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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】電動機のロータ放電保護
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
H02K5/16 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018563059
(86)(22)【出願日】2017-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 US2017036300
(87)【国際公開番号】W WO2017214239
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】62/346,741
(32)【優先日】2016-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレーブス,スコット マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァ ロドリゲス,ディエゴ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ハイン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】グレンダール,タイラー ニルス
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-316251(JP,A)
【文献】再公表特許第2011/114371(JP,A1)
【文献】特開2007-300800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0001602(US,A1)
【文献】実開平2-33569(JP,U)
【文献】実開昭56-113223(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに連結されるステータ巻線を有するステータと、
ロータシャフトおよびロータ巻線を有するロータと、
前記ロータシャフトを前記ケースに連結する少なくとも2つの主ロータ軸受であって、前記少なくとも2つの主ロータ軸受が前記ロータシャフトと前記ケースとの間に第1の電気抵抗を有する主ロータ軸受と、
前記ロータシャフトを前記ケースに連結するロータ放電軸受であって、前記ロータ放電軸受が、前記ロータシャフトと前記ケースとの間に第2の電気抵抗を有し、前記第2の電気抵抗が、前記ロータ放電軸受を介してロータ放電を方向づけるように前記第1の電気抵抗よりも小さい、ロータ放電軸受と、を備え、
前記少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、前記ロータシャフトから第1の荷重を受けるように構成され
前記ロータ放電軸受が、前記ロータシャフトから前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重を受けるように構成されたことにより、前記ロータ放電軸受の固定部品から可動部品を分離するグリースの層が、前記主ロータ軸受の固定部品から可動部品を分離するグリースの層よりも小さい厚さを有する、電動機。
【請求項2】
前記ステータに連結され、前記ステータを励磁するように構成されるステータ駆動電子機器をさらに備える、請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、前記ロータシャフトの内側位置と前記ケースとの間を連結し、
前記ロータ放電軸受が、前記ロータ放電軸受と前記ケースとの間の電気的接続を介して前記ロータシャフトの外側位置と前記ケースとの間を連結する、請求項1に記載の電動機。
【請求項4】
前記少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、前記ロータシャフトの外面と前記ケースとの間を連結し、
前記ロータ放電軸受が、前記ロータ放電軸受と前記ケースとの間の電気的接続を介して前記ロータシャフトの内面と前記ケースとの間を連結する、請求項1に記載の電動機。
【請求項5】
前記少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、第1の直径を有し、
前記ロータ放電軸受が、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する、請求項1に記載の電動機。
【請求項6】
前記主ロータ軸受の少なくとも2つのうちの1つの主ロータ軸受が、第1の構成を有し、
前記ロータ放電軸受が、前記第1の構成とは異なる第2の構成を有する、請求項1に記載の電動機。
【請求項7】
前記少なくとも2つの主ロータ軸受および前記ロータ放電軸受の両方が、前記ロータシャフトの長手方向軸線を中心として回転するように構成される、請求項1に記載の電動機。
【請求項8】
ケースと、ステータと、ロータシャフトを有するロータと、少なくとも2つの主ロータ軸受と、ロータ放電軸受とを有する電動機を運転する方法であって、
回転磁界を発生させるように前記ステータに電力を供給するステップと、
回転磁界に起因するロータ上のコモンモード電荷を集めるステップと、
前記ロータ放電軸受を介して前記コモンモード電荷を放電するステップであり、
前記少なくとも2つの主ロータ軸受が、前記ロータシャフトと前記ケースとの間に第1の電気抵抗を有し、
