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特許7012635農業用給水装置、農業用給水システムおよび農業用給水装置の設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】農業用給水装置、農業用給水システムおよび農業用給水装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20220121BHJP
   E02B 13/02 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
A01G25/00 501D
E02B13/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018229270
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020089317
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】平尾 和弘
(72)【発明者】
【氏名】谷川 伸一
(72)【発明者】
【氏名】四元 友治
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169037(JP,A)
【文献】特開2017-63688(JP,A)
【文献】特開2017-192367(JP,A)
【文献】特開2017-193914(JP,A)
【文献】中国実用新案第205865399(CN,U)
【文献】実開平5-83136(JP,U)
【文献】特開2006-132124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00 - 25/16
E02B 13/02
E04D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に用水を供給するための農業用給水装置であって、
側方に向かって開口する吐水口を有する弁箱と前記弁箱内の通水路を開閉可能な弁体とを備える給水栓、
前記弁体を駆動する駆動機構と前記駆動機構を収容する本体ケースとを備え、前記給水栓の上に取り付けられる電動アクチュエータ、および
筒状に形成され、前記給水栓から前記電動アクチュエータを取り外すことなく、前記吐水口を外側から覆って前記用水の飛散を防止する飛散防止状態と前記吐水口を露出させる露出状態とを取り得る飛散防止カバーを備える、農業用給水装置。
【請求項2】
前記電動アクチュエータは、前記飛散防止カバーを支持する支持部を備える、請求項1記載の農業用給水装置。
【請求項3】
前記電動アクチュエータの前記本体ケースは、前記給水栓に対して当該電動アクチュエータを取り付けるための取付台を下端部に有し、
前記支持部は、前記取付台に設けられる、請求項2記載の農業用給水装置。
【請求項4】
前記取付台は、前記本体ケースに対して着脱可能に設けられる、請求項3記載の農業用給水装置。
【請求項5】
前記飛散防止カバーは、前記農業用給水装置において上下方向に移動可能に設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の農業用給水装置。
【請求項6】
前記飛散防止カバーは、上下方向に折り畳み可能に形成される、請求項1から4のいずれかに記載の農業用給水装置。
【請求項7】
前記飛散防止カバーは、当該飛散防止カバーを軸方向に沿って開口可能とする分離部を有し、前記分離部を開口させることで前記農業用給水装置から取り外し可能である、請求項1から4のいずれかに記載の農業用給水装置。
【請求項8】
圃場に用水を供給するための農業用給水システムであって、
前記圃場内において、用水パイプラインの立上り管部の上端部に請求項1から7のいずれかに記載の農業用給水装置を取り付けた、農業用給水システム。
【請求項9】
既設の給水栓を用いた農業用給水装置の設置方法であって、
(a)圃場に設置された前記給水栓から既設の飛散防止カバーを取り外すステップ、
(b)前記給水栓の弁体を駆動する電動アクチュエータと、筒状に形成され、前記給水栓の吐水口を外側から覆って用水の飛散を防止する飛散防止状態と前記吐水口を露出させる露出状態とを取り得る新規の飛散防止カバーとを用意するステップ、および
