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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】ポジショナ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/00 20060101AFI20220121BHJP
   B23K 37/047 20060101ALI20220121BHJP
   B23Q 1/54 20060101ALI20220121BHJP
   B23Q 1/01 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
B23Q1/00 E
B23K37/047 501D
B23Q1/54
B23Q1/01 T
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2017122009
(22)【出願日】2017-06-22
(65)【公開番号】P2018176410
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2017081859
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】永原 康平
(72)【発明者】
【氏名】松阪 隆二
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-347868(JP,A)
【文献】国際公開第2007/125835(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/086476(WO,A1)
【文献】特開2001-150258(JP,A)
【文献】特開2004-160642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0214540(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00-1/01,1/54,
B23K 37/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部を介して連結された一対の支持部と、
前記一対の支持部の少なくとも一方に支持された第一駆動部と、
前記第一駆動部により前記一対の支持部を結ぶ第一軸を中心に揺動可能に支持された第二駆動部と、
前記第二駆動部により前記第一軸と異なる第二軸を中心に回転するテーブルと、
を備えた、
ポジショナにおいて、
前記第二軸の軸線方向において、前記テーブルは前記第二駆動部の両端間に配置され、
前記テーブルの一面側に配置された前記一対の支持部の少なくとも何れか一方は、支持部側開口部を有し、
前記第二駆動部は、
前記テーブルの他面側において開口する第一開口部と、
前記第一開口部に連通され前記支持部側開口部に向けて形成される第二開口部と、
を有し、
前記基部には
前記第二駆動部が揺動する一部の範囲に空隙部が形成され、
前記第一駆動部は、
前記第二開口部が前記支持部側開口部に臨む位置に前記第二駆動部を支持する、
ポジショナ。
【請求項2】
前記第一駆動部は、前記支持部側開口部に正対して該支持部側開口部を見た状態において、前記第二開口部の少なくとも一部が前記支持部側開口部と重なるように前記第二駆動部を支持する、
請求項1に記載のポジショナ。
【請求項3】
前記第一駆動部は、
前記第二開口部の中心軸と前記支持部側開口部の中心軸とが略同軸となる位置に前記第二駆動部を支持する、
請求項1又は請求項2に記載のポジショナ。
【請求項4】
前記支持部側開口部は、
前記第一軸と交わる位置に形成され、
前記第一駆動部は、
前記第二開口部が前記第一軸と交わる位置に前記第二駆動部を支持する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のポジショナ。
【請求項5】
前記第一駆動部は、
前記第二開口部の少なくとも一部が、前記ポジショナの外部から前記支持部側開口部を通して視認できる位置に前記第二駆動部を支持する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のポジショナ。
【請求項6】
前記支持部側開口部は、
前記第二駆動部が、前記第二駆動部の揺動範囲の何れの位置にある場合であっても、前記第二開口部に臨むように、前記第二開口部よりも大きく形成されている、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載のポジショナ。
【請求項7】
前記一対の支持部の一方は、
軸受を支持し、
前記第二駆動部は、
前記軸受と、前記一対の支持部の他方に支持された前記第一駆動部とにより前記第一軸を中心に揺動可能に支持され、
前記支持部側開口部は、
前記軸受に形成された開口部である、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載のポジショナ。
【請求項8】
前記基部は、
前記第二駆動部が揺動する範囲の外側に、前記第一軸と平行に延びて前記一対の支持部を連結する連結部を有する、
請求項1から請求項7の何れか一項に記載のポジショナ。
【請求項9】
前記連結部は、前記ポジショナの設置状態において前記第一軸の下方に位置し、
前記空隙部は、水平方向で且つ前記第一軸の方向と直交する方向における、前記連結部の両側部に形成されている、
請求項8に記載のポジショナ。
【請求項10】
前記第二駆動部は所定の角度範囲で揺動し、
前記空隙部は、前記所定の角度範囲において揺動する前記第二駆動部の揺動範囲の一部に形成されている、
請求項9に記載のポジショナ。
【請求項11】
前記連結部は、前記所定の角度範囲で揺動する第二駆動部の揺動範囲の外部に位置する、
請求項10に記載のポジショナ。
【請求項12】
前記第一駆動部は、
第一モータと、
前記第一モータと接続されると共に前記第二駆動部を揺動させる第一減速機と、を有し、
前記第二駆動部は、
第二モータと、
前記第二モータと接続されると共に前記テーブルを回転させる第二減速機と、を有し、
前記第一モータ、前記第一減速機、前記第二モータ及び前記第二減速機は、前記ポジショナの設置状態において高さ方向における位置が略同一である、
請求項1から請求項11の何れか一項に記載のポジショナ。
【請求項13】
前記第一駆動部における前記第一モータと前記第一減速機は、それぞれの軸線が平行な位置関係で配置されている、
請求項12に記載のポジショナ。
【請求項14】
前記第二駆動部における前記第二モータと前記第二減速機は、それぞれの軸線が直交する位置関係で配置されている、
請求項12又は請求項13に記載のポジショナ。
【請求項15】
基部を介して連結された一対の支持部と、
前記一対の支持部の少なくとも一方に支持された第一駆動部と、
前記第一駆動部により前記一対の支持部を結ぶ第一軸を中心に揺動可能に支持された第二駆動部と、
前記第二駆動部により前記第一軸と異なる第二軸を中心に回転するテーブルと、
を備えた、
ポジショナにおいて、
前記第二軸の軸線方向において、前記テーブルは前記第二駆動部の両端間に配置され、
前記テーブルの一面側に配置された前記一対の支持部の少なくとも何れか一方は、支持部側開口部を有し、
