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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ドラム洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20220120BHJP
   D06F 37/10 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
D06F39/08 301B
D06F37/10
D06F39/08 301A
D06F39/08 341
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019561856
(86)(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 CN2018086035
(87)【国際公開番号】W WO2018205933
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-06-16
(31)【優先権主張番号】201710320246.0
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514114622
【氏名又は名称】青島海爾滾筒洗衣机有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】労春峰
(72)【発明者】
【氏名】呂艶芬
(72)【発明者】
【氏名】李以民
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19961462(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0186356(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0240456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00-39/10
D06F 37/10
D06F 58/02-58/08
D06F 58/20-58/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体、扉体及び内槽を含み、前記内槽は回転可能に本体内に設けられ、前記内槽には洗浄過程で水が貯えられ、前記内槽の前部には、衣類を出し入れするための投入口が設けられ、前記扉体は開放/閉止可能に前記本体の前部に装着されるとともに、前記内槽の投入口に対応しており、前記内槽の投入口端と前記扉体は、相対的に回転可能に密封接続され、
更に、給水装置を含み、前記給水装置は、外部の水源に接続される第1給水管と、前記扉体に設けられて前記第1給水管に対向する集水槽と、前記扉体の内部に設けられて前記集水槽と前記内槽の内部を連通する第2給水管を含み、
前記本体には、前記内槽の投入口に対応して開口が開設されており、前記扉体は外扉と内扉を含み、前記内扉が回転可能に前記外扉に装着され、前記扉体を閉止すると、前記外扉が密封可能に本体の開口を閉止するとともに、前記内扉が前記内槽に密封接続され、
前記集水槽は前記外扉の上部に設けられることを特徴とするドラム洗濯機。
【請求項2】
前記外扉は、前記本体の外部に位置して開口を覆う外扉蓋と、前記本体の開口内まで延伸する外扉体を含み、前記外扉体の上部側壁は、一部が下方に凹陥して前記集水槽を形成し、前記第1給水管の排水端は前記集水槽の真上に位置することを特徴とする請求項に記載のドラム洗濯機。
【請求項3】
前記外扉の内側には制震装置を介して軸体が接続され、前記内扉は軸受を介して回転可能に前記軸体に装着され、
前記軸体の内部は中空であり、第2給水管は、一端が集水槽と連通し、他端が軸体を介して内槽の内部に挿通されることを特徴とする請求項1又は2に記載のドラム洗濯機。
【請求項4】
前記制震装置は制振バネと接続プレートを含み、複数の制振バネが前記外扉の内側に装着され、前記制振バネの他端が前記接続プレートに接続され、前記接続プレートと前記軸体が固定接続され、
前記内扉の外側の中心に軸受ハウジングが固定されており、前記軸受が前記軸受ハウジング内に装着されて前記軸体に締り嵌めされることを特徴とする請求項に記載のドラム洗濯機。
【請求項5】
前記外扉の側壁と前記内扉の側壁は弾性密封カバーを介して接続され、前記弾性密封カバーの一端は前記外扉の側壁に密封状に固定接続され、前記弾性密封カバーの他端は、前記内扉の側壁と密封接触を維持し、
