(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】軒先構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/15 20060101AFI20220121BHJP
E04D 13/064 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
E04D13/15 501C
E04D13/064 502A
(21)【出願番号】P 2016127169
(22)【出願日】2016-06-28
【審査請求日】2018-12-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【合議体】
【審判長】長井 真一
【審判官】有家 秀郎
【審判官】森次 顕
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-296308(JP,A)
【文献】特開平10-266476(JP,A)
【文献】特開2008-231674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D13/064
E04D13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の軒先に軒樋及び化粧材を設けた軒先構造であって、
前記化粧材は、前記軒樋の表面側に配される上方化粧材と、前記軒樋の裏面側を覆う下方化粧材とで構成され、
前記軒樋は、前記建築物の外壁に固定される受け金具を介して支持され、
前記下方化粧材、前記上方化粧材は、前記上方化粧材の一部である上部軒先唐草と前記下方化粧材の一部である下部軒先唐草とがヒンジ構造を介して連結され
ると共に該下部軒先唐草は前記受け金具の軒先側に固定され、且つそれぞれ
外壁が含まれる建築下地に直接或いは間接的に固定されることを特徴とする軒先構造。
【請求項2】
前記上方化粧材は、建築物の屋根面から延長線状に延在する略面状に形成される請求項1に記載の軒先構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒樋を備える軒先構造を、優れた意匠性で且つ高い支持強度にて実現でき、更には様々な形状の軒樋を適用できる軒先構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根の樋としては、軒先に設ける軒樋が一般的に広く知られている。
例えば特許文献1には、複数の通孔を設けた屋根受け金具7や水切り8を介して軒樋9を取り付けた構造が記載され、特許文献2には、軒樋吊具を介して軒樋4を取り付けた構造が記載され、これらの軒樋9,4としては、丸型や箱形の断面構造が記載されている。
また、特許文献3には、軒樋1の前方を化粧カバー材4で覆う構成が記載され、特許文献4には、樋受面24を有する軒樋受金物20の前面側に化粧モール27を取り付ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-355979号公報
【文献】特開2002-317539号公報
【文献】特開2006-233536号公報
【文献】特開2003-239474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1,2の樋構造は、軒先としての意匠性が乏しく、雨水を受けるためだけの機能のみを採用したものであり、見栄えが悪く、意匠性に乏しいものであった。
また、前記特許文献3,4の樋金具は、前述のように軒樋や軒樋受金物に化粧材を取り付けて軒先を装飾するので、意匠性が改善されるものの、金具の形状や軒樋の形状に制約を受け、汎用性の低いものであった。さらに、これらの構造では、樋吊り金具等が躯体側のみに固定された片持ち状であるため、降雪時等に破損する恐れのあるものであった。また、室内への漏水リスク、構造的に複雑でコスト高になるなどのデメリットもあった。さらに、屋根勾配毎に部材を変更する必要があった。しかも軒樋を化粧材で覆う構造では、メンテナンスが困難となるという欠点もあった。
