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特許7012020基板上に配線構造体を形成するためのボトムアップ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】基板上に配線構造体を形成するためのボトムアップ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20220120BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20220120BHJP
   H01L 21/368 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
H01L29/06 601N
H01L21/288 Z
H01L21/368 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018550428
(86)(22)【出願日】2017-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2017056739
(87)【国際公開番号】W WO2017162696
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】1604818.3
(32)【優先日】2016-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518335182
【氏名又は名称】イクステペエル エス.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グランク、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ロツィネク、ツビグニュー
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-243328(JP,A)
【文献】特開2006-049810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/288
H01L 21/368
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に構造体を形成するための方法であって、
気的に分極可能なナノ粒子を含む流体を基板上に堆積して前記流体が配置された湿潤領域を形成するステップと、
複数の前記ナノ粒子が凝集して、第1の電極から第2の電極に向かって延在する細長い構造体形成されるように、前記第1の電極および前記第2の電極を用いて、前記領域上の前記流体に交番電界を印加するステップと、
前記細長い構造体が前記基板上に残るように前記流体を除去するステップと、
を含み、
前記交番電界を印加する前記ステップの間に、前記細長い構造体を前記第1の電極から前記第2の電極に向かう方向にさらに延長させるために、前記第2の電極を前記第1の電極から離れるように移動させることによって前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離を増加させるステップをさらに含む方法。
【請求項2】
前記形成された前記細長い構造体の長さが増加する速度と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記距離が増加する速度との間の関係により、前記構造体の端部と前記第2の電極との間の距離が変化し、前記第2の電極および前記構造体の前記端部の近の前記流体の領域内の前記電界が、その領域内の可動ナノ粒子前記構造体の前記端部に凝集させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細長い構造体の長さが増加する速度を監視するステップと、
前記細長い構造体の前記長さが所定の速度で増加するように、前記監視された速度に従って前記交番電界の特性を調整するステップと、をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記電極の少なくとも一方が、尖った端部を含む細長い形状を有し、前記流体に交番電界を印加するステップが、前記電極の各々の前記尖った端部を前記流体に接触させるステップを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記電界が、前記複数のナノ粒子に誘電泳動力が働くように印加され、前記電界によって、前記流体中の可動ナノ粒子が前記誘電泳動力により前記細長い構造体に引き付けられる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記電界がDCバイアスを有し、前記DCバイアスが、前記構造体の第1の端部が、前記流体内の可動ナノ粒子が前記第1の電極に付着することによって形成されるようなものである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の電極または前記第2の電極が導管を含み、前記流体が前記導管を介して前記基板上に堆積される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2の電極が、電流が1~10,000μAの範囲のAC振幅および0.1~1,000μAの範囲のDCバイアスを有するように、前記電極間の交流電流を制御するように構成されたコントローラに接続される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
テンショメータが、前記AC振幅が10~1000μAの範囲になり、前記DCバイアスが1~100μAの範囲になるように前記交流電流を制御するように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板上の前記湿潤領域の形状に対応する所定の経路に沿って前記第2の電極を移動させて、それにより、前記構造体が前記所定の経路に沿って第1の端部位置から第2の端部位置まで前記領域内に延在するように前記構造体を組み立てるステップを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電界を印加する前記ステップが、第2の構造体を形成するように、前記基板上の第2の湿潤領域に堆積された流体に対して繰り返され、前記第2の構造体が、前記第2の湿潤領域内の第1の端部位置から前記第2の湿潤領域内の第2の端部位置まで延在し、前記第2の湿潤領域の前記第1または第2の端部位置のいずれかは、前記湿潤領域上に形成された前記構造体と一致する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、焼結プロセスをさらに含み、前記焼結プロセスが、前記細長い構造体の硬度を増加させるように、凝集したナノ粒子を合体させる、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
基板上に構造体を形成するための装置であって、
電気的に分極可能なナノ粒子を含む流体を基板上に堆積させるためのプリントヘッドと、
前記プリントヘッドによって堆積された流体によって形成された湿潤領域に交番電界を印加するための第1の電極および第2の電極であって、当該第1の電極および第2の電極のそれぞれが前記流体と接触しており、当該第2の電極が当該第1の電極に対して移動可能である、第1の電極および第2の電極と、
前記基板から堆積された流体を除去するための流体除去装置と、
を含む装置。
【請求項14】
前記第1の電極と前記第2の電極との間に交番電界を印加するために、前記第1の電極および前記第2の電極への交番電気信号を制御するように構成された信号コントローラをさらに含む、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に構造体を形成するための方法、およびこの方法によって製造された、細長い構造体が形成された基板に関する。
【背景技術】
【0002】
表面上に狭いまたは高い空間分解能構造体を含む基板は、多数の異なる工業的用途に有用である。基板上に超微細な構造体およびパターン、特に10-9~10-6メートルのオーダーの幅または直径を有するナノワイヤまたはマイクロワイヤを形成するために、様々な公知の方法が現在使用されている。
【0003】
超細ワイヤを形成するための様々なトップダウン技術、特にリソグラフィおよび電気泳動が知られている。さらに、構成粒子を組み合わせることによって一次元またはそれ以外の超細構造体を効果的に組み立てる、ナノワイヤまたはマイクロワイヤ製造へのボトムアップ手法が現在使用されている。ナノ構造体のための既存の合成技術の一例は、流体インクにDC電圧を印加することによって引き起こされる電気流体力学的活性を使用する。このような電気流体力学に基づく手法は、基板上に微細構造体を印刷することを可能にするが、これらの技術は、基板に最小限度の導電性を必要とし、そのようにして、基板のすべての位置にDCバイアスを印加することができる。したがって、電気流体力学に基づく方法は、特定の範囲の誘電特性および導電特性を有する特定の種類の基板に限定される。実際、ほとんどの電気流体力学的ジェット印刷法では、そうでなければ局所的に蓄積することがある電荷を散逸させるのに十分な導電性を基板が有していることが必要であり、または好ましい。この問題に対処し、そのような方法では導電性が制限される基板を使用するいくつかの異なる技術が提案されているが、これらはより複雑な印刷プロセスを必要とする。
【0004】
代替的な公知技術はフォトリソグラフィ法を用いており、マイクロパターンは、所望のパターン構造の所定の幾何学的形状をフォトマスクから基板上の感光性物質に転写することによって適用され、露光パターンは感光性フォトレジストの後ろの基板材料上に所定のパターンで堆積または彫刻される。フォトリソグラフィは、高い空間分解能および複雑な形状を有することができる複雑なマイクロパターンの迅速な製造を容易にするが、このような方法によって生成することができるラインは、必然的に輪郭が平坦であるので、所与の値の高さまたはその幅に匹敵する高さを有する構造体が形成されることを必要とする用途においては、使用が限定される。
【0005】
種々の異なる無機構成材料からなる、1マイクロメートル未満の幅を有する超細線を製造する方法が必要とされている。特に、微細な導電性ラインまたはパターンを形成するための効率的でスケーラブルな技術、ならびに半導体特性を有する構造体のための多くの異なる用途が求められている。
【0006】
ある範囲の材料を含み、ある範囲の異なる基板上に配置された高分解能のマイクロパターンを生成するこのような方法が有用であり得る典型的な用途の例は、発光用途のための半導体量子ドットの生成、光起電力エネルギー変換のための光吸収半導体ナノ粒子、または検出用途のための他の誘電材料を含む。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、基板上に構造体を形成するための方法が提供され、本方法は、
湿潤領域を画定するように、電気的に分極可能なナノ粒子を含む流体を基板上に堆積させるステップと、
複数のナノ粒子が組み立てられて、第1の電極から第2の電極に向かって延在する細長い構造体を形成するように、第1の電極および第2の電極を用いて、領域上の流体に交番電界を印加するステップと、
細長い構造体が基板上に残るように流体を除去するステップと、を含み、
交番電界を印加するステップの間に、細長い構造体を第2の電極に向かってさらに延長させるために、第2の電極を第1の電極から離れるように移動させることによって第1の電極と第2の電極との間の分離を増加させるステップをさらに含む。
【0008】
本方法は、表面が導電性であることを必要とせずに、多くのタイプの表面上に均一なナノスケール幅の構造体を制御可能に形成することを可能にする。本発明者らは、分極可能なナノ粒子を含むインクを基板の湿潤領域上に堆積させて、交番電界を用いて2つの電極間の電界の方向に沿って延在する構造体にナノ粒子を集中させることにより、湿潤領域の幅よりも何倍も狭いワイヤまたはラインの構造体を作製することが可能であることを認識している。
【0009】
基板上に堆積されたインクの湿潤領域を使用して構造体を印刷する公知の方法を使用する場合には、高い空間分解能を有する狭い構造体を形成することは困難または不可能である。標準的なインクジェット印刷技術は、約5~100マイクロメートルの幅の湿潤ラインを生成することができる。そのような寸法を有する湿潤領域を出発点として、本発明の方法を適用して、このような体積の流体を堆積させ、それを介して分散されたナノ粒子を濃縮凝集体に配置することによって、インクからナノ粒子を含む細長い構造体を形成することができ、この構造体は、約1マイクロメートルの幅を有し、基板に付着され、乾燥によって流体を除去する。このような細いラインを形成する能力は、従来技術に対して明らかな改良を提供し、多くの異なる用途において有利に使用することができる。
【0010】
この新規な印刷技術はさらに、例えば、1マイクロメートル未満の幅を有する細長いナノ粒子構造体を形成することを可能にする。250ナノメートル以下の幅は、本発明の方法を用いて達成可能である。
【0011】
本発明の方法は、例えば幅が100マイクロメートルであるような比較的広い湿潤領域であっても、その中に1マイクロメートル未満の超細ラインの形成を可能にするという大きな利点を提供する。
【0012】
例えば、本発明の方法に電気流体力学的印刷技術を組み合わせることにより、非常に微細な湿潤領域を堆積させることができ、乾燥させる前にこれらの領域内により微細な構造体を形成することさえできる。
【0013】
本発明によって使用される誘電泳動(DEP)的自己組織化は、電気流体力学(EHD)的自己組織化とは全く異なる現象であり、電気流体力学(EHD)的自己組織化によって提供されない有利な効果をもたらすことが理解されよう。DEPとEHDの主な違いは、前者では外部電界が流体中のナノ粒子に作用するが、EHDの場合には外部電界が流体に作用するということである。これらの方法の各々の実施態様も異なる。EHD印刷では、電界を印加する電極の間に基板を配置する必要があり、上部電極は通常、基板表面より数マイクロメートル上に配置される。基板の厚さが大きすぎる場合、または上部電極と基板表面との間の距離が大きすぎる場合には、EHDアセンブリプロセスを実行するために必要な電圧は、通常、極端に高くなる。EHDのさらなる制限は、この方法が、上部電極と基板との間の固定された距離を正確に要求されるレベルに保つために、平坦な表面または実質的に低い表面粗さを有する表面上に印刷することにのみ適していることである。
【0014】
本請求の方法とEHDとの間のさらなる区別は、前者では、細長い構造体またはラインを一度に印刷して、「高さ対幅」のアスペクト比が適度に高い構造体を生成することができることである。一方、EHD技術は、各層がほぼ単一のナノ粒子の直径の高さであるため、層ごとにラインを構築することによって行われる。これは通常70~100nmである。このように、プロセスのスケーラビリティと同様に、特に、より厚いライン、例えば、高さが約500nmのラインが必要な場合には、アセンブリまたは印刷の速度は基本的に制限される。
【0015】
いくつかの実施形態では、基板および/または流体は、狭い湿潤領域の形成を困難にする特性を有する場合がある。傾斜した表面、表面張力、および粗さによって、堆積した流体インクがより平滑または平坦な表面上に画定され得るよりも基板表面上のより大きな領域の上に広がる可能性がある。本発明の方法は、そのような場合に、流体ラインまたは領域がより広い場合であっても超細構造体を広がった湿潤領域上に形成することができるという重要な利点を提供する。
【0016】
