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▶ ザ・サンロック・カンパニー・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】二重開錠機構を備えるケーブル錠
(51)【国際特許分類】
   E05B 37/02 20060101AFI20220121BHJP
   E05B 67/24 20060101ALI20220121BHJP
   E05B 35/12 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
E05B37/02 A
E05B67/24
E05B35/12 Z
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018218606
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2019108785
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】16/132,799
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/589,887
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503044640
【氏名又は名称】ザ・サンロック・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カール ライ
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0064738(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0073999(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0155395(US,A1)
【文献】特開平7-217293(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169285(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0011025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 37/02
E05B 67/24
E05B 35/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠モードおよび開錠モードにおいて操作可能である錠であって、
第1端部と、反対側端部とを有する錠本体と、
一群のクラッチと、
それぞれが前記クラッチのうちの別々の1つと連携する複数のダイヤルと、
固定カム溝を有する固定カムと、
シャフト本体と、前記錠本体の前記第1端部と隣接する頂部とを含むシャフトであって、前記頂部は、シャフト溝を有し、前記シャフトは、前記シャフト本体に複数のシャフト突出部をさらに含み、各シャフト突出部は、前記クラッチのうちの1つと連携する、シャフトと、
第1ケーブル端部と、第2ケーブル端部とを含み、前記第1ケーブル端部は、前記シャフト溝と取り外し可能に係合される第1端部首部を有し、前記第2ケーブル端部は、前記固定カムの前記固定カム溝と取り外し可能に係合される第2端部首部を有する、ケーブルと
を含み、
前記錠本体は、
前記ダイヤルを受容する大きさにされた複数のダイヤル溝と、
前記一群のクラッチおよび前記シャフトを受容する大きさにされた本体チャネルと
を含み、
前記クラッチのそれぞれは、前記クラッチの外表面上に延出フィンと、前記クラッチの内表面から内側に延出された内側リングとを有し、前記内側リングは、前記内側リング上に設けられた空隙を有し、前記空隙は、連携する前記シャフト突出部を受容する大きさにされており、前記内側リングは、下面と、前記錠本体の前記第1端部に面する上面とを有し、前記ダイヤルのそれぞれは、連携する前記クラッチの前記延出フィンを受容する大きさにされた複数の歯を有し、
前記錠が前記施錠モードにおいて操作されると、前記シャフト突出部のそれぞれは、連携する前記クラッチの前記内側リングの前記下面の下方に位置し、前記クラッチのうちの少なくとも1つの前記空隙は、前記シャフトが前記錠本体に対して上方に移動することを防止するために、連携する前記シャフト突出部と整列せず、
