(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】未加硫ゴム用防着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/14 20060101AFI20220120BHJP
C08K 5/098 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
C08L101/14
C08K5/098
(21)【出願番号】P 2018533493
(86)(22)【出願日】2017-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2017028741
(87)【国際公開番号】W WO2018030395
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2016156833
(32)【優先日】2016-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390029458
【氏名又は名称】ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】森口 栄志
(72)【発明者】
【氏名】村上 舞
【審査官】久保 道弘
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 5/00-5/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(D)および水を含み、
水以外の成分の全質量に対し、
下記成分(A)を30質量%以上、
下記成分(B)を1~20質量%、
下記成分(C)を20~50質量%、
下記成分(D)を10~20質量%、
含有することを特徴とする未加硫ゴム用防着剤組成物。
(A)水溶性高分子
(B)水不溶性有機ポリマー粒子
(C)金属石鹸
(D)界面活性剤
【請求項2】
前記成分(B)および(C)の合計質量に対し、前記成分(B)を1~50質量%含有する請求項1記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
【請求項3】
前記成分(A)は、前記成分(A)の2質量%水溶液の25℃における粘度が3~300mPa・sとなる水溶性高分子である請求項1または2記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫ゴム用防着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムの生産加工の現場においては、ゴム(例えば、未加硫ゴム)の密着防止目的で、ゴムの表面に防着剤を付着させることが行われる。
【0003】
ゴム用防着剤としては、無機粉末を主成分とするゴム用防着剤が広く用いられている。これらは、一般に、水分散液の形態にしてからゴム表面に付着させて用いることができる(特許文献1~2)。ゴム用防着剤が良好な防着性を発揮するためには、ゴム表面への付着性(隠ぺい性)が高く、ゴム表面に均一に付着することが重要である。このため、ゴム用防着剤の付着性を高めるための種々の工夫がなされている。例えば、特許文献1および2では、ベントナイト等の無機粉末を、防着効果向上のために、活性剤またはラテックスと組み合わせて用いている。また、無機粉末に由来する粉塵を低減するために、水溶性高分子等を使用した防着剤も、種々提案されている。例えば、特許文献3および4では、水溶性高分子(アルギン酸ナトリウム、CMC、ポリアクリル酸ナトリウム、PVA等)、水溶性多糖類(キサンタンガム)等を配合して防着剤水分散液の粘度を上昇させ、ゴム表面への防着剤の付着性を向上させている。また、特許文献5では、防着性と滑性とを同時に満足する液状防着剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭50-149770号公報
【文献】特開2013-001720号公報
【文献】特開昭62-032127号公報
【文献】特開2009-161667号公報
【文献】特開2001-348495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
未加硫ゴムに防着剤を塗布する際、および塗布処理後において、防着剤由来の粉塵が作業環境を悪化させるおそれがある。特に無機粉末由来の粉塵により、作業環境だけでなく工場の汚染にもつながるおそれがある。
【0006】
一方、無機粉末を含まない防着剤では、防着剤に必要な滑性が不足しやすい。特許文献5では、前記のとおり、防着性と滑性とを同時に満足する液状防着剤が提案されているが、さらに滑性が高い防着剤が必要である。
【0007】
また、未加硫ゴムに対する防着剤の付着量が大量に必要であると、これも、作業環境の汚染、工場の汚染等につながるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、防着剤由来の粉塵の発生を低減可能で、少ない付着量でも高い防着性を発揮でき、かつ、滑性が高い未加硫ゴム用防着剤組成物を提供することを目的とする。ここで本発明における滑性とは、未加硫ゴム用防着剤組成物を塗布した未加硫ゴムが他のゴムや金属等と接触した場合に、その接触面に生じる摩擦抵抗を下げる性質、と定義される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、
下記成分(A)~(D)および水を含み、
水以外の成分の全質量に対し、
下記成分(A)を30質量%以上、
下記成分(B)を1~20質量%、
下記成分(C)を20~50質量%、
下記成分(D)を10~20質量%、
含有することを特徴とする。
(A)水溶性高分子
(B)水不溶性有機ポリマー粒子
(C)金属石鹸
(D)界面活性剤
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防着剤由来の粉塵の発生を低減可能で、少ない付着量でも高い防着性を発揮でき、かつ、滑性が高い未加硫ゴム用防着剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0012】
