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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】投与装置および注入装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20220121BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20220121BHJP
   A61M 5/145 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
A61M5/158 500Z
A61M5/142 522
A61M5/145 500
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019517153
(86)(22)【出願日】2017-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2017063750
(87)【国際公開番号】W WO2017211851
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】16173561.8
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルートヴィヒ ダニエル ヴァイベル
(72)【発明者】
【氏名】ザームエル ヴューラー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ エグロフ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-510776(JP,A)
【文献】特表2014-506497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61M 5/142
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を皮下投与するための注入装置(1)であって、
穿刺カニューレ(2)と
留置カニューレ(3)と
を有しており、
出発状態では、前記穿刺カニューレ(2)の遠位側の端部領域が、前記留置カニューレ(3)の内部に同心的に延在している注入装置(1)において、
前記装置(1)は、摺動可能に支持された第1のランナ(4)と第2のランナ(5)とを有しており、
前記第1のランナ(4)は前記穿刺カニューレ(2)に接続されていて、前記第2のランナ(5)は前記留置カニューレ(3)に接続されており、
前記注入装置(1)はさらに、予め規定された制御領域にわたって移動可能な制御エレメント(6)を有しており、前記制御エレメント(6)は前記第1のランナ(4)および前記第2のランナ(5)を摺動させるために、前記第1のランナおよび前記第2のランナに作用接続可能であって、
前記制御エレメント(6)は、
前記制御領域の第1の部分においては、前記両ランナ(4,5)の同方向の摺動を行わせ、ひいては前記留置カニューレ(3)の装着を行わせ、
前記制御領域の第2の部分においては、前記第2のランナ(5)のロックを、ひいては前記留置カニューレ(3)の留置位置における保持を行わせ、かつ前記第1のランナ(4)の戻し摺動を、ひいては前記留置カニューレ(3)の前記遠位側の端部領域からの前記穿刺カニューレ(2)の終端位置への引き戻しを行わせるように形成されており、
前記制御領域にわたる前記制御エレメント(6)の移動により付加的に、レバーエレメント(42)が、第1の位置から少なくとも第2の位置へと移動可能であり、
前記レバーエレメント(42)が、前記第2の位置において容器の内室から流体を搬送するための搬送装置(21)を作動させることが可能である、
ことを特徴とする、流体を皮下投与するための注入装置(1)。
【請求項2】
前記両ランナは、ガイド装置を介して、摺動可能に支持されている、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記両ランナは1つの共通の直線ガイド(11)を介して摺動可能に支持されていて、前記直線ガイド(11)は装着方向で、前記穿刺カニューレ(2)と前記留置カニューレ(3)の前記遠位側の端部領域に対して平行に方向付けられている、請求項2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記制御エレメント(6)は、所定の方向に移動可能に支持されている、請求項2または3記載の装置(1)。
【請求項5】
前記制御エレメント(6)は摺動可能なカム支持体(12)として形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記制御エレメント(6)は、前記ランナに作用する一対の合同な摺動可能なカム支持体(12,12’)として形成されている、請求項5記載の装置(1)。
【請求項7】
前記制御エレメント(6)は第1の区分(13)と第2の区分(14)とを有しており、
前記第1の区分(13)により、前記両ランナ(4,5)の同方向の摺動が、ひいては前記留置カニューレ(3)の装着が行われ、
