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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   A63H 11/00 20060101AFI20220121BHJP
   A63H 30/02 20060101ALI20220121BHJP
   A63H 30/04 20060101ALI20220121BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
A63H11/00 Z
A63H30/02 C
A63H30/04 A
B25J13/08 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020135946
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2021-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517353644
【氏名又は名称】iPresence合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】クリストファーズ クリス フランシス
(72)【発明者】
【氏名】太田 崇博
(72)【発明者】
【氏名】仲川 真一
(72)【発明者】
【氏名】清水 健太郎
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-136652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0320542(US,A1)
【文献】特開2007-088771(JP,A)
【文献】特開2013-162345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
B25J 1/00 - 21/02
H04N 5/222- 5/257
G03B 17/56 - 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作側携帯装置とロボット側携帯装置とロボット基体装置とを備えたロボットシステムにおいて、
前記操作側携帯装置は、
ロボット側携帯装置から送信されてきたロボット側撮像画像をタッチディスプレイに表示する撮像画像表示手段と、
カメラによって撮像した操作側撮像画像を、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記ロボット側携帯装置に送信する撮像画像送信手段と、
タッチディスプレイに入力されたユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記受け付けた操作を制御データとして、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記ロボット側携帯装置に送信する制御データ送信手段とを備え、
前記ロボット側携帯装置は、
操作側携帯装置から送信されてきた操作側撮像画像をタッチディスプレイに表示する撮像画像表示手段と、
カメラによって撮像したロボット側撮像画像を、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記操作側携帯装置に送信する撮像画像送信手段と、
前記操作側携帯装置から送信されてきた制御データを受信する制御データ受信手段と、
前記タッチディスプレイの少なくとも一部を制御発光領域とし、前記制御データに基づいて当該制御発光領域の発光を制御し、制御光を送出する発光制御手段とを備え、
前記ロボット基体装置は、
本体部と、
駆動部によって前記本体部に対して移動可能に設けられた保持部であって、前記ロボット側携帯装置のタッチディスプレイに対向してタッチディスプレイを物理的に保持するための保持壁を有する保持部と、
発光検出部によって、前記保持部により前記ロボット基体装置に保持された前記ロボット側携帯装置の前記制御発光領域の制御光を検出し、制御光データを得る発光検出手段と、
前記発光検出手段からの制御光データに基づいて、少なくとも、前記ロボット側携帯装置を保持する保持部を前記駆動部によって移動させるよう制御するロボット側制御手段と、
を備えたロボットシステム。
【請求項2】
操作側携帯装置から送信されてきた操作側撮像画像をタッチディスプレイに表示する撮像画像表示手段と、
カメラによって撮像したロボット側撮像画像を、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記操作側携帯装置に送信する撮像画像送信手段と、
前記操作側携帯装置から送信されてきた制御データを受信する制御データ受信手段と、
ロボット側携帯装置を保持するロボット基体装置に設けられた発光検出部によって制御光を受光し、制御光による制御光データに基づいてロボット基体装置の駆動部を制御させるために、前記タッチディスプレイの少なくとも一部を制御発光領域とし、前記制御データに基づいて当該制御発光領域の発光を制御して、制御光を送出する発光制御手段と、
を備えたロボット側携帯装置。
【請求項3】
ロボット側携帯装置をコンピュータによって実現するためのロボット側携帯装置プログラムであって、コンピュータを、
操作側携帯装置から送信されてきた操作側撮像画像をタッチディスプレイに表示する撮像画像表示手段と、
カメラによって撮像したロボット側撮像画像を、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記操作側携帯装置に送信する撮像画像送信手段と、
前記操作側携帯装置から送信されてきた制御データを受信する制御データ受信手段と、
