(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】液晶表示装置及び故障検査方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20220204BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/133 550
(21)【出願番号】P 2018547743
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2017038616
(87)【国際公開番号】W WO2018079636
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2016213406
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017068124
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017124558
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 昭浩
(72)【発明者】
【氏名】野崎 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】福田 賢二
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋昭
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-082814(JP,A)
【文献】特開2005-069858(JP,A)
【文献】特開2010-256387(JP,A)
【文献】特開平10-104300(JP,A)
【文献】特開昭62-151769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板、及び前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止された液晶層を有するアクティブマトリクス方式の液晶パネルを備え
、車両に搭載された液晶表示装置であって、
格子状に配置されるソース線及びゲート線と、
前記ソース線及び前記ゲート線によって区画された画素領域に配置される画素電極と、
前記画素電極に対応して配置されるスイッチング素子と、
前記ソース線を駆動するソースドライバと、
前記ゲート線を駆動するゲートドライバと、
前記ゲート線に接続され、前記ゲート線の検査を行う
第1の故障検査回路と、を備え、
前記第1の故障検査回路は、
前記ゲート線の検査用の第1のモニタ入力信号を入力する第1のモニタ入力信号線と、
前記第1のモニタ入力信号に基づく第1のモニタ出力信号を出力する第1のモニタ出力信号線と、
前記第1のモニタ出力信号の電圧レベルを検出する第1の判定回路と、
前記第1の判定回路からの出力と第1の期待値とを比較する第1の期待値比較回路と、
ゲート電極が前記ゲート線に接続され、ドレイン電極及びソース電極の一方が前記第1のモニタ入力信号線に接続され、前記ドレイン電極及び前記ソース電極の他方が前記第1のモニタ出力信号線に接続される第1のスイッチング素子と、
を有する液晶表示装置。
【請求項2】
第1の基板、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板、及び前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止された液晶層を有するアクティブマトリクス方式の液晶パネルを備え、車両に搭載された液晶表示装置であって、
格子状に配置されるソース線及びゲート線と、
前記ソース線及び前記ゲート線によって区画された画素領域に配置される画素電極と、
前記画素電極に対応して配置されるスイッチング素子と、
前記ソース線を駆動するソースドライバと、
前記ゲート線を駆動するゲートドライバと、
前記ゲート線に接続され、前記ゲート線の検査を行う第1の故障検査回路と、を備え、
前記第1の故障検査回路は、
前記ゲート線の検査用の第1のモニタ入力信号を入力する第1のモニタ入力信号線と、
前記第1のモニタ入力信号に基づく第1のモニタ出力信号又は前記ゲートドライバからの入力信号に基づく第1のモニタ出力信号を出力する第1のモニタ出力信号線と、
前記第1のモニタ出力信号の電圧レベルを検出する第1の判定回路と、
前記第1の判定回路からの出力と第1の期待値とを比較する第1の期待値比較回路と、
ドレイン電極およびソース電極の一方が前記第1のモニタ入力信号線に接続され、前記ドレイン電極および前記ソース電極の他方が前記ゲート線に接続される第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子のゲート電極に接続され、前記第1のスイッチング素子のオン/オフを切り替える制御信号線と、
を有する液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1の判定回路及び前記第1の期待値比較回路のうち少なくとも1方は、前記ゲートドライバに組み込まれる請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ソース線に接続され、前記ソース線の検査を行う第2の故障検査回路を含み、
前記第2の故障検査回路は、
前記ソース線の検査用の第2のモニタ入力信号を入力する第2のモニタ入力信号線と、
前記第2のモニタ入力信号に基づく第2のモニタ出力信号又は前記ソースドライバからの入力信号に基づく第2のモニタ出力信号を出力する第2のモニタ出力信号線と、
前記第2のモニタ出力信号
の電圧レベルを検出する第2の判定回路と、
前記第2の判定回路からの出力と第2の期待値とを比較する第2の期待値比較回路と、
ドレイン電極およびソース電極の一方が前記第2のモニタ入力信号線に接続され、前記ドレイン電極および前記ソース電極の他方が前記ソース線に接続される第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子のゲート電極に接続され、前記第2のスイッチング素子のオン/オフを切り替える制御信号線と、
を有する請求項1から
3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
第1の基板、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板、及び前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止された液晶層を有するアクティブマトリクス方式の液晶パネルを備え、車両に搭載された液晶表示装置であって、
格子状に配置されるソース線及びゲート線と、
前記ソース線及び前記ゲート線によって区画された画素領域に配置される画素電極と、
