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特許7012069クロスアームおよびアングルタワーおよびそれらを含むテンションタワー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】クロスアームおよびアングルタワーおよびそれらを含むテンションタワー
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/20 20060101AFI20220120BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20220120BHJP
   E04H 12/24 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
H02G7/20
H02G7/00
E04H12/24
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019504130
(86)(22)【出願日】2017-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2017093791
(87)【国際公開番号】W WO2018019180
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2019-02-21
(31)【優先権主張番号】201610597271.9
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201610594229.1
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521386892
【氏名又は名称】シャンハイ・シェマー・パワー・エンジニアリング カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】マ ビン
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】リ ドゥーチュエン
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-018260(JP,A)
【文献】特開平6-276654(JP,A)
【文献】中国実用新案第202997476(CN,U)
【文献】中国実用新案第202788142(CN,U)
【文献】特開2010-263782(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103696613(CN,A)
【文献】米国特許第3342925(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/20
H02G 7/00
E04H 12/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワー本体を備えるアングルタワーに適用されるクロスアームであって、前記クロスアームの一端は前記タワー本体に接続され、前記タワー本体から離れた前記クロスアームの他端は導線を接続するための自由端であるクロスアームであって、
前記自由端は、端部接続部材と、前記端部接続部材に固定された細長部材とを含み、
前記細長部材は、水平面に設置されるか、または垂直面の角度によってオフセットされ、
水平面の投影において、前記細長部材は前記端部接続部材から外側に延び、
前記導線は前記細長部材に接続されており、
前記細長部材と前記クロスアームの中心線との間の角度は、前記導線と前記クロスアームの前記中心線との間の角度よりも大き
1つの前記細長部材が前記端部接続部材上に配置され、角部にある2つの導線が前記細長部材の両端にそれぞれ接続されている、クロスアーム。
【請求項2】
前記細長部材は、複数の支持セグメントによって接合されている、請求項1に記載のクロスアーム。
【請求項3】
少なくとも1つの補強部材が前記細長部材上に配置されている、請求項1に記載のクロスアーム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの補強部材は、前記細長部材および前記端部接続部材に接続されている、請求項に記載のクロスアーム。
【請求項5】
少なくとも1つの補助部材が前記補強部材と前記細長部材との間に配置され、前記補助部材が前記補強部材および前記細長部材に接続されている、請求項に記載のクロスアーム。
【請求項6】
前記細長部材は、前記アングルタワーの外側角部に配置されている、請求項1に記載のクロスアーム。
【請求項7】
前記クロスアームは複合クロスアームである、請求項1に記載のクロスアーム。
