(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/08 20060101AFI20220120BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
F25D21/08 E
F25B47/02 D
(21)【出願番号】P 2020188727
(22)【出願日】2020-11-12
(62)【分割の表示】P 2017103642の分割
【原出願日】2017-05-25
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2016177394
(32)【優先日】2016-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、環境省、平成28年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業(冷熱空調機器の消費電力を削減するデバイスの技術開発)委託業務、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 彰継
(72)【発明者】
【氏名】高見 文宣
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-232079(JP,A)
【文献】実開昭51-058947(JP,U)
【文献】特開2013-200074(JP,A)
【文献】特開2012-047362(JP,A)
【文献】実開昭59-054076(JP,U)
【文献】実開昭56-061884(JP,U)
【文献】特開2010-060188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0184900(US,A1)
【文献】実開昭48-011469(JP,U)
【文献】実開平02-085983(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0033773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/08
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷気を生成する冷却器と、
前記冷却器の下方に配置した除霜ヒータと、
前記冷却器と、前記冷却器への入口側空間と、前記冷却器からの出口側空間と、前記入口側空間と前記出口側空間とをつなぐ接続空間と、を覆う冷却器カバーと、
前記入口側空間を開閉する入口ダンパーと、
前記接続空間を開閉する接続ダンパーと、を有する冷蔵庫であり、
前記冷却器カバーと前記入口ダンパーと前記冷蔵庫の壁とにより囲まれた空間に、前記冷却器と、前記入口側空間と、前記出口側空間と、前記接続空間とが位置し、
前記冷却器カバーに、前記入口ダンパーと前記接続ダンパーとを駆動する駆動部があり、
前記出口側空間の前記冷却器カバーに送風ファンが配置され、
除霜開始時に、前記駆動部により前記入口ダンパー
を閉じるとともに前記接続ダンパー
を開き、前記送風ファンを停止し、前記除霜ヒータの通電によって、空気を加熱し、上昇させ、前記冷却器を通り、前記出口側空間へ進み、前記出口側空間で、前記空気は冷やされ、前記接続空間を通って降下し、再度、前記除霜ヒータの通電によって、前記空気を加熱し、上昇させることで前記空気を循環させる冷蔵庫。
【請求項2】
前記入口側空間と前記出口側空間との間で、前記空気で移動できるところは、前記接続空間と前記冷却器のみである請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記
冷却器の空気抵抗は、前記
接続空間の空気抵抗より小さい請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷却器カバーの前記冷却器側に断熱材を設けた請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷却器の前記冷却器カバー側と前記冷却器の前記冷蔵庫の背面側との少なくとも一方の面に、断熱材を設けた請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記断熱材と前記冷却器との間に熱伝導材を設けた請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷却器の前記冷却器カバー側と前記冷却器の前記冷蔵庫の背面側との少なくとも一方の面に、熱伝導材を設けた請求項1~6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記冷却器カバーの前記接続空間の前記冷却器側のカバー部が前記冷却器に対し、凹形状を有する請求項1から7のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記接続空間の空気が通過する断面積は、一定でなく変化している請求項1から8のいずれかに記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除霜ヒータを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷蔵庫の省エネルギー化が進む中、冷蔵庫の消費電力量を低減するには冷却効率の効率向上や、冷却器に付着した霜を溶かす際の除霜効率を向上させる方法がある。
