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  • 特許-食品容器および発熱具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】食品容器および発熱具
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
B65D81/34 T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017202810
(22)【出願日】2017-10-19
(65)【公開番号】P2019073330
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】506339992
【氏名又は名称】有限会社しほまねき
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】尾城 大介
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-084667(JP,A)
【文献】特開平02-029219(JP,A)
【文献】特開2004-189321(JP,A)
【文献】特開2007-275339(JP,A)
【文献】特開平01-182274(JP,A)
【文献】特開平02-154716(JP,A)
【文献】実開昭60-093739(JP,U)
【文献】国際公開第2010/103347(WO,A1)
【文献】米国特許第03871357(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部および前記底部の周縁から立設する側壁部を有し、上部に開口を有する容器本体と、
前記容器本体の内部に設置される中皿体であって、発熱シートが載置される発熱シート載置面を構成する水平方向に対して傾斜する傾斜面部、および前記容器本体の内部に設置された状態において最も下方に位置する最深部を有する中皿体と、
前記容器本体の前記開口を覆うための蓋体と、を備え、
前記発熱シートには、長尺の開封具により開封される水袋であって液体が封入される不透水性の水袋と、前記開封具により開封される発熱剤袋であって前記水袋に封入される前記液体と発熱反応する発熱剤が封入される不透水性の発熱剤袋と、が横並びに形成され、
前記中皿体は、前記発熱シートの前記発熱剤袋が前記水袋よりも前記最深部の近くに位置した状態で、前記発熱シートが前記発熱シート載置面に載置されるように構成されることを特徴とする食品容器。
【請求項2】
前記中皿体は、前記発熱シート載置面に前記発熱シートが載置された状態で、前記発熱シートが有する被係合部と係合する発熱シート係合部を有することを特徴とする請求項1に記載の食品容器。
【請求項3】
前記発熱シート係合部は、前記発熱シート載置面側から突起するように前記傾斜面部に設けられることを特徴とする請求項2に記載の食品容器。
【請求項4】
前記傾斜面部は、一方向に沿って下降するように傾斜することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の食品容器。
【請求項5】
前記傾斜面部は、一方向に沿って下降すると共に、前記一方向に対して直交する方向における前記傾斜面部の中央に向かって下降するように傾斜する部分を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品の温度を調整するための温度調整具を内部に入れて使用可能な食品容器に関し、特に、発熱具を収容可能な食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品と共に食品容器の内部に収容することで、食品容器内部の食品を食前に加熱することが可能な発熱具が知られている(例えば、特許文献1~4)。例えば、特許文献1には、発熱剤および水袋を収容した水密容器の上面を易引裂性フィルムで被覆し、水密容器の易引裂性フィルム及び水袋を長尺状の開封具で引裂開封するよう構成された発熱具(加熱具)が開示されている。より詳細には、食品容器内部において食品の下方に設置された状態で開封具を引っ張ることにより易引裂性フィルムおよび水袋を順番に引き裂く。そして、引き裂かれた水袋から流れ出た水と、透水性の袋体に収容されている発熱剤とが水密容器の内部で接触(反応)し、発生した高温水蒸気によって食品容器の内部の食品が加熱される。
【0003】
また、特許文献2~3には、このような発熱具を載置するための中皿体を備えた食品容器が開示されており、容器本体の内部に設置した中皿体(特許文献2の収容部設置体、特許文献3の受け皿)に開封具(破断紐)を備える発熱具などの温度調整具を設置し、中皿体の上方に収容される食品の温度を調整することが可能となっている。なお、特許文献3の発熱具は、発熱剤袋の上部に水袋を積み重ねた状態で使用されるタイプのものとなっている。
【0004】
