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特許7012120導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220120BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/044 122
G06F3/041 660
G06F3/041 490
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020089388
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184175
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福田 麻人
(72)【発明者】
【氏名】横山 崇
(72)【発明者】
【氏名】寺屋 さとみ
(72)【発明者】
【氏名】松本 康祐
(72)【発明者】
【氏名】白▲崎▼ 義将
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072517(JP,A)
【文献】特開2015-072948(JP,A)
【文献】特開2014-41589(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080046(WO,A1)
【文献】特開2019-179462(JP,A)
【文献】特開2016-184683(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017973(WO,A1)
【文献】特表2012-519329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、
前記透明基材の一方面にメッシュ状に形成された複数の金属細線と、を備え、
前記複数の金属細線は、前記透明基材上に仮想的に敷き詰められた正六角形からなる仮想パターン及び反転仮想パターンの中に形成されたn角形(n≧5)と、そのn角形と前記仮想パターン及び前記反転仮想パターンの各辺に配置された第1交点から第6交点とを繋いだ6本の連結線とを含み、
前記仮想パターンは、その各頂点を反時計回りに第1頂点から第6頂点とし、第1頂点と第2頂点を結ぶ辺に配置された交点を第1交点として、前記仮想パターンの各辺に配置された各交点を反時計回りに第2交点から第6交点とし、第1頂点から第1交点、第1頂点から第6交点、第2頂点から第2交点、第4頂点から第3交点、第4頂点から第4交点、第6頂点から第5交点までの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、
前記仮想パターンを左右反転させた前記反転仮想パターンは、その各頂点を時計回りに第1頂点から第6頂点とし、第1頂点と第2頂点を結ぶ辺に配置された交点を第1交点として、前記反転仮想パターンの各辺に配置された各交点を時計回りに第2交点から第6交点とし、第1頂点から第1交点、第1頂点から第6交点、第2頂点から第2交点、第4頂点から第3交点、第4頂点から第4交点、第6頂点から第5交点までの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、
前記仮想パターンと前記反転仮想パターンとは、隣接する前記仮想パターン又は前記反転仮想パターンの各交点が重なり、かつ前記複数の金属細線で形成される開口領域が非周期的に配列されるように敷き詰められ、
前記仮想パターンの1辺の長さをA、前記n角形の1辺の長さをB、前記n角形の内角をθとすると、
150μm≦A≦3000μm
A/4≦B≦3A/4
90°≦θ
の関係を有し、
(i)前記n角形は、n=5であり、前記連結線のうち5本は、前記n角形の頂点とその頂点からの距離が最短となる交点とを結び、前記連結線のうち1本は、前記n角形の辺と前記交点とを結び、前記連結線の長さをCとすると、A/4≦C≦A/2の関係を有し、
又は
(ii)前記n角形は、n≧6であり、前記連結線は、前記n角形の頂点とその頂点からの距離が最短となる交点とを結ぶ、
導電シート。
【請求項2】
前記n角形は、n≧6であり、前記連結線の長さをCとすると、A/4≦C≦A/2の関係を有する、請求項1に記載の導電シート。
【請求項3】
前記複数の金属細線は、前記透明基材の側から第1黒化層と金属層と第2黒化層とがこの順で積層された、請求項1に記載の導電シート。
【請求項4】
前記複数の金属細線は、側面に黒化層が形成された、請求項3に記載の導電シート。
【請求項5】
前記複数の金属細線が複数の電極を構成し、その複数の電極の端部にそれぞれ形成された接続部を有する請求項1に記載の導電シートと、
外部配線と接続される端子部と、
前記接続部と前記端子部とを接続する引回し配線と、を備えたタッチセンサ。
【請求項6】
前記複数の電極は、操作領域に形成され、
前記引回し配線は、前記操作領域以外の周辺領域に形成され、
前記操作領域のうち前記複数の電極が形成されていない領域に、前記複数の電極と電気的に接続されていないダミー部を更に備えた、請求項5に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記複数の電極は、帯形状であり、
