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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】呼気弁
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/20 20060101AFI20220121BHJP
   A62B 18/10 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
A61M16/20 B
A62B18/10
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017214478
(22)【出願日】2017-11-07
(65)【公開番号】P2018075369
(43)【公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】10 2016 121 379.9
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515233591
【氏名又は名称】ハミルトン メディカル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・ブライトルック
(72)【発明者】
【氏名】ディーノ・デ-シュテファーニ
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04630604(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0012360(US,A1)
【文献】特開昭55-107167(JP,A)
【文献】米国特許第05020532(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06-16/08
A61M 16/20
A62B 18/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気装置(100)の呼気弁(10)であって、
前記呼気弁が、患者の呼吸空気のための流体入口(14)および流体出口(16)が形成されており、前記流体入口(14)の周りに形成された少なくとも1つの補強リブ(36、38)を有する弁体(12)を備え、
少なくとも1つの前記補強リブ(36、38)は、前記流体入口(14)の縁(26)に対して径方向外向きに延び、
前記弁体(12)は、前記流体入口(14)が中へと開口するカップ形弁プレナム(18)を形成し、前記カップ形弁プレナム(18)が、前記流体入口(14)に対して開口しており、
前記弁体(12)は、前記カップ形弁プレナム(18)を少なくとも部分的に包囲する弁底部(24)を形成し、前記弁底部(24)は、前記流体入口(14)と前記カップ形弁プレナム(18)の外側縁との間で皿状の様態で延び、
少なくとも1つの前記補強リブは、前記流体入口(14)の前記縁(26)から外向きに前記弁底部(24)に沿って延びる第1の補強リブ(36)を備え、
少なくとも1つの前記補強リブは、前記弁底部(24)の前記外側縁から内向きに前記弁底部(24)に沿って延びる第2の補強リブ(38)を備え、
前記第1の補強リブ(36)が、前記流体入口(14)の前記縁と前記弁底部(24)の軸方向の膨出部との間に延在している内側補強リブを形成しており、
前記第2の補強リブ(38)が、前記軸方向の膨出部(32)との間に延在している外側補強リブを形成している、呼気弁。
【請求項2】
前記弁体(12)は、プラスチック材料から作られる、請求項1に記載の呼気弁。
【請求項3】
前記弁体(12)は、射出成形部品である、請求項2に記載の呼気弁。
【請求項4】
少なくとも1つの前記補強リブ(36、38)は、前記弁体(12)と一体に形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項5】
前記弁体(12)は、前記流体入口(14)が形成されている流体入口部(28)を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項6】
前記流体入口部(28)は第1のピン状突起を形成する、請求項に記載の呼気弁。
【請求項7】
前記流体入口(14)は、前記カップ形弁プレナム(18)の中心部分に配置される、請求項に記載の呼気弁。
【請求項8】
前記流体出口は、前記流体入口(14)に対してさらに外側に配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項9】
前記弁底部(24)は、流体進入面を定める前記流体入口の縁を起点とする、請求項1からのいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項10】
前記弁底部(24)は、前記流体進入面(22)の前記縁(26)において前記流体入口(14)の内部から始まっており、前記カップ形弁プレナム(18)を向く側において丸められた輪郭を有する、請求項に記載の呼気弁。
【請求項11】
前記弁底部(24)は、前記軸方向の膨出部(32)を形成するように、前記流体入口(14)の周りの部分において軸方向に膨出する、請求項1,9、及び10のいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項12】
前記弁底部(24)は、前記流体入口(14)と前記流体出口(16)との間の流体流路を、前記流体流路の断面積が前記流体出口(16)に向かって拡大するようにして定める、請求項1及び9から11のいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項13】
前記軸方向の膨出部(32)が、前記流体入口(14)の周辺の周りに異なる深さを有する、請求項12に記載の呼気弁。
【請求項14】
前記軸方向の膨出部(32)の深さは、前記流体出口(16)に向かう周方向において増加する、請求項13に記載の呼気弁。
【請求項15】
周方向における前記軸方向の膨出部(32)の深さは、前記流体出口(16)と反対の側において最も小さい、請求項13または14に記載の呼気弁。
【請求項16】
周方向における前記軸方向の膨出部(32)の深さは、前記流体出口(16)に向かう側において最も大きい、請求項13から15のいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項17】
前記弁体(12)は、前記流体出口(16)が形成されている流体出口部(30)を定める、請求項1から16のいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項18】
前記弁底部(24)の前記軸方向の膨出部分(32)は、前記流体出口部(30)と合流する、請求項17に記載の呼気弁。
【請求項19】
前記流体入口(14)を閉じる位置と前記流体入口(14)を開ける位置との間で少なくとも変位可能である、前記流体入口(14)と関連付けられる弁膜をさらに備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の呼気弁。
【請求項20】
前記弁体(12)は、支持部(42)をさらに備え、前記支持部の上側には、前記外側縁に当接領域が形成されている状態で、弁膜(20)が置かれており、前記支持部(42)は、その上側(46)において不均一な設計を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の呼気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置の呼気弁に関し、この呼吸弁は、患者の呼吸空気のための流体入口および流体出口が形成されており、流体入口の周りに形成された少なくとも1つの補強リブを有する。
【0002】
