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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】制御装置及び点灯システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20220203BHJP
   B60Q 1/02 20060101ALI20220203BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20220203BHJP
   B60Q 1/28 20060101ALI20220203BHJP
   B60Q 1/30 20060101ALI20220203BHJP
   B61D 29/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B60Q1/00 C
B60Q1/02 B
B60Q1/04 E
B60Q1/28
B60Q1/30 Z
B61D29/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017125062
(22)【出願日】2017-06-27
(65)【公開番号】P2019006302
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-06-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ライティング・フェア2017 東京ビッグサイト 平成29年3月7日~10日 開催
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】小島 周平
(72)【発明者】
【氏名】小島 泰代
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-120221(JP,A)
【文献】特開平08-169274(JP,A)
【文献】国際公開第2012/060340(WO,A1)
【文献】特開2015-115272(JP,A)
【文献】特開2016-159704(JP,A)
【文献】特開2014-019394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
B60Q 1/02
B60Q 1/04
B60Q 1/28
B60Q 1/30
B61D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の標識灯を対象とした点灯制御を実行する第1の制御モードと、前記標識灯と前記標識灯の近傍に配置され動画又は文字情報を表示するための画像表示面を有する表示部とを対象とした点灯制御を実行する第2の制御モードとを、前記鉄道車両の走行状態に応じて切り替える制御部
を具備する制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記鉄道車両の走行状態を検出可能に構成された検出部の出力に基づき、前記第1の制御モードとして、前記標識灯の複数の光源の一部又は全部を点灯させ、前記第2の制御モードとして、前記複数の光源と前記表示部とを点灯させる
制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記鉄道車両の駅進入時を検出可能に構成された前記検出部の出力に基づき、前記第2の制御モードとして、前記複数の光源の一部を点灯させ、他の一部を点滅させる
制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記鉄道車両の停止時を検出可能に構成された前記検出部の出力に基づき、前記第2の制御モードとして、前記複数の光源を点滅させ、前記表示部に動画又は文字情報を表示させる
制御装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記鉄道車両の異常を検出可能に構成された異常検出部の出力に基づき、前記第2の制御モードとして、前記複数の光源の一部を赤色に点灯させる
制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記異常検出部の出力に基づき、前記鉄道車両の異常時に応じた文字情報を前記表示部にさらに表示させる
制御装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1つに記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記鉄道車両の走行状態に応じて、前記鉄道車両の全側面にわたって設けられた照明の点灯制御をさらに実行する
制御装置。
【請求項8】
