(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】コンパクトな変速比無限大変速機
(51)【国際特許分類】
F16H 9/04 20060101AFI20220121BHJP
F16H 9/16 20060101ALI20220121BHJP
F16G 5/16 20060101ALI20220121BHJP
F16G 5/18 20060101ALI20220121BHJP
F16H 9/18 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
F16H9/04
F16H9/16
F16G5/16 A
F16G5/18 E
F16H9/18 B
(21)【出願番号】P 2018538112
(86)(22)【出願日】2017-01-26
(86)【国際出願番号】 US2017015184
(87)【国際公開番号】W WO2017132411
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-22
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501228071
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】カーンバウム,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】キッチェル,マーフィー
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-204049(JP,A)
【文献】特開2004-293723(JP,A)
【文献】特開平11-325207(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080517(WO,A1)
【文献】特開昭62-93537(JP,A)
【文献】特開昭53-17868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 9/04
F16H 9/16
F16H 9/18
F16G 5/16
F16G 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変変速機において、
第一の軸を有する外側プーリーであって、
該外側プーリーは、
接触面を備える第一の外側プーリーセグメントと、
前記第一の外側プーリーセグメントから第一の可変距離だけ離間された第二の外側プーリーセグメントであって、接触面を備える第二の外側プーリーセグメントと、
を備える外側プーリー、
第二の軸を有する内側プーリーであって、
該第二の軸は、前記第一の軸から離間し、且つ前記外側プーリーの一部と交差し、前記内側プーリーの一部が、前記第一の外側プーリーセグメントと、前記第二の外側プーリーセグメントとの間に位置し、前記内側プーリーが、
第一の内側プーリーセグメントであって、前記第一の外側プーリーセグメントの前記接触面の内側で軸方向および径方向に位置している接触面を備える第一の内側プーリーセグメントと、
前記第一の内側プーリーセグメントから第二の可変距離だけ離間された第二の内側プーリーセグメントであって、前記第二の外側プーリーセグメントの前記接触面の内側で軸方向および径方向に位置する接触面を備える第二の内側プーリーセグメントと、
を備える、内側プーリー、および
前記第一および第二の外側プーリーセグメントの前記接触面の少なくとも一部と、前記第一および第二の内側プーリーセグメントの前記接触面の少なくとも一部とに接触しているベルト、
を備える、可変変速機。
【請求項2】
前記外側プーリーおよび内側プーリーの一方が
、その対応する軸の周りに回転しないように回転可能に固定されている、請求項1に記載の変速機。
【請求項3】
前記外側プーリーは回転可能に固定され、前記変速機は、前記第一の外側プーリーセグメントと前記第二の外側プーリーセグメントとの間の前記第一の可変距離を制御するために、前記第一の外側プーリーセグメントおよび前記第二の外側プーリーセグメントの少なくとも一方を他方に対して動かすように構成されたシフト機構を追加的に備える、請求項2に記載の変速機。
【請求項4】
前記第一の外側プーリーセグメントと前記第二の外側プーリーセグメントとの間の前記第一の可変距離の変化に応動して、前記第一の内側プーリーセグメントと前記第二の内側プーリーセグメントとの間の前記第二の可変距離を調節するように、前記第一の内側プーリーセグメントおよび前記第二の内側プーリーセグメントに結合されたばねを追加的に備える、請求項3に記載の変速機。
【請求項5】
前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備える、請求項1に記載の変速機。
【請求項6】
前記ベルトは、前記複数のベルトセグメントの各々を介して延びているテンションベルトを備え、前記ベルトセグメント
の面は湾曲面を備える、請求項5に記載の変速機。
【請求項7】
前記ベルトは複数のピンを備え、各ピンは、前記複数のベルトセグメントのうちの二つの隣接するベルトセグメントの各々の少なくとも一部を通って延びている、請求項5に記載の変速機。
【請求項8】
第一の流体チャンバと流体的に連通する油圧ポンプを追加的に備え、前記第一の流体チャンバのサイズの変化が、前記第一の可変距離または前記第二の可変距離の一方を変更させる、請求項1に記載の変速機。
【請求項9】
前記内側プーリーおよび外側プーリーはともに、前記可変変速機の回転軸周りに
偏心カムにより偏心的に回転するように構成される、請求項1に記載の変速機。
【請求項10】
前記外側プーリーおよび前記内側プーリーの一方は
、その対応する軸の周りに回転しないように回転可能に固定される、請求項9に記載の変速機。
【請求項11】
前記回転可能に固定されているプーリーは、複数の偏心カムに結合される、請求項10に記載の変速機。
【請求項12】
前記外側プーリーおよび前記内側プーリーの1つが偏心回転するように偏心カムに連結され、偏心的に回転するプーリーの回転出力を、該偏心的に回転するプーリーよりも小さい偏心性で回転するように構成された回転出力部材に伝達するように構成された出力構造を追加的に備える、請求項1に記載の変速機。
【請求項13】
前記出力構造は固定比変速機を備える、請求項12に記載の変速機。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2016年1月29日に出願された米国特許仮出願第62/288,466号に対する優先権を主張するものであり、その開示は全体として、参照によって本願明細書に組み込まれるものとする。
【技術分野】
【0002】
本願明細書に記載されている実施形態は、無段変速機および変速比無限大変速機を含む変速機に関する。
【発明の概要】
【0003】
本願明細書に記載されているいくつかの実施形態は、外側プーリーであって、その外側プーリーが第一の外側プーリーセグメントを含み、その第一の外側プーリーセグメントが接触面を含む、第一の外側プーリーセグメントと、前記第一の外側プーリーセグメントから第一の可変距離だけ離間された第二の外側プーリーセグメントであって、その第二の外側プーリーセグメントが接触面を備える第二の外側プーリーセグメントとを含む外側プーリーと、内側プーリーであって、前記内側プーリーの一部が、前記第一の外側プーリーセグメントと前記第二の外側プーリーセグメントとの間に位置し、前記内側プーリーが、第一の内側プーリーセグメントであって、前記第一の外側プーリーセグメントの前記接触面の内側で軸方向および径方向に位置している接触面を備える第一の内側プーリーセグメントと、前記第一の内側プーリーセグメントから第二の可変距離だけ離間された第二の内側プーリーセグメントであって、前記第二の内側プーリーセグメントが、前記第二の外側プーリーセグメントの前記接触面の内側で軸方向および径方向に位置する接触面を備える第二の内側プーリーセグメントとを含む、内側プーリーセグメントと、前記第一および第二の外側プーリーセグメントの前記接触面の少なくとも一部と、前記第一および第二の内側プーリーセグメントの前記接触面の少なくとも一部とに接触しているベルトとを含む可変変速機に関する。
【0004】
いくつかの実施形態において、前記外側プーリーおよび内側プーリーの一方は、回転可能に固定することができる。さらにいくつかの実施形態においては、前記外側プーリーは、回転可能に固定することができ、および前記変速機は、前記第一の外側プーリーセグメントおよび前記第二の外側プーリーセグメントの少なくとも一方を他方に対して動かして、前記第一の外側プーリーセグメントと、前記第二の外側プーリーセグメントとの間の前記第一の可変距離を制御するように構成されたシフト機構を追加的に含んでもよい。またいくつかの実施形態においては、前記変速機は、前記第一の外側プーリーセグメントと前記第二の外側プーリーセグメントとの間の前記第一の可変距離の変化に応動して、前記第一の内側プーリーセグメントと前記第二の内側プーリーセグメントとの間の前記第二の可変距離を調節するように、前記第一の内側プーリーセグメントおよび前記第二の内側プーリーセグメントに結合されたばねを追加的に含んでもよい。
【0005】
いくつかの実施形態において、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記ベルトは、前記複数のベルトセグメントの各々を介して延びているテンションベルトを含み、前記ベルトセグメントの対向面は、湾曲面を含む。いくつかの実施形態において、前記ベルトは、複数のピンを含み、各ピンは、前記複数のベルトセグメントの二つの隣接するベルトセグメントの各々の少なくとも一部を介して延びている。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記変速機は、第一の流体チャンバと流体的に連通している油圧ポンプを追加的に含み、前記第一の流体チャンバのサイズの変化は、前記第一の可変距離または前記第二の可変距離の一方を変更する。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記内側プーリーおよび外側プーリーはともに、前記可変変速機の回転軸周りに偏心回転するように構成してもよい。さらにいくつかの実施形態において、前記外側プーリーおよび前記内側プーリーの一方は、回転可能に固定してもよい。またさらにいくつかの実施形態においては、前記回転可能に固定されたプーリーは、複数の偏心カムに結合してもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記変速機は、偏心回転するプーリーの回転出力を、その偏心回転するプーリーよりも少ない偏心で回転するように構成された回転出力部材に伝達するように構成された出力構造を追加的に含んでもよい。さらにいくつかの実施形態において、前記出力構造は、固定比変速機を含んでもよい。
【0009】
本願明細書に記載されている他の実施形態は、第一のセグメント化されたプーリー部であって、その第一のセグメント化されたプーリー部が、第一の角度で、前記第一のセグメント化されたプーリー部の回転軸に向けられた接触面を含む、第一のセグメント化されたプーリー部と、第二のセグメント化されたプーリー部であって、その第二のセグメント化されたプーリー部が、第二の角度で、前記第一のセグメント化されたプーリー部の回転軸に向けられた、角度の付いた接触面を含む、第二のセグメント化されたプーリー部と、前記第一のセグメント化されたプーリー部と、前記第二のセグメント化されたプーリー部との間に少なくとも部分的に設けられた入れ子状プーリーであって、その入れ子状プーリーが、前記第一の角度と同じ角度で、前記入れ子状プーリーの回転軸に向けられた第一の接触面と、前記第二の角度と同じ角度で、前記入れ子状プーリーの前記回転軸に向けられた第二の接触面とを備える、入れ子状プーリーと、前記入れ子状プーリーおよび前記第一および第二のセグメント化されたプーリー部の少なくとも一部の周りに延びているベルトと
を含む変速機に関する。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記第一のセグメント化されたプーリー部と、前記第二のセグメント化されたプーリー部は、第一の距離だけ互いに離してもよく、また、前記変速機は、前記変速機の伝達率を変えるために、前記第一のセグメント化されたプーリー部と、前記第二のセグメント化されたプーリー部との間の前記第一の距離を変更するように構成されたアクチュエータを追加的に含んでもよい。さらにいくつかの実施形態において、前記アクチュエータは、流体チャンバと流体的に連通した油圧ポンプを含んでもよく、この場合、前記流体チャンバのサイズの変化は、前記第一のセグメント化されたプーリー部と、前記第二のセグメント化されたプーリー部との間の前記第一の距離を変更する。さらに他のいくつかの実施形態において、前記アクチュエータは、前記第一のセグメント化されたプーリー部に結合されたサーボを含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記第一および第二のセグメント化されたプーリー部は、回転可能に固定することができ、および前記入れ子状プーリーは、前記変速機の回転軸周りに偏心回転するように構成してもよい。さらにいくつかの実施形態において、前記変速機は、偏心カムに結合された入力軸を追加的に含んでもよく、前記偏心カムは、前記入れ子状プーリーに結合され、および前記入れ子状プーリーを、前記入力軸の回転に応動して、前記変速機の前記回転軸周りに偏心回転させるように構成されている。さらに他のいくつかの実施形態において、前記変速機は、前記入れ子状プーリーに結合された回転ハーベスターを追加的に含んでもよく、この場合、その回転ハーベスターは、前記入れ子状プーリーの回転出力を、前記変速機の長手方向軸と位置合わせされた前記変速機の出力に伝達する。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記入れ子状プーリーは、前記第一の接触面を含む第一の入れ子状プーリーセグメントと、前記第一の入れ子状プーリーセグメントから可変距離だけ離間され、および前記第二の接触面を含む第二の入れ子状プーリーセグメントとを含む。さらにいくつかの実施形態において、前記変速機は、前記第一の入れ子状プーリーセグメントを前記第二の入れ子状プーリーセグメントの方に付勢するばねを追加的に含む。
【0013】
本願明細書に記載されている他の実施形態は、最大直径および可変有効径を有する第一のプーリーであって、その第一のプーリーが回転可能に固定されている、第一のプーリーと、最大直径および可変有効径を有する第二のプーリーであって、その第二のプーリーが、前記可変変速機の回転軸周りに回転するように構成されている、第二のプーリーと、前記第一のプーリーおよび前記第二のプーリーの少なくとも一部と接触しているベルトとを含む可変変速機に関し、前記IVTの最大寸法は、前記第一のプーリーの最大直径と、前記第二のプーリーの前記最大直径との合計よりも小さい。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記ベルトは、プッシュベルトとしての動作のために構成してもよい。いくつかの実施形態において、前記第一のプーリーは、前記可変変速機の前記回転軸周りに回転するように構成してもよい。いくつかの実施形態において、前記第一のプーリーは、前記可変変速機の前記回転軸に中心があってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記第一のプーリーの前記可変有効径は、第一の範囲にわたって可変であってもよく、また、前記第二のプーリーの前記可変有効径は、第二の範囲にわたって可変であってもよく、前記第一の範囲は、前記第二の範囲と少なくとも部分的に重なっている。いくつかの実施形態において、前記第一のプーリーは、第一のプーリーセグメントおよび第二のプーリーセグメントを含んでもよく、前記第二のプーリーは、前記第一のプーリーの前記第一のプーリーセグメントと第二のプーリーセグメントとの間に少なくとも部分的に設けてもよい。いくつかの実施形態において、前記第二のプーリーは、第一のプーリーセグメントおよび第二のプーリーセグメントを含んでもよく、前記第一のプーリーは、前記第二のプーリーの前記第一のプーリーセグメントと第二のプーリーセグメントとの間に少なくとも部分的に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】無段変速機(CVT)としての動作用に構成された変速機の斜視図である。