前記第二駆動部は、
前記テーブルの他面側において開口する第一開口部と、
前記第一開口部に連通され前記支持部側開口部に向けて形成される第二開口部と、
を有し、
前記第一駆動部は、
前記第二開口部が前記支持部側開口部に臨む位置に前記第二駆動部を支持する、
ポジショナ。
【請求項16】
基部を介して連結された一対の支持部と、
前記一対の支持部の少なくとも一方に支持された第一駆動部と、
前記第一駆動部により前記一対の支持部を結ぶ第一軸を中心に揺動可能に支持された第二駆動部と、
前記第二駆動部により前記第一軸と異なる第二軸を中心に回転するテーブルと、
を備えた、
ポジショナにおいて、
前記第二軸の軸線方向において、前記テーブルは前記第二駆動部の両端間に配置され、
前記テーブルの一面側に配置された前記一対の支持部の少なくとも何れか一方は、支持部側開口部を有し、
前記第二駆動部は、前記テーブルの他面において中央部に開口するテーブル側開口部を有し
前記テーブル側開口部から前記第二軸に沿って前記第二駆動部の内部空間部に貫通し、該内部空間から前記支持部側開口部に直線的に連通する中空経路部を有する、
ポジショナ。
【請求項17】
前記中空経路部のうち前記内部空間から前記支持部側開口部に直線的に連通する部分は、前記第一軸に沿って形成されている、
請求項16に記載のポジショナ。
【請求項18】
前記第二駆動部は、
駆動力が入力される入力軸と、
前記入力軸の回転に従って該入力軸と異なる軸を中心として回転する従動軸と、
前記従動軸により伝達された回転を減速する減速部と、
を有し、
前記入力軸は前記第二軸に直交し、
前記従動軸は前記第二軸に平行であり、
前記入力軸及び前記従動軸は、前記第二軸対して径方向の外側に変位した位置に配置されている、
請求項16又は請求項17に記載のポジショナ。
【請求項19】
前記一対の支持部の一方は軸受を支持し、
前記第一駆動部は前記一対の支持部の他方に支持され、
前記第二駆動部は、前記軸受と前記第一駆動部との間で前記第一軸を中心に揺動可能に支持され、
前記支持部側開口は、前記軸受の開口部として形成されている、
請求項18に記載のポジショナ。
【請求項20】
前記第二駆動部の前記入力軸と前記従動軸は、前記ポジショナの設置状態において上方から見たとき、前記第一軸を基準とする一方の側に該第一軸から変位して配置されている、
請求項19に記載のポジショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジショナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークがセットされるワークテーブルを水平な軸を中心として回転動作させると共に当該水平な軸に直交する軸を中心として回転動作させることが可能なポジショナが知られている。以下では、この種のポジショナを「二軸ポジショナ」と記す。例えば特許文献1には、二軸ポジショナの具体的構成例が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の二軸ポジショナは、第1及び第2ユニットを備えている。第1ユニットは、第1駆動モータを駆動させることにより、ポジショナの設置面と平行なX軸を中心にワークテーブルを揺動させる。第2ユニットは、第2駆動モータを駆動させることにより、X軸と直交するY軸を中心にワークテーブルを回転させる。
【0004】
ところで、ポジショナを動作させる際に、ワークテーブルのテーブル面にワークを保持するための電磁クランプ装置が設置される場合がある。この場合、当該電磁クランプ装置には、ポジショナの外部に設置された電源供給部(例えば電源供給装置や商用電源)から電力を供給するためのケーブルが接続される。
【0005】
テーブル面上の電磁クランプ装置から電源供給部にケーブルが直接引き出されて接続される構成では、ケーブルの電磁クランプ装置との接続端付近の部分が、ワークテーブルの揺動や回転に伴いワークテーブルに対して揺れ動き、テーブル面上においてケーブルがクランプ装置やワークに突き当たる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5301371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題を回避するため、ケーブルを、電磁クランプ装置から、テーブル面の中央に形成された中央開口部を介してポジショナ内部に一旦引き込ませ、ポジショナ内部を経由して電源供給部に接続させるようにすることが考えられる。このように、テーブル面の中央開口部からポジショナ内部にケーブルを引き込む配線方法を採用すると、テーブル面上に位置するケーブル部分の位置が固定されることから、ケーブルが電磁クランプ装置やワークに突き当たることが回避される。
【0008】
ここで、特許文献1に記載の二軸ポジショナにおいて上記のようにケーブルをテーブル面の中央に形成された中央開口部を介してポジショナ内部に一旦引き込ませた上で外部に引き出す方法について検討する。特許文献1に記載の二軸ポジショナには、テーブル面の中央開口部から鉛直方向に沿って第2ユニットの下面まで貫通する貫通穴が形成されている。ケーブルは、例えば、テーブル面上の電磁クランプ装置から貫通穴を介して第2ユニットの下方に引き出される。第2ユニットの下方に引き出されたケーブルは、第2ユニットの下面及び側面に沿って引き回された後、水平方向に延びる第1ユニット(第1クランク軸)の中空部を介してポジショナの外部に引き出されて、外部電源供給部に接続される。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載の構成では、作業者は、電磁クランプ装置から引き出されたケーブルをテーブル面の中央開口部から貫通穴に引き込んで第2ユニットの下方に引き出し、更に、第2ユニットの下方に引き出されたケーブルを側方に屈曲させて、第2ユニットの下面に沿わせる。次に、作業者は、第2ユニットの下面に沿わせたケーブルを上方に屈曲させて、第2ユニットの側面に沿わせ、第2ユニットの側面に沿わせたケーブルを側方に屈曲させて、第1ユニットの中空部に引き込む。そして更に、作業者は、第1ユニットの中空部からケーブルを引き出して、外部電源供給部に接続する。
【0010】
このように、特許文献1に記載の二軸ポジショナにおいてケーブルをポジショナ内部から外部へ引き出す場合には、作業者は複雑な作業を強いられる。そのため、ポジショナ内部におけるケーブルの引き回し作業を簡易にすることが望まれる。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ポジショナ内部におけるケーブルの引き回し作業を簡易にすることが可能なポジショナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態にかかるポジショナは、基部を介して連結された一対の支持部と、一対の支持部の少なくとも一方に支持された第一駆動部と、第一駆動部により一対の支持部を結ぶ第一軸を中心に揺動可能に支持された第二駆動部と、第二駆動部により第一軸と異なる第二軸を中心に回転するテーブルと、を備えたポジショナであり、この構成において、一対の支持部の少なくとも何れか一方は、支持部側開口部を有し、第二駆動部は、テーブル側に開口する第一開口部と、第一開口部に連通され支持部側開口部に向けて形成される第二開口部と、を有する。更に、基部には、第二駆動部が揺動する一部の範囲に空隙部が形成され、第一駆動部は、第二開口部が支持部側開口部に臨む位置に第二駆動部を支持する。
