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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】持ち出しタイプの手摺構成体
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
E04F11/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018026950
(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公開番号】P2019143325
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】518058340
【氏名又は名称】日▲高▼ 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 修一
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-037423(JP,A)
【文献】特開2010-144403(JP,A)
【文献】実開昭61-065136(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱、該支柱に固定された連結部材、該連結部材に取り付けられる縦格子タイプの格子ユニットを有する、持ち出しタイプの手摺構成体であって、
前記格子ユニットは、少なくとも2本の横と、該横に固定された複数の縦格子を有し、
前記縦格子のうちの両端に位置する2本の縦桟は、第1溝部を有する第1レール部を備え、
前記連結部材は、固定手段により前記縦桟の前記第1レール部に解除可能に固定され、前記固定手段の解除時には前記格子ユニットは前記第1レール部に沿って移動可能であり、
前記2本の縦桟と前記横桟は同一形状の形材から作られている、ことを特徴とする手摺構成体。
【請求項2】
支柱、該支柱に固定された連結部材、該連結部材に取り付けられる縦格子タイプの格子ユニットを有する、持ち出しタイプの手摺構成体であって、
前記格子ユニットは、少なくとも2本の横桟と、該横桟に固定された複数の縦格子を有し、
前記縦格子のうちの両端に位置する2本の縦桟は、第1溝部を有する第1レール部を備え、
前記連結部材は、固定手段により前記縦桟の前記第1レール部に解除可能に固定され、前記固定手段の解除時には前記格子ユニットは前記第1レール部に沿って移動可能であり、
前記2本の縦桟は長方形断面を有し、前記2本の縦桟の短辺部分に対応する第1面には、前記第1溝部を有する前記第1レール部が形成されており、前記第1面に隣接し長辺部分に対応する第2面には第2溝部を有する第2レール部が形成されている、ことを特徴とする手摺構成体。
【請求項3】
支柱、該支柱に固定された連結部材、該連結部材に取り付けられる縦格子タイプの格子ユニットを有する、持ち出しタイプの手摺構成体であって、
前記格子ユニットは、少なくとも2本の横桟と、該横桟に固定された複数の縦格子を有し、
前記縦格子のうちの両端に位置する2本の縦桟は、第1溝部を有する第1レール部を備え、
前記連結部材は、固定手段により前記縦桟の前記第1レール部に解除可能に固定され、前記固定手段の解除時には前記格子ユニットは前記第1レール部に沿って移動可能であり、
前記縦格子と前記横は互いに直交方向に配置され、前記横は第2溝部を有する第2レール部を備え、前記格子ユニットは、90°回転させることで横格子タイプの格子ユニットを構成し、前記連結部材は、前記固定手段により、縦として機能する前記横の前記第2レール部に解除可能に固定され、前記固定手段の解除時には前記格子ユニットは前記第2レール部に沿って移動可能である、ことを特徴とする手摺構成体。
【請求項4】
支柱、該支柱に固定された連結部材、該連結部材に取り付けられる縦格子タイプの格子ユニットを有する、持ち出しタイプの手摺構成体であって、
前記格子ユニットは、少なくとも2本の横桟と、該横桟に固定された複数の縦格子を有し、
前記縦格子のうちの両端に位置する2本の縦桟は、第1溝部を有する第1レール部を備え、
前記連結部材は、固定手段により前記縦桟の前記第1レール部に解除可能に固定され、前記固定手段の解除時には前記格子ユニットは前記第1レール部に沿って移動可能であり、
