(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
A63F5/04 651
(21)【出願番号】P 2017204689
(22)【出願日】2017-10-23
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 隆一
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-104173(JP,A)
【文献】特開2010-240074(JP,A)
【文献】シーサ。の回胴日記_第63話[by ARROWS-SCREEN],YouTube [online][video],2013年02月03日,https://www.youtube.com/watch?v=S4ynkzALFAc,主に23:51~23:52,24:22~24:23,25:13~25:16を参照。,[2021年 7月21日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技用価値を用いて所定数の賭数が設定されたことに基づき遊技を開始可能とする遊技開始手段と、
遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を示唆する入賞演出を実行する入賞演出手段とを備え、
前記付与入賞には、
第1図柄を含む第1表示結果組合せが導出されたときに発生しかつ前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う第1付与入賞と、
第2図柄を含む第2表示結果組合せが導出されたときに発生しかつ前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第2付与入賞と、
前記第1図柄および前記第2図柄を含まない第3表示結果組合せが導出されたときに発生しかつ前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第3付与入賞とが含まれ、
前記第1表示結果組合せおよび前記第2表示結果組合せのそれぞれは、前記第3表示結果組合せよりも表示結果組合せの識別が容易であり、
前記入賞演出手段は、
前記第1付与入賞が発生したとき
、前記第1図柄の導出される領域の視認性が他の領域の視認性と異なるように変化可能であるとともに音の出力による前記入賞演出を実行し、
前記第2付与入賞が発生したとき
、前記第2図柄の導出される領域の視認性が他の領域の視認性と異なるように変化可能であるとともに音の出力による前記入賞演出を実行し、
前記第3付与入賞が発生したとき
、領域の視認性を変化させる制御および音の出力による前記入賞演出を実行しない、スロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示部を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示結果に従って入賞が発生する。
【0003】
入賞となる役の種類としては、小役、特別役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役の入賞では、小役の種類毎に定められた数のメダルが払い出されるという利益を遊技者が得ることができる。特別役の入賞では、次のゲームからレギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な遊技状態へ移行されるという利益を遊技者が得ることができる。再遊技役の入賞では、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができるという利益を得ることができる。
【0004】
このようなスロットマシンとして、賭数以上の払出しのある入賞が発生したときは払出しに関する入賞演出を実行する一方、賭数未満の払出しのある入賞が発生したときは入賞演出を実行しないものがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したスロットマシンにおいては、入賞演出の実行にあたり、未だ改善の余地があった。
【0007】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、入賞演出により遊技の興趣を向上させることできるスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
