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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/345 20220101AFI20220120BHJP
【FI】
F24H3/04 305B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018126783
(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公開番号】P2020008179
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 昭洋
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-44360(JP,A)
【文献】特開2016-80292(JP,A)
【文献】特開平5-332615(JP,A)
【文献】特開平8-75259(JP,A)
【文献】特開平6-307716(JP,A)
【文献】特開2009-192190(JP,A)
【文献】特開2015-21673(JP,A)
【文献】特開2017-58038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠をなす本体と、
前記本体内に配置されており、気化した燃油を燃焼させるバーナ部と、
前記本体内に配置されており、前記本体の外部から取り入れた空気を前記バーナ部の燃焼による燃焼ガスと熱交換させて前記本体の外部に放出させる対流ファンと、
設定温度を設定する温度設定部と、
室温を検知する室温検知手段と、
設定された設定温度と検知された室温との差に基づいて前記バーナ部の火力を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、通常運転と、前記バーナ部の火力の最大レベルが前記通常運転よりも小さい省エネ運転と、を実行し、
前記制御部は、前記省エネ運転における前記バーナ部の所定レベル以上の火力に対応する前記対流ファンの回転速度を、前記省エネ運転における火力と等しい前記通常運転における火力に対応する前記対流ファンの回転速度よりも大きくすることを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記省エネ運転において、設定された設定温度と検知された室温との差が所定温度差以下になった後、前記設定温度よりも低い第1制御温度と検知された室温との差に基づいて前記バーナ部の火力を制御する第1制御と、前記設定温度に等しい第2制御温度と検知された室温との差に基づいて前記バーナ部の火力を制御する第2制御と、を含む処理を繰り返し行うことを特徴とする請求項1に記載の暖房装置。
【請求項3】
前記省エネ運転における前記バーナ部の所定レベル以上の火力は、前記省エネ運転における前記バーナ部の最大レベルの火力であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の暖房装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記省エネ運転における前記バーナ部の所定レベル以上の火力に対応する前記対流ファンの回転速度を、前記通常運転における火力の最大レベルに対応する前記対流ファンの回転速度と等しくすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油ファンヒータ等の暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石油ファンヒータ等の暖房装置として、セーブ運転機能を有する温風式暖房機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この温風式暖房機では、セーブ運転スイッチを操作すると、設定温度を徐々に低下させる(室温が設定温度に達した後、例えば30分経過後1℃、更に30分経過後1℃下げる。)セーブ運転が実行される。そして、このセーブ運転中、若しくはセーブ運転完了後に温風ファンモータの回転数が通常値よりも高くさせられる。このような制御により、セーブ運転による省エネ効果と温風ファンモータによる室温の均一化とが図られている(特許文献1の段落[0016]、図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平08-152196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の温風式暖房機では、セーブ運転(省エネ運転)において設定温度を徐々に低下させるものであるため、室温も徐々に低下することになる。