前記錠が前記開錠モードにおいて操作されると、前記クラッチのそれぞれの前記空隙は、前記錠本体から前記第1ケーブル端部の前記第1端部首部を解放するために前記シャフトが上方に移動することを可能にするために、連携する前記シャフト突出部と整列する、錠。
【請求項2】
前記シャフトは、再設定ポインタをさらに含み、
前記錠本体は、前記錠本体の前記第1端部近傍に、前記再設定ポインタを受容する大きさにされた拘束トラックをさらに含み、
前記錠が前記施錠モードにおいて操作されると、前記シャフトの前記再設定ポインタは、前記シャフトが錠本体に対して回転することを防止するために、前記拘束トラックと係合され、
前記錠が前記開錠モードにおいて操作されると、前記シャフトは、前記錠を再設定するために前記シャフトが前記錠本体に対して回転することを可能にするために、前記拘束トラックから前記再設定ポインタを解放するために上方に移動させられる、請求項1記載の錠。
【請求項3】
前記クラッチのそれぞれの前記内側リングの前記上面は、前記内側リングにおける前記空隙から離間した再設定縁部を含み、
前記錠本体は、前記錠本体の前記第1端部近傍に、前記拘束トラックから離間した再設定トラックをさらに含み、
前記再設定ポインタが前記再設定トラックと整列するように前記シャフトが回転すると、前記クラッチが前記錠本体に対して回転することを防止するために、前記シャフト突出部のそれぞれが連携する前記クラッチの前記再設定縁部内に位置するまで、前記シャフトが下方に押され得る、請求項2記載の錠。
【請求項4】
前記シャフト突出部のそれぞれが連携する前記クラッチの前記再設定縁部内に位置し、前記ダイヤルの前記歯から前記クラッチの前記延出フィンを解放するために、前記シャフトがさらに下方に移動させられると、前記ダイヤルが前記クラッチなしで回転され得ることによって、新たな組合せコードを設定する、請求項3記載の錠。
【請求項5】
前記錠本体の前記第1端部近傍に位置し、前記第2ケーブル端部の前記第2端部首部と係合されるように配置される固定カム溝を有する固定カムと、
前記固定カムと摺動可能に係合し、第1プレート位置および第2プレート位置に配置可能なブロックプレートと
をさらに含み、
前記ブロックプレートが前記第1プレート位置に位置すると、前記ブロックプレートは、前記第2ケーブル端部の前記第2端部首部が前記固定カム溝から解放されることを防止するように配置され、
前記ブロックプレートが第2プレート位置に位置すると、前記第2ケーブル端部の前記第2端部首部が前記固定カム溝から解放され得る、請求項1記載の錠。
【請求項6】
前記ブロックプレートはピンを含み、
前記錠は、前記ブロックプレートの前記ピンを受容する大きさにされた半螺旋溝を含む回転可能カムをさらに備え、
前記回転可能カムが前記錠本体に対して第1カム位置から第2カム位置に回転させられると、前記ブロックプレートも前記第1プレート位置から前記第2プレート位置に移動させられる、請求項5記載の錠。
【請求項7】
前記錠本体の第2端部近傍に位置するシリンダをさらに含み、
前記シリンダは、前記錠本体に対して前記シリンダを回転させることによって前記錠を解除するためにカギを受容するように配置されるカギ溝を含み、
前記シリンダは1つまたは複数のシリンダ突出部を含み、
前記回転可能カムは前記1つまたは複数のシリンダ突出部を受容する大きさにされた1つまたは複数のカム穴を含み、
前記シリンダが回転すると、前記回転可能カムは前記錠本体に対して前記第1カム位置から前記第2カム位置へと回転させられる、請求項6記載の錠。
【請求項8】
前記錠本体の前記第1端部近傍に位置するインジケータと、前記回転可能カムに隣接するフォーク壁を有するフォークプレートとをさらに含み、
前記フォークプレートは、第1フォーク位置および第2フォーク位置に配置可能であり、
前記インジケータは、インジケータ頂部と、インジケータ首部を備えるインジケータ本体とを有し、前記フォークプレートは、前記インジケータ本体を受容する大きさにされたフォーク開口部と、前記フォークプレートが前記第1フォーク位置に位置する際に前記インジケータ首部を受容する大きさにされた前記フォーク開口部から延出するフォーク溝とをさらに含み、
前記回転可能カムは、カムフィンガをさらに含み、
前記回転可能カムが前記第1カム位置に位置すると、前記カムフィンガは前記フォーク壁から離間し、前記フォークプレートは前記第1フォーク位置に位置し、
前記回転可能カムが前記第2カム位置に位置すると、前記インジケータ首部を前記フォーク溝から解放するために、前記カムフィンガが前記回転可能カムから前記フォーク壁を押し離すように配置されることによって、前記インジケータ頂部が前記錠本体の前記第1端部から移動することを可能にする、請求項7記載の錠。
