(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ローリング自動車の前輪
(51)【国際特許分類】
B62K 5/10 20130101AFI20220120BHJP
B62K 5/027 20130101ALI20220120BHJP
【FI】
B62K5/10
B62K5/027
(21)【出願番号】P 2018533620
(86)(22)【出願日】2016-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2016058048
(87)【国際公開番号】W WO2017115297
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-09-27
(31)【優先権主張番号】102015000088087
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515217546
【氏名又は名称】ピアッジオ エ チ.ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッファエッリ,アンドレア
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/046280(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0007109(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2889210(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1155950(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0194068(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2899107(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 1/00- 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪フレーム(16)と、
前車輪(10’、10’’)が同期して回転することを可能とする第1の運動機構(20)によって互いに且つ前輪フレーム(16)に接続された少なくとも一対の前車輪(10’、10’’)であって、各前車輪(10’、10’’)が、各々の車軸ジャーナル(60)によって前記第1の運動機構(20)に接続されており、前記車軸ジャーナル(60)が、回転軸(R’-R’、R’’-R’’)のまわりに前記前車輪(10’、10’’)を回転可能に支持するために各前車輪(10’、10’’)の回転ピン(68)に機械的に接続されている、少なくとも一対の前車輪(10’、10’’)と、
ロールブロックシステム(100)と、
前記第1の運動機構(20)に対する少なくとも1つのばね懸架運動を各々の前記車軸ジャーナル(60)に保証する懸架手段(90)と、を備える3つまたは4つの車輪を有するローリング自動車の前輪において、
前記ロールブロックシステム(100)が、ヒンジ手段(71;72、73)によって各々の前記車軸ジャーナル(60)において前記前車輪(10’、10’’)を互いに直接接続し且つ2つの前記車軸ジャーナル(60)の接合方向に平行な長さ方向に
伸長可能である第2の運動機構(110)を備え、
前記第2の運動機構(110)が、
前記第2の運動機構(110)が、互いに対して干渉することなく且つ前記フレーム(16)に対して干渉することのない2つの前記前車輪(10’、10’’)の運動に受動的に追従するように構成された、自由構成と、
前記第2の運動機構(110)が、地面に対して少なくとも1つの前記前車輪(10’、10’’)の横臥面によって形成される角度(α)の変化を阻止するように構成される阻止構成であって、前記横臥面が前記前車輪(10’、10’’)の前記回転軸(R’-R’、R’’-R’’)に直交している面である、阻止構成と、
の少なくとも2つの異なる構成をとることができ、
前記ロールブロックシステム(100)が、前記第2の運動機構(110)に作用して前記自由構成から前記阻止構成におよびその逆にするのに適した前記第2の運動機構(110)の構成の制御装置(120)を備える、ことを特徴とする3輪または4輪を有するローリング自動車の前輪。
【請求項2】
前記第2の運動機構(110)が、前記ヒンジ手段(71;72、73)によってその2つの端部において各々の前記車軸ジャーナル(60)で2つの前記前車輪(10’、10’’)を互いに直接接続する長さ方向に伸長可能な1つ以上のロッド(111、112)からなり、前記第2の運動機構(110)の前記制御装置(120)が、前記自動車の中心線平面(M-M)を横切る垂直投影面に対して前記ロッド(111、112)の横臥位置の変化を可逆的に阻止するように1つ以上の伸長可能な前記ロッド(111、112)のそれぞれに動作可能に接続されており、前記自由構成において、1つ以上の伸長可能な前記ロッド(111、112)が、前記投影面に対してその横臥位置を変えるのが自由とされ、前記阻止構成において、1つ以上の伸長可能な前記ロッド(111、112)が、前記投影面に対してその横臥位置を変えることを防止されている、請求項1に記載の前輪。
【請求項3】
1つ以上の伸長可能な前記ロッド(111、112)のそれぞれがその両端部において前記車軸ジャーナル(60)に接続されている前記ヒンジ手段が、ボールジョイント(71)またはボールジョイントと運動学的に同等である装置(72、73)である、請求項2に記載の前輪。
【請求項4】
ボールジョイントと運動学的に同等の前記装置が、互いに直交する軸を有する一対の円筒形の前記ヒンジ手段(72、73)からなる、請求項3に記載の前輪。
【請求項5】
一対の円筒形の前記ヒンジ手段(72、73)のうちの一方の円筒形の前記ヒンジ手段(72)が、2つの前記前車輪(10’、10’’)の転がり面に直交する一対のヒンジ軸を有する、請求項4に記載の前輪。
【請求項6】
長さ方向に伸長可能な1つ以上の前記ロッド(111、112)のそれぞれが、長手方向の主伸長方向に互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分(113、114)から構成されている、請求項2から5のいずれか1項に記載の前輪。
【請求項7】
前記ロッド(111、112)の2つの部分(113、114)が、前記長手方向の主伸長方向のまわりに自由に相対回転することを可能とするように円筒形結合によって互いに関連付けられている、請求項6に記載の前輪。
【請求項8】
長さ方向に伸長可能な1つ以上の前記ロッド(111、112)のそれぞれが、前記地面から同じ高さで2つの前記車軸ジャーナル(60)を互いに接続する、請求項2から7のいずれか1項に記載の前輪。
【請求項9】
長さ方向に伸長可能な1つ以上の前記ロッド(111、112)のそれぞれが、2つの前記前車輪における対応するステアリング軸(S’-S’;S’’-S’’)に対して2つの前記車軸ジャーナル(60)をできるだけ近い位置で互いに接続する、請求項2から8のいずれか1項に記載の前輪。
【請求項10】
前記第2の運動機構(110)が、その端部において各々の前記車軸ジャーナル(60)で2つの前記前車輪(10’、10’’)を互いに直接接続する長さ方向に伸長可能な単一のロッド(111)からなり、前記第2の運動機構(110)の前記制御装置(120)が、前記自動車の中心線平面(M-M)を横切る垂直投影面に対して前記ロッド(111)の横臥位置の変化を阻止するように解除可能手段(121;131、132;123、124;134、135;161)を備える、請求項1から9のいずれか1項記載の前輪。
【請求項11】
前記ロッド(111)が、長手方向の主伸長方向において互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分(113、114)から構成されている、請求項10に記載の前輪。
【請求項12】
前記第2の運動機構(110)が、長さ方向に伸長可能なロッド(111)を備えており、前記ロッド(111)が、長手方向の主伸長方向に互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分(113、114)から構成されており、
前記ロッド(111)の前記2つの部分(113、114)が、長手方向の主伸長方向のまわりに自由な相対回転を可能とするように円筒形結合によって互いに関連付けられている、請求項10に記載の前輪。
【請求項13】
前記ロッド(111)が、ボールジョイント(71)またはボールジョイントと運動学的に同等の装置(72、73)によってその2つの端部において前記車軸ジャーナル(60)に固定されている、請求項10に記載の前輪。
【請求項14】
単一の伸長可能な前記ロッド(111)の2つの端部のうちの少なくとも一方が、互いに対して直交する軸を有する一対の円筒形のヒンジ手段(72、73)からなる前記ヒンジ手段によって各々の前記車軸ジャーナルに接続されており、前記第2の運動機構(110)が自由構成であるときに伸長可能な前記ロッド(111)が転がり面に平行に移動することができるように、一対の円筒形の前記ヒンジ手段のうちの一方の円筒形の前記ヒンジ手段(72)の回転軸が、2つの前記前車輪(10’、10’’)の前記転がり面に直交しており、前記自動車の中心線平面(M-M)を横切る前記垂直投影面に対して前記ロッド(111)の横臥位置の前記解除可能手段が、前記第2の運動機構(110)を前記阻止構成にするように円筒形の前記ヒンジ手段(72)のまわりの前記ロッド(111)の回転を阻止するのに適している、請求項10に記載の前輪。
【請求項15】
前記解除可能手段が、互いに直交する軸を有する一対の円筒形の前記ヒンジ手段(72、73)によって各々の前記車軸ジャーナル(60)に接続された前記ロッド(111)の端部に配置されたバンドブレーキ(121)またはドラムブレーキを備え、前記バンドブレーキ(121)または前記ドラムブレーキが、前記前車輪(10’、10’’)の回転を解除可能に阻止するように一方の円筒形の前記ヒンジ手段(72)に関連付けられている、請求項14に記載の前輪。