【
図2A】さまざまな構成における、
図1のCVT等のCVTの動作を概略的に示す図である。
【
図2B】さまざまな構成における、
図1のCVT等のCVTの動作を概略的に示す図である。
【
図2C】さまざまな構成における、
図1のCVT等のCVTの動作を概略的に示す図である。
【
図2D】さまざまな構成における、
図1のCVT等のCVTの動作を概略的に示す図である。
【
図2E】さまざまな構成における、
図1のCVT等のCVTの動作を概略的に示す図である。
【
図2F】さまざまな構成における、
図1のCVT等のCVTの動作を概略的に示す図である。
【
図3A】さまざまなプーリー構成についてのVベルトの断面を示す図である。
【
図3B】さまざまなプーリー構成についてのVベルトの断面を示す図である。
【
図3C】さまざまなプーリー構成についてのVベルトの断面を示す図である。
【
図3D】構成以外は同一のセグメント化されたプーリーの三つの異なる構成と、それらのプーリーの有効径またはベルト径に対するこれらの構成の影響とを示す斜視断面図である。
【
図4】変速比無限大変速機(IVT)としての動作用に構成された、
図1の変速機と同様の変速機の斜視図である。
【
図5A】さまざまな構成における、
図4のIVT等のIVTの動作を概略的に示す図である。
【
図5B】さまざまな構成における、
図4のIVT等のIVTの動作を概略的に示す図である。
【
図5C】さまざまな構成における、
図4のIVT等のIVTの動作を概略的に示す図である。
【
図6A】互いに少なくとも部分的に入れ子状のプーリーによって実現することができる偏心の低減を示す、可変変速機の複数の実施形態を概略的に示す図である。
【
図6B】互いに少なくとも部分的に入れ子状のプーリーによって実現することができる偏心の低減を示す、可変変速機の複数の実施形態を概略的に示す図である。
【
図6C】互いに少なくとも部分的に入れ子状のプーリーによって実現することができる偏心の低減を示す、可変変速機の複数の実施形態を概略的に示す図である。
【
図6D】互いに少なくとも部分的に入れ子状のプーリーによって実現することができる偏心の低減を示す、可変変速機の複数の実施形態を概略的に示す図である。
【
図6E】互いに少なくとも部分的に入れ子状のプーリーによって実現することができる偏心の低減を示す、可変変速機の複数の実施形態を概略的に示す図である。
【
図6F】互いに少なくとも部分的に入れ子状のプーリーによって実現することができる偏心の低減を示す、可変変速機の複数の実施形態を概略的に示す図である。
【
図7A】単一のシステムで実現できる、さまざまな関連のある有効プーリー径を示す、入れ子状プーリー可変変速機の複数の構成を概略的に示す図である。
【
図7B】単一のシステムで実現できる、さまざまな関連のある有効プーリー径を示す、入れ子状プーリー可変変速機の複数の構成を概略的に示す図である。
【
図7C】単一のシステムで実現できる、さまざまな関連のある有効プーリー径を示す、入れ子状プーリー可変変速機の複数の構成を概略的に示す図である。
【
図7D】単一のシステムで実現できる、さまざまな関連のある有効プーリー径を示す、入れ子状プーリー可変変速機の複数の構成を概略的に示す図である。
【
図7E】単一のシステムで実現できる、さまざまな関連のある有効プーリー径を示す、入れ子状プーリー可変変速機の複数の構成を概略的に示す図である。
【
図7F】単一のシステムで実現できる、さまざまな関連のある有効プーリー径を示す、入れ子状プーリー可変変速機の複数の構成を概略的に示す図である。
【
図8A】コンパクトな可変変速機の実施形態の側面斜視図である。
【
図9】コンパクトな可変変速機の別の実施形態の側面斜視図である。
【
図10】偏心の機能としてのIVTの一つの実施形態の動作範囲のプロットを示す図である。
【
図11】台形のベルト部および対応するプーリー接触面の断面図を概略的に示す図である。
【
図12】台形のベルト部と、内側に延びる部分を含むプーリーセグメントとの接触を概略的に示す図である。
【
図13】外側のセグメント化されたプーリーが、内側プーリーの偏心のための隙間を設けるように構成されている可変変速機の実施形態の断面図である。
【
図14】可変変速機の実施形態の斜視断面図である。
【
図15A】セグメント化されたベルトのさまざまな実施形態の側面図である。
【
図15B】セグメント化されたベルトのさまざまな実施形態の側面図である。
【
図15C】セグメント化されたベルトのさまざまな実施形態の側面図である。
【
図16】隣接するベルトセグメントを接続する四節リンク機構を含むベルトを概略的に示す図である。
【
図17A】湾曲した接触面を有するベルトセグメントを含むプッシュベルトの実施形態を概略的に示す図である。
【
図17B】湾曲した接触面を有するベルトセグメントを含むプッシュベルトの実施形態を概略的に示す図である。
【
図18】プーリーの一つが固定有効径を有する可変変速機の実施形態を示す図である。
【
図19】プーリーとベルトの間での湾曲した接触面の利用を概略的に示す図である。
【
図20】装置の変速比を制御するのに単一の機構を用いることができる可変変速機の別の実施形態を示す図である。
【
図21】二つの油圧制御のセグメント化されたプーリーを含む可変変速機の実施形態を概略的に示す図である。
【
図22】セグメント化されたプーリーのうちの一つが、二つ以上のプーリーセグメントを含む可変変速機の実施例を概略的に示す図である。
【
図23A】偏心回転プーリーの回転出力の偏心がない可変変速機の実施形態を概略的に示す図である。
【
図23B】偏心回転プーリーの回転出力の偏心がない可変変速機の別の実施形態を概略的に示す図である。
【
図23C】偏心回転プーリーの回転出力の偏心がない可変変速機の別の実施形態を概略的に示す図である。
【
図23D】偏心回転プーリーの回転出力の偏心がない入れ子状可変変速機の実施形態を概略的に示す図である。
【
図23E】偏心回転プーリーの回転出力の偏心がない入れ子状可変変速機の別の実施形態を概略的に示す図である。
【
図24】二つのプーリーが、可変変速機の回転軸周りに回転するように構成されている可変変速機の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
変速機は、特に、ロボティクス、自動車および産業用途を含む幅広い用途に利用することができる。所定の用途に用いられる特定の変速機の構造および構成は、その特定の用途に必要なまたは有用な設計上の制約に依存する。例として、複雑なロボット用途に用いられる変速機は、最小限のバックラッシュ、ならびに同様の動作の多くの繰り返しにわたる耐久性を必要とする場合がある。さらに、人とのやりとりのために設計されたロボットまたは他の機械化されたコンポーネントは、そのロボットとやりとりをしている人への危害または損傷を防ぐために、具体的な安全要件も定められている場合がある。
【0018】
ロボット、自動車および産業用途等の、幅広い動作速度を必要とする用途の場合、可変変速機の使用は、固定変速機に勝る効率の利点をもたらす可能性がある。固定変速比は、小さな範囲の出力速度に対して最適化することができ、モータを高効率の速度帯域内で作動させることを可能にする。例えば、電動モータは、高速度および低トルク下で作動している場合、90%以上の効率である可能性がある。しかし、幅広い出力速度を必要とする用途は、そのモータが、ピーク効率の範囲外の速度で、または、その範囲外の負荷の下で作動している場合、かなりの非効率性と損失をそのモータにもたらすであろう。
【0019】
その変速機のサイズおよび重量に関してある程度の柔軟性を可能にする用途では、可変変速機は、幅広い速度にわたる動作によって引き起こされるある程度の非効率性を緩和するのに用いてもよい。しかし、可変変速機の多くの実施形態は、固定変速機よりも大きくおよび/またはより重く、また、いくつかの用途、例えば、ロボティクスにおけるサイズおよび重量要件は、いくつかの変速機デザインの利用を制限し、または妨げる可能性がある。
【0020】
図1は、無段変速機(continuously variable transmission:CVT)の斜視図である。そのCVT10は、第一の軸(または複数の軸)24と位置合わせされた軸周りに一緒に回転するように構成された対向する円錐形構造22aおよび22bから成る第一のペアを含む第一のプーリー20と、第二の軸(または複数の軸)と位置合わせされた軸周りに一緒に回転するように構成された対向する円錐形構造32aおよび32bから成る第二のペアを含む第二のプーリー30とを含む。角度の付いた接触面を有するベルト40は、第一のプーリーおよび第二のプーリーの各々の周りに延びている。そのベルト40は、三角形の断面を有するV字状ベルトであってもよいが、プーリー20および30との接触のための角度の付いた接触面を形成する任意の適当な断面形状を用いてもよい。その角度の付いた接触面の角度は、ベルト40と、プーリー20および30との接触面積を増加させまたは最大化するために、プーリー20および30の円錐形構造の対向面がその角度で方向付けられている角度に一致させることができる。
【0021】
その対応する軸周りでのこれらのプーリーの一方の回転は、CVT10の入力または駆動プーリーとすることができ、また、これらのプーリーの他方の回転は、CVT10の出力または従動プーリーとすることができる。そのCVTの変速比は、本願明細書の他の箇所で詳細に説明されているように、ベルト40がプーリー20および30に接触する箇所に同様に依存する、プーリー20および30の有効径の関数である。プーリーの有効径は、プーリーのピッチ径、または、プーリーの有効ピッチ径と呼んでもよい。CVT10の変速比は、第一または第二のプーリー20および30の少なくとも一方の円錐形構造間の間隔を調節することによって変えることができる。そうすることによって、そのプーリーの有効径が変化し、CVT10の変速比を変更する。
【0022】
いくつかの実施形態において、プーリー20および30の円錐形構造間の間隔は、独立して制御可能であってもよい。しかし、そのような実施形態においても、一方のプーリーの有効径は、同様のまたは一定のベルト長を維持するために、他方が増加されるため小さくすることができる。プーリー20および30の有効径の独立した制御は、ベルト40の張力も同様に制御できるようにする。
【0023】
各プーリーの円錐形構造間の距離を独立して変えることにより、CVT10の場合のさまざまな変速比を得ることができる。例えば、入力プーリーのそれらの円錐形間の距離が、出力プーリーのそれらの円錐形間の距離よりも大きく、その結果、その入力プーリーの有効径が、その出力プーリーの有効径よりも小さい場合、CVT10は、1を超える変速比を実現できるであろう。CVT10の変速比は、入力速度と出力速度の比(win/wout)として定義することができ、そのため、1を超える変速比は、その入力プーリーが、その出力プーリーよりも速く回転することを示している。
【0024】
図2Aから
図2Fは、
図1のCVT等のCVTの動作を概略的に示す。
図2AのCVT100aにおいて、駆動プーリー120aと従動プーリー130aは、同じ有効径を有している。駆動プーリー120aは、矢印102aで示すように、時計回りに回転するように構成されている。
図2Aおよび
図2Bを見て分かるように、プーリー120a上のマーカー122aの位置およびプーリー130a上のマーカー132aの位置により、駆動プーリー120aの矢印102aの時計回りの方向における一回転は、従動プーリー130aの時計回りの方向における一回転を生じさせる。したがって、プーリー120aおよび130aが、同じ有効径を有している場合、CVT100aの変速比は、1になる。
【0025】
図2CのCVT100bでは、駆動プーリー120bは、従動プーリー130bよりも小さい有効径を有している。駆動プーリー120bは、矢印102bで示すように、時計回りで回転するように構成されている。
図2Cおよび
図2Dを見て分かるように、プーリー120b上のマーカー122bの位置およびプーリー130b上のマーカー132bの位置により、駆動プーリー120bの矢印102bの時計回りの方向における一回転は、従動プーリー130bの時計回りの方向における、より小さな一回転を生じさせる。したがって、駆動プーリー120bが、従動プーリー130bよりも小さな有効径を有している場合、CVT100bの変速比は、駆動プーリー120bが従動プーリー120bよりも速く回転することになるため、1を超える。
【0026】
図2EのCVT100cでは、その駆動プーリー120cは、従動プーリー130cよりも大きな有効径を有している。駆動プーリー120cは、矢印102cで示すように、時計回りで回転するように構成されている。
図2Eおよび
図2Fを見て分かるように、プーリー120c上のマーカー122cの位置およびプーリー130c上のマーカー132cにより、駆動プーリー120cの矢印102cの時計回りの方向における一回転は、従動プーリー130cの時計回りの方向における、より多くの一回転を生じさせる。したがって、その駆動プーリー120cが、従動プーリー130cよりも大きな有効径を有している場合、そのCVT100cの変速比は、駆動プーリー120cが、従動プーリー130cよりもゆっくりと回転するため、1未満になる。
【0027】
いくつかの実施形態において、所定のCVTの場合の変速比は、両方のプーリーが同じ有効径を有している場合の比1を中心に、0.33から3までの範囲になる。このような変速機、または、同様の変速機は、逆回転用の追加的なギアおよびクラッチを伴う可変変速機を設けるために、自動車産業において用いることができる。このような変速比の範囲は、典型的には、特定の用途のためのものであるが、CVTは、他の実施形態では、他の変速比範囲を備えるように構成または設計してもよい。
【0028】
図3Aから
図3Cは、さまざまなプーリー構成に関するVベルトの断面を示す。
図3Aにおいて、そのプーリー220aは、プーリー220aの外側面のV字状溝に、接触面226aおよび228bを含む。そのプーリー220aのV字状溝は、そのプーリー220aのその溝に位置するそのVベルト240の高さとほぼ同じ深さになっている。そのV字状溝は、そのプーリー220aの幅全体に及んでいるため、その最大箇所におけるそのプーリーの直径は、そのプーリー220aに巻き付けられたそのベルト240の最上部と最下部の間の間隔とほぼ同様の大きさになっている。
【0029】
図3Bでは、そのプーリー220bは、そのプーリー220bの外側面のV字状溝に、接触面226bおよび228bを同様に含む。しかし、そのプーリー220bのその外側面のV字状溝は、そのV字状溝よりも浅くなっており、また、接触面226bおよび228bは、それに伴って、より小さくなっている。そのプーリーの、その最大箇所における物理的直径(その部分の最大の直径寸法)は、
図3Aのプーリー220aの、その最大箇所における物理的直径よりもかなり小さくなっている。それにもかかわらず、そのプーリーに巻き付けられている、そのベルト240の最も外側の部分間の間隔は、