【0013】
このように構成するポジショナでは、第二駆動部側の第二開口部が支持部側開口部に臨んでいるため、テーブル面側から第一開口部を介してポジショナ内部に一旦引き込ませたケーブルを第二開口部から支持部側開口部を経由して外部へほぼ真っ直ぐに引き出すことが可能となる。したがって、ポジショナ内部におけるケーブルの引き回し作業を簡易にすることが可能になる。
【0014】
第一駆動部は、支持部側開口部に正対して該支持部側開口部を見た状態において、第二開口部の少なくとも一部が支持部側開口部と重なるように第二駆動部を支持する構成であっても良い。
【0015】
第一駆動部は、第二開口部の中心軸と支持部側開口部の中心軸とが略同軸となる位置に第二駆動部を支持する構成であっても良い。
【0016】
支持部側開口部は、第一軸と交わる位置に形成されていても良い。この場合、第一駆動部は、第二開口部が第一軸と交わる位置に第二駆動部を支持する。
【0017】
第一駆動部は、第二開口部の少なくとも一部が、ポジショナの外部から支持部側開口部を通して視認できる位置に第二駆動部を支持する構成であっても良い。
【0018】
支持部側開口部は、第二駆動部が、第二駆動部の揺動範囲の何れの位置にある場合であっても、第二開口部に臨むように、第二開口部よりも大きく形成されていても良い。
【0019】
一対の支持部の一方は軸受を支持し、第二駆動部は、軸受と、一対の支持部の他方に支持された第一駆動部とにより第一軸を中心に揺動可能に支持されていても良い。この場合、支持部側開口部は、軸受に形成された開口部である。
【0020】
基部は、第二駆動部が揺動する範囲の外側に、第一軸と平行に延びて一対の支持部を連結する連結部を有していても良い。
【0021】
連結部は、ポジショナの設置状態において前記第一軸の下方に位置していても良い。この場合、空隙部は、水平方向で且つ第一軸の方向と直交する方向における、連結部の両側部に形成される。
【0022】
第二駆動部は所定の角度範囲で揺動する構成である場合には、空隙部は、所定の角度範囲において揺動する前記第二駆動部の揺動範囲の一部に形成されていても良い。
【0023】
連結部は、所定の角度範囲で揺動する第二駆動部の揺動範囲の外部に位置していることが好ましい。
【0024】
第一駆動部は、第一モータと、第一モータと接続されると共に第二駆動部を揺動させる第一減速機と、を有していても良い。また、第二駆動部は、第二モータと、第二モータと接続されると共に前記テーブルを回転させる第二減速機と、を有していても良い。この場合、第一モータ、第一減速機、第二モータ及び第二減速機は、ポジショナの設置状態において高さ方向における位置が略同一であっても良い。
【0025】
第一駆動部における第一モータと第一減速機は、それぞれの軸線が平行な位置関係で配置されていても良い。
【0026】
第二駆動部における第二モータと第二減速機は、それぞれの軸線が直交する位置関係で配置されていても良い。
【0027】
本発明の一実施形態にかかるポジショナは、基部を介して連結された一対の支持部と、一対の支持部の少なくとも一方に支持された第一駆動部と、第一駆動部により前記一対の支持部を結ぶ第一軸を中心に揺動可能に支持された第二駆動部と、第二駆動部により前記第一軸と異なる第二軸を中心に回転するテーブルと、を備えたポジショナであり、この構成において、一対の支持部の少なくとも何れか一方は、支持部側開口部を有し、第二駆動部は、テーブル側に開口する第一開口部と、第一開口部に連通され支持部側開口部に向けて形成される第二開口部と、を有する。更に、第一駆動部は、第二開口部が支持部側開口部に臨む位置に前記第二駆動部を支持する。
【0028】
このように構成するポジショナでは、第二駆動部側の第二開口部が支持部側開口部に臨んでいるため、テーブル面側から第一開口部を介してポジショナ内部に一旦引き込ませたケーブルを第二開口部から支持部側開口部を経由して外部へほぼ真っ直ぐに引き出すことが可能となる。したがって、ポジショナ内部におけるケーブルの引き回し作業を簡易にすることが可能になる。
【0029】
ポジショナ内部におけるケーブルの引き回しをいかに簡易にするかという観点でポジショナの構造を考慮するとき、テーブル中央に開口した開口部から支持部側開口部に至る経路が最短で構成されていることが望ましい。本発明の一側面に係るポジショナは、基部を介して連結された一対の支持部と、一対の支持部の少なくとも一方に支持された第一駆動部と、第一駆動部により前記一対の支持部を結ぶ第一軸を中心に揺動可能に支持された第二駆動部と、第二駆動部により前記第一軸と異なる第二軸を中心に回転するテーブルと、
を備えたポジショナであって、一対の支持部の少なくとも何れか一方は、支持部側開口部を有し、第二駆動部は、前記テーブル側の中央部に開口するテーブル側開口部を有する。更に、ポジショナは、テーブル側開口部から第二軸に沿って第二駆動部の内部空間部に貫通し、該内部空間から前記支持部側開口部に直線的に連通する中空経路部を有する。
【0030】
このように構成するポジショナでは、中空経路が、テーブル側開口から鉛直下向きに内部空間に達した後、支持部側開口に向けて水平にほぼ直線的に到達し外部に連通することができる。したがって、ポジショナ内部に、ケーブルを挿通させるための中空経路を実質的に最短で構成することができる。したがって、ポジショナ内部におけるケーブルの引き回し作業を簡易にすることが可能になる。
【0031】
中空経路部のうち内部空間から前記支持部側開口部に直線的に連通する部分は、第一軸に沿って形成されていることが好ましい。
【0032】
第二駆動部は、駆動力が入力される入力軸と、入力軸の回転に従って該入力軸と異なる軸を中心として回転する従動軸と、従動軸により伝達された回転を減速する減速部と、を有していても良い。この場合、入力軸は前記第二軸に直交し、従動軸は前記第二軸に平行であり、入力軸及び前記従動軸は、前記第二軸対して径方向の外側に変位した位置に配置されていることが好ましい。
【0033】
一対の支持部の一方は軸受を支持し、第一駆動部は前記一対の支持部の他方に支持され、第二駆動部は、軸受と第一駆動部との間で第一軸を中心に揺動可能に支持され、支持部側開口は、軸受の開口部として形成されていることが好ましい。
【0034】
第二駆動部の入力軸と従動軸は、ポジショナの設置状態において上方から見たとき、第一軸を基準とする一方の側に該第一軸から変位して配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一実施形態によれば、ポジショナ内部におけるケーブルの引き回し作業を簡易にすることが可能なポジショナが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態に係る二軸ポジショナの側面図である。
図2図1のA矢示図である。
図3】本発明の一実施形態に係る二軸ポジショナに備えられる第2ユニットの断面図である。
図4図3のB-B線における断面図である。
図5図1のC-C矢示図(図5(a))及び本発明の一実施形態に係る二軸ポジショナに備えられる第2ユニットとフレームとの関係を模式的に示す図(図5(b))である。
