IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッドの特許一覧

特許7012719パターン照明を用いて試料を特徴付ける方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】パターン照明を用いて試料を特徴付ける方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20220204BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N21/01 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019525901
(86)(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2017061392
(87)【国際公開番号】W WO2018089935
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2019-08-09
(31)【優先権主張番号】62/421,951
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスマン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】リストル,ルートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,ベンジャミン エス.
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-223676(JP,A)
【文献】特開2010-060519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0310990(US,A1)
【文献】特表2000-502472(JP,A)
【文献】特開2007-179770(JP,A)
【文献】特表2015-533429(JP,A)
【文献】特開2011-149832(JP,A)
【文献】特開平07-280814(JP,A)
【文献】特表2013-501937(JP,A)
【文献】特表2006-505788(JP,A)
【文献】特表2012-504252(JP,A)
【文献】特表2014-501386(JP,A)
【文献】特開2012-226179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0241209(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0178578(US,A1)
【文献】特開2015-084055(JP,A)
【文献】特表2001-521205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
G02B 21/00-21/36
G02B 26/00-26/12
G02F 1/29-1/335
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の入った試料容器を受け入れるように構成された撮像位置と、
該撮像位置に隣接して配置された画像取得装置と、
前記撮像位置に隣接して配置され、前記撮像位置のバックライトを提供するように構成されると共にパターンを表示するように構成された照明パネル装置とを備え、
前記照明パネル装置は、光源と、前記パターンを生成するように構成されたパターン発生器とを備え、該パターン発生器が、該当領域の光を遮断するようにそれぞれが独立して制御可能な複数のセグメントからなるマルチセグメント液晶ディスプレイパネルにより構成され、
前記マルチセグメント液晶ディスプレイパネルは、上側セグメント、下側セグメント、及びこれら上側セグメント及び下側セグメントの間の中央セグメントを有し、
前記中央セグメントがさらに、縦方向に延伸した所定幅のセグメントを複数有し、該所定幅のセグメントが幅変動パターン、位置変動パターン、線数変動パターン又は制限照明領域パターンを生成するために使用される、特徴付け装置。
【請求項2】
試料の入った試料容器を受け入れるように構成された撮像位置と、
該撮像位置に隣接して配置された画像取得装置と、
前記撮像位置に隣接して配置され、前記撮像位置のバックライトを提供するように構成されると共にパターンを表示するように構成された照明パネル装置とを備え、
前記照明パネル装置は、光源と、前記パターンを生成するように構成されたパターン発生器とを備え、該パターン発生器が、該当領域の光を遮断するようにそれぞれが独立して制御可能な複数のセグメントからなるマルチセグメント液晶ディスプレイパネルにより構成され、
前記マルチセグメント液晶ディスプレイパネルは、上側セグメント、下側セグメント、及びこれら上側セグメント及び下側セグメントの間の中央セグメントを有し、
前記中央セグメントがさらに、横方向に延伸した所定幅のセグメントを複数有し、該所定幅のセグメントが高さ変動パターン、位置変動パターン、線数変動パターン又は制限照明領域パターンを生成するために使用される、特徴付け装置。
【請求項3】
前記マルチセグメント液晶ディスプレイパネルは、前記中央セグメントの両側にさらに右側セグメントと左側セグメントとを有する、請求項1又は2に記載の特徴付け装置。
【請求項4】
試料の入った試料容器を受け入れるように構成された撮像位置と、
該撮像位置に隣接して配置された画像取得装置と、
