を備えることによって酸化チタン等を含めた隠蔽性のあるインクを用いても好適に使用することができる形態となっている。
【0039】
本発明の筆記具は、上記実施形態などに限定されることなく、本発明の技術思想を変更しない範囲内で種々変更することができる。
上記第1及び第2実施形態では、ペン先50を細め、または、太めの繊維芯から構成、また、第3実施形態ではプラスチック粉末などを焼結した焼結体から構成したが、プラスチック材の軸方向にインキ溝を形成したプラスチック芯を用いても良く、プラスチック芯の場合、多孔体部材30の高密度部31に刺さりやすいので、インク流出孔23に近づけることができ、更に液体インクのペン先への流通がより良好となる。
【0040】
また、上記各実施形態の筆記具において、インクタンクを構成する軸筒10からの液体インク25の排出性を更に向上させるために、インクタンクの内壁に撥水処理又は撥油処理などの表面処理がされていることが好ましい。液体インクとして水性系インクを用いる場合は撥水処理など、油性系インクを用いる場合は撥油処理などを施すことができる。
撥水処理では、シリコーンオイルやフッ素系樹脂、アクリル系樹もしくはアミド系樹脂からなる撥水コート剤等をコートすることができ、撥油処理では、シリコーン樹脂やフッ素系樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂などの撥油コート剤等をコートすることができ、コート方式としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法等の乾式、ならびにディップ法、スプレー法、スピンコート法、刷毛塗り、ダイコート等に代表される湿式のいずれかの手法を用いることができる。
【0041】
更に、上記各実施形態では、筆記具用の液体インクで説明したが、液状化粧料、液状薬剤、塗布液、修正液などの液状体とし、ペン先を該液状体に併せて、例えば、
図1~
図8で用いた構造の塗布部材として使用してもよいものである。また、本発明の筆記具は、サインペン、アンダーラインペン、ペイントマーカー、油性マーカー、水性マーカー、ホワイトボードやブラックボードなどの筆記板用の筆記具、更に、ペン先として、ボールペンチップを備え、後端部が多孔体部材の高密度部と接触してインクを供給できる方式のペン先に代えることにより水性や油性のボールペンとしても使用することができる。
【実施例】
【0042】
次に、実施例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0043】
〔実施例1〕
下記構成及び
図1に準拠する筆記具、下記液体インクを使用した。ペン先、多孔体部材等の寸法等は下記に示す大きさのものを使用した。
【0044】
(多孔体部材30の構成)
全体直径φ:6mm、高密度部31:直径φ;2mm、
高密度部31の構成:PET製15デニールの繊維を用いた。
低密度部32の構成:PET製30デニールの繊維を用いた。
高密度部31の毛管力を1とした場合に、低密度部32の毛管力は0.66であった。
(ペン先50の構成)
PET製繊維芯、気孔率50%、直径φ2mm、長さ18mm
(多孔体部材30、ペン先50以外の筆記具部材の構成)
軸筒(インクタンク)10、先軸20、継手35、保持体40:共にポリプロピレン(PP)製、軸筒10:直径7mm、先軸20の後部筒状部22:最大内径:φ6mm、インク流出孔23:直径φ1.3mm、長さ1mm
【0045】
(インク組成)
インクとして、下記組成のインク(合計100質量%)を使用した。
保湿剤:トリメチルグリシン(グリシンベタイン) 7.5質量%
ペンタエリスリトール 4.5質量%
着色剤:NKW-4805黄(日本蛍光社製) 40.0質量%
防腐剤:バイオエース(ケイアイ化成社製) 0.3質量%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1.0質量%
フッ素系界面活性剤:サーフロン8111N(AGCセイミケミカル社製) 0.2質量%
水溶性有機溶剤:エチレングリコール 3.0質量%
水(溶媒):イオン交換水 43.5質量%
【0046】
この実施例1の筆記具を用いて紙面に筆記したところ、ペン先50にインクを確実に供給することができ、流量も安定しており、かすれることなく筆記でき、しかも、インク残量も判読しやすく、上向きにしても確実に筆記でき、種々のペン先との組み合わせが可能となり、しかも、インク供給のためのパイプ等が不要となるため、インク供給機構がシンプルとなり、極細軸の設計が容易となるなどの数々のメリットを有する直液式の筆記具が得られることを確認した。
【0047】
〔実施例2〕
下記構成及び
図5、
図6に準拠する筆記具、上記実施例1のインクを使用した。多孔体部材30、ペン先55、保持体60等の寸法等は下記に示す大きさのものを使用した。
【0048】
(多孔体部材30の構成)
全体直径φ:7mm、高密度部31:直径φ;4mm、
高密度部31の構成:PET製15デニールの繊維を用いた。
低密度部32の構成:PET製30デニールの繊維を用いた。
高密度部31の毛管力を1とした場合に、低密度部32の毛管力は0.66であった。
(ペン先55の構成)
PE製焼結芯、気孔率60%、筆記部57:描線幅4mm、インク誘導部:φ1.6mm
(保持体60の構成)
アクリル樹脂製、可視光線透過率85%〔スガ試験機社製、多光源分光測色計(MSC-5N)にて反射率を測定し、可視光線透過率とした。〕
筆記芯取り付け後の可視部63(四角形)の大きさ:5mm×6mm×3mm×4mm
(多孔体部材30、保持体40、ペン先50以外の筆記具部材の構成)
軸筒(インクタンク)10、外筒15、先軸20:共にポリプロピレン(PP)製、軸筒10:直径φ12mm、先軸20の後部筒状部22:最大内径:φ8mm、インク流出孔23:直径φ1.3mm、長さ1mm
(インク組成) 実施例1のインクを使用した。
【0049】
この実施例2のアンダーラインマーカーの筆記具を用いて紙面の文字に筆記したところ、ペン先50にインクを確実に供給することができ、流量も安定しており、かすれることなく筆記(マーク)でき、しかも、インク残量も判読しやすく、上向きにしても確実に筆記でき、種々のペン先との組み合わせが可能となり、しかも、インク供給のためのパイプ等が不要となるため、インク供給機構がシンプルとなり、極細軸などの設計が容易となるなどの数々のメリットを有する直液式の筆記具が得られることを確認した。
また、この実施例2の筆記具を用いて、文字の上に筆記したところ、筆記時に可視部を介して向こう側の見え方を目視にて確認したところ、視認性が十分であり、見やすく、筆記方向に書いてある文字を読みながら筆記することができた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の筆記具では、サインペン、アンダーラインペン、油性マーカー、水性マーカー、ホワイトボードマーカーやブラックボードマーカーなどの筆記板用マーカー、水性や油性ボールペンなどに好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0051】
A 筆記具
10 軸筒(インクタンク)
20 先軸
30 多孔体部材
31 高密度部
32 低密度部
40 保持体
50 ペン先(ペン芯)