図6】従来構成の二軸ポジショナの底面図(図6(a))及び従来構成の二軸ポジショナに備えられる第2ユニットとフレームとの関係を模式的に示す図(図6(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、本発明の一実施形態として、二軸ポジショナを例に取り説明する。なお、本発明が適用されるポジショナは、二軸ポジショナに限らない。多軸ポジショナ(例えば、ワークテーブルを三軸又は三軸を超える数の軸を中心に回転動作させることが可能なポジショナ)にも本発明が適用され得る。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る二軸ポジショナ1の側面図である。なお、図1では、説明の便宜上、二軸ポジショナ1の2点鎖線内について内部構造を示している。具体的には、図1では、二軸ポジショナ1内部に引き回されているケーブル2の経路を可視化するため、ケーブル2周辺の内部構造を図示している。また、側壁開口部OP4(後述)の位置を示すため、側壁開口部OP4周辺の内部構造も図示している。
【0039】
図1に示されるように、本実施形態では、図1の紙面と平行な水平方向をx方向とし、x方向と直交し且つ図1の紙面と平行な鉛直方向をy方向とし、x方向及びy方向と直交し且つ図1の紙面と直交する水平方向をz方向とする。また、x方向及びy方向を含む平面をxy面とし、x方向及びz方向を含む平面をxz面とし、y方向及びz方向を含む平面をyz面とする。なお、説明の便宜上、図1のx方向及びy方向の矢印を含む面だけでなく、これと平行な全ての面をxy面として記載する。xz面及びyz面についても同様に記載する。
【0040】
図2は、図1のA矢示図である。なお、図2では、説明の便宜上、ケーブル2の図示を省略している。
【0041】
図1及び図2に示されるように、二軸ポジショナ1は、第1ユニット10(第一駆動部)、第2ユニット20(第二駆動部)及びフレーム30を備えている。フレーム30は、不図示の締結部材によって設置フロア(ポジショナ取付面FP)上に取り付けられている。
【0042】
フレーム30は、一対の支持部304、306を有している。支持部304は、第1ユニット10を支持している。一方、支持部306は、軸受308を支持している。第1ユニット10及び軸受308は、支持部304と支持部306とを結ぶ第一軸(ポジショナ取付面FPと平行なX軸)を中心に第2ユニット20を揺動可能に支持している。
【0043】
第2ユニット20は、揺動台250を有している。揺動台250は、第1ユニット10及び軸受308によりX軸を中心に揺動可能となっている。
【0044】
揺動台250の取付面P1上には、第2ユニット20を構成する減速機20Dが不図示の締結部材によって取り付けられている。図3に、減速機20Dの中心軸(X軸と直交するY軸)を含むyz面における減速機20Dの断面図を示す。なお、図3においては、説明の便宜上、減速機20Dに支持されたターンテーブルTT(図3中、破線)を図示する。
【0045】
図3に示されるように、減速機20Dは、ユニットベース202、ユニットベース202に対して回転可能に支持された入力軸204、入力軸204より入力した回転を異なる軸を中心とした回転に変換する変換部206、変換部206より伝達された回転を減速する減速部208、ターンテーブルTTを支持するターンテーブル支持部220を有している。
【0046】
減速機20Dは、ユニットベース202の基端面202aが取付面P1に載置された状態で揺動台250に取り付けられている。
【0047】
ユニットベース202は、天面部202b及び側壁202cを有している。天面部202bは、略円板形状を持つ。側壁202cは、天面部202bの全周(外周縁)から下方に延びた形状を持つ。なお、側壁202cの下面が基端面202aとなっている。天面部202bは略円板形状に限らず、例えば多角板形状であってもよい。
【0048】
図1及び図3に示されるように、側壁202c(すなわちユニットベース202の側面)には、それぞれ異なる方向に面する複数の開口部であって、ユニットベース202の外部(側方)と内部(空間S)とを連通する側壁開口部OP1~OP4(第二開口部)が形成されている。なお、空間Sは、天面部202b、側壁202c及び取付面P1によって囲われた空間である。
【0049】
側壁開口部OP1と入力軸204との間には、軸受222が設けられている。入力軸204は、軸受222を介してユニットベース202に回転可能に支持されている。入力軸204の先端には、駆動側歯車204bが形成されている。入力軸204の後端側には、圧入穴204aが形成されている。
【0050】
ユニットベース202には、モータ支持部材226が取り付けられている。モータ支持部材226には、サーボモータ224が支持されている。サーボモータ224は、駆動軸224aを有している。駆動軸224aは、入力軸204の圧入穴204aに圧入されている。
【0051】
ユニットベース202には、側壁202cの内側に延びた底部202dが形成されている。天面部202b(すなわち、ユニットベース202の天面)には、ユニットベース202の外部(上方)と空間Sとを連通する2つの天面開口部OP5、OP6が形成されている。
【0052】
底部202dには、天面開口部OP6との対向位置に断面円形状の支持穴202dAが形成されている。支持穴202dAと変換軸242aとの間には、軸受228が設けられている。変換軸242aは、軸受228を介してユニットベース202に回転可能に支持されている。
【0053】
ユニットベース202には、底部202dと天面部202bとを接続する隔壁部202eが形成されている。隔壁部202eは、空間Sを2つの空間(第一空間S1と第二空間S2)に分断している。なお、第一空間S1は、天面部202b、側壁202c、底部202d及び隔壁部202eによって囲われた空間となっている。また、第二空間S2は、天面部202b、側壁202c、隔壁部202e及び揺動台250(取付面P1)によって囲われた空間となっている。
【0054】
支持穴202dAは、ユニットベース202の下方に向けて底部202dを貫通している。支持穴202dAは、栓部240を底部202dに取り付けることによって塞がれている。これにより、第一空間S1に位置する支持穴202dAが有底となり、ユニットベース202の外部に対する第一空間S1の露出が防止される。
【0055】
第一空間S1は、天面開口部OP6を介して減速部208内に連通している。一方、第二空間S2は、減速部208内に連通していない。そのため、第二空間S2には、減速部208内の潤滑油が流れ込まない。
【0056】
変換部206は、変換軸242aを有している。変換軸242aには、駆動側歯車204bに噛み合う従動側歯車242bが一体に形成されている。具体的には、変換軸242aの外周面から径方向(xz面方向)に突出した円板状部位の外端部に複数の歯が並べて形成されており、これらの歯が従動側歯車242bを構成している。
【0057】
駆動側歯車204b、従動側歯車242bは、例えば傘歯車である。なお、駆動側歯車204b、従動側歯車242bは、傘歯車に限らない。駆動側歯車204b、従動側歯車242bは、入力軸204から変換部206へ駆動力を伝達することが可能な他の形態の伝達機構に置き換えられてもよい。
