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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】加熱要素を備える酸素付加装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20220120BHJP
   A61M 1/18 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A61M1/16 120
A61M1/18 525
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019505252
(86)(22)【出願日】2017-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 DE2017000147
(87)【国際公開番号】W WO2018028726
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-05-20
(31)【優先権主張番号】102016009534.2
(32)【優先日】2016-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517259221
【氏名又は名称】ゼニオス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】マテイス,ゲオルグ
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-532538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/18
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液入口(2)、血液出口(3)、ガス入口(4)、およびガス出口(5)を有するハウジングチャンバ(12)を画定するハウジング壁(11)と、印加される電圧により熱を発生する加熱のための電気抵抗器(14)を有し、前記血液入口(2)と前記血液出口(3)との間で酸素付加装置のハウジングチャンバ(12)内に配置されて、前記ハウジングチャンバ(12)を通って流れる血液の温度を制御する加熱要素と、電気接続部(15、16)と、温度制御デバイス(25)とを有する酸素付加装置(10)であって、前記加熱要素が、前記ハウジングチャンバ(12)内の異なる位置に異なる加熱パワーを送達することを特徴とする酸素付加装置(10)。
【請求項2】
特に中空繊維などのメンブレンを有することを特徴とする請求項1に記載の酸素付加装置。
【請求項3】
流体ラインを保持するための封入層を有し、前記加熱要素が前記封入層内に配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項4】
少なくとも1つの温度センサ(24)を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項5】
前記温度制御デバイス(25)が、前記加熱要素の温度を様々な位置で個別に設定または制御することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項6】
前記加熱要素が、前記酸素付加装置の様々な位置に位置決め可能な複数の加熱部分要素(28、29、30)を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項7】
前記加熱要素が、互いに別々に作動可能な複数の加熱部分要素(28、29、30)を有することを特徴とする請求項に記載の酸素付加装置。
【請求項8】
前記加熱要素が、前記ガス入口(4)と前記ガス出口(5)との間で前記酸素付加装置内に配置されて、前記ハウジングチャンバ(12)を通って流れるガスの温度を制御することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項9】
前記加熱要素に熱を伝導するための熱伝導構成を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項10】
前記ハウジングチャンバ(12)内の前記加熱要素からの熱を分散するための熱伝導構成を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項11】
前記ハウジングチャンバ内を流れる血液を断熱するために断熱層を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項12】
前記ハウジングチャンバ内を流れる血液からの熱放射を反射するために反射層を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項13】
