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  • 特許-ハンドガイドローラ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ハンドガイドローラ
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20220120BHJP
   F16D 23/12 20060101ALI20220120BHJP
   F16D 23/14 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
E01C19/26
F16D23/12 B
F16D23/14 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018163104
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033810
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000182384
【氏名又は名称】酒井重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】古跡 哲也
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-294139(JP,A)
【文献】特開平09-329207(JP,A)
【文献】実開昭49-120951(JP,U)
【文献】実公昭29-008817(JP,Y1)
【文献】実公昭30-011716(JP,Y1)
【文献】実開昭55-052577(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/26
F16D 23/12
F16D 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油によりロールを回転させる走行油圧モータと、を含む油圧の閉回路を備えたハンドガイドローラであって、
前記エンジンと前記油圧ポンプとの間に、動力伝達を手動で断続する手動クラッチ及び駆動プーリと従動プーリとベルトとを有するベルト伝達機構が設けられ、
前記手動クラッチは、
クラッチレバーと、
前記エンジンと一体に回転し、前記駆動プーリを回転自在に支承するシャフトと、
前記クラッチレバーに連動して回転変位する第1ブラケットと、
前記第1ブラケットに回転自在に連結し、前記シャフトの軸方向に平行移動可能な第2ブラケットと、
前記第2ブラケットに軸受を介して支承されるとともに、前記シャフトに一体に回転しかつ軸方向に移動自在に軸着し、前記駆動プーリの側面に接続して前記駆動プーリを連れ回り可能なホルダーと、
を備えることを特徴とするハンドガイドローラ。
【請求項2】
前記第2ブラケットを前記駆動プーリに向けて付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項3】
エンジンにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油によりロールを回転させる走行油圧モータと、を含む油圧の閉回路を備えたハンドガイドローラであって、
前記エンジンと前記油圧ポンプとの間に、動力伝達を手動で断続する手動クラッチを備え、
前後進レバーが中立位置以外の状態で前記手動クラッチが遮断したときに警報を出す警報手段を備えることを特徴とするハンドガイドローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドガイドローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハンドガイドローラとして、エンジンのPTO(Power Take Off:駆動取出装置 以下、単にエンジンという)と油圧ポンプとを、直結してまたはVベルトを介して動力伝達するものが知られている。この構造ではセルモータによるエンジン始動時に油圧ポンプが連れ回りする。そのため、冷間時等に油圧ポンプ内の作動油が硬い場合にはエンジンの回転の抵抗負荷となり、エンジンの始動に必要な初爆回転数に達することができずエンジンの始動性が悪くなりやすい。
【0003】
これに対し、エンジン始動時の抵抗負荷を低減させるものとして、エンジンと油圧ポンプとの間に、エンジン回転数が所定回転数に達したときに接続する遠心クラッチを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-294139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】

