(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】伸縮式ロッドを備えた車輪付きスーツケース
(51)【国際特許分類】
A45C 13/26 20060101AFI20220121BHJP
A45C 5/14 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
A45C13/26 K
A45C5/14 A
(21)【出願番号】P 2018533124
(86)(22)【出願日】2016-12-20
(86)【国際出願番号】 FR2016053591
(87)【国際公開番号】W WO2017109397
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-12-20
(32)【優先日】2015-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503331735
【氏名又は名称】ルイ ヴィトン マルティエ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ニューソン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202007000894(DE,U1)
【文献】欧州特許出願公開第02522244(EP,A1)
【文献】国際公開第2015/174966(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0311845(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第03010283(FR,A1)
【文献】英国特許出願公開第02441580(GB,A)
【文献】特開2009-050463(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063752(WO,A1)
【文献】特開2008-272316(JP,A)
【文献】登録実用新案第3059236(JP,U)
【文献】特表2017-501759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/26
A45C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの縁部(13)によって分離された少なくとも3つの剛性又は半剛性の側面(5,9)を備えると共に車輪(30)に取り付けられた剛性又は半剛性のスーツケース本体(1)と、
2つのアーム(17)、ハンドル(18)及び2つの管(21)を備える伸縮自在のツインロッド(16)であって、前記アーム(17)が前記ハンドル(18)に連結されていると共に前記2つの管(21)内に摺動可能に取り付けられた伸縮自在のツインロッド(16)と、
を備え、
前記2つの管(21)が、前記スーツケース本体(1)の外側の前記2つの縁部(13)に沿って配置され、
前記2つの縁部(13)のそれぞれは、前記スーツケース本体(1)の外側に面した凹面を呈して凹状となっており、
前記管(21)が凹状の前記縁部(13)に収容されており、
前記管(21)のそれぞれは、外側部分(22)と内側部分(23)とによって画定された断面を有する輪郭を有しており、
前記外側部分(22)は、2つの端部(24,25)を示すアーチを画定し、
前記2つの
端部(24,25)は、前記管(21)が受容される前記縁部(13)に2つの連続した側面(9,5)を接線方向に接合し、
前記内側部分(23)が、前記管(21)が収容されている凹状の前記縁部(13)の凹部に実質的に追従するように配置されていることを特徴とする車輪付きスーツケース。
【請求項2】
前記管(21)は、リベット又はネジ(26)によって前記2つの縁部(13)に取り付けられている、請求項1に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項3】
前記管(21)は、前記アーム(17)が導入される開放端部(28)を有し、剛性中間部(27)が前記管(21)の間に配置されて、一方の前記管(21)の前記開放端部(28)から他方の前記管(21)の前記開放端部(28)まで延在している、請求項1又は2に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項4】
前記側面(5,9)の一方が前記スーツケース本体(1)の背面(9)であり、
前記スーツケース本体(1)は、前記スーツケース本体の上縁部(14)によって前記背面(9)から分離された上面(10)を有し、前記上縁部(14)は、前記スーツケース本体(1)の外側に面する凹部を呈して窪んでおり、