この呼気弁は、患者の機械的換気のための換気装置において使用される。本発明は、このような換気装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
機械的換気では、呼吸空気が、通例は陽圧の下で、機械的な手法で患者に供給される。機械的換気は、患者の自身の呼吸を支援できる、または、患者の自身の呼吸に完全に取って代わることができる。呼吸空気の供給は、連続的な換気サイクルで行われる。各々の換気サイクルは、吸気局面と、それに続く呼気局面とを含む。換気空気は、それぞれの換気サイクルの吸気局面の間に、通例は機械的に、または、いずれにせよ装置で補助された手法で、患者の気道において広がる圧力に対して陽圧で供給される。呼気は、換気サイクルの続いての呼気局面の間に起こる。通例、呼気局面では陽圧または陰圧は気道にかからない。むしろ、呼気は、周囲圧力に対して気道を弛緩させることで受動的に起こるものであり、患者自身の呼気の労力は、できるだけ支援されるものである。呼吸空気の呼気と呼吸空気の環境への排出とは、本明細書に記載している呼気弁の助けでもたらされる。呼気弁は、吐き出された空気のための導管において、通例はこの導管の下流で、換気システムに配置される。患者から離れる方を向く側では、通常は周囲圧力が広がっている。この圧力に対する陽圧が呼気局面の間に患者の側から弁に加えられるとき、呼気弁は開き、吐き出された空気の環境への排出を許容することになる。そのようになるとき、呼気弁は、呼気局面の開始と終了とを確実に認識し、それに従って反応することになる。このために、環境を向く側に対して十分に高い陽圧が気道を向く側に存在するかどうかに依存して、気道と環境との間での流体の通過を開くか閉じる弁膜が使用される。
【0004】
過去には、呼気弁が動作中に不快な大きな騒音を発生させるという問題がしばしば生じていた。ある場合には、吐き出された空気における振動する圧力変動が呼気弁によって発生または増加させられることが観察されることさえあり、これは、最終的に換気において不具合をもたらす。自動トリガーまたは自動サイクルとして知られるこの現象の場合、呼気弁によって発生または増加させられる圧力変動は、呼気局面の終了として換気装置によって誤って検出され、換気装置が次の吸気局面を先走って開始してしまう。これは機械的に換気させられている患者にとって非常に不快であり、機械的に換気させられている患者に危険をもたらす可能性さえある。本発明による呼気弁は、このような問題を回避または少なくとも低減するように意図されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
これまで使用されてきた呼気弁との比較で、本発明による呼気弁は、本開示の最初の段落で述べているように、吐き出された空気の向上された案内を可能にする。具体的には、呼気弁は、呼気局面の開始および終了への反応においてより敏感であり、呼気弁の動作の間の騒音の発生が明らかに抑制される。さらに、自動トリガーまたは自動サイクルの現象をより良く制御することが可能である。
【0006】
呼気弁は、息を吐く間、つまり、呼気局面の間の呼吸空気が、ここでは開けられている流体入口によって呼気弁へと入ることができ、具体的には、呼気弁によって包囲された弁プレナムに入ることができる。吸気局面の間、流体入口は好ましくは閉じられている。
【0007】
流体出口は、吐き出された呼吸空気が環境へと排出され得るように設計される。
【0008】
流体入口の周りに形成された少なくとも1つの強化または補強リブを伴う弁体を提供することが提案されている。弁体は、具体的には、複数の補強リブが流体入口の周りに形成された状態で提供され得る。複数の補強リブは、流体入口の周辺の周りに、連続して、具体的には、互いから特定の間隔で、提供され得る。例えば、1つだけの補強リブが、流体入口を少なくとも部分的に包囲する固形物として設計されてもよい。1つだけの補強リブは、具体的には、流体入口と流体出口との間の流体流れと干渉しないように、流体流路から離れる方を向く弁体の側に形成される。補強リブは、具体的には弁体の下方側に位置付けられ、例えば、弁体の底部を形成する弁底部の下方側に、流体流路から離れる方を向く弁底部の側において形成される。
【0009】
1以上の補強リブは、弁底部を強化または補強するのに適している。これは、流体入口を包囲する膨出部分において特に有利な効果を有している。このような膨出部分は、さらに以下においてより詳細に記載されているように、流体入口の周りで延びる溝または通路を形成できる。弁体における補強リブの提供は、流体流路の断面領域にわたる、弁体の領域、具体的には、弁底部の、二次モーメントにおける増加をもたらす。弁体は、この領域においてより捩じれに強くなり、そのため、弁プレナムに入り流体流路に沿って流れる流体流れは、弁体の振動、特には、弁底部の振動を、より小さくする。これは、とりわけ騒音の発生を抑制するが、流体入口に連結される呼吸空気導管において感じさせられることになる逆行する圧力の影響をはるかにより小さくさせることになる。したがって、呼気サイクルの終了の誤った検出の問題と、それによってもたらされる換気装置における自動トリガーまたは自動サイクルの過程とは、相当に抑制され得る。
【0010】
弁体は、具体的にはプラスチック材料から作られ得る。例えば、弁体を射出成形工程で製作することは都合が良い。そのため、弁体は射出成形部品である。例えば、弁底部と一緒にされた弁体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、または別の熱可塑性プラスチック材料など、射出成形に適したプラスチック材料から作ることができる。
【0011】
少なくとも1つの補強リブを弁体と一体で形成することは有利である。一体という用語は、例えば、少なくとも1つの補強リブが、弁体と同じ射出成形工程で、具体的には、単一構成の射出成形部品として、製作されるといった、少なくとも1つの補強リブと弁体とが1つの構成部品として製造されるという趣旨に理解されるものである。
【0012】
少なくとも1つの補強リブは、有利には、流体入口の縁に対して外向きに延び得る。外向きという表現は、流体入口の縁と弁底部の外側縁との間の弁底部の部分をできるだけ効率的に補強するように配置される少なくとも1つの補強リブの方向を示すものである。したがって、少なくとも1つの補強リブは、具体的には、流体入口の周りで延びる流体流路を横断する経路に沿って延びる。具体的には、少なくとも1つの補強リブは、流体入口の断面領域の中心に対して径方向に延び得る。しかしながら、少なくとも1つの補強リブが正確に径方向で延びず、例えば弁底部の外側縁に向かって螺旋状にといった、加えて周方向に延びることも考えられる。少なくとも1つの補強リブは、具体的には、流体入口の縁の外側に配置され得る。
【0013】
実施形態では、弁体は、弁底部によって、具体的には、弁体によって形成された弁底部によって、および任意選択で、弁底部を起点とし、同じく弁体によって構成される外側縁によって、下方側において少なくとも一部で包囲され、流体入口が中へと開口するカップ形弁プレナムを定める。カップ形弁プレナムの上側では、弁プレナムが、カバーを構成する弁膜によって閉じ込められ得る。弁プレナムは空洞を定め、その空洞は、流体入口を介して加えられる流体(吐き出された呼吸空気)を入れておくことができ、その空洞から、流体(吐き出された呼吸空気)は流体出口を介して排出され得る。具体的には、弁プレナムは、流体入口と流体出口との間で形成される流体流路を有している。具体的には、弁プレナムは、その下方側において弁底部によって少なくとも一部で閉じ込められ、流体入口は弁底部へと開口している。弁底部は、具体的には、流体入口と弁体の外側縁(特に弁プレナム)との間で皿状の様態で延びることができ、同時に、弁底部の外側縁は弁体の外側縁を構成している。「皿状」という用語は、弁底部が、さらにより詳細に記載されることになる流体入口の周りの可及的な通路上の凹所から離れて、流体入口と外側縁との間で実質的に平坦な様態または平坦な円錐の様態で延びることを指摘するものである。流体入口は、具体的には弁底部の中心部に形成される。流体入口は、具体的には、同じく円形の流体進入面を伴う円形の断面領域を有し得る。