前記複数の電極とダミー部とが交互に配置された、請求項6に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記ダミー部は、前記複数の金属細線で構成された、請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
透明基材の一方面に第1黒化膜層と金属膜層と第2黒化膜層とを順次形成する工程と、
前記第1黒化膜層と前記金属膜層と前記第2黒化膜層をエッチングすることで、複数の金属細線で構成された複数の電極と、その複数の電極の端部にそれぞれ形成された接続部と、外部配線と接続される端子部と、前記接続部と前記端子部とを接続する引回し配線と、を同時に形成する工程と、を備え、
前記複数の金属細線は、前記透明基材上に仮想的に敷き詰められた正六角形からなる仮想パターン及び反転仮想パターンの中に形成されたn角形(n≧5)と、そのn角形と前記仮想パターン及び前記反転仮想パターンの各辺に配置された第1交点から第6交点とを繋いだ6本の連結線とを含み、前記仮想パターンは、その各頂点を反時計回りに第1頂点から第6頂点とし、第1頂点と第2頂点を結ぶ辺に配置された交点を第1交点として、前記仮想パターンの各辺に配置された各交点を反時計回りに第2交点から第6交点とし、第1頂点から第1交点、第1頂点から第6交点、第2頂点から第2交点、第4頂点から第3交点、第4頂点から第4交点、第6頂点から第5交点までの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、前記仮想パターンを左右反転させた前記反転仮想パターンは、その各頂点を時計回りに第1頂点から第6頂点とし、第1頂点と第2頂点を結ぶ辺に配置された交点を第1交点として、前記反転仮想パターンの各辺に配置された各交点を時計回りに第2交点から第6交点とし、第1頂点から第1交点、第1頂点から第6交点、第2頂点から第2交点、第4頂点から第3交点、第4頂点から第4交点、第6頂点から第5交点までの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、前記仮想パターンと前記反転仮想パターンとは、隣接する前記仮想パターン又は前記反転仮想パターンの各交点が重なり、かつ前記複数の金属細線で形成される開口領域が非周期的に配列されるように敷き詰められ、前記仮想パターンの1辺の長さをA、前記n角形の1辺の長さをB、前記n角形の内角をθとすると、
150μm≦A≦3000μm
A/4≦B≦3A/4
90°≦θ
の関係を有し、(i)前記n角形は、n=5であり、前記連結線のうち5本は、前記n角形の頂点とその頂点からの距離が最短となる交点とを結び、前記連結線のうち1本は、前記n角形の辺と前記交点とを結び、前記連結線の長さをCとすると、A/4≦C≦A/2の関係を有する、又は(ii)前記n角形は、n≧6であり、前記連結線は、前記n角形の頂点とその頂点からの距離が最短となる交点とを結ぶように形成された、タッチセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法に関し、特にメッシュ状の金属細線を含む導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タッチセンサ用の電極として、透明基材にメッシュ状の金属細線パターンを形成したものが使用されている。メッシュの形状としては、正方形、菱形や六角形等の多角形を敷き詰めた格子形状が一般的に用いられる。しかし、このような格子形状は、タッチセンサの下に配置される表示装置のブラックマトリクスの周期パターンと干渉を起こしてモアレ(縞状模様)を生じることがある。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の導電性メッシュでは、メッシュパターンを不規則化し、表示装置のブラックマトリクスとの干渉によるモアレを起きにくくさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-203664
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モアレ抑制のためにメッシュの形状を不規則なパターンにした場合に、金属細線が交わることによって形成される内角が狭くなると、交点付近で金属細線の幅が太くなることがあり、ぎらつきとして視認される場合がある。また、不規則なパターンにした場合に、同一平面内に金属細線が密集した箇所とまばらな箇所ができてしまうと、ぎらつきとして視認される場合がある
【0006】
本発明の目的は、メッシュの形状を不規則なパターンにした場合に、ぎらつきを抑制し視認性を向上させた導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、透明基材と、透明基材の一方面にメッシュ状に形成された複数の金属細線と、を備え、複数の金属細線は、透明基材上に仮想的に敷き詰められた正六角形からなる仮想パターン及び反転仮想パターンの中に形成されたn角形(n≧5)と、そのn角形と仮想パターンの各辺に配置された第1交点から第6交点とを繋いだ6本の連結線とを含み、仮想パターンは、その各頂点を反時計回りに第1頂点から第6頂点とし、第1頂点と第2頂点を結ぶ辺に配置された交点を第1交点として、仮想パターンの各辺に配置された各交点を反時計回りに第2交点から第6交点とし、第1