前記第2の区分により、前記第2のランナ(5)のロックが、ひいては前記留置カニューレ(3)の留置位置での保持が行われ、かつ前記第1のランナ(4)の戻し摺動が、ひいては前記留置カニューレ(3)の前記遠位側の端部領域からの前記穿刺カニューレ(2)の終端位置への引き戻しが行われ、この場合、前記第2の区分(14)の側面(15,16)が、前記第1のランナ(4)および前記第2のランナ(5)に作用する、請求項5または6記載の装置(1)。
【請求項8】
前記第1のランナ(4)および前記第2のランナ(5)の移動は、前記制御エレメント(6)におけるカム面(10,10’,10’’,10’’’,10’’’’)によって規定されている、請求項5から7までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項9】
流体を投与するための投与装置(20)であって、
請求項1から8までのいずれか1項記載の注入装置(1)と、
前記容器の内室から流体を搬送するための搬送装置(21)と、
を含んでおり
前記流体は前記搬送装置(21)によって前記容器から投与開口(24)へと搬送可能である、投与装置(20)。
【請求項10】
前記穿刺カニューレ(2)と前記留置カニューレ(3)とは、出発位置では実質的にハウジング(7)の内側に配置されており、前記留置カニューレ(3)の装着のために、接触面(8)に設けられた装着開口(9)を通って前記ハウジング(7)から走出可能である、請求項9記載の投与装置(20)。
【請求項11】
前記搬送装置(21)は容積型ポンプとして、形成されている、請求項9または10記載の投与装置(20)。
【請求項12】
前記搬送装置(21)は、
シリンダ(25)であって、シリンダ内壁(28)に少なくとも1つの吸込開口(26)と、少なくとも1つの流出開口(27)とを備えたシリンダ(25)と、
第1のピストン(29)および第2のピストン(30)と
を有しており、
前記第1のピストン(29)と前記第2のピストン(30)とは前記シリンダ(25)の内側で長手方向摺動可能に支持されており、
前記第1のピストン(29)と前記第2のピストン(30)とは前記ピストンの端面(31,32)の間に、前記シリンダ内壁(28)の1つの区分と共に可変の流体容積室(33)を画定しており、
1のカム構造体(34)と第2のカム構造体(35)とを備えた円筒カム(18)が配置されており、
前記第1のカム構造体(34)は前記第1のピストン(29)に係合し、
前記第2のカム構造体(35)は前記第2のピストン(30)に係合し、
前記円筒カム(18)の回転の際に、前記第1のカム構造体(34)は前記第1のピストン(29)の行程運動を規定し、前記第2のカム構造体(35)は前記第2のピストン(30)の行程運動を規定する、
請求項11記載の投与装置(20)。
【請求項13】
前記吸込開口(26)は前記容器の内室に流体接続可能である、請求項12記載の投与装置(20)。
【請求項14】
前記流出開口(27)は、前記投与開口(24)に流体接続可能である、請求項12または13記載の投与装置(20)。
【請求項15】
複数の容器を有しており、各吸込開口は、各吸込開口に対応する別個の容器の内室に流体接続可能である、請求項13記載の投与装置(20)。
【請求項16】
使用者によって接続可能かつ/または互いに分離可能に形成された駆動モジュールおよび分配モジュールを有しており、
前記駆動モジュールは、回転駆動装置(36)の少なくとも一部を、かつ/または場合によっては注入装置の装着駆動装置を含み、前記分配モジュールは、少なくとも前記容器と、前記搬送装置と、場合によっては前記注入装置(1)とを含む、請求項9から15までのいずれか1項記載の投与装置(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載の形式の、特に流体を皮下投与するための投与装置、該投与装置の使用、ならびに流体を皮下投与するための注入装置に関する。これとは独立して、本発明はまた、皮下投与に対して選択的にまたは付加的に、流体の皮内投与、筋肉内投与、または腹腔内投与に適したこのような形式の投与装置もしくはこのような形式の注入装置、ならびにそれらの使用にも関する。液状形態の医薬品作用物質の投与の際には、大抵、明確に規定された容量を分配する必要がある。この場合、薬剤を患者の体に注射しなければならない場合も多い。この場合、非経口注入のために、注射器、ペン型注入器(いわゆるペン)、または薬剤ポンプが使用される。特に、比較的長期間にわたって、かつ/または正確に予め規定された計画に沿って投与されなければならない製剤では、注射器およびペン型注入器は、ますます薬剤ポンプに取って代わられている。すなわち、例えば糖尿病に罹患している患者は、著しく変動する条件のもと、1日に数回、自身でインスリン用量を投与することがしばしばである。まさにこのような用途では、薬剤ポンプの取り扱いは、注射器またはペンの取り扱いと比べて著しく制限が少ないので、薬剤ポンプの使用は患者にとっては重要な簡略化となる。
【0002】