図3Aのベルト240の最も外側の部分の間隔と同じである。
【0030】
図3Cでは、そのプーリー220cは、そのプーリーの軸に直交する平面に沿って、複数の構成要素にセグメント化されているセグメント化されたプーリーである。図示されている実施形態では、そのプーリー220cは、二つの別々の半体221aおよび221bを含み、それらの各々は、それぞれ接触面226cおよび228cを含んでいる。これら二つの半体221aおよび221bは、セグメント化されているが、一致して回転する。そのプーリー220cの、その最大箇所における直径は、そのプーリー220bの最大径よりも大きいが、そのプーリー220aの直径よりは小さい。ここでもまた、図示されている実施形態では、そのプーリーに巻き付けられているベルト240のセグメント間の最も外側の間隔は、
図3Aおよび
図3Bのベルト240のセグメントの最も外側の間隔と同じである。他の実施形態では、そのベルトセグメントのサイズおよび形状と、そのベルト張力要素の配置に対する他の変形例を用いてもよい。
【0031】
それらのプーリー自体の直径の違いにもかかわらず、そのベルト240は、
図3Aから
図3Cのそれらのプーリーの各々に巻き付けられている場合、同じ形状であると仮定する。したがって、これらのプーリーの各々の接触面は、同じV字状の異なる断面に沿って配置され、およびそれらの異なる断面を含んでいるため、
図3Aから
図3Cのプーリーのそれぞれのベルト径または有効径は、それらの著しく異なる形状にも関わらず同一である。したがって、さまざまなプーリー径および形状要因は、同じベルト径または有効プーリー径をもたらすことができる。
【0032】
しかし、可変セグメント化プーリーの使用は、同じ構造を再構成することによって、異なるベルト径または有効プーリー径をもたらすこともできる。固定ベルト長を仮定して、セグメント化されたプーリーのセグメント間の距離を調節することにより、その調節可能なプーリーの周りのベルト径が変化して、可変セグメント化プーリーを含む変速機のギア比または変速比に影響が与えられる。
【0033】
図3Dは、構成以外は同一のセグメント化されたプーリーの三つの異なる構成と、それらのプーリーの有効径またはベルト径に対する、これらの構成の影響とを説明する斜視断面図である。
図3Dは、三つの異なるプーリー220d、220eおよび220gを示し、各々が、異なるプーリーのセグメントが互いに異なる距離で離間されている、プーリーセグメントのペアを含み、また、各々が、同一のVベルト240を支持している。第一のプーリー220dのセグメントは、三つのプーリーのうちのいずれかの互いから最大距離222dだけ離間され、結果として生じるベルト径242dは、三つのプーリー構成の最小である。対照的に、第三のプーリー220fのセグメントは、三つのプーリーのうちのいずれかの互いから最大距離222fだけ離間され、結果として生じるベルト径242fは、三つのプーリー構成の最小である。第二のプーリー220eのセグメント間隔222eおよび対応するベルト径242eは、第一のプーリー220dおよび第三のプーリー220fのセグメント間隔およびベルト径の間にある。セグメント化されたプーリーのセグメント間の間隔を増すことにより、そのプーリーの有効径を小さくすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、
図1のCVTの構造と同様の構造は、無段変速機ではなく、変速比無限大変速機として作動するために構成することができる。
図4は、変速比無限大変速機(IVT)としての動作のために構成された、
図1の変速機と同様の変速機の斜視図である。
図4のIVTは、少なくとも、機械的接地65によって概略的に示すように、プーリー20が回転可能に固定される点で
図1のCVT10とは異なり、そのため、そのプーリー20は、軸24と位置合わせされた軸周りの回転が防止される。例えば、リニア軸受85bは、プーリー20から軸24までの部分の少なくとも一つに結合するのに用いることができ、軸24周りのプーリー20の回転を可能にすることなく、その軸24に沿った平行移動を可能にする。
【0035】
少なくとも一つの機械的コネクタ50は、プーリー20の軸24と、プーリー30の軸34との間に一定の間隔を維持するのに利用することができる。コネクタ50と軸24との間の軸受85aと、コネクタ50と軸34との間の軸受85cは、その軸24および34がコネクタ50を通過する箇所間の間隔によって画定される距離における、軸24および関連するプーリー周りの軸34および関連するプーリー30の回転を可能にする。さらに、非接地プーリー30は、軸34に位置合わせされた軸周りに回転できるようになっている。図示されている実施形態において、軸34とプーリー30との間に配置された軸受85dは、この回転を可能にするが、他の実施形態では、他の適当な構造を利用してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態においては、入力トルクが、矢印70で示す方向でコネクタ50に印加されて、矢印75で示す方向における、プーリー20に対するプーリー30の回転が生じる可能性がある。プーリー20に対するプーリー30の回転は、IVT60に対する入力として作用する可能性がある。そのプーリー30がプーリー20の周りを回転する際、ベルト40は、そのプーリー30周りで回転することになり、およびそのベルト40の動きは、軸34と位置合わせされた軸周りのプーリー30の回転を生じさせることになる。したがって、プーリー20に対するプーリー30の回転が、IVT60に対する入力として作用する場合、そのプーリー30の回転は、IVT60の出力として作用することになる。プーリー20周りのプーリー30の回転の割合に対するプーリー30の回転の割合は、プーリー20および30の有効径に依存するであろう。
【0037】
プーリー20および30が同じ有効径を有している場合、任意の速度でのコネクタ50の回転は、軸34に対するプーリー30の回転を生じさせず、およびその出力は動かないため、入力速度と出力速度の比は無限大(Win/Wout=Win/0)になる。逆に、そのシステムは、プーリー20および30が同じ有効径を有している構成では、バックドライブ可能ではなく、そのため、そのシステムは、所定の位置を維持するためのトルクを必要としない。これらのプーリーの一方が、他方よりも大きい有効径を有している場合、順方向駆動が実現され、およびそれらの有効径が逆になっている場合は、その駆動方向も逆になる。
【0038】
図5Aから
図5Cは、さまざまな構成におけるIVTの動作を概略的に示す。具体的には、
図5Aは、プーリー330aの相対位置を概略的に示し、この場合、そのIVT300aの入力は、矢印302aで示す方向で、回転可能に固定されたプーリー320a周りに回転するように、そのプーリー330aを駆動する。そのプーリー330aは、
図4に関連して記載されているように、軸支持プーリー320aと同軸の偏心軸によって支持することができる。
図4のIVT300aでは、プーリー330aおよび320aは、同じ有効径を有している。そのプーリー320aは回転可能に固定されているため、そのプーリー320a上のマーカー322aは、回転するプーリー330aの位置に関わらず、同じ位置に留まり、プーリー320aに対するプーリー330aの相対回転はない。さらに、プーリー320aおよび330aの有効径は同じであるため、回転するプーリー330a上のマーカー322aの位置は、プーリー330aがプーリー320aの周りを回転する場合と同じ位置に留まる。そのため、プーリー330aの回転速度と、プーリー330aの回転速度の比は、プーリー320aおよび330aの有効径が等しい場合、IVT300aの構成では無限大になる。
【0039】
図5Bは、矢印302bで示す方向で、回転可能に固定されているプーリー320b周りに回転するプーリー330bの相対位置を概略的に示す。
図4BのIVT300bでは、回転するプーリー330bは、回転可能に固定されているプーリー320bの有効径よりも大きい有効径を有している。プーリー320bが回転可能に固定されているため、プーリー320b上のマーカー322bは、回転するプーリー330bの位置に関わらず、同じ位置に留まる。しかし、回転するプーリー330b上のマーカー322bの位置が、回転するプーリー330bを回転させて、固定されているプーリー320a周りのフル回転を完了させ、プーリー330bが回転する同じ反時計回りの方向で、四分の一以上回転し、マーカー322b’で示す位置で終了する。プーリー330bのプーリーの回転速度と、プーリー330bの回転速度の比は、プーリー320bの有効径が、プーリー330bの有効径よりも小さい場合、IVT300bの構成では正である。
【0040】
図5Cは、矢印302cで示す方向で、回転可能に固定されているプーリー320c周りに回転するプーリー330cの相対位置を概略的に示す。
図4CのIVT300cでは、回転するプーリー330cは、回転可能に固定されているプーリー320cの有効径よりも小さい有効径を有している。そのプーリー320cは回転可能に固定されているため、そのプーリー320c上のマーカー322cは、回転するプーリー330cの位置に関わらず、同じ位置に留まる。しかし、回転するプーリー330c上のマーカー322cの位置は、回転するプーリー330cが、固定されているプーリー320c周りのフル回転を完了するにつれて回転し、プーリー330cが回転する反時計回りの方向とは反対の時計回りの方向で、ほぼ四分の一回転、回転して、マーカー322c’で示す位置で終了する。プーリー330cのそのプーリーの回転速度と、プーリー330cの回転速度の比は、プーリー320cの有効径が、プーリー330cの有効径よりも大きい場合、IVT300cの構成においては負である。
【0041】
したがって、
図4のIVT等のIVTでは、その出力は、二つのプーリーの直径の違いに依存する。このため、そのIVTは、前方伝動、逆方向伝動および無限歯車比を実現することができる。対照的に、
図1のCVT等のCVTの出力は、その直径の違いではなく、直径の比に依存し、入力を逆にするために、追加的な歯車装置が必要である。
【0042】
図1のCVT構成と、
図4のIVT構成のさらなる違いは、IVT構成は、二つのプーリーの少なくとも一方の回転による偏心出力を有するということである。くわえて、それらのプーリーの回転によるそのシステムの偏心質量は、そのシステムが、揺らぎ慣性とも呼ばれる不均衡慣性を有していることを意味する。出力の偏心性は、その偏心性を小さくするかまたはなくすためのさまざまな適当な機構のいずれかを用いて補正することができる。例えば、回転の中心が、二つのプーリーの間に配置されている場合、回転するプーリーの回転を、回転可能に接地されたプーリーの軸、または、そのシステムの回転の中心と位置合わせされた回転構造に伝えるために、リンク機構を付加してもよい。他の実施形態では、その出力の偏心性を補正するのに、オルダムカップリングまたは同様の構造を用いてもよい。
【0043】
図1のCVTおよび
図4のIVTは、可変変速比を備えることができるが、そのCVTおよびIVTによって占められる領域は、固定変速機によって占められる領域と比較して大きくてもよい。例えば、
図1のCVT10等のCVTによって占められる領域は、少なくとも、二つのプーリーの組合された最大直径と同じ長さになり、および少なくとも、それらのプーリーの最大直径と同じ高さになり、および必要に応じて、これらのプーリー間にベルトおよび追加的な間隔を受け入れるために、追加的な間隔が必要になる可能性がある。
【0044】
これらのプーリーのうちの一方の他方周りの回転のために空間が必要であるため、
図4のIVT60等のIVTによって占められる領域は、同様の構成要素を用いるCVTによって占められる領域よりも大きくなる可能性がある。一方のプーリーが接地されている場合、そのIVTによって占められる体積は、接地されたプーリーの組合された最大直径以上で、かつ回転するプーリーの最大直径の2倍でなければならない直径を備えた円筒形状である。そのIVTデザインが、それのプーリーが二つのプーリー間の中点の周りで一度回転するように変更される場合、その円筒形の体積の直径は、それらの二つのプーリーの組合された最大直径以上になる。
【0045】
したがって、上述したCVTおよびIVT等の可変変速機は、効率の向上および損失の低減に関する利益を提供する可能性があるが、その可変変速機の動作に必要な空間に関するトレードオフは、空間が割増しになっているいくつかの実施形態の場合、そのような可変変速機の構造を不適切にする可能性がある。
【0046】
しかし、いくつかの実施形態においては、可変変速機のプーリーは、セグメント化された外側プーリーが、第一の空間内で回転するように構成され、および内側プーリーが、セグメント化された外側プーリーがその中で回転する第一の空間に少なくとも部分的に重なっている第二の空間内で回転するように構成された状態で、互いに少なくとも部分的に入れ子状になっていてもよい。
【0047】
図6Aから
図6Fは、互いに少なくとも部分的に入れ子状のプーリーによって実現できる偏心性の低減を実証する、可変変速機の複数の実施形態を概略的に示す。
図6Aは、それらのプーリーが互いにかなりの距離離間されている可変変速機400aの側面図であり、また、
図6Bは、
図6Aの可変変速機の平面図である。第一のプーリー420aは、半径422aを有し、および直交して延びている軸424a上に中心があり、また、第二のプーリー430aは、半径432aを有し、および直交して延びている軸434a上に中心がある。第一のプーリー420は、プーリー420aおよび430aの軸424aおよび434a間に空間450aを有している。距離450aは、システム400aの偏心を表し、そのシステム400aの構成において、この距離450aは、半径422aおよび432aの合計よりもかなり大きい。
【0048】
図6Cは、プーリーが、
図6Aおよび
図6Bの可変変速機よりも小さい距離だけ互いに離間されている可変変速機400bの側面図であり、また、
図6Dは、
図6Cの可変変速機の平面図である。第一のプーリー420bは、半径422bを有し、および直交して延びている軸424b上に中心があり、また、第二のプーリー430bは、半径432bを有し、および直交して延びている軸434b上に中心がある。プーリー420bおよび430bの軸424bおよび434b間の間隔450bは、半径422bおよび432bの合計よりも大きいが、
図6Aおよび
図6Bのシステム400aの違いと同じ程度ではない。プーリー420aおよび430aを入れ子状にすることなく、間隔450bは、半径422bおよび432bの合計にわずかに近づくことができるが、半径422bおよび432bの合計よりは小さくすることができない。
【0049】
図6Eは、プーリーの一方が、他方の中に部分的に入れ子状になっている可変変速機400cの側面図であり、また、
図6Fは、
図6Eの可変変速機の平面図である。第一のプーリー420cは、半径422cを有し、および直交して延びている軸424c上に中心があり、また、第二のプーリー430cは、半径432cを有し、および直交して延びている軸434c上に中心がある。可変変速機400cにおいて、そのプーリー420cは、セグメント化されたプーリーであり、そのプーリー430cを、セグメント化されたプーリー420c内に部分的に入れ子状にできるようになっている。プーリー430cの軸434cは、プーリー420cの一部と交差している。
【0050】
したがって、プーリー420cおよび430cの軸424cおよび434c間の間隔450cを、半径422cおよび432cの合計よりも小さくすることができる。いくつかの実施形態において、偏心450cは、プーリー430c全体をプーリー420c内に配設できるように十分に小さくすることができる。両プーリーがセグメント化されたプーリーである場合、内部のプーリー430cは、外側プーリー420cよりも大きい有効径を有することができる。