前記剛性中間部(27)は前記上縁部(14)の前記凹部と相補的な形状を有しており、前記剛性中間部(27)が前記上縁部(14)に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項5】
前記ハンドル(18)は、その長さの少なくとも一部分にわたって、格納位置と伸張位置との間で移動可能であり、外側ハンドル部分(31)と内側ハンドル部分(32)とによって画定される横断面を備え、
前記外側ハンドル部分(31)は、2つの端部(33,34)を呈するアーチを画定し、
前記2つの端部(33,34)が前記スーツケース本体(1)の側面(9)と前記スーツケース本体(1)の前記上面(10)とのそれぞれによって画定される平面の延長部に見られる、請求項4に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項6】
前記ハンドル(18)の前記格納位置で前記ハンドル(18)と前記剛性中間部(27)との間に自由空間(29)を有する、請求項5に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項7】
2つの旋回軸(X1)のそれぞれを中心として回転可能な少なくとも2つの車輪付き装置(30)を更に備え、前記車輪付き装置(30)は、前記スーツケース本体(1)の底面(11)に取り付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項8】
前記管(21)は、車輪付き装置(30)の近傍に位置する管(21)の端部(39)を有し、
前記管(21)の前記端部(39)は、前記管(21)の内部空間を画定する縁部を呈しており、
前記車輪付き装置(30)の前記旋回軸(X1)は、前記管(21)の前記内部空間に内に延在する、請求項7に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項9】
前記車輪付き装置(30)のそれぞれは、関連付けられた管(21)の近傍に取り付けられており、
前記2つの旋回軸(X1)のそれぞれは、前記車輪付き装置(30)が関連付けられた前記管(21)の主軸(X)と平行であり、
前記車輪付き装置(30)の前記旋回軸(X1)は、関連付けられた前記管(21)の主軸(X)から20ミリメートル未満だけ離間している、請求項7又は8に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項10】
前記車輪付き装置(30)のそれぞれは、前記管(21)に取り付けられた要素に固定されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項11】
衝撃吸収装置(37)を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項12】
前記衝撃吸収装置(37)は、前記管(21)の近傍に前記スーツケース本体の側面に取り付けられた部品であることを特徴とする、請求項11に記載の車輪付きスーツケース。
【請求項13】
前記管(21)が前記衝撃吸収装置を含む、請求項11に記載の車輪付きスーツケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に取り付けられたスーツケース本体とハンドルに接続されたツインロッドとを備えたスーツケースに関し、ツインロッドは、使用者がスーツケースを手で引っ張ることができる伸張位置と、体内に格納された格納位置との間を移動可能に本体に取り付けられている。
【背景技術】
【0002】
通常、可動ツインロッドは、ハンドルによって接続された少なくとも2つのアームの形状に作られており、2つのアームは、スーツケース本体と一体化された2つの管にそれぞれ摺動可能に取り付けられている。例えば、仏国特許発明第2870693号明細書は、このような実施形態を記載する。
【0003】
アームを受けている管は、スーツケース内に置かれる。
【0004】
このアセンブリは、スーツケース使用者が失う特定の容積を表し、また審美的外観を呈し、重量の追加となる部品の強化及び取り付けを必要とするため、管、補強部品及び取り付け部品は、典型的には、例えば布ライニングによって、より審美的な結果のために隠されなければならない。
【0005】
また、この組み立ては見苦しいスーツケースの本体面上に突出した部品を製造することに導く可能性がある。
【0006】
さらに、アセンブリの質量は増えて、スーツケースを引っ張らなければならず、航空会社によって課せられたスーツケースの重量制限に従わなければならないユーザにとって不便となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特定の本発明の目的は、これらの上述した不利な点の一部もしくは全部を緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、以下から成る車輪付きスーツケースを提案する:
-2つの縁部によって分離された少なくとも3つの剛性又は半剛性の側面を備えると共に車輪に取り付けられた剛性又は半剛性のスーツケース本体、
-2つのアーム、ハンドル及び2つの管を備える伸縮自在のツインロッドであって、前記アームが前記ハンドルに連結されていると共に前記2つの管内に摺動可能に取り付けられた伸縮自在のツインロッド
【0010】
本発明によれば、前記2つの管が、前記スーツケース本体の外側の2つの縁部に沿って配置されているという点で、スーツケースは特徴付けられる。
【0011】
管をスーツケース本体の外側に配置することにより、スーツケースの内部容積は減少せず、スーツケースの底部は平坦である。さらに、管を端部に沿って配置することによって、ツインロッドはスーツケース面の輪郭の一部に適合する。したがって、管はスーツケースの面上に突出しないので、スーツケースアセンブリを審美的とする。
【0012】
以下に記載されるいくつかの実施形態によれば、本発明に従うスーツケースは、別々に、または組み合わせて、以下の特徴を含むことができる:
-前記2つの縁部のそれぞれは、前記スーツケース本体の外側に面した凹面を呈して凹状となっており、前記管が凹状の前記縁部に収容されている
-前記管のそれぞれは、外側部分と内側部分とによって画定された断面を有する輪郭を有しており、前記外側部分は、2つの端部を示すアーチを画定し、前記2つの端部は、前記管が受容される前記縁部に2つの連続した側面を接線方向に接合し、前記内側部分が、前記管が収容されている凹状の前記縁部の凹面に実質的に追従するように配置されている
-前記管は、リベット又はネジによって前記2つの縁部に取り付けられている
-前記管は、前記アームが導入される開放端部を有し、剛性中間部が前記管の間に配置されて、一方の前記管の開放端から他方の前記管の開放端まで延在している
-前記側面の一方が前記スーツケース本体の背面であり、前記スーツケース本体は、前記スーツケース本体の上縁部によって前記背面から分離された上面を有し、前記上縁部は、前記スーツケース本体の外側に面する凹部を呈して窪んでおり、前記剛性中間部は前記上縁部の戦記凹部と相補的な形状を有しており、前記剛性中間部が前記上縁部に固定されている
-前記ハンドルは、その長さの少なくとも一部分にわたって、格納位置と伸張位置との間で移動可能であり、前記外側ハンドル部分と前記内側ハンドル部分とによって画定される横断面を備え、
前記外側ハンドル部分は、2つの端部を呈するアーチを画定し、
前記2つの端部が前記スーツケース本体の側面と前記スーツケース本体の前記上面とのそれぞれによって画定される平面の延長部に見られる
-前記ハンドルの前記格納位置で前記ハンドルと前記剛性中間部との間に自由空間を有する。
-スーツケースはまた、2つの旋回軸の周りを回転可能な少なくとも2つの車輪付き装置を備え、前記車輪付き装置は、スーツケース本体の底面に取り付けられている
-管は、車輪付き装置の近傍に位置する管の端部を有し、管の端部は管の内部空間を画定する縁部を呈し、車輪付き装置の旋回軸は管の内部空間内に延びる
-前記車輪付き装置のそれぞれは、関連付けられた管の近傍に取り付けられており、前記2つの旋回軸のそれぞれは、前記車輪付き装置が関連付けられた前記管の主軸と平行であり、前記車輪付き装置の前記旋回軸は、関連付けられた前記管の主軸から20ミリメートル未満、好ましくはゼロミリメートルだけ離間している
-前記車輪付き装置のそれぞれは、前記管に取り付けられた要素に固定されている
-スーツケースは、衝撃吸収装置を備える
-前記衝撃吸収装置は、前記管の近傍に前記スーツケース本体の側面に取り付けられた部品である
-前記管が前記衝撃吸収装置を含む
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられるいくつかの実施形態の以下の説明に現れる。図面の説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ツインロッドが格納位置にある本発明に係るスーツケースの斜視図である。
【
図2】ツインロッドが伸張位置にある
図1に示すスーツケースの斜視図である。
【
図3】
図2に示すスーツケースの一部の斜視図であり、スーツケースの内側、特にツインロッドを有するスーツケースの底部を示す図である。
【
図8】ツインロッドが格納位置にあるスーツケースの部分背面図である。
【
図9】
図1に示す平面IX-IXに沿うスーツケースの上部の部分断面図である。
【
図10】
図1に示す平面X-Xに沿ったスーツケースの側方部分の部分断面図である
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に説明する図面は、本発明によるスーツケースの実施形態を示している。
