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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】タンパク質精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/00 20060101AFI20220120BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20220120BHJP
   C07K 1/34 20060101ALI20220120BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
C07K16/00
C07K1/22
C07K1/34
C12P21/08
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018551087
(86)(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2017057685
(87)【国際公開番号】W WO2017167960
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-18
(31)【優先権主張番号】1605562.6
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514232085
【氏名又は名称】ユーシービー バイオファルマ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】サイモンズ、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ホッキング、サスキア
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-071629(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024514(WO,A1)
【文献】特開昭56-059795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主細胞中で発現させた抗体又はその抗原結合フラグメントの精製の間にジスルフィド結合の還元を防止する方法であって、
- 活性炭素濾過ステップと、それに続く
- プロテインAクロマトグラフィーと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
治療薬の分野において、特に、タンパク質、並びに抗体及び抗体由来分子の使用は、絶えず存在感及び重要性を増しており、その結果、製造プロセスの制御の必要性が並行して高まっている。治療用タンパク質の商品化は、これらが大量に製造されることを必要とする。この目的のために、タンパク質は宿主細胞中で発現されることが多く、その後、投与可能形態に調製する前に、回収及び精製されなければならない。前記精製の間に除去される不純物は、典型的には、宿主細胞デブリ、宿主細胞タンパク質、微量の培養培地等を含むプロセス関連不純物、及び所望の産物の修飾、分解又は凝集から生じる産物関連不純物として分類される。
【0002】
最も一般的なクラスの抗体分子は、2つの重鎖及び2つの軽鎖から構成されるヘテロ四量体である免疫グロブリンG(IgG)である。IgG分子は、2つの機能的サブユニットに細分することができ、それは、(1)抗体の尾部を構成し、細胞表面受容体と相互作用して免疫応答を活性化する結晶性フラグメント(Fc)、及び(2)抗原認識を媒介する抗原結合フラグメント(Fab)である。Fc領域は、2つの対になった重鎖からの2対の定常ドメイン(CH2及びCH3)を含み、一方でFab領域は、重鎖からの可変ドメインとそれに続く定常ドメイン(それぞれVH及びCH1)とであって、軽鎖からの可変ドメイン及び定常ドメイン(それぞれVL及びCL)と対になるものからなる。Fc及びFab領域はヒンジ領域によって画定され、これは2つの重鎖を互いに繋ぐジスルフィド結合を含有し;さらにCH1及びCLドメイン内におけるジスルフィド架橋は、重鎖及び軽鎖を互いに対にする。
【0003】
IgGクラスの完全長抗体は、従来、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のプロテインAを使用する親和性クロマトグラフィーの捕捉ステップを含む方法を使用して、精製されている。抗体におけるプロテインA及びFc領域の間の結合の高い親和性は、このモードのクロマトグラフィーが、細胞培養収穫培地のような複合溶液から直接出発する単一のステップにおいて、98%を超える不純物を除去することを可能にする。このプロセスステップから得られる大きな精製係数は、下流の精製プロセス全体を簡単にすることを助ける。一般的に、高分子量凝集物、残留宿主細胞タンパク質、残留DNA、又は浸出したプロテインAのようなごく微量の不純物が、この精製ステップ後に除去されずに残るが、通常、その後の1つから2つまでのクロマトグラフィーステップにおいて、除去を達成することができる。
【0004】
過去数十年にわたって、プロテインAベースの抗体精製が使用され、開発されているにもかかわらず、投与に適したレベルの純度を備えた工業的規模における組換え抗体の製造は、いまだ課題である。特に、抗体及びそのフラグメントのようなタンパク質は鎖間ジスルフィド結合を含み、これは典型的には、製造及び精製プロセスの間に保護及び維持を必要とするが、それは抗体を、その本来のコンホメーションで製造し、それによってそれらの生物学的活性を保持するためである。
【0005】
これらの鎖間ジスルフィド結合が環境によって影響を受けて還元されると、これら異なるポリペプチド鎖は分離して、不完全な抗体分子からなるタイプの不純物をもたらし得るが、これは最終的な抗体調製物からは除去されなければならない。精製プロセスの間に、環境が後に酸化的なものとなるにつれて、これらの還元関連不純物は不正確に再構成されて、増加したレベルの産物関連高分子量種及び低分子量種をもたらし得る。生成された付加的な不純物の精製は、低下したプロセス収率及び増加した不純物レベルを、最終的な薬剤物質中にもたらす。さらに、製造バッチ間にまたがる再現性が保証されなければならず、したがって、そのような不純物の存在及び相対量を制御することは、特定の製造バッチにおける失敗を回避するために必須である。バッチの失敗は、薬剤物質における増加した不純物レベル、又はプロセス内制御への適合の失敗のいずれかに起因し得る。薬剤物質における増加したレベルの不純物は、薬剤製品の有効期間もまた減少させ得る。
【0006】
抗体製造の間、遊離重鎖及び軽鎖、半量体(1つの重鎖及び1つの軽鎖)、又はジスルフィド結合を部分的に欠損しているアイソフォームのような産物関連不純物の出現であって、鎖間ジスルフィド結合の還元に起因するものが、プロテインAクロマトグラフィーステップ後に観察されている。精製プロセスの間におけるこれら不純物の出現は回避されなければならず、前記プロセスの一部として、不純物は除去されなければならない。潜在的な産物関連不純物は、非還元性ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)によって分析することができ、図1に示される。