したがって、暖房感を損なって寒さを感じさせるおそれがある。また、温風ファンモータの回転数が通常値よりも高い状態で継続されるため、例えば燃焼量(火力)が小さい場合には、炎が消えやすくなって燃焼状態が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、燃焼状態を良好に保ちつつ、暖房効果を向上させる省エネ運転が可能な暖房装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る暖房装置は、外枠をなす本体と、前記本体内に配置されており、気化した燃油を燃焼させるバーナ部と、を備える。また、前記暖房装置は、前記本体内に配置されており、前記本体の外部から取り入れた空気を前記バーナ部の燃焼による燃焼ガスと熱交換させて前記本体の外部に放出させる対流ファンを備える。さらに、前記暖房装置は、設定温度を設定する温度設定部と、室温を検知する室温検知手段と、設定された設定温度と検知された室温との差に基づいて前記バーナ部の火力を制御する制御部と、を備える。そして、前記制御部は、通常運転と、前記バーナ部の火力の最大レベルが前記通常運転よりも小さい省エネ運転と、を実行する。また、前記制御部は、前記省エネ運転における前記バーナ部の所定レベル以上の火力に対応する前記対流ファンの回転速度を、前記省エネ運転における火力と等しい前記通常運転における火力に対応する前記対流ファンの回転速度よりも大きくする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、燃焼状態を良好に保ちつつ、暖房効果を向上させる省エネ運転が可能な暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る暖房装置を示す概略断面図である。
図2】暖房装置の制御構成を示す概略ブロック図である。
図3図3(a)は通常運転における火力の各レベルに対応する対流ファンの回転速度のレベルを示す図である。図3(b)は、省エネ運転における火力の各レベルに対応する対流ファンの回転速度のレベルを示す図である。
図4】ゆらぎ温調運転を説明するための図である。
図5】暖房装置の通常運転における動作の内容を示すフローチャートである。
図6】暖房装置の省エネ運転における動作の内容を示すフローチャートである。
図7】暖房装置の省エネ運転における室温の推移を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る暖房装置100を示す概略断面図である。
図1に示すように、暖房装置100は、外枠をなす本体1と、本体1内に配置されており、気化した燃油を燃焼させるバーナ部2とを備えている。バーナ部2は、燃油を気化させる気化器3と、気化器3の上部に配設され、気化した燃油を燃焼させる燃焼部としてのバーナヘッド4とを有している。
【0012】
気化器3は、有底筒状を呈している。気化器3の側壁部あるいは底部には、気化器3を加熱するヒータ5が例えば鋳込まれることによって配置されている。バーナヘッド4の周囲には、燃焼熱を気化器3へ回収する熱回収リング22が設けられている。
【0013】
また、暖房装置100は、燃料パイプ6を介して燃料タンク7内の燃油を気化器3に供給する電磁ポンプ8と、空気通路9を介して燃焼用空気を気化器3に供給する燃焼ファン10とを備えている。
【0014】
バーナヘッド4の側壁部には、多数の炎孔11が形成されている。バーナヘッド4の外周面の近傍には、点火手段としての点火プラグ12と、炎検知手段13とが配置されている。点火プラグ12は、炎孔11から噴出する気化した燃油と燃焼用空気とが混合した混合気に高圧放電によって点火する。炎検知手段13は、炎の有無および燃焼状態を検知して信号を出力するものであり、フレームロッドとも呼ばれている。
【0015】
また、本体1内には、本体1の外部から取り入れた空気をバーナ部2の燃焼による燃焼ガスと熱交換させて本体1の外部に放出させる対流ファン14が配置されている。対流ファン14の作動によって、本体1の背面に設けられた空気取入口15から取り入れた外部の空気が、加熱されることで温風となって、本体1の前面に設けられた温風吹出口16から室内へ吹き出される。
【0016】
図2は、暖房装置100の制御構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、暖房装置100は、操作部17、室温検知手段18、気化器温度検知手段19、および制御部20を備えている。操作部17は、ユーザの操作を受け付ける。操作部17は、温度設定部17a、運転スイッチ17b、エコスイッチ17c等の各種スイッチやボタンを有している。温度設定部17aは、ユーザの操作に基づいて設定温度を設定するものである。運転スイッチ17bは、暖房運転の開始および停止を指示するものである。エコスイッチ17cは、省エネ運転の開始および停止を指示するものである。また、室温検知手段18は、暖房装置100が置かれている室内の温度である室温を検知する。気化器温度検知手段19は、気化器3の温度を検知する。