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、例えば、前記成分(B)および(C)の合計質量に対し、前記成分(B)を1~50質量%含有してもよい。
【0013】
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において、例えば、前記成分(A)は、前記成分(A)の2質量%水溶液の25℃における粘度が3~300mPa・sとなる水溶性高分子であってもよい。
【0014】
以下、本発明の具体例について、さらに詳細に説明する。
【0015】
[1.未加硫ゴム用防着剤組成物]
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、前述のとおり、
下記成分(A)~(D)および水を含み、
水以外の成分の全質量に対し、
下記成分(A)を30質量%以上、
下記成分(B)を1~20質量%、
下記成分(C)を20~50質量%、
下記成分(D)を10~20質量%、
含有することを特徴とする。
(A)水溶性高分子
(B)水不溶性有機ポリマー粒子
(C)金属石鹸
(D)界面活性剤
【0016】
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、前記成分(A)~(D)を前記含有率で含むことにより、粉塵の由来となる無機粉末を低減または未含有としても、滑性が高く、かつ、少ない付着量で高い防着性を発揮できるので、粉塵を低減可能である。成分(A)水溶性高分子、(C)金属石鹸および(D)界面活性剤を前記含有率で含むことにより、例えば、無機粉末を含まなくても、少ない付着量で高い防着性を発揮でき、成分(B)水不溶性有機ポリマー粒子および(C)金属石鹸を前記含有率で含むことにより、例えば、無機粉末を含まなくても、高い滑性を発揮できる。
【0017】
なお、防着性および滑性の測定方法は特に限定されないが、例えば、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。また、本発明において、未加硫ゴム用防着剤組成物の「付着量」は、未加硫ゴム用防着剤組成物における水以外の全成分の、未加硫ゴム表面に対する付着量をいう。
【0018】
以下、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物の各成分について説明する。
【0019】
(1)成分(A):水溶性高分子
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において、成分(A)すなわち水溶性高分子(以下「水溶性高分子(A)」という場合がある。)とは、水中に入れる、もしくは水中に入れた後に加熱をすることで、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物中で溶解することが可能な高分子化合物である。これにより、例えば、未加硫ゴムへの被覆効果が得られ、防着効果が得られる。水溶性高分子(A)の含有率は、前記のとおり、水以外の成分の全質量に対し、下限が30質量%以上であり、例えば、40質量%以上または50質量%以上でもよく、上限は、特に制限されず、例えば、60質量%以下、40質量%以下または35質量%以下であってもよい。水溶性高分子(A)の含有率が30質量%以上であることにより、例えば、未加硫ゴムへの被覆効果が得られる。また、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、水溶性高分子(A)の含有率が40質量%以下であることにより、例えば、乾燥性に優れるため、速く乾燥させることができる。
【0020】
水溶性高分子(A)は、前記のとおり、水溶性高分子(A)の2質量%水溶液の25℃における粘度が3~300mPa・sとなる水溶性高分子であってもよい。前記2質量%水溶液の25℃における粘度が3mPa・s以上となる水溶性高分子であることにより、例えば、未加硫ゴムへの付着量向上という効果が得られる。前記2質量%水溶液の粘度が300mPa・s以下となる水溶性高分子であることにより、例えば、乾燥性に優れるという効果が得られる。前記2質量%水溶液の粘度は、例えば、10mPa・s以上または100mPa・s以上であってもよいし、200mPa・s以下または100mPa・s以下であってもよい。
【0021】
水溶性高分子(A)としては、特に限定されないが、例えば、25℃の水100gに対する溶解度の下限が1g以上、10g以上、または50g以上の高分子であってもよい。また、本発明において、「高分子」は、特に限定されないが、質量平均分子量の下限が、例えば、1000以上、5000以上、または1万以上であってもよく、質量平均分子量の上限は特に限定されないが、例えば、50万以下であってもよい。
【0022】
水溶性高分子(A)の種類は特に限定されず、また、1種類のみ用いても複数種類併用してもよい。水溶性高分子(A)は、例えば、合成水溶性高分子でもよいし、天然水溶性高分子でもよい。「合成水溶性高分子」は、例えば、天然に存在しない化学構造の高分子を人工的に合成したものでも、天然に存在する化学構造の高分子を人工的に合成したものでもよい。また、「天然水溶性高分子」は、例えば、天然に存在する化学構造の高分子を天然から抽出、生成等したものでもよい。合成水溶性高分子としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、水溶性ウレタン樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ブタジエン樹脂、水溶性フェノール樹脂等が挙げられる。天然水溶性高分子としては、特に限定されないが、例えば、タンパク質、キサンタンガム、グアーガム、ウェランガム、ローカストビーンガム、ダイユータンガム、タマリンドガム、タマリンドシードガム、トラガントガム、アラビアガム、カラギーナン、ラムザンガム、サクシノグリカン、タラガム、ジェランガム、カラヤガム、ペクチン、アルギン酸誘導体、セルロースエーテル類等が挙げられる。
【0023】
(2)成分(B):水不溶性有機ポリマー粒子
