(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】情報提供装置、積込作業支援システム及び情報提供方法
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20220120BHJP
B65G 67/04 20060101ALI20220120BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20220120BHJP
G06Q 10/08 20120101ALI20220120BHJP
G06Q 50/02 20120101ALI20220120BHJP
【FI】
B65G61/00 530
B65G67/04
E02F9/26 B
G06Q10/08 300
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2017216624
(22)【出願日】2017-11-09
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二上 将直
(72)【発明者】
【氏名】小森 信也
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-102322(JP,A)
【文献】特開2014-137690(JP,A)
【文献】特開2000-142983(JP,A)
【文献】特開2009-286624(JP,A)
【文献】特開2008-240461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
B65G 67/04
E02F 9/26
G06Q 10/08
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車両に対して積込車両が行う積込作業の進捗度を演算する積込進捗度演算部と、
前記進捗度が、前記積込作業の途中段階に対応する進捗度判定閾値以上となったか否かを判断する判断部と、
前記積込作業が途中段階となった場合に、前記積込作業が前記途中段階にあることを示す積込途中情報を外部装置へ送信する積込進捗度送信部と、
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記運搬車両の最大積載量を取得する運搬車両情報取得部を更に備え、
前記積込進捗度演算部は、前記最大積載量に基づいて前記進捗度を演算する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記運搬車両情報取得部は、更に、前記運搬車両の当初の積載量を取得し、
前記積込進捗度演算部は、前記最大積載量と前記当初の積載量とに基づいて前記進捗度を演算する
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
1回の積込動作によって前記運搬車両に積み込まれる運搬物の荷重を演算する荷重演算部を更に備え、
前記積込進捗度演算部は、1回の前記積込動作ごとに演算される前記荷重の積算値に基づいて前記進捗度を演算する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記積込進捗度送信部は、前記積込途中情報に加え、更に、前記積込作業が開始されたことを示す積込開始情報と、前記積込作業が完了したことを示す積込完了情報と、を前記外部装置へ送信する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
運搬車両に対して積込車両が行う積込作業の進捗度を演算する積込進捗度演算部と、
前記進捗度が、前記積込作業の途中段階に対応する進捗度判定閾値以上となったか否かを判断する判断部と、
前記積込作業が途中段階となった場合に、前記積込作業が前記途中段階にあることを示す積込途中情報を外部装置へ送信する積込進捗度送信部と、
を備える積込作業支援システム。
【請求項7】
前記積込作業支援システムは、
前記積込途中情報を受け付けた場合に、待機中の運搬車両に対し、前記積込車両に向けて発進すべき旨の指示を行う運搬車両発進指示部を更に備える
請求項6に記載の積込作業支援システム。
【請求項8】
積込車両の情報提供方法であって、
前記積込車両が積込状態にあるか否かを判定するステップと、
前記積込車両が積込状態にある場合に、運搬車両に対して積込車両が行う積込作業の進捗度を演算するステップと、
前記進捗度が、前記積込作業の途中段階に対応する進捗度判定閾値以上であるかを判断するステップと、
前記積込作業が途中段階であると判断された場合に、前記積込作業が前記途中段階にあることを示す積込途中情報を外部装置へ送信するステップと、
を行う情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、積込作業支援システム及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械から運搬車輌への荷の過投入を確実に防止できる作業量モニタリングシステムが開示されている。
【0003】
この作業量モニタリングシステムによれば、コントローラが、油圧ショベルのバケットを外方へ操作するバケットアウト操作信号を検知して、一定時間以上のバケットアウト操作信号下で積込荷重値が減少した場合に、バケットから運搬車輌への積込操作を自動的に認識できるとともに、バケットアウト操作直前の積込荷重値とバケットアウト操作後の最軽量荷重値との差を、現在荷重値として自動的に積算することができ、油圧ショベルのオペレータによる手動積算操作ミスを防止できる。また、バケットから荷を放出する前後の荷重値差を検出して積算することで、バケットに荷の一部が残っている場合でも、正確な積載量を積算できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常の建設現場等において行われる作業の一つに、油圧ショベル等の積込車両による、ダンプトラック等の運搬車両への運搬物の積込作業がある。運搬車両は、規定された最大積載量を超えない範囲で運搬物を積み込まれた状態で建設現場を退場し、この運搬車両と入れ替わって、新たな運搬車両が積込車両の下へ到来する。
【0006】
上記のような積込作業に係る、積込車両、運搬車両の稼働効率の更なる向上が求められている。
【0007】
本発明は、積込作業に係る、積込車両、運搬車両の稼働効率を向上させることができる情報提供装置、積込作業支援システム及び情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、情報提供装置は、運搬車両に対して積込車両が行う積込作業の進捗度を演算する積込進捗度演算部と、前記進捗度が、前記積込作業の途中段階に対応する進捗度判定閾値以上となったか否かを判断する判断部と、前記積込作業が途中段階となった場合に、前記積込作業が前記途中段階にあることを示す積込途中情報を外部装置へ送信する積込進捗度送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、積込作業に係る、積込車両、運搬車両の稼働効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る積込作業支援システムの全体構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る情報提供装置の機能構成を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る情報提供装置及びサーバ装置による運搬車両情報の取得時の処理フローを示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る運搬車両情報の構成例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る情報提供装置による積込作業時の処理フローを示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る情報提供装置による積込作業時の各処理を詳細に説明するための図である。
【