前記ロータ放電軸受が、前記ロータシャフトと前記ケースとの間に第2の電気抵抗を有し、前記第2の電気抵抗が前記第1の電気抵抗よりも小さいステップと、を含み、
前記少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、前記ロータシャフトから第1の荷重を受けるように構成され
前記ロータ放電軸受が、前記ロータシャフトから前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重を受けるように構成されたことにより、前記ロータ放電軸受の固定部品から可動部品を分離するグリースの層が、前記主ロータ軸受の固定部品から可動部品を分離するグリースの層よりも小さい厚さを有する、方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、前記ロータシャフトの外面と前記ケースとの間を連結し、
前記ロータ放電軸受が、前記ロータ放電軸受と前記ケースとの間の電気的接続を介して前記ロータシャフトの外面と前記ケースとの間を連結する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、第1の直径を有し、
前記ロータ放電軸受が、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、第1の構成を有し、
前記ロータ放電軸受が、前記第1の構成とは異なる第2の構成を有する、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、あらゆる目的のために本出願の一部とされる、2016年6月7日に出願された「電動機冷却システムおよびロータ放電保護(ELECTRIC MOTOR COOLING SYSTEM AND ROTOR DISCHARGE PROTECTION)」という表題の米国仮特許出願第62/346,741号について米国特許法第119条(e)による優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は電動機に関し、より詳細には、コモンモードロータ放電からの電動機の保護に関する。
【背景技術】
【0003】
電動機は、ケースと、ロータシャフトおよびロータ巻線を有するロータと、ステータ巻線を有するステータと、ロータシャフトをケースに連結する1つまたは複数の主ロータ軸受と、さまざまな電気的接続部とを含む。多相電動機は、ステータの多相のバランスが不完全であるため、それらのロータに電荷を蓄積する。ロータに電荷が蓄積すると、ケースに対してロータにコモンモード電圧が生じる。ロータ上のコモンモード電圧蓄積に対応する電荷は、それらの間の電位差に起因してケースを要求する。コモンモード電圧が十分な大きさに達すると、電荷は、主ロータ軸受を横切って伝導し(潤滑油およびロータ軸受構成要素を横切って弧状に動き)、時間と共に主ロータ軸受を損傷する。この問題に対処するための1つの従来技術の解決策は、コモンモード電圧をケースに分路するためにロータに対して垂直に取り付けられる導電性ブラシの使用を含んでいた。この解決策は主ロータ軸受を保護するのに有効であったが、導電性ブラシは、比較的早く摩耗し、それらの目的に役立ち続けるために交換を必要とした。交換は、電動機を運転中止とし、運転されてもとの場所に電動機を戻す前にこれを修理することを必要とした。このような作業は、費用がかかり、電動機、たとえば電気自動車、産業機械などによって電力を供給されている装置を修理が完了するまで使用中止にしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の第1の実施形態によれば、電動機は、ケースと、ケースに連結されるステータ巻線を有するステータと、ロータシャフトおよびロータ巻線を有するロータと、ロータシャフトをケースに連結する少なくとも2つの主ロータ軸受とを含み、そこでは、少なくとも2つの主ロータ軸受が、ロータシャフトとケースとの間に第1の電気抵抗を有する。電動機は、ロータシャフトをケースに連結するロータ放電軸受をさらに含む。ロータ放電軸受は、ロータシャフトとケースとの間に第2の電気抵抗を有し、第2の電気抵抗は、ロータ放電軸受を通してロータ放電を方向づけるように第1の電気抵抗よりも小さい。
【0005】
本開示の第1の実施形態の電動機の場合は、多極電動機のステータ巻線の不均衡によってロータに蓄積するコモンモード電荷は、主ロータ軸受を介する代わりにロータ放電軸受を介して放電される。したがって、主軸受は、コモンモードロータ放電から実質的に保護され、それらの寿命を延ばし、その結果、必要とされる整備のための時間が延長される。
【0006】
電動機は、いくつかの追加の機能および構造を含むことができる。これらの機能および構造は、これらの機能および構造のいくつか、これらの機能および構造のすべて、あるいはこれらの機能および構造のうちの1つを含むさまざまな組み合わせで含まれ得る。電動機は、ステータに連結され、ステータを励磁するように構成されるさらなるステータ駆動電子機器をさらに含むことができる。
【0007】
電動機の場合は、少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、ロータシャフトの内側位置とケースとの間を連結することができ、ロータ放電軸受は、ロータ放電軸受とケースの間の電気的接続を介してロータシャフトの外側位置とケースとの間を連結する。
【0008】