(c)前記ステップ(a)で前記既設の飛散防止カバーを取り外した前記給水栓に対して、前記ステップ(b)で用意した前記電動アクチュエータと前記新規の飛散防止カバーとを取り付けるステップを含む、農業用給水装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業用給水装置、農業用給水システムおよび農業用給水装置の設置方法に関し、特にたとえば、用水パイプラインからの用水を圃場に供給するための農業用給水装置、農業用給水システムおよび農業用給水装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の農業用給水装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の技術では、給水栓(給水バルブ)の上にこれを駆動する電動アクチュエータを取り付けることで、圃場の用水管理を遠隔操作または自動制御で行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-193914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農業に用いられる用水には、草、藁、およびザリガニ等の水生小動物などの異物が混入していることが多い。このため、放水時に、異物が給水栓の吐水口間の支柱部または弁体などに引っ掛かったり絡み付いたりして、給水栓が止水不良などの動作不良を起こしてしまうことがある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、給水栓の吐水口の周囲が飛散防止カバーで覆われており、その上に電動アクチュエータが取り付けられている。このため、給水栓から異物を取り除くためには、飛散防止カバーの脱着作業に加えて、電動アクチュエータを取り外して再設置するという手間の掛かる作業が必要であり、メンテナンスに労力を要する。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、農業用給水装置、農業用給水システムおよび農業用給水装置の設置方法を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、給水栓に異物が詰まっても、容易に給水栓のメンテナンスを行うことができる、農業用給水装置、農業用給水システムおよび農業用給水装置の設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、圃場に用水を供給するための農業用給水装置であって、側方に向かって開口する吐水口を有する弁箱と弁箱内の通水路を開閉可能な弁体とを備える給水栓、弁体を駆動する駆動機構と駆動機構を収容する本体ケースとを備え、給水栓の上に取り付けられる電動アクチュエータ、および筒状に形成され、給水栓から電動アクチュエータを取り外すことなく、吐水口を外側から覆って用水の飛散を防止する飛散防止状態と吐水口を露出させる露出状態とを取り得る飛散防止カバーを備える、農業用給水装置である。
【0009】
第1の発明では、農業用給水装置は、用水パイプラインから圃場への給水を制御する装置であって、給水栓と、給水栓の上に取り付けられる電動アクチュエータとを含む。給水栓は、吐水口を有する弁箱と弁箱内の通水路を開閉可能な弁体とを備え、電動アクチュエータは、弁体を駆動する駆動機構と駆動機構を収容する本体ケースとを備える。また、農業用給水装置は、吐水口を外側から覆って用水の飛散を防止する筒状の飛散防止カバーを備える。この飛散防止カバーは、用水の飛散を防止する飛散防止状態に加えて、電動アクチュエータを取り外すことなく吐水口を露出させる露出状態を取り得るように構成される。
【0010】
第1の発明によれば、電動アクチュエータを取り外すことなく給水栓の吐水口を露出させることができるので、仮に給水栓に異物が詰まっても、容易に給水栓のメンテナンスを行うことができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に従属し、電動アクチュエータは、飛散防止カバーを支持する支持部を備える。
【0012】
第2の発明では、電動アクチュエータが飛散防止カバーの支持部を備えている。つまり、電動アクチュエータに飛散防止カバーが取り付けられる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明に従属し、電動アクチュエータの本体ケースは、給水栓に対して当該電動アクチュエータを取り付けるための取付台を下端部に有し、支持部は、取付台に設けられる。
【0014】
第3の発明では、電動アクチュエータの本体ケースが取付台を有しており、この取付台に飛散防止カバーを支持するための支持部が設けられる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明に従属し、取付台は、本体ケースに対して着脱可能に設けられる。
【0016】
第4の発明では、飛散防止カバーの支持部を有する取付台が本体ケースに対して着脱可能である。したがって、取付台および飛散防止カバーを給水栓側に残した状態で、電動アクチュエータを給水栓から取り外すことができる。
【0017】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明に従属し、飛散防止カバーは、農業用給水装置において上下方向に移動可能に設けられる。
【0018】
第5の発明では、飛散防止カバーは、上下方向に移動可能に設けられ、上方または下方に移動することで飛散防止状態から露出状態に切り替えられる。
【0019】
第6の発明は、第1から第4のいずれかの発明に従属し、飛散防止カバーは、上下方向に折り畳み可能に形成される。
【0020】
第6の発明では、飛散防止カバーは、上下方向に折り畳み可能に形成され、折り畳まれることで飛散防止状態から露出状態に切り替えられる。