複数の光源を有する標識灯と、前記複数の光源の近傍に配置され動画又は文字情報を表示するための画像表示面を有する表示部とを有し、鉄道車両に取り付けられた点灯装置と、
前記標識灯を対象とした点灯制御を実行する第1の制御モードと、前記標識灯と前記表示部とを対象とした点灯制御を実行する第2の制御モードとを、前記鉄道車両の走行状態に応じて切り替える制御部を有する制御装置と
を具備する点灯システム。
【請求項9】
請求項に記載の点灯システムであって、
前記標識灯は、前記鉄道車両の前部標識灯又は後部標識灯である
点灯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具を制御する制御装置と、この制御装置を搭載した点灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車両用灯具として、ヘッドランプ等の標識灯と、外観デザインの画像を表示するディスプレイとを個別に備える点灯装置が普及しつつある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-234130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、特許文献1に記載されたような、標識灯にディスプレイが併設された点灯装置において、装飾性に富んだ演出機能を持たせることが望まれている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、点灯装置に装飾性に富んだ演出機能を持たせることが可能な制御装置及び点灯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る制御装置は、制御部を有する。
上記制御部は、鉄道車両の標識灯を対象とした点灯制御を実行する第1の制御モードと、上記標識灯と上記標識灯の近傍に配置された表示部とを対象とした点灯制御を実行する第2の制御モードとを、上記鉄道車両の走行状態に応じて切り替える。
【0007】
これにより、標識灯の発光態様と、動画や色彩情報等が表示される表示部の表示態様とが、鉄道車両のシチュエーションに応じて連動することで、当該鉄道車両に装飾性に富んだ演出機能を持たせることが可能となる。
【0008】
上記制御部は、上記鉄道車両の走行状態を検出可能に構成された検出部の出力に基づき、上記第1の制御モードとして、上記標識灯の複数の光源の一部又は全部を点灯させ、上記第2の制御モードとして、上記複数の光源と前記表示部とを点灯させてもよい。
【0009】
上記制御部は、上記鉄道車両の駅進入時を検出可能に構成された上記検出部の出力に基づき、上記第2の制御モードとして、上記複数の光源の一部を点灯させ、他の一部を点滅させてもよい。
これにより、標識灯のヘッドライト機能と、装飾性に富んだ演出機能とを両立させることができる。
【0010】
上記制御部は、上記鉄道車両の停止時を検出可能に構成された上記検出部の出力に基づき、上記第2の制御モードとして、上記複数の光源を点滅させ、上記表示部に動画、色彩情報又は文字情報を表示させてもよい。
これにより、例えば駅に停車した鉄道車両に、より装飾性に富んだ演出機能を持たせることが可能となり、車外の乗客に対するエンターテイメント性を向上させることができる。
【0011】
上記制御部は、上記鉄道車両の異常を検出可能に構成された異常検出部の出力に基づき、上記第2の制御モードとして、上記複数の光源の一部を赤色に点灯させてもよい。
これにより、鉄道車両に異常を生じたことを、車外に効果的に注意喚起することができる。
【0012】
上記制御部は、上記異常検出部の出力に基づき、上記表示部を赤色にさらに点灯させてもよい。
【0013】
上記制御部は、上記異常検出部の出力に基づき、上記鉄道車両の異常時に応じた文字情報を上記表示部にさらに表示させてもよい。
【0014】
上記制御部は、上記鉄道車両の走行状態に応じて、上記鉄道車両の全側面にわたって設けられた照明の点灯制御をさらに実行してもよい。
これにより、鉄道車両の走行状態に応じて、当該鉄道車両のラインカラーを変更することができる。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る点灯システムは、点灯装置と、制御装置とを有する。
上記点灯装置は、複数の光源を有する標識灯と、上記複数の光源の近傍に配置された表示部とを有し、鉄道車両に取り付けられる。
上記制御装置は、上記標識灯を対象とした点灯制御を実行する第1の制御モードと、上記標識灯と上記表示部とを対象とした点灯制御を実行する第2の制御モードとを、上記鉄道車両の走行状態に応じて切り替える制御部を有する。
【0016】
上記標識灯は、上記鉄道車両の前部標識灯又は後部標識灯であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、点灯装置に装飾性に富んだ演出機能を持たせることが可能な制御装置及び点灯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る点灯システムが適用される鉄道車両の一例を示す図である。