ロボット側携帯装置を保持するロボット基体装置に設けられた発光検出部によって制御光を受光し、制御光による制御光データに基づいてロボット基体装置の駆動部を制御させるために、前記タッチディスプレイの少なくとも一部を制御発光領域とし、前記制御データに基づいて当該制御発光領域の発光を制御して、制御光を送出する発光制御手段として機能させるためのロボット側携帯装置プログラム。
【請求項4】
本体部と、
駆動部によって前記本体部に対して移動可能に設けられた保持部であって、ロボット側携帯装置のタッチディスプレイに対向してタッチディスプレイを物理的に保持するための保持壁を有する保持部と、
発光検出部によって、前記保持部によりロボット基体装置に保持された前記ロボット側携帯装置の制御発光領域の制御光を検出し、制御光データを得る発光検出手段と、
前記発光検出手段からの制御光データに基づいて、少なくとも、前記ロボット側携帯装置を保持する保持部を前記駆動部によって移動させるよう制御するロボット側制御手段と、
を備えたロボット基体装置。
【請求項5】
コンピュータによってロボット基体装置を実現するためのロボット基体装置プログラムであって、コンピュータを、
発光検出部によって、保持部により前記ロボット基体装置に保持されたロボット側携帯装置制御発光領域の制御光を検出し、制御光データを得る発光検出手段と、
前記発光検出手段からの制御光データに基づいて、少なくとも、前記ロボット側携帯装置を保持する保持部を駆動部によって移動させるよう制御するロボット側制御手段として機能させるためのロボット基体装置プログラム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記駆動部は、ロボット側携帯装置を保持した保持部を回転させるモータを備えることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記駆動部は、少なくとも、ロボット基体装置に設けられたアーム部材を駆動させることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記ロボット側携帯装置の発光制御手段は、受信した制御データに応じて、ディユーティ比の異なる制御光を前記制御発光領域から出力することを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項9】
請求項8のシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記発光制御手段は、少なくとも、前記制御データが駆動部を駆動させる操作内容であるか、停止させる操作内容であるかに応じて、前記制御光のデューティ比を変えることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項10】
請求項9のシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記駆動部は、ロボット側携帯装置を保持した保持部を回転させるモータを備え、
前記発光制御手段は、少なくとも、前記制御データがモータを右回転させる操作内容であるか、左回転させる操作内容であるか、停止させる操作内容であるかに応じて、前記制御光のデューティ比を変えることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
操作側携帯装置またはロボット側携帯装置は、スマートフォンまたはタブレットコンピュータであることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔などから制御を行うことのできるロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
離れた場所からロボットを制御するシステムが提案されている。たとえば、特許文献1には、タブレットを装着可能な自走ロボットが開示されている。ユーザは、このタブレットを自走ロボットから取り外し、手元で自走ロボットに設けられたカメラや各部の動きを制御できる。この際、タブレットからの制御信号は、インターネットのサーバ装置を介してロボットに与えられる。
【0003】
これにより、ユーザによるロボットの制御を手元で行うことができ、操作が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-50018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような従来技術では、携帯端末装置であるタブレットからインターネットを介してロボットに制御信号を与えるために、ロボット側に通信装置を設ける必要がある。
【0006】
また、特許文献1においては、通常時、操作のためのタブレットをロボットに装着しておく構成となっているため、他のユーザが有するタブレットにて、本格的な遠隔操作を行うことは難しかった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決して、簡易な構成でありながら、遠隔操作を行うことのできるロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の独立して適用可能ないくつかの特徴を以下に列挙する。
【0009】
(1)-(7)この発明に係るロボットシステムは、操作側携帯装置とロボット側携帯装置とロボット基体装置とを備えたロボットシステムにおいて、
前記操作側携帯装置は、ロボット側携帯装置から送信されてきたロボット側撮像画像をタッチディスプレイに表示する撮像画像表示手段と、カメラによって撮像した操作側撮像画像を、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記ロボット側携帯装置に送信する撮像画像送信手段と、タッチディスプレイに入力されたユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、前記受け付けた操作を制御データとして、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記ロボット側携帯装置に送信する制御データ送信手段とを備え、
