(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】メッシュネットワークにおけるネットワークノードおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20090101AFI20220120BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20220120BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20220120BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W84/18
H04W56/00 110
(21)【出願番号】P 2020516815
(86)(22)【出願日】2018-04-12
(86)【国際出願番号】 SE2018050373
(87)【国際公開番号】W WO2019093937
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-05-20
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】アルヴィドソン, ポントス
(72)【発明者】
【氏名】スキラーマーク, パー
(72)【発明者】
【氏名】ディ マルコ, ピエールジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】チリコフ, ロマン
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0108008(US,A1)
【文献】国際公開第2017/140950(WO,A1)
【文献】特開2017-118325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ネットワークノード(111)によって実行される、メッシュネットワーク(100)内で衝突する送信の数を減らす方法であって、前記第1ネットワークノード(111)と第2ネットワークノード(112)とが前記メッシュネットワーク(100)内で動作し、前記第1ネットワークノード(111)と前記第2ネットワークノード(122)とが前記メッシュネットワーク(100)内での送信のために周期的なアドバタイズを使用するように構成されており、前記第1ネットワークノード(111)が前記第2
ネットワークノード(112)と同期しており、前記方法が、
前記第2ネットワークノード(122)に第1サイズのデータを送信するのに要する時間と、追加所定時間とを含む第1期間を計算すること(402a)と、
前記第1サイズのデータ送信の開始から、前記第2ネットワークノード(122)についてのデータの受信または送信が発生することが予定されているまでの時間である第2期間を計算すること(402b)と、
前記第2期間が前記第1期間より長いか等しい場合には前記第1サイズのデータの送信を実行(404)することと、
前記第2期間が前記第1期間より短い場合には、前記第1期間が前記第2期間よりも短くなるように、第2サイズのデータの送信を実行(404)することと、を有する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2期間が前記第1期間よりも短く、かつ第1閾値よりも短い場合、データの送信を実行することを控える工程を有する、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記第1期間を計算すること(402a)と、前記第2期間を計算すること(402b)とが、前記第2期間が前記第1期間よりも短いことを閾値を超える回数繰り返す結果となった場合、該結果に基づいて、前記第1ネットワークノード(111)について、前記メッシュネットワーク(100)における送信のための前記周期的なアドバタイズの周期を、前記メッシュネットワーク(100)における送信のための前記周期的なアドバタイズの第2周期で再構成すること(405)をさらに含む、方法。
【請求項4】
命令を有するコンピュータプログラムであって、前記命令はプロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、請求項1から3のいずれか1項に記載の
方法の動作を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータプログラムを
格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒
体。
【請求項6】
メッシュネットワーク(100)内で衝突する送信の数を減らすための、第1ネットワークノード(111)であって、前記第1ネットワークノード(111)および第2ネットワークノード(112)は前記メッシュネットワーク(100)内で動作可能であり、前記第1ネットワークノード(111)および前記第2ネットワークノード(122)は前記メッシュネットワーク(100)内での送信のために周期的なアドバタイズを使用するように構成されており、前記第1ネットワークノード(111)が前記第2
ネットワークノード(112)と同期しており、前記第1ネットワークノード(111)が、
前記第2ネットワークノード(122)に第1サイズのデータを送信するのに要する時間と、追加所定時間とを含む第1期間を計算し、前記第1サイズのデータ送信の開始から、前記第2ネットワークノード(122)についてのデータの受信または送信が発生することが予定されているまでの時間である第2期間を計算し、
前記第2期間が前記第1期間より長いか等しい場合には前記第1サイズのデータの送信を実行(404)し、
前記第2期間が前記第1期間より短い場合には、前記第1期間が前記第2期間よりも短くなるように、第2サイズのデータの送信を実行する、
ように構成される、第1ネットワークノード(111)。
【請求項7】
請求項6に記載の第1ネットワークノード(111)であって、前記第1ネットワークノード(111)が、
前記第2期間が前記第1期間よりも短く、かつ第1閾値よりも短い場合、データの送信を実行することを控えるように構成される、第1ネットワークノード(111)。
【請求項8】
請求項6または7に記載の第1ネットワークノード(111)であって、前記第1ネットワークノード(111)がさらに、
前記第1期間の計算および前記第2期間の計算が、前記第2期間が前記第1期間よりも短いことを閾値を超える回数繰り返す結果となった場合、該結果に基づいて、前記第1ネットワークノード(111)について、前記メッシュネットワーク(100)における送信のための前記周期的なアドバタイズの周期を、前記メッシュネットワーク(100)における送信のための前記周期的なアドバタイズの第2周期で再構成するように構成される、第1ネットワークノード(111)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
メッシュネットワークは、インフラストラクチャノードが可能な限り多くの他のノードに直接、動的かつ非階層的に接続し、互いに協力してクライアントからおよび/またはクライアントへのデータを効率的にルーティングするローカルネットワークトポロジーである。メッシュネットワークは動的に自己組織化し、自己設定を行うため、インストールのオーバーヘッドを削減することができる。自己設定が可能なため、特に少数のノードが故障した場合に、作業負荷を動的に分散させることができる。これは、フォールトトレランスとメンテナンスコストの削減に貢献する。
【0002】
Bluetooth Mesh Profile規格のバージョン1.0は2017年7月にリリースされた。Bluetooth Low Energy(BLE)コア規格のv4.0以降で動作するBluetooth Meshのこの最初のリリースにおいて、メッシュメッセージはアドバタイズベアラと呼ばれるベアラを介して交換される。アドバタイズベアラは、コア規格のv4.0で規定されているBLEアドバタイズ上でのコネクションレスデータ転送を利用しており、データは、1Mbpsの無線データレートを用いる3つのBLEアドバタイズチャンネル上で、競合ベースの方法でブロードキャストされる。競合ベースのアクセスは、ブロードキャスト媒体を共有するために使用されるアクセス方法である。競合では、ネットワーク内のどのノードも先着順でいつでもデータを送信することができる。
【0003】
Bluetooth Mesh規格のその後のバージョンでは、追加のベアラをサポートする可能性がある。Bluetooth Mesh Profileの将来のバージョンでは、Bluetooth 5 コア仕様の機能を利用した新しいコネクションレスベアラをサポートすることが期待されている。その場合、メッシュ中継ノード間の通信やメッシュ中継ノードからエンドノードへの通信は周期的アドバタイズ(PA)をベースにし、エンドノードからメッシュに注入されるデータはLE 拡張アドバタイズまたは既存のアドバタイズベアラをベースにすることができる。周期的アドバタイズを使用する場合、データは一定の間隔で送信される。
【0004】