他方、特許文献4には、使用時において人手で水袋を破って水浸透性の発熱剤袋に注ぐタイプの発熱具を収容してなる発熱ユニットと、発熱ユニットの上部に対して繰り返しの着脱が可能な食品容器と、食品容器の開口を着脱可能に塞ぐ蓋体からなる発熱性食品加熱容器が開示されている。上記の発熱ユニットの容器の底板の上面に中央底部と中央底部に向かって周縁部より下降する傾斜面とが設けられる。これによって、使用者が水袋の水を発熱ユニットの容器の発熱剤袋が置かれていない場所に流し込んだ場合にも、この水が斜面を流れて中央底部に収容された発熱剤に確実に接触するようにできるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-248981号公報
【文献】実用新案登録第3198407号
【文献】特開平11-292155号公報
【文献】特開2007-275339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特許文献1に示す発熱具は、発熱具毎に水密容器が必要なため、その分だけ材料費などのコストがかかる。また、引っ張られることにより水袋を引き裂いて開封するため開封具を水密容器の内部から外部に伸ばした状態で水密容器の上部を易引裂性フィルムで被覆する。つまり、水密容器と蓋との間に開封具が挟まれた状態で被覆されるため、人手で引っ張って使用する開封具の性質上、水密容器の内部を十分に密封できない場合がある。よって、開封具の設置個所に生じる隙間から侵入する水分と発熱剤との反応が徐々に進行することから、発熱具の使用期限は例えば1か月など比較的短期間になる。そして、発熱具の使用期限が短期間に制限されると、長期の保管ができず、発熱具のコストを下げるのが困難になる。
【0007】
この点、特許文献3のように水袋および発熱剤袋を別々に密封することで使用期限の長期化を図ることが可能と考えられる。しかし、特許文献3のように、水袋と発熱剤袋とが互いに接触した状態で上下に重ねて配置された発熱具では、特許文献1によると、水袋を透過する僅かな水分が発熱剤に接触する場合があり、保管期間の経過に伴って、発熱具を使用する前に発熱剤の反応が進行する場合がある。また、特許文献4では水袋と水浸透性の発熱剤袋が上下に直接重ねられていないが、そもそも、発熱剤袋は水を透過させるタイプの袋であり、大気中の水分との反応が進行しやすい。さらに、特許文献4の発熱性食品加熱容器は開封具を用いないタイプの発熱具の使用を前提としており、開封具を有さない発熱具は利便性に劣る。
【0008】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、開封具を有する発熱具のコストを低減しつつ、発熱具による発熱反応を適切に生じさせることが可能な食品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る食品容器は、
底部および前記底部の周縁から立設する側壁部を有し、上部に開口を有する容器本体と、
前記容器本体の内部に設置される中皿体であって、発熱シートが載置される発熱シート載置面を構成する水平方向に対して傾斜する傾斜面部、および前記容器本体の内部に設置された状態において最も下方に位置する最深部を有する中皿体と、
前記容器本体の前記開口を覆うための蓋体と、を備え、
前記発熱シートには、長尺の開封具により開封される水袋であって液体が封入される不透水性の水袋と、前記開封具により開封される発熱剤袋であって前記水袋に封入される前記液体と発熱反応する発熱剤が封入される不透水性の発熱剤袋と、が横並びに形成され、
前記中皿体は、前記発熱シートの前記発熱剤袋が前記水袋よりも前記最深部の近くに位置した状態で、前記発熱シートが前記発熱シート載置面に載置されるように構成される。
【0010】
上記(1)の構成によれば、食品容器は、不透水性の水袋および発熱剤袋が横並びに形成された発熱シートを収容するための中皿体を備える。また、中皿体における発熱シートが載置される発熱シート載置面は、水平方向に対して傾斜する傾斜面部によって構成される。これによって、発熱シートを、発熱シートにおける発熱剤袋が水袋よりも中皿体の最深部の近くに位置した状態になるように中皿体に設置することにより、開封具により開封された水袋の液体(通常は、水)が、同じく開封具により開封された発熱剤袋の発熱剤に向かうようにすることができると共に、中皿体において水などの液体と発熱剤とが接触しない部分が生じるのを防止して、液体と発熱剤との発熱反応を適切に生じさせることができる。
【0011】
つまり、上記の構成によれば、食品容器が備える中皿体は、発熱具を設置するための部材としての役割のみならず、水袋から流出する液体を発熱剤と反応させるために溜める水密容器の役割をも担う。これによって、従来、発熱具毎に設ける必要があった水密容器の部材を不要とすることができ、使い捨てられる発熱具の製造コストを下げることができる。さらに、発熱シートでは液体および発熱剤を不透水性の袋で別々に収容すると共に、その状態で開封具を用いて両袋の開封を可能に構成することにより、発熱具の利便性を維持したまま、大気中の水分に対する発熱剤の保護能力が高められる結果、発熱具の使用期限をより長期化することができる。
【0012】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記中皿体は、前記発熱シート載置面に前記発熱シートが載置された状態で、前記発熱シートが有する被係合部と係合する発熱シート係合部を有する。
上記(2)の構成によれば、中皿体が発熱シート係合部を有することによって、発熱剤袋が水袋よりも中皿体の最深部の近くに位置した状態で発熱シートを発熱シート載置面に設置することができる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記発熱シート係合部は、前記発熱シート載置面側から突起するように前記傾斜面部に設けられる。