薬剤ポンプは、設計に応じて、長期間にわたって患者の体に取り付けるのに適していて、患者に継続的に、かつ/または個別に予め規定された計画に沿って製剤を投与するのに適している。このような形式の薬剤ポンプは、通常、流体用の容器と、薬剤を装置の接続部または注入システムへと搬送する搬送装置とを有している。このような注入システムは、投与期間全体にわたって患者の体内に留まる留置カニューレを装着するのに適している。
【0003】
したがって国際公開第2014/191038号(WO 2014/191038 A1)には、流体を皮下投与するための投与装置が示されている。前記投与装置は、柔軟な留置カニューレを備えた注入装置を有しており、装着の際に留置カニューレを支持するために、この留置カニューレの内部には穿刺カニューレが同心的に延在している。装着過程で、患者にとっての投与の不快感を少なくするために穿刺カニューレは留置カニューレから引き戻される。前記投与装置は、注入装置以外にさらに、流体を収容するための内室を有する折り畳み可能な容器を有している。この容器は、無弁式の斜板ピストンポンプとして形成されている搬送装置にクロージャ部材を介して接続されている。この投与装置により、完全に自動化された患者への流体の皮下投与が可能である。
【0004】
しかしながらこの装置は、その機構に関して比較的複雑に構成されている。すなわち、搬送装置と注入装置とは完全に独立した2つのユニットである。これらはそれぞれ、多数の個別部品から形成されており、これにより製造コストが高くなり、使用の信頼性を維持するコストもかかる。
【0005】
国際公開第2009/098306号(WO 2009/098306 A1)は、穿刺カニューレを用いる留置カニューレの装着が滑子ガイドを介して行われる注入装置に関する。留置カニューレおよび穿刺カニューレの移動は、滑子ガイドを介して構造的に比較的容易かつ確実に機械的に連結されているものの、上記装置は依然として使用に比較的手間がかかる。一方では、実際の注入装置は、留置カニューレの装着後には、患者の皮膚に取り付けられたベースプレートから除去しなければならない。他方では、留置カニューレと流体源との間の流体接続が手動で形成されなければならない。したがってこの装置の自動的な使用は不可能である。上記装置は構造的にもいくつかの欠点を有している。すなわちベースプレートには、留置カニューレ用の特別な係止手段が必要である。さらに、注入装置は比較的大きな構成高さを有している。
【0006】
そこで本発明の課題は、従来技術の欠点を克服することである。
【0007】
特に本発明の課題は、多様に使用可能かつ構造的に単純な、特に流体の皮下投与のための投与装置もしくは流体の皮下投与のための注入装置を提供することである。これらの装置は機構に関して簡単に、ひいては安価に製造可能であるのが望ましい。さらに、その適用の際に使用し易く、自動化された使用が可能であり、高い信頼性を備えているのが望ましい。
【0008】
必要とあれば、本発明はまた、皮下投与に対して選択的にまたは付加的に、流体の皮内投与、筋肉内投与、または腹腔内投与に適しているのが望ましい。
【0009】
これらの課題は、独立請求項に記載の特徴を備えた投与装置もしくは注入装置により解決される。
【0010】
流体を皮下投与するための注入装置は、穿刺カニューレと留置カニューレとを含む。出発位置では、穿刺カニューレの遠位側の端部領域は留置カニューレの内部に同心的に延在している。この装置は、摺動可能に支持された第1および第2のランナを有している。第1のランナは穿刺カニューレに、第2のランナは留置カニューレに接続されている。注入装置はさらに、予め規定された制御領域にわたって移動可能な制御エレメントを有しており、この制御エレメントは第1のランナおよび第2のランナを摺動させるために、これらランナに作用接続可能である。制御エレメントは、制御領域の第1の部分では、両ランナの同方向の、特に同時の摺動を行わせ、ひいては留置カニューレの装着を行わせるように形成されている。制御エレメントはさらに、制御領域の第2の部分においては、第2のランナのロックを、ひいては留置カニューレの留置位置における保持を行わせ、かつ第1のランナの戻し摺動を、ひいては留置カニューレの遠位側の端部領域からの穿刺カニューレの終端位置への引き戻しを行わせるように形成されている。
【0011】
これとは独立して、本発明はまた、皮下投与に対して選択的にまたは付加的に、流体の皮内投与、筋肉内投与、または腹腔内投与に適したこのような形式の注入装置、ならびにそれらの使用にも関する。
【0012】
注入装置のこのような機械的な構成により、穿刺カニューレにより支援された留置カニューレの装着、およびこれに続いて行われる穿刺カニューレの引き戻しを、確実に実施することができる。この機構は、僅かな数の個別部品で形成することができ、これによりこの機構は安価に製造可能であり、確実に使用される。
【0013】
ランナは、ガイド装置を介して、好適には1つの共通のガイド装置を介して、特に直線ガイドを介して、摺動可能に支持されていてよい。1つの共通のガイド装置の使用により、注入装置の個別部品数をさらに減じることができる。特に直線ガイドにより、機構を単純化することができる。
【0014】