【0051】
図7Aから
図7Fは、単一のシステムで実現できる、さまざまな相対有効プーリー径を例示する、入れ子状プーリー可変変速機の複数の構成を概略的に示す。
図7Aは、第一の位置にある可変変速機500を示し、
図7Bは、
図7Aの線A-A’に沿ったその可変変速機の断面を示す。
【0052】
内側のセグメント化されたプーリー530は、外側のセグメント化されたプーリー520内に部分的に入れ子状になっていることが
図7Bを見て分かる。外側のセグメント化されたプーリー520の二つのセグメント522aおよび522bは、互いに距離524aだけ離間され、また、内側のセグメント化されたプーリーの二つのセグメント532aおよび532bは、互いに距離534aだけ離間されている。
図7Aのベルト540の形状によって分かるように、その外側のセグメント化されたプーリー520は、この構成における内側のセグメント化されたプーリー530よりも大きな有効径を有している。
【0053】
図7Cは、第二の位置における可変変速機500を示し、
図7Dは、
図7Cの線A-A’に沿った、その可変変速機の断面を示す。外側のセグメント化されたプーリー520の二つのセグメント522aおよび522bは、ここでは、距離524bだけ互いに離間され、また、その内側のセグメント化されたプーリーの二つのセグメント532aおよび532bは、互いに接触されていることが
図7Dを見て分かる。
図7Cのベルト540の形状によって分かるように、内側のセグメント化されたプーリー530は、より小さな物理的直径を有し、かつ外側のセグメント化されたプーリー内に入れ子状になっているにもかかわらず、この構成においては、その外側のセグメント化されたプーリー520よりも大きな有効径を有している。
【0054】
図7Eは、第三の位置における可変変速機500を示し、
図7Fは、
図7Cの線A-A’に沿った、その可変変速機の断面を示す。その外側のセグメント化されたプーリー520の二つのセグメント522aおよび522bは、ここでは、距離524cだけ互いに離間され、また、その内側のセグメント化されたプーリーの二つのセグメント532aおよび532bは、ここでは、距離534cだけ互いに離間されていることが
図7Dを見て分かる。
図7Eのベルト540の形状によって分かるように、その内側のセグメント化されたプーリー530は、この構成では、その外側のセグメント化されたプーリー520と同じ有効径を有している。
【0055】
その内側プーリーが回転可能に接地され、およびその可変変速機500が、IVTとして作動するように構成されている実施形態において、その内側プーリー530は、回転可能に接地してもよく、また、その外側プーリー520は、回転入力が印加された場合に、その内側プーリー530の周りを回転することができる。その変速機500が、
図7Aおよび
図7Bの構成になっている場合、その外側プーリー520を時計回りの方向に回転させる回転入力は、同様に、その外側プーリー520を、その軸周りに時計回りの方向で回転させ、その結果、その変速機の出力は、時計回りの回転入力に応動して、時計回りになる。したがって、そのIVTのギア比は、正のギア比になる。
【0056】
対照的に、その変速機500が、
図7Cおよび
図7Dの構成になっている場合、そのIVTのギア比は、負の比に切り替わる。その変速機500が、
図7Cおよび
図7Dの構成になっている場合、その外側プーリー520を時計回りの方向に回転させる回転入力は、その外側プーリー520を、その軸周りに反時計回りの方向で同様に回転させ、その結果、その変速機の出力は、時計回りの回転入力に応動して、反時計回りになる。
【0057】
同様に、その変速機500が、
図7Eおよび
図7Fの構成になっている場合、そのIVTのギア比は、無限比になる。その変速機500が、
図7Cおよび
図7Dの構成になっている場合、その外側プーリー520を時計回りの方向で回転させる回転入力は、その外側プーリー520がその内側プーリー530の周りを回る際に、その内側プーリー530に対するその外側プーリー520の回転を何ら生じさせない。無限ギア比を伴うこの構成は、代わりに、ギヤードニュートラルと呼んでもよい。
【0058】
図8Aは、コンパクトな可変変速機の実施形態の側面斜視図である。
図8Bは、
図8Aの変速機の側面斜視分解組立図である。
図8Cは、
図8Aの変速機の平面図である。
図8A、
図8Bを見て分かるように、その変速機600は、少なくとも第一の内側プーリーセグメント632aと第二の内側プーリーセグメント632bの組合せによって形成された内側の入れ子状セグメント化プーリー630を含む。また、その変速機600は、少なくとも第一の外側プーリーセグメント622aと第二の外側プーリーセグメント622bの組合せによって形成された外側セグメント化プーリー620も含む。
【0059】
図示されている実施形態では、その外側セグメント化プーリー620は回転可能に接地されているが、外側セグメント化プーリー620のそれらのセグメントの少なくとも一方は、その外側プーリー620の中心がある軸と平行な方向における長手方向移動に関してある程度の自由度を有している。少なくともある程度の長手方向移動を可能にしながら、その外側セグメント化プーリー620を回転可能に固定する一つの方法は、第一の外側プーリーセグメント622aおよび第二の外側プーリーセグメント622bの基盤626において、長楕円形または細長い開口628を用いることである。適当な寸法を有するファスナ、または、その開口628を介して挿入される他の保持構造は、その長楕円形の開口628の最も長い寸法の長さに依存するある程度の長手方向自由度を可能にしながら、その外側プーリーセグメント622aおよび622bの横方向および横断方向の動きを抑制することができる。いくつかの実施形態において、これらの外側プーリーセグメントのうちの一方の基盤内の開口は長楕円形であってもよく、一方、他方の基盤の開口は円形であってもよく、その結果、それらの外側プーリーセグメントのうちの一方のみを、二つの外側プーリーセグメント間の間隔を変えるように調節可能にすることができる。何らかの適当なモータ、アクチュエータまたは他の構造または技術的方法を、外側プーリーセグメント622aおよび622bの一方または両方の長手方向移動を引き起こすのに用いることができる。
【0060】
ベルト640の部分は、外側プーリーセグメント622aおよび622b間と、内側プーリーセグメント632aおよび632b間に延びている。これらのプーリーセグメントの内側面の外側縁部は、ベルト640の接触面の角度に一致する角度で傾斜させることができる。例えば、その外側プーリーセグメント622bの内側面の外側縁部は、その外側プーリーセグメント622bの周りに延びている角度の付いた接触面624bを含んでいることが
図8Bを見て分かる。同様に、その内側プーリーセグメント632bの内側面の外側縁部は、その外側プーリーセグメント632bの周りに延びている角度の付いた接触面634bを含んでいる。
【0061】
図示されている実施形態におけるベルト640は、中実の内側ベルト642と、互いに離間され、およびその中実の内側ベルト642によって支持された複数の三角形部分644とを含む。三角形部分644の角度の付いた側部は、それらのプーリーセグメントの接触面に接触したそのベルトの接触面を形成している。より小さな中実の部分と、互いに離間された複数の三角形部分の利用は、中実のベルトと比較して、そのベルトの重量を低減することができる。それらの部分は三角形として図示されているが、それらのプーリーセグメントに接触しない部分の一部は切り詰めてもよく、または、別なふうに変更して、ベルト640の重量およびサイズをさらに低減してもよい。さらに、他の実施形態においては、凸状面または凹状面を含む、三角形状以外の接触面形状を用いてもよい。本願明細書のどこかで詳細に説明されているように、さまざまな他のベルトデザインを用いてもよい。
【0062】
また、上記変速機は、支持ブラケット650aを通って、第一の内側プーリーセグメント632a内に配置された偏心カム構造660aに入る入力軸605も含む。軸受640aは、その偏心カム構造660aを第一の内側プーリーセグメント632aに結合する。その入力軸は、別の偏心カム構造660bを通って、軸受640aを介して第二の内側プーリーセグメント632bに結合された別の偏心カム構造に結合されている。その変速機600の、ブラケット650aと反対側の追加的なブラケット650bは、その入力軸のための追加的な支持をもたらすことができる。
【0063】
その入力軸605が、偏心カム構造660aおよび660bの中心点から外れ、または、その中心点とは同軸ではない開口662aおよび662bを介して、偏心カム構造660aおよび660bに結合されているため、その入力軸605の回転は、その入力軸周りの偏心カム構造660aおよび660bの偏心回転を生じさせる。この偏心回転は、第一の内側プーリーセグメント632aおよび第二の内側プーリーセグメント632bの入力軸605周りの回転を生じさせる。したがって、その内側セグメント化プーリー630は、入力軸605の軸周りに偏心的に回転する。
【0064】
いくつかの実施形態において、外側プーリー620のセグメント間の間隔は、直接制御することができ、また、内側プーリー630のセグメント間の間隔は、それに応じて、例えば、外側プーリー620のセグメントが調節された場合に、ベルトの張力を維持するように、内側プーリー630のセグメントを一緒に付勢するばねの利用によって調節することができる。いくつかの実施形態においては、外側プーリー620のセグメント間の間隔および内側プーリー630のセグメント間の間隔はともに、直接制御することができる。
【0065】
上記変速機600は、二つのセグメント化されたプーリーを含み、この場合、それらのプーリー間の距離は、直接または間接的に制御することができる。これらのプーリーのセグメント間の距離の変化は、変速機600のギア比の変化を可能にする。これらのプーリーの一方、例えば、外側プーリー620が回転可能に接地されている場合、変速機600は、無限可変変速機として機能することができる。そのため、変速機600の実施形態は、それらのセグメント間の間隔を変えることにより、正、負および無限大を含む幅広い変速比を備えることが可能である。このことは、別個のギアを要することなく、その変速機の出力の逆転を可能にし、正の値および負の値の両方にわたる幅広いギア比にわたって動作可能な、コンパクトで多用途の変速機を実現できる。さらに、これらのプーリーは、互いに入れ子状になっているため、変速機600の偏心性は、他のIVTデザインと比較して、著しく低減することができる。
【0066】
プーリー半体の一部のみを、一時にそのベルトに接触させ、および負荷をかけることができるため、プーリーセグメントを複数の径方向セグメントに分けることは、特定の径方向セグメントが、そのベルトに接触していない場合に、そのプーリーの有効径を調節できるようにする。各径方向セグメントのシフトは、当該径方向セグメントの無負荷時に行われるため、そのプーリーに対するそのベルトの一回以上の回転にわたるそのプーリーの有効径の反復変更は、変速比の極端に速いシフトを可能にする。
【0067】
図9は、コンパクトな可変変速機の別の実施形態の側面斜視図である。
図9の変速機600’は、入力軸605が、第二の内側プーリーセグメント632bを越えて延びていないという点で、および出力ディスク670が、第二の内側プーリーセグメント632bに結合され、およびその変速機600’の出力を抑制するのに利用できるという点で、
図8Aから
図8Cの変速機600とは異なっている。図示されている実施形態では、出力ディスク670は、外側に延びているシャフトまたは軸672を含む。出力ディスク670は、内側プーリーセグメント632bとともに回転するが、出力ディスク670は、内側プーリーセグメント632bとともに偏心的に回転もする。例えば、上述したオルダムカップリングを含む、さまざまな適当な機構、リンク機構または他の技術的方法を、偏心性を補正または修正するのに用いることができる。
【0068】
このようなコンパクトな可変変速機の動作を制御するために、さまざまな設計変数を変更することができる。例えば、デザインの偏心性を変えると、利用可能な変速比の範囲を広げることができる。より大きな偏心性は、二つのプーリーの有効径間の潜在的な違いを増す。二つのプーリーの直径間のより大きな違いは、それらの直径を、ギヤードニュートラルを実現するのに用いられる差動のような状態からより離れて機能させることを可能にする。しかし、偏心性の増加は、回転可能に固定されているプーリーの軸から離して質量をシフトさせ、また、そのシステムにおける不均衡の増加は、この偏心性に対するより十分な補正、例えば、釣り合い錘の利用、または、そのシステムの回転軸の、その回転可能に固定されているプーリーの軸以外の箇所へのシフトを必要とする可能性がある。
【0069】
プーリーは、最大で、そのベルトに完全に係合しているため、その直径は、そのベルトの直径に等しい。作用可能な最小のプーリー構成は、そのベルトと接触する箇所を有しているが、他のどこにも係合されていない。したがって、偏心率Eおよびベルト直径Dを有するIVTは、最大順方向変速比D/2Eおよび最大逆方向変速比(D-2E)/(2E)を有することになる。
図10は、IVTの動作範囲のプロットを偏心率の関数として示す。そのベルト直径の1%という偏心率Eを有するIVTは、±50:1という変速比範囲で動作することができ、この場合、その変速比は、出力速度と入力速度の比として定義される。同様に、そのベルト直径Dの10%という偏心率Eを有するIVTは、±5:1の変速比範囲で動作することができる。
【0070】
そのIVTの挙動を制御するために調節できる別の設計変数は、そのVベルトの形状と、プーリーセグメントの接触面である。
図11は、台形ベルト部および対応するプーリー接触面の断面図を示す。それらのプーリーセグメント722aおよび732aの接触面間の角度θは、ベルト部740の接触面と、これらのプーリーの中心がある軸に直交する垂直面との間の角度θと同一である。この角度θを変えることにより、そのIVTの動作の態様を制御することができる。例えば、その角度θは、そのベルトの張力と、それらのプーリーセグメントに軸方向の圧縮力を発生させるシフト力との機械的な利点関係を定義する。
【0071】
角度θを小さくすることにより、鋭角のVベルトを設けることができる。このような鋭角のVベルトは、張力が増していく状況下では、それらのプーリーセグメントに対して大きな機械的利点がある。そのシフタを逆駆動できる場合、そのシフタは、増加したベルト張力に対抗して、同じ比を維持するために、大きな力を生成しなければならないであろう。さらに、所定の変速比変化を生じさせるのに必要なプーリーセグメントの軸方向移動の量が影響を受けるであろう。角度θが小さければ小さいほど、およびVベルトが鋭角であればあるほど、変速比を変えるのに必要な軸方向移動の量は小さくなる。鋭角のVベルトの場合、わずかな期間でのベルト張力の大きな増加は、そのベルトに対してくさび効果を引き起こす可能性があり、ベルト牽引力を増加させ、およびベルトの滑りの可能性を低下させる。
【0072】
対照的に、角度θを大きくすることにより、鈍角のVベルトを設けることができる。このような鈍角のVベルトは、その鈍角のVベルトと、それらのプーリーセグメントとの間の摩擦の増加により、作用している張力からそのVベルトの圧力を感じることなく、新たな変速比に、より容易にシフトすることができるであろう。さらに、所定の変速比変化を引き起こすのに必要な軸方向移動の量は大きく、その変速機の軸方向長さの増加を必要とする。この軸方向長さの増加は、所定の変速比の選択の、より高い精度を可能にする。その向上した精度は、特に、ほぼゼロの変速比(または、ギヤードニュートラル)の場合に有用である可能性があり、この場合、プーリーの有効径の小さな変化は、その変速比に著しい影響を与える可能性がある。