前記画素電極に対応して配置されるスイッチング素子と、
前記ソース線を駆動するソースドライバと、
前記ゲート線を駆動するゲートドライバと、
前記ソース線に接続され、前記ソース線の検査を行う第2の故障検査回路と、を備え、
前記第2の故障検査回路は、
前記ソース線の検査用の第2のモニタ入力信号を入力する第2のモニタ入力信号線と、
前記第2のモニタ入力信号に基づく第2のモニタ出力信号又は前記ソースドライバからの入力信号に基づく第2のモニタ出力信号を出力する第2のモニタ出力信号線と、
前記第2のモニタ出力信号の電圧レベルを検出する第2の判定回路と、
前記第2の判定回路からの出力と第2の期待値とを比較する第2の期待値比較回路と、
ドレイン電極およびソース電極の一方が前記第2のモニタ入力信号線に接続され、前記ドレイン電極および前記ソース電極の他方が前記ソース線に接続される第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子のゲート電極に接続され、前記第2のスイッチング素子のオン/オフを切り替える制御信号線と、
を有する液晶表示装置。
【請求項6】
前記第2の判定回路及び前記第2の期待値比較回路のうち少なくとも1方は、前記ソースドライバに組み込まれる請求項
4又は5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記
第1の故障検査回路の検査を行う補助検査回路を有する請求項1から
4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記補助検査回路は、前記
第1の故障検査回路に対してモニタ出力信号を出力する信号生成器を有し、
前記
第1の判定回路は、前記モニタ出力信号の電圧レベルを検出し、
前記
第1の期待値比較回路は、前記
第1の判定回路からの出力と前記モニタ出力信号用の期待値とを比較する請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第2の故障検査回路の検査を行う補助検査回路を有する請求項4から6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記補助検査回路は、前記第2の故障検査回路に対してモニタ出力信号を出力する信号生成器を有し、
前記第2の判定回路は、前記モニタ出力信号の電圧レベルを検出し、
前記第2の期待値比較回路は、前記第2の判定回路からの出力と前記モニタ出力信号用の期待値とを比較する請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記補助検査回路は、前記モニタ出力信号用の前記期待値と、前記モニタ出力信号用の前記期待値の適否を判定するためのリファレンス用の期待値とを比較する比較回路を有する請求項8
または10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記ソースドライバ、前記ゲートドライバ、および前記
第1の故障検査回路は、前記第1の基板、又は前記第2の基板上に実装される請求項1から
4、7、8のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
請求項1から
4、7、8、12のいずれか一項に記載の液晶表示装置の故障検査方法であって、
映像表示期間中に、前記ゲートドライバからのゲート信号が印加された際の前記
第1のモニタ出力信号をもとに、前記ゲート線の故障検査を行う故障検査方法。
【請求項14】
前記ソースドライバ、前記ゲートドライバ、および前記第2の故障検査回路は、前記第1の基板、又は前記第2の基板上に実装される請求項4から6、9、10のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
請求項
4から6、9、10、14のいずれか一項に記載の液晶表示装置の故障検査方法であって、
複数の映像表示期間の間のブランキング期間中に、前記ソース線の故障検査を行う故障検査方法。
【請求項16】
請求項
2に記載の液晶表示装置の故障検査方法であって、
映像表示期間外に、前記ゲート線のオープン異常の検査を行う故障検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス方式の液晶パネルを有する液晶表示装置及びその故障検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用の液晶表示装置は、カーナビゲーション用としてだけでなく、スピードメーター、タコメーター、水温計等の計器類が組み込まれるインストルメントパネルにおいても利用されている。液晶表示装置を適用したインストルメントパネルにおいては、計器類だけでなく、車両に搭載される装置(例えばブレーキやエアバッグ等の車載装置)の異常を報知する警告も、例えば警告アイコンによって液晶表示装置に表示される(
図1参照)。
図1に示す表示画面D1には、スピードメーターSM、タコメーターTM、及び警告アイコンWI等が表示されている。
【0003】
このように、インストルメントパネルに液晶表示装置を適用する場合、通常、従来と同様の警告灯WLが表示画面D1に隣接して配置される。これにより、液晶表示装置が故障して、警告アイコンWIが表示されるべき警告表示領域が表示不能となっても、警告灯WLにより車載装置の異常が報知されるので、乗員の安全は確保される(フェールセーフ)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は、簡易な回路構成により、液晶パネルの故障(ソース線/ゲート線のオープン異常及びショート異常)を自己診断できる液晶表示装置及び故障検査方法を提供する。
【0006】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、第1の基板、第1の基板に対向して配置される第2の基板、及び第1の基板と第2の基板との間に封止された液晶層を有するアクティブマトリクス方式の液晶パネルを有する液晶表示装置である。液晶表示装置は、ソース線及びゲート線と、画素電極と、スイッチング素子と、ソースドライバと、ゲートドライバと、故障検査回路と、を有する。ソース線及びゲート線は、格子状に配置される。画素電極は、ソース線及びゲート線によって区画された画素領域に配置される。スイッチング素子は、画素電極に対応して配置される。ソースドライバは、ソース線を駆動する。ゲートドライバは、ゲート線を駆動する。故障検査回路は、ソース線又はゲート線に接続され、ソース線又はゲート線の検査を行う。故障検査回路は、モニタ入力信号線と、モニタ出力信号線と、モニタ出力信号線からの出力信号の電圧レベルを検出する判定回路と、判定回路からの出力と期待値とを比較する期待値比較回路と、を有する。
【0007】
本発明の別の一態様に係る故障検査方法は、上記の液晶表示装置の故障検査方法であって、映像表示期間中に、ゲートドライバからのゲート信号が印加された際の出力信号をもとに、ゲート線の故障検査を行う。