図2】上記点灯システムの構成例を示す斜視図である。
図3】上記実施形態の点灯システムの構成例を示すブロック図である。
図4】上記実施形態の制御装置の制御方法を示すフローチャートである。
図5】上記制御装置の第1制御モードに基づく点灯パターンを示す図である。
図6】上記制御装置の第1制御モードに基づく点灯パターンを示す図である。
図7】上記制御装置の第2制御モードに基づく点灯パターンを示す図である。
図8】上記制御装置の第2制御モードに基づく点灯パターンを示す図である。
図9】上記制御装置の第2制御モードに基づく点灯パターンを示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る点灯システムの構成例を示すブロック図である。
図11】上記実施形態の制御装置の制御方法を示すフローチャートである。
図12】上記制御装置の第2制御モードに基づく点灯パターンを示す図である。
図13】本発明の変形例における制御装置の第1制御モードに基づく点灯パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本実施形態を説明する。本実施形態では、例えば、鉄道車両を対象とした点灯システムについて説明する。
【0020】
<<第1の実施形態>>
<点灯システムの概要>
図1は本実施形態に係る点灯システム100が適用される鉄道車両1を示す図であり、図2は鉄道車両1の点灯装置10を拡大して示す図であり、点灯装置10の斜視図である。なお、点灯システム100の構成は、以下の説明に限定されない。
【0021】
本実施形態に係る点灯システム100は、点灯装置10と、制御装置20とを有する(図3参照)。点灯装置10は、鉄道車両1の進行方向前方における先頭車両に取り付けられている。また、点灯装置10は、例えば外部衝撃に対する耐久性を向上させる観点から、図示を省略したカバーに覆われている。
【0022】
[点灯装置]
点灯装置10は、図1及び図2に示すように、標識灯11と、表示部12と、補助灯13と、レーザー照明14とを有する。これらは、先頭車両Tの前面部T1と、前面部T1を介して左右対称な両側面部T2及び両曲面部T3に亘って同一のラインを構成するように、鉄道車両1に設けられている。これにより、標識灯11、補助灯13及び後述する第2表示部12bは、前面部T1を介して左右対称な構成となっている。
【0023】
(標識灯)
本実施形態の標識灯11は、複数の光源11aを有する。複数の光源11aは、鉄道車両1の進行方向前方に照明光を出射可能に構成され、鉄道車両1の前部標識灯(ヘッドライト)である。
【0024】
複数の光源11aは、後述する第1表示部12aと補助灯13との間において、先頭車両Tの前面部T1と側面部T2との間の曲面部T3に倣いつつ、各光源11aの光軸が鉄道車両1の進行方向と平行となるように、一定のピッチ間隔で配列されている。
【0025】
また、複数の光源11aは、図2に示すように、L字状の仕切り板Bにより区画されたセルC内にそれぞれ配置されている。仕切り板Bは、例えば、光源11aが出射する光の指向性を向上させる観点から、光反射性を有する材料から構成されてもよい。
【0026】
本実施形態の光源11aは、例えばLED(Light Emitting Diode)光源とすることができる。この場合、LED光源の種類は特に限定されず、例えば砲弾タイプやFLUXタイプ、あるいは、表面実装タイプ(SMD)やCOBタイプ等が採用されてもよい。
【0027】
鉄道車両1に設けられる光源11aの数は特に限定されず、1つ又は複数でもよい。本実施形態の光源11aの数は20個であり、鉄道車両1の両曲面部T3に10個ずつ設けられる。光源11aが出射する照明光の色も特に限定されず、典型的には白色であるが、点灯装置10の仕様及び用途に応じて適宜決定され、例えば黄色、緑色、青色、赤色、桃色又は橙黄色等であってもよい。なお、標識灯11が配置される曲面部T3は、平面部であってもよい。標識灯11が後部標識灯(尾灯)として使用される場合、光源11aは、典型的には、赤色の照明光を出射する。
【0028】
(表示部)
表示部12は、第1表示部12aと、第2表示部12bとから構成される。第1表示部12aは、先頭車両Tに取り付けられた一方の標識灯11と、他の標識灯11との間において、鉄道車両1の進行方向前面(前面部T1)に配置される。第1表示部12aは前面が画像表示面となっており、色彩情報、動画(アニメーション)、静止画又は文字情報等を表示可能に構成される。
【0029】
第1表示部12aは、典型的にはLEDディスプレイであるが、これに限られず、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等その種類は問わない。
