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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】光学部材および発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20220204BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20220204BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20220204BHJP
   G02B 5/09 20060101ALI20220204BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220204BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220204BHJP
   F21V 7/06 20060101ALI20220204BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220204BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20220204BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220204BHJP
【FI】
H01L33/58
G02B5/08 A
G02B5/04 A
G02B5/09
F21S2/00 100
F21V5/04 200
F21V7/06
F21V23/00 160
F21V17/00 200
F21Y115:10 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017215848
(22)【出願日】2017-11-08
(65)【公開番号】P2018082170
(43)【公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2016218106
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】三浦 勇一
(72)【発明者】
【氏名】中西 康生
(72)【発明者】
【氏名】太田 良純
(72)【発明者】
【氏名】安原 良
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018893(JP,A)
【文献】特表2002-528861(JP,A)
【文献】特開2006-060094(JP,A)
【文献】特開2009-135401(JP,A)
【文献】特表2014-521227(JP,A)
【文献】特開2014-038876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/58
G02B 5/08
G02B 5/04
G02B 5/09
F21S 2/00
F21V 5/04
F21V 7/06
F21V 23/00
F21V 17/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央側から順に、
発光素子から出射した光を集光させるための第1レンズ部と、
前記発光素子から出射した光を内部反射を利用して集光させるためのTIRレンズ部と、
前記発光素子から出射し、且つ、反射部材で反射した光を集光させるための第2レンズ部と、
前記第2レンズ部の外側に、前記発光素子から出射し、且つ、前記反射部材で反射した光を透過させる透過部と、を含む、光学部材を有する発光装置であって、
基板と、
前記基板に実装された前記発光素子と、
前記発光素子の周囲を覆う様に前記基板上に配置された前記反射部材と、を有し、
前記光学部材は、前記発光素子の上方に配置され、
前記光学部材は、前記第1レンズ部、前記TIRレンズ部、前記第2レンズ部、及び透過部を、前記発光素子と対向する面上に有し、
前記反射部材は、前記発光素子から出射した光を前記第2レンズ部に向けて反射する第1反射面と、前記発光素子から出射した光を前記透過部に向けて鉛直方向に反射する第2反射面とを有する、発光装置。
【請求項2】
前記光学部材は、前記発光素子から光が入射する面の裏面上に、前記第1レンズ部、前記TIRレンズ部前記第2レンズ部、及び前記透過部から出射した光を、前記光学部材の鉛直方向に対して所定の方向に屈折させるための溝を有するプリズム部を更に有する、請求項に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光学部材と対向する前記発光素子の表面には、ワイヤと接続するための電極パッド、前記電極パッドと接続された第1の配線電極、及び、前記第1の配線電極より少なくとも部分的に幅広の第2の配線電極が設けられ、
