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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
A63F5/04 620
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020041730
(22)【出願日】2020-03-11
(62)【分割の表示】P 2018186190の分割
【原出願日】2018-09-29
(65)【公開番号】P2020099730
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】今井 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】下森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹内 賢一
(72)【発明者】
【氏名】山田 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 重之
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 秀明
(72)【発明者】
【氏名】菅野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】市原 聖之
(72)【発明者】
【氏名】春好 辰則
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好彦
(72)【発明者】
【氏名】長田 優輝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 僚太
【審査官】森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-143443(JP,A)
【文献】戦国コレクション3,パチスロ必勝ガイド2018年攻略年鑑,株式会社ガイドワークス,2018年02月01日,p.66-69
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非有利区間と、有利区間と、の間で遊技区間の移行を制御する遊技区間制御手段と、
前記有利区間において、通常状態と、前記通常状態よりも有利な有利状態と、を含む複数種類の状態の間で前記状態の移行を制御する状態制御手段と、を備えている遊技機であって、
前記有利区間の滞在に係る報知を行う報知手段と、
前記有利状態に移行するための権利に係る抽選を行う抽選手段と、を備え、
前記抽選手段は、
前記通常状態中に前記抽選を行うことが可能であり、
前記非有利区間から前記有利区間へ移行する場合に前記抽選を行うことが可能であり、
前記抽選は、前記通常状態中に行われるときよりも前記非有利区間から前記有利区間へ移行する場合に行われるときの方が有利であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回胴式遊技機その他のスロットマシン等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の遊技機は、ストップボタンの操作順序を遊技者に報知してメダルを獲得し易くするAT遊技を実行可能に構成され、遊技に関する演出状態として、AT遊技が行われるAT状態と、AT遊技が行われない非AT状態とが含まれている。非AT状態では、所定役の当選に基づいてAT状態への移行の可否を決定するAT抽選が実行され、このAT抽選に当選した場合には、非AT状態からAT状態に移行し、遊技者はAT遊技を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-8155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような遊技機においては、AT状態において所定の終了条件が成立した場合には、AT状態を終了させて一般状態に移行(転落)するため、遊技意欲の低下を招来する虞があった。
【0005】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技意欲の低下を防止することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、非有利区間と、有利区間と、の間で遊技区間の移行を制御する遊技区間制御手段と、前記有利区間において、通常状態と、前記通常状態よりも有利な有利状態と、を含む複数種類の状態の間で前記状態の移行を制御する状態制御手段と、を備えている遊技機であって、前記有利区間の滞在に係る報知を行う報知手段と、前記有利状態に移行するための権利に係る抽選を行う抽選手段と、を備え、前記抽選手段は、前記通常状態中に前記抽選を行うことが可能であり、前記非有利区間から前記有利区間へ移行する場合に前記抽選を行うことが可能であり、前記抽選は、前記通常状態中に行われるときよりも前記非有利区間から前記有利区間へ移行する場合に行われるときの方が有利であることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、有利状態に移行するための権利を付与するか否かを決定する抽選は、通常状態中に行われるときよりも非有利区間から前記有利区間へ移行する場合に行われるときの方が有利であるので、非有利区間における遊技性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は第1実施形態例に係るスロットマシンの外観斜視図であり、(b)はスロットマシンのメインモニタの詳細を説明するための図である。
図2】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
図3】スロットマシンの当選エリアを説明するための図である。
図4】スロットマシンの遊技状態の遷移を説明するための図である。
図5】スロットマシンの演出モード、および遊技区間の遷移を説明するための図である。
図6】AT抽選の当選確率、AT抽選当選時に付与するAT権利の個数、およびAT権利に関する処理を説明するための図である。
図7】遊技の処理手順を示すフローチャートである。
図8】通常モード(有利区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。
図9】擬似BIGモード(有利区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。
図10】擬似REGモード(有利区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。
図11】第1引き戻しモード(有利区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。
図12】第2引き戻しモード(有利区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。
図13】特別モード滞在時(非有利区間)のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。
図14】スロットマシンでの遊技の具体例を説明するための図である。
図15】変形例に係るスロットマシンのATモードを説明するための図である。
図16】第2実施形態例に係るスロットマシンの遊技状態の遷移を説明するための図である。
図17】第2実施形態例に係るスロットマシンの当選エリアを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1(a)に示すように、本実施形態例に係るスロットマシンSは、筐体1と、筐体1の前面上部に開閉自在に取り付けられた上扉2と、筐体1の前面下部に開閉自在に取り付けられた下扉3と、上扉2の下部中央に形成された透明材料からなる表示窓4と、表示窓4に対応した筐体1の内部に配設されたリール5~7と、下扉3の右上部に設けられたメダル投入口8と、各リール5~7の回転を開始させるためのスタートレバー9と、各リール5~7の回転をそれぞれ停止させるためのストップボタン10~12と、入賞によるメダルの払出枚数等を表示させるメインモニタ13と、遊技の進行に応じて演出を実行するランプ14、パトランプ15、一対のスピーカ16およびサブモニタ17と、下扉3の下部中央に設けられたメダル払出口18と、メダル払出口18から払い出されたメダルを収容する受皿19と、を主に備えて構成されている。
【0011】
各リール5~7は、1つのリールユニットとして構成されており、ステッピングモータ(図示省略)の駆動によりそれぞれ回転する。リール5~7が停止している状態では、各リール5~7の外周面に配列されている連続する3つの図柄(以下、それぞれ上段図柄、中段図柄、下段図柄と言う。)が表示窓4にそれぞれ表示されて、遊技者は3行3列に配置された合計9個の図柄を目視することができる。
【0012】
表示窓4には、各リール5~7の上段図柄、中段図柄および下段図柄がそれぞれ停止する上段停止位置、中段停止位置および下段停止位置が設けられており、各リール5~7の停止位置をそれぞれ組み合わせた有効ラインLが設定されている。本実施形態例では、有効ラインLは、左リール5の中段、中リール6の中段、右リール7の中段の各停止位置の組み合わせからなる。
【0013】
図示を省略するが、リール5~7の外周面に図柄列がそれぞれ付され、これら図柄列は均等な領域にそれぞれ区画されている。図柄列の各領域に1個の図柄が配置され、各図柄に図柄番号がそれぞれ対応付けられている。各図柄列には、複数種類の図柄が配置されており、これら図柄の組合せが予め対応付けられた役が設けられている。
【0014】
役には、図3に示すように、所定枚数のメダルを遊技者に払い出し可能とする小役(NML1~5)と、規定数のメダルの投入によらずに次回の遊技を可能とさせる再遊技役(REP1,2)と、第一種特別役物に係る役物連続作動装置であるRBB役と、が含まれる。
【0015】
なお、図示は省略するが、本実施形態例のスロットマシンSは、その内部に電源ユニットを備えている。この電源ユニットは、スロットマシンSの電源をON/OFFするための電源スイッチ、およびスロットマシンSの出玉率(メダルの投入総数に対する払出総数の割合)を示す設定値を変更するための設定キーおよび設定ボタンを有する。本実施形態例では、出玉率が6段階設けられており、これら6段階の出玉率が1~6までの設定値にそれぞれ対応付けられている。遊技場の管理者は、設定キーや設定ボタン等を操作することにより、設定値を1~6の間で変更することができる。
【0016】
メインモニタ13は、リール5~7等に対する停止操作位置(押下位置)やストップボタンの操作順序(打順)を指示する指示機能に係る情報を表示可能に構成されている。本実施形態例のスロットマシンSは、指示機能を発生可能とする遊技区間である有利区間と、指示機能を発生不可能とする遊技区間である非有利区間と、を有している。有利区間中では、指示機能を発生させる場合には、ストップボタンの操作順序をメインモニタ13およびサブモニタ17に表示することにより、メダルの獲得を容易とさせるAT遊技を実行できる。
【0017】
図1(b)に示すように、メインモニタ13は、2桁7セグメントLEDから成るペイアウト表示器13aと、ドットLEDから成る区間表示器13bと、を有している。ペイアウト表示器13aは、上記メダル払出枚数、および有利区間中の指示機能による指示情報信号を識別する番号を表示する。例えば、指示情報信号が左ストップボタン10→中ストップボタン11→右ストップボタン12の停止順序を指示するものである場合には、番号「1」等を表示させる。なお、メインモニタ13が、このような指示機能に係る処理を実行すると、サブモニタ17は、この処理に応じるようにストップボタン10~12の操作順序を報知するように構成されている。
【0018】