代わりの構成においては、少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が、ロータシャフトの外面とケースとの間を連結することができ、ロータ放電軸受は、ロータ放電軸受とケースの間の電気的接続を介してロータシャフトの内面とケースとの間を連結する。
【0009】
1つの構造の場合は、少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受は、第1の直径を有し、ロータ放電軸受は、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する。主ロータ軸受の少なくとも2つのうちの1つの主ロータ軸受は、第1の構成を有することができるが、ロータ放電軸受は、第1の構成とは異なる第2の構成を有する。少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受は、第1のローディングを有することができ、ロータ放電軸受は、第1のローディングよりも大きい第2のローディングを有することができる。これらのさまざまな構造のいずれかの場合も、少なくとも2つの主ロータ軸受およびロータ放電軸受の両方が、ロータシャフトの長手方向軸線を中心として回転するように構成される。
【0010】
本開示の第2の実施形態によれば、ケースと、ステータと、ロータシャフトを有するロータと、少なくとも2つの主ロータ軸受と、ロータ放電軸受とを有する電動機を運転する方法は、回転磁界を発生させるようにステータに電力を供給するステップを含む。次いで、この方法は、回転磁界に起因するロータ上のコモンモード電荷を集めるステップ、およびロータ放電軸受を介してコモンモード電荷を放電するステップを含む。これらの動作の場合は、少なくとも2つの主ロータ軸受は、ロータシャフトとケースとの間に第1の電気抵抗を有し、ロータ放電軸受は、ロータシャフトとケースとの間に第2の電気抵抗を有し、第2の電気抵抗は、第2の電気抵抗よりも小さい。第2の実施形態の方法の場合は、主軸受は、コモンモードロータ放電から実質的に保護され、それらの寿命を延ばし、その結果、必要とされる整備のための時間が延長される。
【0011】
電動機を運転する方法は、いくつかの追加の動作および/または機能を含むことができる。これらの動作および/または機能は、これらの動作および/または機能のいくつか、これらの動作および/または機能のすべて、あるいはこれらの動作および/または機能のうちの1つを含むさまざまな組み合わせで含まれ得る。この方法は、ロータシャフトの外面とケースとの間を連結する少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受と、ロータ放電軸受とケースとの間の電気的接続を介してロータシャフトの外面とケースとの間を連結するロータ放電軸受とをさらに含むことができる。
【0012】
この方法は、第1の直径を有する少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受と、第1の直径よりも小さい第2の直径を有するロータ放電軸受とをさらに含むことができる。この方法は、第1の構成を有する少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受と、第1の構成とは異なる第2の構成を有するロータ放電軸受とをさらに含むことができる。この方法は、少なくとも2つの主ロータ軸受のうちの1つの主ロータ軸受が第1のローディングを有し、ロータ放電軸受が第1のローディングよりも大きい第2のローディングを有することをさらに含むことができる。
【0013】
本開示の第3の実施形態によれば、電動機は、ケースと、ケースに連結されるステータ巻線を有するステータと、ロータシャフト,ならびにロータシャフトの長手方向軸線を中心として回転するロータ巻線を有するロータと、ロータシャフトをケースに連結する少なくとも2つの主ロータ軸受と、ロータシャフトの長手方向軸線に沿ってケースとロータシャフトとの間に連結されるロータ放電ブラシとを含む。本開示の第3の実施形態の電動機の場合は、多極電動機のステータ巻線の不均衡によりロータに蓄積するコモンモード電荷は、主ロータ軸受を介する代わりにロータ放電ブラシを介して放電される。したがって、主軸受は、コモンモードロータ放電から実質的に保護され、それらの寿命を延ばし、その結果、必要とされる整備のための時間が延長される。
【0014】
電動機は、いくつかの追加の機能および構造を含むことができる。これらの機能および構造は、これらの機能および構造のいくつか、これらの機能および構造のすべて、あるいはこれらの機能および構造のうちの1つを含むさまざまな組み合わせで含まれ得る。電動機は、ステータに連結され、ステータを励磁するように構成されるさらなるステータ駆動電子機器をさらに含むことができる。
【0015】
また、第3の実施形態の電動機は、ステータに連結され、ステータを励磁するように構成されるステータ駆動電子機器を含むことができる。この電動機の場合は、ロータ放電ブラシは、ロータシャフトと接触している炭素繊維部分を含むことができる。さらに、ロータ放電ブラシは、ロータシャフトと接触している第1の部分と、第1の部分とケースとの間に接続される第2の部分とを含むことができる。第1の部分は、第1の直径を有することができ、第2の部分は、第1の直径とは異なる第2の直径を有することができる。
【0016】
