(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】放射線治療計画における線量分布に関する解剖学的構造の評価
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
A61N5/10 P
(21)【出願番号】P 2020532896
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018085098
(87)【国際公開番号】W WO2019121436
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-15
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ウェース ロルフ イールヘン
(72)【発明者】
【氏名】レニス ステッフェン
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ リシケシュ ナラヤンラオ
(72)【発明者】
【氏名】スルツ ヘインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】カブス スフェン
(72)【発明者】
【氏名】アレール ステファネ
(72)【発明者】
【氏名】イソラ アルフォンソ アガティーノ
(72)【発明者】
【氏名】ノイキルヒェン クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ボンダル マリア ルイザ
(72)【発明者】
【氏名】ウィヘルト イェンス
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0087879(US,A1)
【文献】特開2017-184929(JP,A)
【文献】特開2017-164499(JP,A)
【文献】特表2017-514532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0059037(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0310615(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0075806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の放射線療法治療のための治療計画に対応する線量分布に関して解剖学的構造の輪郭を評価することを支援するシステムであって、前記システムは、
-前記解剖学的構造の前記輪郭及び前記線量分布を受信し、
-前記解剖学的構造の前記輪郭からさまざまな距離で前記線量分布を評価して、前記評価される線量分布が所定の条件を満たす少なくとも1つのポイントを決定し、
-前記少なくとも1つのポイントと前記輪郭との間の前記距離を決定し、前記評価される線量分布に対する前記輪郭の誤差の影響を示す情報を視覚化し、
前記システムのユーザに前記少なくとも1つのポイントを視覚化する
ように構成される評価ユニットを有
し、
前記所定の条件は、前記放射線療法治療における前記解剖学的構造について達成されるべき線量目標に関連し、前記評価ユニットは、前記線量分布及び前記輪郭に基づいて決定される前記線量目標との適合性に関する前記輪郭の少なくとも部分の誤差の影響を示す情報を視覚化するように構成され、前記情報は、前記少なくとも1つのポイントの視覚化から、及び/又は前記少なくとも1つのポイント及び前記輪郭の間の前記決定される距離から導出される、
システム。
【請求項2】
前記評価ユニットは、内側又は外側方向に前記解剖学的構造の前記輪郭から延在する少なくとも1つの経路に沿って前記線量分布を評価することによって前記少なくとも1つのポイントを決定するように構成され、前記少なくとも1つのポイントは前記少なくとも1つの経路上にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記経路は、前記解剖学的構造の前記輪郭に対して実質的に垂直に配向されている光線に対応する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記所定の条件及び/又は前記経路の前記方向は、前記解剖学的構造のタイプに基づいて、及び/又は前記放射線療法治療における前記解剖学的構造のために達成されるべき前記線量目標に基づいて選択される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記線量分布が所定の特性値を有する場合、前記所定の条件が満たされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記特性値は、所定の最大線量値又は所定の最小線量値に対応する、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記最大線量値は、前記治療中に前記解剖学的構造に送達されるべき最大線量又は最大平均線量、又は前記最大線量又は前記最大平均線量を所定量だけ超える線量値に対応する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記最小線量値は、前記治療中に前記解剖学的構造に送達されるべき最小線量若しくは最小平均線量、又は前記最小線量若しくは前記最小平均線量よりも所定量だけ低い線量値に対応する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記線量分布が前記少なくとも1つのポイントを囲む領域において所定の特性値を有する場合、前記所定の条件は満たされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記評価ユニットは、前記評価される線量分布が前記所定の条件を満たす複数のポイントを決定し、前記複数のポイントを含む表面と前記解剖学的構造の前記輪郭との間の領域を含む感度領域を前記システムの前記ユーザに表示するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記評価ユニットは、前記少なくとも1つのポイントと前記解剖学的構造の前記輪郭との間の前記距離を所定の閾値と比較するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの経路上の前記少なくとも1つのポイント及び前記解剖学的構造の前記輪郭の間の前記距離が所定の閾値より小さい場合、前記評価ユニットは、前記解剖学的構造の前記輪郭上の前記経路の起点を強調する視覚化を表示するように構成される、請求項2、3、4、又は10に記載のシステム。