前記断熱層及び前記反射層の少なくともいずれかが透明または一部透明であることを特徴とする請求項11または12に記載の酸素付加装置。
【請求項14】
前記抵抗器(14)が金属、好ましくは銅または銅ニッケル合金であることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項15】
前記抵抗器(14)が、プラスチック、またはカーボンもしくはグラファイトを含むことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項16】
前記加熱要素が、電気抵抗器(14)として電熱ワイヤを含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項17】
マンドレル形状の保持要素を備えた中央開口部を有することを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の酸素付加装置。
【請求項18】
前記マンドレル形状の保持要素が前記加熱要素を含むことを特徴とする請求項17に記載の酸素付加装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の酸素付加装置(10)の加熱要素での放熱を制御するための方法であって、前記酸素付加装置(10)を通る血液の流量、または前記流量に影響を及ぼすポンプのパワーが測定され、それに基づいて加熱パワーが調節される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液入口、血液出口、ガス入口、およびガス出口を有するハウジングチャンバを画定するハウジング壁と、血液入口と血液出口との間で酸素付加装置内に配置されて、ハウジングチャンバを通って流れる血液の温度を制御する加熱要素とを有する酸素付加装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素付加装置は、数日間続く心肺治療または手術中に主に使用される医療用ガス交換器である。さらなる用途は、例えば透析である。これらの酸素付加装置は、ガス交換に加えて、酸素付加装置のハウジングチャンバを通って流れる血液の温度の制御もできるようにすることが多い。体外回路、すなわち患者の体外での血液温度は時間とともに低下し、患者の体温を低下させるため、血液は一般に酸素付加装置において加熱される。この加熱に加えて、心臓の手術を行うときに体温を低下させるために血液の温度を下げることも可能である。
【0003】
ガス交換器を利用する手術中または比較的長い治療中に患者の血液の温度および体温を調整するために、ヒータクーラ(HCデバイス)が使用される。ヒータクーラ(HC装置)は、チューブを介して酸素付加装置に接続される外部デバイスである。HCデバイス内で金属ロッドを通して水が伝達され、加熱または冷却される。次いで、水は、酸素付加装置に導かれ、中空繊維から形成された熱交換器マットを通って、または酸素付加装置内の通常は金属製の特別な導管を通って流れる。そこを通りすぎるように血液が導かれる。この種の酸素付加装置は、欧州特許第765683号明細書に記載されている。
【0004】
この種の酸素付加装置は実用されている。しかし、使用されるヒータクーラデバイスが水槽を備えて動作し、水槽は、使用中に汚れ、周囲環境内の空気を汚染する可能性がある。HCデバイスは、水槽およびクーラデバイスにより、非常に重く、動かせない。また、HCデバイスは、酸素付加装置の近くで、したがって病院で、例えば手術室または集中治療室で使用されるので、定期的に清掃しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第765683号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、酸素付加装置をさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、電気接続部を有し、加熱要素が電気抵抗器を有する、本発明による酸素付加装置によって実現される。
【0008】
本発明は、血液入口もしくはガス入口または血液出口もしくはガス出口で血液またはガスの流れを加熱するのでは十分ではないという知見、および酸素付加装置における流体伝達パイプによる血液入口と血液出口との間での加熱には複雑な補助機器が必要であるという知見に基づく。本発明の酸素付加装置内の加熱要素が電気抵抗器を有するので、加熱要素の抵抗器を使用して、印加電圧によって酸素付加装置の電気接続部を介して加熱要素を加熱することができる。加熱に電気抵抗器が使用されるので、HCデバイスをなくすことが可能であり、電圧源のみが必要とされる。
【0009】