【0007】
この意味において、US8,574,869は、宿主細胞培養物から組換えタンパク質を収穫する間にジスルフィド結合還元を防止する方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、当技術分野では、異なるバッチにわたって一貫した純度で、タンパク質をその本来のコンホメーションで精製することを可能にする、再現可能なタンパク質製造方法が依然として必要されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】精製を受けた後の抗体のサンプルから回収された潜在的な産物関連不純物を示す、クマシー染色された非還元性ゲル電気泳動写真である。
図2】分子AのプロテインA溶出液サンブルの非還元性バイオアナライザー写真である。サンプルは、炭素フィルターを使用しない製造キャンペーン2のバッチ1及びバッチ2(それぞれC2B1及びC2B2)からのプロテインA溶出液サンプル、並びに炭素フィルターが実装されたキャンペーン3のバッチ1(C3B1)である。バッチ2のサンプルにおいて見られる半量体は、バッチ3のサンプルにおいては見られない。
図3】炭素濾過を含む精製プロセスのフロー図である。活性炭素フィルターステップは、深層濾過及び滅菌フィルターの間にインラインで実装された。これに、プロテインAを使用する捕捉ステップ、並びにその後の精製ステップ:陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)、陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)、ウイルス低減濾過(VRF)、及び製剤化が続いた。
図4】IgG分子B製造サンプルの非還元性バイオアナライザー図である。示されたサンプルは、バッチ1のための清澄化細胞培養流体及び捕捉溶出液(プロテインAクロマトグラフィー後)を示し、ここにおいて抗体は還元され、半量体及び遊離重鎖を形成した。バッチ3のための捕捉溶出液もまた示され、ここにおいて活性炭素フィルターは、最初の回収において実装され、抗体分子は、プロテインA捕捉ステップ後もなお、単量体であった。
図5】分子Bの製造サンプルにおけるSypro染色された非還元性SDS-PAGE分析写真である。レーン1:分子量標準、レーン2:分子1参照標準、レーン3:キャンペーン1バッチ1の細胞培養流体、レーン4:キャンペーン1バッチ2の炭素フィルター前、レーン5:キャンペーン1バッチ2の炭素フィルター後、レーン6:キャンペーン1バッチ1の捕捉溶出液、レーン7:キャンペーン1バッチ2の炭素フィルター無し捕捉溶出液、レーン8:キャンペーン1バッチ2の炭素フィルター後捕捉溶出液。
図6A】分子Aの清澄化細胞培養流体(CCCF)の図であり、深層濾過及び滅菌濾過によるもの(対照)、及び深層フィルター及び滅菌フィルターの間における炭素フィルターの導入後のものであって、還元剤であるチオレドキシンについてアッセイされたもの(A)である。
図6B】分子Aの清澄化細胞培養流体(CCCF)の図であり、深層濾過及び滅菌濾過によるもの(対照)、及び深層フィルター及び滅菌フィルターの間における炭素フィルターの導入後のものであって、還元剤であるNAD/NADHについてアッセイされたもの(B)である。
図6C】分子Aの清澄化細胞培養流体(CCCF)の図であり、深層濾過及び滅菌濾過によるもの(対照)、及び深層フィルター及び滅菌フィルターの間における炭素フィルターの導入後のものであって、還元剤であるNADP/NADPHについてアッセイされたもの(C)である。
図7】バッチ1(炭素フィルターの導入前、対照)及びバッチ2(炭素フィルター実装後)からの分子Bの清澄化細胞培養流体(CCCF)の図であり、還元剤であるNAD/NADH、及びNADP/NADPHについてアッセイされたものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、本来のジスルフィド結合を備えた抗体の回収を可能にする、抗体製造のための新規な方法を提供することによって、上に特定した必要性を解決し、それによってプロセス収率を改善し、バッチ間にわたる一貫性を保証する。
【0011】
したがって、第1の態様において、本発明は、抗体又はそのフラグメントを製造する方法であって、
- 該抗体又はそのフラグメントを宿主細胞中で発現させること、
- 該抗体又はそのフラグメント、宿主細胞デブリ、及び不純物を含有する混合物を回収すること;並びに
- 該混合物から該抗体又はそのフラグメントを精製することを含み、該精製が、
- 活性炭素濾過と、それに続く
- プロテインAクロマトグラフィーと
を含む方法を提供する。
【0012】
第2の態様において、本発明は、宿主細胞中で発現させた抗体又はそのフラグメントの精製の間にジスルフィド結合の還元を防止する方法であって、
- 活性炭素濾過と、それに続く
- プロテインAクロマトグラフィーと
を含む方法を提供する。
【0013】
第3の態様において、本発明は、抗体又はそのフラグメントを精製する方法であって、
- 活性炭素濾過と、それに続く
- プロテインAクロマトグラフィーと
を含む方法を提供する。
【0014】
第4の態様において、本発明は、抗体又はその抗体フラグメントの精製の間に還元剤の量を減少させる方法であって、
- 活性炭素濾過と、それに続く
- プロテインAクロマトグラフィーと
を含む方法を提供する。
【0015】
当技術分野において、還元体(reductant)又は還元物質(reducer)とも呼ばれる還元剤は、酸化還元化学反応において、別の化学種へと電子を失う(又は供与する)元素又は化合物である。還元剤は電子を失っているため、これは酸化されているものと考えられる。たとえばカルシウムのような一定の還元剤は、細胞培養培地中に存在することがあり、さらに還元剤は、宿主細胞代謝の結果として、細胞培養流体へと分泌されることがある。また、組換えタンパク質製造の間に、還元剤は培地中にさらに遊離されることがあるが、それは剪断力並びにその結果として生じる細胞損傷及び潜在的な溶解及び/又はアポトーシスに起因し、これが環境中に細胞の構成成分を放出する。放出された細胞内容物における還元剤の量及び力は、細胞系及びプロセス依存的であり;そのような還元剤の例は、グルタチオン、システイニルグリシナート、システイニルスルホナート、チオレドキシン、NADP、NADPH、NAD、NADHを含むが、これらに限定されない。
【0016】
本発明における第4の態様の詳細な実施形態において、本発明の方法は、チオレドキシン、NADP、NADPH、NAD、及び/又はNADHの量を低減する。
【0017】
本発明における第4の態様のさらに詳細な実施形態において、本発明の方法は、チオレドキシン、NADP、NADPH、NAD、及び/又はNADHの量を低減する。
【0018】
典型的には、プロテインAクロマトグラフィーは、結合及び溶出モードにおいて実施され、ここで目的タンパク質の固相への結合は、宿主細胞タンパク質のような不純物がクロマトグラフィー媒体を通じて流れる一方で、目的タンパク質が固相に結合し続けることを可能にする。次いで、目的タンパク質が前記固相に結合するメカニズムを破壊する溶出バッファーによって、結合した目的タンパク質は、固相から回収される。
【0019】
本発明の方法のさらなる実施形態において、抗体又はそのフラグメントを含む混合物を適用した後、プロテインAクロマトグラフィー材料に対して第1の溶液が添加され、それによって未結合の物質は溶液中に除去される。