区間表示器13bは、そのドットLEDを利用して点灯または消灯することにより、遊技区間が有利区間中または非有利区間中であることを遊技者に報知する。本実施形態例のスロットマシンSは、所定の条件が成立したことに基づいて有利区間への移行を決定して次回の遊技から有利区間中であるときに区間表示器13bを点灯させ、有利区間が終了した次回の遊技から非有利区間中であるときに区間表示器13bを消灯させる。
【0019】
次に、図2を用いて、本実施形態例のスロットマシンSを構成する各制御処理部について説明する。
【0020】
主制御処理部100は、筐体1の内部に設けられており、メインCPU、メインROMおよびメインRAMを備えている。主制御処理部100には、メダル投入口8から投入されたメダルの通過を検知する投入メダルセンサ8a、スタートレバー9、各ストップボタン10~12、メインモニタ13、リールユニット30(リール5~7)およびその他の装置(図示せず)が接続されている。
【0021】
メインCPUは、主制御処理部100に接続された各装置からの信号や図示せぬタイマカウンタからの信号が主制御処理部100に入力されたことに基づいて、メインROMに格納されたプログラムを読み出して様々な処理を実行したり、当該処理の結果に応じて副制御処理部200にコマンドを送信したりする。メインRAMには、遊技に関する情報を記憶する遊技情報記憶領域150が構築されており、メインCPUの処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0022】
遊技情報記憶領域150には、AT遊技の回数を記憶するAT遊技回数記憶領域150aと、AT遊技を実行する演出モードであるATモードに移行するための権利(以下、AT権利と言う。)を記憶(ストック)するためのAT記憶領域150bと、が含まれている。なお、AT記憶領域150bにAT権利が1個ストックされたことに基づいて、ATモードにおいて1セット(所定回数)のAT遊技が付与される。
【0023】
メインROMには、規定数のメダルの投入によりスタートレバー9の操作を有効化させるスタートレバー有効化手段101、有効化されたスタートレバー9の操作(以下、遊技開始操作と言う。)に基づいて役の対応付けられた当選エリアを複数種類の中から一つ内部抽選で決定する内部抽選手段102、内部抽選で決定された当選エリアに対応付けられた役の当選フラグを成立させる当選フラグ制御手段103、各リール5~7の回転および停止を制御するリール制御手段104、小役に対応する図柄組合せが有効ラインLに表示された(以下、「小役(NML)が入賞した」と言う。)場合に、当該小役に予め対応付けられた所定枚数のメダルを払い出すメダル払出手段105、再遊技役に対応する図柄組合せが有効ラインLに表示された(以下、「再遊技役(REP)が入賞した」と言う。)場合に、規定数のメダルの投入によらずに次回の遊技を可能とさせる再遊技を設定する再遊技設定手段106、主制御処理部100の作動状態である遊技状態を制御する遊技状態制御手段107、メインモニタ13の表示を制御するメインモニタ制御手段108、有利区間と非有利区間との間で遊技区間の移行を制御する遊技区間制御手段109、副制御処理部200の作動状態である演出モードを制御する演出モード制御手段110が構築されている。
【0024】
遊技状態は、図4に示すように、通常状態と、RBB内部と、RBB作動と、に大別される。各遊技状態における小役の当選確率は、通常状態およびRBB内部で約1/7.0に設定され、約RBB作動で1/1.1に設定されている。
【0025】
演出モードは、図5に示すように、非ATモードとATモード(有利状態)と、に大別され、非ATモードには、通常モード、引き戻しモード(第1状態)および特別モード(第2状態)が含まれ、ATモードには、擬似BIGモードおよび擬似REGモードが含まれている。詳細は後述するが、本実施形態例では、ATモードの終了後に、直ぐに通常モードに移行(転落)させることなく、まずは、ATモードへの再移行(引き戻し)に対する期待値の高い引き戻しモードに移行させる。そして、引き戻しモードにおいて、ATモードへの再移行を決定することなく、引き戻しモードが終了した場合には、AT権利のストックに対する期待値の高い特別モードを経由させた後に、通常モードに転落させるように構成されている。つまり、本実施形態例では、ATモードから直ぐに通常モードへ転落させないようにして、ATモードの終了後に、最初に引き戻しモードに移行させて遊技に関する特典としてATモードへの再移行(第1特典)を付与するか否かを決定し、この引き戻しモードで引き戻しができなかった場合であっても、次に特別モードに移行させて遊技に関する特典としてAT権利のストック(第2特典)を付与するか否かを決定し、その後、通常モードに転落させるようになっている。
【0026】
図2に戻り、副制御処理部200は、サブCPU、サブROMおよびサブRAMを備えており、主に遊技中に行われる各演出の実行を制御する。副制御処理部200は、主制御処理部100に対して当該主制御処理部100から副制御処理部200への一方向に通信可能に接続されている。
【0027】
サブCPUは、主制御処理部100から送信されたコマンド等に基づいて、サブROMに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、当該処理に基づいて、ランプ14、パトランプ15、一対のスピーカ16およびサブモニタ17等の演出装置を制御する。なお、サブRAMは、サブCPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0028】
サブROMには、主制御処理部100の指示に基づいて、演出モードを複数種類の演出モードの間で移行させる演出モード移行手段201、演出を決定する演出態様決定手段202、決定された演出をサブモニタ17等の演出装置で実行する演出実行手段203が構築されている。
【0029】
次に、主制御処理部100のメインROMに構築された各手段について説明する。
【0030】
スタートレバー有効化手段101は、通常状態、RBB内部、RBB作動において規定数(3枚)のメダルの投入によりスタートレバー9の操作を有効化させる。
【0031】
内部抽選手段102は、有効化されたスタートレバー9の遊技開始操作が行われたタイミングで内部抽選用の乱数を取得し、この取得された乱数と現在の遊技状態の種類とに基づいて、複数種類の当選エリアの中から1つの当選エリアを決定する。
【0032】
複数種類の当選エリアには、図3に示すように、何れの役も対応付けられていない「不当選」(0番)と、NML1とNML2とが少なくとも重複して対応付けられた「打順ベル」(1~3番)と、NML3が単独で対応付けられた「共通ベル」(4番)と、NML4が単独で対応付けられた「チェリー」(5番)と、NML5が単独で対応付けられた「スイカ」(6番)と、REP1が単独で対応付けられた「通常リプ」(7番)と、REP2が単独で対応付けられた「特殊リプ」(8番)と、RBB役が単独で対応付けられた「RBB」(9番)と、が含まれている。
【0033】
本実施形態例では、当選エリア「チェリー」、「スイカ」および「特殊リプ」は、ATモードに移行するためのAT権利を付与するか否かを決定するAT抽選の実行契機となる当選エリアである。非ATモードおよびATモードで上記当選エリアの何れかに当選した場合には、図6に示すように、滞在している演出モードの種類に応じて、AT抽選の当選確率(以下、AT当選確率と言う。)を変更可能にしてAT抽選が実行される。具体的には、AT当選確率は、通常モード、擬似BIGモードおよび擬似REGモード滞在時には、チェリー当選時に5%、スイカ当選時に10%、特殊リプ当選時に3%に設定されている。また、第1引き戻しモードおよび第2引き戻しモード滞在時には、チェリー当選時に10%、スイカ当選時に20%、特殊リプ当選時に6%に設定されている。また、特別モード滞在時には、チェリー当選時に4%、スイカ当選時に9%、特殊リプ当選時に2%に設定されている。なお、上述した各演出モード滞在時のAT当選確率は、上記の値に限られることなく、適宜変更可能である。
【0034】
ここで、第2引き戻しモードおよび特別モードにおいて、特殊リプの当選を契機として実行されるAT抽選(以下、特殊AT抽選と言う。)に当選した場合には、リール5~7の回胴演出が実行可能になっている。詳細は後述するが、回胴演出が実行された場合には、複数のAT権利を付与して、これらのAT権利をストック可能になる。以下においては、特殊AT抽選に対して、チェリーまたはスイカの当選を契機として実行されるAT抽選を通常AT抽選と言い、単にAT抽選と言う場合には、通常AT抽選および特殊AT抽選の両方を含むことにする。なお、チェリーの当選時には、ストップボタンの操作態様に拘わらず、NML4を入賞させて9枚のメダルを払い出し、スイカの当選時には、ストップボタンの操作態様に拘わらず、NML5を入賞させて9枚のメダルを払い出す。また特殊リプの当選時には、ストップボタンの操作態様に拘わらず、REP2を入賞させて再遊技を設定する(作動させる)。
【0035】
当選エリア「打順ベル」は、当選エリア「打順ベルA」~「打順ベルC」の総称である。打順ベルA~Cの何れかに当選したときに、図3に示す「9枚」の打順(例えば、打順ベルAでは打順1,2(左1st))でストップボタンの操作(停止操作)が行われた場合には、NML1を入賞させて9枚のメダルを払い出す。一方、図3に示す「1枚or0枚」の打順(例えば、打順ベルAでは打順3~6(中1st、右1st))で停止操作が行われた場合には、ストップボタン10~12の操作タイミングに応じて、NML2を入賞可能として、このNML2の入賞により1枚のメダルを払い出す。なお、ATモードにおいて打順ベルA~Cの何れかに当選した場合には、上記「9枚」の打順(以下、正解打順と言う。)をメインモニタ13およびサブモニタ17等で遊技者に報知する。
【0036】
当選エリア「RBB」は、通常状態において、その当選が演出装置で報知されないようになっているとともに、RBB役に対応する図柄組合せ(以下、RBB図柄と言う。)は、各リール5~7の図柄列に1つだけ配置された図柄を組み合わせたものになっている。そのため、RBBに当選しても、ストップボタンの操作態様に応じて、RBB図柄を有効ラインLに表示させることは難しくなっている。
【0037】
当選エリア「共通ベル」に当選した場合には、ストップボタンの操作態様に拘わらず、NML3を入賞させて、9枚のメダルを払い出す。また、当選エリア「通常リプ」に当選した場合には、ストップボタンの操作態様に拘わらず、REP1を入賞させて、再遊技を設定する(再遊技を作動させる)。
【0038】
当選フラグ制御手段103は、内部抽選に基づいて成立させた(ONにセットした)当選フラグが小役または再遊技役の当選フラグである場合には、これらの当選フラグを次回の遊技に持ち越さないように、次回の遊技の開始前までにOFFにセットする。また、当選フラグ制御手段103は、内部抽選に基づいて成立させた当選フラグがRBB役に係る当選フラグである場合には、RBB図柄が有効ラインLに表示されるまで当該フラグを持ち越す。
【0039】
リール制御手段104は、遊技開始操作に基づいて各リール5~7の回転を開始させ、各リール5~7が定常回転(約80回転/分)となるまでリールの回転を加速させ、各リールが定常回転に到達すると回転速度を維持し、各リールの回転速度が定常回転に到達すると、全てのストップボタン10~12の操作を有効化させる。
【0040】
また、リール制御手段104は、有効化されたストップボタン10~12の操作態様に応じて対応するリールの回転を停止させる。具体的には、各ストップボタン10~12の停止操作時から190ms以内に、押下操作されたストップボタンに対応するリールの回転を停止させる。このとき、リールは対応するストップボタンの押下タイミングから最大で4図柄(4コマ)分(ストップボタンの押下タイミングで有効ラインLに表示されていた図柄を含めると5コマ分)だけ回転可能となる。
【0041】