【請求項13】
患者の放射線療法治療のための治療計画に対応する線量分布に関して解剖学的構造の輪郭を評価することを支援するシステムの作動方法であって、前記システムは評価ユニットを有し、前記方法は、
-前記評価ユニットにより前記解剖学的構造の前記輪郭と前記線量分布とを受信するステップと、
-前記評価ユニットにより前記解剖学的構造の前記輪郭からさまざまな距離で前記線量分布を評価して、前記評価される線量分布が所定の条件を満たす少なくとも1つのポイントを決定するステップと、
-前記評価ユニットにより前記少なくとも1つのポイントと前記輪郭との間の前記距離を決定し、前記評価される線量分布に対する前記輪郭の誤差の影響を示す情報を視覚化するステップ、及び前記少なくとも1つのポイントを前記システムのユーザに視覚化するステップと
を有し、
前記所定の条件は、前記放射線療法治療における前記解剖学的構造について達成されるべき線量目標に関連し、前記評価ユニットは、前記線量分布及び前記輪郭に基づいて決定される前記線量目標との適合性に関する前記輪郭の少なくとも部分の誤差の影響を示す情報を視覚化するように構成され、前記情報は、前記少なくとも1つのポイントの視覚化から、及び/又は前記少なくとも1つのポイント及び前記輪郭の間の前記決定される距離から導出される、
方法。
【請求項14】
プログラムコードがコンピュータ装置において実行されるとき、請求項13に記載の方法を実行するように前記コンピュータ装置に命令するための前記プログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して放射線療法治療の計画に関する。より具体的には、本発明は、患者の放射線療法治療のための治療計画に対応する線量分布に関して解剖学的構造の輪郭を評価するのを支援するシステム及び方法に関する。さらに、本発明は、方法を実行するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線療法では、がん細胞の増殖を制御又は殺すため、患者の体内の腫瘍などの標的構造が放射性又は電磁放射線又は超音波によって治療される。同時に、周囲の健康な構造物(通常、リスクのある器官(OAR)とも呼ばれる)に送達される放射線量又は熱量が可能な限り低くなるように、治療が行われる。
【0003】
放射線療法治療を制御するための治療パラメータは、治療計画で規定され、標的構造に送達される放射線量又は熱量の条件を特定する治療目標に基づいて計画プロシージャで生成される。計画プロシージャでは、標的構造と周囲のOARを含む患者の体の領域の計画画像を使用して最適化プロセスを実行し、治療目標を達成する最適化される放射線量分布をもたらす治療計画を見つける。
【0004】
この計画プロシージャでは、計画画像で決定される標的構造及びOARの位置及び輪郭に基づいて、治療計画が生成される。しかしながら、計画画像の取得の時間と治療の開始との間により長い時間間隔がある場合、これらの位置及び輪郭は、治療中及び治療前であっても変化する可能性がある。そのような変化を考慮するために、標的構造及び/又はOARの変更される位置及び形状を決定するために1つ以上のさらなる画像が取得され、必要に応じてこれらの変更される位置及び形状に治療計画が適合され得る。しかしながら、さらなる画像に基づいて決定される、標的構造及びOARのこれらの位置及び形状も、治療中の標的構造及びOARの実際の位置及び形状から逸脱する可能性がある。
【0005】
治療中の実際の位置と形状に関してさらなる画像に基づいて決定される、標的構造及びOARの分析される位置と形状のそのような不正確さの1つの理由は、さらなる画像を取得するための位置決め又は治療に対する患者の解剖学的構造の応答から逸脱している、治療中の患者の位置決めによって引き起こされる、患者の解剖学的構造の変形である可能性がある。
【0006】
さらに、更なる画像の標的構造及びOARの位置及び輪郭は、計画画像で決定される輪郭を使用する変形可能画像レジストレーション(DIR)に基づいて決定されることがしばしばある。このプロセスでは、計画画像と更なる画像をマップ(又はその逆)するために、弾性変換が決定されることができる。それから、この変換(又はその逆)は、標的構造及びOARの変更される位置及び輪郭を決定するために、計画画像内の標的構造及びOARの輪郭に適用され得る。しかしながら、変換される輪郭とその位置には、通常、DIRの不正確さに起因する特定の誤差が含まれる。
【0007】
治療中の実際の位置及び形状に対する標的構造及び/又はOARの分析される位置及び形状の前述の不正確さは、OAR及び標的構造の変更される位置及び輪郭に関する線量分布の評価の精度を制限し、治療の適切な再計画を妨げる可能性がある。特に、この評価には、標的構造及びOARによって吸収される線量の推定が含まれる場合があり、前述の不正確さにより、これらの推定の精度が制限される。
【0008】
この点で、関連する解剖学的構造の輪郭の不正確さが、この輪郭に関する線量分布の評価に与える影響を評価することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、この輪郭に関する線量分布の評価に関して、放射線療法治療中に実際の輪郭に対して解剖学的構造の決定される輪郭の不正確さの影響を推定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、本発明は、患者の放射線療法治療の治療計画に対応する線量分布に関して解剖学的構造の輪郭を評価するのを支援するシステムを提案する。このシステムは、