微細構造体の形成は、フォトリソグラフィなどの方法を用いて達成可能であることが当該技術分野において知られているが、本明細書で提供される本発明の方法は、スケーラブルで、かつより広範な材料および基板表面を用いて適用することができる、はるかに簡素なプロセスにより、そのような構造体を形成することができる。本方法はまた、印刷材料の利用率が公知の技術と比較して非常に高い点で非常に効率的である。例えば、フォトリソグラフィでは、材料の大部分がリフトオフプロセスで失われるが、本発明の方法では、印刷された構造体を形成するための材料の大部分または実質的にすべてが、形成プロセスにより有益に消費される。
【0017】
流体中のナノ粒子の細長い構造体へのアセンブリの基礎を成す機構は、誘電泳動作用である。その最も広い形態では、この現象は、不均一電界の存在下で誘電体粒子に力を加えることを含む。電気的に分極可能な粒子を含む流体の領域にわたって交番電界、すなわちAC電界を印加すると、粒子によって誘電泳動力が感じられる。電気泳動は必ずしもAC電界を必要とせず、DC電界を用いてDC電気泳動効果を生成することも可能であり、とりわけそれは粒子運動を引き起こす電界勾配であるからである。しかし、交番電界の印加は、電気分解によるアセンブリプロセスの中断など、DC電気泳動に伴ういくつかの有害な影響を回避することができる。
【0018】
通常、本発明によれば、力は、不均一な電界の勾配と、交番電界によって粒子に誘起される電気双極子との間の相互作用を介して生じる。したがって、誘電泳動力が粒子に加えられ、これらの力は、電界線の方向に沿って導かれる双極子間の引力の静電相互作用から生じ、連鎖効果をもたらし得る第1の成分と、双極子-非均一AC電界相互作用から生じ、電界勾配に沿って導かれて、通常、成長する細長い構造体の端部に集められる粒子の濃縮をもたらす成分と、を含む。
【0019】
堆積した流体インクの液滴またはライン内のナノ粒子に電界を印加すると、電極の端部で凝集して方向性をもって集まるナノ粒子が生じ、ナノ粒子からなる細長い構造体が電界勾配の方向に成長する。ナノメートルのオーダーの直径を有する粒子から作られたこれらの細長い構造体は、通常、高さおよび幅が数十、数百または数千ナノメートルのオーダーの寸法を有するので、超細ライン構造体を生成する本発明の能力に寄与するのは、この現象である。
【0020】
交番電界を印加するステップの間に、本方法は、細長い構造体を第2の電極に向かってさらに延長させるために、第1の電極と第2の電極との間の分離を増加させるステップをさらに含む。言い換えれば、電極の一方または両方を移動させることにより、電極間の距離が増加し、移動電極に近位のアセンブリ領域において、構造体の端部に追加の粒子を加えることによって、細長い構造体の長さを延ばす。
【0021】
本発明の方法の利点は、第2の電極が移動するが、第1の電極はその初期位置に留まり、ナノ粒子の集合体の成長速度が一定に保たれるように、印加される電界の強度が調整される点である。細長い構造体の成長する端部への粒子の凝集により、一定の成長速度およびそれらの断面の大きさおよび形状において実質的に均一な構造体が得られ、断面の大きさおよび形状とは、細長い軸線に垂直な平面におけるそれらの厚さ、高さ、幅、または断面積であり、細長い軸線とは成長の方向である。一定または均一な成長速度が維持される場合には、形成された構造体の得られた形態もまた均一であり得る。したがって、より均一な構造体を達成するために、より長い距離にわたって成長速度および電界条件を均一に保つことがさらに有利である。
【0022】
したがって、本発明の方法は、電極の1つを表面の周りに移動させることによって、表面または基板上に超微細構造体を印刷するための新規かつ有利な技術を提供する。この方法は、従来の技術のナノ粒子アセンブリ技術とは対照的であり、従来の技術における固定された、すなわち非可動の電極は、請求項1の方法によって与えられる印刷適性を提供しない。言い換えれば、細長い構造体から形成される大きく複雑なパターンを生成するために電極の1つを自由に移動させる能力は、従来技術の技術よりも明らかな利点を提供する。これらの公知の技術では、自己組織化によって小さな構造体しか形成することができず、それは通常1ミリメートル未満の線長を有する。
【0023】
本発明は、誘電泳動法を用いてサブミクロン線幅のナノ材料を印刷することを可能にする。これにより、特定の長さまたはサイズの制限なしに構造体を印刷することが可能になる。例えば、ナノ粒子から組み立てられたサブミクロンラインは、数センチメートルのオーダーの長さを有するように形成することができる。アセンブリプロセス中に電極が自由に移動することにより、印刷された構造体のサイズおよび形状にわたって有利な自由度が得られ、それによって従来技術のアセンブリ技術に見られるような直線アセンブリの限界が克服される。
【0024】
この一定の成長速度を達成するために、第1および第2の電極の間に印加される電位を調整することによって、電界の強度および勾配が制御される。好ましくは、構造体が成長する際に、同じ電界条件が、細長い構造体の端部部分およびそれに近接する分散したナノ粒子によって経験されるべきである。
【0025】
電極上の構造体の初期形成を促進し、より容易かつ迅速に成長プロセスを開始するために、プロセスの残りの間に印加される電界強度よりも大きい電界強度を用いて成長プロセスを開始することが有利であり得る。
【0026】
本発明の方法は、この成長を達成するために、第1の電極を静止状態に維持し、第2の電極を移動させることを含むことが好ましいが、両方の電極を互いに離れるように移動させることが可能である。しかしながら、これは、形成されたナノ粒子の集合体に印加される機械的な力、ひいてはそれによって感じられる応力を大きく増加させる。これは、細長いライン構造体の破損およびその破壊を招く可能性がある。したがって、構造体の第1の端部は固定された第1の電極に接触し、第2の電極を移動させることにより構造体の長さが長くなる際に、構造体の第2の端部または成長する端部は第2の電極の近位に維持されるように形成されることが好ましい。このようにして、構造体が付加的な機械的応力を受けるリスクが低減される。
【0027】
したがって、好ましくは、第1の電極から第2の電極を離すことによって、第1の電極と第2の電極との間の分離が増加する。さらに、アセンブリプロセスの間に第2の電極を動かすときに、様々な異なる形状および幾何学的形状を有する細長い構造体を形成することが可能である。したがって、本方法は、高分解能を必要とする任意の数の異なる分野、または様々な異なる配置および幾何学形状を有する他の線形形状またはライン構造体またはパターンに適用することができる。
【0028】
通常、組み立てられた細長い構造体の長さが増加する速度と、第1の電極と第2の電極との間の分離が増加する速度との間の関係は、構造体の端部と電極との間の分離によって、電極および構造体の端部の近位の流体の領域内の電界が、その領域内の可動ナノ粒子を構造体の端部に集めるようにする。したがって、上述したように、一定の成長速度を達成するために、成長する構造体の先端部と第2の電極との間の流体領域中の粒子に及ぼされる誘電泳動力は一定に保たれる。本発明の方法は、比較的長い形成された細長い構造体にわたって一定の電界強度を維持することを可能にするが、これは固定された電極対を用いる方法では不可能である。
【0029】
本方法は、細長い構造体の長さが増加する速度を監視するステップと、細長い構造体の長さが所定の速度で増加するように、監視された速度に従って交番電界の特性を調整するステップと、をさらに含むことができる。成長速度を監視することにより、成長速度データを生成することができ、電極に供給される電圧信号を補正調整するために、これをフィードバックとして使用することができる。このようにして、電界の大きさは、プロセスの期間を通して構造体の端部で同じになるように、すなわち、成長する構造体の先端部で感じられる交番電界の電界強度および電界の大きさが一定に保たれる。一定の成長速度を達成するために、必要に応じて周波数およびDCバイアスを調整することも適切であり得る。
【0030】
通常、成長速度は、2つの技術によって監視することができる。第1の技術は、組立構造体を光学的に監視することを含む。これは、通常、ワイヤの視覚状態を示す監視された光学的または画像データを、グラフィック解析ソフトウェアを含むコンピュータに送信するように構成されたカメラまたは撮像装置を含む。そのような装置を使用して、アセンブリの端点の位置、サイズ、形状、および成長速度または位置の変化速度を継続的に監視および測定することができる。成長速度が低下すると、それに応じて成長速度を増加させるために、コンピュータがプログラムされたソフトウェアのフィードバックループで応答して電界を増加させるように構成することができる。このような微調整は、形成プロセス全体にわたって成長速度の監視された変動に応答して行うことができる。
【0031】
あるいは、またはさらに、成長速度は、電極が接続されている回路を流れる電流を監視することによって監視することができる。成長する構造体の先端部と第2の電極との間の流体による抵抗は、構造体の先端部と第2の電極との間の分離が減少するにつれて減少するので、先端部が移動する第2の電極に近づくような速度で集合体が成長すると、電流の増加が起こり、回路内の適切な監視機器によって監視することができる。回路の電流または抵抗の変化を示すデータを使用して、一定の成長速度を維持するために、フィードバックソフトウェアおよび技術によって電界を調整することができる。
【0032】
一定の成長速度および結果としての均一なラインの厚さは、電気伝導のためのワイヤの形成などの用途には好ましいが、ワイヤの厚さまたは高さまたは幅がワイヤの長さに沿って変化する必要がある場合には、これは、上述のように電界を適切に調整し、それに応じて成長速度を増減させることによって達成することができる。そのような技術はまた、フィードバックデータを提供するために成長速度を監視することを採用してもよい。
【0033】
長い距離にわたって延在する細長い構造体を作製する場合には、比較的短い構造体を形成する場合に通常印加されるよりも低い電圧を電極に印加することが有益であり得る。このような低い電圧から生じるより低い強度の電界は、形成プロセスを安定化させ、より頑強な形成された構造体をもたらすことができる。これは、長すぎる距離にわたって電圧が高すぎると、流体の移動度が著しく高くなり、組み立てられる構造体に望ましくない力が加わることがあるからである。例えば、既存の構造体に加わる電気流体力学的な力は、構造体を損傷させる可能性がある。したがって、AC周波数などの電界条件は、好ましくは、アセンブリを引き起こす誘電泳動力を強化し、望ましくない電気流体力学的力を低減するように選択されるべきである。通常、流体に電界を印加する場合に、第1および第2の電極の各々は、流体内のそれぞれの第1および第2の位置で流体と接触する。このようにして、形成される構造体の開始点および終了点は、開始する第1の位置および最終の第2の位置、すなわち第1の電極がプロセスを開始し、第2の電極がプロセスを終了する点に基づいて選択または決定される。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の電極の端部は、細長い構造体の第1の端部が基板上の所定の第1の端部位置に配置されるように、第1の位置に配置される。したがって、細長い構造体の第1の端部位置は、湿潤領域内のこの点の上に位置する第1の電極を用いてプロセスを開始することによって選択することができる。
【0035】
通常、電極は、各電極が電気モノポールとして作用し、それにより電位が電極に印加された場合に流体中に不均一な電界を生成するように成形される。電界の不均一性は、基板上のアセンブリの開始点および終了点の決定を容易にすることができる。例えば、プレートの形態を実質的に有する平行電極を使用すると、無秩序で制御されていないか、またはあまり予測できない形成プロセスが生じる可能性があり、ワイヤは、尖った電極から生じる電界の発散によって規定される点ではなく、電極上の明らかにランダムな点で成長し始める。
【0036】
好ましくは、電極は、電界の存在下で流体と反応しない材料を含む。非反応性材料からなる電極を提供することは、本発明の方法にとって有益であり得る。金は、AC/DC電界の存在下で流体インクとのいかなる反応にも関与しないという点で、金が適切な電極材料であることが実験的に確立されている。対照的に、銀または銅から作られた電極は、そのようなプロセスで使用されると通常は溶解し、ナノ粒子が溶液中に存在しない場合には電極からの金属イオンが構造体を構築する。このプロセスは、樹状突起の成長の形をとり、異なる組み立てられた構造体の形態をもたらす。このような樹状の成長は、インクのナノ粒子ではなく、電極材料のみにも限定される。
【0037】
好ましくは、電極の少なくとも一方は、尖った端部を含む細長い形状を有し、流体に交番電界を印加するステップは、電極の各々の尖った端部を流体に接触させるステップを含む。そのような技術は、電極の端部のより小さい寸法が、構造体の成長がより正確に画定される誘起された電界を有する点を可能にすることができるので、より制御可能な成長プロセスを得ることができる。
【0038】
好ましくは、尖った端部は1~100マイクロメータの直径を有し、尖った端部の長さは基板上の流体の表面の最大の高さよりも大きい。したがって、尖ったまたは先細の端部は、いくつかの実施形態では50マイクロメータまでの曲率半径を有することができる。効果的な点状電極を使用して、最適な構造体形成結果を達成することができる。電極先端部は、好ましくは、この範囲の直径および流体レベルよりも高い高さを有することができるが、異なる実施形態では、通常、数ミリメートル~数センチメートルのオーダーで変化する。構造体が最初に成長される点状の第1の電極を、平坦なまたはプレート型の第2の移動電極と組み合わせて使用することで、一対の点状電極を用いて得られるものと同様の成長結果が得られるが、それは、点状の電極構造が主にナノ粒子の集合が始まる第1の端点を規定することに影響を及ぼすからである。
【0039】
本発明の方法によって提供される利点は、流体に電極を浸漬させるのではなく、流体を電極に接触させるだけでよいことである。電極は、端部または尖った先端部分が基板表面の上の流体体積の高さの一部分を維持するように、流体体積内に部分的に挿入されてもよい。したがって、電極が基板に接触する必要はなく、これは、脆弱な構造体または形態が必要であり、電極を基板に接触させることによって印加される機械的応力によって破壊するおそれがある用途において特に有利である。
【0040】
上述のように、通常、電界は、複数のナノ粒子に誘電泳動力が働くように印加される。誘電泳動作用は、本発明の方法によって達成される有利な成長をもたらす駆動物理機構である。
【0041】
通常、流体中の可動ナノ粒子は、第1の電極から遠位にある組み立てられた細長い構造体の端部に引き付けられ、細長い構造体の長さは、可動ナノ粒子が構造体の端部に徐々に付着することによって増加する。言い換えれば、ナノ粒子のライン、ワイヤまたはカラムは、組み立てられた構造体の成長端部に、分散したナノ粒子を徐々に付加することによって徐々に組み立てられる。
【0042】
好ましくは、電界はDCバイアスを有し、DCバイアスは、構造体の第1の端部が、流体内の可動ナノ粒子が第1の電極に付着することによって形成されるようなものである。第1の電極と第2の電極との間の交番電位信号に印加されるDCバイアスは、細長い構造体の方向性のある成長を可能にする。言い換えれば、電位がゼロでない値を有する電圧軸上の平均値または中心値の周りで交番するように電位を構成すると、構造体が好ましくは電極の1つの上に組み立てを開始する方向の成長を引き起こす。ラインは、好ましくは、第1の電極上にアセンブリを開始し、有向バイアスは、すべての流体が乾燥され、構造体が基板上に静止され、それ以上移動しなくなるまで、成長プロセスにおいて有利である。したがって、印加された電位のAC成分とDC成分との組み合わせは、構造体の成長、特にそれが成長する方向に関する制御の改善された程度を可能にする。