【0008】
本発明のさらに別の一態様に係る故障検査方法は、上記の液晶表示装置の故障検査方法であって、複数の映像表示期間の間のブランキング期間中に、ソース線の故障検査を行う。
【0009】
本発明によれば、簡易な回路構成により、液晶パネルの故障を自己診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、液晶表示装置を適用したインストルメントパネルの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の回路構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ゲートドライバの駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、ソースドライバの駆動動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、ゲートドライバ及びソースドライバの駆動動作と映像表示の関係の一例を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、ゲート線のオープン異常及びショート異常を検査するための回路構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、ゲート線の故障検査結果の一例を示すタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、ソース線のオープン異常及びショート異常を検査するための回路構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、ソース線のショート異常を検出する場合の動作の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、ソース線の故障検査結果(ショート異常)の一例を示すタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、ソース線のオープン異常を検出する場合の動作の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、ソース線の故障検査結果(オープン異常)の一例を示すタイミングチャートである。
【
図14】
図14は、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の回路構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、ゲート線のショート異常を検出する場合の動作の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、ゲート線のオープン異常を検出する場合の動作の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第3の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の回路構成の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、補助検査回路の回路構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態の説明に先立ち、従来の技術における問題点を簡単に説明する。上述したように、従来は、液晶表示装置で車載装置の故障を警告できるにもかかわらず、警告灯も配置するようになっているため、その分、装置コストが増大する。また、液晶表示装置が故障した場合に、その故障が液晶パネル側の故障であるのか、制御部側の故障であるのかを判断するためには、液晶表示装置を分解して、専用の検査装置を用いて検査する必要があり、検査工程が繁雑である。
【0012】
一方で、アクティブマトリクス方式の液晶パネルにおいては、ドライバIC(integrated circuit)(ソースドライバ及びゲートドライバ)を実装する前に、液晶パネルが正常に動作するか検査するために、画素ごとに点灯検査を行う故障検査回路(以下、「初期不良検査回路」と称する)が表示領域の周辺に設けられている(例えば特許文献1)。しかしながら、この初期不良検査回路は、製造段階での故障検査にのみ用いられ、ドライバICが実装された後、例えば液晶表示装置において映像表示中に利用することはできない。
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図2は、本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置(liquid crystal display)LCDの一例を示す図である。液晶表示装置LCDは、例えば、車両のインストルメントパネルに適用され、計器類や車載装置の異常警告の表示を行う。
【0015】
図2に示すように、液晶表示装置LCDは、液晶パネルP及び液晶パネルPの背面側に配置されるバックライトBLを有する。液晶パネルPは、アクティブマトリクス基板1(第1の基板)と、アクティブマトリクス基板1に対向して配置される対向基板2(第2の基板)と、アクティブマトリクス基板1と対向基板2との間に封止される液晶層3と、を有する。アクティブマトリクス基板1と対向基板2は、例えばガラスでできた基板である。アクティブマトリクス基板1の背面側には偏光板4が配置され、対向基板2の表面側には偏光板5が配置される。対向基板2は、対向電極(コモン電極)及びカラーフィルター等を有する(いずれも図示略)。アクティブマトリクス基板1の詳細な構成については後述する。
【0016】
図3は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1の回路構成の一例を示す図である。
図3に示すように、アクティブマトリクス基板1は、格子状に配置されるソース線11(データ線)及びゲート線12(走査線)と、ソース線11及びゲート線12によって区画された画素領域に配置される画素電極13(サブ画素電極)と、画素電極13に対応して配置されるスイッチング素子14と、ソース線11を駆動するソースドライバ15と、ゲート線12を駆動するゲートドライバ16と、故障検査回路100と、を有する。
【0017】
本実施の形態におけるアクティブマトリクス基板1は、VGA(Video Graphics Array)パネル(640×480画素)用の基板であり、1920本のソース線11と、480本のゲート線12を有する。ソース線11とゲート線12で区画される画素領域は、RGB(赤、緑、青)ごとのサブ画素領域であり、水平方向(ゲート線方向)に隣接する3つのサブ画素領域により1つの画素領域が構成される。
【0018】