【0058】
変換軸242aは、軸線が入力軸204の軸線と直交する姿勢で、軸受228を介してユニットベース202に回転可能に支持されている。なお、入力軸204と変換軸242aは、本実施形態では、互いの軸線が直交する位置関係となっている。別の実施形態では、駆動側歯車204bから従動側歯車242bへ駆動力を伝達することが可能であれば、互いの軸線が直交しない位置関係となっていてもよい。
【0059】
減速部208は、ユニットベース202に固定される固定部210、固定部210に対してY軸を中心に回転可能な出力部212、固定部210と出力部212との間に配置された第一主軸受214及び第二主軸受216、並びに出力部212を回転させるための駆動力を変換部206から出力部212に伝達する伝達部218を有している。
【0060】
固定部210は、円環状に形成された出力部212の径方向内側に配置されている。固定部210は、締結具230によって天面部202bに取り付けられている。
【0061】
図4に、図3のB-B線における断面図を示す。
【0062】
出力部212の内周面212aにおいて、第一主軸受214と第二主軸受216との間には、複数のピン溝212aAが周方向に所定ピッチで並べて形成されている。各ピン溝212aAには、円柱状部材である内歯ピン212cが嵌め込まれている。これにより、出力部212は、内歯を有する円環状部材として構成されている。
【0063】
天面部202bの外周縁部には、全周に亘り、外縁側円環リブ202bBが形成されている。一方、天面部202bの内周縁部には、全周に亘り、内縁側円環リブ202bCが形成されている。固定部210は、天面部202b上において、外縁側円環リブ202bBと内縁側円環リブ202bCとの間に配置される。
【0064】
固定部210の中央には、固定部210を軸線方向(Y方向)に貫通する中央貫通穴部210aが形成されている。中央貫通穴部210aには、筒体234が挿入されている。筒体234の下端は、天面開口部OP5に嵌め込まれている。筒体234は、ターンテーブルTT側に開口する上端側開口部OP7(第一開口部)を有している。上端側開口部OP7は、天面開口部OP5及び第二空間S2を介してユニットベース202の側壁開口部OP1~OP4に連通している。なお、第2ユニット20の軸線方向(Y方向)において、ターンテーブルTTは第2ユニット20の両端間に配置されており、フレーム30(一対の支持部304、306を含む。)はターンテーブルTTの一面側(本実施形態においては下方)に配置され、上端側開口部OP7はターンテーブルTTの他面側(本実施形態においては上方)において開口している。
【0065】
ターンテーブル支持部220は、出力部212の外周面212bから全周に亘ってxz面方向に突出するフランジ形状を有している。ターンテーブル支持部220は、ユニットベース202やサーボモータ224等の他部品との機械的干渉の回避を考慮しつつ、できる限り低い位置に形成されている。
【0066】
具体的には、ターンテーブル支持部220は、図3に示されるように、出力部212の上面でなく、ユニットベース202寄りの高さ位置に形成されている。このように、ターンテーブル支持部220を出力部212の上面よりも低い位置に形成することにより、ターンテーブルTTを低い位置で支持することができる。ターンテーブルTTを低い位置で支持する分、二軸ポジショナ1の高さが低く抑えられる(二軸ポジショナ1が低床化する)。
【0067】
サーボモータ224が駆動すると、入力軸204が回転する。入力軸204の回転に伴い、入力軸204の先端に形成された駆動側歯車204bと噛み合う従動側歯車242bが駆動されて、変換軸242aが軸中心に回転する。変換軸242aにはクランク軸236が結合されており、これら変換軸242a及びクランク軸236が、入力軸204の回転に従って回転する従動軸を構成している。
【0068】
円環状に形成された出力部212の径方向内側には、外歯を有する揺動歯車244が配置されている。変換軸242aに結合されたクランク軸236が回転すると、揺動歯車244は、クランク軸236に設けられた偏心部236aの回転に伴い、内歯ピン212cとの噛み合い位置を変えながら、揺動(公転)運動を行うと共に、公転回転数よりも減速された回転数で自転運動を行う。減速された揺動歯車244の自転運動が内歯ピン212cを介して出力部212に伝達されると、出力部212が固定部210に対して回転する。これにより、ターンテーブルTTが減速された速度でY軸を中心に回転する。
【0069】
図1に示されるように、第1ユニット10は、減速機10Dを備えている。なお、減速機20Dが入力軸(入力軸204)と出力軸(出力部212の回転軸)とが直交する直交入力型減速機であるのに対し、減速機10Dは、入力軸と出力軸とが同軸に位置するストレート入力型減速機である。減速機10Dと減速機20Dの主な相違点として、例えば、減速機10Dには変換部206が備えられていない点が挙げられる。しかし、変換部206を除く基本構造は、減速機10Dと減速機20Dとで実質変わらない。そのため、以下においては、重複記載を避ける便宜上、減速機10Dの具体的構成の説明を適宜省略する。
【0070】
減速機10Dは、減速機10Dの固定部110が支持部304に支持されている。すなわち、減速機10Dは、減速機10Dの出力部112が出力軸を中心に回転することが可能に支持部304に支持されている。
【0071】
揺動台250は、支持部304と支持部306との間に配置されている。揺動台250の両端には、一対の支持壁254、256が鉛直方向(Y方向)に立設されている。
【0072】
支持壁254、256は、それぞれ、支持部304、306と正対する位置に近接して配置されている。支持壁254には、減速機10Dの出力部112が不図示の締結部材によって締結されている。言い換えると、第2ユニット20の一端(支持壁254)は、第1ユニット10(減速機10D)に支持されている。
【0073】
なお、本実施形態において、減速機10Dは、出力部が減速機10Dのシャフト(減速機20Dでいうところの固定部210)となっており、固定部が減速機10Dのケース(減速機20Dでいうところの出力部212)となっている。別の実施形態では、減速機10Dは、シャフトを支持部304に取り付け、ケースを支持壁254に取り付けた構成(すなわち、出力部がケースで固定部がシャフトの構成)としてもよい。
【0074】
減速機10Dの入力軸には、サーボモータ124の駆動軸が連結されている。サーボモータ124が駆動すると、減速機10Dの入力軸の回転が揺動歯車に伝達されて、減速機10Dの出力部が固定部に対して減速された速度で回転する。これにより、出力部に取り付けられた支持壁254がX軸を中心に回転する。
【0075】
軸受308は、例えば中央が開口した中空構造の軸受であり、回転リング体308b、転動体(玉、円すい、円柱等)308c及び固定リング体308dを有している。回転リング体308bは、転動体308cを介して固定リング体308dに対してX軸を中心に回転する。
【0076】
軸受308の回転リング体308b、固定リング体308dは、それぞれ、支持壁256、支持部306に固定されている。すなわち、第2ユニット20の他端(支持壁256)は、軸受308に支持されている。説明の便宜上、固定リング体308dに形成された開口部を「支持部側開口部308A」と記し、支持部側開口部308A及び回転リング体308bに形成された開口部よりなる軸受308全体としての開口部を「軸受開口部308a」と記す。