【0073】
さらに、そのVベルトのデザインは、追加的な制御方法を可能にし、または、その制御方法を容易にすることができる。本願明細書において説明したタイプの可変変速機のセグメント化されたプーリー間の間隔は、少なくとも二つの方法で実現することができる。第一に、そのシフタは、そのベルトをより大きな有効径まで締め付けて、そのシステムに労力を確実に注ぐことができる。第二に、そのベルト張力は、それらのプーリーセグメントを別々に締め付けるのに用いることができ、そのことは、その原動力源を有効に利用して、そのシフトを生じさせることができる。第二の方法の実行可能性は、そのVベルトの形状に、少なくとも部分的に依存している。より鈍角のVベルトの利用に伴って増加する摩擦は、ベルト張力を増加させることによって、それらのプーリーセグメントを離すのを難しくする可能性があるため、鋭角のVベルト形状は、第二の制御方法の利用を容易にする可能性がある。
【0074】
そのVベルトのデザインは、セグメント化されたプーリーのプーリーセグメント間の間隔に影響を及ぼす可能性がある。しかし、さまざまなプーリーセグメントデザインを用いることもでき、そのうちのいくつかは、それらのプーリーセグメント間の間隔に影響を及ぼす可能性もある。上述したいくつかの実施形態では、それらのプーリーセグメントは、接触面を形成するための傾斜した外側縁部を備えた概して平坦な構造である。しかし、他の実施形態では、そのベルトの方に向かって延びているプーリーセグメント上に、内側に延びている形状構成を含むことにより、プーリーセグメント間に追加的な間隔を設けてもよい。
【0075】
図12は、台形状のベルト部と、内側に延びている部分を含むプーリーセグメントとの接点を概略的に示す。第一のプーリーおよび第二のプーリーは、そのベルトの異なる長さ方向部分と接触することになるため、
図12に図示されている正確な断面は、本願明細書に記載されている可変変速機の実施形態の通常の動作中には生じない可能性がある。それにもかかわらず、
図12の概略図は、第一のプーリーとそのベルトとの間の接触領域、および第二のプーリーとそのベルトとの間の接触領域の半径方向および/または軸方向位置の違いを実例説明している。図示されている実施形態における外側プーリーセグメント822aおよび822bは、ベルト840に隣接する接触面824aおよび824bで終端している内側に延びている部分828aおよび828bを含む。同様に、図示されている実施形態における内側プーリーセグメント832aおよび832bは、ベルト840に隣接する接触面834aおよび834bで終端している内側に延びている部分838aおよび838bを含む。いくつかの実施形態においては、プーリーセグメントの一方のセットのみが、内側に延びている形状構成、例えば、外側プーリーセグメント822aおよび822bを含んでいる。このような構成は、内側プーリーおよび他の何らかの関連する構造または内部構造に対して追加的な間隙を与える。
【0076】
プーリーセグメントに対して追加的な空間を与えるための、このような内側に延びている形状構成の利用は、そのVベルトが、より鋭角になっている場合の特定の利用から成り、および別な方法で、その内側プーリーセグメントと外側プーリーセグメントとの間に、非常に近接した間隔を要することになるであろう。他の実施形態では、このような形状構成は、内側プーリーセグメント間の間隔の独立した制御のための機構に対して追加的な間隙を設けてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、その内側プーリーは、その外側プーリーの長手方向境界内に全体が配設される必要はない。
図13は、外側のセグメント化されたプーリーが、内側プーリーの偏心のための間隙を設けるように構成されている可変変速機の実施形態の断面図である。変速機900は、第一の外側プーリーセグメント922aおよび第二の外側プーリーセグメント922を含む。第一の外側プーリーセグメント922aは、上方ベルト部940aには接触しているが、下方ベルト部940bには接触していない接触面924aを含む。また、第一の外側プーリーセグメント922aは、そこを通って延びている高さ928aの開口926aも含んでいる。
【0078】
その変速機900は、第一の内側プーリーセグメント932aおよび第二の内側プーリーセグメント932bも含んでいる。第一の内側プーリーセグメント932aは、下方ベルト部940bには接触しているが、上方ベルト部940aには接触していない接触面934aを含む。第一の内側プーリーセグメント932aは、そこを通って延びている開口936aも含んでいる。その開口926aは、例えば、入力に応動して、その内側プーリーの回転を引き起こす偏心カムまたは他の形状構成を結合するための空間を備えていてもよい。第一の内側プーリーセグメント932aは、第一の外側プーリーセグメント922aの開口926aの少なくとも途中まで延びている。図示されている実施形態では、第一の内側プーリーセグメント932aは、第一の外側プーリーセグメント922aの開口926aをずっと通って延びている。第一の外側プーリーセグメント922aの開口926aによって与えられた間隙は、その内側プーリーセグメント932aが、第一の外側プーリーセグメント922aの長手方向の最も外側の縁部を越えて長手方向に延びることを可能にしている。
【0079】
図13を見て分かるように、その内側プーリーの中心がある軸972は、軸970または別の回転軸周りの内側プーリーの偏心回転により、その外側プーリーの中心がある軸970と位置合わせされていない。また、第一の外側プーリーセグメント922aの開口926aの高さ928aが、少なくとも、開口926a内に配置された内側プーリーセグメント932aの部分の偏心運動のための間隙を設けるのに十分に大きい距離だけ、その内側プーリーセグメント932aの高さよりも大きいことが図を見て分かる。
【0080】
図14は、可変変速機の実施形態の斜視断面図である。その変速機1000は、偏心カム1060aおよび/または1060bを介して、内側プーリーセグメント1032aおよび1032bの少なくとも一方に結合された駆動軸1005を含んでいることが
図14を見て分かる。内側プーリーセグメント1032aおよび1032bの接触面1034aおよび1034bは、それぞれ、そのVベルトの下方部1040bに接触している。図示されている実施形態では、そのベルト1040は鈍角のVベルトであるが、そのデザインは、任意の形状のVベルトに適応するために変更してもよい。少なくとも一つのばね1038が、内側プーリーセグメント1032aおよび1032bを互いに、およびそのVベルトに向かって付勢している。内側プーリーセグメント1032aに結合されたケージギア1070は、出力軸1072の回転を介して、その変速機の外から内側プーリーセグメント1032aの回転を伝え、その出力軸の一部は、駆動軸1005の一部を取り囲んでいる。
【0081】
そのVベルトの上方部1040aも、外側プーリーセグメント1022aの接触面、および外側プーリーセグメント1022bの接触面と接触している。外側プーリーセグメント1022aおよび1022bは、回転可能に接地してもよいが、外側プーリーセグメント1022aおよび1022b間の間隔を変えるために、およびその外側プーリーの有効径を変更するために、駆動軸1005の方向において、互いに対して平行移動することができる。
【0082】
変速比シフタ1028は、外側プーリーセグメント1022aおよび1022b間の距離を調節するのに用いることができる。その結果生じる、Vベルトの位置の変化は、対応する内側プーリーセグメント1032aおよび1032b間の距離の変化を引き起こすことになる。駆動軸1005の回転は、偏心カム1060aおよび/または1060bとの結合により、内側プーリーセグメントの偏心回転に変換されるため、それらの内側プーリーセグメントは、変速機1000の回転軸周りに一緒に回転し、その回転軸は、駆動軸1005の軸と位置合わせすることができる。内側プーリーセグメント1032aおよび1032bのこの回転は、それらが回転する際に、内側プーリーセグメント1032aおよび1032bの回転を生じさせる。内側プーリーセグメント1032aの回転は、その出力ケージギアを回転させ、そのことは、変速機1000の出力として用いることができる。
【0083】
どのような適当なシフト機構も、他のプーリーセグメントのシフトとは無関係に、または、そのシフトに応動して、プーリーセグメント間の間隔を調節するのに用いることができる。上述したように、ばねを付勢機構として利用してもよい。いくつかの実施形態において、そのばねは線形ばねであってもよいが、他の実施形態では、そのばねは、定荷重ばねであってもよい。いくつかの実施形態において、カム機構は、そのベルト張力が、異なる変速比で異なるように、ばねによって及ぼされる力を変更するのに用いることができる。例えば、そのベルト張力は、それらのプーリーの有効径間の差が最大である場合、より高い変速においてより大きく、また、それらのプーリーの有効径が互いに同様である場合、より低い変速比においてより低くすることができる。いくつかの他の実施形態においては、機械的リンク機構を、それらのプーリーセグメントの少なくとも一方の、他方のプーリーセグメントに対する移動を生じさせるのに用いることができる。このような機械的リンク機構の一つの実施形態は、
図20に関連して本願明細書のどこかに記載されている。
【0084】
いくつかの実施形態においては、サーボまたは他のアクチュエータを用いてもよい。本願明細書のどこかに記載されているように、そのサーボは、それらのプーリーセグメントの一方に配置され、および他方に対する、それらのプーリーセグメントの一方の動きを引き起こすように構成された電動モータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ねじ構造の回転は、二つのプーリーセグメントを引っ張って一緒にするのに、または、それらのセグメントを押して離すために用いることができる。いくつかの実施形態においては、本願明細書のどこかで詳細に説明されているように、二つのプーリーセグメント間の距離を変更するのに、油圧アクチュエータまたは空気圧式アクチュエータを用いてもよい。他の実施形態では、その変速機をシフトするのに、遠心クラッチまたは同様の構造を用いてもよい。
【0085】
上述したように、さまざまなベルトデザインを、可変変速機のプーリーを一緒に接続するのに用いることができる。いくつかの実施形態においては、セグメント化されたベルトを用いてもよい。
図15Aから
図15Cは、セグメント化されたベルトのさまざまな実施形態の側面図である。
図15Aにおいて、そのベルト1140aは、ベルト1140aの内側縁部において、隣接するベルトセグメント1142aの延びている部分を介して延びている複数のピン1146aによって互いに接続された複数のベルトセグメント1142aを含む。各ピン1146aは、二つの隣接するベルトセグメント1142aの一つ以上の部分を介して延びている。ピン1446aは、ベルトセグメント1442aを、ピン1146aにおける旋回点周りに互いに対して旋回させることを可能にする。ピン1146aにおけるベルト1140aの旋回点は、ベルト1140aの残りの部分の最も径方向内側の箇所に、またはその近傍に配置されているため、ベルトセグメント1142aは、実質的に一定の厚さにすることができ、または、ピン1146aの位置においては、ベルトセグメント1142aの厚さよりも厚くはないため、ベルト1140aは、それらのプーリーの一方と接触していないベルト1140aの区間では、実質的に直線形状をとることができる。
【0086】
図15Bにおいて、そのベルト1140bは、ベルト1140bの中間近くの箇所において、隣接するベルトセグメント1142bの延びている部分を介して延びている複数のピン1146bにより、互いに接続された複数のベルトセグメント1142bを含む。ピン1140bの径方向外側に配置されたベルトセグメント1142bの外側部分は、実質的に同じ厚さであり、または、ピン1146b間の間隔よりも厚くはない。対照的に、ベルトセグメント1142bの内側部分は、円の直径によって表される最小ベルト径をもたらすように、そのベルト1140bを湾曲させることを可能にするために、ピン1146からの距離が増大するのに伴ってテーパ状になっている。その最小ベルト径は、そのベルトセグメント1142bの内側部分の先細りの程度に少なくとも部分的に依存している。
【0087】
図15Cでは、そのベルト1140cは、ベルト1140cの外側縁部において、隣接するベルトセグメント1142cの延びている部分を介して延びている複数のピン1146cによって互いに接続された複数のベルトセグメント1142cを含む。ベルトセグメント1142cのほとんどまたはすべてが、ピン1146の径方向内側に配置されているため、ベルトセグメント114cのほぼ全高がテーパ状になっている。図示されているベルトセグメント1142cのテーパ角度は、図示されているベルトセグメント1142bの内側部分のテーパ角度と同じであるため、ベルト1140bおよび1140cの最大ベルト曲率は、それらの構造や形状の他の違いにもかかわらず、実質的に同一である。ベルト1140bおよび1140cをその周りに湾曲させることができる最小半径は同一である。
【0088】
これらのプーリーの有効径が変化するにつれて、そのプーリーとそのベルトセグメントとの間の接触点は、それらのベルトセグメントの外側面に沿って、上方または下方へ移動する。それらのベルトセグメントは、隣接するピンに対して、そのピン位置の周りで旋回するが、それらのベルト要素に沿ったピンの位置は、自由設計変数である。ベルト要素上の所定の箇所の、隣接するベルト要素に対する移動の大きさは、そのピンからの距離の増加に伴って増加し、その結果、一定の長さを有するベルト上の位置のみが、そのピン位置を通って延びているそのベルトの区間になる。
【0089】
図15Aから
図15Cのベルト等のセグメント化されたベルトでは、個々のセグメントは、そのベルトが、それらのプーリーの周りで動くにつれて、それらのプーリーに係合し、およびそれらのプーリーから離脱される。この係合および離脱は、その変速機の出力に、小さな速度リップルを発生させる可能性がある。この速度リップルは、セグメントの数を増すことによって最小化することができるが、いくつかの材料およびベルトデザインは、そのセグメント数が増加する際のそれらのセグメントの厚さの減少により、所定のベルトに形成することができるセグメントの数に関して異なる制限がある可能性がある。
【0090】
図17Aおよび
図17Bに関連して本願明細書に記載されている実施形態等のいくつかの実施形態において、セグメント化されたベルトのベルト要素は、緊張ではなく、圧縮時に互いに荷重をかけることができ、その結果、これらのセグメント化されたベルトは、プッシュベルトとして機能する。いくつかの実施形態においては、非三角形および/または非対称のベルトセグメント形状を利用することによって、代替的なベルト形状を備えてもよい。例えば、そのベルトの最大ベルト強度を向上させるために、および/またはそのベルトの総重量を低減するために、三角形状のベルトセグメントの代わりに、三角形のベルト形状の内側頂点を切り取ることによって形成された台形形状を用いてもよい。いくつかの実施形態では、そのベルトと、対応するプーリー面は、対称的である必要はなく、その代わりに、非対称の三角形、台形または他の適当な形状であってもよい。
【0091】
別の実施形態では、ベルトのベルトセグメント間に、より複雑なリンク機構を設けてもよい。