したがって、ランナは1つの共通の直線ガイドを介して摺動可能に支持されていてよく、直線ガイドは装着方向で、穿刺カニューレと留置カニューレの遠位側の端部領域に対して平行に方向付けられていてよい。これにより直線ガイドは、第1および第2のランナの摺動の方向だけではなく、注入装置の装着方向も規定する。したがって装着方向は予め規定されていて、装置の各用途に適合させることができる。したがってたとえば、留置カニューレが患者の皮下で実質的に垂直に装着されるように、注入装置を設計することもできる。
【0015】
制御エレメントは、所定の方向に、特に、直線ガイドの方向に対して実質的に垂直に移動可能に、特に摺動可能に、支持されていてよい。これにより、制御エレメントから第1および第2のランナへの最適な力の伝達が両方向で可能とされる。
【0016】
制御エレメントは、摺動可能なカム支持体として形成されていてよい。カム支持体は、連続的に微分可能な関数を介して表すことができる殆ど全ての移動を規定することができるという利点を有している。
【0017】
制御エレメントは、両側でランナに作用する一対の合同な摺動可能なカム支持体として形成されていてよい。これにより、力を特に効果的に制御エレメントからランナに伝達することができる。力の伝達が両側で行われるので、同時にトルクがランナに伝達されるのを阻止することができる。これにより、ガイド装置におけるランナの傾斜を阻止することができる。
【0018】
制御エレメントは、第1の区分と第2の区分とを有していてよい。第1の区分は、両ランナの同方向の、特に同時的な摺動を、ひいては留置カニューレの装着を行わせることができる。第2の区分は、第2のランナのロックを、ひいては留置カニューレの留置位置における保持を行わせ、かつ第1のランナの戻し摺動を、ひいては留置カニューレの遠位側の端部領域からの穿刺カニューレの終端位置への引き戻しを行わせることができる。この場合、特に、第2の区分の異なる側が、第1のランナと第2のランナとに作用することができる。制御エレメントを2つの区分に分割することにより、制御エレメントをそのジオメトリに関して特に簡単に構成することができる。第1のランナおよび第2のランナの移動を、制御エレメントに設けられたカム面により規定することができる。
【0019】
制御エレメントは、ばねエレメントを介して、特に圧縮コイルばねを介して予荷重をかけられていてよい。これにより、構造的に簡単に、制御エレメントの自動的な摺動を行わせることができ、このために別個の駆動装置は不要である。
【0020】
しかしながら、制御エレメントは、ねじ伝動装置を介して、特にスピンドル駆動装置を介して移動可能であってもよい。これにより制御エレメントを、回転駆動装置によって容易に、必要な減速比で移動させることができる。
【0021】
しかしながら、制御エレメントは円筒カムを介して移動可能であってもよく、かつ/またはばね予荷重に抗して保持可能であってよい。ねじ伝動装置とは異なり、円筒カムは、制御エレメントの複雑な移動経過を実施することができる。したがって例えば、円筒カムは最初は、制御エレメントが解放されて、ばね予荷重により移動可能となるまでは、予め規定された角度だけ回転しなければならないことが考えられる。制御エレメント自体の場合と同様に、円筒カムにより原則的に、連続的に微分可能な関数により記述可能な全ての移動を実現することができる。したがって例えば、制御エレメントが円筒カムによって、制御領域の異なる部分において異なる方向または異なる速度で駆動されて移動させられることが考えられる。
【0022】
第2のランナは保持板として形成されてよい。保持板は、射出成形部品と比較してより簡単に製造可能であるという利点を有している。さらに、保持板は同じ厚さの場合には、より大きな機械的耐荷重性を有している。したがって、比較的平坦に形成することができ、これにより注入装置の全構造高さを減じることができる。さらに保持板は、所望の場合には、所定のばね作用を発揮することができる。
【0023】
穿刺カニューレから留置カニューレへの移行部はシール部材によりシールされていてよい。シール部材は、留置位置で、特に投与装置の壁区分と第2のランナとによって圧潰され得る。これにより、穿刺カニューレから留置カニューレへの特に流体密な移行部を得ることができる。注入装置のこのような構成は、この装置のその他の特徴に関係なく実現することもできることは勿論である。
【0024】
留置カニューレは、フランジ、または増大された壁厚を有したフランジ状の領域を有していてよい。このフランジもしくはフランジ状の領域は、留置位置で、特に投与装置の壁区分と第2のランナとによって圧潰され得る。これにより留置カニューレの保持を行うことができる。投与装置が患者の皮膚から除去され、留置カニューレがとりわけ患者の皮膚から引き抜かれる場合に、このことは特に重要であり得る。すなわちこれにより、留置カニューレの意図に反した引っかかりを回避することができる。
【0025】
穿刺カニューレは中空ニードルとして形成されていてよい。このような構成により、穿刺カニューレは管路機能と穿通機能とを同時に請け負うことができる。この場合、穿刺カニューレは一体的に一貫して、特に鋼から形成されていてよい。これにより、異なる管路区分間のシール問題を回避することができる。穿刺カニューレの近位側の端部領域は、定置かつ堅固に配置されていてよい。これにより、例えば搬送装置との流体密な接続を容易に保証することができる。特に、穿刺カニューレの遠位側の端部領域は、終端位置では、留置カニューレの近位側の端部領域に留まっていてよい。これにより、穿刺カニューレから留置カニューレへの流体移行が構造的に簡単に可能となる。特に、終端位置では、穿刺カニューレと留置カニューレとによって、特に流体を皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、または腹腔内投与するための流体経路を形成することができる。
