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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/36 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
B41J2/36 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017141973
(22)【出願日】2017-07-21
(65)【公開番号】P2019018532
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 賢悟
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-230662(JP,A)
【文献】特開平04-166346(JP,A)
【文献】特開2014-166724(JP,A)
【文献】特開2015-047826(JP,A)
【文献】特開2009-298036(JP,A)
【文献】特開平07-246724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0139436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/36
B41J 2/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送速度で用紙を搬送し、一ラインに発熱素子が配列されたサーマルヘッドに通電して、前記用紙の搬送方向の所定ドット分のブロック単位で前記用紙に印字を行うプリンタにおいて、
前記ブロック内において、前記サーマルヘッドを用いて文字と文字以外の図形とを同時に印字するか否かを判断する第1判断手段と、
前記第1判断手段が文字と前記図形とを同時に印字すると判断した場合に、当該ブロック内における前記用紙の搬送速度を前記文字のみを印字するときの搬送速度より遅い定速で搬送する速度制御手段と、
前記第1判断手段が文字と前記図形とを同時に印字すると判断した場合に、前記サーマルヘッドにおける前記文字を印字する第1領域において前記ブロック内を印字するために前記サーマルヘッドに供給する電力量を、前記サーマルヘッドにおける図形を印字する第2領域において前記ブロック内を印字するために前記サーマルヘッドに供給する電力量より少なくして印字を行う電力量制御手段と、
前記図形が、シンボルで表されたコードであるか階調を伴う図柄であるかを判断する第2判断手段と、
を備え、
前記第1判断手段は、前記第2判断手段の判断に基づいて、前記ブロック内において前記文字と前記コードが同時に印字されるのか、前記ブロック内において前記文字と前記図柄が同時に印字されるのか、をさらに判断し、
前記速度制御手段は、前記ブロック内において前記文字と前記図柄が同時に印字されると判断した場合に、前記ブロック内において前記文字と前記コードが同時に印字されると判断した場合よりさらに遅い定速とする、
リンタ。
【請求項2】
前記電力量制御手段は、前記ブロック内における前記第1領域への通電時間を前記ブロック内における前記第2領域への通電時間より短くすることで、前記ブロック内における前記第1領域に供給する電力量を前記ブロック内における前記第2領域に供給する電力量より少なくする、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記電力量制御手段は、前記ブロック内における前記第1領域のサーマルヘッドに印加する電圧を前記ブロック内における前記第2領域のサーマルヘッドに印加する電圧より低くすることで、前記ブロック内における前記第1領域に供給する電力量を前記ブロック内における前記第2領域に供給する電力量より少なくする、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記ブロック内において前記文字を印字するための前記第1領域への通電時間は、前記ブロック内に前記文字のみを印字する場合と、前記ブロック内に前記文字と前記コードを印字する場合と、前記ブロック内に前記文字と前記図柄を印字する場合と、で同等の時間である、
請求項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
購入商品を売上登録処理するPOS(Point of Sales)端末に搭載または接続されたレシートプリンタ、携帯型プリンタ、ラベルを印字するラベルプリンタ等のプリンタは、ラインサーマルヘッドを搭載し、感熱用紙(以降「用紙」という)を搬送させながらラインサーマルヘッドによって熱を転写して発色させるサーマルプリンタを使用することが多い。これらのプリンタは、可能な限り用紙の搬送速度を高速にして印字を行っている。