【請求項9】
前記シャフトの前記頂部は矩形部を含み、
前記錠本体は前記矩形部を受容する大きさにされた頂部開口部をさらに含み、
前記錠が前記施錠モードにおいて操作されると、前記シャフトが錠本体に対して回転することを防止するために、前記シャフトの前記矩形部が前記錠本体の前記頂部開口部と係合され、
前記錠が前記開錠モードにおいて操作されると、頂部本体の前記頂部開口部から前記矩形部を解放するために、前記シャフトが上方に移動させられることによって、前記シャフトが前記錠本体に対して回転することを可能にすることで、前記錠を再設定する、請求項1記載の錠。
【請求項10】
前記クラッチのそれぞれの前記内側リングの前記上面は、前記内側リングにおける前記空隙から離間した再設定縁部を含み、
前記シャフトが回転させられ、前記シャフトの前記矩形部が前記錠本体の前記頂部開口部に再度受容可能であると、前記シャフト突出部が連携する前記クラッチの前記再設定縁部内に位置するまで、前記シャフトが下方に押され得て、
前記シャフト突出部は、前記クラッチが前記錠本体に対して回転することを防止するように構成される、請求項9記載の錠。
【請求項11】
前記シャフト突出部のそれぞれが連携する前記クラッチの再設定縁部内に位置し、前記ダイヤルの前記歯から前記クラッチの前記延出フィンを解放するために、前記シャフトがさらに下方に移動させられると、前記ダイヤルが前記クラッチなしで回転され得ることによって、新たな組合せコードを設定する、請求項8記載の錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許法(35USC)第119条により、2017年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/589,887号明細書の優先権を主張し、その開示内容の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、錠に関し、より詳細には、ケーブルを拘束具として使用するケーブル錠に関する。
【背景技術】
【0003】
今日の錠の大半は、運輸保安庁(TSA)職員が検査目的のために特別なカギを用いて錠を解除することを可能にするために、カギ優先機構(key overriding mechanism)を用いて設計されている。ケーブルが組合せコードまたはカギ優先機構により錠から解放され得るケーブル錠を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ケーブルと、錠本体とを備える錠を提供する。本体は、一方側においてシャフトを、他方側において固定カムを受容するように配置される。ケーブルは、第1ケーブル端部と、第2ケーブル端部とを有し、シャフトは、第1ケーブル端部と取り外し可能に係合される頂部を有し、固定カムは、第2ケーブル端部と取り外し可能に係合されるカム溝(cam slot)を有する。第1ケーブル端部は、組合せ機構によって解放され得て、第2ケーブル端部は、カギ優先機構によって解放され得る。したがって、本発明の一態様は、施錠モードおよび開錠モードにおいて操作可能である錠を提供することであって、
第1端部と、反対側端部とを有する錠本体と、
一群(stack)のクラッチと、
それぞれがクラッチのうちの別々の1つと連携する複数のダイヤルと、
固定カム溝を有する固定カムと、
シャフト本体と、錠本体の第1端部と隣接する頂部とを含むシャフトであって、頂部は、シャフト溝(shaft slot)を有し、シャフトは、シャフト本体に複数のシャフト突出部をさらに含み、各シャフト突出部は、クラッチのうちの1つと連携する、シャフトと、
第1ケーブル端部と、第2ケーブル端部とを含み、第1ケーブル端部は、シャフト溝と取り外し可能に係合される第1端部首部を有し、第2ケーブル端部は、固定カムの固定カム溝と取り外し可能に係合される第2端部首部を有する、ケーブルと
を含み、
錠本体は、
ダイヤルを受容する大きさにされた複数のダイヤル溝(dial slot)と、
一群のクラッチおよびシャフトを受容する大きさにされた本体チャネルと
を含み、
クラッチのそれぞれは、クラッチの外表面上に延出フィンと、クラッチの内表面から内側に延出された内側リングとを有し、内側リングは、内側リング上に設けられた空隙を有し、空隙は、連携するシャフト突出部を受容する大きさにされており、内側リングは、下面と、錠本体の第1端部に面する上面とを有し、ダイヤルのそれぞれは、連携するクラッチの延出フィンを受容する大きさにされた複数の歯を有し、