【0017】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを備えており、暖房装置100の運転を統括制御する。制御部20による各種の制御は、記憶手段21に予め記憶されたプログラムをメモリに読み出してCPUが実行することで実現される。
【0018】
例えば、制御部20は、温度設定部17aにおいて設定された設定温度と、室温検知手段18によって検知された室温との差に基づいて、バーナ部2の火力を制御する。火力は、電磁ポンプ8による燃油の供給量、および燃焼ファン10の回転速度を変更することで調整されるようになっている。ここで、燃油の供給量に応じた適切な燃焼用空気の供給量が決まっており、記憶手段21には、火力のレベル毎に、電磁ポンプ8による燃油の供給量および燃焼ファン10の回転速度が記憶されている。
【0019】
また、制御部20は、通常運転と省エネ運転とを実行可能である。
図3(a)は、通常運転における火力の各レベルに対応する対流ファン14の回転速度のレベルを示す図である。図3(b)は、省エネ運転における火力の各レベルに対応する対流ファン14の回転速度のレベルを示す図である。図3(a)、図3(b)に示す火力と対流ファン14の回転速度との対応データは、記憶手段21に記憶されている。
【0020】
図3(a)、図3(b)に示すように、通常運転における火力の最大レベルは「5」であり、省エネ運転における火力の最大レベルは「4」である。つまり、省エネ運転は、バーナ部2の火力の最大レベルが通常運転よりも小さくなっている。
【0021】
また、制御部20は、省エネ運転でのバーナ部2の所定レベル以上の火力に対応する対流ファン14の回転速度をその省エネ運転での火力と等しい通常運転での火力に対応する対流ファン14の回転速度よりも大きくする。
【0022】
例えば、制御部20は、省エネ運転でのバーナ部2の最大レベル「4」の火力に対応する対流ファン14の回転速度を、通常運転での火力「4」に対応する対流ファン14の回転速度「4」よりも大きくする。ここでは、制御部20は、省エネ運転でのバーナ部2の最大レベル「4」の火力に対応する対流ファン14の回転速度を、通常運転での火力の最大レベル「5」に対応する対流ファン14の回転速度「5」と等しくする。
【0023】
また、制御部20は、省エネ運転において、ゆらぎ温調運転を実行する。
図4は、ゆらぎ温調運転を説明するための図である。図4では、ゆらぎ温調運転開始から60分までの間における設定温度Tに対する補正値の変化が示されており、これ以降の時間において同様の補正値の変化のパターンが継続される。図4に示す補正値の変化のパターンは、記憶手段21に記憶されている。
【0024】
図4に示すように、省エネ運転において、設定温度Tと室温Tとの差が所定温度差以下になった後、ゆらぎ温調運転の制御が行われる。ここでは、省エネ運転において、設定温度Tと室温Tとの差が0.0℃になった後、つまり室温Tが設定温度Tに到達した後、以下の制御が行われるようになっている。すなわち、制御部20は、第1制御温度Tを用いる第1制御と、第2制御温度Tを用いる第2制御と、第3制御温度Tを用いる第3制御と、を含む処理を繰り返し行う。ただし、図4に示す補正値の変化のパターンは一例であり、適宜変更され得る。例えば、さらに別の制御温度が用いられてもよいし、第1制御、第2制御、および第3制御の実行順序が変更されてもよい。
【0025】
第1制御温度Tは、設定温度Tよりも例えば1℃低く設定される。第2制御温度Tは、設定温度Tに等しい温度に設定される。第3制御温度Tは、設定温度Tよりも例えば0.8℃低く設定される。つまり、第1制御では、制御部20は、設定温度Tよりも1℃低い第1制御温度Tと検知された室温Tとの差に基づいてバーナ部2の火力を制御する。また、第2制御では、制御部20は、設定温度Tに等しい第2制御温度Tと検知された室温Tとの差に基づいてバーナ部2の火力を制御する。また、第3制御では、制御部20は、設定温度Tよりも0.8℃低い第3制御温度Tと検知された室温Tとの差に基づいてバーナ部2の火力を制御する。
【0026】
次に、図5図7を参照しながら、本実施形態に係る暖房装置100の動作について説明する。図5は、暖房装置100の通常運転における動作の内容を示すフローチャートである。図6は、暖房装置100の省エネ運転における動作の内容を示すフローチャートである。図7は、暖房装置100の省エネ運転における室温Tの推移を模式的に示すグラフである。