上記(3)の構成によれば、発熱シート係合部は、傾斜面部に設けられた突起部である。よって、例えば、発熱シートにおける水袋や発熱剤袋が形成されていない縁部などに、穴部といった突起部に係合可能な被係合部を形成しておくことにより、中皿体の発熱シート係合部に発熱シートの被係合部を簡易に取り付けることができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)~(3)の構成において、
前記傾斜面部は、一方向に沿って下降するように傾斜する。
上記(4)の構成によれば、傾斜面部が、少なくとも一方向に下降(傾斜)することにより、開封された水袋から流出する液体を最深部に導くように構成される。これによって、最深部により近い側に位置する発熱剤に液体を適切に導くことができる。液体と発熱剤とが接触しない部分が生じるのを防止し、発熱剤と液体との発熱反応をより適切に生じさせることができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(3)の構成において、
前記傾斜面部は、一方向に沿って下降すると共に、前記一方向に対して直交する方向における前記傾斜面部の中央に向かって下降するように傾斜する部分を有する。
上記(5)の構成によれば、傾斜面部が、一方向およびその直交方向の2方向に傾斜する部分を有することによって、開封された水袋から流出する液体を点状に形成された最深部に導くように構成される。これによって、最深部により近い側に位置する発熱剤に水袋から流出する液体をより適切に導くことができる。
【0016】
(6)本発明の少なくとも一実施形態に係る発熱具は、
液体が封入される不透水性の水袋と、前記水袋に封入される前記液体と発熱反応する発熱剤が封入される不透水性の発熱剤袋と、が一方向に沿って横並びに形成される発熱シートと、
前記発熱シートに接続されるとともに、前記一方向に沿って引っ張られることで前記水袋および前記発熱剤袋を開封するように構成された開封具と、を備える。
【0017】
上記(6)の構成によれば、発熱具は、発熱シートの一方向に沿って横並びに形成された不透水性の水袋および発熱剤袋の両袋を開封具によって引き裂いて開封するように構成される。これによって、開封具による発熱具の利便性を維持したまま、発熱具の使用期限をより長期化することができる。また、発熱具は水密容器を有しておらず、従来、発熱具毎に設ける必要があった水密容器の部材を不要とすることができ、使い捨てられる発熱具の製造コストを下げることができる。
【0018】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記発熱剤袋は、透水性の袋に前記発熱剤を封入した発熱剤パックをそれぞれ収容するための第1小袋部および第2小袋部と、
前記第1小袋部の内部と前記第2小袋部の内部とを連通する小袋連通路を形成する小袋連通路部を有する小袋接続部と、を有し、
前記小袋連通路は、平面視において、前記一方向に交差する交差方向に沿って前記開封具と交差するように延在する。
【0019】
上記(7)の構成によれば、小袋連通路は、開封具の引張方向と交差する交差方向に沿って延在することにより、引張方向に沿って延在する開封具を挟んだ両側に透水性の発熱剤パックが設置される。小袋連通路は発熱剤が設置されていない部分であり、開封具によって、小袋連通路を分断するように小袋連通路部が引き裂かれるので、開封具によって発熱剤パックを切断することなく、発熱剤袋を開封することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、開封具を有する発熱具のコストを低減しつつ、発熱具による発熱反応を適切に生じさせることが可能な食品容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る食品容器を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示す食品容器をAA線で切断した断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る中皿体を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る発熱具を概略的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はBB線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る食品容器1を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示す食品容器1をAA線で切断した断面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る中皿体3を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。また、図4は、本発明の一実施形態に係る発熱具6を概略的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(C)はBB線で切断した断面図である。