【0030】
第2表示部12bは、補助灯13と側面部T2との間の曲面部T3において、当該曲面部T3に倣いつつ、配置されている。第2表示部12bは、第1表示部12aと同様に前面が画像表示面となっており、色彩情報、動画(アニメーション)、静止画又は文字情報等を表示可能に構成される。
【0031】
第2表示部12bは、典型的にはLEDディスプレイであるが、これに限られず、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等その種類は問わない。
【0032】
(補助灯)
補助灯13は、標識灯11と第2表示部12bとの間における曲面部T3に配置され、照明光を出射可能に構成される。補助灯13は、例えば、鉄道車両1の駅停車時の指標として機能する停止位置照明である。
【0033】
補助灯13は、例えばLED光源とすることができる。この場合、上記で列挙したタイプのLED光源を採用することができる。補助灯13が出射する照明光の色は特に限定されず、点灯装置10の仕様及び用途に応じて適宜決定され、例えば白色、黄色、緑色、青色、赤色、桃色又は橙黄色等であってもよい。
【0034】
(レーザー照明)
レーザー照明14は、図1に示すように、標識灯11、表示部12及び補助灯13より鉛直下方において、鉄道車両1の全周(全側面)に亘って略連続的に設けられ、照明光を出射可能に構成される。
【0035】
本実施形態のレーザー照明14は、種々の波長のレーザー光を放出するレーザー照明であり、複数の光ファイバーがチューブ状にパッケージ化されたレーザー照明として構成される。
【0036】
レーザー照明14を構成する光ファイバーの種類は特に限定されず、例えば、マルチモードファイバー、シングルモードファイバー、ダブルクラッドファイバー又はフォトニック結晶ファイバー等その種類は問わない。
【0037】
また、レーザー照明14が出射する照明光の色も特に限定されず、点灯装置10の仕様及び用途に応じて適宜決定され、例えば白色、黄色、緑色、青色、赤色、桃色又は橙黄色等であってもよい。
【0038】
[制御装置]
図3は、点灯システム100の構成例を示すブロック図である。制御装置20は、同図に示すように、制御部21と、点灯回路22とを有する。
【0039】
(制御部)
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のコンピュータに必要なハードウェアを有する。CPUが、ROMやHDDに格納されたプログラムをRAMにロードして実行することにより、点灯装置10に後述する第1及び第2制御モードに基づく点灯パターンを実行させる。
【0040】
プログラムは、例えば種々の記憶媒体(内部メモリ)を介して制御装置20にインストールされる。あるいは、インターネット等を介してプログラムのインストールが実行されてもよい。本実施形態では、制御装置20として、例えば、マイクロコンピュータ等が用いられるが、他の任意のコンピュータが用いられてもよい。
【0041】
本実施形態の制御部21は、鉄道車両1の走行状態を検出可能に構成された検出部30の出力に基づき、点灯装置10を制御する。これにより、制御部21は、鉄道車両1の走行状態に応じて、後述するように、第1の制御モードでは複数の光源11aの一部又は全部を点灯させ、第2の制御モードでは、複数の光源11aと表示部12とを点灯させる。
【0042】
この場合、制御部21が検出部30の出力に基づいた制御を、例えばレーザー照明14に対して実行することによって、車両の走行状態に応じた鉄道車両1のラインカラーの変更が実現される。なお、制御部21は、検出部30の出力に限られず、鉄道車両1の走行状態が記録された運行データに基づき点灯装置10を制御することもできる。
【0043】
検出部30は、鉄道車両1に設けられ、制御装置20と無線又は有線により接続される。検出部30は、例えば、鉄道車両1の走行状態(走行時、停止時又は駅進入時等)や、移動量(走行距離等)などを検出可能に構成されたモニタリングセンサである。
【0044】
本実施形態では、上記モニタリングセンサとして、鉄道車両1の車輪の回転数等を検出可能な車輪速センサや、鉄道車両1の速度を検出可能な速度センサ等が採用可能であるが、これに限られない。
【0045】
例えば、モニタリングセンサは、鉄道車両1の現在位置を人工衛星から電波により検出可能なGPS(Global Positioning System)センサや、鉄道車両1のドアの開閉を検出可能な開閉センサ等であってもよい。
【0046】
さらに、制御部21は、ユーザの操作を入力するための入力部40の出力に基づき、点灯装置10を制御することもできる。これにより、点灯装置10にユーザの所望とする点灯パターンを実行させることが可能となる。入力部40としては、例えば、タッチパネルやキーボード等の操作デバイスが採用される。
