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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/133 20060101AFI20220121BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220121BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20220121BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20220121BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20220121BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220121BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
G02F1/133 570
G02F1/133 550
G02F1/1333
G02F1/1337
G02F1/1343
G02F1/1368
G09G3/20 621E
G09G3/20 623C
G09G3/20 624B
G09G3/20 631U
G09G3/20 680H
G09G3/36
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2016089894
(22)【出願日】2016-04-27
(65)【公開番号】P2016212408
(43)【公開日】2016-12-15
【審査請求日】2019-03-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】10-2015-0060003
(32)【優先日】2015-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】倉 學 ▲ソン▼
(72)【発明者】
【氏名】辛 哲
(72)【発明者】
【氏名】申 旗 ▲チョル▼
【合議体】
【審判長】瀬川 勝久
【審判官】清水 督史
【審判官】野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/085981(WO,A1)
【文献】特開2014-126870(JP,A)
【文献】特開2014-182367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133
G02F1/1333
G02F1/1343-1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素と、
前記複数の画素に接続されるゲート駆動部及びデータ駆動部と、
前記データ駆動部に接続される補償制御部と、
を備え、
前記複数の画素は、
第1の基板の上に形成され、第1のドメイン分割手段を有する複数の画素電極と、
前記第1の基板と向かい合う第2の基板の上に形成され、第2のドメイン分割手段を有する共通電極と、を備え、
同一平面上でみたとき、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の間隔は、中心画素から周縁画素に向かうにつれて画素の位置に応じて異なり、
前記補償制御部は、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が大きくなるにつれて大きくなる補償電圧を前記複数の画素に伝達するのであり、
液晶表示装置は、曲面化されており、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に注入されている液晶層を備え、
前記液晶層の液晶分子は、前記液晶層に電場が加えられていない場合、前記第1の基板及び前記第2の基板の表面と略垂直をなすように配列されており、
前記画素電極は、板状部分と、前記板状部分から延出する複数の枝電極と、を備え、
前記共通電極は、前記画素電極の前記板状部分と重なり合う十字状の切欠部を有し、
前記画素電極における、前記枝電極同士の間の切欠部分が、前記第1のドメイン分割手段をなし、
前記共通電極における、前記十字状の切欠部が、前記第2のドメイン分割手段をなし、
前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔は、前記共通電極の前記十字状の切欠部の中心部分と前記画素電極の前記板状部分の周縁との間の最大の間隔であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が大きくなればなるほど、輝度階調値に対応する階調電圧に加算して各画素に伝達される前記補償電圧の大きさは大きく、
前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が5μm大きくなるにつれて、前記補償電圧の大きさは0.3V~0.4V大きくなり、
前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が20μmである場合、前記補償電圧の大きさは1.5Vであり、
前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が25μmである場合、前記補償電圧の大きさは1.8V~1.9Vであり、
前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が30μmである場合、前記補償電圧の大きさは2.1V~2.2Vであり、
前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が35μmである場合、前記補償電圧の大きさは2.4V~2.5Vであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記補償制御部は、前記複数の画素、または複数の画素グループについて、それぞれの位置に応じて補償の要否を判断する補償判断部と、
前記補償電圧の値が保存されているルックアップテーブルとを備えることを特徴とする請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記補償制御部は、前記複数の画素、または複数の画素グループについて、それぞれの位置に応じて補償の要否を判断する補償判断部と、
前記補償電圧の値が保存されているルックアップテーブルと、
前記ルックアップテーブルから前記補償電圧の値を読み込んで前記複数の画素または画素グループの位置に応じて前記補償電圧の値を計算する計算部と、を備え、
前記計算部は、前記ルックアップテーブルに保存されている前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔についての2つの値と、前記間隔についての前記2つの値に応じた2つの前記補償電圧の大きさとを用いて、1次関数を求め、前記1次関数を用いて、前記複数の画素の前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔による前記補償電圧の値を算出することを特徴とする請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
中心画素から周縁画素に向かうにつれて、前記間隔が大きくなる請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、現在最も幅広く用いられている平板表示装置(flat panel display)の1つであり、画素電極と共通電極など電場生成電極(field generating electrode)が形成されている2枚のパネルと、これらの間に挟持されている液晶層と、を備える。液晶表示装置は、電場生成電極に電圧を印加して液晶層に電場を生成し、これにより液晶層の液晶分子の方向を決定し、入射光の偏光を制御することにより映像を表示する。
【0003】
液晶表示装置の中でも、電場が印加されていない状態で液晶分子をその長軸がパネルに対して垂直をなすように配列した垂直配向方式(vertically aligned mode)の液晶表示装置は、コントラスト比が大きく、しかも、基準視野角(1:10のコントラスト比を基準にする視野角、または、入力信号の大小と画面の明暗が対応しなくなる階調間輝度反転の限界角度で定義される視野角)が広いことから、脚光を浴びている。
【0004】
このような垂直配向方式の液晶表示装置においては、広視野角を確保するために、1つの画素に液晶の配向方向が異なる複数のドメインを形成するなどの方法を用いる。
このように、複数のドメインを形成する手段の一例としては、電場生成電極にスリットなどの切欠部を形成してドメイン分割手段として用いるなどの方法が挙げられる。この方法によれば、切欠部の周縁と、これと向かい合う電場生成電極との間に形成されるフリンジフィールドにより液晶が再配列されることにより、複数のドメインが形成される。
【0005】
このように、電場生成電極に切欠部などのドメイン分割手段を形成するとき、相対向する電場生成電極の間にミスアライメントが発生すると、ドメイン分割手段間の間隔が変わり、これにより、ドメイン内の液晶分子の応答速度が変わる虞がある。
【0006】
ドメインの位置に応じて液晶分子の応答速度が変わると、表示装置の表示品質が低下する虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、複数のドメインを有する液晶表示装置の位置に応じて液晶分子の不規則な動き及び応答速度の低下を防いで、表示品質の低下を防ぐ液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一実施形態による液晶表示装置は、複数の画素と、前記複数の画素に接続されるゲート駆動部及びデータ駆動部と、前記データ駆動部に接続される補償制御部と、を備え、前記複数の画素は、第1の基板の上に形成され、第1のドメイン分割手段を有する複数の画素電極と、前記第1の基板と向かい合う第2の基板の上に形成され、第2のドメイン分割手段を有する共通電極と、を備え、同一平面上でみたとき(すなわち、平面図において)、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の間隔は、位置に応じて異なり、前記補償制御部は、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔に応じて異なる補償電圧を前記複数の画素に伝達する。
