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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】トレイユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20220121BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20220121BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20220121BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20220121BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
H05K5/02 H
H05K7/18 B
F16B2/22 Z
G02B6/46
F16B5/06 W
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017201775
(22)【出願日】2017-10-18
(65)【公開番号】P2019075495
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖 栄輔
(72)【発明者】
【氏名】今川 知美
(72)【発明者】
【氏名】横地 隆径
(72)【発明者】
【氏名】山内 孝泰
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-173305(JP,A)
【文献】特開2001-275766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0105987(US,A1)
【文献】特開平05-076429(JP,A)
【文献】特開2017-057707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 7/18
F16B 2/22
G02B 6/46
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側端部に突起が設けられた複数のトレイと、
前記トレイを水平方向にスライド自在に収納するレール部が上下に複数段設けられた一対の枠部と、
を備え、
各段の前記レール部は、前記トレイの側端部と対向する面にクランプを有し、
各段の前記クランプは上下方向に配列されており、
前記クランプはそれぞれ前記突起が嵌合可能な開口を有し、
前記トレイの側端部が前記レール部に対して所定の位置に移動するときに、前記クランプが前記レール部の上下方向に弾性変形して前記突起が前記開口に嵌合し、
上下方向に配列された各段の前記クランプは連結されてクランプ連結体を構成しており、
前記クランプ連結体は、前記枠部とは別体構造であり、
前記クランプ連結体を前記枠部に対して上下方向に差し込むことにより組立可能である、トレイユニット。
【請求項2】
前記クランプ連結体は、上下対称に形成されており、
前記クランプ連結体を上下方向から見たときに、前後方向に非対称となっている、請求項に記載のトレイユニット。
【請求項3】
前記クランプ連結体は、上下の端部に水平方向に設けられた凹部を有する、請求項または請求項に記載のトレイユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電気電子機器用のラックに取り付け、ユニット本体にトレイをスライド自在に収納するスライドレールを備えたユニットケースが知られている(例えば、特許文献1~5参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-164448号公報
【文献】特開2009-165501号公報
【文献】特開2009-158630号公報
【文献】特開2009-153667号公報
【文献】特開2000-102431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~5に記載されたユニットケースのスライドレールは、その幅が大きくなるような複雑な構造であり、このためユニットケースの高さが高くなってしまう。また、1つのユニットケースには1つのトレイのみが収納されている。これらによって、ラックに複数段のトレイを上下方向に積層させた場合、上下方向におけるラックへのトレイ収容サイズが大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、ラックに複数段のトレイを上下方向に積層させた場合に、上下方向におけるラックへのトレイ収容サイズを小さくすることができるトレイユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るトレイユニットは、