坂道など斜面で締固め作業をしているときに燃料切れやエンジンストール等何らかの理由によりエンジンが停止した場合、仮にエンジンと油圧ポンプとが接続していれば、機体が斜面を降下して油圧ポンプが回されようとしても、エンジンが抵抗負荷として作用するので油圧ポンプは回らず、機体は降下しづらくなる。しかしながら、遠心クラッチを設けた構造の場合には、エンジンが停止したときにはエンジンと油圧ポンプとが遮断されるので、エンジンの抵抗負荷がかからず、油圧ポンプが回って圧油が走行油圧モータに供給され、機体が斜面を降下するおそれがある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、冷間時等におけるエンジンの始動性が向上し、斜面での作業時等にエンジンが不意に停止した場合には機体の急な降下を抑制できるハンドガイドローラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、エンジンにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油によりロールを回転させる走行油圧モータと、を含む油圧の閉回路を備えたハンドガイドローラであって、前記エンジンと前記油圧ポンプとの間に、動力伝達を手動で断続する手動クラッチ及び駆動プーリと従動プーリとベルトとを有するベルト伝達機構が設けられ、前記手動クラッチは、クラッチレバーと、前記エンジンと一体に回転し、前記駆動プーリを回転自在に支承するシャフトと、前記クラッチレバーに連動して回転変位する第1ブラケットと、前記第1ブラケットに回転自在に連結し、前記シャフトの軸方向に平行移動可能な第2ブラケットと、前記第2ブラケットに軸受を介して支承されるとともに、前記シャフトに一体に回転しかつ軸方向に移動自在に軸着し、前記駆動プーリの側面に接続して前記駆動プーリを連れ回り可能なホルダーと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、冷間時にエンジンを始動させるとき、手動クラッチを遮断状態にすれば、油圧ポンプ内の硬くなった作動油の負荷がエンジンに伝達されることがなく、エンジンの始動性が向上する。また、冷間時、高い回転数でのエンジンの暖気運転が可能となるので、エンジンが安定してから油圧ポンプを起動させることができる。
そして、エンジンの始動後は手動クラッチを常に接続状態としておくことにより、坂道など斜面でエンジンが不意に停止し、前後進レバーが前進位置または後進位置にあったとしても、エンジンの負荷が油圧ポンプに加わっているので、油圧ポンプの回転が抑制される。これにより、ハンドガイドローラの坂道等での急な降下を防ぐことができる。
また、コンパクトで組み付け性に優れた手動クラッチとなる。
【0011】
また、本発明は、前記第2ブラケットを前記駆動プーリに向けて付勢する付勢部材を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ホルダーと駆動プーリとの連れ回り性をより良好にできる。
【0013】
また、本発明は、エンジンにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油によりロールを回転させる走行油圧モータと、を含む油圧の閉回路を備えたハンドガイドローラであって、前記エンジンと前記油圧ポンプとの間に、動力伝達を手動で断続する手動クラッチを備え、前後進レバーが中立位置以外の状態で前記手動クラッチが遮断したときに警報を出す警報手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、坂道でエンジンを再始動させようとしたとき、前後進レバーが中立位置以外の状態で手動クラッチを遮断することによりハンドガイドローラが降下するという事態を警報手段により防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハンドガイドローラによれば、冷間時等におけるエンジンの始動性が向上し、斜面での作業時等にエンジンが不意に停止した場合には機体の降下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るハンドガイドローラの側面図である。
図2】本発明に係るハンドガイドローラの平面図である。
図3】前後方向視の手動クラッチの説明図である。
図4】左右方向視の手動クラッチの説明図である。
図5】走行系の油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、ハンドガイドローラHは機体1に、走行駆動源となるエンジンE(図2参照)及びこのエンジンEにより駆動される油圧ポンプP(図5参照)を搭載している。油圧ポンプPは例えば斜板式可変容量形ピストンポンプ等である。機体1の下部には前後一対のロール(前ロール2,後ロール3)を備えており、それぞれに油圧ポンプPからの圧油の供給を受けて作動する走行油圧モータM1,M2(図5参照)が内装されている。機体1の後部には連結用ブラケット4を介して図示しない操作桿が車幅方向の軸回りに回転自在に取り付けられている。操縦桿は、締固め施工等の使用時には後ろ斜め上方に延設した状態で使用され、格納時には略鉛直状に起立した状態で格納される。操作桿の先端部には作業者が把持するハンドル及び操作パネル部(共に図示せず)が設けられている。操作パネル部には前側に倒すと「前進位置」、後側に倒すと「後進位置」、中間の起立位置で「中立位置」となる前後進レバー(図示せず)が取り付けられている。
【0018】