前記撮像位置に隣接して配置され、前記撮像位置のバックライトを提供するように構成されると共にパターンを表示するように構成された照明パネル装置とを備え、
前記照明パネル装置は、光源と、前記パターンを生成するように構成されたパターン発生器とを備え、該パターン発生器が、該当領域の光を遮断するようにそれぞれが独立して制御可能な複数のセグメントからなるマルチセグメント液晶ディスプレイパネルにより構成され、
前記マルチセグメント液晶ディスプレイパネルは、縦方向に延伸した所定幅のセグメントを複数有し、該所定幅のセグメントが幅変動パターン、位置変動パターン、線数変動パターン又は制限照明領域パターンを生成するために使用される、特徴付け装置。
【請求項5】
試料の入った試料容器を受け入れるように構成された撮像位置と、
該撮像位置に隣接して配置された画像取得装置と、
前記撮像位置に隣接して配置され、前記撮像位置のバックライトを提供するように構成されると共にパターンを表示するように構成された照明パネル装置とを備え、
前記照明パネル装置は、光源と、前記パターンを生成するように構成されたパターン発生器とを備え、該パターン発生器が、該当領域の光を遮断するようにそれぞれが独立して制御可能な複数のセグメントからなるマルチセグメント液晶ディスプレイパネルにより構成され、
前記マルチセグメント液晶ディスプレイパネルは、横方向に延伸した所定幅のセグメントを複数有し、該所定幅のセグメントが高さ変動パターン、位置変動パターン、線数変動パターン又は制限照明領域パターンを生成するために使用される、特徴付け装置。
【請求項6】
前記マルチセグメント液晶ディスプレイパネルは、前記縦方向又は横方向に延伸した所定幅のセグメントの両側にさらに右側セグメントと左側セグメントとを有する、請求項4又は5に記載の特徴付け装置。
【請求項7】
前記照明パネル装置の光源が、スペクトルを切り替え可能な光源である、請求項1~6のいずれか1項に記載の特徴付け装置。
【請求項8】
前記スペクトルを切り替え可能な光源は、白色光、赤色光、緑色光、青色光、紫外光、近赤外光、及び赤外光のうちの2つ以上の間で切り替え可能である、請求項7に記載の特徴付け装置。
【請求項9】
前記照明パネル装置が、
第1の側面と第2の側面とを含むフレームと、
前記第1の側面及び前記第2の側面に沿って配置された複数の個別光源を有する前記光源と、
前記複数の個別光源に隣接して配置された導光板と、
該導光板の前に配置された前記パターン発生器とを備えている、請求項1~8のいずれか1項に記載の特徴付け装置。
【請求項10】
前記パターン発生器の前に配置されたマスクと拡散板とをさらに備えている、請求項9に記載の特徴付け装置。
【請求項11】
試料の入った試料容器を撮像位置に搬送する試料キャリアと、
前記撮像位置に隣接して配置され、前記撮像位置のバックライトを提供するように構成されると共にパターンを表示するよう構成された、請求項1~10のいずれか1項に記載の照明パネル装置と、
前記試料容器及び試料を通した撮像で前記撮像位置における前記パターンの画像を取得するように構成された画像取得装置とを備えた特徴付け装置。
【請求項12】
前記試料の入った試料容器及び前記照明パネル装置の少なくとも前面を収容する筐体を備え、前記パターンが、前記筐体内の迷光の量を低減するように作用する制限照明領域パターンである、請求項11に記載の特徴付け装置。
【請求項13】
試料容器と試料のいずれか又は両方を特徴付ける方法であって、
試料を入れた試料容器を受け入れるように構成された撮像位置を設け、
該撮像位置に隣接して1つ以上の画像取得装置を設け、
前記撮像位置のバックライトを提供すると共にパターンを表示するように構成された、請求項1~10のいずれか1項に記載の照明パネル装置を設け、
前記1つ以上の画像取得装置で、前記照明パネル装置による前記パターンの画像を取得する、ことを含む方法。
【請求項14】
前記試料の、散乱特性、透過特性、吸収特性、屈折率、及び流体濁度のうちの1つ以上を判定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
干渉物質の存在を判定することを含み、該干渉物質は、前記試料に含まれる溶血、黄疸、及び脂肪血症のうちの1つ以上である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記試料中のアーチファクトの存在を判定することを含み、該アーチファクトは、血塊、泡、及び泡沫のうちの1つ以上からなる、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記パターンの画像の取得は、前記試料容器と試料のいずれか又は両方を通して行う、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記パターンの参照画像を1つ以上取得することを含む、請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2016年11月14日出願の米国仮特許出願62/421,951の優先権を主張し、該出願の全内容は本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、生物試料を特徴付ける方法及び装置に関し、より詳細には、試料容器やその内容物を特徴付ける方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動検査システムは、尿、血清、血漿、間質液、脳脊髄液などの生体試料中の分析対象物質又は他の成分を同定するために、1つ以上の試薬を使用して臨床化学又はアッセイ(分析)を行うことができる。便宜上及び安全上の理由から、これらの試料は試料容器(例えば、採血管)に収容される。アッセイ又は検査の反応が、試料中に存在する分析対象物質又は他の成分の濃度を決定するために読み取られたり操作されたりする、様々な変化を生じる。