【0009】
好ましくは、前記液晶表示装置は、曲面化される。
また、好ましくは、前記画素電極の前記第1のドメイン分割手段は、前記画素電極に形成される複数の第1の切欠部であり、前記第2の共通電極の前記第2のドメイン分割手段は、前記共通電極に形成される複数の第2の切欠部であり、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔は、前記第1の切欠部と前記第2の切欠部との間の最大の間隔である。
【0010】
更に、好ましくは、前記画素電極は、板状部分(切欠部や枝部を実質上、有さない領域)と、前記板状部分から延出する複数の枝電極と、を備え、前記共通電極は、前記画素電極の前記板状部分と重なり合う十字状の切欠部を有し、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔は、前記共通電極における前記十字状の切欠部の中心部分と、前記画素電極における前記板状部分の周縁との間の最大の間隔である。
【0011】
更にまた、前記補償電圧は、前記複数の画素へと、それぞれ、輝度階調値に対応する階調電圧(誤整列が発生しない画素に印加される階調電圧、以下「目標の階調電圧」という)に加算して印加されるものであり、好ましくは、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が大きくなればなるほど、前記補償電圧は大きくなる。
【0012】
更にまた、好ましくは、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が約5μm大きくなるにつれて、前記補償電圧は約0.3V~約0.4V大きくなる。
【0013】
更にまた、好ましくは、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が約20μmである場合、前記補償電圧は約1.5Vであり、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が約25μmである場合、前記補償電圧は約1.8V~1.9Vであり、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が約30μmである場合、前記補償電圧は約2.1V~2.2Vであり、前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔が約35μmである場合、前記補償電圧は約2.4V~2.5Vである。
【0014】
更にまた、好ましくは、前記補償制御部は、前記複数の画素のそれぞれ、または複数の画素グループのそれぞれについて、その位置に応じて補償の要否を判断する補償判断部と、前記補償電圧の値が保存されるルックアップテーブルと、を備える。
【0015】
更にまた、好ましくは、前記補償制御部は、前記複数の画素の位置に応じて補償の要否を判断する補償判断部と、前記補償電圧の値が保存されるルックアップテーブルと、前記ルックアップテーブルから前記補償電圧の値を読み込んで前記複数の画素の位置に応じて前記補償電圧の値を計算する計算部と、を備える。
【0016】
更にまた、好ましくは、前記計算部は、前記ルックアップテーブルに保存されている前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間の前記間隔についての2つの値と、前記間隔についての前記2つの値に応じた2つの前記補償電圧の値と、を用いて1次関数を求め、前記1次関数を用いて、前記複数の画素の前記第1のドメイン分割手段と前記第2のドメイン分割手段との間での前記間隔による前記補償電圧の値を算出する。
【0017】
更にまた、好ましくは、前記液晶表示装置は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に注入される液晶層を備え、前記液晶層の液晶分子は、前記液晶層に電場が加えられていない場合、前記第1の基板及び前記第2の基板の表面と略垂直をなすように配列される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態による液晶表示装置によれば、複数のドメインを有する液晶表示装置の位置に応じて液晶分子の不規則な動き及び応答速度の低下を防いで、表示品質の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による液晶表示装置のブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による液晶表示装置の構造及び2つの副画素に対する等価回路を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態による液晶表示装置の1画素についての等価回路図である。
図4】本発明の一実施形態による液晶表示装置の1画素についての配置構成を示す平面図である。
図5図4の液晶表示装置をV-V線に沿って切断した垂直方向の断面図である。
図6A】本発明の一実施形態による液晶表示装置について、曲面化した際の様子を模式的に示す簡略化した断面図である。
図6B】本発明の一実施形態による液晶表示装置について、曲面化の際の応力を模式的に示す簡略化した断面図である。
図6C】本発明の一実施形態による液晶表示装置について、曲面化の際の誤整列の度合いにより領域分けした場合の各領域を示す平面図である。
図7A】本発明の一実施形態による液晶表示装置の動作を説明するための模式的な垂直断面図による概念図である。誤整列が発生していない場合について示す。
図7B図7Aと同様の模式的な垂直断面図により、誤整列が発生している場合について示す。
図7C図7Bの一部分についての模式的な平面図である。
図8A】本発明の一実施形態による液晶表示装置の補償制御部のブロック図である。
図8B図8Aの補償制御部の動作を説明する波形図である。
図9A】本発明のある実験例によるグラフである。1Vから約3Vまでの電圧を印加する場合について示す。
図9B図9Aの一部の電圧領域を拡大して示すグラフである。
図10A】本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の補償制御部のブロック図である。
図10B図10Aの補償制御部の動作を説明するグラフである。
図11】本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の1画素についての配置構成を示す平面図である。
図12図11の液晶表示装置をXII-XII線に沿って切断した断面図である。
図13A】本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の画素領域の基本領域を示す配置構成図(部分拡大平面図)であり、誤整列が発生していない場合について示す。
図13B】誤整列が発生している場合の、図13Aと同様の配置構成図である。
図14】本発明の一実施形態による液晶表示装置の1画素が備える2つの副画素を示す図である。
図15】本発明の実施形態による液晶表示装置の1画素に対する等価回路図である。
図16】本発明の実施形態による液晶表示装置の1画素に対する等価回路図である。
図17】本発明の実施形態による液晶表示装置の1画素に対する等価回路図である。
図18】本発明の実施形態による液晶表示装置の1画素に対する等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が実施できる程度に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態により実現可能であり、ここで説明される実施形態に何ら限定されない。
【0021】
図中、様々な層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張されている。明細書全体に亘って同じ部分に対しては同じ図面符号を付する。なお、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとしたとき、それは、他の部分の「真上」にある場合だけではなく、これらの間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとしたとき、これらの間に他の部分がないことを意味する。
【0022】
まず、本発明の一実施形態による液晶表示装置について、図1から図3に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による液晶表示装置のブロック図であり、図2は、本発明の一実施形態による液晶表示装置の構造、及び2つの副画素についての等価回路を概略的に示す模式的な斜視図であり、図3は、本発明の一実施形態による液晶表示装置の1画素についての等価回路図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の一実施形態による液晶表示装置は、液晶パネル組立体300と、ゲート駆動部400と、データ駆動部500と、階調電圧生成部800と、信号制御部600及び補償制御部900を備える。
【0025】
液晶パネル組立体300は、等価回路でみたとき、複数の信号線GLa、GLb、DL、CL(図3参照)と、これらに接続され、略マトリックス状に配列される複数の画素PXと、を備える。これに対し、図2に示す構造でみたとき、液晶パネル組立体300は、相対向する第1のパネル100及び第2のパネル200と、これらの間に挟持される液晶層3と、を備える。
【0026】
図3を参照すると、信号線は、ゲート信号(「走査信号」とも呼ばれる。)を送信する複数のゲート線GLa、GLbと、データ電圧Vdを伝達する複数のデータ線DL、及び共通電圧Vcomを伝達する複数の容量電極線CLを備える。複数のゲート線GLa、GLb及び複数の容量電極線CLは、概略、行方向に伸びて互いに略平行であり、複数のデータ線DLは、概略、列方向に伸びて互いに略平行である。
【0027】
