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  • 特許-トイレ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20220121BHJP
   A47K 13/24 20060101ALI20220121BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
E03D9/08 B
A47K13/24
E03D11/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017001430
(22)【出願日】2017-01-06
(65)【公開番号】P2018111933
(43)【公開日】2018-07-19
【審査請求日】2019-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 安住
(72)【発明者】
【氏名】白井 雄喜
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-037331(JP,A)
【文献】特開2010-116730(JP,A)
【文献】特開2010-285838(JP,A)
【文献】特開2001-194450(JP,A)
【文献】実開昭58-082200(JP,U)
【文献】特開2003-284655(JP,A)
【文献】特開2010-255270(JP,A)
【文献】特開2010-180665(JP,A)
【文献】特開2015-175171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-13/00
A47K 13/00-17/00
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、
前記便器の上に設置され、開口部を有する便座と、
前記便座の後部に進退自在に収容されたノズルと、
電波を放射する送信部と、
前記送信部との間に前記電波を遮蔽するものを介さずに前記開口部を挟んで前記送信部と対向するように配置され、前記送信部から放射された前記電波を受信する第一受信部と、
前記送信部から前記電波を発信させると共に、前記第一受信部において受信した前記電波の強さが所定の強さより弱い場合は使用者が着座していることを検知し、前記第一受信部において受信した前記電波の強さが前記所定の強さより強い場合は使用者が脱座していることを検知する検知部と、を備え、
前記ノズルの前端は前記ノズルの後端よりも低く配置され、
前記送信部は退避状態の前記ノズルの上方且つ前記ノズルの前部に対向する領域に配置され、
前記送信部は前記便座の後方において最前部かつ前記ノズルより上方に配置され、
前記送信部の近傍に、
周波数変調された連続波を発信する連続波発信源と、
前記連続波を受信する第二受信部と、
が設けられ、
前記送信部、前記連続波発信源及び前記第二受信部が1つのセンサユニットとして前記最前部に設けられている、
トイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使用者のトイレ装置の状態を検知して、各種の機能を自動で制御可能なトイレ装置がある。例えば、自動で洗浄を行うトイレ装置では、各種センサーによって便座から使用者が脱座したことを感知し、トイレ装置の洗浄(大洗浄、小洗浄等)がなされる。
【0003】
例えば、特許文献1には、人体検知手段が内部に収納された便座装置(トイレ装置)が開示されている。この人体検知手段では、送信波と人体によって跳ね返された反射波を受信して得られる受信波によって生じる検波信号に基づき、人体(使用者)を検知する高周波の電波が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-284655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている便座装置では、使用者の局部を洗浄するために設けられ、かつ前後方向に進退可能な洗浄機構部(ノズル)が人体検知装置(人体検知手段)の下方に配置されている(特許文献1の図2参照)。そのため、局部洗浄がなされたときに、ノズルから放出される洗浄水が人体検知装置の受信アンテナ部の前方(すなわち、電波が放射される方向)で流下し、洗浄水から跳ね返された反射波を人体によって跳ね返されたものと誤認し、使用者の着座や脱座の検知を誤るという問題があった。このような誤認が生じると、局部洗浄中の使用者が脱座して立ち上がっても洗浄水が出続け、使用者や便座装置、床面等が濡れるおそれがある。
【0006】