【0043】
第1および第2の電極に印加される信号にDCバイアスを含めることによってもたらされる有利な制御の程度は、アセンブリを静止した第1の電極から開始させることに特に有益であり、その結果、第2の電極を移動させることによって構造体をその後に成長または延長させることができる。言い換えれば、固定された第1の電極から移動電極に向かってナノ粒子ワイヤを成長させることが望ましく、これは、このDCバイアスを使用してワイヤ成長の方向を特に第1の電極から第2の電極に向けさせることによって達成することができる。ナノ粒子の自己組織化のプロセスは、ナノ粒子の臨界濃度が達成されたときに開始することができる。DCバイアスは、クーロン相互作用によって第1および第2の電極の特定の1つにナノ粒子を引き付け、それによってその電極におけるナノ粒子の濃度を局所的に増加させることが理解されよう。
【0044】
誘電泳動によるナノ粒子の自己組織化は、DCバイアスがない場合にも可能であることも理解されよう。しかしながら、バイアスされていないAC信号が印加される実施形態では、所望のアセンブリ効果を達成するために、より高いナノ粒子濃度またはより高いAC電圧が必要となり得る。このため、DC信号の存在が好ましい。
【0045】
通常、第1の電極が基板に対して同じ位置に留まり、第2の電極が構造体の成長中に第1の電極から第2の電極へ移動する実施形態では、DCバイアスは、第1の電極がより正の(より高い)DC電位を有し、第2の電極はより正でない(より低い)DC電位を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の電極または第2の電極は導管を含み、流体は導管を介して基板上に堆積される。したがって、ナノ粒子を含む流体は、電極を使用する交番電界の印加の前および/またはその間に、電極自体のいずれかまたは両方を介して基板上に配置することができる。好ましくは、最も実際的な設定は移動電極を含み、電極の移動が必要である実施形態では、固定電極ではなく導管を含む。第2の電極を第1の電極から離れるように湿潤領域のラインに沿って移動させることによって構造体を成長させるプロセス中に流体を送達することにより、湿潤領域を予め引き出す必要がないので、全体のプロセスをより迅速に実行することが可能になる。しかしながら、流体の堆積後に固定されたままである第1の電極を使用して流体を最初に堆積させることが可能である。
【0047】
したがって、導管を含む電極が他の電極から離れるように移動する間に、流体が導管を介して基板上に堆積されることが好ましい。多くの実施形態では、移動電極は第2の電極と呼ばれ、固定電極は第1の電極と呼ばれる。
【0048】
通常、交番電界は、100~1000Hzの範囲の周波数と、1~10000ボルト/メートルの範囲の振幅と、を有する。通常、この振幅値は、二乗平均平方根(RMS)振幅、すなわちAC波形の二乗値の平均の平方根に対応する。多くの実施形態では、電界の振幅は、電界が印加される流体の体積全体にわたって変化する可能性があり、したがって、これらの電界特性の範囲は、電極に印加される電位信号を構成することによって、第1および第2の電極の近位またはそれらの間、あるいは組立構造体の成長端部と第2の電極との間の流体の領域内のこれらの値を得るように構成される。
【0049】
通常、ACおよびDC成分を有する電界は、アセンブリ構造体の成長が迅速であって、かつその長さに沿って均一なままであるように適用される。電極に印加される信号が大きければ大きいほど、ナノ粒子に加えられる力は大きくなる。しかしながら、このことは、流体内に歪みを生じさせ、例えば、流体の小さな体積を通って流れる電流または高い電気抵抗を有する非常に薄い形成されたワイヤを通って流れる電流のために、沸騰が起こるおそれもある。AC/DC信号が大きすぎると、電気流体力学的な力によって生じ得る流体の循環は、組み立てられた構造体に望ましくない程度の機械的応力をさらに導入し、構造体に損傷および破損を引き起こすおそれがある。したがって、特定の用途のナノ粒子、流体および基板の材料に応じて、電位信号が、妥当な速度で構造体成長を可能にするのに十分に強いが、これらの前述の望ましくない有害な効果を生じるほど強くならないように、電圧信号が選択される。上記の範囲は好ましい値であり、速度と信頼性との間のこのバランスを達成すべきである。しかしながら、例えば10または50Hzの低いAC周波数あるいは5,000または10,000kHzの高いAC周波数、ならびに0.5または0.1ボルト/メートルの低い振幅あるいは50,000または100,000ボルト/メートルの高い振幅で、この直径の範囲外の構造体を形成することも可能である。しかしながら、これらの範囲外のパラメータを有する電界を使用してプロセスを実行することも可能である。
【0050】
通常、交番電界は、第1の電極と第2の電極との間に交番電位を印加することによって流体に印加され、電位は1ミリボルト~10ボルトの範囲のDCバイアスを有する。上述したように、本発明の方法によって達成される方向性のある成長に対する制御に寄与するのはDCバイアスである。これは好ましい範囲であり、最適なレベルのDCバイアスを提供することができるが、この範囲外のDCバイアス値も使用することができる。
【0051】
第1および第2の電極は、電流が1~10,000マイクロアンペアの範囲のAC振幅および0.1~1,000マイクロアンペアの範囲のDCバイアスを有するように、電極間の交流電流を制御するように構成されたコントローラに接続される。回路内にポテンショメータなどのコントローラが存在することは、このような装置が回路内で発生する可能性のある不要な大電流を補償できる点で有益である。これらの値は好ましい範囲である。より好ましくは、回路を流れる電流は、10~1000マイクロアンペアの範囲に制御されてもよく、または1~100マイクロアンペアの範囲のDCバイアス成分を有するように制御されてもよい。より好ましくは、コントローラは、AC振幅が10~1000マイクロアンペアの範囲にあり、DCバイアスが1~100マイクロアンペアの範囲になるように、交流電流を制御するように構成することができる。さらに、これらの範囲外の制御された電流もまた想定される。
【0052】
通常、湿潤領域の幅は、1~1000マイクロメートルの範囲の最小幅を有する。これは、流体インクが堆積される湿潤領域の最も狭い点において、その領域が1~1,000マイクロメートルの幅であることが好ましい。理想的には、領域は、形成される必要な細長い構造体の形状に対応する形状または経路を有する。関与する流体の物理的特性のために、非常に高い空間分解能で流体を堆積させることは非常に困難である。例えば、インクジェット印刷は、50~100マイクロメートルの幅でラインを配置することを可能にする。このような湿潤ラインを使用して、本方法は、ナノ粒子を組み立てることによって達成される最終線幅を1マイクロメートル未満にすることができる。
【0053】
原理的には、最初に基板上の広い領域に流体を堆積させ、後で、例えば、細長いナノ粒子構造体から一組の平行線を形成することも可能である。そのような用途は、太陽電池の透明電極として、または種々のディスプレイタイプのための透明導電性フィルム(TCF)の製造に有用であり得る。
【0054】
湿潤領域が、基板表面を横切って延在するフィルムまたはシートの流体などのように非常に大きい場合にも、本発明の方法を用いることができる。しかしながら、ナノ粒子に有用な誘電泳動力を及ぼすために電界強度が十分である、電極および構造体端部部分からの距離が限られているので、このようなシートまたはフィルムまたは流体中のナノ粒子のすべてがアセンブリプロセスによって消費されるわけではない。構造体を構築するために流体中のナノ粒子材料のすべてを、またはできるだけ大きな割合を使用することが有利であるので、堆積された流体の体積全体にわたって分散されたナノ粒子が、成長プロセス中に引き付けられ、組み立てられた構造体に接合するように、電界強度が印加されることが好ましい。
【0055】
典型的な材料および電界パラメータを用いて分散したナノ粒子が効果的に収集される距離は、約500マイクロメートルであることが実験的に決定されている。したがって、成長する構造体の端部と第2の電極との間のアセンブリ領域からこの距離よりも実質的に遠いナノ粒子は、これらの粒子をアセンブリに接合させるのに十分なほど強い誘電泳動力を受けないことがある。この約500マイクロメートルの範囲は、ラインの形態であるか液滴の形態であるかにかかわらず、約1ミリメートルの幅の湿潤領域を本発明の方法に従って使用して数マイクロメートルの幅のラインを生成することができることを意味しており、この場合に、利用率、すなわち細長い構造体を形成するために使用される流体中のナノ粒子の割合は非常に高い。
【0056】
2つ以上の細長い構造体が互いに平行に形成される場合は、2つの別個の湿潤領域によってこれを達成することが好ましい。しかしながら、上記のような好ましい湿潤領域よりも大きい基板表面の領域にわたって流体が堆積される場合には、各アセンブリプロセスが別々の電気回路によって制御されれば、複数の個々の構造体、例えば平行線を成長させることが可能である。
【0057】
好ましくは、湿潤領域は、所定の幾何学的形状に対応する形状を有し、領域上の流体内に形成された細長い構造体は、所定の幾何学的形状に対応する形状を有する。したがって、本方法は、流体でラインパターンを描き、ナノ粒子をこれらの流体ライン内のより狭いまたはより細いラインに濃縮することを含むことができる。これらのナノ粒子が、流体全体に分散したままであるのではなく、細長い構造体に組み立てられていれば、ナノ粒子は乾燥プロセス後に基板上に残ることが望ましい。したがって、流体パターンの形状を整えて、組み立てられるナノ粒子構造体の意図された形状を形成することは、流体、したがって分散されたナノ粒子が、第2の電極が通り過ぎる位置にのみ存在し、これにより、湿潤ラインの長さに沿って構築されるにつれて分散されたナノ粒子のすべてが細長い構造体に集められる。
【0058】
通常、本発明の方法を使用して形成することができる二次元構造体は、湿潤領域上の流体の体積においてのみ成長する。例えば、基板表面全体が流体インクで覆われ、第2の電極が基板表面の平面内の軸線に対応するX方向およびY方向に移動するシナリオでは、組み立てられた構造体は、通常、第1の電極と第2の電極との間の直線に対応する形態を有する。したがって、細長い構造体を使用して二次元パターンを生成するためには、これらの所定の二次元パターンに対応する形状を有する湿潤領域を堆積させることが有利である。本発明の方法は、これらのパターンをはるかに細い線幅で形成することを可能にする。例えば、細長い構造体は、それらが形成される湿潤領域の幅よりも100倍または1000倍狭い幅を有することができる。
【0059】
したがって、通常、本方法は、組み立てられた細長い構造体の形状が湿潤領域の形状に対応する経路の形状に対応するように、細長い構造体の組み立て中に経路に沿って第2の電極を移動させるステップをさらに含む。
【0060】
本方法は、基板の湿潤領域の形状に対応する所定の経路に沿って第2の電極を移動させて、それにより、構造体が所定の経路に沿って領域内の第1の端部位置から第2の端部位置まで延在するように構造体を組み立てるステップを含むことができる。構造体の形成がそれぞれ開始および終了する、湿潤領域内の第1の端部位置および第2の端部位置は、通常、細長い湿潤領域の反対側の端部に位置することができ、その結果、構造体が湿潤領域の線形範囲の大部分または全部に沿って形成される。
【0061】
電界を印加するこのステップは、いくつかの実施形態では基板上の第2の湿潤領域に堆積された流体に対して繰り返すことができ、そのようにして第2の構造体を形成する。言い換えれば、サイズおよび形状が変化し、互いに付着していてもいなくてもよい複数の細長い構造体が、基板上に堆積した流体の複数の湿潤領域内に形成され得ることが想定される。
【0062】
いくつかの実施形態では、第2の領域上に形成された構造体が第1の領域上に形成された構造体に連結され得るように形成されるように、第1および第2の領域が重なり合うことができる。このようにして、大きな複合構造体は、本発明の方法を用いて一度に1つずつ構造体を基板に追加することによって、構造体が重なり、交差し、または他の方法で互いに接触するように徐々に構築することができる。
【0063】
場合によっては、第2の構造体は、第2の領域内の第1の端部位置から第2の領域内の第2の端部位置まで延在してもよく、第2の領域の第1または第2の端部位置のいずれかは、第1の領域上に形成された構造体と一致してもよい。言い換えれば、第2の構造体の位置および幾何学的形状は、第2の構造体のいずれかの端部が第1の構造体と一致するように選択されてもよい。構造体が一致するこの点は、第1の構造体のいずれかの端部にあってもよく、または構造体は、それらがそれぞれの長さの任意の点で一致するように形成され、かつ、複数の点でそうするように形成されてもよいので、広範囲の複合パターンを形成することができる。
【0064】
例えば、第1の構造体またはラインは、プロセスの第1の反復において形成されてもよい。第2の後続の反復では、第1の電極を第1のラインの中間点に配置することによって、この点から第2のラインを成長させることができる。
【0065】
既に乾燥されている可能性がある第1の湿潤領域の上に直接位置する第2の湿潤領域を画定するために、基板上に流体の第2のバッチを配置することも可能である。これは、第1の構造体に損傷を与えない可能性があり、第2の湿潤領域が、第1の形成されたライン上の破損した点または不連続点を修復するために使用することができるという利点を提供することができる。
【0066】
通常、流体が第1の領域上に堆積された後に、流体が第2の領域上に堆積される。しかし、用途に応じて、第1および第2の湿潤領域、ならびに基板上の可能な複数の領域内の任意の追加の領域に、任意の順序で、または同時に流体を供給することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、流体が第2の領域上に堆積される前に、第1の領域から流体が除去される。乾燥プロセスは、乾燥した領域内の形成された構造体が物理的に強く、より堅牢でより強固に基板表面に接着するようにするので、形成される際に複数の構造体における各構造体の周囲に流体を乾燥させることにより、複合構造体または複数の構造体を形成する間に、形成された構造体が劣化または損傷するリスクが低減される。本方法は、各構造体が少なくとも1つの他の構造体に連結されるように、基板上の複数の隣接する領域の各々の中にそれぞれの構造体を形成するステップを含むことができる。この技術は、各々がそれ自体の湿潤領域内に形成された、構成要素の細長い構造体からピースごとに複合構造体を構築することによる複合構造体の形成に対応する。
【0068】
複数の領域内の構造体は、所定の幾何学的形状に従って複合構造体を形成するように互いに連結されてもよい。
【0069】
それぞれの領域の各々の第1の電極および第2の電極を用いて、複数の領域の流体に交番電界が印加されて、各領域に細長い構造体が形成され得る。2つ以上の対の第1および第2の電極を設けること、特に湿潤領域ごとに一対の電極を設けることにより、基板上に複数の細長い構造体を迅速に、場合によっては同時に形成することを容易にする。複数の構造体が形成された複数の領域に加えて、わずか2つのそれぞれの領域と第1および第2の電極対を用いてそのような迅速または並列の方法を使用することができる。あるいは、同じ一対の電極を用いて、異なる湿潤領域の各々に構造体を1つずつ形成することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの構造体を同時に形成するために、複数の領域のうちの少なくとも2つの領域の流体に電界が同時に印加される。