【0024】
図1に示す食品容器1は、その内部に食品などを収容することが可能な容器である。図1に示すように、食品容器1は、容器本体2と、開封具6pを所定の一方向(以下、適宜、引張方向P)に引っ張ることにより、食品の加熱や保温などを目的に発熱させることが可能な発熱具6(後述)を設置するための中皿体3と、蓋体5と、を備える。例えば、食品容器1は、使い捨てでない弁当箱であり、一般に、このような弁当箱では、強度の高い材料により容器本体2や蓋体5が形成される。図1に示す実施形態では、食品容器1は、注文を受けて調理し、届けられる仕出し用の弁当箱であり、平面視において四角形の形状を有する容器本体2の中に、中皿体3、収容部カバー体4(後述)、食品を順に入れ、食品の上方に蓋体5が配置されるように構成される。
以下、食品容器1の上記の構成要素の各々について、図1図3を用いて説明する。
【0025】
容器本体2は、食品や食品の盛付皿9(図2参照)などと共に、上記の中皿体3などをその内部21に収容することが可能な入れ物である。すなわち、図1図2に示すように、容器本体2は、底部22と、底部22の周縁から立設する側壁部23とによって、上部に開口を有する容器を形成しており、この上部の開口を通して、容器本体2の内部21への食品などの出し入れが可能となっている。例えば、容器本体2は、図1に示すような箱状の形状を有していても良いし、あるいは、半球状の形状など、様々な形状を有していても良い。なお、上記の周縁には、底部22の端のみならず、端から内側に入った部分である端付近も含まれても良い。また、容器本体2が半球状の形状をしている場合などには、半球状の形状のうちの平な部分や、あるいは、半球状の容器本体2をテーブルなどの台に載せるための脚(高台)の部分付近を底部22とし、それに連結される部分を側壁部23としても良い。また、容器本体2は、プラスチックを含む樹脂や木、土器などで形成されても良い。
【0026】
中皿体3は、上述した容器本体2の内部に設置される部材であり、図1図3に示すように、発熱具6を設置するための容器部分である収容部3cを有する。図3に示すように、収容部3cは、発熱具6の構成要素である発熱シート6s(後述)が載置される発熱シート載置面Sを構成するための水平方向に対して傾斜する傾斜面部31と、中皿体3が容器本体2の内部に設置された状態において最も下方に位置する最深部32と、を有する。つまり、中皿体3が容器本体2の内部に設置された状態において、傾斜面部31は下方(重力方向)に向けて下降するように傾斜する。他方、最深部32は、傾斜面部31の下降した先に位置する。なお、水平方向は重力方向と垂直な方向であり、傾斜面部31は、容器本体2が水平面に設置された状態で水平方向に対して傾斜するものとする(以下同様)。
【0027】
図1図3に示す実施形態では、図3(a)に示すように、中皿体3の収容部3cは平面視において概ね四角形となるような外形形状を有しているが、傾斜面部31は、各々が相互に一か所で交わるような4つの平面(31a~31d)により構成されると共に、最深部32は、4つの平面が相互に接する部分によって形成される。換言すれば、傾斜面部31は、一方向に沿って下降すると共に、この一方向に対して直交する方向における傾斜面部31の中央に向かって下降するように傾斜する部分を有する。図3(a)に示すような平面視において、最深部32を通ると共に引張方向Pに沿った仮想線を第1仮想線Lpとし、最深部32を通ると共に、引張方向Pに交差する交差方向(図3では直交方向V)に沿った仮想線を第2仮想線Lvとすると、傾斜面部31を構成する上記の4つの平面は、紙面の左上の第1平面31a、右上の第2平面31b、左下の第3平面31c、右下の第4平面31dに対応する。そして、これらの4つの平面(31a~31b)は、それぞれ、第1仮想線Lpに沿って第2仮想線Lvに向けて下降すると共に、第2仮想線Lvにおける傾斜面部31の中央に向かって下降するように傾斜する。このように傾斜面部31が、一方向およびその直交方向の2方向に傾斜する部分を有することによって、開封された水袋61から流出する液体Wを点状に形成された最深部32に導くように構成される。これによって、最深部32により近い側に位置する発熱剤Eに水袋61から流出する液体Wをより適切に導くことができる。
【0028】
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。例えば、上述した傾斜面部31は、少なくとも1つの面で構成されていれば良い。具体的には、他の幾つかの実施形態では、傾斜面部31は、第2仮想線Lvを挟んだ一方側(例えば図3の紙面の上方側)の平面と、他方側(図3の紙面の下方側)の平面との2つの平面によって、その接続部に最深部32を形成するなど、2つ以上の平面を含んでいても良い。その他の幾つかの実施形態では、上記の第2仮想線Lvを挟んだ一方側の1以上の平面が傾斜することによって傾斜面部31を構成する一方で、他方側の面は垂直に形成、あるいは、上記の一方側の平面と同じ方向に傾斜(ポケット状)して形成することによって、発熱シート6sが載置されない面を形成していても良い。また、第2仮想線Lvを挟んだ一方側の面と、他方側の面とが、平面状の最深部32を介して接続されていても良い。
【0029】