本発明の実施形態による液晶パネル組立体は、複数の信号線と、これらに接続される複数の画素PXと、を備える。
【0028】
各画素PXは一対の副画素を備え、各副画素は液晶キャパシタClca、Clcbを備える。2つの副画素は、ゲート線GLa、GLbと、データ線DL及び液晶キャパシタClca、Clcbと接続されるスイッチング素子Qa、Qb、Qcを備える。しかしながら、これとは異なり、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置によれば、各画素PXは1つの副画素のみを備えてもよい。
【0029】
液晶キャパシタClca、Clcbは、第1のパネル100の副画素電極PEa/PEb、及び第2のパネル200の共通電極CEを、2つの端子としており、副画素電極PEa/PEbと共通電極270との間の液晶層3は、誘電体として働く。一対の副画素電極PEa/PEbは、互いに分離され、1つの画素電極PEを構成する。共通電極CEは第2のパネル200の全面に形成され、この共通電極CEに共通電圧Vcomが印加される。液晶層3は負の誘電率異方性を有し、液晶層3の液晶分子は、電場がない状態でその長軸が2枚のパネルの表面に対して垂直になるように配向される。図2とは異なり、共通電極CEが第1のパネル100に配設される場合もあり、このときには、2つの電極PE、CEのうちの少なくとも一方が線状又は棒状に作製される。
【0030】
一方、色表示を実現するためには、各画素PXに基本色のうちの1つを固有に表示させたり(空間分割)、各画素PXに経時的に且つ交互に基本色を表示させたり(時間分割)して、これらの基本色の空間的及び時間的な和を用いて所望の色を認識させる。基本色としては、赤色、緑色、青色などの三原色が挙げられる。本発明の一実施形態による液晶表示装置によると、空間分割の一例として、各画素PXには、第1のパネル100の副画素電極PEa、PEbの上又は下に形成されて、基本色のうちの1つを示すカラーフィルタが備えられる。しかしながら、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置によると、第2のパネル200の領域にカラーフィルタが形成されてもよい。
【0031】
パネル100、200の外側の面には偏光子(図示せず)が配備されるが、2つの偏光子の偏光軸は直交するものであり得る。反射型液晶表示装置の場合には、2つの偏光子のうちの1つが省略されてもよい。直交偏光子である場合、電場のない液晶層3に入射する入射光を遮断する。
【0032】
図1に戻ると、階調電圧生成部800は、画素PXの透過率に関する全体の階調電圧又は限られた数の階調電圧(以下、「基準階調電圧」と称する。)を生成する。基準階調電圧は、共通電圧Vcomに対して正の値を有するもの及び負の値を有するものを含み得る。
【0033】
ゲート駆動部400は、液晶パネル組立体300のゲート線GLa、GLbと接続されてゲートオン電圧Von及びゲートオフ電圧Voffの組み合わせからなるゲート信号をゲート線GLa、GLbに印加する。
【0034】
データ駆動部500は、液晶パネル組立体300のデータ線DLと接続され、階調電圧生成部800からの階調電圧を選択し、これをデータ電圧としてデータ線DLに印加する。しかしながら、階調電圧生成部800が階調電圧をいずれも提供するというわけではなく、限られた数の基準階調電圧のみを提供する場合、データ駆動部500は、基準階調電圧を分圧して所望のデータ電圧を生成する。
【0035】
補償制御部900は、液晶表示装置の領域に応じて電圧の補償の要否を判断し、補償電圧をデータ駆動部500に供給する。
【0036】
信号制御部600は、ゲート駆動部400及びデータ駆動部500などを制御する。
これらの駆動装置400、500、600、800、900のそれぞれは、少なくとも一つの集積回路チップの形で液晶パネル組立体300の上に直接的に取り付けられるか、或いは、フレキシブルプリント回路基板(図示せず)の上に取り付けられて、テープキャリアパッケージ(TCP:tape carrier package)の形で液晶パネル組立体300に貼着されるか、或いは、別途のプリント回路基板(図示せず)の上に取り付けられる。これとは異なり、これらの駆動装置400、500、600、800、900が信号線GLa、GLb、DL及び薄膜トランジスタスイッチング素子Qa、Qb、Qcなどとともに液晶パネル組立体300に集積されてもよい。なお、駆動装置400、500、600、800、900は、単一のチップとして集積されてもよく、この場合、これらのうちの少なくとも一つ又はこれらを構成する少なくとも一つの回路素子が、単一のチップの外側に存在するというのでもよい。
【0037】
図3に戻ると、本発明の一実施形態による液晶表示装置は、隣り合う第1及び第2のゲート線GLa、GLbと、データ線DL及び容量電極線CLを有する信号線と、これらに接続される画素PXと、を備える。
【0038】
画素PXは、第1のスイッチング素子Qaと、第2のスイッチング素子Qb及び第3のスイッチング素子Qcと、第1の液晶容量Clca及び第2の液晶容量Clcb並びに減圧キャパシタCstdを備える。
【0039】
第1のスイッチング素子Qa及び第2のスイッチング素子Qbは、それぞれ第1のゲート線GLa及びデータ線DLに接続され、第3のスイッチング素子Qcは、第2のゲート線GLに接続される。
【0040】
第1のスイッチング素子Qa及び第2のスイッチング素子Qbは、第1のパネル100に配設される薄膜トランジスタなどの三端子素子であり、その制御端子は第1のゲート線GLaと接続され、入力端子はデータ線DLと接続され、出力端子は第1の液晶容量Clca及び第2の液晶容量Clcbと接続される。
【0041】
また、第3のスイッチング素子Qcも第1のパネル100に配設される薄膜トランジスタなどの三端子素子であり、制御端子は第2のゲート線GLbと接続され、入力端子は第2の液晶容量Clcbと接続され、出力端子は減圧キャパシタCstdと接続される。
【0042】
減圧キャパシタCstdは、第3のスイッチング素子Qcの出力端子及び容量電極線CLに接続され、第1のパネル100に配設される容量電極線CL及び第3のスイッチング素子Qcの出力電極が絶縁体を間に挟んで重なり合う。
【0043】
以下、図1から図3に基づいて、本発明の一実施形態による液晶表示装置の動作について説明する。
【0044】
まず、図1を参照すると、信号制御部600は、外部のグラフィック制御器(図示せず)から入力映像信号R、G、B及びその表示を制御する入力制御信号を受信する。入力映像信号R、G、Bは、各画素PXの輝度情報を含み、輝度は、所定の数、例えば、1024(=210)、256(=28)又は64(=26)個の階調を有する。入力制御信号としては、垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsync、メインクロック信号MCLK、データイネーブル信号DEなどが挙げられる。
【0045】
信号制御部600は、入力映像信号R、G、B及び入力制御信号に基づいて、入力映像信号R、G、Bを液晶パネル組立体300の動作条件に合うように適切に処理し、ゲート制御信号CONT1及びデータ制御信号CONT2などを生成した後、ゲート制御信号CONT1をゲート駆動部400に送出し、データ制御信号CONT2及び処理済みの映像信号DATをデータ駆動部500に送出する。出力映像信号DATはデジタル信号であり、所定の数の値又は階調を有する。
【0046】
信号制御部600からのデータ制御信号CONT2により、データ駆動部500は、1行の画素PXに対するデジタル映像信号DATを受信し、各デジタル映像信号DATに対応する階調電圧を選択することにより、デジタル映像信号DATをアナログデータ電圧に変換した後、これを当該データ線DLに印加する。このとき、補償制御部900は、液晶表示装置の位置に応じて補償信号の印加の要否を決定して、補償信号をデータ駆動部500に供給する。
【0047】
ゲート駆動部400は、信号制御部600からのゲート制御信号CONT1により、ゲートオン電圧Vonをゲート線GLa、GLbに印加して、これらのゲート線GLa、GLbに接続されるスイッチング素子Qa、Qb、Qcをターンオンさせる。すると、データ線DLに印加されたデータ電圧Vdは、ターンオンされた第1及び第2のスイッチング素子Qa、Qbを介して当該画素PXに印加される。
【0048】
以下、特定の画素行、例えば、i行目に焦点を合わせて説明する。
【0049】
i行目の第1のゲート線GLaに第1のゲート信号が印加され、第2のゲート線GLbには第2のゲート信号が印加される。第1のゲート信号がゲートオフ電圧Voffからゲートオン電圧Vonへと切り換わると、ここに接続される第1及び第2のスイッチング素子Qa、Qbがターンオンされる。これにより、データ線DLに印加されたデータ電圧Vdは、ターンオンされた第1及び第2のスイッチング素子Qa、Qbを介して第1及び第2の副画素電極PEa、PEbに印加される。このとき、第1及び第2の副画素電極PEa、PEbに印加されたデータ電圧Vdは、互いに等しい。第1及び第2の液晶キャパシタClca、Clcbは、共通電圧とデータ電圧Vdとの間の差分に見合う分だけ同じ値に充電される。
【0050】
その後、第1のゲート信号はゲートオン電圧Vonからゲートオフ電圧Voffへと切り換わり、これと同時に、第2のゲート信号がゲートオフ電圧Voffからゲートオン電圧Vonへと切り換わると、第1及び第2のスイッチング素子Qa、Qbはターンオフされ、第3のスイッチング素子Qcがターンオンされる。すると、第2の副画素電極PEbから第3のスイッチング素子Qcを介して第3のドレイン電極175cへと電荷が移動する。すると、第2の液晶キャパシタClcbの充電電圧は低くなり、減圧キャパシタCstdが充電される。第2の液晶キャパシタCstbの充電電圧は、減圧キャパシタCstdの静電容量に見合う分だけ低くなるため、第2の液晶キャパシタCstbの充電電圧は、第1の液晶容量Cstaの充電電圧よりも低くなる。
【0051】
このとき、2つの液晶キャパシタClca、Clcaの充電電圧は、互いに異なるガンマ曲線を示し、1画素電圧のガンマ曲線は、これらを合成した曲線となる。正面から見た場合における合成ガンマ曲線は、最適に定められた、正面から見た場合における基準ガンマ曲線と一致させ、側面から見た場合における合成ガンマ曲線は、正面からの基準ガンマ曲線に最大限、近づける。このように映像データを変換することにより、側面からの視認性が向上する。