本開示の第4の実施形態によれば、ケースと、ステータと、ロータシャフトを有するロータと、少なくとも2つの主ロータ軸受と、ロータ放電ブラシとを有する電動機のための方法は、ロータがロータシャフトの長手方向軸線を中心として回転することになる回転磁界を発生させるようにステータに電力を供給するステップを含む。次いで、この方法は、回転磁界に起因するロータ上のコモンモード電荷を集めるステップと、ロータシャフトの長手方向軸線に沿ってロータ放電ブラシを介してコモンモード電荷を放電するステップとを含む。したがって、主軸受は、コモンモードロータ放電から実質的に保護され、それらの寿命を延ばし、その結果、必要とされる整備のための時間が延長される。
【0017】
電動機を運転する方法は、いくつかの追加の動作および/または機能を含むことができる。これらの動作および/または機能は、これらの動作および/または機能のいくつか、これらの動作および/または機能のすべて、あるいはこれらの動作および/または機能のうちの1つを含むさまざまな組み合わせで含まれ得る。これらの動作の場合は、少なくとも2つの主ロータ軸受は、ロータシャフトとケースとの間に第1の電気抵抗を有することができ、ロータ放電ブラシは、ロータシャフトとケースとの間に第2の電気抵抗を有し、第2の電気抵抗は、第1の電気抵抗よりも小さい。この方法は、ロータシャフトからロータシャフトと接触しているロータ放電軸受の炭素繊維部分に交差するコモンモード電荷によって、ロータ放電ブラシを介してコモンモード電荷を放電するステップをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電池式電気自動車の基本構成要素を示す図である。
【0019】
図2】電動機の主ロータ軸受を通したロータ放電を示す図である。
【0020】
図3】開示された実施形態により構成され動作する電動機の第1の実施形態を示す図である。
【0021】
図4】開示された実施形態により構成され動作する電動機の第2の実施形態を示す図である。
【0022】
図5図4のロータ放電軸受の詳細を示す図である。
【0023】
図6】開示された実施形態により構成され動作する電動機の第3の実施形態を示す図である。
【0024】
図7】開示された実施形態により構成され動作する電動機の第4の実施形態を示す図である。
【0025】
図8A図7の第4の実施形態のロータ放電ブラシの変形例を示す図である。
図8B図7の第4の実施形態のロータ放電ブラシの変形例を示す図である。
図8C図7の第4の実施形態のロータ放電ブラシの変形例を示す図である。
図8D図7の第4の実施形態のロータ放電ブラシの変形例を示す図である。
【0026】
図9A】開示された実施形態による電動機のロータ放電動作を示すフロー図である。
図9B】開示された実施形態による電動機のロータ放電動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、電池式電気自動車(電気自動車)100の基本構成要素を示している。電気自動車100は、少なくとも1つの駆動モータ(牽引モータ)102Aおよび/または102Bと、対応する駆動モータ102Aおよび/または102Bに連結される少なくとも1つのギアボックス104Aおよび/または104Bと、電池106と、(駆動モータ電子機器を含む)電子機器108とを含む。一般に、電池106は、電気自動車100の電子機器108に、および駆動モータ102Aおよび/または102Bを用いて電気自動車100を推進するように電気を供給する。電気自動車100は、本明細書に説明されていないが当業者に知られている多数の他の構成要素を含む。図1の電気自動車100の構造は4つの車輪を有するように示されているが、異なる電気自動車は、4つより少ないかまたは4つより多い車輪を有することができる。さらに、他の種類の車両の中でオートバイ、航空機、トラック、ボート、機関車をはじめとする、異なる種類の電気自動車100が、本明細書に説明されている発明概念を組み込むことができる。
【0028】
電気自動車100についてのさまざまな動作上の問題が、さまざまな実施形態に関連して本明細書において説明されている。これらの動作上の問題のうちの1つは、駆動モータ102Aおよび102Bのロータ上のコモンモード電荷を集めることに関する。異なる実施形態が、駆動モータ102Aおよび102Bの主ロータ軸受を損傷することなく安全に電荷を散逸させる、駆動モータ102Aまたは102Bのロータ上に集められるコモンモード電荷の散逸に対処するために本明細書において開示されている。また、本明細書において説明される構造および動作は、異なる機械、たとえば、産業用機器、住宅用機器、業務用機器などを修理する電動機に適用される。
【0029】
図2は電動機の主ロータ軸受を通したロータ放電を示す図である。電動機200は、ケース202と、ケース202内に収容されるステータ208と、ステータ208内に配置され、第1の主ロータ軸受210および第2の主ロータ軸受212を介してケース202に回転連結されるロータ巻線206とを有する。電動機200は、負荷214を駆動し、この負荷は、図1に示されるように電気自動車100のギアボックス104Aまたは104B、あるいは産業機械、商用機、またはコンシューマ機器などの別の負荷であり得る。負荷のシャフト215は、ロータシャフト204に連結する。ロータ軸受216により、負荷214のシャフト215はハウジング217内で回転できるようになっている。
【0030】