図8】第1の実施形態に係る積込作業支援システムの処理の例を示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係る積込開始情報、積込途中情報及び積込完了情報の構成例を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係る端末装置に表示される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る積込作業支援システムについて、
図1~
図10を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(作業支援システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る積込作業支援システムの全体構成を示す図である。
図1において、建設現場F1では、建設作業に伴って発生した土砂、砂礫等を排出するため、これらの積込作業が行われる。積込作業とは、積込車両2を用いて、土砂、砂礫等を運搬車両3に積み込む作業である。以下、土砂、砂礫等を運搬物と表記する。ここで、積込車両2は、例えば、油圧ショベル等である。また、運搬車両3は、積込を行うベッセルを備える車両であり、例えば、ダンプトラック等である。
なお、本実施形態において、積込車両2は、油圧ショベルであるものとして説明するが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。積込車両2は、例えば、ホイールローダであってもよい。
待機場F2では、建設現場F1での積込作業用として割り当てられた複数の運搬車両3が待機する。各運搬車両3は、それぞれ最大積載量が定められている。積込作業の稼働効率の観点より、通常、運搬車両3は、最大積載量を上回らない範囲で、その間近まで運搬物を積み込んでから建設現場F1を退場する。待機場F2で待機する運搬車両3は所定の段階で建設現場F1に向けて発進し、積込作業が完了した運搬車両3と入れ替わることで、継続的に積込作業が行われる。
本実施形態においては、立地上の制約により、待機場F2は、建設現場F1とは別の場所に存在するものとする。ここで、立地上の制約とは、例えば、建設現場F1内には積込作業中の運搬車両3以外の運搬車両3が待機するスペースを確保できない、との制約である。ただし、積込作業支援システム1の適用範囲は、上記のような条件に限定されるものではない。
また、本実施形態に係る待機場F2は、例えば、建設現場F1とは別の場所に設けられた専用の駐車スペースであってよいが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態においては、待機場F2は、例えば、車道であってもよく、また、運搬車両3が当該車道である待機場F2を走行中の場合も、待機場F2で待機している状態に含まれるものとする。
【0013】
図1に示すように、積込作業支援システム1は、サーバ装置10と、情報提供装置20と、車両重量計4と、を備えている。
【0014】
サーバ装置10は、例えば、インターネット回線等である広域通信ネットワークNを介して、積込車両2に搭載された情報提供装置20、及び、運搬車両3の運転者が所持する端末装置30との間で情報のやり取りを行う。サーバ装置10は、建設現場F1の事務所に設置される態様であったり、建設現場F1と別の場所に設置される態様等がある。
情報提供装置20は、積込車両2に搭載される。情報提供装置20は、主に、積込車両2の積込動作(後述)を検出して、運搬車両3に対して行う積込作業の進捗を示す情報を、外部装置であるサーバ装置10に送信する。ここで、本実施形態における外部装置とは、積込車両2の外部に設置される装置である。また、情報提供装置20は、積込車両2に搭乗する操作者が所持する端末装置20Aと有線又は無線を介して通信可能に接続されている。情報提供装置20は、この端末装置20Aを通じて、操作者による各種入力操作を受け付けたり、操作者に対して種々の情報を提示したりすることができる。
積込車両2の操作者が所持する端末装置20Aは、例えば、タブレット端末等である。端末装置20Aは、持ち運び可能であるとともに、一般的な入力機能、表示機能、通信機能等を有している。
運搬車両3の運転者が所持する端末装置30は、例えば、スマートフォン等である。端末装置30は、持ち運び可能であるとともに、一般に知られている入力機能、表示機能、通信機能、位置情報取得機能を有し、携帯電話番号などの識別情報によって個体識別可能とされる。なお、サーバ装置10は、運搬車両3の運搬車両IDと端末装置30の識別情報とを対応付けることで、端末装置30が示す位置情報を、運搬車両3の現在位置とみなすこともできる。
なお、本実施形態に係る端末装置20A、端末装置30は、持ち運び可能なタブレット端末、スマートフォン等であるとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。即ち、端末装置20A、端末装置30は、それぞれ、積込車両2、運搬車両3に固定された車載式の固定端末であってもよい。また、端末装置20A、端末装置30が固定端末であった場合、当該端末装置20A、端末装置30は、さらに、外部の入力機構である入力ボタンを備えてもよい。
【0015】
車両重量計4は、計量台の上に乗る運搬車両3の総重量を計量する。また、車両重量計4は、総重量を計量した運搬車両3の当初の積載量を、当該運搬車両3の運搬車両IDと関連付けてサーバ装置10に送信する。当初の積載量とは、運搬車両3が計量時点において積載する積載物の重量である。車両重量計4は、総重量の計量結果から車体のみの重量を差し引くことで当初の積載量を演算する。ここで、車体のみの重量は、積載物、重量物を搭載しない状態の運搬車両の重量を示す規定値とされる。
車両重量計4は、例えば、建設現場F1、又は、待機場F2の出入口等に設けられることで、建設現場F1に到来した時点における運搬車両3の当初の積載量が計量されるものとする。また、情報提供装置20の運搬車両情報取得部200は、運搬車両情報を定期的に取得して更新し、常に最新の当初の積載量が反映された運搬車両情報を取得するものとする。ここで、運搬車両情報の更新の周期は、例えば、15秒に1回などとされる。
【0016】
(積込作業の構成)
積込車両2の構成について説明する。積込車両2は、走行体、上部旋回体、及び、当該上部旋回体に設置され積込に寄与する作業機を有してなる。作業機とは、ブーム、アーム及びバケットのセットである。上部旋回体には運転席およびブームが設けられる。また、ブームにはアームが取り付けられる。また、アームにはバケットが取り付けられる。また、上部旋回体とブームのそれぞれにはブームシリンダが取り付けられる。ブームシリンダを駆動することで上部旋回体に対しブームを動作することができる。ブームとアームそれぞれにはアームシリンダが取り付けられる。アームシリンダを駆動することで、ブームに対しアームを動作することができる。アームとバケットのそれぞれにはバケットシリンダが取り付けられる。バケットシリンダを駆動することでアームに対しバケットが動作することができる。旋回体には、位置情報取得のGPSアンテナが設けられている。
積込車両2は、作業機と旋回体との操作を運転席の左右の十字レバーで受け付ける。操作者は、右レバーを前後方向に操作することでブーム下げ上げの各動作を行うことができる。また、操作者は、右レバーを左右方向に操作することでバケット掘削・ダンプを行うことができる。また、操作者は、左レバーを前後方向に操作することでアームダンプ・掘削を行うことができる。また、操作者は、左レバーを左右方向に操作することで旋回左右動作を行うことができる。
なお、情報提供装置20は、作業機に具備される各種駆動部材の駆動状態(シリンダストローク等)を検出することで、当該作業機の姿勢角演算を行う。また、積込車両2は、作業機に具備されるブームシリンダ圧等のシリンダ圧力で検出した検出結果に基づいて、バケット内に保持される運搬物の荷重演算を行う。また、積込車両2は、シリンダストロークやブームシリンダ圧等の各センサ検出値を、バケット高さや荷重などの各パラメータに演算する機能を有する。
【0017】
<サーバ装置の機能構成>
図2は、第1の実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示す図である。