前記外扉、前記弾性密封カバー及び前記内扉の間に密封空間が囲繞され、前記第2給水管が前記密封空間内に設けられることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のドラム洗濯機。
【請求項6】
前記給水装置は更にタンクを含み、前記第1給水管と前記タンク、前記第2給水管と前記集水槽はそれぞれ接続ホースを介して連通することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のドラム洗濯機。
【請求項7】
更に、外槽を含み、前記外槽の前端は前記本体の内壁に固定され、前記内槽は回転可能に前記外槽内に設けられ、前記内槽の側壁に遠心弁が設けられ、
洗浄時には、前記遠心弁が閉止されて前記内槽内に水が貯えられ、前記内槽と前記外槽の間に水が存在せず、脱水時には、前記遠心弁が開放され、洗浄水が前記遠心弁から前記内槽と前記外槽の間に排出されるとともに前記外槽から排出されることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のドラム洗濯機。
【請求項8】
前記内槽の投入口端の直径は内槽底の直径よりも小さく、前記内槽の側壁が投入口端から前記内槽底に向かって上方に傾斜して設けられ、
前記遠心弁は複数設けられ、前記内槽底の側壁寄りに前記内槽に沿って均一に一周配置されることを特徴とする請求項に記載のドラム洗濯機。
【請求項9】
更に、中心回転軸、駆動装置及び支持制震装置を含み、前記内槽は、前記中心回転軸を介して駆動装置に伝動接続され、
前記支持制震装置は、支持フレーム、制震吊りバネ及びアブソーバを含み、前記支持フレームは、一端が中心回転軸に覆設されるとともに軸受を介して中心回転軸に支持及び接続され、他端が外槽の外周まで延伸して吊りバネ及びアブソーバを装着するために用いられることを特徴とする請求項7又は8に記載のドラム洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類洗浄機器の技術分野に関し、具体的には、ドラム洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、一般的に、ドラム洗濯機は互いに嵌装される内槽と外槽を含む。外槽は密封されて貯水に用いられる。また、内槽には衣類が投入され、内槽を回転させることで衣類を打ち付けて洗浄を実施する。且つ、内槽には脱水孔が設けられる。これにより、外槽内の水が脱水孔から内槽に流入して内槽内の衣類を浸漬する。また、内槽内の水は脱水孔から外槽に流出する。且つ、内槽内の衣類の水分は内槽の高速回転時に脱水孔から外槽に排出される。こうして、衣類を洗浄するとの目的が実現される。
【0003】
しかし、内槽と外槽は互いに嵌装されるため、洗濯機の使用過程で内槽と外槽の間に汚れが溜まりやすい。また、内槽と外槽が互いに嵌装されることから、ユーザは内槽の外壁と外槽の内壁をクリーニングする術がない。よって、洗濯機内部の細菌が増殖し、洗濯機の洗濯効率や衣類洗浄後の清潔度が低下する。
【0004】
また、上述した従来の洗濯機では、内槽の外部に外槽が嵌装されており、洗濯機の洗浄過程では内槽が回転することで衣類を打ち付けて洗浄する。そのため、洗濯機の洗浄容量は内槽が基準となり、洗濯機の内部空間の利用率が低い。よって、従来をベースにした場合、洗濯機の洗浄容量を拡大することは不可能である。
【0005】
上記に鑑みて、内槽と外槽を一体化し、内槽を密封容器とすることで水と衣類を投入可能としつつ、回転により衣類を打ち付けて洗浄を実施可能な洗濯機を如何にして設置するか、及び、洗濯機に外槽を設けないか、外槽と洗濯機のハウジングを一体的に設けることで、洗濯機の内槽を拡大して洗濯機の洗浄容量を増大可能とすることが、研究開発の焦点となっている。
【0006】
しかし、内槽は洗浄水を貯めるだけでなく、回転により槽内の衣類を打ち付けて洗浄を実施する必要がある。そのため、上記洗濯機に適用される給水構造及び/又は排水構造を如何に設置するかもまた喫緊に解決を要する難題となっている
【0007】
上記の技術的欠点に鑑みて、本願を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明はドラム洗濯機を提供する。具体的には、以下の技術方案を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ドラム洗濯機であって、本体、扉体及び内槽を含み、前記内槽は回転可能に本体内に設けられ、内槽には洗浄過程で水が貯えられる。前記内槽の前部には、衣類を出し入れするための投入口が設けられ、前記扉体は開放/閉止可能に本体の前部に装着されるとともに、内槽の投入口に対応している。前記内槽の投入口端と扉体は、相対的に回転可能に密封接続される。更に、給水装置を含み、給水装置は、外部の水源に接続される第1給水管と、扉体に設けられて第1給水管に対向する集水槽と、扉体の内部に設けられて集水槽と内槽の内部を連通する第2給水管を含む。