成分(B)すなわち水不溶性有機ポリマー粒子(以下「水不溶性有機ポリマー粒子(B)」ということがある。)とは、成分(A)の水溶性高分子と異なり、水中に入れる、もしくは水中に入れた後に加熱をしても、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物中において溶解しない有機高分子化合物である。成分(B)は、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物中において溶解しないため、所望の粒子形状を保つことが特徴であり、ゴム表面に凹凸を形成し保持することで、例えば、高い滑性が得られる。不溶性有機ポリマー粒子(B)の含有率は、前記のとおり、水以外の成分の全質量に対し、1~20質量%以上であり、下限は、例えば、2質量%以上または3質量%以上でもよく、上限は、例えば、15質量%以下または10質量%以下であってもよい。水不溶性有機ポリマー粒子(B)の含有率が1質量%以上であることにより、例えば、高い滑性が得られる。また、水不溶性有機ポリマー粒子(B)の含有率が20質量%以下であることにより、例えば、乾燥後の未加硫ゴム用防着剤組成物において、防着剤由来の粉塵の飛散量が少なく、粉塵を低減できる。
【0024】
また、前記成分(A)および(B)の合計質量に対する前記成分(B)の含有率は、例えば、1~50質量%であってもよく、また、例えば、1~45質量%または2~40質量%であってもよい。前記成分(A)および(B)の合計質量に対する前記成分(B)の含有率が1質量%以上であることにより、例えば、高い滑性が得られる。また、前記成分(A)および(B)の合計質量に対する前記成分(B)の含有率が質量50%以下であることにより、例えば、防着剤由来の粉塵発生の抑制という効果が得られる。
【0025】
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物では、例えば、特許文献4(特開2009-161667号公報)、特許文献5(特開2001-348495号公報)等の先行技術に対し、水不溶性有機ポリマー粒子(B)の含有率は低くても、高い防着性および高い滑性を発揮できる。そして、水不溶性有機ポリマー粒子(B)の含有率が低くてもよいことにより、粉塵も低減可能である。
【0026】
また、前記成分(B)および(C)の合計質量に対する前記成分(B)の含有率は、例えば、前述のとおり、1~50質量%であってもよく、また、例えば、3~40質量%、5~20質量%または5~10質量%であってもよい。前記成分(B)および(C)の合計質量に対する前記成分(B)の含有率が1質量%以上であることにより、例えば、高い滑性が得られる。また、前記成分(B)および(C)の合計質量に対する前記成分(B)の含有率が50質量%以下であることにより、例えば、防着剤由来の粉塵発生の抑制という効果が得られる。
【0027】
本発明において、「高分子」の質量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、前述のとおりである。
【0028】
水不溶性有機ポリマー粒子(B)の種類は特に限定されず、また、1種類のみ用いても複数種類併用してもよい。水不溶性有機ポリマー粒子(B)は、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリカーボネート、等であってもよい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、等が挙げられる。ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸ラウリル、ポリメタクリル酸2-エチルヘキシル、ポリメタクリル酸ステアリル、等が挙げられる。ポリカーボネートは、カーボネート基 -O-(C=O)-O- を有する炭酸エステルのポリマーである。また、水不溶性有機ポリマー粒子(B)を構成する前記ポリマーは、それぞれ、架橋ポリマーであってもよい。
【0029】
また、水不溶性有機ポリマー粒子(B)の体積平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1~40μm、5~30μm、または5~20μmである。前記体積平均粒子径が1μm以上であることにより、例えば、高い滑性が得られる。また、前記体積平均粒子径が40μm以下であることにより、例えば、ゴム表面への不溶性有機ポリマーの残存率が高まるという効果が得られる。
【0030】
(3)成分(C):金属石鹸
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において、成分(C)すなわち金属石鹸(以下「金属石鹸(C)」という場合がある。)の含有率は、前記のとおり、水以外の成分の全質量に対し、20~50質量%であり、下限は、例えば、25質量%以上または30質量%以上でもよく、上限は、例えば、45質量%以下または40質量%以下であってもよい。金属石鹸(C)の含有率が20質量%以上であることにより、例えば、高い滑性および高い防着性が得られる。また、金属石鹸(C)の含有率が50質量%以下であることにより、例えば、粉塵の抑制という効果が得られる。
【0031】
金属石鹸(C)の種類は特に限定されず、また、1種類のみ用いても複数種類併用してもよい。金属石鹸(C)は、例えば、高級脂肪酸またはその誘導体の金属塩のうち、ナトリウム塩およびカリウム塩以外の塩であり、例えば、前記金属塩のうちアルカリ金属塩以外の塩である。高級脂肪酸とは、例えば、炭素数12以上の脂肪酸であり、炭素数の上限値は、特に限定されないが、例えば20以下である。高級脂肪酸の誘導体とは、例えば、1または複数の置換基で置換された高級脂肪酸でもよい。金属石鹸(C)の具体例としては、例えば、カプリル酸カルシウム、カプリル酸亜鉛、カプリル酸マグネシウム、カプリン酸カルシウム、カプリン酸亜鉛、カプリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、トリオクタデカン酸アルミニウム、ジオクタデカン酸アルミニウム、モノオクタデカン酸アルミニウム、オクタデカン酸カルシウム、オクタデカン酸亜鉛、オクタデカン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、14-オクタデカン酸カルシウム、14-オクタデカン酸亜鉛、14-オクタデカン酸マグネシウム、8-オクタデカン酸カルシウム、8-オクタデカン酸亜鉛、8-オクタデカン酸マグネシウム、6-オクタデカン酸カルシウム、6-オクタデカン酸亜鉛、6-オクタデカン酸マグネシウム、ヤシ脂肪酸カルシウム、ヤシ脂肪酸亜鉛、ヤシ脂肪酸マグネシウム、パーム油脂肪酸カルシウム、パーム油脂肪酸亜鉛、パーム油脂肪酸マグネシウム、パーム核油脂肪酸カルシウム、パーム核油脂肪酸亜鉛、パーム核油脂肪酸マグネシウム、牛脂脂肪酸カルシウム、牛脂脂肪酸亜鉛、牛脂脂肪酸マグネシウム、ひまし油脂肪酸カルシウム、ひまし油脂肪酸亜鉛、ひまし油脂肪酸マグネシウム等が挙げられる。
