(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】降積雪情報提供システム及び降積雪情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G01W 1/10 20060101AFI20220121BHJP
G01W 1/14 20060101ALI20220121BHJP
E01H 5/10 20060101ALI20220121BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20220121BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
G01W1/10 B
G01W1/14 Z
E01H5/10 B
G08C15/00 E
G08C19/00 U
(21)【出願番号】P 2018025967
(22)【出願日】2018-02-16
【審査請求日】2020-10-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構 イノベーションハブ構築支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501138231
【氏名又は名称】国立研究開発法人防災科学技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】518056575
【氏名又は名称】株式会社スノーテック新潟
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100088041
【氏名又は名称】阿部 龍吉
(72)【発明者】
【氏名】山口 悟
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆幸
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-127098(JP,A)
【文献】特開平11-118947(JP,A)
【文献】特開2000-346959(JP,A)
【文献】特開2006-009479(JP,A)
【文献】特開2012-046976(JP,A)
【文献】特開2008-150898(JP,A)
【文献】特開平05-230813(JP,A)
【文献】特開2002-163299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 1/00 -15/00 、
G01W 1/00 - 1/18 、
G08C13/00 -25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の場所に設置され、それぞれの場所で単位時間当たりの降雪量データを取得する降雪センサーと、前記降雪センサーで取得された降雪量データに基づいてオンオフが制御される消雪パイプと、を少なくとも有する消雪パイプユニットを含む降積雪情報提供システムであって、
前記消雪パイプユニットには、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部が設けられ、前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信
し、
通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データの表示を行うデータ表示部と、を少なくとも有する情報処理装置と、をさらに含み、
前記装置側通信部が、前記ユニット側通信部から送信された降雪量データを受信し、
前記情報処理装置の前記演算処理部は、受信した降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データに基づいて累積降雪量のコンターデータを作成し、
前記情報処理装置の前記演算処理部は、受信した降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データと降雪の溶解と沈降とに基づいて、積雪量のコンターデータを作成することを特徴とする降積雪情報提供システム。
【請求項2】
複数の場所に設置され、それぞれの場所で単位時間当たりの降雪量データを取得する降雪センサーと、前記降雪センサーで取得された降雪量データに基づいてオンオフが制御される消雪パイプと、を少なくとも有する消雪パイプユニットを含む降積雪情報提供システムであって、
前記消雪パイプユニットには、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部が設けられ、前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信し、
通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データの表示を行うデータ表示部と、を少なくとも有する情報処理装置と、をさらに含み、
前記装置側通信部が、前記ユニット側通信部から送信された降雪量データを受信し、
前記情報処理装置の前記演算処理部は、受信した降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データに基づいて累積降雪量のコンターデータを作成すると共に、
地図データ上に累積降雪量のコンターデータを描画する際には、地図データの領域毎でコンター間隔の疎密を変更することを特徴とする降積雪情報提供システム。
【請求項3】
前記情報処理装置の前記データ表示部は、作成された累積降雪量のコンターデータを表示することを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の降積雪情報提供システム。
【請求項4】
