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特許7012071環境微生物負荷低減用のLED電球構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】環境微生物負荷低減用のLED電球構造体
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/235 20160101AFI20220203BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220203BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20220203BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20220203BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20220203BHJP
   F21W 131/20 20060101ALN20220203BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20220203BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220203BHJP
【FI】
F21K9/235
F21S2/00 610
H01L33/00 L
A61L9/00 C
A61L9/18
F21W131:20
F21Y113:13
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019504936
(86)(22)【出願日】2017-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 IT2017000152
(87)【国際公開番号】W WO2018020527
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】102016000078746
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519028036
【氏名又は名称】ネクストセンス エス.アール.エル.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】カルティエール,カルメロ ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッレ,ロザリオ
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-064471(JP,A)
【文献】特表2013-522816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/235
F21S 2/00
H01L 33/00
A61L 9/00
A61L 9/18
F21W 131/20
F21Y 113/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境微生物負荷低減用のLED電球構造体であって、回路基盤(105)上の3個の青紫色LED(106、107及び108):
405~410nmの範囲に波長ピークを有する可視電磁放射光を発光する第1の青紫色LED(106);
410~415nmの範囲に波長ピークを有する可視電磁放射光を発光する同様の第2の青紫色LED(107);及び
415~420nmの範囲に波長ピークを有する可視電磁放射光を発光する第3の青紫色LED(108)、
の存在を特徴とし、
白色光の発光のために、選択された色調に応じて1000~20000Kの範囲の色温度の連続エネルギースペクトルを有する光を発光可能な少なくとも1個の白色LED(109)を側方配置させた前記3個の青紫色LEDを持つ、環境微生物負荷低減用のLED電球構造体。
【請求項2】
環境微生物負荷低減用のLED電球構造体であって、回路基盤(105)上の3個の青紫色LED(106、107及び108):
405~410nmの範囲に波長ピークを有する可視電磁放射光を発光する第1の青紫色LED(106);
410~415nmの範囲に波長ピークを有する可視電磁放射光を発光する同様の第2の青紫色LED(107);及び
415~420nmの範囲に波長ピークを有する可視電磁放射光を発光する第3の青紫色LED(108)、
の存在を特徴とし、
白色光の発光は、前記青紫色LEDの照射を妨げず、前記青紫色LEDに対する指示ピークが個々の指示ピークを妨げないことを条件に、前記青紫色LED(106、107及び108)の表面に黄色燐層を分散配置させるか、または前記青紫色LED以外の色のLEDを側方配置させるか、もしくは他の手順により得られる、環境微生物負荷低減用のLED電球構造体。
【請求項3】
散光体(103)上には、光触媒材料もしくは微生物剤及び/または坑ウイルス剤及び/またはアレルゲン抑制剤と同様の作用を生じる他の任意の材料が存在しうる、請求項1または請求項2に記載の環境微生物負荷低減用のLED電球構造体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
内部関係者には周知であるように、衛生環境または病院環境中に存在する微生物負荷の低減用に高強度青紫色光を使用するある種の電子デバイス(レーザまたはLED)が存在する。この光は青紫色の非白色であることから、人の出入りを通常伴う環境中での一次照明光源としての使用には適さない。
【0002】
これらのデバイスの一部は、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4等の文献に記載されている。これらの特許文献は、LEDに加えて、微生物が処理表面に直接接したときにのみ光触媒作用によりその作用を生じる添加物である二酸化チタン(TIO2)を使用することによって照明体に接触する微生物に対して殺菌作用を制限する照明燈について記載を行っている。
【0003】
他の特許文献として特許文献5及び特許文献6が含まれるが、これらの文献は「マヨルカざ瘡」といわれるもの等の症候群である「黒腫」の如き皮膚癌、及び刺激性皮膚疾患等の、人の健康に悪影響を生じ得るある特定波長の殺菌光を発光させる設計である。更に、これらのデバイスはある特定の微生物株に対してのみ効果的と思われ、使用には特別に創設した設備を必要とすることから家内環境では使用し得ない。
【0004】
このような制約は、殺菌光照明デバイスを生産してきた本件企業による特許文献7、より厳密にいえば、サーモスタット付照明室、危険性のない光触媒材料、ならびにセンサ及び管理ツールの多関節機能を備えた、エネルギー消費を低減させた、人または動物が存在する任意環境中で使用可能な405~420nm帯域の波長のみを発光可能なLED群の存在を特徴とした電球/白熱電球により克服されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/018545号
【文献】国際公開第2015/148025号
【文献】国際公開第2015/073798号
【文献】米国特許出願公開第2015/0164067号