前記ロボット側携帯装置は、操作側携帯装置から送信されてきた操作側撮像画像をタッチディスプレイに表示する撮像画像表示手段と、カメラによって撮像したロボット側撮像画像を、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記操作側携帯装置に送信する撮像画像送信手段と、前記操作側携帯装置から送信されてきた制御データを受信する制御データ受信手段と、前記タッチディスプレイの少なくとも一部を制御発光領域とし、前記制御データに基づいて当該制御発光領域の発光を制御し、制御光を送出する発光制御手段とを備え、
前記ロボット基体装置は、本体部と、駆動部によって前記本体部に対して移動可能に設けられた保持部であって、前記ロボット側携帯装置のタッチディスプレイに対向してタッチディスプレイを物理的に保持するための保持壁を有する保持部と、発光検出部によって、前記保持部により前記ロボット基体装置に保持された前記ロボット側携帯装置の前記制御発光領域の制御光を検出し、制御光データを得る発光検出手段と、前記発光検出手段からの制御光データに基づいて、少なくとも、前記ロボット側携帯装置を保持する保持部を前記駆動部によって移動させるよう制御するロボット側制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
したがって、簡易な構造でありながら、離れた場所からロボット側携帯装置のカメラの向きを制御することができる。
【0011】
(8)この発明に係るシステムは、駆動部は、ロボット側携帯装置を保持した保持部を回転させるモータを備えることを特徴としている。
【0012】
したがって、遠隔操作によってモータによる回転駆動を行うことができる。
【0013】
(9)この発明に係るシステムは、駆動部は、少なくとも、ロボット基体装置に設けられたアーム部材を駆動させることを特徴としている。
【0014】
したがって、遠隔操作によって、アーム部材を駆動させることができる。
【0015】
(10)この発明に係るシステムは、ロボット側携帯装置の発光制御手段は、受信した制御データに応じて、ディユーティ比の異なる制御光を前記制御発光領域から出力することを特徴としている。
【0016】
したがって、ノイズの影響を受けにくく簡易な構成で制御を行うことができる。
【0017】
(11)この発明に係るシステムは、発光手段は、少なくとも、前記制御データが駆動部を駆動させる操作内容であるか、停止させる操作内容であるかに応じて、前記制御光のデューティ比を変えることを特徴としている。
【0018】
したがって、停止についても制御データを送るようにしているので、誤判断を減少させることができる。
【0019】
(12)この発明に係るシステムは、駆動部は、ロボット側携帯装置を保持した保持部を回転させるモータを備え、発光御手段は、少なくとも、前記制御データがモータを右回転させる操作内容であるか、左回転させる操作内容であるか、停止させる操作内容であるかに応じて、前記制御光のデューティ比を変えることを特徴としている。
【0020】
したがって、右回転、左回転、停止の制御を確実に行うことができる。
【0021】
(13)この発明に係るシステムは、操作側携帯装置またはロボット側携帯装置は、スマートフォンまたはタブレットコンピュータであることを特徴としている。
【0022】
したがって、スマートフォンやタブレットコンピュータのカメラやディスプレイを利用してロボットシステムを構築することができる。
【0023】
(14)-(18)この発明に係る制御システムは、操作側装置と被操作側表示装置と被操作側本体装置とを備えた制御システムにおいて、
前記操作側装置は、操作入力部に入力されたユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、前記受け付けた操作を制御データとして、サーバ装置を介してあるいは直接に、送信部によって前記被操作側表示装置に送信する制御データ送信手段とを備え、
前記被操作側表示装置は、前記操作側装置から送信されてきた制御データを受信する制御データ受信手段と、ディスプレイの少なくとも一部を制御発光領域とし、前記制御データに基づいて当該制御発光領域から制御光を出力する発光制御手段とを備え、
前記被操作側本体装置は、前記被操作側表示装置のディスプレイに対向してディスプレイを物理的に保持するための保持壁を有する保持部と、前記保持部によって前記被操作側本体装置に保持された前記被操作側表示装置の前記制御発光領域の制御光を検出し、制御光データを得る発光検出部と、前記発光検出部からの制御光データに基づいて、制御処理を行う被操作本体装置側制御手段とを備えている。
【0024】
したがって、簡易な構造でありながら、離れた場所から被操作装置による制御を行うことができる。
【0025】
(19)-(23)この発明に係るテレビ電話システムは、操作側テレビ電話装置と被操作側テレビ電話装置を有するテレビ電話システムにおいて、
前記操作側テレビ電話装置は、操作入力部に入力されたユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、前記受け付けた操作を制御データとして、送信部によって前記被操作側テレビ電話装置に送信する制御データ送信手段とを備え、
被操作側テレビ電話装置は、前記操作側テレビ電話装置から送信されてきた制御データを受信する制御データ受信手段と、当該制御データに基づいて、被操作側テレビ電話装置のカメラまたはマイクの向きを変える被操作側制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0026】
したがって、テレビ電話中に、通話相手のカメラやマイクの向きを制御することができ、自らが見やすい画像、聞きやすい音声を得ることができる。
【0027】
この発明において、操作側携帯装置の「撮像画像表示手段」は、実施形態においては、ステップS3がこれに対応する。
