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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20220203BHJP
   B60S 3/06 20060101ALI20220203BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20220203BHJP
   B08B 7/04 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B08B3/02 F
B60S3/06
B08B1/04
B08B7/04 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018095077
(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公開番号】P2019198828
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】水島 彰宏
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-046582(JP,A)
【文献】特開昭62-294475(JP,A)
【文献】特開2012-239790(JP,A)
【文献】特開平06-182262(JP,A)
【文献】特開2001-192466(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-22417(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/04,3/02,7/04
B60S 3/04-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンクから送水される洗浄水に液剤を混合し、この洗浄液を発泡させて散布パイプから被洗浄体に向けて散布する機能を備えた洗浄装置であって、
前記給水タンクから散布パイプに至る給液管路に、洗浄水と液剤を混合した洗浄液をエアにより起泡する起泡部と、
該起泡部で起泡した起泡洗剤を発泡する泡沫生成部とを備え、
該泡沫生成部は、筒状体と、複数の鋲状体を有し、
前記筒状体は、開口部としての入水口と出水口を有し、
さらに前記筒状体は、前記複数の鋲状体を取り付け可能であり、かつ規則的に設けられる複数のタップ孔を有し、
前記複数の鋲状体は、該筒状体の外周面から内面に向けて取り付けられ、乱流発生部を形成し、該筒状体の内部に流路抵抗を生じる
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記複数のタップ孔は、前記筒状体の長手方向と平行な列を複数成すよう前記筒状体に設けられ、
各前記列は、該筒状体の周方向に所定角度の間隔をもって設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄面に向けて発泡させた洗浄剤を散布する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の洗浄装置は、給水タンクから送水される洗浄水に液剤を混入し、この洗浄液をエアで起泡させて泡散布ノズルから被洗浄体(例えば車両)に泡状液剤を散布している。エアで起泡させた洗浄液は、コルゲートチューブを通じて泡散布ノズルに供給され、このコルゲートチューブを通過する間に発泡度合いを増してきめ細かな泡が形成される。しかし、エアの導入で起泡した洗浄液はコルゲートチューブ内で乱流を引き起こし、コルゲートチューブを脈動させることで、泡散布ノズルからの泡散布が間欠的で不規則なものとなる。そのため、被洗浄体と泡散布ノズルを相対移動させながら被洗浄体の表面全体に泡状の液剤を散布する際に、散布ムラが生じる。このような散布ムラは、相対移動速度が速い場合に顕著に現れるため、相対移動速度を低速にする必要があり、洗浄時間が長くなるという問題がある。
【0003】
その対策として、泡散布ノズルの近くでエア導入して洗浄液を起泡することが考えられるが、コルゲートチューブ内での発泡効果が得られないため、発泡度合いが低く泡のボリューム感が弱まり、被洗浄体への定着性が低下するとともに、視覚的なショー効果が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-46582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、限られた範囲で効率良くきめ細かい泡状液剤を生成し、被洗浄体に向けてムラなく散布するとともに、被洗浄体への定着性を向上させる発泡機能を有する洗浄装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、給水タンクから送水される洗浄水に液剤を混合し、この洗浄液を発泡させて散布パイプから被洗浄体に向けて散布する機能を備えた洗浄装置であって、給水タンクから散布パイプに至る給液管路に、洗浄水と液剤を混合した洗浄液をエアにより起泡する起泡部と、該起泡部で起泡した起泡洗剤を発泡する泡沫生成部とを備え、該泡沫生成部は、入水口及び出水口を開口した筒状体をなし、該筒状体の外周面から内側に向けて複数の鋲状体を取り付けて内部に流路抵抗を生じる乱流発生部を形成したものである。