【0004】
自動検査技術の改善は、ラボラトリオートメーションシステム(LAS)の一部をなす、バッチ調製、試料成分を分離する試料遠心分離、試料の利用を円滑にするキャップ除去などの自動化分析前サンプル調製及び取り扱い操作における相応の進歩を伴ってきた。LASは、キャリア(搬送器)上のバーコード付試料容器に含まれた試料を、複数の自動化分析前試料処理ステーション、並びに臨床化学分析器かアッセイ機器又はその両方(本明細書ではまとめて「分析器」と呼ぶ)を含む分析ステーションに、自動的に搬送する。
【0005】
LASは各種サイズ及びタイプの試料容器を全て取り扱うことができ、また、それらを混ぜ合わせることもできる。試料容器は、1つ以上のバーコードラベルを備える。バーコードラベルは、検査指示及び他の情報と共に病院のラボラトリインフォメーションシステム(LIS:検査室情報システム)に入力される人口統計学的情報と相関させた受入番号を含む。オペレータがバーコード付試料容器を、ラックなどLAS内に配置し、そしてキャリアが、遠心分離、キャップ除去、及びアリコート準備など(全てLASの一部をなす1つ以上の分析器による臨床分析又はアッセイを実際に受ける前に行われる)の分析前操作のために、試料容器を自動的に搬送する。場合によっては、試料容器に貼り付けられた1つ以上のバーコードラベルが、少なくともいくつかの視点からの試料の視認を不明瞭にすることがある。
【0006】
検査によっては、分画(例えば遠心分離)によって全血から得られた試料の血清又は血漿成分の所定量を吸引して使用する。場合によっては、沈降した血液成分を血清又は血漿成分から分離し易いように、ゲルセパレータを試料容器に加えてもよい。分画及びその後のキャップ除去処理の後、試料容器は分析器へ搬送され、分析器が、試料容器から吸引によって血清又は血漿成分を抽出し、該血清又は血漿成分を反応容器(例えばキュベット)内の1つ以上の試薬と組み合わせる。次いで分析測定が、多くの場合は、例えば、問い合わせ(インテロゲート)放射のビームを使用して、又は、測光や蛍光吸収の読み取り値などを使用することによって、実行される。測定は終点、速度、又は他の値の判定を可能にし、これから、試料中の分析対象物質又は他の成分の濃度が、周知の技術を使用して判定される。
【0007】
しかし、さらなる検査タイプの自動化が模索されている。また、既存の検査システムでは不十分な側面もいくつかある。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、特徴付け装置が提供される。この特徴付け装置は、試料の入った試料容器を保持するように構成された撮像位置と、該撮像位置に隣接して配置された画像取得装置と、前記撮像位置に隣接して配置され、前記撮像位置のバックライトを提供するように構成されると共にパターンを表示するように構成された照明パネル装置とを含む。
その照明パネル装置は、光源と、前記パターンを生成するように構成されたパターン発生器とを備え、該パターン発生器が、該当領域の光を遮断するようにそれぞれが独立して制御可能な複数のセグメントからなるマルチセグメント液晶ディスプレイパネルを含む。
【0009】
別の態様によって、特徴付け装置が提供される。この特徴付け装置は、試料の入った試料容器を撮像位置に配置する試料キャリアと、前記撮像位置に隣接して配置され、前記撮像位置のバックライトを提供するように構成されると共にパターンを表示するように構成された、上記の照明パネル装置と、試料容器及び試料を通して撮像することで、前記撮像位置において前記パターンの画像を取得するように構成された画像取得装置とを含む。
【0010】
別の態様によれば、試料容器と試料のいずれか又は両方を特徴付ける方法が提供される。この方法は、試料の入った試料容器を保持するように構成された撮像位置を設け、該撮像位置に隣接させて1つ以上の画像取得装置を設け、前記撮像位置のバックライトを提供すると共にパターンを表示するように構成された、上記の照明パネル装置を設け前記画像取得装置で、前記照明パネル装置による前記パターンの画像を取得する、ことを含む。
【0011】
本発明のさらなる態様、特徴、及び利点は、本発明を実施するべく想到される最良の形態を含む実施形態を例示する以下の説明から、容易に理解できる。本発明は、別の実施形態も可能であり、且つその詳細は、全て本発明の範囲から逸脱することなく、様々な点で修正可能である。すなわち、以下の図面及び説明は基本的に例示であると見なされるべきであり、限定的であると見なされるべきではない。本発明は、特許請求の範囲に含まれる全ての派生、均等、及び代替を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
次にあげる図面は、例示を目的としたものであり、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。図面は、本発明の範囲を限定するものではない。
図1】一実施形態に係る、特徴付け装置及び1つ以上の分析器を含む検査装置の概略平面図。
図2】試料の入った試料容器の側面図(その試料又は試料容器あるいはその両方が、一実施形態に係る方法と特徴付け装置のいずれか又は両方を使用して特徴付けられる)。
図3】試料及びゲルセパレータを含む試料容器の側面図(その試料又は試料容器あるいはその両方が、一実施形態に係る方法と特徴付け装置のいずれか又は両方を使用して特徴付けられる)。