スイッチング素子14は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)である。スイッチング素子14のゲート電極はゲート線12に接続され、ソース電極はソース線11に接続され、ドレイン電極は画素電極13の一端に接続される。画素電極13の他端は、液晶層3を介して、対向電極(符号略)に接続される。
【0019】
ソースドライバ15及びゲートドライバ16は、画素領域の周辺に配置される。ゲートドライバ16は、スイッチング素子14を順にオン状態とするために、ゲート線12にパルス状の電圧を順次印加する。ここでは、
図4に示すように、ゲートドライバ16は、2クロック幅で1クロックごとシフトしながら動作する。
【0020】
ソースドライバ15は、オン状態にあるスイッチング素子14を通じて、液晶層3に印加する電圧を供給する(
図5参照)。これにより、オン状態にあるスイッチング素子14に対応する画素が点灯する。
【0021】
具体的には、ソースドライバ15は、LCDコントローラー(図示略)から受け取った映像信号(デジタルの色データ)をアナログ電圧に変換し、ロード信号LDの立ち上がりのタイミングでソース線11を介して出力する。この電圧はスイッチング素子14を介して画素電極13に印加される。画素電極13に印加される電圧は、ゲート信号の立ち下がりで確定される(
図6参照)。液晶層3自体が持つ容量によって、この電圧は次の書込みまで保持される。この電圧によって液晶層3における光の透過率が変化し、透過率に応じた色が表示される。
【0022】
図6に示すように、あるフレームの表示期間と、次のフレームの表示期間の間には、ブランキング期間(垂直帰線期間)がある。ブランキング期間中はゲート信号がオフ(OFF)のため、ソースドライバ出力が変動しても表示に影響を与えない。
【0023】
本実施の形態では、このブランキング期間を利用して、ソース線11の故障検査が行われる。なお、一回のブランキング期間にソース線11の全部について故障検査を行うことが困難である場合、所定の間隔で間引くことにより、全体的に表示領域を検査するのが好ましい。また、ゲート線12の故障検査は、映像表示中に行うことができる。
【0024】
故障検査回路100は、所定の配線パターンL1、L2(
図7、
図9参照)、配線パターンL1、L2からの出力信号の電圧レベルを検出する判定回路114、105、及び判定回路114、105からの出力と期待値とを比較する期待値比較回路115、106を有する。故障検査回路100は、ソースドライバ15又はゲートドライバ16を利用して、ソース線11又はゲート線12の検査を行う。期待値比較回路115、106の比較結果は、LCDコントローラー(図示略)や、コンピューターに出力される。LCDコントローラーやコンピューターは、比較結果に基づいて、所定の処理を実行する。
【0025】
本実施の形態では、故障検査回路100は、ゲート線12の検査を行う第1の故障検査回路100A(
図7参照)及びソース線11の検査を行う第2の故障検査回路100B(
図9参照)を含む。
【0026】
図7は、ゲート線12のオープン異常(断線)及びショート異常(短絡)を検査するための回路構成の一例を示す図である。
図7に示すように、第1の故障検査回路100Aは、第1の配線パターンL1、第1の判定回路114及び第1の期待値比較回路115を有する。第1の判定回路114及び第1の期待値比較回路115のうち少なくとも1方は、ゲートドライバ16に組み込まれてもよい。
【0027】
第1の配線パターンL1は、第1のモニタ入力信号線111、第1のモニタ出力信号線112、及び第1のスイッチング素子113を有する。第1のモニタ入力信号線111は、ゲート線12の検査用の第1のモニタ入力信号Gin(Gin1~Gin3)を入力する。第1のモニタ出力信号線112は、第1のモニタ入力信号Ginに基づく第1のモニタ出力信号Gout(Gout1~Gout3)を、第1の判定回路114に対して出力する。第1のスイッチング素子113は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するトランジスターである。第1のスイッチング素子113のゲート電極はゲート線12におけるゲートドライバ16の反対側に接続され、ドレイン電極は第1のモニタ入力信号線111に接続され、ソース電極はモニタ出力信号線112に接続される。
【0028】
図8は、ゲート線の故障検査結果の一例を示すタイミングチャートである。
図8に示す第1のモニタ出力信号Goutが、第1の判定回路114に入力される電圧レベルである。第1の期待値比較回路115は、ゲート線12が正常であるときに得られるべき電圧レベルを第1の期待値E1として、第1の判定回路114で検出された電圧レベルと第1の期待値E1を比較することにより、ゲート線12のオープン異常及びショート異常を判断する。なお、ゲート線12の故障検査は、例えば映像表示中のゲート線12の駆動動作を利用して行われる。
【0029】
図8に示すように、ゲート信号G1~G480は、2クロック幅で1クロックごとシフトしながら動作する。ゲート信号Gが入力されているゲート線12が検査対象となる。すなわち、ゲート線12がゲート電極に接続されている第1のスイッチング素子113がオン状態となり、このオン状態にある第1のスイッチング素子113に接続されている第1のモニタ入力信号線111から1クロック幅で第1のモニタ入力信号Ginが入力される。第1のモニタ入力信号線111からの第1のモニタ入力信号Ginに応じた第1のモニタ出力信号Goutが、第1のモニタ出力信号線112を介して第1の判定回路114に出力される。
【0030】
図8に示すように、検査対象のゲート線12にショート異常及びオープン異常がなければ、第1のモニタ入力信号Ginが入力され、第1のモニタ入力信号Ginの電圧レベルが“ハイ”(“HIGH”)になることに伴い、対応する第1のモニタ出力信号Goutの電圧レベルも“HIGH”になる。第1のモニタ出力信号Goutの電圧レベルは、次のゲート信号Gが入力されるまで保持される。例えば、ゲート信号G1が入力されているとき、第1のモニタ入力信号線111に第1のモニタ入力信号Gin1が入力されると、第1のモニタ出力信号Gout1の電圧レベルは“HIGH”になる。そして、次のゲート信号G4が入力されたとき、この時点で第1のモニタ入力信号Gin1の電圧レベルは“ロー”“LOW”なので、第1のモニタ出力信号Gout1の電圧レベルは“LOW”になる。
【0031】
一方、ゲート線12にオープン異常が生じている場合、ゲート線12を通じてゲート信号Gが入力されても第1のスイッチング素子113はオン状態とならない。したがって、第1のモニタ入力信号Ginが入力されても、第1のモニタ出力信号Goutの電圧レベルは“LOW”のままとなる。これにより、第1の期待値比較回路115は、ゲート線12のオープン異常を検出することができる。
【0032】