ステータ208は、ステータ駆動電子機器によって生成される電気波形218によって電力を供給される。波形218は正弦波に近いが、たとえばステータ駆動電子機器の1つまたは複数のインバータによって導入される高調波成分を含むことに留意されたい。ステータ208は複数相を含み、各々は,それぞれの電気波形218によって電力を供給される。多極電動機200においては、それぞれの波形は,互いに位相が異なるであろう。ステータ208の複数相は、通常、完全にバランスがとれているわけではない。この不均衡は、たとえば、波形220に起因するロータシャフト204に対するコモンモード電圧を誘導し、これにより、時間と共に、ロータシャフト204およびロータ巻線206がコモンモード電荷を集めることになる。ロータシャフト204およびロータ巻線206上のコモンモード電荷の蓄積は、電動機200のケース302に対して、ロータシャフト204上にコモンモード電圧を生じさせる。
【0031】
図2の引伸ばし226は、主ロータ軸受212を横切るコモンモード電圧の放電の効果を示す主ロータ軸受212の一部を示している。引伸ばし226に示されているのは、ボール/ローラ228、内輪231、およびグリース230を含む主ロータ軸受212の構成要素である。コモンモード電圧が十分なレベルに達すると、コモンモード電荷は、外輪(図示せず)から、グリース230およびボール/ローラ228を介して主ロータ軸受212の内輪231へ弧状に動く。この種の放電は、グリース230の燃焼、および(内輪231に示される)主ロータ軸受の放電ピッティング(electric discharge pitting)232をもたらす。放電ピッティング232は、たとえば内輪231および/または外輪の放電ピッティング232から形成される金属粒子たとえば224を生成する。金属粒子224は、詳細図222に示されるように、グリース230内に残る。燃焼によって劣化しているグリース230に加えてグリース230中のこれらの金属粒子224により、主ロータ軸受212はロータシャフト204の回転に抵抗する摩擦の増加、および摩擦の増加による熱発生の増加があることになり、結局、電動機200の性能不良を招き、それにより主ロータ軸受210および212の交換が必要とされる。
【0032】
図3で開示された実施形態により構成され動作する電動機の第1の実施形態を示す図である。電動機300は、ケース302と、ステータ巻線308およびステータ巻線端部310を有するケース302に連結されるステータとを含む。電動機300は、ロータシャフト304およびロータ巻線306を有するロータと、ロータシャフト304をケース302に連結する少なくとも2つの主ロータ軸受312および314とをさらに含む。主ロータ軸受312または314のうちの少なくとも1つは、ロータシャフト304とケース302との間に第1の電気抵抗を有する。電動機300は、(いくつかの実施形においては電気的接続320によって)ロータシャフト304をケース302に連結するロータ放電軸受318をさらに含む。ロータ放電軸受318は、ロータシャフト304とケース302との間に第2の電気抵抗を有し、第2の電気抵抗は、主ロータ軸受312または314を介する代わりにロータ放電軸受318を介してロータ放電を方向づけるように第1の電気抵抗よりも小さい。少なくとも2つの主ロータ軸受312および314ならびにロータ放電軸受318の両方は、ロータシャフト304の長手方向軸線を中心として回転するように構成される。
【0033】
電動機300は、ステータ巻線308に連結され、ステータ巻線308を励磁するように構成されるステータ駆動電子機器316をさらに含む。図2を参照して説明されたように、ステータ駆動電子機器316によって生成される波形は、ステータ巻線308および巻線端部310を駆動する。電動機300は、多相電動機である。ステータ巻線308は、コモンモード電荷がロータシャフト304上に誘導されるように、完全に分配されまたはバランスがとれているわけではない。図3の電動機300の場合は、コモンモード電荷は、ロータシャフト304から、ロータ放電軸受318を介してケース302までの電気経路が主ロータ軸受312または314を介してロータシャフト304からケース302までの電気経路よりも低い抵抗を有するので、ロータシャフト304からロータ放電軸受318を介してケース302まで分路される。
【0034】
図3の実施形態の場合は、主ロータ軸受314は、ロータシャフト304の内側位置とケース302との間を連結するが、ロータ放電軸受318は、ロータ放電軸受318とケース302との間の電気接続320を介してロータシャフト304の外側位置とケース302との間を結合する。
【0035】
図3の実施形態の場合は、少なくとも1つの主ロータ軸受312または314は、第1の直径を有し、ロータ放電軸受318は、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する。さらに、いくつかの実施形態においては、少なくとも2つの主ロータ軸受312または314のうちの主ロータ軸受の少なくとも1つは、第1の構造を有するが、ロータ放電軸受318は、第1の構造とは異なる第2の構造を有する。
【0036】