【0032】
(4)成分(D):界面活性剤
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において、成分(D)すなわち界面活性剤(以下「界面活性剤(D)」という場合がある。)の含有率は、前記のとおり、水以外の成分の全質量に対し、10~20質量%であり、例えば、13質量%以上または15質量%以上でもよく、例えば、18質量%以下または16質量%以下であってもよい。界面活性剤(D)の含有率が10質量%以上であることにより、例えば、高い防着性および未加硫ゴムへの高い濡れ性が得られる。また、界面活性剤(D)の含有率が20質量%以下であることにより、例えば、乾燥性に優れるという効果が得られる。なお、未加硫ゴムへの付着性の測定方法は、特に限定されないが、例えば、後述の実施例に記載の測定方法により測定できる。
【0033】
界面活性剤(D)は、例えば、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物に水への分散性を付与するとともに、濡れ性を向上させることで未加硫ゴムへの付着性を向上させる。界面活性剤(D)は、特に限定されず、1種類のみ用いても複数種類併用してもよく、例えば、アニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤の少なくとも一方でもよい。前記アニオン界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、下記(i)~(iv)等が挙げられる。また、前記ノニオン界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、下記(v)等が挙げられる。
(i)高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(またはアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤
(ii)高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノ硫酸エステル塩等の硫酸エステル型アニオン界面活性剤
(iii)アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のスルホン酸型アニオン界面活性剤
(iv)アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤
(v)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型のノニオン界面活性剤
【0034】
アニオン界面活性剤の対イオンは、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミンが好ましい。これらは、1種類のみ用いても複数種類併用してもよい。
【0035】
アニオン界面活性剤としては、未加硫ゴムの表面との濡れ性により優れる防着剤組成物が得られることから、ジアルキルスルホコハク酸塩が好ましく、ジオクチルスルホサクシネートNa塩がより好ましい。
【0036】
ノニオン界面活性剤は、特に限定されないが、本発明では、例えば、下記式(1)で表されるノニオン界面活性剤を用いることができる。下記式(1)のノニオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤とともに、防着剤組成物の未加硫ゴムの表面に対する表面張力を低下させることに加えて、防着剤組成物の未加硫ゴムの表面への付着性を効果的に高める作用を奏するものと推測される。ただし、この推測は、本発明をなんら限定しない。
RO-(AO)n-H (1)
【0037】
前記式(1)中、Rは、炭素数が8~18の脂肪族炭化水素基を示す。該脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、飽和、不飽和のいずれであってもよい。Rの炭素数は、成分(A)の分散性に優れる点から、好ましくは12~16であり、12~13がさらに好ましい。
AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基を示し、nはAOの平均付加モル数である。
nは、例えば、1~30または1~25である。具体的には、界面活性能が低下し、成分(A)の分散性が低下することを防止する観点からは、nは、1以上である(すなわち、0ではない)。また、親水性が高くなりすぎることによる付着性低下を防止する観点からは、nは、30以下、または25以下である。nが、1~30の範囲または1~25の範囲であれば、成分(A)の分散性がさらに向上し、かつ、未加硫ゴム表面の疎水性が高い場合にも、未加硫ゴム用防着剤組成物の乾燥被覆に充分な粘弾性を与えることで付着性を向上させるものと推測される。ただし、この推測は、本発明をなんら限定しない。
【0038】
炭素数2~4のオキシアルキレン基とは、例えば、炭素数2~4のアルキレンオキサイドが付加してなる(付加重合により形成される)重合単位である。炭素数2~4のオキシアルキレン基としては、具体的には、エチレンオキサイドが付加してなるオキシエチレン基(EO)、プロピレンオキサイドが付加してなるオキシプロピレン基(PO)、および、ブチレンオキサイドが付加してなるオキシブチレン基(BO)がある。(AO)nは、その構造中に、少なくともオキシエチレン基を含む。(AO)nが、オキシエチレン基(EO)と、オキシプロピレン基(PO)と、オキシブチレン基(BO)とのうち複数種類を含む場合は、これらの基はブロック状に配列していても、ランダムに配列していてもよい。好ましい(AO)nは、親水性、疎水性のバランスに優れる点から、オキシエチレン基(EO)のみからなる。