【0005】
そこで、本発明は、軒樋を備える軒先構造を、優れた意匠性で且つ高い支持強度にて実現でき、更には様々な形状の軒樋を適用できる軒先構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、建築物の軒先に軒樋及び化粧材を設けた軒先構造であって、前記化粧材は、前記軒樋の表面側に配される上方化粧材と、前記軒樋の裏面側を覆う下方化粧材とで構成され前記軒樋は、前記建築物の外壁に固定される受け金具を介して支持され、前記下方化粧材、前記上方化粧材は、前記上方化粧材の一部である上部軒先唐草と前記下方化粧材の一部である下部軒先唐草とがヒンジ構造を介して連結されると共に該下部軒先唐草は前記受け金具の軒先側に固定され、且つそれぞれ外壁が含まれる建築下地に直接或いは間接的に固定されることを特徴とする軒先構造を提案するものである。
【0007】
また、本発明は、前記軒先構造において、上方化粧材は、建築物の屋根面から延長線状に延在する略面状に形成されることを特徴とする軒先構造をも提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の軒先構造は、それぞれ建築下地に直接或いは間接的に固定される上方化粧材と下方化粧材との間に軒樋を配設する構造であり、前記軒樋は、前記建築物の外壁に固定される受け金具を介して支持されているため、上方化粧材や下方化粧材に生ずる荷重も、軒樋に生ずる荷重も、外壁が含まれる建築下地に負担させることができ、優れた意匠性を有する多種多様の軒先構造を構築でき、様々な形状の軒樋を適用できる。さらに、前記下方化粧材、前記上方化粧材は、前記上方化粧材の一部である上部軒先唐草と前記下方化粧材の一部である下部軒先唐草とがヒンジ構造を介して連結されると共に該下部軒先唐草は受け金具の軒先側に固定されているため、任意の拡開角度にて配設可能であり、多種多様の軒先構造を構築でき、優れた意匠性及び高い支持強度を有し、更には様々な形状の軒樋を適用できる。
【0009】
また、上方化粧材が建築物の屋根面から延長線状に延在する略面状に形成される場合には、すっきりとしたシャープな意匠性を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の軒先構造の第1実施例を示す斜視図であり、内部構造を見せるために一部構成を欠載して示している。
【
図2】(a)本発明の軒先構造の第1実施例を示す側断面図、(b)用いた押さえ部材を示す斜視図、(c)用いた軒樋構造を示す側断面図である。
【
図3】(a)第1実施例の化粧材(上方化粧材,下方化粧材)を示す側断面図、(b)用いた軒樋構造を分解して示す側断面図、(c)施工状態において軒樋より棟側に位置する外装構造の側断面図である。
【
図4】(a)本発明の軒先構造の第2実施例を示す側断面図、(b)用いた軒樋構造を示す側断面図である。
【
図5】(a)本発明の軒先構造の第3実施例を示す側断面図、(b)用いた軒樋構造を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の軒先構造は、建築物の軒先に軒樋及び化粧材を設ける構造であり、用いられる化粧材は、前記軒樋の表面側に配される上方化粧材と、前記軒樋の裏面側を覆う下方化粧材とで構成され、前記軒樋は、前記建築物の外壁に固定される受け金具を介して支持され、前記上方化粧材、前記下方化粧材は、前記上方化粧材の一部である上部軒先唐草と前記下方化粧材の一部である下部軒先唐草とがヒンジ構造を介して連結されると共に該下部軒先唐草は前記受け金具の軒先側に固定され、且つそれぞれ外壁が含まれる建築下地に直接或いは間接的に固定されることを特徴とする。