さらに、図3の実施形態(および本明細書において説明される他の実施形態)の場合は、少なくとも2つの主ロータ軸受312または314のうちの少なくとも1つのロータ軸受は、第1の荷重(loading,ローディング)を有し(即ち、ロータシャフト304から第1の荷重を受ける)、ロータ放電軸受318は、第1の荷重よりも大きい第2の荷重を有する(即ち、ロータシャフト304から第2の荷重を受ける)。主ロータ軸受312または314のより小さい荷重と比較してロータ放電軸受318のより大きな荷重により、ロータ放電軸受318の可動部品(ボール/ローラ)をロータ放電軸受318の固定部品から分離するグリースの層は主ロータ軸受314(および312)の可動部品(ボール/ローラ)を主ロータ軸受314(および312)の固定部品からから分離するグリースの層よりも小さい厚さから成ることになる。主ロータ軸受312および314のグリースの層ならびにロータ放電軸受318のグリースの層はこれらの軸受の抵抗を大部分決定するので、ロータ放電軸受318のグリースの比較的薄い層により、ロータシャフト304からケース302へのロータ放電軸受318の電気抵抗はロータシャフト304とケース302との間の主ロータ軸受314(または312)の電気抵抗よりも小さいことになる。これにより、当然の成り行きとして、ロータシャフト304上のコモンモード電圧は主ロータ軸受312および/または314を介する代わりにロータ放電軸受318を介してケース302に分路することになる。
【0037】
図4で開示された実施形態により構成され動作する電動機の第2の実施形態を示す図である。電動機400の同じ/類似の構成要素は、図3の実施形態の構成要素の場合の番号付けを共有している。図4の実施形態の場合は、主ロータ軸受312および314は、ロータシャフト304をケース302に連結する。主ロータ軸受312および314は、各々ロータシャフト304とケース302との間に第1の電気抵抗を有する。また、ロータ放電軸受318は、ロータシャフト304をケース302に連結する。ロータ放電軸受318は、ロータシャフト304とケース302との間に第2の電気抵抗を有し、第2の電気抵抗は第1の電気抵抗よりも小さい。図4の実施形態においては、主ロータ軸受312および314は、ロータシャフト304の外面とケース302との間を連結するが、ロータ放電軸受318は、ロータシャフト304の対応する実質的に円筒形の開口部内のロータシャフト304の内面でロータシャフト304に連結する。ロータ放電軸受318は、導電性タブ321を介してケース302に連結し、これは、電気的接続320として役立つ。ロータ放電軸受318を介したロータシャフト304からケース302までの電気抵抗は主ロータ軸受312または314のいずれかを介したロータシャフト304からケース302までの電気抵抗よりも小さいので、ロータシャフト304上に蓄積するコモンモード電圧は、主ロータ軸受312または314の代わりにロータ放電軸受318を横切って放電する。主ロータ軸受312および314ならびにロータ放電軸受318はすべて、ロータシャフト304の長手方向軸線の周りに同心円状に方向づけられる。
【0038】
図3の実施形態の1つの態様によれば、主ロータ軸受312または314のうちの1つは、第1の直径を有し、ロータ放電軸受318は、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する。もう1つの態様によれば、主ロータ軸受312および314は第1の構成を有し、ロータ放電軸受318は、第1の構成とは異なる第2の構成を有する。主ロータ軸受312および314ならびにロータ放電軸受318の両方は、玉軸受またはころ軸受であり得る。しかし、ボール/ローラのサイズ、および主ロータ軸受312および314と比較してロータ放電軸受318の内輪および外輪の溝の深さは、異なる電気抵抗を生じるように異なる場合がある。さらにもう1つの実施形態によれば、主ロータ軸受312および314は、第1の荷重を有し、ロータ放電軸受318は、第1の荷重よりも大きい第2の荷重を有する。実施形態の各々の場合は、構造、サイズ、および荷重が異なることにより、ロータシャフト304とケース302との間のロータ放電軸受318の電気抵抗はロータシャフト304とケース302との間の主ロータ軸受312および314のいずれかの電気抵抗よりも小さいことになり、それにより、ロータシャフト304のコモンモード電圧は主ロータ軸受312および314の代りにロータ放電軸受318を介して放電することなる。
【0039】
図5は、図4のロータ放電軸受の詳細を示している。ロータ放電軸受318は、ロータシャフト304の内面322に取り付けられる。この内面322は、ロータシャフト304の長手方向の回転軸の周りのロータシャフト304の実質的に円筒形の部分の除去から生じる。ロータ放電軸受318は、導電性タブ321を介してケース302に連結し、これは、図3に示される電気的接続320として役立つ。ロータ放電軸受318および導電性タブ321を通してロータシャフト304からケース302までの電気経路により、ロータシャフト304に蓄積するコモンモード電圧は主ロータ軸受312または314を介する代わりにロータ放電軸受318を介して放電することになる。
【0040】
図6で開示された実施形態により構成され動作する電動機の第3の実施形態を示す図である。電動機600の同じ/類似の構成要素は、図3図4、および図5の実施形態の場合の番号付けを共有している。図6の電動機600の実施形態の場合は、少なくとも2つの主ロータ軸受604および606のうちの1つの主ロータ軸受606は、ロータシャフト304の外側位置とケース302との間を連結するが、ロータ放電軸受602は、電気的接続608を介してロータシャフト304の内側位置とケース302との間を連結する。ロータ放電軸受318がロータシャフト304の内面でロータシャフト304に連結される図4および図5の実施形態と比較すると、主ロータ軸受604および606ならびにロータ放電軸受602の両方が、ロータシャフト304の外面に連結する。
【0041】