【0039】
ノニオン界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ラウリルエーテルEO、セチルエーテルEO、ステアリルエーテルEO、オレイルエーテルEO、デシルエーテルEO、イソデシルエーテルEO、トリデシルエーテルEO、セカンダリーアルコールエーテルEO、合成アルコールエーテルEOPO、ラウリルエーテルEOPO、デシルエーテルEOPO、イソデシルエーテルEOPO、トリデシルエーテルEOPO、ステアリルエーテルEOPO等が挙げられる。
【0040】
(5)水
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において、水の含有率は、特に限定されないが、未加硫ゴム用防着剤組成物の全質量に対し、例えば、50質量%以上、60質量%以上または70質量%以上でもよく、例えば、90質量%以下、85質量%以下または80質量%以下であってもよい。
【0041】
水は、例えば、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物に流動性を付与し、取扱い易くする働きをする。また、水は特に限定されないが、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水等であってもよい。
【0042】
(6)任意成分
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、成分(A)~(D)および水以外の任意成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。例えば、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物には、必要に応じて、消泡剤、濡れ性補助剤、粘性補助剤、異物低減補助剤などの添加剤が任意成分として含まれていてもよい。
【0043】
消泡剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、コハク酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコールジ-t-アミルフェノキシエタノール、3-ヘプタノール、2-エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;ジ-t-アミルフェノキシエタノール3-ヘプチルセロソルブノニルセロソルブ3-ヘプチルカルビトールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルオスフェート、トリス(ブトキシエチル)フォスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;鉱物油;シリコーン油;などが挙げられる。前記消泡剤は、1種類のみ用いてもよいし、複数種類併用してもよい。
【0044】
濡れ性補助剤としては、特に限定されないが、例えば、アルコール類が挙げられ、より具体的には、例えば、メタノール、エタノール、ヘキサノール、グリセリン、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、スクロース、エリスリトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、多価アルコールのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの付加物等が挙げられる。前記濡れ性補助剤は、1種類のみ用いてもよいし、複数種類併用してもよい。
【0045】
[2.未加硫ゴム用防着剤組成物の製造方法]
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、未加硫ゴム用防着剤の全ての成分(成分(A)~(D)および水と、必要に応じて配合される任意成分と)を混合することにより製造できる。混合に用いる装置としては、特に限定されないが、例えば、撹拌羽根を容器内に備えた構成の装置などを使用できる。具体的には、例えば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動撹拌または撹拌を行える粉体混合機を挙げることができる。
【0046】
[3.未加硫ゴム用防着剤組成物の使用方法]
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物の使用方法は、特に限定されず、例えば、一般的な未加硫ゴム用防着剤組成物の使用方法と同様またはそれに準じてもよい。本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物の使用方法は、具体的には、例えば以下のとおりであるが、これには限定されない。
【0047】
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物を用いた未加硫ゴムの防着処理方法は、例えば、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物を未加硫ゴム表面に付着させて防着処理する防着処理工程を有する。未加硫ゴム表面への付着は、例えば、後述のウェット法などにより行うことができる。このようにして防着処理された防着処理済み未加硫ゴムは、例えば、積み重ねたり、折り畳んだりして貯蔵されても、未加硫ゴム同士が密着してしまうことがない。また、このような未加硫ゴムの防着処理方法は、例えば、防着処理済み未加硫ゴムの製造方法であるということもできる。
【0048】