【0027】
制御部20は、操作部17の運転スイッチ17bがONされると、エコスイッチ17cがOFFになっている場合には通常運転を開始し、エコスイッチ17cがONになっている場合には省エネ運転を開始する。
【0028】
まず、通常運転について説明する。
図5に示すように、ステップS101では、制御部20は、温度設定部17aにおいて設定された設定温度Tを取得する。
【0029】
ステップS102では、制御部20は、バーナ部2の火力を最大レベル「5」に設定して、暖房装置100の運転を行う。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「5」に設定される(図3(a)参照)。そして、暖房装置100の運転が続けられることによって室温Tが上昇する。
【0030】
ステップS103では、室温検知手段18によって室温Tが検知される。続いて、ステップS104では、(室温T-設定温度T)が-0.5℃以下であるか否かが判断される。(T-T)≦-0.5℃である場合(S104でYes)、ステップS105に処理が進み、(T-T)>-0.5℃である場合(S104でNo)、ステップS106に処理が進む。
【0031】
ステップS105は、室温Tが設定温度Tよりも或る程度以上低い場合に実行されることになる。ステップS105では、制御部20は、バーナ部2の火力を最大レベル「5」に設定する。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「5」に設定される(図3(a)参照)。
【0032】
ステップS106では、(室温T-設定温度T)が-0.5℃を超え、かつ0.0℃以下であるか否かが判断される。-0.5℃<(T-T)≦0.0℃である場合(S106でYes)、ステップS107に処理が進み、-0.5℃<(T-T)≦0.0℃でない場合(S106でNo)、ステップS108に処理が進む。
【0033】
ステップS107は、室温Tが設定温度Tよりも僅かに低い場合に実行されることになる。ステップS107では、制御部20は、バーナ部2の火力をレベル「4」に設定する。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「4」に設定される(図3(a)参照)。
【0034】
ステップS108では、(室温T-設定温度T)が0.0℃を超え、かつ0.5℃以下であるか否かが判断される。0.0℃<(T-T)≦0.5℃である場合(S108でYes)、ステップS109に処理が進み、0.0℃<(T-T)≦0.5℃でない場合(S108でNo)、ステップS110に処理が進む。
【0035】
ステップS109は、室温Tが設定温度Tよりも僅かに高い場合に実行されることになる。ステップS109では、制御部20は、バーナ部2の火力をレベル「3」に設定する。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「3」に設定される(図3(a)参照)。
【0036】
ステップS110では、(室温T-設定温度T)が0.5℃を超え、かつ1.0℃以下であるか否かが判断される。0.5℃<(T-T)≦1.0℃である場合(S110でYes)、ステップS111に処理が進み、0.5℃<(T-T)≦1.0℃でない場合(S110でNo)、ステップS112に処理が進む。
【0037】
ステップS111は、室温Tが設定温度Tよりも少し高い場合に実行されることになる。ステップS111では、制御部20は、バーナ部2の火力をレベル「2」に設定する。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「2」に設定される(図3(a)参照)。
【0038】
ステップS112は、室温Tが設定温度Tよりも或る程度以上高い場合に実行される。ステップS112では、制御部20は、バーナ部2の火力を最小レベル「1」に設定する。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「1」に設定される(図3(a)参照)。
【0039】
そして、ステップS105、S107、S109、S111、S112が終了すると、ステップS103に処理が戻る。
【0040】
次に、省エネ運転について説明する。
図6に示すように、ステップS201では、制御部20は、温度設定部17aにおいて設定された設定温度Tを取得する。
【0041】
ステップS202では、制御部20は、バーナ部2の火力を省エネ運転での最大レベル「4」に設定して、暖房装置100の運転を行う。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「5」に設定される(図3(b)参照)。そして、暖房装置100の運転が続けられることによって室温Tが上昇する。