【0003】
その中で、冷蔵庫の消費電力量を低減する従来の冷蔵庫としては、例えば、特許文献1のように、除霜ヒータで暖められた空気の庫内流入を抑制し、庫内の温度上昇を抑制することで省エネ効果を得る方法がある。また、特許文献2のように、除霜ヒータからの放射熱を伝熱板により冷却器に伝えることで加熱効率を高める方法が開示されたものがある。
【0004】
以下、図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫を説明する。
【0005】
図6は特許文献1に記載されている冷蔵庫の冷却器周囲の断面図を示す。冷却器601は、冷却室603内に設置されている。冷却室603は、冷凍室602の背面に冷却器カバー604により形成された領域である。
【0006】
冷却器601の前面下側には、冷却器カバー604にて構成される冷気入口605が開口しており、冷気の循環をしている。この冷却器カバー604の庫内側と冷却器601側の間の下方には開口して除霜ヒータで暖められた空気が流入する暖気流入空間606が設けられている。
【0007】
本構成により、除霜時の除霜ヒータ607によって暖められた空気は、庫内よりも暖気流入空間606に多く流入するため庫内の温度上昇を抑制できると共に、除霜時に庫内を暖めていた熱エネルギー分を低減できるため省エネ性が高くなる。
【0008】
図7は特許文献2に記載されている冷蔵庫の冷却気周辺の側面断面詳細図を示す。除霜ヒータ702からの放射熱を直接受ける吸熱部703Aと、冷却器701の背面を覆うように冷却器701に密着して配置される放熱部703Bとを有する熱伝導率の高い金属からなる伝熱板703を備える。
【0009】
除霜ヒータ702からの放射熱を吸収する放射熱吸収手段704を吸熱部703Aの除霜ヒータ702と対向する面に設けたので、冷却器701における除霜ヒータ702から離れた部分にも、除霜ヒータ702からの放射熱を効率良く伝える。このことで、冷却器701の霜を効率よく融解することができ、除霜時間の短縮や、除霜ヒータ702の低容量化により、除霜装置(冷蔵庫)の省エネ性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2010-60188号公報
【文献】特開2012-57910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載されている従来の冷蔵庫では、除霜時に除霜ヒータから加熱された空気の庫内流入を抑制することでの熱エネルギー低減で、省エネを行う効果はある。
【0012】
しかし、暖気流入空間自体の温度上昇は避けられないため、温度上昇した暖気流入空間から庫内への熱伝導によって、特に庫内背面側の温度は影響を受ける。
【0013】
また、冷蔵庫庫内からの冷気の戻り口は閉じられていない為、冷気が冷却器室へ流入した分、加熱された空気が冷凍室へ流出する為、庫内温度上昇が避けられないという問題もあった。
【0014】
その為、保存されている食品は温度変動を受けるため、食品が温められ、除霜の度に食品内部は凍結・融解に近い状態が繰り返され鮮度劣化が起こるという問題があった。
【0015】
また、特許文献2に記載されている従来例の冷蔵庫では、除霜ヒータからの放射熱を効率的に吸収して輸送する効果はある。
【0016】
しかし、伝熱板で除霜に必要な熱量を熱輸送するには伝熱板の厚みが必要となる。この為、除霜終了後に、加熱された伝熱板の冷却に大きなエネルギーを与える必要があるという問題がある。さらに、冷蔵庫庫内からの冷気の戻り口は閉じられていない為、冷却室へ流入する冷気により伝熱板が冷却されてしまう問題がある。さらに、冷気が冷却器室へ流入した分、加熱された空気が冷凍室へ流出する為、庫内温度上昇が避けられないという問題があった。
【0017】