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、そのまま使用してもよいが、さらに水で希釈して、水希釈液(水分散液)の状態で使用してもよい。本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において、未加硫ゴム表面に付着させる際の濃度は特に限定されないが、未加硫ゴム用防着剤組成物の全質量に対し、水以外の成分の全質量が、例えば0.5質量%以上、1質量%以上、または2質量%以上であってもよく、例えば15質量%以下、10質量%以下、または5質量%以下であってもよい。前記濃度が高すぎなければ、例えば、低飛散性かつ乾燥が速いという効果が得られる。前記濃度が低すぎなければ、例えば、高防着性かつ高滑性という効果が得られる。本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、例えば、未加硫ゴム表面に付着させる際の濃度が低くても高い防着性を発揮できるため、少ない付着量で高い防着性を発揮できる。また、未加硫ゴム表面に付着させる際の粘度も特に限定されないが、例えば1mPa・s以上、5mPa・s以上、または10mPa・s以上であってもよく、例えば30mPa・s以下、20mPa・s以下、または15mPa・s以下であってもよい。前記粘度が高すぎなければ、例えば、低飛散性かつ乾燥が速いという効果が得られる。前記粘度が低すぎなければ、例えば、高防着性かつ高滑性という効果が得られる。
【0049】
前記防着処理工程は、例えば、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物を前記未加硫ゴムの表面に付着させ、さらに水を揮発させることにより、前記未加硫ゴムの表面に前記本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物を付着させる工程であってもよい。より具体的には、前記防着処理工程は、前記本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物を未加硫ゴムの表面に付着させる未加硫ゴム用防着剤組成物付着工程と、前記未加硫ゴムの表面の前記未加硫ゴム用防着剤組成物を乾燥して、被膜を未加硫ゴムの表面に形成する乾燥工程とを有することが好ましい。このような防着処理工程を、例えば、ウェット法という。前記ウェット法は、特に限定されず、例えば、一般的な未加硫ゴム用防着剤組成物におけるウェット法と同様にして行うことも可能である。
【0050】
前記未加硫ゴム用防着剤組成物付着工程では、例えば、シート状などに成形された時の熱により高温状態(例えば80~150℃程度)である未加硫ゴムに対して、未加硫ゴム用防着剤組成物を付着させることが好ましい。
【0051】
前記未加硫ゴム用防着剤組成物付着工程の具体的方法としては、例えば、未加硫ゴム用防着剤組成物を未加硫ゴムにシャワー装置で散布する方法、未加硫ゴム用防着剤組成物の入った槽に未加硫ゴムを短時間浸漬するディップ法等が挙げられる。また、塗布装置を用いて未加硫ゴム用防着剤組成物を未加硫ゴムに塗布する方法などを採用してもよく、これらの方法を適宜併用してもよい。
【0052】
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物によれば、前述のとおり、粉塵を低減可能で、少ない付着量でも高い防着性を発揮でき、かつ、高い滑性を得ることができる。
【0053】
本発明の未加硫ゴム用防着剤が適用可能なゴム種には特に制限はなく、未加硫のゴムであればよい。前記ゴム種としては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴムや、これらのうちの複数種が混合されたゴムが挙げられる。
【実施例】
【0054】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0055】
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
【0056】
(A)水溶性高分子
A-1:ポリビニルアルコール(PVA)、日本酢ビ・ポバール(株)製、商品名「JF-17L」
A-2:ポリビニルアルコール(PVA)、日本酢ビ・ポバール(株)製、商品名「JP-24」
A-3:カルボキシメチルセルロース(CMC)、第一工業製薬(株)製、商品名「セロゲン6A」
A-4:カルボキシメチルセルロース(CMC)、第一工業製薬(株)製、商品名「セロゲンPR」
【0057】
(B)水不溶性有機ポリマー粒子
B-1:架橋ポリメタクリル酸メチル(平均粒子径5μm)、積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーMBX-5」
B-2:架橋ポリメタクリル酸メチル(平均粒子径12μm)、積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーMBX-12」
B-3:架橋ポリメタクリル酸メチル(平均粒子径20μm)、積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーMBX-20」
B-4:架橋ポリメタクリル酸メチル(平均粒子径30μm)、積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーMBX-30」
B-5:架橋ポリメタクリル酸ブチル(平均粒子径12μm)、積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーBM30X-12」
【0058】
(C)金属石鹸
C-1:ステアリン酸カルシウム、日油(株)製、商品名「カルシウムステアレート」
C-2:ステアリン酸亜鉛、日油(株)製、商品名「ジンクステアレート」
【0059】
(D)界面活性剤
D-1:ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、東邦化学工業(株)製、商品名「エアロールCT-1ET」
D-2:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデシルエーテル(平均EO付加モル数2モル、平均PO付加モル数1モル)、青木油脂工業(株)製、商品名「ファインサーフTDP-0201R」
D-3:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数2.2モル)、青木油脂工業(株)製、商品名「ファインサーフEL-1502.2」
【0060】
[水溶性高分子(A)の粘度測定]