【0052】
1水平周期(「1H」とも呼ばれ、水平同期信号Hsync及びデータイネーブル信号DEの1周期と同じである。)を単位としてこれらの過程を繰り返し行うことにより、全ての画素PXにデータ電圧Vdを印加して1フレームの映像を表示する。
【0053】
1フレームが終わると、次のフレームが始まり、各画素PXに印加されるデータ電圧Vdの極性が以前のフレームにおける極性とは反対になるようにデータ駆動部500に印加される反転信号RVSの状態が制御される。
【0054】
このように減圧キャパシタCstdの静電容量に応じて第1及び第2の液晶容量Csta、Cstbの充電電圧を調節する。
【0055】
本発明の実施形態においては、1つの画素に2つの副画素電極が配置されて、2つの液晶容量Clca、Clcaを有すると説明したが、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置によれば、1つの画素には、1つの画素電極が配置されて、1つの液晶キャパシタが備えられるのでもよい。
【0056】
次いで、図4及び図5図3と結び付けて本発明の一実施形態による液晶パネル組立体について詳細に説明する。
【0057】
図4は、本発明の一実施形態による液晶表示装置の1画素に対する配置図であり、図5は、図4の液晶表示装置をV-V線に沿って切り取った断面図である。
【0058】
本発明の実施形態による液晶表示装置は、相対向する第1のパネル100及び第2のパネル200と、これらの2枚のパネル100、200の間に挟持される液晶層3と、を備える。
【0059】
まず、第1のパネル100について説明する。
第1の基板110の上にゲート線121及び容量電圧線131を有する複数のゲート導電体が形成される。ゲート線121は、第1のゲート電極124aと、第2のゲート電極124b及び第3のゲート電極124cを備える。
【0060】
容量電圧線131は、所定の容量電圧を伝達し、上下に拡張される第1の容量電極137を備える。
【0061】
ゲート導電体121、131の上には、ゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140の上には、第1の半導体154aと、第2の半導体154b及び第3の半導体154cが形成される。
【0062】
半導体154a、154b、154cは、有機半導体を含むものであり得る。有機半導体は、テトラセン(tetracene) 又はペンタセン(pentacene)の置換基を有する誘導体を含み得るのであり、また、チオフェン環(thiophene ring)の2,5位にて接続された4~8個のチオフェンを有するオリゴチオフェン(oligothiophene)を含むものであり得る。有機半導体は、ポリチエニレンビニレン(polythienylenevinylene)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリチオフェン(polythiophene)、フタロシアニン(phthalocyanine)、金属化フタロシアニン(metallized phthalocyanine)又はそのハロゲン化誘導体を含むものであり得る。また、有機半導体は、ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA;perylenetetracarboxylic dianhydride)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA;naphthalenetetracarboxylic dianhydride)又はこれらのイミド誘導体を含むものであり得る。有機半導体は、ペリルレン(perylene)又はコロネン(coronene)及びこれらの置換基を有する誘導体を含むものであり得る。
【0063】
半導体154a、154b、154cの上には、オーミックコンタクト部材163b、165bが形成される。半導体154a、154b、154cが酸化物半導体である場合、オーミックコンタクト部材163b、165bは省略可能である。
【0064】
オーミックコンタクト部材163b、165b及びゲート絶縁膜140の上には、データ線171と、データ線171と接続される第1のソース電極173a及び第2のソース電極173bと、第3のソース電極173cと、第1のドレイン電極175aと、第2のドレイン電極175b及び第3のドレイン電極175cを有するデータ導電体が形成される。
【0065】
第1のゲート電極124aと、第1の半導体154aと、第1のソース電極173a及び第1のドレイン電極175aは、第1の薄膜トランジスタ(thin-film-transistor:TFT)Qaを形成し、第2のゲート電極124bと、第2の半導体154bと、第2のソース電極173b及び第2のドレイン電極175bは、第2のスイッチング素子Qbを形成し、第3のゲート電極124cと、第3の半導体154cと、第3のソース電極173c及び第3のドレイン電極175cは、第3のスイッチング素子Qcを形成する。第3のドレイン電極175cの先端部は拡張されて第2の容量電極177を形成する。
【0066】
データ導電体171、173a、173b、173c、175a、175b、175c及び露出された半導体154a、154b、154cの部分の上には保護膜180が形成される。保護膜180は、窒化ケイ素や酸化ケイ素などの無機絶縁物により形成される。
保護膜180には、第1のドレイン電極175a及び第2のドレイン電極175bをそれぞれ露出させる複数のコンタクトホール185a、185bが形成される。
【0067】
保護膜180の上には、第1及び第2の副画素電極191a、191bを有する画素電極191が形成される。画素電極191は、酸化インジウムスズ(ITO)及び酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明物質により形成される。
【0068】
第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bは、間隙91を間に挟んで配置され、第1の副画素電極191aは、第2の副画素電極191bにより取り囲まれる。第2の副画素電極191bは、複数の第1の切欠部92、93a、93bを有する。複数の第1の切欠部92、93a、93bは、複数の第1の突起部である。
【0069】
第1の副画素電極191aは、第1のコンタクトホール185aを介して第1のドレイン電極175aと接続され、第2の副画素電極191bは、第2のコンタクトホール185bを介して第2のドレイン電極175bと接続され、第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bには、第1のドレイン電極175a及び第2のドレイン電極175bからデータ電圧Vdが印加される。
【0070】
データ電圧Vdが印加される第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bは、共通電極パネル200の共通電極270とともに電場を生成することにより、2つの電極191、270間の液晶層3の液晶分子の方向を決定する。このようにして決定された液晶分子の方向により、液晶層3を通過する光の輝度が変わる。
【0071】
第1の容量電極137及び第2の容量電極177は、ゲート絶縁膜140を間に挟んで重なり合って減圧キャパシタCstdを形成する。このように、減圧キャパシタCstdをゲート導電体及びデータ導電体を用いて形成することにより、減圧キャパシタCstdの形成のための追加工程が不要になり、その結果、液晶表示装置の製造工程が簡略化される。
【0072】
画素電極191及び保護膜180の上には、下部配向膜(図示せず)が形成される。下部配向膜は、垂直配向膜である。
【0073】
次いで、第2のパネル200について説明する。
第2の基板210の上に、遮光部材220が形成される。遮光部材は、ブラックマトリックス(black matrix)とも呼ばれ、光漏れを防ぐ。
【0074】
遮光部材220により限定される領域の第2の基板210の上には、複数のカラーフィルタ230が形成される。
【0075】
カラーフィルタ230は、赤色、緑色及び青色の三原色などの基本色のうちの1つを表示し、三原色のうちの1つを表示する顔料を含む有機物により形成され得る。ここで開示される実施形態によれば、第2のパネル200にカラーフィルタ230が形成されるが、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置は、第1のパネル100に形成されるカラーフィルタ230を備えていてもよい。なお、ここで開示される実施形態によれば、遮光部材220が第2のパネル200に形成されるが、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置は、第1のパネル100に形成される遮光部材220を備えていてもよい。
【0076】
遮光部材220及びカラーフィルタ230の上には、オーバコート250が形成される。オーバコート250の上には、共通電極270が形成される。共通電極270には、複数の第2の切欠部71、72、73、74a、74bが形成される。複数の第2の切欠部71、72、73、74a、74bは、1つの画素電極191と向かい合い、切欠部のそれぞれ71、72、73、74a、74bは、画素電極の間隙91と複数の第1の切欠部92、93a、93bとの間に配置される。複数の第2の切欠部71、72、73、74a、74bに代えて、同一の配置で、複数の突起部が形成されてもよい。
【0077】
共通電極270の上には、上部配向膜(図示せず)が形成される。上部配向膜は、垂直配向膜である。
【0078】
液晶層3は、負の誘電率異方性を有し、液晶層3の液晶分子は、電場のない状態でその長軸が2枚のパネル100、200の表面に対して垂直になるように配向される。
【0079】
共通電極270に共通電圧を印加し、且つ、画素電極191にデータ電圧を印加すると、パネル100、200の表面に略垂直な電場(電界)が生成される。液晶分子は、電場に応答して、その長軸が電場の方向に垂直になるように方向を切り換えようとする。以下、画素電極191及び共通電極270をまとめて電場生成電極と称する。