【0021】
第7の発明は、第1から第4のいずれかの発明に従属し、飛散防止カバーは、当該飛散防止カバーを軸方向に沿って開口可能とする分離部を有し、分離部を開口させることで農業用給水装置から取り外し可能である。
【0022】
第7の発明では、飛散防止カバーは、分離部を開口させることで農業用給水装置から取り外し可能であり、農業用給水装置から取り外すことで、飛散防止状態から露出状態に切り替えられる。
【0023】
第5から第7のいずれかの発明によれば、簡単な構成および操作で飛散防止カバーを露出状態にすることができる。
【0024】
第8の発明は、圃場に用水を供給するための農業用給水システムであって、圃場内において、用水パイプラインの立上り管部の上端部に第1から第7のいずれかの発明に係る農業用給水装置を取り付けた、農業用給水システムである。
【0025】
第8の発明によれば、第1の発明と同様の作用効果を奏し、電動アクチュエータを取り外すことなく給水栓の吐水口を露出させることができるので、仮に給水栓に異物が詰まっても、容易に給水栓のメンテナンスを行うことができる。
【0026】
第9の発明は、既設の給水栓を用いた農業用給水装置の設置方法であって、(a)圃場に設置された給水栓から既設の飛散防止カバーを取り外すステップ、(b)給水栓の弁体を駆動する電動アクチュエータと、筒状に形成され、給水栓の吐水口を外側から覆って用水の飛散を防止する飛散防止状態と吐水口を露出させる露出状態とを取り得る新規の飛散防止カバーとを用意するステップ、および(c)ステップ(a)で既設の飛散防止カバーを取り外した給水栓に対して、ステップ(b)で用意した電動アクチュエータと新規の飛散防止カバーとを取り付けるステップを含む、農業用給水装置の設置方法である。
【0027】
第9の発明によれば、既設の給水栓を用いて農業用給水装置を設置できる。そして、農業用給水装置を設置した後は、電動アクチュエータを取り外すことなく給水栓の吐水口を露出させることができるので、仮に給水栓に異物が詰まっても、容易に給水栓のメンテナンスを行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、飛散防止カバーが吐水口を露出させる露出状態を取ることができる、つまり電動アクチュエータを取り外すことなく給水栓の吐水口を露出させることができるので、仮に給水栓に異物が詰まっても、容易に給水栓のメンテナンスを行うことができる。
【0029】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】この発明の一実施例である農業用給水装置を用いた農業用給水システムを示す図解図である。
図2】農業用給水装置の外観を示す図解図である。
図3】農業用給水装置の内部構造を示す図解図である。
図4】給水栓の内部構造を示す図解図である。
図5】電動アクチュエータの内部構造を示す図解図である。
図6】飛散防止カバーの外観を示す図解図である。
図7】農業用給水装置の飛散防止カバー部分を上方から見た様子を示す図解図である。
図8】飛散防止カバーが露出状態のときの農業用給水装置を示す図解図である。
図9】飛散防止カバーを上下動させるときの農業用給水装置の飛散防止カバー部分を上方から見た様子を示す図解図である。
図10】この発明の他の実施例である農業用給水装置の飛散防止カバー部分を示す図解図である。
図11図10の農業用給水装置において飛散防止カバーが露出状態のときの様子を示す図解図である。
図12】この発明のさらに他の実施例である農業用給水装置に設けられる飛散防止カバーを示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照して、この発明の一実施例である農業用給水システム100(以下、単に「システム100」と言う。)は、用水パイプライン104から水田などの圃場102への用水の供給(用水管理)を遠隔操作または自動制御などによって制御するシステムである。
【0032】
図1図3に示すように、システム100は、用水パイプライン104の立上り管部104cの上端部に取り付けられる農業用給水装置10(以下、単に「給水装置10」と言う。)を備える。この給水装置10は、給水栓12と、給水栓12の上に取り付けられる電動アクチュエータ14とを備える。
【0033】
用水パイプライン104は、圧力管路によって用水を送配水する水路組織であって、圃場102に形成される複数の耕作区に亘って延びるように埋設される本管104aと、本管104aから分岐して各耕作区まで延びる分岐管104bとを含む。分岐管104bの下流側端部には、立上り管部104cが設けられており、この立上り管部104cの上端部(下流側端部)に給水装置10が設置される。すなわち、立上り管部104cの上端部に給水栓12の弁箱20が接続され、給水栓12の上には、電動アクチュエータ14の本体ケース40が設置される。また、給水装置10の下方には、立上り管部104cの上端部を囲繞するように有底筒状の水受け106が設けられる。水受け106は、給水栓12の吐水口26から排出される用水を受け止めて圃場102の削れを防止する。この実施例では、水受け106は、樹脂製キャップを用いて形成され、モルタル108等によって圃場102に固定される。