なお、「軒樋の表面側に配される」や「軒樋の裏面側を覆う」は、施工状態におけるものであって、特に施工手順を限定するものではなく、可能であれば化粧材の配設完了後に軒樋を施工するようにしてもよい。
【0012】
本発明に用いられる化粧材は、それぞれ建築下地に直接或いは間接的に固定される上方化粧材、下方化粧材にて構成され、それぞれ具体的には建築部の軒先を構成する「垂木」「野地板」、「鼻隠し」等に直接又は間接的に取り付けられるものである。なお、後述する図示実施例では、前記「野地板」が野地材5Bに、前記「鼻隠し」が外壁6Dに相当する。
【0013】
また、上方化粧材、下方化粧材は、通し材であっても、ピース材であってもよく、組み合わせであってもよい。
さらに、これらの上方化粧材、下方化粧材は、それぞれ単一部材からなるものでも、複数部材からなるものでもよく、複数部材からなる場合は、同質材であっても異質材であってもよい。また、複数部材の場合、連結状に一体化するものでも被覆状に一体化するものでもよい
【0014】
前述のように本発明に用いられる化粧材は、上方化粧材の一部構成をなす上部軒先唐草と下方化粧材の一部構成をなす下部軒先唐草とをヒンジ構造を介して連結した構造であって、後述する図示実施例にも示したが、これらの軒先唐草は、化粧材兼下地材として利用可能であり、任意の拡開角度にて配設することが可能であるため、多種多様の軒先構造を構築できるという利点がある。
【0015】
本発明に用いる軒樋は、基本的には特に制限はなく、前述の上方化粧材と下方化粧材との配設を損なうものでなければどのような構成(材質等)、形状でもよい。
なお、屋根の軒先工事においては、軒樋を担当する業者は、様々な種類の樋材を管理しており、雨水の水廻りを連絡させる目的で、縦樋との連結施工も同時に行う。そのため、軒樋自体に様々な制限があると、屋根全体を施工する業者との余計な軋轢を生じたり、施工時期を調整する必要を生じたりする。
本発明では、前述のように用いる軒樋に基本的に制限がないため、例えば軒樋のみを、或いは軒樋の支持構造を水廻りを担当する業者に任せることも可能である。
このように本発明に用いる軒樋自体やその支持構造については、何ら限定するものではないので、軒樋の配設により前記化粧材に影響を与えることがない。
【0016】
なお、前述のように軒樋自体の構成については、何ら限定するものではないが、この軒樋を安定に支持するための構造(支持金具)を備えていることが望ましいのは、説明するまでもなく、特には、前述の従来の技術にて指摘したような片持ち状の固定構造でないことが望ましい。
【0017】
このような構成を有する本発明の軒先構造は、それぞれ建築下地に直接或いは間接的に固定される上方化粧材と下方化粧材との間に軒樋を配設する構造であって、軒樋は、建築物の外壁に固定される受け金具を介して支持されるため、優れた意匠性を有し、しかも高い支持強度を有するものであって、更には様々な形状の軒樋を適用できる。
【実施例1】
【0018】
図1~
図3に示す本発明の第1実施例の軒先構造は、建築物の外装構造(6)の軒先に軒樋1及び化粧材(2,3)を設けた構成であって、それぞれ建築下地に直接或いは間接的に固定された上方化粧材2と、下方化粧材3との間に軒樋1を配設する構造である。
【0019】
前記上方化粧材2は、施工状態において前記軒樋1の表面側に配される部材であって、この第1実施例では、複数の導水孔211を備えて落ち葉除けを兼ねる軒先カバー材2Aと、角度調整を可能とするヒンジ構造を備える上部軒先唐草2Bと、を指し、両部材はビス2c(
図2(a)では一点鎖線、
図3(a)には明記)にて一体的に固定されている。
【0020】
前記軒先カバー材2Aは、
図2及び
図3に示すように略平坦状の面板部21の水上側(外装構造側)寄りに複数の導水孔211を備え、その水上端212を略L字状に立ち上げ、外装構造の軒端に取り付けられた納め材5cにビス固定(ビス2e)している。また、この面板部21の水下端213は、裏面側へ折り返され、上部軒先唐草2Bの軒端に形成された延出片22に係合している。なお、前記導水孔211は、孔の形状を問うものではなく、また「水切り」の有無も限定するものではない。