遊技用価値を用いて所定数の賭数が設定されたことに基づき遊技を開始可能とする遊技開始手段(たとえば、スタートスイッチ7)と、
遊技用価値の付与を伴う付与入賞の発生を示唆する入賞演出(たとえば、リールLED55を発光させる入賞演出)を実行する入賞演出手段(たとえば、サブ制御部91による入賞演出を実行する処理)とを備え、
前記付与入賞には、
第1図柄を含む第1表示結果組合せ(たとえば、ベル-ベル-ベル)が導出されたときに発生しかつ前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値(たとえば、3枚)を超える遊技用価値(たとえば、9枚)の付与を伴う第1付与入賞(たとえば、押し順ベルの主役の入賞)と、
第2図柄を含む第2表示結果組合せ(たとえば、スイカ-スイカ-スイカ)が導出されたときに発生しかつ前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値(たとえば、3枚)未満の遊技用価値(たとえば、2枚)の付与を伴う第2付与入賞(たとえば、レア役の入賞)と、
前記第1図柄および前記第2図柄を含まない第3表示結果組合せ(たとえば、リプレイ-黒BAR-黒BARなど)が導出されたときに発生しかつ前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値(たとえば、3枚)未満の遊技用価値(たとえば、1枚)の付与を伴う第3付与入賞(たとえば、押し順ベルの副役の入賞)とが含まれ、
前記第1表示結果組合せおよび前記第2表示結果組合せのそれぞれは、前記第3表示結果組合せよりも表示結果組合せの識別が容易であり(たとえば、
図2に示すように、ベル-ベル-ベル、および、スイカ-スイカ-スイカは、入賞ラインLN上に同じ図柄が並ぶためバラケ目が表示されるリプレイ-黒BAR-黒BARよりも識別が容易である)、
前記入賞演出手段は、
前記第1付与入賞が発生したとき
、前記第1図柄の導出される領域の視認性が他の領域の視認性と異なるように変化可能であるとともに音の出力による前記入賞演出を実行し、
前記第2付与入賞が発生したとき
、前記第2図柄の導出される領域の視認性が他の領域の視認性と異なるように変化可能であるとともに音の出力による前記入賞演出を実行し、
前記第3付与入賞が発生したとき
、領域の視認性を変化させる制御および音の出力による前記入賞演出を実行しな
い。
【0009】
このような構成によれば、入賞演出により所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第2付与入賞の発生について遊技者の注目を集めることができ、入賞演出により遊技の興趣を向上させることができる。
【0010】
(2) 上記(1)のスロットマシンにおいて、
有利状態(たとえば、AT状態)への制御の移行有無を決定する移行抽選を実行する移行抽選手段(たとえば、メイン制御部41によるAT抽選処理)をさらに備え、
前記移行抽選手段は、前記第2付与入賞が発生可能であるときには前記移行抽選を実行し、前記第3付与入賞が発生可能であるときには前記移行抽選を実行しない(たとえば、レア役の入賞が発生可能であるときはAT抽選を実行し、押し順ベルの副役の入賞が発生可能であるときはAT抽選を実行しない)。
【0011】
このような構成によれば、第2付与入賞が発生することにより有利状態への移行について遊技者の注目を集めることができる。
【0012】
(3) 上記(1)または(2)のスロットマシンにおいて、
前記入賞演出手段は、前記第1付与入賞が発生したときと前記第2付与入賞が発生したときとで共通の前記入賞演出を実行する(たとえば、
図2に示すように、押し順ベルの主役の入賞が発生したときとレア役の入賞が発生したときとで、払出音とリールLED点灯とによる共通の入賞演出を実行する)。
【0013】
このような構成によれば、共通の入賞演出により処理が複雑化しないようにすることができる。
【0014】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかのスロットマシンにおいて、
遊技者が表示結果組合せを導出させるために操作する導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)とをさらに備え、
前記第2付与入賞は、前記第2表示結果組合せ(たとえば、スイカ-スイカ-スイカ)が導出されたとき以外にも、当該第2表示結果組合せとは異なる他の第2表示結果組合せ(たとえば、黒7-スイカ-スイカ)が導出されたときにも発生し、