前記第2の配線電極が伸延する方向が、前記プリズム部の溝が伸延する方向と直交する方向と略同じ方向となる様に、前記発光素子に対して前記光学部材が配置されている、請求項に記載の発光装置。
【請求項4】
前記反射部材は、前記発光素子と前記基板に配置された電極を接続するワイヤを配置するための切り欠け部が設けられた開口部を有する、請求項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記反射部材の上部には、前記光学部材を接着するための接着剤を塗布するための凸部、及び、前記凸部の周囲に配置され且つ前記塗布された接着剤を堰き止めるための枠部材が設けられている、請求項1~4の何れか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材、および、発光素子を有する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(light-emitting diode)素子等の発光素子を利用した発光装置が、携帯端末等におけるカメラのフラッシュ装置、カラー表示装置のバックライト、照明等に広く利用されている。
【0003】
特に、近年、発光素子の周囲を反射部材で覆い、発光素子の側方への発光を上方に反射させつつ、発光素子の上方をレンズ等の光学部材で覆い、上方向への集光性を高めた発光装置が利用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、基板上に、光半導体素子と、光半導体素子の周りに設けられ、光半導体素子からの光を所定方向に反射させるリフレクターとを有し、リフレクター上にレンズが設けられた半導体発光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-129308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発光素子から出射された光の集光性を高めるためには、光が出射される領域に合わせてレンズを大きくする必要があり、レンズを大きくしようとすると、レンズが厚くなり、発光装置全体のサイズが大きくなってしまう。しかしながら、発光装置は、携帯端末等にも用いられるため、小型化が求められている。
【0007】
本発明の目的は、反射部材及びレンズを有する発光装置において、発光装置の装置サイズの増大を抑制しつつ、発光素子から出射された光の集光性を高めることを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の光学部材は、中央側から順に、発光素子から出射した光を集光させるための第1レンズ部と、発光素子から出射した光を内部反射を利用して集光させるためのTIRレンズ部と、発光素子から出射し、且つ、反射部材で反射した光を集光させるための第2レンズ部と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る第2の光学部材では、第2レンズ部の外側に、発光素子から出射し、且つ、反射部材で反射した光をそのまま通過させる透過部をさらに含むことが好ましい。
【0010】
本発明に係る第1の発光装置は、本発明に係る第1の光学部材を有し、基板と、基板に実装された発光素子と、発光素子に周囲を覆う様に基板上に配置された反射部材と、を有し、光学部材は、発光素子の上方に配置され、光学素子は、第1レンズ部、TIRレンズ部、及び第2レンズ部を、発光素子と対向する面上に有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第2の発光装置は、本発明に係る第2の光学部材を有し、基板と、基板に実装された発光素子と、発光素子の周囲を覆う様に基板上に配置された反射部材と、を有し、光学部材は、発光素子の上方に配置され、光学素子は、第1レンズ部、TIRレンズ部、及び第2レンズ部を、光学素子と対向する面上に有し、反射部材は、発光素子から入射した光を第2レンズ部に向けて反射する第1反射面と、発光素子から入射した光を透過部に向けて鉛直方向に反射する第2反射面とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る発光装置では、光学部材は、発光素子から光が入射する面の裏面上に、第1レンズ部、TIRレンズ部、及び第2レンズ部から出射した光を、光学部材の鉛直方向に対して所定の方向に屈折させるためのプリズム部を更に有することが好ましい。
【0013】