【請求項16】
単一の伸長可能な前記ロッド(111)が、互いに直交する軸を有する一対の円筒形の前記ヒンジ手段(72、73)によってその両端部において前記車軸ジャーナル(60)に接続され、一方の円筒形の前記ヒンジ手段(72)の前記回転軸が、2つの前記前車輪(10’、10’’)の転がり面に直交しており、前記解除可能手段が、単一の伸長可能な前記ロッド(111)の各端部に配置されたバンドブレーキ(121)またはドラムブレーキを備え、各バンドブレーキ(121)またはドラムブレーキが、その回転を解除可能に阻止するように一方の円筒形の前記ヒンジ手段(72)に関連付けられている、請求項14に記載の前輪。
【請求項17】
前記自動車の中心線平面(M-M)を横切る垂直投影面に対して前記ロッド(111)の前記横臥位置を阻止するための前記解除可能手段が、その長さの阻止手段を備え且つ2つの前記車軸ジャーナル(60)のうちの一方に対して前記ロッド(111)を斜めに接続する長さ方向に伸長可能なストラット(131)を備え、前記ストラットが、長さ方向
に延在したままであるときに前記車軸ジャーナル(60)に対する伸長可能な前記ロッド(111)の運動を妨害しないように構成されるとともに、長さ方向に阻止されるときに前記ロッド(111)および前記ストラット(131)の共通の横臥面上の前記車軸ジャーナル(60)に対する前記ロッド(111)の回転を防止するように構成されるように、前記ストラット(131)が前記ヒンジ手段によってその両端部において前記ロッド(111)および前記車軸ジャーナル(60)に接続し、伸長可能な前記ストラット(131)が、阻止された場合であっても、単一の伸長可能な前記ロッド(111)が長さ方向
に延在したままであるように構成されるように配置される、請求項10に記載の前輪。
【請求項18】
前記自動車の中心線平面(M-M)を横切る垂直投影面に対して前記ロッド(111)の前記横臥位置の変化を阻止するための前記解除可能手段が、そのそれぞれがその長さの阻止手段を備え且つ2つの前記車軸ジャーナル(60)のうちの一方に対して前記ロッド(111)を斜めに接続する長さ方向に伸長可能な2つのストラット(131、132)を備え、前記ストラット(131、132)が、長さ方向
に延在したままであるときに前記車軸ジャーナル(60)に対する伸長可能な前記ロッド(111)の運動を妨害しないように構成されるとともに、長さ方向に動きを阻止されるときに前記ロッド(111)および前記ストラット(131、132)の共通の横臥面上の前記車軸ジャーナル(60)に対する前記ロッド(111)の回転を防止するように構成されるように、各々の前記ストラット(131、132)が前記ヒンジ手段によってその両端部において前記ロッド(111)および対応する前記車軸ジャーナル(60)に接続し、2つの伸長可能な前記ストラット(131、132)が、動きを阻止された場合であっても、それらが単一の伸長可能な前記ロッド(111)が長さ方向
に延在したままであるように構成されるように配置される、請求項10に記載の前輪。
【請求項19】
前記ヒンジ手段が、互いに直交する軸を有する一対の円筒形の前記ヒンジ手段(72、73)からなり、一対の円筒形の前記ヒンジ手段(72、73)のうちの一方の円筒形の前記ヒンジ手段(72)が、2つの前記前車輪の前記転がり面に対して直交する回転軸を有する、請求項17または18に記載の前輪。
【請求項20】
前記第2の運動機構(110)が、長さ方向に伸長可能な一対の
ロッド(111、112)を備え、
前記ロッド(111,112)のそれぞれが前記ヒンジ手段(72、73)によって前記車軸ジャーナル(60)のそれぞれにおいて2つの前記前車輪(10’、10’’)をその2つの端部に直接接続し、2つの前記ロッド(111、112)が、互いに平行に配置され、前記車軸ジャーナル(60)によって関節四辺形を形成し、前記車軸ジャーナル(60)が直立部であり、2つの前記ロッド(111、112)がクロス部材であり、前記第2の運動機構(110)の構成の前記制御装置(120)が、前記関節四辺形の構成の解除可能手段(123、124)からなる、請求項1から9のいずれか1項に記載の前輪。
【請求項21】
前記ヒンジ手段が、ボールジョイント(71)またはボールジョイントと運動学的に同等の装置(72、73)からなる、請求項20に記載の前輪。
【請求項22】
ボールジョイントと運動学的に同等の前記装置(72、73)が、互いに対して直交する軸を有する一対の円筒形のヒンジ手段からなる、請求項21に記載の前輪。
【請求項23】
各々が伸長可能な前記ロッド(111、112)が、長手方向の主伸長方向に互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分(113、114)から構成されている、請求項20または21に記載の前輪。
【請求項24】
前記ロッド(111、112)の前記2つの部分(113、114)が、前記長手方向の主伸長方向のまわりの自由な相対回転を可能とするように円筒形結合によって互いに関連付けられている、請求項23に記載の前輪。
【請求項25】
前記関節四辺形の構成の前記解除可能手段が、一対の伸長可能な前記ロッド(111、112)の間の相対位置の変化を解除可能に阻止するのに適している、請求項20から24のいずれか1項に記載の前輪。
【請求項26】
前記関節四辺形の構成の前記解除可能手段が、その長さの阻止手段を有し且つ2つの伸長可能な前記ロッド(111、112)を互いに斜めに接続する、長さ方向に伸長可能な少なくとも1つのストラットからなり、前記ストラットが長さ方向
に延在したままであるときに2つの伸長可能な前記ロッド間の相対運動を妨害しないように構成されるとともに、長さ方向の移動を阻止されるときに前記関節四辺形の構成を変更することによって2つの前記ロッドが互いに対して移動するのを防止するように構成されるように、前記ストラットが前記ヒンジ手段によってその2つの端部において2つの前記ロッドに接続し、伸長可能な前記ストラットが、移動を阻止される場合であっても、2つの前記ロッドが長さ方向におい
て延在したままであるように構成されるように配置される、請求項25に記載の前輪。
【請求項27】
前記関節四辺形の構成の前記解除可能手段が、ブレーキディスクのセクタ(124)に作用するキャリパ(123)からなり、前記キャリパ(123)および前記セクタ(124)が、それぞれ、伸長可能な前記ロッド(111)および他の伸長可能な前記ロッド(112)に一体化されているか、または、スプロケットに作用するラチェットからなり、前記ラチェットおよび前記スプロケットが、それぞれ、伸長可能な前記ロッド(111)、および他の伸長可能な前記ロッド(112)と一体化されている、請求項25に記載の前輪。
【請求項28】
各々の前記前車輪(10’、10’’)の各ステアリング軸(S’-S’、S’’-S’’)のまわりの前記車軸ジャーナル(60)の回転を指令するように、前記車軸ジャーナル(60)を互いに接続する操舵装置(36、86)を備え、前記操舵装置が、直交軸を有する2つの円筒形の前記ヒンジ手段(72、73;34、61、75)によって2つの前記車軸ジャーナル(60)をその2つの端部において互いに接続する水平操縦バー(36)を備え、前記操縦バー(36)が、前記第1の運動機構(20)によって画定された2つの前記前車輪(10’、 10’’)の転がり面に対して略直交する回転軸のまわりに振動するようにその2つの端部間の中間点においてステアリングコラムによって順次支持されており、前記第2の運動機構(110)の単一の伸長可能な前記ロッド(111)が、前記操縦バー(36)に並列に2つの前記車軸ジャーナル(60)を互いに接続するが、異なる垂直高さにおいて、関節四辺形を前記操縦バー(36)とともに形成し、
2つのクロス部材が前記操縦バー(36)および伸長可能な前記ロッド(111)によって画定され、
2つの直立部が前記車軸ジャーナル(60)によって画定され、
前記自動車の中心線平面(M-M)を横切る前記垂直投影面に対して単一の伸長可能な前記ロッド(111)の前記横臥位置の変化を阻止するための前記解除可能手段が、前記四辺形の構成の阻止装置からなる、請求項14に記載の前輪。
【請求項29】
前記操縦バー(36)が、前記車軸ジャーナル(60)に直接接続され、前記懸架手段(90)の作用を受ける、請求項28に記載の前輪。
【請求項30】
前記操縦バー(36)が、前記車軸ジャーナル(60)に間接的に接続され、前記懸架手段(90)の作用を受けない、請求項28に記載の前輪。
【請求項31】
前記自動車の中心線平面(M-M)を横切る垂直投影面に対して前記ロッド(111)の前記横臥位置の変化を阻止するための前記解除可能手段が、ディスクブレーキ(123、124)、バンドブレーキ(161)またはラチェットシステム(134、135)からなる、請求項28、29、または30に記載の前輪。
【請求項32】
前記第2の運動機構(110)の構成の前記制御装置(120)が、電子自動作動システムによって設定された所定の制御ロジックにしたがうか、または代替的にもしくは並列的に手動作動システムを介して前記自動車の使用者によって設定された手動指令にしたがうことにより、前記自由構成から前記阻止構成におよびその逆にするように前記第2の運動機構(110)に作用するのに適している、請求項1から31のいずれか1項に記載の前輪。
【請求項33】
電子制御システムを備え、前記電子制御システムが、
自動車の安全性を保証することを目的とした前記自動車の主要動作ロジックにしたがって前記使用者によって設定された手動指令をフィルタリングするように構成されている、請求項32に記載の前輪。
【請求項34】
後部における駆動車輪と、請求項1から33のいずれか1項に記載の前輪(8)とを有する自動車(4)。
【請求項35】
請求項1から33のいずれか1項に記載の前輪を有する3輪または4輪を有する自動車の少なくとも一対の前車輪(10’、10’’)の転がり運動を阻止する方法において、
-前記第2の運動機構(110)を活性化するステップであって、前記第2の運動機構(110)が前記前車輪(10’、10’’)の前記転がり運動を阻止するために前記阻止構成にされるステップと、
-前記第2の運動機構(110)を非活性化するステップであって、前記第2の運動機構(110)が前記前車輪(10’、10’’)の前記転がり運動を可能とするように前記自由構成にされるステップとを備える、方法。