【0026】
第2のランナのロックが、ひいては留置カニューレの留置位置での保持が、単に制御エレメントの第2のランナへの作用によってのみ、特に押圧力を加えることによってのみ行われてよい。これにより、注入装置はさらに構造的に簡単に形成される。留置カニューレの保持のための付加的な手段、例えば係止エレメントの使用は省略される。
【0027】
制御領域にわたる制御エレメントの移動により付加的に、特に制御エレメントの付加的なカム面によって、レバーエレメントが、第1の位置から少なくとも第2の位置へと移動可能であって、ひいては特に回転軸が回転可能であってよい。これにより、制御エレメントによって別の機能をコントロールすることができる。例えば、留置カニューレの装着後に、弁装置または搬送装置を作動させ、これにより投与すべき液体を注入装置へと導入できることが考えられる。これにより、このような装置の信頼性が高まり、使用者による誤操作を発生しにくくさせる。
【0028】
本発明の別の態様は、流体を特に皮下投与するための投与装置に関する。前記の投与装置は、容器の内室から流体を搬送するための搬送装置を含んでいてよい。この場合、流体は搬送装置によって容器から分配開口へと搬送可能である。この投与装置は、ハウジングを含んでいてよく、このハウジングは、特に患者の体にこの装置を取り付けることができる、外面の接触面を有している。これによりこの投与装置は、特に動ける患者における予め規定された計画にしたがった、かつ/または比較的長期にわたる流体の投与に適している。
【0029】
これとは独立して、本発明はまた、皮下投与に対して選択的にまたは付加的に、流体の皮内投与、筋肉内投与、または腹腔内投与に適したこのような形式の投与装置、ならびにそれらの使用にも関する。
【0030】
このような形式の投与装置は、上述したような注入装置を含むことができる。したがって、穿刺カニューレと留置カニューレとは、出発位置では実質的にハウジングの内側に配置されていてよく、留置カニューレの装着のために、接触面に設けられた装着開口を通ってハウジングから走出可能であってよい。これにより特に、投与装置が患者の体に取り付けられている場合、留置カニューレの装着は全自動で行うことができる。これにより、患者による装置の取り扱いは容易になる。
【0031】
注入装置のランナは、ガイド装置を介して、好適には1つの共通のガイド装置を介して、特に直線ガイドを介して、摺動可能に支持されているならば、ガイド装置は、ハウジングの一体の構成部分であってよい。これにより投与装置をより簡単に製作することができる。
【0032】
搬送装置は、容積型ポンプとして、好適には無弁式のピストンポンプとして、より好適には無弁式のダブルピストンポンプとして、形成されていてよい。ピストンポンプによって、例えば蠕動ポンプによる場合よりも高い圧力を得ることができるので、まさにピストンポンプの使用はこの関連で好適である。無弁式の構成により、搬送される流体の汚染をより容易に阻止することができる。ダブルピストンポンプは、無弁式の構成のために特に良好に適している。さらに、このようなポンプの形式は、実現可能な使用に関して大きな多様性を提供する。さらに、作用物質としてバイオポリマをベースとしている医薬製剤ではまさに、搬送装置によって生じる剪断力により、作用物質の分解が生じる恐れがある。このような不都合な作用は、上記ポンプの使用によりほぼ回避することができる。
【0033】
したがって搬送装置は、シリンダ内壁に少なくとも1つの吸込開口と、少なくとも1つの流出開口とを備えたシリンダと、第1のピストンおよび第2のピストンとを有していてよい。第1のピストンおよび第2のピストンは、シリンダ内側に、長手方向摺動可能に支持されていてよい。この場合、第1のピストンおよび第2のピストンは、シリンダ内壁の一区分と共に、その端面の間に可変の流体容積室を画定することができる。特に、シリンダの側方に平行に、第1および第2のカム構造体を備えた円筒カムが配置されていてよい。第1のカム構造体は第1のピストンに、第2のカム構造体は第2のピストンに作用接続することができる。円筒カムの回転の際には、第1のカム構造体は第1のピストンの行程運動を規定することができ、第2のカム構造体は第2のピストンの行程運動を規定することができる。ダブルピストンポンプの使用により、両ピストンの特に簡単かつ効果的な制御を行うことができる。特に円筒カムがダブルピストンポンプのシリンダの側方に平行に配置されている場合には、特に省スペースでコンパクトな構成が得られる。
【0034】
カム構造体は、溝として、または突起として形成されてよい。これにより、円筒カムからダブルピストンポンプのピストンへの特に効果的な力の伝達を得ることができる。円筒カムは、回転駆動装置によって駆動可能であってよい。回転駆動装置は、特に円筒カムの内側に配置された遊星歯車伝動装置を含んでいてよい。円筒カムの内側に遊星歯車伝動装置が配置されていることにより、装置のコンパクト性がさらに高められる。