また、上述したいずれの実施形態でも傾斜面部31は平面として説明したが、他の幾つかの実施形態では、傾斜面部31は所定の曲率を有する曲面を有していても良い。例えば、図3において、第1仮想線Lpおよび第2仮想線Lvで区切られる収容部3cの4つの平面(31a~31d)が、それぞれ同じあるいは異なる曲率を有する曲面で形成されていても良い。あるいは、第2仮想線Lvの一方側(例えば図3の紙面の上方)の面が曲面、他方の面が平面など、傾斜面部31の少なくとも一部が曲面であっても良い。
【0030】
また、図1図3に示す実施形態では、中皿体3は、収容部3cの最深部32が容器本体2の底部22から距離Lだけ離された状態(離間状態)で容器本体2の内部21に収容部3cを設置するよう構成される設置部34を有している。より具体的には、容器状の収容部3cの上端部の周囲(周縁)に設置部34が連結されている。そして、設置部34が容器本体2の側壁部23の係止部24に係止されることで、上記の離間状態が形成されるようになっている。図1図3に示す実施形態では、上記の係止部は、側壁部23の壁厚を変えることによって形成した段部であるが、設置部34を係止できれば良く、係止部は突起状や、側壁部23の壁厚を下方に向けて徐々に厚くするなど、他の構成により形成しても良い。ただし、本実施形態に本発明は限定されない。他の幾つかの実施形態では、収容部3cと容器本体2の底部22とは離間されていなくても良いし、あるいは、その間に断熱材が介在したり、容器本体2の底部22が断熱材で形成されていたりしても良い。収容部3cは、金属、プラスチックを含む樹脂、木、土器であっても良いし、収容部3cとその他の部分(設置部34)が異なる材料で形成されていても良い。
【0031】
また、本実施形態では、食品容器1は、中皿体3の収容部3cの上部(開口)を覆うと共に、容器本体2の側壁部23と共に所定の空間を上方に形成する収容部カバー体4を備えている上記の所定の空間は、食品や食品の盛付皿9(破線)を収容するための空間であり、収容部カバー体4の上部(収容部3cに面しない側)を下面とし、その下面の周囲を囲む側壁部23を側面として、収容部カバー体4の上方に形成される。図1に示す実施形態では、収容部カバー体4は、直方体状の構成部材41の複数が隙間Gをあけて並べられた状態で、相互に締結部材42によって連結されることで形成されている。換言すれば、収容部カバー体4は、構成部材41を竹、締結部材42を糸として形成されたすだれとなっており、収容部3cを部分的に覆うようになっている。なお、構成部材41の形状は直方体状に限定されず、断面が円形や楕円形などであっても良い。また、収容部カバー体4は、複数の盛付皿が一体化されたトレー状の部材であっても良く、このような部材によっても、収容部3cの開口を覆うと共に、各盛付皿の壁面から上方に空間を設けることになる。
【0032】
蓋体5は、容器本体2の上部(開口)を覆うためのものである。そして、容器本体2に中皿体3と収容部カバー体4などが設置された状態で、容器本体2の上部を閉じことが可能となっている。図1図3に示される実施形態では、蓋体5は、容器本体2よりも外周が大きく、かつ、容器本体2よりも浅い入れ物のような形状をしており、容器本体2の上からかぶせるようにして、蓋体5を設置されるよう構成されている。ただし、これには限定されず、容器本体2の上部を覆うことができれば、容器本体2の横からスライドさせて(引き出して)設置させるような形状をしていても良い。蓋体5は、プラスチックを含む樹脂や木、土器などで形成されても良い。
【0033】
ここで、上述した中皿体3に設置される発熱具6について説明すると、図4に示すように、発熱具6は、水平面に載置した状態で、通常は水などである液体Wが封入される不透水性の水袋61と、水袋61に封入される液体Wと発熱反応する発熱剤Eが封入される不透水性の発熱剤袋63と、が一方向(引張方向P)に沿って横並びに形成される発熱シート6sと、発熱シート6sに接続されるとともに、一方向(引張方向P)に沿って引っ張られることで水袋61および発熱剤袋63を開封するように構成された開封具6pと、を備える。より詳細には、図4(a)に示すように、発熱シート6sは、水袋61および発熱剤袋63の各々の一部(図4では平面視において四角形状となる袋の一辺)同士がシート状の連結シート部62を介して接続されると共に、水袋61、連結シート部62、発熱剤袋63の順に、開封具6pの引張方向Pに沿って横並びに並べられることにより、形成されている。
【0034】
また、水袋61および発熱剤袋63の各々における連結シート部62の反対側に位置する端部には、それぞれ、シート状の端部シート部65(65w、65e)が形成されている。そして、長尺の開封具6p(図4では紐状の部材)は、横並びに形成された水袋61および発熱剤袋63を少なくとも1回巻いている。具体的には、図4に示す実施形態では、開封具6pの一端が、発熱剤袋63側の第2端部シート部65eにおける中央付近(引張方向Pに直交する直交方向Vでの中央付近)に固定された状態で、発熱剤袋63側の第2端部シート部65eの端まで引張方向Pに沿って延ばされた後、発熱シート6sの裏側に回してから、水袋61側の第1端部シート部65wの端まで引張方向Pの逆方向に沿って延ばされ、そこから再度表側に回した後、引張方向Pに沿って、発熱剤袋63側の第2端部シート部65eを超えた先まで他端が延在した状態で設置される。なお、図1図3に示す実施形態では、開封具6pの上記の他端は、中皿体3の設置部34の上方(上面)、あるいは、傾斜面部31に形成された水平方向に傾斜面部31を貫通する穴(透口)と、容器本体2の側壁部23(図1では側壁部23a)に形成された上端部から底部22に向けて切り欠かれたスリット28とを介して容器本体2の外部まで引き出されるようになっている。