加熱要素は、ハウジングチャンバ内を流れる血液を加熱するために酸素付加装置の外壁に配置することができる。しかし、加熱要素がハウジングチャンバ内に配置されていると特に有利である。これにより、より大きな加熱面を使用することが可能になり、したがって加熱要素と血液との小さな温度差を実現することが可能になる。したがって、血液の損傷が避けられる。
【0010】
しかし、目的に応じて、加熱要素をハウジング壁に配置することもできる。これは、単純な設計を可能にし、特に平行に配置された平坦な中空繊維マットの場合には、加熱要素から血液への良好な熱伝達を可能にする。
【0011】
特にメンブレンなどの半透性材料が、酸素付加装置のガス領域と血液領域との間に配置されている。これらのメンブレンは、平坦なフィルムまたは中空繊維でよい。
【0012】
酸素付加装置内で平坦なまたは管状のメンブレンを保持するために、例えばプラスチックから形成された封入材料が使用される。したがって、酸素付加装置が流体ラインを保持するための封入層を有し、加熱要素がこの封入層内に配置されている、または少なくともこの封入層内にも配置されていると有利である。
【0013】
血液を加熱するとき、いくつかの領域内のみで血液を過熱しても血液の損傷が起こらないことを保証しなければならない。したがって、酸素付加装置が少なくとも1つの温度センサを有することが提案される。過度に高い温度がどの領域でも生じないことを保証するために、温度センサが酸素付加装置内の様々な点に設けられていると特に有利である。したがって、可能であれば、少なくとも、ハウジングチャンバの他の領域よりも遅い血流速度が生じ、またはハウジングチャンバ内の平均血流速度よりも遅い血流速度が生じ、したがって過熱のおそれがあり得る領域にも温度センサが配置されるべきである。
【0014】
加熱要素の温度は、加熱要素に印加される電圧によって変えることができ、したがって、酸素付加装置が温度制御デバイスを有すると好適である。
【0015】
1つまたは複数の点での温度が特定の時間間隔で測定されると有利である。頻度は、アルゴリズムによって事前定義することができる。したがって、危険な過熱を避けることができる。ここではパルス幅変調について言及する。
【0016】
多くの場合、酸素付加装置はコンソールに接続されており、コンソールによって、例えば酸素付加装置を通るガスまたは血液の流れを制御することができる。この種のコンソールは、酸素付加装置用途の開ループまたは閉ループ制御用の制御電子回路である。したがって、この種のコンソールによって加熱要素を作動させることもでき、この作動は、コンソールで利用可能な他のデータまたは方法パラメータ、例えば血流またはガス流および酸素付加装置内の温度に応じて制御することができる。
【0017】
特に有利な変形形態は、温度制御装置が、加熱要素の温度を様々な位置で個別に設定または制御することを企図する。これにより、酸素付加装置内の通常の流速に基づいて、異なる点で異なる強度で加熱を提供することが可能になる。
【0018】
この目的で、加熱要素が、ハウジングチャンバ内の異なる位置で異なる加熱パワーを送達することが企図される。加熱パワーは、血流、血液速度、ガス流、およびガス速度に応じて変化し得る。
【0019】
一変形形態は、加熱要素が、酸素付加装置の様々な位置に位置決め可能な複数の加熱部分要素を有することを企図する。次いで、これらの加熱部分要素を互いに個別に作動させて、酸素付加装置内で特定の加熱強度分布を達成し、酸素付加装置の動作中にもこれを適宜変更することができる。
【0020】
しかし、互いに個別に作動可能な複数の加熱部分要素を有する加熱要素を設けることもできる。
【0021】
加熱要素が酸素付加装置内でガス入口とガス出口との間に配置されて、ハウジングチャンバを通って流れるガスの温度も制御するという追加の効果が達成される。とりわけ、凝縮物の生成も避けることができる。
【0022】
酸素付加装置の単純な実施形態は、外向きの流体通路を4つだけ有するハウジング壁を備える酸素付加装置を提供する。これらの流体通路のうち、2つの流体通路をガス入口およびガス出口に使用することができ、2つの流体通路を血液入口および血液出口に使用することができる。
【0023】
コネクタは、ホースを酸素付加装置に接続できる可能性を提供する。加熱要素の一部をこの種のコネクタ内に配置することができる。
【0024】
酸素付加装置が、加熱要素に熱を伝導するための熱伝導構成を有すると有利である。加熱要素が例えば加熱可能な金属部品として形成されている場合、これは、表面を拡大するために、または血液と金属部品との接触を防ぐために、熱伝導構成によって取り囲むことができる。次いで、この熱伝導構成は、加熱要素からの熱を、血液と接触している、好ましくは加熱要素の表面よりも大きい表面に伝導する。この種の表面は、ネットまたはフィルムの表面でよい。
【0025】