PA上でMeshを実行する場合、各中継ノードは周波数ホッピングチャンネル上で一定の間隔でデータをブロードキャストする。PAのデータ送信はBLEデータチャンネル上で行われる。各中継ノードが転送したデータを受信するために、他の中継ノードやエンドノードは、1つまたは複数の中継ノードからのPA送信に同期する。中継ノードは、範囲内のすべての中継ノードに同期し、エンドノードは、範囲内の単一または数個の中継ノードに同期することが予想される。PA送信は、複数のメッシュネットワークプロトコルデータユニット(PDU)を集約する可能性があり、転送する新しいネットワークPDUを持たない中継ノードは、単に空のPAメッセージを送信するか、前の送信を繰り返す。他の中継ノードからのPA送信をリスンしないとき、または自身のPA送信を実行するとき、中継ノードは、エンドノードによってメッシュネットワークに注入されたファーストホップメッセージについてアドバタイズチャネルをスキャンすることが期待される。
【0005】
メッセージが送信元から送信先に正常に配信される確率を高めるためによく知られており、一般的に使用されている技術は、メッセージの繰り返しである。このようなメッセージの繰り返しは、中継ノード間でも、エンドノードと中継ノードの間でも使用でき、エンドツーエンドでもホップバイホップでも実行できる。
【0006】
図1は、16個の中継ノードを有するメッシュネットワークのデプロイメント例を示している。エンドノードは1台のみを図示している。この例は、中継ノードが垂直および垂直方向に1単位離間されたユニタリーグリッドに配置され、距離が√3単位長未満であれば、2つのノードが通信範囲内にあり、直接接続性を有することを前提として生成されている。
【0007】
したがって、
図1は、0から15まで列挙された16個の中継ノード(RL)からなるメッシュネットワークデプロイメントの模式的な例を提供する。中継ノードは、メッシュネットワーク内で、例えばデータ送信などのメッセージを転送する。
図1はさらに、中空の円で表された1つのエンドノードを示す。そのようなエンドノードは、データを生成してもよく、したがってメッシュネットワーク内にメッセージを注入してもよく、すなわちソースノードとして機能する。エンドノードは、いつでもメッシュ内にメッセージを生成し、注入してもよい。さらに、エンドノードは、エンドノードが同期している中継ノードのいずれかを介して受信されるメッセージの宛先であってもよい。
【0008】
図1の中継ノードは、PAベアラ上でデータを送信し、各中継ノードは、範囲内の他のすべての中継ノードに同期することが期待される。
図1では、中継ノードの接続性は実線で描かれている。接続性は双方向であること、すなわち、RLiがRLjのPA送信に同期し、RLjがRLiのPA送信に同期していること(i≠j)ものとする。したがって、RL5のようなデプロイメントの中央部分の中継ノードは、他の8つの中継ノード(0、1、2、4、6、8、9、10)と同期し、同じ8つの中継ノードもまたRL5に同期する。
【0009】
図2は、PA送信の周期がすべての中継ノードに対して同じであり、Tに等しいという単純化された仮定の下で、RL5から見たPA送信および受信を上段に、RL6から見たPA送信および受信を下段に、それぞれ図示している。PA送信は周波数ホッピングであり、典型的には、
図2における異なるPA送信は、異なる周波数チャネル上で送信および/または受信される。他の中継ノードからのPA送信を受信するために使用されない時間や、自身のPA送信を送信するために使用されない時間は、RL5およびRL6が新しいメッセージについてアドバタイズチャネルをスキャンするために使用される。
図2から分かるように、RL5およびRL6は、(例えば中継ノード9および10からの)同じPA送信を同時にリスンし、しばしば同時にビジーとなる。同様に、RL5が送信でビジーのとき、RL6はRL5からのPA送信の受信でビジーであり、またその逆も同様である。したがって、RL5もRL6もアドバタイズチャネルをリスンしていない期間があり、そのような期間にエンドノードによって注入された新しいメッセージは、これらの2つの中継ノードのいずれによっても受け取られないであろう。
【0010】
図1に示されたエンドノードは、10個の中継ノードの範囲内にあるが、エンドノードは、1個の中継ノードのうちの1個だけ、またはごく少数だけに同期してもよい。同様に、エンドノードがメッシュネットワークに新しいメッセージを注入したとき、エンドノードの範囲内にある10個のリレーノードすべてが受け取ることもありうる。
【発明の概要】
【0011】
本明細書の実施形態の1つの目的は、メッシュネットワークの性能を向上させることである。
【0012】
本明細書の実施形態の第1態様によれば、この目的は、メッシュネットワーク内で衝突する送信の数を減らすために第1ネットワークノードによって実行される方法によって達成される。第1ネットワークノードおよび第2ネットワークノードは、メッシュネットワーク内で動作する。第1ネットワークノードおよび第2ネットワークノードは、メッシュネットワーク内の送信のために周期的なアドバタイズを使用するように構成される。第1ネットワークノードは、第1期間を計算する。第1期間は、第2ネットワークノードに送信される第1サイズのデータの送信に関連する。第1ネットワークノードはさらに第2期間を計算する。第2期間は、第2ネットワークノードについて予定されているデータの受信と送信のいずれか1つが発生するまでの時間に関連する。算出された第1期間と第2期間に基づいて、第1ネットワークノードは、第1期間が第2期間よりも短くなるように送信の第1サイズを第2サイズに削減すべきか否かを決定する。次に、第1ネットワークは、決定の結果に従って送信を実行する。
【0013】
本明細書の実施形態の第2態様によれば、目的は、メッシュネットワーク内で衝突する送信の数を減らすための第1ネットワークノードによって達成される。第1ネットワークノードおよび第2ネットワークノードは、メッシュネットワーク内で動作可能である。第1ネットワークノードおよび第2ネットワークノードは、メッシュネットワーク内の送信のために周期的なアドバタイズを使用するように構成される。第1ネットワークノードは、
- 第2ネットワークノードに送信される第1サイズのデータの送信に関連する第1期間を計算し、また、第2ネットワークノードについて予定されているデータの受信と送信のいずれか1つが発生するまでの時間に関連する第2期間を計算し、
- 算出された第1期間と第2期間とに基づいて、第1期間が第2期間よりも短くなるように、送信の第1サイズを第2サイズに削減すべきか否かを決定し、
- 決定の結果に応じて送信を実行する、ように構成される。
【0014】
本明細書の実施形態では、データの送信期間が短くなることによって、第2ネットワークノード112との次の予定された送信/受信の前にすべてのデータを送信するのに十分な時間となるように、データ送信のサイズを削減すべきか否かを決定することによって、衝突を回避する。より少ない衝突は、メッシュネットワークの性能の向上をもたらす。
【0015】
本明細書の実施形態の利点は、衝突する送信の量を削減させる手段を提供することであり、これにより、受信の失敗が少なくなり、これにより、ネットワークのより高い容量が得られる。
【0016】
本明細書の実施形態は、添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、メッシュネットワークを例示する概略図である。
【
図2】
図2は、先行技術を示す概略ブロック図である。
【
図3】
図3は、メッシュネットワークの実施形態を示す概略ブロック図である。
【
図4】
図4は、第1ネットワークノードにおける方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本明細書の実施形態を説明する概略ブロック図である。
【
図6】
図6は、本明細書の実施形態を例示する概略ブロック図である。
【
図7】
図7は、本明細書の実施形態を例示する概略ブロック図である。
【
図8】
図8は、本明細書の実施形態を例示する概略ブロック図である。
【
図9】
図9は、本明細書の実施形態を説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は、中間ネットワークを介してホストコンピュータに接続された通信ネットワークを模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、部分的に無線接続を介してユーザ装置と基地局を介して通信するホストコンピュータの一般化されたブロック図である。
【
図12】
図12から
図15は、ホストコンピュータ、基地局、およびユーザ装置を含む通信システムに実装される方法を説明するフローチャートである。
【
図13】
図12から
図15は、ホストコンピュータ、基地局、およびユーザ装置を含む通信システムに実装される方法を説明するフローチャートである。
【
図14】
図12から
図15は、ホストコンピュータ、基地局、およびユーザ装置を含む通信システムに実装される方法を説明するフローチャートである。
【
図15】
図12から