【0010】
更に、前記本体には、内槽の投入口に対応して開口が開設されており、前記扉体は外扉と内扉を含み、内扉が回転可能に外扉に装着され、扉体を閉止すると、外扉が密封可能に本体の開口を閉止するとともに、内扉が内槽に密封接続される。前記集水槽は外扉の上部に設けられる。
【0011】
更に、前記外扉は、本体の外部に位置して開口を覆う外扉蓋と、本体の開口内まで延伸する外扉体を含み、前記外扉体の上部側壁は、一部が下方に凹陥して集水槽を形成し、前記第1給水管の排水端は集水槽の真上に位置する。
【0012】
更に、前記外扉の内側には制震装置を介して軸体が接続され、前記内扉は軸受を介して回転可能に軸体に装着される。前記軸体の内部は中空であり、第2給水管は、一端が集水槽と連通し、他端が軸体を介して内槽の内部に挿通される。
【0013】
更に、前記制震装置は制振バネと接続プレートを含み、複数の制振バネが外扉の内側に装着され、制振バネの他端が接続プレートに接続され、接続プレートと軸体が固定接続される。前記内扉の外側の中心に軸受ハウジングが固定されており、前記軸受が軸受ハウジング内に装着されて軸体に締り嵌めされる。
【0014】
更に、前記外扉の側壁と内扉の側壁は弾性密封カバーを介して接続され、弾性密封カバーの一端は外扉の側壁に密封状に固定接続され、弾性密封カバーの他端は、内扉の側壁と密封接触を維持する。前記外扉、弾性密封カバー及び内扉の間に密封空間が囲繞され、前記第2給水管が前記密封空間内に設けられる。
【0015】
更に、前記給水装置は更にタンクを含み、前記第1給水管とタンク、第2給水管と集水槽はそれぞれ接続ホースを介して連通する。
【0016】
更に、外槽を含み、外槽の前端は本体の内壁に固定され、前記内槽は回転可能に外槽内に設けられ、内槽の側壁に遠心弁が設けられる。洗浄時には、遠心弁が閉止されて内槽内に水が貯えられ、内槽と外槽の間に水が存在せず、脱水時には、遠心弁が開放され、洗浄水が遠心弁から内槽と外槽の間に排出されるとともに外槽から排出される。
【0017】
更に、前記内槽の投入口端の直径は内槽底の直径よりも小さく、前記内槽の側壁が投入口端から内槽底に向かって上方に傾斜して設けられる。前記遠心弁は複数設けられ、内槽底の側壁寄りに内槽に沿って均一に一周配置される。
【0018】
更に、中心回転軸、駆動装置及び支持制震装置を含み、前記内槽は、中心回転軸を介して駆動装置に伝動接続される。前記支持制震装置は、支持フレーム、制震吊りバネ及びアブソーバを含み、前記支持フレームは、一端が中心回転軸に覆設されるとともに軸受を介して中心回転軸に支持及び接続され、他端が外槽の外周まで延伸して吊りバネ及びアブソーバを装着するために用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明におけるドラム洗濯機の内槽は、槽壁に脱水孔が開設されない孔無しの内槽である。洗浄時には内槽内に洗浄水を貯え、内槽を回転させることで衣類を洗浄する。本発明のドラム洗濯機は外槽を省略可能である。よって、本体サイズを変化させることなく内槽の容積を増加させ、ドラム洗濯機の容量を拡大することが可能である。また、内槽に貯水するため、従来の洗濯機では洗浄水が内槽と外槽の間に進入し、時間の経過とともに内槽の外壁と外槽の内壁が「内部汚染」されやすいとの課題が解決される。
【0020】
ドラム洗濯機は、内槽の回転により衣類を持ち上げ/打ち付けることで洗浄を実現する。従来のドラム洗濯機において、外槽の作用は主として貯水である。また、外槽は動かないよう固定されるため、一般的には外槽と本体を密封接続することで密封を実現している。これに対し、本発明のドラム洗濯機は、内槽を孔無しの内槽として創造的に設計している。内槽は水平に配置されるため、本実施例では、内槽の投入口端と扉体を相対的に回転可能に密封接続することで、内槽の密封性を保証する。これにより、内槽4の貯水機能を実現するとともに、内槽の回転に支障をきたすことなく洗浄及び脱水機能を実現する。
【0021】
本発明におけるドラム洗濯機の内槽は、貯水槽兼洗浄槽とされる。内槽は回転することから、本発明のドラム洗濯機は内槽への給水を実現するために、更に給水装置を含む。給水装置は、外部の水源に接続される第1給水管と、扉体に設けられて第1給水管に対向する集水槽と、扉体の内部に設けられて集水槽と内槽の内部を連通する第2給水管を含む。