頂点から第1交点、第1頂点から第6交点、第2頂点から第2交点、第4頂点から第3交点、第4頂点から第4交点、第6頂点から第5交点までの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、仮想パターンを左右反転させた反転仮想パターンは、その各頂点を時計回りに第1頂点から第6頂点とし、第1頂点と第2頂点を結ぶ辺に配置された交点を第1交点として、反転仮想パターンの各辺に配置された各交点を時計回りに第2交点から第6交点とし、第1頂点から第1交点、第1頂点から第6交点、第2頂点から第2交点、第4頂点から第3交点、第4頂点から第4交点、第6頂点から第5交点までの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、仮想パターンと反転仮想パターンとは、隣接する仮想パターン又は反転仮想パターンの各交点が重なり、かつ複数の金属細線で形成される開口領域が非周期的に配列されるように敷き詰められ、仮想パターンの1辺の長さをA、n角形の1辺の長さをB、n角形の内角をθとすると、
150μm≦A≦3000μm
A/4≦B≦3A/4
90°≦θ
の関係を有し、
(i)n角形は、n=5であり、連結線のうち5本は、n角形の頂点とその頂点からの距離が最短となる交点とを結び、連結線のうち1本は、n角形の辺と交点とを結び、連結線の長さをCとすると、A/4≦C≦A/2の関係を有し、又は(ii)n角形は、n≧6であり、連結線は、n角形の頂点とその頂点からの距離が最短となる交点とを結ぶ、導電シートである。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、n角形は、n≧6であり、連結線の長さをCとすると、A/4≦C≦A/2の関係を有する、導電シートである。
【0009】
このように構成すると、金属細線が交わることによって形成される内角が広くなるため、交点付近の金属細線の幅が太くなることを抑制できる。また、n角形と線とが偏りなく配置された仮想パターンを敷き詰めて金属細線を形成するため、金属細線が偏りなく配置される。これにより、ぎらつきを抑制し視認性を向上させることができる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、複数の金属細線は、透明基材の側から第1黒化層と金属層と第2黒化層とがこの順で積層された、導電シートである。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、複数の金属細線は、側面に黒化層が形成された、導電シートである。
【0012】
このように構成すると、金属細線表面に黒化層が形成されているので、金属細線の表面において反射率を低減させることができる。
【0013】
第5の発明は、複数の金属細線が複数の電極を構成し、その複数の電極の端部にそれぞれ形成された接続部を有する第1の発明の導電シートと、外部配線と接続される端子部と、接続部と端子部とを接続する引回し配線と、を備えたタッチセンサである。
【0014】
このように構成すると、金属細線のぎらつきを抑制できるので、視認性を向上させたタッチセンサを得ることができる。
【0015】
第6の発明は、第5の発明において、複数の電極は、操作領域に形成され、引回し配線は、操作領域以外の周辺領域に形成され、操作領域のうち複数の電極が形成されていない領域に、複数の電極と電気的に接続されていないダミー部を更に備えた、タッチセンサである。
【0016】
第7の発明は、第6の発明において、複数の電極は、帯形状であり、複数の電極とダミー部とが交互に配置された、タッチセンサである。
【0017】
このように構成すると、操作領域に電極とダミー部が形成されているため、電極のパターン形状が操作者に観察されてしまう骨見え現象を抑制でき、視認性を向上させたタッチセンサを得ることができる。
【0018】
第8の発明は、第7の発明において、ダミー部は、複数の金属細線で構成された、タッチセンサである。
【0019】
このように構成すると、電極部とダミー部とが同じ金属細線で構成され同じパターンとなるため、より視認性を向上させることができる。
【0020】
第9の発明は、透明基材の一方面に第1黒化膜層と金属膜層と第2黒化膜層とを順次形成する工程と、第1黒化膜層と金属膜層と第2黒化膜層をエッチングすることで、複数の金属細線で構成された複数の電極と、その複数の電極の端部にそれぞれ形成された接続部と、外部配線と接続される端子部と、接続部と端子部とを接続する引回し配線と、を同時に形成する工程と、を備え、複数の金属細線は、透明基材上に仮想的に敷き詰められた正六角形からなる仮想パターン及び反転仮想パターンの中に形成されたn角形(n≧5)と、そのn角形と仮想パターン及び反転仮想パターンの各辺に配置された第1交点から第6交点とを繋いだ6本の連結線とを含み、仮想パターンは、その各頂点を反時計回りに第1頂点から第6頂点とし、第1頂点と第2頂点を結ぶ辺に配置された交点を第1交点として、仮想パターンの各辺に配置された各交点を反時計回りに第2交点から第6交点とし、第1頂点から第1交点、第1頂点から第6交点、第2頂点から第2交点、第4頂点から第3交点、第4頂点から第4交点、第6頂点から第5交点までの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、仮想パターンを左右反転させた反転仮想パターンは、その各頂点を時計回りに第1頂点から第6頂点とし、第1頂点と第2頂点を結ぶ辺に配置された交点を第1交点として、反転仮想パターンの各辺に配置された各交点を時計回りに第2交点から第6交点とし、第1頂点から第1交点、第1頂点から第6交点、第2頂点から第2交点、第4頂点から第3交点、第4頂点から第4交点、第6頂点から第5交点までの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、仮想パターンと反転仮想パターンとは、隣接する仮想パターン又は反転仮想パターンの各交点が重なり、かつ複数の金属細線で形成される開口領域が非周期的に配列されるように敷き詰められ、仮想パターンの1辺の長さをA、n角形の1辺の長さをB、n角形の内角をθとすると、
150μm≦A≦3000μm
A/4≦B≦3A/4
90°≦θ
の関係を有し、(i)n角形は、n=5であり、連結線のうち5本は、n角形の頂点とその頂点からの距離が最短となる交点とを結び、連結線のうち1本は、n角形の辺と交点とを結び、連結線の長さをCとすると、A/4≦C≦A/2の関係を有する、又は(ii)n角形は、n≧6であり、連結線は、n角形の頂点とその頂点からの距離が最短となる交点とを結ぶように形成された、タッチセンサの製造方法である。
【0021】
このように構成すると、複数の電極と接続部と端子部と引回し配線を同時に形成するため、工程数を減らし、製造にかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、メッシュ形状を不規則なパターンにした場合に、ぎらつきを抑制し視認性を向上させた導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態による導電シート10の(a)概略断面図、(b)概略平面図、(c)金属細線12の部分拡大断面図である。
図2】本発明の第1実施形態による(a)仮想パターンXaの部分拡大平面図、(b)反転仮想パターンXbの部分拡大平面図である。
図3】仮想パターンXaと反転仮想パターンXbの敷き詰め方を説明する部分拡大平面図である。
図4】本発明の第2実施形態によるタッチセンサの(a)概略平面図、(b)(a)の領域Kの部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の第1実施形態について、図を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
【0025】
図1(a)を参照して、本発明の第1実施形態に係る導電シート10は、透明基材11と、透明基材11の一方面にメッシュ状に形成された複数の金属細線12とを備えている。図1(b)を参照して、複数の金属細線12は、仮想パターンXa及び反転仮想パターンXbの中に形成された六角形と6本の連結線を含む。複数の金属細線12により六角形と6本の連結線が形成された仮想パターンXaと、Xaを左右反転させた反転仮想パターンXbとは、隣接する仮想パターンXa又は反転仮想パターンXbの各辺に配置された各交点が重なり、かつ複数の金属細線12で形成される開口領域Rが非周期的に配列されるように敷き詰められる。仮想パターンXa及び反転仮想パターンXbの詳細については後述する。図1(c)を参照して、金属細線12は、透明基材11側から第1黒化層13と金属層14と第2黒化層15とが積層されている。第1黒化層13及び第2黒化層15は、金属細線12の反射率を低減させ、視認性を向上させるための層である。
【0026】
透明基材11の材料は、フレキシブルなものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA、シクロオレフィンポリマー(COP)や環状オレフィン・コポリマー(COC)等のポリオレフィン類、ビニル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド(PI)、アクリル樹脂(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリウレタン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等の樹脂フィルムを用いることができる。透明基材11の厚みは、5~500μmであり、好ましくは20~100μmである。
【0027】
透明基材11は単層のフィルムでもよいし、複数層を積層したフィルムであってもよい。透明基材11は、構成中に位相差フィルムを含んでいてもよい。
【0028】
金属層14の材料としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等、又はこれらの合金を用いることができる。第1黒化層13及び第2黒化層15の材料としては、銅、ニッケル、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等の金属酸化物又は金属窒化物を用いることができる。
【0029】
金属細線12の線幅は、例えば1~10μmであり、好ましくは1~5μmである。金属細線12の膜厚は、例えば120nm~1.2μmである。第1黒化層及び第2黒化層の膜厚は、例えば10~100nmであり、金属層14の膜厚は、例えば100nm~1μmである。金属細線12の開口率は例えば95%以上、好ましくは98%以上である。