本発明者は、一般に電波センサーにおける近距離の測距の精度は低く、電波センサーに対して近距離における使用者の着座・脱座の判定は難しいということに着目した。上述の問題を解決する第一の方法として、電波センサーの送信部を便座の後部における最も手前側(すなわち、使用者側)かつノズルの上方に配置するとともに、便座の前部において電波センサーの送信部に対向する部分に受信部を配置することで、従来のように送信部に戻る電波を検出する場合に比べて、測距の精度を高めることが、良好な人体検知および洗浄水の誤作動防止に有用であることを見出した。また、第二の方法として、静電容量センサーをトイレ装置の本体の最前部かつノズルの上方に配置するとともに、水の静電容量とは異なる、使用者(つまり、人体)の静電容量を検知可能とすることで、使用者の着座・脱座の良好な判定に有用であることを見出した。
【0007】
本発明は、使用者の着座や脱座を良好に検知することができるトイレ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るトイレ装置は、便器と、前記便器の上に設置され、開口部を有する便座と、前記便座の後部に進退自在に収容されたノズルと、電波を放射する送信部と、前記送信部との間に前記電波を遮蔽するものを介さずに前記開口部を挟んで前記送信部と対向するように配置され、前記送信部から放射された前記電波を受信する第一受信部と、前記送信部から前記電波を発信させると共に、前記第一受信部において受信した前記電波の強さが所定の強さより弱い場合は使用者が着座していることを検知し、前記第一受信部において受信した前記電波の強さが前記所定の強さより強い場合は使用者が脱座していることを検知する検知部と、を備え、前記ノズルの前端は前記ノズルの後端よりも低く配置され、前記送信部は退避状態の前記ノズルの上方且つ前記ノズルの前部に対向する領域に配置され、前記送信部は前記便座の後方において最前部かつ前記ノズルより上方に配置され、前記送信部の近傍に、周波数変調された連続波を発信する連続波発信源と、前記連続波を受信する第二受信部と、が設けられ、前記送信部、前記連続波発信源及び前記第二受信部が1つのセンサユニットとして前記最前部に設けられている
【0009】
上述の構成によれば、送信部から発せられた電波は、送信部から離れるほど発散して拡がるが、使用者が便座に着座している際には電波の大部分は使用者に遮られ、受信部には殆ど受信されない。一方、使用者が便座から脱座している際には、送信部から出された電波が送信部に対向するように配置された第一受信部で受信される。例えば万一、使用者が便座から脱座していて、局部洗浄ノズル等から洗浄水が流れても、前述のように拡がった電波は洗浄水によって僅かに遮られる程度で第一受信部まで届く。したがって、検知部によって、第一受信部での電波の強さが所定の強さより弱い場合は、使用者が着座していることが検知され、第一受信部での電波の強さが所定の強さより強い場合は、使用者が脱座していることが検知されるので、使用者の着座や脱座が良好に検知される。
上述の構成によれば、使用者が便座から脱座している際には、送信部から出された電波が便器の後方から例えば便座の前方(すなわち、便座の前方内側)に設けられた第一受信部に届き、上述のように使用者が脱座している状態であることが良好に判定および検知される。
上述の構成によれば、連続波発信源から発信され、周波数変調された連続波(Frequency Modulation-Continuous Wave:FM-CW)を用いた測距が可能になり、トイレ装置に近づく、またはトイレ装置から離れる使用者が良好に検知される。これにより、使用者の便座に対する着座/脱座に加えて、使用者のトイレ装置への近接離間、および個室トイレの入出室等の検知が行われる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、使用者の着座や脱座を良好に検知することができる。さらには、使用者の着座や脱座を良好に検知することにより、局部洗浄ノズルの誤作動等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明を適用した第一実施形態のトイレ装置の模式図である。
図2図1に示すトイレ装置の本体部に設けられた部品や回路等の一例を示す模式図であって、(a)は斜視図であり、(b)は(a)に示す構成のうち局図洗浄ノズルと領域Aの相対関係を示す側面図である。
図3】本発明を適用した第二実施形態のトイレ装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用したトイレ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0027】
(第一実施形態)