前記消雪パイプユニットの前記ユニット側通信部は、前記消雪パイプのオンオフデータを通信回線に送信することを特徴とする請求項1乃至
請求項3のいずれか1項に記載の降積雪情報提供システム。
【請求項5】
前記情報処理装置の前記装置側通信部が、前記ユニット側通信部から送信されたオンオフデータを受信すると共に、前記情報処理装置のデータ表示部は、受信されたオンオフデータを表示することを特徴とする
請求項4に記載の降積雪情報提供システム。
【請求項6】
前記消雪パイプユニットには、温度データを取得する温度センサーが設けられ、前記ユニット側通信部は、取得された温度データを通信回線に送信することを特徴とする請求項1乃至
請求項5のいずれか1項に記載の降積雪情報提供システム。
【請求項7】
前記情報処理装置の前記装置側通信部が、前記ユニット側通信部から送信された温度データを受信すると共に、
前記演算処理部は、受信した複数の場所における温度データに基づいて温度のコンターデータを作成することを特徴とする
請求項6に記載の降積雪情報提供システム。
【請求項8】
前記情報処理装置のデータ表示部は、作成された温度のコンターデータを表示することを特徴とする
請求項7に記載の降積雪情報提供システム。
【請求項9】
複数の場所に設置され、それぞれの場所で単位時間当たりの降雪量データを取得する降雪センサーと、前記降雪センサーで取得された降雪量データに基づいてオンオフが制御される消雪パイプと、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部と、を少なくとも有する消雪パイプユニットと、
通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データの表示を行うデータ表示部と、を少なくとも有する情報処理装置と、を含むシステムにおける降積雪情報提供方法であって、
前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信する工程と、
前記装置側通信部が前記ユニット側通信部から送信された降雪量データを受信する工程と、
前記演算処理部が降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、
複数の場所における累積降雪量データと降雪の溶解と沈降とに基づいて、積雪量のコンターデータを作成する工程と、
前記データ表示部が作成された累積降雪量のコンターデータを表示する工程と、を有することを特徴とする降積雪情報提供方法。
【請求項10】
複数の場所に設置され、それぞれの場所で単位時間当たりの降雪量データを取得する降雪センサーと、前記降雪センサーで取得された降雪量データに基づいてオンオフが制御される消雪パイプと、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部と、を少なくとも有する消雪パイプユニットと、
通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データの表示を行うデータ表示部と、を少なくとも有する情報処理装置と、を含むシステムにおける降積雪情報提供方法であって、
前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信する工程と、
前記装置側通信部が前記ユニット側通信部から送信された降雪量データを受信する工程と、
前記演算処理部が降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データに基づいて累積降雪量のコンターデータを作成する工程と、
地図データの領域毎でコンター間隔の疎密を変更して、地図データ上に累積降雪量のコンターデータを描画する工程と、
前記データ表示部が作成された累積降雪量のコンターデータを表示する工程と、を有することを特徴とする降積雪情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存インフラである消雪パイプと共に設けられている降雪センサーに通信部を付加することで、降雪センサーで取得される降雪量データを収集し、平面的な広がりにおける積雪分布を把握可能とする降積雪情報提供システム及び降積雪情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気象予報に係る情報を人々に提供することはこれまで種々行われてきた。一方、降雪の多い地方においては、降雪の予報情報のみならず、現在までの降雪によってどの程度の積雪深があるのかに係る情報が提供されれば、当該地方の人々が行動予定を決定する上で、非常に有益なものとなる。
【0003】
このような試みとして、例えば、特許文献1(特開2005-3563号公報)には、観測領域の降雪状況を撮影する撮像手段1と、観測領域の積雪深を計測する積雪深計測手段2と、観測領域の温度を計測する温度計測手段3と、画像ファイル、積雪深・温度グラフ用ファイル及び時間降雪深ファイルをインターネットプロバイダのサーバー6に転送するデータ処理装置と、インターネットの利用者端末から閲覧可能なインターネットのホームページ8の一つのページ上に観測領域の画像G、積雪深・温度グラフK及び時間降雪深Fを表示する表示手段7とからなる積雪情報提供システムが開示されている。
【文献】特開2005-3563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の発明によると、特定の観測領域の積雪情報を得ようとする利用者は、パソコンや携帯電話端末等の利用者端末からインターネットを介して特定観測領域の画像、積雪深・温度グラフ及び時間降雪深を閲覧することができる。
【0005】