【0011】
-前記解剖学的構造の輪郭及び前記線量分布を受信し、
【0012】
-前記解剖学的構造の前記輪郭からさまざまな距離で前記線量分布を評価して、前記評価される線量分布が所定の条件を満たす少なくとも1つのポイントを決定し、
【0013】
-前記少なくとも1つのポイントと前記輪郭との間の前記距離を決定し、及び/又は前記システムのユーザに前記少なくとも1つのポイントを視覚化する
ように構成される評価ユニットを有する。
【0014】
評価ユニットは、解剖学的構造の輪郭までの様々な距離での線量分布を評価することにより、評価される線量分布が所定の条件を満たす少なくとも1つのポイントを決定するように構成されるため、輪郭に基づいて、特にこの評価の精度に基づいて、線量分布の評価に対する輪郭の誤差の影響を評価することができる。特に、解剖学的構造によって吸収される線量の推定値及び/又は輪郭及び線量分布に基づいて決定される解剖学的構造の線量条件への適合性に対する輪郭の誤差の影響を評価することが可能である。
【0015】
決定される少なくとも1つのポイントが輪郭に近い場合、線量分布の評価に対する解剖学的構造の輪郭の誤差の影響はより大きくなる可能性がある。したがって、少なくとも1つのポイントと輪郭との間の距離は、評価ユニットによって決定され得る。さらに、又は代替として、評価ユニットは、少なくとも1つのポイントを視覚化することができる。これにより、特に、システムのユーザは、少なくとも1つのポイントと輪郭との間の距離を推定でき、したがって、線量評価に対する輪郭の誤差の影響を評価できる。
【0016】
本発明の一実施形態では、評価ユニットは、解剖学的構造の輪郭から内向き又は外向きに延在する少なくとも1つの経路に沿った線量分布を評価することによって少なくとも1つのポイントを決定するように構成され、少なくとも1つのポイントは経路上にある。関連する実施形態では、経路は、解剖学的構造の輪郭に対して実質的に垂直に配置されている光線に対応する。
【0017】
これらの実施形態では、決定される少なくとも1つのポイントは、特に、輪郭上の位置に関連付けられることができる。この位置は、特に経路と輪郭の交点に対応する。このポイントとその付近では、ポイントが解剖学的構造の輪郭に近い場合、輪郭の誤差が小さいほど線量分布の評価に大きな影響を与える可能性がある。
【0018】
本発明の一実施形態では、所定の条件及び/又は経路の方向は、解剖学的構造のタイプに基づいて、及び/又は放射線療法治療の解剖学的構造に対して達成されるべき線量目標に基づいて選択される。解剖学的構造の種類に関して、評価ユニットは、特に放射線療法治療の標的構造及びOARを区別することができる。
【0019】
線量分布が所定の特性値を有する場合、所定の条件を満たすことができる。本発明の一実施形態では、特性値は、所定の最大線量値又は所定の最小線量値に対応する。本発明の関連する実施形態では、最大線量値は、治療中に解剖学的構造に送達される最大線量又は最大平均線量、又は最大線量又は最大平均線量を所定量だけ超える線量値に対応する。本発明のさらなる関連する実施形態では、最小線量値は、治療中に解剖学的構造に送達される最小線量又は最小平均線量、又は最小線量又は最小平均線量よりも所定量だけ低い線量値に対応する。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、線量分布が少なくとも1つのポイントを囲む領域において所定の特性値を有する場合、所定の条件が満たされる。この実施形態は、線量分布がポイントの近くでより大きな線量変動を示す状況を特に考慮するので、線量分布が、経路の付近で(のみ)所定の特性を持つ場合、実際の輪郭からの評価される輪郭の偏差は、線量分布の評価にも線量分布の評価により大きな影響を及ぼし得る。
【0021】
本発明の一実施形態では、所定の条件は、放射線療法治療における解剖学的構造によって達成される線量目標に関連し、評価ユニットは、線量分布及び輪郭に基づいて決定される線量目標との適合性において、輪郭の少なくとも一部の誤差の影響を示す情報を視覚化するように構成され、情報は、少なくとも1つのポイントから、及び/又は少なくとも1つのポイントと輪郭との間の決定される距離から導出される。
【0022】
一実装では、情報は、決定される少なくとも1つのポイントの視覚化を含み得る。この視覚化により、システムのユーザは、少なくとも1つのポイントと輪郭との間の距離(この実装では自動的に決定される必要はない)を決定し、視覚化を検査することにより、線量分布と輪郭に基づいて決定される線量目標との適合性について輪郭の少なくとも一部の誤差の影響を評価できる。
【0023】
さらに、本発明の一実施形態は、評価ユニットが、評価される線量分布が所定の条件を満たす複数のポイントを決定し、解剖学的構造の輪郭及び複数のポイントによって境界付けられる感度領域をシステムのユーザに表示するように構成されることを含む。この実施形態は、解剖学的構造の周りの感度領域を視覚化することを可能にし、これにより、ユーザは、線量分布の評価に対する輪郭の誤差の影響を容易に評価し、輪郭のクリティカルな部分を決定することができ、感度領域の境界及びセクションの間の感度領域は小さい。
【0024】
上記のように、決定される少なくとも1つのポイントが輪郭に近い場合、線量分布の評価に対する輪郭の少なくとも一部の誤差の影響がより高くなる可能性がある。特にこれを考慮して、本発明のこの一実施形態評価ユニットは、少なくとも1つのポイントと解剖学的構造のセグメント化される輪郭との間の距離を所定の閾値と比較するように構成されることを含む。閾値は、輪郭のポイント又はセクションを識別するのに特に役立ち、輪郭の精度は、線量分布の評価に大きな影響を与える。
【0025】
解剖学的構造の輪郭は、画像と解剖学的構造を示すさらなる画像との間の変形可能な画像レジストレーションによって決定される変換を使用して、解剖学的構造のさらなる輪郭を変換することによって生成され得る。この場合、所定の閾値は、変形可能な画像レジストレーションの不正確さに基づいて導出されてもよい。さらに、輪郭の不正確さは、患者の解剖学的構造の潜在的な変形に起因する可能性がある。この点で、所定の閾値は、そのような変形の予測される量に基づいて決定することができる。