本発明に係る発光装置では、光学部材と対向する発光素子の表面には、ワイヤと接続するための電極パッド、電極パッドと接続された第1の配線電極、及び、第1の配線電極より少なくとも部分的に幅広の第2の配線電極が設けられ、第2の配線電極が伸延する方向が、所定の方向と略同じ方向となる様に、発光素子に対して光学部材が配置されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る発光装置では、反射部材は、発光素子と基板に配置された電極を接続するワイヤを配置するための切り欠け部が設けられた開口部を有することが好ましい。
【0015】
本発明に係る発光装置では、反射部材の上部には、光学部材を接着するための接着剤を塗布するための凸部、及び、凸部の周囲に配置され且つ塗布された接着剤を堰き止めるための枠部材が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、反射部材及びレンズを有する発光装置において、発光装置の装置サイズの増大を抑制しつつ、発光素子から出射された光の集光性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)は発光装置10の斜視図であり、(B)はそのA-A‘断面図であり、(C)はその平面図である。
図2】(A)、(B)は光学部材14の斜視図であり、(C)は発光装置10の断面図である。
図3】反射部材13の断面図である。
図4】(A)、(B)は反射部材13の斜視図である。
図5】(A)は発光素子12の平面図であり、(B)はその側面図である。
図6】(A)は部品集合体114の斜視図であり、(B)はその平面図であり、(C)はその下面図である。
図7】(A)は部品集合体113の斜視図であり、(B)はその平面図であり、(C)はその下面図である。
図8】(A)は部品集合体113の拡大図であり、(B)は、部品集合体113の模式図である。
図9】部品集合体113’の模式図である。
図10】(A)は部品集合体113及び部品集合体114の斜視図であり、(B)はその拡大図である。
図11】(A)は部品集合体113の模式図であり、(B)は反射部材13及び光学部材14の模式図である。
図12】(A)は部品集合体111及び部品集合体112の模式図であり、(B)は発光装置10の模式図である。
図13】(A)は発光装置20の斜視図であり、(B)はその断面図であり、(C)はその平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る発光装置について詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0019】
図1(A)は、発光装置10の模式的な斜視図である。また、図1(B)は、発光装置10を斜め横方向から見た図1(A)のA-A’線断面図である。また、図1(C)は、発光装置10を上方向から見た平面図である。
【0020】
発光装置10は、基板11と、発光素子12と、反射部材13と、光学部材14とを有する。
【0021】
基板11は、発光素子12が表面上に実装される、例えばガラスエポキシ基板や、BTレジン基板、セラミックス基板、メタルコア基板などの絶縁性基板である。基板11上には、アノード電極11A、カソード電極11B及び回路パターン等が形成された配線層が形成される。アノード電極11Aは、Agペーストなどの導電性接着材料を介して発光素子12と接続され、カソード電極11Bは、ワイヤボンディングによるワイヤ11Cを介して発光素子12と接続される。アノード電極11A及びカソード電極11Bは、外部のDC(Direct Current)電源に接続されるように、基板11を介して基板11の下面(配線層が形成される面と反対側の面)側まで延伸している。
【0022】
発光素子12は、青色系の半導体発光素子(青色LED素子)であり、基板11上に実装される。発光素子12には、例えば発光波長域が440~455nmのInGaN系化合物半導体などが用いられる。発光素子12は、矩形状に形成されている。LED素子12の発光面上には、蛍光体層12Aが載置され、透明接着剤を用いた接着等により固着されている。
【0023】
蛍光体層12Aは、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの無色で透明な樹脂を含み、発光素子12の上面を被覆する。蛍光体層12Aには、発光素子12から放射された青色光を吸収して黄色光に波長変換する粒子状の蛍光体材料が分散混入されている。蛍光体層12Aに分散混入される蛍光体材料により波長変換された光のピーク波長の範囲は535~570nmである。この蛍光体材料には、例えばセリウムで付活されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体などが用いられる。蛍光体層12Aは、上側から見た場合に、発光素子12と同様の形状に形成されており、発光素子12と同様に矩形状に形成されている。