図16は、隣接するベルトセグメントを接続する四節リンク機構を含むベルトを概略的に示す。ベルト1240は、複数のベルトセグメント1242を含んでいる。二つのピン1246aおよび1246bは、各ベルトセグメント1242を通って延びている。ベルトセグメント1242の各面には、(点線で図示されている)内側バー1244aが、第一のベルトセグメントの第一のピンと、隣接するベルトセグメントの第二のピンとの間に延び、外側バー1244bは、第一のベルトセグメントの第二のピンと、隣接するベルトセグメントの第一のピンとの間に延びている。また、内側および外側バーも同様に、それらのベルトセグメント1242の両面に接続されている。したがって、各ピン1246aおよび1246bは、全体で二つの内側バーおよび二つの外側バーを通って延びている。ベルト1240の運動は、単一のピンが、隣接するベルトセグメントにつながっているベルト1140の運動とは異なることになる。
【0092】
また、他のベルトデザインを用いてもよい。上述したように、いくつかの実施形態において、それらのベルトセグメントは、緊張ではなく、圧縮時に互いに負荷をかけることができ、その結果、そのベルトは、プッシュベルトとして機能する。いくつかの実施形態において、そのベルトの運動は、それらのベルトセグメント間の境界に、湾曲した面を含むことにより、さらに制御することができる。
図17Aおよび
図17Bは、湾曲した接触面を有するベルトセグメントを含むプッシュベルトの実施形態を概略的に示す。
図17Aは、ベルト1340の側面断面図であり、また、
図17Bは、それらのベルトセグメントのうちの一つの断面図である。そのベルト1340は、図示されている実施形態では、概して台形状断面を有する複数のベルトセグメント1342を含む。テンションベルト1348は、複数のベルトセグメント1342を通って延びているが、それらのベルトセグメント1342は、そのテンションベルト1348に沿って自由に滑動することができる。さらに、ベルトセグメント1342の対向面1344は、
図15Aから
図15Cの実施形態に示すように、平坦および/または角度の付いた輪郭の代わりに、湾曲した輪郭を有している。
【0093】
それらの対向面1344の湾曲した輪郭のデザインおよび利用は、多くの方法で、ベルト1340の運動を変更するのに用いることができる。湾曲した接触面を、ベルトセグメント1342の対向面1344に設けることにより、ベルトセグメント1342間の間隔を、隣接するベルトセグメント間の角度に依存して変更することができ、そのことは同様に、隣接するベルトセグメントがそこで互いに接触する湾曲面上の箇所を制御する。いくつかの実施形態において、その湾曲面は、非円形の湾曲面、または、その曲率が、そのベルト位置に対して非対称である面を含んでもよい。プーリーと接触しているベルトセグメント間の間隔は、それらの湾曲した接触面により、そのプーリーの有効径またはベルトの直径に依存する可能性があるため、湾曲した接触面のデザインは、例えば、第一のプーリーの直径の増加と、対応する第二のプーリーの直径の減少との関係を線形化することができる。また、それらの湾曲面のデザインは、ベルト1340の質量の分布を制御するのにも用いることができるため、そのベルトは、さまざまな変速比にわたって均衡を保ち、または、ベルトの質量の偏心性が低下する。
【0094】
これらのベルトセグメントの最も内側の縁部は、上述したように、そのベルトがプーリーに巻き付けられる際の最小曲げ半径を決める。ピンの接続点と、そのベルトセグメントの最も内側の縁部との間の距離は、それらの最も内側の縁部は、プーリーに係合するためにどれほど移動しなければならないかということに影響を与え、いくつかの構成は、そのベルトの曲げ半径に適合できるベルトセグメントの数を制限する可能性がある。
【0095】
他の実施形態では、
図15Aから
図15Cのベルトのピンのうちの少なくともいくつかは、リビングヒンジとして機能する薄い接続部分と置き換えてもよく、その結果、そのベルト(または、複数のベルトセグメントを含むそのベルトの部分)は、単一の部材とすることができる。
【0096】
本願明細書に記載されている実施形態に関する他の変形例も実現することができる。例えば、上述した実施形態では、内側または外側のいずれかのプーリーは、接地されるように選択することができ、一方、他方の回転は出力になる。さらに他の実施形態では、それらのプーリーのうちの一方は、固定有効径を有してもよく、その代わりに、それらのプーリーのうちの一方の偏心性は、他方のプーリーが変速比を決める場合、ベルト長を短くするために変えることができる。
【0097】
図18は、一方のプーリーが固定有効径を有している可変変速機の実施形態を示す。変速機1400は、その内部プーリーが、固定有効径を有し、および軸1434に中心がある、入れ子状の内部プーリー1430を含む。その入れ子状の内部プーリーの固定有効径は、図示されているような単一のプーリー1430を設けることにより、または、プーリーセグメントの互いに対する長手方向の移動が抑止されるような方法で、少なくとも二つのプーリーセグメントを互いに結合することによって実現することができる。外側プーリー1420は、軸1424の周りで回転するように構成された二つのプーリーセグメント1422aおよび1422bを含む。アクチュエータ1428は、プーリー1420の有効径を変えるために、プーリーセグメント1422aおよび1422b間の距離を変更するのに用いることができる。
【0098】
入れ子状のプーリー1430の軸1434と、外側のセグメント化されたプーリー1420の軸1424との間の間隔として、
図18に視覚化することができる、内部プーリー1430の偏心は固定されておらず、および変更することができる。いくつかの実施形態において、その内部プーリー1430の偏心性は、外側プーリー1420の有効径の変化に応動して変更することができる。いくつかの実施形態において、その内部プーリー1420の偏心性は、適当な制御機構を用いて直接、制御してもよい。リニア軸受またはオルダムカップリング1480等の補正機構は、そのプーリーがその変速機内で回転する際のプーリー1430の偏心性を補正するのに用いることができる。その揺動プーリーの慣性力は、入力軸1405を介して印加される入力の角速度に比例するベルト張力を与えることができる。
【0099】
また、他のデザイン上の変形を行ってもよい。上述したように、いくつかの実施形態においては、各々が、その変速機の可変パラメータを制御する、二つの別々の機構を用いるのではなく、単一の機構を、その変速比を変えるのに用いてもよい。その変速機のベルト長および偏心性が固定されている実施形態では、一方のプーリーの有効径の変更は、他方のプーリーの有効径の対応する変更と等しい必要はない。さまざまな機構を、その関係の非線形性を補正するのに用いることができる。
【0100】
図19は、プーリーとベルトとの間の湾曲した接触面の利用を概略的に示す。システム1500は、V字状ベルト1540と、二つのプーリーセグメント1522aおよび1522bとを含む。図示されている実施形態では、そのプーリーセグメント1522aは、湾曲した接触面1524aを含み、また、そのプーリーセグメント1522bは、同様の形状の湾曲した接触面1524bを含む。接触面1524aおよび1524bが湾曲しているため、プーリーセグメント1522aおよび1522b間の間隔の所定の変化と、そのプーリーの有効径との関係は、そのときプーリーセグメント1522aおよび1522bと接触している湾曲面1524aおよび1524bの箇所に依存する非線形関係になる。その面の特定の曲線は、特定の範囲のプーリーセグメント位置にわたって、有効プーリー径とプーリー間隔との所望の関係をもたらすように選択することができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、その内側プーリーおよび外側プーリーの両方の接触面は、少なくとも部分的に湾曲していてもよいが、他の実施形態では、その内側プーリーおよび外側プーリーの一方のみが、湾曲した接触面を含むことができる。いくつかの実施形態において、そのベルトの接触面は、湾曲させることができる。
【0102】
図20は、単一の機構を、その装置の変速比を制御するのに用いることができる可変変速機の別の実施形態である。その変速機1600は、第一および第二の外側プーリーセグメント1622aおよび1622bと、第一および第二の内側プーリーセグメント1632aおよび1632bとを含む。イコライザ機構1670は、第二の外側プーリーセグメント1622bおよび第二の内側プーリーセグメント1632bに印加された力を等しくするのに用いられる。図示されている実施形態では、そのイコライザ機構1670は遊動機構であるが、他の適当な機構を用いてもよい。
【0103】
イコライザ機構1670の一方のアーム1674aは、回転可能に固定されているプーリーのプーリーセグメントに直接結合することができ、そのプーリーセグメントは、図示されている実施形態では、その第二の外側プーリーセグメント1622bである。イコライザ機構1670の別のアーム1674bは、平面軸受1678等の軸受を用いて、図示されている実施形態では、第二の内側プーリーセグメント1632bである、他方のプーリーのプーリーセグメントに結合することができる。平面軸受1678の利用は、第一および第二の内側プーリーセグメント1632aおよび1632bの回転および偏心回転を依然として可能にしながら、第一および第二の内側プーリーセグメント1632aおよび1632b間の間隔を変更するために、イコライザ機構1670のアーム1674bによって力を印加できるようにする。
【0104】
イコライザ機構1670のクロスバー1672に印加されるトルクは、等しくない力を、第二の内側プーリーセグメント1632bおよび第二の外側プーリーセグメント1622bに印加することによって、その変速比を変える。両方のプーリーに均等に配分される力を、両プーリーに向けてカム構造1680に印加し、それによって、一時作用張力をそのベルトに与えることができる。カム構造1680の形状は、内側プーリーと外側プーリーの相対位置に依存する移動と力の比を調節するのに用いることができ、その結果、単一の自由度を、両プーリーの有効径を制御するのに用いることができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、可変変速機は、ベルト牽引力を増加させる形状構成を含んでもよい。例えば、プーリーの一方または両方が、そのベルトと点接触する
図19の実施形態では、ベルト牽引力の増加は、より小さな接触面積にもかかわらず、滑りを防止または低減することができる。いくつかの実施形態において、そのベルトと、それらのプーリーとの間の静電引力は、そのベルトの効果を低下させることなく、ベルト張力を増加させるのに用いることができる。いくつかの実施形態では、電磁力を、ベルト牽引力を増加させるのに用いてもよい。例えば、そのベルトは、鉄鋼材料を含んでもよく、また、そのプーリー内の少なくとも一つの電磁石を、そのベルトの効率を低下させることなく、ベルト牽引力を増加させるのに用いてもよい。
【0106】
電磁力は、変速機の他の態様の動作を制御するのに、または、別なふうに影響を及ぼすのに用いてもよい。例えば、電磁力は、それらのプーリーの有効径を制御するのに用いてもよい。電気機械的アクチュエータ等のアクチュエータを、プーリーセグメント間の距離を変えるのに用いることができる。上述したように、いくつかの実施形態において、リニアアクチュエータは、両プーリーセグメント間に結合することができ、および両セグメントを引っ張って一緒にするのに、およびそれらのセグメントを互いから押しやるのに用いることができる。他の実施形態では、リニアアクチュエータは、それらのプーリーセグメントの一方の外側に結合することができ、およびその外側に配置することができ、および接続されていないプーリーセグメントに対して、当該プーリーセグメントを平行移動させるのに用いることができる。他の実施形態では、それらのプーリーセグメントの一方は、一つ以上の永久磁石を含んでいてもよく、また、他方のプーリーセグメントの電磁界は、それらのセグメントを互いに押したり、離したりする力を生成するのに用いることができるであろう。アクチュエータまたは他の機構が、それらのプーリーセグメント間の間隔を制御するのに用いられる、本願明細書で説明した実施形態のいずれかにおいては、それらのプーリーセグメント間のばねまたは他の付勢カップリングを用いてもよい。
【0107】
また、電磁力を、IVTの構成要素と、電動モータ等の動力要素とのカップリングを生じさせるのに用いることもできる。いくつかの実施態様においては、その動力要素の構成要素が、そのIVTの動作中に、そのIVTとともに回転および/または周回するように、その動力要素の構成要素、例えば、その動力要素の主要な電磁石をIVTの構成要素に組み込むことができる。例えば、その動力要素のその主要な電磁石は、それらのプーリーセグメントの一方に結合された偏心カムと同軸であってもよい。その動力要素の別の構成要素が、何かの方法で十分に拘束されている場合、その動力要素の組み込まれた構成要素の回転を引き起こす、その動力要素の動作は、そのIVTの構成要素の回転および/または周回を引き起こし、およびそのIVTのための入力として作用することになる。
【0108】
上述したように、一部の可変変速比は、油圧機構によって制御してもよい。
図21は、二つの油圧制御されるセグメント化されたプーリーを含む可変変速機の実施形態を概略的に示す。その変速機1800は、ベルト1840と、外側プーリーセグメント1822aおよび1822bと、内側プーリーセグメント1832aおよび1832bとを含む。また、変速機1800は、外側プーリーセグメント1822b内で第一の油圧室1852と、および内側プーリーセグメント1832b内で第二の油圧室1854と流体的に連通している油圧ポンプ1850も含んでいる。第一の油圧室1852内の油圧流体の量を制御することにより、その外側プーリーの有効径を変えるように、外側プーリーセグメント1822bの接触面1824bの位置を動かすことができる。同様に、第二の油圧室1854内の油圧流体の量を制御することにより、その内側プーリー1834bの有効径を変えるように、内側プーリーセグメント1832bの接触面1834bの位置を動かすことができる。外側プーリーセグメント1822bおよび内側プーリーセグメント1832bの可動部は、それぞれ油圧ピストンとして作動される。
【0109】
その外側プーリーが回転可能に固定されている実施形態では、第一の油圧室1852は、第一の油圧室1852と油圧ポンプ1850との間に延びている油圧ライン1856aを介して油圧ポンプ1850と流体的に連通させることができる。第二の油圧室1854は、内側プーリーセグメント1832bがその変速機内で回転および周回している間、流体連通を維持する回転油圧流体シール1858を含む油圧ライン1856bを介して、油圧ポンプ1850と流体的に連通させることができる。
【0110】
上記油圧システムは、ばねまたは付勢カップリングの利用と同様に、ベルト張力を生成するように、互いに向かってプーリーセグメントを付勢するのに、一定の圧力が利用される差動システムであってもよい。外側プーリーセグメント1822b内の第一の油圧室1852内の圧力と、内側プーリーセグメント1832b内の第二の油圧室1854との圧力差は、内側プーリーおよび外側プーリーの有効径の相対的シフトを引き起こして、その変速比をシフトさせることができる。他の実施形態では、内側プーリーおよび外側プーリーの一方のみ、例えば、回転可能に固定されているプーリーの中での単一の油圧室を用いてもよい。
【0111】
いくつかの実施形態において、セグメント化されたプーリーは、二つ以上の、ベルトとの接触領域を有することができる。