【請求項36】
3輪または4輪を有するローリング自動車の少なくとも一対の前車輪(10’、10’’)の転がり運動を阻止する方法において、
前輪フレーム(16)と、
前車輪(10’、10’’)が同期して回転することを可能とする第1の運動機構(20)によって互いに接続され、且つ前記前輪フレーム(16)に接続された少なくとも一対の前車輪(10’、10’’)であって、各々の前記前車輪(10’、10’’)が各々の車軸ジャーナル(60)によって前記第1の運動機構(20)に接続されており、前記車軸ジャーナル(60)が、回転軸(R’-R’、R’’-R’’)のまわりに回転可能に各々の前記前車輪(10’、10’’)を支持するために前記前車輪の回転ピン
(68)に機械的に接続されている、少なくとも一対の前車輪(10’、10’’)と、
前記第1の運動機構(20)に対する少なくとも1つのばね懸架運動を各々の前記車軸ジャーナル(60)に保証する懸架手段(90)とを有し、
前記方法が、
a)ヒンジ手段によって各々の前記車軸ジャーナル(60)において前記2つの前車輪(10’、10’’)を互いに直接接続し且つ2つの前記車軸ジャーナルの間の接合方向に平行な長さ方向に
伸長可能である第2の運動機構(110)を提供するステップであって、前記第2の運動機構(110)が、
前記第2の運動機構(110)が、互いに対して干渉することなく且つ前記フレーム(16)に対して干渉することのない2つの前記前車輪(10’、10’’)の運動に受動的に追従するように構成された、自由構成と、
前記第2の運動機構(110)が、地面に対して少なくとも1つの前記前車輪の横臥面によって形成される角度αの変化を阻止するように構成される阻止構成であって、前記横臥面が前記前車輪の前記回転軸(R’-R’、R’’-R’’)に対して直交している面である、阻止構成と、
の少なくとも2つの異なる構成をとることができるステップ、
b)前記第2の運動機構(110)を活性化し、前記阻止構成を想定して前記前車輪の前記転がり運動を阻止するステップ、及び、
c)前記第2の運動機構(110)を非活性化し、前記自由構成を想定して前記前車輪の前記転がり運動を可能とするステップという動作ステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールブロックを有するローリング自動車の前輪に関する。
【0002】
特に、本発明にかかる自動車は、前部に2つの操縦車輪および転がり車輪を備え、後部に固定された車軸駆動車輪を備えた自動車とすることができる。
【背景技術】
【0003】
自動車の分野では、四輪自動車の安定性とハンドリングの面でオートバイの特性を組み合わせた「ハイブリッド」車両の供給が増えている。
【0004】
そのようなモデルは、例えば、2つの前部操縦車輪と、QUADとして知られている四輪自動車とを備えた三輪自動車によって表される。
【0005】
より具体的には、前述の三輪自動車は、前部に2つの操縦車輪および転がり車輪(すなわち、傾斜しているかまたは傾いている)を備え、後部に固定された車軸駆動車輪を備える。後輪は、トルクを供給して牽引を可能とすることを意図しているが、対になっている前輪は、車両の方向性を提供することを意図している。前輪における対になっている車輪は、操縦するだけでなく、傾けたり転がしたりすることができる。この解決策のおかげで、後輪に2つの車輪を備えた三輪自動車と比較して、前輪に2つの車輪を有する自動車は、オートバイのように車両がカーブで傾くことができるため、実際のオートバイクに似ている。しかしながら、2輪のみの自動車と比較して、前輪に2対の車輪を有するこのような車両は、前輪の地面に対する二重支持によって、より大きな安定性が保証される。
【0006】
前輪は、運動機構を同期して且つ例えば関節四辺形の介在によって鏡面的に転がるのを可能とする運動機構によって互いに運動学的に接続されている。そのような車両の2つの前輪のそれぞれには、さらに、独立したショックアブソーバを備えた2つの独立したサスペンションが設けられている。
【0007】
したがって、ローリング三輪自動車は、二輪自動車のハンドリングと同時に、四輪自動車の安定性と安全性をユーザに提供するように設計されている。
【0008】
この種のローリング三輪自動車は、例えば、同出願人名義の特許文献1に記載されている。
【0009】
この種の自動車の構造上の特質のために、例えば、非常に低速のときまたは休憩中もしくは停止中などの特定の走行条件下では、偶発的および/または制御されない転がり運動の結果として車両が転倒する可能性がある。
【0010】
この問題は、前述の車両に手動または自動制御システムによって操作されるロールブロックシステムを装備することによって対処されている。
【0011】
そのような自動車用のロールブロックシステムは、例えば、同出願人名義の特許文献2に記載されている。ロールブロックシステムは、関節四辺形構造および2つの独立したフロントサスペンションを有する操縦システムを備えたローリング自動車に関連して記載されている。ロールブロックシステムは、それによって許容される転がりを防止するように関節四辺形の動きを阻止するのに適した機械式キャリパと、2つの車輪の非対称ばね懸架運動によって生じる転がりを防止するようにショックアブソーバと並列に配置されたロッドに作用する電動モータによって同時に作動される2つの油圧式キャリパとを備える。
【0012】
上述のブロックシステムの第1の欠点は、その複雑さにある。実際には、1つは関節四辺形に作用するものと、2つはショックアブソーバに作用するものとの3つの別個の阻止装置が必要である。
【0013】
このシステムはまた、四辺形および/または非対称のばね懸架運動のみならず、ピッチング運動(対称的なばね懸架運動)によって引き起こされる回転運動に対しても、自動車を剛性にするという欠点を有する。
【0014】
ピッチングの阻止には、製造コストの増加を伴うショックアブソーバの阻止装置の適切な寸法設定が必要とされる。実際に、転がりが阻止されている道路からの(例えば、孔からの)衝撃を車両が受ける場合、阻止システムは、サスペンションの幾何学的構成の変化を回避するために、衝撃力の衝撃的ピークに打ち勝つことができなければならない。
【0015】
場合によっては、阻止ピッチングはまた、車両の挙動、ひいては安全性に影響を及ぼすこともある。例えば、前輪が相対的なショックアブソーバの阻止装置の力に打ち勝つような衝撃を受けた場合、車輪は、持ち上げられ、したがって自動車は、その側において下降する。衝突が終わると、阻止装置は、到達した新たな位置に車両を保持し、したがって自動車を安全でない状態にする。
【0016】
ショックアブソーバの並列阻止はまた、制動時にも影響を及ぼす。制動のために静的荷重と動的伝達の合計から生じる負荷下では前輪がより低く阻止されるため、車両は、実際には、静的に必要とされるものとは異なるバランスの状況で「阻止」される。
【0017】
関節四辺形構造を有する操縦システムを備えたローリング自動車のための他のアンチロールシステムは、特許文献3、特許文献4および特許文献5に記載されている。そのようなアンチロールシステムは、関節四辺形構造上で直接動作し、関節四辺形の動きを阻止することによって回転を阻止する。しかしながら、これらのアンチロールシステムは、2つの前輪のショックアブソーバによって許容される非対称な振動のために転がり運動を抑制することができない。
【0018】
さらに、上述したアンチロールシステムは、関節四辺形構造を有する操縦システム上で動作するように特別に設計されているため、この構造およびその機械的構成の存在に直接結びついている。
【0019】
したがって、上述した制限を全部または部分的に克服するロールブロックシステムを備えたローリング自動車を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0020】
したがって、本発明の目的は、起動時にショックアブソーバの対称的な圧縮に起因して自動車のピッチングを阻害せず且つ操縦に影響を及ぼさないロールブロックシステムを備えたローリング自動車の前輪を提供することによって先行技術に対して上述した課題を排除するかまたは少なくとも低減することである。
【0021】
本発明の他の目的は、前記自動車を製造して前記自動車に適合するように構造的に簡便で安価なロールブロックシステムを備えたローリング自動車の前輪を利用可能とすることである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の技術的特徴は、以下の特許請求の範囲の内容から明確にわかることができ、その利点は、非限定的な例として1つ以上の実施形態を示す添付図面を参照してなされる以下の詳細な説明からより明確に理解できるであろう。
【0023】
【
図1a】
図1aは、他のものをより良好に示すためにいくつかの部分が除去されて示された、本発明の第1の実施形態にかかるロールブロックシステムを備えた前輪を有する自動車の側面図を示している。
【0024】
【
図1b】
図1bは、
図1aの矢印Iの側からみた
図1aに示される自動車の平面図を示している。
【0025】
【
図2】
図2は、
図1の矢印IIの側からみた
図1における自動車の正面図を示している。
【0026】
【
図3】
図3は、
図1の自動車の前輪の部分斜視図を示している。
【0027】
【
図4】
図4は、本発明の前記第1の実施形態の変形例にかかるロールブロックシステムを有する前輪を備えた自動車の前輪の部分斜視図を示している。
【0028】
【
図5】
図5は、本発明の前記第1の実施形態のさらなる変形例にかかるロールブロックシステムを有する前輪を備えた自動車の前輪の部分斜視図を示している。
【0029】
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施形態にかかるロールブロックシステムを有する前輪を備えた自動車の前輪の部分斜視図を示している。
【0030】
【
図7】
図7は、
図6に示される実施形態において採用されたロールブロックシステムのレイアウトの正面直交図を示している。
【0031】
【
図8】
図8は、
図6に示された実施形態の変形例にかかるロールブロックシステムを有する前輪を備えた自動車の前輪の部分斜視図を示している。
【0032】
【
図9】
図9は、