また、ゲート線12にショート異常が生じている場合、第1のモニタ出力信号Goutの電圧レベルが“HIGH”で保持されるべき期間に、電圧レベルが低下する。例えば、
図8に示すように、ゲート信号G1の電圧レベルが“LOW”になると、第1のスイッチング素子113はオフ状態となり、第1のモニタ出力信号Gout1の電圧レベルは“HIGH”で保持されるべきである。しかし、ゲート信号G1が入力されるゲート線12と隣接するゲート信号G2が入力されるゲート線12が短絡している場合、2本のゲート線12の電圧レベルは、各ゲート線12に入力された電圧レベルの間の値となる。よって、ゲート信号G2の入力により、第1のモニタ出力信号Gout1を出力する第1のスイッチング素子113も“HIGH”と“LOW”の間の電圧レベルとなり、その結果、第1のスイッチング素子113はオフ状態ではなく不定状態となる。このとき、第1のモニタ入力信号Gin1は入力されていないので、第1のモニタ出力信号Gout1の電圧レベルが低下する。これにより、第1の期待値比較回路115は、ゲート線12のショート異常を検出することができる。
【0033】
図9は、ソース線11のオープン異常(断線)及びショート異常(短絡)を検査するための回路構成の一例を示す図である。
図9に示すように、第2の故障検査回路100Bは、第2の配線パターンL2、第2の判定回路105及び第2の期待値比較回路106を有する。第2の判定回路105及び第2の期待値比較回路106のうち少なくとも1方は、ソースドライバ15に組み込まれてもよい。
【0034】
第2の配線パターンL2は、第2のモニタ入力信号線103、第2のモニタ出力信号線104、第2のスイッチング素子102、及び制御信号線101を有する。第2のモニタ入力信号線103は、ソース線11の検査用の第2のモニタ入力信号DRGB(DR1、DR2、DG1、DG2、DB1、DB2)を入力する。第2のモニタ出力信号線104は、第2のモニタ入力信号DRGBに基づく第2のモニタ出力信号Sout(Sout1、Sout2)又はソースドライバ15からの入力信号に基づく第2のモニタ出力信号Soutを、第2の判定回路105に対して出力する。第2のスイッチング素子102は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するトランジスターである。第2のスイッチング素子102のゲート電極は制御信号線101に接続され、ドレイン電極は第2のモニタ入力信号線103に接続され、ソース電極はソース線11におけるソースドライバ15の反対側に接続される。ソースドライバ15に設けられたスイッチSWにより、第2のモニタ入力信号DRGBに基づく第2のモニタ出力信号Sout又はソースドライバ15からの入力信号に基づく第2のモニタ出力信号Soutが、第2の判定回路105に対して選択的に出力される。
【0035】
図10は、ソース線11のショート異常を検出する場合の動作の一例を示す図である。
図11は、ソース線11の故障検査結果(ショート異常)の一例を示すタイミングチャートである。
図11に示すモニタ出力信号が、第2の判定回路105に入力される電圧レベルである。第2の期待値比較回路106は、ソース線11が正常であるときに得られるべき電圧レベルを第2の期待値E21として、第2の判定回路105で検出された電圧レベルと第2の期待値E21を比較することにより、ソース線11のショート異常を判断する。なお、ソース線11のショート異常の検査は、例えば映像表示中のブランキング期間の前半に行われる。
【0036】
図10に示すように、制御信号線101からの制御信号TRの電圧レベルは“LOW”に設定される。したがって、第2のスイッチング素子102はオフ状態となる。この状態で、検査対象となるソース線11に対応するソースドライバ15から第2のモニタ出力信号線104に向けて入力信号が入力される。ソースドライバ15からの入力信号に応じた第2のモニタ出力信号Soutが、第2のモニタ出力信号線104を介して第2の判定回路105に出力される。
【0037】
図11に示すように、検査対象のソース線11にショート異常及びオープン異常がない場合、ソースドライバ15から入力信号が入力されると、第2のモニタ出力信号Soutの電圧レベルもソースドライバ15からの入力信号に応じた値となる。
図11に示す例の場合、奇数番目のソース電極に対応する第2のモニタ出力信号Soutの電圧レベルは“HIGH”になる。
【0038】
一方、ソース線11にショート異常が生じている場合、第2のモニタ出力信号線104に所望の電圧が印加されないので、第2のモニタ出力信号Soutの電圧レベルが所定の規格範囲(規格上限値~規格下限値)外となる。これにより、第2の期待値比較回路106は、ソース線11のショート異常を検出することができる。
【0039】
図12は、ソース線11のオープン異常を検出する場合の動作の一例を示す図である。
図13は、ソース線11の故障検査結果(オープン異常)の一例を示すタイミングチャートである。
図13に示すモニタ出力信号が、第2の判定回路105で検出される電圧レベルである。第2の期待値比較回路106は、ソース線11が正常であるときに得られるべき電圧レベルを第2の期待値E22として、第2の判定回路105で検出された電圧レベルと第2の期待値E22を比較することにより、ソース線11のオープン異常を判断する。なお、ソース線11のオープン異常の検査は、例えば映像表示中のブランキング期間の後半に行われる。
【0040】
図12に示すように、制御信号線101からの制御信号TRの電圧レベルは“HIGH”に設定される。したがって、第2のスイッチング素子102はオン状態となる。また、ソースドライバ15のスイッチSWにより、検査対象のソース線11が第2のモニタ出力信号線104に接続される。この状態で、検査対象となるソース線11に接続された第2のモニタ入力信号線103から第2のモニタ入力信号DRGBが入力される。第2のモニタ入力信号DRGBの電圧レベルは、アナロググランド端子の電圧レベルAVSSに固定される。第2のモニタ入力信号DRGBに基づく第2のモニタ出力信号Soutが、第2のモニタ出力信号線104を介して第2の判定回路105に出力される。
【0041】
図13に示すように、検査対象のソース線11にオープン異常がない場合、第2のモニタ入力信号DRGBが入力されると、第2のモニタ出力信号Soutの電圧レベルは、モニタ入力信号DRGBの電圧レベルAVSSと同等になる。
【0042】
一方、ソース線11にオープン異常が生じている場合、第2のモニタ出力信号線104に所望の電圧が印加されないので、第2のモニタ出力信号Soutの電圧レベルが所定の規格範囲(規格上限値~規格下限値)外となる。これにより、第2の期待値比較回路106は、ソース線11のオープン異常を検出することができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、ソース線11のうちのS1とS2に接続されるスイッチSWを一度にオン状態とし、一度に2本のソース線11の検査を行っている。以降、オンとなるスイッチSWを順に切り換えることにより、全ソース線11の検査が行われる。一回のブランキング期間で全ソース線11の検査が完了しない場合、次回以降のブランキング期間で残りのソース線11の検査を行う。なお、一度に検査するソース線の数は、配線数に応じて変化する。