図5において、ハンドガイドローラHの走行系に関する油圧回路は、油圧ポンプPと走行油圧モータM1,M2とによって油圧の閉回路5を構成している。油圧ポンプPの一方の圧油ポートPaと走行油圧モータM1の圧油ポートM1aとが管路T1により接続し、油圧ポンプPの他方の圧油ポートPbと走行油圧モータM2の圧油ポートM2aとが管路T2により接続し、走行油圧モータM1の圧油ポートM1bと走行油圧モータM2の圧油ポートM2bとが管路T3により接続している。閉回路5は、圧油の流れが生じていないときにはいわゆるHSTブレーキを発生させる。
【0019】
油圧ポンプPは、図示しない前後進レバーを「中立位置」から「前進位置」又は「後進位置」に傾動操作することで、油圧ポンプP内の斜板(図示せず)の角度が切り換わり、閉回路5において圧油の量および流れを正逆方向に切り換える。この圧油の正逆方向の流れに伴って走行油圧モータM1,M2が正逆回転することでハンドガイドローラHは前進或いは後進する。前後進レバーを「中立位置」にすると、前記斜板が中立の位置となってポンプ作用が停止し、油圧ポンプP内の油路を積極的に遮断することでハンドガイドローラHが走行停止となる。
【0020】
なお、管路T1,T2間には、チェックバルブ6,7、高圧リリーフバルブ8,9が介設されている。符号Pcは油圧ポンプPの回転とともに回転し、閉回路5に圧油を補給するチャージポンプを示し、油圧ポンプPと一体的に設けられている。その吸入ポートはフィルタ10を介設した管路T4により油タンク11に接続し、吐出ポートは管路T5に接続している。管路T5はリリーフバルブ12を介して油タンク11に接続するとともに、前記チェックバルブ6,7間に接続している。これによりチャージポンプPcは、チェックバルブ6又は7を経て低圧となった管路T1,T2のいずれかに圧油の不足流量を補給する。
【0021】
また、ハンドガイドローラが振動装置を備えたタイプである場合、例えば、エンジンEと一体回転するシャフト32(図3)に軸着した駆動プーリ13と、従動プーリ14と、ベルト15とを備えたベルト伝達機構により起振軸16が回転し機体1が振動して地面を締め固める。起振軸16の回転のON・OFFは電磁ソレノイド21(図3)で切り換えられる。
【0022】
「手動クラッチ30」
エンジンEと油圧ポンプPとの間には、動力伝達を手動で断続する手動クラッチ30が設けられている。本実施形態のハンドガイドローラHは、図5に示すように、エンジンEと油圧ポンプPとの間に、両者間の動力伝達機構として、駆動プーリ17と従動プーリ18とベルト19とを有するベルト伝達機構20が設けられている。
【0023】
図1ないし図4、主に図3を参照して、手動クラッチ30の構造を説明する。手動クラッチ30は、クラッチレバー31と、シャフト32と、第1ブラケット33と、第2ブラケット34と、ホルダー35と、圧縮コイルばね36とを備えて構成されている。これらは、機体1のカバー1A(図1)の内部に設置されている。
【0024】
「シャフト32」
エンジンEの出力部(例えばフライホイール)には、出力軸41がボルト42で締結されている。出力軸41には、リング部材43を介して円筒状の連結軸44が一体に回転するように取り付けられている。シャフト32は、キー45により連結軸44に連結しており、これによりシャフト32は、軸O回りにエンジンEと一体に回転する。シャフト32は、機体1(図1)に取り付けられた支持ブラケット47に、軸受50を介して支承されている。シャフト32には、軸受46を介して駆動プーリ17が回転自在に支承されている。
【0025】
「クラッチレバー31」
クラッチレバー31は、一端側に把持グリップ31Aを備えている。クラッチレバー31の他端側はL字状に屈曲しており、その屈曲部にて、機体1(図1)に取り付けられた支持ブラケット47に、前後方向の軸O1回りに回転可能に軸支されている。クラッチレバー31の他端には、連結バー48の一端が前後方向の軸O2回りに回転可能に連結されている。
【0026】
「第1ブラケット33」
第1ブラケット33は、クラッチレバー31の回転操作に連動して回転変位する部材である。第1ブラケット33は、図4に示すように左右方向視して、前後方向に水平状に延びる天板部33Aと、天板部33Aの前端、後端からそれぞれ下方に延びる前板部33B、後板部33Cとを備えている。天板部33Aには、図3に示すように、支持板49を介して連結バー48の他端が前後方向の軸O3回りに回転可能に連結されている。図4において、前板部33Bおよび後板部33Cの下端周りは、支持ブラケット47に前後方向の軸O4回りに回転可能に連結されている。これにより、第1ブラケット33は、クラッチレバー31の回転操作により、軸O4を回転中心として変位する。
【0027】
「第2ブラケット34」
第2ブラケット34は、第1ブラケット33に回転自在に連結し、シャフト32の軸方向に平行移動可能に構成されている。第2ブラケット34は略リング状の部材であり、図4に示すように、第1ブラケット33の前板部33B、後板部33Cに前後方向の軸O5回りに回転可能に連結されている。軸O5は、例えば長孔とピンとで構成されている。
【0028】
「ホルダー35」