【0034】
以下、給水装置10が備える給水栓12および電動アクチュエータ14の構成について説明する。ただし、給水栓12および電動アクチュエータ14の具体的構成については、以下に例示するものに限定されず、適宜変更可能である。
【0035】
図4に示すように、給水栓12は、用水パイプライン104から圃場102への給水を制御するためのバルブ装置である。この実施例では、一般的に広く普及している、弁軸の軸回転に伴い弁軸及び弁体が上下動するアルファルファ形の給水栓を用いている。
【0036】
給水栓12は、有頂円筒状の弁箱20を備える。弁箱20は、円筒状の弁箱本体22と、弁箱本体22の上端開口を封止するように設けられる円環板状の軸受24とを含む。弁箱本体22は、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成され、その呼び径は、たとえば100mmであり、その高さ(軸方向長さ)は、たとえば200mmである。
【0037】
弁箱本体22の下端部には、受口形状の接続部22aが下向きに開口するように設けられる。この接続部22aは、用水パイプライン104の立上り管部104cの上端部との接続に用いられ、用水パイプライン104からの用水は、弁箱本体22の下部開口から弁箱20内に流入する。一方、弁箱本体22の側壁上部には、矩形状の複数(この実施例では4つ)の吐水口26が周方向に所定間隔で並ぶように形成される。吐水口26間の側壁は、軸受24および弁体32などを支持するための支柱部28として用いられる。
【0038】
弁箱本体22の側壁内面には、弁箱本体22内の上部空間と下部空間とを連通する通水口30aを有する円環突起状の弁座30が形成される。弁座30の上面(弁体32と当接する止水面)は、吐水口26の下端縁と同じ高さ位置に配置される。
【0039】
弁箱本体22内の上部空間には、弁座30と離接することで通水口30aを開閉する弁体32が上下動可能に設けられる。具体的には、軸受24の内周面には、雌ねじが形成されており、この軸受24に対して、外周面に雄ねじが形成された弁軸34が螺合される。この弁軸34の上端部には、後述する電動アクチュエータ14が備える回転軸58のカップリング部58aと回転不可に連結されるカップリング部34aが形成される。一方、弁軸34の下端部には、下面に止水ゴム32aを有する円板状の弁体32が設けられる。弁軸34に対して軸線回りの回転力が加えられると、送りねじ機構によって弁軸34が上下動し、これに伴い弁体32も上下動する。この弁体32の上下動により、弁座30の通水口30aが開閉され、弁閉時には、止水ゴム32aの下面周縁部が弁座30の上面と当接することで止水される。
【0040】
また、図示は省略するが、弁箱本体22の下部(具体的には接続部22aと弁座30との間の高さ位置)には、フロート弁などに繋がる取水管または散水栓などを接続可能な取付口を形成しておいてもよい。このような取付口を弁箱本体22に形成する場合には、取付口への異物の侵入を防止するためのフィルタを弁箱本体22内の下部空間に設けておくとよい。
【0041】
なお、この種の給水栓12は、吐水口26から放出される用水の飛散を防止するために、飛散防止カバー110を付属部品として備えており、飛散防止カバー110は弁箱20に対してねじ等で固定されている。しかし、この実施例では、図1図3に示すように、弁箱20から飛散防止カバー110を取り外し、飛散防止カバー110を取り外した状態の給水栓12を用いて給水装置10を構成するようにしている。
【0042】
続いて、電動アクチュエータ14の構成について説明する。図2および図3と共に図5を参照して、電動アクチュエータ14は、給水栓12の弁体32を駆動する、つまり給水栓12の開閉機構を作動させる装置であって、円筒状の本体ケース40を備える。本体ケース40の大きさ、形状および材質などは、後述する内部機構を収容可能なものであれば特に限定されないが、この実施例では、呼び径が150mmの硬質ポリ塩化ビニル製の短管および管継手を組み合わせることによって本体ケース40を形成している。また、本体ケース40の下端部および上端部は、その中央部に対して着脱可能(分解可能)に構成されている。
【0043】
また、本体ケース40の下端部に設けられる円板状の底壁は、給水栓12に対して電動アクチュエータ14を取り付けるための取付台40aとして用いられる。この取付台40aには、給水栓12の弁軸34が挿通される孔、およびねじ等の締結部材が挿通される孔などが適宜形成される。また、取付台40aは、本体ケース40の側壁に対して着脱可能である。つまり、本体ケース40は、その下端部に着脱可能に設けられる取付台40aを有している。
【0044】