【0028】
操作側携帯装置の「撮像画像送信手段」は、実施形態においては、ステップS1がこれに対応する。
【0029】
「操作受付手段」は、実施形態においては、ステップS4、S5がこれに対応する。
【0030】
「制御データ送信手段」は、実施形態においては、ステップS7がこれに対応する。
【0031】
ロボット側携帯装置の「撮像画像表示手段」は、実施形態においては、ステップS43がこれに対応する。
【0032】
ロボット側携帯装置の「撮像画像送信手段」は、実施形態においては、ステップS41がこれに対応する。
【0033】
「制御データ受信手段」は、実施形態においては、ステップS44がこれに対応する。
【0034】
「発光制御手段」は、実施形態においては、ステップS45がこれに対応する。
【0035】
「発光検出手段」は、実施形態においては、ステップS61がこれに対応する。
【0036】
「ロボット側制御手段」は、実施形態においては、ステップS62がこれに対応する。
【0037】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】この発明の一実施形態によるロボットシステムのシステム構成である。
図2】ロボットシステムの機能構成図である。
図3】スマートフォン10(30)の外観を示す図である。
図4】スマートフォン10(30)のハードウエア構成である。
図5a】ロボット基体装置50の外観図である。
図5b】ロボット基体装置50の保持部50の断面図である。
図5c】ロボット基体装置50の断面図である。
図6】ロボット基体装置50のハードウエア構成である。
図7】サーバ装置70のハードウエア構成である。
図8】操作処理のフローチャートである。
図9】操作処理のフローチャートである。
図10】操作側スマートフォン10に表示された画像例である。
図11】操作側スマートフォン10に表示された画像例である。
図12】制御内容を判断するためのテーブルである。
図13】上下駆動を行うための機構を示す図である。
図14】制御発光領域を複数設けた場合を示す図である。
図15】クロック光とデータ光を設けた場合の例である。
図16】アームの構造を示す図である。
図17】他の実施形態による制御システムの機能構成図である。
図18】他の実施形態による構成例である。
図19】クリップ33のフォトトランジスタによって制御光を受光する例を示す図である。
図20】他の実施形態によるテレビ電話システムの機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
1.システム構成
図1に、この発明の一実施形態によるロボットシステムの全体構成を示す。ロボット基体装置50には、ロボット側携帯装置30が装着されている。ロボット基体装置50と、サーバ装置70を介して互いに通信可能なように、離れた位置に操作側携帯装置10が設けられている。
【0040】
図2に、ロボットシステムの機能構成を示す。操作側携帯装置10のカメラ14によって、操作側携帯装置10を持つ操作側ユーザの画像が撮像される。撮像画像送信手段20は、通信部24によって、撮像画像をロボット側携帯装置30に送信する。
【0041】
ロボット側携帯装置30の撮像画像表示手段38は、受信した撮像画像をディスプレイ32に表示する。これにより、ロボット側ユーザは、操作側ユーザの様子を見ることができる。
【0042】
ロボット側携帯装置30のカメラ34によって、ロボット側携帯装置30近くにいるロボット側ユーザの画像が撮像される。撮像画像送信手段40は、通信部44によって、撮像画像を操作側携帯装置10に送信する。
【0043】
操作側携帯装置10の撮像画像表示手段18は、受信した撮像画像をディスプレイ12に表示する。これにより、操作側ユーザは、ロボット側ユーザの様子を見ることができる。
【0044】
操作側ユーザにより、操作側携帯装置10の入力部16から制御データが入力されると、制御データ送信手段22は、通信部24によってこの制御データをロボット側携帯装置30に送信する。
【0045】
ロボット側携帯装置30の制御データ受信手段42は、この制御データを受信して、発光制御手段36に与える。発光制御手段36は、この制御データに基づいて、ディスプレイ32の一部に設けられた制御発光領域を点滅させて、制御光を放出する。
【0046】
ロボット側携帯装置30を保持するロボット基体装置50の発光検出手段32は、この制御光を受けて制御光データを得る。この制御光データは、ロボット側制御手段55に与えられる。ロボット側制御手段55は、制御光データに基づいて、駆動部57を制御する。駆動部57は、ロボット側携帯装置30を保持する保持部を移動させる。これにより、ロボット側携帯装置30のカメラ34の向きも変更されて、操作側携帯装置10において表示される画像の向きも変化する。
【0047】
以上のようにして、操作側ユーザの操作指令(制御データ)に基づいて、ロボット側携帯装置30のカメラ34の向きを変えて、撮像方向を制御することができる。したがって、操作側ユーザは、あたかも、ロボット側携帯装置30の側に自分の分身がいるかのごとくの操作を行うことができる。
【0048】
2.各装置の構成
図3に、操作側端末装置であるスマートフォン10の外観を示す。ロボット側端末装置であるスマートフォン30の外観も同様であるので、括弧内にその符号を示す。
【0049】
スマートフォン10(30)の前面には、タッチスクリーン64(84)が設けられている。右側にはスピーカ66(86)、カメラ72(92)が設けられている。左側にはマイク70(90)が設けられている。
【0050】
なお、ロボット側端末装置であるスマートフォン30のタッチスクリーン84には、その下方中央部に制御発光領域31が設けられている。この制御発光領域31は、制御光を発光する領域として使用される。
【0051】