【0014】
特定の実施形態が、弁底部が流体入口の周りの部分で軸方向に膨出するように形成され得る。「軸方向に膨出する」という言葉は、弁底部が、少なくとも、流体入口軸を含む断面において、つまり、流体入口の縁と弁底部の外側縁との間に位置付けられる部分において、凸状の構成を有することを指摘するものである。凸状は、断面図において、弁底部における2点をつなぐ線が弁プレナムを通って延びることを意味する。したがって、弁底部は、流体入口の周りで延びる溝または通路を形成し、前記通路の底部は、流体入口の縁と弁底部の外側縁との間で軸方向に膨出している。これと対照的に、現在使用中の呼気弁の弁底部は、平坦な円錐形の構成を有しており、つまり、膨出部または突起部を形成していない。
【0015】
少なくとも1つの補強リブは、膨出部分において弁底部を補強するのに適している。したがって、呼吸空気が流れるときの騒音の発生は、弁底部の振動が抑制されるため低減され得る。
【0016】
少なくとも1つの補強リブは、少なくとも1つの第1の補強リブと少なくとも1つの第2の補強リブとを備え得る。少なくとも1つの第1の補強リブは、少なくとも1つの第2の補強リブの径方向内側に配置される内側補強リブである。また、少なくとも1つの第2の補強リブは外側補強リブである。少なくとも1つの第1の補強リブは、具体的には、流体入口の縁から弁底部に沿って外側に向けて延びる。少なくとも1つの第2の補強リブは、具体的には、弁底部の外側縁から弁底部に沿って内側に向けて延びる。少なくとも1つの第1の補強リブは、具体的には、流体入口の縁と弁底部の膨出部分との間で延びる。少なくとも1つの第2の補強リブは、具体的には、弁底部の膨出部分と弁底部の外側縁との間で延びる。具体的には、少なくとも1つの第2の補強リブは、弁底部の外側縁に形成される鍔状の肩部において途切れる。肩部は、例えば、弁底部の縁の周りで延びる少なくとも1つの段差部、好ましくは、少なくとも2つの離間された段差部を有することができ、少なくとも1つの第2の補強リブは、段差部に、または、段差部のうちの内側のものに、それぞれ合流している。
【0017】
弁底部は、具体的には、流体進入面を定める流体入口の縁を起点とし得る。流体進入面と弁底部との間には、段差部が作り出されていない。この様態では、弁プレナムに対する流体入口の鋭い縁の境界が回避される。これは、呼気弁への流体の流れに加え、呼気局面の間の呼気弁を通る流体の流れを、できるだけ静かに形成することを促進する。既知の呼気弁の場合、流体入口は、対照的に、弁プレナムへと突出し、具体的には、流体入口は弁底部を越えて特定の距離で突出する。そのため、弁底部は、流体進入面を定める流体入口の縁を起点せず、流体の流れは、弁プレナムへと流れるときに段差部を通過し、これは、呼気弁へと流れる流体の流れの乱流および失速または気流の分離の形成を高めてしまう。
【0018】
騒音の発生および逆行する圧力の影響を低減することについて、弁プレナムが、流体入口と流体出口との間での流体流路に沿っての流れに関して空気力学的に効率的な設計を有するとき、同じく都合良く可能となる。具体的には流体流路の、弁プレナムの空気力学的に効率的な設計は、流体進入面の縁における流体入口の内側から始まる弁底部が、弁プレナムを向く側において丸められた輪郭を有するとき、特に高められ得る。したがって、流体入口から弁プレナムに入る流体流れは、実質的に非旋回の様態で失速することなく流体流路に到達し、流体出口に向かって流れる。これは、流体出口が開けられるとき、動作騒音の低減をもたらす。さらに、流体入口へと連結された呼吸空気導管への逆行する圧力の影響は、効果的に抑制され、そのため、換気装置による呼気局面の終了の誤った検出の危険性は低減される。
【0019】
具体的には、丸められた輪郭だけが流体入口から流体出口へと弁プレナムにおける流体流路に沿って形成されているような、弁プレナムの流れが最適化された設計は、保護する価値があることと無関係である本発明の主題を構成すると考えられる。本出願は、流体入口の周りに形成される1以上の補強リブの存在と無関係に、このための独立した保護を請求する権利を保有する。さらに、流体入口の周りの部分で軸方向に膨出する弁底部の前述の設計も、流れを最適化する設計を達成することにおいて寄与できる。
【0020】
特定の実施形態では、流体流路は、流体出口に向かって拡大する断面積を有し得る。この設計では、流体流路は、この様態で開けられる呼気弁を通る呼気の間に流れる流体(吐き出された空気)の、流体出口に向かって増加する体積流量に特に良好に合致される。体積流量が大きくなるにつれて、流体流路において利用可能な断面積がより大きくなる。具体的には、各々等しい大きさの角度部分に対しての流体流路の部分的な体積は、これらの部分的な体積が流体出口に向かう方向において増加するように、流体入口の周辺に沿って変化する。これは、流体流れにおける乱流および攪乱の形成を低減し、呼気弁が、気道における吐き出された空気の流れにおける変化に、はるかにより信頼できるが同時により敏感な様態で反応できる可能性を提供する。従来の呼気弁では前述の自動トリガーの不具合をしばしばもたらす逆行する圧力の影響は、はるかにより生じにくい。
【0021】
流体流路の断面積は、呼気弁が開けられるとき、流体入口と流体出口との間の流体流れの主方向を横断する断面積、具体的には、その主方向に対して直角での断面積において、流体流れにとって利用可能な空間の面積であるとして理解されるものである。
【0022】
具体的には、設計は、軸方向の膨出部または突起部が流体入口の周辺の周りで変化する深さを有するようになってもよい。膨出部の深さは、距離として定められ、流体入口の縁における弁底部と、流体入口の縁から弁底部の外側縁までの断面に沿っての膨出の最も深い場所における弁底部との間において軸方向で測定され得る。具体的には、膨出部の深さは、流体出口に向かって周方向で増加することになる。したがって、各々等しい大きさの角度部分に対しての膨出部の部分的な体積は、これらの部分的な体積が流体出口に向かう方向の大きさにおいて増加するように、流体入口の周辺に沿って変化する。特定の実施形態では、周方向における膨出部の深さは、流体出口の反対側において最も小さく、周方向において、流体出口に向かって位置付けられる側において最も大きくなり得る。
【0023】
前述において言及したように、流体入口は、具体的には弁プレナムの中心部分に配置され得る。流体出口は、流体入口に対してさらに外側の場所に、具体的には径方向において外側に、具体的には弁プレナムの外側縁に、配置され得る。このような設計の場合、流体入口と流体出口との間での流体流路の断面積は、流体入口軸から弁プレナムの外側縁までのそれぞれの径方向断面における弁プレナムの面積として、各々の場合でそれ自体を示している。
【0024】
特定の実施形態では、弁体は、流体入口が形成されている流体入口部を有してもよい。具体的には、流体入口部は、弁体と一体に形成されてもよく、したがって、弁体が射出成形部品である場合、射出成形部品として形成され得る。具体的には、流体入口部は弁底部から延びることができ、具体的には、弁底部の下方側から延びることができる。流体入口部は、例えば弁底部に対して直角に、延びることができる。流体入口軸は、流体入口部の長手方向において仮想線を指定し、その仮想線は、流体入口部に対して中心に配置される。流体進入面が流体入口に対して直角である場合、流体入口軸は、流体入口によって定められる流体進入面に対して直角であり、流体進入面に対して中心に配置される。特定の実施形態では、流体入口部は、呼吸空気管の連結のために設計され得る第1のピン状突起を定め得る。例えば、第1のピン状突起は、円筒形または円錐形を有してもよく、具体的には、流体入口が形成されている円筒形または円錐形の管取付具として設計されてもよい。流体入口は、具体的には、円形の断面領域を有し得る。