【0047】
(点灯回路)
点灯回路22は、点灯装置10の点灯/消灯を切り替えるスイッチング素子等から構成される。点灯回路22は、制御部21が出力する制御信号に従って、標識灯11、表示部12、補助灯13及びレーザー照明14のそれぞれに対応するスイッチング素子のON/OFFを切り替える。これにより、標識灯11、表示部12、補助灯13及びレーザー照明14各々の点灯/消灯が制御される。
【0048】
<制御方法>
次に、制御装置20の制御方法について説明する。図4は、制御装置20が点灯装置10を制御する方法を示すフローチャートである。
【0049】
本実施形態の制御装置20は、鉄道車両1の標識灯11を対象とした点灯制御が実行される第1制御モードと、標識灯11と表示部12とを対象とした点灯制御が実行される第2制御モードとを、鉄道車両1の走行状態に応じて切り替える制御を行う。
【0050】
[第1制御モード]
先ず、検出部30は、鉄道車両1が走行しているか否かをモニタリングする(S01)。次いで、検出部30が鉄道車両1の走行状態を検出した場合に(S01のYES)、鉄道車両1が駅に進入したか否かがモニタリングされる(S02)。この際、制御部21は、例えば、鉄道車両1の速度や車輪の回転数等を検出した検出部30の出力に基づき、鉄道車両1が走行状態であるか否かを判断する。
【0051】
続いて、検出部30が鉄道車両1の駅進入を検出しなかった場合に(S02のNO)、第1制御モードが実行される(S03)。図5及び図6は、点灯装置10を簡略化した模式図であり、第1制御モードに基づく点灯パターンを示す図である。
【0052】
(1)適用例1
本実施形態では、第1制御モードとして、複数の光源11a全部とレーザー照明14とが白色に点灯し、補助灯13が消灯する(図5参照)。これにより、鉄道車両1の進行方向前方へ高出力に照明光が出射されるハイビームが構成され、鉄道車両1のヘッドライト機能が実現される。なお、適用例1においては、表示部12に動画、色彩情報又は文字情報等の任意の情報が表示されてもよい。
【0053】
(2)適用例2
また、第1の制御モードでは、補助灯13側の4つの光源11aのみとレーザー照明14が白色に点灯し、表示部12と補助灯13が消灯してもよい(図6参照)。これにより、上記ハイビームより照明光の出力が低い又は光軸が変更されたロービームが構成される。
【0054】
なお、第1の制御モードにおいて、補助灯13とレーザー照明14の照明光の色は、上記で説明した色に限定されないのは勿論である。また、図5及び図6に示す黒色は白色点灯を示しており、以下の図においても同義である。
【0055】
[第2制御モード]
(点灯パターン1)
先ず、検出部30は、鉄道車両1が走行しているか否かをモニタリングする(S01)。次いで、検出部30が鉄道車両1の走行状態を検出した場合に(S01のYES)、鉄道車両1が駅に進入したか否かがモニタリングされる(S02)。
【0056】
続いて、検出部30が鉄道車両1の駅への進入を検出した場合に(S02のYES)、第2制御モードに基づく第1点灯パターンが実行される(S04)。この際、制御部21は、例えば、鉄道車両1が所定の速度にまで減速し、所定の距離(駅からの走行距離等)走行したことを検出した検出部30の出力に基づき、鉄道車両1が駅に進入したか否かを判断する。
【0057】
図7は、点灯装置10を簡略化した模式図であり、第1点灯パターンを示す図である。本実施形態では、第1点灯パターンとして、複数の光源11aの一部を点灯させ、他の一部を点滅させる。
【0058】
具体的には、補助灯13側の4つの光源11aが白色に点灯され、且つ、第1表示部12a側から数えて6つ目の光源11aまで、第1表示部12aから6つ目の光源11aに向かって、白色点滅が順次流れるように繰り返される(図7参照)。
【0059】
この際、第1表示部12aでは、光源11aの発光態様をまねた発光が実行され、第2表示部12bには例えば文字情報が表示される。また、補助灯13は緑色の点滅から点灯に切り替わり、レーザー照明14は青色に点滅する。なお、図7に示す第1表示部12aに表示された文字情報は一例であり、この文字情報に限定されない。
【0060】
点灯装置10に第1点灯パターンを適用させることにより、鉄道車両1の駅進入時において、標識灯11のヘッドライト機能と、装飾性に富んだ演出機能とを両立させることができる。なお、第1点灯パターンにおいて、光源11a、第1表示部12a、補助灯13及びレーザー照明14の照明光の色は、上記で説明した色に限定されないのは勿論である。
【0061】
(点灯パターン2)
先ず、検出部30は、鉄道車両1が走行しているか否かをモニタリングする(S01)次いで、検出部30が鉄道車両1の走行を検出しなかった場合に(S01のNO)に、鉄道車両が緊急事態であるか否かが判断される(S07)。緊急モードの詳細については後述する。
【0062】