前記2本の縦桟の間に配置された縦格子が、前記2本の縦桟と同一形状を有する、ことを特徴とする手摺構成体。
【請求項5】
支柱、該支柱に固定された連結部材、該連結部材に取り付けられる縦格子タイプの格子ユニットを有する、持ち出しタイプの手摺構成体であって、
前記格子ユニットは、少なくとも2本の横桟と、該横桟に固定された複数の縦格子を有し、
前記縦格子のうちの両端に位置する2本の縦桟は、第1溝部を有する第1レール部を備え、
前記連結部材は、固定手段により前記縦桟の前記第1レール部に解除可能に固定され、前記固定手段の解除時には前記格子ユニットは前記第1レール部に沿って移動可能であり、
前記2本の縦桟とそれらの間に配置された縦格子が、q型ルーバーとして構成されている、ことを特徴とする手摺構成体。
【請求項6】
支柱、該支柱に固定された連結部材、該連結部材に取り付けられる縦格子タイプの格子ユニットを有する、持ち出しタイプの手摺構成体であって、
前記格子ユニットは、少なくとも2本の横桟と、該横桟に固定された複数の縦格子を有し、
前記縦格子のうちの両端に位置する2本の縦桟は、第1溝部を有する第1レール部を備え、
前記連結部材は、固定手段により前記縦桟の前記第1レール部に解除可能に固定され、前記固定手段の解除時には前記格子ユニットは前記第1レール部に沿って移動可能であり、
前記2本の縦桟とそれらの間に配置された縦格子が、六角形ルーバーとして構成されている、ことを特徴とする手摺構成体。
【請求項7】
前記固定手段はボルト及びナットを有し、該ナットは前記縦桟の溝部に挿入されており、前記ナットに、前記ボルトが前記連結部材を介してねじ込まれている、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の手摺構成体。
【請求項8】
前記横は長方形断面を有し、前記横桟の短辺部分に対応する第1面には、第1溝部を有する第1レール部が形成されており、前記第1面に隣接し長辺部分に対応する第2面には第2溝部を有する第2レール部が形成されており、
前記支柱及び前記連結部材によって同一の架台が構成され、該同一の架台に対して前記縦格子タイプの格子ユニット又は横格子タイプの格子ユニットが取り付けられる、ことを特徴とする請求項に記載の手摺構成体。
【請求項9】
持ち出しタイプ且つスラブ隠しタイプの手摺構成体である、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の手摺構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち出しタイプの手摺構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
中高層マンションのような集合住宅等においては、工期の短縮とコストの軽減を図る目的から仮設足場を必要としない建築工法が研究されている。この際、バルコニーや外部廊下の手摺構成体は、採光性と防風性、更にはデザイン性を重視する観点から、ガラス腰壁や格子腰壁を備えた「腰壁タイプ」の手摺構成体が多く採用される傾向にある。このような手摺構成体は、バルコニーや廊下を構成するコンクリートスラブの外側空間と内側空間の間に位置するスラブ鼻先部に沿って所定間隔で支柱を列設することにより手摺本体を構成し、前記支柱にブラケットを介して格子ユニットを取付けることにより構築される。従って、格子ユニットが外側に持ち出し状に支持されるため「持ち出しタイプ」と称される。
【0003】
このような持ち出しタイプの手摺構成体では、スラブ鼻先部のタイル補修又は塗装工事等のメンテナンスに対応するために、格子ユニットを上下に可動に構成する必要がある。しかしながら、横格子タイプの格子ユニットの場合、格子ユニットを上下動させるためのレール部を縦桟に設けることができるが、縦格子タイプの格子ユニットの場合には、レール部を設けるための縦桟(レール柱)を格子ユニットに別個に設ける必要がある。
【0004】
また近年、ベランダの上部空間に設置されたエアコン室外機を外側空間から見えなくするために、持ち出しタイプの手摺構成体を室外機に届くまで上方に伸ばすことがしばしば行われている。したがって外装材としての手摺構成体の量が増大しているため、その重量も増え、万が一手摺構成体が落下した場合には、重大な事故が生じかねない。
【0005】