【0030】
以下、仮想パターンXa及び反転仮想パターンXbの詳細について説明する。
図2(a)を参照して、仮想パターンXaは、透明基材11上に仮想的に描かれる正六角形のパターンである。仮想パターンXaの各頂点は、反時計回りに第1頂点P1aから第6頂点P6aとする。第1頂点P1aと第2頂点P2aを結ぶ辺に配置された交点を第1交点Q1aとして、仮想パターンXaの各辺に配置された各交点を第2交点Q2aから第6交点Q6aとする。P1a-Q1a間、P1a-Q6a間、P2a-Q2a間、P4a-Q3a間、P4a-Q4a間、P6a-Q5a間の距離がそれぞれ等しくなるように、第1交点Q1aから第6交点Q6aが仮想パターンXaの各辺上に配置されている。第1頂点P1aから第6頂点P6aの各頂点の下に、仮想矢印d1aからd6aがそれぞれ描かれている。それぞれの仮想矢印d1aからd6aが指す方向は、P1aとP4aを結ぶ線を軸としてP1aを上、P4aを下とすると、d1aは右方向を指し、d2aは右斜め上方向を指し、d3aは右斜め下方向を指し、d4aは右方向を指し、d5aは左斜め下方向を指し、d6aは左斜め上方向を指す。尚、仮想パターンXaを時計回りに60°回転させると、図2(a)のP1aの位置にP2aが配置される。60°回転させたXaにおいて、P2aとP5aを結ぶ線を軸としてP2aを上、P5aを下とすると、d2aは右方向を指し、d3aは左斜め下方向を指し、d4aは右斜め下方向を指し、d5aは左方向を指し、d6aは右斜め上方向を指し、d1aは右斜め下方向を指す。
【0031】
仮想パターンXaの中に、金属細線12によって六角形Saと連結線L1aからL6aが形成されている。六角形Saの各頂点と第1交点Q1aから第6交点Q6aとは、連結線L1aからL6aによってそれぞれ結ばれている。仮想パターンXaの中央付近には六角形Saが配置され、その六角形Saの各頂点から仮想パターンXaの各辺上の交点へ、連結線L1aからL6aが放射状に延びている。連結線L1aからL6aは、六角形Saの頂点と、その頂点からの距離が最短となるQ1aからQ6aのいずれかの交点を結ぶ。
【0032】
図2(b)を参照して、反転仮想パターンXbは、仮想パターンXaを左右反転させたものである。反転仮想パターンXbの各頂点は、時計回りに第1頂点P1bから第6頂点P6bとする。第1頂点P1bと第2頂点P2bを結ぶ辺に配置された交点を第1交点Q1bとして、反転仮想パターンXbの各辺に配置された各交点を第2交点Q2bから第6交点Q6bとする。P1b-Q1b間、P1b-Q6b間、P2b-Q2b間、P4b-Q3b間、P4b-Q4b間、P6b-Q5b間の距離がそれぞれ等しくなるように、第1交点Q1bから第6交点Q6bが反転仮想パターンXbの各辺上に配置されている。第1頂点P1bから第6頂点P6bの各頂点の下に、仮想矢印d1bからd6bがそれぞれ描かれている。それぞれの仮想矢印d1bからd6bが指す方向は、P1bとP4bを結ぶ線を軸としてP1bを上、P4bを下とすると、d1bは左方向を指し、d2bは左斜め上方向を指し、d3bは左斜め下方向を指し、d4bは左方向を指し、d5bは右斜め下方向を指し、d6bは右斜め上方向を指す。
【0033】
仮想パターンXaと反転仮想パターンXbは、金属細線12によって形成される多数の開口領域が非周期的に配列されるように敷き詰められる。換言すると、同一形状の開口領域が周期的に配列されないように、仮想パターンXaと反転仮想パターンXbとが敷き詰められる。
【0034】
多数の開口領域が非周期的な配列となるように仮想パターンを敷き詰める方法を説明する。
仮想パターンは、時計回りに60°ずつ回転させたものを組み合わせて敷き詰める。つまり、使用する仮想パターンは、Xa、60°回転させたXa、120°回転させたXa、180°回転させたXa、240°回転させたXa、300°回転させたXa、Xb、60°回転させたXb、120°回転させたXb、180°回転させたXb、240°回転させたXb、300°回転させたXb、の計12種類である。
【0035】
上述した12種類の仮想パターン及び反転仮想パターンを2つのルールに従って透明基材11上に隙間なく敷き詰める。
第一に、仮想パターン又は反転仮想パターンの各交点のいずれかと、隣接する仮想パターン又は反転仮想パターンの各交点のいずれかが重なるように敷き詰める。このようにすると、仮想パターン又は反転仮想パターンの連結線は、隣接する仮想パターン又は反転仮想パターンの連結線と必ず連結する。よって、複数の金属細線による多数の開口領域Rが配列される。開口領域Rは、仮想パターン又は反転仮想パターンの中に形成された多角形か、又は連結線と多角形の辺によって囲まれた領域である。
第二に、仮想パターン又は反転仮想パターンの1辺を挟んで対向する2つの仮想パターン又は反転仮想パターンは、その対向する頂点の下に描かれた仮想矢印の方向が同じになるように、仮想パターンと反転仮想パターンを敷き詰める。このようにすると、金属細線12によって形成される多数の開口領域を、非周期的な配列とすることができる。
【0036】
図3を参照して、仮想パターンを敷き詰め方の一例を説明する。