次いで、鉄道車両1が緊急事態ではないと判断された場合に(S07のNO)、第2制御モードとして、鉄道車両1の停止時に基づく第2点灯パターンが実行される(S05)。この際、制御部21は、例えば、鉄道車両1の車輪の回転が停止したことや、ドアが開いたことを検出した検出部30の出力に基づき、鉄道車両1が駅に停止しているか否かを判断する。
【0063】
図8及び図9は、点灯装置10を簡略化した模式図であり、第2点灯パターンを示す図である。本実施形態では、第2点灯パターンとして、複数の光源11aを点滅させ、第1及び第2表示部12a,12bにそれぞれ動画、文字情報を表示させる。
【0064】
(1)適用例1
具体的には、複数の光源11aの全てにおいて、第1表示部12a側から補助灯13側に向かい再度第1表示部12a側へ戻る白色点滅が順次流れるように繰り返される(図8参照)。この際、補助灯13は消灯し、レーザー照明14は青色に点滅する。この場合、第1及び第2表示部12a,12bに色彩が緑、青、橙、白の順に切り替わる色彩情報が表示されてもよく、レーザー照明14の色彩が上記の順に徐々に切り替わる、所謂フェードイン制御が実行されてもよい。
【0065】
(2)適用例2
あるいは、複数の光源11aの全てにおいて、第1表示部12a側から補助灯13側に向かい再度第1表示部12a側へ戻る白色点滅が順次流れるように繰り返される発光態様と、補助灯13側から第1表示部12a側に向かい再度補助灯13側へ戻る赤色点滅が順次流れるように繰り返される発光態様とが、同時進行で行われてもよい(図9参照)。この際、第1及び第2表示部12a,12bと補助灯13は消灯し、レーザー照明14は、桃色に点灯する。
【0066】
(3)適用例3
または、複数の光源11aの全てと第1及び第2表示部12a,12bとが同期した桃色の点灯/点滅が実行されたり、複数の光源11aの全てが桃色に点灯し、第1及び第2表示部12a,12bに動画が表示されたりしてもよい。この際、レーザー照明14は、桃色に点灯してから徐々に消灯し(所謂フェードアウト制御)、補助灯13は消灯する。
【0067】
点灯装置10に第2点灯パターンを適用させることによって、例えば、駅に停車した鉄道車両1に、より装飾性に富んだ演出機能を持たせることが可能となり、車外の乗客に対するエンターテイメント性を向上させることができる。
【0068】
[緊急モード]
先ず、検出部30は、鉄道車両1が走行しているか否かをモニタリングする(S01)次いで、検出部30が鉄道車両1の走行を検出しなかった場合に(S01のNO)に、鉄道車両1が緊急事態であるか否かが判断される(S07)。
【0069】
この際、制御部30は、例えば鉄道車両1が故障により停止してしまった場合に、乗務員による入力部40を介した入力に基づき、鉄道車両1が緊急事態であると判断する。
【0070】
続いて、鉄道車両1が緊急事態であると判断された場合に(S07のYES)、緊急モードとして、後述する異常点灯パターンと同様の発光パターンが実行される(図12参照)。
【0071】
本実施形態では、第1制御モードと第2制御モードとを切り替える制御が、鉄道車両1の運転が停止するか、あるいは強制的に電源が落されるまで実行される(S06)。
【0072】
なお、第2点灯パターンにおいて、光源11a、第1及び第2表示部12a、12b、補助灯13及びレーザー照明14の照明光の色は、上記で説明した色に限定されないのは勿論である。また、図9に示すハッチングは赤色点灯を示しており、以下の図においても同義である。
【0073】
<<第2の実施形態>>
図10は、本実施形態の点灯システム100の構成例を示すブロック図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する
【0074】
本実施形態に点灯システム100は、制御部21が異常検出部50の出力に基づき制御可能に構成される点で、第1の実施形態と異なる。
【0075】
異常検出部50は、例えば、鉄道車両1から受信した情報に基づいて、鉄道車両1の異常を検出し、制御部21へ通知可能に構成されたセンサである。制御装置20は、後述するように、異常検出部50において異常が検出されていない場合には第1の実施形態で説明した点灯パターンを実行し、異常が検出された場合には鉄道車両1の異常時に応じた点灯パターンを実行する。
【0076】
本実施形態では、上記センサとして、例えば鉄道車両1の揺れを検出可能な振動センサや、検出部30の故障情報を検出可能なセンサ等が採用可能であるが、その種類は問わない。
<制御方法>
次に、本実施形態の制御装置20の制御方法について説明する。図11は、制御装置20が点灯装置10を制御する方法を示すフローチャートである。
【0077】
[第2制御モード]
(他の点灯パターン)
先ず、異常検出部50が鉄道車両1の異常の有無をモニタリングする(S09)。続いて、異常検出部50が鉄道車両1の異常を検出しなかった場合(S09のNO)、上記の第1の実施形態で説明した点灯パターンが実行される(S11)