図4に、スマートフォン10(30)のハードウエア構成を示す。CPU60(80)には、メモリ62(82)、タッチディスプレイ64(84)、スピーカ66(86)、不揮発性メモリ68(88)、マイク70(90)、カメラ72(92)、通信回路74(94)が接続されている。なお、電話のための通話回路などは省略している。
【0052】
通信回路74(94)は、インターネットに接続するための回路である。不揮発性メモリ68(88)には、オペレーティングシステム76(96)、操作側端末プログラム78(ロボット側端末プログラム98)が記録されている。
【0053】
操作側端末プログラム78(ロボット側端末プログラム98)は、オペレーティングシステム76(96)と協働してその機能を発揮するものである。
【0054】
図5aに、ロボット基体装置50の外観を示す。本体部52には、4本の脚58が設けられ、机などの上に安定して載置できるようになっている。本体部52の上部には、保持部54が設けられている。保持部54の上面には、図1に示すようにスマートフォン30を保持するための凹部56が設けられている。
【0055】
図5bに、凹部56に装着されたスマートフォン30の中央付近の、ロボット基体装置50の断面を示す。図に示すように、スマートフォン30のタッチディスプレイ84が上に向くように、傾けて保持できるようになっている。保持部54には、装着されたスマートフォン30のタッチディスプレイ84の制御発光領域31に対向するように、光検出部であるフォトトランジスタ51が設けられている。
【0056】
図5cに、ロボット基体装置50の断面図を示す。本体部52には、ステッピングモータ108と制御回路101が設けられている。保持部54は、本体部52に設けられたステッピングモータ108の軸に固定されている。したがって、ステッピングモータ108を回転させることで、保持部54の向きを変えることができる。これにより、保持部54の凹部56に装着されたスマートフォン30の向きを変えることができる。
【0057】
なお、図5cに示された凹部56の反対側の壁には、図5bに示すフォトトランジスタ51が設けられている。
【0058】
図6に、ロボット基体装置50の制御回路101のハードウエア構成を示す。CPU100には、メモリ102、不揮発性メモリ104、波形整形回路107、ドライバ回路109が接続されている。
【0059】
フォトトランジスタ106からの信号は、波形整形回路107にて整形されてデータとしてCPU100に与えられる。ドライバ回路109は、CPU100の指令に基づいて、ステッピングモータ108を駆動させる回路である。
【0060】
不揮発性メモリ104には、オペレーティングシステム110、ロボット基体プログラム112が記録されている。ロボット基体プログラム112は、オペレーティングシステム110と協働してその機能を発揮するものである。なお、オペレーティングシステムを用いずに、ロボット基体プログラム112単独で動作するように構成してもよい。
【0061】
図7に、サーバ装置のハードウエア構成を示す。CPU120には、メモリ122、ハードディスク124、通信回路126が接続されている。通信回路126は、インターネットに接続するためのものである。
【0062】
ハードディスク124には、オペレーティングシステム128、サーバプログラム130が記録されている。サーバプログラム130は、オペレーティングシステム128と協働してその機能を発揮するものである。
【0063】
3.ロボット操作
図8、9に、ロボット操作のフローチャートを示す。操作側スマートフォン10のCPU60(以下、操作側スマートフォン10と省略することがある)は、マイク70からの音声データ、カメラ72からの画像データを取得し、通信回路74によって、サーバ装置70に送信する(ステップS1)。
【0064】
サーバ装置70のCPU120(以下、サーバ装置70と省略することがある)は、通信回路126によって、インターネットを介してこの音声データ、画像データを受信し、ロボット側スマートフォン30に転送する(ステップS21)。
【0065】
ロボット側スマートフォン30のCPU80(以下、ロボット側スマートフォン30と省略することがある)は、通信回路94によって、インターネットを介して、音声データ、画像データを受信する(ステップS42)。ロボット側スマートフォン30は、受信した音声データをスピーカ86から出力し、受信した画像データをタッチディスプレイ84に表示する(ステップS43)。
【0066】
したがって、ロボット側ユーザは、スマートフォン30によって、操作側ユーザの画像や音声を得ることができる。なお、ロボット側スマートフォン30のタッチディスプレイ84の制御発光領域31およびその近傍は、保持部54によって隠された状態となり、その部分の表示をロボット側ユーザは見ることはできない。しかし、隠された領域を小さくすることで、視認性を損なわないようにしている。
【0067】
ロボット側スマートフォン30は、マイク90からの音声データ、カメラ92からの画像データを取得し、通信回路94によって、サーバ装置70に送信する(ステップS41)。
【0068】
サーバ装置70は、通信回路126によって、インターネットを介してこの音声データ、画像データを受信し、操作側スマートフォン10に転送する(ステップS21)。
【0069】
操作側スマートフォン10は、通信回路74によって、インターネットを介して、音声データ、画像データを受信する(ステップS2)。操作側スマートフォン10は、受信した音声データをスピーカ66から出力し、受信した画像データをタッチディスプレイ64に表示する(ステップS3)。
【0070】
したがって、操作側ユーザは、スマートフォン10によって、ロボット側ユーザの画像や音声を得ることができる。たとえば、図10に示すように、ロボット側ユーザの顔やその背景を見ることができる。
【0071】
また、操作側スマートフォン10は、画面上に操作ボタン(制御マーク)13を表示する(ステップS3)。操作ボタン13には、右回転ボタン13aと左回転ボタン13bが含まれる。