図4A】一実施形態に係る、試料と試料容器のいずれか又は両方の特徴付けをし易くするように構成されたパターンを含む特徴付け装置の斜視図。
図4B】一実施形態に係る、パターンを生成するように構成された照明パネル装置の斜視図。
図4C】一実施形態に係る、前面にパターンを生成するように構成された照明パネル装置の各構成要素の分解図。
図4D】照明可能な全領域よりも狭い制限照明を有する、一実施形態に係る照明パネル装置の前面に表示可能な第1のパターンを示す正面図。
図4E】照明可能な全領域よりも狭い制限照明を有すると共に該制限照明の領域の幅が可変であるパターンを備えた、一実施形態に係る照明パネル装置の前面に表示可能な第2のパターンオプションを示す正面図。
図4F】及び
図4G図4Eのパターンと比較して、制限照明の領域を図4Fの横方向に距離Dだけ移動させることができる(例えば、前面の左又は右のいずれかに再配置可能)、一実施形態に係る照明パネル装置の前面に表示可能な第3のパターンオプションを示す正面図。
図4H】(例えば、パターンの高さHを変更することによって)領域の面積を拡大したり縮小したりすることができる制限照明を有するパターンを備えた、一実施形態に係る照明パネル装置の前面に表示可能な第4のパターンオプションを示す正面図。
図4I】(例えば、パターンの幅Wを変更することによって)複数の点灯ストリップの面積を拡大したり縮小したりすることができる変調伝達関数推定パターンのパターンを備えた、一実施形態に係る照明パネル装置の前面に表示可能な第5のパターンオプションを示す正面図。
図4J】制限照明領域(例えば、ドットパターン)の面積を(例えば、パターンの幅Wを変更することによって)拡大したり縮小したりすることができるか、又はその位置L1,L2を変更することができる、あるいは、これら両方の調節が可能な制限照明を有するパターンを備えた、一実施形態に係る照明パネル装置の前面に表示可能な第6のパターンオプションを示す正面図。
図4K】サイズと位置のいずれか又は両方を変更することができるドットマトリックスパターンのある制限照明を有するパターンを備えた、一実施形態に係る照明パネル装置の前面に表示可能な第7のパターンオプションを示す正面図。
図4L】~
図4O】一実施形態に係る照明パネル装置の前面に表示可能な、グレイコード照明シーケンスを含む追加のパターンオプションを示す正面図。
図5A】~
図5D】一実施形態に係るパターン発生器の様々な形態を示す正面図。
図6】一実施形態に係る、パターンの画像を生成し取得することのできる照明パネル装置を備えた特徴付け装置を示す(天井を除いた)概略平面図。
図7A】一実施形態に係る、それぞれがパターンの画像を生成し取得することのできる複数の照明パネル装置を備えた特徴付け装置を示す(天井を除いた)概略平面図。
図7B】一実施形態に係る、パターンの画像を生成し取得することのできる照明パネル装置を備えた特徴付け装置を示す側面図。
図8】一実施形態に係る、パターン及び該パターンの屈折を生成する照明パネル装置を備えた特徴付け装置を示す側面図。
図9】一実施形態に係る特徴付け方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の広い態様において、ここに開示する実施形態は、撮像位置に置かれた試料容器と該試料容器に入った試料のいずれか又は両方を光学的に撮像して特徴付けるように構成された方法及び特徴付け装置を提供する。試料容器は、撮像位置において試料キャリアにより起立保持される。試料キャリアは、手動で、ロボットを使用して、又はLASのトラックを介して、撮像位置へ移動され得る。一実施形態において、特徴付けは、照明パネル装置の前面に個別パターンを生成することを含む。実施形態によっては、照明パネル装置の前面の個別パターンが変更され、又は変形し、あるいは、別のパターンに切り替えられる。照明パネル装置は、該照明パネル装置が撮像位置のバックライト照明を提供することができるように、撮像位置に隣接して配置される。
【0014】
特徴付けの間、パターンは、撮像位置にある試料容器と試料のいずれか又は両方を通して、画像取得装置(例えば、デジタルカメラなど)により光学的に撮像される。本明細書で使用される「パターン」とは、バックライトを生成することができる照明パネル装置の前面パネルの一部が点灯し且つ一部が消灯することにより、その点灯部分がパターンを構成することを意味する。換言すれば、照明パネル装置は、照明に利用可能なフロントパネルの全ての領域の完全な照明以外の照明パターンを表示するように構成される。
【0015】
照明パターンは、パターン発生器と組み合わせた光源を使用して提供可能である。照明パネル装置は、パターンを生成するように構成されたパターン発生器をもつ。パターン発生器には、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタ(TFT)スクリーン、発光ダイオード(LED)スクリーン、有機発光ダイオード(OLED)スクリーン、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、電子ペーパー、Eインク、プラズマディスプレイパネル(PDP)などを用いることができる。照明パターンは、幅変動パターン(例えば、幅線変動パターン)、制限照明領域パターン、位置変動パターン(例えば、線位置変動パターン)、高さ変動パターン、線数変動パターン、ドット照明パターン、ドットアレイパターン(ドットマトリックスパターンを含む)、変調伝達関数推定パターン、又は他のマルチ線パターン、グレイコードパターン、そして、これらの組み合わせとすることができる。