【0071】
好ましくは、このような実施形態では、複数の領域の各々の流体に電界を印加するために使用される複数の電極は、領域に形成された複数の細長い構造体が互いに接合して複合構造を形成するように配置される。そのような場合には、湿潤領域を互いに接合して、より大きい湿潤領域、例えばドットまたはより短いラインからなる長いラインを形成することができ、流体は複数の領域またはすべての領域に同時に配置することができ、あるいは領域を湿潤させて、それらの内部に構造体を形成し、次いで、1つずつ乾燥することができる。
【0072】
このような配置は、電極が静止していてもよく、または長いラインを形成するために実質的に遠くまで移動しなくてもよいことを意味する。これは、例えば、複数の電極の櫛状のアレイまたは交互の複数の電極対を用いて実現することができる。線状の櫛の形態を有することができる、あるいは、形成される複合構造体の所定の幾何学的形状に対応する配置を含む、実質的に任意の一次元または二次元の形状もしくはパターンで配置することができる、電極のそのようなアレイの間の間隔は、それらの間の、および電極と形成された構造体との間の電界強度が形成中に電極を移動させる必要なしに構造体の成長をもたらすほど十分に強くなるように、電極が十分に近接して配置されるように選択することができる。これらのアレイのサイズおよび形状は、関連する用途または必要とされる複合構造体のために適切に変更および縮尺変更することができる。例えば、アレイは、100個の電極の二次元マトリックスを含むことができる。さらに、電極は、領域間で共有されてもよく、すなわち、それらは空間的に配置され、回路に電気的に接続されてもよく、そのようにして一度に2つ以上の湿潤流体領域に電界を発生させ、異なる領域からの接合された構造体の迅速な生成をもたらすことができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、細長い電極の櫛状のアレイを使用することができ、アセンブリ上の電極のラインのすべての他の電極は、例えば自動化された機構を介して可動である。これにより、長い複合的な細長い構造体が、アレイ内の電極が静止している配置において必要とされるよりも広い電極間隔、したがってより少ない電極で形成されることが可能になる。このような実施形態では、静止電極と可動電極の各対は、電極の各対の間の成長プロセスを個々にかつ精密に制御できるように、それが接続される別個のまたは独立した電気回路を有することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、平行なラインは、「第1の」可動電極の櫛状構造体を「第2」の可動電極の平行櫛形アレイと共に設け、第2の櫛型電極がその上に配置された流体を有する湿潤領域に沿って引き出されるように、それらの間の分離を増加させることによって形成されてもよい。
【0075】
このように、複数の電極対の配置が想定され、その各々は、細長い構造体の迅速かつ並列な形成を可能にする。
【0076】
いくつかの実施形態では、基板表面は電気絶縁材料を含むことができる。さらに、基板表面は、基板を電気導体として作用させる有効な導電性を有することができる。構造体が形成される表面の導電性は、アセンブリプロセスに影響を及ぼす。金属表面または高い導電率の表面の場合には、電流は流体を介してではなく基板を介して流れるので、電極間の電界は導電性の低い基板の実施形態とは大きく異なる。この場合、上記のようなアセンブリ工程は生じないので、表面が実質的に電気的に絶縁されていることが好ましい。
【0077】
本方法はまた、限定された程度の導電率を有する基板、すなわち、電極間の経路のコンダクタンスが、電流がナノ粒子の構造体を通って上述の範囲内の流体で流れるのではなく、電流が電極間の基板を流れるのに十分であるよりも低い程度の導電率を有する基板で実行することができる。
【0078】
さらに、狭い構造体を形成するいくつかの公知の方法は、導電性基板表面の使用に依存するので、本発明は、絶縁性または半絶縁性基板上にナノ構造体を形成する能力を提供するという点で従来技術に優る利点を提供する。
【0079】
以下に説明するように、基板表面が導電性である場合には、本発明による方法によって構造体を形成することも可能である。
【0080】
通常、基板表面は、ガラス、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートのいずれかを含む。この基板は、これらの実質的に絶縁材料から製造されるか、またはそれらを含み、流体を受け取る表面を有するプレート、フィルムまたはシートの形態であってもよい。
【0081】
通常、湿潤領域内の基板の表面は、1~10マイクロメートルの範囲の粗さ平均を有する。均一な構造体の形成のためには、均一で平坦で滑らかな表面が好ましい。しかし、本方法は、急峻な表面または傾斜した表面を有する基板上でも実施可能であることが想定される。
【0082】
基板は、光学的に透明、半透明または不透明であってもよい。種々の光学特性を有するこのような基板の選択は、本発明が使用される用途に依存する。
【0083】
基板の物理的柔軟性もまた変化することがあり、基板が剛性であろうと柔軟性であろうと、本方法を基板上で実施することができる。
【0084】
通常流体は、溶媒、界面活性剤、および有機バインダーを含む。流体の組成は、形成されたラインが乾燥プロセス中に壊れないように選択される。これは、流体中の添加剤の使用によって流体の表面張力を変えることによって行われる。
【0085】
本発明の方法を実施するために選択される流体の粘度は、広範囲の値の間で変化し得る。特定の粘度を有する流体の選択における重要な要因は、流体を表面上に堆積させるために適用される特定の方法である。例えば、インクジェット印刷インクは、スクリーン印刷インクとは異なる粘度範囲を有する。
【0086】
流体組成物の主要成分または主成分である溶媒は、有極性または非極性のいずれでもよく、または溶媒の混合物であってもよい。使用することができる種々の溶媒は、異なる沸騰温度を有することができる。しかしながら、本方法の乾燥プロセス中に流体を容易に蒸発させることができるが、湿潤領域内の構造体全体が組み立てられる前に流体が蒸発しないように、通常、流体組成物が選択されるが、この早すぎる乾燥が形成プロセスに悪影響を与えるためである。
【0087】
流体中の表面張力はまた、広範囲の値の間で変化し得る。しかしながら、低い表面張力値は、乾燥プロセス中の組み立てられた構造体の機械的応力を低減し、このようにして、乾燥プロセス中に形成された構造体が損傷するリスクを低下させることができる。
【0088】
流体中の2つ以上の溶媒の混合物、異なる沸点を有する異なる溶媒の使用は、流体の乾燥ダイナミクスを設計するために有用であり得る。
【0089】
通常、溶剤成分に加えて、流体は、インクジェットまたはスクリーン印刷インクと同様に、界面活性剤および有機バインダー、またはこれらの2つのうちの一方をさらに含む。界面活性剤は、0.01%~10%の質量分率などの流体中に非常に少量存在する場合であっても、流体の表面張力を低下させる機能を有する。典型的な界面活性剤は、市販の界面活性剤であるTriton X-100であってもよい。有機バインダーは、乾燥プロセス中に形成された構造体の表面への接着性を改善することができる。適切な有機バインダーの一例はグルコースである。流体中に存在する有機バインダーは、組み立てられた構造体の基板への接着を改善するグルーまたは接着剤として機能する。このプロセスは、典型的には50℃~500℃の範囲、より好ましくは100℃~250℃の範囲の温度レベルの上昇を必要とすることがある。
【0090】
流体中のナノ粒子の質量分率は、典型的には0.01%~10%の範囲であり得る。より好ましくは、流体中のナノ粒子の質量分率は、0.02%~5%の範囲にある。
【0091】
電界の印加に先立って、ナノ粒子は、領域上の流体全体に均一に分布することができる。流体全体にわたるナノ粒子の均一な分布は、均一な細長い構造体の形成にとって重要であり得る。交番電界の印加の前に、またはそれなしに、ナノ粒子が容易に凝集してはならないことが好ましく、この形成は、通常、ナノ粒子の各々に付着した安定化リガンドの役割である。
【0092】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子の中に含まれた流体を基板上に堆積させるステップは、基板上に流体を堆積させ、続いてナノ粒子を流体中またはその上に添加するステップを含むことができる。少なからず本発明の方法で使用するために調製された既製の形態で流体を供給することが有利であるために、ほとんどの実施形態は、通常、ナノ粒子が流体中に既に存在している基板上に流体を堆積させることを必要とするが、場合によっては、基板上に流体を堆積させる前にナノ粒子の一部または全部を流体に導入することが可能であり、または好ましい場合がある。これは、例えば、最初に湿潤領域に流体を堆積させ、その後に、乾燥したナノ粒子粉末を流体の上部に適用することによって達成することができる。これは空間的に均一ではないナノ粒子の異なる分布をもたらす。流体体積の表面張力は、ナノ粒子が流体体積全体に浸透するのを防止することができる。このような場合、すべてのナノ粒子が流体表面に残ることがあり、組み立てプロセスは、主として流体体積の表面上に組み立てられた構造体であるにもかかわらず、記載されたものと同様である。
【0093】
通常、流体は蒸発によって除去される。蒸発は、基板または流体への熱の適用によって起こるか、または加速することができる。さらに、流体は、流体を取り囲む気体または大気の環境圧力を低下させることによって除去することができる。いくつかの実施形態では、流体は、圧力低下または加熱を必要とせずに十分に迅速に蒸発するように十分に揮発性であるように選択される。
【0094】
そのような場合、流体の蒸発速度およびアセンブリプロセス速度は、構造体が形成される前または形成されてから長い時間の後ではなく、構造体が形成された直後に、流体が蒸発するように最適化されるように構成される。
【0095】
いくつかの実施形態では、流体の蒸発速度は、上記のように流体に熱を加えることによって増加する。流体に熱を加えることにより、基板内への組み立てられた構造体の接着を増加させることができ、これは流体内のバインダーによって助長することができる。
【0096】
さらに、少なからず、通常、ナノ粒子は同じ材料からなるバルク構造体よりもはるかに低い温度で溶融するので、熱の適用は、組み立てられたナノ粒子構造体の表面を溶融させることがある。このようにして、構造体と基板との間の接着もまた達成されるか、または増加することができる。
【0097】
好ましくは、本方法は焼結プロセスをさらに含むことができる。このように、組み立てられたナノ粒子の構造体は、加熱によって、さらに場合によっては構造体を圧縮することによって、固体、半固体または多孔質の塊にさらに凝集させることができる。組み立てられた構造体は、流体の乾燥または除去後に機械的に安定になり得るが、焼結プロセスによって、個々のナノ粒子が融着することが可能になる。例えば、実質的に円筒形の、融着した細長い構造体の代わりに小さな液滴または島を形成させることによって、所望のパターンを損傷するおそれがあるので、ナノ粒子の完全な液化は好ましくは避けるべきである。これは、金属または導電性ナノ粒子が本方法で使用される場合に、改善された導電性経路を生成するために、導電率が増加した、より強固で安定した細長い構造体の形成をもたらす。
【0098】
本発明の方法を使用して量子ドットが形成されるようないくつかの実施形態では、焼結された量子ドットが量子閉じ込め効果を失うかまたは忘却する可能性があるため、焼結ステップは実用的ではない。そのような場合、量子ドットまたは他のナノ粒子を併せて焼結せずに、構造体を乾燥させるだけである。
【0099】
いくつかの実施形態では、焼結プロセスは、上記のように、組み立てられたナノ粒子を合体させて、組み立てられた構造体の硬度を増加させる。耐久性の増大、物理的強さまたは引張り強さ、あるいは構造体の焼結による破損または損傷に対する耐性は、多くの用途において有益である。個々のナノ粒子の焼結は、構造体に非常に高い圧力を加えることによって達成することができる。このような場合、流体はこのような焼結プロセスによって除去されず、一方、熱による焼結では、焼結および乾燥ステップを組み合わせることができる。したがって、本発明の大部分の可能性のある工業的用途において、熱の適用は、高圧技術に優先して焼結の選択された方法であることが好ましい。
【0100】
好ましくは、焼結プロセスは、基板への組み立てられた構造体の接着を増加させる。したがって、増加した接着は、加熱または乾燥プロセスによっても達成することができるので、焼結および乾燥のいずれかまたは両方が、構造体の基板への接着に寄与し得ることが理解されよう。
【0101】
通常、ナノ粒子の直径は1~500ナノメートルの範囲である。より好ましくは、ナノ粒子の直径は10~100ナノメートルの範囲である。この直径は、通常、球状粒子の場合には、任意の軸線で粒子を横切る平均直線サイズによって定義される。ナノ粒子が非球形または様々な形状を有する場合には、ここに記載された直径測定は、任意のアクセスで粒子を横切る最小、最大または平均直線サイズに対応することができる。ナノ粒子は、ナノスフェア、ナノキューブ、ナノロッドまたは他の任意のナノ粒子形態のうちの1つまたはいずれかを含むように選択することができる。
【0102】
好ましくは、ナノ粒子の比誘電率は流体の比誘電率とは異なる。本発明の方法には、ナノ粒子と流体の実効誘電率が互いに異なることが有益である。これらの値の差が大きくなればなるほど、誘電泳動によって構造体がより容易かつ効率的に組み立てられる。ナノ粒子の実効誘電率が高度に類似していると、細長い構造体の組み立てがより困難になるかまたは達成できなくなる可能性がある。いくつかの実施形態、および導電性の細長い構造体が必要とされる特定の実施形態では、ナノ粒子は導電性材料を含む。本方法を上記の方法で最も効果的に実行するためには、組み立てられた構造体は、構造体自体が、それが形成される電極の延長部として作用し得る十分な程度の導電性を有すべきである。例えば、金属ナノ粒子の選択は、これを達成するのに適している。上記のように、このようなナノ粒子の選択は、マイクロワイヤまたはナノワイヤなどの導電性構造体をもたらす。形成されたワイヤのコンダクタンスは、構造体に組み立てられた後にナノ粒子を互いに融着することによって補助されてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、半導体材料を含むことができる。多くの適切な半導体材料が知られており、半導体の細長い構造体またはパターンが必要とされる場合に本発明の方法での使用に適したナノ粒子に形成することができる。ナノ粒子は、例えば、ZnO、TiO、CdTe、CdS、銅インジウムガリウム(ジ)セレニド(CIGS)、またはコア-シェルナノ粒子の組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0104】
そのような用途は、形成する構造体の半導体特性が、構造体自体が第1の電極の延長部として作用することができず、したがって、成長する構造体先端部と第2の電極との間のアセンブリ領域において感じられる誘電泳動力によって引き起こされる細長い構造体の成長を妨げるかまたは困難にする可能性があるという点で、本発明の方法の課題を提供する。構造体を成長させるためにはある程度の導電性が必要である。半導体材料は、電子が半導体材料中に存在することができる、結合状態と自由状態との間のエネルギーのギャップである、既知または所定のまたは監視されたエネルギーバンドギャップを有することができる。本方法は、半導体材料のバンドギャップ以上の光子エネルギーを有する放射に、領域上の流体を暴露すること、または構造体を暴露することをさらに含むことができる。