【0035】
吸込開口と流出開口とは長手方向でずらされてシリンダに配置されていてよい。これは、ダブルピストンポンプの特に好適な構成である。吸込開口は容器の内室に流体接続可能であってよい。さらに、流出開口は、投与開口に、特に穿刺カニューレの近位側の端部領域に流体接続可能であってよい。
【0036】
このような投与装置は容器を有していてよく、この容器は好適には、折り畳み可能な袋、注射器、またはカートリッジとして形成されている。この容器は、搬送装置を通して空気を吸い込むことなく、重力に対する向きに関係なく、この容器から液体を搬送可能であるという利点を有している。このことは、投与装置が患者の体に取り付けられている場合に、特に好適である。
【0037】
搬送装置は少なくとも1つの別の開口、特に長手方向でずらされてシリンダに配置されている吸込開口および/または流出開口を有していてよい。これにより、搬送装置によって複数の別の機能を実現することができる。例えば、凍結乾燥物の還元のために、搬送装置に1つ以上の別の容器を接続することができる。さらに、搬送装置に、例えば分析装置を接続し、調剤物が患者に投与される前に、留置カニューレによって吸い込まれた体液の分析を最初に、この分析装置によって実施することも考えられる。またさらに、投与された流体の分析を行うことも考えられる。
【0038】
投与装置は、使用者によって接続可能、かつ/または互いに分離可能に形成されている駆動モジュールと分配モジュールとを有していてよい。駆動モジュールは、回転駆動装置の少なくとも一部を、かつ/または場合によっては注入装置の装着駆動装置を含んでいてよい。分配モジュールは、少なくとも容器および搬送装置を、さらに場合によっては注入装置を有していてよい。駆動モジュールはさらに、駆動装置に供給するためのバッテリ、ならびに装置を、特に駆動装置を制御するための制御ユニットも含んでいてよい。駆動モジュールには通信手段も設けられていてよく、この通信手段を介して外部の操作ユニットを制御ユニットに接続することができる。
【0039】
駆動モジュールと分配モジュールとは、駆動装置が相応の連結手段を介して簡単に直接的にまたは間接的に搬送装置および/または注入装置に連結可能であるように構成されていてよい。このためには例えば、形状接続的なかつ/または摩擦接続的な、プラグ式カップリングを使用することができる。両モジュールは簡単な交換のために、例えばスナップ式カップリングを介して互いに連結可能かつ/または分離可能であってよい。
【0040】
これは、衛生に関係ない構成要素を含む駆動モジュールを、最初の使用前に、殺菌したりクリーンルームにおいて組み立てたりする必要がないという利点を有している。これにより装置の製造コストもしくは購入コストを低減することができる。さらに、駆動モジュールは問題なく再利用可能であるので、これにより投与装置の運転コストも減じられる。さらにこのような構成は、構造的に改造する場合に、より柔軟性を提供する。全体的に衛生に関連する構成要素を含む分配モジュールは確かに殺菌しなければならない。しかしながら、分配モジュールは過剰に複雑な構成要素を含んでいないので、僅かなコストで製造可能であり、一度の使用後に廃棄することができる。駆動モジュールと分配モジュールとが接続可能に、かつ/または互いに分離可能に構成されているので、使用者による分配装置の使用は依然として簡単なままであると考えられる。その結果として、操作の容易性および患者の安全性を維持しながら、投与装置の購入コストおよび運転コストを下げることができる。
【0041】
本発明はさらに、特に流体を皮下投与するための上記説明した投与装置の使用に関する。
【0042】
本発明のさらなる利点および個々の特徴は、以下の実施例の説明および図面により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明による投与装置の斜視図である。
図2】本発明による投与装置の断面を含む、図1と同様の図である。
図3】本発明による投与装置の別の断面を含む、図1および図2と同様の図である。
図4】部分拡大図で示した本発明による投与装置のさらに別の断面を含む、図1図3と同様の図である。
図5】本発明による注入装置の留置カニューレを装着するステップ順で示す投与装置の平面図である。
図6図5の注入装置を示す立体図である。
図7】本発明による注入装置の留置カニューレを装着するステップ順で示す投与装置の平面図である。
図8図7の注入装置を示す立体図である。
図9】本発明による注入装置の留置カニューレを装着するステップ順で示す投与装置の平面図である。
図10図9の注入装置を示す立体図である。
図11】本発明による注入装置の留置カニューレを装着するステップ順で示す投与装置の平面図である。
図12図11の注入装置を示す立体図である。
図13】本発明による注入装置の留置カニューレを装着するステップ順で示す投与装置の平面図である。
図14図13の注入装置を示す立体図である。
図15】本発明による注入装置の留置カニューレを装着するステップ順で示す投与装置の平面図である。