【0080】
電場生成電極191、270の切欠部71、72、73、74a、74b、92、93a、93bと、間隙91及び画素電極191の辺は、電場を歪ませて液晶分子の傾斜方向を決定する水平成分を作り出す。電場の水平成分は、切欠部71、72、73、74a、74b、92、93a、93bと、間隙91の辺及び画素電極191の辺に略垂直である。
【0081】
一組の切欠部71、72、73、74a、74b、92、93a、93b、及び画素電極191の間隙91は、画素電極191を複数の副領域に分割し、各副領域は、画素電極191の主辺と斜角をなす2つの主辺を有する。各副領域上の液晶分子は、ほとんど主辺に垂直な方向に傾くため、傾く方向を数えてみると、略4方向である。このように液晶分子が傾く方向を多様化させると、液晶表示装置の基準視野角が大きくなる。
【0082】
このように、画素電極191に形成される複数の第1の切欠部92、93a、93b及び共通電極270に形成される複数の第2の切欠部71、72、73、74a、74bは、第1のドメイン分割手段及び第2のドメイン分割手段となる。上述した実施形態による液晶表示装置によれば、第1のドメイン分割手段及び第2のドメイン分割手段は、複数の切欠部であると説明したが、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置によれば、第1のドメイン分割手段及び第2のドメイン分割手段は、複数の突起部である。
【0083】
以下、図6Aから図6Cに基づいて、本発明の一実施形態による液晶表示装置の特徴について説明する。図6A及び図6Bは、本発明の一実施形態による液晶表示装置の簡略断面図である。図6Cは、本発明の一実施形態による液晶表示装置の位置に応じた特徴を説明するための図面である。
【0084】
図6Aを参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置は、第1のパネル100及び第2のパネル200と、2枚のパネル100、200の間に注入される液晶層3と、を備え、第1の方向dに沿って湾曲して曲率半径を有するように曲面化される。第1の方向dは、上述したゲート線が伸びる方向と略平行であり、データ線が伸びる方向と略平行である。なお、第1の方向dは、ゲート線及びデータ線が伸びる方向と平行な2つの方向である。
【0085】
図6Aに示すように、液晶表示装置を曲面化させるとき、図6Bに示すように、第2のパネル200には液晶表示装置の中心に向かう第1の力P1が加えられ、第1のパネル100には液晶表示装置の周縁に向かう第2の力P2が加えられる。このように、第1のパネル100及び第2のパネル200に互いに異なる方向に外力が加えられると、第1のパネル100と第2のパネル200との間に誤整列が発生する虞がある。
【0086】
このような第1のパネル100と第2のパネル200との間に発生する誤整列の度合いは、図6Cに示すように、液晶表示装置の位置に応じて異なる。図6Cを参照すると、液晶表示装置は、中心に配置される第1の領域Raと、これより遠ざかる方向へと順に、第1の領域Raの両側に配置される第2の領域Rbと、第2の領域Rbの隣に配置される第3の領域Rcと、第3の領域Rcの隣に配置される第4の領域Rdと、第4の領域Rdの隣に、且つ、液晶表示装置の周縁に配置される第5の領域Reと、を備える。液晶表示装置が曲面化された場合、第1の領域Raと、第2の領域Rbと、第3の領域Rcと、第4の領域Rd及び第5の領域Reに応じて、第1のパネル100と第2のパネル200との間に発生する誤整列の度合いは異なってくる。具体的に、液晶表示装置の中心に配置される第1の領域Raには誤整列が発生しないか、或いは、たとえ誤整列が発生したとしても誤整列の度合いが小さく、第1の領域Raから液晶表示装置の周縁に向かって、第2の領域Rbと、第3の領域Rc及び第4の領域Rdと進むにつれて、誤整列の度合いは大きくなり、液晶表示装置の周縁に配置される第5の領域Reにおいて誤整列の度合いは再び小さくなる。
【0087】
このように、液晶表示装置の誤整列の度合いが変わると、画素電極及び共通電極に形成される第1のドメイン分割手段と第2のドメイン分割手段との間の間隔も変わる。
【0088】
以下、図7A及び図7Bに基づき、本発明の実施形態による液晶表示装置の動作について説明する。図7A及び図7Bは、本発明の一実施形態による液晶表示装置の動作を説明するための概念図である。
【0089】
図7Aは、相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生していない場合について示し、図7Bは、相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生している場合について示す。
【0090】
図7Aを参照すると、第1の基板110の上に形成される、画素電極191の第1の切欠部の集りといった第1のドメイン分割手段90と、第2の基板210の上に形成される、共通電極270の第2の切欠部の集りといった第2のドメイン分割手段70とにより、液晶層3には第1のフリンジフィールドFF1が形成される。これにより、液晶分子31は、第1のフリンジフィールドFFに垂直の方向に傾く。このとき、第1のドメイン分割手段90及び第2のドメイン分割手段70により形成される第1のフリンジフィールドFFの大きさは、一定である。同一平面上にて測定した第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔は、一般に、約20μmである。
【0091】
図7Bを参照すると、相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生する場合、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が変わる。図7Cの模式的な部分平面図に、この様子を示す。図7B及び図7Cを参照すると、第2の領域(図の中央にある第1のドメイン分割手段90より右側)における第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の最小の間隔は、第1の間隔d1であり、第1の領域(図の中央にある第1のドメイン分割手段90より左側)における第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の最小の間隔は、第2の間隔d2である。
【0092】
第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が、相対的に狭い第2の間隔d2となっている第1の領域には、第2のフリンジフィールドFF1が形成される。そして、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が、相対的に広い第1の間隔d1となっている第2の領域には、第3のフリンジフィールドFF2が形成される。
【0093】
このように、位置に応じてフリンジフィールドの大きさが互いに異なってくると、液晶分子がこれに反応する度合いも互いに異なってくる。例えば、相対的に大きな第2のフリンジフィールドFF1が加えられる領域に位置する第1の液晶分子31aは、垂直配向状態から相対的に速く傾くのであり、相対的に小さな第3のフリンジフィールドFF2が加えられる領域に位置する第2の液晶分子31bは、垂直配向状態から相対的に遅く傾くとともに、傾く方向が不規則になる。このように、液晶分子が傾く速度が遅くなり、且つ、傾く方向が不規則的になると、液晶分子の不規則的な挙動が発生するのであり、これは、表示品質の低下につながる。
【0094】
以下、図8A及び図8Bに基づき、本発明の一実施形態による液晶表示装置の相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生した場合、これを補償するための補償制御部900の動作について説明する。図8Aは、本発明の一実施形態による液晶表示装置の補償制御部のブロック図であり、図8Bは、図8Aの補償制御部の動作を説明する波形図である。
【0095】
図8Aを参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置の補償制御部900は、補償判断部900aと、補償データを保存するルックアップテーブルLUT900bと、を備える。
【0096】
補償判断部900aは、液晶表示装置の相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生したか否か、及び液晶表示装置の領域による誤整列の度合いが、予め設定された値より大きいか否かに応じて、補償の要否を判断する。
【0097】
補償判断部900aにおいて補償が必要であると判断した場合、図8Bに示すように、データ線に目標の階調電圧V1に補償電圧△V(V2-V1)の値を加えて、目標の階調電圧V1よりも高い階調電圧V2を印加し、液晶分子の挙動を規則的に、且つ、速くすることができる。
【0098】
上述したように、液晶表示装置が曲面化された場合、図6Cに示した領域ごとに、すなわち、第1の領域Ra、第2の領域Rb、第3の領域Rc、第4の領域Rd及び第5の領域Reのそれぞれに応じて、第1のパネル100と第2のパネル200との間に発生する誤整列の度合いは異なってくる。
【0099】
このため、補償判断部900aは、補償判断の対象となる画素が、第1の領域Ra、第2の領域Rb、第3の領域Rc、第4の領域Rd及び第5の領域Reのうちのどの領域に位置するかに応じて補償電圧の要否を判断する。
【0100】
補償判断部900aが補償電圧の要否、及び補償電圧について判断すると、補償判断部900aは、ルックアップテーブルLUT900bから補償電圧を読み込んで、データ駆動部500に入力する。
【0101】
補償電圧△Vは、画素電極191の第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔に応じて異なってくる。誤整列が発生していない場合の間隔d0(図7A)と比較して、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が、約5μm、さらに広くなる度に、補償電圧△Vは約0.3V~約0.4V大きくなる。