【0078】
(異常点灯パターン)
一方、異常検出部50が鉄道車両1の異常を検出した場合(S09のYES)、第2制御モードとして、鉄道車両1の異常時に基づく異常点灯パターンが実行される(S10)。この際、制御部21は、例えば、鉄道車両1の動力系やパンタグラフ等の異常や、異常な揺れ等を検出した異常検出部50の出力に基づき、鉄道車両1に異常が発生しているか否かを判断する。
【0079】
なお、本実施形態では、鉄道車両1における車内や搭乗者に緊急事態(異常)が発生した場合等に、搭乗者(乗務員、乗客)自身による入力部40を介した入力に基づき、後述する異常点灯パターンが実行されてもよい。
【0080】
本実施形態では、異常点灯パターンと他の点灯パターンとを切り替える制御が、鉄道車両1の運転が停止するか、あるいは強制的に電源が落されるまで実行される(S12)。以下、異常点灯パターンの詳細について説明する。
【0081】
図12は、点灯装置10を簡略的に示す模式図であり、異常点灯パターンを示す図である。本実施形態では、異常点灯パターンとして、複数の光源11aの一部と、第1及び第2表示部12a,12bが赤色に点灯する。
【0082】
具体的には、補助灯13側の4つの光源11aが赤色に点灯し、これらの光源11a以外の6つの光源11aが白色点滅してから、さらに高速に白色点滅する発光態様が繰り返される。
【0083】
この際、第1及び第2表示部12a,12bでは、光源11aの発光態様をまねた発光が実行される。また、補助灯13は消灯し、レーザー照明14は光源11aの点滅時に赤色に点灯し、高速点滅時に白色に点灯する。この場合、第1及び第2表示部12a,12bに、「緊急停止」、「STOP」等の文字情報や図形等が表示されてもよい。
【0084】
点灯装置10に異常点灯パターンを適用させることによって、鉄道車両1に異常を生じたことを車外に効果的に注意喚起することが可能となる。なお、異常点灯パターンにおいて、光源11a、第1表示部12a、補助灯13及びレーザー照明14の照明光の色は、上記で説明した色に限定されないのは勿論である。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0086】
例えば、上記の実施形態では、点灯装置10における標識灯11は前部標識灯であるが、鉄道車両1の後部標識灯(尾灯)であってもよく、この後部標識灯を有する点灯装置10に上記した点灯パターンが実行されてもよい。
【0087】
この場合、上記の実施形態で説明した第1制御モードに基づく点灯パターンとして、
後部標識灯と表示部12とを有する点灯装置10に以下に説明する点灯パターンを適用してもよい。図13は、本発明の変形例における点灯パターンを示す図である。
【0088】
この点灯パターンは、複数の光源11aの全て(後部標識灯)と、第1及び第2表示部12a,12bにおいて、第1表示部12aから第2表示部12bに向かう赤色点滅が順次流れるように繰り返される。この際、補助灯13は消灯し、レーザー照明14は赤色に点灯する。
【0089】
これにより、鉄道車両1の走行時において、点灯装置10に、後部標識灯としての機能だけではなく、装飾性に富んだ演出機能も発現させることができる。
【0090】
また、上記実施形態では、前部標識灯と、この前部標識灯近傍の表示部12とが連動した点灯パターンが実行されるが、これに限られず、前部標識灯を有する点灯装置10と、後部標識灯を有する点灯装置10同士が連動した点灯パターンが実行されてもよい。
【0091】
さらに、上記実施形態では、点灯装置10を構成する第1及び第2表示部12a,12b、標識灯11及び補助灯13が同一のライン上に配置されるが、これに限られず、点灯装置10の仕様及び用途に応じてレイアウトが適宜変更されてもよい。
【0092】
例えば、第1及び第2表示部12a,12bは、標識灯11の鉛直上方又は下方に配置されてもよい。あるいは、複数の光源11aが車両進行方向と平行な複数のライン上に配置されていてもよい。
【0093】
加えて、上記実施形態で説明した点灯装置10の点灯パターンは、制御装置20により任意に設定可能であり、上記の点灯パターンに限定されない。
【0094】
また、上記実施形態の点灯システム100は、典型的には鉄道車両に適用されるが、これに限られない。点灯システム100は、自動車、オートバイ、自転車、船舶等の移動体全般に適用されてもよくその用途は問わない。
【符号の説明】
【0095】
1・・・鉄道車両
10・・点灯装置
11・・標識灯
12・・表示部
13・・補助灯
14・・レーザー照明
20・・制御装置
21・・制御部
22・・点灯回路
30・・検出部
40・・入力部
図1
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