前記第2表示結果組合せは、前記導出操作手段が特定操作(たとえば、入賞ラインLNに3つのスイカ図柄を引込める正解タイミングの操作)されたときに導出され、
前記他の第2表示結果組合せは、前記導出操作手段が前記特定操作とは異なる他特定操作(たとえば、入賞ラインLNに3つのスイカ図柄を引込めない不正解タイミングの操作)されたときに導出され、
前記第2表示結果組合せおよび前記他の第2表示結果組合せのいずれが導出したときにも前記第2付与入賞が発生する(たとえば、スイカ-スイカ-スイカおよび黒7-スイカ-スイカのいずれが導出されたときにもレア役の入賞が発生する)ことで同じ遊技用価値が付与され(たとえば、2枚の払出し)、
前記入賞演出手段は、前記第2表示結果組合せが導出されたときには前記入賞演出を実行する一方で、前記他の第2表示結果組合せが導出されたときには前記入賞演出を実行しない(たとえば、スイカ-スイカ-スイカが導出されたときは入賞演出を実行する一方で、黒7-スイカ-スイカが導出されたときには入賞演出を実行しない)。
【0015】
このような構成によれば、遊技者の特定操作により第2表示結果組合せが導出されたときに合わせて入賞演出が実行されるので、遊技者の体感に合わせて入賞演出を実行することができる。
【0016】
(5) 上記(1)~(3)のいずれかのスロットマシンにおいて、
遊技者が表示結果組合せを導出させるために操作する導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)をさらに備え、
前記第2付与入賞は、前記第2表示結果組合せ(たとえば、スイカ-スイカ-スイカ)が導出されたとき以外にも、当該第2表示結果組合せとは異なる他の第2表示結果組合せ(たとえば、黒7-スイカ-スイカ)が導出されたときにも発生し、
前記第2表示結果組合せは、前記導出操作手段が特定操作(たとえば、入賞ラインに3つのスイカ図柄を引込める正解タイミングの操作)されたときに導出され、
前記他の第2表示結果組合せは、前記導出操作手段が前記特定操作とは異なる他特定操作(たとえば、入賞ラインに3つのスイカ図柄を引込めない不正解タイミングの操作)されたときに導出され、
前記第2表示結果組合せおよび前記他の第2表示結果組合せのいずれが導出したときにも前記第2付与入賞が発生する(たとえば、スイカ-スイカ-スイカおよび黒7-スイカ-スイカのいずれが導出されたときにもレア役の入賞が発生する)ことで同じ遊技用価値が付与され(たとえば、2枚の払出し)、
前記入賞演出手段は、前記第2表示結果組合せが導出されたときも、前記他の第2表示結果組合せが導出されたときも前記入賞演出を実行する(たとえば、スイカ-スイカ-スイカが導出されたときも、黒7-スイカ-スイカが導出されたときも入賞演出を実行する)。
【0017】
このような構成によれば、遊技者が特定操作ではない他特定操作を実行したとしても入賞演出により遊技用価値の付与を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は、本実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、(b)は、スロットマシンの主な内部構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【0020】
[スロットマシンの構成]
図1(a)は、本実施形態に係るスロットマシン1の正面図であり、(b)は、スロットマシン1の主な内部構成の一例を示す図である。
【0021】
図1(a)に示すように、スロットマシン1は、画像を表示する液晶表示器51と、音を出力するスピーカ53とを備える。液晶表示器51の下方には、透視窓3が形成されている。遊技者は、この透視窓3を介してスロットマシン1の内部に並設されているリール2L,2C,2Rを視認可能である。各リール2L,2C,2Rには、各々が識別可能な複数種類の識別情報である図柄が所定の順序で配列されている。透視窓3の下方には、ゲーム(遊技)を開始する際に操作されるスタートスイッチ7と、それぞれのリールの回転を停止させて表示結果を導出させるために操作されるストップスイッチ8L,8C,8Rとが設けられている。
【0022】
図1(b)に示すように、スロットマシン1の内部には、遊技の進行を制御するとともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力するメイン制御部41が設けられている。メイン制御部41は、遊技の進行に係る各種制御を行うメインCPU41aと、遊技の進行に係る各種データを記憶するRAM41cとを備える。メイン制御部41は、スタートスイッチ7やストップスイッチ8L,8C,8Rに対する操作を検出し、検出した操作に応じて遊技の進行に係る制御を行う。