【0077】
揺動台250の一端(支持壁254)は、減速機10DによりX軸を中心に揺動可能に支持され、揺動台250の他端(支持壁256)は、軸受308によりX軸を中心に揺動可能に支持されている。そのため、揺動台250上に設置された減速機20Dは、揺動台250と共にX軸を中心に揺動可能となっている。
【0078】
従って、ターンテーブルTTは、第1ユニット10の出力(X軸中心の揺動)及び第2ユニット20の出力(Y軸中心の回転)に応じて、二つの回転軸を中心に回転動作する。
【0079】
X軸の一端(減速機10Dの出力軸)とX軸の他端(軸受308の中心軸)との間に軸位置のズレが生じると、第2ユニット20を精度良くX軸中心に揺動させることができない。減速機10Dを支持する支持部304は、X軸の一端(減速機10Dの出力軸)の位置を決め、軸受308を支持する支持部306は、X軸の他端(軸受308の中心軸)の位置を決める。X軸の端部同士のズレを抑えるには、支持部304と支持部306との相対的な位置を固定することが望ましい。
【0080】
そこで、本実施形態では、フレーム30は、一対の支持部304、306間で支持部304と支持部306とを連結するフレーム基部302を有している。支持部304、306は、フレーム基部302の各端部において鉛直方向(Y方向)に立設されている。
【0081】
フレーム基部302を介して一対の支持部304、306間を連結することにより、支持部304と支持部306との相対的な位置が固定される。これにより、X軸の端部同士のズレが抑えられて、第2ユニット20を精度良くX軸中心に揺動させることができる。
【0082】
ターンテーブルTTのテーブル面には、一例として、ワークを保持するクランプ装置(例えば電磁クランプ)が設置される。クランプ装置には、ケーブル2の一端が接続される。クランプ装置に接続されたケーブル2の他端は、不図示の電源供給部(例えば二軸ポジショナ1の外部に設置された電源供給装置や商用電源)に接続される。
【0083】
具体的には、作業者は、図1に示されるように、クランプ装置から引き出されたケーブル2を、テーブル面の中央に位置する上端側開口部OP7から筒体234を介してユニットベース202(第二空間S2)内に引き込む。
【0084】
ユニットベース202は、軸受308の支持部側開口部308Aに向けて形成された側壁開口部OP3を有している。第1ユニット10及び軸受308は、側壁開口部OP3が支持部側開口部308Aに臨む位置で、第2ユニット20の両端(支持壁254及び256)を支持している。一例として、第1ユニット10及び軸受308は、側壁開口部OP3が支持部側開口部308Aと略同軸上(例えばX軸上又はX軸と平行なX軸近傍に位置する軸上)となる位置で、第2ユニット20の両端を支持している。
【0085】
なお、本実施形態では、例示として、支持部側開口部308Aの中心と側壁開口部OP3の中心とのズレ量が側壁開口部OP3の半径のN%(例えば20%)以内に収まる状態を、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP3とが「略同軸」に配置されている状態とする。
【0086】
作業者は、図1に示されるように、ユニットベース202(第二空間S2)内に引き込まれたケーブル2を側壁開口部OP3に向け、側壁開口部OP3に向けられたケーブル2を側壁開口部OP3及び軸受開口部308aを介して二軸ポジショナ1の外部へほぼ真っ直ぐに引き出して、例えば電源供給部に接続することができる。
【0087】
このように、本実施形態では、第1ユニット10及び軸受308により、側壁開口部OP3が支持部側開口部308Aと臨む位置で、第2ユニット20が支持されている。これにより、ケーブル2を、二軸ポジショナ1内部で複雑に引き回すことなく(ユニットベース202内でケーブル2を側壁開口部OP3に向けてそのまま引き出すだけで)、電源供給部に接続できるようになっている。したがって、作業者の作業工数が削減されて、ケーブル2の引き回し作業が簡易となる。これにより、例えば、製造コストを抑えることができ、また、リードタイムを短縮させることができる。
【0088】
また、第2ユニット20をX軸中心に揺動可能に支持する軸受308(の軸受開口部308a)を利用してケーブル2を通す構成とすることにより、ケーブル2を通すための専用の開口部を支持部306に別途形成する必要が無い。
【0089】
ここで、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP3とが偏心して(言い換えると、支持部側開口部308Aの中心と側壁開口部OP3の中心がずれて)配置されている場合を考える。この場合、側壁開口部OP3は、第2ユニット20が揺動すると、支持部側開口部308Aに対する正面視において、支持部側開口部308Aとの偏心量に応じて支持部側開口部308Aに対する位置が変わる。支持部側開口部308Aとの偏心量によっては、第2ユニット20の揺動時に、側壁開口部OP3が支持部側開口部308Aに臨まない位置まで動いてしまうことが考えられる。そこで、本実施形態では、支持部側開口部308Aは、第2ユニット20がその揺動範囲の何れの位置にある場合であっても、側壁開口部OP3に臨むように、側壁開口部OP3よりも大きく形成されている。
【0090】
なお、本実施形態では、第2ユニット20は、一端が減速機10Dに支持され、他端が軸受308に支持されているが、別の実施形態では、第2ユニット20は、減速機10Dのみに支持された構成(すなわち片持ち支持された構成)であってもよい。この場合、第1ユニット10が単独で、側壁開口部OP3が支持部側開口部308Aと臨む位置に第2ユニット20を支持する。
【0091】
ここで、第1ユニット10及び軸受308の位置を高くする(ポジショナ取付面FP上に取り付けられるフレーム30から離す)ほど、第1ユニット10及び軸受308によって支持される第2ユニット20の位置も高くなるため、二軸ポジショナ1の高さが全体的に高くなる。しかし、二軸ポジショナ1には、例えば、ユーザにより、低床な構成(高さを低く抑えた構成)であることが求められるケースがある。この要求に応えるためには、例えば、第1ユニット10及び軸受308を低い位置に配置すると共に第2ユニット20も低い位置に配置することが望ましい。
【0092】
本実施形態では、ユニットベース202に側壁開口部OP3が形成されていることにより、ケーブル2を、第2ユニット20の下方でなく、第2ユニット20の側方に引き出すことが可能となっている。第2ユニット20の下方にケーブル2を引き出す領域を確保する必要が無いため、第1ユニット10及び軸受308と共に第2ユニット20をフレーム30に近付けて配置し、二軸ポジショナ1の高さを低く抑えること(すなわち低床に構成すること)が可能となる。
【0093】
第2ユニット20を低い位置に配置することにより、一対の支持部304、306間で、第2ユニット20の下方に配置されたフレーム基部302と第2ユニット20との相対的な位置が近くなる。これにより、第2ユニット20がX軸を中心に揺動したときに、フレーム基部302と干渉する虞がある。
【0094】