しかしながら、このような積雪情報提供システムによれば、当該利用者は観測が行われている特定の観測領域に係る情報しか入手することができず、例えば、地図上の各点における積雪状況についての情報は入手することできず、いわば、平面的な広がりにおける積雪分布を把握することができない、という問題があった。
【0006】
そこで、積雪深等を観測する観測点を複数各所に設けることが考えられるが、積雪情報提供システムのために積雪深センサー他を追加装備することは費用負担の点で難しい。
【0007】
ところで、降雪の多い地方においては、降雪センサーと消雪パイプが対となって装備されていることが多く、降雪センサーによって取得される降雪量のデータに基づいて、対となっている消雪パイプによる散水のオンオフを制御していた。ところが、降雪センサーによって取得される降雪量データは、対となっている消雪パイプの散水の制御にしか利用されておらず、問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するものであり、本発明に係る降積雪情報提供システムは、複数の場所に設置され、それぞれの場所で単位時間当たりの降雪量データを取得する降雪センサーと、前記降雪センサーで取得された降雪量データに基づいてオンオフが制御される消雪パイプと、を少なくとも有する消雪パイプユニットを含む降積雪情報提供システムであって、
前記消雪パイプユニットには、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部が設けられ、前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信し、通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データの表示を行うデータ表示部と、を少なくとも有する情報処理装置と、をさらに含み、前記装置側通信部が、前記ユニット側通信部から送信された降雪量データを受信し、前記情報処理装置の前記演算処理部は、受信した降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データに基づいて累積降雪量のコンターデータを作成し、前記情報処理装置の前記演算処理部は、受信した降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データと降雪の溶解と沈降とに基づいて、積雪量のコンターデータを作成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る降積雪情報提供システムは、複数の場所に設置され、それぞれの場所で単位時間当たりの降雪量データを取得する降雪センサーと、前記降雪センサーで取得された降雪量データに基づいてオンオフが制御される消雪パイプと、を少なくとも有する消雪パイプユニットを含む降積雪情報提供システムであって、前記消雪パイプユニットには、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部が設けられ、前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信し、通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データの表示を行うデータ表示部と、を少なくとも有する情報処理装置と、をさらに含み、前記装置側通信部が、前記ユニット側通信部から送信された降雪量データを受信し、前記情報処理装置の前記演算処理部は、受信した降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データに基づいて累積降雪量のコンターデータを作成すると共に、地図データ上に累積降雪量のコンターデータを描画する際には、地図データの領域毎でコンター間隔の疎密を変更することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る降積雪情報提供システムは、前記情報処理装置の前記データ表示部は、作成された累積降雪量のコンターデータを表示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る降積雪情報提供システムは、前記消雪パイプユニットの前記ユニット側通信部は、前記消雪パイプのオンオフデータを通信回線に送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る降積雪情報提供システムは、前記情報処理装置の前記装置側通信部が、前記ユニット側通信部から送信されたオンオフデータを受信すると共に、前記情報処理装置のデータ表示部は、受信されたオンオフデータを表示することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る降積雪情報提供システムは、前記消雪パイプユニットには、温度データを取得する温度センサーが設けられ、前記ユニット側通信部は、取得された温度データを通信回線に送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る降積雪情報提供システムは、前記情報処理装置の前記装置側通信部が、前記ユニット側通信部から送信された温度データを受信すると共に、前記演算処理部は、受信した複数の場所における温度データに基づいて温度のコンターデータを作成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る降積雪情報提供システムは、前記情報処理装置のデータ表示部は、作成された温度のコンターデータを表示することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る降積雪情報提供方法は、複数の場所に設置され、それぞれの場所で単位時間当たりの降雪量データを取得する降雪センサーと、前記降雪センサーで取得された降雪量データに基づいてオンオフが制御される消雪パイプと、