【0072】
操作側ユーザが右回転ボタン13aをタップすると、そのタップの期間だけロボット側スマートフォン30の向きが右側に回転される。同様に、左回転ボタン13bをタップすると、そのタップの期間だけロボット側スマートフォン30の向きが左側に回転される。
【0073】
たとえば、図10の状態において、操作側ユーザが右回転ボタン13aをタップしたとする。操作側スマートフォン10は、この右回転の制御入力を受けて、右回転制御データをサーバ装置70に送信する(ステップS5、S7)。
【0074】
同様に、図10の状態において、操作側ユーザが左回転ボタン13bをタップしたとする。操作側スマートフォン10は、この左回転の制御入力を受けて、左回転制御データをサーバ装置70に送信する(ステップS5、S7)。
【0075】
また、操作側ユーザが、いずれのボタン13a、13bもタップしていない時には、操作側スマートフォン10は、常時、停止制御データをサーバ装置70に送信する(ステップS6、S7)。これは、ノイズなどの影響で、誤って、回転が行われないようにするためである。
【0076】
ロボット側スマートフォン30は、この制御データを受信する(ステップS44)。以下では右回転制御データを受けたものとして説明を行う。ロボット側スマートフォン30は、右回転制御データに対応する制御光にて、タッチディスプレイ84の制御発光領域31(図3参照)を点滅させる(ステップS45)。
【0077】
この実施形態では、10Hzにて点滅する制御光を用いるようにし、制御内容に応じて、制御光の点灯デューティ比(1周期の時間に対する点灯時間の比率)を変えるようにしている。たとえば、この実施形態では、右回転制御データであればデューティ比を15%とし、左回転制御データであればデューティ比を85%としている。また、停止制御データであればデューティ比を50%としている。ここでは、上述のように右回転制御データであるから、15%のデューティ比の制御光を出す。
【0078】
タッチディスプレイ84の制御発光領域31から放出された制御光は、ロボット基体装置50の保持部54に設けられたフォトトランジスタ51によって受光される(図5b参照)。フォトトランジスタ51は、制御光に応じたパルス信号(制御光データ)を出力する。ロボット基体装置50のCPU100(以下、ロボット基体装置50と省略することがある)は、波形整形回路107(図6参照)を介して、この制御光データを取得する(ステップS61)。
【0079】
ロボット基体装置50は、制御光データのオン・デューティー比を検出し、これによって制御データの内容が、右回転、左回転、停止のいずれであるかを判断する。この実施形態では、図12に示すようなテーブルに基づいて、制御データの内容を判断している。
【0080】
ここでは、15%のデューティ比の制御光に基づく制御光データであるから、この制御光データもデューティ比は15%となる。したがって、ロボット基体装置50は、右回転指令が与えられたと判断し、ドライバ回路109を制御して、ステッピングモータ108を右回転させる(ステップS62)。なお、ロボット基体装置50は、右回転指令が与えられている間は継続して、ステッピングモータ108を回転し続ける。
【0081】
これにより、保持部54が右回転し、保持部54に装着されているロボット側スマートフォン30も全体的に回転する。したがって、ロボット側スマートフォン30のカメラ92の撮像アングルも変化する。
【0082】
図8図9のフローチャートでは、音声・画像の送信と、制御データの送信が順次行われるように示されているが、実際には、双方の処理は並列して行われる。したがって、図10の状態から、操作側ユーザが右回転ボタン13aをタップすると、当該タップの時間に応じて、たとえば図11のような、右回転したロボット側スマートフォン30のカメラ92が撮像した画像を得ることができる。操作側ユーザは、表示された画像を見ながら、所望の位置まで回転をさせることができる。
【0083】
これにより、操作側ユーザは、通話相手であるロボット側ユーザのカメラ92の向きを自由に調整して、自らが希望するアングルの画像を得ることができる。
【0084】
4.その他
(1)上記実施形態では、サーバ装置70を介して、操作側スマートフォン10とロボット側スマートフォン30がやりとりをしている。しかし、サーバ装置70を介さずに、ブルーツース、Wifiなどによって直接やりとりを行うようにしてもよい。あるいは、サーバ装置以外の装置を介してやり取りを行うようにしてもよい。
【0085】
(2)上記実施形態では、発光検出部としてフォトトランジスタ51を用いている。しかし、カメラなどを用いて検出するようにしてもよい。
【0086】
(3)上記実施形態では、右回転ボタン13a、左回転ボタン13bをタップしている間だけ、回転を行うようにしている。しかし、ボタンをタップするごとに、所定角度(たとえば5度)だけ回転を行うようにしてもよい。
【0087】
(4)上記実施形態では、制御光のデューティ比を変えることで、制御データの内容(右回転、停止、左回転)を示すようにしている。しかし、制御光の位相、周波数、振幅などを変えたり、これらと組み合わせたりして、制御データの内容を示すようにしてもよい。
【0088】
また、上記では、右回転、左回転、停止だけであるが、デューティ比を細かく(10%ごとなどに)設定することで、さらに多くの制御内容を示すことができる。
【0089】
たとえば、ロボット基体装置50において、保持部54を左右だけでなく、上下にも駆動するように構成する。その上で、右回転、左回転、停止、上回転、下回転、停止を、それぞれ、10%、30%、50%、70%、90%のデューティ比に設定する。このようにすれば、左右だけでなく上下も制御することができる。
【0090】
上下左右にスマートフォン30を回転させるためのロボット基体装置50を、図13に示す。本体部52の上に、保持部54が設けられている。保持部54は、第1ベース部材54a、垂直部材54b、第2ベース部材54c、溝状部材54dを備えている。