図1に示すように、第一実施形態のトイレ装置1は、便器5と、便座6と、局部洗浄ノズル(ノズル)8と、送信部10と、第一受信部12と、検知部9と、を備えている。
【0028】
便器5および便器5の上に設置された便座6の構成および形状は、特に限定されず、公知のものであってよい。
【0029】
局部洗浄ノズル8は、便座6の後方6dであって後方6dに設けられた本体部7に進退自在に収容され、温水等によって使用者の局部を洗浄する機能を持っている。すなわち、トイレ装置1においては、不図示の水道から水が供給され、その水が本体部7の内部に設置されているヒーター等によって温められ、局部洗浄ノズル8に供給されている。局部洗浄ノズル8は基本的には本体部7の内部または下方に収容されており、不図示の使用者が便座6に着座したことが検知されると、不図示のリモコン等からの使用者による遠隔操作が受け付けられ、局部洗浄ノズル8の前部(すなわち、洗浄水の放出部)8cが便座6の開口部Sに進出可能となり、洗浄水を放出することが許可される。また、便座6に使用者が着座している状態で、使用時間等に応じた所定の時間で洗浄水が放出された後、リモコン等からの使用者による遠隔操作によって局部洗浄ノズル8が本体部7の内部や下方に収容される。一方、使用者が便座6から脱座したことが検知されると、使用者による遠隔操作が受け付けられず、局部洗浄ノズル8が使用者の脱座直前に洗浄水を放出していればその放出が停止される。
【0030】
送信部10は、電波を放射するものであって、便座6の後方6dの最前部6xかつ、退避状態(即ち、本体部7の内部や下方に収容された状態であって、放水していない状態)の局部洗浄ノズル8より少なくとも上方に配置されている。詳しくは、本体部7には、カバー17に覆われた状態でトイレ装置1の各種機能を実現するための多数の機能部品や後述する検知部9を構成する回路、これらの機能部品や回路を制御する制御部等が設けられている。図2(a)には、前述のように本体部7に設けられている機能部品や回路等を模式的に例示している。少なくとも便座6の後方6dから電波を放射することが可能な配置として、図2に例示した構成において、筒状部材で構成され、かつ該筒状部材の軸線方向に沿って進退可能に構成された局部洗浄ノズル8が退避状態である場合、送信部10は、局部洗浄ノズル8の前部8cの上方、かつ水平方向(図1および図2における前後方向)における局部洗浄ノズル8の前部または前方の領域Aに設けられている。図1に示すようにカバー17を設置すると、カバー17の最前面17Pが図2(a),(b)に示す領域A内に配される。送信部10は、領域Aに配されるように、カバー17の最前面17Pの背面(すなわち、後側の面)または最前面17Pと同一面に配置されている。
【0031】
送信部10は、高周波の電波を送信(発信)可能に構成されている小型の電源を備えている。小型の電源は、例えば高周波パルス生成用の集積回路等で構成されている。送信部10から放射される高周波電波の周波数は、例えば24GHz程度であるが、特に限定されない。
【0032】
送信部10の近傍には、小型の電源に加えて、所定のパターンで周波数変調されたFM-CWの連続波W2を発信する連続波発信源18と、連続波W2を受信する第二受信部20が設けられている。
【0033】
第一受信部12は、便座6の前部6cの奥側において送信部10との間に送信部10から発せられる電波W1を遮蔽するもの(例えば、便座6を温めるための配電・通電用の金属板)を介さずに送信部10と対向するように配置され、送信部10から放射された電波W1を受信する。
【0034】
検知部9は、送信部10から電波W1を発信させると共に、第一受信部12において受信された電波W1の強さが所定の強さより強いか否かを判定する機能を有する。第一受信部12では、受信された電波W1の強さが所定の強さより弱い場合は使用者が着座していることが検知される。一方、第一受信部12において受信した電波W1の強さが前述の所定の強さより強い場合は使用者が脱座していることが検知される。トイレ装置1では、検知部9によって検知された着座・脱座情報に基づき、前述の制御部等によって本体部7に設けられている種々の機能部品が作動開始および作動停止するように構成されている。
【0035】
上述の機能部品の一つである局部洗浄ノズル8で例えると、検知部9によって使用者が着座していることが検知された場合は、使用者がトイレ装置1やリモートコントローラ等に設けられている局部洗浄スイッチを押すと、局部洗浄ノズル8から洗浄水が放出される。一方、検知部9によって使用者が脱座していることが検知された場合は、その直前に局部洗浄ノズル8から洗浄水が放出されていれば、洗浄水の放出が停止する。若しくは、使用者がトイレ装置1やリモートコントローラ等に設けられている局部洗浄スイッチを押しても、局部洗浄ノズル8からの洗浄水の放出が禁止される。