【0020】
本発明による方法のさらなる実施形態において、結合した抗体又はそのフラグメントが放出されるように、プロテインAクロマトグラフィー材料に対して溶出バッファーが適用される。
【0021】
本発明の方法の詳細な実施形態において、抗体結合を破壊するのに適したpHを有する溶出バッファーを適用することによって、プロテインAクロマトグラフィー材料から、結合した抗体が放出される。前記pHは特定の分子に依存し、所望のエンドポイント、すなわち、適用された混合物から可能な限り最大量の単量体を回収することが望ましいか、又は可能な限り最高純度において単量体を得ることが望ましいであろうものを達成するために、概して当業者によって経験的に決定され、調整される。本発明の方法の特定の実施形態において、溶出バッファーはpH3からpH4.5まで、好ましくはpH3.2からpH4.3まで、pH3.5からpH4まで、好ましくはpH3.6からpH3.9までを有する。
【0022】
プロテインAクロマトグラフィーにおける洗浄及び溶出バッファーとしての使用に適したバッファーは、当技術分野において容易に利用可能であり、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、Tris、ヒスチジン、アセタート、クエン酸バッファー、又はMES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸イミダゾール)、BES(N,N-(ビス-2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)-プロパンスルホン酸)、又はHEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸)バッファーの中からの非限定的な例により選択されてよい。
【0023】
本発明の第2の実施形態は、前記精製が、少なくとも1つのさらなるクロマトグラフィーステップを含む、第1、第2、第3又は第4の態様による方法を提供する。前記さらなる付加的なクロマトグラフィーステップは、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、たとえばヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、キラルクロマトグラフィー又は誘電クロマトグラフィーから選択される。これらのクロマトグラフィーステップは、単離において、或いはそうでなければ、さらに別のクロマトグラフィーステップとの組み合わせにおいて使用してよい。さらに、これらのクロマトグラフィーステップは、結合及び溶出モードにおいて、又はフロースルーモードにおいて実行されてよい。フロースルーモードにおいて、不純物は固相中で結合するか又は移動性を低減させる一方で、標的タンパク質は溶出液又はフロースルー画分中に回収される。さらなる詳細な実施形態において、前記さらなるクロマトグラフィーステップは、プロテインAクロマトグラフィー後に実施される。
【0024】
第3の実施形態において、本発明は、前記さらなるクロマトグラフィーステップが、陽イオン交換クロマトグラフィー及び/又は陰イオン交換クロマトグラフィーを含む、第2の実施形態による方法を提供する。
【0025】
本発明の詳細な実施形態において、前記第1のさらなるクロマトグラフィーステップは、不純物を捕捉し、タンパク質を含有するフロースルーをもたらすための陰イオン交換クロマトグラフィーステップである。
【0026】
本発明の別の詳細な実施形態において、前記第1のさらなるクロマトグラフィーステップには陽イオン交換クロマトグラフィーが続き、ここで目的タンパク質はクロマトグラフィー媒体に結合し、その後、タンパク質を含有する溶出液中に溶出される。或いは、前記陽イオン交換クロマトグラフィーステップは、不純物を捕捉し、タンパク質を含有するフロースルーをもたらすような方法において実行される。
【0027】
さらなる実施形態において、本発明は、前記さらなるクロマトグラフィーステップが、陰イオン交換クロマトグラフィーの第1のステップ及び陽イオン交換クロマトグラフィーの第2のステップを含む、第2又は第3の実施形態による方法を提供する。
【0028】
代替的な実施形態において、本発明は、前記さらなるクロマトグラフィーステップが、陽イオン交換クロマトグラフィーの第1のステップ及び陰イオン交換クロマトグラフィーの第2のステップを含む、第2又は第3の実施形態による方法を提供する。
【0029】
さらなる実施形態において、1つ若しくは複数の限外濾過又は透析濾過(UF/DF)ステップが、クロマトグラフィーステップの間で実施される。工業的規模のタンパク質製造において、このことは典型的に、産物濃縮及びバッファー交換の目的のために実施される膜ベースのタンジェント流濾過ステップを使用して実行される。これらの膜は通常、産物の損失を防止するために、タンパク質低結合性であり、特定の公称分子量カットオフを備えるものであり、たとえばこれらには、30kDaの公称分子量カットオフを備えたポリエーテルスルホン(PES)膜(Pall Life SciencesからのT-シリーズオメガPES膜(T-series Omega PES membrane))又は30kDaの公称分子量カットオフを備えた再生セルロース(Pall Life Sciencesからのデルタ再生セルロース膜(Delta Regenerated Cellulose Membrane))が含まれる。或いは、MilliporeからのPellicon 3又はSartoriusからのHydrosartのような30kDaの分子量カットオフを備えた膜が使用される。
【0030】
精製戦略は、標的タンパク質の物理化学的特性に適合させるために、これらのステップのいずれかを種々の組み合わせにおいて含むことができる。
【0031】
本発明の方法のさらなる詳細な実施形態において、混合物からのタンパク質精製ステップは、第1のさらなるクロマトグラフィーステップであって、そこから該タンパク質を含有する第1のフロースルーが回収される陰イオン交換クロマトグラフィーであるステップ、第2のさらなるクロマトグラフィーステップであって、そこから該タンパク質を含有する溶出液が溶出される陽イオン交換クロマトグラフィーであるステップ;及び該溶出液に適用される第2の限外濾過又は透析濾過ステップを含む。
【0032】
本発明の方法のさらなる詳細な実施形態において、混合物からのタンパク質精製ステップは、第1のさらなるクロマトグラフィーステップであって、そこから該タンパク質を含有する第1の溶出液が溶出される陽イオン交換クロマトグラフィーであるステップ、該第1の溶出液に適用される第1の限外濾過又は透析濾過ステップ、第2のさらなるクロマトグラフィーステップであって、該タンパク質を含有するフロースルーをもたらすための陰イオン交換クロマトグラフィーであるステップ;及び該フロースルーに適用される第2の限外濾過又は透析濾過ステップを含む。
【0033】
本発明の方法のさらなる詳細な実施形態において、精製プロセスはさらに、プロテインAクロマトグラフィー後及びさらなるクロマトグラフィーステップ前に、限外濾過又は透析濾過ステップを含む。
【0034】
第4の実施形態において、本発明は、前記回収された抗体又はそのフラグメントが、本来のジスルフィド結合を含む、前述した実施形態のいずれかによる方法を提供する。