【0091】
矢印X方向に回転可能なように第1ベース54が設けられている。その回転機構は、図5cと同様である。第1ベース部材54aの円周の一端に、垂直方向に延びる垂直部材54bが設けられており、第1ベース部材54aが回転すると同じように回転する。
【0092】
垂直部材54bには、矢印Y方向に回転する第2ベース部材54cが設けられている。その回転機構は、図5cと同様である。第2ベース部材54aの円周の一端に、溝状部材54dが設けられており、第2ベース部材54aが回転すると同じように回転する。
【0093】
溝状部材54dはコ字状の溝を有しており、スマートフォン30の下端をこの溝によって保持する。したがって、スマートフォン30に設けられたカメラ(図示せず)は、第1ベース部材54a、第2ベース部材54dの回転によって、上下左右方向に回転することになる。なお、溝状部材54dには、図5bと同じようにフォトトランジスタ51が設けられている。
【0094】
図13のようなロボット基体装置50を制御する場合、図10に示す左右の矢印ボタン13a、13bだけでなく、上下の矢印ボタンを設けることが好ましい。
【0095】
(5)上記実施形態では、制御発光領域31を1カ所だけ設けている。しかし、複数箇所設ければ、さらに多くの制御内容を実現することができる。たとえば、図14に示すように、2つの制御発光領域31a、31bを設けることで、2種類の制御信号を同時に送ることができる。この場合、保持部54には、制御発光領域31a、31bのそれぞれに対応して、フォトトランジスタ51を設ける。
【0096】
また、制御発光領域31aから発する制御光をクロック光とし、制御発光領域31bから、「1」「0」によって示されるデータ光を発するようにしてもよい。クロック光の立ち上がりの際のデータ光の値によって、「1」「0」を送信するものである。これにより「1」「0」の組合せによって多くの情報を伝達して複雑な制御を行うことができる。
【0097】
(6)上記実施形態では、携帯端末装置としてスマートフォン10(30)を用いている。しかし、タブレットコンピュータやPDAなどを用いてもよい。また、携帯端末装置に代えて、据え置き型のPCなどを用いてもよい。この場合、ロボット側においては、少なくともカメラ92を保持部64に保持して駆動させるようにしてもよい。
【0098】
(7)上記実施形態では、操作側ユーザがロボット側スマートフォン30の向きを変える制御を行うようにしている。しかし、その他の駆動制御を行うようにしてもよい。
【0099】
たとえば、図16Aに示すような腕構造(アーム機構)を駆動制御するようにしてもよい。この構造は、ロボット基体装置50の保持部54の左右に取り付けることができる。腕固定部152は、保持部54に固定される。腕固定部152には、A方向に回転可能に、第1回転部154が取り付けられている。第1回転部154には、B方向に回転可能に、第2回転部156が取り付けられている。
【0100】
図16Bに、腕構造の内部機構を示す。腕固定部152の内部には、腕固定部ベース部材152aが設けられている。腕固定部ベース部材152aの外側を筐体で覆うことにより、腕固定部152が構成されている。
【0101】
腕固定部ベース部材152aには、回転軸162が回転可能に設けられている。この回転軸162は、ステッピングモータ(図示せず)によって矢印A方向に回転可能に構成されている。回転軸162には、第1回転部154の第1回転部ベース部材154aが固定されている。第1回転部ベース部材154aの外側を筐体で覆うことにより、第1回転部154が構成されている。したがって、ステッピングモータを制御することで、腕固定部152に対して、第1回転部154を矢印A方向に回転させることができる。
【0102】
第1回転部ベース部材154aには、回転軸164によって、第2回転部ベース部材156aが回転可能に固定されている。この回転軸164は、他のステッピングモータ(図示せず)によって矢印B方向に回転可能に構成されている。回転軸164には、第2回転部ベース部材156aが固定されている。第2回転ベース部材156aの外側を筐体で覆うことにより、第2回転部156が構成されている。したがって、ステッピングモータを制御することで、第1回転部154に対して、第2回転部156を矢印B方向に回転させることができる。
【0103】
このように、腕機構を設けることで、ロボットの表現力を増すことができる。なお、ロボット基体装置50の保持部54を本体部52に対して固定構造として、腕機構のみを制御するようにしてもよい。
【0104】
(8)上記実施形態では、ロボット基体装置50に装着されたロボット側スマートフォン30の向きを、操作側から制御するようにしている。しかし、ロボット側基体装置50が、種々の作業を行うロボットである場合、操作側からロボットに対して指示を与えて、作業を行うことができる。たとえば、お料理ロボットである場合、操作側からお料理ロボットを制御して料理を行いつつ、ロボット側ユーザに対して、画像・音声による通話を併用して料理の指導を行うことができる。
【0105】
すなわち、この発明によれば、ロボットにスマートフォンを装着することで、ロボットを遠隔で制御しつつ、画像・音声による通話を行うことができる。また、遠隔から、ロボット側スマートフォン30のカメラやマイクの角度を制御できるので、ロボット側の状況を正確に知ることができる。
【0106】
(9)上記実施形態では、ロボット基体装置50の機構を、操作側から駆動する制御を説明した。しかし、ロボット基体装置50とは別の装置の機構を駆動するように制御してもよい。たとえば、ロボット基体装置50とは別体として構成されているお掃除ロボットの動作を、制御するようにしてもよい。
【0107】
また、機構を駆動させる制御ではなく、その他の制御一般に用いることができる。図17に、その機能構成を示す。
【0108】