側端部に突起が設けられた複数のトレイと、
前記トレイを水平方向にスライド自在に収納するレール部が上下に複数段設けられた一対の枠部と、
を備え、
各段の前記レール部は、前記トレイの側端部と対向する面にクランプを有し、
各段の前記クランプは上下方向に配列されており、
前記クランプはそれぞれ前記突起が嵌合可能な開口を有し、
前記トレイの側端部が前記レール部に対して所定の位置に移動するときに、前記クランプが前記レール部の上下方向に弾性変形して前記突起が前記開口に嵌合する。
【発明の効果】
【0007】
上記発明のトレイユニットによれば、ラックに複数段のトレイを上下方向に積層させた場合に、上下方向におけるラックへのトレイ収容サイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るトレイユニットの外観図である。
図2】トレイユニットの枠部とトレイを示す図である。
図3】トレイ側端部の突起を示す図である。
図4】トレイユニットのクランプ連結体を説明する図である。
図5】枠部へのクランプ連結体の差し込み方を示す図である。
図6A】クランプ連結体を枠部の前面側の差し込み部に差し込んだ状態を示す図である。
図6B】クランプ連結体を枠部の後面側の差し込み部に差し込んだ状態を示す図である。
図7A】トレイ引き出し状態でクランプと突起が嵌合した状態を示す図である。
図7B】トレイ収納状態でクランプと突起が嵌合した状態を示す図である。
図8A】クランプ連結体の引き抜き方法の一例を説明する図である。
図8B】クランプ連結体の引き抜き方法の一例を説明する図である。
図8C】クランプ連結体の引き抜き方法の一例を説明する図である。
図9】搭載された複数のトレイユニットの積層状態を説明するラックの一部の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の実施形態の説明)
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係るトレイユニットは、
(1)側端部に突起が設けられた複数のトレイと、
前記トレイを水平方向にスライド自在に収納するレール部が上下に複数段設けられた一対の枠部と、
を備え、
各段の前記レール部は、前記トレイの側端部と対向する面にクランプを有し、
各段の前記クランプは上下方向に配列されており、
前記クランプはそれぞれ前記突起が嵌合可能な開口を有し、
前記トレイの側端部が前記レール部に対して所定の位置に移動するときに、前記クランプが前記レール部の上下方向に弾性変形して前記突起が前記開口に嵌合する。
上記構成によれば、トレイユニットの枠部に複数段設けられた各レール部は、上下方向に弾性変形して突起が開口に嵌合するクランプがそれぞれ設けられて上下方向に配列されている比較的簡単な構造であるので、レール部すなわちトレイ一段あたりの高さを低くできる。また、1つのトレイユニット内に複数段のトレイを収容できる。これらにより、ラックに複数段のトレイを上下方向に積層させた場合に、上下方向におけるラックへのトレイ収容サイズを小さくすることができる。
【0010】
(2)上下方向に配列された各段の前記クランプは連結されてクランプ連結体を構成しており、
前記クランプ連結体は、前記枠部とは別体構造であり、
前記クランプ連結体を前記枠部に対して上下方向に差し込むことにより組立可能であってもよい。
上記構成によれば、トレイユニットにおいて枠部とクランプ連結体とが別体構造であるので一体構造とするよりもトレイユニットの製造が容易であり、また、クランプ連結体を枠部に対して上下方向に差し込むことでトレイユニットの組立ができるので、トレイユニットの組立作業も容易である。
【0011】
(3)前記クランプ連結体は、上下対称に形成されており、
前記クランプ連結体を上下方向から見たときに、前後方向に非対称となっていてもよい。
上記構成によれば、クランプ連結体は、上下対称であるので、各クランプ連結体を製造する金型を共通にできるなど製造コストを低減することができる。また、枠部に上下方向から差し込む際に、作業者から見てクランプ連結体が前後方向に非対称となっているので、前後の向きを間違えることなくトレイユニットの組立ができる。
【0012】
(4)前記クランプ連結体は、上下の端部に水平方向に設けられた凹部を有していてもよい。