【0105】
したがって、半導体構造体が形成される場合には、アセンブリプロセス中に流体の照射を含めることが有利である。照射光の波長は、放射の光子の実質的な割合のエネルギーが半導体ナノ粒子のバンドギャップよりも高くなるようなものでなければならず、したがって伝導バンド内の光生成キャリアは、材料を導電性にして、材料が延長電極として作用することを可能にするのに必要な導電性を提供することができる。
【0106】
ナノ粒子構造体が組み立てプロセス中に暴露される適切な照明波長を選択することにより、そうでなければ不十分に導電性のナノ粒子構造は、必要な電界条件が構造体の成長端部で生成され、細長い構造体が第2の電極に向かってさらに延長され得るほどに一時的に導電性にされる。
【0107】
本発明者らは、導電性ナノ粒子を含む実施形態が、非導電性または半導体性のナノ粒子、例えば量子ドットを用いて達成することができるよりも高速で、より狭いラインの厚さで形成される細長い構造体をもたらすことを認識した。したがって、上記のような追加の照明は、適切な選択された波長の光による照明を使用してアセンブリプロセス中に半導体粒子の光伝導性を誘起することによって、導体ではない粒子を使用する方法を改善するのに有益であり得る。このようにして、本方法によって提供される印刷適性がさらに改善される。
【0108】
さらに、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、すべて同じ導電性クラスのナノ粒子からなる代わりに、金属粒子、または導電性粒子および半導体粒子の混合物を含むことができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本方法は、電着または無電解または自己触媒めっきによって、細長い構造体の外側に金属層を適用するステップをさらに含む。これは、ガルバニックバスめっきプロセスの適用によって達成される材料の添加によって、形成された細長い構造体の厚さ、幅または高さが増加することになる可能性がある。これは、例えば、銅めっき溶液を用いて行うことができる。ラインの厚さを増やすことに加えて、そのようなプロセスは、特定の用途によって必要とされる場合には、形成されるラインの導電性を改善することができる。例えば、銅の堆積は、ナノワイヤの導電性を増加させる。ナノ粒子アセンブリは、めっき浴プロセスに耐えるのに十分に強固で安定でなければならない。
【0110】
本発明によれば、上記の方法に従って製造された、その上に形成された細長い構造体を有する基板も提供する。そのような細長い構造体を有する基板は、基板がある範囲の物理的、機械的、光学的、表面形態学的および電気的特性を有することができる点で特に有利であり、その上に形成される構造体は、例えば350ナノメートルまたは100ナノメートル未満の狭い幅の超微細な構造体であるが、その長さに沿って均一な幅および断面サイズを有するとともに、有利には導電性または半導体特性を有することが理解されよう。したがって、本発明による基板は、広範な技術的および工業的用途に有用であり得る。例えば、1つの用途は、ラインの幅が狭いために、このような表面の非常に高い光透過レベルを維持しながら高レベルの表面伝導性を得るために、導電性のラインのセットまたは交差メッシュでガラスまたは箔を覆うことができる。また、ラインの均一な断面プロファイルは、そのような複合的な細長い構造体を通して一様に高い信頼できるレベルの導電性に寄与することも理解されよう。このような基板は、例えばインジウムスズ酸化物の代替物のような透明導電性電極などの用途があり得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、基板は電気絶縁材料を含む。
【0112】
細長い構造体が形成される基板の表面は、いくつかの実施形態では、電気的に絶縁性であってもよい。
【0113】
好ましくは、細長い構造体は、構造体の細長い軸線に垂直で、かつ構造体が形成される基板の表面に平行な方向に構造体の範囲によって画定される、約100ナノメートル幅を有する。この幅の値は、細長い構造体の全長にわたる、またはその長さの特定の部分についての平均値または最大値であってもよい。例えば、流体の200~500nm幅の湿潤領域が堆積される場合、本発明の方法は、最終的な乾燥した構造体の幅を100nmまたはそれ以下にさらに縮小することを可能にする。
【0114】
好ましくは、構造体のアスペクト比はほぼ1に等しい。換言すれば、特定の点における構造体の高さは、その点における構造体の幅と等しいか、または同じ桁である。すなわち、断面の形状が実質的に正方形、円形、丸みのある四角形、または他の任意の形状であるかどうかにかかわらず、断面アスペクト比は実質的に寸法が正方形であってもよい。
【0115】
断面の形状が平坦ではなく、むしろその幅とほぼ同じ程度に高いナノスケールまたはマイクロスケール構造体が配置された基板を提供することは、物理的な堅牢性および完全性、ならびに電気的コンダクタンスの点で明らかな利点を提供する。
【0116】
形成された構造体の細長い軸線に垂直な平面内の断面の形状は、種々の実施形態の間で変化してもよい。
【0117】
このような好ましいアスペクト比は実用的ではなく、また、従来技術で知られている微細構造体を形成する方法では達成できない場合がある。
【0118】
本発明によれば、基板上に構造体を形成するための装置が提供され、本装置は、電気的に分極可能なナノ粒子を含む流体を基板上に堆積させるためのプリントヘッドと、プリントヘッドによって堆積された流体によって画定された湿潤領域に交番電界を印加するための第1の電極および第2の電極と、基板から堆積された流体を除去するための流体除去装置と、を含む。
【0119】
有利なことに、本発明による装置は、自己組織化ナノ粒子から形成された細いラインを含む構造体を基板上に印刷することができる。
【0120】
流体除去装置は、好ましくは、堆積した流体が蒸発する速度を増加させるための装置であってもよい。いくつかの実施形態では、流体除去装置は、ファンなどの送風機を含むか、またはヒーターを含んでもよい。このような装置は、本発明による流体内に細長い構造体が形成された後に、基板上のインクを有利に乾燥するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ヒーターは、基板の底部に熱を加えるように構成されたラジエータまたは電気または加熱素子などの装置を含むことができる。例えば、印刷するための基板をその上に配置することができる印刷テーブルを含むことができ、この印刷テーブルは、下から基板の全体または実質的にすべてに熱を加えるように構成されたヒーターを含むことができる。そのような均一な加熱は、乾燥プロセスを高速化する有利な効果を有することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、ヒーターは、プリントヘッドの近位の堆積された流体の領域上に放射熱を導くように配置された放射加熱ユニットを含むことができる。このような加熱ユニットは、レーザダイオード、レーザ、赤外線ヒーターなどの光加熱ユニットを含むことができる。これは、上述したように、基板下加熱または均一加熱の代わりに、またはそれに加えて、基板の目標領域またはその上の流体に局所的に熱を加える能力を提供する。いくつかの実施形態では、細長い構造体が形成される経路に沿ってプリントヘッドが移動するときに、プリントヘッドのすぐ後ろの領域に特異的に、または集中して熱を導くために、このようなターゲッティング可能なまたはフォーカス可能な加熱ユニットを使用することが有益である。流体乾燥プロセスを高速化し、それにより印刷プロセスを高速化することに加えて、このような局所的な熱の適用は、個々のナノ粒子が溶融または融着してより粘着性の構造体を形成する焼結プロセスを局所的に活性化することもできる。特に、集中レーザ光源またはレーザダイオード光源の使用がこの目的のために想定されている。このような放射加熱ユニットは、プリントヘッドに取り付けられるか、プリントヘッド上に装着されてもよく、または流体に熱を導くのに適した位置に別々に配置されてもよい。
【0122】
通常、第2の電極は第1の電極に対して移動可能である。したがって、可動の第2の電極を使用して、第1の電極から始まる延長された細長い構造体を印刷することが可能であり、第1の電極は、基板上の細長い構造体経路に沿った開始点で好ましくは静止していてもよい。
【0123】
好ましくは、電極の少なくとも一方は、尖った端部を含む細長い形状を有する。好ましくは、第2の電極は、プリントヘッドから流体を基板に供給するための導管を含む。流体が堆積される導管開口部またはノズルが内部に形成された尖った端部を含む細長い針の形態を有する第2の電極が好ましい。この形態を有する第2の可動電極は、流体泳動に適した比較的高い強度の交番電界の形成に寄与する役目も果たす、装置の同じ要素によって流体が堆積されることを可能にする。
【0124】
したがって、いくつかの好ましい実施形態では、第2の電極は、プリントヘッドの一部として形成される。実際、第2の電極はプリントヘッドを形成してもよいし、プリントヘッドは第2の電極自体であってもよい。
【0125】
通常、装置は、第1の電極と第2の電極との間に交番電界を印加するために、第1の電極および第2の電極への交番電気信号を制御するように構成された信号コントローラをさらに含む。信号コントローラは、電流が1~10,000μAの範囲のAC振幅と0.1~1000.0μAの範囲のDCバイアスと、を有するように構成することができる。上記のように、そのような構成は、いくつかの実施形態において有益であり得る。
【0126】
通常、装置はプリントヘッドを移動させるための機構をさらに含む。これは、プリントヘッドまたは第2の電極の位置を特に調整してプリントヘッドを基板にわたって移動させ、それにより流体が堆積され、細長い構造体を組み立てることができる経路をトレースするようにコンベヤまたはアクチュエータの任意の形態を含むことができる。
【0127】
好ましくは、機構は、構造体が形成される基板の領域の表面と実質的に同一平面であるX-Y平面内でプリントヘッドを移動させるように構成される。好ましくは、機構はまた、構造体が形成される基板の領域の表面に対して実質的に垂直なZ方向にプリントヘッドを移動させるように構成される。換言すれば、プリントヘッドまたは第2の電極は、機構によってX、YおよびZ方向によって示される三次元で移動可能である。したがって、移動電極の高さは、非平面または平面上に印刷することができるように、基板の表面プロファイルに応じて変化してもよい。Z軸におけるこのような可動性は、湾曲した、傾斜した、または粗い表面上の印刷に特に有益である。
【0128】
通常、本発明による基板表面上に堆積されるインクの量は、ナノ粒子インクが重力のために逃げたり移動したりすることなく、湿潤領域内に留まるように、十分に低くなる。ナノ粒子含有インクの寸法、量、および流体特性は、インクと基板との間の接着力が、他の方法で流体を湿潤領域から移動させたり変位させたりする可能性のある重力による力よりも強くなるように選択することができる。堆積したインクの量が十分に低いため、堆積したインクの質量は、インク体積の重量がインクが移動しないようにする力よりも小さくなるように十分に小さくてもよい。さらに、平坦でない表面用途で使用されたときにインクが逃げたり移動したりすることを回避するために、いくつかのパラメータを制御することができる。
【0129】
例えば、インクと基板との間の接着性を改善するために、多種多様なバインダーまたは接着促進剤をインクに添加することができる。
【0130】
さらに、基板の表面自由エネルギーは、化学的処理またはプラズマ処理によって変更することができる。プラズマ処理によって、濡れ性を増加させるなど、所望の湿潤領域から堆積したインクが流出するのを防止するのに役立つ表面特性を達成することができる。
【0131】
さらに、粘度および表面張力は、傾斜したまたは湾曲した基板のような表面上の堆積したインクの動きまたは挙動に影響を及ぼす可能性がある流体インク組成の重要なパラメータであり得る。これらの特性の両方は、表面が生成されるときに生じる分子間結合の破壊を定量化する表面エネルギーに関連する。したがって、これらの2つのパラメータを変更して最適化することは、例えば、粘度および表面張力を増大させ、それによって堆積したインクが堆積した表面領域または湿潤領域に留まることを促進するために有益であり得る。
【0132】
通常、装置は、プリントヘッドの移動を制御するプリントコントローラをさらに含む。これは、所望の細長い構造体パターンに従って基板を横切ってプリントヘッドまたは第2の電極を移動させるように、前述の機構に制御信号を提供するためのコンピュータにより操作されるまたはユーザにより操作される装置であってもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、装置は、プリントヘッドと基板との間の距離の表示を含む距離信号を出力するように構成された距離センサをさらに含む。そのようなセンサは、平坦でない表面を収容し、プリントヘッドの高さを表面から上に一定の高さまたは好ましい高さの範囲に維持するために、印刷される基板の表面の上のプリントヘッドまたは可動の第2の電極の高さを監視するために使用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、プリントコントローラは、距離信号を受信し、プリントヘッドと基板との間の最適距離を維持するように、距離信号に従ってプリントヘッドの移動を制御するように構成することができる。最適な距離または垂直高さは、成長する細長い構造体の端部に粒子が集まる流体の領域における誘電泳動力が最大化されるか、またはアセンブリのための最適なレベルになるようにすることができる。言い換えれば、装置は、距離センサによって監視されるデータを使用して、電極またはプリントヘッドが表面を横切って移動する間の任意の所与の点において、電極を表面上の正しい高さに自動的に維持する電子制御システムを含むことができる。距離センサは、プリントヘッド内に含まれてもよく、または装置内のプリントヘッドとは別個に配置されてもよい。移動電極と基板との間の垂直距離の測定は、この理由により有益であり、したがって、検出器ユニットは、第2の電極に取り付けられてもよい。例えば、検出器ユニットまたは接触センサまたは非接触センサなどの距離センサを使用することができる。これらのタイプのセンサのいずれかの選択は、その透明性、粗さ、および硬度を含む基板の特性に依存してもよい。
【0134】
例えば、レーザ干渉計に基づく光センサまたは強度に基づくセンサは、有利な分解能および作動距離が達成されることを保証することができる。両方の場合において、光ファイバを移動電極に取り付けられたセンサに使用してもよい。
【0135】
物体のサブ波長(ナノメートル範囲)の変位を測定するためのレーザを用いる、マイケルソン干渉計構成を使用することができる。干渉計は、干渉計の2つのアームからの信号を組み合わせる。これらはまず振動ミラーに導かれ、次に移動電極に取り付けられ、表面に導かれる。両方の信号が結合され、干渉パターンから垂直距離を計算することができる。
【0136】
強度に基づくセンサも使用することもできる。この場合、光ファイババンドルを第2の電極に取り付けることができる。ファイバのうちの半分は光を透過し、他は表面から反射された光を受ける。表面から反射される光の量は、垂直距離を計算するために使用することができる。
【0137】