【0042】
そして、ステップS203では、室温Tが設定温度Tに到達したか否かが判断される。室温Tが設定温度Tに到達していない場合(S203でNo)、ステップS203で処理が待機する。室温Tが設定温度Tに到達した場合(S203でYes)、ステップS204に処理が進む。
【0043】
ステップS204では、制御温度Tcの設定が行われる。ここで、制御温度Tcは、前記した第1制御温度T、第2制御温度T、および第3制御温度Tの総称として使用する。制御温度Tcの設定は、図4に示す設定温度Tに対する補正値の変化のパターンに基づいて行われる。これにより、ゆらぎ温調運転が行われることになる。
【0044】
ステップS205では、室温検知手段18によって室温Tが検知される。続いて、ステップS206では、(室温T-制御温度Tc)が0.5℃以下であるか否かが判断される。(T-Tc)≦0.5℃である場合(S206でYes)、ステップS207に処理が進み、(T-Tc)>0.5℃である場合(S206でNo)、ステップS208に処理が進む。
【0045】
ステップS207は、室温Tが制御温度Tcよりも僅かに高いか、若しくは或る程度以上低い場合に実行されることになる。ステップS207では、制御部20は、バーナ部2の火力を最大レベル「4」に設定して、暖房装置100の運転を行う。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「5」に設定される(図3(b)参照)。
【0046】
ステップS208では、(室温T-制御温度Tc)が0.5℃を超え、かつ1.0℃以下であるか否かが判断される。0.5℃<(T-Tc)≦1.0℃である場合(S208でYes)、ステップS209に処理が進み、0.5℃<(T-Tc)≦1.0℃でない場合(S208でNo)、ステップS210に処理が進む。
【0047】
ステップS209は、室温Tが制御温度Tcよりも少し高い場合に実行されることになる。ステップS209では、制御部20は、バーナ部2の火力をレベル「3」に設定する。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「3」に設定される(図3(b)参照)。
【0048】
ステップS210では、(室温T-制御温度Tc))が1.0℃を超え、かつ1.5℃以下であるか否かが判断される。1.0℃<(T-Tc)≦1.5℃である場合(S210でYes)、ステップS211に処理が進み、1.0℃<(T-Tc)≦1.5℃でない場合(S210でNo)、ステップS212に処理が進む。
【0049】
ステップS211は、室温Tが制御温度Tcよりもある程度高い場合に実行されることになる。ステップS211では、制御部20は、バーナ部2の火力をレベル「2」に設定する。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「2」に設定される(図3(b)参照)。
【0050】
ステップS212は、室温Tが制御温度Tcよりもある程度以上高い場合に実行されることになる。ステップS212では、制御部20は、バーナ部2の火力を最大レベル「1」に設定する。このとき、対流ファン14の回転速度は、レベル「1」に設定される(図3(b)参照)。
【0051】
そして、ステップS207、S209、S211、S212が終了すると、ステップS204に処理が戻る。
【0052】
図7に示すように、省エネ運転が実行されると、室温Tが設定温度Tよりも低い場合には、省エネ運転における火力の最大レベルで燃焼が行われ、室温Tが上昇する。この際の対流ファン14の回転速度が大きくなるように制御されるため、温風が強く吹き出される。また、室温Tが設定温度Tに到達すると、設定温度T付近と設定温度Tよりも低い所定温度(制御温度Tc付近)との間で室温Tをゆらがせるように、ゆらぎ温調運転が行われる。
【0053】
前記したように本実施形態に係る暖房装置100は、設定された設定温度Tと、検知された室温Tとの差に基づいて、バーナ部2の火力を制御する制御部20を備える。そして、制御部20は、通常運転と、バーナ部2の火力の最大レベルが通常運転よりも小さい省エネ運転と、を実行する。また、省エネ運転でのバーナ部2の所定レベル以上の火力に対応する対流ファン14の回転速度は、その火力と等しい通常運転での火力に対応する対流ファン14の回転速度よりも大きくされる。
【0054】
このような構成では、省エネ運転においてバーナ部2の火力が所定レベル以上である場合、室温Tがある程度低い状態にあるが、対流ファン14の回転速度を大きくして風量を増すことで温風を強く吹き出すことができる。このため、吹き出した温風が室内ですぐに上昇することなく、足元にまで届き、足元付近の温度が上がる。そして、この温風が床面付近から天井まで上昇し、対流する。したがって、省エネ運転において、バーナ部2の火力の最大レベルを通常運転よりも小さくして燃油使用量を節約しつつ、室内全体をより早く温める効果がもたらされる。