【0003】
印字されるのが文字、数字、記号等(以降「文字」と総称する)の場合は、高速印字を行ってもさほど影響がなく判読できる。しかしながら、バーコードや二次元コード等のコードおよびロゴやクーポン等の図柄(コードおよび図柄を総称して「図形」という)を印字する場合、高速印字を行うと、ヘッドに蓄積された余熱によって意に反して印字されてしまう、いわゆる「尾引き」現象が発生することがある。このような現象が発生すると、例えば印字されたコードが正しく読み取れないこと、あるいは図形の階調が印字しきれなかったりすることがあった。
【0004】
このようなことから、図形を含む印字をする場合は、高速印字を中止して低速にて印字を行うようにしている。
【0005】
しかしながら、図形と文字とを同時に印字する場合、搬送速度を図形に合わせて低速としているため、図形と同時に印字を行う文字については、必要以上の電力を供給して印字を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、文字と図形を同時に印字する場合に、文字の印字に使用する電力量を低く抑えることが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のプリンタは、所定の搬送速度で用紙を搬送し、一ラインに発熱素子が配列されたサーマルヘッドに通電して、前記用紙の搬送方向の所定ドット分のブロック単位で前記用紙に印字を行うプリンタにおいて、前記ブロック内において、前記サーマルヘッドを用いて文字と文字以外の図形とを同時に印字するか否かを判断する第1判断手段と、前記第1判断手段が文字と前記図形とを同時に印字すると判断した場合に、当該ブロック内における前記用紙の搬送速度を前記文字のみを印字するときの搬送速度より遅い定速で搬送する速度制御手段と、前記第1判断手段が文字と前記図形とを同時に印字すると判断した場合に、前記サーマルヘッドにおける前記文字を印字する第1領域において前記ブロック内を印字するために前記サーマルヘッドに供給する電力量を、前記サーマルヘッドにおける図形を印字する第2領域において前記ブロック内を印字するために前記サーマルヘッドに供給する電力量より少なくして印字を行う電力量制御手段と、前記図形が、シンボルで表されたコードであるか階調を伴う図柄であるかを判断する第2判断手段と、を備え、前記第1判断手段は、前記第2判断手段の判断に基づいて、前記ブロック内において前記文字と前記コードが同時に印字されるのか、前記ブロック内において前記文字と前記図柄が同時に印字されるのか、をさらに判断し、前記速度制御手段は、前記ブロック内において前記文字と前記図柄が同時に印字されると判断した場合に、前記ブロック内において前記文字と前記コードが同時に印字されると判断した場合よりさらに遅い定速とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るPOS端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図2は、プリンタの構成を側面から見た概略図である。
図3図3は、プリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、プリンタのメモリ構成の一部を示すメモリマップである。
図5図5は、サーマルヘッドの構造と印字領域を示す説明図である。
図6図6は、サーマルヘッドの構造と印字領域を示す他の説明図である。
図7図7は、POS端末の制御処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、プリンタの機能構成を示す機能ブロック図である。
図9図9は、プリンタの制御処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、プリンタにおけるレシートの印字例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。実施形態では、POS端末に搭載されたプリンタをプリンタの一例として説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