【0024】
反射部材13は、成形樹脂で構成される反射枠であり、発光素子12の周囲を覆う様に基板11上に配置される。反射部材13は、すり鉢状の第1開口部13Aを有する略矩形の枠体である。反射部材13は樹脂製の基台により形成され、その基台の上にメッキにより形成された反射膜を有する。反射部材13の内側(開口部13A側)の側面には傾斜が形成され、その側面は、発光素子12の蛍光体層12Aから側方に出射された光を、発光装置10の上方(発光素子12から見て蛍光体層12A側)に向けて反射させる。なお、メッキとは、電気メッキ、化学メッキなどの湿式メッキでもよいし、あるいは、真空蒸着、化学蒸着(CVD)、スパッタリングなどの乾式メッキでもよく、特に限定されない。
【0025】
光学部材14は、アクリル樹脂等の光透過性材料で一体形成されたレンズである。光学部材14は、発光素子12の上方に、反射部材13の第1開口部13Aを塞ぐ様に配置される。光学部材14は、発光素子12の蛍光体層12Aから上方に出射された光と、発光素子12の蛍光体層12Aから側方に出射されて反射部材13の側面で上方に反射された光とを集光する。光学部材14、反射部材13、発光素子12及び基板11で囲まれる領域には、空間(空隙)16が形成され、発光素子12から出射した光は、空間16を通って光学部材14に到達する。
【0026】
光学部材14は、中央部にプリズム部14Cを有する。プリズム部14Cは、光学部材14の発光素子12と対向する面の裏面上に、円形状に形成され、発光素子12から出射した光を、光学部材14の鉛直方向に対して所定の方向に屈折させる。発光装置10は、携帯電話等の携帯端末の撮像装置のためのフラッシュ装置として使用される場合がある。その場合、一般に、発光装置10は、携帯端末が有する撮像装置と並べて配置される。例えば、携帯端末の撮像装置が虹彩認証等に用いられる場合、ユーザは撮像装置に自分の目を撮像させるために、自分の目が撮像装置の正面に位置するように携帯端末を配置する。そのため、発光素子12から出射した光が撮像装置側に屈折するように発光装置10を配置しておくことにより、発光装置10はユーザの目を適切に照射することが可能となる。
【0027】
図2(A)は、反射部材13から外した状態の光学部材14を斜め上方向から見た斜視図であり、図2(B)は、反射部材13から外した状態の光学部材14を斜め下方向から見た斜視図である。図2(C)は、反射部材13及び光学部材14を横方向から見た図1(A)のA-A’線断面図である。なお、図2(A)~(C)では、説明を容易にするために、プリズム部14Cを省略している。
【0028】
図2(A)~(C)に示すように、光学部材14は、中心側から順に、第1レンズ部15A、TIR(Total Internal Reflection)レンズ部15B、第2レンズ部15C及び透過部15Dを含む。
【0029】
第1レンズ部15Aは、凸状に形成され、発光素子12から出射した光を集光する(図2(C)のA1)。第1レンズ部15Aにより、発光素子12から出射した光の内、中心側の光を屈折させ、適切に集光することが可能となる。
【0030】
TIRレンズ部15Bは、光学部材14の中心側から順に、第1側面15B1、第2側面15B2、第3側面15B3及び第4側面15B4を含む。第1側面15B1は、第1レンズ部15Aの外周の最上端位置から下側且つ外側に向かって逆すり鉢状に形成される。第2側面15B2は、第1側面15B1の最下端位置から上側且つ外側に向かってすり鉢状に形成される。第3側面15B3は、第2側面15B2の最上端位置から下側且つ外側に向かって逆すり鉢状に形成される。第4側面15B4は、第3側面15B3の最下端位置から上側且つ外側に向かってすり鉢状に形成される。TIRレンズ部15Bは、発光素子12から出射した光を、第3側面15B3で屈折させ、第4側面15B4で上方向に反射させる(図2(C)のA2)。このように、TIRレンズ部15Bは、発光素子12から出射した光を、内部反射を利用して集光する。発光素子12から出射した光をTIRレンズ部15Bで集光することにより、光学部材14を薄くしつつ、発光素子12の中心側から外側に向かって出射される光を適切に集光することが可能となる。
【0031】
第2レンズ部15Cは、TIRレンズ部15Bの第4側面15B4の最上端位置から、さらに上側且つ外側に向かってすり鉢状に形成される。第2レンズ部15Cは、発光素子12から出射し且つ反射部材13で反射した光を屈折により集光する(図2(C)のA3)。反射部材13で反射した光を第2レンズ部15Cで集光することにより、反射部材13で反射した光が散乱してしまうことを抑制することが可能となる。