図8に示された実施形態において採用されたロールブロックシステムのレイアウトの正面直交図を示している。
【0033】
【
図10】
図10は、本発明の第3の実施形態にかかるロールブロックシステムを有する前輪を備えた自動車の部分斜視図を示している。
【0034】
【0035】
【
図12】
図12は、異なる第1の運動機構を備えた、
図10および
図11に示されるものと同様のロールブロックシステムを有する前輪を備えた自動車の部分斜視図を示している。
【0036】
【
図13】
図13は、ばね懸架操縦バーを有する本発明の第4の実施形態にかかるロールブロックシステムを有する自動車の前輪の詳細の後方斜視図を示している。
【0037】
【
図14】
図14は、
図4に示された実施形態に存在する第2の運動機構に対する詳細の正面から背面への平面図および上からの平面図の2つの直交図を示している。
【
図15】
図15は、
図4に示された実施形態に存在する第2の運動機構に対する詳細の正面から背面への平面図および上からの平面図の2つの直交図を示している。
【0038】
【0039】
【
図17】
図17は、非ばね操縦バーを有する本発明の第5の実施形態にかかるロールブロックシステムを有する自動車の前輪の詳細の後方斜視図を示している。
【0040】
【
図18】
図18は、本発明の第5の実施形態の変形例にかかるロールブロックシステムを有する前輪を備えた自動車の前輪の部分斜視図を示している。
【0041】
【
図19】
図19は、本発明の第5の実施形態のさらなる変形例にかかるロールブロックシステムを有する前輪を備えた自動車の前輪の部分斜視図を示している。
【0042】
【発明を実施するための形態】
【0043】
前述の図を参照すると、参照符号4は、本発明にかかる自動車を全体的に示している。
【0044】
本発明の目的のために、自動車という用語は、少なくとも3つの車輪、すなわち、以下に良好に記載されるように2つの整列した車輪と、少なくとも1つの後部車輪とを有する任意のオートバイを含む、広い意味で考えられるべきである旨が指摘されるべきである。したがって、そのような定義はまた、前輪に2つの車輪を有し且つ後部に2つの車輪を有する、いわゆるクワッドバイクも含む。
【0045】
自動車4は、少なくとも2つの前輪10を支持する前輪8から、1つ以上の後輪14を支持する後部12まで延在するフレーム6を備える。左右の10’、10’’の定義が純粋に正式であって且つ車両の運転者に関しての意味を有する左前車輪10’と右前車輪10’’とを区別することが可能である。前記車輪は、それを駆動する運転者の観測点と比較して、自動車の中心線平面M-Mの左右に配置されている。
【0046】
以下の説明および図面において、それを駆動する運転者の観察点と比較して、前輪の左右の成分をそれぞれ示すために引用符’および’’を使用して前記中心線平面M-Mに関する前輪の対称または鏡面要素について参照する。
【0047】
本発明の目的のために、自動車のフレーム6は、任意の形状、サイズとすることができ、例えば、格子タイプ、ボックスタイプ、クレードル、シングルまたはダブルなどとすることができる。自動車のフレーム6は、一体型であってもよく、複数の部品であってもよい。例えば、自動車のフレーム6は、1つ以上の後部駆動車輪14を支持する振動後部フォーク(図示しない)を備えることができる後部フレーム13と相互接続する。前述の後部振動フォークは、直接ヒンジによってまたはレバー機構および/または中間フレームの介在によってフレーム6に接続されてもよい。
【0048】
本発明の一般的な実施形態によれば、自動車用前輪8は、前輪フレーム16と、互いに且つ同期および鏡面的に転がすことを可能とする第1の運動機構20によって前輪フレーム16に運動学的に接続された1対の前車輪10’、10’’とを備える。
【0049】
各車輪10’、10’’は、回転軸R’-R’、R’’-R’’まわりに回転可能にそれを支持するために、車輪の回転ピン68に機械的に接続された各車軸ジャーナル60によって前記第1の運動機構20に接続されている。
【0050】
車輪の「車軸ジャーナル」は、前記車輪の回転ピンを支持し、且つそれを運動学的にサスペンション、操舵装置および前述の第1の運動機構20に運動学的に相互接続するように設計された自動車の機械的部分であると理解される。車軸ジャーナルは、車輪ピンに対して自由度がなく、したがって、それと運動学的に一体である。車軸ジャーナルは、車輪ピンと一体に形成されてもよく、機械的に拘束されて単一部品を形成してもよい。
【0051】
自動車の前輪8は、さらに、以下を備える:
【0052】
ロールブロックシステム100
【0053】
第1の運動機構20に対する少なくとも1つのばね懸架運動を各車軸ジャーナル60に保証する懸架手段90。
【0054】
第1の運動機構20は、前輪が同期的且つ鏡面的に転がることを可能とするように機能する限り、任意の構成を有することができる。
【0055】
特に、そのような第1の運動機構は、関節平行四辺形システムとして構成されたシステムであってもよく、または懸架された縦方向アームシステムであってもよい。
【0056】
特に、前輪8には、各前車輪10’、10’’のステアリング軸S’-S’、S’’-S’’まわりの車軸ジャーナル60の回転を指令するのに適した操舵装置36、86が設けられている。操舵装置は、車軸ジャーナル60に直接作用することができ、(
図13に示すように)サスペンションの作用を受けることができるか、または(例えば
図1-
図3または
図17-
図19に示すように)サスペンションの作用を受けることなく車軸ジャーナルに間接的に作用することができる。
【0057】
好ましくは、添付図面に示すように、前述の第1の運動機構20は、関節四辺形システムである。
【0058】
より詳細には、
図1から
図24の例に示すように、そのような関節四辺形システムは、中央ヒンジ28に対応して前輪フレーム16にヒンジ止めされた一対のクロス部材24’、24’’を備える。クロス部材24’、24’’は、サイドヒンジ52において前記横方向端部40、44で回動される直立部48’、48’’によって対向する横方向端部40、44において、互いに接続される。クロス部材24および直立部48’、48’’は、前述の関節四辺形20を画定する。
【0059】
動作可能に、直立部48’、48’’のそれぞれは、前記前車輪10’、10’’の1つの車軸ジャーナル60を案内して支持する。
【0060】
有利なことに、例えば
図12、
図13、
図17、
図18および
図19に示す実施形態において提供されるように、第1の関節四辺形運動機構20は、直立部48’、48’’のそれぞれが各前車輪10’、10’’の車軸ジャーナル60をその主伸長軸T-Tと同軸上に案内して支持するように構成されることができる。そのような場合、各前車輪の懸架手段90は、相対的に直立状態で一体化され、直立部48’、48’’の主伸長軸T-Tに沿った直線的なばね懸架運動を車軸ジャーナル60に保証する。
【0061】
より具体的には、車軸ジャーナル60は、直立部48’、48’’と同軸に配置されたスリーブ88を備える。車軸ジャーナル60と直立部48’、48’’との間には、車輪10の懸架手段90が配置されている。例えば、懸架手段90は、ばねおよび/またはダンパを備える。
【0062】
特に、直立部48’、48’’は、少なくとも部分的に懸架手段を内部的に収容するように中空である。好ましくは、懸架手段90は、各直立部48’、48’’に対して同軸に配置されている。
【0063】
好ましくは、そのような実施形態によれば、各車軸ジャーナル60と各直立部48’、48’’との間の結合は、直立部48’、48’’の主伸長軸T-Tに対して車軸ジャーナル60の並進および回転の双方を可能とするように円筒状タイプからなる。各前車輪10’、10’’は、相対直立部48’、48’’の主伸長および対称軸T-Tに一致するステアリング軸S’-S’、S’’-S’’を有する。
【0064】
特に、各直立部48’、48’’は、上端部48sから下端部48iまで延在している。(車軸ジャーナル60と一体化されている)各前車輪10’、10’’の回転ピン68は、第1の関節四辺形運動機構20の対応する直立部48’、48’’の上端部48sと下端部48iとの間に配置されている。
【0065】
あるいは、
図1から
図5ならびに
図10および
図11に示された実施形態において提供されるように、第1の関節四辺形運動機構20は、回転前進タイプの運動学的接続システムによってそれ自体に対して外部において各前車輪10’、10’’の直立部48’、48’’のそれぞれが車軸ジャーナル60を案内および支持するように構成されることができる。
【0066】
より具体的には、各車軸ジャーナル60は、各直立部48’、48’’の上端部48sおよび下端部48iに対応して配置されたステアリングヒンジ76によって前述の関節四辺形20にヒンジ止めされた支持ブラケット65によって支持されている。前記ステアリングヒンジ76は、互いに平行な車輪10’、10’’の各ステアリング軸S’-S’、S’’-S’’を画定する。
【0067】
より具体的には、
図11に特に示されるように、車軸ジャーナル60は、車軸ジャーナル60と支持ブラケット65との間の回転-並進接続を実現する各傾斜軸B-Bを画定する少なくとも3つの傾斜ヒンジ65a、65b、65cによって対向する上下軸端において支持ブラケット65にヒンジ止めされている。具体的には、車軸ジャーナル60は、前記2つのヒンジ65bおよび65cによってコネクティングロッド66を介して支持ブラケット65にヒンジ止めされている。
【0068】
各前車輪の懸架手段90は、特に、各車軸ジャーナル60に一体化されていてもよい。より具体的には、車軸ジャーナル60は、ロッドによって支持ブラケットに機械的に接続されたばね(図ではみえない)が挿入されたシースを備える。シースは、ばねの作用によってロッドに対して移動可能である。
【0069】
動作可能に、そのようなシステムは、曲線軌道に沿ったばね懸架運動を画定する。
【0070】
添付図面に示されていない実施形態によれば、前述の第1の運動機構20は、2つの懸垂アームを有するシステムであってもよい。
【0071】