【請求項8】
タワー本体を含むアングルタワーであって、
前記アングルタワーは、請求項1から7のいずれか1項に記載の前記クロスアームをさらに含む、アングルタワー。
【請求項9】
タワー本体を備えるテンションタワーに適用されるクロスアームであって、前記クロスアームの一端は前記タワー本体に接続され、前記タワー本体から離れた前記クロスアームの他端は導線を接続するための自由端であり、前記自由端には、端部接続部材と、前記端部接続部材上に水平に配置されジャンパー線で吊下げられるように構成されたジャンパー装置とが設けられており、
前記テンションタワーはアングルタワーであり、
前記端部接続部材はさらに細長部材に接続され、前記細長部材は水平面に設置される、または垂直面の角度によってオフセットされ、
水平面の投影において、前記細長部材は前記端部接続部材から外側に延び、
前記導線は前記細長部材に接続されており、
前記細長部材と前記クロスアームの中心線との間の角度は、前記導線と前記クロスアームの前記中心線との間の角度よりも大き
1つの前記細長部材が前記端部接続部材上に配置され、角部にある2つの導線が前記細長部材の両端にそれぞれ接続され、
前記ジャンパー装置は複合ポスト碍子であり、前記複合ポスト碍子の一端は前記端部接続部材に接続され、前記複合ポスト碍子の他端は前記ジャンパー線で吊下げられていて、前記複合ポスト碍子は前記細長部材に水平に配置されている、クロスアーム。
【請求項10】
前記複合ポスト碍子は、接続金具によって前記ジャンパー線で吊下げられている、請求項に記載のクロスアーム。
【請求項11】
前記クロスアームは複合クロスアームである、請求項に記載のクロスアーム。
【請求項12】
タワー本体を含むテンションタワーであって、
前記テンションタワーは請求項から11のいずれか1項に記載のクロスアームをさらに含む、テンションタワー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電および変圧装置の技術分野に関し、より詳細には、クロスアーム、およびアングルタワーおよびそれらを含むテンションタワーに関する。
【背景技術】
【0002】
架空送電線では、送電鉄塔は導線を支持するように機能する。具体的には、導線は送電鉄塔に固定されたクロスアームによって支持されている。特定の接続手段は、送電鉄塔のクロスアームの自由端に導線を吊下げる。
【0003】
アングルタワーは、経路の方向を変更する必要があるときに送電線の経路の方向を変更するために使用される送電鉄塔である。図1に示すように、従来のアングルタワー10は、外側角部11と内側角部12とを有する。内側角部12の導線13はアングルタワー10から遠ざかりやすく、外側角部11の導線14は、最初は接近しやすく、次いでアングルタワー10から離れやすい。導線とアングルタワー10との間には、最小の電気的クリアランスに対する要求がある。一般に、導線とアングルタワー10との間の距離は、電気的クリアランス要件を満たすためにクロスアームの長さを増大することによって増大するが、過度に長いクロスアームは製造上の困難が増大する。
【0004】
テンションタワーは、一般に、不均衡な張力に耐えるために使用され、導線上の力は、一般に、テンションストリングによって鉄塔本体に伝達される。テンションタワーは、ラインテンションタワー、アングルタワーおよびターミナルタワーを含み、これらは導線および地線によって発生する水平荷重に耐えることができる。テンションタワーの両側にある導線は、ジャンパー線で接続する必要がある。図2に示すように、従来のテンションタワー20では、ジャンパー線は、耐張碍子連21および関連する取付金具を使用することによって実行される必要がある。耐張碍子連21と取付金具を使用すると、クロスアーム22間の垂直方向の間隔が非常に大きくなり、タワーヘッド23が大型で複雑な構造となり、メンテナンスや設置に不便である。これは、テンションタワー20が高価であること、導線によって生じる負荷およびタワーヘッド上の風荷重が大きいこと、およびタワー本体が重いことをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の欠点を考慮して、本開示の1つの目的は、アングルタワー上に使用して導線を支持し、クロスアームの長さを増すことなく、導線と鉄塔本体との間の電気的クリアランスを満たすことができるクロスアームを提供することである。本開示の別の目的は、テンションタワー上で使用できて導線を支持でき、それによって耐張碍子および継手間の複雑な接続を解消できるクロスアームを提供することである。従って、導線の層間間隔が狭くなり、テンションタワーのタワーヘッドのサイズが小さくなる。その結果、構造が単純化され、コストが削減される。
【0006】
上述の目的を達成するために、本開示は以下の技術的解決策を採用する。