図2に示すように、サーバ装置10は、CPU10Aと、記録媒体110と、メインメモリ111と、インタフェース112とを備えている。
メインメモリ111は、CPU10Aのワークエリア等として用いられる揮発性のメモリ(RAM)である。また、インタフェース112は、情報提供装置20、端末装置30等との間で情報のやり取りをするための通信インタフェースである。
記録媒体110は、サーバ装置10に内蔵される大容量記録デバイスであって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、不揮発性メモリ等である。
【0018】
CPU10Aは、メインメモリ111に展開されたプログラムに従って動作することで、積込車両通信部100、運搬車両情報生成部101、及び、運搬車両発進指示部102として機能する。
積込車両通信部100は、積込車両2に搭載された情報提供装置20(
図1)との間で各種情報の送受信を行う。
運搬車両情報生成部101は、積込車両2の情報提供装置20から受信したリクエスト情報に応じて、運搬車両情報(後述)を生成する。
運搬車両発進指示部102は、情報提供装置20から積込作業の進捗を示す所定の情報である積込途中情報(後述)を受け付けた場合に、待機場F2で待機中の次に積込を行う運搬車両3の運転者が所有する端末装置30に対し、建設現場F1の積込車両2に向けて発進すべき旨の指示を行う。
記録媒体110には、建設現場F1での積込作業用に割り当てられた積込車両2、運搬車両3に関する情報群が予め記録されている。
【0019】
<情報提供装置の機能構成>
図3は、第1の実施形態に係る情報提供装置の機能構成を示す図である。
図3に示すように、情報提供装置20は、CPU20Cと、記録媒体210と、メインメモリ211と、インタフェース212とを備えている。
ここで、メインメモリ211は、CPU20Cのワークエリア等として用いられる揮発性のメモリ(RAM)である。また、インタフェース212は、サーバ装置10等との通信をするための通信インタフェースである。
記録媒体210は、情報提供装置20に内蔵される大容量記録デバイスであって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、不揮発性メモリ等である。
CPU20Cは、メインメモリ211に展開されたプログラムに従って動作することで、運搬車両情報取得部200、運搬車両指定受付部201、積込状態判定部202、荷重演算部203、積込進捗度演算部204、積込進捗度送信部205、完了操作受付部206、端末通信部207、及び、判断部208として機能する。
【0020】
運搬車両情報取得部200は、サーバ装置10へリクエスト情報を送信し、サーバ装置10から積込車両2に対応する運搬車両情報を取得する。運搬車両情報とは、建設現場F1での積込作業用として割り当てられた複数の運搬車両3(
図1)のそれぞれの最大積載量及び当初の積載量が示された情報テーブルである。運搬車両情報の具体的な内容については後述する。
【0021】
運搬車両指定受付部201は、積込車両2の操作者が所持する端末装置20Aを介して、当該操作者による所定の運搬車両指定操作を受け付けて、積込作業の対象とする運搬車両3を特定する。運搬車両指定操作とは、積込車両2の操作者が、建設現場F1に新たに到来した運搬車両3であって、積込作業の対象とする運搬車両3を指定するための操作である。
【0022】
積込状態判定部202は、積込車両2が積込状態となったか否かを判定する。具体的には、積込状態判定部202は、積込車両2のバケットの高さが所定の高さ判定閾値以上となった場合に、積込車両2が積込状態にあるとの判定を行う。積込状態とは、積込車両2のバケットが地面等を掘削した後、当該バケット内に掘削物(運搬物)を保持している状態をいう。ここで、積込状態判定部202は、作業機に具備される各種駆動部材の駆動状態(シリンダストローク等)を検出することで、当該作業機の姿勢角演算を行う。積込状態判定部202は、作業機の姿勢角演算の結果に基づいて積込車両2のバケットの高さが所定の高さ判定閾値以上となったか否かを判定する。
積込車両2が積込状態にあるか否かを判定するための具体的な処理については後述する。
【0023】
荷重演算部203は、積込車両2による1回の積込動作によって運搬車両3に積み込まれる運搬物の荷重、即ち、1回の積込動作で積込車両2のバケット内に保持される運搬物の荷重を演算する。積込動作とは、積込車両2の操作者が当該積込車両2のバケットを操作して地面等を掘削するとともに、当該バケット内に保持された運搬物を運搬車両3の荷台に積み込むまでの一連の動作を指すものとする。荷重演算部203は、作業機の各所に設けられた圧力センサを通じて荷重演算のためのセンサ検出値を取得する。そして、荷重演算部203は、各センサ検出値に基づいて荷重演算を行う。
【0024】
積込進捗度演算部204は、積込対象と特定した運搬車両3に対して積込車両2が行う積込作業の進捗度を演算する。ここで、1台の運搬車両3に対する積込作業は、積込車両2による1回または複数回の積込動作によってなされるものであり、運搬物が、運搬車両3の最大積載量以内に積み込まれた時点で完了する。
積込進捗度演算部204は、1回の積込動作ごとに演算される運搬物の荷重の積算値と、積込作業の対象とする運搬車両3の最大積載量と、に基づいて当該積込作業の進捗度を演算する。なお、本実施形態においては、積込進捗度演算部204は、運搬車両情報取得部200によって取得された運搬車両情報(後述)を参照して、積込作業の対象とする運搬車両3の最大積載量を取得する。
【0025】
積込進捗度送信部205は、広域通信ネットワークNを介して、積込作業の進捗度を示す各種情報をサーバ装置10へ送信する。本実施形態に係る積込進捗度送信部205は、特に、1台の運搬車両3に対する積込作業の進捗度が、所定の進捗度判定閾値以上となった積込作業の途中段階である場合に、積込作業が途中段階であることを示す積込途中情報をサーバ装置10へ送信する。ここで、進捗度判定閾値とは、1台の運搬車両3に対する積込作業の進捗度(0%~100%)のうち、当該積込作業の途中段階に対応する規定値である。当該既定値は、例えば70%等と定められる。進捗度判定閾値は、0%を超え、100%未満となるいずれかの値となるように規定される。また、積込途中情報とは、積込作業の進捗を示す情報の一つであって、当該積込作業が、例えば、進捗度70%に到達した状態である途中段階にあることを示す情報である。
また、積込進捗度送信部205は、上述の積込途中情報に加え、更に、積込開始情報と、積込完了情報と、をサーバ装置10へ送信する。積込開始情報とは、積込作業の進捗を示す情報の一つであって、当該積込作業が開始されたことを示す情報である。積込完了情報とは、積込作業の進捗を示す情報の一つであって、当該積込作業が完了したことを示す情報である。
【0026】
完了操作受付部206は、端末装置20Aを介して、積込車両2の操作者から所定の完了操作を受け付ける。完了操作とは、1台の運搬車両3に対する積込作業が完了した場合に、積込車両2の操作者が、積込完了情報を送信するために入力する操作である。
【0027】
端末通信部207は、積込車両2の操作者が所持する端末装置20Aと有線又は無線により通信を行う。なお、端末装置20Aが固定端末として使用される場合、端末通信部207は、CAN等の、車内の専用通信線を用いてもよい。
判断部208は、運搬車両3に対する積込作業の進捗度が、積込作業の途中段階に対応する所定の進捗度判定閾値以上となったか否かを判断する。
【0028】
記録媒体210には、上述した各種機能部の処理に係る種々の情報が記録される。例えば、記録媒体210には、運搬車両情報取得部200によって取得された運搬車両情報、作業機の寸法、バケットの容量等が記録される。
【0029】
(運搬車両情報の取得時の処理フロー)
図4は、第1の実施形態に係る情報提供装置及びサーバ装置による運搬車両情報の取得時の処理フローを示す図である。
また、
図5は、第1の実施形態に係る運搬車両情報の構成例を示す図である。
以下、
図4及び
図5を参照しながら、情報提供装置20が運搬車両情報を取得するための処理フローについて説明する。
【0030】
図4に示す処理フローは、例えば、積込車両2のエンジンが起動し、情報提供装置20(