より具体的には、そのようなシステムは、特に、自動車の中心線平面M-Mを横切る共通の回転軸まわりに回転するために、その第1の端部において前輪フレームにヒンジ止めされた2つの懸架アームを備えることができる。その第2の端部、すなわち第1の端部とは反対側において、双方の前記アームは、懸架手段によって懸架され、次にロッカーアームによって支持され、前輪フレームにヒンジ止めされている。2つの前車輪10’および10’’の回転運動は、2つの懸架アームおよびロッカーアーム203の振動によって許容される。懸架された各アームは、その第2の端部において、2つの前車輪10’および10’’のうちの一方の車軸ジャーナル60を支持する。特に、各車軸ジャーナル60は、それ自体のステアリング軸S-Sを中心に回転するように、懸架された各アームに回転自在に接続されている。操舵装置は、車軸ジャーナルと一体の2つの把持部に作用する。
【0072】
本発明によれば、前述のロールブロックシステム100は、ヒンジ手段によって各車軸ジャーナル60において2つの前車輪10’、10’’を互いに直接接続する第2の運動機構110を備え、2つの車軸ジャーナルの接合方向に平行な長さ方向に自由に延在している。
【0073】
動作可能に、前述の第2の運動機構110は、少なくとも2つの異なる構成をとることができる:
【0074】
-自由構成、前述の第2の運動機構110は、互いに対して且つそれらと干渉することなくフレーム16に対して2つの車輪10’、10’’の運動に受動的に追従するように構成されている;および
【0075】
-阻止構成、前述の第2の運動機構110は、地面に対して少なくとも1つの車輪の横臥面によって形成される角度αを阻止するように構成され、前記横臥面は、前記車輪の回転軸R’-R’、R’’-R’’に直交している。
【0076】
阻止構成において、前述の第2の運動機構は、対称的なばね懸架(ピッチング)および操舵動作を解放すると同時に2つの車輪の転がり運動を防止する。
【0077】
前述のロールブロックシステム100は、さらに、自由構成から阻止構成にまたはその逆にするように第2の運動機構110に作用するのに適している第2の運動機構110の構成の制御装置120を備える。
【0078】
2つの前車輪10’、10’’が同期して且つ鏡面的に回転するように前記第1の運動機構20によって共に運動学的に接続されているので、車輪の角度の阻止はまた、他方の車輪の角度の阻止をもたらす。
【0079】
有利には、前述の制御装置120は、自動電子作動システムによって設定された所定の制御ロジックに続いて自由構成から阻止構成にまたはその逆にするように第2の運動機構110に作用する。
【0080】
自動動作に代えてまたは自動動作に加えて、制御装置は、手動操作システムを介して自動車のユーザによって課される手動制御に続いて自由構成から阻止構成にまたはその逆にするように第2の運動機構110に作用することができる。
【0081】
好ましくは、ユーザによって設定された手動指令は、その安全性を確保することを目的とする自動車の主要動作ロジックにしたがって電子制御システムによってフィルタリングされる。
【0082】
冒頭で述べたように、従来技術の技術的解決策では、転がりの阻止は、転がりを担う全ての要素、すなわち、アーム、フォーク、ロッカーアームおよびサスペンションを阻止することによって行われる。これとは異なり、本発明によれば、転がりの阻止は、2つの要素、すなわち、車輪の車軸ジャーナルのみにおいて動作する2つの前車輪を相互接続することによって行われる。
【0083】
各車軸ジャーナルにおける2つの車輪の相互接続は、本発明にかかるロールブロックシステムを転がり運動に対して選択的にする。
【0084】
前述したように、懸架手段90は、第1の運動機構20に対する少なくとも1つのばね懸架運動を各車軸ジャーナルに保証する。したがって、車軸ジャーナルは、ばね懸架運動において車輪に関連付けられる。このため、(阻止構成であっても)本発明にかかるロールブロックシステムを介したそれらの相互接続は、ピッチング運動(対称的なばね懸架運動)と干渉しない。したがって、ロールブロックシステムは、ピッチング運動に対して透過的であるということになる。
【0085】
さらに、第2の運動機構110が2つの車軸ジャーナル60を直接接続し、2つの車軸ジャーナルの接合方向に平行な長さ方向に自由に延在しているという事実により、(阻止構成であっても)本発明にかかるロールブロックシステム100は、操舵運動と干渉しない。第2の運動機構の拡張性は、並列操舵または運動学的操舵に影響を与えない。したがって、ロールブロックシステムは、操舵に対して透過的であるということになる。
【0086】
したがって、阻止構成では、本発明にかかるロールブロックシステム100は、(非対称ばね懸架運動から派生する)転がり運動のみを防止し、その代わりにピッチング(対称的なばね懸架)および操舵運動を解放し、自由構成では、本発明にかかるロールブロックシステム100は、操舵、(同様に非対称ばね懸架からの)転がりおよびピッチング(対称的なばね懸架)による車輪のいかなる運動の運動学的補正も導入しないことが上記から明らかである。
【0087】
最後に、ロールブロックシステム100が車軸ジャーナルに直接的に作用し、同期して且つ鏡面的に車輪を回転させるのを可能とする第1の運動機構に作用しないという事実により、本発明にかかるロールブロックシステム100は、そのような第1の運動機構およびその機械的構成の存在に直接的に結びついていない。
【0088】
好ましくは、前述の第2の運動機構120は、そのそれぞれが前述のヒンジ手段によってその2つの端部において書く車軸ジャーナル60で2つの前車輪10’、10’’を互いに直接接続する長さにおいて伸長可能な1つ以上のロッド111、112からなる。
【0089】
第2の運動機構110の構成の前述の制御装置120は、自動車の中心線平面M-Mを横断する垂直投影面に対して後者の横臥位置を可逆的に阻止するように1つ以上の伸長可能ロッド111、112のそれぞれに動作可能に接続されている。
【0090】
自動車の中心線平面M-Mを横切る垂直投影面に対するロッドの「横臥位置」は、ロッドの前記垂直面への投影によって形成される角度を意味する。
【0091】
前記垂直投影面は、実質的に転がり面に対応する。したがって、車輪が中心線平面に平行であるとき、垂直投影面は、中心線平面M-Mに対して完全に直交し、または車輪が操舵されているとき、中心線平面M-Mに対して傾斜する。
【0092】
換言すれば、前記制御装置120は、車輪10’、10’’の転がり運動に映画的に対応する伸長可能ロッド111、112の動きを選択的に阻止することができる。
【0093】
動作可能に、自動車の中心線平面M-Mを横切る垂直投影面に対する前記1つ以上の伸長可能ロッドの横臥位置の阻止は、地面に対して少なくとも1つの車輪の横臥面によって形成される角度αの阻止を自動的に決定する。前記1つ以上のロッドは、2つの車輪の車軸ジャーナルをそれらの2つの端部に接続するように配置されている限り、自動車の中心線平面M-Mを横断する垂直投影面に対して横臥位置を変化させる2つの車輪の転がり運動に続くのを強いられる。前記1つ以上のロッドの横臥位置が強制的に阻止された瞬間に、前述の接続により、各車輪の横臥位置もまた阻止され、したがって、地面に対する各車輪の横臥面によって形成される角度αの変化に対応する2つの車輪の転がり運動は阻止される。
【0094】
2つの前車輪10’、10’’が同期して且つ鏡面的に回転するように前記第1の運動機構20によって共に運動学的に接続されているので、車輪の角度の阻止はまた、他方の車輪の角度の阻止をもたらす。
【0095】
既に述べたように、この全ては、特に関節式の四辺形アームまたは懸架アームであってもよい前記第1の運動機構20の構成にかかわらず適用される。
【0096】
自由構成では、前述の1つ以上の伸長可能ロッド111、112は、前記投影面に対してその横臥位置を自由に変えることができる一方で、阻止構成では、前述の1つ以上の伸長可能ロッド111、112は、前記投影面に対してその横臥位置を変えるのが防止され、それにより、車軸ジャーナルを介してそれらに接続された2つの車輪の転がり運動の阻止をもたらす。
【0097】
好ましくは、前述のヒンジ手段は、前記1つ以上の伸長可能ロッド111、112のそれぞれがその両端部において車軸ジャーナル60に接続され、ボールジョイントまたはボールジョイントと運動学的に同等の装置からなる。このようにして、第2の運動機構120は、妨害または阻止を生じさせることなく2つの前車輪10’、10’’の互いに対する且つ前輪フレーム16に対する往復運動を第2のものにすることができる。
【0098】
特に、球形ジョイントに運動学的に類似する前述の装置は、互いに直交する軸を有する一対の円筒形ヒンジから構成されてもよい。
【0099】
好ましくは、このヒンジ解決策は、前記1つ以上の伸長可能ロッド111,112が、前記第1の運動機構20によって画定される転がり面の2つの前車輪に略平行な平面上に存在して移動する場合に採用される。これは、特に、第1の運動機構が、直立部が直線運動にしたがって車軸ジャーナルの運動を案内する関節四辺形から構成されている場合に生じる(
図13を参照)。
【0100】
「転がり面」は、自動車の長手方向X-Xまたは移動方向を横断し、したがって自動車の中心線平面M-Mに入射する平面を意味すると理解される。有利には、そのような場合、第2の運動機構110が自由構成においてそれ自体をみつけたときに前述の転がり面に平行に移動することができるように、そのような対の2つのヒンジのうちの一方が2つの前車輪10’、10’’の転がり面に直交するその独自のヒンジ軸を有する。
【0101】
一般に、特に第1の運動機構が車軸ジャーナルの直線ばね懸架運動を許容しない場合、前記1つ以上のロッド111、112の運動における詰まりを防止するように、前記1つ以上のロッドのヒンジ手段にとってボールジョイントからなることが好ましい(例えば、
図10および
図11を参照)。
【0102】
有利には、ボールジョイント71または対のヒンジ72、73は、前記車軸ジャーナルと一体の支持要素63によって車軸ジャーナル60に接続されている。
【0103】
好ましくは、長さにおいて伸長可能な前記1つ以上のロッド111、112のそれぞれは、長手方向の主伸長方向にしたがって互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分113、114から形成される。好ましくは、ロッド111、112のこのような2つの部分113、114は、前記長手方向の主伸長方向のまわりに相対的に自由に回転することを可能とするために、円筒形結合によって互いに関連付けられている。