仮想パターンX1は図2(a)の仮想パターンXaであり、仮想パターンX2は図2(b)の反転仮想パターンXbを時計回りに240°回転させたもの、仮想パターンX3はXaを時計回りに240°回転させたものである。X1とX2は、X1の辺P3a-P4aとX2の辺P3b-P4bが重なるように隣接している。言い換えると、X1とX2は、X1の辺P3a-P4a(又はX2の辺P3b-P4b)を共有している。X2とX3は、X2の辺P5b-P6bとX3の辺P5a-P6aが重なるように隣接している。言い換えると、X2とX3は、X2の辺P5b-P6b(又はX3の辺P5a-P6a)を共有している。X1とX3とは、X2の辺P4b-P5bを挟んで対向している。X1の頂点P4aとX3の頂点P5aとが対向するように、X1とX3が配置されている。
【0037】
第一に、X1の辺P3a-P4aとX2の辺P3b-P4bが重なるようにX1とX2とが隣接しているため、X1の交点Q3aとX2の交点Q3bは重なっている。そのため、X1の連結線L3aとX2の連結線L3bが連結する。また、X2の辺P5b-P6bとX3の辺P5a-P6aが重なるようにX2とX3とが隣接しているため、X2の交点Q5bとX3の交点Q5aは重なっている。そのため、X2の連結線L5bとX3の連結線L5aが連結する。このように連結線を連結させていくことで、金属細線による多数の開口領域を形成することができ、金属細線12がメッシュ状に形成される。
第二に、X1とX3は、X2の辺P4b-P5bを挟んで対向しており、X1の第4頂点P4aと、X2の第5頂点P5aが対向するように配置されている。X1のP1aとP4aを結ぶ線を軸としてP1aがある方を上、P4aがある方を下とすると、X1の第4頂点P4aの仮想矢印d4aとX3の第5頂点P5aの矢印d5aは、ともに右方向を指す矢印である。このようにして、金属細線により形成される多数の開口領域を非周期的な配列にする。
【0038】
仮想パターンXaの1辺の長さAは、150μm~3000μmであり、好ましくは500μm~2000μmである。150μm以上とすると、透明基材上に金属細線12が密集して形成されることを防ぐことができる。3000μm以下とすると、金属細線12の本数が少なくなり抵抗値が上昇してしまうことを防ぐことができる。
【0039】
六角形Saの1辺の長さBは、A/4μm~3A/4μmであることが好ましい。Bをこのような範囲としておくことで、六角形Saと、連結線と六角形の辺で形成される図形とが極端に異なる面積になることを防ぐことができ、金属細線が疎になる箇所と密になる箇所が形成されないようにすることができる。六角形Saのそれぞれの内角θaは90°以上とすることが好ましい。θaを90°以上とすると、金属細線同士の交点付近でも金属細線の幅が均等になるように制御することができ、六角形Saの頂点付近で金属細線の幅が太くなりぎらつきの原因となることを防ぐことができる。
【0040】
連結線L1aからL6aの長さCは、A/4μm~A/2μmであることが好ましい。Cをこのような範囲としておくことで、六角形Saと、連結線と六角形Saの辺で形成される図形とが極端に異なる面積になることを防ぐことができ、金属細線が疎になる箇所と密になる箇所が形成されないようにすることができる。
【0041】
導電シート10は、透明基材11上にスパッタリング法や金属箔転写により黒化層を含む金属膜を形成し、エッチングによりパターニングを行う方法や、導電性インキを透明基材11上にパターン印刷する方法によって、製造することができる。
【0042】
以上から、第1実施形態による導電シート10では、仮想パターンXaの中に金属細線12によって六角形Saと連結線L1aからL6aが形成され、六角形Saの各頂点と第1交点Q1aから第6交点Q6aとは、連結線L1aからL6aによって結ばれている。隣接する仮想パターンXa又は反転仮想パターンXbの各交点が重なり、かつ複数の金属細線12で形成される開口領域Rが非周期的に配列されるように、仮想パターンXa又は反転仮想パターンXbを回転させながら透明基材11上に敷き詰めることで、複数の金属細線12によって非周期的に配列された複数の開口領域Rを形成し、透明基材11上に複数の金属細線12を不規則なメッシュ状に形成することができる。
【0043】
更に、仮想パターンXaの1辺の長さAを150μm~3000μmとすることで、金属細線12が密集することや、金属細線12の本数が少なくなり抵抗値が上昇してしまうことを防ぐことができる。六角形Saの1辺の長さBをA/4≦B≦3A/4とし、連結線L1aからL6aが六角形Saの頂点と、その頂点からの距離が最短となる交点とを結ぶことで、六角形Saは仮想パターンXaの中央付近に、連結線L1aからL6aは六角形Saの各頂点から仮想パターンXaの各辺へ放射状に延びるように、それぞれ配置される。このように構成すると、仮想パターンXaと反転仮想パターンXbを透明基材11上に敷き詰めたときに金属細線12が透明基材11上に偏りなく配置され、開口領域Rの面積のばらつきが少なくなる。よって、金属細線12がまばらになる箇所と密集する箇所とが形成されることを防ぐことができ、ぎらつきによる視認性の低下を防ぐことができる。六角形Saのそれぞれの内角θaを90°以上とすることで、六角形Saの頂点付近で金属細線の幅が太くなりぎらつきの原因となることを防ぐことができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態について、図を参照しながら説明する。
<第2実施形態>
【0045】