POS端末は、店舗内に設置され、店舗で販売される商品の売上登録処理および決済処理を実行する。売上登録処理とは、顧客との取引において、販売される商品に付されたバーコードや二次元コード等のシンボルで表されたコードを光学的に読み取って当該商品を特定する商品コードを取得し、取得した商品コードに基づいて読み出した、当該商品の商品情報(商品名、価格等)を表示するとともに、当該商品情報をRAM等に記憶する処理をいう。決済処理とは、売上登録処理に伴いRAM等に記憶された商品情報に基づいて、当該取引に係る合計金額を表示する処理、顧客から預かった預り金に基づいて釣銭を計算して表示する処理、釣銭の発行を釣銭機に指示する処理をいう。決済処理後の商品情報や決済情報(合計金額、預り金額、釣銭額等)はプリンタによって印字されたレシートとして発行される。
【0011】
続いて、POS端末1のハードウェア構成について説明する。図1は、POS端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、POS端末1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、メモリ部14等を備えている。CPU11は制御主体となる。ROM12は各種プログラムを記憶する。RAM13はプログラムや各種データを展開する。メモリ部14は各種プログラムを記憶する。CPU11、ROM12、RAM13、メモリ部14は、互いにバス15を介して接続されている。CPU11とROM12とRAM13が、制御部100を構成する。すなわち、制御部100は、CPU11がROM12やメモリ部14に記憶されRAM13に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述するPOS端末1に係る制御処理を実行する。
【0012】
RAM13は、商品情報部131を備えている。商品情報部131は、コードリーダ27で読み取ったコードから取得した当該商品を特定する商品コードに基づいて売上登録処理された商品の商品情報(商品コード、商品名、商品の価格等)を記憶する。
【0013】
メモリ部14は、電源を切っても記憶情報が保持されるHDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。メモリ部14は、制御プログラム部141、商品マスタ142を備える。制御プログラム部141は、POS端末1を制御するための制御プログラムを記憶する。商品マスタ142は、商品毎に(商品コードに対応付けて)当該商品に係る商品情報を記憶する。
【0014】
また、制御部100は、バス15およびコントローラ16を介して、操作部21、オペレータ用表示部22、客用表示部23、プリンタ24、カード読取部25、コードリーダ27と接続している。コントローラ16は、制御部100からの指示を受けて、操作部21、オペレータ用表示部22、客用表示部23、プリンタ24、カード読取部25、コードリーダ27を制御する。以下では、説明の都合上、コントローラ16が行う制御を制御部100が行うとして説明する。
【0015】
操作部21は数字を入力する置数キー、売上登録の終了を宣言する決済キー211等のキーを備えたキーボードである。オペレータ用表示部22は、液晶表示器等で構成され、オペレータである操作者に商品情報、決済情報等を表示する。客用表示部23は、液晶表示器等で構成され、顧客に商品情報、決済情報等を表示する。
【0016】
プリンタ24は、本体内に収納されたロール状のレシート用紙を引き出して、例えば熱転写型のサーマルヘッド241(図2を参照)を備えたサーマルプリンタ等で商品情報、決済情報等を印字し、レシートとして発行する(詳細は、図2を用いて後述する)。カード読取部25は、顧客が提示したクレジットカード等のカードからカード情報を読み取る。コードリーダ27は、例えばハンディタイプのコードリーダである。コードリーダ27は、例えばレーザ等の可視光線を使用して商品や割引券に付されたコードを光学的に読み取る。なお、コードリーダ27は、撮像部(図示せず)が撮像した画像からコードを切り出して読み取るようにしてもよい。
【0017】
また、制御部100は、バス15を介して、通信部26と接続している。通信部26は、通信回線(図示せず)を介して、店内に設置された他のPOS端末1や、POS端末1と接続された、店舗サーバ(図示せず)と通信可能に接続している。店舗サーバは、各POS端末1から商品情報や決済情報を受信して、当該店舗における商品の売上管理を実行する。
【0018】
次に、POS端末1に設けられたプリンタ24について説明する。図2は、POS端末1のプリンタ24の構成を側面から見た概略図である。図2において、プリンタ24は、用紙Pが引き出し可能にセットされている。用紙Pは、長尺状の感熱紙が巻回されたものである。また、プリンタ24は、サーマルヘッド241、プラテン242、搬送モータ243、搬送ローラ244を備える。
【0019】
一対の搬送ローラ244は、用紙Pを挟持して引き出す、または引き出された用紙Pをサーマルヘッド241に向けて搬送する。
【0020】