【0025】
さらに、弁本体は、具体的には、流体出口が形成されている流体出口部を定めてもよい。流体出口部は、具体的には、第2のピン状突起を有し得る。流体出口部は、具体的には、例えば同じく射出成形部品の形態で、弁体と一体に形成されてもよい。第2のピン状突起は、具体的には、円筒形または円錐形を有してもよい。望む場合には、第2のピン状突起は、例えば、流体出口が形成されている円筒形または円錐形の管取付具として形成され得る。しかしながら、第2の突起は、しばしば環境へと直接的に開くことになる。流体出口は、具体的には、円形の断面領域を有し得る。
【0026】
流体入口と流体出口との間に流体流路を定める弁底部の膨出部分は、流体出口部と合流してもよい。弁底部の膨出部分は、具体的には、流体出口部の側壁と合流してもよい。具体的には、膨出する弁底部によって定められる溝または通路は、流体出口部への移行において最大深さを有する。
【0027】
流体入口部の場合のように、流体出口部も、具体的には、弁底部から、具体的には、弁底部の下方側から延びてもよい。流体入口部は、弁底部に対して直角に延びてもよい。
【0028】
さらに、弁体が、外側縁において当接領域が形成されている状態で、弁膜が上側に置かれ得る支持部を有し、その支持部が、その上側において不均一な設計を有するとき、有利である。
【0029】
先に記載しているように、呼気弁は、流体入口を閉じる位置と流体入口を開ける位置との間で少なくとも変位され得る、流体入口と関連付けられる弁膜をさらに備える。弁膜は、その流体入口を向く側と流体入口から離れる方を向く側との間の圧力差だけによって閉位置と開位置との間で変位できるように、それ自体の駆動なしで設計されてもよい。しかしながら、追加で、または、代替として、閉位置と開位置との間で往復する様態で弁膜を変位させるアクチュエータが提供されてもよい。このアクチュエータは、好ましくは、換気装置によって駆動される。この弁膜はそれ自体の当接領域を有し、当接領域は弁膜の外側縁に形成され、支持部の上側に圧し掛かる。呼気弁は、具体的には、締付部材をさらに備え、例えば、締付部材が弁膜との締付係合を確立するような様態で弁体と協働する締付リングを備える。具体的には、締付部材との締付係合によって、弁膜の外周においてもたらされるこの締付係合を用いて、弁膜は弁体に固定される。この点において、陽圧が、弁プレナムと関連付けられる側と比較して、流体入口と関連付けられる側において存在するとき、弁膜が弁プレナムに対して流体入口を開ける位置へと持って行かれ得るような様態で、弁膜は締付部材によって弁体に固定され得る。この場合ではない限りにおいて、具体的には、弁プレナムと関連付けられる側と比較して、流体入口と関連付けられる側において等しい圧力または陰圧である場合、弁膜は、弁プレナムに対して流体入口を閉じた位置に留まる。
【0030】
また、本発明は、呼気空気導管に連結され得る先に記載した種類の呼気弁を備える換気装置に関する。
【0031】
本発明は、図面を参照しつつ、実施形態を用いて以下においてより詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】制御装置と、監視装置と、供給される呼吸空気のための管と、吐き出された空気のための管とを備える、患者の機械的換気のための換気装置を示す図である。
図2】実施形態による呼気弁の断面図である。
図3図2の呼気弁の弁体の下からの斜視図である。
図4図2の呼気弁の弁体の上からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
同様の構成要素または機能的の同様の構成要素については、同じ符号がすべての図において使用される。このような構成要素の詳細な記載は、各々の場合において、それぞれの符号を示す最初の図について提供される。明確にそうではないことが指摘されていない場合、同じ記載が、同じ符号を持つ構成要素が示されているすべての他の図にも当てはまることは、理解されるものである。
【0034】
図1は、患者の機械的換気のための換気装置100を示している。換気装置100は、制御装置110と、監視装置120と、装置によって供給される換気空気のための導管130と、吐き出された空気のための導管140と共に、ローラによって移動可能となっているラック102を備えている。供給される換気空気のための導管130は、制御装置110から加湿装置134へと延びる第1の換気空気管132を備えており、加湿装置134では、換気空気は水容器を通過させられる。加湿装置134から、第2の換気空気管136がT字部品138へと延びている。T字部品から、換気サイクルの吸気局面の間に換気装置100によって提供される換気空気は、導管150を介して患者へと供給される。導管150を介して、換気サイクルの呼気局面の間に患者によって吐き出された空気も換気装置100へと戻される。このために、吐き出された空気のための導管140に属する追加の呼吸空気管142が、T字部品138から分岐している。呼吸空気管142は、図2図4を参照して以下においてより詳細に説明される概して符号10が付された呼気弁につながっている。
【0035】
図2は、図1で利用されているような実施形態による呼気弁10の断面図を示している。呼気弁10は、患者によって吐き出された呼吸空気のための流体入口14および流体出口16が形成されている弁体12を備えている。図3および図4は、この弁体12の斜視図を示しており、図3は、おおよそ図4において符号12が付された矢印の方向から、下から見た図を示しており、図4は、おおよそ図3において符号12が付された矢印の方向から、上から見た図を示している。図2は、呼吸空気管142がまだ連結されないように、換気装置100における設置前の呼気弁10を示している。動作状態において、つまり、図1による換気装置100における呼気弁10の設置の後、呼吸空気管142は流体入口14に連結される。したがって、患者によって吐き出された空気は、流体入口14を介して呼気弁10へと通される。呼気弁10を通過すると、吐き出された空気は、流体出口16を介して、換気装置100の周囲環境へと送られる。
【0036】
呼気弁10は、いわゆる弁プレナム18を備えている。弁プレナム18は空洞を定め、その空洞は、流体入口14を介して加えられる流体(吐き出された呼吸空気)によって作用されるように適合されており、その空洞から、流体(吐き出された呼吸空気)は流体出口を介して排出され得る。したがって、弁プレナム18では、弁体12および弁膜20によって、流体入口14と流体出口16との間に流体流路が形成されている。流体入口14は、息を吐く間、つまり、換気サイクルの呼気局面の間の呼吸空気が、弁プレナム18に入ることができる。換気サイクルの吸気局面の間、つまり、呼吸空気が換気導管130を介して機械的に患者へと供給されるとき、流体入口14は閉じられることになる。このために、流体入口14と関係付けられた弁膜20が設けられている。弁膜20は、流体入口14を閉じる位置と流体入口14を開ける位置との間で少なくとも変位され得る。弁膜20は、具体的には、流体入口14と関連付けられる弁膜20の側の圧力が、流体入口14から離れる方を向く弁膜20の側において広がる圧力(通常は周囲圧力)より所定の圧力以内である限り、弁膜20の中心部が、流体入口14に形成された流体入口開口22を閉じるように流体入口14に当接するようにして設計されている。そして、弁膜20は、弁プレナム18に対して流体入口14または導管140を閉じる位置にある。これは、吸気局面の間に弁膜20によって取られる位置である。吐き出された空気についての流体入口14または導管140から離れる方を向く側における圧力と比較して、吐き出された空気についての流体入口14または導管140と関連付けられる側において十分に高い陽圧がある場合、弁膜20は、弁プレナム18に対して流体入口14を開ける位置へと移動し、そのため、吐き出された空気についての導管140からの呼吸空気は、弁プレナム18へと流れることができる。