図4(a)を参照して、本発明の第2実施形態に係るタッチセンサ100は、透明基材11と、透明基材11の一方面に形成された複数の電極20Aと、複数の電極20Aの端部にそれぞれ形成された接続部30Aと、外部配線と接続される端子部40Aと、接続部30Aと端子部40Aとを接続する引回し配線50Aとを備える。さらに、タッチセンサ100は、透明基材11の他方の面に形成された複数の電極20Bと、複数の電極20Bの端部にそれぞれ形成された接続部30Bと、外部配線と接続される端子部40Bと、接続部30Bと端子部40Bとを接続する引回し配線50Bとを備える。
【0046】
透明基材11上は、操作領域V1と周辺領域V2に区画されている。操作領域V1は、タッチセンサ100のうちユーザーによる入力操作が行われる領域であり、周辺領域V2は、組立て後にカバー基材の枠状の加飾層等で覆われる領域である。透明基材の一方面の操作領域V1には複数の電極20Aとダミー部21Aが、周辺領域V2には接続部30Aと端子部40Aと引回し配線50Aが、それぞれ形成されている。
【0047】
複数の電極20Aは、操作領域V1に形成されている。複数の電極20Aは、帯形状であり、透明基材11の表面に、y軸方向に向かって延びx軸方向に4本並ぶように配置されている。複数の電極20Aは、第1実施形態で説明した複数の金属細線で構成されている。これらの複数の電極20Aは、タッチセンサの電極を構成する。
【0048】
複数の電極20Aの大きさは、操作領域V1の大きさや解像度によって決定されるため特に限定されないが、上述の仮想パターンXaの1辺の長さをA、電極20Aの幅をWとすると、3A≦Wの関係を満たすことが好ましい。
【0049】
ダミー部21Aは、操作領域V1のうち複数の電極20Aが形成されていない領域に形成されている。電極20Aとダミー部21Aとは、交互に配置されている。ダミー部21Aは、複数の電極20Aと同様に、第1実施形態で説明した複数の金属細線で構成されている。図4(b)を参照して、図4(a)における電極20Aとダミー部21Aの境界を含む領域Kを拡大すると、電極20Aとダミー部21Aとは、断線部22Aによって電気的に接続しないように断線されている。断線部22Aは、操作領域V1を区切って電極20Aの帯形状を形作るように形成されており、電極20Aとダミー部は断線部22Aによって隔てられる。断線部22Aには金属細線12が形成されていない。断線部22Aの幅は、1~10μmであることが好ましい。断線部22Aの幅をこの範囲にしておくと、金属細線の有無による電極とダミー部の境界線見えを防止できる。
【0050】
接続部30Aは、電極20Aと引回し配線50Aを接続するためのものである。接続部30Aによって、電極20Aを構成する金属細線12をまとめて引回し配線50Aに接続することができる。接続部30Aは、矩形状であり、帯形状である電極20Aの長手方向の一端に形成されている。接続部30Aは、複数の電極20Aを構成する複数の金属細線12の一部と重なるように、周辺領域V2に形成される。電極20Aは操作領域V1の境界線まで延びており、接続部30Aの矩形の一辺は、操作領域V1と周辺領域V2の境界線と重なっている。接続部30Aの幅は、電極20Aの幅と等しい。接続部30Aは、金属細線12と同様に、透明基材11側から第1黒化層、金属層、第2黒化層の順で積層された積層膜で構成されている。
【0051】
端子部40Aは、フレキシブル配線基板などの外部配線とタッチセンサ100を接続するためのものであり、透明基材11上の外縁付近に形成されている。引回し配線50Aは、電極20Aと端子部40Aとを接続するためのものであり、途中で折れ曲がり中央付近に集まるようにして端子部40Aに接続されている。端子部40A及び引回し配線50Aは、金属細線12と同様に、透明基材11側から第1黒化層、金属層、第2黒化層の順で積層されている。
【0052】
透明基材の他方の面の操作領域V1には複数の電極20Bとダミー部21Bが、周辺領域V2には接続部30Bと端子部40Bと引回し配線50Bが、それぞれ形成されている。複数の電極20Bは、透明基材11の裏面に、x軸方向に向かって延びy軸方向に5本並ぶように配置されている。接続部30Bは、帯形状である複数の電極20Bの長手方向の一端に形成されている。
【0053】
透明基材11の表裏両面に形成された端子部40A及び40Bはフレキシブルプリント基板(図示せず)を接続される。フレキシブルプリント基板は、静電容量方式のタッチ検出を実現する制御部と接続されている。ユーザーの指やスタイラス等の導体が近接又は離間した際に、複数の電極20A及び20Bに生じる静電容量の変化に応じて流れる電流を制御部で検知することで、ユーザーによるタッチ操作及びタッチ位置を検出することができる。
【0054】
タッチセンサ100の製造方法を説明する。
まず、スパッタリング法や金属箔転写により、透明基材11の両面に第1黒化膜層・金属膜層・第2黒化膜層をこの順で形成する。更に、第2黒化膜層の上にレジスト層を形成し、パターンマスクを用いて露光・現像することによりレジスト層をパターニングする。その後、パターニングされたレジスト層をエッチングマスクとして、第1黒化膜層・金属膜層・第2黒化膜層のエッチングを行なうことで、透明基材11の両面に、複数の金属細線で構成された電極、ダミー部、断線部、接続部、端子部、引回し配線を同時に形成する。
【0055】