【0016】
様々な図において、同じ参照符号は同一又は類似の要素を示す。さらに、図面を参照して、より明確にするために、用語「低部」、「上部」、「上部」、「底部」、「前部」、「後部」などが使用される。それらは、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0017】
図1に示すスーツケースは、「トロリー」タイプのものであり、実質的に矩形の断面を有しており、スーツケースの一面5(又は側面5)に実質的にスーツケースの高さ全体に沿って延びるヒンジ4によって互いに接続された2つのハーフシェル2及び3を備えるスーツケース本体1を備える。
【0018】
ハーフシェル2及び3は、例えばモールディングによって少なくとも部分的に得られる剛性又は半剛性のシェルである。
【0019】
ハーフシェルは、2つのハーフシェル2及び3の自由縁部7全体に沿って延びるジッパー6によって、それらの自由縁部7によって一緒に組み立てられる。
【0020】
「自由縁部」は、ヒンジ4に接続されていない各ハーフシェルの縁部を指すと理解される。単一のハーフシェル3を示す
図3は、ハーフシェル3の自由縁部7を示す。
【0021】
2つの組み立てられたハーフシェル2及び3は、車輪付きスーツケースの6つの側面を形成する:2つの側面5と、前面8と、後面9と、上面10と、下面11とを有する。
【0022】
2つの側面5、上面10及び底面11は、ヒンジ4又はジッパー6によって相互接続されたハーフシェルの2つの側縁部によって形成される。
【0023】
また、前面8及び後面9は本体1が直立しているときにスーツケースの側面を構成する(例えば、
図1及び
図2参照)。
【0024】
本体1の縁部12,13又は14によって、上面及び底面5,8及び9(前面及び背面を含む)が画定される。
【0025】
ハーフシェル2は、スーツケース本体1の前面の4つの縁部を含む。端12は、丸みを帯びている。図に示す例では、2つの補強要素15がハーフシェル2の上部の角部に取り付けられている。
【0026】
スーツケース本体1の後部を形成するハーフシェル3は、2つの凹状側縁部13を備え、凹部(recess)は凹面(concavity)を形成し、凹面はスーツケース本体の外側に面する。凹状縁部は、フランジ付き縁部と呼ぶこともできる。
【0027】
凹状縁部を生成することは、本発明の必須の特徴ではなく、後者は、例えば縁部が平坦である実施形態にも適用できることを理解されたい。
【0028】
ハーフシェル3はまた、スーツケースの上面10から背面9を分離するスーツケース本体の上縁部14を提供する。上縁部14も凹んでおり、その凹面はスーツケース本体1の外側に面している。底面11を後面9から分離する縁部は、スーツケース本体1の前部を形成するハーフシェルの縁部と同様に、丸い縁部12であるとなっている。
【0029】
スーツケース本体1は4つの車輪付き装置30のセットに取り付けられ、各装置は2つの車輪を備えている。
【0030】
本発明の文脈から逸脱することなく車輪付き装置が異なっていてもよいことを理解されたい。例えば、装置は単一の車輪又は3つ以上の車輪を備えていてもよい。
【0031】
各車輪付き装置30は、スーツケース本体1の下面11の角部に取り付けられて固定されている。
【0032】
車輪付き装置のそれぞれは、スーツケース本体1の縁部12又は13の方向に平行な軸線X1を中心に移動可能に取り付けられている。
【0033】
本発明は四つの車輪付き装置の存在に限定されないことを理解されたい。実際、スーツケースは、本発明の文脈から逸脱することなく、2つの車輪付き装置のみを含むことができる。
【0034】
図示の例では、4つの車輪付き装置のうちの2つが、管21の両方の下端の下に取り付けられることによって、2つの管21に関連付けられている。
【0035】
管31の下端部39(
図4)は、管の内部空間を画定する縁部(図示せず)を含む。
【0036】
図示された実施形態(
図4参照)において、本発明は、管21に関連付けられた車輪付き装置30の旋回軸X1が、関連するそれぞれの管21の内部空間内に延びることを提供する。より具体的には、旋回軸X1と管の軸Xとが一致する。
【0037】
各車輪付き装置は、関連する管の近傍に取り付けられ、2つの旋回軸のそれぞれは、前記車輪付き装置が管の主軸Xに平行である別の実施形態(図示せず)も提供され得る。 車輪付き装置の旋回軸線X1は、関連する主管軸線Xから20ミリメートル未満の距離だけ離れている。
【0038】
そのような場合、車輪付き装置の旋回軸は管軸からずらされている。
【0039】
好ましくは、車輪付き装置の旋回軸X1とそれに関連する管の主軸Xとの間の距離がゼロになるように選択することができる。
【0040】