図15は、ホストコンピュータ、基地局、およびユーザ装置を含む通信システムに実装される方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本明細書の実施形態の説明の一部として、まず問題点を特定して議論する。
【0019】
BLEメッシュネットワークでは、Bluetoooth5で導入された周期的アドバタイズ機能を使用して、中継ノードは同一ネットワークに属する他の近隣中継ノードのすべてと同期するのが一般的である。一般的に、個々の中継ノードは自身の設定を互いに独立して選択するので、2つの中継ノードの送信が、時間的に、または時間的にも周波数的にも重なることがあるだろう。これらの衝突は、時間的に衝突する送信が同じチャネル内で発生した場合にはデコードの失敗につながる可能性があり、また、受信側は一度に1つのチャネルしかリスンしない場合があるので、メッセージの欠落につながる可能性がある。これらの衝突のためにパケットを失うことは、パケット配送率がそのようなネットワークのパフォーマンスの重要な指標であるように、BLEメッシュシステム全体の性能に明らかに否定的な影響を与える。
【0020】
本明細書の実施形態は、周期的なアドバタイズを使用して、例えばBLEメッシュネットワークのようなメッシュネットワーク内の、中継ノードのようなネットワークノードが、同じネットワーク内の中継ノードのような他のネットワークノードの送信と衝突しないように、その送信の長さを適応させる方法を含む。
【0021】
本明細書の実施形態では、周期的なアドバタイズを使用したBLEメッシュネットワークにおいて、衝突する送信の数が減少する。これは、主にパケット損失率の減少によって示される、全体的なネットワーク性能の向上につながるであろう。
【0022】
本明細書における実施形態の1つの目的は、例えばBLEメッシュネットワークのようなメッシュネットワークの性能を向上させることである。
【0023】
本明細書の実施形態は、概してメッシュネットワークに関する。
図3は、本明細書の実施形態が実施され得るメッシュネットワーク100の簡略化された模式例を示す模式的な概要を示す。メッシュネットワーク100は、例えば、BLEメッシュネットワークであってもよいし、他のメッシュネットワークであってもよい。
【0024】
図3は、メッシュネットワーク100内で動作する多数のネットワークノードのうち4つのみと、ソースノードとして動作するエンドノード110と、第1ネットワークノード111と、第2ネットワークノード112と、エンドノード113とを示している。第1ネットワークノード111および第2ネットワークノード112は、メッシュネットワーク100内のデータ送信などのメッセージを転送する中継ノードであってもよい。エンドネットワークノード110はデータを生成してもよく、したがってメッシュネットワーク100内にメッセージを注入してもよく、すなわち、ソースノードとして機能してもよい。エンドノード110は、いつでもメッセージを生成し、メッシュネットワーク100に注入してもよい。さらに、エンドノード113のようなエンドノードは、エンドノード113のようなエンドノードが同期している、ネットワークノード111、112のような中継ノードのいずれかを介して受信されるメッセージの宛先であってもよい。
【0025】
エンドノード110、113、第1ネットワークノード111、および第2ネットワークノード112は、地理的領域上の範囲または無線範囲とも呼ばれる無線カバレッジを提供する。また、エンドノード110、113、第1ネットワークノード111、および第2ネットワークノード112は、範囲内の他のネットワークノードと通信してもよい。
【0026】
図3のネットワークノード111、112のような中継ノードは、PAベアラ上でデータを送信し、各中継ノードは、範囲内の他の全ての中継ノードに同期することが想定される。接続性は双方向であると想定してもよい。以下の例では中継ノードAとも呼ばれる第1ネットワークノード111は、それゆえ、第2ネットワークノード112のような範囲内の他の中継ノードに同期している。
図3に示されたエンドノード110は、少なくとも第1ネットワークノード111のような中継ノードの範囲内にあるが、エンドノード110は、中継ノードのうちの1つだけに同期してもよいし、あるいはごく少数だけに同期してもよい。同様に、エンドノード110がメッシュネットワーク100内に新しいメッセージを注入するとき、それは、エンドノードの無線範囲などの範囲内にあるすべての中継ノードによって受け取られうる。
【0027】
第1ネットワークノード111および第2ネットワークノード112からのPA送信および受信は、それぞれ、以下の例では、PA送信の周期がすべての中継ノードに対して同じであるという単純化された仮定の下で実行されている。この仮定は説明図のみに関するものであり、PAを使用するメッシュネットワーク全般に実施形態を適用する方法には関連しないことに注意されたい。PA送信は、周波数ホッピングであってもよく、典型的には、異なるPA送信は、異なる周波数チャネル上で送信および/または受信されてもよい。
【0028】
第1ネットワークノード111、第2ネットワークノード112、および任意の中継ノードなどのネットワークノードは、一般的に、中継ノードなどの他の近隣ネットワークノードすべての送信に同期している。このことは、第1ネットワークノード111が送信を実行する前に衝突が発生するかどうかを計算するために使用される。これにより、第1ネットワークノード111は、可能な場合には、衝突を回避するために、自身の送信動作を適応させることができる。
【0029】
本明細書のいくつかの実施形態の動作
例えば中継ノードである第1ネットワークノード111によって実行される、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)メッシュネットワークなどのメッシュネットワーク100における衝突送信の数を減少させるための方法の実施形態を示すフローチャートの例示的な実施形態を、
図4に示す。第1ネットワークノード111および第2ネットワークノード
112は、BLEメッシュネットワーク100における送信のために周期的なアドバタイズを使用するように構成されていてもよい。第1ネットワークノード111は、好ましくは、第2ネットワークノード112と同期していてもよい。
【0030】
方法は、以下の動作のうちの1つまたは複数の動作から構成されてもよく、動作は、任意の適切な順序で実行することができる。
【0031】
動作401
例示的なシナリオでは、エンドノード110はソースノードとして動作しており、メッシュネットワーク100内にデータの送信(データ送信とも呼ばれる)などの新しいメッセージを注入する。データの送信は、エンドノード110の無線範囲内にあるすべての中継ノードによって受け取られる。この例示的なシナリオでは、エンドノード110の無線範囲内、したがって第1ネットワークノード111は、さらに第2ネットワークノード112を介してエンドノード113に送信されるデータの送信を取得してもよい。
【0032】
動作402a
したがって、第1ネットワークノード111は、第2ネットワークノードに送信する特定の第1サイズのデータを有する。衝突を避けるようにデータ送信のサイズを適応できるようにするため、第1ネットワークノード111は、特定の第1サイズのデータ送信の第1期間、すなわち、第1サイズのデータを送信するために必要な時間を、第2期間、すなわち、第1サイズのデータ送信を開始してから第2ネットワークノード112について予定されているデータの受信または送信までの期間と比較する必要がある。したがって、第1ネットワークノード111は、第1期間を算出する。第1期間は、第2ネットワークノード112に送信される第1サイズのデータの送信に関する。これは、第1期間が、第1ネットワークノード111から第2ネットワークノード112に送信される第1サイズのデータの送信に要する時間に対応することを意味してもよい。
【0033】
動作402b
第1ネットワークノードは、さらに第2期間を計算する。第2期間は、第2ネットワークノード112について予定される、データの受信および送信のうちのいずれか1つまでの時間に関する。これは、第2期間が、第1ネットワークノード111における第1サイズのデータの送信の開始から、第2ネットワークノード112から、または第2ネットワークノード112への、予定されているデータの受信または送信までに要する時間に対応することを意味してもよい。
【0034】
第2ネットワークノード112からのその予定されたデータ受信がいつ発生するかは、それが第2ノードの周期的な送信に同期しているため、第1ネットワークノード111が知るところである。
【0035】
動作403
第2ネットワークノード112について次に予定されている受信または送信と衝突しないように、データを第2ネットワークノード112に送信するのに十分な時間があるかどうかが問題となる。言い換えれば、第2ネットワークノード112について次に予定されている受信または送信が発生する前に、第2ネットワークノード112にデータを送信するのに十分な時間があるかどうかである。十分な時間がない場合には、データ送信のサイズを小さくすることが決定されるであろう。したがって、第1ネットワークノード111は、算出された第1期間と第2期間とに基づいて、第1期間が第2期間よりも短くなるように、第1送信サイズを第2サイズに削減すべきか否かを決定する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「送信を削減する」という表現は、いくつかの実施形態では、単一の送信に集約される上位層パケットの量を削減させることに関連していてもよい。