2質量%になるように調整した水溶性高分子(A)水溶液を200mLサンプル瓶にとり、25℃に調整した後、B型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定した。測定は、ローターNo.1または2、回転数30rpm、30秒後の粘度を測定した。
【0061】
[1.未加硫ゴム用防着剤組成物の製造]
以下のようにして、実施例1~15および比較例1~6の未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0062】
〔実施例1〕
A-1(25℃での2質量%水溶液の粘度5mPa・s)を5質量%、B-1を1質量%、C-1を5質量%、D-1を0.5質量%、D-2を1.0質量%、D-3を1.0質量%、水を残り全て(86.5質量%)とし、これらの全成分を混合(配合)して未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。また、本実施例において、「平均粒子径」は、体積平均粒子径を表す。以下の各実施例および比較例においても同様である。
【0063】
〔実施例2〕
水不溶性有機ポリマー粒子(B)を、B-2に変更したこと以外は実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0064】
〔実施例3〕
水不溶性有機ポリマー粒子(B)を、B-3に変更したこと以外は実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0065】
〔実施例4〕
B-3の配合量を0.2質量%に、C-1の配合量を6質量%に変更したこと以外は実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0066】
〔実施例5〕
B-3の配合量を3質量%に変更したこと以外は実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0067】
〔実施例6〕
C-1の配合量を4.7質量%に変更したこと以外は実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0068】
〔実施例7〕
C-1の配合量を6.5質量%に変更したこと以外は実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0069】
〔実施例8〕
D-1の配合量を0.3質量%に、D-2の配合量を0.5質量%に、D-3の配合量を0.5質量%に変更したこと以外は実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0070】
〔実施例9〕
D-2の配合量を1.1質量%に、D-3の配合量を1.1質量%に変更したこと以外は実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0071】
〔実施例10〕
水不溶性有機ポリマー粒子(B)を、B-4に変更したこと以外は実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0072】
〔実施例11〕
水不溶性有機ポリマー粒子(B)を、B-5に変更したこと以外は実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0073】
〔実施例12〕
水溶性高分子(A)を、A-2(25℃での2質量%水溶液の粘度8mPa・s)に変更したこと以外は実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0074】
〔実施例13〕
水溶性高分子(A)を、A-3(25℃での2質量%水溶液の粘度8mPa・s)に変更したこと以外は実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0075】
〔実施例14〕
水溶性高分子(A)を、A-4(25℃での2質量%水溶液の粘度110mPa・s)に変更したこと以外は実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0076】
〔実施例15〕
金属石鹸(C)を、C-2に変更したこと以外は実施例14と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0077】
〔比較例1〕
水溶性高分子(A)を加えない代わりに同じ質量の水をさらに加えたこと以外は、実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0078】
〔比較例2〕
金属石鹸(C)を加えない代わりに同じ質量の水をさらに加えたこと以外は、実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0079】
〔比較例3〕
水不溶性有機ポリマー粒子(B)を加えない代わりに同じ質量の水をさらに加えたこと以外は、実施例1と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0080】
〔比較例4〕
界面活性剤(D)を加えない代わりに同じ質量の水をさらに加えたこと以外は、実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0081】
〔比較例5〕
B-3の配合量を0.1質量%に減らすとともに、減らした分と同じ質量の水をさらに加えたこと以外は、実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0082】
〔比較例6〕
B-3の配合量を10質量%に増やすとともに、増やした分と同じ質量だけ水の配合量を減らした以外は、実施例3と同様にして未加硫ゴム用防着剤組成物を製造した。
【0083】
[2.未加硫ゴムの防着処理および性能評価]
以下のとおり、実施例1~15および比較例1~6の未加硫ゴム用防着剤組成物を用いて未加硫ゴムの防着処理を行い、性能を評価した。
【0084】
〔未加硫ゴムシートの防着処理方法〕
未加硫ゴムシート(長さ15cm、幅6cm、厚み5mm)を100℃に加熱し、実施例1~15および比較例1~6のそれぞれの未加硫ゴム用防着剤組成物を水で20倍に希釈して得られた水分散液(45℃)に浸漬し、すぐに引き上げ、そのまま静置して乾燥させた。このようにして、前記未加硫ゴムシートの防着処理を行った。なお、この水分散液(水希釈液)における、水以外の成分の全質量は、水分散液の全質量の約0.62~0.75質量%であった。これは、一般的な未加硫ゴム用防着剤組成物の使用時と比較してきわめて低い値である。