操作側装置10の入力部14を操作して、操作側ユーザが入力を行うと、操作受付手段16はこれを受け付ける。制御データ送信手段22は、通信部24によって、受け付けた入力に応じた制御データを、被操作側表示装置30に送信する。
【0109】
被操作側表示装置30の制御データ受信手段42は、通信部44によってこれを受信する。発光制御手段36は、制御データに対する制御光を、ディスプレイ32の一部領域から放出する。
【0110】
被操作側本体装置50の発光検出手段52は制御光を受光する。被操作本体側制御手段54は、制御光に基づいて、所定の制御をおこなう。
【0111】
たとえば、図18に示すように、ロボット側のディスプレイ180(テレビ会議のディスプレイ)の画面184の下部を支持部材186で覆う。画面184には、制御発光領域31a、31b、31c、31d、31eが設けられている。これに対向するように、支持部材186の内部には、フォトトランジスタが設けられる。カメラ182により、この部屋の様子は、相手方(操作側)タブレットなどに送信される。
【0112】
操作側ユーザは、タブレットを操作して制御データを送ることで、フォトトランジスタがこれを取得し、たとえば、この部屋の照明の輝度を変更することができる。あるいは、カメラ182の倍率やフォーカスなどを制御することもできる。
【0113】
以上のように、この発明においてロボットとは、駆動するものだけでなく、何らかの制御を行うものを含む概念である。
【0114】
(10)上記実施形態では、制御光として光の点滅を利用している。しかし、これに代えて、あるいはこれに加えて、光の色を用いて情報を伝達するようにしてもよい。この場合、カラーを検出可能なフォトトランジスタや、カメラなどを用いることになる。
【0115】
(11)上記実施形態では、光の点滅によって情報を伝達するようにしている。しかし、制御発光領域31にQRコードなどのコードを表示し、これを読み取るようにしてもよい。
【0116】
(12)上記実施形態では、図10に示すようなボタン13a、13bをタップすることで回転指令を与えるようにしている。しかし、画面上を指でスライドすることで、その方向にカメラを回転させる指令を与えるようにしてもよい。
【0117】
(13)上記実施形態では、スマートフォン30のタッチディスプレイ84における制御発光領域31の位置を予め定めている。しかし、凹部56への装着による位置的な静電容量の変化(タッチ入力があったとは判定されないレベルの変化であることが好ましい)を、スマートフォン30が自ら検出し、当該部分を制御発光領域31とするようにしてもよい。このようにすれば、装着位置がずれたとしても制御光を確実に伝達することができる。
【0118】
(14)上記実施形態では、スマートフォン30の下部に制御発光領域31を設け、この部分にてスマートフォン30を支えるようにしている。しかし、上部、側部などに制御発光領域31を設けて、この部分にてスマートフォン30を支えるようにしてもよい。
【0119】
また、図19A図19Bに示すように、ロボット側スマートフォン30のタッチディスプレイ84の任意の位置をクリップ33で覆うようにしてもよい。クリップ33には、フォトダイオードが設けられ、その信号は、制御線(図示せず)あるいは無線によって、ロボットに伝達される。この場合、制御発光領域31は、前述のようにスマートフォン30自らが設定するようにすることが好ましい。
【0120】
(15)上記実施形態では、ロボット基体装置50とロボット側携帯装置30を別装置として構成している。しかし、これらを一体としてロボット装置としてもよい。この場合には、制御データを制御光に変換せず、受信した制御データをそのまま用いるようにしてもよい。
【0121】
これにより、たとえば、テレビ電話において、相手方のカメラ(やマイク)の向きを制御したりすることができる。図20にその機能構成を示す。
【0122】
操作側テレビ電話装置10の入力部14を操作して、操作側ユーザが入力を行うと、操作受付手段16はこれを受け付ける。制御データ送信手段22は、通信部24によって、受け付けた入力に応じた制御データを、被操作側テレビ電話装置30に送信する。
【0123】
被操作側テレビ電話装置30の制御データ受信手段42は、通信部44によってこれを受信する。被操作側制御手段36は、制御データに基づいて、カメラやマイク34の向きを変える。したがって、被操作側テレビ電話装置30から送信される画像や音声を、操作側ユーザが調整することができる。
【0124】
なお、上記のようなテレビ電話システムは、図1の構成によっても実現することができる。
【0125】
(16)上記実施形態では、ステッピングモータを用いている。しかし、これに代えて、サーボモータなどの通常のモータを用いるようにしてもよい。
【0126】
(17)上記に示した各変形例は、互いに組み合わせて実施可能である。
【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構成で、遠隔操作を行うことのできるロボットシステムを提供する。
【解決手段】操作側ユーザにより、操作側携帯装置10の入力部から制御データが入力されると、制御データ送信手段は、制御データをロボット側携帯装置30に送信する。ロボット側携帯装置30の制御データ受信手段は、この制御データを受信して、発光制御手段に与える。発光制御手段は、この制御データに基づいて、ディスプレイの一部に設けられた制御発光領域を点滅させて、制御光を放出する。ロボット側携帯装置30を保持するロボット基体装置50の発光検出手段は、この制御光を受けて制御光データを得る。ロボット側制御手段は、制御光データに基づいて、駆動部を制御する。駆動部は、ロボット側携帯装置30を保持する保持部を移動させる。これにより、ロボット側携帯装置30のカメラの向きも変更されて、操作側携帯装置10において表示される画像の向きも変化する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20