【0007】
乱流発生部は、筒状体の円周方向に沿って等間隔に複数の鋲状体を取り付けるとともに、軸方向に沿ってジグザグに複数の鋲状体を取り付けて構成される。筒状体は、入水口側と出水口側とで鋲状体の取り付け密度を変えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄装置における泡生成部は、筒状体の外周面から内側に向けて複数の鋲状体を差し込んだ簡易的な構成で、内部に乱流発生部を形成することができ、効果的な発泡を可能にすることで、十分な管路長が得られない場合であっても定着力が高くボリューム感のある泡沫洗剤を被洗浄体に散布することができる。
【0009】
また、洗浄装置における泡生成部により、エア混入による脈動が抑えられ、規則的な泡散布が可能となるので、被洗浄体と洗浄装置との相対移動速度を速くしても被洗浄体への泡散布が均一に行え、洗浄時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の洗車装置を示す正面図である。
図2】同装置の平面図である。
図3】同装置の管路構成を示す説明図である。
図4】発泡管路(泡沫形成部)を拡大した説明図である。
図5】発泡管路(泡沫形成部)を断面図である。
図6】同装置の制御系を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、泡沫洗剤を車体面に散布する洗車装置を例に、本発明の実施態様について説明する。図1は洗車装置の正面図、図2は平面図である。
1は自動車車体を跨ぐように門型状に形成した洗車機本体で、正転逆転可能な走行モータ4・4により、車輪2・2を回転駆動してレール3・3に沿って往復走行する。5はモータ4の出力軸に連結したロータリーエンコーダで、モータ4の回転方向を検出しながら単位角度回転毎にパルス信号を出力して洗車機本体1の走行位置を与えている。
【0012】
6は自動車の上面高さを検出する車形検出装置で、発光素子を上下に複数配列させた発光部6aと、発光素子と対をなす受光素子を上下に複数配列させた受光部6bとからなり、各発光素子の光が対となる受光素子へ透光するか遮光するかによって自動車の有無を検出し、車体検出と判断された最も上方にある受光素子の高さ位置から車体の上面位置を検出する。7は操作パネルで、本体1の前面に備えられ、洗車コースの設定や料金受付などの操作を行う。
【0013】
8は主に自動車の上面をブラッシングする上面洗浄ブラシ、9・9は主に自動車の側面をブラッシングする側面洗浄ブラシ、10は主に自動車の上面をブローする上面乾燥ノズル、11・11は主に自動車の側面をブローする側面乾燥ノズルであり、洗車機本体1の往復走行に伴って、車体の洗浄,乾燥等の処理を行う。12~15はいずれもアーチ状に形成された散布パイプで、それぞれ散布ノズルが複数箇所に取り付けられており、12は水用パイプ、13は洗剤用パイプ、14はワックス用パイプ、15は発泡洗剤用パイプを示している。
【0014】
図3は洗車装置の管路構成を示す説明図である。
16は水源からの水を貯える給水タンクで、各散布パイプ12~15へ送水する給水ポンプ17を備えている。給水ポンプ17からの送水は、ホース18を経て本体1へ至り、給水管路19~22を通じて各散布パイプ12~15に分配供給される。給水管路19~22には、それぞれ電磁弁23~26が設けられ、各管路が開閉される。
【0015】
洗剤用パイプ13に至る給水管路20には、洗剤タンク27と連通した洗剤管路28が混合器29を介して接続されている。洗剤管路28には、チューブポンプ30が設けられ、給水管路20に定量の洗剤が供給される。これにより、混合器29において洗浄水に洗剤が混入され、洗浄液剤として洗剤用パイプ13から散布される。
【0016】
ワックス用パイプ14に至る給水管路21には、ワックスタンク30と連通したワックス管路31が混合器32を介して接続されている。ワックス管路31には、チューブポンプ33が設けられ、給水管路21に定量のワックス剤が供給される。これにより、混合器32において洗浄水にワックス剤が混入され、ワックス液剤としてワックス用パイプ14から散布される。
【0017】
発泡洗剤用パイプ15に至る給水管路22には、発泡洗剤タンク34と連通した発泡洗剤管路35が混合器36を介して接続されている。発泡洗剤管路35には、チューブポンプ37が設けられ、給水管路22に定量の発泡洗剤が供給される。また、混合器36の下流側の給水管路22には、コンプレッサ38と連通した給気管路39が混合器40を介して接続されている。更に、混合器40の下流側の給水管路22には、液剤の流れに乱流を発生される発泡用管路41が設けられている。これにより、混合器36において、洗浄水に発泡洗剤が混入された発泡液剤が生成され、次に混合器40において、この発泡液剤がコンプレッサ38からの高圧エアで起泡されて起泡洗剤が生成され、最後にこの起泡洗剤が発泡用管路41を通過する間にきめ細かな泡沫洗剤となって発泡洗剤用パイプ15から散布される。
【0018】
図4~5は発泡用管路41の構成を示す説明図である。図4は発泡用管路41の一部を軸方向に縦割りした状態を示し、図5は発泡用管路41を周方向に輪切りにした状態を示している。