【0032】
透過部15Dは、第2レンズ部15Cの最上端位置から、さらに外側に向かって略水平に形成される。透過部15Dは、発光素子12から出射し且つ反射部材13で反射した光をそのまま通過させる(図2(C)のA4)。透過部15Dにより、反射部材13で反射した光を上方向に透過させることが可能となり、光学部材14全体が出力する光の強度をより高めることが可能となる。
【0033】
ここで、図2(C)を用いて反射部材13の構成をより詳細に説明する。反射部材13は、上述のように内側の側面に、TIRレンズ部15Bの直下から透過部15Dの直下にかけて傾斜が形成された反射面13Gを備える。反射面13Gは、TIRレンズ部15Bの直下および第2レンズ部15Cの直下をそれぞれ少なくとも一部含むように形成される第1反射面13G1と、透過部15Dの直下を少なくとも一部含むように形成される第2反射面13G2とに分けられるが、それぞれの詳細は後述する。
【0034】
第1反射面13G1と第2レンズ部15Cの作用について、図2(C)を用いて補足する。発光素子12から出射した光は、第1反射面13G1にて、斜め上方に向けて反射される。これは、第1反射面13G1の直上にあるTIRレンズ部15Bに第1反射面13G1からの反射光を入射させないようにするためである。そして、第1反射面13G1で斜め上方に反射された光は、第2レンズ部15Cにて屈折され集光される(図2(C)のA3)。
【0035】
このように、反射部材13が第2レンズ部15Cの最下端位置(TIRレンズ部15Bの第4側面15B4の最上端位置)の直下よりも内側に入射する光を斜め上方に反射し、反射部材13が反射した光を第2レンズ部15Cが集光するので、光学部材14は、第2レンズ部15Cの最下端位置の直下よりも内側で反射部材13に入射する光をTIRレンズ部15Bにほとんど当てることなく出力することができるため、発光素子12から出射された光の集光性を高めることができる。また、反射部材13を内側まで入り込ませることができるため、基板11の面積を小さくすることができる。
【0036】
続いて、第2反射面13G2と透過部15Dの作用について、図2(C)を参照して補足する。発光素子12から出射した光は、第2反射面13G2で鉛直方向へ向けて反射される。そして、第2反射面13G2で鉛直方向へ反射された反射光は、透過部15Dをそのまま通過する(図2(C)のA4)。透過部15Dにより、光学部材14は、反射部材13が反射した光をそのまま出力することができる。
【0037】
透過部15Dを有するように光学部材14を構成すると、光学部材14の第2レンズ部15Cの最上端位置と反射部材13の内側の側面の最上端位置とを一致させる必要がなくなるため、製造に要求される工作精度が緩和される。さらに、第2反射面13G2と組み合わせることによって、集光性も維持することができる。しかし、所定の工作精度によって第2レンズ部15Cの最上端位置が反射部材13の内側の側面の最上端位置と一致するよう構成すれば、光学部材14は、透過部15Dを設ける必要はなく、第1反射面13G1のみで反射された光を集光して出力することができる。
【0038】
次に、図3を用いて反射部材13をより詳細に説明する。図3は、反射部材13の断面図である。図3を参照すると、反射面13Gは、上述のとおり第1反射面13G1および第2反射面13G2を有する。このように2つの反射面を有する反射部材13は、透過部15Dを有する光学部材14に対応することができる。
【0039】
第1反射面13G1の断面は、発光素子12の中心を焦点とし、鉛直方向の直線Xを外側に向けて角度θ傾けた直線X′を軸とする放物線Bx′である。また、第2反射面13G2の断面は、発光素子12の中心を焦点とし、鉛直方向の直線Xを軸とする放物線Bである。
【0040】
発光素子12から出射された光は、第1反射面13G1で反射されると、直線X′と平行に、すなわち鉛直方向に対して外側に角度θ傾いた方向に進み、光学部材14の第2レンズ部15Cに入射する。光学部材14は、第2レンズ部15Cによって入射した光を内側に角度θ傾けて集光することにより、鉛直方向に平行な光を出力することができる。
【0041】
発光素子12から出射された光は、第2反射面13G2で反射されると、直線Xと平行に、すなわち鉛直方向に進み、光学部材14の透過部15Dに入射する。光学部材は、透過部15Dによって入射した光をそのまま透過させることにより、鉛直方向に平行な光を出力することができる。
【0042】
このように、光学部材14は、発光装置10の装置サイズの増大を抑制しつつ、発光素子12から出射された光の集光性を高めることが可能となる。