また、取付台40aは、本体ケース40の側壁外周面よりも外方に突出する鍔状の支持部64を有しており、この支持部64によって後述する飛散防止カバー70(以下、単に「カバー70」と言う。)が飛散防止状態で支持される。この支持部64には、カバー70を支持部64に対して固定するためのねじ80と螺合するねじ孔66が周方向に所定間隔をあけて設けられる。さらに、本体ケース40の側壁には、カバー70を露出状態で保持するための係止部68が周方向に所定間隔をあけて設けられる。係止部68は、本体ケース40の側壁から外方に突出する突起であり、この実施例では、本体ケース40の組み立てに使用されたねじの頭部が係止部68として用いられる。
【0045】
本体ケース40の上には、太陽電池パネル42が着脱可能に取り付けられる。太陽電池パネル42は、屈曲板状の保持体44によって所定角度となるように支持される。
【0046】
また、本体ケース40の内部には、電子基板46、アンテナ48および蓄電池50、並びにモータ52およびメインギア54等を含む駆動機構が収容される。
【0047】
電子基板46には、図示は省略するが、CPUおよびメモリ等を含む制御部、無線通信部、および周波数切替スイッチ等が配設される。制御部は、電動アクチュエータ14の全体制御を司り、モータ52(駆動機構)などの駆動を制御する。無線通信部は、アンテナ48を介して他の機器と無線通信を行う。
【0048】
蓄電池50は、太陽電池パネル42によって発電された電力を蓄電する。モータ52は、蓄電池50に蓄えられた電力によって駆動される。このモータ52の出力軸52aの先端部には、小ギア56が設けられており、メインギア54は、この小ギア56と連結されることで、モータ52からの駆動力を受けて軸線回りに回転する。
【0049】
メインギア54は、両ボス型のギアであり、メインギア54の軸部には、略円柱状の回転軸58が挿通される。この回転軸58の下端部には、給水栓12の弁軸34のカップリング部34aと連結されるカップリング部58aが形成される。また、メインギア54の軸部の内周面には、軸方向に沿って延びるキー溝54aが形成され、回転軸58の外周面には、キー溝54aと嵌合される滑りキー58bが軸方向に沿って延びるように形成される。これによって、回転軸58は、メインギア54が回転すると共に回転し、かつメインギア54の軸部に対して軸方向に摺動可能となる。
【0050】
また、本体ケース40の外側面には、手動(電動手動)でモータ52を駆動させるための操作パネル60が設けられる。操作パネル60には、主電源スイッチ、上昇ボタン、下降ボタン、および電動アクチュエータ14の動作モード(遠隔モード、自動モードまたは手動モード等)を切り替えるための選択ボタン等が適宜設けられる。この操作パネル60には、後述する各センサから延びる配線を接続するための接続端子なども設けられる。また、本体ケース40の下端部には、回転軸58などの動作確認および清掃などの維持管理作業を行うための点検口62が形成される。
【0051】
また、図示は省略するが、圃場102には、圃場水位を検出する超音波センサ等の水位センサ、気温を検出する温度センサ、気圧を検出する圧力センサ、土壌水分を検出する土壌水分センサ等のセンサが適宜設けられる。各センサは、配線などを介して電動アクチュエータ14と接続され、各センサで検出された圃場水位や気温などのセンサ情報は、電動アクチュエータ14の制御部に入力される。
【0052】
給水栓12の上に電動アクチュエータ14を取り付ける際には、給水栓12の上に電動アクチュエータ14の本体ケース40を載置した状態で、軸受24と本体ケース40の取付台40aとがボルト等の締結部材によって固定される。また、給水栓12の弁軸34のカップリング部34aと電動アクチュエータ14の回転軸58のカップリング部58aとが回転不可に連結される。
【0053】
このような給水装置10を備えるシステム100では、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いて電動アクチュエータ14に対して全閉、全開または任意の開度などを示す操作指示(制御信号)を送信すると、電動アクチュエータ14の制御部は、操作指示に応じてモータ52を駆動させる。このモータ52の駆動力は、メインギア54に伝達されて、メインギア54と共に回転軸58が回転する。これにより、回転軸58に固定的に連結された給水栓12の弁軸34に対して、回転力が付与される。回転力が加えられた弁軸34は、自身と軸受24との送りねじ機構によって上下動され、弁体32が全開位置および全閉位置などに移動される。また、電動アクチュエータ14の回転軸58は、給水栓12の弁軸34の上下動に伴い、メインギア54の軸部を貫通するように上下動する。
【0054】
上述のようなシステム100を圃場102に導入することにより、圃場102の用水管理にかかる労力を大幅に低減できるが、用水には異物が混入していることが多いため、給水栓12に異物が詰まって給水栓12が動作不良を起こしてしまうことがある。しかしながら、従来技術では、給水栓から異物を取り除くためには、飛散防止カバーおよび電動アクチュエータを取り外す必要があり、メンテナンスに手間が掛かるという問題があった。
【0055】