図22は、セグメント化されたプーリーの一方が、二つ以上のプーリーセグメントを含んでいる可変変速機の実施例を概略的に示す。変速機1900は、外側プーリーセグメント1922aおよび1922bのペアならびに内側プーリーセグメント1922cおよび1922dのペアを含む、軸1920に中心がある回転可能に固定されたプーリー1920を含む。プーリーセグメント1922cおよび1922dから成る内側のペアは、バー1928または他の何らかの適当な構造等の機構を用いて、プーリーセグメント1922aおよび1922bから成る外側のペアに結合されており、その結果、プーリーセグメントから成る内側および外側のペアは、単一の回転可能に固定されたプーリー1920として機能する。
【0112】
また、変速機1900は、軸1924周りに回転するように構成され、および第一のセグメント1932aおよび第二のセグメント1932bを含むプーリー1930も含んでいる。プーリー1930の第一のセグメント1932aは、プーリー1920の内側プーリーセグメント1922cの少なくとも一部の外側の長手方向に、およびプーリー1920の外側プーリーセグメント1922aの少なくとも一部の内側の長手方向に設けられている。同様に、プーリー1930の第二のセグメント1932bは、プーリー1920の内側プーリーセグメント1922dの少なくとも一部の外側の長手方向に、およびプーリー1920の外側プーリーセグメント1922bの少なくとも一部の内側の長手方向に設けられている。図示されている実施形態では、プーリー1920のプーリーセグメント1922cおよび1922dの内側のペアと、プーリーセグメント1922aおよび1922bから成る外側のペアとを回転可能に結合するバー1928または他の構造は、プーリーセグメント1932bの一方の中心部を通って延びているが、他の実施形態では、プーリー1920のセグメントを回転可能に固定する他の構造および方法を用いてもよい。
【0113】
プーリー1920は、それらのプーリーセグメントの各々に一つの接触面を有し、その結果、ベルト1940には、四つの接触面がある。プーリー1920のプーリーセグメント1922aおよび1922bから成る外側のペアの接触面は、プーリー1930のプーリーセグメント1932aおよび1932bの接触面の外側の径方向に配設されている。プーリーセグメント1922cおよび1922dから成る内側のペアの接触面は、プーリー1930のプーリーセグメント1932aおよび1932bの接触面の内側の径方向に配設されている。この構成は、セグメント化されたプーリーごとに、接触面の一つだけのペアを備えた状態で、そのベルト1940にかかる不均衡な曲げモーメントを低減するか、または完全になくすことにより、変速機1900の効率および剛性を向上させることができる。
【0114】
本願明細書で説明したIVTおよびCVTは、所定の装置に利用される唯一の変速機ではない。いくつかの実施形態において、本願明細書に記載されているIVTおよびCVTは、一つ以上の追加的な変速機または他の構造を、モータまたは他の原動機の出力を変更するのに用いることができる多段式の実施形態の一部として用いてもよい。いくつかの実施形態において、固定変速機は、そのシステムが生成できる変速比の範囲を拡大するために、IVTまたはCVTとともに用いることができる。例えば、その固定変速機は、上記の実施形態において説明したように、IVTまたはCVTと直列して用いることができる。他の実施形態では、本願明細書の実施形態で説明したIVTまたはCVTは、本願明細書に記載されているものとは異なるデザインから成る可変変速機を含む別の可変変速機とともに用いてもよい。さらに他の実施形態では、追加的なリンク機構または構造を、その装置の変速比全体に必ずしも影響を及ぼすことなく、その入力および/または出力の偏心性を補正するのに用いることができる。
【0115】
本願明細書のどこかで説明されているように、IVTとしての使用のために構成された可変変速機の出力の偏心性を補正するまたはなくすのに、さまざまな方法を用いることができる。
図23Aは、偏心的に回転するプーリーの回転出力の偏心性が取り除かれた可変変速機の一つの実施形態を概略的に示す。変速機2000aは、軸2026に中心がある回転可能に固定されたプーリー2020を含む。そのプーリー2020は、プーリー2030を、その回転可能に固定されたプーリーの周りを回り、および軸2036周りに回転するように構成できるように、ベルト2040によってプーリー2030につながれている。
【0116】
プーリー2030は、回転部材2060aに回転可能に結合され、その回転部材は、歯車、鎖歯車または他の何らかの適当な機構とすることができる。その回転部材2060aは、そのプーリーの延長部であってもよく、または、他の何らかの適当な方法で、そのプーリーに回転可能に結合してもよい。ベルトまたはチェーン2070は、軸2026周りに回転するように構成された回転部材2080aに回転部材2060aを結合する。その回転部材2080aは、変速機2000aのための出力として作用することができ、および偏心回転プーリー2030よりも少ない偏心性で回転する。図示されている実施形態では、回転プーリー2030の回転とは対照的に、回転部材2080aの回転は、その出力において偏心性がない。
【0117】
いくつかの実施形態において、その偏心性をなくすリンク機構は、その全体構造の変速比をさらに変更するための固定比変速機としても作用することができる。
図23Bは、偏心回転プーリーの回転出力の偏心性が取り除かれている可変変速機の別の実施形態を概略的に示す。変速機2000bは、回転部材2060bおよび2080bの直径が互いに異なっているという点が
図23Aの変速機2000aと異なっている。したがって、その出力を取り除くことに加えて、回転部材2060bおよび2080bおよびベルト2070によって形成されたリンク機構は、出力回転部材2080bの角速度が、プーリー2030の回転の角速度よりも小さくなるという点で、その出力の角速度も変更することになる。回転部材2060bおよび2080bの相対的直径を制御することにより、回転部材2060bおよび2080bおよびベルト2070から成るリンク機構によって形成されたその固定変速機の変速比を制御することができる。
【0118】
その回転可能に固定されたプーリーの中心がある軸と、IVTの回転軸を合わせる代わりに、他の回転軸を用いることができ、およびそのIVTのデザインを、補正する必要がある場合に調節することができる。例えば、両プーリーは、互いの周りを回転することができ、この場合、それらの間の中立軸は、その入力および出力のために選択される。このような実施形態において、そのIVTの偏心揺動は、大幅に減らすことができ、およびいくつかの実施形態では、ほぼなくすことができるが、そのIVTのデザインは、追加的なリンク機構および他の構造を、その入力および出力をその中立軸と位置合わせするのに用いることができるため、より複雑であってもよい。
【0119】
したがって、その出力回転部材は、その回転可能に固定されたプーリーの軸と位置合わせする必要はない。
図23Cは、偏心回転プーリーの回転出力の偏心性が取り除かれている可変変速機の別の実施形態を概略的に示す。変速機2000cにおいて、回転可能に固定されたプーリー2020およびプーリー2030はともに、プーリー2020および2030の軸2026および2036間に位置する箇所2090周りに回転するように構成されている。その箇所2090は、変速機2000cの回転の中心とすることができ、およびその位置は、二つのプーリー2020および2030の相対質量に少なくとも部分的に基づいていてもよい。
【0120】
自由回転可能なプーリー2030に回転可能に結合された回転部材2060cは、依然としてプーリー2030の軸2036と位置合わせすることができるが、図示されている実施形態では、その回転部材2080cは、プーリー2020の軸2026とではなく、変速機2000cの回転軸と位置合わせされている。したがって、回転可能に固定されたプーリー2020および回転プーリー2030がともに、変速機2000cの回転軸周りに回転する場合でも、その偏心性をその出力からなくすことができ、また、プーリー2030の回転運動を取り入れることができる。
【0121】
変速機2000a、2000bおよび2000cは、ベルトまたはチェーン2070を利用して、偏心的に周回する回転可能な部材を偏心回転可能ではない部材に結合しているが、他の何らかの適当な構造を用いてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、偏心的に周回する回転可能な部材を、偏心的に回転可能ではない部材に結合するのに、ギアチェーンまたはスプロケットチェーンを用いてもよい。同様に、変速機2000a、2000bおよび2000cは、それらのプーリーと、その偏心性を取り除く出力リンク機構との相互関係をより明確に説明するために、非入れ子状のプーリーを用いて例示されている。しかし、同じかまたは同様の構造を、入れ子状の実施形態における偏心性を補正するのに用いてもよい。
【0122】
図23Dは、偏心的に周回するプーリーの回転出力の偏心性が取り除かれている入れ子状の可変変速機の実施形態を概略的に示す。変速機2000dは、回転可能に固定された外側プーリー2020と、入れ子状の内側プーリー2030とを含む。外側プーリー2020のセグメントは、開口2024が中にあるリング形状になっている。その入れ子状の内側プーリーの軸は、経路2038に沿って、回転可能に固定された外側プーリー2020の軸2026の周りを回るように構成されている。
【0123】
回転部材2060dは、内側プーリー2030に回転可能に結合され、また、回転部材2060dは、同様に、変速機200dの回転軸と位置合わせされている回転軸2026周りに回転可能な回転部材2080dに結合されている。回転部材2080dは、非偏心出力をそのシステムに供給することができる。図示されている実施形態では、その回転部材2060dは、例えば、ギアまたはスプロケットの利用を介して直接、回転部材2080dに結合されているが、ベルトまたはチェーンカップリングまたは他の何らかの適当なカップリングを用いてもよい。また、回転部材2060dおよび2080dの直径が同じであるため、その出力の角速度の大きさは同じままであるが、その方向は逆になることが図を見て分かる。
【0124】
図23Eは、偏心的に周回するプーリーの回転出力の偏心性が取り除かれている入れ子状の可変変速機の別の実施形態を概略的に示す。変速機2000eは、回転部材2060eおよび2080eの直径が互いに異なっているという点が
図23Dの変速機2000dとは異なる。したがって、その出力の偏心性を取り除くことに加えて、回転部材2060eおよび2080eによって形成されたそのリンク機構は、出力回転部材2080eの角速度が、反対方向において、プーリー2030の回転の角速度よりも速くなるという点で、その出力の角速度も変更することになる。回転部材2060eおよび2080eから成るリンク機構によって形成されたその固定変速機の変速比は、そのチェーン内のギアまたは他の部材のサイズおよび数を変えることによって制御することができる。
【0125】
図24は、二つのプーリーが、その可変変速機の回転軸周りに回るように構成されている可変変速機の実施形態の平面図である。変速機2100は、機械的に接地された軸2116と、バー2150の軸2116回りの回転を可能にするための軸受2085を介して軸2116に結合されたバー2150とを含む。軸2116は、以下でより詳細に説明するように、その可変変速機の回転軸2104と位置合わせされている。バー2150の回転を引き起こすための、バー2150へのトルクの印加は、変速機2100のための入力として作用することができる。
【0126】
変速機2100は、バー2150に結合された軸2126と、軸2126に結合された第一のセグメント化されたプーリー2120とを含む。軸2126は、プーリー2120の中心がある軸2124と位置合わせされている。また、変速機2100は、バー2150に結合された別の軸2136と、軸2136に結合された第二のセグメント化されたプーリー2130も含んでいる。軸2136は、プーリー2130がその周りに回転するように構成されている軸2126と位置合わせされている。バー2150の回転を引き起こすための、バー2150へのトルクの印加もまた、変速機2100の回転軸2104周りの軸2126および2136の偏心回転を生じさせることになる。
【0127】
図示されている実施形態において、その第一のセグメント化されたプーリー2120は、回転可能に固定してもよい。このことは、何らかの適当な方法で実現することができるが、図示されている実施形態では、第一の円筒形部材2112を、機械的に接地された軸2116に結合することができ、およびチェーン2118または他の適当な機構を介して第二の円筒形部材2114に結合することができる。いくつかの実施形態において、円筒形部材2112および2114は歯車結合することができ、または、スプロケットを、第一および第二の円筒形部材2112および2114の結合に用いてもよい。他の実施形態では、オルダムカップリング、ギアまたはスプロケット構成または他の適当なカップリングを用いてもよい。円筒形部材2112および2114の有効径が互いに等しい場合、それらの円筒形部材2112および2114間の結合は、無限変速比を有し、または、歯車結合せず、その結果、円筒形部材2114は同様に、回転可能に固定されることになる。円筒形部材2114が、第一のセグメント化されたプーリー2120に回転可能に結合されている場合、その第一のセグメント化されたプーリーは同様に、回転可能に固定されるか、または、回転可能に接地されることになる。第二の円筒形部材2114は、結合部材2128を用いて、または、直接接続されることにより、第一のセグメント化されたプーリー2120に回転可能に結合することができ、または、第一のセグメント化されたプーリー2120の一方のセグメントの一体化部分であってもよい。
【0128】
対照的に、その第二のセグメント化されたプーリーは、回転可能に固定されておらず、および軸2136周りに自由に回転することができる。第二のセグメント化されたプーリー2130は、例えば、結合部材2128または他の適当な接続部を介して、第一の回転可能部材2160に回転可能に結合されている。また、第二のセグメント化されたプーリー2130は、ベルト2140を介して、第一のセグメント化されたプーリーにも結合されている。
【0129】
第一の回転可能部材2160も同様に、変速機2100の回転軸2104と位置合わせされ、およびその回転軸周りに回転するように構成されている第二の回転可能部材2180に結合されている。第二の回転可能部材2180に回転可能に結合されている出力軸2105は、変速機2100の出力として利用することができる。第一の回転可能部材2160と第二の回転可能部材2180の有効径の違いは、
図23Bおよび
図23E等の実施形態に関して説明したように、その出力の角速度を変更するための一体化した固定比変速段を形成するのに利用することができる。出力軸2105は、軸2116および出力軸2105の一方が、他方に回転可能に結合されることなく、他方を支持することができるような方法で、軸2116から切り離すことができ、または、軸2116に結合することができる。
【0130】
したがって、第一の回転可能部材2160と、第二の回転可能部材2180との結合は、その変速機の出力の偏心性をなくすことができる。さらに、回転可能に固定されたプーリー2120および自由に回転できるプーリー2130はともに、変速機2100の回転軸周りに回るように構成されているため、変速機2100は、第一のプーリー2120および第二のプーリー2130が、互いに同期しないで回転するので、その変速機の偏心質量揺動を最小限にするように、またはなくすように設計することができる。第一および第二のセグメント化されたプーリーの非同期回転は、軸2126と軸2136との間隔を画定する堅いバー2150によって強制される。
【0131】