図1)に電源が投入されたときなどに実行される。なお、同処理フローは、情報提供装置20に電源が投入された後も定期的に実行される態様であってもよい。
【0031】
情報提供装置20の運搬車両情報取得部200は、広域通信ネットワークN(
図1)を介して、運搬車両情報を取得するためのリクエスト情報をサーバ装置10に送信する(ステップS01)。このリクエスト情報には、積込車両2を固有に識別可能な情報が含まれる。積込車両2を固有に識別可能な情報とは、例えば、積込車両2の機種、型式、機番等を含む情報であり、以下、これを積込車両IDとも表記する。
【0032】
サーバ装置10の積込車両通信部100は、情報提供装置20からのリクエスト情報を受信する(ステップS11)。
【0033】
積込車両通信部100がリクエスト情報を受信すると、サーバ装置10の運搬車両情報生成部101は、当該受信したリクエスト情報に基づいて運搬車両情報を生成する(ステップS12)。
【0034】
ここで、運搬車両情報生成部101が行うステップS12の処理について詳細に説明する。
運搬車両情報生成部101は、まず、ステップS11で受信したリクエスト情報に含まれる積込車両IDを取得して、所定の割当情報テーブルを参照する。割当情報テーブルとは、記録媒体110に予め用意されている情報テーブルであって、同一の建設現場F1での積込作業用として割り当てられている積込車両2と運搬車両3との対応付けがなされた情報テーブルである。
運搬車両情報生成部101は、上述の割当情報テーブルを参照して、ステップS11で受信したリクエスト情報に含まれる積込車両IDと対応する複数の運搬車両IDを特定する。そして、運搬車両情報生成部101は、特定された運搬車両IDと、当該運搬車両IDごとに規定された最大積載量とを対応付けてなる運搬車両情報を生成する。なお、運搬車両IDとは、運搬車両3を固有に識別可能な情報であって、例えば、ナンバープレートに付される自動車登録番号等である。
【0035】
運搬車両情報生成部101によって生成された運搬車両情報の構成例を
図5に示す。
図5に示すように、運搬車両情報には、建設現場F1での積込作業用として割り当てられた各運搬車両3の運搬車両IDと、各運搬車両3別に規定されている最大積載量と、車両重量計4の計量に基づく各運搬車両3の当初の積載量とが関連付けて記録されている。
通常、運搬車両3は、荷台には何も積載していない状態(当初の積載量=0kg)で建設現場F1に到来する。しかし、一部の運搬車両3については、荷台に運搬物(土砂等)の一部が付着したままの状態で到来することも想定される。この場合、運搬車両3は、積込作業を行う前の段階で運搬物を積載した状態にあるため、積込車両2の操作者は、既に積み込まれている運搬物を考慮して積込作業を行う必要がある。
【0036】
サーバ装置10の積込車両通信部100は、運搬車両情報生成部101が生成した運搬車両情報(
図5)を、ステップS11で受信したリクエスト情報に対するアンサバックとして、情報提供装置20に送信する(ステップS13)。
【0037】
情報提供装置20の運搬車両情報取得部200は、サーバ装置10から運搬車両情報を受信して取得する(ステップS02)。
【0038】
(積込作業時の処理フロー)
図6は、第1の実施形態に係る情報提供装置による積込作業時の処理フローを示す図である。
また、
図7は、情報提供装置による積込作業時の各処理を詳細に説明するための図である。
以下、
図6~
図7を参照しながら、情報提供装置20の処理について詳細に説明する。
【0039】
図6に示す処理フローは、例えば、積込車両2の操作者が、端末装置20Aを操作して、専用のプログラム(アプリケーション)を起動した時点から開始される。
【0040】
まず、情報提供装置20の運搬車両指定受付部201は、端末装置20Aを介して、積込車両2の操作者から運搬車両指定操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。
【0041】
ここで、上述したステップS201の処理について、詳細に説明する。
【0042】
運搬車両指定受付部201は、端末装置20Aの表示パネルに、運搬車両選択画面を表示させる。運搬車両選択画面には、事前にサーバ装置10から受信した運搬車両情報(
図5)に示される運搬車両IDと、当該運搬車両IDに関連付けられた最大積載量、当初の積載量とがリストアップされている。なお、運搬車両3の最大積載量は、例えば、10トンなどとされる。
【0043】
積込車両2に対し新たな運搬車両3が接近してきた段階で、積込車両2の操作者は、当該運搬車両3を視認可能となる。この時点で、操作者は、端末装置20Aを操作して運搬車両選択画面を開くとともに、視認される運搬車両3の特徴、例えば、ナンバープレートに記される自動車登録番号を基に、到来した運搬車両3を指定する操作を行う。具体的には、操作者は、運搬車両選択画面にリストアップされている運搬車両IDのうち、視認した運搬車両3に対応するものをタッチ操作する。
【0044】
図6に戻り、積込車両2の操作者から運搬車両指定操作を受け付けていない場合(ステップS201:NO)、運搬車両指定受付部201は、ステップS201の処理を繰り返し、運搬車両指定操作の待ち受けを行う。
他方、積込車両2の操作者から運搬車両指定操作を受け付けた場合(ステップS201:YES)、次に、情報提供装置20の積込状態判定部202は、積込車両2が1回目の積込状態、即ち、積込車両2のバケットに運搬物が保持されている状態となったか否かを判定する(ステップS202)。
ここで、積込車両2の操作者は、運搬車両指定操作を行った後(ステップS201:YES)、積込車両2のブーム、アーム及びバケット等を操作して、実際に運搬車両3に対する積込作業を開始する。ステップS202において、積込状態判定部202は、1回目の積込動作中に、積込車両2が積込状態となったか否かの判定処理を行う。
【0045】
積込車両2が1回目の積込状態となっていない場合(ステップS202:NO)、積込状態判定部202は、ステップS202の処理を繰り返し、1回目の積込状態となるまで待ち受けを行う。
積込車両2が1回目の積込状態となった場合(ステップS202:YES)、情報提供装置20の積込進捗度送信部205は、積込開始情報をサーバ装置10へ送信する(ステップS203)。
【0046】
ここで、上述したステップS202~ステップS203の各処理について、詳細に説明する。
【0047】
図6のステップS202の処理において、積込状態判定部202は、まず、操作者により積込車両2のブームを上昇させる運転操作が入力されているか否かを判定する。
積込車両2のブームを上昇させる運転操作が入力されている場合、積込状態判定部202は、更に、積込車両2のバケットが水平となっているか否かを判定する。
積込車両2のバケットが水平となっている場合、積込状態判定部202は、更に、積込車両2のバケットの高さが所定の高さ判定閾値以上となっているか否かを判定する。以下、積込車両2のバケットの高さを、バケット高さとも表記する。
そして、積込車両2のバケット高さが高さ判定閾値以上となっている場合、積込状態判定部202は、積込車両2が積込状態にあると判定する。
【0048】
他方、積込車両2のブームを上昇させる操作が入力されていない場合、積込車両2のバケットが水平となっていない場合、又は、積込車両2のバケット高さが高さ判定閾値以上となっていない場合、積込状態判定部202は、積込車両2が積込状態にあるとは判定しない。
【0049】
図6に戻り、積込進捗度送信部205が積込開始情報をサーバ装置10へ送信(ステップS203)した後、情報提供装置20の荷重演算部203は、積込状態にある積込車両2のバケット内に保持されている運搬物の荷重を演算する(ステップS204)。
【0050】
次に、情報提供装置20の積込進捗度演算部204は、到来した運搬車両3に対して行う積込作業の進捗度を演算する(ステップS205)。積込進捗度演算部204は、ステップS204で演算された運搬物の荷重と、ステップS201で指定された運搬車両3の最大積載量とに基づいて進捗度を演算する。具体的には、積込進捗度演算部204は、運搬車両3の最大積載量に対する、ステップS204で演算された運搬物の荷重の割合を、当該運搬車両3に対する積込作業の進捗度[%]として演算する。