【0016】
光源は、白色光、赤色光、青色光、緑色光、紫外光(UV)、近赤外線光(近IR)、及び赤外光(IR)の間で切り替え可能なもの、これらの組み合わせなど、2つ以上の波長スペクトルの間で切り替え可能とすることができる。
【0017】
パターンには、画像取得装置が受信し得る迷光の存在量を低減するのに有用である制限照明領域パターンがあり、これは、特徴付け装置の信号対雑音比を改善する。この実施形態のパターンは、撮像位置の試料と試料容器のいずれか又は両方における特定の部分のみを照明することができる。
【0018】
パターン生成を含む特徴付け装置は、試料中に存在する濃度又は分析対象物質の推定値、試料の散乱特性、試料の屈折率特性、試料の流体透過率、試料の濁度、試料の吸収特性などを判定するために、さらには、試料が干渉物質を含むかどうか、すなわち、試料が脂肪血症、溶血性、又は黄疸性(HIL)であるかどうか、あるいは、アーチファクト(例えば、血塊、泡、泡沫)が試料中に存在するかどうかなどを決定するために有用である。
【0019】
一実施形態によれば、パターン生成を含む特徴付け装置は、血清又は血漿成分の数量又は深さ、これに代えて又はこれに加えて、分画された試料の沈降血液成分の数量又は深さ、又はその両方など、試料の属性の定量化に有用である。これらの値は、患者の病態(例えば、血清又は血漿成分と沈降した血液成分との間の比率)を判定する指定された検査のために、そして、より正確なプローブ(他にも「ピペット」と呼ばれる)チップ配置のために、試料の血清又は血漿成分の十分な量が存在するかどうかを判定するべく後の処理において使用される。
【0020】
一実施形態によれば、バックライト照明パターンを含む方法及び特徴付け装置は、試料容器の物性又は特性を判定するためにも有用である。例えば、試料容器の寸法特性、例えば、その高さと幅のいずれか又は両方を判定することができる。当該寸法特性は、例えば、後の試料容器からの吸引においてプローブの位置決めを適切に導くために使用することができ、そして、容量計算に使用することができる。キャップの存在やキャップの色も判定することができる。
【0021】
さらに、一実施形態によれば、パターン生成能力をもつ照明パネル装置は、特徴付け装置のハードウェアの動作態様をチェック又は較正するために有用である。
【0022】
ここに説明するように、試料は採血管などの試料容器に収集され、分離(例えば、遠心分離を用いた分画)後には、沈降した血液成分と血清及び血漿成分とを含む。沈降血液成分は、凝集して血清又は血漿成分から分離した白血球、赤血球及び血小板などの血球から構成される。沈降血液成分は、試料容器の底部に検出される。血清又は血漿成分は血液の液体成分であって、沈降血液成分の一部ではない。沈降血液成分の上方に検出される。血漿及び血清は、主として凝固成分、主としてフィブリノーゲンの含有量が異なる。血漿は凝固していない液体であり、一方、血清は、内因性酵素又は外因性成分のいずれかの影響下で凝固させられた血漿を指す。試料容器には小さなゲルセパレータ(例えば、プラグ)を使用するものもあり、該ゲルセパレータは、分画の間、沈降血液成分と血清又は血漿成分との間にそれ自体が位置する。つまり、2つの成分の間の障壁として働く。
【0023】
一実施形態によれば、特徴付け方法は、分析前検査又はスクリーニング方法として実施することができる。例えば、ある実施形態において、特徴付け方法は、1つ以上の分析器で試料が分析(臨床化学又はアッセイ)に供される「前に」実施される。特に、ここに開示する実施形態においては、さらなる検査のための前提条件として試料の特徴付けを提供する。
【0024】
一実施形態によれば、試料の特徴付けは1つ以上の特徴付け装置で実施することができる。特徴付け装置は、事前特徴付け(例えば、スクリーニング)のために又は分析器での検査及び分析のためにキャリアで搬送される試料容器を様々な場所に移動させるように構成される、より大きなラボラトリオートメーションシステム(LAS)の一部とし得る。
【0025】
一実施形態によれば、1つ以上の特徴付け装置がLASの一部として提供され、該LASにおいてトラック(軌道)が試料を1つ以上の分析器に搬送し、1つ以上の特徴付け装置は、そのトラック中に又はトラックに沿った適切な場所に、設けられる。ある実施形態では、特徴付け装置がトラック中に又はトラックに隣接して設けられる。例えば、特徴付け装置が装填ステーションに又はトラックに沿った他の場所に配置されることで、試料及び試料容器は、トラックに存在する間に特徴付けられる。ただし、明確にしておくと、バックライト及びパターン生成を含む特徴付け装置はトラック中にある必要はなく、試料を含む試料容器が手動又はロボットグリッパのいずれかによって特徴付け装置に装填され、そこから取り外される構成でもよい。
【0026】
一実施形態によれば、複数の画像取得装置と、パターン生成を含む対応する照明パネル装置とを使用して、複数の画像を取得する。複数の画像取得装置は、撮像位置の周りに配置した異なる視点から画像を取得するように構成される。画像は、各視点に対するパターン生成を含むパネル化された背面照明を使用して生成される。次いで、これらの複数の画像は、特徴付け結果生成のためにコンピュータによりさらに処理され、そして、試料容器にラベルがあって一部の視点から試料の一部をふさぐ場合に有用である。
【0027】
本発明に係る特徴付け装置、特徴付け装置を含むシステム、及びパターン生成を含む特徴付け方法のさらなる詳細を、図1図9を参照してさらに説明する。
【0028】