そこで、この実施例では、給水栓12の付属部品である飛散防止カバー110を給水栓12から取り外し、新規のカバー70を給水装置10に取り付けることで、電動アクチュエータ14の取外し作業を要することなく、給水栓12の異物除去作業を実施できるようにした。カバー70は、給水栓12の吐水口26を外側から覆うように配置されて、吐水口26から弁箱20外に放出される用水の流れ方向を下向きに案内することで、用水の周囲への飛散を防止する部材であるが、この実施例では、このような飛散防止状態に加えて、吐水口26を露出させる露出状態を取り得るように構成されている。また、この実施例のカバー70は、電動アクチュエータ14の付属部品として構成され、本体ケース40の取付台40aに取り付けられる。以下、カバー70の構成および動作について具体的に説明する。
【0056】
図5図7に示すように、カバー70は、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって筒状(囲い状)に形成される。具体的には、カバー70は、円筒状の側壁72と、側壁72の上端縁から内側に向かって延出する円環板状の掛け部74とを有する。掛け部74の内周縁の径の大きさは、本体ケース40の側壁下端部の外径よりも少し大きく設定されており、カバー70は、本体ケース40に対して上下方向に移動可能となっている。
【0057】
また、掛け部74の内周縁には、本体ケース40に設けられる係止部68と対応する周方向位置のそれぞれに、半円状の切欠き76が形成される。この切欠き76は、カバー70が上下動する際に係止部68の通過を許容するものである。さらに、掛け部74には、取付台40aの支持部64に形成されるねじ孔66と対応する周方向位置のそれぞれに、小径部78aと大径部78bとを有する瓢箪形の挿通孔78が形成される。小径部78aは、ねじ80の軸部の外径よりも少し大きい径を有し、ねじ80によるカバー70の固定に用いられる。一方、大径部78bは、ねじ80の頭部の外径よりも少し大きい径を有し、カバー70が上下動する際にねじ80の頭部の通過を許容する。なお、ねじ孔66と大径部78bの周方向位置が一致するときに、係止部68と切欠き76の周方向位置が一致する。
【0058】
このようなカバー70は、通常時には、図1図3に示すように、取付台40aの支持部64に取り付けられた飛散防止状態で使用され、吐水口26の周囲を外側から覆って用水の飛散を防止する。カバー70を支持部64に取り付ける際には、カバー70の掛け部74を支持部64の上面に支持させると共に、挿通孔78の小径部78aを介してねじ孔66にねじ80を締結することによってカバー70を固定する。なお、図示は省略するが、掛け部74と支持部64との接触面には、円環板状の止水パッキンを挟み込んでおくことが好ましい。
【0059】
一方、給水栓12のメンテナンス時または点検時には、図8に示すように、カバー70は、上方に移動され、吐水口26を露出させる露出状態で保持される。カバー70を露出状態に変位させる際には、図9に示すように、ねじ80を緩めてカバー70を周方向に少し回転させ、ねじ80の頭部の位置を挿通孔78の大径部78bの位置に合わせる。これにより、カバー70の上方への移動が可能となるので、カバー70をそのまま真っ直ぐ上に持ち上げる。そして、本体ケース40の係止部68がカバー70の切欠き76を通過した後、カバー70を周方向に少し回転させて、係止部68によってカバー70の掛け部74の下面を支持させる。これにより、カバー70は、図8に示すような露出状態で保持されて、吐水口26が剥き出しの状態となるので、給水栓12のメンテナンス作業を行うことが可能となる。
【0060】
上述のように、カバー70の飛散防止状態から露出状態への切り替え(変位)は、ねじ80を緩めてカバー70を持ち上げるという簡単な操作で実行できる。すなわち、給水栓12に異物が詰まってメンテナンスを行うときには、吐水口26を容易に露出させることができ、詰まった異物を容易に除去することができる。また、カバー70の露出状態から飛散防止状態への切り替えも、カバー70を降ろしてねじ80を締めるという簡単な動作で実行できる。したがって、給水栓12のメンテナンス作業を容易に実行できる。
【0061】
続いて、圃場102に対する給水装置10の設置方法について説明する。この実施例では、既設の給水栓12を用いて給水装置10を設置する。
【0062】
図1を参照して、給水装置10を圃場102に設置する際には、先ず、圃場102に設置された給水栓12から既設の飛散防止カバー110(図4参照)を取り外す。また、上述の電動アクチュエータ14とカバー70とを圃場102に用意しておく。そして、既設の飛散防止カバー110を取り外した給水栓12に対して、用意した電動アクチュエータ14とカバー70とを取り付ける。この際には、カバー70を取り付けた取付台40a、または、これに本体ケース40の下端部を連結したものを先に給水栓12の上に取り付け、その後、電動アクチュエータ14の残りの部分を取り付けるようにするとよい。
【0063】
給水装置10の設置後は、上述のように、電動アクチュエータ14を取り外すことなく、カバー70を露出状態に変位させるだけで、給水栓12のメンテナンスが可能となる。
【0064】