【0037】
動作404
第1ネットワークノード111は、動作403における決定の結果に従って送信を実行する。動作404のa、b、およびcにおけるいくつかの異なる例示的なシナリオに従って決定する方法は、以下で説明される。
【0038】
動作404a
第1例示的なシナリオによれば、決定403の結果に従って送信を実行することは、以下のように構成され得る。第2期間が第1期間よりも短い場合、第1期間が第2期間よりも短くなるように、送信の第1サイズを第2サイズに削減し、第2サイズで送信を実行する。
【0039】
同様の例によれば、決定403の結果に応じた送信の実行は、以下のように構成されてもよい。第2期間と追加所定時間との合計が第1期間よりも短い場合、第1期間が第2期間よりも短くなるように、送信の第1サイズを第2サイズに削減し、第2サイズで送信を実行する。第3のノードが両方の送信を受信する可能性があることを確実にするために、また第2ネットワークノード112が第1ネットワークノード111の送信を受信することができる(および第1ネットワークノード111が第2ネットワークノード112の送信を受信することができる)ことを確実にするために、いくつかの実施形態では、例えばチャネル切り替え時間、または送信と受信との切り替え時間を考慮するための時間オーバヘッド(追加所定時間とも呼ばれる)を含めることを選択することが第1ネットワークノード111に有利である。
【0040】
第1期間よりも短い第2期間は、第1サイズの送信が送信された場合、第2ネットワークノード112について予定されているデータの受信および送信のうちのいずれかと時間的に衝突することを示すものであってもよい。
【0041】
動作404b
第2例示的なシナリオによれば、決定403の結果に従った送信の実行は、以下のように構成されてもよい。第2期間が第1期間よりも短く、かつ第1閾値よりも短い場合、送信の実行を控えることを決定する。上述したように、第2期間が第1期間よりも短い場合、第1サイズのデータの送信が、第1サイズの送信が送信される場合、第2ネットワークノード112に予定されているデータの受信および送信のうちのいずれか1つと時間的に衝突することを示すものであってもよい。
【0042】
動作404c
第3の例示的なシナリオによれば、決定403の結果に従った送信の実行は、以下のように構成されてもよい。第2期間が第1期間よりも長いか、または第1期間と等しい場合に、第1サイズを有する送信を実行する(404c)。
【0043】
動作405
第1ネットワークノード111が他のノードとの反復的な衝突を検出する例示的なシナリオ、すなわち、期間のサイズが同じか、非常に近いか、またはそれ自身の期間の倍数である場合、第1ネットワークノード111は、既に同期している他のノードとの反復的な衝突を引き起こさない新しい期間で、自身のPAを再構成してもよい。
【0044】
したがって、いくつかの実施形態では、第1期間402aを計算し、第2期間402bを計算した結果、第2期間が第1期間よりも短いという結果が閾値回数を超えて繰り返された場合、第1ネットワークノード111は、第1ネットワークノード111について、上述の結果に基づいて、BLEメッシュネットワーク100内の送信のためのアドバタイズの周期を、BLEメッシュネットワーク100内の送信のためのアドバタイズの第2周期によって再構成してもよい。
【0045】
送信は、自身の送信の開始後に開始されることが予定されている他の送信について衝突しないようにのみ適応されてもよい。したがって、送信長の適応を実行するのは、送信を最初に開始するノードのみであってもよい。
【0046】
上述した方法の動作を、例えば送信のための無線リソースを計画するために実行するため、第1ネットワークノード111は、
図5に示す構成を有してもよい。第1ネットワークノード111は、例えば、演算回路510、設定回路520、および実行回路530を有してもよい。これらについては、以下でさらに説明する。
【0047】
上述した方法の動作を例えば送信のための無線リソースを計画するために実行するため、第1ネットワークノード111は、いくつかの実施形態では、例えば、演算モジュール、設定モジュール、および実行モジュールから構成されてもよい。
【0048】
当業者であれば、上述した第1ネットワークノード111内のモジュールおよび回路は、アナログ回路およびデジタル回路の組み合わせ、および/または例えば第1ネットワークノード111内に格納され、1つ以上のプロセッサによって実行されると、プロセッサに本明細書に記載された方法の動作を実行っせるソフトウェアおよび/またはファームウェアで構成された上述の1つ以上のプロセッサを意味しうることを理解するであろう。これらのプロセッサのうちの1つまたは複数、ならびに他のデジタルハードウェアは、単一の特定用途向け集積回路 (ASIC) に含まれてもよく、または、いくつかのプロセッサおよび種々のデジタルハードウェアは、個別にパッケージされたものであるか、またはシステムオンチップ (SoC) に組み立てられたものであるかにかかわらず、いくつかの別個のコンポーネントに分散されてもよい。
【0049】
第1ネットワークノード111は、第2ネットワークノード112と通信するように構成された入力および出力インタフェース500を有してもよい。入力および出力インターフェースは、無線受信機(図示せず)および無線送信機(図示せず)を有してもよい。
【0050】
本明細書の実施形態は、本明細書の実施形態の機能および動作を実行するためのそれぞれのコンピュータプログラムコードとともに、
図5に示された第1ネットワークノード111の処理回路のプロセッサ540のような、それぞれのプロセッサまたは1つ以上のプロセッサを通じて実施されてもよい。上述のプログラムコードはまた、コンピュータプログラム製品として、例えば、第1ネットワークノード111にロードされたときに本明細書の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムコードを運ぶデータキャリアの形態で提供されてもよい。そのようなキャリアの1つは、CD ROMディスクの形態であってもよい。しかしながら、メモリスティックのような他のデータキャリアを用いることも可能である。コンピュータプログラムコードは、さらに、サーバ上の純粋なプログラムコードとして提供され、第1ネットワークノード111にダウンロードされてもよい。
【0051】
ネットワークノード110,130は、さらに、1つ以上のメモリユニットを有するメモリ550を備えてもよい。メモリ550は、第1ネットワークノード111においてプロセッサ540によって実行可能な命令を構成する。
【0052】
メモリ550は、例えば第1期間、第2期間、計算、データ、設定、および第1ネットワークノード111で実行されたときに、本明細書の方法を実行するためのアプリケーションを記憶するために使用されるように構成されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、それぞれのコンピュータプログラム560は、それぞれの少なくとも1つのプロセッサ540によって実行されるときに、第1ネットワークノード111の少なくとも1つのプロセッサ540に上述した動作を実行させる命令を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、それぞれのキャリア570は、それぞれのコンピュータプログラムを有し、ここで、キャリアは、電子信号、光信号、電磁信号、磁気信号、電気信号、無線信号、マイクロ波信号、またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体のうちの1つである。
【0055】
上述のような本明細書の実施形態についてさらなる説明および例示を行う。以下の文章は、上述した任意の好適な実施形態に適用可能であり、またそれらと組み合わせてもよい。
【0056】
上述したように、第1ネットワークノード111、第2ネットワークノード112、および任意の中継ノードのようなネットワークノードは、一般に、中継リレーのような他のすべての近隣ネットワークノードの送信に同期している。つまり、第1ネットワークノード111は、第1ネットワークノード111から第2ネットワークノード112への次の送信、および/または第2ネットワークノード112から第1ネットワークノード11への受信がいつ予定されているかを知っている。このことは、第1ネットワークノード111によって、送信の実行前に衝突が発生するかどうかを計算するために用いられる。
【0057】
予定されている次の送信/受信の前に全てのデータを送信するのに十分な時間がない場合に衝突が発生し、データ送信は、第2ネットワークノード112への/からの次の予定された送信/受信と衝突することになる。これは、第1ネットワークノード111が、可能な場合には、衝突を避けるために、その動作を適応させること、すなわち、第2ネットワークノード112に送信されるデータのサイズを適応させることを可能にする。