【0044】
このように、第1の実施の形態に係る液晶表示装置LCDは、アクティブマトリクス基板1(第1の基板)、アクティブマトリクス基板1に対向して配置される対向基板2(第2の基板)、及びアクティブマトリクス基板1と対向基板2との間に封止された液晶層3を有するアクティブマトリクス方式の液晶パネルPを有する。液晶表示装置LCDは、ソース線11及びゲート線12と、画素電極13と、スイッチング素子14と、ソースドライバ15と、ゲートドライバ16と、故障検査回路100と、を有する。ソース線11及びゲート線12は、格子状に配置される。画素電極13は、ソース線11及びゲート線12によって区画された画素領域に配置される。スイッチング素子14は、画素電極13に対応して配置される。ソースドライバ15は、ソース線11を駆動する。ゲートドライバ16は、ゲート線12を駆動する。故障検査回路100は、ソース線11又はゲート線12に接続され、ソース線11又はゲート線12の検査を行う。故障検査回路100は、モニタ入力信号線111、103と、モニタ出力信号線112、104と、モニタ出力信号線112、104からの出力信号の電圧レベルを検出する判定回路114、105と、判定回路114、105からの出力と期待値E1、E2とを比較する期待値比較回路115、106と、を有する。
【0045】
液晶表示装置LCDによれば、簡易な回路構成により、液晶パネルPの故障を自己診断することができる。液晶表示装置LCDを車載用として適用する場合、ソース線11又はゲート線12の異常により、警告表示領域が表示不能となった場合に、正常な表示領域に警告表示を行う等、液晶表示装置LCDが自己診断に基づいて故障を回避できるように動作することで、フェールセーフ機能が実現される。したがって、警告灯を配置する必要がなくなり、装置コストを低減することができる。
【0046】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、液晶表示装置LCDのアクティブマトリクス基板として、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1に代えて、故障検査回路の構成が異なるアクティブマトリクス基板1Aを適用している。
【0047】
図14は、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1Aの回路構成の一例を示す図である。
図14に示すように、アクティブマトリクス基板1Aは、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1と同様に、ソース線11(データ線)及びゲート線12(走査線)と、画素電極13(サブ画素電極)と、スイッチング素子14と、ソースドライバ15と、ゲートドライバ16と、故障検査回路200と、を有する。ソース線11(データ線)及びゲート線12(走査線)は、格子状に配置される。画素電極13(サブ画素電極)は、ソース線11及びゲート線12によって区画された画素領域に配置される。スイッチング素子14は、画素電極13に対応して配置される。ソースドライバ15は、ソース線11を駆動する。ゲートドライバ16は、ゲート線12を駆動する。故障検査回路200以外の構成は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1の構成と同様であるので説明を省略する。
【0048】
故障検査回路200は、所定の配線パターンL2、L3、配線パターンL2、L3からの出力信号の電圧レベルを検出する判定回路105、205、及び判定回路105、205からの出力と期待値とを比較する期待値比較回路106、206を有する。故障検査回路200は、ソースドライバ15又はゲートドライバ16を利用して、ソース線11又はゲート線12の検査を行う。期待値比較回路106、206の比較結果は、LCDコントローラー(図示略)や、コンピューターに出力される。LCDコントローラーやコンピューターは、比較結果に基づいて、所定の処理を実行する。
【0049】
本実施の形態では、故障検査回路200は、ゲート線12の検査を行う第1の故障検査回路200A及びソース線11の検査を行う第2の故障検査回路200Bを含む。第2の故障検査回路200Bは、第1の実施の形態における第2の故障検査回路100Bと同様であるので、説明を省略する。なお、本実施の形態では、第1の故障検査回路200Aによるゲート線12のショート異常検査は、映像表示期間中に行われ、第1の故障検査回路200Aによるゲート線12のオープン異常検査は、例えば電源投入時などの映像表示期間外に行われ、第2の故障検査回路200Bによるソース線11の故障検査は、複数の映像表示期間の間のブランキング期間を利用して行われる。
【0050】
図14に示すように、第1の故障検査回路200Aは、第1の配線パターンL3、第1の判定回路205及び第1の期待値比較回路206を有する。第1の判定回路205及び第1の期待値比較回路206のうち少なくとも1方は、ゲートドライバ16に組み込まれてもよい。
【0051】
第1の配線パターンL3は、第1のモニタ入力信号線203、第1のモニタ出力信号線204、第1のスイッチング素子202、及び制御信号線201を有する。第1のモニタ入力信号線203は、ゲート線12の検査用の第1のモニタ入力信号Gin(Gin1~Gin3)を入力する。第1のモニタ出力信号線204は、第1のモニタ入力信号Ginに基づく第1のモニタ出力信号Gout(Gout1~Gout3)又はゲートドライバ16からの入力信号に基づく第1のモニタ出力信号Goutを、第1の判定回路205に対して出力する。第1のスイッチング素子202は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するトランジスターである。第1のスイッチング素子202のゲート電極は制御信号線201に接続され、ドレイン電極は第1のモニタ入力信号線203に接続され、ソース電極はゲート線12におけるゲートドライバ16の反対側に接続される。ゲートドライバ16に設けられたスイッチSWにより、第1のモニタ入力信号Ginに基づく第1のモニタ出力信号Gout又はゲートドライバ16からの入力信号に基づく第1のモニタ出力信号Goutが、第1の判定回路205に対して選択的に出力される。
【0052】
図15は、ゲート線12のショート異常を検出する場合の動作の一例を示す図である。第1の期待値比較回路206は、ゲート線12が正常であるときに得られるべき電圧レベルを第1の期待値E11として、第1の判定回路205で検出された電圧レベルと第1の期待値E11を比較することにより、ゲート線12のショート異常を判断する。なお、ゲート線12のショート異常の検査は、例えば映像表示中のゲート線12の駆動動作を利用して行われる。