【0051】
続いて、積込状態判定部202は、積込車両2が2回目以降の積込状態となったか否かの判定処理を行う(ステップS206)。
ここで、1回目の積込状態となった後(ステップS202:YES)、積込車両2の操作者は、バケットに保持された運搬物を運搬車両3の荷台へ積み込み、1回目の積込動作を完了する。続いて、操作者は、積込車両2を更に操作して、2回目以降の積込動作を開始する。ステップS206において、積込状態判定部202は、2回目以降のそれぞれの積込動作中に、積込車両2が積込状態となったか否かの判定処理を行う。なお、ステップS206で行われる判定処理は、ステップS202で行われる判定処理と同様である。
また、ステップS206からステップS210(後述)までの各処理は、2回目以降のそれぞれの積込動作に対応して繰り返し実行される。
【0052】
2回目以降の積込動作において積込車両2が積込状態となった場合(ステップS206:YES)、荷重演算部203は、積込状態にある積込車両2のバケット内に保持されている運搬物の荷重を演算する(ステップS207)。ステップS207における荷重演算処理は、ステップS204で行われる荷重演算処理と同様である。
【0053】
次に、積込進捗度演算部204は、運搬車両3に対して行う積込作業の進捗度を演算する(ステップS208)。積込進捗度演算部204は、前回までに行われた積込動作ごとに演算された運搬物の荷重の積算値に、今回の積込動作でステップS207にて演算された荷重を加算して、荷重の積算値を演算する。上述の荷重の積算値を、以下、荷重積算値とも表記する。
例えば、2回目の積込動作時においては、積込進捗度演算部204は、1回目の積込動作時であってステップS204で演算された荷重と、2回目の積込動作時であって1回目のステップS207で演算された荷重とを加算して、荷重積算値を演算する。
また、3回目の積込動作時においては、2回目の積込動作時に演算された荷重積算値と、3回目の積込動作時であって2回目のステップS207で演算された荷重とを加算して、荷重積算値を演算する。
そして、積込進捗度演算部204は、運搬車両3の最大積載量に対する荷重積算値の割合を、当該運搬車両3に対する積込作業の進捗度[%]として演算する。
【0054】
このように、情報提供装置20は、各回の積込動作において積込車両2が積込状態となったタイミング(ステップS206:YES)で、バケット内に保持している運搬物の荷重演算(ステップS207)を行うとともに、積込作業の進捗度[%]の演算及び更新(ステップS208)を行う。
【0055】
次に、情報提供装置20の判断部208は、ステップS208の処理で演算された進捗度が積込作業の途中段階に対応する所定の進捗度判定閾値(例えば、70%)以上か否かを判定する(ステップS209)。
進捗度が所定の進捗度判定閾値以上となった場合(ステップS209:YES)、判断部208は積込作業の途中段階であると判断する。積込進捗度送信部205は、判断部208の積込作業の途中段階である判断に基づき積込作業が途中段階であることを示す積込途中情報をサーバ装置10へ送信する(ステップS210)。サーバ装置10の運搬車両発進指示部102は、情報提供装置20の積込進捗度送信部205から積込途中情報を受信すると、待機場F2で待機する運搬車両3に対し、建設現場F1に向けて発進すべき旨の指示を行う。
他方、進捗度が所定の進捗度判定閾値未満であった場合(ステップS209:NO)、判断部208は積込作業の途中段階でないと判断する。積込進捗度送信部205は、判断部208の積込作業の途中段階でない判断に基づき積込途中情報を送信せずS206へ戻る。
ここで、上述したステップS206~ステップS210の各処理について、
図7を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
図7は、ステップS206~ステップS210の処理が行われる際の建設現場F1及び待機場F2の状況を模式的に示している。
図7に示すように、情報提供装置20は、積込車両2のバケット高さHが高さ判定閾値Hth以上となり積込状態となった段階(ステップS206:YES)で、荷重演算(ステップS207)及び進捗度演算(ステップS208)を行う。そして、情報提供装置20の積込進捗度送信部205は、演算した進捗度が進捗度判定閾値以上となっていた場合に(ステップS209:YES)、サーバ装置10へ積込途中情報を送信し(ステップS210)、S206へ戻る。
サーバ装置10の運搬車両発進指示部102(
図2)は、積込途中情報を受信すると、待機場F2で待機する次に積込を行う運搬車両3に対し、建設現場F1に向けて発進すべき旨の指示を行う。建設現場F1に向けて発進すべき旨の指示を、以下、発進指示と表記する。具体的には、運搬車両発進指示部102は、次に積込を行う運搬車両3の運転者が所持する端末装置30へ発進指示を送信する。発進指示を受けた運転者は、建設現場F1に向けて運搬車両3を発進させる。
なお、待機場F2で待機する運搬車両3が複数台存在する場合、サーバ装置10は、建設現場F1に向けて発進すべき1台の運搬車両3を選定し、当該選定した1台の運搬車両3に対して発進指示を送信してもよい。この場合、サーバ装置10は、例えば、各運搬車両3の位置情報を取得し、さらに、当該位置情報に基づいて、建設現場F1、又は、積込車両2に最も近い運搬車両3を選定してもよい。
【0057】
図6に戻り、2回目以降の積込動作において積込車両2が積込状態となっていない場合(ステップS206:NO)、情報提供装置20の完了操作受付部206は、端末装置20Aを介して、積込車両2の操作者から完了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS211)。
積込車両2の操作者から完了操作を受け付けていない場合(ステップS211:NO)、情報提供装置20は、ステップS206及びステップS211の処理を繰り返し行い、積込状態への移行、又は、操作者による完了操作の入力を待ち受ける。
【0058】
積込車両2の操作者から完了操作を受け付けた場合(ステップS211:YES)、積込進捗度送信部205は、積込完了情報をサーバ装置10へ送信し(ステップS212)、フローを完了する。
【0059】
(積込作業支援システムの処理の例)
図8は、第1の実施形態に係る積込作業支援システムの処理の例を示す図である。
図8は、最大積載量が10トンの運搬車両3に対し、5回の積込動作を行った場合における各種処理の流れの例を示している。
【0060】
積込車両2の操作者は、最大積載量が10トン(10000kg)の運搬車両3(運搬車両ID=“DUMP03”)の指定処理を行った後、1回目の積込動作を行う。なお、
図5に示す例では、運搬車両IDが“DUMP03”である運搬車両3の当初の積載量は、100kgである。この場合、積込進捗度演算部204は、積込作業の開始前の時点で、既に積載されている運搬物の重量(100kg)に相当する進捗度(
図8に示す進捗度α)を演算する。積込進捗度送信部205は、1回目の積込動作における積込状態となった時点で、積込開始情報をサーバ装置10に送信する。また、この時点で、荷重演算部203は、積込作業開始前の時点で既に積載されている運搬物の重量に、バケット内に保持された運搬物の荷重を加えた荷重積算値(100kg+2100kg=2200kg)を演算する。そして、積込進捗度演算部204は、当該積算結果に基づいて進捗度(2200kg/10000kg=22%)を演算する。
【0061】
続いて、積込車両2の操作者は、2回目、3回目の積込動作を行う。荷重演算部203は、2回目、3回目の積込動作における積込状態となった時点で、バケット内に保持された運搬物の荷重(1900kg、1950kg)を演算する。積込進捗度演算部204は、各回の積込動作時に演算された荷重を積算して荷重積算値を演算する。例えば、3回目の積込動作時に演算される荷重積算値は、100kg+2100kg+1900kg+1950kg=6050kgとなる。また、進捗度は、6050kg/10000kg=60.5%と演算される。
【0062】