伝熱構成は、特に、ハウジングチャンバ内の加熱要素からの熱の分散を可能にするために使用すべきである。
【0026】
有利な変形形態は、酸素付加装置が、ハウジングチャンバ内を流れる血液を断熱するために断熱層または真空層を有することを企図する。層を開くことができるように断熱層および反射層を設計することもでき、やはり容易に熱を放散して、酸素付加装置を冷却し、したがって過熱を避ける。さらに、層は部分的に配置することもでき、部分的に配置可能にすることもできる。
【0027】
ハウジングチャンバ内を流れる血液からの熱放射を反射して血液に戻し、したがってまた酸素付加装置での熱放射の放出を最小限に抑えるために、酸素付加装置が反射層を有することが提案される。この種の反射層は、例えば、金属箔または研磨された表面でよい。
【0028】
酸素付加装置内の血流を監視することができるように、断熱層、真空層、および/または反射層が透明または少なくとも一部透明であると有利である。この目的のために、例えば、目の細かいネット、有孔フィルム、または透明窓領域を有するフィルムを提供することができる。
【0029】
取り得る単純な実施形態は、抵抗器が金属、好ましくは銅または銅-ニッケル合金を含むことを企図する。抵抗器が、加熱時に電気抵抗が低下する金属を含むと特に有利である。このために、材料関連の規制基準を達成するためにPTCサーミスタまたはPTC加熱要素が提案されている。これは、酸素付加装置内の血液の過熱を避けるのに役立つ。
【0030】
さらなる変形形態は、抵抗器がプラスチックまたはカーボンもしくはグラファイトを含むことを企図する。加熱要素が電熱ワイヤを含む場合、酸素付加装置における効果的な単純な熱分散が実現される。
【0031】
血液限界温度を避けるために、電熱ワイヤと血液の間に1~30mmの距離を設けるべきである。このために、1mmを超える厚さを有する断熱または熱分散層を設けることができる。
【0032】
電熱ワイヤは、例えば螺旋状にまたは互いに平行に配置することができ、特に好ましくはハウジングチャンバ内に均等に分散して配置される。
【0033】
とりわけ円筒形状の酸素付加装置に適している単純な変形形態は、酸素付加装置が、マンドレル状の保持要素を有する中央開口部を有することを企図する。このとき、マンドレル状の保持要素は、ハウジングチャンバ内を流れる血液を加熱するために加熱要素を含むこともできる。
【0034】
この方法によれば、本発明の目的は、酸素付加装置の加熱要素での放熱を制御するための方法であって、酸素付加装置を通る血流と、流速に影響を及ぼすポンプのパワーとが測定され、それに基づいて加熱パワーが調節される方法、によって実現される。ここで、加熱要素は、互いに別々に作動可能な複数の加熱部分要素を備えることができ、これらの加熱部分要素は、各加熱部分要素における血液の温度と加熱部分要素の温度との温度差が所定の値を超えないように作動させることができる。これらの方法は、添付の特許請求の範囲のいずれか一項による酸素付加装置に特に適している。
【0035】
本発明による酸素付加装置の例示的な実施形態を図面に示し、以下により詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】血液、ガス、および水の流れを伴う既知の酸素付加装置を示す図である。
図2】電気加熱式の酸素付加装置を概略的に示す図である。
図3図2に示される酸素付加装置の平面図である。
図4】層状のメンブレン繊維マットおよびネット状の電熱ワイヤを有する酸素付加装置を概略的に示す図である。
図5】平行に配置された層状マットおよび電熱ワイヤを有する酸素付加装置を概略的に示す図である。
図6】アルゴリズムに関する構成要素の協働を概略的に示す図である。
図7】経時的な平均温度を概略的に示す図である。
図8】第1の位置での経時的な温度を概略的に示す図である。
図9】第2の位置での経時的な温度を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に示す酸素付加装置1は、血液入口2および血液出口3を有する。ガスを供給するために、ガス入口4およびガス出口5が設けられている。熱交換器において、水が通される中空繊維が径方向内側領域に設けられ、ガスが通される半透性の中空繊維が径方向外側領域に設けられている。したがって、水が水入口8から入ることおよび水出口9から出ることによる加熱は径方向内側で行われ、一方、径方向外側領域7ではガス交換が行われる。この種の酸素付加装置のより詳細な説明については、欧州特許第765683号明細書を参照されたい。
【0038】