【0007】
本開示の一態様によれば、アングルタワーに適用されるクロスアームが提供される。前記アングルタワーはタワー本体を含む。前記クロスアームの端部は前記タワー本体に接続され、前記タワー本体から離れた前記クロスアームの他端は導線を接続するための自由端である。前記自由端は、端部接続部材と、前記端部接続部材に固定された細長(長尺)部材とを含む。水平面の投影において、前記細長部材は前記端部接続部材から外向きに延びる。前記導線は前記細長部材に接続されている。前記細長部材と前記クロスアームの中心線との間の角度は、前記導線と前記クロスアームの前記中心線との間の角度よりも大きい。
【0008】
導線とタワー本体との間の最小の電気的クリアランスについての要件がある。電気的クリアランスは、導線からタワー本体までの最短スペース距離に関係する。最小の電気的クリアランスはフラッシュオーバーの原因となることを避け、個人の安全を確保することができる。本開示によれば、水平面の投影において、前記細長部材は、前記自由端から前記タワー本体と平行または離れる方向に外側に延びているので、角部における2つの導線の2つの吊り点間の距離を増加させることができる。そうすると、クロスアームの長さを変えることなく、導線とタワー本体との間の距離を大きくすることができ、すなわち導線とタワー本体との間の電気的クリアランスを大きくすることができる。
【0009】
好ましくは、前記細長部材は、前記端部接続部材の両側に配置されている。角部にある2本の導線は、端部接続部材の両側に配置された細長部材にそれぞれ吊下げることができるので、導線とタワー本体との間の距離を大きくすることができる。
【0010】
好ましくは、1つの前記細長部材は、前記端部接続部材上に配置され、角部にある2つの導線は前記細長部材の両端にそれぞれ接続される。細長部材は、全体として端部接続部材に取付けることができ、それは自由端に固定されるだけでよい。
【0011】
好ましくは、前記細長部材は、複数の支持セグメントによって接合されている。導線とタワー本体との間の電気的クリアランス要件を満たすのに必要とされる所望の長さを有する細長部材を組立てるために適切な数の支持体を選択することができる。さらに、細長部材を長くする必要があるとき、そのような細長部材を多セグメント支持体の形態に組立てるだけの柔軟性がある。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの補強部材が前記細長部材上に配置されている。補強部材の配置は、細長部材の強度および構造安定性を向上させることができる。
【0013】
好ましくは、前記少なくとも1つの補強部材は、前記細長部材および前記端部接続部材に接続されている。補強部材、細長部材および端部接続部材は、細長部材の強度をさらに高める安定した三角形構造を形成することができる。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの補助部材が前記補強部材と前記細長部材との間に配置され、前記補助部材が前記補強部材と前記細長部材とに接続されている。補助部材を配置することで、細長部材の剛性がさらに向上する。
【0015】
好ましくは、前記細長部材は、前記アングルタワーの外側角部に配置されている。外側角部では、角部の導線が最初に接近してタワー本体から離れるので、導線とタワー本体との間の電気的クリアランスが要件を満たさないようにすることは容易である。アングルタワーの外側角部に細長部材を配置することによって、外側角部における2本の導線とタワー本体との間の距離を増大させることができる。
【0016】
好ましくは、前記クロスアームは複合クロスアームである。
【0017】
本開示によれば、アングルタワーも提供される。アングルタワーは、タワー本体と上述のクロスアームとを含む。アングルタワーは、クロスアームの長さを長くすることなく、導線とタワー本体との間の電気的クリアランスに関する要件を満たすことができる。
【0018】
本開示の別の局面によれば、テンションタワーに適用されるクロスアームが提供される。前記テンションタワーはタワー本体を含む。クロスアームの端部はタワー本体に接続され、タワー本体から離れたクロスアームの他端は導線を接続するための自由端である。前記自由端には、端部接続部材とジャンパー装置が設けられている。前記ジャンパー装置は、前記端部接続部材上に水平に配置され、ジャンパー線が吊下げられるように構成される。
【0019】
ジャンパー装置は端部接続部材上に水平に配置され、ジャンパー装置は、垂直空間を占有しないので、導線の層間間隔を狭くすることができる。そして耐張碍子および付属品間の複雑な接続をなくすことができる。従って、テンションタワーのタワーヘッドのサイズが小さくなり、構造が単純化され、コストが削減される。
【0020】