【0023】
スロットマシン1の内部には、メイン制御部41からのコマンドに応じて演出を制御するサブ制御部91が設けられている。サブ制御部91は、演出に係る各種制御を行うサブCPU91aと、演出に係る各種データを記憶するRAM91cとを備える。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに基づいて、液晶表示器51における画像の表示やスピーカ53からの音の出力、リールLED55におけるLEDの点灯を制御する。液晶表示器51の画像表示やスピーカ53の音出力やリールLED55の点灯に用いられる演出データは、RAM91cに記憶されている。
【0024】
図2は、リールの図柄配列を示す図である。各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。なお、リールの個数は、3個に限らず、1個あるいは2個であってもよく、4個以上であってもよい。また、スロットマシン1は、物理的なリールを備えているが、それに代えて、あるいはそれに加えて液晶表示器51などに表示された仮想リールを備えてもよい。
【0025】
スロットマシン1においてゲームを行う場合、遊技者は、図示しないメダル投入部にメダルを投入するか、図示しないBETスイッチを操作するなどして規定数の賭数を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、かつスタートスイッチ7への操作が有効となってゲームが開始可能な状態となる。入賞ラインとは、透視窓3に表示されたリール2L,2C,2Rにおける図柄の組合せが入賞図柄の組合せと一致するか否かを判定するためのラインである。本実施の形態では、1本の入賞ラインLNのみ設けられている例について説明するが、複数の入賞ラインが設けられているものであってもよい。また、本実施の形態では、ゲームを開始可能な所定の賭数が3(3枚賭け)に設定されているが、所定の賭数は、2(2枚賭け)であっても1(1枚賭け)であってもよい。そして、遊技状態により賭数が異なるようにしてもよい。このような場合、遊技状態により所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値や所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値が異なることとなる。
【0026】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、リール2L,2C,2Rが回転する。このとき、メイン制御部41によって内部抽選が行われる。内部抽選は、導出を許容する図柄組合せ(表示結果)を決定する処理である。内部抽選によって図柄組合せの導出が許容されることを、当該図柄組合せに対応する役に当選したともいう。ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転が停止する。これにより、透視窓3に図柄組合せが導出表示される。なお、リールの回転を停止させるためのストップスイッチ8L,8C,8Rに対する操作のうち、1番目のリールの回転を停止させるための操作を第1停止操作、2番目のリールの回転を停止させるための操作を第2停止操作、3番目のリールの回転を停止させるための操作を第3停止操作ともいう。入賞ラインLN上において、当選役の図柄組合せと一致する図柄組合せが停止した場合、当該当選役に対応する入賞が発生する。
【0027】
入賞が発生可能な役としては、特別役(ボーナス)、小役、および再遊技役が設けられている。ボーナスは、入賞することによって、小役に当選する確率が非ボーナス状態よりも高まるボーナス状態に遊技状態が制御される役である。小役は、入賞することによって、メダルが付与される役である。再遊技役(リプレイ)は、入賞することによって、遊技者所有のメダルを消費することなく次の遊技が開始可能となる役である。入賞が発生したときには、入賞に応じて、所定枚数のメダルが遊技者に対して付与される。このとき、クレジットが加算されるか、あるいはクレジットが上限数(50)に達した場合にはメダル払出口9からメダルが払い出される。
【0028】
[入賞演出について]