【0102】
より具体的な一実施形態において、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が約20μm、例えば15~22μmである場合、入力される補償電圧△Vは約1.5V、例えば1.4~1.6Vの範囲内の所定の値とすることができ、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約5μmさらに広くなって約25μm、例えば23~27μmの領域に位置する画素に加えられる補償電圧△Vは約1.8V~1.9Vとすることができ、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約10μmさらに広くなって約30μm、例えば28~32μmの領域に位置する画素に加えられる補償電圧△Vは約2.1V~2.2Vとすることができ、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約15μmさらに広くなって約35μm、例えば33~37μmの領域に位置する画素に加えられる補償電圧△Vは約2.4V~2.5Vとすることができる。また、一例において、補償電圧△V、間隔が20μmである場合に1.5V、間隔が25μmである場合に1.8V~1.9Vの所定値、間隔が30μmである場合に2.1V~2.2Vの所定値、間隔が35μmである場合に2.4V~2.5Vの所定値とし、これらの中間の間隔については、補間法(特には、比例配分)により決定することができる。さらには、補償電圧△Vについて、液晶パネル組立体の特性に応じて、この一例の値を、全て、10~30%の範囲の所定の割合で増加または減小させることができる。
【0103】
以下、図9A及び図9Bに基づき、本発明の実験例について説明する。図9A及び図9Bは、本発明の実験例によるグラフである。
【0104】
本発明の実験例においては、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔を約23μm、28μm及び34μmに形成した後、画素に加えられる補償電圧△Vによる応答時間を測定してグラフにて示した。図9Aは、補償電圧の範囲が1Vから約3Vまでであることを示すグラフであり、図9Bは、図9Aの一部を拡大して示すグラフである。
【0105】
まず、図9Aを参照すると、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が広くなればなるほど応答時間は遅くなり、これにより、応答速度は早くなる。しかしながら、補償電圧が大きくなると、応答時間差は減った。
【0106】
図9Bを参照すると、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が約23μmである場合、補償電圧が約1.8Vよりも大きければ、応答時間は約25ms以下となる。垂直配向方式の液晶表示装置に一般的に求められる応答時間は、約25ms以下である。第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が約28μmである場合、補償電圧が約2.1Vよりも大きければ、応答時間は約25ms以下となる。また、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が約34μmである場合、補償電圧が約2.4Vよりも大きければ、応答時間は約25ms以下となる。
【0107】
上述したように、本発明の実施形態による液晶表示装置の補償制御部900が入力する補償電圧△Vは、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が約20μmである領域に位置する画素の場合に約1.5Vであり、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約25μmである領域に位置する画素の場合に約1.8V~1.9Vであり、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約30μmである領域に位置する画素の場合に約2.1V~2.2Vであり、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約35μmである領域に位置する画素の場合に約2.4V~2.5Vである。
【0108】
このように、本発明の実施形態による液晶表示装置の補償制御部900を用いて補償電圧V2を印加すると、垂直配向方式の液晶表示装置に一般的に求められる応答時間である約25ms以下の応答時間を有することが分かる。
【0109】
以下、図8A及び図8Bと、図10A及び図10Bとを結び付けて、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の補償制御部900の動作について説明する。図10Aは、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の補償制御部のブロック図であり、図10Bは、図10Aの補償制御部の動作を説明するグラフである。
【0110】
図10Aを参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置の補償制御部900は、補償判断部900aと、補償データを保存するルックアップテーブルLUT900bと、補償データ計算部900cと、を備える。
【0111】
補償判断部900aは、液晶表示装置の相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生したか否か及び液晶表示装置の領域による誤整列の度合いに応じて補償の要否を判断する。
【0112】
補償判断部900aにおいて補償が必要であると判断した場合、図8Bに示すように、データ線に、目標の階調電圧V1に補償電圧△Vを加えた電圧V2を印加し、液晶分子が規則的に、且つ、速く動くようにする。
【0113】
図10A及び図10Bに示す実施形態による液晶表示装置の補償制御部900は、図8A及び図8Bに示す実施形態による液晶表示装置の補償制御部900とは異なり、計算部900cを備える。これについて、図10Bに基づいて説明する。
【0114】
本発明の実施形態による液晶表示装置の補償制御部900の計算部900cは、ルックアップテーブルLUT900bに保存されている第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の2つの間隔x1、x2による2つの補償電圧y1、y2を用いて1次関数値を計算し、この関数により入力された画素の第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔xpによる補償電圧ypを計算する。
【0115】
このような計算によれば、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔がルックアップテーブルLUT900bに保存されていない値を有する場合であっても、入力される補償電圧を決定することができる。
【0116】
ルックアップテーブルLUT900bに保存されている補償電圧は、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔に応じて異なってくる。第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の間隔が約20μmである場合に入力される補償電圧V2は約1.5Vであり、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約5μm広くなって約25μmである領域に位置する画素に加えられる補償電圧V2は約1.8V~1.9Vであり、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約10μm広くなって約30μmの領域に位置する画素に加えられる補償電圧V2は約2.1V~2.2Vであり、第1のドメイン分割手段90と第2のドメイン分割手段70との間の第1の間隔d1が約15μm広くなって約35μmの領域に位置する画素に加えられる補償電圧V2は約2.4V~2.5Vである。
【0117】
以下、図11及び図12に基づき、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置について説明する。図11は、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の1画素に対する配置図であり、図12は、図11の液晶表示装置をXII-XII線に沿って切り取った断面図である。
【0118】
図11及び図12を参照すると、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置は、相対向する第1のパネル100及び上部パネル200と、2枚のパネル100、200の間に注入される液晶層3と、を備える。
【0119】
まず、第1のパネル100について説明する。
第1の基板110の上にゲート線121a、121b及び容量電圧線131を有する複数のゲート導電体が形成される。ゲート線121a、121bは、第1のゲート電極124aと、第2のゲート電極124b及び第3のゲート電極124cを備える。
【0120】
容量電圧線131は、一定の容量電圧を伝達し、下に拡張された第1の容量電極137を備える。
【0121】
ゲート導電体121、131の上には、ゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140の上には、第1の半導体154aと、第2の半導体154b及び第3の半導体154cが形成される。
【0122】
半導体154a、154b、154cは、有機半導体を含む。半導体154a、154b、154cの上には、オーミックコンタクト部材165aが形成される。半導体154a、154b、154cが酸化物半導体である場合、オーミックコンタクト部材165aは省略可能である。
【0123】
オーミックコンタクト部材165a及びゲート絶縁膜140の上には、データ線171と、データ線171と接続される第1のソース電極173a及び第2のソース電極173bと、第3のソース電極173cと、第1のドレイン電極175aと、第2のドレイン電極175b及び第3のドレイン電極175cを有するデータ導電体が形成される。