また、リール制御手段104は、当選フラグの成立状態に応じて、メダル払出枚数の最も多い役に対応する図柄組合せを優先的に有効ラインLに表示するようリールを制御する枚数優先制御、図柄組合せの個数が最も多くなる役に対応する図柄組合せを優先的に有効ラインLに表示するようリールを制御する個数優先制御、RBB役よりも再遊技役および小役に対応する図柄組合せを優先的に有効ラインLに表示するようリールを制御する役付け優先制御、により最も引き込み優先順位の高い図柄を検索するロジック演算、および/または、予めメインROMに記憶された停止制御テーブル(図示省略)の参照に基づいて、成立している当選フラグに対応する役に係る図柄組合せのうち優先順位の最も高い図柄を有効ラインLに表示するように引き込み、かつ、成立している当選フラグ以外の当選フラグに係る役に対応付けられた図柄組合せを有効ラインLに表示しないよう蹴飛ばし、各ストップボタン10~12に対応するリールを停止させる。
【0042】
さらに、本実施形態例では、リール制御手段104は、第2引き戻しモードまたは特別モードにおいて、特殊AT抽選に当選した場合には、所定確率に従って回胴演出を実行するようにリールを制御する(詳細は省略)。一方、通常モード、擬似BIGモード、擬似REGモードまたは第1引き戻しモードで特殊AT抽選に当選した場合には、回胴演出を実行しないようにリールを制御する。なお、回胴演出とは、ストップボタンの操作を許容しない状態にして遊技の進行を一時的に中断するフリーズのことを言う。このように、第2引き戻しモードまたは特別モードで回胴演出を実行した場合には、遊技者は特殊AT抽選の当選と、この当選に基づく複数のAT権利の付与と、を把握できる。
【0043】
メダル払出手段105は、小役が入賞した場合に、小役に予め対応付けられた所定枚数のメダルを払い出す。
【0044】
再遊技設定手段106は、再遊技役が入賞した場合に、規定数のメダルの投入によらずに次回の遊技を可能とさせる再遊技を設定する。
【0045】
遊技状態制御手段107は、通常状態、RBB内部およびRBB作動の間で遊技状態の移行を制御する。以下、遊技状態の遷移について図3,4を参照して説明する。
【0046】
通常状態では、全ての当選エリアが内部抽選の対象となっており(図3の内部抽選テーブルa)、遊技状態制御手段107は、RBBに当選した場合には、遊技状態をRBB内部に移行させる(図4のa)。RBB内部では、RBBを除く全ての当選エリアが内部抽選の対象となっており(図3の内部抽選テーブルb)、遊技状態制御手段107は、RBB図柄が有効ラインLに表示された場合には、遊技状態をRBB作動に移行させる(図4のb)。RBB作動では、通常リプ、特殊リプ、およびRBBを除く全ての当選エリアが内部抽選の対象となっており(図3の内部抽選テーブルc)、遊技状態制御手段107は、RBB作動でのメダル払出枚数が所定枚数に達すると、遊技状態を通常状態に移行させる(図4のc)。なお、通常状態でRBBに当選した場合には、RBB内部を経由することなく、RBB作動に移行させるようにしてもよい(図4のd)
【0047】
本実施形態例では、通常状態におけるRBBの当選確率が他の当選エリアに比べて極めて高い値(例えば、約1/3.0)に設定されているため、通常状態では短期間でRBBに当選してRBB内部に移行する。また、RBB図柄は、上述したように有効ラインLに表示され難い図柄組合せであり、RBB作動での終了条件となるメダル払出枚数が比較的少ない値(例えば、30枚)に設定されており、RBB作動から通常状態に短期間で移行する。したがって、ほとんどの遊技はRBB内部に滞在した状態で進行することになる。
【0048】
メインモニタ制御手段108は、ATモード中に打順ベルA~Cの何れかに当選した場合には、メダル払出枚数が9枚のNML1を入賞させる正解打順に関する指示情報信号を識別する番号をメインモニタ13に表示させる。また、メインモニタ制御手段108は、遊技区間の種類に応じて、メインモニタ13の区間表示器13bを点灯または消灯させるように制御する。具体的には、メインモニタ制御手段108は、有利区間中である場合には、区間表示器13bを点灯させ、非有利区間中である場合には、区間表示器13bを消灯させる。なお、これに限られず、メインモニタ制御手段108は、擬似BIGモードおよび擬似REGモードに対応した有利区間中に限って、区間表示器13bを点灯させるようにしてもよい。
【0049】
遊技区間制御手段109は、非有利区間においてAT抽選(通常AT抽選,特殊AT抽選)に当選したことに基づいて、付与したAT権利を即時に放出することを決定した場合に、有利区間に移行させるとともにATを生起させ、付与したAT権利を即時に放出しないことを決定した場合に、有利区間に移行させるとともにATを生起させないようにする。なお、以下の説明において、ATを生起させている有利区間のことを「AT生起区間」といい、ATを生起させていない有利区間のことを「非AT生起区間」と言う。また、非有利区間終了後の非AT生起区間のことを、「通常非AT生起区間」と言う。
【0050】
また、遊技区間制御手段109は、AT生起区間において、1セットが20ゲームのAT遊技(以下、擬似REG遊技と言う。)を実行したことに基づいて、AT生起区間を終了させて非AT生起区間に移行させる一方で、1セットが40ゲームのAT遊技(以下、擬似BIG遊技と言う。)を実行したことに基づいて、AT生起区間を終了させることなくAT生起区間を維持する。
【0051】
一方、遊技区間制御手段109は、通常非AT生起区間において、AT抽選(通常AT抽選、特殊AT抽選)に当選したことに基づいて、付与したAT権利を擬似BIG遊技または擬似REG遊技として即時に放出することを決定した場合に、AT生起区間に移行させ、付与したAT権利を即時に放出しないことを決定した場合に、AT生起区間に移行させることなく、通常非AT生起区間を維持する。
【0052】
そして、遊技区間制御手段109は、AT生起区間終了後の非AT生起区間(以下、引戻非AT生起区間と言う。)の遊技回数を96回に決定し、引戻非AT生起区間において96回の遊技を実行したことに基づいて、引戻非AT生起区間を終了させて非有利区間に移行させる。
【0053】
本実施形態例では、引戻非AT生起区間における1回目~32回目までの遊技が実行されるまでの間(以下、第1引戻非AT生起区間と言う。)に、当選確率が高いAT抽選(通常AT抽選、特殊AT抽選)を実行可能とし、引戻非AT生起区間における33回目~96回目までの遊技が実行されるまでの間(以下、第2引戻非AT生起区間と言う。)に、当選確率が高いAT抽選(通常AT抽選、特殊AT抽選)を実行可能としている。そして、遊技区間制御手段109は、第1引戻非AT生起区間において、AT抽選に当選したことに基づいて、再びAT生起区間に移行(再移行)させ、第2引戻非AT生起区間において、AT抽選に当選したことに基づいて、付与したAT権利を即時に放出することを決定した場合に、再びAT生起区間に移行させる一方、付与したAT権利を即時に放出しないことを決定した場合に、AT生起区間に移行させることなく第2引戻非AT生起区間を維持する。
【0054】
演出モード制御手段110は、遊技区間(通常非AT生起区間、AT生起区間、引戻非AT生起区間、非有利区間)の移行に応じて、演出モード(通常モード、ATモード(擬似BIGモード、擬似REGモード)、引き戻しモード(第1引き戻しモード、第2引き戻しモード)、特別モード)の移行を制御する。具体的には、通常非AT生起区間に通常モード、AT生起区間にATモード、引戻非AT生起区間に引き戻しモード、非有利区間に特別モードがそれぞれ対応付けられている。
【0055】
図5に示すように、通常モード(通常非AT生起区間)において、AT抽選の当選により1個のAT権利を付与された場合に、この付与されたAT権利に関する処理として、30%の確率で擬似BIGモードへの移行(以下、BIG-AT即放出と言う。)(図5のA)、30%の確率で擬似BIGモードへの移行の権利のストック(以下、BIG-ATストックと言う。)、40%の確率で擬似REGモードへの移行(以下、REG-AT即放出と言う。)(図5のB)、にそれぞれ割り振られる。なお、通常モードでBIG-ATストックを行った場合には、通常モードを維持する。
【0056】
また、通常モードにおいてAT抽選に当選することなく800回の遊技を実行した(所謂天井に到達した)場合には、擬似BIGモードに移行させる(図5のA)。なお、詳細な説明を省略するが、AT権利に関する処理として、BIG-AT即放出またはREG-AT即放出を行った場合には、AT抽選の当選を示唆した後に、擬似BIGモードまたは擬似REGモードに移行させる。
【0057】
擬似BIGモード(AT生起区間)において、擬似BIG遊技を実行し終えたとき、AT記憶領域150bに擬似BIGモードへの移行の権利がストックされている場合には、これを1個抽出し、この抽出した権利に基づいて再び擬似BIGモード(AT生起区間)に滞在(再滞在)させて(図5のC)、擬似BIGモードをループさせる(擬似1G連ループ)。一方、擬似BIGモードへの移行の権利がストックされていない場合、擬似BIGモードを終了させた後に、擬似REGモード(AT生起区間)に移行させる(図5のD)。
【0058】
擬似REGモード(AT生起区間)において、AT抽選の当選により1個のAT権利を付与された場合に、この付与されたAT権利に関する処理として、AT記憶領域150bに擬似BIGモードへの移行の権利をストックする。そして、擬似REGモードで擬似REG遊技を実行し終えた場合には、擬似REGモードを終了させるとともにATを終了させて、第1引き戻しモード(第1引戻非AT生起区間)に移行させる(図5のE)。
【0059】
第1引き戻しモード(第1引戻非AT生起区間)において、AT抽選の当選により1個のAT権利を付与された場合に、この付与されたAT権利に関する処理として、AT記憶領域150bに擬似BIGモードへの移行の権利をストックすることなく、40%の確率でBIG-AT即放出(図5のG)、60%の確率でREG-AT即放出(図5のF)にそれぞれ割り振られる。ただし、第1引き戻しモードにおいて、AT抽選に当選することなく32回の遊技を実行し終えた場合には、第2引き戻しモード(第2引戻非AT生起区間)に移行させる(図5のH)。
【0060】
第2引き戻しモード(第2引戻非AT生起区間)において、通常AT抽選に当選したことにより1個のAT権利を付与された場合に、この付与されたAT権利に関する処理として、20%の確率でBIG-AT即放出(図5のK)、60%の確率で擬似BIGモードへの移行の権利のストック、20%の確率でREG-AT即放出(図5のM)にそれぞれ割り振られる。これに対し、第2引き戻しモードにおいて、特殊AT抽選に当選した場合には、20%の確率で5個のAT権利を付与し、80%の確率で1個のAT権利を付与する。このとき、付与された5個のうち1個のAT権利に関する処理として、30%の確率でBIG-AT即放出(図5のK)、70%の確率で擬似BIGモードへの移行の権利のストックにそれぞれ割り振られる。なお、残り4個のAT権利は、全て擬似BIGモードへの移行の権利としてストックされる。そして、第2引き戻しモードにおいて、擬似BIGモードへの移行が決定されることなく64回の遊技を実行し終えた場合には、特別モード(非有利区間)に移行させる(図5のN)。このとき、遊技区間は有利区間から非有利区間に移行するため、AT記憶領域150bに記憶されている権利は、全て破棄される。
【0061】
本実施形態例では、第2引き戻しモードにおいて、特殊AT抽選に当選したときに5個のAT権利を付与することが決定した場合と、特別モードにおいて、特殊AT抽選に当選したときに10個のAT権利を付与することが決定した場合に、リールの動作を用いた回胴演出を実行するように構成されている。
【0062】