入賞が発生し、遊技用価値としてのメダルが払出されるときには、入賞が発生したことを示唆する入賞演出が実行される。サブ制御部91は、入賞演出として、リール2L,2C,2Rの内部に設けられたリールLED55を発光する演出を実行する。また、サブ制御部91は、入賞演出として、スピーカ53から音を出力する演出を実行する。入賞演出によって遊技者は、メダルが付与されることを容易に認識することができる。具体的な入賞演出としては、遊技者が第3停止操作を実行したときに図柄が揃った(たとえば、ベル-ベル-ベルが揃った)入賞ラインLNを発光させるとともに入賞ラインLN以外を消灯すことにより、入賞ラインLNを強調することにより入賞の発生を示唆する演出が実行される。なお、入賞演出はリールの全てあるいはリールの一部を発光させるようなものでもよく、リールを点滅させるようなものであってもよく、所定の図柄組合せにより入賞が発生したことを遊技者に示唆可能とさせる演出であればよい。
【0029】
[抽選対象役]
抽選対象役には、後述するAT抽選の契機となるレア役やストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様(操作手順)に応じて導出される表示結果が異なる押し順役等が設けられている。
【0030】
ここで、押し順役である押し順ベルに当選したゲームにおいて、正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに導出される役は、主役と称される。一方、押し順ベルに当選したゲームにおいて、不正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに導出され得る役は、副役と称される。
【0031】
AT(アシストタイム)中においては、押し順役である押し順リプや押し順ベルに当選したゲームで正解手順を特定可能な情報が報知される。よって、遊技者は、AT中に報知された情報を手掛かりに正解手順を特定し、当該特定手順でストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することで、有利に遊技を進めることができる。
【0032】
[ATに関する処理について]
メイン制御部41は、ATに制御可能である。メイン制御部41は、ATに制御するか否かのAT抽選を実行する。また、メイン制御部41は、AT抽選でATに制御すると決定した場合にATに制御し、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(正解手順)を特定可能なナビ演出を実行するための処理を実行する。
【0033】
メイン制御部41は、非AT中においては、特定の抽選対象役(本実施形態では、スイカなどのレア役、BB等)が当選した場合に、ATに制御するか否かを決定するAT抽選処理を行う。また、メイン制御部41は、AT中においては、特別の抽選対象役(たとえば、スイカなどのレア役、BB等)が当選した場合に、ATゲーム数を上乗せするか否かを決定する上乗せ抽選を行う。
【0034】
[各入賞の具体例]
次に、各入賞が発生したときの具体例について説明する。
図2は、各入賞について説明するための図である。
図2(a)は第1入賞、
図2(b)は第2入賞、
図2(c)は第3入賞が発生したときの様子を示している。各入賞について、以下に詳細に説明する。
【0035】
[第1入賞について]
入賞ラインLN上にベル図柄の組合せが導出されたときに発生し、かつ1ゲームを開始するのに必要な賭数3枚を超える9枚の払出しがある押し順ベルの主役の入賞を第1入賞と称する。第1入賞においては、入賞ラインLN上に第1表示結果組合せとしてベル図柄の組合せが導出されるので、遊技者は入賞が発生したことを容易に識別可能である。また、第1入賞においては、入賞が発生したときの入賞演出(払出しが発生したときの払出演出)として、スピーカ53から払出音が出力されるとともに、リールLED55が発光する。このように、第1入賞とは、遊技者に認識し易い図柄組合せが導出されるとともに、1ゲームを開始するのに必要な賭数を超える賭数の払出しがあり、さらに入賞演出が実行される入賞であればよい。
【0036】
[第2入賞について]
入賞ラインLN上にスイカ図柄の組合せが導出されたときに発生し、かつ1ゲームを開始するのに必要な賭数3枚未満の2枚の払出しがあるレア役の入賞を第2入賞と称する。第2入賞においては、入賞ラインLN上に第2表示結果組合せとしてスイカ図柄の組合せが導出されるので、遊技者は入賞が発生したことを容易に識別可能である。また、第2入賞においては、入賞が発生したときの入賞演出(払出しが発生したときの払出演出)として、スピーカ53から払出音が出力されるとともに、リールLED55が発光する。このように、第2入賞とは、遊技者に認識し易い図柄組合せが導出されるとともに、1ゲームを開始するのに必要な賭数未満の払出しがあり、さらに入賞演出が実行される入賞であればよい。