図24の実施形態は、明確にするために、入れ子状ではないプーリーを用いて図示されているが、部分的なまたは完全な入れ子状のプーリーを備えた変速機は、偏心質量揺動を最小限にするか、またはなくすために、両方のプーリーが、その変速機の中立軸または回転軸の周りを偏心的に回るように、同様に構成することができる。いくつかの実施形態においては、入れ子状になっていない変速機と比較して比較的に小さな偏心性により、ギアチェーンまたはスプロケットチェーン以外のカップリングを用いてもよい。偏心的に回転する構成要素を別の構成要素に結合するために、例えば、オルダムカップリングを用いてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態において、単一のプーリーに結合された複数の偏心カムの利用は、回転を防ぎながら、そのプーリーの回転を可能にする。それらの偏心カムは、その変速機の回転軸に対する、およびその回転可能に固定されたプーリーと非同期的に回転する、回転可能に拘束されていないプーリーに対するそのプーリーの回転経路を画定することができる。単一の偏心カムは、その回転可能に拘束されていないプーリーの周回および回転の両方を可能にするために、その回転可能に拘束されていないプーリーに結合することができる。
【0133】
さらに他の変形例では、記載されている、およびIVTとして動作するように構成された実施形態は、IVTではなく、CVTとしての動作用に変更することができる。また、本願明細書に記載されている入れ子状のプーリーは、コンパクトな固定比機構を形成するために、いずれかのプーリーの有効径を変更する能力がなくても用いることができる。
【0134】
また、本願明細書に記載されている可変変速機の動作に関する他の変形例を用いてもよい。本願明細書に記載されている可変変速機の制御は、その可変変速機が使用される用途に少なくとも部分的に基づいていてもよい。その可変変速機は、制御されるカップリングに自由度を加えるため、カップリングの一部としての可変変速機のシステム利用は、不十分な強制になる。追加的な自由度は、特定の用途の場合の変速機の動作をさらに最適化するための、特に効率、応答時間、剛性または最大出力の利用可能性等のパラメータの最適化を可能にする。
【0135】
例えば、いくつかの実施形態において、その可変変速機の変速比は、その入力速度が時間とともに変化する際に、一定の出力速度を維持するために、動作中に制御することができる。このような制御パラメータは、その可変変速機が、発電システムの一部として用いられる場合に有用である可能性がある。同様に、その出力速度は、ライン電圧の急激な低下等のシステム状態の急速な変化を補正するようにさらに調整してもよい。具体的には、変速比の急速な変化を可能にする、本願明細書に記載されている可変変速機の実施形態は、それらのモータの高インダクタンスにより、付勢コイルを備えたオルタネータを組み込んだシステムよりも敏感である可能性がある。
【0136】
他の実施形態では、その可変変速機は、継ぎ手に一定の力または他の既知の力プロファイルを与えるように制御することができる。このような制御パラメータは、ロボット用途、または、機械が人の近くで作動される他の用途において、または、操作機械と比較して、比較的脆い物体の処理を伴う用途において有用である可能性がある。例えば、人の力を増大させるのに機械が用いられる用途において、継ぎ手に発生する力の制御は、重要な安全パラメータである可能性がある。
【0137】
所望の効果をもたらすように、追加的な構成要素を可変変速機とともに制御してもよい。いくつかの実施形態において、高出力を要するイベントの準備をするために、制御部は、一定の出力速度を生成するように可変変速機を制御しながら、電動モータの回転速度を増加させることができる。このようなスキームは、そのシステムの現在の出力に影響を及ぼすことなく、増加した速度で回転するロータ内にそれを格納することにより、そのシステムの運動エネルギーを増加させる。変速比の後のシフトは、この運動エネルギーをその継ぎ手に迅速に伝達するのに用いて、そのモータ巻線内での典型的な高エネルギー損失を伴うことなく、従来のモータおよび固定比変速機が単独で送出できる出力を超える出力のスパイクを生成することができる。
【0138】
この開示に記載されている概念は、IVTまたはCVTとしての動作のために構成することができる可変変速機に関して記載されているが、一般的に、変速機の分野内の他のさまざまな状況に適用可能である。
【0139】
本願明細書で用いられている「結合する」、「結合している」、「結合された」という用語、または、その結合するという言葉の他の変形例は、間接的な接続または直接的な接続のいずれかを示している可能性があることに留意すべきである。例えば、第一の構成要素が第二の構成要素に「結合」されている場合、その第一の構成要素は、その第二の構成要素に間接的に接続されているか、または、その第二の構成要素に直接的に接続されている可能性がある。「複数の」という用語は、本願明細書で用いられる場合、二つ以上を意味する。例えば、複数の構成要素は、二つ以上の構成要素を示している。
【0140】
上記の説明では、実施例の完全な理解を提供するように、具体的な詳細が与えられている。しかし、当業者は、それらの実施例を、それらの具体的な詳細なしで実施できることを理解するであろう。本願明細書において別々に説明されているいくつかの実施形態は、単一の実施形態にまとめることができ、また、与えられた実施形態に関連して記載されている形状構成も、複数の実施形態において別々に、または、何らかの適当なサブコンビネーションで実施することもできる。いくつかの実施例では、いくつかの構造および技術的方法は、それらの実施例をさらに説明するために、他の構造または技術的方法よりも詳細に示されている可能性がある。
【0141】
開示されている実施形態に関するこれまでの説明は、当業者が本発明を実行または利用できるようにするために記載されている。それらの実施形態に関するさまざまな変更は、当業者には容易に理解され、また、本願明細書で定義されている包括的な原理は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することができる。したがって、本発明は、本願明細書に示されている実施形態に限定しようとするものではなく、本願明細書に開示されている原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲と一致させるべきである。
【0142】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0143】
実施形態1
可変変速機において、
外側プーリーであって、
接触面を備える第一の外側プーリーセグメントと、
前記第一の外側プーリーセグメントから第一の可変距離だけ離間された第二の外側プーリーセグメントであって、接触面を備える第二の外側プーリーセグメントと、
を備える外側プーリー、
内側プーリーであって、前記内側プーリーの一部が、前記第一の外側プーリーセグメントと、前記第二の外側プーリーセグメントとの間に位置し、前記内側プーリーが、
第一の内側プーリーセグメントであって、前記第一の外側プーリーセグメントの前記接触面の内側で軸方向および径方向に位置している接触面を備える第一の内側プーリーセグメントと、
前記第一の内側プーリーセグメントから第二の可変距離だけ離間された第二の内側プーリーセグメントであって、前記第二の外側プーリーセグメントの前記接触面の内側で軸方向および径方向に位置する接触面を備える第二の内側プーリーセグメントと、
を備える、内側プーリー、および
前記第一および第二の外側プーリーセグメントの前記接触面の少なくとも一部と、前記第一および第二の内側プーリーセグメントの前記接触面の少なくとも一部とに接触しているベルト、
を備える、可変変速機。
【0144】
実施形態2
前記外側プーリーおよび内側プーリーの一方が回転可能に固定されている、実施形態1に記載の変速機。
【0145】
実施形態3
前記外側プーリーは回転可能に固定され、前記変速機は、前記第一の外側プーリーセグメントと前記第二の外側プーリーセグメントとの間の前記第一の可変距離を制御するために、前記第一の外側プーリーセグメントおよび前記第二の外側プーリーセグメントの少なくとも一方を他方に対して動かすように構成されたシフト機構を追加的に備える、実施形態2に記載の変速機。
【0146】
実施形態4
前記第一の外側プーリーセグメントと前記第二の外側プーリーセグメントとの間の前記第一の可変距離の変化に応動して、前記第一の内側プーリーセグメントと前記第二の内側プーリーセグメントとの間の前記第二の可変距離を調節するように、前記第一の内側プーリーセグメントおよび前記第二の内側プーリーセグメントに結合されたばねを追加的に備える、実施形態3に記載の変速機。
【0147】
実施形態5
前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備える、実施形態1に記載の変速機。
【0148】
実施形態6
前記ベルトは、前記複数のベルトセグメントの各々を介して延びているテンションベルトを備え、前記ベルトセグメントの前記対向面は湾曲面を備える、実施形態5に記載の変速機。
【0149】
実施形態7
前記ベルトは複数のピンを備え、各ピンは、前記複数のベルトセグメントのうちの二つの隣接するベルトセグメントの各々の少なくとも一部を通って延びている、実施形態5に記載の変速機。
【0150】
実施形態8
第一の流体チャンバと流体的に連通する油圧ポンプを追加的に備え、前記第一の流体チャンバのサイズの変化が、前記第一の可変距離または前記第二の可変距離の一方を変更させる、実施形態1に記載の変速機。
【0151】
実施形態9
前記内側プーリーおよび外側プーリーはともに、前記可変変速機の回転軸周りに偏心的に回転するように構成される、実施形態1に記載の変速機。
【0152】
実施形態10
前記外側プーリーおよび前記内側プーリーの一方は回転可能に固定される、実施形態9に記載の変速機。
【0153】
実施形態11
前記回転可能に固定されているプーリーは、複数の偏心カムに結合される、実施形態10に記載の変速機。
【0154】
実施形態12
偏心的に回転するプーリーの回転出力を、該偏心的に回転するプーリーよりも小さい偏心性で回転するように構成された回転出力部材に伝達するように構成された出力構造を追加的に備える、実施形態1に記載の変速機。
【0155】
実施形態13
前記出力構造は固定比変速機を備える、実施形態12に記載の変速機。
【0156】
実施形態14
変速機において、
第一のセグメント化されたプーリー部であって、第一の角度で、前記第一のセグメント化されたプーリー部の回転軸に向けられた接触面を含む、第一のセグメント化されたプーリー部と、
第二のセグメント化されたプーリー部であって、第二の角度で、前記第一のセグメント化されたプーリー部の回転軸に向けられた、角度の付いた接触面を含む、第二のセグメント化されたプーリー部と、
前記第一のセグメント化されたプーリー部と、前記第二のセグメント化されたプーリー部との間に少なくとも部分的に設けられた入れ子状プーリーであって、前記第一の角度と同じ角度で、前記入れ子状プーリーの回転軸に向けられた第一の接触面と、前記第二の角度と同じ角度で、前記入れ子状プーリーの前記回転軸に向けられた第二の接触面とを備える、入れ子状プーリーと、
前記入れ子状プーリーおよび前記第一および第二のセグメント化されたプーリー部の少なくとも一部の周りに延びているベルトと、
を備える変速機。
【0157】
実施形態15
前記第一のセグメント化されたプーリー部と、前記第二のセグメント化されたプーリー部は、第一の距離だけ互いに離され、前記変速機の変速比を変えるように、前記第一のセグメント化されたプーリー部と前記第二のセグメント化されたプーリー部との間の該第一の距離を変更するように構成されたアクチュエータをさらに備える、実施形態項4に記載の変速機。
【0158】
実施形態16
前記アクチュエータは、流体チャンバと流体的に連通する油圧ポンプを備え、前記流体チャンバのサイズの変化は、前記第一のセグメント化されたプーリー部と前記第二のセグメント化されたプーリー部との間の前記第一の距離を変更させる、実施形態15に記載の変速機。
【0159】
実施形態17
前記アクチュエータは、前記第一のセグメント化されたプーリー部に結合されたサーボを備える、実施形態15に記載の変速機。
【0160】
実施形態18
前記第一および第二のセグメント化されたプーリー部は回転可能に固定され、前記入れ子状のプーリーは、前記変速機の回転軸周りに偏心的に回転するように構成される、実施形態14に記載の変速機。
【0161】
実施形態19
偏心カムに結合された入力軸を追加的に備え、該偏心カムは、前記入れ子状のプーリーに結合され、該入れ子状のプーリーを、前記入力軸の回転に応動して、前記変速機の前記回転軸周りに偏心的に回転させるように構成される、実施形態18に記載の変速機。
【0162】
実施形態20
前記入れ子状のプーリーに結合された回転可能なハーベスターを追加的に備え、該回転可能なハーベスターは、前記入れ子状のプーリーの回転出力を、前記変速機の長手方向軸と位置合わせされた該変速機の出力に伝達する、実施形態18に記載の変速機。
【0163】
実施形態21
前記入れ子状のプーリーは、
前記第一の接触面を備える第一の入れ子状のプーリーセグメントと、
可変距離だけ、前記第一の入れ子状のプーリーセグメントから離間され、および前記第二の接触面を備える第二の入れ子状のプーリーセグメントと、
を備える、実施形態14に記載の変速機。
【0164】
実施形態22
前記第一の入れ子状のプーリーセグメントを前記第二の入れ子状のプーリーセグメントに向かって付勢するばねを追加的に備える、実施形態21に記載の変速機。
【0165】
実施形態23
最大直径および可変有効径を有する第一のプーリーであって、回転可能に固定されている第一のプーリーと、
最大直径および可変有効径を有する第二のプーリーであって、可変変速機の回転軸周りに回転するように構成された第二のプーリーと、
前記第一のプーリーおよび前記第二のプーリーの少なくとも一部と接触しているベルトであって、前記IVTの最大直径が、前記第一および第二のプーリーの最大直径の合計よりも小さいベルトと、
を備える可変変速機。
【0166】
実施形態24
前記ベルトは、プッシュベルトとしての動作のために構成される、請求項23に記載の可変変速機。
【0167】
実施形態25
前記第一のプーリーは、前記可変変速機の前記回転軸周りに回転するように構成される、実施形態23に記載の可変変速機。
【0168】
実施形態26
前記第一のプーリーの中心は、前記可変変速機の前記回転軸にある、実施形態23に記載の可変変速機。
【0169】
実施形態27
前記第一のプーリーの前記可変有効径は、第一の範囲にわたって可変であり、前記第二のプーリーの前記可変有効径は、第二の範囲にわたって可変であり、前記第一の範囲は、前記第二の範囲と少なくとも部分的に重なっている、実施形態23に記載の可変変速機。
【0170】
実施形態28
前記第一のプーリーは、第一のプーリーセグメントおよび第二のプーリーセグメントを備え、前記第二のプーリーは、前記第一のプーリーの前記第一および第二のプーリーセグメント間に少なくとも部分的に配置される、実施形態23に記載の可変変速機。
【0171】
実施形態29
前記第二のプーリーは、第一のプーリーセグメントおよび第二のプーリーセグメントを備え、前記第一のプーリーは、前記第二のプーリーの前記第一および第二のプーリーセグメント間に少なくとも部分的に配置される、実施形態23に記載の可変変速機。
【符号の説明】
【0172】
10 CVT
20 第一のプーリー
22a、22b、32a、32b 円錐形構造
24 第一の軸
30 第二のプーリー
34 軸
40 ベルト
50 機械的コネクタ
60 IVT
65 機械的接地