特別モード(非有利区間)において、通常AT抽選に当選したことにより1個のAT権利を付与された場合に、この付与されたAT権利に関する処理として、20%の確率でBIG-AT即放出(図5のP)、60%の確率で擬似BIGモードへの移行の権利のストック、20%の確率でREG-AT即放出(図5のR)にそれぞれ割り振られる。これに対し、特別モードにおいて、特殊AT抽選に当選した場合には、100%の確率で10個のAT権利を付与し、この付与された10個のうち1個のAT権利に関する処理として、30%の確率でBIG-AT即放出(図5のP)、70%の確率で擬似BIGモードへの移行の権利のストックにそれぞれ割り振られる。なお、残り9個のAT権利は、全て擬似BIGモードへの移行の権利としてストックされる。そして、特別モードは、通常AT抽選および特殊AT抽選の何れかの抽選に当選してAT権利が付与されるまで滞在し続けることになり、AT権利が付与されれば通常モード(通常非AT生起区間)へ移行する。なお、本実施形態例において、特別モードでAT権利が付与されない場合であっても、特別モードを所定の遊技回数の経過で終了するように構成しても良い。
【0063】
このように、本実施形態例では、メダルの獲得を容易とする遊技者に有利なATモードが終了したとしても、有利区間を終了させないように維持して、この有利区間に対応する第1引き戻しモードおよび第2引き戻しモードにおいて、ATモードへの再移行の機会を確保している。そして、遊技回数が予め定められた第2引き戻しモード(第2引戻非AT生起区間)において、ATモードへの再移行を実現させることができなかった場合には、遊技区間が有利区間から非有利区間に移行して、AT記憶領域150bに記憶されている擬似BIGモードへの移行の権利が全て破棄されるが、この非有利区間では、特殊リプの当選により特殊AT抽選が行われて、擬似BIGモードへの移行の権利を大量にストックすることが可能となっている。
【0064】
図2に説明を戻し、演出モード制御手段(状態制御手段)110は、AT遊技を制御するAT遊技制御手段(第1特典付与手段、第2特典付与決定手段、第2特典付与手段)111と、打順指示に係る演出の実行を決定する打順演出実行決定手段112と、演出モード移行決定手段113と、演出コマンド送信手段114と、を含んでいる。
【0065】
AT遊技制御手段111は、AT抽選を実行するAT抽選手段(第2特典付与決定手段)111aと、AT抽選の当選に基づいて付与したAT権利を管理するAT管理手段(第1特典付与手段、第2特典付与手段)111bと、AT抽選の当選に基づいてAT権利に関する処理を決定するAT遊技決定手段(第2特典付与決定手段)111cと、AT遊技の回数を管理するAT遊技回数管理手段111dと、を有している。なお、AT抽選手段111a、AT管理手段111b、AT遊技決定手段111cによる処理の詳細については、図5図6を用いて既に説明しているため、以下に、その説明を簡単にする。
【0066】
AT抽選手段111aは、チェリーおよびスイカの何れかの当選に基づいて通常AT抽選を実行し、特殊リプの当選に基づいて特殊AT抽選を実行する。例えば、通常AT抽選の当選確率は、通常モード(通常非AT生起区間)、擬似BIGモード(AT生起区間)、擬似REGモード(AT生起区間)よりも、第1,第2引き戻しモード(第1,第2引戻非AT生起区間)の方が高確率である。
【0067】
AT管理手段111bは、AT抽選の当選に基づいてAT権利を付与する。具体的には、図6に示すように、通常AT抽選に当選した場合には1個のAT権利を、特殊AT抽選に当選した場合には1個、5個または10個のAT権利を、AT記憶領域150bに記憶することにより、AT権利を付与する。
【0068】
また、AT管理手段111bは、擬似BIGモードの終了後に、AT記憶領域150bに記憶している擬似BIGモードへの移行の権利が「1」個以上である場合に、この権利を1個抽出する。
【0069】
AT遊技決定手段111cは、AT抽選の当選によりAT管理手段111bがAT権利を付与した場合に、この付与したAT権利に関する処理として、BIG-AT即放出、BIG-ATストック、REG-AT即放出の何れかに割り振る(図6参照)。
【0070】
AT遊技回数管理手段111dは、演出モードがATモードに移行したことに基づいて、AT遊技回数記憶領域150aに実行可能なAT遊技の回数を記憶する。具体的には、AT遊技回数として、擬似BIGモードに移行したことに基づいて「40」を記憶し、擬似REGモードに移行したことに基づいて「20」を記憶する。
【0071】
また、AT遊技回数管理手段111dは、ATモードで遊技が行われる毎に、AT遊技回数記憶領域150a記憶されているAT遊技の回数を「1」減算する。なお、AT遊技回数管理手段111dは、擬似BIGモードの終了後に、ストックされたAT権利(擬似BIGモードへの移行の権利)が「0」個である場合には、新たにAT遊技回数として「20」を記憶する。これは、擬似BIGモードの終了後に擬似REGモードに移行させて、この擬似REGモードで1セット20回のAT遊技を実行可能にするためである。
【0072】
打順演出実行決定手段112は、ATモードにおける内部抽選の結果が打順ベルA~Cの何れかであった場合に、NML1を入賞させる正解打順を報知する補助演出をサブモニタ17で実行することを決定する。
【0073】
演出モード移行決定手段113は、通常非AT生起区間からAT生起区間への移行に基づいて、通常モードからATモードへの移行を決定し、AT生起区間から引戻非AT生起区間(第1,第2引戻非AT生起区間)への移行に基づいて、ATモードから引き戻しモード(第1,第2引き戻しモード)への移行を決定し、引戻非AT生起区間から非有利区間への移行に基づいて、引き戻しモードから特別モードへの移行を決定し、非有利区間から通常非AT生起区間への移行に基づいて、特別モードから通常モードへの移行を決定する。また、引戻非AT生起区間からAT生起区間への移行に基づいて、引き戻しモードからATモードへの移行を決定し、非有利区間からAT生起区間への移行に基づいて、特別モードからATモードへの移行を決定する。
【0074】
演出コマンド送信手段114は、演出モードの種別の情報やストップボタンの打順に関する情報を含むコマンド等を副制御処理部200に送信する。例えば、演出コマンド送信手段114は、打順演出実行決定手段112により補助演出の実行が決定された場合には、打順の情報を含むコマンド(打順コマンド)を副制御処理部200に送信する。なお、副制御処理部200が打順コマンドを受信すると、演出実行手段203が打順コマンドに含まれた打順の情報に従ってサブモニタ17で打順演出を実行させる。
【0075】
このように構成された本実施形態例のスロットマシンSでは、図7に示すように、規定数のメダルの投入により(S1)、スタートレバー9を有効化させ(S2)、スタートレバー9の遊技開始操作で(S3)、内部抽選を行い(S4)、内部抽選で決定された当選エリアに対応付けられた役に対応する当選フラグをONにセットする(S5)。一方、スタートレバー9の遊技開始操作に基づいて、前回の遊技における各リール5~7の回転開始時点から所定時間(例えば4.1秒)の経過を条件に各リール5~7の回転を一斉に開始させ(S6)、全てのリールが定常回転に達した後に全てのストップボタン10~12の操作を有効化し(S7)、この各ストップボタン10~12の操作に基づいて対応するリールを停止させる(S8)。次に、ステップS4の内部抽選で決定した当選エリアに対応付けられた役に係る図柄組合せが有効ラインLに表示されて入賞しているか否かの遊技結果判定処理を行い(S9)、この遊技結果判定処理に応じて、小役の入賞によるメダル払出処理(S10)、再遊技役の入賞による再遊技設定処理(S11)、RBB図柄が有効ラインLに表示されたこと等による遊技状態の移行処理(S12)、遊技結果判定処理の結果に応じて当選フラグのON・OFFを制御する当選フラグ制御処理(S13)を行って、1回の遊技を終了させる。
【0076】
次に、各演出モード滞在時のAT権利に関する制御処理(以下、AT制御処理と言う。)について、図8図13のフローチャートを参照して説明する。
【0077】
図8は、通常モード(通常非AT生起区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。チェリー、スイカおよび特殊リプの何れかに当選してAT抽選が行われたか否かを判断し(S101)、AT抽選が行われた場合(S101でYes)、AT抽選に当選しているか否かを判断する(S102)。このとき、AT抽選に当選している場合(S102でYes)、AT権利を放出することが決定されているか否かを判断し(S103)、AT権利を放出することが決定されている場合(S103でYes)、ATを生起させているAT生起区間を設定し(S104)、ATモードへの移行を決定して(S105)、処理を終了させる。一方、AT抽選が行われなかった場合(S101でNo)およびAT抽選に当選しなかった場合(S102でNo)には処理を終了させ、AT権利を放出することが決定されていない場合(S103でNo)、すなわち、BIG-ATストックが行われることが決定されている場合には、擬似BIGモードへの移行の権利をストックする(S106)。かかる後に、通常モード(通常非AT生起区間)を維持して(S107)処理を終了させる。
【0078】
図9は、擬似BIGモード(AT生起区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。この擬似BIGモード滞在時のAT制御処理については、AT抽選に当選している場合(S202でYes)、BIG-ATストックを行って、すなわち、擬似BIGモードへの移行の権利をストックして(S203)擬似BIGモード(AT生起区間)を維持する(S204)という点において、図8に示す通常モード滞在時のAT制御処理と異なっているが、その他の点において、殆ど共通しているため、詳細な説明を省略する。
【0079】
図10は、擬似REGモード(AT生起区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。この擬似REGモード滞在時のAT制御処理については、AT抽選に当選している場合(S302でYes)、BIG-ATストックを行って、すなわち、擬似BIGモードへの移行の権利を必ずストックして(S303)擬似REGモード(AT生起区間)を維持する(S304)という点において、図8に示す通常モード滞在時のAT制御処理と異なっているが、その他の点において、殆ど共通しているため、詳細な説明を省略する。
【0080】
図11は、第1引き戻しモード(第1引戻非AT生起区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。この第1引き戻しモード滞在時のAT制御処理については、AT抽選に当選している場合(S402でYes)、BIG-AT即放出またはREG-AT即放出を行って(S403)、擬似BIGモードまたは擬似REGモード(AT生起区間)に移行する(S404)という点において、図8に示す通常モード滞在時のAT制御処理と異なっているが、その他の点において、殆ど共通しているため、詳細な説明を省略する。
【0081】
図12は、第2引き戻しモード(第2引戻非AT生起区間)滞在時のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。チェリー、スイカおよび特殊リプの何れかに当選してAT抽選が行われたか否かを判断し(S501)、AT抽選が行われた場合(S501でYes)、AT抽選に当選しているか否かを判断する(S502)。このとき、AT抽選に当選している場合(S502でYes)、特殊AT抽選に当選しているか否かを判断し(S503)、特殊AT抽選に当選している場合(S503でYes)には、AT権利が複数個付与されたか否かを判断する(S504)。そして、AT権利が複数個付与されている場合(S504でYes)、回胴演出を実行して(S505)、ステップS506に処理を移す。そして、ステップS506において、付与された複数個のAT権利のうちの1個に基づいて、BIG-AT即放出またはREG-AT即放出が決定されているか否かを判断し、BIG-AT即放出またはREG-AT即放出が決定されている場合(S506のYes)には、AT生起区間を設定し(S507)、ATモードへの移行を決定して(S508)処理を終了させる。一方、付与された複数個のAT権利のうちの1個に基づいて、BIG-AT即放出またはREG-AT即放出が決定されていない場合(S506でNo)、付与された全てのAT権利の数に相当する分だけ擬似BIGモードへの移行の権利をストックし(S509)、第2引き戻しモード(第2引戻非AT生起区間)を維持して(S510)、処理を終了させる。なお、ステップS501とS502とでNoの場合には処理を終了させ、AT権利が複数個付与されていない場合には(S504でNo)、回胴演出を実行することなくステップS506に処理を移す。