距離センサは、プリントヘッドに取り付けまたは装着されてもよく、またはセンサがプリントヘッドの高さを基板上で測定または監視し得る装置の任意の部分に配置されてもよい。
【0138】
商用の高精度接触センサによっても、分解能と作動距離を達成することができる。ペンシル/針型センサ内部の変位測定に光学またはCMOSセンサを使用することにより、1μmに近い精度が達成される。
【0139】
任意の種類のセンサからの信号を、表面と移動電極との間の正確な距離に高さを調整するためのフィードバックとして使用することができる。
【0140】
通常、装置は、流体を収容するリザーバをさらに含むことができる。これはプリントヘッド内に形成されてもよいし、流体は、ダクトを介してプリントヘッドの外側の遠位リザーバからプリントヘッドに供給されてもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、装置は、プリントヘッドの画像を取り込むように構成された画像センサをさらに含むことができる。これは、プリントヘッドまたは印刷が実行されている基板の領域を含む視野を有するカメラまたは顕微鏡を含むことができ、プリントヘッドまたは第2の電極の制御または移動を制御または精緻化するために使用され得る視覚データまたは画像データを提供することができる。画像データは、センサによって連続的に収集されてもよく、基板のトポグラフィに従って第2の電極の動きを調整する自動化されたコンピュータ制御システムのいずれかによって利用されてもよく、あるいはオペレータが手動でプリントヘッドの動きを全体的にまたは部分的に制御することによって用いられてもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、プリントヘッドは、特に、基板表面上のアライメントマークまたはシンボルまたは基準点を監視または認識するように構成された光学カメラまたは画像センサを使用して、上述のコントローラによって自動化された方法で位置決めおよび移動されてもよい。したがって、装置は、これらの実施形態では、印刷開始位置を基板上に自動的に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、オペレータは、画像センサからの画像フィードを視覚的に監視することによって、第2の電極が細長い構造体を印刷する経路を手動で制御することができる。
【0143】
以下の添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0144】
図1】本発明による方法を示す流れ図である。
図2】本発明による第1の例示的な方法の第1のステップを示す概略図である。
図3】本発明による第1の例示的な方法の第2のステップを示す概略図である。
図4】本発明による第1の例示的な方法の第3のステップを示す概略図である。
図5】本発明による第1の例示的な方法の第4のステップを示す概略図である。
図6】本発明による第2の例示的な方法の第1のステップを示す概略図である。
図7】本発明による第2の例示的方法の第2のステップを示す概略図である。
図8】本発明による第2の例示的な方法の第3のステップを示す概略図である。
図9】本発明による第2の例示的な方法の第4のステップを示す概略図である。
図10】本発明による方法により製造された例示的な細長い構造体の上面図を示す概略図である。
図11】本発明による第3の例示的な方法を示す概略図である。
図12】本発明による第4の例示的な方法を示す概略図である。
図13】本発明による第5の例示的な方法を示す概略図である。
図14】導電性基板上の流体内のナノ粒子からの構造体の形成を示す概略図である。
図15】本発明による第6の例示的な方法を示す概略図である。
図16】本発明の第7の例示的な方法による基板の断面上に形成される細長い構造体の断面の斜視図である。
図17】本発明の方法による、表面が急峻な側壁を有するトレンチを含む基板上における細長い構造体の形成を示す断面図である。
図18】本発明による第8の例示的な方法を示す概略図である。
図19】本発明による第8の例示的な方法を示す概略図である。
図20】本発明による第9の例示的な方法を示す概略図である。
図21】本発明による第10の例示的な方法を示す概略図である。
図22】本発明による第10の例示的な方法を示す概略図である。
図23】本発明による例示的な装置の斜視図および側面図である。
図24】本発明によるさらなる例示的な装置の側面図である。
図25】本発明による装置および方法の例示的な用途を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0145】
図1図5を参照して、基板上に構造体を形成するための方法100について説明する。本方法は、ある量の流体2が基板3の表面上に堆積されるステップ101から始まる。したがって、基板3の表面の湿潤領域4は、上に流体が配置された表面の領域によって画定される。この流体は、100nmの直径を有する銀ナノ粒子の形態の電気的に分極可能なナノ粒子(図示せず)を含む。流体中のナノ粒子の質量分率は0.2%である。流体の主成分は、エチレングリコールの形態の溶媒である。この流体はまた、グルコースの形態の安定剤を含有し、この安定剤は流体中の質量分率が0.6%である。
【0146】
堆積させるステップは、図2の矢印で示され、毛管力堆積によって行われる。基板は、ガラスのシートまたはプレートを含むことができ、または金属、導電性、半導体または電気絶縁性の箔を含むことができる。図2の上面図から明らかなように、流体は基板を横切る直線に沿って配置され、したがって、幅寸法よりも実質的に大きい長さ寸法を有する細長い形状を有する湿潤領域を画定する。湿潤領域の幅は約500μmである。湿潤領域の形状は、いくつかの異なる幾何学的形状のいずれかに対応することができる。この例では、基板上に同様に直線の形態である同様の形状の細長い構造体を生成する目的で、所定の幾何学的形状として直線が選択されている。
【0147】
この図示する例では、流体は、粘度および表面張力値を含む物理的特性を有し、堆積した流体が、流体の体積内で本発明の方法を実施するのに十分な基板表面からの高さを有するビードまたはラインを形成することを可能にする。
【0148】
ステップ102では、第1の電極6および第2の電極7が流体2に導入される。これを図3に示す。金電極6、7は、制御可能な電位を生成する回路12に電気的に接続され、2つの電極にわたる電位の表示を提供するための装置をさらに含むことができ、この装置は電圧計または電位差計であってもよい。図3に示す構造体形成プロセスの開始時に、2つの電極は、電極の先端部が湿潤領域上の流体の体積内に位置するように配置され、先端部は、基板3の表面に接していないが、基板3の表面に近接している。電極端部の基板表面への近接度は、実施例によって異なってもよい。本概略図では、第1の電極6と基板3の表面との間の距離は、組み立てられる構造体の予想される、または所定の、または構成される高さ寸法にほぼ対応するものとして示されている。すなわち、電極は、電極6の先端部から形成される構造体が基板3の表面に非常に接近または接触して組み立てられるような高さに配置されているものとして示されている。しかしながら、組み立てられた構造体の高さは、基板表面上の電極の高さとは無関係であってもよい。いくつかの実施形態では、流体体積内の電極端部の高さは、電極間の流体中に浮遊するようにライン構造体が組み立てられ、その後に、乾燥段階の間に基板と接触するような高さである。細長い構造体の高さ、すなわち構造体の上部から底部までの測定値は、構造体の幅とほぼ同じであってもよく、構造体は約1のアスペクト比を有するほぼ円筒形であってもよい。電極6と電極7との間に交番電位を発生させるための電気回路12を構成することにより、交番電界が領域上の流体に印加される。
【0149】
2つの電極間の選択された開始距離と共に、印加された電界の交番周波数および振幅、ならびにDCバイアスの振幅は、電極間の領域9に存在する電場強度および勾配により、分極可能なナノ粒子が誘電泳動力を受け、第1の電極6上に集合し始めるようなものである。この例では、電極間に印加される電圧は、AC周波数が10kHz、AC振幅が70V、DCバイアスが1.5Vである。これにより、AC振幅400μAでDCバイアスが1μAである電流が印加される。不均一電界は、少なからず電界を発生させる電極に向かう電界の勾配または発散のために、誘電泳動によるアセンブリに役立つ。電極の形状は、そのような不均一な電界を生成するために部分的に選択され、各電極は細長い構造体、好ましくは尖った端部(図示せず)を有する。
【0150】
電極に印加される電位は、2つの電極のうちの一方、この場合は第1の電極6に優先的にナノ粒子を組み立てるDCバイアスを有するようにさらに構成されている。第1の電極6は、領域上の流体の第1の端部16またはその近傍に配置されていることも分かる。これは、構造体が形成され始める湿潤領域内の位置(本例では第1の電極の開始位置によって決定される)が細長い湿潤領域の先端部に位置するように行われ、領域の長さの実質的に全体に沿って延在することにより、領域内で可能な限り長い構造体を形成する。
【0151】
ステップ103では、複数のナノ粒子が組み立てられて、第1の電極から第2の電極に向かって延在する細長い構造体10を形成する。この複数のナノ粒子は、アセンブリ9の領域に十分に近い領域の流体内の粒子に対応し、複数のナノ粒子が電極6に引き付けられて凝集し、構造体10の成形を始めるという点で、電界条件は誘電泳動によって粒子を組み立てるのに有益である。
【0152】
電極間の電界の方向により、構造体10が流体内の粒子の構造体への漸進的な付加により成長するにつれて、組立構造体は第2の電極に向かって成長または延長する。
【0153】
現在の例示的な方法では、第2の電極7はプロセス中に移動可能であり、湿潤領域の細長い軸線に沿って移動し、第1の電極6から50μms-1の速度で引き離される。図4では、第2の電極7は、湿潤領域上の流体の長さに沿って移動し、第1の電極6の位置から遠位にある湿潤領域の端部に実質的に到達したものとして示されている。図3および図4から明らかなように、この例示的な方法では、湿潤領域の長さに沿って流体全体に分散されたナノ粒子が集められて細長い構造体10が形成され、その形状は第2の電極7が沿って移動する経路に対応する。第2の電極は、細長い湿潤領域の形状に対応する経路に沿って移動し、この場合の組み立てられた構造体は、湿潤領域上の流体に沿ってその内側に組み立てられたナノ粒子の集合体であることが理解されよう。したがって、ある量の流体を特定の細長い幾何学的形状、この場合は単純な直線に、基板上に堆積させ、適切な交番電界を印加しながら適切な速度で流体の長さに沿って第2の電極を引き出すことにより、流体全体にわたって最初に分散された分極可能なナノ粒子が、領域内の流体のラインの寸法よりもはるかに小さい高さおよび幅を有する、流体内の微細構造体に集められる。
【0154】
図3に示す長さから図4に示す長さへの細長い構造体の成長は、第2の電極が移動する速度ならびに電極に印加される電位の特性を維持することによって達成される。これは、アセンブリ領域9に粒子を引き付ける誘電泳動力のために、第1の電極6に接続された構造体10に集束してそれに組み立てられるナノ粒子により構造体が成長する際に、このアセンブリ領域は、電界条件によって構造体の端部11上に分散したナノ粒子が集められる領域であって、構造体が成長するにつれて構造体10の端部11と共に効果的に移動するようにして行われる。ナノ粒子は十分に導電性であるので、図3の初期段階または初期形成において示す構造体10の形成は、第1の電極6の範囲を効果的に増加させ、この電極に印加された電位が構造体10を貫通して、構造体10の端部11が第1の電極6の端部19として効果的に作用する。このようにして、構造体10を形成する前に、第1および第2の電極6、7の尖った端部19、20によってそれぞれ生成される最適な電界強度および勾配が、構造体の端部11と第2の電極7との間に生じる。これは、第2の電極をこのような速度で移動させることによって、および電位特性を調整することによって達成され、必要な誘電泳動力が、構造体の端部11と第2の電極7との間の領域9の近位の流体中に分散されたナノ粒子によって経験され、構造体10が徐々に成長して、それに応じて端部11および電極20の位置が湿潤領域の長さに沿って移動する。
【0155】
ステップ104では、構造体が組み立てられて所望の形状または幾何学的形状を形成すると、流体が除去され、細長い構造体が基板上に残る。乾燥プロセス中に交番電界を印加し続けることは有益であり得る。この段階でAC信号をオンに保つことにより、ナノ粒子がもはや自由でない、または動くことができないほどのわずかな流体が残るまで、誘電泳動的アセンブリ作用がナノ粒子をそれらの組み立てられた構造体に維持し続けることが可能になる。次に、流体が除去されたことによりナノ粒子が構造体内の組み立てられた位置に固定された後に、信号をスイッチオフすることができる。この例では、ステップ101において、領域上の流体中に最初に存在していたナノ粒子の実質的にすべてが、ナノスケール幅の細長い構造体10に集められる。したがって、図5に示すように、本例の蒸発による流体の除去によって、基板上に形成された集中された超細導電性銀ラインまたはワイヤが得られる。このラインの幅およびその高さは、(例示目的のために記載した図面には示していないが)堆積した流体ライン2の幅および高さよりもかなり小さくなり、好ましくはそれよりも3桁小さくなり得ることが理解されよう。
【0156】
さらに、乾燥プロセスは、構造体、流体、および基板のうちの1つまたは複数に熱を加えることによって加速される。この例では、基板または流体を130℃の温度に15分間加熱するとによって、構造体が乾燥し安定化される。この熱の適用は、構造体10と基板3との間の接着を増加させ、したがって、基板に接着された安定した超細ワイヤを生成する。
【0157】
追加のステップとして、アセンブリは、例えば150℃の温度に15分間加熱することによって、焼結プロセスを受けることができる。
【0158】
任意選択的に、形成されたワイヤ構造体またはパターンは、その後に、ガルバニックバスまたは電着を使用して選択的にめっきされてもよい。
【0159】
図6図9を参照して、前の図面に示したものと同様の装置を使用して実施することができる本発明による第2の例示的な方法を説明する。本例は、線状の細長い湿潤領域に沿って基板上に流体を堆積させるのではなく、丸みのあるまたは実質的に円形である基板の湿潤領域上に最初に流体の液滴またはしずくを堆積させる点で、第1の方法とは異なる。上記の説明に照らして理解されるように、本発明の方法を用いて形成された構造体の形状は、構造体を構成するナノ粒子を含む流体の湿潤領域の形状によって大きく決定されるので、本例は、通常、前の図面に示したものと比較して、比較的短い構造体を生成する目的で実行される。
【0160】
本例における湿潤領域の形態は先に示したものとは異なるが、本方法のステップは上記のものと同様であり、細長い構造体の形成に関与する誘電泳動機構は同じである。流体の液滴の堆積は、図6の矢印で示される。これに続いて、図7に示すように、第1および第2の電極を流体2の液滴に接触させ、流体2の液滴中に入れる。液滴2の寸法は、電極の端部19、20の間の領域9内の構造体を組み立てるのに適した電界条件が、電極6、7を液滴2の両側に配置して、前の例と同様の大きさの電位を印加することによって生成することができるようなものである。図2図5に示す前の例では、流体の細長いラインの対向する端部に電極を最初に配置することによって構造体を組み立てることは、実用的ではない。これは、電極間の距離が非常に大きいために、構造体形成のために十分な強度の電界を生成するのに必要な電位が非常に大きく、ナノ粒子に望ましくない電流および力などの有害な影響が生じることになるからである。このような初期電極の配置は、前の例に適用した場合にも不利になるが、それは、上述したように、電極6と7との間に(そして最終的には構造体端部11と第2の電極7との間に)比較的局在したアセンブリ領域9が存在しないからであり、そうでなければ、本発明の方法に構造体の成長に対する有利な程度の制御を提供する。