ホルダー35は、第2ブラケット34の内周に軸受51を介して支承されている。ホルダー35の内周面には溝スプラインが形成され、シャフト32の軸スプラインとスプライン係合している。これにより、ホルダー35は、シャフト32と一体に回転しかつ軸O方向に移動自在に軸着される。ホルダー35は、クラッチレバー31の回転操作により、駆動プーリ17の側面に接続して駆動プーリ17を連れ回り可能とする。本実施形態では、ホルダー35に圧着部材52を固着し、この圧着部材52を駆動プーリの側面に圧着させて駆動プーリ17を連れ回りさせている。その他、ホルダー35と駆動プーリ17とを凹凸係合等により係合させて連れ回りさせる構造にしてもよい。
【0029】
「圧縮コイルばね36」
圧縮コイルばね36は、第2ブラケット34を駆動プーリ17に向けて付勢する付勢部材である。圧縮コイルばね36は、支持ブラケット47と第2ブラケット34との間に、上下一対として設けられている。圧縮コイルばね36の付勢力により、ホルダー35の駆動プーリ17への圧着力が増す。
【0030】
「作用」
冷間時にエンジンEを始動させるときは、図3において、クラッチレバー31を仮想線で示す位置に回転操作する。連結バー48で右方向に引っ張られることにより、第1ブラケット33が軸O4(図4)を回転中心として、図3に仮想線で示すように駆動プーリ17から遠ざかる側に変位する。これにより、軸O5も駆動プーリ17から遠ざかる側に変位することとなり、第2ブラケット34と共にホルダー35が駆動プーリ17から離れる。これによりクラッチが遮断状態となり、駆動プーリ17は回転しない。したがって、油圧ポンプP内の硬くなった作動油の負荷を駆動プーリ17から受けることがなく、エンジンEの始動性が向上する。また、冷間時、高い回転数でのエンジンEの暖気運転が可能となるので、エンジンEが安定してから油圧ポンプPを起動させることができる。
【0031】
エンジンEの始動後は、図3において、クラッチレバー31を実線で示す位置に回転操作する。連結バー48で左方向に押されることにより、第1ブラケット33は軸O4(図4)を回転中心として、図3に実線で示すように駆動プーリ17に近づく側に変位する。これにより、軸O5も駆動プーリ17に近づく側に変位することとなり、ホルダー35が駆動プーリ17の側面に圧着される。これによりクラッチが接続状態となり、駆動プーリ17がシャフト32と一体に回転し、ベルト伝達機構20を通して油圧ポンプPが作動する。
【0032】
坂道など斜面で締固め作業をしているときに燃料切れやエンジンストール等でエンジンEが停止し、前後進レバーが前進位置または後進位置にある場合、ハンドガイドローラHは自重により斜面を落下し前ロール2、後ローラ3が回転しようとする。油圧ポンプP内の斜板は中立位置ではないため、閉回路5は圧油が流れる状態となっており、走行油圧モータM1、M2の回転がポンピング作用をなして油圧ポンプPを回転させようとする。従来の遠心クラッチの場合、エンジンEが停止すると、エンジンEと油圧ポンプPとの動力伝達が遮断されるので、エンジンEの負荷が加わらず、油圧ポンプPの回転が促進されてしまうおそれがあった。
【0033】
これに対し、本実施形態の手動クラッチ30によれば、エンジンEの始動後は常にエンジンEと油圧ポンプPとが接続した状態となっている。したがって、エンジンEが不意に停止してもエンジンEの負荷は油圧ポンプPに常に加わっており、油圧ポンプPの回転が抑制される。これにより、ハンドガイドローラHの坂道等での急な降下を防ぐことができる。
【0034】
また、坂道で燃料切れやエンジンストール等でエンジンEが停止し、オペレータがエンジンEを再始動させようとしたとき、前後進レバーが中立位置以外の状態、すなわち、前進位置または後進位置に入ったままの状態でもし手動クラッチ30を遮断した場合には、エンジンEの負荷がかからなくなるため、油圧ポンプPが作動してハンドガイドローラHが急に降下するおそれがある。このような坂道での施工途中でエンジンEを再始動させるときには作動油は既に暖まっているため、手動クラッチ30を接続したままでもエンジンEは容易に始動するのであるが、オペレータがうっかり手動クラッチ30を遮断することも考えられる。
【0035】
この問題に対し、前後進レバーが中立位置以外の状態のとき、つまり前進位置または後進位置にあるときに警報を出す警報手段を備えれば、オペレータに前後進レバーを中立位置に戻してからエンジン始動させることを注意喚起できる。警報手段としては、前後進レバーと手動クラッチ30に連動したリミットスイッチを有する電気回路を設け、警報ブザーや警告灯で知らせるようにすればよい。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。実施形態では、クラッチレバー31を機体1の内部に設置し、カバー1Aを開けて操作するようにしたが、例えばクラッチレバー31を操縦桿や操作パネル部に設けてケーブル等を介して作動させてもよい。また、クラッチレバー31の形状、その他のクラッチ機構の構造は、図面に記載したものに限定されず適宜に設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 機体
2 前ロール
3 後ロール
5 閉回路
17 駆動プーリ
18 従動プーリ
19 ベルト
20 ベルト伝達機構
30 手動クラッチ
31 クラッチレバー
32 シャフト
33 第1ブラケット
34 第2ブラケット
35 ホルダー
36 圧縮コイルばね(付勢手段)
E エンジン
P 油圧ポンプ
M1,M2 走行油圧モータ
図1
図2
図3
図4
図5