錠が施錠モードにおいて操作されると、シャフト突出部のそれぞれは、連携するクラッチの内側リングの下面の下方に位置し、クラッチのうちの少なくとも1つの空隙は、シャフトが錠本体に対して上方に移動することを防止するために、連携するシャフト突出部と整列せず、
錠が開錠モードにおいて操作されると、クラッチのそれぞれの空隙は、錠本体から第1ケーブル端部の第1端部首部を解放するためにシャフトが上方に移動することを可能にするために、連携するシャフト突出部と整列する。
【0005】
本発明の一実施形態によると、シャフトは、再設定ポインタをさらに含み、
錠本体は、錠本体の第1端部近傍に、再設定ポインタを受容する大きさにされた拘束トラックをさらに含み、
錠が施錠モードにおいて操作されると、シャフトの再設定ポインタは、シャフトが錠本体に対して回転することを防止するために、拘束トラックと係合され、
錠が開錠モードにおいて操作されると、シャフトは、錠を再設定するためにシャフトが錠本体に対して回転することを可能にするために、拘束トラックから再設定ポインタを解放するために上方に移動させられる。
【0006】
本発明の一実施形態によると、クラッチのそれぞれの内側リングの上面は、内側リングにおける空隙から離間した再設定縁部を含み、
錠本体は、錠本体の第1端部近傍に、拘束トラックから離間した再設定トラックをさらに含み、
再設定ポインタが再設定トラックと整列するようにシャフトが回転すると、クラッチが錠本体に対して回転することを防止するために、シャフト突出部のそれぞれが連携するクラッチの再設定縁部内に位置するまで、シャフトが下方に押され得る。
【0007】
本発明の一実施形態によると、シャフト突出部のそれぞれが連携するクラッチの再設定縁部内に位置し、ダイヤルの歯からクラッチの延出フィンを解放するために、シャフトがさらに下方に移動させられると、ダイヤルがクラッチなしで回転され得ることによって、新たな組合せコードを設定する。
【0008】
本発明の一実施形態によると、錠本体の第1端部近傍に位置し、第2ケーブル端部の第2端部首部と係合されるように配置される固定カム溝を有する固定カムと、
固定カムと摺動可能に係合し、第1プレート位置および第2プレート位置に配置可能なブロックプレートと
をさらに含み、
ブロックプレートが第1プレート位置に位置すると、ブロックプレートは、第2ケーブル端部の第2端部首部が固定カム溝から解放されることを防止するように配置され、ブロックプレートが第2プレート位置に位置すると、第2ケーブル端部の第2端部首部が固定カム溝から解放され得る。
【0009】
本発明の一実施形態によると、ブロックプレートはピンを含み、錠は、ブロックプレートのピンを受容する大きさにされた半螺旋(semi-spiral)溝を含む回転可能カムをさらに備え、
回転可能カムが錠本体に対して第1カム位置から第2カム位置に回転させられると、ブロックプレートも第1プレート位置から第2プレート位置に移動させられる。
【0010】
本発明の一実施形態によると、錠本体の第2端部近傍に位置するシリンダをさらに含み、シリンダは、錠本体に対してシリンダを回転させることによって錠を解除するためにカギを受容するように配置されるカギ溝(key slot)を含み、シリンダは1つまたは複数のシリンダ突出部を含み、回転可能カムは1つまたは複数のシリンダ突出部を受容する大きさにされた1つまたは複数のカム穴(cam hole)を含み、シリンダが回転すると、回転可能カムは錠本体に対して第1カム位置から第2カム位置へと回転させられる。
【0011】
本発明の一実施形態によると、錠本体の第1端部近傍に位置するインジケータと、回転可能カムに隣接するフォーク壁を有するフォークプレートとをさらに含み、フォークプレートは、第1フォーク位置および第2フォーク位置に配置可能であり、インジケータは、インジケータ頂部と、インジケータ首部とを備えるインジケータ本体を有し、フォークプレートは、インジケータ本体を受容する大きさにされたフォーク開口部と、フォークプレートが第1フォーク位置に位置する際にインジケータ首部を受容する大きさにされたフォーク開口部から延出するフォーク溝(fork groove)とをさらに含み、回転可能カムは、カムフィンガをさらに含み、
回転可能カムが第1カム位置に位置すると、カムフィンガはフォーク壁から離間し、フォークプレートは第1フォーク位置に位置し、
回転可能カムが第2カム位置に位置すると、インジケータ首部をフォーク溝から解放するために、カムフィンガが回転可能カムからフォーク壁を押し離すように配置されることによって、インジケータ頂部が錠本体の第1端部から移動することを可能にする。
【0012】