【0161】
図7に示すように、本例のより短い細長い構造体が組み立てられると、第1の例と同様に、基板を乾燥することによって流体が除去される。形成された構造体を有する乾燥した基板を図8に示す。
【0162】
図9に示す段階では、液滴の除去に続いて、ナノ粒子を含む流体である第2の量のインク2’が、第1の領域に隣接する基板上の第2の領域に第2の液滴の形態で堆積される。次いで、短い細長い構造体を形成するプロセスが繰り返される。ナノ粒子含有流体の液滴内に細長い構造体の短いセクションを形成するこの技術を多数回繰り返して、複数の短い細長い構造体またはそのアレイを基板上に徐々に構築して、所定の二次元形態または幾何学的形状を有する上部構造または複合構造を形成することができることが理解されよう。したがって、この例示的な方法を使用して、細長い構造体の狭い幅によって非常に微細な空間分解能を有する複雑な二次元構造体を印刷することが可能である。
【0163】
ドロップ・バイ・ドロップ方式は、例えば、基板を横切って延在する比較的大きな流体のフィルムを適用し、その中に電極の動きに対応する形状またはパターンを有する構造体を形成することよりも有利な方法で、基板の上のナノワイヤ構造体またはパターン上に2Dマイクロワイヤを形成することを可能にする。一度に少量の流体を堆積させることによって、流体の量をより迅速かつ容易に乾燥させることができる。さらに、流体の大きなフィルムに優先して小さい湿潤領域を使用すると、細長い構造体から湿潤領域の縁部までの距離が比較的小さくなる。流体中の分散したナノ粒子のアセンブリは、粒子の感じる誘電泳動力に依存し、これは電界のアセンブリ領域9からの距離に依存しているので、小さな湿潤領域を利用することにより、所定の液滴またはライン中のすべてのナノ粒子が、アセンブリプロセスによって消費され、流体の乾燥に先立って、流体中に未集合または分散されたナノ粒子が全く残らないか、またはほとんど残らない。
【0164】
電界によって粒子に加わる誘電泳動力の範囲は、形成されたアセンブリまたはアセンブリ領域9の端部11から約500~1000マイクロメートルの距離内にあるナノ粒子がアセンブリ上に引き付けられ、消費されるような範囲である。これより大きな線形のサイズまたは幅を有する体積の流体を堆積させると、そのような体積の流体の周辺部の粒子が受ける誘電泳動力が、粒子をアセンブリ領域9に向かって移動させるのに不十分な強度になる可能性がある。
【0165】
さらに、複雑な二次元構造体を形成するためのドロップ・バイ・ドロップ方式の段階的アプローチは、原則的に、各液滴内に細長い構造体を組み立てた後に各液滴を非常に素早く乾燥させることができるという利点を提供する。各構造体が乾燥された後に、それは物理的に安定で丈夫であり、損傷や破損に強い。したがって、意図されたまたは所定の構造体またはマイクロワイヤ/ナノワイヤパターンを小さな構成部分に分割し、全体構造体を徐々に組み立て、各部分を別々に印刷および乾燥することによって、複合構造体が被る損傷および不均一性のリスクが低減されるが、それは、所与の時点では、それが損傷を受け易いその時の流体の液滴内に組み立てられている全体的なパターンの一部にすぎないからである。
【0166】
図10は、本発明による基板上に形成することができる2つの例示的な超細ワイヤ構造体の上面図を示す。AおよびBに示す構造体の各々は、第2の例示的な方法の段階的アプローチを用いて形成することができる。さらに、Aに示す構造体は、基板上にL字型の湿潤領域に沿って流体の細長いラインを堆積させることによって形成することができる。この場合、構造体の第1の端部23の位置に対応する領域内の基板上の位置に第1の電極を配置することによって、および、上述したように、全体構造の中間点24に対応するL字形領域の角に向かって直線に沿って、続いて点24からその領域内の点25の近位側、および点25より少し先の領域にある、形成された構造体10の第2の端部の位置に対応する点まで、第2の電極を移動させることによって、流体内のナノ粒子からL字型構造体を形成することができる。あるいは、Aに示す構造体10は2つの段階で形成され、各段階は流体インクの直線ラインの堆積とその中の線状構造体の形成を含むことが理解されよう。このような手法は、図10のBに示す構造体と同様の構造体を形成するのにも適している。この構造体は、第1の例示的な方法により、第1の端部23と第2の端部25との間に延在する線状構造体10を形成することによって形成されてもよい。続いて、第2の構造体10Aは、第1の構造体10と接続し、第1の構造体10内の点と一致する第1の点23Aと第2の端部25Aとの間に延在するように形成することができる。第2の構造体10Aは、第1の構造体10が形成された第1の湿潤領域から流体を乾燥させる前または後のいずれかに、本発明の第1の例の方法に従って形成することができる。さらに、第2の構造体10Aの第1の形成部分は、いずれかの端部23Aまたは25Aで開始することができ、すなわち、第2の構造体は、第1の構造体10との接続点23Aから成長させるか、または25Aで組み立てを開始し、点23Aに達するまで構造体10に向かって成長させることができる。
【0167】
図11は、本発明による第3の例示的な方法を示す。この例では、細長い構造体の長いラインが組み立てられる速度は、複数の電極の使用によって増加する。最初に示した例のように、電気的に分極可能なナノ粒子を含む流体2のラインが基板3上に堆積される。図11に示すように、交互に配置された正負の電極の櫛状の配置が提供され、電極は湿潤領域の形状に対応する直線状に配置される。電極間の間隔は、0.05と1センチメートルとの間であってもよいが、これよりも広いまたは狭い間隔も可能である。したがって、静止した櫛形電極構造は、湿潤領域4内に複数の部分領域4A~4Eを生じさせ、各部分領域は同様の構成を有し、したがって説明した第2の例の小さい湿潤領域2の構造体アセンブリと同様の構造体アセンブリをもたらす。
【0168】
上記のように、電極の交番電位の極性すなわちDCバイアスは、ラインに沿って交番する。この例では、各電極6、6A、6Bは、第2の例と同様の回路の一部を構成する。したがって、電極7は、第2の例の第2の電極と同じ機能を有し、湿潤部分領域4A内では、部分領域4Aの第1の電極から第2の電極7に向かって短い細長い構造体10Aが成長する。部分領域4Aの成長と同時に、同様の成長が部分領域4B内に見られる。電極7は、第2の電極として再び機能し、電極6Aは、電極7と共に、電極6Aから電極7に向かって短い細長い構造体10Bが成長するようなバイアス、周波数および振幅を有する電位を伝達する。したがって、一対の構造体10A、10Bは、それぞれの構造体が十分に成長して他の構造体に延びて接触するまで、部分領域4A、4Bを横切って成長する。図11から分かるように、湿潤領域4に沿って配置された交互極性電極の繰り返し対は、領域4C~4Eおよびそれを超える領域で構造体10C~10Eおよびそれ以降の構造体の同様の接合対を組み立てる。複数の位置で同時に互いに接合する構造体を形成することにより、先の例と比較して、長い細長い構造体を迅速に形成することが可能になる。例えば、本例の方法を使用して形成された1メートルの長さのマイクロワイヤまたはナノワイヤは、第1の例示的な方法を使用して500マイクロメートルのラインを形成するのと同じ時間に完全に形成することができる。
【0169】
本例による方法では、構造体成長速度は、異なる構造体10A~10Eのそれぞれの間で変化してもよい。構造体10A、10Bなどの隣接領域で成長する構造体が異なる速度で成長する場合がある。この差は、1つの構造体、例えば構造体10Aが、電極7などの電極と接触するように十分に速く成長すると、同時にかつ隣接して成長する構造体10Bなどの構造体がそうなる前に、2つの電極を接続する前者の構造体を通る導電経路のために、後者の構造体の成長が早期に停止することがある。したがって、成長速度が均一であること、またはすべてが同時に終点に到達することを保証するように、各構造体の成長を制御することが有益であり得る。しかしながら、そのような制御は達成するのが難しい場合がある。
【0170】
第4の例示的な方法が図12に示されている。第3の例示的な方法で提供された櫛状の電極構造体は、分離が変化しない静止した電極対と、比較的小さな部分領域における比較的短い細長い構造体の形成と、を含む点で、第2の例示的な方法に類似していたが、本例は、細長い湿潤領域と電極対を含み、一方の電極が他方から徐々に除去される点で、第1の記載した例に類似している。湿潤領域4A、4B、4Cにそれぞれ位置する電極対6と7、6Aと7A、6Bと7Bには、それぞれ構造体10A、10B、10Cが、各電極7、7A、7Bを矢印の方向に移動させることにより、第1の例と関連して説明したものと同様に形成される。これらの電極は、細長い領域4A~4Cが整列している線に沿って、各構造体が隣接する構造体と接合するのに十分に成長するまで移動する。領域4Aに形成された構造体10Aの場合、構造体は、電極6の端部の位置に対応する第1の端点23Aを有するように、不動の第1の電極6上で形成を開始する。次に構造体10Aは、構造体の端部11Aが23Bに達するまで電極7を移動させることによって成長され、領域4Bに同時に形成された第2の構造体10Bの第1の端部23Bと接続する。
【0171】
構造体が形成される各電極対は、複数の構造体のすべてが組み立てられる均一性を向上させるために、別々の電気回路に接続されてもよく、より均一な複合構造体を生成することができる。このために、電極の各対は、回路に接続されたフィードバックに基づくプロセス制御装置に接続されてもよい。このような装置の各々は、電流測定値または成長する構造体の画像からの視覚データのいずれかを用いて、それぞれの構造体の成長の速度、進行または状態を測定して、アセンブリ速度が構造体上のすべての位置で均一であり、全体的な複合構造体に沿って均一になるように、印加された電界に補正調整を適用することができる。
【0172】
複数の構造体の同時生成を可能にするこれらの櫛状の複数電極の方法のいずれについても、図示した例は説明目的のみであって、電極もしくは電極対の数、および複数電極の相対的な配置は、必要とされる複合構造の大きさおよび形成速度に応じて変えることができることが理解されよう。
【0173】
本発明による第3の複数電極の方法を図13に示す。この第5の例示的な方法では、電極対は、2つの平行な櫛形に整列した2つの櫛状構造体に配置され、各対が1つの櫛に第1の電極6A~6Dと、第2の櫛に第2の電極7A~7Dと、を含むように、複数の電極対の間に電位が印加される。図示した例では、基板3上の複数の湿潤領域4A~4Dはそれぞれ、それらの上に配置された流体ライン2A~2Dを有する。流体ラインは、ラインが互いに平行であり、それらの間の間隔が各櫛の隣接する電極間の間隔に対応するように堆積される。
【0174】
この例示的な方法を使用して、複数の平行構造体10A~10Dが、電極対の各々に交番電界を印加し、構造体10A~10Dが成長するにつれて、電極7A~7Dの第2の櫛を矢印で示す方向に動かすことによって形成される。したがって、この方法は、多数の平行構造体を生成するのに適しており、第1の例示的な方法と同様に、構造体を並行して組み立てることによって大幅に増加した速度で本例に示す直線から逸脱する対応する経路に従うことができる。
【0175】
基板3の材料の導電性は、構造体の形成に影響を及ぼす。これを図14に示す。この例では、構造体を組み立てられる基板13は導電性である。図に示す構成は、上で説明され、図2図5に示す第1の例の構成と同様である。第1および第2の電極6、7は、それらのそれぞれの端部19、20が基板13の表面上のある非ゼロの距離で流体2の体積内に位置するように配置される。基板は導電性であるので、電極間に印加される電位は、電極間の流体の領域に電界を形成することに優先して基板13を通って電流を流す。電流の経路は、ライン8によって概略的に示されており、電流は、第1の電極6の端部19から、最も抵抗の小さい経路を通って、点27の基板の表面への最短経路を経由し、基板を通り、基板表面の点28から第2の電極7の端部20までの最も抵抗の低い経路を経由して第2の流体領域を通る。
【0176】
したがって、導電性基板と共にこの構成を使用すると、各電極端部19、20の間の流体内のナノ粒子から、基板上の点27、28への電界線に沿って構造体の短いセクションが形成される。導電性基板の使用は、先に説明した例が生成することができる電極間の均一な超細構造体を製造することが困難になる。
【0177】
この問題は、本発明による第6の例示的な方法を示す図15に示す構成を使用して克服することができる。この例は、導電性基板13が使用され、電極6、7がこれを補償するために流体体積2内でより高い位置に配置されている点で第1の記載された例と異なる。さらに、流体は、電極6、7と基板13との間の電気抵抗を増加させる非極性溶媒などの非導電性溶媒を含む。さらに、第1の電極と第2の電極との間の初期分離は、好ましい電流経路のためのプロセスの開始時には十分に小さく、導電性基板の表面上のそれぞれの電極とそれぞれの点との間ではなく、2つの電極の間にある最小の抵抗の経路である。
【0178】
構造体10が流体ラインの上部の近くに形成されているこの構成から出発して、現在の例示的な方法は、上記の例の方法と同様の方法で第2の電極7を第1の電極6から離れるように移動させるステップを含む。この例では、堆積されたラインの高さが最大になるように流体組成を選択することも好ましく、迅速な乾燥および全ナノ粒子の消費のために有利に狭い流体ラインを維持しながら、電極と基板との間の物理的分離、したがって電気抵抗を最大にする。したがって、液体組成物は、そのようなより大きい体積の液体が基板表面上に存在し得るように、表面張力などのその流体特性に基づいて選択することができる。
【0179】
組み立てられた構造体10は、流体ラインの頂部の近くに形成され、乾燥プロセスまで流体中に部分的に浮遊し、基板表面に接触して付着する。このように、本例は、基板が導電性である場合に電極間に直線を形成するという問題を克服する。
【0180】
図16は、本発明による第7の例示的な方法を示しており、湿潤領域4の上に配置された基板3および流体ライン2の断面を示している。図16の斜視図は、流体ラインに沿って第2の電極7を移動させることによって形成される細長い構造体10を示す。図示したプロセスは、第1の記載された例と同様の方法で、または細長い流体ラインが使用される本発明による任意の方法で実行されてもよい。この図は、本方法が実行される基板の断面のみを示しており、特に、交番電界を印加するために電極7と共に使用される第1の電極は図示されていないことが理解されよう。この図は、基板上に流体のしずくまたはトラックを堆積させ、続いて流体内にナノ粒子を集中させることによって、基板上に実線構造体を形成することを可能にする本発明の利点を示しており、形成された線構造体は複数であり、また、流体体積2よりも桁違いに狭い。さらに、15で目に見える構造体断面図から明らかなように、横断面または輪郭またはその幅を横切る形成構造体は、その幅に匹敵する高さを有する。約1の断面アスペクト比を有するこのような構造体を形成する本発明の方法の能力は、これらの構造体が、導電性材料で構成されるか、または導電性材料を含む場合、交差断面プロファイルが、図16に示される構造体と比較して、比較的平坦であり得る代替方法によって形成される狭い構造体と比較されるときに、コンダクタンスを増加させるという利点をもたらす。図16に、基板上の構造体10および湿潤ライン4の幅が示されている尺度は、例示的な目的のみのためである。湿潤領域4の実際の幅は、例えば、1~1000マイクロメートルの範囲内であり得、流体内に形成される構造体の幅は、何倍もより狭くてよく、例えば、200ナノメートル、100ナノメートル、70ナノメートル、またはそれ以下の幅を有する。したがって、包囲流体体積のそれと比較した構造体の幅および全体の大きさは、図16に示すものよりもずっと小さくてもよい。