【0043】
図4(A)は、光学部材14を外した状態の反射部材13を斜め上方向から見た斜視図であり、図4(B)は、光学部材14を外した状態の反射部材13を他の方向から見た斜視図である。なお、図4(B)には、反射部材13とプリズム部14Cの関係を表すために、プリズム部14Cが示されている。
【0044】
図4(A)、(B)に示すように、反射部材13は、すり鉢状の第1開口部13Aを有し、第1開口部13Aの底面(反射部材13の中心部)に、発光素子12から出射された光を通過させるための第2開口部13Bを有する。第2開口部13Bには、発光素子12と、基板11に配置されたカソード電極11Bとを接続するワイヤ11Cを配置するための切り欠け部13Cが設けられている。また、反射部材13の上部には枠部材13D、凸部13E及び凹部13Fが設けられている。枠部材13D、凸部13E及び凹部13Fの詳細については後述する。
【0045】
図5(A)は、発光装置10から取り出した状態の発光素子12を上側から見た平面図であり、図5(B)は、発光装置10から取り出した状態の発光素子12を横方向から見た側面図である。
【0046】
図5(A)、(B)に示すように、発光素子12の上側の表面、即ち図1(B)における光学部材14と対向する表面には、電極パッド12B、複数の第1の配線電極12C~G及び第2の配線電極12Hが設けられる。
【0047】
電極パッド12Bは、ワイヤ11Cと接続され、ワイヤ11Cを介して、基板11に配置されたカソード電極11Bと発光素子12とを接続する。電極パッド12Bは、発光素子12の中心部から出射される光が電極パッド12Bにより遮られない様に、発光素子12の端部に設けられる。
【0048】
第1の配線電極12C~G及び第2の配線電極12Hは、電極パッド12Bと接続され、ワイヤ11Cを介して基板11から流れてきた電流を、発光素子12に流す。複数の第1の配線電極12C~Gは、それぞれ、図5(A)における水平方向A5に伸延するように、垂直方向A6に略等間隔に配置される。第2の配線電極12Hは、電極パッド12Bから、発光素子12の端部に沿って垂直方向A6に伸延し、第1の配線電極12C~Eのそれぞれの端部と接続する。
【0049】
基板11から流れてきた電流は、第2の配線電極12H及び第1の配線電極12C~Gを介して発光素子12に流れる。基板11からの電流を、複数の配線電極を介して発光素子12に流すことにより、電流を発光素子12全体に効率良く分散させることが可能となる。第2の配線電極12Hは、第1の配線電極12C~Gより少なくとも部分的に幅広であり、第2の配線電極12Hの幅は、電極パッド12Bに近いほど広くなっていき、電極パッド12Bから離れるほど細くなっていく。これにより、基板11からの電流は、バランス良く第1の配線電極12C~Eに流れていき、電流を発光素子12全体により効率良く分散させることが可能となる。
【0050】
また、図4(B)に示すように、第2の配線電極12Hが伸延する方向A6が、プリズム部14Cが、発光素子12から出射した光を光学部材14の鉛直方向に対して屈折させる方向(プリズムの溝が伸延する方向A5と直交する方向)と略同じ方向となる様に、発光素子12に対して光学部材14が配置されている。
【0051】
一般に、レンズの形状は円形であり、発光素子12の形状が長方形である場合より正方形である場合の方が、光学設計を行い易いため、レンズは発光素子12からの光を効率良く集光できる。したがって、発光素子12の形状は、正方形であることが好ましい。しかし、発光素子12の形状が正方形である場合、発光素子12からの光の一部が第2の配線電極12Hによって遮られ、発光装置10から出射する光は長方形状になる。
【0052】
発光素子12の配向半値角度(光の強度がピーク強度の1/2以上である角度範囲)を測定した結果、第2の配線電極12Hが伸延する方向の配向半値角度は、その方向と直交する方向の配向半値角度より0.1[deg]だけ大きくなった。即ち、第2の配線電極12Hが伸延する方向A6の方が、その方向と直交する方向A5より、出射する光が広がる。
【0053】
例えば、発光装置10が使用される携帯端末の撮像装置が虹彩認証に用いられる場合、ユーザは撮像装置に自分の目を撮像させるために、自分の目が撮像装置の正面に位置するように携帯端末を配置する。発光装置10が撮像装置の横に配置される場合、発光装置10とユーザの目が横方向にずれる量は、発光装置10と撮像装置の間の距離及び発光装置10とユーザの目の間の距離に応じて異なる。そのため、ユーザの目を適切に照射する可能性を高めるためには、発光装置10は、ユーザの目に対して縦方向より横方向に広がるように光を出射することが望ましい。
【0054】