上記構成によれば、クランプ連結体の端部の水平方向に設けられた凹部に、工具の先端などをひっかけることでクランプ連結体を枠部から容易に引き抜くことができる。これにより、トレイのメンテナンス作業等が容易にできる。
【0013】
(本発明の実施形態の詳細)
本発明の実施形態に係るトレイユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
図1は、本実施形態に係るトレイユニットの外観図を示す。図1に示すように、トレイユニット1は、上下方向へ積層される複数(本実施形態では8段)のトレイ2を備えている。各トレイ2には、例えば、電話局やデータセンターなどにおいて、外線から導入される光ケーブルが接続される接続部等が設けられている。この接続部等は、例えばラック等に積層状態に配列される。
【0015】
トレイユニット1に収納されたトレイ2は、筐体部11に固定されている。筐体部11に固定されたトレイ2の上側は、天板12によって覆われている。
【0016】
図2は、天板12や筐体部11、およびトレイ2内に配置される光ケーブルや接続部等を取り外した状態のトレイユニット1を示す図である。また、図2は、一つのトレイ2のみが取り付けられている状態のトレイユニット1を示す図である。図2に示すように、トレイユニット1は、左右方向の両側部に対向して配置される一対の枠部(右側部の枠部3,左側部の枠部4)を備えている。
【0017】
枠部3,4は、矩形状の基台板部31、41と、基台板部31,41に設けられた複数(本実施形態では9枚)の誘導平板32(32a~32i),42(42a~42i)と、を有している。
【0018】
基台板部31、41は、トレイユニット1の左右方向の両側部に垂直方向へ立設され前後方向へ延びるように配置されている。
【0019】
誘導平板32a~32iは、板面を上下方向に向けて基台板部31の左側の面(内側面)上に前後方向へ延びるように設けられている。誘導平板42a~42iは、板面を上下方向に向けて基台板部41の右側の面(内側面)上に前後方向へ延びるように設けられている。誘導平板32a~32iの各誘導平板および誘導平板42a~42iの各誘導平板は、それぞれ平行に等間隔で設けられている。誘導平板32a~32iの各誘導平板と誘導平板42a~42iの各誘導平板とは、それぞれが互いに対向するように設けられている。
【0020】
誘導平板32a~32iおよび誘導平板42a~42iは、一番上側の誘導平板32a,42aと一番下側の誘導平板32i,42iとが基台板部31,41の前後方向の長さと同じ長さに形成されている。それ以外の誘導平板32b~32h,42b~42hの長さは、基台板部31,41の前後方向の長さよりも短く形成されている。短く形成された誘導平板32b~32h,42b~42hは、基台板部31,41の前面側に寄って配置されている。
【0021】
基台板部31,41には、平行に設けられた誘導平板32a~32i,42a~42iにより、それぞれの誘導平板間にトレイユニット1の前後方向へ延びる複数段の誘導路33a~33h,43a~43hが形成されている。これらの誘導路33a~33h,43a~43hは、トレイ2をトレイユニット1の前後の水平方向へスライド自在に引き出しまたは収納可能な「レール部」を構成する。
枠部3,4の後面側には、各段のトレイ2の間に仕切り板24が設置される。仕切り板24は、トレイ2をトレイユニット1の前後の水平方向へ引き出しまたは収納する際、トレイ2の後面側に伸びる光ケーブル類を巻き込まないようにするためのものである。
【0022】
トレイ2は、底板21と、底板21の左右方向の両側部に垂直方向に立設する側壁22(右側の側壁22a,左側の側壁22b)と、を有している。
【0023】
トレイ2は、左右方向の両側の側壁22(右側の側壁22a,左側の側壁22b)が枠部3,4の基台板部31,41にそれぞれ対向するようにレール部33a~33h,43a~43h内に差し込まれる。トレイ2は、レール部33a~33h,43a~43hに沿って前後方向へスライドする。
【0024】
枠部3,4は、一番下側の誘導平板32i,42iが筐体部11(図1参照)に、例えば、ビス止めにより固定されている。枠部3,4の高さは、筐体部11の内側高さとほぼ同じで僅かに低い高さとなるように形成されている。天板12(図1参照)は、筐体部11と枠部3,4の一番上側の誘導平板32a,42aとに、例えば、ビス止めにより固定されている。
【0025】