【0082】
図13は、特別モード滞在時(非有利区間)のAT制御処理を説明するためのフローチャートである。この特別モード滞在時のAT制御処理については、特殊AT抽選に当選している場合(S603でYes)には、必ずAT権利が複数個付与されて(S604)回胴演出を実行する(S605)点において、図12に示す第2引き戻しモード滞在時のAT制御処理と異なっている。また、付与された全てのAT権利の数に相当する分だけ擬似BIGモードへの移行の権利をストックした場合(S609)、通常モード(通常非AT生起区間)への移行を決定する(S610)点において、図12に示す第2引き戻しモード滞在時のAT制御処理と異なっている。なお、その他の点において、殆ど共通しているため、詳細な説明を省略する。
【0083】
次に、本実施形態例の遊技の具体例について、図14を参照して説明する。この具体例は、擬似BIGモードへの移行の権利を1個ストックした状態で通常モードから遊技を開始した例である。
【0084】
通常モード(通常非AT生起区間)でAT抽選に当選してAT権利が付与された。このAT権利によりBIG-AT即放出の実行が決定して、擬似BIGモード(AT生起区間)に移行した。このとき、1セット目の擬似BIG遊技は、通常モードにおけるAT抽選の当選で付与されたAT権利によるものであるが、擬似BIGモードへの移行の権利を1個ストックしているため、1セット目の擬似BIG遊技が終了した後に、再び擬似BIGモードに滞在して、2セット目の擬似BIG遊技が開始した(擬似1G連ループ)。
【0085】
本実施形態例では、特別モードから通常モードへの移行条件が擬似BIGモードへの移行の権利をストックすることである。このため、特別モードを経由して通常モードに移行してきた場合、この通常モードでは、必ず擬似BIGモードへの移行の権利を1個以上ストックしていることになる。このため、通常モードでAT抽選に当選して擬似BIGモードに移行した場合、擬似BIGモードが連荘することになる。なお、本実施形態例では、擬似BIGモードへの移行の権利はメインRAMに記憶されるため、メインRAMがクリアされると、擬似BIGモードへの移行の権利をストックしていない状態で通常モードに滞在することになる。この場合、通常モードでAT抽選に当選して擬似BIGモードに移行したとしても、擬似BIGモードが連荘するとは限らない。
【0086】
図14に説明を戻し、擬似BIGモードにおいて2セット目の擬似BIG遊技が終了した後に、擬似REGモードに移行した。本実施形態例では、擬似BIGモードへの移行の権利をストックしていない場合、擬似REGモードに移行する。このため、擬似REGモードの移行をもって、擬似BIGモードへの移行の権利をストックしていないことを把握することができる。そして、擬似REGモードにおいて、1セットで20回のAT遊技(擬似REG遊技)の実行を終えた後に、AT抽選の当選確率が比較的に高い第1引き戻しモードに移行した。このとき、遊技者は、第1引き戻しモードからATモードへの再移行に期待することになる。
【0087】
第1引き戻しモード(第1引戻非AT生起区間)では、AT抽選に当選することなく32回の遊技が行われた。これにより、ATモードへの再移行を実現させることは出来なかったが、AT権利の付与に期待の持てる第2引き戻しモード(第2引戻非AT生起区間)に移行した。
【0088】
第2引き戻しモード(第2引戻非AT生起区間)において、特殊リプの当選により特殊AT抽選が行われ、これにより、5個のAT権利が付与された。このとき、5個のうち1個のAT権利に基づいて、AT即放出(BIG-AT即放出,REG-AT即放出)に割り振られることなく、擬似BIGモードへの移行の権利が5個ストックされた。しかし、AT権利を放出することなく、第2引き戻しモードにおける64回の遊技が実行されて特別モード(非有利区間)に移行した。これにより、AT記憶領域150bにストックされていた擬似BIGモードへの移行の権利が全て消滅したが、特別モードでは、第2引き戻しモードよりも多くのAT権利をストックすることが可能であるため、非有利区間への移行により遊技を止めることなく続行した。
【0089】
特別モード(非有利区間)では、特殊リプの当選により特殊AT抽選に当選して10個のAT権利が付与されたことに基づいて、特別モードを終了させて通常モードに移行した。遊技者は、期待通り、第2引き戻しモードよりも多くのAT権利をストックできた。
【0090】
通常モードでは、AT抽選に当選して1個のAT権利が付与されたことに基づいてBIG-AT即放出が決定されて、10個のAT権利をストックした状態で擬似BIGモードに移行した。そして、この擬似BIGモードにおいて、遊技者は、11(=1+10)セットの擬似BIG遊技を実行し、大量のメダルを獲得することができた。
【0091】
以上、本実施形態例によれば、ATモード(有利状態)が終了した後であっても、引き戻しモード(第1状態)に移行させてATモードへ再移行させるという特典(第1特典)を付与可能としているため、ATモードが終了した後もATモードへの再移行に対する期待感を与えることができる。
【0092】
そして、本実施形態例では、引き戻しモードにおいて、ATモードへの再移行を決定しなかったことを条件に、特別モード(第2状態)に移行させ、この特別モードでは、複数個のAT権利(第2特典)を付与可能としている。したがって、引き戻しモードが終了したことにより、遊技意欲の低下を防止することができる。
【0093】
さらに、本実施形態例では、ATモードの終了後に有利区間を終了させることなく、引き戻しモードにおいても、96ゲームの長期に亘って引き続き有利区間を維持する。そして、引き戻しモードの有利区間において、AT抽選に当選することなく96ゲームを消化してしまった場合に、遊技区間を有利区間から非有利区間に移行させて、AT記憶領域150bに記憶されているAT権利を全て破棄する構成になっている。しかし、本実施形態例では、非有利区間において、擬似BIGモードへの移行の権利の大量ストックを可能としている特別モードに移行させることができるため、遊技の即止めを防止することができる。
【0094】
また、本実施形態例によれば、引き戻しモードには、第1引き戻しモードと、第2引き戻しモードとが含まれており、ATモード終了後に第1引き戻しモードに移行させてATモードへの再移行のチャンスが与えられ、この第1引き戻しモードでATモードに再移行できなかったとしても、第2引き戻しモードに移行させてAT権利のストックおよびATモードへの再移行のチャンスが与えられる。そのため、引き戻しモードが1つの演出モードのみである場合に比べて、引き戻しの期待値を高めることができるとともに、ATモードの終了後に遊技者が遊技を即時にやめてしまうことを防止することができる。
【0095】
また、本実施形態例によれば、ATモードの終了後に第1引き戻しモードに移行させ、第1引き戻しモードの終了後に第2引き戻しモードに移行させ、第2引き戻しモードの終了後に特別モードに移行させ、特別モードの終了後に通常モードに移行させるように構成されている。このように、ATモードが終了してから通常モードに移行するまでの間に、ATモードへの再移行やAT権利のストックを可能とする3段階の演出モードが設けられている。このため、ATモードが終了してもこのような3段階もの異なる演出モードでそれぞれ、遊技に関する特典を獲得できるか否かを楽しむことができ、ATモード終了後の遊技に飽きを生じないようになっている。
【0096】
次に、上記実施形態例に係る変形例について説明する。上記実施形態例では、特別モードでは、ATモードに移行するためのAT権利を複数ストック可能にしていたが、本変形例では、AT権利をストックする処理はなく、擬似BIGモードの終了後に当該擬似BIGモードに再移行(ループ)させるか否かを再移行抽選で決定し、特別モードでは、擬似BIGモードへの再移行率(ループ率)を予め上昇可能にしている点で異なっている。以下においては、上記実施形態例と異なる点について主として説明する。
【0097】
本変形例では、AT遊技制御手段110aは、擬似BIGモード終了の際に再移行抽選を実行する再移行抽選手段と、再移行抽選の当選確率である再移行率を変動させる再移行率変動手段(第2特典付与決定手段、第2特典付与手段)と、を有している。再移行率変動手段は、特別モードで、特殊AT抽選に当選したことに基づいて、再移行率を初期値である30%から50%に上昇させ、通常AT抽選に当選したことに基づいて、再移行率を30%に維持する。
【0098】
演出モードは、ATモードと、非ATモードと、に大別され、非ATモードには、通常モード、ATモードの終了後に移行する第3引き戻しモードおよび第3引き戻しモードの終了後に移行する特別モードが含まれている。
【0099】
遊技区間制御手段109は、通常非AT生起区間において、AT抽選(通常AT抽選、特殊AT抽選)に当選したことに基づいて、付与したAT権利を擬似BIG遊技または擬似REG遊技として即時に放出することを決定した場合に、AT生起区間に移行させ、付与したAT権利を即時に放出しないことを決定した場合に、AT生起区間に移行させることなく、通常非AT生起区間を維持する。そして、遊技区間制御手段109は、AT生起区間終了後の第3引戻非AT生起区間(第3引き戻しモード)の遊技回数を8回に決定し、第3引戻非AT生起区間において8回の遊技を実行したことに基づいて、第3引戻非AT生起区間を終了させて非有利区間に移行させ、非有利区間でAT抽選に当選したことに基づいてAT生起区間または通常非AT生起区間に移行させる。
【0100】
通常モードでは、AT抽選に当選したことに基づいてATモードに移行させ、ATモードでは、所定回数のAT遊技が実行されたことに基づいて第3引き戻しモード(第3引戻非AT生起区間)に移行させる。第3引き戻しモードでは、AT抽選に当選したことに基づいて、ATモードに再移行させ、AT抽選に当選することなく、8回の遊技が実行されたことに基づいて、特別モードに移行させる。特別モードでは、特殊AT抽選に当選したことに基づいて再移行率を50%に上昇させた後に、擬似BIGモードに移行させ、通常AT抽選に当選したことに基づいて再移行率を30%に維持した後に、通常モードに移行させる。なお、第3引き戻しモードでの遊技回数は、8回に限られることなく、適宜変更可能である。
【0101】
特別モードで特殊AT抽選に当選したことに基づいて擬似BIGモードに移行した場合には、当該擬似BIGモードの最終遊技において、50%の再移行率に従って再移行抽選を実行する。一方で、特別モードで通常AT抽選に当選したことに基づいて通常モードを経由して擬似BIGモードに移行した場合には、当該擬似BIGモードの最終遊技において、30%の再移行率に従って再移行抽選を実行する。そのため、特別モードで特殊AT抽選に当選した場合の方が、通常AT抽選に当選した場合よりも、擬似BIGモードへの再移行率が上昇しているので、擬似BIGモードの終了後に当該擬似BIGモードに再移行する可能性が高くなり、ATモードでのAT遊技の回数を予め増加可能にすることができる。
【0102】
擬似BIGモードで再移行率が50%に設定された再移行抽選に当選しなかった場合には、擬似REGモードを経由して第3引き戻しモードに移行する。第3引き戻しモードでは、AT抽選に当選した場合には、擬似BIGモードに再移行させ、当該擬似BIGモードの最終遊技において、再び50%の再移行率で再移行抽選を実行する。一方、第3引き戻しモードでAT抽選に当選することなく、8回数の遊技が実行された場合には、特別モードに移行するが、このとき、遊技区間が有利区間から非有利区間に移行するので、再移行率がリセットされて30%に戻ってしまう。しかしながら、特別モードでは、特殊AT抽選に当選すれば、上記のようにして再び再移行率を上昇させることができる。なお、上記では、再移行抽選を擬似BIGモードの最終遊技で行っていたが、これに限られず、擬似BIGモードに移行してから当該擬似BIGモードが終了するまでの間の所定のタイミングで再移行抽選を実行すればよい。