したがって、第2の配線電極12Hが伸延する方向A6が、ユーザの目に対して横方向、即ちプリズム部14Cが光を屈折させる方向と略同じ方向となる様に発光素子12に対して光学部材14を配置することにより、ユーザの目を適切に照射する可能性を高めることができる。
【0055】
なお、図4(B)に示したように、反射部材13の第2開口部13Bには、切り欠け部13Cが設けられている。そのため、発光素子12から出射され、反射部材13で反射する光の量は、切り欠け部13Cが設けられている方向A6では、切り欠け部13Cが設けられていない方向A5より低減する。したがって、切り欠け部13Cは、第2開口部13Bの半径方向の内、第2の配線電極12Hが伸延する方向A6と直交する方向A5上に設けられることがより好ましい。これにより、発光装置10は、第2の配線電極12Hが伸延する方向A6の光が、より広がるように光を出射することが可能となる。
【0056】
以下、図6(A)~図12(B)を用いて、発光装置10の製造工程について説明する。
【0057】
図6(A)~(C)は、光学部材14の部品集合体114について説明するための図である。図6(A)は部品集合体114の斜視図であり、図6(B)は部品集合体114を上側から見た平面図であり、図6(C)は部品集合体114を下側から見た下面図である。
【0058】
最初に、光学部材14の部品集合体114が形成される。個々の部品114A(光学部材)は、矩形の物体である。なお、部品集合体114内の部品114Aの個数は、図示した数に限定されず、図示した数より多くてもよいし、少なくてもよい。
【0059】
図7(A)~(C)は、反射部材13の部品集合体113について説明するための図である。図7(A)は部品集合体113の斜視図であり、図7(B)は部品集合体113を上側から見た平面図であり、図7(C)は部品集合体113を下側から見た下面図である。
【0060】
次に、反射部材13の部品集合体113が形成される。個々の部品113A(反射部材)は、矩形の物体である。光学部材14の部品集合体114の部品114Aと同数の部品113Aが縦横に一体となって配列されている。
【0061】
図8(A)は、図7(B)の領域R1を拡大した部品集合体113の拡大図である。
【0062】
図8(A)に示すように、部品集合体113の上側、即ち反射部材13の上部において、それぞれの部品113Aの端部には、凸上の枠部材113Dが設けられている。また、水平方向に相互に隣接する二つの部品113A及びその二つの部品113Aに垂直方向に相互に隣接する二つの部品113Aの合計四つの部品113Aの中心位置(部品113Aが存在しない領域)には、凸部113Eが設けられている。枠部材113Dと凸部113Eにより、枠部材113Dと凸部113Eの間には凹部113Fが形成される。後述する処理により部品集合体113が切断(ダイシング)されると、枠部材113D、凸部113E及び凹部113Fは、それぞれ、図4(A)、(B)に示した枠部材13D、凸部13E及び凹部13Fとなる。
【0063】
図8(B)は、図8(A)の部品集合体113に接着剤が塗布される様子を示す模式図である。
【0064】
図8(B)に示すように、ディスペンサ(不図示)を、各部品113Aの間の水平方向に伸延する隙間に沿って矢印A7の方向に向かって移動させながら、光学部材14を接着するための接着剤が部品集合体113に塗布されていく。この隙間には、凸部113E及び凹部113Fが含まれ、接着剤が凸部113Eに塗布されると、塗布された接着剤は、凸部113Eから凹部113Fに向かって流れ込む。これにより、接着剤は、凹部113Fに勢いよく流れて広がり、ムラが少なくなる。一方、塗布された接着剤は、凹部113Fの周囲に配置された枠部材113Dにより堰き止められ、接着剤が各部品113A内部に流れ込むことが防止される。
【0065】
図9は、部品集合体113の変形例である部品集合体113’を示す模式図である。
【0066】
図9に示す反射部材13の部品集合体113’では、凸部113Eの代わりに凸部113E’が設けられている。凸部113E’には、各部品113Aの間の水平及び垂直方向に伸延する隙間に沿って、溝113G’が形成されている。凸部113E’に形成された溝113G’により、凸部113E’に塗布された接着剤は、より短時間に凹部113Fに向かって流れ込む。また、凸部113E’に形成された溝113G’は、接着剤が流れ込む方向のガイドとして機能し、凸部113E’に塗布された接着剤が枠部材113Dを越えて、各部品113A内部に流れ込むことが防止される。
【0067】
図10(A)は、反射部材13の部品集合体113に光学部材14の部品集合体114を貼り合わせた状態を示す斜視図であり、図10(B)は、図10(A)の領域R2を拡大した拡大図である。