【0104】
一般に、長さにおいて伸長可能な前記1つ以上のロッド111、112は、地面に対して任意の向きを有することができる。
【0105】
好ましくは、添付図面に示された実施形態において提供されるように、長さ方向に伸長可能な前記1つ以上のロッド111、112のそれぞれは、地面に対して平行であるように、地面に対して同じ高さで2つの車軸ジャーナル60を接続する。第1の運動機構20が関節四辺形からなる場合、前記1つ以上のロッド111、112は、関節四辺形のクロス部材28に略平行である。
【0106】
好ましくは、長さにおいて伸長可能な前記1つ以上のロッド111、112のそれぞれは、ロッド上の長さの変化を最小限に抑えるために、2つの前車輪の各ステアリング軸S’-S’;S’’-S’’ に可能な限り近い位置において2つの車軸ジャーナル60を互いに接続する。
【0107】
好ましい第1の一般的な実施形態によれば、第2の運動機構110は、各車軸ジャーナル60において2つの前車輪10’、10’’を互いに直接接続する長さ方向に伸長可能な単一のロッド111からなる。
【0108】
そのような技術的解決策は、
図1から
図9および
図13に示される特定の実施形態において採用される。
【0109】
好ましくは、前述の単一ロッド111は、長手方向の主伸長方向にしたがって互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分から形成される。
【0110】
好ましくは、ロッド111、112の2つの部分は、前記長手方向の主伸長方向のまわりの相対的な自由回転を可能とするために、円筒形結合によって互いに関連付けられている。
【0111】
前述の単一の伸長可能なロッド111は、ボールジョイントまたはボールジョイントと運動学的に類似の装置によってその2つの端部において車軸ジャーナル60に固定されてもよい。
【0112】
有利には、第2の運動機構110の構成の前述の制御装置は、自動車の中心線平面M-Mを横断する垂直投影面に対して前記単一ロッド111の横臥位置を阻止するための解除可能手段を備える。
【0113】
好ましくは、前記単一の伸長可能ロッド111は、その端部または両端部において、互いに直交する軸を有する一対の円筒形ヒンジからなるヒンジ手段によって各車軸ジャーナルに接続されており、前記一対の第1のヒンジの回転軸は、2つの前車輪10’、10’’の転がり面に直交している。このようにして、単一の伸長可能ロッド111は、第2の運動機構が自由構成にあるとき、前記転がり面に平行に移動することができる。
【0114】
横臥位置の前述の解除可能阻止手段は、一方の端部または両端部における前記第1のヒンジのまわりの前記単一のロッド111の回転を阻止するのに適している。
【0115】
動作可能に、横臥面に対してロッド111の少なくとも一端の回転を阻止することは、自動車の中心線平面M-Mを横切る垂直投影面に対して単一ロッド111の横臥位置を阻止することを意味する。上述したように、これは、阻止によって直接的に影響を受ける車輪のみならず、他の車輪の転がり運動の阻止を自動的にもたらす。したがって、両端部において回転を阻止することは、厳密には必要ではないが、ロッドのより確実な阻止を保証するように機能する。
【0116】
転がり面と直交する軸を有するヒンジに対するロッドの回転を阻止することにより、第2の運動機構110は、それゆえに前述の阻止構成にされる。
【0117】
横臥位置の前述の解除可能阻止手段は、目的に適した任意の方法で構成されることができる。
【0118】
図1から
図3および
図4に示される実施形態によれば、前述の解除可能手段は、互いに垂直な前記一対の円筒形ヒンジ72、73によって各車軸ジャーナル60に接続されたロッド111の2つの端部のうちの一方に配置された単一のバンドブレーキ121からなることができ、第1のヒンジ73は、転がり面と直交するその軸を有する。ブレーキバンド121は、第1の円筒形ヒンジに関連付けられ、その回転を解除可能に阻止する。
【0119】
より詳細には、
図14、
図15および
図16に示すように、伸長可能ロッド111は、ロッドの長手方向軸に沿って互いに関連する2つの伸縮部113および114から形成される。ロッド111は、互いに垂直な一対の円筒形ヒンジ72、73によってその両端部において2つの車軸ジャーナルに接続されており、第1のヒンジ72は、回転面に直交する軸Y1-Y1を有し、第2のものは、転がり面に平行な軸Y2-Y2を有する。バンドブレーキ121は、ロッド111の一端に関連付けられており、第1のヒンジ72の軸のまわりに回転可能に関連付けられたドラム126を備え、第2のヒンジ73を画定する各車軸ジャーナル60自体に直接関連付けられている。したがって、ドラム126は、軸Y2-Y2のまわりに回転することができる。ドラム126は、バンド122を外部から支持し、その2つの端部122aおよび122bは、ブレーキバンドの作動レバー125に固定されている。次に、作動レバー125は、第1のヒンジ72の軸Y1-Y1に平行な回転軸Z-Z(回転面に垂直)にしたがってドラム126を担持するロッド114の同じ部分に回動される。バンド122の2つの端部122aおよび122bは、回転軸Z-Zに関して異なる位置において作動レバー125に固定されている。レバー125を作動させることにより、バンド122は、ドラム126のまわりに締め付けられ、それが第1のヒンジ72の軸Y1-Y1のまわりに回転するのを防止するとともに、軸Y2-Y2のまわりになおも自由に回転する。
【0120】
あるいは、
図5に示すように、前述の単一の伸長可能ロッド111は、互いに垂直な一対の円筒形ヒンジ72、73によってその両端部において車軸ジャーナル60に接続されており、双方の対のヒンジの第1のヒンジ72の回転軸は、10’、10’’の2つの前車輪の転がり面に直交している。解除可能手段は、前記単一ロッド111の各端部に配置されたブレーキバンド121を備える。各ブレーキバンド121は、第1の円筒形ヒンジに関連付けられ、その回転を解除可能に阻止する。ブレーキバンド構造は、
図1から
図4に示す実施形態に関連して説明したものと同様である。
【0121】
ブレーキバンドの代わりに、解除可能阻止手段は、ブレーキドラム(添付図面には示されていない)から構成されてもよい。
【0122】
あるいは、ディスクブレーキまたはラチェットシステムなど、この目的に適した任意の阻止システムが使用可能である。
【0123】
図6および
図7に示す実施形態によれば、前述の単一ロッドの横臥位置の前述の解除可能阻止手段は、その長さの阻止手段を備え且つ前記伸長可能ロッド111を2つの車軸ジャーナル60の一方に斜めに接続する長さ方向に伸長可能なストラット131を備えることができる。
【0124】
より詳細には、前記ストラット131は、ストラットが長さ方向に自由に延在されたままであるときには車軸ジャーナルに対する伸長可能ロッドの運動を妨害しないように構成されるとともに、長さ方向に阻止されているときにはロッドおよびストラットの共通の横臥面内の車軸ジャーナルに対するロッドの回転を防止するように構成されるように、前記ヒンジ手段を介してその2つの端部においてロッド111および軸ジャーナル60に接続する。
【0125】
動作可能に、ロッドおよびストラットの共通の横臥面における車軸ジャーナルに対するロッドの横臥位置を阻止することは、自動車の中心線平面M-Mを横断する垂直投影面に対する前記単一ロッド111の横臥位置を阻止することを意味する。したがって、この場合にも、2つの車輪の横臥面の結果として得られる阻止について先に述べたことが適用される。
【0126】
この特定の場合、2つの車輪の転がりの阻止は、単一のストラットを介して、ロッドの一端にのみ作用することによって行われる。先に述べたように、一端のみの回転の阻止は、ロッド111全体の横臥面を阻止するのに十分である。
【0127】
前述の伸長可能ストラット131は、阻止される場合であっても、単一の伸長可能ロッド111を自由に長さ方向に延在するように構成されるように配置される。
【0128】
図8および
図9に示す実施形態によれば、前述の単一ロッドの横臥位置の前述の解除可能阻止手段は、長さにおいて伸長可能な2つのストラット131および132を備えてもよく、そのそれぞれは、その長さの阻止手段を備え、2つの対向する端部上の2つの車軸ジャーナル60のうちの一方に伸長可能ロッドを斜めに接続する。
【0129】
より詳細には、各ストラット131および132は、ストラット131、132が長さ方向に自由に延在されたままであるときには車軸ジャーナル60に対する伸長可能ロッド111の運動を妨害しないように構成されるとともに、長さ方向に阻止されているときにはロッドおよびストラットの共通の横断面内の車軸ジャーナルに対するロッドの回転を防止するように構成されるように、ヒンジ手段を介してその2つの端部においてロッド111および各車軸ジャーナル60に接続する。
【0130】
この場合、2つの車輪の転がりの阻止は、2つのストラット131、132によってロッド111の両端部に作用することによって行われる。前述したように、両端部において回転を阻止することは、厳密には必要ではないが、ロッドのより確実な阻止を保証するように機能する。
【0131】
2つの伸長可能ストラット131および132は、阻止される場合であっても、それらが単一の伸長可能なロッド111を自由に長さ方向に延在するように構成されるように配置される。特に、
図8に示すように、2つのストラット131、132は、伸長可能ロッド111の異なる伸縮部113、114に作用する。
【0132】
好ましくは、各ストラット131および132のヒンジ手段は、互いに直交する軸を有する対の円筒形ヒンジからなり、2つのヒンジのうちの一方は、2つの前車輪の転がり面に直交する回転軸を有する。
【0133】
図10および
図11に示される好ましい第2の一般的な実施形態ならびに
図12におけるその変形例によれば、第2の運動機構110は、長さ方向に伸長可能な一対のロッド111、112からなり、そのそれぞれは、前述のヒンジ手段によってその2つの端部において各車軸ジャーナル60で2つの前車輪10’、10’’を互いに直接接続する。前記2つの伸長可能ロッド111、112は、好ましくは、互いに平行に配置され、2つの車軸ジャーナル60によって関節四辺形を形成し、車軸ジャーナル60は、直立部であり、2つのロッド111、112は、クロス部材である。
【0134】
第2の運動機構110の構成の制御装置120は、前述の関節四辺形の構成の解除可能阻止手段から構成されている。
【0135】
車軸ジャーナル60に対する両ロッド111、112の前述のヒンジ手段は、ボールジョイントまたはボールジョイントと運動学的に類似した装置からなることができる。
【0136】
好ましくは、ボールジョイントと運動学的に類似したそのような装置は、互いに直交する軸を有する一対の円筒形ヒンジ72、73からなることができる。
【0137】
前述したように、前記2つの伸長可能ロッド111、112が前記第1の運動機構20によって画定される2つの前車輪の転がり面に略平行な平面上に存在して移動する場合には、一対の円筒形ヒンジ72、73からなるロッドのヒンジ手段が採用される。これは、特に、第1の運動機構が、直立部48’、48’’が直線運動にしたがって車軸ジャーナル60の運動を案内する関節四辺形から構成されている場合に生じる(
図12を参照)。一般に、特に第1の運動機構が車軸ジャーナルの直線ばね懸架運動を許容しない場合、前記ロッド111、112の運動における詰まりを防止するように、前記2つの伸長可能ロッド111、112のヒンジ手段にとってボールジョイント71からなることが好ましい(例えば、
図10および
図11を参照)。
【0138】
特に、各伸長可能ロッド111、112は、長手方向の主伸長方向にしたがって互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分113、114から形成されてもよい。好ましくは、各ロッド111、112の2つの伸縮部は、前記長手方向の主伸長方向のまわりの相対的な自由回転を可能とするために、円筒形結合によって互いに関連付けられている。
【0139】
動作可能に、前記関節四辺形の構成の前記解除可能阻止手段は、前記一対の2つの伸長可能ロッド111、112の間の相対位置を解除可能に阻止するのに適している。
【0140】
添付図面に示されていない実施形態によれば、2つの伸長可能ロッド111および112は、X配置で互いに斜めに配置される。
【0141】
添付図面に示されていない実施形態によれば、前記関節四辺形の構成の前述の解除可能阻止手段は、その長さの阻止手段を有し且つ前記2つの伸長可能ロッド111、112を互いに斜めに接続する長さ方向に伸長可能な少なくとも1つのストラットからなる。
【0142】
より詳細には、前記ストラットは、ストラットが自由に延在したままであるときには2つの伸長可能ロッド間の相対運動を妨害しないように構成されるとともに、長さ方向に阻止されるときには2つのロッドが関節四辺形の構成を変化させるものに対して移動するのを防止するように構成されるように、ヒンジ手段を介してその2つの端部において2つのロッドに接続される。
【0143】
前記伸長可能ストラットは、阻止される場合であっても、2つのロッドを自由に長さ方向に延在したままにするように構成されるように配置される。
【0144】
図10および
図11に示す実施形態によれば、前記関節四角形の構成の前述の解除可能阻止手段は、第1の伸長可能ロッド111に取り付けられたキャリパ123を備えるディスクブレーキのセクタおよび他の伸長可能ロッド112に固定されたディスク124のセクタからなることができ、キャリパ123は、ディスク124のセクタに係合または係合解除するように動作可能に作用する。阻止の際にキャリパ123がディスク124のセクタと係合すると、2つの伸長可能ロッドは、互いに阻止され、結果として、関節四辺形の構成も阻止される。この状況は、阻止構成の第2の運動機構110に対応する。
【0145】
有利には、2つの伸長可能ロッド111、112のそれぞれは、互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分113、114から構成される。キャリパ123およびディスク124のセクタは、阻止構成であっても2つのロッド111、112が自由に長さ方向に延在するように、2つの伸長可能ロッドの同じ部分114に固定されている。
【0146】
ディスクセクタブレーキの代わりに、前記関節四辺形の構成の前述の解除可能阻止手段は、ラチェットシステムから構成されてもよい。より詳細には、前記ラチェットシステムは、第1の伸長可能ロッドに形成されたスプロケットと、他の伸長可能ロッドに枢着され、2つのロッドの相対位置を阻止するようにスプロケットを係合または係合解除するように動作可能な可動爪とを備える。前記ラチェットシステムは、阻止構成であっても、2つのロッド111、112が自由に長さ方向に延在するように、2つの伸長可能ロッドに固定されている。
【0147】
ディスクセクタキャリパとは異なり、ラチェットシステムは、四辺形の任意の構成で2つのロッドを連続的に阻止するのを可能とせず、離散値で阻止するのみである。したがって、車両は、所定のロール角でのみ阻止されることができる。
【0148】
既に上述したように、本発明にかかる前輪8には、各前車輪10’、10’’のステアリング軸S’-S’、S’’-S’’まわりの車軸ジャーナル60の回転を指令するのに適した操舵装置36、86が設けられている。操舵装置は、車軸ジャーナル60に直接作用することができ、(
図12および
図13に示すように)サスペンションの作用を受けることができるか、または(例えば
図1-
図3または
図17-
図19に示すように)サスペンションの作用を受けることなく車軸ジャーナルに間接的に作用することができる。
【0149】
図13に示す実施形態によれば、操舵装置が車軸ジャーナル60に直接作用する場合、操舵装置自体は、2つの前車輪の転がり運動を選択的に阻止するために第1の運動機構110に運動学的に統合されることができる。
【0150】
より詳細には、操舵装置は、各前車輪10’、10’’の各ステアリング軸S’-S’、S’’-S’’のまわりの車軸ジャーナル60の回転を指令するように、車軸ジャーナル60を互いに運動学的に接続する。そのような操舵装置は、直交軸を有する2つの円筒形ヒンジによってその2つの端部において2つの車軸ジャーナル60を互いに直接接続する水平操縦バー36を備え、前記一対の第1のヒンジの回転軸は、2つの前車輪10’、10’’の転がり面に直交している。
【0151】
前記操縦バー36は、前記第1の運動構造20によって画定された2つの前車輪10’、10’’の転がり面に略直交する回転軸のまわりに振動するように、その2つの端部間の中間点においてステアリングコラム86によって順次支持されている。
【0152】
好ましくは、第1の運動機構20は、車軸ジャーナルの直線ガイドを有する関節四辺形からなる。
【0153】
第2の運動機構110は、2つの車軸ジャーナルを前記操縦バー36と平行に互いに接続する単一の伸長可能ロッド111からなるが、異なる垂直高さにおいて、前記操縦バーとともに関節四辺形を形成し、2つのクロス部材は、操縦バーおよび前記単一の伸長可能ロッドによって画定され、2つの直立部は、車軸ジャーナル60によって画定される。
【0154】
自動車の中心線平面M-Mを横断する垂直投影面に対する前記単一ロッド111の横臥位置を阻止するための解除可能手段は、前記関節四辺形の構成の阻止装置からなる。
【0155】
具体的には、
図13に示すように、解除可能阻止手段は、ラチェットシステムからなる。より詳細には、前記ラチェットシステムは、操縦バー上に形成されたスプロケット134と、例えば他の伸長可能ロッド上の支持ブラケット136を介して伸長可能ロッド111に関連付けられた可動爪135とを備え、2つのロッドの相対位置を阻止するようにスプロケット134を係合または係合解除するように動作可能である。前記ラチェットシステムは、阻止構成であっても長さ方向に自由に延在するように、伸長可能ロッドに関連付けられている。
【0156】
あるいは、ラチェットシステムは、ディスクセクタブレーキと置き換えることもできる。
【0157】
図17に示す実施形態によれば、操舵装置は、サスペンションの作用を受けることなく車軸ジャーナルに間接的に作用する。
【0158】
この場合にも、操舵装置36は、2つの前車輪の回転運動を選択的に阻止するように、第1の運動機構110に運動学的に統合されてもよい。
【0159】
より詳細には、操縦バー36は、ステアリング軸S-Sおよびサスペンション軸T-Tに平行な軸を有し且つ車軸ジャーナル60と順次それぞれ一体化される2つの支持柱61に対してブッシュ34を介してその端部の双方において摺動可能に接続されている。操縦バー36は、前記2つの支持柱61に作用することによって各ステアリング軸S’-S’、S’’-S’’のまわりに回転させるように車軸ジャーナルを強制する。この種の接続は、車軸ジャーナル60が操縦バー36に対して移動し、2つの柱61の長手方向軸に沿って並進することを可能とし、ひいては操縦バー36がサスペンションの作用から独立するのを可能とする。
【0160】
操縦バー36は、2つの前車輪10’、10’’の転がり面と直交する回転軸を有する円筒形ヒンジ75によって各ブッシュ34に接続されている。操縦バー36は、第1の運動構造20によって画定された2つの前車輪10’、10’’の転がり面に略直交する回転軸のまわりに振動するように、その2つの端部間の中間点においてステアリングコラム86によって順次支持されている。
【0161】
第1の運動機構20は、車軸ジャーナルの直線ガイドを有する関節四辺形からなる。
【0162】
第2の運動機構110は、2つの車軸ジャーナルを前記操縦バー36と平行に互いに接続する単一の伸長可能ロッド111からなるが、異なる垂直高さにおいて、前記操縦バーとともに関節四辺形を形成し、2つのクロス部材は、操縦バーおよび前記単一の伸長可能ロッドによって画定され、2つの直立部は、車軸ジャーナル60によって画定される。
【0163】
自動車の中心線平面(M-M)を横断する垂直投影面に対する前記単一ロッド111の横臥位置を阻止するための解除可能手段は、前記関節四辺形の構成の阻止装置からなる。
【0164】
具体的には、