【0103】
この変形例によれば、第3引き戻しモード(第1状態)で遊技に関する特典としてATモードへの再移行(第1特典)を付与するか否かを決定し、特別モード(第2状態)で遊技に関する特典として擬似BIGモードへの再移率の上昇(第2特典)を付与するか否かを決定するので、ATモードが終了しても、遊技意欲の低下を防止することができる。
【0104】
また、指示機能(AT)の終了後の有利区間(第3引き戻しモード中の有利区間)において、AT抽選に当選した場合には、指示機能を発生させ、AT抽選に当選しなかった場合であっても、非有利区間において、擬似BIGモードへの再移率の上昇を付与可能となっている。したがって、指示機能を終了させた後であっても、遊技意欲の低下を防止することができる。
【0105】
上記実施形態例では、ATモードは、擬似BIGモードおよび擬似REGモードを含んでいたが、これに限られない。例えば、ATモードは、擬似BIGモードだけを含んでもよい。こうすれば、AT抽選に当選したことに基づいて、AT権利に関する処理として、BIG-AT即放出およびBIG-ATストックの何れかの処理の実行を決定することになるので、AT権利に関する制御処理を上記実施形態例に比べて簡易化することができる。
【0106】
また、上記実施形態例では、AT権利に関する処理として、擬似REGモードに移行するためのAT権利をストックする処理(以下、REG-ATストックと言う。)は設けておらず、擬似REGモードへの再移行も実行不可能となっていたが、これに限られず、REG-ATストックを設けるとともに擬似REGモードへの再移行を実行可能にしてもよい。この場合、AT遊技決定手段111cは、AT抽選の当選に基づいて、所定の確率に従ってBIG-AT即放出、BIG-ATストック、REG-AT即放出およびREG-ATストックの何れかの処理を実行することを決定する。こうすれば、ATモードでの遊技のバリエーションが増えるので、ATモードでの遊技性を向上させることができる。
【0107】
また、上記実施形態例では、特別モードでAT抽選に当選して通常モードに移行した場合には、この通常モードでのAT抽選の当選に基づいて、BIG-AT即放出、BIG-ATストック、およびREG-AT即放出のうちの何れかの処理の実行を決定していたが、これに限られない。例えば、特別モードで特殊AT抽選に当選した場合には、通常モードでのAT抽選に基づいて必ずBIG-AT即放出の実行を決定するようにしてもよい。この場合、特別モードで特殊AT抽選に当選したことを示す特殊フラグを制御する特殊フラグ制御手段を設け、この特殊AT抽選に当選した場合には特殊フラグをONにセットし、このONにセットされた特殊フラグを参照して、通常モードでのAT抽選の当選時に必ずBIG-AT即放出の実行を決定するようにし、その後、特殊フラグをOFFにセットすればよい。こうすれば、特別モードから移行した通常モードにおいてAT抽選に当選した場合には、必ず擬似BIGモードに移行してAT遊技を実行できるので、遊技者に特別モードでの特殊AT抽選の当選に期待感をさらに抱かせることができる。
【0108】
また、上記実施形態例では、特別モードで特殊AT抽選に当選した場合に限り、10個のAT権利を付与していたが、これに限られず、特別モードで通常AT抽選に当選した場合にも、10個のAT権利を付与するようにしてもよい。この場合、通常AT抽選の当選時においても、特殊AT抽選の当選時と同じ確率に従ってAT権利に関する処理の実行を決定すればよい。こうすれば、特別モード終了後に擬似BIGモードに移行して、複数セットのAT遊技を実行することができる確率が高まるので、特別モードでの遊技意欲の低下をさらに防止することができる。
【0109】
また、上記実施形態例では、特別モードにおいて、通常AT抽選に当選した場合には、BIG-AT即放出、BIG-ATストックおよびREG-AT即放出の何れかの処理の実行を決定し、特殊AT抽選に当選した場合には、BIG-AT即放出およびBIG-ATストックの何れかの処理の実行を決定していたが、これに限られない。例えば、特別モードで通常AT抽選および特殊AT抽選の何れに当選しても、BIG-ATストックおよびREG-AT即放出の何れかの実行を決定するようにしてもよい。こうすれば、特別モードでAT抽選に当選してBIG-AT即放出の実行は決定されなくなるが、特別モードの終了後に通常モードに移行した場合には、擬似BIGモードへの移行の権利をストックした状態となるので、当該通常モードで擬似BIGモードでのAT遊技に対する期待感をさらに高めることができる。そのため、通常モードでの遊技意欲を向上させることができる。
【0110】
また、上記実施形態例では、特別モードから通常モードに移行し、通常モードでAT抽選に当選することなく、800回の遊技を実行した場合には、特別モードでストックしたAT権利を保持した状態で擬似BIGモードに移行していたが、このとき、所定個数(例えば、5個)のAT権利を新たに付与して移行させてもよい。この場合、上記800回の遊技の実行に基づいて、AT管理手段111bは、所定個数のAT権利をAT記憶領域150bに加算して記憶すればよい。こうすれば、天井到達まで遊技を行った遊技者の救済措置を厚くすることができるので、通常モードでAT抽選に当選し難い状況に陥った場合にも、遊技意欲を低下させ難くすることができる。
【0111】
また、上記実施形態例では、特別モードでAT抽選に当選した場合には、AT権利単位で加算されるように構成されていたが、これに限られず、AT遊技の回数単位で加算されるようにしてもよい。例えば、特別モードで通常AT抽選に当選してBIG-AT即放出の実行を決定したことに基づいて、AT遊技回数記憶領域150aに実行可能なAT遊技の回数として「40」を記憶する。一方、特殊AT抽選に当選してBIG-AT即放出の実行を決定したことに基づいて、上記AT遊技の回数として「100」を記憶する。この場合、初期値であるAT遊技の回数である「40」に「60」を加算した回数を記憶したことになる。このようにしても、特別モードにおいてATモードでの遊技の回数を予め増加可能にできるので、上記実施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0112】
また、上記実施形態例では、通常モードでのAT当選確率は、当該通常モードでの遊技回数に拘わらず、図6(a)に示すように常に一定としていたが、これに限られず、通常モードでの遊技回数に応じて変更してもよい。例えば、チェリーの当選に基づくAT当選確率を遊技回数が1~400回目までは5%に設定し、401~700回目までは10%に設定し、701~750回目までは30%に設定し、751~800回目までは60%に設定してもよい。こうすれば、通常モードでの遊技回数が増えるほど、遊技者はAT抽選に当選し易くなり、ATモードへの移行に対する期待感をさらに高めることができる。また、この構成において、AT抽選の当選時のBIG-AT即放出の確率を、BIG-ATストックおよびREG-AT即放出の確率よりも大きくしてもよい。こうすれば、遊技回数が増えるほど、AT抽選に当選した場合には、擬似REGモードよりも擬似BIGモードに即時に移行し易くなり、擬似BIGモードでのAT遊技に対する期待感をさらに高めることができる。
【0113】
また、上記実施形態例では、通常モードでのAT抽選の当選時に付与するAT権利の個数を当該通常モードでの遊技回数に拘わらず、図6(a)に示すように常に1個としていたが、これに限られず、遊技回数に応じて変動させてもよい。例えば、チェリーの当選に基づいて付与するAT権利の個数を遊技回数が1~400回目までは1個、401~700回目までは2個、701~800回目までは3個に設定してもよい。こうすれば、通常モードでの遊技回数が増えるほど、擬似BIGモードへの再移行に対する期待感をさらに高めることができる。
【0114】
また、上記実施形態例では、特別モードでの遊技回数に拘わらず、AT抽選の当選に基づいて、図6(f)に示すように、予め定められた個数のAT権利を付与していたが、これに限られない。例えば、特別モードでの遊技回数に応じて、図6に示す付与するAT権利の個数に所定個数のAT権利を加算して付与するようにしてもよい。この場合、特別モードでの遊技回数が1回~第1所定回数(例えば、10回)未満の場合には、図6に示すAT権利の個数を付与し、第1所定回数以上~第2所定回数(例えば、30回)未満の場合には、図6に示すAT権利の個数にさらに1個のAT権利を加算して付与し、第2所定回数以上の場合には、図6に示すAT権利の個数にさらに2個のAT権利を加算して付与するようにしてもよい。こうすれば、特別モードでの遊技回数が多くなるほど、付与するAT権利の個数に対する期待値が大きくなり、特別モードでの遊技性を向上させることができる。なお、上記とは逆には、特別モードでの遊技回数が少なくなるほど、付与するAT権利の個数を増やしてもよく、この場合には、遊技回数が少なくなるほど付与するAT権利の個数に対する期待値が大きくなり、上記と同様な効果を奏することができる。
【0115】
また、上記実施形態例では、擬似BIGモードは40回のAT遊技を実行でき、擬似REGモードは20回のAT遊技を実行できていたが、これに限られない。例えば、AT抽選の当選に基づいて、遊技回数を抽選で決定するようにしてもよい。この場合、AT遊技の回数を抽選で決定するAT遊技回数決定手段を設け、AT遊技回数決定手段は、擬似BIGモードの遊技回数を「60回」、「50回」、「40回」の中から何れか抽選で決定し、擬似REGモードの遊技回数を「10回」、「20回」、「30回」の中から何れか抽選で決定する。AT管理手段111bがAT権利を1個放出(抽出)することに基づいて、AT遊技回数決定手段は、上記抽選を実行して遊技回数を決定し、AT遊技回数管理手段111dは、決定した遊技回数をAT遊技回数記憶領域150aに記憶すればよい。こうすれば、擬似BIGモードおよび擬似REGモードでの遊技のバリエーションが増え、ATモードの遊技性を向上させることができる。
【0116】
また、上記実施形態例では、特別モードにおいてAT抽選に当選した場合に、付与されたAT権利に基づいて、BIG-ATストックの実行が決定されて通常モードに移行させていたが、これに限られない。例えば、特別モードでAT抽選に当選することなく、所定回数(例えば、30回)の遊技が実行されたことに基づいて、特別モードを終了させて通常モードに移行させてもよい。こうすれば、特別モードにおいてAT抽選に当選するか否かに応じて、通常モード移行時のストックしたAT権利の個数が変動するため、遊技者に特別モードでのAT抽選にさらに興味を持たせることができる。
【0117】
また、上記実施形態例では、ATモードは、擬似BIGモードと、擬似REGモードと、を含んでいたが、これに限られず、図15に示すように、ATモードは、擬似BIGモードと、インターバルモードと、擬似REGモードと、を含み、インターバルモード中は、ATモード中であるにも拘わらず指示機能を発生させないように構成してもよい。なお、図15においては、非ATモードの構成は、上記実施形態例と同じなので、詳細な記載は省略している。
【0118】
この場合、上述したように、擬似BIGモードおよび擬似REGモードでは、打順ベル当選時にストップボタン10~12の正解打順や操作タイミングをサブモニタ17等で報知する一方、インターバルモードでは、打順ベル当選時にストップボタン10~12の正解打順や操作タイミングをサブモニタ17等で報知しない。そのため、インターバルモードにおける1回の遊技でのメダル投入枚数とメダル払出枚数との差枚数(純増)の期待値は、擬似BIGモードおよび擬似REGモードにおける1回の遊技でのメダル投入枚数とメダル払出枚数との差枚数の期待値よりも低くなる。つまり、擬似BIGモードおよび擬似REGモードにおいては、遊技者はメダルを増加させることができる一方、インターバルモードにおいては、遊技者はメダルを減少させることになる。なお、インターバルモードは、上記のようにメダルを減少させる構成に限られず、メダルを微増させたり、メダルを現状維持させるようにしてもよい。