【0068】
図10(A)、(B)に示すように、部品集合体113に接着剤が塗布された後に、部品集合体114が貼り合わされ、部品集合体113及び部品集合体114は接着される。
【0069】
個々の反射部材13及び光学部材14同士を貼り合わせる場合、接着剤が反射部材13及び光学部材14の外側にはみ出す可能性がある。また、接着剤が反射部材13及び光学部材14の外周部分に十分に行き渡らずに、接着力が低下したり、反射部材13と光学部材14の間に隙間が生じ、そこから異物が混入する可能性もある。部品集合体113及び部品集合体114を用いて、反射部材13及び光学部材14を貼り合わせることにより、上記の可能性を低減させることが可能となる。
【0070】
図11(A)は、部品集合体114が貼り合わされた部品集合体113を切断する様子を示す模式図であり、図11(B)は、部品集合体114が貼り合わされた部品集合体113から切り出された反射部材13及び光学部材14を示す模式図である。
【0071】
図11(A)、(B)に示すように、縦横の切断線L上で部品集合体114が貼り合わされた部品集合体113が切断(ダイシング)されることにより、個々の部品(光学部材14が貼り合わされた反射部材13)が得られる。
【0072】
図12(A)は、基板11の部品集合体111、及び、光学部材14が貼り合わされた反射部材13について説明するための模式図である。
【0073】
図12(A)に示すように、基板11に発光素子(不図示)が実装された部品集合体111上に、光学部材14が貼り合わされた反射部材13が、接着剤等により貼り合わされる。基板11及び発光素子12の個々の部品は、矩形の物体である。なお、部品集合体111、112内の部品の個数は、図示した数に限定されず、図示した数より多くてもよいし、少なくてもよい。
【0074】
次に、光学部材14及び反射部材13が貼り合わされた部品集合体111が切断(ダイシング)されることにより、個々の発光装置10が得られる。
【0075】
図12(B)は、光学部材14及び反射部材13が貼り合わされた部品集合体111から切り出された発光装置10を示す模式図である。
【0076】
図12(B)に示すように、基板11の側面には、通気孔11Dが設けられている。通気孔11Dは、基板11の部品集合体111に段差を設けておくことにより、設けられる。基板11に通気孔11Dが設けられることにより、部品集合体111上に、光学部材14及び反射部材13が貼り合わされるときや、はんだ実装される際に、空気又は水分が膨張し、各部品が剥がれ易くなることを防止することが可能となる。
【0077】
上記したように、各部品集合体111、113及び114から複数の発光装置10を作製することができるので、発光装置10の生産効率を向上させることが可能になるとともに、発光装置10の製造コストを低減することが可能になる。
【0078】
図13(A)~(C)は、他の実施形態に係る発光装置20について説明するための図である。図13(A)は、発光装置20の模式的な斜視図である。また、図13(B)は、発光装置20を斜め横方向から見た図13(A)のA-A’線断面図である。また、図13(C)は、発光装置20を上方向から見た平面図である。
【0079】
図13(A)~(C)に示すように、発光装置20は、発光装置10が有する光学部材14の代わりに、光学部材24を有する。光学部材24は、光学部材14と比較して、プリズム部が形成されていない点で異なる。
【0080】
以上説明してきたように、発光装置10、20では、光学部材14、24に、第1レンズ部15A、TIRレンズ部15B、第2レンズ部15C及び透過部15D等を設けることにより、発光装置の装置サイズの増大を抑制しつつ、発光素子から出射された光の集光性を高めることが可能となる。
【0081】
発光装置10、20は、例えば携帯端末等におけるカメラのフラッシュ装置として使用可能である。また、発光装置10、20は、広面積の液晶ディスプレイにおけるバックライトなどの光源、携帯電話などの小面積の液晶ディスプレイにおける導光板照明、メータ類またはインジケータ類のバックライトユニットといった種々の照明光源として使用可能である。
【符号の説明】
【0082】
10、20 発光装置
11 基板
12 発光素子
12B 電極パッド
12C~12G 第1の配線電極
12H 第2の配線電極
13 反射部材
13B 第2開口部
13C 切り欠け部
13D 枠部材
13E 凸部
14、24 光学部材
14C プリズム部
15A 第1レンズ部
15B TIRレンズ部
15C 第2レンズ部
15D 透過部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13