本発明の一実施形態によると、シャフトの頂部は矩形部を含み、錠本体は矩形部を受容する大きさにされた頂部開口部をさらに含み、
錠が施錠モードにおいて操作されると、シャフトが錠本体に対して回転することを防止するために、シャフトの矩形部が錠本体の頂部開口部と係合され、
錠が開錠モードにおいて操作されると、頂部本体の頂部開口部から矩形部を解放するために、シャフトが上方に移動させられることによって、シャフトが錠本体に対して回転することを可能にすることで、錠を再設定する。
【0013】
本発明の一実施形態によると、クラッチのそれぞれの内側リングの上面は、内側リングにおける空隙から離間した再設定縁部を含み、シャフトが回転させられ、シャフトの矩形部が錠本体の頂部開口部に再度受容可能であると、シャフト突出部が連携するクラッチの再設定縁部内に位置するまで、シャフトが下方に押され得て、シャフト突出部は、クラッチが錠本体に対して回転することを防止するように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態によると、シャフト突出部のそれぞれが連携するクラッチの再設定縁部内に位置し、ダイヤルの歯からクラッチの延出フィンを解放するために、シャフトがさらに下方に移動させられると、ダイヤルがクラッチなしで回転され得ることによって、新たな組合せコードを設定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本発明の一実施形態による、錠が施錠モードにおいて操作されている際の、ケーブル錠の正面断面図である。
図1B図1Aのケーブル錠の側面断面図である。
図1C図1Aのケーブル錠の底面断面図である。
図2】本発明の一実施形態による錠本体の半部を示す。
図3】本発明の一実施形態による錠本体の半部を示す。
図4】本発明の一実施形態による固定カムを示す。
図5】本発明の一実施形態によるブロックプレートを示す。
図6】本発明の一実施形態による回転可能カムを示す。
図7】本発明の一実施形態によるシリンダを示す。
図8】本発明の一実施形態によるシャフトを示す。
図9A】本発明の一実施形態によるクラッチの底面図を示す。
図9B】本発明の一実施形態によるクラッチの平面図を示す。
図10】本発明の一実施形態によるダイヤルを示す。
図11】本発明の一実施形態によるケーブルを示す。
図12】本発明の一実施形態によるインジケータを示す。
図13】本発明の一実施形態によるフォークプレートを示す。
図14A】本発明の一実施形態による、錠が開錠モードにおいて操作されている際の、ケーブル錠の正面断面図である。
図14B図14Aのケーブル錠の側面断面図である。
図14C図14Aのケーブル錠の底面断面図である。
図15A】本発明の一実施形態によるケーブル錠の、錠がカギで開錠されている際の、前部断面図である。
図15B図15Aのケーブル錠の側面断面図である。
図15C図15Aのケーブル錠の底面断面図である。
図16A】本発明の一実施形態による、錠が開錠モードにおいて操作され、シャフトが再設定するために回転した際の、ケーブル錠の正面断面図である。
図16B図16Aのケーブル錠の側面断面図である。
図16C図16Aのケーブル錠の底面断面図である。
図17A】本発明の一実施形態による、錠が施錠モードにおいて操作されている際の、ケーブル錠の正面図である。
図17B図17Aのケーブル錠の背面図である。
図18A】本発明の一実施形態による、錠が開錠モードにおいて操作されている際の、ケーブル錠の正面図である。
図18B図18Aのケーブル錠の背面図である。
図19A】本発明の一実施形態による、錠がカギで開錠されている際の、ケーブル錠の正面図である。
図19B図19Aのケーブル錠の背面図である。
図20A】本発明の一実施形態による、錠が開錠位置で操作され、シャフトが再設定するために回転された際の、ケーブル錠の正面図である。
図20B図20Aのケーブル錠の背面図である。
図21】本発明の別の実施形態によるシャフトを示す。
図22】本発明の別の実施形態による、錠が組合せコードで開錠されている際の、ケーブル錠の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、施錠モードおよび開錠モードにおいて操作可能であるケーブル錠10を提供する。図1A~20Bに見られるように、錠10は、ケーブル110と、錠本体20/30とを含んでおり、ケーブルは、第1ケーブル端部111と、第2ケーブル端部112とを有しており、錠本体20/30は、錠本体の一方側においてシャフト80を、錠本体の他方側において固定カム40を受容するように配置されている。シャフト80は、第1ケーブル端部111と取り外し可能に係合される頂部85を有しており、固定カム40は、第2ケーブル端部112と取り外し可能に係合されるカム溝41を有している。第1ケーブル端部111は、組合せ機構によって解放され得て、第2ケーブル端部112は、カギ優先機構によって解放され得る。錠10は、第1ケーブル端部111がシャフト80の頂部85から解放されている開錠モードにおいて操作されると、錠10は、再設定され得ることで、ユーザが新たな組合せコードを設定することを可能にしている。