図16図15の注入装置を示す立体図である。
図17】本発明による注入装置の留置カニューレを装着するステップ順で示す投与装置の平面図である。
図18図17の注入装置を示す立体図である。
図19】留置位置にある留置カニューレを有した本発明による投与装置の斜視断面図である。
図20】注入装置と搬送装置とを備えた本発明による投与装置の斜視図である。
図21】本発明による投与装置の搬送装置の斜視図である。
図22図21に示した図の断面図である。
図23】第1の作動位置にある本発明による投与装置の部分領域を示す平面図である。
図24】第2の作動位置にある投与装置を示す図23と同様の図である。
図25】本発明による注入装置の選択的な実施例の留置カニューレを装着するステップ順で示す斜視図である。
図26】本発明による注入装置の選択的な実施例の留置カニューレを装着するステップ順で示す斜視図である。
図27】本発明による注入装置の選択的な実施例の留置カニューレを装着するステップ順で示す斜視図である。
図28】本発明による注入装置の選択的な実施例の留置カニューレを装着するステップ順で示す斜視図である。
【0044】
図1には、本発明による投与装置20が示されていて、この場合、見易さのために、円筒カム18と回転駆動装置36とを備えた注入装置1のみが示されている。搬送装置21と、例えば制御ユニットまたはバッテリのような、投与装置20の別の構成要素は、見易さのために図示されていない。投与装置20はハウジング7を有していて、ハウジングの下面は、装置20を患者に取り付けるための接触面8を成している。注入装置1は制御エレメント6を含み、この制御エレメント6は第1のランナ4と第2のランナ5とに作用接続可能である。制御エレメント6は、ばねエレメント17を介して予荷重をかけられている。しかしながら制御エレメントは、円筒カム18により予荷重に抗して保持されている。
【0045】
図2に示した断面図では、第1のランナ4と第2のランナ5とがガイドされている直線ガイド11が見えている。図3には制御エレメント6が示されている。制御エレメントが、摺動可能な合同の一対のカム支持体12,12’として形成されていることがわかる。前側のカム支持体12のうち両区分13と14とが見えている。
【0046】
図4には、注入装置1を有する投与装置の部分領域が拡大されて示されている。断面は、図2および図3よりもさらに後方へとずらされているので、この断面は長手方向で、穿刺カニューレ2および留置カニューレ3を通って延在している。断面は制御エレメント6も通って延在しているので、今や後側のカム支持体12’の両区分13’と14’が見えている。穿刺カニューレ2が、注入装置1の出発位置では長手方向で留置カニューレ3の内側に延在していることがわかる。ハウジング7の下面には、接触面8を貫通する装着開口9が設けられている。第2のランナ5は保持板として形成されていて、この保持板には、装着(穿刺)カニューレ2と留置カニューレ3との間の移行部をシールするシール部材19が取り付けられている。
【0047】
図5および図6は、出発位置にある注入装置1を示している。円筒カム18はまだ回転運動を行っていない。図6によれば、カム支持体12の第1の区分13もしくは第2のカム支持体12’の第1の区分13’はまだ、第1のランナ4および第2のランナ5に作用接続していない。
【0048】
図7および図8は、装着過程開始時の注入装置1を示している。円筒カム18は既に数度だけ回転している。今や、カム支持体12,12’の第1の区分13,13’は第2のランナ5と作用接続している。
【0049】
図9および図10は、実際の装着過程の間の注入装置1を示している。図9により、円筒カム18が今や、制御エレメント6をばねエレメント17の予荷重に抗してそれ以上保持しないところまで回転されたことがわかる。したがって制御エレメント6は自由に移動することができ、これによりカム支持体12,12’の第1の区分13,13’は、第1のランナ4および第2のランナ5を下方に押す。
【0050】
図11および図12には、第1のランナ4と第2のランナ5とが下側のストッパ点に達している。これにより穿刺カニューレ2は装着されている。図11によれば、制御エレメント6がまずはその距離の約半分を進み、ばねの予荷重によりさらに摺動されることがわかる。
【0051】
図13および図14では、第1のランナ4と第2のランナ5とが今やカム支持体12,12’の第2の区分14,14’と作用接続している。この場合、第2の区分14,14’の上面15もしくは15’が、第1のランナ4に作用し、これにより装着カニューレ2は留置カニューレ3から上方に向かって引き戻される。第2のランナ5には、第2の区分14,14’の下面16もしくは16’が作用する。これにより、第2のランナ5がロックされ、ひいては留置カニューレ3がその留置位置に到る。
【0052】
図15および図16は、留置カニューレ3からの装着カニューレ2の上方への引き戻しを示している。この場合も、第1のランナ4は、第2の区分14,14’の上面15もしくは15’によって上方に向かって押される。
【0053】