サーマルヘッド241は、用紙Pの搬送方向と直交する方向に一ラインに整列した多数の発熱素子2411を配置している。サーマルヘッド241は、各発熱素子2411に通電することで発熱する。発熱素子2411が発熱した熱が用紙Pに伝達されることで用紙Pが変色して印字が行われる。サーマルヘッド241の印字制御については、図4図5図8図10で後述する。
【0021】
プラテン242は、サーマルヘッド241の発熱素子2411と対向した位置に設けられる。プラテン242は、円柱状に形成され、例えばゴム状の素材で形成されている。サーマルヘッド241は、プラテン242に向けて付勢されている。プラテン242は、発熱素子2411が設けられた位置でサーマルヘッド241と接触する。プラテン242は、例えばステッピングモータである搬送モータ243が駆動することで回転され、挟持されている用紙Pを矢印Fの方向に搬送する。この状態でサーマルヘッド241は、発熱素子2411を発熱して、挟持された用紙Pに対して印字を行う。
【0022】
図3は、プリンタ24のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、プリンタ24は、CPU31、ROM32、RAM33、メモリ部34等を備えている。CPU31は制御主体となる。ROM32は各種プログラムを記憶する。RAM33はプログラムや各種データを展開する。メモリ部34は各種プログラムを記憶する。CPU31、ROM32、RAM33、メモリ部34は、互いにバス35を介して接続されている。CPU31とROM32とRAM33が、制御部300を構成する。すなわち、制御部300は、CPU31がROM32やメモリ部34に記憶されRAM33に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述するプリンタ24に係る制御処理を実行する。
【0023】
RAM33は、イメージ作成部331を備えている。イメージ作成部331は、POS端末1からコントローラ16を介して入力した印字情報を、制御部300がビットマップ状のイメージデータに展開して保存する領域である。
【0024】
メモリ部34は、電源を切っても記憶情報が保持されるHDDやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。メモリ部34は、制御プログラム部341、印字テーブル342を備える。制御プログラム部341は、プリンタ24を制御するための制御プログラムを記憶する。
【0025】
次に、印字テーブル342について説明する。図4は、印字テーブル342のメモリ構成の一部を示すメモリマップである。印字テーブル342は、図形の印字を行う場合の、用紙Pの搬送速度と、図5および図6で後述する文字の印字に用いる通電時間とを記憶する。すなわち、印字テーブル342は、用紙搬送速度部3421と通電時間部3422とを備える。用紙搬送速度部3421は、図形の一つであるバーコードや二次元コード等のコードを印字する際の用紙Pの搬送速度(定速1(4ips(inch per second)))と、コードとは異なる図形の一つであるロゴやクーポン等の図柄を印字する際の用紙Pの搬送速度(定速2(2ips))を記憶する。定速1および定速2は、文字のみを印字する際の搬送速度(10ips~18ips)より遅い。また、図柄は、多段の階調を有する図形のため、定速2は定速1より遅く設定する。
【0026】
また、通電時間部3422は、定速1および定速2に対応付けた通電時間を記憶する。定速1の場合、同時に文字を印字する領域H1(図5を参照)(第1領域)の発熱素子2411への通電時間は(T1)である。この、通電時間T1は、コードの印字をするために領域H2(第2領域)への通電時間(TC)より短い(通電時間T1は、コードの印字をするための通電時間(TC)の50%~70%程度の時間)。また、定速2の場合、同時に文字を印字する領域H1(図5を参照)(第1領域)の発熱素子2411への通電時間は(T2)である。この、通電時間T2は、図柄の印字をするために領域H2(第2領域)への通電時間(TZ)より短い(通電時間T2は、図柄の印字をするための通電時間(TZ)の30%~50%程度の時間)。なお、通電時間T1と通電時間T2とは、ほぼ同一時間である。
【0027】
図3の説明に戻る。また、制御部300は、バス35およびコントローラ36を介して、表示部37、操作部38、サーマルヘッド241、搬送モータ243と接続している。コントローラ36は、制御部300からの指示を受けて、表示部37、操作部38、サーマルヘッド241、搬送モータ243を制御する。以下では、説明の都合上、コントローラ36が行う制御を制御部300が行うとして説明する。