【0036】
検知部9や上述の制御部は、例えば上述の制御のプログラムが内蔵されたマイクロチップや集積回路等で構成されている。
【0037】
送信部10の近傍には、所定のパターンで周波数変調されたFM-CWを発信する連続波発信源18と、FM-CW(連続波CW)を受信する第二受信部20が設けられている。連続波発信源18としては、測距等に用いられる公知のFM-CW信号源のチップが挙げられる。第二受信部20としては、同じく測距等に用いられる公知のFM-CWの受信系や受信回路が挙げられる。
上述の送信部10、連続波発信源18および第二受信部20は、一つのセンサユニットとして集積化されていてもよい。
【0038】
以上説明した第一実施形態のトイレ装置1によれば、送信部10から発せられた電波W1は、送信部10から離れるほど発散して拡がり、使用者が便座6に着座している際には電波W1の大部分は使用者Uに遮られ、第一受信部12には殆ど受信されない。一方、使用者が便座6から脱座している際には、送信部10から出された電波W1が第一受信部12を含めて便座6の前部6c(すなわち、便座6の前方内側)に届き、第一受信部12で受信される。例え、使用者が便座6から脱座していて、局部洗浄ノズル8から洗浄水が放出されている場合等でも、前述のように拡がった電波W1は洗浄水によって僅かに遮られる程度で第一受信部12まで充分に届く。検知部9によって、第一受信部12での電波の強さが所定の強さより強い場合は、使用者が脱座していることが検知され、第一受信部12での電波の強さが所定の強さより弱い場合は、使用者が着座していることが検知される。したがって、トイレ装置1によれば使用者の着座や脱座を良好に検知することができる。
【0039】
上述のように使用者の着座や脱座が良好に検知されることで、従来のトイレ装置などのように、洗浄水から跳ね返された電波(反射波)を使用者によって跳ね返されたものとする誤認および使用者が便座6に着座しているという誤認が極めて生じ難い。また、使用者の着座や脱座が良好に検知されることに付随し、洗浄水から跳ね返された反射波を人体によって跳ね返されたものととらえてしまいことで使用者が便座に着座しているという誤認を防止することができ、局部洗浄ノズル8における洗浄水放出の誤動作を防止することができる。これにより、局部洗浄中の使用者が脱座して立ち上がっても洗浄水が出続け、使用者や便座装置、床面等が濡れることを防止することが可能となる。若しくは、脱座しても便器洗浄水が流れない、ということを防止することが可能となる。
【0040】
また、第一実施形態のトイレ装置1によれば、送信部10の近傍に連続波発信源18と第二受信部20が設けられているので、連続波発信源18から発信され、周波数変調されたFM-CWを用いた測距が可能になり、トイレ装置1に近づく、またはトイレ装置1から離れる使用者を良好に検知することもできる。これにより、使用者の便座6に対する着座や脱座に加えて、使用者のトイレ装置1への近接離間、およびトイレ装置1が設置されている個室トイレへの使用者の入出室などの検知を行うことができる。
【0041】
なお、上述の第一実施形態において、送信部10は本体部7のカバー17の最前面17Pの背面(後側)または最前面17Pと同一面に設置されている場合を説明したが、便座6の後方6dかつ、局部洗浄ノズル8より上方であれば、上述以外の位置に設けられていてもよい。例えば、カバー17の最前面17Pに電波W1や連続波W2を透過可能な部分が設けられ、送信部10は図2に例示したような部品や回路等と同じようにカバー17で覆われるようにして領域Aに設置されていても構わない。
【0042】
また、上述の第一実施形態において、第一受信部12は便座6の前部6cの奥側に設けられている場合を説明したが、トイレ装置1の使用者を挟んで送信部10と対向する位置であれば、第一受信部12は便座6の前部6c以外の位置に設けられていてもよい。例えば、電波W1が送信部10から拡散するように放射され、第一受信部12は便座6の側部に設けられていてもよい。
【0043】
(第二実施形態)
次いで、第二実施形態のトイレ装置2について図2を参照し、説明する。なお、図2に示すトイレ装置2の構成要素のうち、第一実施形態のトイレ装置1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、第二実施形態のトイレ装置2では、送信部10に替えて静電容量の変化を感知する感知部22が設けられている。また、第一受信部12は不要である。感知部22としては、使用者が便座6に着座したときに感知部22に前方から接する使用者による静電容量の変化を感知可能なものであれば、特に限定されず、静電容量を感知可能な電極や公知の静電容量型近接センサー等が挙げられる。
【0045】