【0035】
第5の実施形態において、本発明は、前記回収された抗体又はそのフラグメントが、本来の鎖間ジスルフィド結合を含む、前述した実施形態のいずれかによる方法を提供する。
【0036】
本発明のいずれかの態様によるさらなる実施形態において、本発明は、前記プロテインAクロマトグラフィーから回収された前記抗体又はフラグメントが、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の抗体還元関連不純物を含む、前述した実施形態のいずれかによる方法を提供する。
【0037】
本発明のいずれかの態様による別のさらなる実施形態において、本発明は、前記プロテインAクロマトグラフィーから回収された前記抗体又はそのフラグメントが、活性炭素濾過ステップ無しの同じプロセスから回収された前記抗体又はフラグメントよりも少ない抗体還元関連不純物を含む、前述した実施形態のいずれかによる方法を提供する。
【0038】
本発明のいずれかの態様によるさらなる代替的な実施形態において、本発明は、前記精製された抗体又はそのフラグメントが、低減したレベルの抗体還元関連不純物を有する、前述した実施形態のいずれかによる方法を提供する。
【0039】
本発明のいずれかの態様によるさらなる代替的な実施形態において、本発明は、前記精製された抗体又はそのフラグメントが、前記プロテインAクロマトグラフィーステップ後に、低減したレベルの抗体還元関連不純物を有する、前述した実施形態のいずれかによる方法を提供する。
【0040】
第6の実施形態において、本発明は、前記宿主細胞が哺乳動物宿主細胞であり、前記抗体を含有する前記混合物が前記細胞培養上清である、前述した実施形態のいずれかによる方法を提供する。
【0041】
第7の実施形態において、本発明は、前記精製プロセスが、活性炭素濾過の前に前記細胞培養上清の深層濾過を付加的に含む、第5の実施形態による方法を提供する。
【0042】
本発明のさらなる可能な実施形態において、前記濾過シーケンスは、たとえば滅菌フィルターのような当業者に利用可能な付加的なフィルターを含んでよい。
【0043】
タンパク質精製の間における連続的濾過ステップは、別個のステップとして実施してよく、ここで濾過される混合物は1つのフィルターを通過し、その濾過物が回収され、その後、第2のフィルターを通過して、そこから第2の濾過物が回収される。或いは、前記濾過ステップはインラインで実行されてよく、ここで1つのフィルターは次のフィルターに隣接し、そのため濾過される培地は両方のフィルターを連続的に通過し、1つの濾過物がこのステップ後に回収され;前記インライン構成は、一般的にフィルタートレインと呼ばれる。
【0044】
第8の実施形態において本発明は、深層濾過及び活性炭素濾過がインラインで実行される、第7の実施形態による方法を提供する。
【0045】
或いは、本発明の方法の第7の実施形態における別の詳細な実施形態において、深層濾過及び活性炭素濾過は別個のステップである。
【0046】
本発明の実施形態による宿主細胞は、たとえば原核生物、酵母(たとえば限定されないが、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)及び他のクルイベロマイセス属種、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))、変形菌(たとえば限定されないが、キイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum)、糸状菌(たとえば限定されないが、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)及び他のトリコデルマ属種、クロコウジカビ(Aspergillus niger)及び他のアスペルギルス属種)、コケ(たとえば限定されないが、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、ナミガタタチゴケ(Atrichum undulatum))、昆虫又は哺乳動物細胞である。哺乳動物宿主細胞は、たとえば限定されないが、NSO、SP2.0、3T3細胞、COS細胞、ヒト骨肉腫細胞、MRC-5細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、VERO細胞、CHO細胞、rCHO-tPA細胞、rCHO-Hep B表面抗原細胞、CHO-S細胞、HEK 293細胞、rHEK 293細胞、C127細胞、rC127-Hep B表面抗原細胞、ヒト線維芽細胞、ストローマ細胞、肝細胞又はPER.C6細胞である。
【0047】
宿主細胞は好ましくは真核生物宿主細胞であり、好ましくは哺乳動物宿主細胞であり、より好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、たとえばDG44株のものである。
【0048】
真核生物宿主細胞(たとえば酵母、昆虫又は哺乳動物細胞)について、異なる転写及び翻訳調節配列を、宿主の性質に依存して使用してよい。これらは、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、シミアンウイルスその他のようなウイルス起源に由来してよく、ここで調節シグナルには、高レベルの発現を有する特定の遺伝子が関連する。例としては、ヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40初期プロモーター、酵母gal4遺伝子プロモーター等がある。抑制及び活性化を可能にする転写開始調節シグナルを選択してよく、それによって遺伝子の発現を調節することができる。1つ又は複数のマーカーをも導入することによって、導入DNAで安定的に形質転換された細胞を選択することができ、これは発現ベクターを含有する宿主細胞の選択を可能にする。マーカーは、光栄養を栄養要求性宿主に与えてよく、殺生物剤耐性、たとえば限定されないが、抗生物質、又は銅その他のような重金属耐性を与えてよい。選択マーカー遺伝子は、発現されるDNA遺伝子配列に直接結合されるか、又はコトランスフェクションによって同じ細胞内に導入されるかのいずれかであることができる。本発明のタンパク質の最適な合成のために、付加的な要素が必要とされてよい。
【0049】
真核生物宿主細胞は、目的タンパク質をコードしている1つ又は複数の発現ベクターがトランスフェクションされ、その後、これらの増殖及び目的タンパク質の発現をサポートし得るいずれかの培地中で培養される。培地は、動物血清及びペプトンのような動物由来産物を含まない既知組成培地である。当業者に利用可能な異なる細胞培養培地が存在し、これは異なる組み合わせのビタミン、アミノ酸、ホルモン、増殖因子、イオン、バッファー、ヌクレオシド、グルコース又は等価エネルギー源であって、細胞増殖及びタンパク質産生を可能にするのに適切な濃度において存在するものを含む。付加的な細胞培養培地成分を、細胞培養培地中に、細胞培養周期の間の異なる回数において、適切な濃度で含めてよく、これは当業者に既知である。
【0050】