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部と、を少なくとも有する消雪パイプユニットと、通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データの表示を行うデータ表示部と、を少なくとも有する情報処理装置と、を含むシステムにおける降積雪情報提供方法であって、前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信する工程と、前記装置側通信部が前記ユニット側通信部から送信された降雪量データを受信する工程と、前記演算処理部が降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データと降雪の溶解と沈降とに基づいて、積雪量のコンターデータを作成する工程と、前記データ表示部が作成された累積降雪量のコンターデータを表示する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る降積雪情報提供方法は、複数の場所に設置され、それぞれの場所で単位時間当たりの降雪量データを取得する降雪センサーと、前記降雪センサーで取得された降雪量データに基づいてオンオフが制御される消雪パイプと、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部と、を少なくとも有する消雪パイプユニットと、通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データの表示を行うデータ表示部と、を少なくとも有する情報処理装置と、を含むシステムにおける降積雪情報提供方法であって、前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信する工程と、前記装置側通信部が前記ユニット側通信部から送信された降雪量データを受信する工程と、前記演算処理部が降雪量データを時間積分することで、複数の場所における累積降雪量データを算出し、複数の場所における累積降雪量データに基づいて累積降雪量のコンターデータを作成する工程と、地図データの領域毎でコンター間隔の疎密を変更して、地図データ上に累積降雪量のコンターデータを描画する工程と、前記データ表示部が作成された累積降雪量のコンターデータを表示する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る降積雪情報提供システム・降積雪情報提供方法は、消雪パイプユニットには、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部が設けられ、前記降雪センサーで取得された降雪量データを前記ユニット側通信部から通信回線に送信するので、このような本発明に係る降積雪情報提供システム・降積雪情報提供方法によれば、大きなコストをかけることなく、各所に設置されている複数の降雪センサーによって取得される降雪量データを収集することで、地図上の平面的な広がりにおける積雪分布を把握することが可能となる。
【0020】
本発明に係る降積雪情報提供システム・降積雪情報提供方法は、既存の降雪センサー及び消雪パイプのインフラを利用し、前記インフラで得られた降雪量データやその他の情報を通信回線に接続するユニット側通信部を追加するのみで、通信回線を経由してリモートセンシングを実現することができる。さらに、本発明に係る降積雪情報提供システム・降積雪情報提供方法においては、降雪量データの演算処理部を追加することで、累積降雪量コンターを地図上に描画し、降雪状況の平面的分布を把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】消雪パイプ20の制御を行う本発明に係る消雪パイプユニット50のブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る降積雪情報提供システム1の概要構成を示す図である。
【
図4】消雪パイプユニット50から情報処理装置70に送信されるデータの構造例を示す図である。
【
図5】気象情報発信サーバー60から情報処理装置70に送信されるデータの構造例を示す図である。
【
図6】情報処理装置70の記憶部に記憶されるデータベース80の概念図である。
【
図7】地図データと対応する標高データを含むデータベースDB
1のデータ構造例を示す図である。
【
図8】地図データと消雪パイプ20の設置データを含むデータベースDB
2のデータ構造例を示す図である。
【
図9】地図データと対応する累積降雪量コンター間隔データを含むデータベースDB
3のデータ構造例を示す図である。
【
図10】累積降雪量のコンター作成の際のコンター間隔の間隔例を説明する図である。
【
図11】情報処理装置70の処理アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る降積雪情報提供システム1による消雪パイプ20の稼働状況の表示例を示す図である。
【
図13】情報処理装置70の処理アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【
図14】標高データを参照して行う累積降雪量データの内挿の概念図である。
【
図15】雪雲データと風向データを参照して行う累積降雪量データの内挿の概念図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る降積雪情報提供システム1による累積降雪量コンターの表示例を示す図である。
【
図17】情報処理装置70の処理アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る降積雪情報提供システム1による温度コンターの表示例を示す図である。
【