【0017】
施錠モード(図1A~13、17Aおよび17B)
図1A~1Cは、本発明の一実施形態による、錠が施錠モードにおいて操作される際の、ケーブル錠10の断面図である。図2および3は、錠本体20/30の2つの半部を示し、錠本体20/30は、頂部側端部28/38と、底部側端部29/39とを有している。図4は、固定カム溝41を有する固定カム40を示している。図5は、ピン51を有するブロックプレート50を示している。図6は、カム溝61を有する回転可能カム60、カムフィンガ63、および回転可能カム60の底部側端部における2つのカム穴62を示している。カム60は、第1カム位置と第2カム位置との間で回転され得る。図7は、回転可能カム60のカム穴62と係合されるように配置される2つのシリンダ突出部71を有するシリンダ70を示している。図8は、シャフト溝81と、再設定ポインタ83とを備える頂部85、および複数のシャフト突出部82を有するシャフト本体86を有するシャフト80を示している。図9Aは、クラッチ90の外表面から延出する延出フィン91と、クラッチ90の内表面から内方向に延出する内側リング93とを有するクラッチ90の底面図を示している。内側リング93は、内側リング93に設けられた空隙92を有している。図9Bは、クラッチ90の平面図であり、内側リング93の上側に設けられた再設定縁部94を示している。再設定縁部94は、空隙92から離間している。図10は、クラッチ90の延出フィン91を受容する大きさにされた複数の歯101を有するダイヤル100を示している。図11は、第1端部首部113を有する第1ケーブル端部111と、第2端部首部114を有する第2ケーブル端部112とを備えるケーブル110を示している。図12は、インジケータ頂部122と、インジケータ首部121とを備えるインジケータ本体123を有するインジケータ120を示している。図13は、フォーク開口部134と連通するフォーク溝131を有するフォーク開口部134を含むフォークプレート130を示している。また、フォークプレート130は、フォーク壁132と、バネを取り付けるためのフォークピン133とを有している。錠10が、施錠モード(図1A)において、組合せ機構によって開錠された開錠モード(図14A)において、または、再設定モード(図16A)において操作されると、インジケータ首部121は、フォークプレート130のフォーク溝131と係合され、回転可能カム60のカムフィンガ63は、フォーク壁132から離間する。フォークプレート130は、フォークピン133に取り付けられるバネによって付勢されて回転可能カム60の方向に移動することで、インジケータ120全体を錠本体20/30内に保持する。
【0018】
図1A~1Cに見られるように、ケーブル錠10は、複数のダイヤル100を受容する大きさにされた複数のダイヤル溝24/34を備える錠本体20/30、一群のクラッチ90およびシャフト80を受容する大きさにされた本体チャネル21/31を有している。シャフト80は、それぞれがクラッチ90のうちの1つと連携する複数のシャフト突出部82を有している。クラッチ90のそれぞれは、ダイヤル100のうちの別々の1つと連携する。ケーブル錠10は、錠本体20/30の頂部側端部の近傍に固定して取り付けられる固定カム40と、固定カム40と摺動可能に係合されるブロックプレート50とを有しており、ブロックプレート50は第1プレート位置と第2プレート位置との間で移動させられ得る。
【0019】