よって、本発明は、上記課題に鑑み、除霜時のエネルギー効率を高め、省エネルギー化した冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、冷気を生成する冷却器と、上記冷却器の下方に配置した除霜ヒータと、上記冷却器と、上記冷却器への入口側空間と、上記冷却器からの出口側空間と、上記入口側空間と上記出口側空間とをつなぐ接続空間と、を覆う冷却器カバーと、上記入口側空間を開閉する入口ダンパーと、上記接続空間を開閉する接続ダンパーと、を有し、上記冷却器カバーと上記入口ダンパーと上記冷蔵庫の壁とにより囲まれた空間に、上記冷却器と、上記入口側空間と、上記出口側空間と、上記接続空間とが位置し、上記冷却器カバーに、上記入口ダンパーと上記接続ダンパーとを駆動する駆動部があり、上記出口側空間の上記冷却器カバーに送風ファンが配置され、除霜開始時に、上記駆動部により上記入口ダンパーを閉じるとともに上記接続ダンパーを開き、上記送風ファンを停止し、上記除霜ヒータの通電によって、空気を加熱し、上昇させ、上記冷却器を通り、上記出口側空間へ進み、上記出口側空間で、上記空気は冷やされ、上記接続空間を通って降下し、再度、上記除霜ヒータの通電によって、上記空気を加熱し、上昇させることで上記空気を循環させる冷蔵庫を用いる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の冷蔵庫によれば、冷蔵庫の冷却器の除霜におけるエネルギー効率を高め、省エネルギー化をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の斜視図
【
図2】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図
【
図3】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図
【
図4】本発明の実施の形態2における冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図
【
図5】本発明の実施の形態3における冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図
【
図6】特許文献1に記載された従来の冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図
【
図7】特許文献2に記載された従来の冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成及び差異がない部分については、詳細な説明を省略する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の斜視図である。
図2は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の縦断面図である。
図3は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図である。
【0023】
<冷蔵庫本体>
図1から
図3に示すように、冷蔵庫本体101は、前方に開口する金属製(例えば鉄板)の外箱107と、硬質樹脂製(例えばABS)の内箱108と、外箱107と内箱108の間に発泡充填された硬質ウレタンフォームと、からなる断熱本体である。
【0024】
この冷蔵庫本体101の上部に設けられた冷蔵室102と、冷蔵室102の下に設けられた上段冷凍室103と、冷蔵室102の下で上段冷凍室103に並列に設けられた製氷室104と、本体下部に設けられた野菜室106と、並列に設置された上段冷凍室103及び製氷室104と野菜室106の間に設けられた下段冷凍室105と、で構成されている。
【0025】
上段冷凍室103と製氷室104と下段冷凍室105と野菜室106との前面部は、引き出し式の図示しない扉により開閉自由に閉塞される。冷蔵室102の前面は、例えば観音開き式の図示しない扉により開閉自由に閉塞される。
【0026】
冷蔵庫本体101の天面部は、冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けて機械室210があり、第一の天面部202と第二の天面部203で構成されている。この階段状の凹部に配置された圧縮機208と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ209と、冷却器201とを順次環状に接続してなる冷凍サイクルに冷媒を封入し、冷却運転を行う。
【0027】
冷媒には近年、環境保護のために可燃性冷媒を用いることが多い。なお、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクルの場合は、それらの機能部品を機械室210内に配設することも出来る。
【0028】
また、冷蔵室102と、製氷室104および上段冷凍室103とは、第一の断熱仕切り部204で区画されている。
【0029】
また、製氷室104と上段冷凍室103とは、第二の断熱仕切り部109で区画されている。
【0030】
また、製氷室104および上段冷凍室103と、下段冷凍室105とは第三の断熱仕切り部205で区画されている。
【0031】
また、下段冷凍室105と野菜室106とは第四の断熱仕切り部206で区画されている。
【0032】
<冷却器周囲>
次に、実施の形態1での冷却器周囲の構成について