【0035】
そして、このように発熱シート6sに巻かれた開封具6pを引張方向Pに引っ張ると、開封具6pによって、水袋61側の第1端部シート部65w、水袋61、連結シート部62、発熱剤袋63の順番に引き裂かれるようになっている。そして、水袋61が引き裂かれると、水袋61の内部に収容されていた液体が外部に流出することになる。他方、発熱剤袋63が引き裂かれると、発熱剤袋63に収容されていた発熱剤Eが、例えば水袋61から流出する液体Wや大気中の水分などと接触可能になる。そして、発熱剤Eと液体Wとが接触することにより発熱反応が発生し、食品を加熱する高温の水蒸気などが生じることになる。
【0036】
なお、発熱シート6sの袋部分(62、63)は収容物を収容するための内部空間を有するが、シート状の部分は、内部空間を有することなく、水分なども透過しない部分であり、例えば、2枚または1枚を2つに折り返した2枚の樹脂製のシートで水袋61および発熱剤袋63を形成する場合には、両袋の間において2枚のシートが圧着された部分である。また、発熱シート6sの水袋61は、液体Wを第2の袋ごと内部に封入していても良いし、あるいは、液体を封入した第2の水袋(不図示)をそのまま内部に封入していても良い。発熱シート6sの発熱剤袋63は、透水性の袋に収容された発熱剤Eを内部に封入していても良いし、発熱剤Eをそのまま内部に封入していても良い。
【0037】
そして、上述した構成を備える食品容器1において、中皿体3は、上述した発熱シート6sの発熱剤袋63が水袋61よりも最深部32の近くに位置した状態で、発熱シート6sが発熱シート載置面Sに載置されるように構成される。つまり、例えば、最深部32から水袋61の最も近い端部までの距離よりも、最深部32から発熱剤袋63の最も近い端部までの距離の方が短いことや、最深部32から水袋61の重心までの距離よりも最深部32から発熱剤袋63の重心までの距離の方が短いことを意味する。そして、この状態において、発熱シート6sは、発熱剤袋63が水袋61よりも下方に位置する状態で設置される。よって、発熱具6が備える開封具6pを引っ張ることにより水袋61および発熱剤袋63を引き裂くと、相対的に上方に配置される水袋61から水などの液体Wが流出し、最深部32に近くに位置することによって相対的に下方に配置される発熱剤E(発熱剤袋63)に向かって流れる。これによって、中皿体3の収容部3cにおいて液体Wおよび発熱剤Eが接触して発熱反応が行われ、中皿体3の上方に位置する食品が加熱される。
【0038】
図1図3に示す実施形態では、発熱シート6sは、平面視において、図3(a)に示すような第2仮想線Lv(後述)上に発熱剤袋63が位置するように中皿体3に設置されている。より具体的には、発熱シート6sは、発熱剤袋63の引張方向Pにおける中央付近が第2仮想線Lv上に位置するように設置されても良い。開封具6pによって引き裂かれた水袋61の液体Wは、最深部32から溜まっていき、引き裂かれた発熱剤袋63よりも水位が高くなることで、発熱剤袋63の内部の発熱剤Eと接触する。このように、点状に形成された最深部32に水袋61から流出する液体が溜まるように構成することで、発熱剤Eと液体との接触ムラを防止することが可能となる。
【0039】
上記の構成によれば、食品容器1は、不透水性の水袋61および発熱剤袋63が横並びに形成された発熱シート6sを収容するための中皿体3を備える。また、中皿体3における発熱シート6sが載置される発熱シート載置面Sは、水平方向に対して傾斜する傾斜面部31によって構成される。これによって、発熱シート6sを、発熱シート6sにおける発熱剤袋63が水袋61よりも中皿体3の最深部32の近くに位置した状態になるように中皿体3に設置することにより、開封具6pにより開封された水袋61の水などの液体Wが、同じく開封具6pにより開封された発熱剤袋63の発熱剤Eに向かうようにすることができると共に、中皿体3において水などの液体と発熱剤とが接触しない部分が生じるのを防止して、液体Wと発熱剤Eとの発熱反応を適切に生じさせることができる。
【0040】
つまり、上記の構成によれば、食品容器1が備える中皿体3は、発熱具6を設置するための部材としての役割のみならず、水袋61から流出する液体Wを発熱剤Eと反応させるために溜める水密容器の役割をも担う。これによって、従来、発熱具毎に設ける必要があった水密容器の部材を不要とすることができ、使い捨てられる発熱具6の製造コストを下げることができる。さらに、発熱シート6sでは液体Wおよび発熱剤Eを不透水性の袋で別々に収容すると共に、その状態で開封具6pを用いて両袋の開封を可能に構成することにより、発熱具6の利便性を維持したまま、大気中の水分に対する発熱剤Eの保護能力が高められる結果、発熱具の使用期限をより長期化することができる。
【0041】
次に、上述したような、発熱シート6sの発熱剤袋63が水袋61よりも最深部32の近くに位置した状態で、発熱シート6sを中皿体3に適切に設置するための構成について、説明する。