【0026】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの経路上の少なくとも1つのポイントと解剖学的構造の輪郭との間の距離が所定の閾値よりも小さい場合、評価ユニットは、解剖学的構造の輪郭上の経路の起点を強調する視覚化を表示するように構成される。これにより、ユーザは輪郭の潜在的にクリティカルなポイントを簡単に特定でき、輪郭の誤差は線量分布の評価により大きな影響を与える。強調表示は、特に、所定の色を使用して輪郭の関連点に色を付けることによって達成することができる。
【0027】
さらなる変形例では、複数の距離間隔のそれぞれが視覚コードに割り当てられ、評価ユニットは、少なくとも1つのポイントと解剖学的構造の輪郭との間の距離を含む距離間隔に割り当てられる視覚コードに従って、輪郭上の少なくとも1つの経路の原点を表示するように構成される。この実施形態では、ユーザは、閾値を超える、解剖学的構造の輪郭までの距離を有するポイントを決定するための強調情報を有するだけではない。むしろ、ユーザは、輪郭に基づく線量分布の評価に対する少なくとも1つのポイントでの輪郭の誤差の影響をより正確に評価するために、視覚コードに基づいて距離を決定することもできる。この実施形態で使用される視覚コードは、カラーコードに対応し得る。
【0028】
さらなる態様では、本発明は、患者の放射線療法治療の治療計画に対応する線量分布に関して解剖学的構造の輪郭を評価するのを支援する方法を提案する。この方法は、
【0029】
-前記解剖学的構造の前記輪郭と前記線量分布とを受信するステップと、
【0030】
-前記解剖学的構造の前記輪郭からさまざまな距離で前記線量分布を評価して、前記評価される線量分布が所定の条件を満たす少なくとも1つのポイントを決定するステップと、
【0031】
-前記少なくとも1つのポイントと前記輪郭との間の前記距離を決定するステップ、及び/又は前記少なくとも1つのポイントを前記システムのユーザに視覚化するステップと
を有する。
【0032】
さらなる態様では、本発明は、プログラムコードがコンピュータデバイスで実行されるときに方法を実行するようにコンピュータデバイスに命令するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムを提案する。
【0033】
請求項1のシステム、請求項14の方法、及び請求項15のコンピュータプログラムは、特に、従属請求項で規定されるように、類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであることもできることを理解されたい。
【0035】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】患者の適応放射線療法治療を計画するための計画システムの構成要素を概略的かつ例示的に示す。
【
図2】解剖学的構造の表面から延在する光線と、光線に沿って評価される線量分布を概略的かつ例示的に示す図である。
【
図3】線量分布の評価の精度に対する、解剖学的構造の輪郭の誤差の影響を推定する方法のステップを概略的かつ例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、患者の適応放射線療法治療を計画するための計画システムの構成要素を概略的かつ例示的に示す。放射線療法治療は、例えば、小線源治療の場合のように患者の体内に埋め込まれた放射線源によって生成される放射線を使用して実行されてもよく、又はその外部から患者の体に送達される電離放射線を使用して治療が実行される外部ビーム放射線療法治療として構成されてもよい。さらなる実施形態では、放射線療法治療は、非電離電磁放射線又は高強度集束超音波(HIFU)治療を使用する電磁療法治療として構成されてもよい。
【0038】
治療の間、癌細胞の増殖を殺すか又は制御するため、処方される蓄積される放射線量又は熱量が、特に腫瘍によって患者の体内の標的構造に送達される。この目的のために、治療は、それらの間に一定の時間距離を有する1つのフラクション又はいくつかの別個のフラクションで送達され得る。
【0039】
治療の間、計画される放射線又は加熱量が標的構造と患者の身体の周囲との領域に送達されるように、治療機器の動作を制御するための関連する治療パラメータを特定する治療計画に基づいて治療は送達される。治療計画は、ユーザ支援プロシージャで
図1の計画システムにおいて生成される。
【0040】
計画システムは、治療計画ソフトウェアを実行する処理ユニットを備える、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置1で実施されてもよい。さらに、計画システムは、以下本明細書で説明されるように、患者の画像を受信するための適切なインターフェースを備える。さらに、計画システムは、ユーザ(例えば、医師であってもよい)と対話するためのユーザインターフェースを備えるか、又はそれに結合される。ユーザインターフェースは、特に、表示ユニット2及び入力装置3を備えることができる。入力装置3は、表示ユニット2上に提供されるグラフィカルユーザインターフェース内をナビゲートすることを可能にすることができる。この目的のために、入力装置3は特に、例えば、コンピュータマウス、トラックパッド、又はトラックボールのようなポインティングデバイスを備えることができる。同様に、表示ユニット2は、入力装置3としても機能するタッチセンシティブモニターを備えてもよい。
【0041】
治療計画を生成するために、計画システムは計画ユニット4を備えることができる。計画ユニット4では、治療計画は、所定の放射線又は加熱量が標的構造に送達され、周囲のOARに送達される放射線又は加熱量が所定の制限未満に保たれる。しかしながら、以下では、この点で「線量」という用語のみが使用され、この用語は、適用される放射線療法モダリティに応じて放射線量又は加熱量を指すことを理解されたい。