【0119】
本変形例では、AT抽選の当選に基づいて、AT権利に関する処理として、BIG-AT即放出、BIG-ATストック、REG-AT即放出およびREG-ATストックの何れかの処理の実行が所定確率に従って決定される。例えば非ATモードの通常モードでAT抽選に当選したことに基づいてBIG-AT即放出の実行が決定された場合には、ATモードの擬似BIGモードに移行させ、当該擬似BIGモードで40回のAT遊技が実行されたことに基づいて、擬似BIGモードからインターバルモードに移行させる(図15のa)。このインターバルモードでは、指示機能を発生させることなく8回の遊技が実行され、8回の遊技の終了後におけるストックしたAT権利の個数と種類とに応じて次の演出モードに移行させる。具体的には、インターバルモードの終了後に少なくともBIG-ATストックが「1」個以上である場合(以下、第1の場合と言う。)には、インターバルモードから擬似BIGモードに再移行させる(図15のb)。また、BIG-ATストックが「0」個であるがREG-ATストックが「1」個以上である場合(以下、第2の場合と言う。)には、インターバルモードから擬似REGモードに移行させる(図15のc)。また、何れのストックしたAT権利も「0」個である場合(以下、第3の場合と言う。)には、インターバルモードから非ATモードの引き戻しモードに移行させる(図15のe)。
【0120】
また、例えば、通常モードでAT抽選に当選したことに基づいてREG-AT即放出の実行が決定された場合には、擬似REGモードに移行させ(図示せず)、擬似REGモードで20回の遊技が実行されたことに基づいて、擬似REGモードを終了させて必ずインターバルモードに移行させる(図15のd)。このインターバルモードにおいても、上記と同様にして、8回の遊技の終了後におけるストックしたAT権利の個数と種類に応じて演出モードを移行させる。すなわち、第1の場合には、擬似BIGモードに移行させ(図15のb)、第2の場合には、擬似REGモードに再移行させ(図15のc)、第3の場合には、非ATモードの引き戻しモードに移行させる。なお、擬似BIGモード、擬似REGモードおよびインターバルモードでの遊技の回数は適宜変更可能である。
【0121】
このように、本変形例に係るスロットマシンSは、ATモードには、指示機能を作動させる擬似BIGモードおよび擬似REGモードと、指示機能を作動させないインターバルモードと、が含まれており、インタ―バルモードは、擬似BIGモードおよび擬似REGモードよりも上述したメダル投入枚数とメダル払出枚数との差枚数の期待値が低く設定されており、擬似BIGモードの終了後、および擬似REGモードの終了後には、必ずインターバルモードに移行させるように構成されている。そのため、擬似BIGモードおよび擬似REGモードにおいて、遊技者のメダルを増加可能にした後に、必ずインターバルモードに移行させて、遊技者のメダルを減少可能にすることができる。つまり、本変形例では、擬似BIGモードおよび擬似REGモードでのメダルの増加量と、インターバルモードでのメダルの減少量と、を適宜調整可能であり、換言すれば、ATモード全体において遊技者が獲得できるメダルの枚数を調整可能にしている。
【0122】
また、上記実施形態例では、引き戻しモードの終了後に、特別モードに移行するように構成されていたが、これに限られない。例えば、引き戻しモードの終了後にインターバルモードを経由した後に、特別モードに移行するようにしてもよい。この構成によれば、引き戻しモード後のインターバルモードでも遊技者のメダルを減少させることができるので、ATモードでメダルを増加可能になり、ATモードをさらに有利なモードに設計し易くなる。
【0123】
また、上記実施形態例では、ATモードの終了後に引き戻しモードに移行するように構成されていたが、これに限られない。例えば、ATモードの終了後にインターバルモードを経由した後に、引き戻しモードに移行するようにしてもよい。この場合においても、ATモードの終了後のインターバルモードでも遊技者のメダルを減少させることができるので、上記と同様に、ATモードをさらに有利なモードに設計し易くなる。
【0124】
続いて、第2実施形態例に係るスロットマシンについて説明する。第1実施形態例では、遊技状態として、通常状態、RBB内部およびRBB作動を設け、何れの遊技状態においても、規定数として3枚のメダルの投入によってのみ遊技開始操作を行い、「チェリー」、「スイカ」および「特殊リプ」(以下、特定当選エリアと言う。)の何れかの当選に基づいてAT抽選を実行していたが、第2実施形態例では、遊技状態として、通常状態、RBB1内部、RBB2内部、RBB1作動およびRBB2作動を設け、各遊技状態と規定数とに応じて、「特定当選エリア」の何れかの当選に基づいて、有利区間への移行の可否を決定する有利区間移行抽選およびAT抽選を実行するようにしてもよい。
【0125】
第2実施形態例では、図16に示すように、通常状態、RBB1内部およびRBB2内部では、規定数として3枚または2枚を選択可能にする一方、RBB1作動およびRBB2作動では、規定数を3枚に設定している。
【0126】
また、第2実施形態例では、図17に示すように、通常状態、RBB1内部およびRBB2内部では、規定数として3枚を選択した場合には、特定当選エリアの何れかの当選に基づいて、遊技区間制御手段109は有利区間移行抽選を実行する一方で、通常状態、RBB1内部およびRBB2内部では、規定数として2枚を選択した場合には、特定当選エリアの何れかの当選に基づいて、遊技区間制御手段109は有利区間移行抽選を実行しないようにしている。すなわち、遊技開始操作に基づいて特定当選エリアの当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、遊技開始操作に基づいて複数のリールを回転させ、リール毎に対応するストップボタンの操作に基づいて複数のリールを停止させるリール制御手段と、複数のリールの停止態様に基づいて特定当選エリアに対応付けられた特定役(NML4,NML5,REP2)の入賞を判定する入賞判定手段と、特定役の入賞を補助する補助演出を実行不可能な非有利区間において、補助演出を実行可能とする有利区間を設定するか否かを決定する区間制御手段と、を備え、区間制御手段は、特定の規定数(3枚)のメダルの投入下において遊技開始操作が行われた場合の方が、他の規定数(2枚)のメダルの投入下において遊技開始操作が行われた場合よりも、有利区間の設定を決定する頻度が高くなるように、有利区間を設定するか否かを決定可能する。
【0127】
また、第2実施形態例では、図17に示すように、通常状態、RBB1内部およびRBB2内部において、規定数として3枚を選択した場合には、特定当選エリアの何れかの当選に基づいて、AT抽選手段111aはAT抽選を実行する一方、規定数として2枚を選択した場合には、特定当選エリアの何れかの当選に基づいて、AT抽選手段111aはAT抽選を実行しない。すなわち、遊技開始操作に基づいて特定当選エリアの当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、遊技開始操作に基づいて複数のリールを回転させ、リール毎に対応するストップボタンの操作に基づいて複数のリールを停止させるリール制御手段と、複数のリールの停止態様に基づいて特定当選エリアに対応付けられた特定役(NML4,NML5,REP2)の入賞を判定する入賞判定手段と、特定役の入賞を補助する補助演出を実行する特別状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態の移行を制御する演出状態制御手段と、特別状態(ATモード)と異なる他の演出状態(非ATモード)において特別状態に移行させるか否かを決定する特別状態移行決定手段と、を備え、特別状態移行決定手段は、特定の規定数(3枚)のメダルの投入下において遊技開始操作が行われた場合の方が、他の規定数(2枚)のメダル投入下において遊技開始操作が行われた場合よりも、特別状態への移行を決定する頻度が高くなるように、特別状態に移行させるか否かを決定可能とする。
【0128】
以下の説明において、規定数として3枚を選択して遊技開始操作を行った通常状態を3枚掛けの通常状態と言い、2枚を選択して遊技開始操作を行った通常状態を2枚掛けの通常状態と言う。また、規定数として3枚を選択して遊技開始操作を行ったRBB1内部を3枚掛けのRBB1内部と言い、2枚を選択して遊技開始操作を行ったRBB1内部を2枚掛けのRBB1内部と言う。また、規定数として3枚を選択して遊技開始操作を行ったRBB2内部を3枚掛けのRBB2内部と言い、2枚を選択して遊技開始操作を行ったRBB2内部を2枚掛けのRBB2内部と言う。
【0129】
図16,17に示すように、3枚掛けの通常状態では、「RBB1」を内部抽選の対象とする一方、「RBB2」を内部抽選の対象から除外し(図17の内部抽選テーブルa)、RBB1に当選したことに基づいてRBB1内部に移行させる(図16のa)。3枚掛けのRBB1内部、および2枚掛けのRBB1内部では、「RBB(RBB1、RBB2)」を内部抽選の対象から除外し(図17の内部抽選テーブルc,d)、RBB1が入賞したことに基づいてRBB1作動に移行させる一方(図16のb)、RBB1が入賞するまでRBB1内部を維持する。RBB1作動では、「通常リプ」、「特殊リプ」、「RBB」を内部抽選の対象から除外し(図17の内部抽選テーブルg)、RBB1作動でのメダル払出総数が所定枚数を超過したことに基づいて、通常状態に移行させる(図16のc)。これに対して、2枚掛けの通常状態では、「RBB2」を内部抽選の対象とする一方、「RBB1」を内部抽選の対象から除外し(図17の内部抽選テーブルb)、RBB2に当選したことに基づいてRBB2内部に移行させる(図16のd)。3枚掛けのRBB2内部、および2枚掛けのRBB2内部では、「RBB」を内部抽選の対象から除外し(図17の内部抽選テーブルe,f)、RBB2が入賞したことに基づいてRBB2作動に移行させる一方(図16のe)、RBB2が入賞するまでRBB2内部を維持する。RBB1作動では、「通常リプ」、「特殊リプ」、「RBB」を内部抽選の対象から除外し(図17の内部抽選テーブルh)、RBB2作動でのメダル払出総数が所定枚数を超過したことに基づいて、通常状態に移行させる(図16のf)。なお、上記RBB1作動およびRBB2作動において、「不当選」を内部抽選の対象としない構成であってもよい。
【0130】
ここで、内部抽選テーブルaでは、「RBB1」の当選確率が低確率(例えば、1/200)に設定され、内部抽選テーブルbでは、「RBB2」の当選確率が高確率(例えば、1/5)に設定されている。そのため、通常状態では、規定数として3枚を選択して「RBB1」の当選を待つよりも、2枚を選択して「RBB2」の当選を待つ方が、早期にRBB2内部に移行させることができる。
【0131】
第2実施形態例では、遊技者がスロットマシンの前に着座して遊技を開始させたとき、一般的に、演出モードは通常モード(図5参照)に滞在し、遊技状態はRBB2内部に滞在している。通常モードのRBB2内部では、規定数として3枚を選択して遊技開始操作を行った場合に限り、特定当選エリアの当選に基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行する。このため、通常モードでは、3枚掛けにより遊技開始操作を行う遊技(以下、3枚掛け遊技と言う。)が実行される。
【0132】
通常モードでは、3枚掛け遊技で特定当選エリアに当選した場合には、有利区間移行抽選の当選の可否に拘わらず、遊技区間を有利区間で維持するとともに、このときAT抽選に当選すると、AT権利が付与されたことに基づいて、BIG-AT即放出の実行を決定して擬似BIGモードに移行させるか、またはREG-AT即放出の実行を決定して擬似REGモードに移行させる(図5,6参照)。このとき、遊技状態はRBB2内部で維持される。