【0037】
[第3入賞について]
入賞ラインLN上に遊技者が認識し難いリプレイ-黒BAR-黒BARの図柄の組合せが導出されたときに発生し、かつ1ゲームを開始するのに必要な賭数3枚未満の1枚の払出しがある押し順ベルの副役の入賞を第3入賞と称する。第3入賞においては、入賞ラインLN上に第3表示結果組合せとしてバラバラの図柄の組合せが導出されるので、遊技者は入賞ラインLNの確認のみでは入賞が発生したことを容易に識別することが困難である。また、第3入賞においては、入賞が発生したときの入賞演出(払出しが発生したときの払出演出)が実行されない。このように、第3入賞とは、遊技者が認識し難い図柄組合せが導出されるとともに、1ゲームを開始するのに必要な賭数未満の払出しがあり、さらに入賞演出が実行されない入賞であればよい。なお、第3入賞においては、入賞ラインLNのみではなく透視窓3を介して並設されているリール2L,2C,2Rに表示される図柄の組合せとして図柄が揃わないバラケ目が導出される。
【0038】
図2に示すように、ベル-ベル-ベル、および、スイカ-スイカ-スイカは、入賞ラインLN上に図柄が並ぶためリプレイ-黒BAR-黒BARよりも識別が容易である。また、第1入賞としての押し順ベルの主役の入賞、第2入賞としてのレア役の入賞が発生したときは入賞演出を実行する一方で、第3入賞としての押し順ベルの副役の入賞が発生したときは入賞演出を実行しないようになっている。このようにすれば、入賞演出により1ゲームを開始するのに必要な賭数3枚未満の払出しがある第2入賞の発生について遊技者の注目を集めることができ、入賞演出により遊技の興趣を向上させることができる。
【0039】
ここで、第1表示結果組合せおよび第2表示結果組合せのそれぞれは、第3表示結果組合せよりも表示結果組合せの識別が容易な例として、上述したように入賞ラインLN上に同じ図柄(似た図柄であってもよい)が揃うことが識別が容易であり、3×3の表示結果組合せの内のいずれにも所定の図柄が揃わないことが識別が困難であることについて説明した。しかし、入賞ラインLN以外のラインに図柄が揃うものについても識別が容易と言える。また、3×3の表示結果組合せの中に所定の図柄が表示されることにより遊技者が特定の出目と認識できる場合には、表示されない場合よりも識別が容易としてもよい。具体的には、チェリー図柄が左リールに表示される、2コマからなる2連図柄が3×3の表示結果組合せの中のいずれかのリールに表示されることを識別が容易としてもよい。
【0040】
また、遊技者にとって有利なAT状態への移行有無を決定する移行抽選としてのAT抽選は、第2入賞であるレア役の入賞が発生可能であるスイカの抽選対象役に当選したときに実行される。しかし、第3入賞である押し順ベルの副役の入賞が発生可能である押し順ベルの抽選対象役に当選したときにはAT抽選が実行されない。このようにすれば、第2入賞が発生することによりAT状態への移行について遊技者の注目を集めることができる。
【0041】
また、遊技者にとって有利なボーナス状態への移行有無を決定するボーナス抽選は、第2入賞であるレア役の入賞とBB入賞とが同時抽選するときに実行される。しかし、第3入賞である押し順ベルの副役の入賞が発生可能である押し順ベルの抽選対象役に当選したときにはボーナス抽選が実行されない。このようにすれば、第2入賞が発生することによりAT状態への移行について遊技者の注目を集めることができる。
【0042】
また、第1入賞である押し順ベルの主役が発生したときと、第2入賞であるレア役の入賞が発生したときとでは、払出音とリールLED点灯とによる共通の入賞演出が実行される。このようにすれば、共通の入賞演出により処理が複雑化しないようにすることができる。
【0043】
また、第1入賞と第2入賞とで実行される入賞演出は、第1状態としての通常状態と、第2状態としてのAT状態とにおいて、別の報知が実行されるようにしてもよい。たとえば、通常状態とAT状態とで、スピーカ53から出力される払出音もしくはリールLED55の発光態様の少なくともいずれか一方が第1入賞と第2入賞とで異なるようにすればよい。このようにすれば、AT状態において、上乗せ抽選の対象となる第2入賞が発生したときに入賞演出により通常状態よりも演出を強調することが可能となる。
【0044】