【0042】
より具体的には、治療計画は、標的構造及び周囲のOARを含む患者の身体の関心領域の画像に基づいて生成され得る。この画像は、ここでは計画画像とも呼ばれる。計画画像は、例えばコンピュータ断層撮影(CT)イメージングなどの適切なイメージングモダリティに従って取得されてもよい。計画画像において、標的構造及び関連するOARは、標的構造及びOARの位置及び輪郭を決定するために、当業者に知られている自動、半自動又は手動のセグメント化方法を使用してセグメント化され得る。
【0043】
さらに、治療計画は、患者の臨床処方に基づいて生成することができ、これは、標的構造に関する治療目標を特に特定することができる。これらの治療目標には、治療中に特定の最小線量を標的構造に送達することが含まれる場合がある。さらに、OARに関する治療目標を特定できる。これらの治療目標には、OARに送達される最大線量の送達が含まれる場合がある。
【0044】
治療目標と、標的構造のセグメント化された輪郭及びOARを含む計画画像に基づいて、計画ユニット4は、治療目標が満たされるように治療中に最適化される放射線量分布を達成するための治療計画を生成する。このような方法で治療計画を生成するために、計画ユニット4は、関連する治療パラメータの最適化される値を決定するための最適化プロシージャを実行する。最適化プロシージャにおいて、治療パラメータを含む費用関数は、当業者に知られている方法で治療目標に基づいて設定され、治療パラメータに関して最小化されてもよい。これは、自動最小化アルゴリズムを使用して、及び/又はいくつかのステップを含むユーザガイド反復最適化プロシージャで実行できる。
【0045】
ユーザガイド反復最適化プロシージャの各ステップで、計画ユニット4は、最適化問題の解を近似することにより、予備処理計画を自動的に計算する。それから、計画ユニット4は、この治療計画に対応する線量分布を決定し、線量分布を計画ユニット4のユーザに視覚化する。それから、ユーザは、線量分布をレビューして、彼/彼女が線量分布に満足しているかを決定する。これが1つのステップに当てはまる場合、このステップで計算される治療計画は、事前に最適化される治療計画として使用される。ユーザが満足していない場合、最適化問題は、彼/彼女のレビューの結果としてユーザが特定した変更に従って修正される。それから、計画ユニット4は、次のステップで新しい予備治療計画を計算し、プロシージャは、許容可能な線量分布が達成されるまで続く。
【0046】
このようにして、計画ユニット4は、最適化される治療計画及び対応する最適化される線量分布を決定することができ、治療の送達に使用される治療手段に基づいて計画ユニット4で推定することができる。この最適化される治療計画は、計画画像に含まれる標的構造及びOARの位置とセグメント化される輪郭とを考慮して生成される。しかしながら、これらの位置及び輪郭は、標的構造及び/又はOARのフラクション内運動及び/又はフラクション間運動により、治療中に変化する可能性がある。さらに、計画画像の取得と治療の開始との間に長い時間間隔がある場合、標的構造及び/又はOARの実際の位置及び輪郭は、計画画像に示す位置及び輪郭から大幅に逸脱する可能性がある。
【0047】
したがって、治療計画は、治療中に、又は計画システムの計画適応ユニット6における治療の開始直前に、標的構造及び/又はOARの変更される位置及び形状に1回又は数回適合させることができる。各計画適応は、治療の開始直前又は治療中に取得される患者の身体の関心領域の新しい画像に基づいて実行されてもよい。
【0048】
この画像では、それらの(変更される)輪郭と位置を決定するため、適切なセグメンテーションプロシージャを使用して標的構造及びOARを再度セグメント化されることができる。代替案として、さらなる画像における標的構造及びOARの位置及び輪郭は、特に計画画像に対応し得る、参照画像において決定される輪郭を使用して、DIRに基づいて決定され得る。このプロセスでは、弾性変換を当業者に既知の方法で決定して、参照画像を新しい画像に対応するように(又はその逆に)変換することができる。標的構造及びOARの変更される位置及び輪郭を決定するために、この変換(又はその逆)は、参照画像のOAR及び標的構造のセグメント化される輪郭に適用される。このようにして、これらの変更される位置及び輪郭を迅速かつ効率的に決定できる。
【0049】
新しい画像に含まれる標的構造及びOARの変更される位置及び輪郭を決定するとき、初期又は以前に使用される治療計画に対応する、最適化される線量分布が治療目標を満足できるかを評価できる。そうでない場合は、再計画プロセスを実行でき、このプロセスにおいて、標的構造及びOARの変更される位置及び輪郭に基づいて初期治療計画を適応させることにより、新しい最適化される線量治療計画を実行できる。
【0050】
このプロセスでは、患者の解剖学的構造の新しい画像に基づいて決定される、関連する解剖学的構造の変更される位置及び輪郭に対して線量分布を評価する必要がある。特に、最初又は以前に使用される治療計画に対応する線量分布に対して、対応する評価を実行する必要がある。さらに、このような評価は、治療目標に照らしてこの線量分布を検証するために、計画適応ユニットで決定される修正治療計画に対応する適応線量分布に対して実行する必要がある。
【0051】
しかしながら、決定される輪郭及びそれらの位置は、通常、治療中の標的構造及びOARの実際の輪郭及び位置に関して特定の誤差を含む。この誤差は、特に、DIRの不正確さと、分析される画像に示される解剖学的構造に関する患者の解剖学的構造の変形に起因する可能性がある。そのような誤差は、標的構造及びOARの変更される位置及び輪郭に関する線量分布の評価の精度を制限する。特に、この評価には、標的構造及びOARによって吸収される線量の推定が含まれる場合があり、前述の誤差により、この推定の精度が制限される。
【0052】
したがって、解剖学的構造の線量目標への適合性又は解剖学的構造に送達される推定線量に対する、輪郭の変動/誤差の影響の評価を支援するため、計画システムは、解剖学的構造の輪郭とその位置を考慮して関連する線量分布を評価する評価ユニット5を含む。