ただし、給水装置10を設置する際には、必ずしも既設の給水栓12を利用する必要ななく、給水栓12も新設して構わない。この場合には、付属部品である飛散防止カバー110を取り付けていない給水栓12の本体部分のみを使用するとよい。
【0065】
なお、この実施例では、本体ケース40に対して取付台40a部分が着脱可能である。このため、故障等で電動アクチュエータ14を交換する必要が生じた場合、或いは、冬季などにおいて電動アクチュエータ14を保管庫に一時保管する場合などには、給水栓12に取付台40aおよびカバー70を残した状態で電動アクチュエータ14の本体部分を取り外すことができるので、便利である。
【0066】
以上のように、この実施例によれば、電動アクチュエータ14を取り外すことなく、カバー70が吐水口26を露出させる露出状態を取ることができる。したがって、仮に給水栓12に異物が詰まっても、電動アクチュエータ14を取り外して付け直すという手間の掛かる作業を要することなく、給水栓12のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0067】
なお、上述の実施例では、支持部64の上面でカバー70の掛け部74の下面を支持し、カバー70が上方に移動することで露出状態になるようにしたが、カバー70は、支持部64の下面側にねじ止めされても構わない。この場合、カバー70は、ねじを外した後、下方に移動することで露出状態になり、圃場102または水受け106上に載置されることで露出状態を保持する。
【0068】
また、カバー70は、必ずしも支持部64に対してねじ止めで固定される必要はなく、たとえば、所謂バヨネット結合方式を利用して固定することもできる。また、たとえば、本体ケース40の側壁外側面に設けた突起(たとえば本体ケース40の組み立てに使用されたねじの頭部)と支持部64との間にカバー70の掛け部74を挟み込むことで、カバー70を固定することもできる。
【0069】
続いて、図10および図11を参照して、この発明の他の実施例である給水装置10について説明する。この実施例では、カバー70の構成(露出状態を取り得るための態様)が、上述の実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0070】
図10に示すように、カバー70は、シリコーンゴムおよびEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等の可撓性を有する材料によって筒状に形成される。具体的には、カバー70は、円筒状の側壁72と、側壁72の上端縁から内側に向かって延出する円環板状の掛け部74とを有する。側壁72は、下方に向かって段階的に拡径するように形成されると共に、周方向に延びる折り目を有している。このような側壁72は、図11に示すように、この折り目部分を境として山折りまたは谷折りされることで、掛け部74側に集まるように上下方向(軸方向)に折り畳むことが可能である。この際、側壁72は、山と谷が径方向に並ぶように折り畳まれる。これにより、側壁72の屈曲部が伸張しようとする力が径方向に作用するので、側壁72は、この折り畳み形状を安定して保持できる。
【0071】
このようなカバー70は、掛け部74を取付台40aの支持部64にねじ止めすることで、支持部64に取り付けられる。通常時のカバー70は、図10に示すように、側壁72が伸張した状態(飛散防止状態)で使用され、吐水口26の周囲を覆うことで用水の飛散を防止する。一方、給水栓12のメンテナンス時または点検時には、図11に示すように、カバー70は、側壁72が折り畳まれた状態(露出状態)に変形される。これにより、吐水口26が剥き出しの状態となる。
【0072】
カバー70の飛散防止状態と露出状態との切り替え(変形)は、側壁72の下端部を把持して持ち上げたり引き下げたりする簡単な操作で実行できる。すなわち、給水栓12に異物が詰まってメンテナンスを行うときには、吐水口26を容易に露出させることができ、詰まった異物を容易に除去することができる。
【0073】
図10に示す実施例においても、電動アクチュエータ14を取り外すことなく給水栓12の吐水口26を露出させることができるので、仮に給水栓12に異物が詰まっても、容易に給水栓12のメンテナンスを行うことができる。
【0074】
なお、図10に示す実施例では、カバー70が自身で露出状態(折り畳み形状)を保持できるようにしたが、これに限定されない。たとえば、カバー70の側壁72を提灯またはアコーディオンのような蛇腹状に形成して、山と谷が軸方向に並んで折り畳まれるようにしてもよい。この場合、カバー70を露出状態にしても垂れてしまうので、カバー70を露出状態で保持するための留め具を別途設けるようにするとよい。また、留め具を設けることなく、作業者が片手でカバー70を持ち上げて露出状態にし、他方の手で異物を除去する態様としてもよい。
【0075】
また、図10に示す実施例では、カバー70は、側壁72が軸方向に折り畳まれることで露出状態となるが、たとえば、カバー70をゴム等の柔軟性を有する弾性材によって形成し、カバー70をひっくり返す(反転させる)ことで、飛散防止状態から露出状態に変形可能としてもよい。