錠が施錠モードにおいて操作されると、第1ケーブル端部111の第1端部首部113は、シャフト50の頂部85におけるシャフト溝81と係合され、第2ケーブル端部112の第2端部首部114は、固定カム40の固定カム溝41と係合される。ブロックプレート50は、第1プレート位置に位置しており、ケーブル110の第2ケーブル端部112は、ブロックプレート50と固定カム40との間に囲繞されている。同時に、シャフト突出部82のそれぞれは、連携するクラッチ90の内側リング93の下面の下方に位置しており、ダイヤル100のうちの少なくとも1つは、施錠解除位置に位置していない。クラッチ90のうちの少なくとも1つの空隙92は、シャフト本体86の連携するシャフト突出部82と整列しないことで、シャフト80が錠本体20/30に対して上方に移動することを防止している。このようなものであるので、シャフト80の頂部85の一部は、錠本体20/30の頂部側端部の下方に隠れている。第1端部首部113は、シャフト溝81から取り外され得ない。このように、ケーブル110は、組合せ機構によって固定されている。さらに、シャフト80の再設定ポインタ83は、錠本体20/30の拘束トラック22に係合されることで、シャフト80が錠本体20/30に対して回転することを防止している。
【0020】
また、図1Aに見られるように、錠10は、錠本体20/30の頂部側端部の近傍に位置する回転可能カム60を有している。回転可能カム60は、ブロックプレート50のピン51を受容する大きさにされた部分螺旋(partial-spiral)カム溝61を有している。また、錠10は、回転可能カム60のカム穴62と係合されるシリンダ突出部71を備えており、錠本体20/30の底部側端部の近傍に位置するシリンダ70を有している。シリンダ70は、カギなしで錠本体20/30に対して回転できないため、回転可能カム60は、第1カム位置にあって、錠本体20/30に対して回転することができない。このようなものであるので、ブロックプレート50が第1プレート位置に留まることによって、第2ケーブル端部112の第2端部首部114が固定カム40の固定カム溝41から解放されることを防止している。
【0021】
組合せコードによる開錠(図14A~14C、18A~18B)
錠10が再設定モードではない場合には、クラッチ90のそれぞれのクラッチの延出フィン91は、連携するダイヤル100の歯101のうちの1つと係合されており、クラッチ90は、ダイヤル100とともに回転可能である。錠10を組合せ機構によって開錠するためには、ダイヤル100が回転されて、シャフト突出部82のそれぞれが連携するクラッチ90の空隙92と整列するように組合せコードを一致させる必要がある。その後に、ケーブル110の第1ケーブル端部111が、上方に引かれると、シャフト90は、上方に移動し得る。このようなものであるので、シャフト頂部85のシャフト溝81は、錠本体20/30の頂部側端部の上方に位置することで、第1ケーブル端部111の第1端部首部113がシャフト溝81から取り除かれることを可能にしている。錠10は、錠本体20/30の溝端部25/35内に位置する停止プレート150を有することで、最上部のシャフト突出部82をブロックすることによって、シャフト80の上方の移動を制限している。
【0022】
カギによる開錠(図15A~15C、19A~19B)
図15Aに見られるように、シリンダ突出部71は回転可能カム60のカム穴62と係合されており、ブロックプレート50のピン51は、回転可能カム60のカム溝61と摺動可能に係合されている。カギ140がシリンダ70に挿入されると、シリンダ70内のウェハがシリンダ内に後退することで、シリンダ70が回転することを可能にしている。シリンダ70が回転すると、回転可能カム60も錠本体20/30に対して第1カム位置から第2カム位置に回転する。ブロックプレート50のピン51が部分螺旋カム溝61と係合された状態で、回転可能カム60の回転によって、ブロックプレート50が第1プレート位置から第2プレート位置へと下方に引っ張られる。第2プレート位置において、ブロックプレート50は、固定カム40の固定カム溝41を露出させる。第2ケーブル端部112の第2端部首部114は、固定カム溝41から解放され得る。しかし、第1ケーブル端部111の第1端部首部113は、シャフト80のシャフト溝81と係合されたままである。再設定ポインタ83も、錠本体20/30の拘束トラック22と係合されたままであることで、シャフト80が錠本体20/30に対して回転することを防止している。
【0023】
回転可能カム60が第1カム位置から第2カム位置へと回転させられると、回転可能カム60のカムフィンガ63がフォークプレート130のフォーク壁132と接触することで、フォークプレート130が回転可能カム60から押し離され、フォーク溝131からインジケータ120のインジケータ首部121を解放する。同時に、インジケータ120が下方のバネ(図示されず)によって上方に押されることで、インジケータ頂部122を錠本体20/30から移動させる(図15A参照)。インジケータ120の飛び出しは、錠がカギによって開錠されたことの注意喚起としての役割を果たしている。