第2ユニットとフレーム基部との干渉に関し、図5及び図6を用いて説明する。図5(a)は、図1のC-C矢示図(本実施形態に係る二軸ポジショナ1の底面図)を模式的に示すものである。図5(b)は、二軸ポジショナ1の第2ユニット20とフレーム30との関係を模式的に示す図である。
【0095】
図6は、参考例に係る二軸ポジショナ1’の図である。図6(a)は、図5(a)と同様の図であり、参考例に係る二軸ポジショナ1’の底面図を模式的に示すものである。図6(b)は、図5(b)と同様の図であり、参考例に係る二軸ポジショナ1’の第2ユニット20’とフレーム30’との関係を模式的に示す図である。
【0096】
参考例に係る二軸ポジショナ1’は、フレーム基部の形状が異なる点以外、本実施形態に係る二軸ポジショナ1と同じ構成を有している。本実施形態に係る二軸ポジショナ1の構成要件と、参考例に係る二軸ポジショナ1’の構成要件を区別する便宜上、二軸ポジショナ1’の構成要素の符号に「’」を付す。
【0097】
図6(a)に示されるように、参考例に係る二軸ポジショナ1’は、フレーム30のフレーム基部302’が矩形板形状を有している。参考例では、例えば第2ユニット20’を本実施形態に係る二軸ポジショナ1の第2ユニット20と同じ角度範囲で揺動させると、図6(b)に示されるように、第2ユニット20’の一部がフレーム基部302’に干渉する(一点鎖線で示される第2ユニット20’とフレーム基部302’との重なり部分を参照)。
【0098】
そこで、本実施形態では、図5(a)に示されるように、フレーム基部302に空隙部302cが形成されている。空隙部302cを含むフレーム基部302の具体的構成について説明する。
【0099】
フレーム基部302は、不図示の締結部材によってポジショナ取付面FP上に取り付けられた一対の脚部302bを有している。各脚部302bには、支持部304、306がそれぞれ立設されている。フレーム基部302は、一対の脚部302b間に延びて一対の脚部302bを連結する連結部302aを有している。連結部302aは、X軸の下方でX軸と平行に延びた形状を有している。空隙部302cは、連結部302aの両側方に形成されている。
【0100】
図5(b)では、第2ユニット20とフレーム30(連結部302a及び空隙部302c)との関係を模式的に示す。図5(b)に示されるように、第2ユニット20は、X軸を中心に角度θの範囲で揺動する。空隙部302cは、少なくとも、第2ユニット20が揺動する一部の範囲に形成されている。
【0101】
空隙部302cが形成されることにより、第2ユニット20をフレーム30に近付けて配置した構成であっても、揺動時における第2ユニット20とフレーム基部302との干渉が避けられる。そのため、本実施形態では、第1ユニット10及び軸受308並びに第2ユニット20を低い位置に配置して二軸ポジショナ1の高さを全体的に抑えつつ、側壁開口部OP3と支持部側開口部308Aとを臨ませる位置に配置することが可能となっている。
【0102】
角度θで示される第2ユニット20の揺動範囲を二等分する線に符号Lを付す(図5(b)参照)。図5(b)に示されるように、連結部302aは、X軸から線L方向に離れた領域(すなわちX軸の下方)に配置されている。この領域は、第2ユニット20が揺動する範囲の外側に位置する。すなわち、連結部302aは、第2ユニット20が揺動する範囲の外側に、X軸と平行に延びて一対の支持部304、306を連結する構成となっており、第2ユニット20と干渉しない。
【0103】
なお、本実施形態では、ターンテーブルTTを回転させる減速機20Dとして直交入力型減速機を採用することにより、減速機20Dとサーボモータ224とがz方向(水平方向)に並ぶ構成としている。より詳細には、サーボモータ224と、減速機20Dの入力軸204及び従動軸は、Y軸から径方向外側に変位した位置に配置されると共に、X軸に対しても水平方向において一方の側に変位した位置に配置されている(図3参照)。また、第2ユニット20を揺動させる減速機10Dとしてストレート入力型減速機を採用することにより、減速機10Dとサーボモータ124とがx方向(水平方向)に並ぶ構成としている。更に、第1ユニット10及び軸受308は、減速機20D及びサーボモータ224の高さ方向(y方向)の位置が、サーボモータ124の駆動軸(X軸)の高さ方向の位置と略一致するように、第2ユニット20を支持している。すなわち、本実施形態では、減速機10D、20D、サーボモータ124、224の全てが、X軸の高さ位置と同等の高さ位置に並べて配置されているため、二軸ポジショナ1の高さが抑えられている。
【0104】
上述の実施形態において、ケーブル2を挿通させるための経路をいかに構成したかという観点で考慮したとき、以下の様に表現することができる。すなわち、上述の実施形態においては、ケーブル2を挿通させるための経路は、上端側開口部OP7からY軸に沿って第二空間S2に貫通し、第二空間S2から支持部側開口部308AにX軸に沿って直線的に連通している。このような構成によれば、上述のように低床化された二軸ポジショナ1において、ケーブル2を挿通させるための経路を図1に示すようにL字状とし、上側開口部OP7から支持部側開口部308Aまで最短で構成することができる。したがって、ポジショナ内部におけるケーブルの引き回し作業を簡易にすることが可能になる。
【0105】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば、明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0106】
上記の実施形態では、側壁開口部OP3が支持部側開口部308Aと臨む位置に配置される構成の一例として、軸線方向に垂直な面に沿った断面形状がそれぞれ略円形である側壁開口部OP3と支持部側開口部308Aとが略同軸(すなわち、側壁開口部OP3の中心軸と支持部側開口部308Aの中心軸とが略同軸)となるように配置されている構成を示した。しかしながら、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP3とが互いに臨んで配置される構成例は、これに限らない。
【0107】
例えば、二軸ポジショナ1は、第1ユニット10及び軸受308により、側壁開口部OP3がX軸と交わる位置に第2ユニット20を支持する構成であればよい。このように構成されていれば、側壁開口部OP3が支持部側開口部308Aと略同軸となっていなくても、ユニットベース202内で側壁開口部OP3に向けられたケーブル2を、二軸ポジショナ1の外部へ概ね真っ直ぐに引き出すことが可能となる。なお、側壁開口部OP3がX軸と交わる位置に配置されている場合であれば、支持部側に形成された開口部がX軸と交わる位置に形成されていれば、同様に、ケーブル2を二軸ポジショナ1の外部へ概ね真っ直ぐになるように引き出すことが可能となる。
【0108】