好ましくは、前記ジャンパー装置は、複合ポスト碍子であり、前記複合ポスト碍子の一端は前記端部接続部材に接続され、前記複合ポスト碍子の他端は、前記ジャンパー線が吊下げられる。ジャンパー装置は、クロスアームの電界を最適化できる複合ポスト碍子として構成される。
【0021】
好ましくは、前記複合ポスト碍子は、接続金具によって前記ジャンパー線が吊下げられる。それは、接続や取付けに便利である。
【0022】
好ましくは、前記テンションタワーは、アングルタワーである。前記端部接続部材はさらに細長部材に接続されている。水平面の投影において、前記細長部材は、前記端部接続部材から外向きに延びる。前記導線は、前記細長部材に接続されている。前記細長部材と前記クロスアームの中心線との間の角度は、前記導線と前記クロスアームの中心線との間の角度よりも大きい。
【0023】
アングルタワーでは、導線とタワー本体との間の最小の電気的クリアランスについての要件がある。電気的クリアランスは、導線からタワー本体までの最短スペース距離に関係している。最小の電気的クリアランスは、フラッシュオーバーの原因となることを避けることができ、個人の安全を確保することができる。本開示によれば、水平面の投影において、前記細長部材は、前記自由端から前記タワー本体と平行または離れる方向に外向きに延びる。タワー本体の両側にある2本の導線の2つの吊下げ点間の距離を増加することができる。そうすれば、クロスアームの長さを変えることなく、導線とタワー本体との間の距離、すなわち導線とタワー本体との間の電気的クリアランスを大きくすることができる。
【0024】
好ましくは、前記細長部材は、前記端部接続部材の両側に配置されている。タワーの両側にある2本の導線は、端部接続部材の両側に配置された細長部材に吊下げることができ、その結果、導線とタワー本体との間の距離を大きくすることができる。
【0025】
好ましくは、1つの前記細長部材は、前記端部接続部材上に配置され、前記タワー本体の両側にある2つの導線は、それぞれ前記細長部材の両端に接続される。細長部材は全体として端部接続部材に取付けることができ、それは自由端に固定されるだけでよい。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つの補強部材が前記細長部材上に配置されている。補強部材の配置は、細長部材の強度および構造安定性を向上させることができる。
【0027】
好ましくは、前記少なくとも1つの補強部材は、前記細長部材と前記端部接続部材とに接続されている。補強部材、細長部材および端部接続部材は、細長部材の強度をさらに高める安定した三角形構造を形成することができる。
【0028】
好ましくは、前記クロスアームは複合クロスアームである。
【0029】
本開示に従ってテンションタワーが提供される。テンションタワーは、タワー本体とクロスアームとを含む。テンションタワーのタワーヘッドのサイズが小さく、材料費が節約され、設置が便利である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、従来のアングルタワーの平面図である。
図2図2は、従来のテンションタワーの概略図である。
図3図3は、本開示の実施例1に係るアングルタワーの上面図である。
図4図4は、図3に示すクロスアームの自由端の部分拡大図である。
図5図5は、本開示の実施例2に係るクロスアームの自由端の概略図である。
図6図6は、図5に示すクロスアームの自由端の拡大部分図である。
図7図7は、本開示の実施例3に係るアングルタワーの概略図である。
図8図8は、本開示の実施例4に係るテンションタワーの概略図である。
図9図9は、本開示の実施例5に係るテンションタワーの概略図である。
図10図10は、図9に示すクロスアームの自由端の部分拡大図である。
図11図11は、本開示の実施例6に係るテンションタワーの上面図である。
図12図12は、図11に示すクロスアームの自由端の拡大部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の特定の実施形態は、要求に応じて本明細書に開示されるであろう。しかしながら、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、様々な形態で実施することができると理解されるべきである。従って、本明細書に開示された詳細は限定的であると見なされるべきではなく、特許請求の範囲の基礎および本明細書に開示された様々な特徴の使用および本明細書に明示的に開示されていない特徴との組合せを含む実際に適切な手段で開示を様々に適用することを当業者に教示するための代表的な基準として役立つ。
【0032】
以下では、本開示の一態様に係るクロスアームについて、アングルタワーを例に挙げて説明する。
(実施例1)
【0033】