また、入賞演出は、同じ遊技状態であったとしても、スピーカ53から出力される払出音は第1入賞と第2入賞とで共通であるが、リールLED55の発光態様は第1入賞と第2入賞とで異なるようにしてもよい。また、スピーカ53から出力される払出音は第1入賞と第2入賞とで異なるが、リールLED55の発光態様は第1入賞と第2入賞とで共通であってもよい。
【0045】
また、第2入賞は、スイカ-スイカ-スイカの図柄組合せが導出されたとき以外の黒7-スイカ-スイカの図柄組合せが導出されたときにも発生する。スイカ-スイカ-スイカの図柄組合せは、入賞ラインLNに3つのスイカ図柄を引込める正解タイミングの操作がされたときに導出される。また、黒7-スイカ-スイカの図柄組合せは、入賞ラインLNに3つのスイカ図柄を引込めない不正解タイミングの操作がされたときに導出される。スイカ-スイカ-スイカおよび黒7-スイカ-スイカのいずれが導出されたときにもレア役であるスイカ入賞が発生し、そのときに払出させるメダルは2枚である。しかし、スイカ-スイカ-スイカが導出されたときは入賞演出を実行する一方で、黒7-スイカ-スイカが導出されたときには入賞演出が実行されないようになっている。このようにすれば、遊技者の正解タイミングの操作によりスイカ-スイカ-スイカの図柄組合せが導出されたときに合わせて入賞演出が実行されるので、遊技者の体感に合わせて入賞演出を実行することができる。
【0046】
なお、スイカ-スイカ-スイカが導出されたときも、黒7-スイカ-スイカが導出されたときにも入賞演出を実行するようにしてもよい。このようにすれば、遊技者が正解タイミングの操作ではない不正解タイミングの操作を実行したとしても入賞演出によりメダルが付与されたことを確認させることができる。
【0047】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0048】
[入賞演出について]
本実施の形態においては、賭数である3枚を超える入賞において入賞演出が実行される場合について説明した。しかし、入賞演出は、賭数と同じ3枚の払出しがあるときに実行されるようにしてもよい。なお、賭数と同じ3枚の払出しであるときは入賞演出を実行しないようにしてもよい。
【0049】
また、入賞演出は、AT抽選に当選したときと非当選のときとで異ならせるようにしてもよい。また、入賞演出は、AT状態において、上乗せ抽選に当選したときと非当選のときとで異ならせるようにしてもよい。ボーナス抽選においても同様である。
【0050】
[各種入賞について]
本実施の形態においては、第2入賞は、入賞ラインLN上に同じ図柄が揃うものを説明した。しかし、第2入賞として中段チェリーのように、入賞ラインLN上の少なくとも1つの場所にレア役に対応する図柄(たとえば、チェリー図柄)が揃うものを第2入賞としてもよい。また、無効ラインに図柄が揃うものを第2入賞としてもよい。たとえば、右上がりにチェリー図柄が3つ揃うものを第2入賞としてもよい。
【0051】
本実施の形態においては、第1入賞として押し順ベルの主役の入賞、第2入賞としてレア役の入賞、第3入賞として押し順ベルの副役の入賞を説明した。しかし、各入賞はそれぞれ複数設けられていてもよい。そして、複数設けられた各第1入賞、各第2入賞毎に共通の入賞演出が実行されるようにすればよい。なお、複数設けられた第1入賞(または第2入賞)の各入賞毎に入賞演出が異なるようにしてもよい。
【0052】
[特定状態に制御するための権利について]
本実施の形態においては、特定状態に制御するための権利として、レギュラーボーナスやビッグボーナスの当選を例示したが、これに限らない。たとえば、ストップスイッチの操作手順を遊技者に報知可能なAT(アシストタイム)に制御するための権利(たとえば、ナビストック)を適用してもよいし、あるいは、ATに制御される確率が通常状態よりも高いCZ(チャンスゾーン)に制御するための権利(たとえば、CZゲーム数)を適用してもよい。このようなATやCZに制御されている区間を有利区間とも称し、有利区間に制御されていない区間を通常区間とも称する。すなわち、特定状態に制御するための権利として、有利区間に制御するための権利を適用してもよい。
【0053】
なお、上述した本実施の形態および変形例における各種構成、各種処理、各種処理のタイミングなどは、適宜組合せることができる。
【0054】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、3 透視窓、7 スタートスイッチ、8L,8C,8R ストップスイッチ、41 メイン制御部、41a メインCPU、41c RAM、51 液晶表示器、53 スピーカ、91 サブ制御部、91a サブCPU、91c RAM。