図1は、複数の試料容器102(例えば、試料採取管-図2及び図3参照)を自動的に処理することができる試料検査装置100を示す。試料容器102は、1つ以上の分析器(例えば、第1、第2、第3の分析器106,108,110)と特徴付け装置112のいずれか又は両方への搬送及びこれらによる分析の前に、装填領域105に配置される1つ以上のラック104に、収容される。より多数の又はより少数の分析器を使用することができるのは当然である。同様に、2つ以上の特徴付け装置112を、試料検査装置100において使用してもよい。
【0029】
分析器106,108,110は、臨床化学分析器、アッセイ機器などの任意の組み合わせであり得る。試料容器102は、採血管、検査管、サンプルカップ、キュベット、又は試料213を収容するように構成された他の透明又は不透明なガラス又はプラスチック容器など、任意の透明又は半透明の容器とすることができる(図2及び図3参照)。
【0030】
自動処理対象の試料213は、キャップ214(図2及び図3)で蓋をできる試料容器102に入れて試料検査装置100に提供される。キャップ214は数種類の幾何学的形状とカラー(例えば、赤色、ロイヤルブルー、淡青色、緑色、灰色、黄色、又は色の組み合わせ)のいずれかか又は両方をもち、これらの特徴は、試料容器102がどのような検査に使用されるかや、中に含まれる添加剤のタイプなどに関して意味をもつ。他の色も使用可能である。一態様によれば、キャップ214を撮像して、キャップ214に関する情報を特徴付け、これを、試料容器102のタイプをシステムの検査指令と照合するために使用するのが好ましい。
【0031】
試料容器102の各々は、試料容器102に貼られるか、又はその側面に提供されたラベル218を備える。ラベル218は、バーコード、英字、数字、英数字、又はこれらの組み合わせとした識別情報218i(すなわち、印)を含む。当該識別情報218iは、試料検査装置100の周りの1つ以上の位置で機械式に読み取ることができる。識別情報218iは、例えば、ラボラトリインフォメーションシステム(LIS)147を介して、患者の識別と、試料213に実施する検査又はLISシステム147からの他の情報とを示すか又はそれらに相関させてある。ラベル218は、試料容器102の全周にわたって又は試料容器102の全高に沿って延びてはいない。一実施形態では、複数のラベル218が貼り付けてあってもよく、互いにわずかに重なっていてもよい。すなわち、ラベル218は、試料213の一部の視野を遮ることができる。しかしながら、試料213の別の部分は、それでもある視点から見ることができる。特徴付け方法及び特徴付け装置112の一実施形態では、試料容器102を回転させることなく、試料213の特徴付けを可能にする。
【0032】
図2及び図3に最もよく示されているように、試料213は、血清又は血漿成分213SPと、管215内に収容された沈降血液成分213SBとを含む。空気216が血清及び血漿成分213SPの上方にあり、空気216と血清及び血漿成分213SPとの間の境界線は、本明細書では液体-空気界面(LA)として定義される。血清又は血漿成分213SPと沈降血液成分213SBとの間の境界線は図2に示されるように、本明細書では血清-血液界面(SB)として定義される。空気216とキャップ214との間の境界は、本明細書では管-キャップインターフェース(TC)と呼ぶ。図2において、血清又は血漿成分213SPの高さは「HSP」であり、血清又は血漿成分213SPの上端から沈降血液成分213SBの上端まで、すなわちLAからSBまで測定される。沈降血液成分213SBの高さは「HSB」であり、沈降血液成分213SBの下端から沈降血液成分213SBの上端まで測定される。HTOTは試料213の全高である(すなわち、HTOT=HSP+HSB)。
【0033】
ゲルセパレータ313が使用される場合(図3参照)、血清又は血漿成分213SPの高さHSPは、LAにおける血清又は血漿成分213SPの上端からゲルセパレータ313の上端SGまで測定される。沈降血液成分213SBの高さHSBは、沈降血液成分213SBの下端からゲルセパレータ313の下端BGまで測定される。図3のHTOTが試料213の全高であり、HTOT=HSP+HSB+ゲルセパレータ313の高さ(厚さ)として定義される。
【0034】
図2及び図3に示す各形態において、壁厚はTw、外側幅はWであり、試料容器102の内側幅はWiである。管の高さ(HT)は、本明細書では管215の底からキャップ214の下端までの高さとして定義される。各々、ここにさらに説明される特徴付け方法に従って特徴付けることもできる。
【0035】
図1に戻って、より詳細には、試料検査装置100は、トラック121が取り付けられるか又は載置され得るベース120(例えば、フレームその他の構造体)を含む。トラック121は、レールトラック(例えば、モノレールトラック又はマルチレールトラック)、コンベヤベルトの集合、コンベアチェーン又はリンク、可動プラットフォーム、あるいは他の適切なタイプの搬送機構である。トラック121は円形、蛇行形、又は他の適切な形状で、一実施形態では、閉じたトラック(例えば、無端トラック)であってもよい。トラック121は動作中、試料容器102の一つ一つを、キャリア122(すなわち、試料容器キャリア)により、トラック121に沿って間隔を置いて配置された目的地に搬送する。
【0036】