図3は、ラインの角部におけるアングルタワー100の使用を示す概略図である。アングルタワー100は、タワー本体101と、タワー本体101上に配置されたクロスアーム110とを含む。角部の導線103は、それぞれクロスアーム110に吊下げられている。この例では、導線103は120度のコーナー角を有する。
【0034】
この例では、クロスアーム110は、タワー本体101に接続された開放端と、導線103を接続するために使用される自由端として機能する頂点とを有するV字型複合クロスアームである。クロスアーム110は、2つのクロスアーム碍子113と自由端とを含む。2つのクロスアーム碍子113は、自由端において端部金具111によって固定されている。
【0035】
図4は、クロスアームの自由端の部分拡大図を示す。クロスアームの自由端は、端部金具111、細長部材112、およびジャンパー装置120を含む。具体的には、細長部材112は、端部金具111の両側にそれぞれ配置されている。各細長部材112は、端部金具111に接続された端部と、細長部材の同じ側の導線103に接続された他端とを有する。ジャンパー装置120は、ジャンパー線を支持するために端部金具111に固定されている。
【0036】
この例では、導線103とクロスアーム110の中心線とのなす角度は60度である。細長部材112は自由端に水平に配置され、細長部材112とクロスアーム110の中心線との間の角度は90度である。細長部材112の配置は、タワー本体101の同じ側で2つの角部のある導線103との仮想交差点を延長することと等価である。従って、導線103とタワー本体との間の距離は増大する。クロスアーム110の長さを変えることなく、導線103とタワー本体101との間の電気的クリアランスを満たすことができる。
【0037】
直観的に説明するために、図3図1と比較することができる。図1は、細長部材のないアングルタワー10を示す。図3は、この実施形態による細長部材112を有するアングルタワー100を示す。図1および図3のアングルタワーは、ともに同じコーナー角および同じクロスアーム長を有する。図3における導線103からタワー本体101までの距離L2は、図1における導線13からタワー本体までの距離L1よりも長い。
【0038】
あるいは、端部金具111上の任意の点を起点として導線103の平行線を引く場合、引かれた平行線からタワー本体101までの距離が、導線からタワー本体101までの距離よりも小さいことは明らかである。すなわち、アングルタワーに細長部材112を設けたクロスアームを用いることで、導線とタワー本体との間の電気的クリアランスを満足し易い。
【0039】
この実施形態では、細長部材112は自由端に水平に配置されているので、細長部材112とクロスアーム110の中心線との間の角度を直接比較することができる。しかしながら、細長部材が水平面内に完全には存在し得ないことも明らかである。細長部材は、水平面の投影において、細長部材とクロスアームの中心線との間の角度が同じ側の導線とクロスアームの中心線との間の角度よりも大きい限り、垂直面内の角度だけオフセットされてもよい。
【0040】
また、クロスアーム110の自由端には、2つの補強部材が配置されている。これら2つの補強部材は、傾斜部材116と補助部材117とを含む。傾斜部材116と細長部材112はV字型構造を形成している。すなわち、傾斜部材116と細長部材112との端部は接続プレート118に固定されてV字型の頂点を形成しており、傾斜部材116の他の端部は端部金具111に固定されている。傾斜部材116を配置することで、細長部材112の剛性と強度が向上する。補助部材117が傾斜部材116と細長部材112とに接続されることによって、傾斜部材116と細長部材112とによって形成されるV字構造が強化され、細長部材112の剛性と強度がさらに強化される。
【0041】
細長部材112の使用により、クロスアーム110が長くなり過ぎることが抑えられ、クロスアーム110を備えたアングルタワーは、導線間の電気的クリアランスが満たされないという状況を回避することができる。アングルタワーは軽量で、ライン回廊は狭い。
【0042】
角部のある導線の本数は本開示の進歩性の存在する点ではないので、角部のある導線は分割線であってもよい。この例では、細長部材112は、アングルタワー100の外側の角部に配置されてもよいが、細長部材112はまた、内側の角部に配置されてもよい。外側の角部の導線は最初にタワー本体の近くにあり、次に外側の角部でタワー本体から離れているのに対し、コーナーの導線は内側の角部でタワー本体から直接離れている。それ故、内側の角部に比べ、外側の角部に細長部材を設けることがより必要である。
(実施例2)
【0043】