幾つかの実施形態では、図3に示すように、中皿体3は、発熱シート載置面Sに発熱シート6sが載置された状態(以下、適宜、発熱シート設置状態)で、発熱シート6sが有する被係合部66と係合する発熱シート係合部8を有する。そして、中皿体3の発熱シート係合部8に発熱シート6sが係合させることにより、発熱シート6sは、自動的に、発熱剤袋63が水袋61よりも最深部32の近くに位置した状態で中皿体3(収容部3c)に位置決め(固定)される。よって、発熱シート設置状態においては、傾斜面部31には、傾斜の上方から下方に沿って(以下、適宜、傾斜方向)、発熱シート係合部8、第1端部シート部65w、水袋61が並ぶ。さらに、発熱剤袋63が並んでいても良い。この際、発熱具6において、開封具6pは、発熱剤袋63よりも水袋61を先に開封するように発熱シート6sに設置されている。このように、最初に引き裂かれる水袋61側の第1端部シート部65wが発熱シート係合部8に固定されていることによって、開封具6pによる発熱シート6sの開封がより容易に行われるようにしている。
【0042】
上記の構成によれば、中皿体3が発熱シート係合部8を有することによって、発熱剤袋63が水袋61よりも中皿体3の最深部32の近くに位置した状態で発熱シート6sを発熱シート載置面Sに設置することができる。
【0043】
より詳細には、図3に示すように、発熱シート係合部8は、発熱シート載置面S側から突起するように傾斜面部31に設けられており、発熱シート6sにおける水袋61側の第1端部シート部65wと係合するようになっている。つまり、発熱シート係合部8は、傾斜面部31に設けられた突起部81である。図3に示す実施形態では、発熱シート係合部8は棒状の突起部81であり、水袋61側の第1端部シート部65wに形成された穴(被係合部66)に挿入されることで、両者が係合するようになっている。また、突起部81は、図3(b)に示すように、設置部34の上面以下の高さまで突起することによって、収容部カバー体4などとの干渉が生じないようになっている。
【0044】
また、図3に示す実施形態では、発熱シート係合部8は、最深部32(第2仮想線Lv)を挟んだ収容部3cの2箇所に引張方向Pに沿って並ぶように形成されており、発熱シート6sの水袋61側の第1端部シート部65wおよび発熱剤袋63側の第2端部シート部65eにそれぞれ係合するようになっている。また、2箇所に設けられた発熱シート係合部8の各々は、直交方向Vに沿って隣接する2つの突起部81(一対の突起部81)で構成されている。より詳細には、この隣接する2つの突起部81は、収容部3cにおける直交方向Vの中央(第1仮想線Lp)を挟んだ2か所に形成されている。そして、2つの突起部81の間に開封具6pが位置するように構成されており、開封具6pをガイドするようになっている。
【0045】
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。図3に示す実施形態では、発熱シート係合部8(突起部81)は上方の一方向に突起するが、他の幾つかの実施形態では、発熱シート係合部8は、傾斜面部31から上方に突起した後、傾斜方向の反対側の方向に向かって延在するなど、フック状に形成されていても良い。また、発熱シート係合部8は、重力方向の逆方向に突起しているが、傾斜方向の反対側などに沿って上方に突起しても良い。また、中皿体3の発熱シート係合部8が、発熱シート6sの被係合部66と係合できれば良く、例えば、他の幾つかの実施形態では、中皿体3の発熱シート係合部8が穴部で、発熱シート6sの被係合部66が突起することによって、両者が係合するように構成されていても良い。また、中皿体3の発熱シート係合部8および被係合部66が面ファスナーによって係合するように構成されていても良い。
【0046】
また、図3に示す実施形態では、最深部32を挟んだ収容部3cの2箇所に形成された発熱シート係合部8は、それぞれ一対の突起部で構成されるが、他の幾つかの実施形態では、例えば、2箇所のうちの一方の発熱シート係合部8の突起部81と他方の発熱シート係合部8の突起部81とが、断面形状などの形状や、太さ、本数、本数が異なる場合には間隔や配置などの少なくとも1つの構成が異なっていても良い。そして、発熱シート係合部8の構成に合わせて発熱シート6sの被係合部66が設けられることで、発熱シート6sの設置向きが意図しない方向だと係合せず、意図した向きに設置された場合のみ係合するように構成することができ、発熱シート6sの発熱シート載置面Sへの設置の向きが適切になるように仕向けることができる。
【0047】
上記の構成によれば、発熱シート係合部8は、傾斜面部31に設けられた突起部81である。よって、例えば、発熱シート6sにおける水袋61や発熱剤袋63が形成されていない縁部(第1端部シート部65wおよび第2端部シート部65eの少なくとも一方)などに、穴部といった突起部81に係合可能な被係合部66を形成しておくことにより、中皿体3の発熱シート係合部8に発熱シート6sの被係合部66を簡易に取り付けることができる。
【0048】
次に、発熱シート6sの発熱剤袋63に関する幾つかの実施形態について、図4を用いて説明する。