これは、通常は呼気局面の間に起こる。弁膜20は、プラスチック材料から作られ、具体的には、例えばシリコンまたはポリシロキサンのプラスチック材料といった、弾性を有するプラスチック材料から作られる。弁膜20は、付勢される様態で、吐き出された空気についての導管140を向く側に陽圧が加えられることなく、流体入口開口22を包囲する流体入口14の縁26に当接するように設置され得る。十分に大きい陽圧が、吐き出された空気についての導管140を向く側に加えられるとき、弁膜20は、流体入口開口22を包囲する流体入口14の縁26から径合解除し、そのため、吐き出された呼吸空気は弁プレナム18へと流れることができる。しかしながら、追加で、または、代替として、閉位置と開位置との間で往復する様態で弁膜20を変位させるアクチュエータが提供されてもよい。このアクチュエータは、好ましくは、換気装置によって駆動され、例えば、流体入口開口22から離れる方を向く弁膜20の側において弁膜20の中心部分において係合する。弁膜20のそれぞれの位置は、弁膜20と弁体12との間で形成される弁プレナム18および弁体12の体積を決定する。
【0037】
弁体12は、流体入口14から外向きに弁プレナム18の下方側において延びている弁底部24を、弁プレナムの外側縁または弁底部に到達するように備えている。弁底部24は、弁膜20と共に、流体入口14と流体出口16との間で弁プレナム18に形成された流体流路を定めている。具体的には、特定の実施形態における弁体12は、弁底部24によって下方側において少なくとも一部で閉じ込められ、流体入口14が中へと開口しているカップ形弁プレナム18を形成している。弁底部24は、具体的には、流体入口14と弁体12(具体的には弁プレナム18)の外側縁との間で皿状の様態で延びることができ、同時に、弁底部24の外側縁は弁体12の外側縁を構成している。流体入口14は、具体的には弁底部24の中心部に形成されている。流体入口14は、具体的には、円形の断面領域を有し、同じく円形の流体進入面22を有し得る。したがって、流体進入面22を定めている流体入口14の縁26は、弁プレナム18の下方側における縁26から始まって弁体12の外側縁へと延びる弁底部24の内側縁を形成している。径方向における弁体12の外側縁は、流体入口14から最も遠くに離れて位置付けられている。したがって、縁26は、少なくとも、弁底部24から唐突に、または、鋭い縁を伴って突出するようなことはなく、むしろ、弁底部24は、流体入口開口22の縁26で直に始まり、この縁26から滑らかに湾曲した輪郭で外向きに延びている。この構成のため、空気がそれ自体の周りで流れるときに気流の分離およびそれに関連する騒音の発生を引き起こし得る鋭い縁が、回避される。
【0038】
弁底部24は皿状の構成を有する。これは、弁底部24が、弁底部24の内側縁26と外側縁との間で、実質的に平らになって、または、ほとんどが平坦な円錐形で、延びていることを表すものである。さらに以後においてより詳細に記載されることになる、例えば溝または通路といった、弁底部24における可及的な凹所は、全体で丸められた流れが合致する輪郭が作り出され、様々な滑らかな合流する湾曲を有するように形成される。
【0039】
流体入口14が弁プレナム18の中心部に配置されている一方、流体出口16は、流体入口14に対して径方向でさらに外側に位置付けられている。具体的には、流体出口16は弁プレナム18の外側縁に配置されている。弁出口16の場所において、弁体12は、具体的には弁底部24の外壁において、呼吸空気が弁プレナム18から流体出口16へと流れることができるのに通る出口開口を伴って、提供されている。出口開口は、滑らかに湾曲された縁も設けられており、したがって、流れに関して都合の良い構成を有しており、そのため、弁プレナム18からの排出における鋭い縁に沿っての呼吸空気の流れは回避される。
【0040】
弁体12は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、または別の熱可塑性プラスチック材料といった、プラスチック材料から作られる。弁体12は、射出成形部品であり、つまり、射出成形方法で製作される。具体的には、弁体12は、一回の射出成形工程で、具体的には、単一の構成要素の射出成形部品の形態で、製造できるように設計されてもよい。
【0041】
弁体12は、流体入口14が形成されている流体入口部28を有している。流体入口部28は、具体的には、弁体12と一体に形成されている。流体入口部28は、弁底部24から離れる方に、流体入口14の軸方向Aに実質的に沿う弁底部24の下方側からの方向で延びている。また、流体入口部28は、弁底部24に対して横断するように延びており、つまり、流体入口14の軸方向Aにおいて弁底部24の下方側から突出する。軸方向Aは、流体入口軸を指定しており、つまり、流体入口14に対して中心に位置付けられている流体入口部28の長手方向において仮想線を指定している。流体進入面22が流体入口14に対して直角に配置されているので、流体入口軸Aは、流体入口14によって定められる流体進入面22に対して直角に延び、流体進入面22に対して中心に位置付けられている。
【0042】
流体入口部28は、具体的には、例えば図1に示した呼吸空気管142といった呼吸空気管を連結するために構成されている第1のピン状突起を形成している。図2に示した変形では、第1のピン状突起は、具体的には円筒形を有する。他の改良では、ピン状の突起は、例えば若干円錐形のテーパ状とされた、その自由端に向かって若干テーパ状となるように形成されてもよい。第1のピン状突起は、具体的には、流体入口14が形成されている管取付具として形成され得る。
【0043】
弁本体12は、さらに、流体出口16が形成されている流体出口部30を定めている。流体出口部30は、具体的には、円筒形またはテーパ形状(具体的には円錐形)を有し得る第2のピン状突起を形成してもよい。第2のピン状突起は、例えば、流体出口16が形成されている円筒形の管取付具として形成され得る。また、流体出口部30は、具体的には、弁体12と一体に形成されてもよい。流体出口16は、具体的には、円形の断面領域を有し得る。流体出口16は、さらなる導管に必ずしも連結される必要はないが、周囲へと直接的に開放してもよく、そのため、吐き出された空気は流体出口16を介して周囲環境へと排出される。流体出口部30は、その径方向内側において、前述の出口開口を介して弁プレナム18に連結され、そのため、呼気弁10へと流れた流体は、出口開口を介して流体出口部30へと通される。
【0044】
流体入口部28と同様に、流体出口部30は、具体的には弁底部24から、特には弁底部24の下方側から、延びてもよい。流体出口部30は、図2図4で容易に見られるように、弁底部24に対して直角に、および/または、流体入口部28と平行な方向で、延びてもよい。
【0045】