図19】情報処理装置70の処理アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【
図20】溶解による累積降雪量の変化の概念を説明する図である。
【
図21】沈降による累積降雪量の変化の概念を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。まず、既存インフラとして、降雪の多い地方に既設されている消雪パイプ20の概要について説明する。
図1は消雪パイプ20の概略を説明する図である。
【0023】
消雪パイプ20は、道路面に対して地下水を散水することで、道路に降り積もった雪を融雪するものであり、概略、道路に埋め込んだパイプ22と、このパイプ22から道路の表面に連通し、道路の表面側に開口を有する散水ノズル25と、パイプ22に対して地下水をくみ上げて供給するポンプ30と、から構成されている。
【0024】
消雪パイプ20においては、降雪時ポンプ30を駆動して消雪パイプ20による散水をオンとし、融雪完了時ポンプ30を停止して消雪パイプ20による散水をオフとする。この消雪パイプ20のオンオフは手動によって行う簡単な構成とすることもできるが、消雪パイプ20のオンオフを自動化する構成が進んでいる。
【0025】
前記の自動化のために降雪量等を検知し、消雪パイプ20のオンオフ制御を行う消雪パイプユニット50が消雪パイプ20と併設されることが多い。本発明に係る降積雪情報提供システム1では、この消雪パイプユニット50に対し、新たに通信部を設けることで、降雪地方の複数の場所に設置されている消雪パイプユニット50からの情報を収集して利用するようにしている。
【0026】
図2は消雪パイプ20の制御を行うと共に、降雪量等の情報の発信を行う本発明に用いる消雪パイプユニット50のブロック図である。
【0027】
消雪パイプユニット50は、マイクロコンピューターなどからなる主制御部51を有しており、この主制御部51に対して検出した各種データが送信される。また、主制御部51によるデータ処理に基づいて、主制御部51は制御信号を発信するようになっている。
【0028】
降雪センサー53は、制御対象となる消雪パイプ20の近傍に設置され、降雪量を検知するものである。降雪センサー53としては、例えば光学式のものを用いることができる。降雪センサー53で検知される降雪量データは、主制御部51に対して送信されるようになっている。
【0029】
ここで、降雪量データは単位時間当たりの降雪量に係るデータである。降雪量データにおける「降雪量」の単位は、降った雪の量を表すものであればどのようなものでもよいが、本実施形態では、「降雪量」を、降り積もった(と降雪センサー53の検知データから想定される)雪の高さ[cm]によって表現するものとする。したがって、本実施形態では、「降雪量データ」は、単位時間当たりに降り積もった雪の高さ[cm/時間]が単位となる。また、「累積降雪量」は、降雪量データを時間積分した量であると定義する。すなわち、「累積降雪量」は、所定の時間で降り積もったと想定される雪の高さ[cm]に相当する。
【0030】
また、本明細書では、「積雪量」と「降雪量」とは異なった量として定義する。前者は、降り積もった雪が、解けたり(溶解したり)、時間と共に自重の重みで沈んだり(沈降
したり)する分も含んだ量であり、一方、後者は降り積もった雪の溶解や沈降が考慮されていない量である。
【0031】
また、消雪パイプユニット50は温度センサー54を備えており、検知した温度データを主制御部51に対して送信する。主制御部51は、降雪センサー53や温度センサー54から取得した各種検知データに基づいて判断を行い、消雪パイプ20のポンプ30を駆動する消雪パイプ制御部57(モーター)に対してオンオフの制御信号を発するようになっている。
【0032】
また、消雪パイプユニット50には、ユニット側通信部58が設けられており、このユニット側通信部58を介して、通信ネットワークNに対してデータを送受することが可能とされている。主制御部51は、このユニット側通信部58を介して、少なくとも、降雪センサー53から取得した降雪量データ、温度センサー54から取得した温度データ、及び、消雪パイプ20に対して発している制御信号(オンオフデータ)を送信するようになっている。
【0033】
なお、ユニット側通信部58は有線方式の通信部であってもよいし、無線方式の通信部であってもよいが、後者の通信部の方がより好ましい。
【0034】
図3は本発明の実施形態に係る降積雪情報提供システム1の概要構成を示す図である。本発明に係る降積雪情報提供システム1では、降雪地方の複数の場所に設置されている、上記のような消雪パイプユニット50からの情報を、通信ネットワークNを介して情報処理装置70で収集する構成となっている。
【0035】
情報処理装置70としては、通信回線を介してデータの送受信を行う装置側通信部と、データの演算処理を行う演算処理部と、データを記憶する記憶部と、データの表示を行うデータ表示部と、を有している、現在広く普及しているパーソナルコンピューターなどを用いることができる。もちろん、パーソナルコンピューター以外の情報処理装置70を適宜利用するようにしてもよい。
【0036】
情報処理装置70は、また通信ネットワークNに接続され、各種の気象情報を発信する気象情報発信サーバー60からの情報を受信可能に構成されている。
【0037】
次に、上記のような本発明に係る降積雪情報提供システム1の情報処理装置70が受信するデータの構造について説明する。
【0038】
図4は消雪パイプユニット50から情報処理装置70に送信されるデータの構造例を示す図である。消雪パイプユニット50から情報処理装置70に送信され、情報処理装置70側で受信されるデータD
oには、データフレームとして少なくともD
1、D
2、D
3、D
4
、D
5の5つが含まれている。