【0019】
発泡用管路41は、混合器40の下流側に直結され、入水口41aと出水口41bを開口した筒状をなしている。発泡用管路41は、外周面から内側に向けて複数の鋲状体42が取り付けられており、管路41の内部に流路抵抗によって起泡洗剤の泡立てを促進する乱流発生部が形成される。鋲状体42は、発泡用管路41の外周面に開口したタップ孔43に螺着され、鋲状体42の先端が発泡用管路41の中心に向かうように水平に取り付けられている。
【0020】
タップ孔43は、管路41の外周面において、軸方向と平行する仮想ライン上に等間隔ピッチpで開口される。この仮想ラインは、周方向に45°間隔で設定されており、それぞれにタップ孔43がピッチpで開口される。また、隣り合う仮想ライン上のタップ孔43の位置は、ピッチp/2ずらして開口されており、結果的にタップ孔43が発泡用管路41の軸方向及び周方向に渡って千鳥配置される。
【0021】
これにより、このタップ孔43に取り付けられる鋲状体42が発泡用管路41内にラビリンス状の乱流発生部を形成する。この発泡用管路41に混合器40で生成された起泡洗剤を通過させることで、水流に乱流が生じて泡立てられ、出水口41からきめ細かな泡沫洗剤となって取り出されることになる。
【0022】
尚、ここでは、鋲状体42を等間隔で打ち込んでいるが、泡沫洗剤の滑性を向上させるため、入水口41a側のピッチと出水口41b側のピッチの密度を変え、ピッチp1を密、ピッチp2を粗としても良い。また、管路41内に流路抵抗を生じさせるものであれば、鋲状体に限定されない。
【0023】
図6は洗車装置の制御系を示す説明図である。
44は制御部で、入力ポートにおいてロータリーエンコーダー5・車形検出装置6・操作パネル7と接続し、出力ポートにおいて洗車機本体1および給水装置17の各動作機器と接続している。制御部44は、操作パネル7において洗車を受け付け、ロータリーエンコーダー5及び車形検出装置6のデータを基に自動車の形状を検出し、この検出した自動車の形状に沿って予めプログラムされたシーケンスに沿って洗車機本体1および給水装置17の各動作機器を制御する。
【0024】
続いて、以上のように構成する本発明の洗車機の動作を説明する。
電源投入に伴い、制御部44ではコース選択の待機状態となり、操作パネル7において、希望する洗車動作の指定がなされ、スタートが入力されると洗車動作が実行される。洗車動作が開始されると、洗車機本体1の走行に伴い、次の順序で洗車が実行される。
【0025】
○第1往工程
洗車機本体1の往行に伴い、ロータリーエンコーダ5で所定距離移動する毎に車形検出装置6からの自動車の上面位置データを取り込み、洗車する自動車の車形検出が行われる。また、水用パイプ12から洗浄水を散布しながら、検出した車形に基づいて、上面洗浄ブラシ8及び側面洗浄ブラシを9・9を自動車に接離させながらブラッシング洗浄が行われる。
【0026】
○第1復工程
洗車機本体1の復行に伴い、発泡洗剤用パイプ15から起泡された泡沫洗剤を自動車車体に散布する泡散布が行われる。このとき、エアにより起泡された洗剤が発泡管路41内の乱流発生部で発泡性を高めた泡沫洗剤となり、車体に散布されたときの定着力が向上して車体に滞在している状態が長くなる。また、発泡管路41により効率的な泡沫が得られることで、発泡洗剤用パイプ15の近くでエアによる起泡を行うことができ、長尺なコルゲートチューブ等を通じて泡剤を供給する際に発生する脈動で泡散布が間欠的になる状況がなくなり、連続的な泡散布によって洗車機本体1の走行速度を速くしても車体全体に泡散布が可能になる。
【0027】
○第2往工程
洗車機本体1の往行に伴い、水用パイプ12よりすすぎ水、洗剤用パイプ13より洗浄液剤をそれぞれ散布しながら上面洗浄ブラシ8及び側面洗浄ブラシを9・9を作動させて車体のブラッシング洗浄が行われる。
【0028】
○第2復工程
洗車機本体1の復行に伴い、ワックス用パイプ14からワックス液剤、水用パイプ12からすすぎ水をそれぞれ散布しながら上面乾燥ノズル10及び側面乾燥ノズル11・11を作動して自動車の車体に高速の風を吹き付け、残留する水滴を吹き飛ばすブローが行われる。
【0029】
このように、 第1往工程で車形検出とブラッシング洗浄、第1復工程で泡散布、第2往工程で泡すすぎと洗剤ブラッシング洗浄、第2復工程でワックス散布と乾燥が行われ、洗車動作が完了する。尚、洗車機の形態は、上記構成に限られるものではなく、自動車を搬送するコンベア式、自動車と洗車機本体を相互に移動させる相対移動式、ブラシやブローがない高圧洗浄式のいずれでも良い。
【0030】
本発明の要所は、泡沫液剤を効率良く生成する発泡管路41の構成にある。この発泡管路を用いることにより、被洗浄体は自動車に限らず、列車や重機等の洗浄も可能である。特に、列車のように、泡散布装置を定点固定し、列車を最低限の速度で移動させながら泡散布を行う場合には、泡を連続的に散布できる本発明の発泡管路によってより効果的に作用するものである。
【符号の説明】
【0031】
1 洗車機本体
12 水用パイプ
13 洗剤用パイプ
14 ワックス用パイプ
15 発泡洗剤用パイプ
40 混合器
41 発泡用管路
42 鋲状体
43 タップ孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6