【0053】
この評価は、この場合、放射線療法治療又はOARの標的構造である1つの解剖学的構造に関して説明される。
【0054】
評価において、解剖学的構造の1つまたは複数のポイント(およびそのようなポイントの近く)での解剖学的構造の輪郭の不正確さは、治療目標に関して解剖学的構造に送達される線量の評価により大きな影響を与える可能性があるかを判断するため、評価ユニット5は、初期治療計画に対応する線量分布又は適応される治療計画に対応する線量分布であり得る、関連する線量分布を評価する。輪郭上の関連する位置の各々に対して、評価ユニット5は、輪郭上の関連する位置からの変化する距離を備えるポイントで線量分布を評価して、線量分布が所定の条件を満たすポイントを決定することができる。
【0055】
線量分布は、特にいくつかの経路に沿って評価することができ、各経路は、輪郭上の特定の位置から始まり、その位置から開始して経路に沿って移動するとき、この位置までの距離が増加するように構成される。本明細書で以下に例として参照される一実施形態では、経路は、経路の起点の関連する位置で輪郭に対して特定の角度で配置される直線光線であってもよい。角度は、光線が解剖学的構造の輪郭に対して実質的に垂直に配置されるように、特に90°又はほぼ90°であってもよい。
【0056】
経路又は光線は、解剖学的構造に対して内向き又は外向きのいずれかに延在することができる。内方向に延在する1つの経路及び外方向に延在する1つの経路が、解剖学的構造の輪郭の同じポイントから始まることも可能であり得る。
【0057】
経路に沿った線量分布を評価する際に、評価ユニット5は、経路の方向(すなわち、輪郭から外側又は内側方向に離れている)の経路上に最初のポイントを決定することができ、評価される線量分布は所定の条件を満たす。条件及び経路の方向は、解剖学的構造のタイプに基づいて(例えば、解剖学的構造が放射線療法治療又はOARの標的構造であるか)、及び/又は解剖学的構造に関連する線量目標に基づいて選択することができる。
【0058】
図2では、直線光線として構成されているいくつかの経路21a乃至21dが、OAR22について概略的かつ例示的に示されている。さらに、線量分布のいくつかの等線量曲線が破線で示され、1つの等線量曲線は、参照番号23を備えており、線量レベルは中心点24からの距離の増加に伴って減少する可能性がある。さらに、
図2は、線量分布が所定の条件を満たす、光線21a、21b、及び21c上の決定される第1のポイントを示す。
【0059】
いくつかの実施態様では、評価ユニット5は、線量分布が所定の特性値を有する各経路上の第1のポイントを決定することができる。特性値は、線量分布に含まれる線量値であってもよい。特に、特性値は、解剖学的構造の特定の線量目標に対応する、又はこの線量目標から所定の量だけ逸脱する線量分布の線量値に対応し得る。
【0060】
経路及びそれらの方向は、特に、解剖学的構造の線量目標及び解剖学的構造の輪郭での線量勾配に基づいて評価ユニット5によって決定されてもよい(線量値は通常、OARの場合は内向きに減少し、放射線療法治療のターゲット構造の場合は内向きに増加する)。さらに、評価ユニット5は、関連する解剖学的構造の輪郭上の経路の起点の線量値に基づいて経路を規定することができる。
【0061】
OARの場合のように、線量目標が上限を規定する場合、評価ユニット5は、解剖学的構造の輪郭上の想定される経路の起点が線量目標に適合しているか、及び線量が解剖学的構造の内向きに減少するかを決定する。そうである場合、評価ユニット5は、解剖学的構造の外側領域に延在する経路に沿った線量分布を評価して、線量分布に含まれる線量値が、線量目標に対応するか、又は所定量だけ線量目標を超える。
【0062】
例えば、最大許容線量値又は最大平均線量値が解剖学的構造に規定されている場合、評価ユニット5は、解剖学的構造の外側領域に延在する経路を規定し、線量分布に含まれる線量値は、最大許容線量値又は最大平均線量値に対応する、各経路上の最初のポイントを決定することができる。代替として、評価ユニット5は、線量分布に含まれる線量値が所定の量だけ最大許容線量値又は最大平均線量値を超える各経路上のポイントを決定してもよい。この量は、最大許容線量値又は最大平均線量値のパーセンテージ又は絶対マージンによって特定できる。そのような平均値からの局所的な偏差は、線量目標の達成を妨げないため、この代替案は、特性値が平均線量値に対応する場合に特に適用できる。
【0063】
一実施形態では、評価ユニット5は、それらの原点における線量値が線量目標によって特定される上限に適合しない場合に経路を規定し、これらの経路に沿った線量分布を評価することができる。たとえば、最大線量が特定されているOARの輪郭の線量値が最大線量より大きい場合、評価ユニット5はOARの内部に向かう経路を規定し、線量分布による線量値が最大値に対応する経路上の最初の点を決定する。
【0064】
放射線療法治療の標的構造の場合のように、線量目標が下限を規定する場合、評価ユニット5は、解剖学的構造の輪郭上の想定される経路の起点が線量目標に適合するか、及び線量が解剖学的構造の内向きに増加するかを決定し得る。そうである場合、評価ユニット5は、解剖学的構造の内側領域に延在する経路に沿った線量分布を評価して、線量分布に含まれる線量値が線量目標に対応するか、又は線量値が所定の量だけ線量目標よりも低い、各経路の最初のポイントを決定することができる。
【0065】
最小線量値又は最小平均線量値が解剖学的構造に規定されている場合、評価ユニット5は、解剖学的構造の内側領域に延在する経路を規定し、線量分布に含まれる線量値が最小線量値又は最小平均線量値に対応する、各経路上の最初のポイントを決定することができる。代替として、評価ユニット5は、線量分布に含まれる線量値が最小線量値又は最小平均線量値よりも所定の量だけ低い各経路上の最初のポイントを決定してもよい。所定の量はここでも、最小線量値又は最小平均線量値のパーセンテージ又は絶対マージンによって特定できる。ここでも、この代替案は、平均線量値の場合に特に適用できる。