【0039】
データフレームD1には日付に係る「日付データ」が記述され、また、データフレーム
D2には時間に係る「時間データ」が記述され、また、データフレームD3には降雪センサー53で検知された「降雪量データ」が記述され、また、データフレームD4には温度セ
ンサー54で検知された「温度データ」が記述され、また、データフレームD5には消雪
パイプ20の稼働状況(オンオフ)に係る「オンオフデータ」が記述されている。
【0040】
上記の各データは、累積降雪量のコンターデータを作成する際などに用いられるが、詳細については後述する。また、上記のようなデータDoは情報処理装置70の記憶部に全
て履歴として記憶され、各種データ処理に供される。
【0041】
次に、気象情報発信サーバー60から発信されるデータについて説明する。
図5は気象情報発信サーバー60から情報処理装置70に送信されるデータの構造例を示す図である。気象情報発信サーバー60から情報処理装置70に送信され、情報処理装置70側で受信されるデータWD
oには、データフレームとして少なくともWD
1、WD
2、WD
3、WD
4の4つが含まれている。
【0042】
データフレームWD1には日付に係る「日付データ」が記述され、また、データフレー
ムWD2には時間に係る「時間データ」が記述され、また、データフレームWD3には気象情報として「雪雲データ」が記述され、データフレームWD4には気象情報として「風向
データ」が記述されている
上記の各データは、累積降雪量のコンターデータを作成する際などに用いられるが、詳細については後述する。また、上記のようなデータWDoは情報処理装置70の記憶部に
全て履歴として記憶され、各種データ処理に供される。
【0043】
次に、予め準備しておき、情報処理装置70の記憶部(不図示)に記憶される各データベースについて説明する。
図6は情報処理装置70の記憶部に記憶されるデータベース80の概念図である。
【0044】
情報処理装置70の記憶部に記憶されるデータベース80には、少なくとも、データベースDB1、データベースDB2、データベースDB3の3つのデータベースが含まれてい
る。
【0045】
データベースDB
1は地図データ上に、それぞれの場所の標高データが記憶されてなる
データベースである。このデータベースDB
1の概念図を
図7に示す。
図7は地図データ
と対応する標高データを含むデータベースDB
1のデータ構造例を示す図である。
図7に
示すように、標高値10m、20m、30mなどの標高値が地図データ上に記憶されている。
【0046】
データベースDB
2は地図データ上に、消雪パイプ20と共に設置される消雪パイプユ
ニット50の設置状況が記憶されてなるデータベースである。このデータベースDB
2の
概念図を
図8に示す。
図8は地図データと消雪パイプ20の設置データを含むデータベースDB
2のデータ構造例を示す図である。
図8において、点線による○が消雪パイプユニ
ット50の設置箇所を示している。
【0047】
データベースDB
3は地図データ上に、累積降雪量のコンターを描画する際に、コンタ
ー間隔をどのように設定するかに係るデータが記憶されてなるデータベースである。このデータベースDB
3の概念図を
図9に示す。
図9は地図データと対応する累積降雪量コン
ター間隔データを含むデータベースDB
3のデータ構造例を示す図である。
図9に示すよ
うに、データベースDB
3には、情報処理装置70が、累積降雪量コンターを作成する際
のコンター間隔が示されている。
【0048】
図9に示す例では、地図データの右側の領域で作成するコンター間隔は「密」に設定され、地図データの中央の領域で作成するコンター間隔は「中」に設定され、地図データの左側の領域で作成するコンター間隔は「疎」に設定されている。
【0049】
コンター間隔が「密」、「中」、「疎」は、除雪の必要性が高いか否かによって決められている。コンター間隔が「密」の領域は、除雪の必要性の基準が高い領域であり、逆にコンター間隔が「疎」の領域は、除雪の必要性の基準が低い領域であり、コンター間隔が「中」の領域はその中間にある。
【0050】
図10は、上記のような累積降雪量のコンター作成の際のコンター間隔の間隔例を説明する図である。
図10(a)はコンター間隔が「密」の場合のコンター間隔例を示しており、
図10(b)はコンター間隔が「中」の場合のコンター間隔例を示しており、
図10(c)はコンター間隔が「疎」の場合のコンター間隔例を示している。
【0051】
例えば、
図10(a)では、累積降雪量のコンター作成の際には、0cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、15cm、20cm、・・・のような間隔でコンターを作成する。ここで、図(a)は除雪基準が高い領域であり、5cm~10cm間が1cmで細かく刻まれているのは、除雪を行うか否かを判定する上で、5cm~10cm間の情報が重要となるからである。
【0052】
以上のように構成を有する本発明に係る降積雪情報提供システム1の情報処理装置70におけるデータ処理例について説明する。
図11は情報処理装置70の処理アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【0053】
図11において、ステップS101では、情報処理装置70は、全ての消雪パイプユニット50からオンオフデータを取得する。続く、ステップS102では、取得したオンオフデータと、データベースDB
2とに基づいて、消雪パイプ20の稼働状況を把握し、情
報処理装置70の表示部において、消雪パイプ20の稼働状況を地図データ上に表示する。
図12は、ステップS102による表示例を示している。
【0054】