図2に概略的に示されている酸素付加装置では、基本設計が実質的に保たれており、水入口8、水出口9、および水が通過する中空繊維は省略されている。酸素付加装置10は、ハウジング壁11を有し、ハウジング壁11は、ハウジングチャンバ12を取り囲む。このハウジングチャンバ12は、図1に示されるように、血液入口2および血液出口3、ならびにガス入口4およびガス出口5を有する。加熱要素13として電熱ワイヤ14が使用され、電熱ワイヤ14は、ハウジング壁11内に配置され、ハウジングチャンバ12の周囲に等間隔に巻かれている。電熱ワイヤ14は、電気接続部15、16に電圧が印加される場合に熱を発生する電気抵抗器を形成する。
【0039】
酸素付加装置は、図1から図3の例示的な実施形態におけるように、ハウジングチャンバ12内に配置された巻かれた中空繊維マット17を備えることができ、または図4および図5に示されるように、2つのプレート19と20の間に配置された中空繊維メンブレンから形成された積層マット18を備えることができる。図4の例示的な実施形態では、ワイヤ構造21がプレートにネット状に組み込まれ、電気接続部22、23に接続されている。ネット状のワイヤ構造の場合、電流はグリッドの一方向、すなわち左から右へ、または上から下へのみ印加され、他方向は、別の非導電性材料との熱伝導に使用され、または様々な方向の2つの導電性ワイヤ間に絶縁層が設けられ、短絡を避ける。図5は、包まれたプレート19、20を示す。
【0040】
図3は、コンソール26内に収容された温度制御デバイス25に接続された温度センサ24を概略的に示す。
【0041】
図5に示される加熱要素27は、複数の概略的に示される加熱部分要素28、29、および30からなり、これらの加熱部分要素は、各加熱部分要素において、加熱部分要素と血液温度との特定の温度差を超えないように作動させることができる。
【0042】
全ての電熱ワイヤが断熱されて、血液の過熱を避け、また電熱ワイヤと血液との直接の接触を避けて、より広い表面にわたって放熱を分散させる。また、この断熱は、熱伝達を改良するように構造化することもできる。
【0043】
図6から図9は、最適な形での各時間間隔後のアルゴリズム制御を示す。モデルは、現実のガス交換器から確立される。図6では測定点位置特定のための酸素付加装置モデル114として示されているこのガス交換器モデルでは、測定点が定義され、計算のためのパラメータとして必要な材料特性が決定される。全ての測定点で温度を測定することができる。
【0044】
ECMOシステムにすでに設けられているセンサによって、血液およびガスパラメータがコンソールに送られる(KD)。次いで、コンソール値(KD)を考慮して、目標温度が測定温度と比較される。これは、各測定点および各加熱要素ごとに個別に行われる。したがって、測定値と目標温度との間には様々な許容誤差が生じる。その後、各加熱要素に関する全てのパラメータから、加熱発生回数および加熱強度を含む適切な加熱頻度が選択されて、血液をできるだけ穏やかに扱いながら目標温度に到達し、次いでその温度を維持する。これらの頻度は、表として記憶し、後で酸素付加装置の制御を容易にすることができる。
【0045】
図6に示されるアルゴリズムでは、ユーザ101は、コンソール103に入力される目標温度102を定義する。さらに、血流、ガス流、および圧力パラメータ104がコンソールに入力される。コンソールは、温度測定105を促して、酸素付加装置の異なる測定点における平均温度106、107、および108を決定する。様々な位置での目標温度(WT)と平均測定温度との比較109により、差分値(AG)が得られる。この値は、異なる位置における所定の温度偏差110および血流などのコンソールデータ(KD)に対して設定される。次いで、ここから、温度偏差(AT)の調整値(AG)およびコンソールデータ(KD)に基づく加熱要素の個別制御111の基礎が得られる。これらの値を使用して加熱要素112を作動させることができる。さらに、個別制御は、加熱アルゴリズム113によって影響を及ぼされることもあり、加熱アルゴリズム113は、テーブルから選択され、また測定されたパラメータから与えられる。
【0046】
加熱要素112の放熱は、温度測定によって測定される温度105に影響を及ぼし、それにより、測定される温度へのフィードバックが提供される。
【0047】
このために、図7は、時間(単位は秒)に対する温度(単位は℃)を有する座標系で目標温度120を示す。λ値は熱伝導率を示す。λ値は、材料定数によって影響を及ぼされ、λ値によって温度ピークを適応させる。例えば、温度測定点122が、x1、x2、x3、およびx4によって示される。
【0048】
図8および図9は、2つの測定位置に関する経時的な温度曲線を示す。ここで、第1の測定位置での経時的な温度曲線123が図8に波線として示されており、この破線は、温度124付近で変動し、デルタT(ΔT)125を定義する。それに対応して、図9は、第2の位置で、平均温度127と比較した実際の温度126を示し、ここでは、温度偏差デルタT(ΔT)128が生じている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9