【0076】
続いて、図12を参照して、この発明の他の実施例である給水装置10について説明する。この実施例では、カバー70の構成(露出状態を取り得るための態様)が、上述の実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、図では給水装置10が備えるカバー70のみを示し、上述の実施例と共通する部分については、重複する説明は省略または簡略化する。
【0077】
図12に示すように、カバー70は、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂またはステンレス等の金属によって筒状に形成される。具体的には、カバー70は、円筒状の側壁72と、側壁72の上端縁から内側に向かって延出する円環板状の掛け部74とを有する。掛け部74には、円形の挿通孔78が形成される。また、カバー70は、1対の半割体によって形成される。半割体の周方向の一方端同士は、ヒンジ(図示せず)によって結合されており、カバー70は、ヒンジを中心として開くことができる。つまり、カバー70には、カバー70を軸方向に沿って開口可能とする分離部90を有する。この分離部90には、外方に向かって突出する矩形板状の接合部92が形成される。接合部92は、挿通孔94を有しており、この挿通孔94を介して接合部92同士がねじ止めされることにより、カバー70は円筒形状(閉口状態)を保持する。なお、半割体同士の接触面には、止水パッキンを挟み込んでおくことが好ましい。
【0078】
このようなカバー70は、通常時には、取付台40aの支持部64に取り付けられた飛散防止状態で使用され、吐水口26の周囲を外側から覆って用水の飛散を防止する。カバー70を支持部64に取り付ける際には、カバー70の掛け部74を支持部64の上面に支持させるようにセットすると共に、分離部90を閉口させて接合部92同士をねじ止めする。また、挿通孔78を介して支持部64に掛け部74をねじ止めすることによって、カバー70を固定する。
【0079】
一方、給水栓12のメンテナンス時または点検時には、カバー70は、支持部64から取り外されることで、給水栓12の吐水口26を露出させる露出状態となる。
【0080】
カバー70の飛散防止状態から露出状態への切り替え(取外し)は、ねじを外した後、分離部90を開口させてカバー70を取り外すという簡単な操作で実行できる。また、カバー70の露出状態から飛散防止状態への切り替えも、カバー70を支持部64にセットしてねじ止めするという簡単な動作で実行できる。したがって、給水栓12のメンテナンス作業を容易に実行できる。
【0081】
図12に示す実施例においても、電動アクチュエータ14を取り外すことなく給水栓12の吐水口26を露出させることができるので、仮に給水栓12に異物が詰まっても、容易に給水栓12のメンテナンスを行うことができる。
【0082】
なお、図12に示す実施例では、周方向の一方端をヒンジ結合した半割体によってカバー70を形成したが、カバー70を形成する半割体は、完全に分離できるものであってもよい。また、カバー70は、3分割以上の分割体で形成することもできる。
【0083】
また、上述の各実施例では、給水栓12のカバー70の側壁72を円筒状に形成したが、これに限定されず、カバー70の側壁72は角筒状などに形成されてもよい。
【0084】
さらに、上述の各実施例では、本体ケース40が備える取付台40aにカバー70を支持する支持部64を設けたが、これに限定されない。たとえば、取付台40aとは別の位置において、本体ケース40の外周面から突出する鍔状の支持部64を本体ケース40に設けてもよい。また、給水栓12の弁箱20の外周面に鍔状の支持部材を取り付け、この支持部材によってカバー70を支持することもできる。つまり、給水栓12側にカバー70を取り付けても構わない。
【0085】
さらにまた、上述の各実施例では、給水栓12の弁箱20として、弁箱本体22に支柱部28が一体成形されたものを例示したが、別部材である弁箱本体と支柱部とを組み合せることで弁箱が形成されても構わない。また、支柱部と軸受とが一体成形されていても構わない。
【0086】
また、上述の各実施例では、弁軸34の軸回転に伴い弁軸34および弁体32が上下動する開閉機構を有する給水栓12を例示したが、給水栓12の開閉機構は、ボール状の弁体(フロート弁)が浮力によって上昇し、水圧によって弁座と密着することで止水する機構のものを採用することもできる。
【0087】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 …農業用給水装置
12 …給水栓
14 …電動アクチュエータ
20 …弁箱
26 …吐水口
32 …弁体
40 …本体カバー
40a …取付台
64 …支持部
68 …係止部
70 …飛散防止カバー
72 …側壁
74 …掛け部
100 …農業用給水システム
102 …圃場
104 …用水パイプライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12