【0124】
第1のゲート電極124aと、第1の半導体154aと、第1のソース電極173a及び第1のドレイン電極175aは、第1の薄膜トランジスタ(TFT)Qaを形成し、第2のゲート電極124bと、第2の半導体154bと、第2のソース電極173b及び第2のドレイン電極175bは、第2のスイッチング素子Qbを形成し、第3のゲート電極124cと、第3の半導体154cと、第3のソース電極173c及び第3のドレイン電極175cは、第3のスイッチング素子Qcを形成する。第3のドレイン電極175cの先端部は拡張されて第2の容量電極177を形成する。
【0125】
データ導電体171、173a、173b、173c、175a、175b、175c及び露出された半導体154a、154b、154c部分の上には、保護膜180が形成される。保護膜180は、窒化ケイ素や酸化ケイ素などの無機絶縁物により形成される。
【0126】
保護膜180には、第1のドレイン電極175a及び第2のドレイン電極175bをそれぞれ露出させる複数のコンタクトホール185a、185bが形成される。
【0127】
保護膜180の上には、第1及び第2の副画素電極191a、191bを有する画素電極191が形成される。画素電極191は、酸化インジウムスズ(ITO)及び酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明物質により形成される。
【0128】
第1の副画素電極191aは、第1のコンタクトホール185aを介して第1のドレイン電極175aと物理的・電気的に接続され、第2の副画素電極191bは、第2のコンタクトホール185bを介して第2のドレイン電極175bと物理的・電気的に接続される。
【0129】
第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bは、ゲート線121a、121bを間に挟んで互いに分離されて、ゲート線121a、121bを中心として画素領域の上及び下に配置されて列方向に隣り合う。第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bは、ひし形の形状を有する板状部分193と、板状部分193から互いに異なる4方向に延出する複数の枝電極194と、を備える。
【0130】
複数の枝電極194は、斜め右上方に伸びる部分と、斜め右下方に伸びる部分と、斜め右上方に伸びる部分及び斜め左下方に伸びる部分を備える。このように、複数の枝電極194が伸びる方向が互いに異なる部分において、液晶層3の液晶分子が傾く方向が互いに異なってくる。したがって、液晶分子が傾く方向が互いに異なる四つのドメインが液晶層3に形成される。このように、液晶分子が傾く方向を多様化させると、液晶表示装置の基準視野角が大きくなる。
【0131】
第1のゲート電極124aと、第1の半導体154aと、第1のソース電極173a及び第1のドレイン電極175aは第1のスイッチング素子Qaを形成し、第2のゲート電極124bと、第2の半導体154bと、第2のソース電極173b及び第2のドレイン電極175bは第2のスイッチング素子Qbを形成し、第3のゲート電極124cと、第3の半導体154cと、第3のソース電極173c及び第3のドレイン電極175cは第3のスイッチング素子Qcを形成する。
【0132】
次いで、上部パネル200について説明する。
第2の基板210の上に遮光部材220が配置される。遮光部材220はブラックマトリックスとも呼ばれ、光漏れを防ぐ。第2の基板210及び遮光部材220の上には、複数のカラーフィルタ230が配置される。カラーフィルタ230の上には、オーバコート250が配置される。オーバコート250は、カラーフィルタ230及び遮光部材220が浮き上がることを防ぎ、カラーフィルタ230から流入する溶剤などの有機物による液晶層3の汚れを抑えて画面の駆動時に招かれる残像などの不良を防ぎ、省略可能である。
【0133】
オーバコート250の上には、共通電極270が配置される。
【0134】
ここで開示される実施形態による液晶表示装置において、遮光部材220及びカラーフィルタ230は上部パネル200に配置されるが、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置によれば、遮光部材220及びカラーフィルタ230は第1のパネル100に配置される。この場合、第1のパネル100の保護膜180の代わりにカラーフィルタ230が配置される。
【0135】
共通電極270は、第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bの各基本領域に対応する位置に形成される十字状の第3の切欠部271を有する。共通電極270の第3の切欠部271は、平面視において、十字状を有する。
【0136】
液晶表示装置を上から眺めるとき、共通電極270の十字状の第3の切欠部271及び画素電極191a、191bの複数の枝電極194により、第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bの各部領域は、四つの領域に分割される。
【0137】
画素電極191a、191b及び共通電極270は、図13Aに基づいて後述する基本領域を少なくとも複数備える。
【0138】
2枚のパネル100、200の間に挟持される液晶層3は、負の誘電率異方性を有する複数の液晶分子を含む。液晶分子は、液晶層3に電場が生成されていない状態でその長軸が2枚のパネル100、200の表面に対して略垂直になるように配列される。
【0139】
第1の副画素電極191a及び共通電極270は、これらの間の液晶層3とともに第1の液晶容量Clcaを形成し、第2の副画素電極191b及び共通電極270は、これらの間の液晶層3とともに第2の液晶容量Clcbを形成する。
【0140】
第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bに印加される電圧及び共通電極270に印加される共通電圧により、液晶層3に電場が加えられ、電場の強さに応じて液晶層3の液晶分子の方向を決定する。このように液晶分子の方向に応じて液晶層3を通過する光の輝度が変わる。
【0141】
以下、図13A及び図13Bに基づき、本発明の実施形態による液晶表示装置の画素領域の基本領域について説明する。図13A及び図13Bは、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の画素領域の基本領域を示す配置図である。図13Aは、相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生しないことを示し、図13Bは、相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生することを示す。
【0142】
図13Aを参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置の電場生成電極の基本領域は、全体的に四角形状を有する。
【0143】
基本領域は、ひし形の形状を有する板状部分193及び板状部分193から互いに異なる4方向に延出する複数の枝電極194を有する画素電極191と、これと向かい合う共通電極270の第3の切欠部271と、を備える。
【0144】
画素電極191の板状部分193の中心部分は、共通電極270に形成される十字状の第3の切欠部271の中心部分と重なり合う。
【0145】
画素電極191の複数の枝電極194は、斜め右上方に伸びる部分と、斜め右下方に伸びる部分と、斜め右上方に伸びる部分及び斜め左下方に伸びる部分を備える。
【0146】
上述したように、電場生成電極の基本領域は、画素電極191の複数の枝電極194及び共通電極270の十字状の第3の切欠部271により四つの副領域に分割される。各部領域において液晶分子の方向子が傾く方向、より具体的に、液晶分子の方向子の方向である方位角は、互いに異なる。
【0147】
液晶分子を傾ける液晶分子に加えられるフリンジフィールドの大きさは、共通電極270の十字状の第3の切欠部271の中心部分から画素電極191の板状部分193の周縁までの間の第3の間隔d3に応じて異なってくる。
【0148】
共通電極270の十字状の第3の切欠部271の中心部分から画素電極191の板状部分193の周縁までの間の第3の間隔d3が狭くなると、フリンジフィールドの大きさは大きくなり、第3の間隔d3が広くなると、フリンジフィールドの大きさは小さくなる。
【0149】
図13Bを参照すると、相対向する両基板110、210の間に誤整列が発生する場合、共通電極270の十字状の第3の切欠部271の中心部分から画素電極191の板状部分193の周縁までの間の第3の間隔d3は広くなる。
【0150】
このように、共通電極270の十字状の第3の切欠部271の中心部分から画素電極191の板状部分193の周縁までの間の第3の間隔d3が広くなると、垂直配向状態で相対的に遅く傾き、傾く方向が不規則的になる。このように、液晶分子が傾く速度が遅くなり、且つ、傾く方向が不規則的になると、液晶分子の不規則的な挙動が発生し、これは、表示品質の低下につながる。
【0151】
共通電極270の十字状の第3の切欠部271の中心部分から画素電極191の板状部分193の周縁までの間の第3の間隔d3に応じて、液晶表示装置の補償制御部900からデータ駆動部500へと入力される補償電圧は異なってくる。
【0152】
誤整列が発生していない場合と比較して、共通電極270の十字状の第3の切欠部271の中心部分から画素電極191の板状部分193の周縁までの間の第3の間隔d3が約25μmである領域に位置する画素に加えられる補償電圧△Vは約1.8V~1.9Vであり、共通電極270の十字状の第3の切欠部271の中心部分から画素電極191の板状部分193の周縁までの間の第3の間隔d3が約30μmである領域に位置する画素に加えられる補償電圧△Vは約2.1V~2.2Vであり、共通電極270の十字状の第3の切欠部271の中心部分から画素電極191の板状部分193の周縁までの間の第3の間隔d3が約35μmである領域に位置する画素に加えられる補償電圧△Vは約2.4V~2.5Vである。
【0153】