図5および図6に示すように、この例では、細長部材212が全体として端部金具211に固定されており、細長部材212の両端には角部の導線203がそれぞれ接続されている。実施例1とは対照的に、この実施例における細長部材212は、異なる長さを有する5つの支持体219を接合することによって形成されている。導線とタワー本体との間の電気的クリアランスを満たすために必要とされる所望の長さを有する細長部材を組立てるために適切な数の支持体を選択することができる。さらに、細長部材を長くする必要があるとき、それは多セグメント支持体の形態での組立てに融通が利く。この例では、クロスアームの自由端にも補強部材および補助部材が配置されており、それらの機能および構造は実施例1と同じであり、ここでは詳細には説明しない。
(実施例3)
【0044】
本開示において提供される細長部材は、それが適用されるクロスメンバー構造、材料、導線のコーナー角度などを限定するものではない。図7に示すように、この例では、アングルタワー300上のクロスアーム310は線状のクロスアームである。導線303は、100度のコーナー角を有し、角における導線303とクロスアーム310の中心線とのなす角は50度である。この例では、細長部材が内角と外角の両方に配置されている。
【0045】
具体的には、クロスアーム310は、クロスアーム絶縁体313と、タワー本体301から離れた自由端とを含む。自由端は、端部金具311と、端部金具311に接続された細長部材312とを含む。細長部材312は、鉛直面内で60度の傾斜角と、クロスアーム310の中心線に対してそれぞれ70度および110度の2つの角度を有する長方形の板である。細長部材312とクロスアーム310の中心線との間の角度は、導線303とクロスアーム310の中心線との間の角度よりも大きいので、この例におけるクロスアーム310は、導線303とタワー本体301との間の電気的クリアランスを満たすことができる。
【0046】
この例では、端部金具311の端部は、クロスアーム絶縁体313に接合されたスリーブである。端部金具311の他端は、細長部材312に固定された接続板である。端部金具は、当業者に知られているように、細長部材に固定可能である任意の適切な接続部材を含み得る。さらに、導線は、当業者に知られている任意の適切な接続手段によって、例えばワイヤークランプを通して引っ掛けることによって、細長部材に接続することができる。
【0047】
以下、本開示の他の態様に係るクロスアームについて、テンションタワーを例に挙げて説明する。
(実施例4)
【0048】
図8に示すように、この例では、テンションタワー400は、2回線の送電線として使用されるとともに、線路の向きを変えるためにも使用されるので、アングルタワーとみなすこともできる。アングルタワーとしてのテンションタワー400は、タワー本体401と、テンションタワー400上に配置された三相導線を接続するための6本のクロスアーム410とをそれぞれ備えている。クロスアーム410の一端はタワー本体401に接続され、クロスアーム410のタワー本体401とは反対側の端部は導線403を接続するための自由端となっている。クロスアーム410の自由端には、端部接続部材411とジャンパー装置420とが設けられている。ジャンパー装置420は、端部接続部材411上にジャンパー線402に吊下げられるために水平に配置されている。この例では、ジャンパー装置420の配置は、従来技術に関連した耐張碍子連および複雑な嵌合接続構成に代わるものである。各相のクロスアーム間の垂直距離が減少し、それによってテンションタワー400のタワーヘッドのサイズも縮小する。タワー本体401の材料が節約され、構造が単純化され、そしてコストが削減される。
【0049】
具体的には、タワー本体401は、格子型鉄塔でも、ロッド本体でも、あるいは複合タワーなどの他の形態の送電鉄塔構造でもよい。この例では、ジャンパー装置420は複合ポスト碍子421を含む。複合ポスト碍子421は、内側コアロッドと、コアロッドの外側のカバーとを含む。コアロッドは、エポキシ樹脂を含浸させたガラス繊維の引き抜き成形によって成形されている。カバーは高温加硫シリコーンゴム製で、コアロッドの外側に一体真空射出成形によって成形されている。複合ポスト碍子421の両端は、端部接続部材411またはワイヤークランプを接続するための接着剤で取付けられたフランジ422であり、それによってジャンパー線402を吊下げることができる。
【0050】
図8に示すように、この例では、複合ポスト碍子421の一端のフランジ422は、例えばボルト締め、溶接などによって端部接続部材411に接続されている。複合ポスト碍子421は、タワー本体401から離れる方向に端部接続部材411から水平方向に延び、ジャンパー線402は他端でフランジ422に直接吊下げられている。ジャンパー線402の中央部は、複合ポスト碍子421に吊下げられている。ジャンパー線402の両端は、クロスアームの両側で角部のある導線403に接続されている。従って、導線は接続されている。