発明の範囲から逸脱することなく、車輪付き装置のそれぞれが管21に取り付けられた要素に取り付けられるようにしてもよい。本発明によれば、車輪付きスーツケースは、スーツケース本体1に取り付けられた伸縮自在なツインロッド16を備え、2つの最も遠い位置の間に多数の位置をとることができる:
図1及び
図6~
図8に示されている格納位置と、
図2~
図5に示されている伸張位置とを含む。
【0041】
伸縮自在のツインロッド16は、一緒に組み立てられた1つ以上のロッドからそれぞれ作られた2つの平行なアーム17を含む。
【0042】
また、伸縮自在のツインロッド16は両アーム17の2つの自由縁部19を連結するハンドル18を備える。
【0043】
ハンドルは、格納位置から伸張位置への変化が可能となるように、格納位置にあるときにツインロッドを解除するためのボタン20を備えることができる。
【0044】
ツインロッド16の2本のアーム17は2本の管21に摺動可能に取り付けられ、2本の管21はハーフシェル3の外側にあるスーツケース本体1の裏面を形成するハーフシェル3の縁部13に沿って取り付けられている (特に
図4及び
図5参照)。
【0045】
このようにして、特に
図3に見られるように、管21がスーツケースの縁部に配置されるという事実のおかげで、シェル3の内部は完全に平らな底部を呈し、アーム17を受け入れる管21の容積は、スーツケースの内側と外側の両方で最小となる。
【0046】
より具体的には、管は、外側部分22と内側部分23とによって画定された断面で輪郭づけられている(
図10参照)。
【0047】
外側部分22は、アーチ(すなわち、カーブ)を画定し、その端部24及び25は、スーツケース本体1の側面5及び裏面9(面5及び面9が連続している)に接線方向に接合する。
【0048】
このようにして、管21の外側部分22は、側面5及び後面9を延長するように見える。したがって、視覚的には、管21は、スーツケースの面の拡張部に組み込まれ、スーツケースの体積と合体し、スーツケースの体積は、スーツケースの面5,9及び8によって横方向に画定される。
【0049】
このようにして、管21はスーツケースの内容積を妨げない。実際、管21がスーツケースの内側に配置されていた場合、通常通り、スーツケースに含まれる要素が損傷する可能性がある。
【0050】
スーツケースの容量、すなわち、対象物を収容することができるスーツケースの内部容積は、スーツケースの外面によって定義される容積の少なくとも80%に相当することに留意されたい。
【0051】
さらに、管21は、スーツケースの美的外見を損なわない。
【0052】
最後に、それらはスーツケースの外に出ないので壊れ難い。
【0053】
一般に、凹部13に係合された管21の外側(すなわち、目に見える)表面は、縁部12と実質的に同一の形状及びサイズを有するスーツケース縁部を形成する。したがって、スーツケース本体はコンパクトであり、規則的かつ対称的な外形を呈し、スーツケースに消費者が期待するエレガントで審美的に好ましい形状を与える。
【0054】
さらに、
図10に示すように、管21の内側部分23は、縁部13の凹形状の形状と相補的な形状を呈する。したがって、内側部分23は、縁部13の凹形状に実質的に追従するように構成される。
【0055】
管21は、例えばリベット又はねじ26(スーツケースの内側を示す
図3を参照)によって、凹状の縁部13に取り付けられている。管21は、他の既知の固定手段、例えば接着によって、凹状縁部13に固定されることもできる。
【0056】
管がリベット締め又はネジ止めによってスーツケースの外側に取り付けられているという事実は、スーツケースの組み立てを容易にする。
【0057】
さらに、ロッド管を取り付けるための手段は、スーツケースに収容された要素の完全性を損なうことがない。実際、それらは多数ではなく(管あたり2つ)、管とスーツケースの端部に実質的に配置される。
【0058】
スーツケースの面を形成する壁は、剛性又は半剛性であることに留意されたい。したがって、管を接続するための「トロリー」タイプのスーツケース上に従来から見られる2つのクロス部材を提供することは不要である。
【0059】
そのようなクロス部材の代わりに、本発明によるスーツケースは、スーツケースの上部の2つの管21の間により高い剛性を提供するとともに上部の凹状の縁部に固定された剛性中間部を提示する(
図8及び
図9参照)。
【0060】
剛性中間部27は、管の開放端28(ツインロッド16のアーム17を受ける管の開放端28)の間に配置され、これら2つの端部の間の距離を維持する。実際、この部分がなければ、スーツケース本体1の背面を形成する壁は、使用者がスーツケースをハンドル18の側部又はアーム17で引っ張ると変形し、ハンドルは、アーム又は管のアーチング又は変形現象によって、拡張位置と格納位置との間の中間位置でブロックされたままになってしまう場合がある。