特許文献1は、このような持ち出しタイプかつスラブ隠しタイプの手摺構成体であって、従来は取付け施工が不可能とされていた仮設足場が存在しない建築現場においても、バルコニーや廊下等の内側空間から安全かつ迅速に施工でき、施工後においても、腰壁体を簡単な作業で容易に上動可能とし、スラブ鼻先部のタイル補修又は塗装工事等のメンテナンスに対応できる手摺構成体を開示している。
【0006】
しかし、図8(平面図)に示すように、特許文献1における縦格子タイプの手摺構成体では、腰壁体4を上下動させるために、レール部材13及びスライダー14を備えた摺動機構12を構成する竪枠53が、腰壁体4の下桟部材52とブラケット5の間に配置されており、部品点数が多い。部品点数が増えることで、手摺構成体の製作速度が遅くなり、コストも増大するとともに、手摺構成体の剛性設計や風圧に対する強度設計が複雑になる。
【0007】
このように縦格子タイプの格子ユニットを上下動させるための手段は、メーカーによって異なり、レール部を設けるための縦桟(レール柱)を格子ユニットに別個に設ける必要があるため、部品点数が増加し、加工時間とコストが共に増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、横格子タイプの手摺構成体に比べて部品点数を増大させずに、コストダウンを図りつつ簡単且つ迅速に製作可能な、移動可能な縦格子タイプの手摺構成体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、支柱、該支柱に固定された連結部材、該連結部材に取り付けられる縦格子タイプの格子ユニットを有する、持ち出しタイプの手摺構成体であって、前記格子ユニットは、少なくとも2本の横と、該横に固定された複数の縦格子を有し、前記縦格子のうちの両端に位置する2本の縦桟は、第1溝部を有する第1レール部を備え、前記連結部材は、固定手段により前記縦桟の前記第1レール部に解除可能に固定され、前記固定手段の解除時には前記格子ユニットは前記第1レール部に沿って移動可能であり、前記2本の縦桟と前記横桟は同一形状の形材から作られている、ことを特徴とする手摺構成体により解決される。
【発明の効果】
【0010】
縦桟が第1溝部を有する第1レール部を備え、固定手段の解除時には格子ユニットが第1レール部に沿って移動可能であるため、横格子タイプの手摺構成体に比べて部品点数を増大させずに、コストダウンを図りつつ簡単且つ迅速に製作可能な、移動可能な縦格子タイプの手摺構成体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1a】本発明の第1実施形態に係る移動可能な縦格子タイプの手摺構成体の概略側面断面図である。
図1b図1aのA-A断面図である。
図1c】縦桟の拡大断面図である。
図2a図1における縦格子タイプの格子ユニットを90°回転させてブラケットに取り付けた状態の概略側面断面図である。
図2b図2aのB-B断面図である。
図2c】縦桟18の拡大断面図である。
図3a】本発明の第2実施形態に係る移動可能な縦格子タイプの手摺構成体の概略側面断面図である。
図3b図3aのC-C断面図である。
図3c】縦桟の拡大断面図である。
図4a図3における縦格子タイプの格子ユニットを90°回転させてブラケットに取り付けた状態の概略側面断面図である。
図4b図4aのD-D断面図である。
図4c】縦桟の拡大断面図である。
図5a】本発明の第3実施形態に係る移動可能な縦格子タイプの手摺構成体の概略側面断面図である。
図5b図5aのE-E断面図である。
図5c】縦桟の拡大断面図である。
図6a図5における縦格子タイプの格子ユニットを90°回転させてブラケットに取り付けた状態の概略側面断面図である。
図6b図6aのF-F断面図である。
図6c】縦桟の拡大断面図である。
図7】格子ユニットの回転を示す概略図である。
図8】特許文献1における縦格子タイプの手摺構成体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1,2は、本発明の第1実施形態に係る移動可能な縦格子タイプの手摺構成体を示す。
図1aは手摺構成体の概略側面断面図、図1bは、図1aのA-A断面図、図1cは、縦桟の拡大断面図である。図2aは、図1における縦格子タイプの格子ユニットを90°回転させてブラケットに取り付けた状態の概略側面断面図、図2bは、図2aのB-B断面図、図2cは、縦桟18の拡大断面図である。
【0013】