図3を用いて説明する。冷蔵庫本体101の背面には冷却室211が設けられ、冷却室211内には、冷気を生成する冷却器201が配設されている。冷却室211の前面庫内側には、冷却器201を覆う冷却器カバー302が配置されている。冷却器カバー302は下部に、冷凍室を冷却した冷気が冷却器201へ戻るための冷気が戻る冷気入口301を備える。
【0033】
冷却器カバー302には、接続空間305が配置されている。接続空間305は、上部空間308と下部空間309とを繋ぐ通路であり、冷却器201が存在する空間とは異なって連通させる。つまり、接続空間305と冷却器201と並行して並んでいる。
【0034】
上部空間308と下部空間309とは、冷却室211において、冷却器201の上部の空間と下部の空間とである。
【0035】
また、冷気入口301と接続空間305とには、それぞれ入口ダンパー307aと接続ダンパー307bとが配置され、ダンパー駆動部307により冷気入口301と接続空間305を開閉可能である。
【0036】
また、冷却器カバー302の接続空間305側の面に、冷却器カバー302の材質よりも断熱性能の高いシート状の断熱材306を貼り付けている。この断熱材306として、本実施の形態1では、シリカエアロゲルを繊維シートの空隙に埋め込んだ断熱シートを使用できる。ただし、これ以外のシート状の断熱材を使用してもよい。
【0037】
また、冷却器201の近傍(例えば上部空間308)には強制対流方式により冷蔵室102、製氷室104、上段冷凍室103、下段冷凍室105、野菜室106の各貯蔵室に冷却器201で生成した冷気を送風する冷気送風ファン207が配置されている。
【0038】
冷却器201の下部空間309には冷却時に冷却器201や冷気送風ファン207に付着する霜を除霜する除霜ヒータとしてガラス管製の除霜ヒータ212が設けられている。
【0039】
除霜ヒータ212の上方には、除霜ヒータ212を覆うヒータカバー303が配置され、除霜時に冷却器201から滴下した水滴が除霜によって高温になったガラス管表面に直接落ちることによる蒸発音が発生しないようにガラス管径および幅と同等以上の寸法としている。
【0040】
除霜ヒータ212の下方には、冷却器201に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面である第四の断熱仕切り部206の上面と一体となったドレンパン304が配置されている。ここで、本実施の形態1では、入口ダンパー307aと接続ダンパー307bとが同一のダンパー駆動部307により駆動されているが、個別の機構を設けて駆動させてもよい。
【0041】
<冷蔵庫の除霜時のプロセス>
冷蔵庫の除霜時のプロセスについて説明する。冷蔵庫を冷却運転すると、時間経過と共に、ドア開閉時に侵入した空気中の水分や、庫内に投入された食品に付着している水分、さらに野菜室106に保存されている野菜からの水分等で冷却器201には、霜が付着する。
【0042】
この霜が成長を遂げると冷却器201と循環する冷気との間で熱交換効率が低下し庫内を十分に冷却できず、最終的に鈍冷や不冷状態となる。よって、冷蔵庫では、冷却器201に付着した霜を定期的に除霜する必要がある。
【0043】
本実施の形態の冷蔵庫でも、冷蔵庫を運転し、一定時間経過後に自動的に除霜を行う。
【0044】
除霜開始前の通常の冷蔵庫の運転時は、入口ダンパー307aが冷気入口301を開き、接続ダンパー307bが接続空間305を閉じた状態となるようにダンパー駆動部307により位置決めされている。下段冷凍室105から冷気入口301を通って戻った冷気は、冷却器201により冷やされる。その後、冷気送風ファン207により、各部屋へ送風され各部屋の温度を調節している。
【0045】
そして、除霜開始時に、入口ダンパー307aが冷気入口301を閉じ、接続ダンパー307bが接続空間305を開いた状態となるようにダンパー駆動部307により位置決めされる。さらに、圧縮機208、冷気送風ファン207の運転を停止し、除霜ヒータである除霜ヒータ212を通電する。
【0046】
除霜ヒータ212の通電によって、除霜ヒータ212表面が高温となり、周辺空気を加熱する。また、除霜ヒータ212の放射により、周辺部材を加熱する。
【0047】
一般的に冷却器201はアルミ製であり、放射率が非常に高い為、放射での直接的な加熱は期待できない。その為、加熱された空気による熱伝達が主となる。加熱された空気は上昇気流となり、冷却器201内を通って上昇した後、接続空間305を通って下降し再度、除霜ヒータ212により加熱され上昇気流となる。この時に、接続空間305の幅を狭くする等の手段により、冷却器201の空気抵抗は、接続空間305の空気抵抗よりも小さくなる状態とする。このことで、除霜ヒータ212により加熱された空気が上昇気流となった後に、冷却器201へ直接導入される。この際に、冷却器カバー302の接続空間305側の面に配置されたシート状の断熱材306により、除霜ヒータ212により加熱され対流している空気による下段冷凍室105への熱伝導を抑制することが可能となる。
【0048】