図3は、図2に示されるトレイユニット1の一方の枠部4を取り外した状態を示す図である。図3に示すように、トレイ2の側端部には突起23が設けられている。本実施形態では、左側の側壁22bの後面(背面)側の端部に突起23bが設けられている。突起23bは、側壁22bの左側の面(外側面)から水平方向に突出して設けられている。突起23bの形状は、例えば、円柱状、多角柱状等に形成されている。なお、トレイ2には右側の側壁22aにも上記突起23bと同様の位置に、同様の形状を有する突起23a(図示せず)が形成されている。トレイ2の突起23a,23bは、枠部3,4に設けられているクランプと嵌合するように構成されている。
【0026】
枠部3のクランプは、基台板部31において、トレイ2の側壁22aと対向する側の面に設けられている。枠部3には、図3に示すように、枠部3の前面側に設けられた前側クランプ34a~34hと、枠部3の後面側に設けられた後側クランプ35a~35hとが設けられている。前側クランプ34a~34hの各々は、各段のレール部33a~33h内にそれぞれ配置されている。前側クランプ34a~34hは、レール部33a~33h内の前面側に設けられるとともに、上下方向へ一列に並ぶように設けられている。後側クランプ35a~35hの各々は、前側クランプ34a~34hの各々と同じ高さになるように設けられるとともに、上下方向へ一列に並ぶように設けられている。なお、図3において取り外されている枠部4には、上記枠部3の前側クランプ34a~34hおよび後側クランプ35a~35hと同様の構成で、前側クランプ44a~44hおよび後側クランプ45a~45hが設けられている。
【0027】
レール部33a~33h,43a~43hに差し込まれた各トレイ2は、前側クランプ34a~34h,44a~44hと後側クランプ35a~35h,45a~45hとの間で前後方向へそれぞれスライド可能である。各トレイ2は、後面側へスライドされて収納されたときに、各突起23a,23bが後側クランプ35a~35h,45a~45hに嵌合し固定される。また、各トレイ2は、前面側へスライドされて引き出されたときに、各突起23a,23bが前側クランプ34a~34hに嵌合し固定される。
【0028】
上下方向へ一列に並ぶように配列された各段のクランプ、すなわち前側クランプ34a~34h、後側クランプ35a~35h、前側クランプ44a~44h、および後側クランプ45a~45hは、連結されてそれぞれ一つのクランプ連結体を構成している。
【0029】
図4に、前側クランプ34a~34hで構成されるクランプ連結体34と、後側クランプ35a~35hで構成されるクランプ連結体35と、前側クランプ44a~44hで構成されるクランプ連結体44と、後側クランプ45a~45hで構成されるクランプ連結体45と、を示す。
【0030】
図4に示すように、各クランプ連結体34,35,44,45は、枠部3,4とは別体の独立した部材として形成されている。クランプ連結体34,35,44,45は、枠部3,4に形成されている差し込み部36,37,46,47に対して上下方向へ差し込むことにより組み立てできるように構成されている。差し込み部36,37,46,47は、枠部3,4を上下に貫通する差し込み孔として形成されている。また、クランプ連結体34,35,44,45は、差し込み部36,37,46,47に対して着脱可能に構成されている。
組み立てる際は、まず後側クランプ35a~35hで構成されるクランプ連結体35と、後側クランプ45a~45hで構成されるクランプ連結体45を差し込んだ後、各トレイ2を全数トレイユニット1に収納する。最後に、前側クランプ34a~34hで構成されるクランプ連結体34と、前側クランプ44a~44hで構成されるクランプ連結体44を差し込む。
【0031】
図5は、差し込み部46,47に上方側からクランプ連結体44,45を差し込んでいる途中の状態を示す図である。図4および図5に示すように、各クランプ連結体34,35,44,45は、前後方向から見たときに、上下対称に形成されている。また、各クランプ連結体34,35,44,45は、上下方向から見たときに、前後方向に非対称に形成されている。各クランプ連結体34,35,44,45には、例えば、前後方向の一方側のみに、前後を判別可能な突起部51,52,61,62が設けられている。クランプ連結体34,35,44,45は、全て同一の構造に形成されている。クランプ連結体34,35,44,45は、差し込み部36,37,46,47に装着されることにより、各クランプ連結体を構成するそれぞれのクランプが図3に示されるように所定の位置に配置されるようになっている。
【0032】
クランプ連結体34,35,44,45の各クランプ、すなわち前側クランプ34a~34h、後側クランプ35a~35h、前側クランプ44a~44h、および後側クランプ45a~45hは、トレイ2の突起23a,23bが嵌合可能な開口53a~53h,54a~54h,63a~63h,64a~64hが設けられている。例えば、各クランプは弾性変形可能な二つの腕部を有するC字型形状に形成されており、このC字型の開口部分が、それぞれのクランプの開口(53a~53h,54a~54h,63a~63h,64a~64h)となっている。