図3から図6のさまざまな実施形態の場合は、ロータ放電軸受318および/または606は、異なる構成を有することができる。ロータ放電軸受318および/または606の第1の実施形態の場合は、油は、ロータ放電軸受318および/または606の周りにおよびそれらの中に流れ込み、軸受318および/または606のリングとボール/ローラとの間に油層を形成する。油は絶縁体として働き、ロータシャフト304上のコモンモード電荷は、油層を横切って放電しなければならない。したがって、ロータ放電軸受318および/または606のこの実施形態の場合は、より小さい軸受が、ロータ放電軸受318および/または606を横切る電気抵抗を低減するためにより薄い油層を生じるのに選好される。
【0042】
ロータ放電軸受318および/または606の第2の実施形態の場合は、ロータ放電軸受318および/または606は、潤滑のために導電性グリースで密封され埋め込まれる。導電性グリースは、主軸受312、314、602、および604を潤滑する油よりも比較的低い抵抗を有する。したがって、ロータ放電軸受318および/または606のこの実施形態の場合は、導電性グリースは、主軸受312、314、602および604を介する代わりに、ロータ放電軸受318および/または606を横切る放電を助ける。
【0043】
図7で開示された実施形態により構成され動作する電動機の第4の実施形態を示す図である。電動機600の同じ/類似の構成要素は、図3図4図5および図6の実施形態の場合の番号付けを共有している。図7の電動機700は、ケース302と、ケース302に連結されるステータ巻線308および巻線端部310を有するステータと、ロータシャフト304およびロータ巻線306を有するロータとを含み、その両方は、ロータシャフト304の長手方向軸線706を中心として回転する。電動機700は、ロータシャフト304をケース302に連結する少なくとも2つの主ロータ軸受702および704と、ロータシャフト304の長手方向軸線706に沿ってケース302とロータシャフト304との間に連結されるロータ放電ブラシ708とをさらに含む。電動機700は、ステータ巻線308に連結され、ステータを励磁するように構成されるステータ駆動電子機器316をさらに含む。
【0044】
図7の実施形態の場合は、ロータ放電ブラシ708は、ロータシャフト304と接触している炭素繊維部分を含むことができる。さらに、ロータ放電ブラシ708は、ロータシャフト304と接触している第1の部分と、第1の部分とケース302との間に接続される第2の部分とを含むことができる。そのような場合は、第2の部分は、支持要素であることができ、第1の部分はロータシャフト304と接触させる。さらに、ロータ放電ブラシ708の第1の部分は、第1の直径を有することができ、第2の部分は、第1の直径とは異なる第2の直径を有することができる。
【0045】
図8A図8B図8C、および図8D図7の第4の実施形態のロータ放電ブラシの変形例を示す図である。図8Aの実施形態800の場合は、ロータブラシ802は、ロータシャフト304と接触している第1の部分806と、第1の部分806をケース302に連結する第2の部分804とを含む。図8Aの実施形態800の場合は、第1の部分806は、炭素繊維で構成されることができ、第2の部分804は、異なる導電性材料、たとえば金属で構成され得る。第1部分806および第2部分806は、異なる形状および異なる相対寸法を有する。第1部分806は、円筒形状であるが、第2部分804は、実質的に円錐形状である。
【0046】
図8Bの実施形態820の場合は、ロータブラシ822は、ロータシャフト304と接触している第1の部分826と、第1の部分826をケース302に連結する第2の部分824とを含む。図8Bの実施形態820の場合は、第1の部分826は、炭素繊維で構成されることができ、第2の部分824は、異なる導電性材料、たとえば金属で構成され得る。図8Bの実施形態820の場合は、第1の部分826および第2の部分824は、1つの軸線に沿って類似の外形寸法、たとえば円筒状に形成された場合に類似の直径を有する。
【0047】
図8Cの実施形態840の場合は、ロータブラシ842は、ロータシャフト304と接触している第1の部分846と、第1の部分846をケース302に連結する第2の部分844とを含む。図8Cの実施形態840の場合は、第1の部分846は、炭素繊維で構成され、第2の部分844は、異なる導電性材料、たとえば金属で構成され得る。図8Cの実施形態840の場合は、第1の部分846および第2の部分844は、1つの軸線に沿って異なる外形寸法、たとえば円筒形に形成された場合に異なる直径を有する。
【0048】
図8Dの実施形態860の場合は、ロータブラシ862は、ロータシャフト304とロータシャフト304と接触しているケース302との間に延在する単一部分864を含む。図8Cの実施形態860の場合は、単一部分864は、炭素繊維で構成され得る。
【0049】
図9Aおよび図9Bで開示された実施形態による電動機のロータ放電動作を示すフロー図である。電動機は、ケースと、ステータと、ロータシャフトを有するロータと、少なくとも2つの主ロータ軸受と、ロータ放電軸受とを有する。図9Aを参照すると、動作900の第1の実施形態は、回転磁界を発生させるように電動機のステータに電力を供給することから始まる(ステップ902)。電動機は、回転磁界内に小さな不均衡を生じるステータ位相の少なくとも小さな不均衡を有する多相ステータを含む。回転磁界の不均衡により、ロータはコモンモード電荷を集めることになる(ステップ904)。電気機械の主ロータ軸受の損傷を防ぐために、動作900は、主ロータ軸受の代わりにロータ放電軸受を介してコモンモード電荷を放電することを含む(ステップ906)。ステップ906の動作を引き起こすために、少なくとも2つの主ロータ軸受は、ロータシャフトとケースとの間に第1の電気抵抗を有し、ロータ放電軸受は、ロータシャフトとケースとの間に第2の電気抵抗を有し、第2の電気抵抗は、第1の電気抵抗よりも小さい。図3から図6を参照して本明細書において以前に説明されたさまざまな構造は、図9Aの動作900を修理するのに使用され得る。