このように本発明に係る降積雪情報提供システム1によれば、消雪パイプ20の稼働状況を地図データ上で一覧することができ、消雪パイプ20の稼働状況の全体像の把握を的確に行うことができる。
【0055】
次に、本発明に係る降積雪情報提供システム1の情報処理装置70における他のデータ処理例について説明する。
図13は情報処理装置70の処理アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【0056】
情報処理装置70は、ステップS201において、全ての消雪パイプユニット50から降雪量データを取得し、履歴として記憶部(不図示)に記憶する。
【0057】
ステップS202では、記憶部(不図示)に履歴として残されている降雪量データを時間積分することで、それぞれの消雪パイプユニット50設置箇所における累積降雪量を算出する。
【0058】
続いて、ステップS203データベースDB1から標高データを取得し、ステップS2
04では、気象情報発信サーバー60から雪雲データ、風向データを取得する。
【0059】
ステップS205では、標高データ、雪雲データ、風向データに応じて、消雪パイプユニット50設置箇所でない、累積降雪量が測定されていない地点の累積降雪量データを内挿によって算出する。
【0060】
ここで、内挿における標高データの利用について説明する。
図14は標高データを参照して行う累積降雪量データの内挿の概念図である。
図14は、Aを場所Aにおける累積降雪量(既知)とし、Bを場所Bにおける累積降雪量(既知)とし、未知の場所P、P’における累積降雪量を内挿する方法を図示している。
【0061】
図14(a)は、場所Aと場所Bと標高が等しい場合の場所Pの累積降雪量Pの内挿を
説明する図である。ここで、累積降雪量Pは、K
A、K
Bを所定の係数として、
P=K
A×A+K
B×B
によって算出することができる。
【0062】
一方、
図14(b)は、場所Bの標高が、場所Aの標高より高い場合の場所P’ の累
積降雪量P’の内挿を説明する図である。ここで、累積降雪量P’は、K
A、K
B’を所定の係数として、
P’=K
A×A+K
B’×B
によって算出する。ただし、場所Bの標高が、場所P’より高く、場所Bからの影響が少なく見積もれるので、K
B’ <K
Bとしている。
【0063】
このように、本発明に係る降積雪情報提供システム1では、標高データを考慮した行うこととし、より精度の高い累積降雪量コンターを作成するようにしている。
【0064】
次に、内挿における雪雲データ、風向データの利用について説明する。
図15は雪雲データと風向データを参照して行う累積降雪量データの内挿の概念図である。
図15は、A、B、C、D、P、を鳥瞰的に見た図である。
【0065】
図15では、Aを場所Aにおける累積降雪量(既知)とし、Bを場所Bにおける累積降雪量(既知)とし、Cを場所Cにおける累積降雪量(既知)とし、Dを場所Dにおける累積降雪量(既知)とし、未知の場所P、P’における累積降雪量を内挿する方法を図示している。
【0066】
図15(a)は、雪雲がなく、かつ、風がない場合の場所Pの累積降雪量Pの内挿を説明する図である。ここで、累積降雪量Pは、K
A、K
B、K
C、K
Dを所定の係数として、
P=K
A×A+K
B×B+K
C×C+K
D×D
によって算出することができる。
【0067】
一方、
図15(b)は、場所Aと場所Bに雪雲データがかかり、北西の風向データがあった場合の場所Pの累積降雪量P’の内挿を説明する図である。ここで、累積降雪量P’は、K
A’、K
B’、K
C、K
Dを所定の係数として、
P’=K
A’×A+K
B’×B+K
C×C+K
D×D
によって算出する。ただし、雪雲と風向の関係により、場所Pの累積降雪量P’は、場所Aと場所Bによる影響が大きくなると見込めるので、K
A’>K
A、K
B’>K
Bとしている。
【0068】
このように、本発明に係る降積雪情報提供システム1では、雪雲データ、風向データを考慮した行うこととし、より精度の高い累積降雪量コンターを作成するようにしている。
【0069】
なお、本実施形態では、気象情報発信サーバー60から風向データを取得して利用する形態を取っているが、風向データとして降雪のある季節を通して一定であることが見込める場合には、気象情報発信サーバー60から風向データを取得する必要はなく、固定値の風向データ(卓越風向データ)を用いることができる。
【0070】
図13のフローチャートに戻り、ステップS206では、累積降雪量コンター間隔データ(データベースDB
3)を取得し、ステップS207では、取得された累積降雪量コン
ター間隔で累積降雪量コンターデータを作成する。
【0071】
ステップS208では、情報処理装置70の表示部において、作成された累積降雪量コンターデータを地図データ上に表示する。
図16は、ステップS208による表示例を示
している。
図16は本発明の実施形態に係る降積雪情報提供システム1による累積降雪量コンターの表示例を示す図である。
【0072】
このように、本発明に係る降積雪情報提供システム1では、各所に設置されている複数の消雪パイプユニット50における降雪センサー5によって取得される降雪量データを情報処理装置70が収集することで、地図上の平面的な広がりにおける積雪分布を把握することが可能となる。
【0073】
次に、本発明に係る降積雪情報提供システム1の情報処理装置70における他のデータ処理例について説明する。
図17は情報処理装置70の処理アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【0074】
情報処理装置70は、ステップS301において、全ての消雪パイプユニット50から温度データを取得し、続く、ステップS302では、測定されていない地点の温度データを内挿によって算出する。
【0075】