手摺構成体1は、縦格子タイプの格子ユニットを有する縦格子タイプの手摺構成体であり、支柱12、支柱の上部に取り付けられた笠木10、支柱に固定された連結部材としてのブラケット14、ブラケットに取り付けられた格子ユニット16などを有する。格子ユニット16は、水平方向に真っ直ぐに延びる2本の横18と、ネジ19によって横18に対して直交方向に横18に固定された複数の真っ直ぐに延びる縦格子20を有する。
【0014】
図1bに示すように、ネジ19は、断面が矩形形状で中空の形材である横18の内側(長辺部分)に形成された穴に挿入され、同様に断面が矩形形状で中空の形材である縦格子20Bの短辺を通って縦格子20Bの内側まで挿入され、それにより縦格子20Bが横18に固定されている。縦格子20Bと横18は互いに直交方向に配置されている。
【0015】
支柱12は、アンカー11によってスラブ13に固定されている。
【0016】
図1b,1cに示すように、格子ユニット16の左右両端に位置する縦桟20Aは長方形断面を有し、縦桟20Aの短辺部分に対応する第1面20aには、第1溝部である第1溝20cを有する第1レール部20eが形成されており、第1面20aに隣接し長辺部分に対応する第2面20bには第2溝部である第2溝20dを有する第2レール部20fが形成されている。図1aから分かるように、第1溝20cを有する第1レール部20e及び第2溝20dを有する第2レール部20fは縦桟20Aの全長に沿って延びている。よって、縦桟20Aは、2つのレール部を有する2レール部材として構成されている。縦桟20Aは、縦格子20Bと平行且つ横18とは直交方向に配置されている。
【0017】
ここで、図1bに示すように、ブラケット14の先端14cは、ボルト17a及びナット17bを有する固定手段であるボルト部材17によって縦桟20Aの第1レール部20eに解除可能に締め付けられている。具体的には、縦桟20Aの第1溝20cにはナット17bが回転しないように挿入されており、このナット17bに、ボルト17aがブラケット14の先端14cを介してねじ込まれている。したがって、ボルト17aを緩めることで、格子ユニット16は支柱12に対して第1レール部20eに沿って上下に移動可能であるとともに、ボルト17aを締めることで、格子ユニット16は任意の位置で支柱12に対して固定することができる。一方で、ブラケット14の基部14aはネジ15によって支柱12に固定されており、ブラケット14は支柱12に対して動かない。
【0018】
このように本実施形態では、格子ユニット16の左右両端に位置する縦桟20Aに、第1溝20cを有する第1レール部20eが直接形成されているため、ブラケット14と横桟18の間にレール部材として機能する別の縦桟(レール柱)を設ける必要が無い。そのため、格子ユニット16は、横格子タイプの手摺構成体に比べて部品点数を増大させずに、コストダウンを図りつつ簡単且つ迅速に製作可能である。
【0019】
図1bに示すように、隣接する2つの格子ユニット16の2つの縦桟20Aが、2つのブラケット14を介して1つの支柱12に固定される。このようにして、格子ユニット16は左右に広がり、建物全体を覆うことも可能である。また、左右のみならず、支柱12を上方に伸ばし、支柱12に対して上下に格子ユニット16を取り付けることにより、格子ユニット16を上方に上層階にまで広げることもできる。これにより、例えばベランダの上部空間に設置されたエアコン室外機を格子ユニット16で覆って外側空間から見えなくすることができる。
【0020】
本実施形態では、左右両端に位置する2本の縦桟20Aと2本の横桟18は同一形状の形材から作られている。よって、図1aに示される2本の横桟18の断面は、図1b,1cに示される縦桟20Aの断面と等しく、2本の横桟18も、第1レール部20e及び第2レール部20fを有する。これにより、左右両端に位置する2本の縦桟20A及び2本の横桟18に対応する一種の形材と、左右両端に位置する2本の縦桟20Aの間に配置された縦格子20Bに対応する一種の形材の、全二種の形材によって格子ユニット16を構成することができる。ゆえに、格子ユニット16は簡単且つ迅速に製作可能であり、コストダウンを図ることができる。
【0021】