図17に示すように、解除可能阻止手段は、前記単一の伸長可能ロッド111と、操縦バー36に固定されたディスク124のセクタとに関連するキャリパ123を備えるディスクセクタブレーキからなる。キャリパ123は、伸長可能ロッド111と一体ではないが、ステアリング軸S-Sに平行に並進する自由度を有する伸長可能ロッドの一部分に接続されたブラケット115によってそれに関連付けられており、伸長可能ロッド111および操縦バー36の共通の横臥面上に残っている。キャリパ123は、ディスク124のセクタに作用し、阻止の際にディスク124のセクタに係合または係合解除するように動作可能である。阻止の際にキャリパ123がディスク124に係合しているとき、操縦バー36および伸長可能ロッド111は、互いに相互接続されているが、ステアリング軸S-Sに平行に並進する自由度を有する。したがって、キャリパが作動すると、関節四辺形の構成が阻止される。操縦バーは、引き続きサスペンションから独立しており、したがって、ピッチングは、禁止されていない。この状況は、阻止構成の第2の運動機構110に対応する。
【0165】
有利には、伸長可能ロッド111は、互いに伸縮式に関連付けられた少なくとも2つの部分112、113から構成される。ブラケット115を介したキャリパ123は、阻止構成であっても、ロッド111が長さ方向に自由に延在するように、2つの部分のうちの一方に関連付けられている。
【0166】
図18は、
図17に示す実施形態の変形例を示している。相違点は、関節四辺形の構成の阻止装置にあり、そのクロス部材は、操縦バー36および伸長可能ロッド111によって画定される。
【0167】
より詳細には、前記阻止装置は、2つの伸縮部151および152からなる接続バー150を備える。バー150の第1の伸縮部151は、円筒形ヒンジ153によって伸長可能ロッド111の部分113に関連付けられており、バー150の第2の伸縮部152は、ボールジョイント154を介して操縦バー36に関連付けられている。円筒形ヒンジ153のおかげで、接続バー150は、ロッド111とバー150との間に存在する角度αを変化させるように、伸長可能ロッド111に対して回転することができる。角度αを阻止することにより、四辺形の構成が阻止される。伸縮接続バー150によって与えられる自由度のおかげで、操縦バーは、引き続きサスペンションとは独立したままであり、したがってピッチングは阻害されない。
【0168】
図18に示す変形例では、四辺形構成(すなわち、角度α)の解除可能阻止手段は、ディスクセクタブレーキから構成され、キャリパ123とディスク124のセクタとを備える。キャリパ123は、接続バー150の第1の伸縮部151が関連する伸長可能ロッド111の前記部分113と一体である。ディスク124のセクタは、代わりにバー150の第1の伸縮部151に取り付けられている。キャリパが作動されると、ディスク124のセクタは、もはやキャリパ123に対して回転することができず、それゆえに、角度αは阻止される。
【0169】
図19は、
図17に示す実施形態のさらなる変形例を示している。そのようなさらなる変形例は、四辺形構成(すなわち、角度α)の解除可能阻止手段が、ディスクセクタブレーキではなく、円筒形ヒンジ153の回転を阻止するためのブレーキバンド161を備える点で、
図20の変形例とは異なる。
【0170】
図20は、
図19に示すブレーキバンドを有する第2の運動機構の分解図の詳細を示している。
【0171】
より詳細には、ブレーキバンド161は、円筒形ヒンジ153に配置される。ブレーキ151は、伸長可能ロッド111の部分113と一体の支持体163と、ヒンジ153によって画定された軸のまわりに回転するように支持体163に回転可能に一体的に関連付けられ且つ前記バーから片持ち梁状に延在する支持アーム165を介して接続バー150の第1の伸縮部151に取り付けられたドラム166とを備える。ドラム166は、支持体163の内部に部分的に挿入され、バンド162が内部に収容される環状内部空間をそれとともに形成する。バンド162の2つの端部162aおよび162bは、異なる位置でブレーキバンドの作動レバー167に固定される。レバー167を作動させることにより、バンド162は、ドラム166のまわりで締め付けられ、ヒンジ軸を中心にその回転を防止する。このようにして、伸長可能ロッド111を中心とする接続バー150の回転が防止され、角度αが阻止される。レバー167が操作されていないとき、バンド162は、ドラムのまわりに密接せず、接続バー150は、ヒンジ軸を中心として自由に回転する。
【0172】
本発明は、特に上述したように、後部に少なくとも1つの駆動車輪と本発明にかかる前輪8とを有する自動車4に関する。
【0173】
自動車が四輪車である場合、後部12における後部駆動車輪14は、前車輪10に関連して上述したように、第1の運動機構20によって互いに且つ後部フレーム13に接続される。
【0174】
図18および
図19に示す技術的解決策は、車軸ジャーナルの直線案内を有する関節四辺形からなる第1の運動機構20の場合を指す。しかしながら、そのような技術的解決策は、直立部48’、48’’のそれぞれが回転-並進タイプの運動学的接続システムによってそれ自体の外部に各前車輪10’、10’’の車軸ジャーナル60を案内して支持するように関節四辺形が形成される場合に適用されるのに特に適している。この場合、実際には、伸長可能ロッド111-車軸ジャーナルに続く-は、必ずしも操縦バーと同じ横臥面にとどまるわけではない。接続バーを操縦バーに接続するボールジョイントによって提供される操縦バーと伸長ロッドとの間の接続解除は、そのような横臥面の変動に関連する運動学的問題を回避する。
【0175】
本発明は、特に上述したように、本発明にかかる前輪を有する3輪または4輪を有するローリング自動車の転がり運動を阻止する方法に関する。前記方法は、以下を備える:
【0176】
-第2の運動機構110の活性化ステップであり、後者がローリング運動を阻止するために前述の阻止構成にされるステップ;および
【0177】
-第2の運動機構110の非活性化ステップであり、後者が転がり運動をなくすように上述の解除構成にされるステップ;
【0178】
本発明は、以下を有する3輪または4輪を有するローリング自動車の転がり運動を阻止する方法に関する:
【0179】
-前輪フレーム16、
【0180】
-同期して且つ鏡面的に回転することを可能とする第1の運動機構20によって運動学的に互いに且つ前輪フレーム16に接続された少なくとも一対の前車輪10’、10’’、各車輪10’、10’’が各車軸ジャーナル60によって前記第1の運動機構20に接続されており、後者が回転軸R’-R’、R’’-R’’のまわりに回転可能にそれを支持するために車輪の回転ピン68に機械的に接続されている、
【0181】
-前記第1の運動機構20に対する少なくとも1つのばね懸架運動を各車軸ジャーナル60に保証する懸架手段90。
【0182】
そのような方法は、a)ヒンジ手段によって各車軸ジャーナル60において2つの前車輪10’、10’’を互いに直接接続し且つ2つの車軸ジャーナルの接合方向に平行な長さ方向に自由に延在する第2の運動機構110を提供するという動作ステップを備える。
【0183】
前述の第2の運動機構110は、少なくとも2つの異なる構成をとることができる:
【0184】
-自由構成、第2の運動機構110は、それらと干渉することなく互いに且つフレーム16に対して前記2つの車輪10’、10’’の運動に受動的に追従する;および
【0185】
-阻止構成、第2の運動機構110は、地面に対して少なくとも1つの車輪の横臥面によって形成される角度αを阻止し、それゆえに、2つの車輪間の転がり運動を防止すると同時に、ピッチング運動および操舵運動を解放する。車輪の前述の横臥面は、車輪の回転軸R’-R’、R’’-R’’に対して垂直である。
【0186】
本方法は、さらに、以下の動作ステップを備える:
【0187】
b)
前記第2の運動機構110を活性化し、前記阻止構成を想定して転がり運動を阻止するステップ;および
【0188】
c)
前記第2の運動機構110を非活性化し、前記自由構成を想定して前記転がり運動を可能とするステップ。
【0189】
本発明は、部分的に既に説明したように、多くの利点を達成することを可能とする。
【0190】
本発明にかかるローリング自動車の前輪には、作動時にピッチング(対称的なばね懸架運動)または自動車の操舵のいずれも阻止しないロールブロックシステムが装備されている。実際には、本発明にかかるロールブロックシステムは、作動されていないときに、操舵、転がりおよびばね懸架運動のために車輪の運動にいかなる運動学的な補正も導入しない。作動されると、ブロックシステムは、ピッチング(対称的なばね懸架)および操舵の動きと干渉することなく、転がり運動の阻止を可能とする。
【0191】
さらに、本発明にかかるローリング自動車の前輪は、構造的に簡便で安価であり、前記自動車に適合するロールブロックシステムを備えている。実際には、特に、前車輪の2つの車軸ジャーナル間に接続された、長さが伸長可能な1つまたは2つの伸縮ロッドから構成されていてもよい。転がりの阻止は、前記1つまたは2つの伸縮ロッドの横臥面を単に阻止することによって行われる。
【0192】
本発明にかかるロールブロックシステムはまた、車輪が同期して鏡面的に回転することを可能とする運動機構とは無関係である。
【0193】
提案されたシステムはまた、安価であることに加えて、転がりを阻止することで、構造上の安全性および負荷の低減という利益のために、ピッチング(対称的な懸架運動として理解される)が阻止されないことから、従来の解決策よりも概念的に優れている。
【0194】
したがって、本発明は、意図された目的を達成すると考えられる。
【0195】
明らかに、その実際的な実施形態は、本発明の保護の範囲内にとどまるとともに記載されたものとは異なる形態および構成をとることができる。
【0196】
さらに、全ての詳細は、技術的に均等な要素によって置き換えられてもよく、使用される寸法、形状、および材料は、必要に応じて任意とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0197】
【文献】イタリア特許出願公開第IT2003MIA001108号明細書
【文献】イタリア特許出願公開第IT2004A000171号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2810861号明細書
【文献】フランス特許第2953184号明細書
【文献】欧州特許第2345576号明細書