哺乳動物細胞培養は、振盪フラスコ又はバイオリアクターのようなあらゆる適切な容器内で行うことができ、これは、必要な製造規模に依存して、フェドバッチモードにおいて実行してよく、またしなくてよい。これらのバイオリアクターは、撹拌槽又はエアリフト型リアクターのいずれかであってよい。種々の大規模バイオリアクターが利用可能であり、これは400L、1,000Lを超えて50,000L又は100,000Lまでの、好ましくは5,000L及び20,000Lの間、又は10,000Lまでの容量を備える。或いは、2L、80L及び100Lの間のようなより小規模のバイオリアクターもまた、本発明の方法による抗体を製造するために使用してよい。
【0051】
本発明のプロセス及び方法に従って、CHO細胞のような真核生物宿主細胞において製造される、抗体又は抗原結合フラグメントのような目的タンパク質は、典型的には細胞培養の上清中に見出される。本発明のある実施形態において、前記上清は、本発明のプロセスにおいて精製された混合物である。
【0052】
したがって、本発明の詳細な実施形態において、本発明のプロセス及び方法は、本発明のプロセスによるさらなる精製のために抗体又はそのフラグメントを含有する混合物を得る目的で、細胞培養流体の遠心分離、及び液相の回収に続いて、遠心分離のステップを含む。
【0053】
その代わりに又はそれに加えて、たとえば深層濾過のような当業者に既知の清澄化技術を使用して、前記上清を回収してよい。したがって、本発明の詳細な実施形態において、この方法は、本発明のプロセスによるさらなる精製のために抗体又はそのフラグメントを含有する混合物を得る目的で、深層濾過のステップを含む。
【0054】
或いは、宿主細胞は原核生物細胞、好ましくはグラム陰性細菌、好ましくは大腸菌(E.coli)細胞である。タンパク質発現のための原核生物宿主細胞は、当技術分野においてよく知られている(Terpe、2006年;Appl Microbiol Biotechnol 72、211~222。)。宿主細胞は、抗体フラグメントのような目的タンパク質を産生するように遺伝子操作されてきた組換え細胞である。組換え大腸菌宿主細胞は、MC4100、TG1、TG2、DHB4、DH5α、DH1、BL21、K12、XL1Blue及びJM109からのものを含むあらゆる適切な大腸菌株に由来してよい。1つの例は大腸菌株W3110(ATCC 27,325)であり、これは組換えタンパク質発酵のために一般的に使用される宿主株である。抗体フラグメントは、修飾大腸菌株、たとえば代謝変異体又はプロテアーゼ欠損大腸菌株を培養することによっても製造することができる。
【0055】
本発明の方法に従って精製することができる抗体フラグメントは、大腸菌宿主細胞のペリプラズム中、又は宿主細胞の培養上清中のいずれかにおいて典型的に見出されるが、それはタンパク質の性質、製造規模及び使用した大腸菌株に依存する。これらのコンパートメントにタンパク質を標的化する方法は、当技術分野においてよく知られている(Makrides、1996年;Microbiol Rev 60、 512~538。)。大腸菌のペリプラズムにタンパク質を指向させるための適切なシグナル配列の例は、大腸菌PhoA、OmpA、OmpT、LamB及びOmpFシグナル配列を含む。タンパク質は上清に標的化してもよく、これは天然の分泌経路に頼ることによるか、又は外膜における限定された漏出を誘導することによってタンパク質分泌を引き起こすが、これらの例は、pelBリーダー配列、プロテインAリーダー配列、バクテリオシン放出タンパク質の共発現、培養培地へのグリシンの添加を伴うマイトマイシン誘導バクテリオシン放出タンパク質及び膜透過性上昇のためのkil遺伝子の共発現の使用である。最も好ましくは、本発明の方法において、組換えタンパク質は宿主大腸菌のペリプラズム中に発現する。
【0056】
大腸菌宿主細胞における組換えタンパク質の発現は、誘導システムの制御下にあってもよく、それによって大腸菌における組換え抗体の発現は、誘導プロモーターの制御下にある。大腸菌における使用のために適した多くの誘導プロモーターは、当技術分野においてよく知られており、プロモーターに依存し;組換えタンパク質の発現は、温度又は増殖培地における特定の物質の濃度のような因子を変化させることによって誘導することができる。誘導プロモーターの例は、大腸菌lac、tac、及びtrcプロモーターであって、ラクトース又は非加水分解性ラクトースアナログ、イソプロピル-β-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導可能なもの、並びにphoA、trp及びaraBADプロモーターであって、ホスファート、トリプトファン及びL-アラビノースによってそれぞれ誘導可能であるものを含む。発現は、たとえば誘導因子の添加又は誘導が温度依存的である場合は温度における変化によって誘導してよい。組換えタンパク質発現の誘導が、培養への誘導因子の添加によって達成される場合、誘導因子は、発酵システム及び誘導因子に依存してあらゆる適切な方法によって添加してよく、それはたとえば、単回又は複数回ショット添加によるか、又はフィード装置を通じた誘導因子の段階的添加による。誘導因子の添加と、タンパク質発現の実際の誘導との間には遅延が存在し得ることが認識されるはずであり、たとえば誘導因子がラクトースである場合、タンパク質発現の誘導が生じる前に、あらゆる既存の炭素源がラクトースの前に利用される間、遅延が存在し得る。
【0057】
大腸菌宿主細胞培養(発酵)は、大腸菌の増殖及び組換えタンパク質の発現をサポートし得るあらゆる培地において培養されてよい。培地は、たとえば(Durany O、2004年;Process Biochem 39、1677~1684)において記載されたもののようなあらゆる既知組成培地であってよい。
【0058】
大腸菌宿主細胞の培養は、必要な製造規模に依存して、振盪フラスコ又は発酵槽のようなあらゆる適切な容器内で行うことができる。種々の大規模発酵槽が利用可能であり、これは1,000Lを超えて100,000Lまでの容量を備える。好ましくは、1,000L及び50,000リットルの間の発酵槽が使用され、より好ましくは、1,000L及び10,000L又は12,000Lの間である。より小規模の発酵槽もまた使用してよく、これは0.5L及び1,000Lの間の容量を備える。
【0059】
CHO又は大腸菌のような宿主細胞の発酵は、あらゆる適切なシステムにおいて実施してよく、それはたとえば、必要なタンパク質及び収量に依存して、連続モード、バッチモード又はフェドバッチモードである。バッチモードは、必要な場合、栄養素又は誘導因子のショット添加と共に使用してよい。或いは、フェドバッチ培養を使用してよく、培養は、誘導前にバッチモードにおいて最大特異的増殖速度において増殖されるが、これは、発酵槽中に最初に存在する栄養素、及び発酵が完了するまで増殖速度を制御するために使用される1つ又は複数の栄養素フィーディング法を使用して維持することができる。
【0060】
1つの実施形態において、本発明によるプロセスは、プロテインAクロマトグラフィーマトリックス上への負荷に先立って、細胞培養収穫物の遠心分離と、それに続く抽出バッファーの添加による宿主細胞の懸濁のステップとを含む。
【0061】
抗体フラグメントのような目的タンパク質が、宿主細胞のペリプラズム空間内に見出される大腸菌発酵プロセスのためには、タンパク質が宿主細胞から放出されることが必要である。この放出は、機械的処理又は圧力処理、凍結融解処理、浸透圧ショック、抽出剤又は熱処理による細胞溶解のようなあらゆる適切な方法によって達成してよい。タンパク質放出のためのそのような抽出方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0062】