また、上部軒先唐草2Bは、軒端に突出状の延出片22を、裏面側の軒先寄りにヒンジ構造を形成する弧状部23を、裏面側の中央に下部軒先唐草3Aに固定した調整ボルト3cを通す長孔を備える腕曲部24を、外装構造側の端部に前記軒先カバー材2Aを沿わせてビス打ちする傾斜固定部25を、それぞれ設けている。
【0021】
前記下方化粧材3は、施工状態において前記軒樋1の裏面側を覆う部材であり、この第1実施例では、前記上部軒先唐草2Bとヒンジ構造を介して連結されている下部軒先唐草3Aと、後述する縦樋9の上端を押さえる押さえ部材4の裏面側に配置される軒天カバー材3Bと、を指し、両部材は押さえ部材4を介して一体的に固定されている。
【0022】
前記下部軒先唐草3Aは、
図2及び
図3に示すように軒先側が略平坦状で、建物側が段状に形成されている面板部31の表面側に、その軒端にヒンジ構造を形成するC字状部311を、略中央に前記調整ボルト3cを立設させるための凹状溝312をそれぞれ設け、その建物側の端部に前記押さえ部材4に沿わせて固定する固定部32(固定ビス3d)が設けられている。
また、軒天カバー材3Bは、パンチングメタル板で形成され、前記押さえ部材4の下面に沿わせて配設、固定(固定ビス3e)するものであって、軒先側の端部は前記下部軒先唐草3Aに沿い、建物側の端部は建物外壁に沿った状態で固定されている。
【0023】
なお、前述のようにこの第1実施例では、上方化粧材2の一部として用いた上部軒先唐草2Bと下方化粧材3の一部として用いた下部軒先唐草3Aが、ヒンジ構造を介して連結される構成であるから、概略的に略水平状に配設する下部軒先唐草3Aに対して任意の角度調整が可能であるから、外装構造の屋根面(傾斜勾配)から延長線状に上方化粧材2が延在するように配設することも可能であり、図示するようにすっきりとしたシャープな意匠性を実現できる。
【0024】
上述のヒンジ構造については、
図2には調整ボルトも固定ビスも記載していないが、
図3に示すように凹状溝312に調整ボルト3cが立設され、前記腕曲部24の長孔に挿通させた状態でナットを締着してもよいし、ヒンジ部に直接的にビス2dを打ち込んで固定してもよい。
【0025】
前記建築物の外装構造(6)は、傾斜勾配が形成されるように組み付けられた躯体5Aの表面に野地材5Bが敷設され、更にその上面に裏面側にバックアップ材6Bを配した横葺き外装材6Aを吊子6cにて段状に取り付けた横葺き外装構造である。
前記野地材5Bの軒端には、前記納め材5cが固定ビス5dにて取り付けられ、更に所定間隔で前記吊子6cがビス5eにて取り付けられている。また、この外装構造(6)の軒端には外壁6Dが形成されている。
【0026】
前記押さえ部材4は、前記外装構造(6)の軒側に位置して前記外壁6Dに固定される部材であって、
図2(a)に示すように外壁6Dへの縦片固定部61(固定ビス4d)を有して前記下方化粧材3を構成する下部軒先唐草3Aと軒天カバー材3Bをビス3d,3eにて固定する一方金具4Aと、前記上方化粧材2の上部軒先唐草2Bを固定する傾斜片固定部62(固定ビス4e)を有する他方金具4Bとからなる。
これらの一方金具4Aと他方金具4Bとは、
図2(b)に示すように二組の連結ボルト4cにて一体的に固定されるので、形成される押さえ部材4は外壁6Dに一体的に固定されるものである。そして、前記上方化粧材2も下方化粧材3もこの押さえ部材4(4A,4B)に固定されるので、この第1実施例の化粧材(2,3)は、押さえ部材4を介して建築下地(外壁4D)に固定されたものとなる。
【0027】
軒樋1は、略半円弧状の排水部11を有する連続状の横樋であって、該軒樋1は、
図2(c)及び
図3(b)に示すように外壁6Dに固定されるピース状の受け金具1Bにて受支されると共に鉛直方向に配される縦樋9の上端に連結する連結管19を備えているので、受け止めた雨水等を円滑に縦樋9へ流すことができる。