【0133】
ATモード(擬似BIGモードおよび擬似REGモード)のRBB2内部においても、規定数として3枚を選択して遊技開始操作を行った場合に限り、特定当選エリアの当選に基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行するため、通常モードと同様に、ATモードでも3枚掛け遊技が実行される。
【0134】
擬似BIGモードでは、3枚掛け遊技で特定当選エリアに当選した場合には、有利区間移行抽選の当選の可否に拘わらず、遊技区間を有利区間で維持するとともに、このときAT抽選に当選すると、AT権利が付与されたことに基づいて、BIG-ATストックの実行を決定して擬似BIGモードを維持し、擬似BIGモードの終了の際に、AT記憶領域150bにAT権利がストックされているか否かを確認し、AT権利が「0」個の場合に擬似REGモードに移行させる(図5,6参照)。このとき、遊技状態はRBB2内部で維持される。
【0135】
擬似REGモードでは、3枚掛け遊技で特定当選エリアに当選した場合には、有利区間移行抽選の当選の可否に拘わらず、遊技区間を有利区間で維持するとともに、このときAT抽選に当選すると、AT権利が付与されたことに基づいて、BIG-ATストックの実行を決定して擬似REGモードを維持する。そして、擬似REGモードで20回のAT遊技が実行されたことに基づいて、第1引き戻しモードに移行させる(図5,6参照)。このとき、遊技状態はRBB2内部で維持される。
【0136】
引き戻しモード(第1引き戻しモードおよび第2引き戻しモード)のRBB2内部においても、規定数として3枚を選択して遊技開始操作を行った場合に限り、特定当選エリアの当選に基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行するため、通常モードおよびATモードと同様に、引き戻しモードでも3枚掛け遊技が実行される。
【0137】
第1引き戻しモードでは、3枚掛け遊技で特定当選エリアに当選した場合には、有利区間移行抽選の当選の可否に拘わらず、遊技区間を有利区間で維持するとともに、このときAT抽選に当選すると、AT権利が付与されたことに基づいて、BIG-AT即放出の実行を決定して擬似BIGモードに移行させるか、またはREG-AT即放出の実行を決定して擬似REGモードに移行させる(図5,6参照)。第1引き戻しモードにおいて、AT抽選に当選することなく、32回の遊技が実行されたことに基づいて、第2引き戻しモードに移行させる。このとき、遊技状態はRBB2内部で維持される。
【0138】
第2引き戻しモードでは、3枚掛け遊技で特定当選エリアに当選した場合には、有利区間移行抽選の当選の可否に拘わらず、遊技区間を有利区間で維持するとともに、このときAT抽選に当選すると、AT権利が付与されたことに基づいて、BIG-AT即放出の実行を決定して擬似BIGモードに移行させるか、REG-AT即放出の実行を決定して擬似REGモードに移行させるか、またはBIG-ATストックの実行を決定して第2引き戻しモードを維持する(図5,6参照)。第2引き戻しモードにおいて、AT抽選に当選することなく、64回の遊技が実行されたことに基づいて、特別モードに移行させる。このとき、遊技状態はRBB2内部で維持されるが、遊技区間は有利区間から非有利区間に移行させる。
【0139】
特別モードのRBB2内部においても、3枚を選択して遊技開始操作を行った場合に限り、特定当選エリアの当選に基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行するため、通常モード、ATモードおよび引き戻しモードと同様に、特別モードでも3枚掛け遊技が実行される。
【0140】
特別モードでは、3枚掛け遊技で特定当選エリアに当選した場合には、有利区間移行抽選の当選の可否およびAT抽選の当選の可否に応じて、異なる処理が実行される。具体的には、有利区間移行抽選に当選し、かつAT抽選に当選した場合には、遊技区間を非有利区間から有利区間に移行させるとともに、AT権利が付与されたことに基づいて、BIG-ATストックの実行を決定して通常モードに移行させるか、またはBIG-AT即放出もしくはREG-AT即放出の実行を決定してATモードに移行させる。また、有利区間移行抽選に当選し、かつAT抽選に当選しなかった場合には、遊技区間を非有利区間から有利区間に移行させるとともに、AT権利に関する処理の実行を決定することなく通常モードに移行させる。また、有利区間移行抽選に当選しなかった場合には、AT抽選に当選することもなく、遊技区間を非有利区間で維持するとともに、演出モードを特別モードで維持する。
【0141】
なお、上記では、RBB2内部において、遊技を進行させる例について説明をしたが、RBB1内部においても、上記と同様に遊技を進行させるようにしてもよい。この場合、各演出モードのRBB1内部においても、規定数として3枚を選択して遊技開始操作を行った場合に限り、特定当選エリアの当選に基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行するため、各演出モードにおいて、3枚掛け遊技が実行される。
【0142】
また、上記のATモードにおけるRBB内部において、停止ボタンの誤操作等により、RBBを入賞させてRBB作動(RBB1作動,RBB2作動)に移行させた場合には、ATモードを一時的に中断させて、このRBB作動から通常状態を経て再びRBB内部に復帰するまでの期間に、図示せぬ待機モードに移行させ、この待機モードでは、「打順ベル」の当選時に正解打順を報知しないようにしている。そして、通常状態におけるRBBの当選に基づいてRBB内部に復帰すると、待機モードを終了させてATモードに復帰させるようにしている。
【0143】
以上のように、第2実施形態例では、通常状態、RBB内部1およびRBB2内部において、規定数として2枚と3枚とを選択可能とし、3枚を選択して遊技開始操作を行ったことに基づいて、有利区間移行抽選およびAT抽選を実行可能とする一方、2枚を選択して遊技開始操作を行ったことに基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行しないようにしている。したがって、各演出モードにおいて、3枚を選択して遊技開始操作を行うことを遊技者に促すことができる。
【0144】
仮に、規定数として2枚と3枚との何れを選択して遊技開始操作を行った場合であっても、有利区間移行抽選やAT抽選を実行するように構成したとすると、1回の遊技を行うために必要なメダルの投入枚数は2枚よりも3枚の方が多いため、遊技者は2枚掛けにより遊技を進める。そうすると、通常状態、RBB1内部およびRBB2内部では、3枚掛け遊技を実行する意義が失われる。この点、第2実施形態例では、3枚掛けで遊技を行う場合に限り、有利区間移行抽選の処理および有利区間への移行処理(以下、有利区間に係る処理と言う。)、ならびにAT抽選の処理および指示機能の作動に関する処理(以下、指示機能に係る処理と言う。)を実行可能とし、2枚掛けで遊技を行う場合には、有利区間に係る処理および指示機能に係る処理を実行不可能としている。つまり、遊技開始操作が3枚および2枚の何れの規定数のメダルの投入下で行われたかに応じて、指示機能に係る処理および有利区間に係る処理を実行可能としている。これにより、遊技者に対して3枚掛けの遊技を促すことができるとともに、3枚掛けによる遊技の価値を高めることができる。
【0145】
また、図16,17に示すように、2枚掛けの通常状態では、上記内部抽選テーブルaを参照し、3枚掛けの通常状態では、上記内部抽選テーブルbを参照するので、遊技者の意思により、RBB1内部およびRBB2内部の何れに遊技状態を移行させるかを選択することができ、遊技に係る選択の幅を広げることができる。
【0146】
また、RBB1内部およびRBB2内部の各演出モードにおいて、3枚掛けの遊技開始操作に限り、特定当選エリアの当選に基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行するので、有利区間移行抽選およびAT抽選の実行機会を確保するために、演出モードの移行に応じて、規定数を変更するといった煩わしさを生じることなく、遊技性を高めることができる。
【0147】
ところで、先述のように、RBB内部(RBB1内部、RBB2内部)では、遊技の結果に応じて、有利区間に係る処理を行い、ATモードに対応する有利区間において指示機能を作動可能とし、RBB内部以外の遊技状態では、指示機能を作動させないようにしている。このため、RBB内部を一般的に滞在する一般状態とし、これらの遊技状態において遊技のほとんどを進行させるようにするためには、市場(遊技場等)に遊技機を出荷する際、遊技場に遊技機を設置する際、または遊技場で営業を開始する前に、遊技状態を予めRBB内部に滞在させた状態にする必要がある。そうすると、RBB1およびRBB2の当選確率を何れも低確率(例えば約1/150)に設計した場合には、初期状態である通常状態においてRBB(RBB1、RBB2)に当選し難いため、通常状態からRBB内部への移行に要する時間が増えてしまい、遊技機を出荷する者や遊技場の管理者に対する負担が増加する。そこで、本変形例のように、RBB1の当選確率(例えば約1/150)よりもRBB2の当選確率(例えば約1/5)を高くした場合には、通常状態において、2枚掛けで遊技開始操作を行うことにより、RBB2内部へ速やかに移行させることができるため、遊技機を出荷する者や遊技場の管理者に対する負担を軽減することができる。
【0148】
なお、本変形例では、3枚掛けの遊技の場合に限り、有利区間移行抽選およびAT抽選を実行可能としていたが、これに限られない。例えば、3枚掛けの遊技と2枚掛けの遊技との何れの場合にも、有利区間移行抽選およびAT抽選を実行可能とするが、有利区間移行抽選およびAT抽選の当選確率は、2枚掛けの遊技開始操作よりも3枚掛けの遊技開始操作の方が何れも高く設定されている構成であってもよい。一例を挙げれば、3枚掛けの遊技では、有利区間移行抽選およびAT抽選の当選確率を5%とし、2枚掛けの遊技では、有利区間移行抽選およびAT抽選の当選確率を0.1%としてもよい。このように構成したとしても、3枚掛けによる遊技の価値を高めて、遊技者に3枚掛けによる遊技を促すことができる。
【0149】
また、本変形例では、3枚掛けの通常状態、3枚掛けのRBB1内部および3枚掛けのRBB2内部において、特定当選エリアのみの当選に基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行するように構成されていたが、これに限られない。例えば、特定当選エリアだけでなく、「不当選」、「打順ベル」、「共通ベル」、「通常リプ」の当選に基づいて有利区間移行抽選およびAT抽選を実行するようにしてもよい。この場合、「不当選」、「打順ベル」、「共通ベル」、「通常リプ」の当選に基づく有利区間移行抽選およびAT抽選の当選確率を、特定当選エリアの当選に基づく有利区間移行抽選およびAT抽選の当選確率よりも低く設定すればよい。このように構成したとしても、上記と同様の効果を得ることができるとともに、有利区間への移行契機およびATモードへの移行契機となる当選エリアを増やすことができ、遊技者が有利区間やATモードに移行し易くなるので、遊技意欲を低下させ難い遊技機とすることができる。
【符号の説明】
【0150】
S スロットマシン(遊技機)
110 演出モード制御手段(状態制御手段)
111 AT遊技制御手段(第1特典付与手段、第2特典付与決定手段、第2特典付
与手段)
111a AT抽選手段(第2特典付与決定手段)
110b AT管理手段(第1特典付与手段、第2特典付与手段)
110c AT遊技決定手段(第2特典付与決定手段)
図1
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