ここで使用される用語「活性炭素」は、何百万もの小さな孔を炭素原子の間に作り出すよう処理され、劇的に増加した表面積がもたらされた炭素の一形態を意味する。活性炭素の表面積は、流体、蒸気又はガスから不純物が除去されるプロセスである吸着のために、この材料を適したものとする。活性炭素は、活性炭としても知られる。市販の活性炭素フィルターは、MilliporeのMillistak+CRシリーズ、Pallの活性炭素フィルター組み込みSeitz(登録商標)AKS膜媒体(Activated Carbon Filters Incorporating Seitz(登録商標) AKS Filter Media)、及び3MのZeta Plus(商標)活性炭素フィルター(Zeta Plus(商標)Activated Carbon Filters)を含むが、これらに限定されない。
【0063】
ここで使用される用語「陰イオン交換クロマトグラフィー」は、固相が正に荷電している、たとえば固相に付着した4級アミノ基のような1つ又は複数の正に荷電したリガンドを有しているクロマトグラフィーを意味する。市販の陰イオン交換マトリックスは、DEAEセルロース、QAE SEPHADEX(商標)、FAST Q SEPHAROSE(商標)Capto Q、Capto Adhere及びCapto Q Impres(GE Healthcare)、Unosphere及びNuvia Q(BioRad)、GigaCap Q(東ソー)、Mustang Q XT(Pall)、Fractogel Q及びEshmuno Q(Merck Millipore)、Poros XQ(Thermo Fisher)並びにSartoBind Q(Sartorius)のような陰イオン交換膜吸着剤、及びQA monolith(Bia Separations)のようなモノリス吸着剤を含む。
【0064】
ここで使用される用語「抗体」又は「抗体(複数)」は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含むモノクローナル又はポリクローナル四量体完全長抗体を意味する。用語免疫グロブリン又は免疫グロブリン(複数)は、「抗体」又は「抗体(複数)」とそれぞれ同義に使用される。ここで使用される用語「抗体」又は「抗体(複数)」は、当技術分野において知られる組換え技術によって生成される組換え抗体を含むが、これらに限定されない。「抗体」又は「抗体(複数)」は、ヒト、非ヒト霊長類(たとえばチンパンジーからのようなヒト科、ヒヒ、アカゲザル若しくはカニクイザル)、齧歯類(たとえばマウス、ラット、ウサギ、ハムスター若しくはモルモットから)、ヤギ、ウシ又はウマの種のような哺乳動物種からのものを含むあらゆる起源のものであることができる。ここにおける抗体は、目的の「抗原」に対して指向される。好ましくは、抗原は生物学的に重要なポリペプチドであり、疾患又は障害を患う哺乳動物に対して抗体を投与することは、その哺乳動物において治療的利益をもたらすことができる。しかし、非ポリペプチド抗原に対して指向された抗体もまた企図される。抗原がポリペプチドである場合、それは膜貫通分子(たとえば受容体)又は増殖因子若しくはサイトカインのようなリガンドであってよい。本発明によって包含される抗体のための好ましい分子標的は、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD22、CD34、CD38、CD40及びCD40-LのようなCDポリペプチド;FcRN;OX40;EGF受容体、HER2、HER3又はHER4受容体のようなHER受容体ファミリーのメンバー;LFA-1、Mac1、p150,95、VLA-4、ICAM-1、VCAM及びαv/β3インテグリンであってそのα又はβサブユニットのいずれかを含むもののような細胞接着分子(たとえば抗CD11a、抗CD18又は抗CD11b抗体);IL-1α及びβ、IL-2、IL-6、IL-6受容体、IL-12、IL-13、IL-17A及び/又はIL-17F、IL-18、IL-21、IL-23、TNFα及びTNFβのようなケモカイン並びにサイトカイン又はそれらの受容体;VEGFのような増殖因子;IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA-4;ポリペプチドC;PD1、PD-L1、PCSK9;スクレロスチン等を含む。
【0065】
ここで使用される用語「抗体フラグメント」又は「抗体フラグメント(複数)」は、抗体の一部分、一般的にはその抗原結合領域又は可変領域を意味する。抗体フラグメントの例は、Fc部分を欠いているか、又はこれをまったく有さないあらゆる抗体を含む。抗体フラグメントの例はまた、Fab、Fab’、F(ab’)、並びにFv及びscFvフラグメント;に加えて、BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)及びDART(商標)(二重親和性再標的化技術)のようなフォーマットを含むダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、sdAbのようなドメイン抗体(dAb)、VHH及びVNARフラグメント、単鎖抗体、抗体フラグメント又は抗体から形成された二重特異性、三重特異性、四重特異性又は多重特異性抗体であって、Fab-Fv、Fab-scFv、Fab(Fv)又はFab-(scFv)構築物を含むがこれらに限定されないもののようなものを含む。上に定義したような抗体フラグメントは、当技術分野において知られている。明確性の目的のために、Fab-Fvは、あらゆる順序、すなわちFab-Fv、又はFv-Fabにおいて連結した1つのFv領域及び1つのFab領域を含有する構築物を意味すると理解されるべきであり、ここで1つの領域における最後のアミノ酸には、次の領域における最初のアミノ酸が続き、その逆もまた正しい。同様に、Fab-scFvは、あらゆる順序において、そしてFabがいずれかのポリペプチド鎖にある場合、すなわちFab-scFv、又はscFv-Fabにおいて連結した1つのscFv領域及び1つのFab領域を含有する構築物を意味すると理解されるべきであり、ここで1つの領域における最後のアミノ酸には、次の領域における最初のアミノ酸が続き、その逆もまた正しい。同じように、Fab-(Fv)は、あらゆる順序、すなわちFab-Fv-Fv、Fv-Fab-Fv、又はFv-Fv-Fabにおいて連結した2つのFv領域及び1つのFab領域を含有する構築物を意味すると理解されるべきであり、ここで1つの領域における最後のアミノ酸には、次の領域における最初のアミノ酸が続き、その逆もまた正しい。同様に、Fav-(scFv)は、あらゆる順序において、そしてFabがいずれかのポリペプチド鎖にある場合において連結した2つのscFv領域及び1つのFab領域を含有する構築物を意味すると理解されるべきであり、これは20種の可能な順列をもたらす。典型的には、これらの構築物は、第1の領域(たとえばFab)及び第2の領域(たとえばFv)の間にペプチドリンカーを含む。そのようなリンカーは当技術分野においてよく知られており、1つ又は複数のアミノ酸であることができ、典型的には当業者によって長さ及び組成が最適化される。或いは、前記領域は直接、すなわちペプチドリンカー無しで結合してよい。可変ドメインをFab又はFab’に結合するための適切なリンカー領域の例は、参照により本明細書に組み込まれるWO2013/068571に記載され、柔軟なリンカー配列及び堅固なリンカー配列を含むが、これらに限定されない。柔軟なリンカー配列は、Hustonら、1988年、10 PNAS 85:5879~5883;Wright及びDeonarain、Mol.Immunol.、2007年、44(11):2860~2869;Alfthanら、Prot.Eng.、1995年、8(7):725~731;Luoら、J.Biochem.、1995年、118(4):825~831;Tangら、1996年、J.Biol.Chem. 271(26):15682~15686;並びにTurnerら、1997年、JIMM 205、42~54に開示されたものを含む。抗体フラグメントは、非グリコシル化又はグリコシル化されたものであることができる。