【0058】
第1ネットワークノード111および任意の中継ノードのような別個のネットワークノードは、個々の設定を使用してもよく、衝突は時折しか発生しないかもしれない。したがって、いくつかの実施形態では、衝突をどのように処理するかの決定は送信ごとに処理されてもよい。すなわち、データを送信する期間がより短くなり、それによって第2ネットワークノード112との間の次の予定された送信/受信の前にすべてのデータを送信するのに十分な時間となるように、データ送信のサイズを削減すべきか否かを決定することによって、衝突を回避する方法である。
【0059】
以下の例では、第1ネットワークノード111が中継ノードAであり、第2ネットワークノード112が中継ノードBである2つの中継ノードが互いに同期している場合を考える。中継ノードAが送信すべきデータを有し、本明細書の実施形態に従ってそのデータ送信のサイズを適応させた場合、衝突は、もはや中継ノードBが中継ノードAからの送信を受信できないことにはつながらず、その中継ノードAが中継ノードBからの可能性のあるデータを欠落させることにはつながらない。
【0060】
第1ネットワークノード111のようなネットワークノードに、本明細書の実施形態に従ってその送信を適応させることによって、多くの衝突が回避されうる。送信すべきデータ(本明細書ではデータ送信とも呼ばれる)が単一のペイロードパケットではなく、メッシュデータパケットとも呼ばれる多数のメッシュパケットの集合体であるという事実を利用して、第1ネットワークノード111は、本明細書の実施形態に従って、
図6に図示されるように、集約的な送信に含まれるパケットの数を選択することによって、その送信の長さを適応させることができるかもしれない。「送信されるデータが単一のペイロードパケットではなく、多数のメッシュパケットの集合体であるという事実を利用する」という仮定は、メッシュのためのベアラとしてPAを使用する方法についてのBluetoooth SIG内での現在の議論に基づくものである。
【0061】
例えば、送信の第1サイズを、第1サイズよりも小さい第2サイズに削減する。
図6は、第2ネットワークノード112のような別の中継ノードとの衝突を避けるために、第1ネットワークノード111における適応された送信の例を示している。この例では、結果として生じる送信において、ペイロードパケットの数が2つ減少する。
【0062】
第1サイズのデータ送信は、全体で第1サイズを有する、黒の箱で表されるオーバーヘッドと、斜線が付された3つの箱で表されるペイロードとを有している。また、予定されたデータ送信/受信が破線の箱で表されている。これらの送信は、時間軸に沿って、「計画上の送信」の下に示される。
【0063】
図中の「計画上の送信」の下の双方向矢印で示されている期間に衝突のリスクがあるため、第1ネットワークノード111は、2つのペイロードボックスを有する第1サイズを、オーバーヘッドボックスと1つのペイロードボックスのみを有する第2サイズに削減させる。
【0064】
第2サイズのデータ送信は、黒の箱で表されるオーバーヘッドと斜線が付された1つの箱で表されるペイロードとを有し、予定されたデータ送信/受信が破線の箱で表されている。これらの送信は、時間軸に沿って、「適応された送信」の下に示される。
【0065】
第2サイズに削減されたデータが送信された場合、図中の「適応された送信」の下の双方向矢印で示されるように、予定された送信/受信までに時間が少し存在しており、衝突のリスクが回避されていることがわかる。
【0066】
2つの送信が時間的に衝突するかどうかを計算するとき、いくつかの実施形態では、第1ネットワークノード111は、例えば、第1期間に、追加の所定期間とも呼ばれる、いくらかの追加時間オーバーヘッドを含めることを選択してもよい。これは、第3のノードが両方の送信を受信する可能性があることを確実にするために、また、中継ノードBのような第2ネットワークノード112が中継ノードAのような第1ネットワークノード111からの送信を受信することができ、またその逆も可能であることを確実にするために、例えば、チャネル切替時間、または送信と受信を切り替えるための時間を考慮するためである。
【0067】
衝突が、非衝突送信にペイロードが1つも収まらないほど、予定された送信の大部分に及んでいる場合、第1ネットワークノード111は、ペイロードを全く含まない空のパケットを送信することも選択することができる。このようにして、空のパケットを含むデータ送信は、第2ネットワークノード112のような同期化されたネットワークノードが何も受信しないことによって同期外れを起こすことを防止するキープアライブメッセージとして機能してもよい。この実施形態では、第1サイズの送信は、第2サイズがゼロになるように削減され、送信は第2サイズで実行され、
図7は、ペイロードが含まれない場合に、適応された送信がどのように見えるかを例示している。したがって、
図7は、衝突を回避するために、すべてのペイロードパケットが後の送信機会に延期された適応された送信の例である。
【0068】
第1サイズのデータ送信は、全体で第1サイズを有する、黒の箱で表されるオーバーヘッドと、斜線が付された3つの箱で表されるペイロードとを有している。また、予定されたデータ送信/受信が破線の箱で表されている。これらの送信は、時間軸に沿って、「計画上の送信」の下に示される。
【0069】
図中の「計画上の送信」の下の双方向矢印で示されている期間に衝突のリスクがあるため、第1ネットワークノード111は、2つのペイロードボックスを有する第1サイズを、オーバーヘッドボックスのみを有する第2サイズに削減させる。
【0070】
第2サイズのデータ送信は、黒の箱で表されるオーバーヘッドのみを有し、予定されたデータ送信/受信が破線の箱で表されている。これらの送信は、時間軸に沿って、「適応された送信」の下に示される。
【0071】
第2サイズに削減されたデータが送信された場合、図中の「適応された送信」の下の双方向矢印で示されるように、予定された送信/受信までに時間が少し存在しており、衝突のリスクが回避されていることがわかる。
【0072】
空のパケットさえも衝突せずに送信することができない場合、ネットワークノード111は、送信を完全に延期し、次の送信機会まで送信しないことを選択してもよい。これは、
図8に図示されている。
図8は、衝突を回避するために完全にキャンセルされる送信の例を描いている。
【0073】
第1サイズのデータ送信は、全体で第1サイズを有する、黒の箱で表されるオーバーヘッドと、斜線が付された3つの箱で表されるペイロードとを有している。また、予定されたデータ送信/受信が破線の箱で表されている。これらの送信は、時間軸に沿って、「計画上の送信」の下に示される。
【0074】
図中の「計画上の送信」の下の双方向矢印で示されている期間に衝突のリスクがあるため、第1ネットワークノード111は、サイズを小さくするのではなく、データの送信を後の機会に延期することを決定する。
【0075】
予定されたデータ送信/受信が破線の箱で表されているが、第2サイズの送信は延期されているため存在しない。予定された送信/受信は、時間軸に沿って、「適応された送信」の下に示される。
【0076】
データが送信されない場合、予定された送信/受信に対して十分な時間があるため、衝突のリスクが回避されていることがわかる。
【0077】
送信のサイズとも呼ばれる長さを適応させる例示的なフローを
図9のフローチャートに示す。
図9は、送信のサイズとも呼ばれる長さを、衝突を回避するために適応させる方法の例を示すフローチャートである。
【0078】
動作901.
第1ネットワークノード111は、第1サイズのデータ送信を受信したので、第2ネットワークノード112に第1サイズのデータ送信を送信するための送信機会を有する。
動作902.
第1ネットワークノード111は、第1サイズのデータ送信の第1期間を計算する。
【0079】
動作903.
第1ネットワークノード111は、さらに、第2期間、すなわち、第2ネットワークノードについて次の送信/受信が予定されているまでの時間を計算する。次に、第1ネットワークノードは、第1期間と第2期間を比較することによって、第1サイズのデータ送信が次の予定された送信/受信と衝突するかどうかを確認する。
【0080】
動作904.
衝突のリスクがない場合、すなわち第2期間が第1期間よりも長い場合、第1ネットワークノード111は、第1サイズのデータを第2ネットワークノードに送信する。すなわち、第1サイズのデータを削減する必要がない。
【0081】
動作905.
衝突のリスクがある場合、すなわち第2期間が第1期間よりも短い場合、第1ネットワークノード111は、第1サイズのデータを削減して第2サイズのデータとする。すなわち第1サイズのデータの削減を必要とする。
【0082】
動作906.
第1サイズのデータを第2サイズのデータに削減した後にデータが残っている場合、第1ネットワークノード111は、第2サイズのデータを第2ネットワークノード112に送信する。すなわち、第2サイズのデータの長さが0以上であるか、または動作902を繰り返す。
【0083】
動作907.