【0022】
本発明のドラム洗濯機は、扉体と内槽が密封接続されるという構造的特性に基づき、扉体の内部から給水を実現する。また、扉体は衣類の出し入れのために開閉せねばならないことから、本発明では、扉体から給水するにあたり扉体の開閉に支障をきたしてはならない。そこで、本発明では、扉体に第1給水管と対向する集水槽を設けている。これにより、供給された水は第1給水管から集水槽に進入したあと、第2給水管から内槽の内部に進入する。本発明では、扉体に集水槽が設けられるため、第1給水管からの給水を受け止め可能である。これにより、内槽への給水を実現しつつ、扉体の正常な開閉に支障をきたすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施例におけるドラム洗濯機の正面図である。
図2図2は、本発明の実施例におけるドラム洗濯機の左側面図である。
図3図3は、本発明の実施例におけるドラム洗濯機の遠心弁が閉止状態の場合を示す図である。
図4図4は、本発明の実施例におけるドラム洗濯機の遠心弁が開放状態の場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を組み合わせて、本発明におけるドラム洗濯機につき詳述する。
【0025】
図1図2図3及び図4に示すように、本実施例のドラム洗濯機は、本体7、扉体及び内槽4を含む。前記内槽4は回転可能に本体7内に設けられる。内槽4には、洗浄過程において水が貯えられる。前記内槽4の前部には、衣類を出し入れするための投入口が設けられる。前記扉体は、開放/閉止可能に本体7の前部に装着されるとともに、内槽4の投入口に対応している。前記内槽4の投入口端と扉体は、相対的に回転可能に密封接続される。
【0026】
本実施例におけるドラム洗濯機の内槽4は、槽壁に脱水孔が開設されない孔無しの内槽である。洗浄時には内槽4に洗浄水を貯え、内槽4を回転させることで衣類を洗浄する。本実施例のドラム洗濯機は外槽を省略可能である。よって、本体サイズを変化させることなく内槽4の容積を増加させ、ドラム洗濯機の容量を拡大することが可能である。また、内槽4に貯水するため、従来の洗濯機では洗浄水が内槽と外槽の間に進入し、時間の経過とともに内槽の外壁と外槽の内壁が「内部汚染」されやすいとの課題が解決される。
【0027】
ドラム洗濯機は、内槽4の回転により衣類を持ち上げ/打ち付けることで洗浄を実現する。従来のドラム洗濯機において、外槽の作用は主として貯水である。また、外槽は動かないよう固定されるため、一般的には外槽と本体を密封接続することで密封を実現している。これに対し、本実施例のドラム洗濯機は、内槽4を孔無しの内槽として創造的に設計している。内槽4は水平に配置されるため、本実施例では、内槽4の投入口端と扉体を相対的に回転可能に密封接続することで、内槽4の密封性を保証する。これにより、内槽4の貯水機能を実現するとともに、内槽4の回転に支障をきたすことなく洗浄及び脱水機能を実現する。
【0028】
本実施例におけるドラム洗濯機の内槽4は、貯水槽兼洗浄槽とされる。内槽4は回転することから、本実施例のドラム洗濯機は内槽4への給水を実現するために、更に給水装置を含む。給水装置は、外部の水源に接続される第1給水管24と、扉体に設けられて第1給水管24に対向する集水槽23と、扉体の内部に設けられて集水槽23と内槽4の内部を連通する第2給水管21を含む。
【0029】
本実施例のドラム洗濯機は、扉体と内槽4が密封接続されるという構造的特性に基づき、扉体の内部から給水を実現する。また、扉体は衣類の出し入れのために開閉せねばならないことから、本実施例では、扉体から給水するにあたり扉体の開閉に支障をきたしてはならない。そこで、本実施例では、扉体に第1給水管24と対向する集水槽23を設けている。これにより、供給された水は第1給水管24から集水槽23に進入したあと、第2給水管21から内槽の内部に進入する。本実施例では、扉体に集水槽が設けられるため、第1給水管24からの給水を受け止め可能である。これにより、内槽4への給水を実現しつつ、扉体の正常な開閉に支障をきたすことがない。
【0030】
本実施例の好ましい実施形態として、本実施例の前記本体7には、内槽の投入口に対応して開口が開設されている。前記扉体は、外扉18と内扉19を含み、内扉19が回転可能に外扉18に装着される。扉体を閉止すると、外扉18が密封可能に本体の開口を閉止するとともに、内扉19が内槽4に密封接続される。これにより、本実施例におけるドラム洗濯機は、扉体に対する内槽4の回転可能な密封接続を実現できる。
【0031】