【0033】
クランプ連結体34,35を差し込み部36,37に差し込んだとき、前側クランプ34a~34hおよび後側クランプ35a~35hの各々は、基台板部31の厚さ方向へ内側面から突出した状態で設けられている。同様に、クランプ連結体44,45を差し込み部46,47に差し込んだとき、前側クランプ44a~44hおよび後側クランプ45a~45hの各々は、基台板部41の厚さ方向へ内側面から突出した状態で設けられている。
【0034】
また、クランプ連結体34,35を差し込み部36,37に差し込んだとき、クランプ連結体34の各開口53a~53hとクランプ連結体35の各開口54a~54hとは互いに対向するように設けられている。同様に、クランプ連結体44,45を差し込み部46,47に差し込んだとき、クランプ連結体44の各開口63a~63hとクランプ連結体45の各開口64a~64hとは互いに対向するように設けられている。
【0035】
図6Aは、クランプ連結体44を枠部4の前面側の差し込み部46に差し込んだ状態を基台板部41の内側面の側から観察した図である。図6Aに示すように、クランプ連結体44のクランプ44aの開口63aおよびクランプ44bの開口63bは、後方を向くように設けられている。また、クランプ44aおよびクランプ44bは、基台板部41の厚さ方向へ内側面から突出して設けられている。
【0036】
図6Bは、クランプ連結体45を枠部4の後面側の差し込み部47に差し込んだ状態を基台板部41の内側面の側から観察した図である。図6Bに示すように、クランプ連結体45のクランプ45aの開口64aおよびクランプ45bの開口64bは、前方を向くように設けられている。また、クランプ45aおよびクランプ45bは、基台板部41の厚さ方向へ内側面から突出して設けられている。
【0037】
図7Aは、トレイ2が引き出されトレイ2の突起23bが枠部4のクランプ連結体44に嵌合した状態を基台板部41の外側面の側から観察した図である。図7Aに示すように、トレイ2が枠部4のレール部43hに対して前方の所定の引き出し位置まで移動すると、突起23bがクランプ連結体44のクランプ44hに当接し、クランプ44hの開口63hを押し広げるように上下方向に弾性変形させて、クランプ44hの開口63hに突起23bが嵌合する。
【0038】
図7Bは、トレイ2が収納されトレイ2の突起23bが枠部4のクランプ連結体45に嵌合した状態を基台板部41の外側面の側から観察した図である。図7Bに示すように、トレイ2が枠部4のレール部43hに対して後方の所定の収納位置まで移動すると、突起23bがクランプ連結体45のクランプ45hに当接し、クランプ45hの開口63hを押し広げるように上下方向に弾性変形させて、クランプ45hの開口64hに突起23bが嵌合する。
【0039】
次に、枠部3,4からクランプ連結体34,35,44,45を引き抜く際の引き抜き方法の一例について図8A図8Cを参照して説明する。
クランプ連結体34の上端部および下端部には、図8Aに示すように、水平方向に設けられた凹部55が形成されている。この凹部55は、クランプ連結体34の引き抜き時に使用される。なお、他のクランプ連結体35,44,45もクランプ連結体34と同様に凹部55が形成されている。
【0040】
図8B図8Cに示すように、枠部3の差し込み部36に装着されたクランプ連結体34は、工具71を用いて引き抜くことが可能である。例えば、工具71としてマイナスドライバを用いることができる。
まず、図8Bに示すように、工具71の先端を差し込み部36とクランプ連結体34との隙間に差し込んで、図8Bでは見えていない凹部55(図8A参照)に工具71の先端を入れてクランプ連結体34を引っ掛ける。続いて、図8Cに示すように、クランプ連結体34が工具71に引っ掛かっている状態(凹部55に工具71の先端が入っている状態)で、クランプ連結体34を上方(矢印で示すA方向)へ垂直に引き上げる。さらに、工具71で引き上げ続けることにより、枠部3の差し込み部36からクランプ連結体34を引き抜くことができる。なお、その他のクランプ連結体35,44,45も同様にして引き抜くことが可能である。
【0041】
次に、トレイユニット1の使用例について説明する。
トレイユニット1は、例えば、電話局やデータセンターなどにおいてラックに搭載して使用される。図9は、搭載された複数のトレイユニット1の積層状態を説明するラックの一部の外観を示す図である。図9では、トレイユニット1が上下方向へ複数段に積層されてラック70に搭載された状態を示しており、ラック70の側板等を外して積層状態がわかりやすいように図示している。