【0051】
従来の耐張碍子連は、クロスアームの端部に吊下げられ、2つの隣接するクロスアーム間に垂直に配置されている。対照的に、本開示における複合ポスト碍子421の配置は、耐張碍子連を除去することができる。複合ポスト絶縁体421は、端部接続部材411上に水平に配置されているので、複合ポスト碍子421自体は、異なる位相の隣接する上部クロスアームと下部クロスアームとの間の垂直距離を占有しない。垂直面において、ジャンパー線402は、小さいラジアンで垂下がるだけである。従って、上中下の三相クロスアームを、電気的性能要求を満足する条件でよりコンパクトに配置することができるように、隣接する上下のクロスアームの間に大きな垂直方向のスペースを設ける必要がない。その結果、テンションタワー400のタワーヘッドのサイズをより小さくすることができ、従って、構造が単純化され、コストが削減される。
【0052】
この例では、テンションタワー400のクロスアーム410の各相は、複合ポスト碍子421を含む。明らかに、テンションタワー400内に複合ポスト碍子421を含むクロスアーム100の1つのフェーズまたは2つのフェーズのみが存在してもよい。テンションタワー400が、単一回路伝送ラインまたは複数の伝送ラインに使用されるとき、実際の動作条件に従って、対応する数のクロスアーム410を設けるためだけに必要である。また、テンションタワーがラインテンションタワーやターミナルタワーの場合であっても、同様のジャンパー装置420を適用でき、導線403を実際の用途に応じて配置するのみでよいので、詳細な説明は省略する。複合ポスト碍子421を使用する代わりに、ジャンパー装置420は、実際の使用要件を満たすことができる限り、ジャンパー線402を接続するために他の形態の絶縁部材を使用してもよい。
【0053】
図8に示すように、細長部材412も端部接続部材411に接続されている。水平面の投影において、細長部材412は端部接続部材411から外側に延びる。タワー本体の両側にある2本の導線403は、それぞれ細長部材412の両端に接続されている。この実施例では、細長部材412は、端部接続部材411上に水平にかつ複合ポスト碍子421に対して垂直に配置されている。細長部材412とクロスアーム410の中心線との間の角度は、導線403とクロスアーム410の中心線との間の角度よりも大きい。
【0054】
この実施例では、導線403とクロスアーム410の中心線との間の角度は60度であり、細長部材412とクロスアーム410の中心線との間の角度は、90度である。細長部材412の配置は、タワー本体401の同じ側にある2つの角部のある導線403の仮想交差点を延ばすのと同等であるべきである。従って、導線403からタワー本体401までの距離が長くなる。クロスアーム410の長さを変えずに導線403とタワー本体401との間の電気的クリアランスが満たされ、クロスアーム410が過度に長くなることが抑えられる。
【0055】
この例では、細長部材412が端部接続部材411上に水平に配置されているので、細長部材412とクロスアーム410の中心線との間の角度を直接比較することができる。しかしながら、明らかに、細長部材が完全に水平面内になくてもよい。細長部材412は、水平面の投影内にある限り、垂直面内で角度によりオフセットしていてもよく、細長部材412とクロスアーム410の中心線との間の角度は、同じ側の導線403とクロスアーム410の中心線との間の角度よりも大きい。
【0056】
この例では、端部接続部材411の端部は、クロスアーム410に接合されたスリーブである。端部接続部材411の他端部は、細長部材412に連結固定された連結板(図示せず)である。端部接続部材411は、当業者に知られているように、細長部材412に固定可能である任意の適切な接続部材を含むことができ、それらは本明細書では詳細に説明しない。さらに、導線403は、当業者に知られている任意の適切な接続手段によって、例えばワイヤークランプを通して引っ掛けることによって、細長部材412に接続することができる。
(実施例5)
【0057】
図9に示すように、この例のテンションタワー500は、ジャンパー線502が接続金具530を通して複合ポスト碍子521に吊下げられていることを除いて、実施例4のテンションタワー400と実質的に同じである。
【0058】
特に、図10に示すように、複合ポスト碍子521の端部のフランジ522には接続孔523が設けられており、この接続孔523を通して接続金具530が接続される。少なくとも2つのワイヤークランプ531が接続金具530に配置され、少なくとも2つのワイヤークランプ531はジャンパー線502をクランプすることができる。この例では、ワイヤークランプ531および接続金具530は、接続を実現することができる限り、任意の適切な既存の構成を採用することができ、それについては本明細書では詳細に説明しない。