弁プレナム18における流体流路は、流体入口14と流体出口16との間の流体流れに対して横断するように測定されるとき、流体入口14から流体出口16に向かって拡大する断面積を有する。これは、弁体12、具体的には、弁底部24および弁膜20の特定の構成および配置によって達成される。弁底部24は、底側において流体流路の境界を主に構成している。弁膜20は、上側において流体流路の境界を主に構成している。従来の弁膜と同様の弁膜20を利用することは非常に具合よく可能であるが、弁底部24は、流体流路の断面積が弁出口16に向かって増加するように設計される。具体的には、弁底部24は、その弁膜20からの距離が流体入口14から流体出口16に向かって増加するように設計される。これは、1以上の段階で行うことができるが、具体的には、流体入口14から流体出口16に向かって連続的に行われる。流体入口14が径方向内側で中心に配置され、流体出口16が径方向外側に配置されている、図2図4に示した呼気弁10の形状のため、例えば、流体入口14の周りで各々等しい大きさの角度部分に対しての流体流路の部分的な定積が、流体出口16に向かう方向において大きさにおいて増加するように、流体入口14の周辺に沿って変化するようにして流体流路を設計することは、都合がよい。このような効果は、例えば、弁底部24が沿って延びる平面が、弁膜20が沿って延びる平面に対して傾斜され、そのため、これらの2つの平面が互いから流体入口14に向かって離れるように延びるとき、達成され得る。例えば、弁膜20は、通例は流体入口軸Aに直角な平面で延びるが(図2および図3において、この平面は、符号Cが付された破線によって非常に概略的に示されている)、流体入口軸Aに対して90度異なる角度で傾斜された平面に沿って弁底部24が延び得る特定の実施形態があってもよい。弁底部24が延びるのに沿う平面は、弁底部24の可及的な個別の(例えば、窪み状の)隆起および凹所が無視された状態で、弁底部24の中心の延在に追従する平面を指定するものである。しかしながら、弁底部24は、以下においてさらに記載しているように、流体入口14と流体出口16との間の流路の断面積を決定する連続的な凹所を有し、そのため、弁底部24が延びるのに沿う平面は、概して、この凹所の経路(つまり、流体流路に追従する連続的な断面における最も深い場所の経路)によって決定されることになる。図2および図3では、この平面の場所は、線Bによって非常に概略的に示されている。この平面は、弁膜20が延びるのに沿う平面(この平面は、流体入口軸Aと直角に延びている)と平行ではないが、むしろ、90度異なる流体入口軸Aに対して角度を形成していることが、見て取れる。これは、この平面の法線ベクトルNが流体入口軸Aと平行でなく、むしろ、流体入口軸Aに対して角度αを形成していることを意味している。通常、法線ベクトルNは、図2および図3に同じく示されているように、流体入口軸Aに対して、流体出口16に向けて傾斜されることになる。
【0046】
流体出口16に向かっての流体流路の断面積の増加は、出口に向かって流れる呼吸空気の体積流量が、流体出口からの流体流路の距離が短くなるにつれて増加するという事実を考慮している。したがって、弁プレナム18における体積流量が利用可能な体積は、体積流量と合致されている。流体流れのために利用可能な体積のこのような合致のため、吐き出される呼吸空気の結果生じる旋回での失速の影響が回避される。
【0047】
さらに弁底部24が流体入口14の周りの部分において外向きで軸方向に膨出していることが、図2図4から容易に見て取れる。「軸方向に膨出する」という表現は、弁底部24が、少なくとも、流体入口軸Aを含む断面において、つまり、流体入口14の縁と弁底部24の外側縁との間の部分において、凸状の形を有するという趣旨に理解されるものである。図示した実施形態では、これは、径方向における断面でもあり得る。図2では、この凸状の形は、図2における左側における流体出口16において、このように形成された膨出部32の最も深い場所を通る断面について示されており、図2における右側において、膨出部32の最初の深さの場所を通る断面について示されている。凸状は、このような断面図において、弁底部24における2点を相互につなぐ線が弁プレナム18を通って延びることを意味する。したがって、弁底部24は、このように作り出された膨出部32の領域において、流体入口14の周りで延び、流体入口14の縁と弁底部24の外側縁との間で軸方向に膨出する床を有する溝または通路を形成している。したがって、通路は、流体入口14の周りで流体流路を定めている。したがって、流体流路に沿うこの通路のそれぞれの最も深い位置(別の言い方をすれば、流体入口14と弁底部24の外側縁との間のそれぞれの断面における最も深い位置の連続)は、流体入口14の周りで延び、図3において符号34が付された線を形成している。図に示しているように、中心において流体入口14を有する弁底部24の径方向で対称な形状のため、この線34は、さらにより詳細に概説されることになる通路の異なる深さのため、楕円形を有する(流体入口軸Aに直角な平面Cなどの平面におけるこの線34の突出部は、円形を有する)。図2図4で容易に見て取れるように、弁底部24の膨出部分(または、このように形成された通路)は、実質的に流体入口14の周辺の半分の周りで延びる2つの流体流路を定め、これら流体流路は、最終的に、横側において(図2では、流体入口14の左において)流体出口16へと開口する。この点において、弁底部24の膨出部分は、流体出口部30へと合流する外側側壁を有する。すでに言及しているように、流体流路に沿うすべての縁には、流体流れの失速または気流の分離および/もしくは旋回を弱める丸められた輪郭が設けられている。
【0048】
図は、弁底部24の軸方向の膨出部32が、流体入口14の周辺の周りで異なる深さのものであることを分かりやすく示している。深さは、流体入口14を弁底部24の外側縁へと相互につなぐ断面(図に示しているような弁底部24の径方向で対称な形状の場合、これは弁底部24を通る径方向断面である)において、流体入口14の縁26における弁底部24と、膨出部32の最も深い場所における弁底部24との間で、流体入口軸Aの方向において測定される距離として測定されるものである。図2および図3は、流体出口16の場所における最大深さTmaxと、流体出口16の反対側におけるそれぞれの最小深さTminとを各々示している。
【0049】
したがって、各々の場合で等しい大きさのそれぞれの角度部分に対しての流体流路の部分的な体積は、これらの部分的な体積が流体出口16からの距離の縮小に伴って増加するように、流体入口14の周辺に沿って変化する。この方策は、利用可能な体積が流れている流体の体積流量に合致されるため、呼気局面の間に呼吸空気を排出するとき、流れによって引き起こされる騒音を低減することにかなり大きく寄与する。
【0050】
図は、弁底部24が、弁プレナム18を向く側における流体進入面22の縁において、流体入口14の内側から始まる丸められた輪郭を有することもはっきりと示している。これは、図4において特にはっきりと明らかにされている。流体進入面22の通過において、流体の流れは、流体出口16に向かって、流体入口14の周りで、近似の線34に追従する通路によって形成された流体流路に沿って流れるために、膨出部32によって形成された通路の丸められた内側縁に沿って、膨出部32の最も深い場所へと流れる。そのようにするとき、流体流れは、発生させられる騒音を伴う失速または旋回を引き起こし得るあらゆる鋭い縁を通ることがない。
【0051】
弁体12は、さらに、流体入口14の周りに形成された補強リブ36、38を示している。図2および図3では、これらの補強リブの一部は、符号36および38において例示の様態で示されている。補強リブ36、38は、弁底部24を、具体的には、膨出部分32における弁底部24によって形成されたシェルを、補強する。弁体12の捩じれが、追加の補強によって効果的に抑制される。したがって、補強リブ36、38は、弁プレナム18における流体流れの影響の下での弁体12の振動を抑制するため、騒音の発生を低減することにも寄与する。しかしながら、弁膜20の望ましくない攪乱振動を効果的に抑制することも可能である。これは、誤って動作させられる制御動作(具体的には、いわゆる自動トリガー)をもたらす可能性のある管系における気柱の振動の危険性を低減する。補強リブ36、38は、弁体12と一体に形成されている。この点において、一体とは、補強リブ36、38および弁体12が単一の構成部品として製造されるという趣旨に理解されるものである。図示した実施形態では、補強リブ36、38は、弁体12として同じ射出成形工程で製造される。
【0052】