【0181】
図16は、本発明の方法に従って基板に流体を適用するためのさらなる変形例をさらに示している。第2の電極7は、図16に示す第7の例示的な方法において、実質的に円筒状のまたは他の細長い電極内にダクトまたはチューブの形態の導管18をさらに含む。第2の電極7の流体2に接触する端部は、第1の電極(図示せず)の対応する部分と共に主に電界を印加するが、導管18に接続された開口部26を含む。したがって、前に例示した例は、不均一電界を生成するのに適した尖端を有する実質的に神経形状の電極の使用を含むが、本例の第2の電極は、中空針として形成され、最適な電解形状を生成するために適切に成形もされるが、流体を通過させることができる管をさらに含む。
【0182】
電極7が、形成されるべき構造体10の所定の幾何学的形状によって画定される経路に沿って矢印によって示される方向に動かされると、構造体を形成するためのナノ粒子を含む流体22が、流体源またはリザーバ(図示せず)から示された方向に導管18を介して送出される。既に基板上にある流体2と類似または同一の組成を有する流体22は、開口部26から導管を通過し、基板3上に堆積される。このようにして、湿潤領域4を画定するために、電極7自体を基板に流体を送達する唯一の、または追加の手段として使用することができる。流体インクを堆積させ、粒子を凝集させて基板上に極細構造体を形成するように電界を印加するステップを組み合わせる能力は、別個の堆積および電界印加ステップを必要とする技術と比較して、製造プロセスを単純化し、より迅速に行うことを可能にする点で有利である。
【0183】
電極自体が、形成された構造体の形状を規定する経路に沿って移動している間に、電極を介して基板に流体を送達することは、形成される構造体の形状または幾何学的形状が、それは電極電界が印加される前に決定されるという意味で事前に決定される必要がないというさらなる利点を提供する。この意味において、構造体パスまたは幾何学的形状は、電界を印加する時点で、実施例1~6のそれぞれにおいて予め定められている。なぜなら、これらの先の実施例の各々における湿潤領域4のレイアウトまたは形状は、既に堆積している流体インクにより既に定義されているからである。したがって、図16に示す装置の方法は、ナノ粒子を含む細長い構造体を自由に描画または印刷することを可能にし、構造体の形状は、流体堆積および構造体形成が進行中にオンザフライで定義または決定される。
【0184】
導電体と電気絶縁体の導電率の間で導電率が変化する基板上に超微細構造体の形成を可能にすることに加えて、本発明の方法はまた、表面が平坦でなく不均一な基板上にそのような細長い構造体を形成することを容易にする。
【0185】
これが達成される方法を図17に示す。ここでは、構造体が形成される基板3の断面が示され、基板表面は、急峻な側壁33を有する少なくとも1つのトレンチ構造体31を含む。単純化のために、基板表面は、直線および面を含む規則的な形状を有する単一のキャビティまたはトレンチ33で示されている。しかし、この方法は、山、谷、および側壁を含む不均一な基板表面、または平坦でない表面、または角度が表面にわたって変化する表面法線を有する表面に適用することができる。図17から分かるように、流体2は、表面に堆積されたときに、それがトレンチ31を横切って分布するように流れる。流体2の体積の表面は実質的に水平であるが、流体はトレンチ31の中に下向きに延在する。細長い構造体10は、構造体が点23から点25まで均一な幅、厚さ、および高さを有する直線状に延在するように、上記の例と同様の方法で形成することができる。流体の乾燥の間、流体表面のメニスカスは、図に示す下向きの窪みを形成するようにトレンチ内に降下する。流体メニスカスがトレンチ内に落ち込むにつれて、トレンチの外側の基板表面よりも高い流体体積内のある高さにおいて実質的に直線状に形成された組み立てられた構造体は、低下する。トレンチ上に整列された構造体10のセクションが流体と共にトレンチ内に降下するように形状が変化すると、このセクションにおける構造体の長さは、側壁33の下の経路に続く連続したラインを形成するように増加するトレンチ31の底部を横切って延在する。構造体10の沈降および伸張のこのプロセスは、図17の中間点に示されている。
【0186】
このようにして、様々な深さまたは粗さプロファイルを有する基板上に、本発明による連続した破断していない極細ワイヤを形成することが可能である。
【0187】
第3の例の方法のような電極に接触する構造体によって悪影響を受けるプロセスの上述の論点は、図18および図19に示す第8の例の方法に示す技術によって対処することができる。この例は、時刻tから始まる多段階アプローチを含む。
【0188】
第1のステップでは、第1の電極6A~6Cと第2の電極7A~7Cとの対の櫛状の配置を用いて、それぞれの第1の電極からそれぞれの第2の電極に向かって延在する構造体10A~10Cを成長させる。電極は、第3の例のように、2つの異なる第1の電極から単一の共通の第2の電極に向かって成長する2つの構造体を有するのではなく、各構造体が異なる第2の電極に向かって成長するように、別個の対に配置される。
【0189】
時刻tにおいて、アセンブリプロセスは、各電極対の間に細長い構造体10A~10Cの各々を形成する。
【0190】
次いで、図19に示すように、電極7A、7Bおよび7Cの電気的極性が切り替えられ、細長い構造体を介して接続された電極の対の間に電界が感じられることによる誘電泳動力はない。本方法の第2のステップは、極性を切り替えることによって効果的に生成される7Aおよび7Bおよび6Cおよび6Bである、新たに形成された「第1」および「第2」電極対のそれぞれの間で構造体の残りの部分を成長させることである。これらの対の各々の間の流体の領域内に感じられる電界により、これらの領域に新しい細長い構造体10Dおよび10Eが組み立てられ、時刻tで部分的に成長した状態が図19に示されている。
【0191】
構造体10Dおよび10Eの成長速度が異なる場合、第3のステップが実行され、時刻tにおいて、いくつかの電極の極性が切り替えられる。この例では、10Dはt4で成長を終了しているのに対し、構造体10Eは電極6Bと6Cとの間の途中にのみ延在する。この場合、各電極6A、7Aの極性が入れ替わり、すべての構造体が接続されて連続的な複合構造体が形成されるように構造体10Eが成長し続ける。
【0192】
さもなければ、代わりに10Eが構造体10Dよりも速く第2の電極に向かって成長するならば、6Aおよび7Aではなく、6Cおよび7Cに印加される信号の極性が変化するであろう。
【0193】
この複数のステッププロセスは、第3の例の同時成長より長い複合構造体を形成するために全体的により長い時間を要するが、本例は構造体成長速度の変化の問題を緩和することができる。電極極性の切り替えが必要な点は、電極間の電位を監視することによって示すことができる。細長い構造体が電極対の間に電気的接触を生成するときに形成される短絡は、電位の有意で検出可能な低下を引き起こし、複合構造体の成長を継続するために極性を切り替える必要があることを示す可能性がある。
【0194】
第9の例の方法を図20に示す。本方法は、図19に示すように、時刻tからtまで成長させた構造体を有する、前の例のものと同様に開始される。
【0195】
この例は、時刻t以前にスイッチされるのが電極6A、7Bおよび6Cの極性である点で前の例と異なる。これにより、構造体10Dおよび10Eが、前の例の反対方向、すなわち第1の電極7Bおよび6Bの両方からそれぞれ第2の電極7Aおよび6Cの両方に向かって成長を開始する。
【0196】
時刻tにおいて、構造体10A、10Bおよび10Cを相互接続する構造体10Dおよび10Eによって連続的な複合構造体が形成されている。6つ以上の電極が使用される場合には、上述の第3のステップが本構成において必要とされる。
【0197】
第10の例の方法を図21および図22に示し、複数の電極対を有する長い複合構造体を形成するために、前の例と同じ極性のスイッチング原理を使用する。この例は同様に、電極対の櫛形アレイを使用し、単一の湿潤領域上の単一の連続的な容積または流体ライン内に細長い構造体を形成するのではなく、電極対がそれぞれ電界を別個の湿潤領域4A~4C上の流体2A~2Cの個々の容積に印加するという点で異なる。時刻t~tの間、基板上のこれら3つの選択的な湿潤領域内に細長い構造体10A~10Cが形成される。
【0198】
次いで、液体は、乾燥構造体10A~10Cを残して領域4A~4Cから除去され、その後、湿潤領域4Dおよび4Eを画定するために流体が基板上に選択的に堆積され、いくつかの電極に印加される信号の極性は、新たに堆積された流体の体積内のナノ粒子が、電極7Bおよび6Bから成長する細長い構造体に組み立てられ始めるように、切り替えられる。
【0199】
図22に示すように、時刻t~tの間、これらの新しい構造体10Dおよび10Eは、電極対7B、7Aおよび6B、6Cに印加された信号から生じる誘電泳動力によって組み立てられ、電極7A、6Cに向かって延在し、最終的に電極7A、6Cに達する。したがって、tでは、単一の長い複合的な細長い構造体が形成され、選択的に湿潤領域4D、4Eを乾燥させて、この複合構造体の残りの湿潤部分10D、10Eを基板に安定させて付着させることができる。この選択的な段階的湿潤技術は、電極対のアレイを使用して複合構造体を形成するための、より制御可能で、工業的にスケーラブルなアプローチを提供する。
【0200】
図23を参照して、本発明による例示的な装置を説明する。装置2301は、ダクト(図示せず)を含む針として形成された細長い電極2303を含み、それを通してナノ粒子含有流体インク2305が、ノズル2309を介してプリントヘッド2311(電極2303が取り付けられている)に配置されたリザーバ2307から送出される。
【0201】
図は、基板2315上に細長い構造体2313を形成するプロセス中の装置2301を示す。構造体2313は、静止電極2317(本発明の「第1の電極」に対応する)が基板2315に近接する点の間を通る経路に沿って形成される。静止電極の尖った端部2317Aは、この点での電界強度のために点2317Aでインク2305内のナノ粒子の初期蓄積を開始した構造体2313の組み立てにより、細長い構造体2313の第1の端部2313Aに接続される。図示した構造体の形状、すなわち印刷されたパターンは任意であり、例示的な目的のみのためである。
【0202】
移動しない電極2317は、支持体2318によって保持されているので、特定の与えられた構造体2313の印刷の間、静止したままである。このようにして、電極2317と構造体2313との間の接触は、電極2317と2303との間に印加された電流信号が、構造体2313を通って伝搬することを可能にし、その結果、細長い構造体の第2の端部(すなわち、「成長する」、「延長する」端部)2313Bと可動電極2303Aの先端部との間の領域に誘電泳動誘導力を生じる。支持体2318はまた、静止電極の先端部2317Aが、複数の細長い構造体2313を形成することができるように、基板2315上の異なる開始点で再配置することができるように、可動である。
【0203】
図23の側面図に示すように、第1および第2の電極2317および2303は、ロボットアクチュエータ2319および2320にそれぞれ保持される。これらは図示した形態でのみ図示されており、第2の電極2303を印刷経路に沿って移動させ、各印刷動作中に第1の電極2317を所定の位置に保持することができる任意の可動支持体またはアクチュエータを含むことができる。印刷動作は、所与の構造体を印刷する手順として理解することができる。
【0204】
装置はまた、基板2315が載る支持体2388の内部または下部に配置されたヒーター(図示せず)を含むことができる。これは、流体の蒸発を速めるために、基板下の加熱を提供することができる。
【0205】
斜視図に示すように、プリントヘッドは、加熱レーザビーム2323を基板上の点2315Cに向けるように配置されたレーザ2321をさらに含む。この点は、第2の電極2303によってトレースされた経路に沿って移動し、構造体2313を印刷して、その中のナノ粒子がその時点で組み立てられた直後に流体2305を加熱する。この図から分かるように、基板上に堆積した流体2305は、電極2303と乾燥点2315Cとの間にのみ実質的に延在しているが、それは、図示した段階では、始点2313Aと乾燥点2315Cとの間の細長い構造体2313に沿ったすべての点は、既にレーザ2321によって加熱されているからである。
【0206】
装置は、任意選択的に構造体内に導電性を誘導するための適切な波長を有する放射線で、2つの電極間の構造体の少なくとも一部を照射するように構成されたLED光源(図示せず)を任意に含むことができる。
【0207】
図24を参照すると、本発明によるさらなる例示的な装置の一部が示されている。図示した例では、細長い構造体2413は、傾斜領域を含む不均一な表面を有する基板2415上に組み立てられている。前の例のように、構造体2413は静止した第1の電極2417と移動する第2の電極2403との間に形成される。第2の電極2403は、伸縮アクチュエータ2442に保持されたプリントヘッド2440に再び取り付けられる。このアクチュエータは、プリントヘッド2440を昇降させることができ、基板2415の表面の異なる高さに対応し、印刷中のうねりを考慮に入れる。これは、プリントヘッド2440上のマイケルソン干渉計の形態の距離センサ2450を使用して達成される。センサは、センサと2415Aの垂直下方の基板2415の領域との間の図によって示される距離dを監視することができる。既知の長さlの電極2403と共に、この電極の先端部と、電極2403が印刷動作中に近づくことになる基板2415の領域2415Aとの間の垂直距離を計算することができる。これを使用して、図23の2360に示されるようなコントローラは、プリントヘッド電極2403の先端部が確実に上昇または下降することを保証するために、伸縮アクチュエータ2442を使用してプリントヘッド2440の高さを調整するために、基板2415の対向点2415Aの監視された高さに応じて適切な高さに調整する。これらの図のそれぞれにおいて、相対的なスケールは、説明のために変更されている可能性がある。例えば、図24では、流体体積2405の高さに対する構造体の高さが誇張されている。
【0208】
この高さ調節可能なナノワイヤ印刷装置の応用例を図25に示す。この例では、湾曲形状を有するコンタクトレンズ2570が基板として使用され、その上に細長い構造体2513が印刷される。静止電極2517は構造体の始点に位置し、第2の電極2503はプリントヘッド(図示せず)によってコンタクトレンズ2570の湾曲面を横切って移動し、流体インク2505を付着させる。有利なことに、電極2503の先端部の経路がコンタクトレンズ2570の輪郭に一致するように印刷高さが調整されるので、この装置および方法を使用してコンタクトレンズなどの物体の表面に超微細構造体を印刷することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
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図15
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図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25