【0024】
再設定モード(図16A~16C、20A~20B)
錠10が組合せ機構によって開錠されて、シャフト80が上方に引っ張られると、再設定ポインタ83は、錠本体20/30の拘束トラック22から解放される。シャフト80は、錠本体20/30に対して回転され得る。再設定ポインタ83が、錠本体20/30における再設定トラック32と整列すると、シャフト80は、下方に押され得ることによって、シャフト突出部82のそれぞれが、連携するクラッチ90の再設定縁部94と係合させられる。再設定トラック32は、錠本体20/30に対するシャフト80の回転を防止している。さらに、シャフト突出部82のクラッチ90の再設定縁部94との係合は、再設定モード中のクラッチ90の錠本体20/30に対する回転を防止している。
【0025】
錠10を再設定するためには、クラッチ90の延出フィン91がダイヤル100の歯101から解放されるまで、クラッチ90が、シャフト80のシャフト突出部82によって、さらに下方に押される必要がある。その後、ユーザは、クラッチ90なしでダイヤル100を回転させることで、新たな組合せコードを設定し得る。
【0026】
再設定した後、ユーザは、シャフト90の再設定ポインタ83が錠本体20/30の再設定トラック32から解放されるまで、シャフト90を上方に引っ張る必要がある。その後、ユーザは、新たな組合せコードによって、錠10を再施錠し得る。
【0027】
図21および22
図8に見られるように、シャフト80は、再設定ポインタ83を備える頂部85を有している。図2および3に示されるように、錠本体20/30は、シャフト80の頂部85の一部を受容する大きさにされた円形の穴を有している。錠本体の半部20は、拘束トラック22を有しており、錠本体の半部30は、再設定トラック32を有している。図1A、1B、8、14A、14B、15A、15B、16A、16Bおよび17A~20Bに示されるように、錠が施錠されている、または、カギ優先機構によって開錠されていると、錠本体20/30の拘束トラック22とシャフト80の頂部85の再設定ポインタ83との係合によって、シャフト80の錠本体20/30に対する回転を防止している。再設定モードでは、再設定ポインタ83と錠本体20/30における再設定トラック32との係合によっても、シャフト80の錠本体20/30に対する回転を防止している。
【0028】
本発明の異なる実施形態では、シャフト80の頂部85の矩形頂面84が再設定ポインタ83を置き換えるために用いられ、錠本体20/30は、拘束トラック22と、再設定トラック32とを有する円形開口部を置き換えるために、錠本体20/30の頂部側端部において、矩形開口部23を有している。図21に示されるように、矩形頂面84は、ケーブル溝(cable slot)87を有することで、第1ケーブル端部111の第1端部首部113がシャフト溝81と係合することを可能にしている。錠本体20/30における矩形開口部23は、矩形頂面84を受容する大きさにされている。
【0029】
錠10が施錠モードにおいて操作されるか、または、カギ優先機構によって開錠されると、矩形頂面84のうちの少なくとも一部が矩形開口部23内に位置することで、第1ケーブル端部111の第1端部首部113がシャフト溝81から解放されることを防止している。錠が組合せ機構によって開錠されると、図22に示されるように、矩形頂面84は、錠本体20/30の矩形開口部23から移動される。ケーブル110の第1ケーブル端部111は、錠本体20/30から解放され得る。再設定モードでは、シャフト80が錠本体20/30に対して180度回転することによって、矩形頂面84を矩形開口部23と整列させることで、シャフト80が下方に押され得ることによって、ダイヤル100の歯101からクラッチ90の延出フィン91を解放する。
【0030】
矩形頂面84は、2つの方向、つまり、施錠するための一方向と、錠10を再設定するための他方向とにおいて、矩形開口部23に嵌合され得るが、シャフト80の頂面および錠本体20/30における開口部は、矩形とは異なる形状であり得ることが理解される。シャフト頂面および錠本体開口部は、同一の機能を達成するために楕円形であってもよい。したがって、本発明は1または複数の実施形態に関して説明されたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、その形状および詳細において、前述の、および他の様々な変更、省略、逸脱がなされ得ることが理解される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22