補強リブ36、38は流体入口14の外側に配置される。図で見られるように、補強リブ36、38は、弁体12の縁に向かって、流体入口14の縁26に対して外向きに延びている。図示した実施形態では、補強リブは、流体入口軸Aに対して径方向で延びている。しかしながら、補強リブは、どちらかというと螺旋の形態で内側から外向きに延びてもよい。そのようにするとき、補強リブは、流体入口14の縁26を弁体12の外側縁に連結する。補強リブ36、38は、弁底部24の下方側において形成されている。したがって、補強リブ36、38は、弁体12の内側に、つまり、弁底部24の上側に形成された流体流路と干渉しない。図において見られるように、補強リブは、第1の補強リブ36と第2の補強リブ38を備えている。第1の補強リブ36は、流体入口14の縁26と弁底部24の膨出部分32との間に形成された内側補強リブである。図示した実施形態では、第1の補強リブ36は、流体入口14の縁26を弁底部24の膨出部分32に連結する。第2の補強リブ38は、弁底部32の膨出部分と弁底部24の外側縁との間で延びる外側補強リブである。図示した実施形態では、第2の補強リブ38は、弁底部24の膨出部分32を弁底部24の外側縁に連結する。第2の補強リブ38は、弁底部24の外側縁に形成された鍔状の肩部40において途切れている。肩部40は、例えば、弁底部24の外側縁の周りで延びる少なくとも1つの段差部、具体的には、少なくとも2つの離間された段差部を備えることができ、第2の補強リブ38は、段差部に、または、段差部のうちの内側のものに、それぞれ合流している。1以上のステップは、例えば、弁底部24の外側縁の周りで延び、弁底部24に安定性を与えるリング状の鍔を形成できる。
【0053】
図2に示しているように、呼気弁10は、流体入口14と関連付けられた弁膜20をさらに備えている。呼気弁10に取り付けられている状態で、弁膜20はその当接領域を有し、当接領域は、外側縁に形成され、弁体12の上側に形成されている支持部42の上側に圧し掛かる。支持部42は、弁体12の外側縁の周りで延び、弁体12の外側縁から弁プレナム18の側に向かって内向きに突出する突出部を形成している。支持部42は、例えば、弁体12と同じ射出成形工程で形成される射出成形部品の形態で、弁体12と一体に形成されてもいる。呼気弁10の組み立ての間、弁膜20は、弁体12の支持部42の上側と当接させられる外側当接領域を有し、そのため、弁膜20は、中心部に形成されている当接領域で流体入口14の縁26に圧し掛かり、外側部に形成されている当接領域で支持部42に圧し掛かる。したがって、弁膜20は、弁プレナム18に形成された流体流路の上側を定めている。次に、弁膜20は、図2に示した締付リング44を用いて、弁体12に対して締め付けられる。そのために、締付リング44は、弁膜に置かれ、次に、バヨネット状の様態で弁体12に対して回転される。このように作り出される締付力を用いて、弁膜20は、弁膜20の周辺において特定の度合いまで変形される。
【0054】
この理由のため、支持部42は、そのうえ側において不均一な形を有する。符号46で図4に示されている、支持部42の面にこのように形成された隆起は、締付リング44が弁体12に対して締め付けられるときに引き起こされる弁膜20の変形を相殺し、そのため、締め付けられた状態での弁膜20の周囲における折り重なりまたは撓みの形成が抑えられ得る。具体的には、支持部42の上側に、周囲に沿って互いから離間された突起部、膨出部、またはリブの形態で、隆起46が形成されている。これらの膨出部またはリブは径方向に延び得る。膨出部またはリブが、ネジ山のような設計、つまり、当接する弁膜20の平面に対する特定のピッチを有し、および/または、例えば弁体12の周囲の周りで螺旋状に延びるといった、径方向だけでなく周方向にも延びるとき、さらにより良好である。このように作り出される締付力を抑制するために、膨出部かリブによって形成されたネジ山のピッチを低く保つこと、ならびに/または、例えば、膨出部かリブの端における停止部によって、および/もしくは、弁膜20の平面と平行に延びる膨出部かリブの端における部分への移行によって、持ち上がる部分を抑制することも、都合が良い可能性がある。具体的には膨出部および/またはリブの形態での隆起は、支持部42と一体に形成され得る。
【0055】
支持部42は、弁体の外側縁の周囲の周りで連続的に延びるように形成されてもよい(例えば、図4において符号42が付された領域によって、示されているように)、または、個別の支持部分が、弁体12の外側縁の周辺に沿って連続して配置されて形成されるように、間欠的に形成されてもよい。図4による実施形態では、このような個別の支持部分42aが、弁プレナム18と流体出口16との間で排出開口の上方の流体出口16の側に形成されている。
【0056】
支持部42の上側46は、支持部42の上側46が仮想湾曲面で配置されるように、つまり、支持部42の上側46を完全に備える仮想的な平面がないように、不均一な様態で形成される。仮想湾曲面は、弁体12の上側を覆っている。具体的には、その面は、弁体12の長手方向軸を同時に構成する流体入口軸Aに対して直角に配置される。支持部42の上側46の不均一な形のため、平面状の面は、支持部の上側46にそれを置くように試みるとき、支持部42の上側46全体に接触しない。むしろ、支持部42の上側46との接触を確立する平面状の面の個別の場所だけとなる。したがって、呼気弁10が換気装置100に設置されていない呼気弁10の状態において、平面状の弁膜20は、その周囲の全体で支持部42の上側46に当接しない。どちらかといえば、弁膜20の周囲に沿って、弁膜20と支持部との間に個別の接触場所がある。支持部42の上側の不均一性は、呼気弁10が換気装置100に設置され、弁体12がその変形を引き起こす応力に曝されるときのみ、支持部42の上部46が平面状の面に位置することになり、弁膜20が、ここでは、支持部42の上側46とのシート状の接触または完全な領域での接触でその当接領域を有するようになっている。
【0057】
弁体12は、換気装置100のバヨネット状の呼気弁の連結との係合のために設計されている少なくとも1つの取付ツマミ50を備えている。そのため、換気装置は、呼気弁10を換気装置100に保持するように、呼気弁10の設置において取付ツマミ50が係合する合せ係合部材を備えている。このようなバヨネット式の結合は、換気装置100への呼気弁10の固定において、弁体12を若干変形する締付力が作り出される特性を有している。
【0058】
弁体12は、互いと関連付けられる少なくとも2つの取付ツマミ50を備えている。取付ツマミ50は、弁体12の周辺の周りで、弁体12の径方向外周に配置され、換気装置100における対応する合せ係合部材とのそれぞれの係合面52を形成するために、弁体12のそれぞれの径方向外側縁から径方向に突出している。取付ツマミ50が、換気装置100に設けられたそれぞれの合せ係合部材と係合されるとき、弁体12は、取付ツマミ50が設けられているそれぞれの側において、換気装置100に向かって移動されることになる。この強制される移動の途中で、弁体12に作り出される応力があり、弁体12の上方の縁48は、取付ツマミ50が配置される側において換気装置100に向かって曲がる。弁膜20のために弁体12に設けられた支持部42の上側46の不均一な設計は、弁体12のこの曲げを相殺するように意図されている。取付ツマミ50が、換気装置100におけるそれぞれの合せ係合部材と係合させられるとき、支持部42の上側46は、平坦となり、つまり、所定位置で配置されることになる。2つの取付ツマミ50は、180°の角度で互いと反対に、つまり、弁プレナム18を挟んで弁体12の両側に、配置される。
【0059】