【0050】
図9Bを参照すると、動作950の第2の実施形態は、回転磁界を発生させるように電動機のステータに電力を供給することから始まる(ステップ952)。電動機は、回転磁界内に小さな不均衡を生じるステータ位相の少なくとも小さな不均衡を有する多相ステータを含む。回転磁界の不均衡により、ロータはコモンモード電荷を集めることになる(ステップ954)。電気機械の主ロータ軸受への損傷を防ぐために、動作950は、ロータシャフトの長手方向軸線に沿って方向づけるロータ放電ブラシを介してコモンモード電荷を放電することを含む(ステップ956)。ステップ956の動作を引き起こすために、少なくとも2つの主ロータ軸受は、ロータシャフトとケースとの間に第1の電気抵抗を有し、ロータ放電ブラシは、ロータシャフトとケースとの間に第2の電気抵抗を有し、第2の電気抵抗は、第1の電気抵抗よりも小さい。図7および図8A図8Dを参照して本明細書において以前に説明されたさまざまな構造は、図9Bの動作950を修理するのに使用され得る。
【0051】
前述の明細書においては、本開示は、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者には理解されるように、本明細書に開示されたさまざまな実施形態は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな他の方法で修正されまたは別様に実施され得る。したがって、この説明は、例示と見なされるべきであり、開示されたシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品のさまざまな実施形態を作成し使用する方法を当業者に教示するためである。本明細書において示され説明された開示の形態は代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。均等な要素、材料、プロセスまたはステップは、本明細書において代表的に例示され説明されたものに取り換えられ得る。さらに、本開示のこの説明の利益を有する後に当業者に明らかであろうように、本開示のある一定の特徴が他の特徴の使用とは無関係に利用され得る。
【0052】
本明細書において説明されるルーチン、方法、ステップ、動作、またはその一部は、ソフトウェアおよびファームウェア命令を用いて電子機器、たとえば1つまたは複数のプロセッサを通して実施され得る。「プロセッサ(processor)」は、データ、信号または他の情報を処理する任意のハードウェアシステム、ハードウェア機構、またはハードウェアコンポーネントを含む。プロセッサは、中央処理装置、複数の処理装置、機能を達成するための専用回路、または他のシステムを持つシステムを含むことができる。いくつかの実施形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、光学的、化学的、生物学的、量子またはナノテクシステム、コンポーネント、および機構を用いることによって、1つまたは複数のデジタルコンピュータまたはプロセッサでソフトウェアプログラミングまたはコードを用いることによって実施され得る。本明細書において代表的に提供される開示および教示に基づいて、当業者は、本発明を実施するための他の方式または方法を理解するであろう。
【0053】
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらのいかなる文脈上の変形も、非排他的包含に適用されるように意図されている。たとえば、要素のリストを含むプロセス、製品、物品、または装置は必ずしもそれらの要素のみに限定さるものではなく、明示的に列挙されていない他の要素、またはそのようなプロセス、製品、物品、または装置に固有の他の要素を含むことができる。さらに、それとは別段の明示的な記述がない限り、「または(or)」は、包括的なor(または)を指し、排他的なor(または)を指すものではない。たとえば、条件「AまたはB(AorB)」は、次に述べること、すなわち、Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、および、AとBの両方が真である(または存在する)、のいずれか1つによって満たされる。
【0054】
ステップ、動作、または計算が特定の順序で提示される場合があるが、この順序は、異なる実施形態においては変更され得る。いくつかの実施形態においては、複数のステップがこの明細書において連続したステップと示される限り、他の実施形態におけるこの種のステップのいくつかの組み合わせは、同時に実行され得る。本明細書において説明される一連の動作は、中断され、一時停止され、逆にされ、またはもう1つのプロセスで別様に制御され得る。
【0055】
特定の用途に従って有用であるように、図面/図に描かれた要素のうちの1つまたは複数はより分離または統合された方法でやはり実装され、あるいは場合によっては動作不能として除去またはレンダリングさえされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B