【0028】
前記軒樋1は、前記排水部11の左右の上端縁111を略円管状に成形した金属製又はプラスチック製の長尺材であり、長さの途中に図示しない導通孔(=連絡管19と連通する)が形成されている。
また、前記受け金具1Bは、前記押さえ部材4と共に外壁6Dに固定されるピース材であって、前記軒樋1の排水部11を受支する略半円弧状の受部12と、下方に延在して横ビスを打ち込む固定部13と、前記受部12の外壁6D側の上端には略つ字状の保持片14と、その逆側の上端から上方へ突出する規制片15とを備える構成である。
なお、
図3(b)に示す連結具1Cは、縦樋9の上端に連結する連結管19と、前記受け具1Bの受部14と同様に前記軒樋1の排水部11を受支する略半円弧状の受部17とを備え、該受部17の左右の上端縁18を横円管状に成形した構成である。
そのため、この第1実施例における前記軒樋1は、前記受け具1Bや前記連結具1Cの受部14,17に受支される状態で保持され、その左右の上端縁111も保持片14などで安定に保持されている。
【0029】
なお、前記軒樋1に代えて、任意の軒樋を用いることができ、その選択した軒樋の大きさや形状に応じて適宜に前記受け金具1Bに代わる受支機構を採用すればよい。
即ち前記第1実施例の軒樋1や受け金具1Bを用いなくても、縦樋9の上端に軒樋の配設スペース及び作業スペースを確保しておけば、軒樋を担当する業者にその作業を任すことができる。
【0030】
このように本発明の第1実施例の軒先構造は、それぞれ建築下地に直接或いは間接的に固定される上方化粧材2と下方化粧材3との間に軒樋1を配設する構造であり、軒樋1は、建築物の外壁6Dに固定される受け金具1Bを介して固定されているため、優れた意匠性を有し、しかも高い支持強度を有するものであって、更には様々な形状の軒樋1を適用できるものである。即ち上方化粧材2や下方化粧材3に生ずる荷重は、建築下地(野地材5B)に負担させ、軒樋1に生ずる荷重は、外壁6Dに負担させることができ、軒樋1に不要な荷重耐性を求めることがない。
【0031】
図4に示す第2実施例の軒先構造は、軒先カバー材2A'の面板部21'の寸法が前記第1実施例のように軒樋1の上方を覆うように臨んでないものであって、その水上端214が軒樋1に向かって折り下げられたものである。なお、それ以外の化粧材、即ち上部軒先唐草2B、下部軒先唐草3A、軒天カバー材3Bについては前記第1実施例と殆ど同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
また、この第2実施例では、当該軒先構造の棟側に形成される外装構造(6)についても、前記第1実施例と殆ど同様とし、図面に同一符号を付して説明を省略する。
さらに、この第2実施例における押さえ部材4'も、前記第1実施例における押さえ部材4と同様に前記外壁6Dへの縦片固定部61(固定ビス4d)を有し、下部軒先唐草3Aや軒天カバー材3Bをビス3d,3eにて固定できる。
【0032】
この第2実施例では、前記押さえ部材4'とは別体の部材である略コ字状の支持部材7を用いている。この支持部材7は、上片71が前記上部軒先唐草2Bの傾斜固定部25に下面側に沿い、下片72が前記下部軒先唐草3Aの面板部31の外壁6D側の端部に嵌合状に配置される。
したがって、この第2実施例も前記第1実施例と同様に、軒先構造を構成する上方化粧材2'と下方化粧材3は、前記押さえ部材4'や前記支持部材7等を介して建築下地に直接或いは間接的に固定されるため、軒樋1に不要な荷重耐性を求めることがない。
【0033】
この第2実施例の軒樋構造は、
図4(b)に示すように略半円弧状の排水部11を有する連続状の軒樋1と、前記第1実施例における連結具1Cとのみで構成され、前記第1実施例とは受け金具1Bを用いるか否かで異なる。
即ちこの第2実施例では、例えばプラスチック製の軒樋1を用いた場合などのように縦樋9に対して大きな荷重がかからないことが想定される場合に好適であり、簡易な構造であるため、施工性に優れている。