検知部9は、感知部22において感知した静電容量が所定の静電容量より大きい場合は使用者が着座していることを検知し、感知部22において感知した静電容量が所定の静電容量より小さい場合は使用者が脱座していることを検知する。
【0046】
トイレ装置2においても、検知部9によって検知された着座・脱座情報に基づき、前述の制御部等によって種々の機能部品が作動開始および作動停止するように構成されている。
局部洗浄ノズル8についても、トイレ装置1で説明したように検知部9によって検知された着座・脱座情報に応じて洗浄水の放出がなされる、若しくは洗浄水の放出が停止、禁止される。
【0047】
以上説明した第二実施形態のトイレ装置2によれば、使用者が便座6に着座している際には、感知部22に接する、または感知部22の近傍に位置する使用者の静電容量が感知部22によって検知される。一方、使用者が便座6から脱座している際には、感知部22では静電容量が検知されない。したがって、検知部9によって、感知部22での静電容量が所定の静電容量より大きい場合は、使用者が便座6に着座していることが検知され、感知部22での静電容量が所定の強さより小さい場合は、使用者が脱座していることが検知される。静電容量は使用者の便座6に対する着座時や脱座時に大きく変化すると考えられ、使用者の便座6に対する動きをより敏感に検知することができる。したがって、トイレ装置2によれば使用者の着座や脱座を良好に検知することができる。
また、第一実施形態のトイレ装置1と同様に、使用者の着座や脱座が良好に検知されることに付随する作用効果が得られる。
【0048】
また、第二実施形態のトイレ装置2によれば、感知部22の近傍に連続波発信源18と第二受信部20が設けられているので、第一実施形態のトイレ装置1と同様に、連続波発信源18から発信され、周波数変調されたFM-CWを用いた測距が可能になる。これにより、トイレ装置2に近づく、またはトイレ装置2から離れる使用者を良好に検知することもできる。これにより、使用者の便座6に対する着座/脱座に加えて、使用者のトイレ装置1への近接離間、およびトイレ装置1が設置されている個室トイレへの使用者の入出室等の検知を行うことができる。
なお、感知部22が使用者の着座・脱座に伴う静電容量の変化を感知できれば上述の作用効果が得られるので、感知部22の位置は上述した位置や図3に例示した位置に限定されず、感知部22はトイレ装置2において静電容量を感知可能な位置に配置されていればよい。
【0049】
(その他の実施形態)
その他の実施形態としては、第二実施形態で説明した構成において、感知部22と連続波発信源18と第二受信部20に替えて静電容量の変化を検知する静電容量検知機能とFM-CW等の連続波W2を発信する連続波発振機能と連続波W2を受信する連続波受信機能とを有する複合機能部を備えたトイレ装置が挙げられる。該複合機能部の機能は検知部9によって前述の静電容量検知機能と連続波発振機能および連続波受信機能との何れかに切り替え可能に構成されている。
【0050】
具体的には、静電容量を検知可能な電極と連続波W2を発信する発信源および連続波W2を受信する受信器として機能し得るアンテナ(例えば、パッチアンテナ等)とが同一のもので構成されている複合機能部を備えたトイレ装置が挙げられる。前述の電極とパッチアンテナとを兼ね備えるものとしては、例えば金属や導電性物体等が挙げられる。前述の金属や導電性物体等には、検知部9によって静電容量を検知する電極と連続波W2を発信するパッチアンテナとに接続先が切り替え可能な機能切り替え回路が設けられていることが好ましい。つまり、機能切り替え回路を使用することにより、人体の検知状態によって検知部9から接続する回路を、電極を備えた回路またはパッチアンテナを備えた回路に切り替えることで、複合機能部で発現される機能を静電容量検知機能とするか、または連続波発信機能および連続波受信機能とするかを切り替えてもよい。このような切り替えを行うことで、感知部22と連続波発信源18と第二受信部20とを設置していたスペースを、複合機能部を設置するスペースにまとめることができる。これにより、トイレ装置2の小型化も図ることができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、連続波発信源18から発信される連続波は、測距に適用可能なものが好ましいが、周波数変調されたものに限定されない。連続波発信源18からは、振幅変調や位相変調された連続波が発信されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,2 トイレ装置
5 便器
6 便座
8 洗浄ノズル(ノズル)
9 検知部
10 送信部
12 第一受信部
20 第二受信部
22 感知部
S 開口部
図1
図2
図3