なお図1bにおいて、左右両端に位置する2本の縦桟20Aの間に配置された縦格子20Bが、左右両端に位置する2本の縦桟20Aと同一形状を有してもよい。すなわち、全ての縦桟20A及び縦格子20Bが同一形状を有してもよい。これにより、格子ユニット16は一種の形材のみで構成することができ、格子ユニット16の製作がさらに簡略化される。
【0022】
また本実施形態では、全ての格子部材、すなわち縦桟20A、縦格子20B及び横桟18は同一の寸法を有する。例えば、各格子部材の断面の長辺は30mm、短辺は15mmである。このように全ての格子部材の寸法を統一することで、格子部材の製作が簡単になるとともに格子ユニット16の美観が向上される。なお、各格子部材の断面は長方形に限定されず、正方形や他の形状であってもよい。
【0023】
また、図1a及び図2aにおいて、支柱12、笠木10及びブラケット14は、格子ユニット16により覆われているため、外側空間から視認できない。そのため、従来、顧客の要望に応じて様々な設計の笠木や支柱を作製する必要があったところ、支柱12及び笠木10は単純な形状を有する従来型の押出形材で統一することができる。すなわち、支柱12及び笠木10を2つの押出形材で構成することができる。また上述したように、格子ユニット16は1又は2つの押出形材で構成することができる。よって、手摺構成体1を3又は4つの押出形材で構成することができる。さらに、支柱12、笠木10及びブラケット14を、格子ユニットを取り付けるための架台とみなせば、架台が1つの設計で統一され(同一の架台が構成され)、この架台に、縦格子タイプの格子ユニット、横格子タイプの格子ユニット、ガラスパネルなどの任意のパネルを取り付けることができる。縦格子タイプ及び横格子タイプの格子ユニットの場合、縦格子20のうちの両端に位置する2本の縦桟20A及び上下に位置する2本の横桟18がそれぞれ、第1溝20cを有する第1レール部20e及び第2溝20dを有する第2レール部20fを備えることで、すなわち、2つのレール部を有する2レール部材として構成されることで、架台の統一が実現される(図1a,1b,1c,2a,2b,2c)。
【0024】
図1aに示すように、架台に格子ユニットなどを取り付ける際は、上側横桟18Aが上側ブラケット14Aよりも上側に位置し、下側横桟18Bが下側ブラケット14Bよりも上側に位置するように、格子ユニット16を正面から又は上方から架台に対して取り付ければよい。
【0025】
本実施形態では、左右両端に位置する2本の縦桟20Aと2本の横桟18は同一形状の形材から作られている。なお、縦桟20A及び横18は長方形断面を有しているが、これに限られず正方形断面や他の多角形断面を有してもよい。具体的には、縦桟20A及び横桟18の短辺部分に対応する第1面20aには、第1溝部である第1溝20cを有する第1レール部20eが形成されており、第1面20aに隣接し長辺部分に対応する第2面20bには第2溝部である第2溝20dを有する第2レール部20fが形成されている。このように、左右両端に位置する2本の縦桟20Aと2本の横桟18のそれぞれに第1レール部20e及び第2レール部20fを形成することで、縦格子タイプの格子ユニット16を、90°回転させて横格子タイプの格子ユニット16として使用することができる。
【0026】
すなわち、このように構成された縦格子タイプの格子ユニット16をブラケット14から取り外し、90°回転させると、図2に示すように、横格子タイプの格子ユニット16となる。具体的には、図2に示すように、図1bにおいて左右両端に位置していた縦桟20Aは上下端部の横ルーバー20Aとなり(図2a)、図1aの2本の横桟18は2本の縦桟18となり(図2b)、図1bの左右両端に位置する2本の縦桟20Aの間に配置されていた縦格子20Bは横ルーバー20Bとなる(図2a,2b)。よって、図2a,2bに示すように、90°回転後の横格子タイプの格子ユニット16は、第2面20bに、第2溝部である第2溝20dを有する第2レール部20fを備えた縦桟18を有し、第2レール部20fは鉛直方向に延びている。そのため、この格子ユニット16を、第2レール部20f及びボルト部材17を用いてブラケット14に固定することで、第2レール部20fに沿って上下に移動可能な横格子タイプの手摺構成体1を構成することができる。
【0027】
逆に言えば、図2において、上下両端に位置する2本の横ルーバー20Aと2本の縦桟18のそれぞれに第1レール部20e及び第2レール部20fを形成することで、横格子タイプの格子ユニット16(図2)を、90°回転させて縦格子タイプの格子ユニット16(図1)として使用することができる。