【0066】
ここで使用される用語「抗体還元関連不純物」は、鎖間ジスルフィド結合の還元に起因すると見える、部分的にジスルフィド結合を欠如している遊離重鎖及び軽鎖、半量体(1つの重鎖及び1つの軽鎖)又はアイソフォームのような不純物を意味する。
【0067】
ここで使用される用語「陽イオン交換クロマトグラフィー」は、固相が負に荷電している、たとえば、例としてカルボキシラート又はスルホナート基のような1つ又は複数の負に荷電したリガンドを有しているクロマトグラフィーを意味する。市販の陽イオン交換マトリックスは、カルボキシ-メチル-セルロース、アガロース上に固定化されたスルホプロピル(SP)及びアガロース上に固定化されたスルホニルであってCapto S、及びCapto S Impresのようなもの(GE Healthcare)、Unosphere S及びNuvia S(BioRad)、GigaCap S(東ソー)、Fractogel S及びEshmuno S(Merck Millipore) Poros S及びPoros XS(Thermo Fisher)又はSartoBind S(Sartorius)のような陽イオン交換膜吸着剤及びSO3モノリス(Bia Separations)のようなモノリス吸着剤を含む。
【0068】
ここで使用される用語「プロテインA」は、その本来の起源から回収されたプロテインA、合成により製造された(たとえばペプチド合成によるか、又は組換え技術による)プロテインA、及びそれらの変異体であって、Fc領域のようなCH2/CH3領域を有するタンパク質を結合する能力を保持しているものを包含する。プロテインAは、Repligen、GE Healthcare、及びFermatechから商業的に購入することができる。プロテインAは一般的に、膜又は樹脂のような固相支持体材料上に固定化されている。用語「プロテインA」はまた、プロテインAが共有結合により付着しているクロマトグラフィー用固体支持体マトリックスを含有する親和性クロマトグラフィー樹脂又はカラムを意味する。市販のプロテインAマトリックスは、GE HealthcareからのMabSelect、MabSelect SuRe、MabSelect SuRe LX;Amsphere Protein A(JSR Life Sciences)、KanCapA(カネカ)、AbSolute(登録商標) High Cap(NovaSep)、UNOsphere SUPrA(BioRad)、トヨパール(東ソーバイオサイエンス)、MilliporeからのProsep Ultra plus、Eshmuno A、 ProSep(登録商標)-vA、ProSep(登録商標)-vA Ultra、Poros Mab-Capture A(Life Technologies)、及びPraesto AC(Purolite)を含む。
【0069】
ここで使用される用語「深層濾過」は、多孔性濾過媒体を使用して、単に媒体の表面上ではなく、媒体全体にわたって粒子を保持する種々のフィルターを意味する。これらは、飽和する前に大量の粒子を保持することができるため、高負荷の粒子を含有する流体のために、典型的に使用される。
【実施例
【0070】
(例1)
2000L規模のバイオリアクタープロセスにおける抗体還元の防止
この例において、2000L規模における分子Aの製造は、プロテインA捕捉クロマトグラフィーステップ後に、キャンペーン2において顕著な抗体還元を示した。その後の製造キャンペーン(キャンペーン3)において、図3に描写するように最初の回収プロセスにおいて活性炭素濾過ステップを実装した(Millistak+CR40、Millipore)。このキャンペーンにおいて、抗体還元は検出されなかった。
【0071】
分子Aは、フェドバッチバイオリアクタープロセス中で、CHO DG44細胞系において発現し、3ステップのクロマトグラフィープロセスによって精製されたヒト化モノクローナルIgG4P抗体である。完全グリコシル化分子についての理論的インタクト質量は、147,460Daであると決定された。図3は、14日間増殖させた2000Lのバイオリアクターからのフィード物質による分子Aの精製プロセスを詳述する。この物質は、産物回収及び清澄化のために最適化された設定を使用するディスクスタック遠心分離を使用して、遠心分離した。次いでキャンペーン2において、遠心分離液(又は上清)を、PallのPDE2及びPDD1フィルター(又は等価物)によって深層濾過し、滅菌濾過が続いた。これに、プロテインAを使用する捕捉ステップ(MabSelect SuRe LX、GE Healthcare)、並びにその後の精製ステップ: 陰イオン交換(Capto Qを使用するAEX、GE Healthcare)、陽イオン交換(Capto SP ImpResを使用するCEX)、ウイルス低減濾過(VRF)、及び製剤化が続いた。キャンペーン3において、活性炭素フィルターは、深層濾過及び滅菌フィルター(0.2μm孔径)の間にインラインで実装した。
【0072】
捕捉クロマトグラフィー精製ステップは、樹脂に結合しない宿主細胞不純物及び細胞培養培地成分のレベルを低減する。産物は、中性pHにおいてカラムに結合する。結合した産物は、30mMの酢酸ナトリウム、pH3.7を使用してカラムから溶出される。
【0073】
抗体還元は、非還元性バイオアナライザーによって分析された捕捉溶出液サンプルにおいて検出されたが、図2を参照されたい。この分析方法を使用して、サンプルの純度、及び抗体還元によって生成された不純物の存在を、非還元性条件で、オンチップ電気泳動アッセイによって決定する。このアッセイは2つの主要なステップからなり、それは:タンパク質の蛍光色素との共有結合(標識)、並びにオンチップ電気泳動による標識タンパク質の分離及び検出である。
【0074】
オンチップアッセイは、ゲルポリマーが充填されたマイクロチャネルの内部連結したセットからなり、これはタンパク質が電気泳動によってそれを通過させられるにつれて、サイズによってタンパク質をふるい分ける。使用される装置は2100 Expertソフトウェアを備えた2100 Bioanalyzer(Agilentにより供給されたもの、参照番号G2940CA)、及び高感度タンパク質分析キット(Agilent technologiesにより供給されたもの、参照番号5067-1575。)である。
【0075】