【0059】
接続金具530と複合ポスト碍子521との間の距離を調整して異なる動作条件の要求を満たすために、接続部材530とフランジ522との間に調整部材532を配置することもできる。調整部材532は帯状の板であり、調整部材532の長手方向に沿って間隔をあけて複数の貫通孔が配置されている。接続金具530と複合ポスト碍子521との間の距離は、接続金具530を調整部材532上の異なる貫通孔に接続することによって調整することができる。もちろん、調整部材532は他の形態をとってもよい。例えば、調整部材532および接続金具530の一方の端部にねじ棒を設け、他方の端部にねじ棒とかみ合うねじを設けることができる。ねじ棒をねじにねじ込み、ねじ込み長さを調整することができるので、ねじ棒をねじに様々な長さでねじ込むことによって、接続金具と複合ポスト碍子との間の距離を調整することができる。
(実施例6)
【0060】
図11図12に示すように、この例では、この例のテンションタワー600は、クロスアーム610がV字型複合クロスアームであることを除いて、実施例4のテンションタワー400と実質的に同じである。V字型複合クロスアームの開口部はタワー本体601に接続され、V字型複合クロスアームはV字の頂点に端部接続部材611、細長部材612およびジャンパー装置620を含む。細長部材612は端部接続部材611の両側にそれぞれ配置され、ジャンパー装置620は端部接続部材611上に水平に配置される。
【0061】
クロスアーム610は、2つの複合クロスアーム碍子613を含む。各複合クロスアーム碍子613は、絶縁チューブ614と、絶縁チューブ614の外側のシリコーンゴムカバー615とを含む。絶縁チューブ614は、SF6などの絶縁ガスで充填されてもよく、またはポリウレタンフォームで充填されてもよい。2つの複合クロスアーム碍子613は、端部接続部材611によってV字形の頂点で互いにしっかりと接続されている。
【0062】
端部接続部材611の両側にはそれぞれ2つの細長部材612が配置されており、2つの細長部材612には角部で2本の導線603がそれぞれ掛けられている。この例では、導線603とクロスアーム610の中心線との間の角度は50度であり、細長部材612とクロスアーム610の中心線との間の角度は70度である。細長部材612の配置は、タワー本体601の同じ側にある2つの角のある導線603の仮想交差点を延長することと等価であり、その結果、細長部材611によって吊られたクロスアーム610に接続された導線603からタワー本体601への距離は長くなる。電気絶縁距離要件を満足する条件の下で、クロスアーム610が過度に長くなることが抑えられる。
【0063】
また、クロスアーム610の自由端には、2つの補強部材が配置されている。2つの補強部材は、傾斜部材616と補助部材617とを含む。傾斜部材616と細長部材612はV字型構造を形成する。すなわち、傾斜部材616と細長部材612の端部は連結板618に固定されてV字状の頂点を形成する。傾斜部材616の他端は、端部連結部材611に固定されている。傾斜部材616の配置は、細長部材612の剛性および強度を高める。補助部材617は、傾斜部材616と細長部材612とに連結されているので、傾斜部材616と細長部材612とによって形成されるV字構造が強化され、すなわち細長部材612の剛性および強度がさらに強化される。
【0064】
細長部材612を使用することにより、クロスアーム610が過度に長くなることが防止され、クロスアーム610を備えるテンションタワー600は、導線603とテンションタワー600との間の電気的クリアランスに関する要件が満たされない状況を回避できる。テンションタワーは軽量で、ライン回廊は狭い。その他、角部のある導線603の数は任意の適切な数であり得、角部のある導線603もまた束ねられた導線であり得る。
【0065】
実施例1~3に記載のアングルタワーのクロスアームはテンションタワーに適用でき、同様に、実施例3~6に記載のテンションタワーのクロスアームもまたアングルタワーに適用することができることを当業者は理解するであろう。
【0066】
上述の実施形態は、本開示のいくつかの実施形態を表すに過ぎず、その説明はより具体的かつ詳細である。しかし、それは本特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者であれば、本開示から逸脱することなくいくつかの修正および改良を行うことができ、それらも本開示の保護の範囲内に入ることがあることに留意されたい。従って、それらも本開示の保護の範囲内に含まれ得ることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12