【0028】
また、制御部300は、バス35を介して、通信部39と接続している。通信部39は、通信回線を介して、コントローラ16と通信可能に接続している。
【0029】
次に、サーマルヘッド241の構造について説明する。図5および図6は、サーマルヘッドの構造と印字領域を示す説明図である。図5に示すように、サーマルヘッド241は、ライン状(一直線状)に並んだ多数の発熱素子2411を有する。各発熱素子2411は個別に通電することで個別に発熱する。発熱素子2411は幅Hに渡って発熱して、用紙Pの幅内の領域に印字を行う。詳細には、幅Hは幅H1の領域(以降領域H1という)と幅H2の領域(以降領域H2という)とに分割されており、制御部300は、各領域について同一の制御を行う。すなわち、制御部300は、領域H1内に存在する発熱素子2411に対して、同一の電力量(例えば同一の通電時間の通電、または同一の電圧の印加)を供給する。実施形態では、領域H1に同一の時間通電することで、各発熱素子2411に同一の電力量を供給する。同様に、制御部300は、領域H2内に存在する発熱素子2411に対して、各発熱素子2411に同一の時間通電して同一の電力量を供給する。実施形態では、制御部300は、領域H1に供給する電力量と領域H2に供給する電力量を同一にすることができる。また、制御部300は、領域H1に供給する電力量と領域H2に供給する電力量を異ならせることができる。
【0030】
図5の例では、領域H1および領域H2には、いずれも文字のみが印字される。そのため、制御部300は、領域H1および領域H2には、同一の電力量の電力を供給する。すなわち、すべての発熱素子2411には、同一時間電圧を印加して電流を流す。なお、図5において、用紙Pの搬送速度は、サーマルヘッド241が用紙Pの搬送方向に所定ドット分印字するブロックBにおいて印字する文字が構成するドット数に応じて決定される。すなわち、ブロックB内に印字するドット数が少なければ、用紙Pの搬送速度は速くなる。一方、ブロックB内に印字するドット数が多ければ、用紙Pの搬送速度は遅くなる。用紙Pの搬送速度は、おおむね10ips~18ips程度で変化する。
【0031】
図6の例は、領域H1に文字を印字し、同時に領域H2にコードを印字する場合を示す図である。この場合、制御部300は、印字テーブル342を参照して、ブロックBにおける用紙Pの搬送速度を設定する。図6の例では、文字だけを印字する搬送速度より遅い定速1を設定する。また、ブロックBにおける領域H1の通電時間をT1に設定する。すなわち、プリンタ24は、ブロックBにおいて、用紙Pの搬送速度を定速1で搬送し、ブロックB内の領域H1においては、発熱素子2411に通電時間T1だけ通電して文字を印字する。一方、領域H2については、通電時間T1より長い通電時間TCだけ通電してコードを印字する。
【0032】
ここからは、POS端末1の制御処理について説明する。図7は、POS端末1の制御処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、POS端末1の制御部100は、コードリーダ27が商品に付されたコードを読み取ることで、当該商品を特定する商品コードを入力したか否かを判断する(S11)。商品コードを入力したと判断した場合には(S11のYes)、制御部100は、入力した商品コードに基づいて商品マスタ142を検索して、当該商品の商品情報を読み出して、商品情報部131に記憶する(S12)。そして制御部100は、S11に戻る。購入するすべての商品について、制御部100は、S11およびS12の処理を繰り返す。
【0033】
一方、商品コードの入力ではないと判断した場合には(S11のNo)、制御部100は、決済キー211が操作されたか否かを判断する(S13)。決済キー211が操作されたと判断した場合には(S13のYes)、制御部100は、商品情報部131に記憶されている商品の商品情報に基づいて決済処理を実行する(S14)。そして制御部100は、商品情報および決済情報に関する印字データをプリンタ24に出力する(S15)。そして制御部100は、S11に戻る。
【0034】
この印字データは、商品情報および決済情報に係る文字データを表すコマンドである。また、この印字データに、バーコードや二次元コード等のコードを印字するためのデータ、コードを表すコマンド、コードの印字位置を示すデータ等を含む場合がある。また、この印字データには、クーポン券等の図柄を印字するためのデータ、図柄を表すコマンド、図柄の印字位置を示すデータ等を含む場合がある。
【0035】
なお、決済キー211の操作ではないと判断した場合には(S13のNo)、制御部100は、S11に戻る。
【0036】