第1サイズのデータを第2サイズのデータに削減した後にデータが残っていない場合、第1ネットワークノード111は、データ送信をキャンセルするか、またはデータ送信を延期する。すなわち、第2サイズのデータの長さが0に等しい。
【0084】
メッシュネットワーク100内の中継ノードのような全てのネットワークノードが、本明細書の実施形態に従って送信を適応させる方法を使用していると仮定すると、第1ネットワークノード111のような中継ノードは、自身の予定された送信よりも前に開始される送信との衝突を考慮する必要はないであろう。例えば、ノードAは、ノードBからの送信がノードAの送信の開始時刻よりも前に開始する場合、ノードBからの送信との衝突を考慮する必要はないかもしれない。これは、ノードBの送信が既にノードAの送信に対して適応されているはずであるという事実によるものである。
【0085】
ノードAなどの第1ネットワークノードとノードBなどの第2ネットワークノードとの両方に同期している第3のネットワークノード124とも呼ばれる第3のノードCもまた、上述したようにノードAとノードBが互いに適応することを前提としていてもよい。
図7のように、オーバーラップが大きすぎて第1送信にデータを収容することができない例示的なシナリオにおいて、ノードCは、衝突する送信の最後のものだけを考慮してもよい。
図6のようなオーバーラップが小さい例示的なシナリオでは、ノードCは、両方のメッセージの受信を試みてもよい。
【0086】
第1ネットワークノード111が他のノードとの反復的な衝突を検出する例示的なシナリオ、すなわち、期間が同じか、非常に近いか、またはそれ自身の期間の倍数である場合、第1ネットワークノード111は、既に同期している他のノードとの反復的な衝突を引き起こさない新しい期間で、自身のPAを再構成してもよい。
【0087】
番号1~18のいくつかの例示的な実施形態を以下に説明する。
【0088】
以下の実施形態は、特に
図3、
図4、および
図5に関するものである。
【0089】
実施形態1.例えばBLE(Bluetooth Low Energy)メッシュネットワークのようなメッシュネットワーク100内での衝突送信の数を減らすための、例えば中継ノードのような第1ネットワークノード111によって実行される方法であって、ここで、第1ネットワークノード111および第2ネットワークノード112がBLEメッシュネットワーク100内で動作し、第1ネットワークノード111および第2ネットワークノード112がBLEメッシュネットワーク100内での送信のために周期的なアドバタイズを使用するように構成されており、方法が、
第2ネットワークノード112に送信される第1サイズのデータの送信に関連する第1期間を計算すること402aと、第2ネットワークノード112について予定されているデータの受信と送信のいずれか1つが発生するまでの時間に関連する第2期間を計算すること402bと、
算出された第1期間と第2期間とに基づいて、第1期間が第2期間よりも短くなるように、送信の第1サイズを第2サイズに削減すべきか否かを決定すること403と、
決定すること403の結果に応じて送信を実行すること404と、を有する、方法。
【0090】
実施形態2.実施形態1に記載の方法であって、決定すること403の結果に応じて送信を実行すること404が、
第2期間が第1期間よりも短い場合、第1期間が第2期間よりも短くなるように、送信の第1サイズを第2サイズに削減すること404aと、第2サイズで送信を実行することとを有する、方法。
【0091】
実施形態3.実施形態1に記載の方法であって、決定すること403の結果に応じて送信を実行すること404が、
第2期間と追加所定時間との合計が第1期間より短い場合、第1期間が第2期間より短くなるように、送信の第1サイズを第2のサイズに削減すること404aと、第2サイズで送信を実行することとを有する、方法。
【0092】
実施形態4.実施形態1に記載の方法であって、決定すること403の結果に応じて送信を実行すること404が、
第2期間が第1期間よりも短く、かつ第1閾値よりも短い場合、送信を実行することを控えることを決定すること404bを有する、方法。
【0093】
実施形態5.実施形態1に記載の方法であって、決定すること403の結果に応じて送信を実行すること404が、
第2期間が第1期間よりも長いか、または第1期間と等しい場合に、第1サイズで送信を実行すること404cのいずれか1つを有する、方法。
【0094】
実施形態6.実施形態1から3のいずれかに記載の方法であって、第2期間が第1期間よりも短いことは、第1サイズの送信が送信された場合に、第2ネットワークノード112について予定されているデータの受信および送信のいずれか1つと時間的に衝突することを示す、方法。
【0095】
実施形態7.実施形態1から6のいずれかに記載の方法であって、
第1期間を計算すること402aと、第2期間を計算すること402bとが、第2期間が第1期間よりも短いことを閾値を超える回数繰り返す結果となった場合、この結果に基づいて、第1ネットワークノード111について、BLEメッシュネットワーク100における送信のためのアドバタイズの周期を、BLEメッシュネットワーク100における送信のためのアドバタイズの第2周期で再構成すること405をさらに含む、方法。
【0096】
実施形態8.実施形態1から7のいずれかに記載の方法であって、第1ネットワークノード111が第2ノード112と同期している、方法。
【0097】
実施形態9.命令を有するコンピュータプログラムであって、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、実施形態1から8のいずれかに記載の動作を実行させる、コンピュータプログラム。
【0098】
実施形態10.実施形態9のコンピュータプログラムを有するキャリアであって、電子信号、光信号、電磁信号、磁気信号、電気信号、無線信号、マイクロ波信号、またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体のいずれかである、キャリア。
【0099】
実施形態11.例えばBLE(Bluetooth Low Energy)メッシュネットワークのようなメッシュネットワーク100内で衝突する送信の数を減らすための、例えば中継ノードのような第1ネットワークノード111の実施形態であって、ここで、第1ネットワークノード111および第2ネットワークノード112はBLEメッシュネットワーク100内で動作可能であり、また、第1ネットワークノード111および第2ネットワークノード112はBLEメッシュネットワーク100内で送信のために周期的なアドバタイズを使用するように構成されており、第1ネットワークノード111が、
例えば演算回路510によって、第2ネットワークノード112に送信される第1サイズのデータの送信に関連する第1期間を計算し、また、第2ネットワークノード112について予定されているデータの受信と送信のいずれかが発生するまでの時間に関連する第2期間を計算し、
例えばプロセッサ540によって、算出された第1期間および第2期間に基づいて、第1期間が第2期間よりも短くなるように、送信の第1サイズを第2サイズに削減すべきか否かを決定し、
例えば実行回路530によって、決定の結果に応じて送信を実行する、ように構成される、第1ネットワークノード111。
【0100】
実施形態12.実施形態11に記載の第1ネットワークノード111であって、第1ネットワークノード111が、例えば実行回路530によって、
第2期間が第1期間よりも短い場合、第1期間が第2期間よりも短くなるように、送信の第1サイズを第2サイズに削減し、第2サイズで送信を実行することにより、決定の結果に応じて送信を実行するように構成される、第1ネットワークノード111。
【0101】
実施形態13.実施形態11に記載の第1ネットワークノード111であって、第1ネットワークノード111が、例えば実行回路530によって、
第2期間と追加所定時間との合計が第1期間より短い場合、第1期間が第2期間より短くなるように、送信の第1サイズを第2サイズに削減し、第2サイズで送信を実行することにより、決定の結果に応じて送信を実行するように構成される、第1ネットワークノード111。
【0102】
実施形態14.実施形態11に記載の第1ネットワークノード111であって、第1ネットワークノード111が、例えば実行回路530によって、
第2期間が第1期間よりも短く、かつ第1閾値よりも短い場合、送信を実行することを控えることを決定することにより、決定の結果に応じて送信を実行するように構成される、第1ネットワークノード111。
【0103】
実施形態15.実施形態11に記載の第1ネットワークノード111であって、第1ネットワークノード111が、例えば実行回路530によって、
第2期間が第1期間よりも長いか、または第1期間と等しい場合に、第1サイズで送信を実行することにより、決定の結果に応じて送信を実行するように構成される、第1ネットワークノード111。
【0104】