【0066】
さらに、評価ユニット5は、それらの原点における線量値が線量目標によって特定される下限に適合しない場合に経路を規定し、これらの経路に沿った線量分布を評価することができる。例えば、最小線量が特定されている標的構造の輪郭の線量値が最小線量よりも小さい場合、評価ユニット5は、標的構造の外側に向かう経路を規定し、経路上の最初のポイントを決定することができ、線量分布による線量値は最小値に対応する。
【0067】
線量分布における大きな線量変動(すなわち、高線量勾配)の場合の輪郭の評価のロバスト性を高めるために、評価ユニット5は、上記で説明したような特性線量値に対応する線量値を含む、所定のサイズの近傍を有する各経路上の最初のポイントを決定してもよい。したがって、経路に沿った各ポイントでの線量値が、関連する特性線量目標値と比較されるだけでなく、経路上の各位置について、その位置を囲む領域の線量値も、上記の方法で特性値と比較される。これにより、関連する特性値(例えば、最小又は最大線量値)に対応し、経路の1つではなく、1つ以上の経路の付近の位置で発生しない、線量分布の線量値が考慮に入れられることが保証される。
【0068】
さらなる実施形態では、評価ユニット5は、経路に沿った累積線量、すなわち経路上のポイントに送達される線量の合計を評価し、累積線量が所定の閾値を超える経路上のポイントを決定することができる。この実施形態は、最大全体線量が治療目標として特定されている小さいOARの場合に特に適用されてもよい。そのようなOARの場合、経路に沿った累積線量が閾値を超えるポイントは、OARの輪郭が、治療目標に違反することなく線量分布の高線量領域にどれだけシフトできるかを示す。閾値は、変換される輪郭に基づいて評価される線量分布に従って、OARに特定される最大全体線量とOARに送達される全体線量との差に基づいて決定される。
【0069】
評価ユニット5は、解剖学的構造の変換される輪郭を評価するために、輪郭から延在する複数の経路に沿った線量分布を評価することができる。一実施形態では、輪郭は特定のパターンに従って表面要素に分割することができ、評価ユニット5は、各表面要素の1つの経路に沿った線量分布を評価することができる。一実施形態では、表面構造は、解剖学的構造の輪郭上に経路を配置するために、評価ユニット5内に構成されてもよい。さらなる実施形態では、輪郭は、セグメンテーションプロシージャにおいて複数の表面要素から形成されてもよく、評価ユニット5は、これらの表面要素のそれぞれについて1つの経路を評価してもよい。
【0070】
線量分布の評価に関する解剖学的構造の輪郭の正確さの評価を考慮して、上記で説明したように経路上で決定されるポイントと輪郭との間の距離は特に関心距離となる。これらの距離の1つ以上が小さい場合、解剖学的構造の輪郭の不正確さにより、輪郭に対する線量分布の適切な評価が妨げられる可能性がある。したがって、表面及び/又は表面要素上の位置が識別されてもよく、輪郭までの距離が短いと決定されるポイントで光線が発生する。これは、システムのユーザが自動及び/又は手動で行うことができる。
【0071】
そのような位置又は表面要素の手動識別を可能にするために、評価ユニット5は、経路及び/又は経路上の決定されるポイントを表示ユニット2で視覚化してもよい。特に、経路及び/又は経路の決定されるポイントは、解剖学的構造の関連する(変換される)輪郭とともに表示される。さらに、輪郭及び/又は決定されるポイント及び解剖学的構造の輪郭は、輪郭が決定される基礎となる画像の上に重ねることができる。さらに、評価される線量分布もそれぞれの画像に重ねることができる。経路及び経路上で決定されるポイントを視覚化するために、光線に沿ってそこに決定されるポイントまで延在する矢印を特に表示することができる。しかしながら、他の視覚化も同様に可能である。
【0072】
この実施形態の変形例では、評価ユニット5は、解剖学的構造の輪郭と経路上で決定されるポイントを含む表面との間の領域を含む感度領域を生成することができ、これらのポイントから適切な方法で構成することができる。この実施形態では、経路は、上で説明したように、輪郭に実質的に垂直に配置される直線光線として構成することができる。それから、感度領域は、例えば感度領域を所定の色で着色することにより、解剖学的構造の輪郭とともに表示されてもよい。上記で説明したように、この視覚化は、随意に評価される線量分布とともに、患者の身体の関心領域の画像の上にオーバーレイすることもできる。
【0073】
上述の実施形態による視覚化において、評価ユニット5は、関連する線量目標を満たす輪郭上の位置で生じる経路及び/又は前記経路上の決定されるポイントと関連する線量目標を満たさない輪郭上の位置で生じる経路を識別することもできる。これは、異なる色を使用して生成される場合がある。
【0074】
前述の種類の視覚化に基づいて、計画システムのユーザは、解剖学的構造又はそのセクションの輪郭上の位置を特定することができ、輪郭への短い距離を有するポイントが決定される経路は始まる。
【0075】
さらに、又は代替として、そのような位置又はセクションは、評価ユニット5によって自動的に決定され得る。この目的のために、評価ユニット5は、経路上に決定されるポイントと輪郭との間の距離を決定し、これらの距離を既定の閾値と比較し得る。 DIRに起因する不正確さを考慮して、閾値は、解剖学的構造の変換される輪郭を決定するために使用されるDIRアルゴリズムの不正確さの範囲内であり得る。患者の解剖学的構造の変形による不正確さを考慮して、閾値は、そのような変形の予測される量に基づいて決定されてもよい。一実施形態では、距離を両方の閾値と比較することも可能である。
【0076】
少なくとも1つの距離が関連する閾値よりも小さい場合、評価ユニット5は自動的に解剖学的構造の輪郭を拒絶し、解剖学的輪郭の新たな描写を開始することができる。
【0077】