【0028】
ゆえに、縦格子タイプの格子ユニットと横格子タイプの格子ユニットを必要に応じて使い分けることができるため、コストダウンが可能となるとともに、これら格子ユニットを簡単且つ迅速に製作することができる。
【0029】
なお、格子ユニット16を90°回転させるとは、図7に示すように、例えば縦格子タイプの格子ユニット16における、右上に位置する縦桟20Aと上側横桟18Aの結合点Pを右下の結合点P’の位置に回転移動させることを意味する。90°回転により、縦格子タイプの格子ユニット16は横格子タイプの格子ユニット16になる。
【0030】
なお、図1a及び図2aにおいて、格子ユニット16とスラブ13の間の隙間は隙間塞ぎパネル21によって覆われている。隙間塞ぎパネル21は、板状の形状をしており、ボルト23によって縦桟20Aに固定されている。隙間塞ぎパネル21によって、例えば子供が隙間から下に物を落としたり、支柱12の外側であってスラブ13の上に置かれていた物が突発的に隙間から落下したりすることが防がれる。
【0031】
図1aに示すように、本発明の実施形態に係る手摺構成体1は、持ち出しタイプ且つスラブ隠しタイプの手摺構成体である。
【0032】
図3,4は、本発明の第2実施形態に係る移動可能な縦格子タイプの手摺構成体を示す。
図3aは手摺構成体の概略側面断面図、図3bは、図3aのC-C断面図、図3cは、縦桟の拡大断面図である。図4aは、図3における縦格子タイプの格子ユニットを90°回転させてブラケットに取り付けた状態の概略側面断面図、図4bは、図4aのD-D断面図、図4cは、縦桟の拡大断面図である。
【0033】
以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、左右両端に位置する2本の縦桟20Aと、それらの間に配置された縦格子20Bがq型ルーバーとして構成されている。具体的には、図3cに示すように、格子ユニット16の左右両端に位置する縦桟20Aはq形断面を有し、縦桟20Aの短辺部分に対応する第1面20aには、第1溝20cを有する第1レール部20eが形成されるとともに、その第1面20aの隅角部からは、平面状の延長部18gが短手方向に延びている。図3bに示すように、縦格子20Bも、縦桟20Aと同様にq形断面を有する。また、図3cにおいて、第1面20aに隣接し長辺部分に対応する第2面20bには第2溝20dを有する第2レール部20fが形成されている。図3aから分かるように、第1溝20cを有する第1レール部20e及び第2溝20dを有する第2レール部20fは縦桟20Aの全長に沿って延びている。よって、縦桟20Aは、2つのレール部を有する2レール部材として構成されている。縦桟20Aは、縦格子20Bと平行且つ横18とは直交方向に配置されている。
【0034】
このように本実施形態では、格子ユニット16の左右両端に位置する縦桟20Aに、第1溝20cを有する第1レール部20eが直接形成されているため、ブラケット14と横桟18の間にレール部材として機能する別の縦桟(レール柱)を設ける必要が無い。そのため、格子ユニット16は、横格子タイプの手摺構成体に比べて部品点数を増大させずに、コストダウンを図りつつ簡単且つ迅速に製作可能である。
【0035】
このように構成された縦格子タイプの格子ユニット16をブラケット14から取り外し、90°回転させると、図4に示すように、横格子タイプの格子ユニット16となる。具体的には、図4に示すように、図3bにおいて左右両端に位置していた縦桟20Aは上下端部の横ルーバー20Aとなり(図4a)、図3aの2本の横桟18は2本の縦桟18となり(図4b)、図3bの左右両端に位置する2本の縦桟20Aの間に配置されていた縦格子20Bは横ルーバー20Bとなる(図4a,4b)。よって、図4a,4bに示すように、90°回転後の横格子タイプの格子ユニット16は、第2面20bに、第2溝部である第2溝20dを有する第2レール部20fを備えた縦桟18を有し、第2レール部20fは鉛直方向に延びている。そのため、この格子ユニット16を、第2レール部20f及びボルト部材17を用いてブラケット14に固定することで、第2レール部20fに沿って上下に移動可能な横格子タイプの手摺構成体1を構成することができる。
【0036】
図5,6は、本発明の第3実施形態に係る移動可能な縦格子タイプの手摺構成体を示す。