サンプルは、最初の回収の間に炭素フィルターが実装されなかった製造キャンペーン2のバッチ1及びバッチ2(それぞれC2B1及びC2B2)、並びに炭素フィルターが実装されたキャンペーン3のバッチ1(C3B1)からのプロテインA溶出液サンプルである。キャンペーン2のサンプルにおいて見られた抗体還元産物(半量体及び遊離鎖)は、キャンペーン3のサンプルにおいては見られない。
【0076】
図6は、深層濾過及び滅菌濾過による(キャンペーン2のプロセス、対照)、並びに深層フィルター及び滅菌フィルターの間に炭素フィルターを導入した後の(キャンペーン3のプロセス)、分子Aのための清澄化細胞培養流体(CCCF)のサンプルを示し、これは還元剤であるチオレドキシン、NAD/NADH、及びNADP/NADPHについてアッセイされた。より低いレベルのこれらの還元剤が、炭素フィルターの導入に続いて検出される。しかし、チオレドキシンレダクターゼは、炭素濾過によって除去されない。
【0077】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は、多くの酸化還元反応に関与する酵素補因子である。NADは電子運搬体として機能し、酸化された(NAD)及び還元された(NADH)形態の間を循環する。Sigma AldrichのNAD/NADH定量キット(NAD/NADH Quantification Kit)MAK037は、NAD及びNADH、並びにそれらの比率を、サンプルからの事前精製無しに検出する。このアッセイは、NAD及びNADHに特異的であり、NADP又はNADPHは検出しない。NAD全体(NAD及びNADH)又はNADHは、比色アッセイ(450nm)において定量される。
【0078】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)は、多くの酸化還元反応に関与する酵素補因子であり、ここでこれは還元された(NADPH)及び酸化された(NADP)形態の間を循環する。
【0079】
Sigma AldrichのNADP/NADPH定量キット(NADP/NADPH Quantification Kit)MAK038は、NADP及びNADPH、並びにそれらの比率を、サンプルからの事前精製無しに検出する。このアッセイは、NADP及びNADPHに特異的であり、NAD又はNADHは検出しない。NADP全体(NADP及びNADPH)又はNADPHは、比色アッセイ(450nm)において定量される。
【0080】
チオレドキシン及びチオレドキシンレダクターゼは、サイモン・シンプル・ウェスタン(Simon Simple Western)アッセイを使用して測定する。サンプルはSDS/DTTによって処理し、熱変成させる。次いで、サンプルをキャピラリー中に装填し、サイズによって分離し、独自のUV捕捉方法を介してキャピラリー壁に固定化する。標的タンパク質は、抗体(抗チオレドキシン経路/抗グルタレドキシン)によって免疫プローブされ、それにHRP増幅化学発光検出(ウサギ抗ヤギHRPコンジュゲート)が続く。
【0081】
キャンペーン2と比較して、キャンペーン3において不純物のレベルが減少したことは、その後の陽イオン交換クロマトグラフィーステップであって、低分子量種及び高分子量種を除去するように設計されたものにおけるより高いステップ収率をもたらした。キャンペーン3からの物質の有効期間もまた、キャンペーン2からの物質より長かった。
【0082】
(例2)
400L規模のバイオリアクタープロセスにおける抗体還元の防止
この例において、400L規模における分子Bの製造は、プロテインA捕捉クロマトグラフィーステップ後に、キャンペーン1のバッチ1において顕著な抗体還元を示した。その後の製造バッチにおいて、図3に描写するように最初の回収プロセスにおいて活性炭素濾過ステップ(Millistak+CR40、Millipore)を実装した。これらのバッチにおいて、抗体還元は検出されなかった。
【0083】
分子Bはヒト化モノクローナルIgG4P抗体である。これは、フェドバッチバイオリアクタープロセス中で、CHO DG44細胞系において発現し、3ステップのクロマトグラフィープロセスによって精製される。完全グリコシル化IgG分子についての理論的インタクト質量は、146,372Da(端数は処理した)であると決定された。
【0084】
精製プロセスは、例1における分子Aにおけるものと非常に類似していた。違いは、プロテインAクロマトグラフィーカラムからの溶出バッファーが、100mMの酢酸ナトリウム、pH3.7であることだった。図4に示されるIgG分子B製造サンプルの非還元性バイオアナライザーは、バッチ1のための清澄化細胞培養流体及び捕捉溶出液サンプル(プロテインAクロマトグラフィー後)を示し、ここにおいて単量体は、半量体及び重鎖の形成を低減した。バッチ3のための捕捉溶出液サンプルもまた示され、ここにおいて活性炭素フィルターが最初の回収において実装されたが、分子は、プロテインA捕捉ステップ後もなお単量体であった。
【0085】
図7は、バッチ1(炭素フィルターの導入前、対照)及びバッチ2(炭素フィルター実装後)からの、分子Bのための清澄化細胞培養流体(CCCF)を示し、これは還元剤であるNAD/NADH、及びNADP/NADPHについてアッセイされた。より低いレベルのこれらの還元剤が、炭素フィルターの導入に続いて検出される。
【0086】
(例3)
サンプルは、濾過後(炭素濾過有り及び無し)における分子Bの製造キャンペーンから採取されたが、その後、低酸素条件下で、規模を縮小したモデルの製造プロセスを使用して精製された。このモデルは、サンプルに窒素ガスを少なくとも30分間にわたって注入することを含み、これはその後、これらの条件下で一晩貯蔵された。
【0087】
Sypro染色した非還元性SDS-PAGEを使用して分析されたこのプロセスの結果は、図5において見てもよい。この分析方法を使用して、サンプルの純度、及び抗体還元によって生成された不純物の存在を、非還元性条件で決定する。使用したゲルは、Thermo FisherからのNuPAGE 4~20%、Tris-グリシン 10×15ウェル 1.5mm(カタログ番号EC6028)であった。Mark 12 分子量標準(Molecular Weight Standard)を示す(Thermo Fisher、番号LC5677)。ゲルは、125Vの定電圧において泳動した。SYPROルビーレッド蛍光染色(Bio-Rad、カタログ番号170-3125)を使用して染色を実施した。
【0088】
捕捉ステップ前のサンプルであるレーン3、4、及び5を、その後凍結し(≦-60℃)、分析直前に解凍した。レーン6、7、及び8におけるサンプルを、窒素ガスを注入したバッグ内において、プロテインAによって精製し、この溶出液サンプルをその後凍結して、分析直前に解凍した。
【0089】
キャンペーン1バッチ1の細胞培養流体及び捕捉溶出液サンプルは、抗体還元から生じた低レベルの単量体及び高レベルの不純物を含有する。炭素フィルター前に採取されたキャンペーン1バッチ2のサンプル及びこのサンプルからの捕捉溶出液は、両方とも、抗体還元に関連する高レベルの不純物を含有した。炭素濾過後に採取されたサンプル及びこのサンプルからの捕捉溶出液は、抗体還元から生じた高レベルの単量体及び低レベル/ゼロレベルの不純物を含有した。したがって、炭素濾過は、プロテインAクロマトグラフィー後に観察された還元された抗体産物の形成を抑制している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7