実施形態16.実施形態11から13のいずれかに記載の第1ネットワークノード111であって、第2期間が第1期間よりも短いことが、第1サイズの送信が送信された場合に、第2ネットワークノード112について予定されているデータの受信および送信のいずれか1つと時間的に衝突することを示すように構成される、第1ネットワークノード111。
【0105】
実施形態17.実施形態16のいずれかに記載の第1ネットワークノード111であって、第1ネットワークノード111がさらに、例えば、設定回路520によって、
第1期間の計算および第2期間の計算が、第2期間が第1期間よりも短いことを閾値を超える回数繰り返す結果となった場合、この結果に基づいて、第1ネットワークノード111について、BLEメッシュネットワーク100における送信のためのアドバタイズの周期を、BLEメッシュネットワーク100における送信のためのアドバタイズの第2周期で再構成するように構成される、第1ネットワークノード111。
【0106】
実施形態18.実施形態11から17のいずれかに記載の第1ネットワークノード111であって、第1ネットワークノード111が第2ノード112と同期するように構成される、第1ネットワークノード111。
【0107】
さらなる拡張例および変形例
図10を参照して、一実施形態によれば、通信システムは、電気通信ネットワーク3210を含んでいる。電気通信ネットワーク3210は、例えばWLANである無線通信ネットワーク100のようなものであっても、無線アクセスネットワークのようなアクセスネットワーク3211とコアネットワーク3214とを有する3GPP型セルラーネットワークのようなものであってもよい。アクセスネットワーク3211は、ネットワークノード111、112、アクセスノード、AP STAs NB、eNB、gNB、または他のタイプの無線アクセスポイントなどの複数の基地局3212a、3212b、3212cを有し、それぞれが対応するカバレッジエリア3213a、3213b、3213cを規定している。各基地局3212a、3212b、3212cは、有線または無線接続3215を介してコアネットワーク3214に接続可能である。第1ユーザ装置(UE)、例えばカバレッジエリア3213cに位置する非AP STA3291のようなネットワークノード110は、対応する基地局3212cに無線で接続するように、基地局3212cによって無線でページングされるように構成されている。第2UE3292、例えばカバレッジエリア3213aに位置する非AP STAなどの無線デバイス
112は、対応する基地局3212aに無線で接続可能である。複数のUE3291,3292がこの例で図示されているが、開示された実施形態は、単独のUEがカバレッジエリア内に存在する状況、または単独のUEが対応する基地局3212に接続している状況にも同様に適用可能である。
【0108】
通信ネットワーク3210は、それ自体がホストコンピュータ3230に接続されており、このホストコンピュータ3230は、スタンドアロンサーバ、クラウド実装サーバ、分散サーバのハードウェアおよび/またはソフトウェアによって、またはサーバファーム内の処理リソースとしてのハードウェアおよび/またはソフトウェアによって実施されうる。ホストコンピュータ3230は、サービスプロバイダの所有または制御下にあるか、またはサービスプロバイダによって、またはサービスプロバイダに代わって運営されてもよい。通信ネットワーク3210とホストコンピュータ3230との間の接続3221、3222は、コアネットワーク3214からホストコンピュータ3230に直接延びてもよいし、任意の中間ネットワーク3220を経由してもよい。中間ネットワーク3220は、パブリックネットワーク、プライベートネットワーク、またはホストネットワークのうちの1つであってもよく、中間ネットワーク3220は、それが存在する場合には、バックボーンネットワークまたはインターネットであってもよく、特に、中間ネットワーク3220は、2つ以上のサブネットワーク(図示せず)から構成されていてもよい。
【0109】
図10の通信システムは、全体として、接続されたUE3291,3292のうちの1つとホストコンピュータ3230との間の接続を可能にする。接続性は、オーバーザトップ(OTT)接続3250として記述されてもよい。ホストコンピュータ3230および接続されたUE3291、3292は、アクセスネットワーク3211、コアネットワーク3214、任意の中間ネットワーク3220、および可能性のある更なるインフラストラクチャ(図示せず)を仲介者として使用して、OTT接続3250を介してデータおよび/またはシグナリングを通信するように構成されている。OTT接続3250は、OTT接続3250が通過する参加通信デバイスがアップリンク通信およびダウンリンク通信のルーティングを知らないという意味で透過的であってもよい。例えば、基地局3212は、接続されたUE3291に転送(例えば、ハンドオーバ)されるべき、ホストコンピュータ3230から発信されたデータを有する着信ダウンリンク通信について、過去のルーティングについて知らされていなくてもよいし、知らされる必要がなくてもよい。同様に、基地局3212は、UE3291からホストコンピュータ3230に向かって発信するアップリンク通信について、将来のルーティングを意識する必要はない。
【0110】
先に説明したUE、基地局、およびホストコンピュータの、ある実施形態に従った例示的な実施形態を、
図11を参照して説明する。通信システム3300において、ホストコンピュータ3310は、通信システム3300の別の通信装置のインタフェースとの有線または無線接続を設定し、維持するように構成された通信インタフェース3316を含むハードウェア3315を有する。ホストコンピュータ3310はさらに、ストレージおよび/または処理能力を有していてもよい処理回路3318を有する。特に、処理回路3318は、命令を実行するように適合された、1つ以上のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらの組み合わせ(図示せず)を有してもよい。ホストコンピュータ3310は、さらに、ホストコンピュータ3310に格納されているか、またはホストコンピュータ3310によってアクセス可能であり、処理回路3318によって実行可能なソフトウェア3311を有する。ソフトウェア3311は、ホストアプリケーション3312を含む。ホストアプリケーション3312は、UE3330とホストコンピュータ3310で終端するOTT接続3350を介して接続するUE3330などのリモートユーザにサービスを提供するために動作可能であってもよい。リモートユーザにサービスを提供する際、ホストアプリケーション3312は、OTT接続3350を使用して送信されるユーザデータを提供してもよい。
【0111】
通信システム3300は、通信システムに設けられる基地局3320をさらに含む。基地局3320は、ホストコンピュータ3310およびUE330と通信することを可能にするハードウェア3325を有する。ハードウェア3325は、通信システム3300の別の通信装置のインタフェースとの有線または無線接続を設定して維持するための通信インタフェース3326と、基地局3320によって提供されるカバレッジエリア(
図11には示されていない)内に位置するUE3330との少なくとも無線接続3370を設定して維持するための無線インタフェース3327とを含んでもよい。通信インターフェース3326は、ホストコンピュータ3310との接続3360を容易にするように構成されてもよい。接続3360は、直接接続であってもよいし、電気通信システムのコアネットワーク(
図11には示されていない)および/または電気通信システムの外部の1つ以上の中間ネットワークを通るものであってもよい。図示した実施形態では、基地局3320のハードウェア3325はさらに処理回路3328を含み、この処理回路3328は、命令を実行するように構成された1つ以上のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらの組み合わせ(図示せず)を有してもよい。基地局3320はさらに、内部に記憶された、または外部接続を介してアクセス可能な、ソフトウェア3321を有する。
【0112】