【0053】
図15に示すように、制御信号線201からの制御信号TRの電圧レベルは“LOW”に設定される。したがって、第1のスイッチング素子202はオフ状態となる。この状態で、検査対象となるゲート線12に対応するゲートドライバ16から第1のモニタ出力信号線204に向けて入力信号が入力される。ゲートドライバ16からの入力信号に応じた第1のモニタ出力信号Goutが、第1のモニタ出力信号線204を介して第1の判定回路205に出力される。
【0054】
検査対象のゲート線12にショート異常がない場合、ゲートドライバ16から入力信号が入力されると、第1のモニタ出力信号Goutの電圧レベルもゲートドライバ16からの入力信号に応じた値となる。
【0055】
一方、ゲート線12にショート異常が生じている場合、第1のモニタ出力信号線204に所望の電圧が印加されないので、第1のモニタ出力信号Goutの電圧レベルが所定の規格範囲(規格上限値~規格下限値)外となる。これにより、第1の期待値比較回路206は、ゲート線12のショート異常を検出することができる。
【0056】
図16は、ゲート線12のオープン異常を検出する場合の動作の一例を示す図である。第1の期待値比較回路206は、ゲート線12が正常であるときに得られるべき電圧レベルを第1の期待値E12として、第1の判定回路205で検出された電圧レベルと第1の期待値E12を比較することにより、ゲート線12のオープン異常を判断する。なお、ゲート線12のオープン異常の検査は、例えば電源投入時など映像表示期間外に行われる。
【0057】
図16に示すように、制御信号線201からの制御信号TRの電圧レベルは“HIGH”に設定される。したがって、第1のスイッチング素子202はオン状態となる。また、ゲートドライバ16のスイッチSWにより、検査対象のゲート線12が第1のモニタ出力信号線204に接続される。この状態で、検査対象となるゲート線12に接続された第1のモニタ入力信号線203から第1のモニタ入力信号Ginが入力される。第1のモニタ入力信号Ginに基づく第1のモニタ出力信号Goutが、第1のモニタ出力信号線204を介して第1の判定回路205に出力される。
【0058】
検査対象のゲート線12にオープン異常がない場合、第1のモニタ入力信号Ginが入力されると、第1のモニタ出力信号Goutの電圧レベルは、モニタ入力信号Ginの電圧レベルと同等になる。
【0059】
一方、ゲート線12にオープン異常が生じている場合、第1のモニタ出力信号線204に所望の電圧が印加されないので、第1のモニタ出力信号Goutの電圧レベルが所定の規格範囲(規格上限値~規格下限値)外となる。これにより、第1の期待値比較回路206は、ゲート線12のオープン異常を検出することができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、ゲート線12のうちのG1~G3に接続されるスイッチSWを一度にオン状態とし、一度に3本のゲート線12の検査を行っている。以降、オンとなるスイッチSWを順に切り換えることにより、全ゲート線12の検査が行われる。なお、一度に検査するゲート線12の数は、配線数に応じて変化する。
【0061】
このように、第2の実施の形態に係る液晶表示装置LCDは、アクティブマトリクス基板1A(第1の基板)、アクティブマトリクス基板1Aに対向して配置される対向基板2(第2の基板)、及びアクティブマトリクス基板1Aと対向基板2との間に封止された液晶層3を有するアクティブマトリクス方式の液晶パネルPを有する。液晶表示装置LCDは、ソース線11及びゲート線12と、画素電極13と、スイッチング素子14と、ソースドライバ15と、ゲートドライバ16と、故障検査回路200と、を有する。ソース線11及びゲート線12は、格子状に配置される。画素電極13は、ソース線11及びゲート線12によって区画された画素領域に配置される。スイッチング素子14は、画素電極13に対応して配置される。ソースドライバ15は、ソース線11を駆動する。ゲートドライバ16は、ゲート線12を駆動する。故障検査回路200は、ソース線11又はゲート線12に接続され、ソース線11又はゲート線12の検査を行う。故障検査回路200は、モニタ入力信号線203、103と、モニタ出力信号線204、104と、モニタ出力信号線204、104からの出力信号の電圧レベルを検出する判定回路205、105と、判定回路205、105からの出力と期待値E1、E2とを比較する期待値比較回路206、106と、を有する。
【0062】
第2の実施の形態に係る液晶表示装置LCDによれば、第1の実施の形態と同様に、簡易な回路構成により、液晶パネルPの故障を自己診断することができる。液晶表示装置LCDを車載用として適用する場合、ソース線11又はゲート線12の異常により、警告表示領域が表示不能となった場合に、正常な表示領域に警告表示を行う等、液晶表示装置LCDが自己診断に基づいて故障を回避できるように動作することで、フェールセーフ機能が実現される。したがって、警告灯を配置する必要がなくなり、装置コストを低減することができる。
【0063】
[第3の実施の形態]
図17は、第3の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1Bの回路構成の一例を示す図である。
図17に示すアクティブマトリクス基板1Bは、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1に、故障検査回路100の検査を行う補助検査回路300を追加したものである。
【0064】
補助検査回路300は、ゲート線12の検査を行う第1の故障検査回路100A(第1の判定回路114、第1の期待値比較回路115)及びソース線11の検査を行う第2の故障検査回路100B(第2の判定回路105、第2の期待値比較回路106)のそれぞれに接続される。補助検査回路300を設けることにより、故障検査回路100自体の検査を行うことが可能となるので、液晶表示装置LCDの故障検出の信頼性が向上する。
【0065】
図18は、補助検査回路300の回路構成の一例を示す図である。
図18では、補助検査回路300が、第2の故障検査回路100Bの検査を行う場合について示している。なお、第1の故障検査回路100Aの検査を行う場合も、補助検査回路300には同様の構成を適用できる。
【0066】
図18に示すように、補助検査回路300は、信号発生器301及び比較回路302を有する。
【0067】
信号発生器301は、第2の期待値比較回路106が正常に動作しているか否かを検査するためのモニタ出力信号を出力する。
図18に示すように、信号発生器301とモニタ出力信号線104との間にスイッチを挿入して、モニタ出力信号線104と信号発生器301を電気的に切断可能に構成してもよい。信号発生器301から出力されるモニタ出力信号は、いかなる信号パターンでもよく、例えば、HighとLowを繰返すトグルパターンであってもよい。