また、二軸ポジショナ1は、第1ユニット10及び軸受308により、A矢示図(図2)において(言い換えると、支持部側開口部308Aに正対して該支持部側開口部308Aを見た状態において)、側壁開口部OP3の少なくとも一部が支持部側開口部308Aと重なるように第2ユニット20を支持する構成であってもよい。このような構成においても、ユニットベース202内で側壁開口部OP3に向けられたケーブル2を、二軸ポジショナ1の外部へ概ね真っ直ぐに引き出すことが可能となる。この場合、側壁開口部OP3と支持部側開口部308Aとの重なりは、例えば、少なくとも、ケーブル2の外径(径方向の外形)が収まる大きさを有することが好ましい。この構成であれば、ユニットベース202内で側壁開口部OP3に向けられたケーブル2を、二軸ポジショナ1の外部へ真っ直ぐに引き出すことが可能である。
【0109】
また、二軸ポジショナ1は、第1ユニット10及び軸受308により、側壁開口部OP3の少なくとも一部が外部から支持部側開口部308Aを通して視認できる位置に第2ユニット20を支持する構成であっても良い。言い換えると、作業者が支持部側開口部308Aを通して側壁開口部OP3を視認できれば良い。このような構成であれば、ユニットベース202内で側壁開口部OP3に向けられたケーブル2を、二軸ポジショナ1の外部へ概ね真っ直ぐに引き出すことが可能となる。
【0110】
上述の実施形態では、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP3は、軸線方向に垂直な方向の断面が平行な位置関係で配置(何れもyz面に配置)されている。しかし、厳密には、部品誤差や組立誤差等の誤差因子が存在する。そのため、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP3の軸線方向に垂直な方向の断面は完全に平行とならない場合もあり得るであろう。そこで、本明細書では、便宜上、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP3の軸線方向に垂直な方向の断面が非平行な位置関係で配置されている場合であっても、公差内であれば、平行な位置関係で配置されているものとみなす。
【0111】
また、二軸ポジショナ1は、第1ユニット10及び軸受308により、側壁開口部OP3と支持部側開口部308Aとが相対的に傾く(すなわち軸線方向に垂直な方向の断面が互いに非平行となる)姿勢で第2ユニット20を支持する構成であってもよい。このような位置関係であっても、ユニットベース202内で側壁開口部OP3に向けられたケーブル2を、二軸ポジショナ1の外部へ概ね真っ直ぐに引き出すことが可能となる。支持部側開口部308Aに対して側壁開口部OP3を傾ける角度としては、一例として±10°以内が挙げられる。この場合は、ユニットベース202内で側壁開口部OP3に向けられたケーブル2を、二軸ポジショナ1の外部へ真っ直ぐに引き出すことができる。
【0112】
すなわち、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP3とが非平行な(すなわち軸線方向に垂直な方向の断面が互いに非平行となる)位置関係にあっても、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP3とが互いに臨む位置関係(例えば、側壁開口部OP3の少なくとも一部が外部から支持部側開口部308Aを通して視認できる位置関係)にあれば、ケーブル2の引き回しの作業性を向上させることができる。
【0113】
なお、上述の実施形態では、側壁開口部OP3と支持部側開口部308Aはそれぞれ軸線方向に垂直な面に沿った断面形状が略円形に形成されているが、これら開口部の形状はこのような例に限られない事は言うまでもない。例えば、側壁開口部OP3と支持部側開口部308Aの軸線方向に垂直な面に沿った断面形状は、楕円状、矩形状などの幾何学的な中心が規定される形状や、それ以外にも様々な形状とすることができる。
【0114】
上記の実施形態では、支持部側開口部308Aは、第2ユニット20がその揺動範囲の何れの位置にある場合であっても、側壁開口部OP3に臨むように、側壁開口部OP3よりも大きく形成されている。これに対し、別の実施形態では、支持部側開口部308Aは、第2ユニット20がその揺動量が所定量未満となる揺動範囲内にある場合に限り、側壁開口部OP3に臨むように、位置及び大きさが設定されたものであってもよい。
【0115】
また、図1に対し、揺動台250上における減速機20Dの設置向きを例えば180度変えてもよい。この場合、支持部側開口部308Aには側壁開口部OP3でなく側壁開口部OP4が臨むと共に、サーボモータ224の突出向きが180度変わる。
【0116】
ここで、上記の実施形態の構成(側壁開口部OP3が支持部側開口部308Aに臨む構成)では、二軸ポジショナ1周囲の構造物とサーボモータ224とが干渉して、二軸ポジショナ1を設置することができないケースがあり得る。この場合、例えば、揺動台250上における減速機20Dの設置向きを180度変えてサーボモータ224の突出向きを180度変えることにより、支持部側開口部308Aと側壁開口部OP4とを臨ませつつ(すなわち、ユニットベース202内から引き出されたケーブル2を、二軸ポジショナ1の外部へ真っ直ぐに引き出すことができる構成を維持しつつ)、二軸ポジショナ1周囲の構造物とサーボモータ224との干渉を避ける措置を採ることもできる。
【0117】
すなわち、異なる方向に面する複数の側壁開口部がユニットベース202に形成されていることにより、ケーブル2の引き回し作業を簡易にすることが可能な構成を維持しつつ、二軸ポジショナ1の設置の自由度を向上させることができる。
【0118】
上記の実施形態では、中空構造の軸受308にケーブル2を通す構成が採用されている。別の実施形態では、減速機10Dを減速機20Dと同様の中空型に置き換えてもよい。この場合、作業者は、ユニットベース202内に引き込まれたケーブル2を側壁開口部OP4に向け、側壁開口部OP4に向けられたケーブル2を側壁開口部OP4及び減速機10Dの中空部を介して二軸ポジショナ1の外部へほぼ真っ直ぐに引き出して、例えば電源供給部に接続することができる。
【符号の説明】
【0119】
1 二軸ポジショナ
2 ケーブル
10 第1ユニット
10D 減速機
20 第2ユニット
20D 減速機
30 フレーム
110 固定部
112 出力部
124 サーボモータ
202 ユニットベース
202a 基端面
202b 天面部
202bB 外縁側円環リブ
202bC 内縁側円環リブ
202c 側壁
202d 底部
202dA 支持穴
202e 隔壁部
204 入力軸
204a 圧入穴
204b 駆動側歯車
206 変換部
208 減速部
210 固定部
210a 中央貫通穴部
212 出力部
212a 内周面
212aA ピン溝
212b 外周面
212c 内歯ピン
214 第一主軸受
216 第二主軸受
218 伝達部
220 ターンテーブル支持部
222 軸受
224 サーボモータ
224a 駆動軸
226 モータ支持部材
228 軸受
230 締結具
234 筒体
236 クランク軸
236a 偏心部
240 栓部
242a 変換軸
242b 従動側歯車
244 揺動歯車
250 揺動台
254、256 支持壁
302 フレーム基部
302a 連結部
302b 脚部
302c 空隙部
304、306 支持部
308 軸受
308a 軸受開口部
308A 支持部側開口部
OP1~OP4 側壁開口部
OP5、OP6 天面開口部
OP7 上端側開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6