支持部42の上側46は、弁プレナム18に対して外向きに湾曲仮想面において位置付けられ、弁体12の上側を覆う。具体的には、弁プレナム18に対して、外向きに湾曲仮想面は、取付ツマミ50が存在する側において、支持部42の上側46における少なくとも2つの異なる位置を通る仮想的な平面より、さらに外側に(つまり、図4における左側および右側に)位置付けられる。支持部42の上側46は、仮想面における2つの位置を連結する線が弁プレナム18を通って延びるように、凸状に湾曲した仮想面に位置付けられる。支持部42の上側46は、2つの取付ツマミ50から始まって外向きに膨出する。取付ツマミ50が設けられている場所では、支持部42の上側46はまったく外向きに膨出しておらず、一方、2つの取付ツマミ50の間の中間に(図4では、2つの取付ツマミ50の間の連結に直角な垂直方向における線に沿って)、その最大の外向きの膨出部を有する。これは、呼気弁10の換気装置100への取り付けにおいて、弁体12の変形が、取付ツマミ50が設けられている場所において最も大きいという事実を考慮している。この場所では、弁体12の上方の縁48は、最も大きく上向きに曲げられる。
【0060】
図示した実施形態では、湾曲した仮想面は円筒形の側面であり、その円筒の軸は、2つの関連する取付ツマミ50の間の連結線に対して直角である。
【0061】
取付ツマミ50が存在する場所において呼気弁10を弁体12に取り付ける間に加えられる応力のため、弁体12の上方の縁48も、これらの場所において同じようで、換気装置100における反対の側に向かって曲がる。この影響を相殺するために、弁体12を、より厳密にいえば、弁体12の上方の縁48を、弁膜20のための支持部42へと対応する様態で形成することは、都合が良い。弁体12の上方の縁48は、呼気弁10の換気装置100への取り付けにおいて、弁膜20のできるだけ密接した当接を確保するために、できるだけ大きい領域にわたって換気装置100の反対の面に当接するものである。そのために、弁体12は、弁プレナム18に対して外向きに湾曲仮想面に配置されている上方の縁48を有する。支持部42の上側46について以前に提供された検討は、弁体12の上方の縁48の設計に類似して当てはまる。具体的には、弁体12の上方の縁48は、弁プレナム18に対して凸状に湾曲仮想面に配置され、少なくとも1つの取付ツマミ50から外向きに膨出する。弁体12の上方の縁48の膨出は、2つ取付ツマミ50のうちの隣接するものの領域においてよりも、2つの取付ツマミ50の間に位置付けられた領域においてより大きい。
【0062】
支持部42の上側46の不均一な形と、弁体12の上方の縁48の不均一な形とは、互いに対して合致されている。これは、それらの形の両方にとって達成される効果が、呼気弁10を換気装置100に取り付けると、支持部42の上側46と弁体12の上方の縁48との両方が平面状の面に配置されることであるため、理にかなっている。具体的には、支持部42の上側46と、弁体12の上方の縁48とは、最小の膨出部の場所と最大の膨出部の場所とが互いに対して合致された状態で、相互に並んだ様態で外向きに膨出しており、具体的には、弁プレナム18を覆う平面に対して同じ場所に配置されている。設計は、支持部42の上側46と弁体12の上方の縁48とがおおよそ同じ膨出部を有し、具体的には相互に平行な仮想的な平面で配置されるようにさえなっている。
【0063】
取付ツマミ50の各々は、換気装置100に設けられた合せ係合部材との係合のための係合面52を、支持部42の上側の膨出部に対して合致される導入面取部52aが係合面52に設けられている状態で有する。バヨネット式の係合ではよくあるように、係合面52は、通例、取付ツマミの上方の縁と実質的に平行に形成されることになる。係合面52の前部には、導入面取部52aが設けられている。そのため、導入面取部52aの領域では、係合面52は、取付ツマミ50の上方の縁に対して、ある角度で、具体的には鋭角で、延びている。角度は、係合面52と取付ツマミ50の上方の縁との間の厚さが係合面52aの開始からの距離の増加と共に増加するように選択されている。これは、換気装置100における合せ係合部材に取付ツマミ50を係合するときに作り出される特定の度合いの応力を許容し、これは、特定の圧力嵌めまたは摩擦係合を促進し、それによって換気装置100における呼気弁10のしっかりとした安全な着座配置を促進する。導入面取部52aは、取付ツマミ50が換気装置100に締め付けられるときに付勢が作り出されるように、取付ツマミ50の側における弁体の上方の縁48に前記付勢が作用する状態で設計されている。これは、取付ツマミ50からより遠くの側または場所に対する、取付ツマミ50を向く側への弁体12の特定の変形によって達成される。具体的には、弁体12の上方の縁48は、導入面取部52aに沿う合せ係合部材の移動によって、換気装置100へとより近付けられる。他方で、取付ツマミ50からより遠くの場所は、換気装置100の接触領域にすでに当接しており、より近付くことができない。結果として、弁体12の上方の縁48の変形が、取付ツマミ50に向かってますます強くなるようにして作り出される。これは、導入面取部52aに沿う合せ係合部材の移動の増加と共に増加する弁体12における付勢をもたらす。導入面取部52aは、締め付けると、弁体12の上方の縁48を締め付けられた状態で平面状にするだけの大きさがある付勢、つまり、弁体12の上方の縁48が締め付けられた状態で弁プレナム18を覆う平面で位置付けられる付勢が、生成されるように選択される。そして、弁体12の上方の縁48は、換気装置100の反対の面とシート状の接触となる。弁体12と一体的に形成されている弁膜20のための支持部42は、等しく曲げられている。支持部42の上側46を、呼気弁10が換気装置100に取り付けられている状態においても平面状とさせるために、支持部42の上側46が弁体12の上方の縁48と同じ度合いで不均一である場合、都合が良い。したがって、取付ツマミ50の導入面取部52aは、支持部42の膨出部に合致される。
【0064】
導入面取部52aの端をできるだけ良好に定め、それによって弁体12のための付勢をできるだけ正確に調節させることができるように、係合面52が、導入面取部52aに続いて非テーパ状部分52bを有することが提供され得る。非テーパ状部分52bでは、係合面52は取付ツマミ50の上方の縁と平行である。したがって、反対の係合部材が非テーパ状部分52bに到達するとき、すでに到達されている弁体12の付勢および曲げは、それ以上変わらない。したがって、付勢および曲げは、非テーパ状部分52bのどの場所が取付ツマミ50によって到達されるかの関連性がもはやあまりないため、良好に再生可能な様態で調節され得る。さらに、係合面52には、その端において停止部54が設けられており、停止部54は、取付ツマミ50と換気装置100との間の係合移動の端を定めている。
【0065】
記載した呼気弁10は、一回の使用の構成要素として、つまり、一回だけ使用でき、使用後に廃棄される必要がある形態で、設計され得る。このような呼気弁は製造するのが安価であるが、必要とされる衛生基準を満たせる。代替として、呼気弁10は、複数回の使用を許容するように設計されてもよい。そのために、呼気弁10の設計は、例えば加圧滅菌処理によって、使用後に殺菌され得るようになっている必要がある。そのため、呼気弁は加圧滅菌処理に耐えるように設計される必要がある。
【符号の説明】
【0066】
10 呼気弁、12 弁体、14 流体入口、16 流体出口,弁出口、18 カップ形弁プレナム、20 弁膜、22 流体入口開口,流体進入面、24 弁底部、26 内側縁、28 流体入口部、30 流体出口部、 32 膨出部、34 通路の最も深い位置、36 第1の補強リブ、38 第2の補強リブ、40 肩部、42 支持部、42a 支持部分、44 締付リング、46 隆起,上側、48 上方の縁、50 取付ツマミ、52 係合面、52a 導入面取部,係合面、52b 非テーパ状部分、54 停止部、100 換気装置、102 ラック、110 制御装置、120 監視装置、130 導管、132 第1の換気空気管、134 加湿装置、136 第2の換気空気管、138 T字部品、140 導管、142 呼吸空気管、150 導管、A 軸方向,流体入口軸、B 弁底部が延びる平面、C 弁膜が延びる平面、N 法線ベクトル、Tmax 最大深さ、Tmin 最小深さ、α 角度
図1
図2
図3
図4