本発明の実施形態による液晶表示装置の補償制御部900は、上記の図8A及び図10Aに示す補償制御部900であり、その動作は、上述した通りである。
【0154】
以下、図14から図18に基づき、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置について説明する。図14は、本発明の一実施形態による液晶表示装置の1画素が備える2つの副画素を示す図であり、図15から図18は、本発明の実施形態による液晶表示装置の1画素に対する等価回路図である。
【0155】
図14を参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置の1画素PXは、第1の副画素PXa及び第2の副画素PXbを備える。第1の副画素PXa及び第2の副画素PXbは、1つの入力映像信号に対して互いに異なるガンマ曲線による映像を表示するか、或いは、同じガンマ曲線による映像を表示する。すなわち、1画素PXの第1の副画素PXa及び第2の副画素PXbは、1つの入力映像信号に対して、側面視認性の向上のために互いに異なる輝度の映像を表示する。第1の副画素PXa及び第2の副画素PXbの面積は、互いに同一又は異なる。
【0156】
このように、第1の副画素PXa及び第2の副画素PXbを備える画素PXは、互いに異なる輝度の映像を表示するために、図15から図18に示すように、様々な回路構造及び配置を有する。
【0157】
図15を参照すると、本発明の一実施形態による液晶表示装置は、ゲート線121と、データ線171と、基準電圧を伝達する基準電圧線178などの信号線及びこれらに接続される画素PXを備える。
【0158】
各画素PXは、第1及び第2の副画素PXa、PXbを備える。第1の副画素PXaは、第1のスイッチング素子Qa及び第1の液晶容量Clcaを備え、第2の副画素PXbは、第2及び第3のスイッチング素子Qa、Qb、Qcと、第2の液晶容量Clca、Clcbと、を備える。
【0159】
第1のスイッチング素子Qa及び第2のスイッチング素子Qbは、それぞれゲート線121及びデータ線171に接続され、第3のスイッチング素子Qcは、第2のスイッチング素子Qbの出力端子及び基準電圧線178に接続される。
【0160】
第1のスイッチング素子Qaの出力端子は第1の液晶容量Clcaに接続され、第2のスイッチング素子Qbの出力端子は第2の液晶容量Clcb及び第3のスイッチング素子Qcの入力端子に接続される。第3のスイッチング素子Qcの制御端子はゲート線121と接続され、入力端子は第2の液晶容量Clcbと接続され、出力端子は基準電圧線178に接続される。
【0161】
図15に示す画素PXの動作について説明すると、まず、ゲート線121にゲートオン電圧Vonが印加されると、ここに接続された第1のスイッチング素子Qaと、第2のスイッチング素子Qb及び第3のスイッチング素子Qcがターンオンされる。これにより、データ線171に印加されたデータ電圧は、ターンオンされた第1のスイッチング素子Qa及び第2のスイッチング素子Qbを介してそれぞれ第1の液晶容量Clca及び第2の液晶容量Clcbに印加されて、第1の液晶容量Clca及び第2の液晶容量Clcbは、データ電圧Vd及び共通電圧Vcom間の差分に見合う分だけ充電される。このとき、第1の液晶容量Clca及び第2の液晶容量Clcbには、第1及び第2のスイッチング素子Qa、Qbを介して同じデータ電圧Vdが伝達されるが、第2の液晶容量Clcbの充電電圧は、第3のスイッチング素子Qcにより分圧される。このため、第2の液晶容量Clcbの充電電圧は、第1の液晶容量Clcaの充電電圧よりも小さくなるため、2つの副画素PXa、PXbの輝度が変わる。したがって、第1の液晶容量Clcaに充電される電圧及び第2の液晶容量Clcbの充電される電圧を適切に調節すると、側面から眺める映像を正面から眺める映像に最大限に近づけることができ、これにより、側面視認性が改善される。
【0162】
図16から図18は、それぞれ本発明の一実施形態による液晶表示装置の1画素に対する等価回路図であり、前記実施形態に加えて、第1の副画素PXa及び第2の副画素PXbを備える画素PXの様々な回路構造を示す。
【0163】
図16を参照すると、本発明の一実施形態による液晶表示装置は、第1のデータ線171a及び第2のデータ線171b並びにゲート線121を有する信号線と、これらに接続される画素PXと、を備える。各画素PXは、第1及び第2の副画素PXa、PXbを備える。
【0164】
第1の副画素PXaは、第1のスイッチング素子Qaと、第1の液晶容量Clca及び第1のストレージキャパシタCstaを備え、第2の副画素PXbは、第2のスイッチング素子Qbと、第2の液晶容量Clcb及び第2のストレージキャパシタCstbを備える。第1のスイッチング素子Qaは、ゲート線121に接続された制御端子及び第1のデータ線171aに接続された入力端子を備える。
【0165】
第1のスイッチング素子Qaの出力端子は、第1の液晶容量Clca及び第1のストレージキャパシタCstaと接続される。第2のスイッチング素子Qbは、ゲート線121に接続された制御端子及び第2のデータ線171bに接続された入力端子を備える。
【0166】
第2のスイッチング素子Qbの出力端子は、第2の液晶容量Clcb及び第2のストレージキャパシタCstbと接続される。第1の液晶容量Clca及び第2の液晶容量Clcbには、互いに異なるデータ線171a、171bに接続された第1及び第2のスイッチング素子Qa、Qbを介して1つの入力映像信号IDATに対する互いに異なるデータ電圧Vdがそれぞれ印加される。
【0167】
次いで、図17を参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置は、データ線171と第1及び第2のゲート線121a、121bを有する信号線と、これらに接続された画素PXと、を備える。各画素PXは第1の及び第2の副画素PXa、PXbを含む。
【0168】
第1の副画素PXaが有する第1のスイッチング素子Qaは、第1のゲート線121aに接続された制御端子及びデータ線171に接続された入力端子を備える。第1のスイッチング素子Qaの出力端子は、第1の液晶容量Clca及び第1のストレージキャパシタCstaと接続される。
【0169】
第2のスイッチング素子Qbは、第2のゲート線121bに接続された制御端子及びデータ線171に接続された入力端子を備える。第2のスイッチング素子Qbの出力端子は、第2の液晶容量Clcb及び第2のストレージキャパシタCstbと接続される。
【0170】
第1の液晶容量Clca及び第2の液晶容量Clcbには、互いに異なる第1のゲート線121a及び第2のゲート線121bに接続される第1のスイッチング素子Qa及び第2のスイッチング素子Qbを介してデータ線171が伝達する1つの入力映像信号IDATに対する互いに異なるデータ電圧Vdが他の時間に印加される。
【0171】
次いで、図18を参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置は、データ線171及びゲート線121を有する信号線と、これらに接続された画素PXと、を備える。各画素PXは、第1の副画素PXa及び第2の副画素PXbと、2つの副画素PXa、PXbの間に接続される結合キャパシタCcpと、を備える。
【0172】
第1の副画素PXaは、ゲート線121及びデータ線171に接続されるスイッチング素子Qと、ここに接続された第1の液晶容量Clca及び第1のストレージキャパシタCstaを備え、第2の副画素PXbは、結合キャパシタCcpと接続される第2の液晶容量Clcbを備える。
【0173】
スイッチング素子Qの制御端子はゲート線121と接続され、入力端子はデータ線171と接続され、出力端子は、第1の液晶容量Clcaと、第1のストレージキャパシタCsta及び結合キャパシタCcpと接続される。スイッチング素子Qは、ゲート線121からのゲート信号によりデータ線171のデータ電圧Vdを第1の液晶容量Clca及び結合キャパシタCcpに伝達し、結合キャパシタCcpは、この電圧を変えて第2の液晶容量Clcbに伝達する。結合キャパシタCcpにより第2の液晶容量Clcbに充電された電圧Vbは、第1の液晶容量Clcaに充電された電圧Vaに比べて常に小さい。このため、結合キャパシタCcpの静電容量を適切に調節すると、第1の液晶容量Clcaが充電電圧Va及び第2の液晶容量Clcbの充電電圧Vb間の比を調節して側面視認性を向上させる。
【0174】
このような様々な実施形態による液晶表示装置においても、画素PXが備える第1の液晶容量Clca及び第2の液晶容量Clcbの1つの端子を形成する第1の副画素電極及び第2の副画素電極は、それぞれ上述した様々な実施形態による画素電極191と同じ形状及び機能を有し、各部画素PXa、PXbの共通電極270も上述した様々な実施形態による共通電極270と同じ形状及び機能を有する。
【0175】
また、上述した実施形態による液晶表示装置によれば、1つの画素領域を2つの領域に分割して1つの画素に2つの液晶容量が配設されると説明したが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、1つの画素に1つの液晶容量が配設される場合にも適用可能である。
【0176】
以上述べたように、本発明の実施形態による液晶表示装置によれば、ドメイン分割手段間の間隔に応じて補償電圧を印加することにより、たとえ液晶表示装置の位置に応じてドメイン分割手段間の間隔が変わる場合であっても、液晶分子の応答速度を高め、液晶分子が傾く方向を調節することにより、表示品質の低下を防ぐ。
【符号の説明】
【0177】
100、200:パネル
110、120:基板
121、121a、121b、GLa、GLb:ゲート線
124a、124b、124c:ゲート電極
154a、154b、154c:半導体
171、171a、171b、DL:データ線
173a、173b、173c:ソース電極
175a、175b、175c:ドレイン電極
185a、185b:コンタクトホール
191、PE:画素電極
191a、191b、PEa、PEb:副画素電極
220:遮光部材
230:カラーフィルタ
270:共通電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18