【0068】
通常の故障検査(ソース線11の検査)では、第2の故障検査回路100Bに対して、検査対象であるソース線11を介してモニタ出力信号が出力されるが、第2の故障検査回路100Bの検査においては、信号発生器301から第2の故障検査回路100Bに対して、直接モニタ出力信号が出力される。信号発生器301からのモニタ出力信号は、モニタ出力信号線104を介して第2の故障検査回路100B(第2の判定回路105)に入力される。
【0069】
第2の判定回路105は、信号発生器301からのモニタ出力信号の電圧レベルを検出する。第2の期待値比較回路106は、第2の判定回路105の出力とモニタ出力信号用の期待値Emを比較する。期待値Emは、モニタ出力信号の電圧レベルを示す値であり、ソース線11の検査を行うための期待値E21、E22を生成する期待値生成回路(図示略)によって生成される。第2の期待値比較回路106の比較結果は、LCDコントローラー(図示略)や、コンピューターに出力される。LCDコントローラーやコンピューターは、比較結果に基づいて、所定の処理を実行する。
【0070】
第2の故障検査回路100Bが正常に動作していれば、第2の判定回路105の出力とモニタ出力信号用の期待値Emが一致していることを示す比較結果が出力され、第2の故障検査回路100Bが正常に動作していなければ、両者が一致していないことを示す比較結果が出力される。これにより、第2の故障検査回路100Bが正常に動作しているか否かを検出することができる。
【0071】
第2の故障検査回路100Bの異常動作が検出された場合、異常動作の要因としては、第2の期待値比較回路106の異常又は期待値Emを生成した期待値生成回路(図示略)の異常が考えられる。
【0072】
比較回路302は、モニタ出力信号用の期待値Emと、期待値Emの適否を判定するためのリファレンス用の期待値Erを比較する。リファレンス用の期待値Erは、モニタ出力信号の電圧レベルを示す値であり、期待値Emを生成する前述の期待値生成回路とは別の期待値生成回路(図示略)によって生成される。比較回路302の比較結果は、期待値比較回路106の比較結果と同様に、LCDコントローラー(図示略)や、コンピューターに出力される。
【0073】
期待値Emが正しい値であれば、モニタ出力信号用の期待値Emとリファレンス用の期待値Erが一致していることを示す比較結果が出力され、期待値Emが正しい値でなければ、両者が一致していないことを示す比較結果が出力される。これにより、期待値Emの適否、すなわち、第2の期待値比較回路106と期待値Emを生成した期待値生成回路(図示略)のいずれに異常があるかを判断することができる。
【0074】
同様にして、補助検査回路300により、第1の故障検査回路100Aが正常に動作しているか否かを判断することもできる。
【0075】
本実施の形態では、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1に、故障検査回路100の検査を行う補助検査回路300を追加した例について示したが、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板1Aに、補助検査回路300を追加することもできる。
【0076】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0077】
例えば、実施の形態では、ゲート線12の故障検査用の第1の故障検査回路100A、200Aと、ソース線11の故障検査用の第2の故障検査回路100B、200Bとを有するが、何れか一方を有するようにしてもよい。実施の形態では、ソースドライバ15、ゲートドライバ16、及び故障検査回路100、200が、液晶層3を封止するガラス基板上に実装された場合について説明したが、ソースドライバ15、ゲートドライバ16、及び故障検査回路100、200は、ガラス基板とは別の回路基板上に形成され、ガラス基板上の回路と接続された構成としてもよい。
【0078】
また例えば、第1のモニタ入力信号線111、203と第1のモニタ出力信号線112、204の組数は3組に限定されず、液晶パネルPの規格や、所要検査時間等に応じて、適宜に設計することができる。第2のモニタ入力信号線103及び第2のモニタ出力信号線104の本数も同様である。
【0079】
また、液晶表示装置LCDの故障検査は、映像表示中でなく、液晶表示装置LCDを動作させていないときに行われてもよい。例えば、液晶表示装置LCDの電源投入時に、ソース線11及びゲート線12の全部について故障検査を行った後、映像表示を開始するようにしてもよい。また例えば、液晶表示装置LCDが故障した場合に有して、いつでも故障検査を実行できる故障検査モードを有するようにしてもよい。この場合、容易に故障箇所を特定することができるので、検査工程を容易化することができる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、アクティブマトリクス方式の液晶パネルを有する液晶表示装置に有用である。
【符号の説明】
【0082】
1,1A,1B アクティブマトリクス基板(第1の基板)
2 対向基板(第2の基板)
3 液晶層
4,5 偏光板
11 ソース線
12 ゲート線
13 画素電極
14 スイッチング素子
15 ソースドライバ
16 ゲートドライバ
100,200 故障検査回路
100A,200A 故障検査回路(第1の故障検査回路)
100B,200B 故障検査回路(第2の故障検査回路)
101,201 制御信号線
102 スイッチング素子(第2のスイッチング素子)
103 モニタ入力信号線(第2のモニタ入力信号線)
104 モニタ出力信号線(第2のモニタ出力信号線)
105 判定回路(第2の判定回路)
106 期待値比較回路(第2の期待値比較回路)
111,203 モニタ入力信号線(第1のモニタ入力信号線)
112,204 モニタ出力信号線(第1のモニタ出力信号線)
113,202 スイッチング素子(第1のスイッチング素子)
114,205 判定回路(第1の判定回路)
115,206 期待値比較回路(第1の期待値比較回路)
300 補助検査回路
301 信号発生器
302 比較回路
Gin モニタ入力信号(第1のモニタ入力信号)
Gout モニタ出力信号(第1のモニタ出力信号)
LCD 液晶表示装置
L1 配線パターン(第1の配線パターン)
L2 配線パターン(第2の配線パターン)
L3 配線パターン(第1の配線パターン)
P 液晶パネル
BL バックライト
SW スイッチ
DRGB モニタ入力信号(第2のモニタ入力信号)
Sout,Sout1,Sout2 モニタ出力信号(第2のモニタ出力信号)
D1 表示画面
SM スピードメーター
TM タコメーター
WI 警告アイコン
WL 警告灯