以上から、第2実施形態によるタッチセンサ100では、複数の電極20A及び20Bが第1実施形態に係る複数の金属細線で構成されているため、金属細線が疎になる箇所と密になる箇所の差によるぎらつきや、金属細線が交わる交点付近で金属細線の幅が太くなることによるぎらつきの発生を抑制することができる。
【0056】
また、操作領域V1内の、複数の電極が形成されていない箇所にダミー部が形成されているため、電極の有無に起因して電極パターン形状が操作者に観察されてしまう骨見え現象を抑制し、視認性の低下を防ぐことができる。ダミー部は複数の電極と同じく第1実施形態に係る複数の金属細線で構成されているため、ダミー部と複数の電極の両方においてぎらつきの発生を抑えられる。よって、タッチセンサ100の操作領域V1の視認性を向上させることができる。また、第2実施形態に係るタッチセンサ100の製造方法では、複数の電極、ダミー部、接続部、端子部、引回し配線を同時に形成できるため、製造工程が複雑化するのを防ぐことができる。
【0057】
尚、上記の実施形態では、仮想パターンXaの中に六角形Saが形成されていたが、Saはn角形(n≧5)であればよい。n=5、すなわちSaが五角形の場合、連結線L1aからL6aのうち5本の連結線は、五角形Saの頂点と仮想パターンXa上の交点を結び、残りの1本は五角形Saの辺と仮想パターンXa上の残りの交点を結ぶ。連結線L1aからL6aの長さCは、A/4≦C≦A/2とすればよい。n≧7、すなわちSaが七角形以上の多角形の場合、連結線L1aからL6aは、多角形Saの頂点とその頂点からの距離が最短となる仮想パターンXa上の交点とを結べばよい。さらに連結線L1aからL6aの長さCを、A/4≦C≦A/2とするとよい。
【0058】
上記の実施形態では、仮想パターンXa及び反転仮想パターンXbを時計回りに回転させたものを使用して敷き詰めていたが、仮想パターンXa及び反転仮想パターンXbは反時計回りに回転させて使用してもよい。
【0059】
上記の実施形態では、仮想パターンXa及び反転仮想パターンXbの中に形成された多角形と連結線のみによって開口領域を形成し、金属細線12をメッシュ状に形成していたが、更に金属細線12を追加してもよい。その場合、追加した金属細線12が周期的に配列されないように、金属細線12を配置する。
【0060】
上記の実施形態では、金属細線12は第1黒化層、金属層、第2黒化層の順に積層されていたが、金属細線の積層構成はこれに限られない。例えば、金属層のみとする構成や、透明基材側から金属層、黒化層の順に積層された構成としてもよいし、透明基材上に形成された金属層の上面と側面を覆うように黒化層を形成してもよい。更に、金属層の周囲を全て黒化層で覆う構成としてもよい。このように構成すると、タッチセンサを組み立てた際のぎらつきをより抑制することができる。
【0061】
上記の実施形態では、導電シートの透明基材の片面に複数の金属細線を形成していたが、透明基材の両面に金属細線を形成してもよい。この場合は、少なくとも金属層の上面と下面に黒化層を形成すると、より視認性を向上させることができる。
【0062】
上記の実施形態では、複数の電極20A及び20Bは帯形状であったが、電極の形状はこれに限られない。電極の他の形状としては、例えば菱形形状が連なった形状や櫛歯形状とすることができる。また、電極の本数、引回し配線の位置、端子部の位置も特に制限されない。
【0063】
上記の実施形態では、ダミー部は第1実施形態に係る金属細線によって構成されていたが、ダミー部の金属細線パターンはこれに限られない。ダミー部は、ぎらつきの発生を抑制できるような金属細線パターンで形成されていればよい。
【0064】
上記の実施形態では、タッチセンサ100の透明基材11の両面に電極が形成されていたが、タッチセンサの構成はこれに限られない。一方面に電極が形成された透明基材2枚を、透明基材の他方面が対向するように貼り合わせてもよいし、電極の上に接着層を介して透明基材の他方面を重ねるようにして貼り合わせてもよい。
【0065】
上記の実施形態では、電極の一方端に接続部が形成されていたが、電極の長手方向両端に接続部を形成してもよい。例えば、電極20Bの左側端部に接続部30Bが形成されているところ、更に電極20Bの右側端部に接続部30Bを形成してもよい。この場合、端子部40Aの右側にも端子部40Bが形成され、それぞれの引回し配線50Bが端子部40Bと接続される。端子部の位置や引回し配線の配置は特に限定されない。
【0066】
上記の実施形態では、複数の電極、ダミー部、接続部、端子部、引回し配線を同時に形成したが、タッチセンサ100の製造方法はこれに限られない。例えば、操作領域V1に第1実施形態による金属細線を形成した後に、レーザーで金属細線を断線させることにより断線部を形成し、複数の電極とダミー部を形成してもよい。また、複数の電極及びダミー部を操作領域V1に形成した後に、接続部、端子部、引回し配線を周辺領域V2に形成してもよい。また、透明基材11の両面に同時に形成するのではなく、片面ずつに形成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 導電シート
11 透明基材
12 金属細線
13 第1黒化層
14 金属層
15 第2黒化層
20A、20B 電極
21A、21B ダミー部
22A、22B 断線部
30A、30B 接続部
40A、40B 端子部
50A、50B 引回し配線
100 タッチセンサ
図1
図2
図3
図4