図17および図18では、制御エレメント6が円筒カム18のストッパに到達している。制御エレメント6はそれ以上はばねエレメント17によって動かされることはない。第1のランナ4がその終端位置に到達し、第2のランナ5は、ひいては留置カニューレ3は依然として留置位置でロックされていることがわかる。
【0054】
図19は、投与装置20における終端位置にある注入装置1の断面図を示している。留置カニューレ3は装着開口9から突出しており、穿刺カニューレ2は実質的に引き戻されている。さらにシール部材19が、第2のランナ5および装置20のハウジング7によって圧潰されていることがわかる。これにより、装着カニューレ2から留置カニューレ3への移行部分の良好なシールが達成され得る。
【0055】
図20は、本発明による投与装置20の立体図を示しているが、この図では搬送装置21も示されている。円筒カム18が、注入装置1と搬送装置21とに作用接続されることがわかる。したがって円筒カム18は、注入装置1の制御と、搬送装置21の駆動とのために同時に働く。穿刺カニューレ2の近位の端部領域は、搬送装置21の出口開口27に流体接続されている。
【0056】
図21には、円筒カム18と回転駆動装置36とに組み合わされた搬送装置21が単独で示されている。搬送装置21は、シリンダ25とピストン29および30とを備えたダブルピストンポンプとして構成されていることがわかる。ピストン29および30にはそれぞれフォーク状のエレメント22および23が取り付けられていて、これらエレメントには円筒カム18の突起状のカムエレメント34および35が係合する。
【0057】
図22は、図21に相当する図を、シリンダ25の長手方向中心軸線に沿った断面図で示している。ピストン29および30が、その端部領域でシール部材37および38を備えていることがわかる。ピストン29および30の端面31および32は、シリンダ25の内壁28と共に、可変の流体容積室33を形成する。搬送装置21の入口開口26と出口開口27とは、長手方向でずらされてシリンダ25に設けられている。
【0058】
図23および図24は、装着過程前および装着過程後の本発明による投与装置の部分領域の平面図を示す。装着過程は、円筒カム18の回転を介して回転駆動装置36により作動されることがわかる。しかしながら制御エレメント6の摺動は主として、ばねエレメント17の予荷重により行われる。円筒カム18の回転によりさらに、シリンダ25の内側でピストン29および30の長手方向の摺動が行われる。
【0059】
図25図28には、本発明による注入装置1の選択的な実施例が示されている。図25では、上記装置1が出発位置で示されている。制御エレメント6は、この場合圧縮コイルばねとして形成されているばねエレメント17を介して予荷重をかけられている。制御エレメント6は、ストッパプレート39上に載置されたストッパエレメント38によって予荷重に抗して保持されている。作動ボタン37の(矢印方向の)操作により、ストッパプレート39は、制御エレメント6の摺動方向に対して垂直な方向に摺動される。これによりストッパエレメント38は、ストッパプレート39に設けられた凹部40を通ってスライドし、実際の装着過程が作動される。
【0060】
図25には付加的に、カム支持体12のカム面10,10’,10’’,10’’’,10’’’’が記載されていて、これらのカム面は、制御領域にわたる第1のランナ4および第2のランナ5の移動を規定する。
【0061】
図25図28には、注入装置1の一部しか示されていない。図示されていない部分は、図1図25に示した部分に通常は相応する。特に、(図25では単に破線で示されている)直線ガイド11は、上記図面に示した直線ガイド11と実質的に同一である。
【0062】
図26では、制御エレメント6は既に、制御領域の第1の部分を介して摺動されている(矢印方向)。これにより面10’’’’によって両ランナ4,5の同時同方向の摺動がもたらされ、ひいては穿刺カニューレ2を用いた留置カニューレ3の装着が行われている。
【0063】
制御エレメント6の摺動中は、圧縮コイルばね17が伸張することは勿論である。しかしながら図面技術的理由により、圧縮コイルばねは図25図28で常に圧縮状態で示されている。
【0064】
図27は、制御領域の第2の部分を介して制御エレメント6が摺動されることを示している。この場合、一方では、保持板として形成された第2のランナ5のロックが、ひいては、留置位置での留置カニューレ3の保持が、単に制御エレメント6のカム面10による作用によって、特に下方への押し付けによって得られる。また他方では、カム面10’’によって、留置カニューレ3の遠位側の端部領域からの穿刺カニューレ2の引き戻しが行われる。
【0065】
制御エレメント6は付加的なカム面41を有していて、このカム面は、制御領域の第2の部分でレバーエレメント42に作用する。これによりレバーエレメント42は、図27に示した第1の位置から、図28に示した第2の位置へ移動可能であり、これにより回転軸43が回転する。これにより制御エレメント6は、相応の装置の、例えば投与装置の別の機能をコントロールすることができる。したがって、注入装置の流体を導くために、弁装置または搬送装置の作動を実現させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図25
図26
図27
図28