通信システム3300は、既に言及したUE3330をさらに含む。UE3330のハードウェア3335は、UE3330が現在位置しているカバレッジエリアにサービスを提供する基地局との無線接続3370を設定し、維持するように構成された無線インターフェース3337を含んでもよい。UE3330のハードウェア3335は、さらに処理回路3338を含み、これは、命令を実行するように適合された1つまたは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらの組み合わせ(図示せず)を有してもよい。UE3330はさらに、ソフトウェア3331を含み、このソフトウェア3331は、UE3330に格納され、またはUE3330がアクセス可能であり、処理回路3338によって実行可能である。ソフトウェア3331は、クライアントアプリケーション3332を含む。クライアントアプリケーション3332は、ホストコンピュータ3310の支援を受けて、UE3330を介して人間または非人間のユーザにサービスを提供するために動作可能であってもよい。ホストコンピュータ3310において実行中のホストアプリケーション3312は、UE3330とホストコンピュータ3310で終端するOTT接続3350を介して、実行中のクライアントアプリケーション3332と通信してもよい。ユーザにサービスを提供する際、クライアントアプリケーション3332は、ホストアプリケーション3312から要求データを受信し、要求データに応答してユーザデータを提供してもよい。OTT接続3350は、要求データとユーザデータの両方を転送してもよい。クライアントアプリケーション3332は、提供するユーザデータを生成するためにユーザと対話してもよい。
【0113】
図11に図示されたホストコンピュータ3310、基地局3320、およびUE3330は、それぞれ、ホストコンピュータ3230、基地局3212a、3212b、3212cのうちの1つ、および
図10のUE3291、3292のうちの1つと同一であってもよいことに留意されたい。すなわち、これらのエンティティの内部動作は、
図11に示すようなものであってもよく、独立して、周囲のネットワークトポロジーは、
図10のものであってもよい。
【0114】
図11において、OTT接続3350は、いかなる中間装置も、中間装置を介したメッセージの正確なルーティングについても明示的な言及なしに、基地局3320を介したホストコンピュータ3310とユーザ装置3330との間の通信を例示するため、抽象的に描かれている。ネットワークインフラストラクチャはルーティングを決定してもよく、ルーティングは、UE3330に対して、またはホストコンピュータ3310を運用するサービスプロバイダに対して、またはその両方に対して秘密であるように構成されてもよい。OTT接続3350がアクティブである間、ネットワークインフラストラクチャは、ルーティングを動的に変更する(例えば、負荷分散の考慮またはネットワークの再構成に基づいて)決定をさらに行ってもよい。
【0115】
UE3330と基地局3320との間の無線接続3370は、本開示を通して説明される実施形態の教示に従う。様々な実施形態のうちの1つ以上は、無線接続3370が最後のセグメントを形成するOTT接続3350を使用して、UE3330に提供されるOTTサービスのパフォーマンスを改善する。より詳細には、これらの実施形態の教示は、データレート、待ち時間、消費電力を改善し、それによって、ユーザの待ち時間の削減、ファイルサイズの制限の緩和、より良い応答性、バッテリ寿命の延長などの利点を提供してもよい。
【0116】
データレート、待ち時間、および1つ以上の実施形態が改善する他の要因を監視する目的で測定手順が提供されてもよい。測定結果の変動に応答して、ホストコンピュータ3310とUE3330との間のOTT接続3350を再構成するためのオプションのネットワーク機能がさらに設けられてもよい。測定手順および/またはOTT接続3350を再構成するためのネットワーク機能は、ホストコンピュータ3310のソフトウェア3311またはUE3330のソフトウェア3331に、またはその両方に実装されてもよい。実施形態では、センサ(図示せず)は、OTT接続3350が通過する通信デバイス内に、または通信デバイスに付随して配置されてもよく、センサは、上で例示した監視量の値を供給することによって、またはソフトウェア3311,3331が監視量を計算または推定することができる他の物理量の値を供給することによって、測定手順に参加してもよい。OTT接続3350の再構成は、メッセージフォーマット、再送設定、好ましいルーティング等を含んでもよい。再構成は基地局3320に影響を与える必要はなく、基地局3320には知られないか、または感知できなくてもよい。そのような手順および機能は、当技術分野で既知かつ実施されているであろう。特定の実施形態では、測定は、ホストコンピュータ3310によるスループット、伝搬時間、レイテンシなどの測定を容易にする、専用のUEシグナリングを伴ってもよい。測定は、ソフトウェア3311、3331が、伝搬時間、エラー等を監視している間に、OTT接続3350を使用して、メッセージ、特に空のメッセージまたは「ダミー」メッセージを送信させるように実装されてもよい。
【0117】
図12は、一実施形態に従って、通信システムに実装された方法を示すフローチャートである。通信システムは、ホストコンピュータと、AP STAのような基地局と、
図32および33を参照して説明したものであってもよい非AP STAのようなUEとを含む。本開示を簡単にするため、本項では参照する図面を
図12に限定する。方法の最初の動作3410において、ホストコンピュータはユーザデータを提供する。最初の動作3410のオプションであるサブ動作3411において、ホストコンピュータは、ホストアプリケーションを実行することにより、ユーザデータを提供する。2番目の動作3420において、ホストコンピュータは、ユーザデータをUEに運ぶ送信を開始する。オプションである3番目の動作3430において、基地局は、本開示全体に記載された実施形態の教示に従って、ホストコンピュータが開始した送信で運ばれたユーザデータをUEに送信する。オプションである4番目の動作3440において、UEは、ホストコンピュータによって実行されたホストアプリケーションに関連付けられたクライアントアプリケーションを実行する。
図13は、一実施形態に従って、通信システムに実装された方法を示すフローチャートである。通信システムは、ホストコンピュータと、AP STAのような基地局と、
図32および33を参照して説明したものであってもよい非AP STAのようなUEとを含む。本開示を簡単にするため、本項では参照する図面を
図13に限定する。方法の最初の動作3510において、ホストコンピュータは、ユーザデータを提供する。オプションであるサブ動作(図示せず)において、ホストコンピュータは、ホストアプリケーションを実行することにより、ユーザデータを提供する。2番目の動作3520において、ホストコンピュータは、ユーザデータをUEに運ぶ送信を開始する。送信は、本開示全体に記載された実施形態の教示に従って、基地局を経由してもよい。オプションである3番目の動作3530において、UEは、送信で運ばれたユーザデータを受信する。
【0118】
図14は、一実施形態に従って、通信システムに実装された方法を示すフローチャートである。通信システムは、ホストコンピュータと、AP STAのような基地局と、
図32および33を参照して説明したものであってもよい非AP STAのようなUEとを含む。本開示を簡単にするため、本項では参照する図面を
図14に限定する。オプションである方法の最初の動作3610において、UEは、ホストコンピュータによって提供される入力データを受信する。さらに、または代替的に、オプションである2番目の動作3620において、UEは、ユーザデータを提供する。2番目の動作3620のオプションであるサブ動作3621において、UEは、クライアントアプリケーションを実行することにより、ユーザデータを提供する。最初の動作3610のさらなるオプションであるサブ動作3611において、UEは、ホストコンピュータによって提供された受信された入力データに応答して、ユーザデータを提供するクライアントアプリケーションを実行する。ユーザデータを提供する際に実行されるクライアントアプリケーションは、ユーザから受信したユーザ入力をさらに考慮してもよい。ユーザデータが提供された具体的な方法にかかわらず、UEは、オプションである3番目のサブ動作3630において、ホストコンピュータへのユーザデータの送信を開始する。方法の4番目の動作3640において、ホストコンピュータは、本開示全体に記載された実施形態の教示に従って、UEから送信されたユーザデータを受信する。
【0119】
図15は、一実施形態に従って、通信システムに実装された方法を示すフローチャートである。通信システムは、ホストコンピュータと、AP STAのような基地局と、
図32および33を参照して説明したものであってもよい非AP STAのようなUEとを含む。本開示を簡単にするため、本項では参照する図面を
図15に限定する。本開示全体に記載された実施形態の教示に従って、オプションである方法の最初の第1動作3710において、基地局は、UEからユーザデータを受信する。オプションである2番目の動作3720において、基地局は、受信したユーザデータのホストコンピュータへの送信を開始する。3番目の動作3730において、ホストコンピュータは、基地局によって開始された送信で運ばれたユーザデータを受信する。
【0120】
「有する」または「備える」という語を使用する場合、それは非限定的なものとして、すなわち「少なくとも構成要素として含む」という意味であると解釈すべきである。
【0121】
本明細書の実施形態は、上述した好ましい実施形態に限定されない。様々な代替案、修正案、および同等物が用いられてもよい。