更に、積込車両2の操作者は、4回目の積込動作を行う。荷重演算部203は、4回目の積込動作における積込状態となった時点で、バケット内に保持された運搬物の荷重(2000kg)を演算する。4回目の積込動作時に演算される荷重積算値は、100kg+2100kg+1900kg+1950kg+2000kg=8050kgとなる。この場合、運搬車両3の最大積載量(10トン)に対する荷重積算値(8050kg)の割合で演算される進捗度[%]が80.5%となり、進捗度判定閾値(70%)以上となる。したがって、積込進捗度送信部205は、4回目の積込動作時における積込状態となった時点で、積込途中情報をサーバ装置10へ送信する。
【0063】
更に、積込車両2の操作者は、5回目の積込動作を行う。荷重演算部203は、5回目の積込動作における積込状態となった時点で、バケット内に保持された運搬物の荷重(1890kg)を演算する。5回目の積込動作時に演算される荷重積算値は、100kg+2100kg+1900kg+1950kg+2000kg+1890kg=9940kgとなる。ここで、操作者は、運搬物が運搬車両3の最大積載量(10トン)の間近まで積載されたことをもって、運搬車両3に対する積込作業が完了したと判断する。この場合、操作者は、端末装置20Aに対して完了操作を入力する。積込進捗度送信部205は、操作者から完了操作を受け付けた時点で、積込完了情報をサーバ装置10へ送信する。
【0064】
(積込開始情報、積込途中情報及び積込完了情報の構成例)
図9は、第1の実施形態に係る積込開始情報、積込途中情報及び積込完了情報の構成例を示す図である。
図9に示すように、積込開始情報、積込途中情報及び積込完了情報は、それぞれ、積込作業に係る積込車両2の積込車両IDと、運搬車両3の運搬車両IDとを有している。また、積込開始情報、積込途中情報及び積込完了情報は、積込作業の進捗の属性を示す情報(“開始”、“途中”、“完了”)を有している。更に、積込開始情報、積込途中情報及び積込完了情報は、当該情報が送信された時点における荷重積算値、及び、日時を示す情報を有している。
【0065】
(端末装置に表示される画面の例)
図10は、第1の実施形態に係る端末装置に表示される画面の例を示す図である。
図10は、積込作業時において、積込車両2の操作者が所持する端末装置20Aの表示画面の例を示している。
図10に示すように、積込作業用画面D2には、積込作業の対象とする運搬車両3についての情報(車両識別ID、最大積載量)、荷重積算値(total)、積込作業の進捗度、各回の積込動作ごとに演算された運搬物の荷重の履歴などが表示される。
積込車両2の操作者は、端末装置20Aに表示される積込作業用画面D2を視認することで、積込作業を行いながら、進捗度等を把握することができる。
積込作業用画面D2に表示された「積込記憶」のボタンは、操作者から、上述の完了操作を受け付けるためのボタンである。即ち、完了操作受付部206は、所定の完了操作として、操作者から「積込記憶」のボタンのタッチ操作を受け付ける。
また、積込作業用画面D2に表示された「機能動作」のボタンは、積込作業の一時中断を受け付けるためのボタンである。
また、積込作業用画面D2に表示された「直近を削除」のボタンは、下段に表示された積込情報のうち、最新の積込情報を削除するためのボタンである。
なお、端末装置20Aは、荷重積算値が最大積載量を超過した場合には、積込作業用画面D2の色表示を変更し、警告を促すようにしてもよい。
【0066】
(作用・効果)
以上の通り、第1の実施形態に係る情報提供装置20は、1台の運搬車両3に対して積込車両2が行う積込作業の進捗度を演算する積込進捗度演算部204と、進捗度が、積込作業の途中段階に対応する進捗度判定閾値(例えば、70%)以上となった場合に、積込作業が途中段階にあることを示す積込途中情報をサーバ装置10へ送信する積込進捗度送信部205と、を備える。
このようにすることで、待機場F2で待機する運搬車両3の運転者は、建設現場F1で行われている積込作業が、ある途中段階(70%)まで進んだことを把握することができる。そうすると、運搬車両3の運転者は、建設現場F1で行われている積込作業が途中段階にある状況で、待機場F2を出発して建設現場F1に向かうことができる(
図7参照)。
これにより、待機場F2を出発した運搬車両3が建設現場F1に到着するまでの時間で、建設現場F1で行われていた積込作業がちょうど完了する。そうすると、積込作業が完了した運搬車両3が建設現場F1を退場した直後に、新たな運搬車両3が建設現場F1に到来することになる。したがって、運搬車両3が入れ替わる際に発生する積込車両2の待ち時間を低減させることができる。
以上より、積込作業に係る、積込車両、運搬車両の稼働効率を向上することができる。
【0067】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20は、運搬車両3の最大積載量を取得する運搬車両情報取得部200を更に備える。また、積込進捗度演算部204は、当該最大積載量に基づいて積込作業の進捗度を演算する。
このようにすることで、建設現場F1での積込作業用として割り当てられた複数の運搬車両3の最大積載量が個々に異なる場合であっても、当該運搬車両3の最大積載量に応じた積込作業の進捗度を把握することができる。
【0068】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20は、1回の積込動作によって運搬車両3に積み込まれる運搬物の荷重を演算する荷重演算部203を更に備える。また、積込進捗度演算部204は、1回の積込動作ごとに演算される荷重の積算値(荷重積算値)に基づいて積込作業の進捗度を演算する。
このようにすることで、積込作業の進捗度を、運搬車両3の最大積載量に対する荷重積算値の割合として演算することができる。これにより、単位体積当たりの荷重(密度)が異なる運搬物の種類(例えば、泥、土砂、砂礫等)ごとに、進捗度の演算手法を区別しなくともよくなる。
【0069】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20は、積込車両2におけるバケットの高さが所定の高さ判定閾値Hth以上となった場合に、積込車両2が積込状態にあると判定する積込状態判定部202を更に備える。そして、積込進捗度送信部205は、積込車両2が積込状態となったタイミングで積込作業の進捗度の更新を行う。
このようにすることで、積込車両2の操作者は、積込車両2のバケットに運搬物が保持されている段階で、当該バケットに保持される運搬物の荷重を含む荷重積算値及び作業進捗度を把握することができる。これにより、操作者は、積込車両2のバケットに保持されている運搬物を運搬車両3に実際に積み込む前に、最大積載量を超過しているか否かを把握することができるので、運搬車両3への積載量の調整が容易になる。
【0070】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20によれば、積込進捗度送信部205は、積込途中情報に加え、更に、積込作業が開始されたことを示す積込開始情報と、積込作業が完了したことを示す積込完了情報と、をサーバ装置10へ送信する。
このようにすることで、運搬車両3の運転者や建設現場F1で行われる作業を管理する管理者は、積込作業の進捗をより詳細に把握することができる。また、積込開始情報が送信された時刻から積込完了情報が送信された時刻までの時間を計算することで、積込作業のサイクルタイムを把握することができる。これにより、例えば、積込車両2の操作者の作業改善のためのデータ収集ができるようになる。
【0071】
また、第1の実施形態に係るサーバ装置10は、情報提供装置20から積込途中情報を受け付けた場合に、待機場F2で待機する運搬車両3に対し、建設現場F1(積込車両2)に向けて発進すべき旨の指示を行う運搬車両発進指示部102を備える。
このようにすることで、運搬車両3の運転者は、稼働効率を向上させる上で、どのタイミングで建設現場F1に向けて発進して良いかを把握することができる。
【0072】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20によれば、運搬車両情報取得部200は、運搬車両3の最大積載量に加え、更に当初の積載量を取得する。そして、積込進捗度演算部204は、取得した最大積載量と当初の積載量とに基づいて進捗度を演算する。