ここからは、プリンタ24の制御について説明する。図8は、プリンタ24の機能構成を示す機能ブロック図である。制御部300は、ROM32やメモリ部34の制御プログラム部341に記憶された制御プログラムに従うことで、第1判断手段301、速度制御手段302、電力量制御手段303、第2判断手段304として機能する。
【0037】
第1判断手段301は、サーマルヘッド241を用いて文字と文字以外の図形とを同時に印字するか否かを判断する機能を有する。
【0038】
速度制御手段302は、第1判断手段301が文字と図形とを同時に印字すると判断した場合に、用紙Pの搬送速度を、文字のみを印字するときの搬送速度より遅い定速で搬送する機能を有する。
【0039】
電力量制御手段303は、第1判断手段301が文字と図形とを同時に印字すると判断した場合に、サーマルヘッド241の文字を印字する第1領域(H1)に供給する電力量を、サーマルヘッドの図形を印字する第2領域(H2)に供給する電力量より少なくして印字を行う機能を有する。
【0040】
第2判断手段304は、図形が、シンボルで表されたコードであるか階調を伴う図柄であるかを判断する機能を有する。
【0041】
図9は、プリンタ24の制御処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、制御部300は、POS端末1のコントローラ16から印字データを入力したか否かを判断する(S21)。印字データが入力されるまで待機し(S21のNo)、印字データが入力されたと判断した場合には(S21のYes)、制御部300は、入力された印字データに基づいて用紙Pに印字するためのイメージデータを作成する(S22)。イメージデータは、用紙Pに印字するためのデータをビットマップに展開したデータであり、ドットの集合体のデータである。サーマルヘッド241が展開されたドットを印字することで、用紙Pへの印字が行われる。制御部300は、作成したイメージデータをイメージ作成部331に記憶する。この段階で、制御部300は、入力されたコードや図柄を表すコマンドに基づいて、どの位置に文字に係るデータが作成され、どの位置にコードに係るデータが作成され、どの位置に図柄に係るデータが作成されたか認識している。
【0042】
次に制御部300は、イメージ作成部331に記憶したイメージデータを所定のブロックに分けたうちの一ブロックに対応するイメージデータを読み出す(S23)。そして制御部300(第1判断手段301、第2判断手段304)は、読み出したイメージデータにコードを表すコードデータが含まれるか否かを判断する(S24)。コードデータが含まれると判断した場合には(S24のYes)、制御部300は、印字テーブル342の用紙搬送速度部3421から定速1の搬送速度(4ips)を読み出す。制御部300(速度制御手段302)は、読み出した搬送速度をRAM33に設定する(S35)。
【0043】
次に制御部300は、通電時間部3422から文字の印字のための通電時間(T1)を読み出す。制御部300(電力量制御手段303)は、読み出した通電時間をRAM33に設定する(S36)。そして制御部300(速度制御手段302、電力量制御手段303)は、設定した搬送速度(定速1)で用紙Pを搬送しながら、コードを印字する(S28)。その際、制御部300は、通電時間(TC)だけ通電してコードを印字する。また制御部300は、通電時間(TC)より短い通電時間(T1)だけ通電して文字を印字する。次に制御部300は、すべてのイメージデータの印字が終了したか否かを判断する(S29)。まだ印字すべきイメージデータがイメージ作成部331にある場合には(S29のNo)、制御部300は、S23に戻り、次のブロックに対応するイメージデータを読み出す。一方、すべてのイメージデータの印字が終了したと判断した場合には(S29のYes)、制御部300は、印字したレシートを発行してS21に戻る。
【0044】
また、コードデータは含まれないと判断した場合には(S24のNo)、制御部300(第1判断手段301、第2判断手段304)は、読み出したイメージデータに図柄を表す図柄データが含まれるか否かを判断する(S25)。図柄データが含まれると判断した場合には(S25のYes)、制御部300は、印字テーブル342の用紙搬送速度部3421から定速2の搬送速度(2ips)を読み出す。制御部300(速度制御手段302)は、読み出した搬送速度をRAM33に設定する(S31)。次に制御部300は、通電時間部3422から文字の印字のための通電時間(T2)を読みだす。制御部300(電力量制御手段303)は、読み出した通電時間をRAM33に設定する(S32)。そして制御部300は、設定した搬送速度(定速2)で用紙Pを搬送しながら、図柄を印字する(S28)。その際、制御部300は、通電時間(TZ)だけ通電して図柄を印字する。また制御部300は、通電時間(TZ)より短い通電時間(T2)だけ通電して、文字を印字する。そして制御部300は、S29の処理を実行する。