次のステップS303で、情報処理装置70の表示部において、温度コンターデータを地図データ上に表示する。ステップS303における表示例を
図18に示す。
図18は本発明の実施形態に係る降積雪情報提供システム1による温度コンターの表示例を示す図である。
【0076】
このように本発明に係る降積雪情報提供システム1では、地図上の平面的な広がりにおける温度分布を把握することが可能となる。
【0077】
次に、本発明に係る降積雪情報提供システム1の情報処理装置70における他のデータ処理例について説明する。本発明に係る降積雪情報提供システム1は、降雪量に係る情報のみならず、積雪量に係る情報も提供することが可能に構成されている。以下、このためのデータ処理について説明する。
【0078】
積雪量は、降り積もった雪が、解けたり(溶解したり)、時間と共に重み(自重)で沈んで圧縮したり(沈降したり)する分も含んだ量である。降り積もった雪が溶解することによって減少する雪の高さ[単位:cm]として「溶解量」を定義する。また、降り積もった雪が沈降することによって減少する雪の高さ[単位:cm]として「沈降量」を定義する。
【0079】
図19は情報処理装置70の処理アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【0080】
情報処理装置70は、ステップS401において、全ての消雪パイプユニット50から降雪量データ・温度データを取得し、履歴として記憶部(不図示)に記憶する。
【0081】
ステップS402では、記憶部(不図示)に履歴として残されている降雪量データを時間積分することで、それぞれの消雪パイプユニット50設置箇所における累積降雪量を算出する。
【0082】
続く、ステップS403においては、累積降雪量・温度データから融解量・沈降量を算出する。融解量は、雪解けによって、累積降雪量から減少する高さ[cm]である。このような融解量を算出する際の概略について
図20を参照して説明する。
図20は溶解による累積降雪量の変化の概念を説明する図である。
図20において左側は初期の累積降雪量を模式的に示しており、右側は融解による減少量を模式的に示している。ここで、kを融解係数、Tを温度データとすると、融解量Mは、M=kTによって算出する。
【0083】
また、沈降量は、自重による重みで圧縮されることで、累積降雪量から減少する高さ[cm]である。このような沈降量を算出する際の概略について
図21を参照して説明する。
図21は沈降による累積降雪量の変化の概念を説明する図である。
図21において左側は初期の累積降雪量を模式的に示しており、右側はある着目層における沈降量を模式的に示している。ここで、ある着目層の初期の高さをL[cm]、沈降後の高さをL’ [c
m]とする。また、着目層上の雪の重荷をWとし、雪の圧縮粘性係数(雪の密度の関数)をηとすると、L’は、
L’=L(1-W/η)
によって求めることができる。
図21は、沈降による、ある着目層についてのみの高さ変化を算出するものであるので、累積降雪量の高さにわたる全ての層について考慮することで沈降による全体の高さ変化(沈降量)を算出することが可能となる。
【0084】
次の、ステップS404では、累積降雪量・融解量・沈降量から積雪量を算出する。具体的には、(積雪量)=(累積降雪量)-(融解量)-(沈降量)
によって、積雪量を算出する。
【0085】
ステップS405では、積雪量が算出されていない地点の積雪量データを、ステップS404で算出された複数の地点の積雪量に基づいて内挿を行うことで算出する。
【0086】
ステップS206では、情報処理装置70の表示部において、作成された積雪量コンターデータを地図データ上に表示する。
【0087】
このような
図19に関連するデータ処理によれば、屋根上の残雪量などに関連する情報につき、地図上での平面的な分布を把握することが可能となる。
【0088】
以上のような本発明に係る降積雪情報提供システム1・降積雪情報提供方法は、消雪パイプユニット50には、通信回線を介してデータの送受信を行うユニット側通信部58が設けられ、降雪センサー53で取得された降雪量データを前記ユニット側通信部58から通信回線に送信するので、このような本発明に係る降積雪情報提供システム1・降積雪情報提供方法によれば、大きなコストをかけることなく、各所に設置されている複数の降雪センサー53によって取得される降雪量データを収集することで、地図上の平面的な広がりにおける積雪分布を把握することが可能となる。
【0089】
また、本発明に係る降積雪情報提供システム1・降積雪情報提供方法は、既存の降雪センサー53及び消雪パイプ20のインフラを利用し、前記インフラで得られた降雪量データやその他の情報を通信回線に接続するユニット側通信部を追加するのみで、通信回線を経由してリモートセンシングを実現することができる。
【0090】
さらに、本発明に係る降積雪情報提供システム1・降積雪情報提供方法においては、降雪量データの演算処理部(情報処理装置70)を追加することで、累積降雪量コンターを地図上に描画し、降雪状況の平面的分布を把握することができるようになる。
【0091】
消雪パイプユニット50から情報処理装置70に収集され、情報処理装置70の記憶部(不図示)に記憶されたデータは、観測領域における、瞬時降雪量、時系列降雪量、累積降雪量、積雪量を算出すると共に、累積降雪量コンターや積雪量コンターを地図上に描画し、面的分布を把握することを可能とする。
【符号の説明】
【0092】
1・・・降積雪情報提供システム
20・・・消雪パイプ
22・・・パイプ
25・・・散水ノズル
30・・・ポンプ
50・・・消雪パイプユニット
51・・・主制御部
53・・・降雪センサー
54・・・温度センサー
57・・・消雪パイプ制御部
58・・・ユニット側通信部
60・・・気象情報発信サーバー
70・・・情報処理装置
80・・・データベース
N・・・通信ネットワーク