【文献】国際公開第2009/056838号
【文献】国際公開第2016/019029号
【文献】イタリア国特許第102016000036840号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし解析研究により、アルミニウム製台板(IMS)を備えた回路基盤と、基本態様において、達成目的の光色調及び強度に応じて色温度が適当な間隔に存する連続エネルギースペクトルを発光可能な白色LEDを側面に配置させた、所定間隔内にピーク変化を有する可視電磁放射光を発光可能な青紫色LEDの組合せ3組とを使用することにより、LEDの過熱を回避させながらも特許文献7中の説明と同様の殺菌効果を得ることが可能となるという結論に至った。
【0007】
この結論から、達成すべき光強度、即ち電力が大きくなる程、LED数を比例的に増大させればよく、基本構成を維持しながらも同様の効果を得ることが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、任意環境に存在する微生物負荷を、その技術的及び構造的特性を想定した場合にそこに生存する人間または動物に悪影響または危機的効果を生じることなく消滅可能な、アルミニウム製台板を備えた回路基盤を備えかつある特定の間隔内に波長ピークを有する可視電磁放射光を発光する青紫色LEDの組合せを備えた、LED電球の基本構造体を実現することにある。
【0009】
更に、本発明の汎用性は、公共または個人的場所よりもむしろ医療環境中で、選択したLEDの組合せに応じて電球を何等の制限もなく使用可能であることにある。
【0010】
最後に、本発明は、アルミニウム製台板を有する回路基盤によって置換し得る上述した全ての温度制御部品を効果的に排除することにより、電球生産を特許文献7中の記載よりも簡素で更に好適にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は電球の正面図を示す。
図2図2は全部品を明瞭に可視化させた電球の正面図を示す。
図3図3は3個の青紫色LEDを有する回路基盤の視図を示す。
図4図4は3個の青紫色LED及び追加の白色LEDを有する回路基盤の視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明をここで、各図及び添付の図面を詳細に参照しながら、制限なくエジソンキャップに電球を表した好ましい実施形態に従って図解により説明することとする。用いる全実施形態に関しては、本発明の限定とならないよう、それらの機能性を毀損させることなく大きさ、個数及び形状は多岐に渡ることを考慮されたい。
【0013】
殺菌用電球Aの主要構造体は、通常の照明系上に設置可能なエジソン型口金を備えたキャップ(101)により構成される。
【0014】
電球は、電源(102)をその下部に、ならびに散光体(103)及び放熱体(104)をその上部に備える。散光体(103)の全表面には、微生物剤及び/または坑ウイルス剤及び/またはアレルゲン抑制剤と同様の作用を生じさせる、二酸化チタン(TIO2)系または三酸化タングステン(WO3)系光触媒材料もしくはその他の材料が存在し得る。
【0015】
電球の回路基盤は、アルミニウム製台板(105)を備えたIMS(絶縁型金属基板)型から成り、当該アルミニウム材は同様の熱管理メカニズムを生じ得る他材料により置換可能な仕様である。
【0016】
回路基盤(105)の実現にアルミニウム材を使用することにより、回路基盤上のLEDから生じた熱はこれらLEDの電力に拘わらず実際に常時放散される。これにより紫外域方向へのLED周波数の移行が防止されることになる。
【0017】
電球は、意図する用途または必要な電力に応じて個別に特徴付け及び実現がなされ得る。
【0018】
本発明の目的が効果的で実際的な殺菌作用の達成にあることを考慮すれば、基本態様の回路基盤(105)上に、この回路基盤の任意箇所に配置された、明確に規定された間隔にピークが存する波長の可視電磁放射光を発光可能な、3個の青紫色LED(106、107、108)の装着が不可欠となる。さもなければ、デバイスが効果を発揮しないか、または放射光に接した生物に危険を及ぼすリスクを生じることになる。
【0019】
第1の青紫色LED(106)は、405~410nmの範囲にピークが存する波長を有する可視電磁放射光を発光する。
【0020】
第2のLED(107)は同様に青紫色であり、410~415nmの範囲にピークが存する波長を有する可視電磁放射光を発光する。
【0021】
最後に、第3のLED(108)はやはり青紫色であり、415~420nmの範囲にピークが存する波長を有する可視電磁放射光を発光する。
【0022】
LEDのワット電力は本発明の殺菌力には関連しない。したがって、任意の単一LEDが如何なる光強度であっても、3個のLEDの基本構成が上述したピークを妨げないことが必要不可欠となる。
【0023】
また、色温度、従って得たい白色色調に応じて、ピークが上述の範囲に収まる各単一青紫色LEDを、必要に応じて異なる色調及び強度に照明を規定させ得る1個以上の白色LED(109)の側面に配置可能である。
【0024】
第2実施形態(図4)の回路基盤(105)はしたがって、選択された色調に応じて1000~20000Kの範囲に収まる色温度の連続エネルギースペクトルを有する光を発光可能な少なくとも1個の白色LED(109)を回路基盤(105)に平行して側面配置させた、405~410nm(106)410~415nm(107)及び415~420nm(108)の範囲にそれぞれピークが存する可視電磁放射発光により特徴付けられる3個の青紫色LED(106、107、108)の存在により特徴付けられ得る。
【0025】
上述したように、回路基盤(105)上の白色LED(109)は、それらの存在がデバイスの殺菌効果に影響を及ぼすことがないため、光の色調及び強度を規定する個数を変更可能である。
【0026】
1個以上の白色LEDの存在により青紫色のLED色が弱められて任意環境での電球の使用が可能になる。
【0027】
白色光は他の方法でも入手可能である。青紫色LEDの周波数ピークが上述の個々の範囲に収まることを各条件に、青紫色LED表面への黄色燐層の分散配置、他の色のLEDに対する青紫色LEDの側方配置、または他の適合手段も、限定的ではないが含まれ得る。
【0028】
電球は、電力を低減させるかまたは殺菌周波数(青紫色)を停止させるために設定間隔で起動するタイマ(110)を有してもよく、過度に高レベルの無菌性への到達回避が可能になる。
【0029】
種々の変形態様の電球に表したLED配置は実施例によってのみ実現したものであると共に任意の電球内のそれらのLEDの位置が本発明の殺菌目的に対して本質的なものではないことがよく理解される。
【0030】
いずれにせよ、本発明は決して限定的ではなく、例示のためのその特徴に関する説明である。また、デバイスの改変は回路基盤材料及びLEDの組合せに存するため、上述と同様の技術を構造的に利用するいかなる殺菌用電子デバイスであっても本件特許内に完全に該当することになることを理解されたい。
【0031】
したがって、本件特許の中核に存する構造体は、他の種類の電球中でも例外はなく、小変形及び/または修正を加えそれによる保護範囲からの逸脱がない限り、如何なる種類の口金を用いても再現可能である。
図1
図2
図3
図4
図5