幾つかの実施形態では、発熱シート6sの発熱剤袋63は、透水性の袋に発熱剤Eを収容した複数の発熱剤パック7をそれぞれ封入する複数(N個)の小袋部(Nは2以上の整数)を有しても良い。より具体的には、図4に示すように、発熱シート6sの発熱剤袋63は、透水性の袋に発熱剤Eを封入した発熱剤パック7をそれぞれ収容するための第1小袋部63aおよび第2小袋部63bと、第1小袋部63aの内部と第2小袋部63bの内部とを連通する小袋連通路64cを形成する小袋連通路部64pを有する小袋接続部64と、を有する。図4に示す実施形態では、発熱シート6sは、発熱シート設置状態において、小袋連通路64cが収容部3cの最深部32の上方(真上)に位置するように構成されている。換言すれば、発熱シート設置状態では、平面視において、小袋連通路64cは最深部32に重なるような位置にある。なお、図4に示す実施形態では、発熱シート設置状態においては、発熱シート6sは、傾斜面部31などに沿って載置されることにより曲げられた状態になる部分があり、その曲げられた部分を小袋連通路64cの少なくとも一部が構成していても良い。また、小袋連通路64cは、図4(a)に示すような平面視において、一方向(引張方向P)に交差する交差方向(図4では直交方向V)に沿って開封具6pと交差するように延在する。
【0049】
図4に示す実施形態では、発熱具6の発熱剤袋63は、第1の発熱剤パック7aを封入するための第1小袋部63aと、第2の発熱剤パック7bを封入するための第2小袋部63bとの2つの小袋部を有する。小袋接続部64は、第1小袋部63aの内部および第2小袋部63bの内部を連通する小袋連通路64cを形成する小袋連通路部64pと、第1小袋部63aの一部(一辺)および第2小袋部63bの一部(一辺)、小袋連通路部64pを連結するシート状部64sと、を有する。より具体的には、図4(a)に示すように、第1小袋部63aおよび第2小袋部63bは平面視において四角形の形状を有している。また、小袋接続部64の一部を構成するシート状部64sは、中央側のシート状部64s(第1シート状部64sa)と、端部側のシート状部64s(第2シート状部64sb)とで構成されている。上記の第1シート状部64saは、第1小袋部63aと、第2小袋部63bと、小袋連通路部64pと、連結シート部62とにそれぞれ接続されているシート状部64sであり、上記の第2シート状部64sbは、第1小袋部63aと、第2小袋部63bと、小袋連通路部64pと、第2端部シート部65eとにそれぞれ接続されているシート状部64sである。
【0050】
よって、開封具6pを引っ張ることにより、発熱シート6sの連結シート部62に次いで小袋接続部64の第1シート状部64saが引き裂かれる。また、開封具6pによって第1シート状部64saが完全に引き裂かれた後、小袋連通路部64pが引き裂かれると、小袋連通路64cと外部とが連通した状態になる。この状態で、小袋連通路部64pの小袋連通路64cに水袋61の液体Wが流入して、小袋連通路64cを通って第1小袋部63aの内部および第2小袋部63bの内部の発熱剤Eに向けて流れる。この際、小袋連通路64cが収容部3cの最深部32の上部に位置しており、小袋連通路64cが収容部3cの最も深い位置に位置することによって、液体Wが小袋連通路64cに侵入し易くなる。
【0051】
上記の構成によれば、小袋連通路64cは、開封具6pの引張方向Pと交差する交差方向に沿って延在することにより、引張方向Pに沿って延在する開封具6pを挟んだ両側に透水性の発熱剤パック7が設置される。小袋連通路64cは発熱剤Eが設置されていない部分であり、開封具6pによって、小袋連通路64cを分断するように小袋連通路部64pが引き裂かれるので、開封具6pによって発熱剤パック7を切断することなく、発熱剤袋63を開封することができる。
【0052】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。なお、上述した実施形態では、中皿体3には発熱シート6sを設置するものとして説明したが、中皿体3には、保冷具などの温度調整具を設置することも可能である。この構成によれば、仕出し料理店などが、温度調整具の種類や季節に応じた弁当箱(食品容器1)を保有する必要がなく、弁当箱の購入や保管、管理などに要する費用を低減することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 食品容器
2 容器本体
21 内部
22 底部
23 側壁部
24 係止部
3 中皿体
3c 収容部
31 傾斜面部
31a 第1平面
31b 第2平面
31c 第3平面
31d 第4平面
32 最深部
34 設置部
4 収容部カバー体
41 構成部材
42 締結部材
5 蓋体
6 発熱具
6p 開封具
6s 発熱シート
61 水袋
62 連結シート部
63 発熱剤袋
63a 第1小袋部
63b 第2小袋部
64 小袋接続部
64p 小袋連通路部
64c 小袋連通路
64s シート状部
64sa 第1シート状部
64sb 第2シート状部
65 端部シート部
65w 第1端部シート部(水袋側)
65e 第2端部シート部(発熱剤袋側)
66 被係合部(発熱シート側)
7 発熱剤パック
7a 第1の発熱剤パック
7b 第2の発熱剤パック
8 発熱シート係合部(中皿体側)
81 突起部
9 盛付皿
W 液体(水)
E 発熱剤
S 発熱シート載置面
P 引張方向
V 直交方向
Lp 第1仮想線
Lv 第2仮想線
L 離間距離
G 隙間
図1
図2
図3
図4