【0085】
さらに、以下のようにして各未加硫ゴム用防着剤組成物の性能を評価した。
【0086】
〔濡れ性(付着性)〕
前記防着処理した未加硫ゴムシートにおいて、下部(下端から幅0.5cmまでの部分)以外の部分における濡れ面積(%)を目視により確認した。濡れ面積(%)が大きいほど濡れ性が良好であり、理想的には濡れ面積100%である。なお、前記未加硫ゴムシートの下部(下端から幅0.5cmまでの部分)は、液溜まりができるため、無視した。この濡れ性が高いほど、未加硫ゴム用防着剤の付着性が高いことの指標になる。なお、本実施例において、濡れ性の評価基準は、下記のとおりである。
濡れ性○:濡れ面積100%
濡れ性△:濡れ面積が50%を超え100%未満(例えば75%程度)
濡れ性×:濡れ面積50%以下
【0087】
〔乾燥性〕
前記未加硫ゴムシートの防着処理の際に、前記未加硫ゴムシートを引き上げてから、下部(下端から幅0.5cmまでの部分)以外の部分が乾燥するまでの時間を目視により測定した。なお、前記未加硫ゴムシートの下部(下端から幅0.5cmまでの部分)は、液溜まりができて乾燥しにくいため、無視した。乾燥時間が短いほど乾燥性が高い(良好である)。
【0088】
〔ゴムの防着性〕
前記のとおり防着処理し、乾燥した未加硫ゴムシート2枚を重ね合わせ、1.0×103kgw/m2(9.8×103Pa)の荷重をかけ60℃の恒温槽中で24時間圧着させた。その後、室温まで空冷し、30cm/min.の速度で引っ張り、剥離抗力(N/cm)を測定した。前記剥離抗力が小さいほど、防着性に優れることを示す。
【0089】
〔滑性〕
前記のとおり防着処理し、乾燥した未加硫ゴムシートを5×15cmの長方形に裁断した。このゴムをステンレス板上に置き、板を徐々に傾斜させ、滑り落下する時の傾斜角度を測定した。滑り出し角度が低いほど滑性に優れることを示す。
【0090】
〔飛散性〕
前記のとおり防着処理し、乾燥した未加硫ゴムシートを6×15cmの長方形に裁断し、質量を測定した。このゴムの表裏面をハケで10回掃きその後再び質量を測定し、掃き操作の前後の質量差により粉塵の飛散量を算出した。飛散量が少ないほど、飛散性に優れることを示す。
【0091】
下記表1~3に、実施例1~15および比較例1~6の未加硫ゴム用防着剤組成物の組成と、性能評価結果を示す。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
表1および2の実施例1~3および10~15の未加硫ゴム用防着剤組成物は、それぞれ、水以外の成分の全質量に対し、水溶性高分子(A)を約37質量%、水不溶性有機ポリマー粒子(B)を約7質量%、金属石鹸(C)を約37質量%、界面活性剤(D)を約19質量%含む。実施例4は、水以外の成分の全質量に対し、水溶性高分子(A)を約36質量%、水不溶性有機ポリマー粒子(B)を約1.5質量%、金属石鹸(C)を約44質量%、界面活性剤(D)を約18質量%含む。実施例5は、水以外の成分の全質量に対し、水溶性高分子(A)を約32質量%、水不溶性有機ポリマー粒子(B)を約19質量%、金属石鹸(C)を約32質量%、界面活性剤(D)を約16質量%含む。実施例6は、水以外の成分の全質量に対し、水溶性高分子(A)を約38質量%、水不溶性有機ポリマー粒子(B)を約8質量%、金属石鹸(C)を約36質量%、界面活性剤(D)を約19質量%含む。実施例7は、水以外の成分の全質量に対し、水溶性高分子(A)を約33質量%、水不溶性有機ポリマー粒子(B)を約7質量%、金属石鹸(C)を約43質量%、界面活性剤(D)を約17質量%含む。実施例8は、水以外の成分の全質量に対し、水溶性高分子(A)を約41質量%、水不溶性有機ポリマー粒子(B)を約8質量%、金属石鹸(C)を約41質量%、界面活性剤(D)を約11質量%含む。実施例9は、水以外の成分の全質量に対し、水溶性高分子(A)を約37質量%、水不溶性有機ポリマー粒子(B)を約7質量%、金属石鹸(C)を約37質量%、界面活性剤(D)を約20質量%含む。これら実施例1~15は、表1および2に示したとおり、防着性および滑性がいずれも優れていた。また、前述のとおり、実施例1~9の未加硫ゴム用防着剤組成物において、防着処理に用いた水分散液(水希釈液)の、水以外の成分の全質量は、水分散液の全質量の約0.62~0.75質量%で、一般的な未加硫ゴム用防着剤組成物の使用時と比較してきわめて低い値であった。すなわち、実施例1~15の未加硫ゴム用防着剤組成物は、少ない付着量でも高い防着性を発揮できたことが確認された。また、飛散性評価の結果、実施例1~15の未加硫ゴム用防着剤組成物は、粉塵の飛散量が0.2~0.3mg/100cm2と極めて低かったことから、粉塵を低減可能であることが確認された。さらに、実施例1~15の未加硫ゴム用防着剤組成物は、ゴムへの濡れ性(付着性)、および乾燥性も良好であった。なお、実施例1と、水溶性高分子(A)の粘度を変化させた実施例12~14との対比から分かるとおり、水溶性高分子(A)の粘度の変化は、濡れ性、乾燥性、防着性、滑性および飛散性の評価結果に、ほとんど影響しなかった。これら実施例は、水溶性高分子(A)の粘度を変化させても、いずれも、粉塵を低減可能で、少ない付着量でも高い防着性を発揮でき、かつ、滑性が高かった。
【0096】
一方、水溶性高分子(A)を加えなかった比較例1では、防着性および飛散性が実施例よりも劣っていた。金属石鹸(C)を加えなかった比較例2では、防着性および滑性が実施例よりも劣っていた。水不溶性有機ポリマー粒子(B)を加えなかった比較例3は、滑性が実施例よりも劣っていた。界面活性剤(D)を加えなかった比較例4は、飛散性が実施例よりも劣り(粉塵が多く)、また、ゴムへの濡れ性も劣っていた。また、比較例5は、水不溶性有機ポリマー粒子(B)の含有率が、水以外の成分の全質量に対し、約0.8質量%と少なく、その結果、滑性が実施例よりも劣っていた。比較例6は、水不溶性有機ポリマー粒子(B)の含有率が、水以外の成分の全質量に対し、約44質量%と多く、その結果、飛散性が実施例よりも劣っていた(粉塵が多かった)。