【0045】
また、図柄データは含まれないと判断した場合には(S25のNo)、制御部300は、文字のみを印字するのに必要な用紙Pの搬送速度を算出する。制御部300は、ブロックB内のイメージデータとしてのドット数に応じて用紙Pの搬送速度を算出する。そして制御部300は、算出した用紙Pの搬送速度をRAM33に設定する(S26)。次に制御部300は、文字のみを印字する際の所定の通電時間を設定する(S27)。制御部300は、この通電時間として、通電時間T1や通電時間T2と同等の時間を設定する。そして制御部300は、設定した搬送速度で用紙Pを搬送しながら、文字を印字する(S28)。そして制御部300は、S29の処理を実行する。
【0046】
ここで、制御部300が処理する印字の状態と発行されたレシートの関係を説明する。図10は、プリンタにおけるレシートの印字例を示す説明図である。図10に示すように、制御部300は、レシートRを印字する際に、5つのブロック(B1~B5)に分けて印字処理を行う。ブロックB1は、店舗や店舗を運営する企業のロゴが印字されるため、制御部300は、搬送速度(定速2)で用紙Pを搬送する。かつ制御部300は、通電時間TZだけ通電して、領域H2に存在する図柄を印字する。
【0047】
続いて、制御部300は、ブロックB2を印字する。ブロックB2は文字データしか存在しない。そのため制御部300は、ブロックB2に存在する文字を表すドットの数に基づいて、用紙Pの搬送速度を設定し、所定の通電時間通電を行って印字を行う。ブロックB3およびブロックB4も文字データしかないため、制御部300は、ブロックR2と同様の処理を行う。
【0048】
ブロックB5は、領域H1に文字データを印字し、領域H2にコードデータを印字する。そのため、制御部300は、搬送速度(定速1)で用紙Pを搬送する。かつ制御部300は、通電時間T1だけ通電して、領域H1に存在する文字を印字する。かつ、制御部300は、通電時間TCだけ通電して、領域H2に存在するコードを印字する。
【0049】
このような実施形態によれば、コードや図柄を印字する際に、文字の印字のための通電時間を短く設定することができる。そのためコードや図柄を印字する際に同時に印字する文字の印字に過剰な電力を供給することがなく、コードや図柄を印字しながら電力消費を抑えることができる。また、文字の印字に過剰な電力を供給しないため、熱を印加し過ぎて文字がにじむことを防止することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態やその変形例を説明したが、この実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0051】
例えば、実施形態では、文字を印字する際に発熱素子2411への通電時間を短く制御することで、電力量を抑えるようにした。しかしながら、文字を印字する発熱素子2411への印加電圧を低く設定することで電力量を抑えるようにしてもよい。
【0052】
また、実施形態では、POS端末1に組み込まれたプリンタ24をプリンタとして説明した。しかしながら、プリンタ24は、POS端末1の外部に設けられた、POS端末1とは別の装置であって、POS端末1と通信回線で接続されたものであってもよい。
【0053】
なお、実施形態のプリンタ24で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0054】
また、実施形態のプリンタ24で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施形態のプリンタ24で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0055】
また、実施形態のプリンタ24で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 POS端末
24 プリンタ
241 サーマルヘッド
100 制御部
300 制御部
301 第1判断手段
302 速度制御手段
303 電力量制御手段
304 第2判断手段
331 イメージ作成部
342 印字テーブル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【文献】特開2012-66473号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10