このようにすることで、運搬車両3が建設現場F1に到来した時点で既に積載されている運搬物(荷台に付着した土砂等)の重量を考慮しながら、最大積載量を超過しないように積込作業を行うことができる。
【0073】
<変形例>
以上、第1の実施形態に係る積込作業支援システム1(サーバ装置10、情報提供装置20)について詳細に説明したが、積込作業支援システム1の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
【0074】
第1の実施形態に係る積込作業支援システム1は、進捗度判定閾値が固定(例えば70%固定)であるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態に係る積込作業支援システム1は、0%を超え、100%未満となる範囲で、進捗度判定閾値を所望に変更できる態様とされてもよい。
このようにすることで、建設現場F1、待機場F2の位置関係等が変更された場合に、進捗度判定閾値を、当該変更に応じた適切な値に変更することができる。
【0075】
また、第1の実施形態に係る積込作業支援システム1は、規定される進捗度判定閾値が一種類(例えば70%)のみであるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態に係る積込作業支援システム1は、複数種類の進捗度判定閾値(例えば、30%、50%及び70%)が規定される態様とされてもよい。この場合、情報提供装置20の積込進捗度送信部205は、それぞれの進捗度判定閾値以上となった時点で、複数回、積込途中情報を送信する。
このようにすることで、運搬車両3の運転者や建設現場F1の管理者は、より詳細に積込作業の進捗を把握することができる。
【0076】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20の積込進捗度演算部204は、1回の積込動作ごとに演算される荷重の積算値に基づいて進捗度を演算するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る積込進捗度演算部204は、予め規定された最大積込回数と、1台の運搬車両3に対し実際に積込動作を行った回数(積込回数)とに基づいて進捗度を演算してもよい。例えば、ある運搬車両3についての最大積込回数が“10回”と規定されていた場合、積込進捗度演算部204は、3回目の積込動作で積込状態となった時点(積込回数が“3回”の時点)での進捗度を、“30%”と演算する。
【0077】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20の運搬車両情報取得部200は、運搬車両3に対し個々に規定された最大積載量(運搬車両情報に示された最大積載量)をサーバ装置10から取得するものとして説明したが(
図4、
図5参照)、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る運搬車両情報取得部200は、積込車両2に搭載されたカメラ(又は、端末装置20Aに搭載されたカメラ)を通じて取得した画像データに基づいて、到来した運搬車両3の最大積載量を特定する機能を有していてもよい。この場合、情報提供装置20は、例えば、以下の手順で、運搬車両3の最大積載量を特定してもよい。まず、情報提供装置20は、カメラを通じて、建設現場F1に到来した運搬車両3を撮影する。次に、情報提供装置20は、当該運搬車両3が撮影された画像データについて画像解析処理を行い、撮影された運搬車両3の車種、型式等を特定する。そして、情報提供装置20は、特定された車種、型式等に基づいて、更にその最大積載量を特定する。
【0078】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20の運搬車両指定受付部201は、建設現場F1に運搬車両3が到来した時点で、積込車両2の操作者から、到来した運搬車両3を指定する操作(運搬車両指定操作)を受け付けるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係る情報提供装置20は、新たな運搬車両3が建設現場F1に到来し、積込車両2との距離が所定距離以内となった場合に、当該運搬車両3との間で、自動的に無線通信(例えば、RFID(Radio Frequency Identifier)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、Bluetooth(登録商標)等を利用した無線通信)を開始して、運搬車両ID及び最大積載量を取得する機能を有していてもよい。
このようにすることで、積込車両2の操作者が、到来した運搬車両3を手動で指定する手間を省くことができる。
【0079】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20の運搬車両指定受付部201は、運搬車両指定操作を受け付ける際に、建設現場F1での積込作業用として割り当てられた運搬車両3の運搬車両ID(及び最大積載量)を全てリストアップするものとして説明した。しかし、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る運搬車両情報取得部200は、運搬車両ID、最大積載量等に加え、更に、GNSS(Global Navigation Satellite System)に基づいて特定される運搬車両3のそれぞれの現在位置情報(緯度・経度情報)を取得する。そして、他の実施形態に係る運搬車両指定受付部201は、運搬車両3のそれぞれの現在位置情報を参照して、建設現場F1(積込車両2)の近傍に位置する運搬車両3のみを運搬車両選択画面D1にリストアップする。
このようにすることで、積込車両2の操作者は、到来した運搬車両3の指定を行う際に、より絞り込まれた候補の中から選択すればよくなるので、運搬車両指定操作に係る操作者の負担を軽減することができる。
【0080】
また、第1の実施形態に係るサーバ装置10の運搬車両発進指示部102は、情報提供装置20から積込途中情報を受信した場合に、待機中の運搬車両3の運転者が所持する端末装置30へ発進指示を送信するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る運搬車両発進指示部102は、待機場F2の出入口に設けられた信号機(発進指示灯(青色のランプ)を具備するもの)に対して発進指示を送信してもよい。この場合、当該信号機は、サーバ装置10から発進指示を受け付けた場合に、発進指示灯を点灯させる。待機場F2に待機する運搬車両3の運転者は、発進指示灯が点灯したことを視認した際に、建設現場F1(積込車両2)に向けて運搬車両3を発進させる。
また、他の実施形態に係る運搬車両発進指示部102は、待機場F2の出入り口付近に立つ発進指示者の端末装置に対して発進指示を送信してもよい。ここで、発進指示者とは、待機場F2で待機する運搬車両3の運転者に対し、発声や身振り等で発進/待機を指示する者である。この場合、発進指示者は、自身が所持する端末装置に、サーバ装置10から発進指示を受信した場合に、待機場F2で待機する運搬車両3の運転者に対して、建設現場F1(積込車両2)に向けて発進する旨の指示を行う。
また、積込車両2は、信号灯(パトライト(登録商標)等)を備える態様とされるとともに、積込途中情報の受信に応じて、当該信号灯を点灯させる態様であってもよい。この場合、待機場F2で待機する運搬車両3の運転者は、その待機位置から、建設現場F1に位置する積込車両2の信号灯の点灯を視認することで建設現場F1に向けて発進する。このような態様も、「発進指示を送信する」ことに含むものとする。
【0081】
また、第1の実施形態に係る積込作業支援システム1は、情報提供装置20がサーバ装置10へ積込途中情報を送信するとともに、当該積込途中情報を受信したサーバ装置10が運搬車両3(端末装置30)へ発進指示を送信するものとして説明した。しかし、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る積込作業支援システム1は、情報提供装置20が積込途中情報を、直接、運搬車両3の運転者が所持する端末装置30へ送信してもよい。なお、この場合においては、端末装置30が外部装置に相当する。この場合、端末装置30は、運転者に対し、当該積込途中情報を受信したことを通知する。運搬車両3の運転者は、この通知を受けた際に、建設現場F1(積込車両2)に向けて運搬車両3を発進させる。