キャリア122は、1つの試料容器102を運ぶように構成された受動の非電動パックで、この場合はトラック121が可動式である。あるいは、キャリア122は、トラック121に沿って移動して事前にプログラムされた位置で停止するようにプログラムされたリニアモータなどのオンボードドライブモータを有する、自動式でもよく、この形態では、トラック121は静止している。いずれの例においても、キャリア122はそれぞれ、所定の姿勢(例えば、起立姿勢)に試料容器102を保持するように構成されたホルダ122H(図4A)を含む。ホルダ122Hは、試料容器102をキャリア122に固定する複数のフィンガ又は板ばねを含む。フィンガ又は板ばねは、横方向に移動するか又は他の方法で屈曲して、異なるサイズの試料容器102をその中に収容することができる。
【0037】
もう一度図1を参照すると、一実施形態において、試料容器102を収容するキャリア122は、1つ以上のラック104を設置してある装填領域105から出発する。一実施形態では、装填領域105は、分析器106,108,110のうちの1つ以上で分析が完了した後に試料容器102をキャリア122から取り出せるようにする機能も果たすことができる。これ以外にも、適当な排出レーン(図示せず)をトラック121の他の場所に設けることができる。
【0038】
ロボット124が装填領域105に設けられ、1つ以上のラック104から試料容器102を把持し、該試料容器102を、トラック121の投入レーン又は他の位置などにあるキャリア122に装填するように構成される。さらに、ロボット124は、検査の完了したキャリア122から試料容器102を取り除くように構成され、操縦可能である。ロボット124は、X及びZ、Y及びZ、X、Y及びZ、r及びθ、又はr、θ及びZ運動が可能な1つ以上のロボットアーム又は構成要素を含む。ロボット124は、ガントリロボット、多関節アームロボット、R-θロボット、又は他の適切なロボットであり、試料容器102を把持するように機能するロボットグリッパフィンガを備えていてもよい。
【0039】
トラック121に投入されると、キャリア122によって運ばれる試料容器102は、一実施形態では、第1の前処理ステーション125(例えば、試料213の分画を実行するように構成された遠心分離機)に進む。試料容器102を搬送するキャリア122は、流入レーン又は適切なロボット(図示せず)によって第1の前処理ステーション125へ向かわせられる。遠心分離後、試料容器102は、流出レーンから出るか又はロボットによって移動させされ、トラック121に戻ることができる。図示の実施形態では、キャリア122の試料容器102は次に、図4A図8を参照してさらに説明する本発明に係る特徴付け装置112に搬送される。
【0040】
特徴付け装置112は、一実施形態において、試料容器102に入った試料213を特徴付けるように構成されると共に試料容器102を特徴付けるように構成される。特徴付けは、特徴付け装置112における試料213の定量化を含み得るし、HSP、HSB、HTOT、LA、SB、SG、BGのいずれか1つ以上などの試料213の物理的寸法の判定を含み得る。特徴付け装置112は、試料213の散乱特性、試料213の透過特性、試料213の吸収特性、試料213の屈折率特性、そして、試料213の流体濁度のうちの1つ以上を判定するように構成することもできる。特徴付け装置112は、試料213に含まれる溶血(H)、黄疸(I)、脂肪血症(L)のうちの1つ以上など、干渉物質の存在を判定するようにも構成できる。一実施形態では、特徴付け装置112が試料213内のアーチファクト(例えば、血塊、泡、又は泡沫)の存在を判定するように構成されていてもよい。
【0041】
さらに、一実施形態では、特徴付け装置112で行われる試料容器102の物理的属性の定量化は、HT、管外側幅W、管内則幅Wi、TCのいずれか1つ以上の判定、又はキャップタイプやキャップ色の判定も含み得る。
【0042】
試料213及び場合によっては試料容器102の特徴付けが終わると、試料213は、排出のために装填領域105へ各試料容器102を戻す前に、1つ以上の分析器(例えば、第1、第2、第3の分析器106,108,110の1つ以上)で分析するために前進させる。
【0043】
追加又は選択的に、トラック121から離れた位置に、すなわちトラック121に直接つながっていない位置に、遠隔特徴付け装置112Rを設けることができる。例えば、搬送ロボット126(点線で示す)が試料213の入った試料容器102を遠隔特徴付け装置112Rに運び、特徴付け後にそれらをトラック121に戻す。あるいは、試料容器102を手動で取り出し、戻すこともできる。遠隔特徴付け装置112Rは、上述の特徴付けのいずれかを実行するために使用可能である。また、特徴付け装置112,112R(図示せず)をさらに追加して、様々な適宜の場所でトラック121に沿って配置することもできる。
【0044】
試料検査装置100は、トラック121に沿った1つ以上の適切な位置にセンサ128を備える。センサ128は、キャリア122のそれぞれに提供された識別情報218i(図2図3)又は同様の情報(図示せず)を読み取る手段によって、トラック121に沿った試料容器102の位置を検出するために使用できる。一実施形態では、バーコードがキャリア122に提供される。あるいは、個別RFIDチップを各キャリア122に埋め込むことができる。追跡動作には、例えば、バーコードリーダやRFIDリーダを用いることができる。近接センサなど、キャリア122の位置を追跡するための他の手段も使用することができる。センサ128の全ては、各試料容器102の位置が常に分かるように、コンピュータ130とインターフェースする。
【0045】