【0034】
図5に示す第
3実施例の軒先構造は、上方化粧材2"については、落ち葉除けを兼ねる軒先カバー材2A"の面板部21"に形成された通孔211が多段である以外は殆ど前記第1実施例と同様であり、その上部軒先唐草2Bについても図面に同一符号を付して説明を省略する。なお、これらの両部材2A",2Bは、面板部21"の水下端213を延出片22に係合させている点でも同様であるが、ヒス固定をしていない点で相違する。
また、下方化粧材3については、下部軒先唐草3Aも軒天カバー材3Bも全く前記第1実施例と同様であり、両部材を別部材(8)を介して固定する点でも同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
なお、前記第1実施例では、外壁6Dに前記押さえ部材4を固定して該押さえ部材を介して下方化粧材3を一体化したが、この第3実施例では、二部材から構成される支持部材8を外壁6Dに固定し、該支持部材8を介して前記下方化粧材3(3A,3B)、化粧材(2",3)を一体化する構成である。
この支持部材8は、外壁6Dに固定(固定ビス8d)される下方部材8Aと、略平坦状の支持面部85の左右端(86,87)が傾斜状に立ち上がる上方部材8Bとから成る。
【0036】
前記下方部材8Aは、
図5(b)の下段に示すように略水平状の上片部81と下片部82と、略鉛直状の縦片部84と、傾斜片部83とを備えるピース材である。前記縦片部84には、3本の固定ビス8dが打ち込まれて外壁6Dに固定される。
前記上方部材8Bは、同図の中段に示すように略中央に位置する略水平状の支持面部85と、その軒先側に傾斜状に立ち上がって傾斜状に下る軒先側固定部86と、前記支持面部85の外壁6D側に傾斜状に立ち上がって上端を内側へ折り曲げた外壁側固定部87と、を備えるピース材であって、前記支持面部85の前後端から下方へ延在する取付片88,88が設けられている。
【0037】
そして、前記上方部材8Bの取付片88,88を前記下方部材8Aの上片部81に跨がるように配すると共に外壁側固定部87を傾斜片部83に沿わせた状態で固定具8c,8cを取り付けて支持部材8を外壁6Dに一体的に固定することができる。また、前記上方部材8Bの軒先側固定部86は、前記上部軒先唐草2Bの傾斜固定部25に沿わせてビス8eにて固定している。したがって、この第3実施例においても上方化粧材2"と下方化粧材3は、それぞれ建築下地に直接或いは間接的に固定される構成であるため、高い支持強度を有するものである。
【0038】
この第3実施例の軒樋構造は、
図5(b)の上段に示すよう排水部11"の略中央が平坦状の幅広な軒樋1"にて形成され、該軒樋1"の排水部11"の軒先側を傾斜状に立ち上げて傾斜状に下る軒先側端縁112とし、その外壁6D側を傾斜状に立ち上げた外壁側端縁113とした。
この軒樋1"は、前記支持部材8(の上方部材8B)の支持面部85に受支されるように配設し、軒先側端縁112を、前記上方部材8Bの軒先側固定部86と前記上部軒先唐草2Bの傾斜固定部25との重合部分の上方に沿わせ、外壁側端縁113を、前記上方部材8Bの外壁側固定部87に沿わせた状態で固定具1dを取り付けて固定した。
【0039】
この第3実施例の軒先構造は、前記第1,第2実施例のように押さえ部材4,4'を用いていないが、建築下地(外壁6D)に直接固定される支持部材8を介して間接的に化粧材2",3を固定したものであって、軒樋1"自体には不要な荷重耐性を求めることがないので、様々な形状の軒樋を適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 軒樋
2 上方化粧材
2A 軒先カバー材
2B 上部軒先唐草
3 下方化粧材
3A 下部軒先唐草
3B 軒天カバー材
4 押さえ部材
5A 躯体
5B 野地材
6A 横葺き外装材
6D 外壁
9 縦樋