【0042】
ラック70において、上下方向へ複数段に積層されて搭載されたトレイユニット1の各段のレール部(33a~33h、43a~43h:図2等参照)は、比較的簡単な構造であるので、従来のユニットケースにおけるスライドレールよりも幅が狭い(高さが低い)。かつ、ラック70に搭載された一段のトレイユニット1内に上下方向へ積層された複数段(本例では8段)のトレイ2が収納されている。したがって、図9に示すラック70に積層できるトレイ2の枚数は、従来のユニットケースを用いた場合よりも多くなる。
【0043】
以上のような構成のトレイユニット1によれば、枠部3に複数段設けられた各レール部33a~33hには前側クランプ34a~34hと後側クランプ35a~35hがそれぞれ設けられている。また、枠部4に複数段設けられた各レール部43a~43hには前側クランプ44a~44hと後側クランプ45a~45hがそれぞれ設けられている。そして、これらのレール部は、上下方向に配列されており、各クランプが上下方向に弾性変形して開口53a~53h,54a~54h,63a~63h,64a~64hにトレイ2の突起23a,23bが嵌合される比較的簡単な構造である。このため、レール部33a~33h,43a~43hの高さ、すなわちトレイ一段あたりの高さを低くすることができるとともに、1つのトレイユニット1内に複数段のトレイ2を収容することができる。これにより、例えば図9に示すように、ラック70にトレイユニット1を積層して搭載させた場合、上下方向におけるラック70へのトレイ収容サイズを小さくすることができる。これにより、従来と同じ高さのラックを用いた場合は、トレイ積層枚数を従来よりも多くすることができる。あるいは、従来よりも低いラックに従来と同じ枚数のトレイを積層することができる。
【0044】
また、トレイユニット1において枠部3,4とクランプ連結体34,35,44,45とが別体構造となっている。別体構造であるので一体構造とするよりもトレイユニット1の製造が容易である。さらに、クランプ連結体34,35,44,45を枠部3,4に対して上下方向に差し込むことでトレイユニット1の組立ができるので、トレイユニット1の組立作業も容易である。
【0045】
また、クランプ連結体34,35,44,45は、上下対称である。これにより、各クランプ連結体34,35,44,45を製造する金型を共通にできるなど製造コストを低減することができる。さらに、枠部3,4にクランプ連結体34,35,44,45を差し込む際に、作業者から見てクランプ連結体34,35,44,45が前後方向に非対称となっているので、前後の向きを間違えることなくトレイユニット1の組立ができる。
【0046】
また、クランプ連結体34,35,44,45の端部に水平方向に設けられた凹部55を有する。工具71(例えばマイナスドライバ)の先端を凹部55に入れることでクランプ連結体34,35,44,45を引っ掛けて枠部3,4から容易に引き抜くことができる。このため、トレイ2のメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、クランプは、前側(34a~34h、44a~44h)と後側(35a~35h、45a~45h)にそれぞれ設けられているが、前側もしくは後側のいずれか一方のみに設けられたものでもよい。例えば、後側のみにクランプを設ければ、後側クランプ35a~35h,45a~45hに各突起23a,23bが嵌合して固定されることで、ラックの振動等でトレイ2の位置がずれることを防ぐことができる。また、トレイユニット1への各トレイ2の収納および取り外しは自由に行うことができる。
【0048】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【符号の説明】
【0049】
1:トレイユニット
2:トレイ
3,4:枠部
21:底板
22(22a,22b):側壁
23(23a,23b):突起
24:仕切り板
31,41:基台板部
32(32a~32i),42(42a~42i):誘導平板
33a~33h,43a~43h:誘導路(レール部)
34,35,44,45:クランプ連結体
34a~34h,44a~44h:前側クランプ
35a~35h,45a~45h:後側クランプ
36,37,46,47:差し込み部
51,52,61,62:突起部
53a~53h,54a~54h,63a~63h,64a~64h:開口
55:凹部
70:ラック
71:工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9