【0061】
したがって、中間部27は、スーツケースの上部の剛性を保証する。
【0062】
中間部27が
図9に示されている:これは剛性の湾曲(カーブ)したシートであり、その形状はスーツケース本体の上部の凹状縁部14の形状と相補的である。剛性の湾曲シートの長さは、スーツケース管21の2つの開口28を隔てる距離に実質的に等しい。
【0063】
凹状縁部の底部と管21との間の凹状縁部13の凹部の底部に、他の剛性の湾曲したシートを設けることもできる。
【0064】
そのような剛性の湾曲したシートは薄く、それらの質量は実質的にスーツケースに重量を加えない:すべての場合において、それらの質量は、通常「トロリー」タイプのスーツケースに存在するクロス部材の質量よりもはるかに小さい。
【0065】
したがって、スーツケースは軽くエレガントなままである。
【0066】
ハンドル18は、ハンドルが後退位置にあるとき(
図1及び
図6~
図8)、スーツケース本体の面によって画成されたスーツケースの容積に組み込まれるような形状になっている。したがって、ハンドル
18は、管21がスーツケース縁部と一致するのと同様に突出しておらず、スーツケースの縁部と一致する(又はスーツケースの縁部を形成する)。
【0067】
これを行うために、ハンドルは、ハンドルが格納位置にあるときにスーツケースの外側に面する外側部分31と、ハンドルが引っ込められた位置にあるときにスーツケースの内側に面する(従って、上部の凹状縁部14及び剛性中間部27に面している)内側部分32とを含む断面(
図9に示す)を呈する。
【0068】
外側部分31は、2つの端部33及び34を提示するアーチ(又はカーブ)を画定する。ハンドル18が後退位置にあるとき、端部33及び34は、スーツケースの背面9及びスーツケースの上面10によって画定された平面の延長部に極度の接線が見られるアーチ部分を形成する。
【0069】
内側部分32は、ハンドル18が格納位置にあるとき(
図8又は
図9)、ハンドルと剛性中間部27との間に自由空間29が存在するように構成されている。
【0070】
この自由空間29は、使用者の指がハンドルの下を摺動することを可能にし、ハンドルを把持し、ハンドルを引っ込められた位置から拡張位置へと変化させることができる。
【0071】
図1~
図3に見られるように、例えば、スーツケースは、上面10、特にシェル3によって形成された上面の一部に取り付けられた第2の上部固定ハンドル35をも含む。また、スーツケースは、スーツケースの側面7に、特にシェル3によって形成された側面の一部に取り付けられた第3の側方固定ハンドル36を備える。
【0072】
上部固定ハンドル35は、ツインロッド16を伸ばすことなくスーツケースを手動で動かすためのグリップ部材を使用者に提供する。
【0073】
横方向の固定ハンドル36は、スーツケースの側面によって手動でスーツケースを把持するグリップ部材を使用者に提供する(例えば、階段を上又は下に移動する)。
【0074】
管21は、金属又は好ましくは軽くて強い他の材料で作ることができる。管を損傷又は変形させないために、管の近くに衝撃を吸収できる装置を設けることができる。
【0075】
図4、
図5及び
図7は、背面9の下部で管21と平行にスーツケースの背面9に取り付けられた減衰要素37を示す。
【0076】
減衰要素は、プラスチック又はゴムで作ることができる。
【0077】
そのような要素は、管21上に直接設けることもできる。実施形態の別の変形例によれば、管21自体が衝撃を吸収することができる材料で作ることができる。
【0078】
前述の説明から、本発明がどのようにしてエレガントであり、コンパクトであり、強く、且つ機能的なスーツケースを提供するかが理解される。
【0079】
このようにして製造されたスーツケースは、スーツケースの輪郭と一致するので目立たないツインロッド16を備える。ロッド16は、スーツケースを引っ張ることができるだけでなく、そのレイアウトのおかげで、スーツケースの3つの縁部にわたって付加的な剛性を提供する。ロッドのレイアウトによって提供される別の利点は、2つの管自体がショック、例えば、歩道又は階段を登るために引っ張られたときにスーツケースの低い構造を損傷する可能性のあるショックを防ぐことができることである。
【0080】
しかしながら、本発明は、図面に提示された実施形態に特に限定されず、任意の等価な手段の実施に及ぶことを理解されたい。
【符号の説明】
【0081】
1 本体
2,3 ハーフシェル
4 ヒンジ
5 側面
6 ジッパー
7 自由縁部
11 下面
12 縁部
15 補強要素
16 ロッド1
17 アーム
18 ハンドル
19 自由縁部
20 ボタン
21 管
22 外側部分
23 内側部分
27 中間部
29 自由空間
31 外側ハンドル部分
33 端部