図5aは手摺構成体の概略側面断面図、図5bは、図5aのE-E断面図、図5cは、縦桟の拡大断面図である。図6aは、図5における縦格子タイプの格子ユニットを90°回転させてブラケットに取り付けた状態の概略側面断面図、図6bは、図6aのF-F断面図、図6cは、縦桟の拡大断面図である。
【0037】
以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第3実施形態では、左右両端に位置する2本の縦桟20Aと、その間に配置された縦格子20Bが六角形ルーバーとして構成されている。具体的には、図5cに示すように、格子ユニット16の左右両端に位置する縦桟20Aは六角形断面を有し、縦桟20Aの第1面20aには、第1溝20cを有する第1レール部20eが形成されるとともに、その第1面20aから、ルーバー部20hが斜めに延びている。図5bに示すように、縦格子20Bも、縦桟20Aと同様に六角形断面を有する。図5aから分かるように、第1溝20cを有する第1レール部20eは縦桟20Aの全長に沿って延びている。縦桟20Aは、1つのレール部を有する1レール部材として構成されている。縦桟20Aは、縦格子20Bと平行且つ横18とは直交方向に配置されている。
【0038】
ここで、図5bに示すように、ブラケット14の先端14cは、ボルト17a及びナット17bを有する固定手段であるボルト部材17によって縦桟20Aに締め付けられている。具体的には、縦桟20Aの第1溝20cにはナット17bが回転しないように挿入されており、このナット17bに、ボルト17aがブラケット14の先端14cを介してねじ込まれている。したがって、ボルト17aを緩めることで、格子ユニット16はブラケット14及び支柱12に対して第1レール部20eに沿って上下動することができるとともに、ボルト17aを締めることで、格子ユニット16は任意の位置で支柱12に対して固定することができる。一方で、ブラケット14の基部14aはネジ15によって支柱12に固定されており、ブラケット14は支柱12に対して動かない。
【0039】
一方で、横桟18は、2つのレール部を有する2レール部材として構成されている。横桟18の断面形状は、例えば図1cに示すものと同一である。
【0040】
このように本実施形態では、格子ユニット16の左右両端に位置する縦桟20Aに、第1溝20cを有する第1レール部20eが直接形成されているため、ブラケット14と横桟18の間にレール部材として機能する別の縦桟(レール柱)を設ける必要が無い。そのため、格子ユニット16は、横格子タイプの手摺構成体に比べて部品点数を増大させずに、コストダウンを図りつつ簡単且つ迅速に製作可能である。
【0041】
このように構成された縦格子タイプの格子ユニット16をブラケット14から取り外し、90°回転させると、図6に示すように、横格子タイプの格子ユニット16となる。具体的には、図6に示すように、図5bにおいて左右両端に位置していた縦桟20Aは上下端部の横ルーバー20Aとなり(図6a)、図5aの2本の横桟18は2本の縦桟18となり(図6b)、図5bの左右両端に位置する2本の縦桟20Aの間に配置されていた縦格子20Bは横ルーバー20Bとなる(図6a,6b)。よって、図6a,6bに示すように、90°回転後の横格子タイプの格子ユニット16は、第2面20bに、第2溝部である第2溝20dを有する第2レール部20fを備えた縦桟18を有し、第2レール部20fは鉛直方向に延びている。そのため、この格子ユニット16を、第2レール部20f及びボルト部材17を用いてブラケット14に固定することで、第2レール部20fに沿って上下に移動可能な横格子タイプの手摺構成体1を構成することができる。
【0042】
なお、縦格子20B及び縦桟20Aの断面は六角形に限られず、他の多角形であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 手摺構成体
12 支柱
14 ブラケット(連結部材)
16 格子ユニット
17 固定手段
18 横桟
20 縦格子
20c 第1溝部
20e 第1レール部
20A 縦桟
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【文献】特許第5342863号公報
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7
図8