更に、外扉18は動かないよう固定されるため、本実施例における前記集水槽23は外扉18の上部に設けられる。
【0032】
具体的に、本実施例の前記外扉18は、本体7の外部に位置して開口を覆う外扉蓋と、本体の開口内まで延伸する外扉体を含む。前記外扉体の上部側壁は、一部が下方に凹陥して集水槽23を形成する。前記第1給水管24の排水端は集水槽23の真上に位置する。
【0033】
ドラム洗濯機の動作時には、内槽4の震動が不可避である。本実施例の内槽4は扉体に密封接続されるため、内槽4の震動の問題を考慮して、本実施例の前記外扉18の内側には、制震装置を介して軸体17を接続している。また、前記内扉19は、軸受27を介して回転可能に軸体17に装着される。
【0034】
具体的に、本実施例で記載する制震装置は、制振バネ15と接続プレート20を含む。複数の制振バネ15は外扉18の内側に装着され、制振バネ15の他端が接続プレート20に接続される。また、接続プレート20と軸体17が固定接続される。前記内扉19の外側の中心には軸受ハウジング16が固定されており、前記軸受27が軸受ハウジング16内に装着されて軸体17に締り嵌めされる。
【0035】
且つ、本実施例における前記軸体17の内部は中空である。第2給水管21は、一端が集水槽23と連通し、他端が軸体17を介して内槽4の内部に挿通される。
【0036】
本実施例の好ましい実施形態として、本実施例における前記外扉18の側壁と内扉19の側壁は、弾性密封カバー26を介して接続される。弾性密封カバー26の一端は外扉18の側壁に密封状に固定接続される。また、弾性密封カバー26の他端は、内扉19の側壁と密封接触を維持する。前記外扉18、弾性密封カバー26及び内扉19の間には密封空間が囲繞され、前記第2給水管21が前記密封空間内に設けられる。
【0037】
本実施例の制震装置、軸体及び軸受等の部材は、いずれも密封空間内に設けられるため、より良好な密封性を有する。
【0038】
本実施例の前記給水装置は、更にタンク1を含む。前記第1給水管24とタンク1は第1接続ホース25を介して連通しており、第2給水管21と集水槽23は第2接続ホース22を介して連通している。
【0039】
本実施例のタンク1には第3給水管2が接続されている。第3給水管2には、水道水をタンク1に導くよう水栓が接続される。
【0040】
本実施例のドラム洗濯機の排水を実現するために、本実施例のドラム洗濯機は外槽5を更に含む。外槽5の前端は本体7の内壁に固定され、前記内槽4が回転可能に外槽5内に設けられる。また、内槽4の側壁に遠心弁11が設けられる。
【0041】
図3及び図4に示すように、本実施例の遠心弁11は、バルブプラグとバネを含む。遠心弁のバルブプラグは、遠心力を受けていないときにはバネの弾性力の作用によって常時閉状態を維持する。一方、内槽が一定の回転速度に達すると、遠心弁が遠心力の作用によって自動的に開放し、排水が実現される。
【0042】
本実施例では、遠心弁11の動作原理を利用して、内槽4の回転を制御することで排水を制御する。
【0043】
具体的に、本実施例のドラム洗濯機は、洗浄時には遠心弁11が閉止され、内槽4内に水が貯えられるため、内槽4と外槽5の間に水が存在しない。一方、脱水時には、遠心弁11が開放され、洗浄水が遠心弁11から内槽4と外槽5の間に排出されるとともに、外槽5から排出される。なお、言うまでもなく、洗浄過程において、内槽4が高速回転するよう制御することで遠心弁11を開放し、排水を実現してもよい。
【0044】
本実施例の好ましい実施形態として、前記内槽4の投入口端の直径は内槽底の直径よりも小さく、前記内槽4の側壁が投入口端から内槽底に向かって上方に傾斜して設けられる。前記遠心弁11は複数設けられ、内槽底の側壁寄りに内槽に沿って均一に一周配置される。内槽4の構造設計及び遠心弁11の配置によって、高速遠心力の作用下における洗浄水の排出にいっそう有利となる。
【0045】
本実施例の外槽5における遠心弁に対応する位置には外槽排水口が開設されている。外槽排水口は主排水管12に接続され、主排水管12が排水弁13に接続される。
【0046】
本実施例の外槽5の前端は本体7の内壁に固定される。内槽4の制震を実現するために、本実施例のドラム洗濯機は、中心回転軸9、駆動装置10及び支持制震装置を更に含む。前記内槽4は、中心回転軸9を介して駆動装置10に伝動接続される。前記支持制震装置は、支持フレーム6、制震吊りバネ3及びアブソーバ14を含む。前記支持フレーム6は、一端が中心回転軸9に覆設されるとともに、軸受を介して中心回転軸9に支持及び接続される。また、他端は外槽5の外周まで延伸して吊りバネ3及びアブソーバ14を装着するために用いられる。