代替として、評価ユニット5は、閾値との比較の結果をシステムのユーザに視覚化することができる。距離が1つ以上の経路の閾値よりも小さい場合、これらの光線のルートポイント又はルートポイントを含む表面要素がクリティカルとしてマークされる可能性がある。対応する経路及び/又はそれらの足のポイントは、解剖学的構造の輪郭の視覚化で強調表示することもできる。これには、光線の視覚化及び/又は上記で説明した光線で決定されるポイントが含まれることができ、又はそのような視覚化が含まれないことができる。また後者の場合、解剖学的構造の輪郭の視覚化は、患者の身体の関心領域の画像及び評価されるべき線量分布の上に重ねることができる。強調表示は、例えば、所定の色を使用してクリティカルな位置及び/又は表面要素を着色することによって達成されてもよい。
【0078】
さらに、評価ユニット5は、関連する線量目標を満たす経路の足のポイントと、関連する線量目標を満たさない経路の足のポイントとをここでも区別することができる。これは、異なる色を使用して作成される場合がある。前述の実施形態の変形例では、評価ユニット5は、輪郭上の経路の起点のポイントに、これらの起点と光線上で決定されるポイントとの間の距離に従っていくつかの色を提供することができる。この目的のために、可能な距離の範囲をいくつかの間隔に分割し、各間隔を色に関連付けることができる。それから、経路の起点は、このポイントとこのポイントを起点とする経路上のポイントとの間の距離が含まれる間隔に関連付けられる色を提供することができる。好ましくは、色又は間隔の数は、3つ又は4つより多い。したがって、計画システムのユーザは、視覚化がクリティカルなポイントとクリティカルでないポイントとの間でのみ識別する、上記の実施形態よりも詳細に、間隔に基づいて輪郭上のポイントと関連する経路上で決定されるポイントとの間の距離を決定することができる。
【0079】
解剖学的構造又はクリティカルな表面要素の輪郭上のクリティカルポイントが上記のように手動又は自動で識別され、解剖学的構造の輪郭がDIRを使用して決定されている場合、輪郭は、画像内で示されるように解剖学的構造の実際の描写と比較され、必要に応じて、この描写に正確に対応するように補正できる。これも、手動、半自動、または自動の描画プロシージャによって行うことができる。補正される輪郭に基づいて、解剖学的構造の所定の線量目標を達成できるかを評価するため、線量分布を輪郭に関して評価することができる。この評価において、患者の解剖学的構造の変形による輪郭の不正確さは、上記のように再び考慮されてもよい。
【0080】
別の変形例では、評価ユニット5は、解剖学的構造の輪郭上の位置を決定することもでき、輪郭の誤差は、線量目標との適合性に最も大きな影響を与える。この位置は、上記のようにポイントが決定される経路の起点に対応することができ、決定されるすべてのポイントの中で輪郭までの距離が最も近い。上記の情報の表示に加えて、又はその代わりに、関連するポイントは輪郭の視覚化で関連する位置は強調表示されることができる。
【0081】
この強調表示に基づいて、システムのユーザは、輪郭の最も高感度の位置を直接評価及びレビューし、特にこの位置の輪郭の部分に関して線量分布を評価できる。これにより、輪郭に関する線量分布のより効率的な評価が可能になる。例えば、ユーザはこの位置で輪郭を新たに描くことができる。それから、ユーザが、新しい描写に基づいて治療目標が満たされない可能性が高いと判断した場合、ユーザは、輪郭のさらなる(感度の低い)セクションのレビューなしに再計画を開始することができる。
【0082】
計画システムの前述の実施形態では、解剖学的構造の決定される輪郭は、線量分布の評価に関するその正確さを考慮して評価することができる。さらに、その正確さが線量分布の評価に十分でない場合、必要に応じて輪郭をさらに検証及び補正できる。この点で、変換される輪郭に基づく線量分布の信頼できる評価は、完全な解剖学的構造を新たにセグメント化して描く必要なしに可能である。
【0083】
図3は、線量分布の評価に関する精度を考慮して解剖学的構造の輪郭を評価するために計画システムの評価ユニット5で実行されるステップを概略的かつ例示的に示している。ステップ301において、評価ユニット5は、解剖学的構造の輪郭及び線量分布を受信する。線量分布は治療計画に対応している。上記のように、これは患者のための初期の治療計画又はすでに適応される治療計画であり得る。それから、ステップ302で、評価ユニット5は、解剖学的構造の輪郭から様々な距離で線量分布を評価して、評価される線量分布が所定の条件を満たす少なくとも1つのポイントを決定する。例示的な条件は上に記載されている。少なくとも1つのポイントを決定するために、評価ユニット5は、解剖学的構造の輪郭から延在する1つ又は複数の経路に沿った線量分布を評価することができる。ステップ303で、評価ユニット5は、上述のように距離に基づいて視覚化を提供するために、少なくとも1つのポイントと輪郭との間の距離を決定することができる。さらに、又は代替として、例えば上で説明したように感度領域を視覚化するとき、評価ユニットは、ステップ304で少なくとも1つのポイントを視覚化してもよい。
【0084】
開示される実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解及び達成され得る。
【0085】
特許請求の範囲において、「含む」という用語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
【0086】
単一のユニット又はデバイスが、請求項に記載されているいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。 特定の手法が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手法の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0087】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に格納/配布されてもよいが、インターネット又は他の有線又は無線通信システムなどの他の形態で配布されてもよい。
【0088】
請求項の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。