【0082】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20の積込進捗度演算部204は、積込車両2のバケットが所定の高さ判定閾値以上となった場合に、進捗度の演算及び更新を行うものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係る積込進捗度演算部204は、積込動作中における積込車両2のブーム、アーム、バケット等の駆動状態が、第1の実施形態とは異なる所定の条件を満たしたことをトリガにして、進捗度の演算及び更新を行ってもよい。
【0083】
また、他の実施形態に係る情報提供装置20は、上述の高さ判定閾値を所望に変更できる機能を有していてもよい。高さ判定閾値を変更する手続きは、例えば、以下のようにしてもよい。具体的には、高さ判定閾値を変更する場合、積込車両2の操作者は、まず、積込車両2のバケットを、所望する高さとなるように操作する。次に、操作者は、積込車両2のバケット高さが所望する高さとなったところで、端末装置20Aに表示された所定ボタン(高さ設定ボタン)をタッチする。情報提供装置20は、タッチを受け付けた時点のバケット高さを、新たな高さ判定閾値として設定する。
このようにすることで、建設現場F1の地形や運搬車両3の荷台高さなどに合わせて、進捗度が更新されるタイミングを適切に調整することができる。
【0084】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20は、積込車両2に搭載されている態様で説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
即ち、他の実施形態に係る情報提供装置20は、例えば、建設現場F1の現場事務所等、積込車両2以外の場所に設置される態様であってもよい。
また、他の実施形態においては、情報提供装置20は、サーバ装置10に含まれてもよい。つまり、第1の実施形態で説明した情報提供装置20及びサーバ装置10は、それぞれの機能をまとめて具備する単一のコンピュータで構成されてもよい。このような態様であっても、サーバ装置10は、情報提供装置20にとっての外部装置に相当するものとする。また、この場合、運搬車両3の運転者が所持する端末装置30が外部装置に相当してもよい。
【0085】
また、第1の実施形態に係る積込車両2の操作者は、積込車両2に搭乗した状態で、自身が所持する端末装置20Aに対してタッチ操作等を行うものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る積込車両2の操作者は、当該積込車両2から離れた位置から、遠隔操作用の操作卓(リモコン)を通じて積込車両2を遠隔操作する態様であってもよい。この場合、積込車両2の操作者は、当該積込車両2から離れた位置で、自身が所持する端末装置20Aに対してタッチ操作等を行うものとしてもよい。
【0086】
また、第1の実施形態では、積込作業は、運搬車両3に対して1台ずつ行われるものとし、情報提供装置20は、当該1台の運搬車両3に対する積込作業の進捗度を演算するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態においては、積込作業は、同時に到来した複数台(例えば2台)の運搬車両3を対象として行われるものであってもよい。この場合、まず、積込車両2の操作者は、同時に到来した複数台の運搬車両3のそれぞれについて運搬車両指定操作を行う。そして、情報提供装置20は、運搬車両指定操作にて指定された複数台の運搬車両3を対象とする積込作業の進捗度を演算する。例えば、積込車両2が、2台の運搬車両3を対象として積込作業を行う場合、情報提供装置20は、積込作業の進捗度を、2台の最大積載量の合計(例えば、10トン+10トン=20トン)に対する荷重積算値の割合として演算してもよい。
【0087】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20は、一つの筐体からなる単一の装置とされている態様で説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る情報提供装置20は、
図3に示す各種機能部が、所定の通信網(例えばCANネットワーク)を介して接続される2つ以上の装置に分散して具備される態様であってもよい。
【0088】
また、第1の実施形態に係る積込作業支援システム1は、車両重量計4を備え、運搬車両3の当初の積載量を取得するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。即ち、他の実施形態に係る積込作業支援システム1は、車両重量計4を備えず、運搬車両の当初の積載量を取得しない態様であってもよい。この場合、情報提供装置20は、例えば、建設現場F1に到来する運搬車両3は積載物、重量物を搭載しない状態にあるものとして、積込作業の進捗度を算出する態様であってよい。
また第1の実施形態にかかる積込作業支援システム1は、サーバ装置10を備え、積込途中情報を取得するとしたが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態にかかる積込作業支援システム1は、サーバ装置10を備えない態様であってもよい。この場合、運搬車両発進指示部102は、情報提供装置20に設けられる態様としてもよい。また、運搬車両3の端末装置30や発進指示者の端末装置に対し発進指示を送信する態様とすればよい。外部装置は、例えば、端末装置30などとする態様であってもよい。
【0089】
また、第1の実施形態に係るサーバ装置10は、情報提供装置20から送信されるリクエスト情報を受信した場合に、運搬車両情報を生成し、情報提供装置20に向けて送信するものとして説明した。しかし、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、他の実施形態に係るサーバ装置10は、情報提供装置20からのリクエスト情報を受け付けなくとも、定期的に運搬車両情報を情報提供装置20に向けて送信する態様であってもよい。
【0090】
また、第1の実施形態に係る情報提供装置20は、運搬車両情報取得部200、運搬車両指定受付部201、積込状態判定部202、荷重演算部203、積込進捗度演算部204、積込進捗度送信部205、完了操作受付部206、端末通信部207、及び、判断部208の機能を全て具備する1台のコンピュータで構成されているものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係る情報提供装置20は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続された複数台のコンピュータで構成される態様であってもよい。この場合、当該複数台のコンピュータは、上述した運搬車両情報取得部200、運搬車両指定受付部201、積込状態判定部202、荷重演算部203、積込進捗度演算部204、積込進捗度送信部205、完了操作受付部206、端末通信部207、及び、判断部208の機能の一部ずつを具備するものとする。さらに、情報提供装置20の機能の一部が積込車両2の外部に設置されてもよい。
【0091】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 積込作業支援システム
10 サーバ装置
100 積込車両通信部
101 運搬車両情報生成部
102 運搬車両発進指示部
110 記録媒体
2 積込車両
20 情報提供装置
20A 端末装置
200 運搬車両情報取得部
201 運搬車両指定受付部
202 積込状態判定部
203 荷重演算部
204 積込進捗度演算部
205 積込進捗度送信部
206 完了操作受付部
207 端末通信部
208 判断部
210 記録媒体
3 運搬車両
30 端末装置
4 車両重量計
N 広域通信ネットワーク
F1 建設現場
F2 待機場
D1 運搬車両選択画面
D2 積込作業用画面