【0047】
本実施例のドラム洗濯機は、更に、以下の実施形態によって排水の問題を解決してもよい。具体的な方案は次の通りである。
【0048】
本実施例におけるドラム洗濯機の中心回転軸9の内部は、排水用の水流経路が設けられるよう中空となっている。本実施形態では、遠心弁を使用しなくともよい。
【0049】
本実施例では、水流経路を中心回転軸9の内部に設ける。これにより、洗濯機からの排水がこの水流経路を通じて出入りするため、内槽の回転が給排水に支障をきたすことがない。
【0050】
本発明の好ましい実施形態として、前記中心回転軸9の一端は駆動装置10の外部まで伸出し、中心回転軸9の伸出端が軸受を介して回転可能に連通部材に装着される。前記連通部材の内部には連通経路が備わっており、前記連通経路が水流経路と給水装置/排水装置とを連通する。
【0051】
本発明では、中心回転軸9内の水流経路によって排水を実現する場合を例に詳細に説明する。本実施例の中心回転軸9内の水流経路は、排水機能を実現するよう排水装置と連通する。具体的に、本実施例の前記排水装置は排水管と自吸ポンプを含み、自吸ポンプの給水口が排水管を介して中心回転軸内の水流経路と連通する。
【0052】
中心回転軸9は内槽4の槽底の中心位置に配置され、内槽の最低位置に存在するわけではない。そこで、内槽4内の洗浄水のいっそう良好な排出を保証すべく、前記内槽4の後槽底の内壁には、脱水及び/又は排水過程で集水するための集水装置が設けられ、集水装置が水流経路と連通する。脱水及び/又は排水過程において、集水装置は内槽内の水を収集し、自吸ポンプの吸引力の働きで排水する。
【0053】
具体的に、本実施例の前記集水装置は、集水室と集水流路を備える。前記集水室は、内槽4の後槽底における内壁の中心に設けられるとともに、中心回転軸9内の水流経路と連通する。前記集水流路は内槽の後槽底の内壁に設けられる。集水流路は一端が集水室と連通し、他端が内槽4の内壁に向かって延伸している。
【0054】
好ましくは、前記集水流路は複数設けられ、それぞれが内槽4の後槽底の周方向に均一に分布している。
【0055】
集水装置と連携して集水するために、本実施例の内槽4における後槽底と対向する一端は前槽蓋となっている。前記前槽蓋の直径は後槽底の直径よりも小さい。前記内槽4の側壁は、前槽蓋から後槽底に向かって上方に傾斜して設けられる。
【0056】
集水装置による集水効果を実現するためには、内槽4の回転との連携も必要である。内槽4が回転すると、洗浄水が遠心力の作用で内槽4の側壁表面に凝集する。側壁は傾斜構造となっているため、洗浄水は内槽4の傾斜した側壁沿いに前槽蓋から後槽底へと凝集し、当該箇所に設けられる集水流路から集水室内へと案内される。
【0057】
このように、本実施例のドラム洗濯機は、脱水過程では内槽4の高速回転により集水と排水を実現する。また、洗浄過程のあとの排水については排水プログラムを追加し、内槽4の高速回転を上昇させることで排水を実現してもよい。
【0058】
本実施例の好ましい実施形態として、本実施例で記載する集水装置はカバープレートを含み、カバープレートが内槽の後槽底における内壁に装着される。前記カバープレートの内部には、集水室と集水流路を形成するよう封止された中空室が備わっている。或いは、前記カバープレートの内部には開口した凹溝が備わっている。カバープレートと内槽の後槽底における内壁とを密封接続することで凹溝が封止され、集水室と集水流路が形成される。
【0059】
本実施例の好ましい実施形態として、前記集水装置の上面には、内槽内の底部から突出する突出構造が構成されている。突出構造は洗浄時に洗浄物を上昇させることが可能であり、これにより洗濯効果が向上する。
【0060】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に限定するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて行うわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲内とされる。
【符号の説明】
【0061】
1 タンク
2 第3給水管
3 制震吊りバネ
4 内槽
5 外槽
6 支持フレーム
7 本体
8 軸受
9 中心回転軸
10 駆動装置
11 遠心弁
12 主排水管
13 排水弁
14 アブソーバ
15 制振バネ
16 軸受ハウジング
17 軸体
18 外扉
19 内扉
20 接続プレート
21 第2給水管
22 第2接続ホース
23 集水槽
24 第1給水管
25 第1接続ホース
26 弾性密封カバー
27 軸受
図1
図2
図3
図4