そして、冷却器201は、除霜センサー(図示せず)が取り付けられており、所定の温度になると除霜ヒータ212の通電を停止することで終了する。上記の、除霜プロセスにより、冷却器201やドレンパン304や冷気送風ファン207に付着した霜を溶かすことで、冷却器201をリフレッシュしている。
【0049】
上記の構成およびプロセスにより、除霜時に除霜ヒータ212により加熱された空気が下段冷凍室105へ流出することを防止しながら霜を溶かすことが可能となり、除霜時のエネルギー効率が向上し省エネルギーとなる。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について
図4を用いて説明する。実施の形態1との差異を説明する。説明しない事項は実施の形態1と同様である。
【0051】
図4は本実施の形態2における冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図を示した。実施の形態1の構成に対し、以下2点が異なる。冷却器201の下段冷凍室105側の外面に、冷却器201側からグラファイトシートとシリカエアロゲルを繊維シートの空隙に埋め込んだ断熱シートとを積層した積層体401を設けている点と、冷却器201の冷却室211背面側(冷蔵庫の背面側)の外面に、冷却器201側からグラファイトシートとシリカエアロゲルを繊維シートの空隙に埋め込んだ断熱シートとを積層した積層シート402を設けている点と、が異なる。
【0052】
これにより、除霜ヒータ212による加熱の影響が他の部位へ影響を及ぼすのを防止することで、除霜時のエネルギー効率が向上し省エネルギーとなる。
【0053】
ここで、本実施の形態2において積層体401と積層シート402はグラファイトシートとシリカエアロゲルを繊維シートの空隙に埋め込んだ断熱シートとの積層体を使用している。しかし、グラファイトシート、シリカエアロゲルを繊維シートの空隙に埋め込んだ断熱シートに限定したものではなく、それぞれ、高熱伝導材料、高断熱材料であればよい。
【0054】
また、本実施の形態2では積層体401、積層シート402を配置しているが、積層体401のみ配置する、もしくは積層シート402のみを配置する他、伝熱材料のみ、断熱材料のみを使用することも、冷却器201の構成や除霜ヒータ212の位置や発熱量条件により選択可能である。
【0055】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について、
図5を用いて説明する。実施の形態2との差異を説明する。説明しない事項は実施の形態2と同様である。
【0056】
図5は本実施の形態3における冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図を示した。実施の形態1の構成に対し、接続空間305の通路が狭くなっている。この場合、冷却器カバー302の冷却器201側の面が、冷却器201側に向かって鉛直方向に凹形状として配置している。冷却器201の下段冷凍室105側の面が凸状となってもよい。
【0057】
これにより、除霜ヒータ212による放射熱による電磁波を、冷却器201や周辺部材により反射された後も、外部へ逃げにくくすることができる。結果、除霜時のエネルギー効率が向上し省エネルギーとなる。
【0058】
ここで、本実施の形態3において冷却器カバー302の冷却器201側の面が冷却器201側に向かって鉛直方向に凹形状として配置している。しかし、鉛直方向に限らず水平方向に凹形状でもよく、鉛直や水平方向に限らず球形状等の三次元形状にて凹形状を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫のエネルギー効率を高めた冷却器の除霜機能を有し、その他冷凍サイクルを活用する空調システム等の除霜時のエネルギー効率向上の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0060】
101 冷蔵庫本体
102 冷蔵室
103 上段冷凍室
104 製氷室
105 下段冷凍室
106 野菜室
107 外箱
108 内箱
109 第二の断熱仕切り部
201 冷却器
202 第一の天面部
203 第二の天面部
204 第一の断熱仕切り部
205 第三の断熱仕切り部
206 第四の断熱仕切り部
207 冷気送風ファン
208 圧縮機
209 キャピラリーチューブ
210 機械室
211 冷却室
212 除霜ヒータ
301 冷気入口
302 冷却器カバー
303 ヒータカバー
304 ドレンパン
305 接続空間
306 断熱材
307 ダンパー駆動部
307a 入口ダンパー
307b 接続ダンパー
308 上部空間
309 下部空間
401 積層体
402 積層シート
601 冷却器
602 冷凍室
603 冷却室
604 冷却器カバー
605 冷気入口
606 暖気流入空間
607 除霜ヒータ
701 冷却器
702 除霜ヒータ
703 伝熱板
703A 吸熱部
703B 放熱部
704 放射熱吸収手段