また、バーナ部2の火力がある程度大きい場合に限り、対流ファン14の回転速度を大きくするので、炎が対流ファンによる送風の影響を受けることは殆どなく、燃焼状態が悪化するおそれもない。
すなわち、本実施形態によれば、燃焼状態を良好に保ちつつ、暖房効果を向上させる省エネ運転が可能な暖房装置100を提供することができる。
【0055】
また、本実施形態では、室温Tが設定温度Tに近付いたら、設定温度Tよりも低い第1制御温度Tを用いた第1制御と、設定温度Tに等しい第2制御温度Tを用いた第2制御と、を含む処理が繰り返し実行される。
【0056】
このような構成では、室温Tをゆらがせるように、ゆらぎ温調運転が行われる。このようなゆらぎ温調運転が実行される際には、設定温度T付近まで室内が十分暖まっている状態であるため、火力が少し下がったとしても暖房感を損なうことなく、燃油使用量を節約できる。
また、ゆらぎ温調運転において、第1制御から第2制御へ移る際には、第1制御温度Tが用いられて制御された室温よりも通常高くなる第2制御温度Tが用いられる。これにより、バーナ部2の火力が大きくなって対流ファン14の回転速度が大きくなることが、繰り返し発生する。したがって、温風の室内への届き方が変化して室内の空気が撹拌されることによって室温が均一化され、暖房効果をより向上させることができる。この結果、第1制御温度Tを設定温度Tよりもある程度低く設定したとしても暖房効果を確保することができ、燃油使用量をより節約できる。
【0057】
また、本実施形態では、省エネ運転でのバーナ部2の最大レベル「4」の火力に対応する対流ファン14の回転速度が、その火力と等しい通常運転での火力「4」に対応する対流ファン14の回転速度よりも大きい。
【0058】
このような構成では、省エネ運転で対流ファン14の回転速度を大きくするのは、バーナ部2の火力が最大レベルである場合に限られる。したがって、炎が対流ファン14による送風の影響をより受けにくくなり、燃焼状態にも影響をより与えない。また、バーナ部2の火力が最大レベルなので、温風の風量が増しても寒く感じることがない。
【0059】
また、本実施形態では、省エネ運転でのバーナ部2の所定レベル以上の火力に対応する対流ファン14の回転速度は、通常運転での火力の最大レベル「5」に対応する対流ファン14の回転速度と等しい。
【0060】
このような構成では、通常運転における火力の最大レベル「5」に対応する対流ファン14の回転速度は、一般に、暖房装置100の対流ファン14で使用される最大回転速度とされる。したがって、対流ファン14の回転速度を通常使用される範囲内で十分に大きくして温風を強く吹き出すことができる。
【0061】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0062】
例えば、前記した実施形態では、省エネ運転でのバーナ部2の最大レベル「4」の火力に対応する対流ファン14の回転速度が大きくされる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、省エネ運転でのバーナ部2の最大レベル「4」およびレベル「3」の各火力に対応する対流ファン14の回転速度がそれぞれ大きくされてもよい。
【0063】
また、前記した実施形態では、省エネ運転で大きくされる対流ファン14の回転速度は、通常運転での火力の最大レベル「5」に対応する対流ファン14の回転速度「5」と等しくされる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、省エネ運転で大きくされる対流ファン14の回転速度は、「4」と「5」の中間のレベル、あるいは「5」よりも大きくもよい。
【0064】
また、前記した実施形態では、火力のレベルは「1」から「5」の5段階である場合を説明したが、5段階は例示であって、適宜変更して設定され得る。
【0065】
また、前記した実施形態では、暖房装置100は燃焼ファン10を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃焼ファン10を備えていない暖房装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 本体
2 バーナ部
14 対流ファン
17 操作部
17a 温度設定部
18 室温検知手段
20 制御部
100 暖房装置
T 室温
設定温度
第1制御温度
第2制御温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7