試料検査装置100は、コンピュータ130によって制御され、該コンピュータ130はマイクロプロセッサベースの中央処理装置(CPU)で、適切なメモリと、各種コンポーネントを動作させるための適切な処理電子機器、ドライバ、及びソフトウェアとを有する。コンピュータ130は、ベース120の一部として、又はベース120から分離して収容することができる。コンピュータ130は、キャリア122に関し、装填領域105との間の移動、トラック121に沿った移動、及び第1の前処理ステーション125、分析器106,108,110の間の移動、そして特徴付け装置112との間の移動を制御するように動作する。コンピュータ130は、特徴付け装置112の動作を制御することもできる。コンピュータ130又は別々のコンピュータが、第1の前処理ステーション125及び各分析器106,108,110の動作を制御する。
【0046】
特徴付け装置112,112R以外の全てについて、コンピュータ130は、例えばニューヨーク州タリータウンのSiemens Healthcare Diagnostics Inc.によって販売されているディメンジョン(登録商標)臨床化学分析器で使用されるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアコマンド又は回路のいずれか1つ以上に従って、試料検査装置100を制御し、当該制御はコンピュータベースの電気機械制御プログラムの当業者には典型的であってここではこれ以上詳述しない。ただし、試料検査装置100を制御するための他の適切なシステムを使用してもよい。特徴付け装置112,112Rの制御も、本明細書で詳細に説明するように、コンピュータ130によって提供され得る。
【0047】
本発明の実施形態は、ユーザが様々な状況に容易にアクセスし、表示画面を制御することを可能にするコンピュータインターフェースモジュール(CIM)145を使用して、実行され得る。これらの状況及び管理画面は、試料213の前処理、準備、及び分析/検査のために使用される複数の相互に関連する自動化装置のいくつか又は全ての状態を描写することができる。CIM145は、複数の相互に関連する自動化装置の動作状態に関する情報、並びに任意の試料213の位置、試料213の検査の状態の1つ以上に関する情報を提供するために使用されもする。したがって、CIM145は、オペレータと試料検査装置100との間の相互作用を容易にするように構成される。CIM145はアイコン、スクロールバー、ボックス、及びボタンを含むメニューを表示するように構成された表示画面を含み、これを介してオペレータが試料検査装置100とインターフェースし、その機能的状態を表示する。
【0048】
一実施形態による試料213の事前スクリーニングは、血清又は血漿成分213SPと沈降血液成分213SBのいずれか又は両方の相対量とそれらの間の比率の少なくともいずれかについて正確な定量化を可能する。さらに、事前スクリーニングは、LA、SB、又はSGの物理的垂直位置を判定し、さらには試料容器102の底、試料容器102の幅W、又は他の基準位置も判定することができる。このような定量化は、指定された検査を実施するために利用可能な血清又は血漿成分213SPの量(例えば、容量又は深さ)が不十分である場合、試料213が1つ以上の分析器106,108,110へ進まないようにすることを確実にする。これにより、空気吸引の可能性を回避し、不正確な検査結果を回避することができる。
【0049】
LA及びSB又はSGの物理的位置を正確に定量化する能力は、空気吸引の可能性を最小限にする点で有益であるうえ、沈降した血液成分213SBやゲルセパレータ313(ゲルセパレータ313が試料容器102内に存在する場合)のいずれかを吸引する可能性も最小限にすることができる。したがって、一実施形態では、血清又は血漿成分213SPを吸引するために使用される分析器106,108,110の試料吸引プローブの目詰まり、汚染を回避するか又は最小限に抑えることができる。
【0050】
次に、図4A図4Oを参照して、パターン生成能力を含む特徴付け装置112の実施形態を説明する。特徴付け装置112は、試料213の入った試料容器102が位置するように構成された撮像位置432と、撮像位置432に隣接して配置された画像取得装置434と、撮像位置432に隣接して配置された照明パネル装置436とを含む。照明パネル装置436は、撮像位置の照明(例えば、バックライト)を提供するように構成され、そして、パターン444を表示するように構成される。図示の実施形態では、撮像位置432が画像取得装置434と照明パネル装置436との間に決められている。例えば、図示されるように、照明パネル装置436は、試料213の入った試料容器102のバックライトを提供するように配置され、この照明パネル装置436によって提供される照明は、画像取得装置434の視点から見た場合、撮像位置432の背後にある。全体を通して、前面436Sのハッチングされた部分は、パターン444の幾何学的形状を定義する照明パネル装置436の非点灯部分である。
【0051】
図示の実施形態では、試料213を入れた試料容器102がキャリア122によって撮像位置432に保持され、キャリア122はホルダ122Hを備え、ホルダ122Hは試料容器102を撮像位置432のキャリア122に固定状態で保持するための収容部、フィンガ群又は板ばね群、あるいは他の好適な手段をもつ。キャリア122及び試料213を入れた試料容器102は、適切な装置、ロボット、機構によって、又は手動でも、撮像位置に搬送される。図示の実施形態では、試料213の入った試料容器102を含むキャリア122が上述したように、トラック121中の撮像位置432に搬送され、画像が取得される。
【0052】
一実施形態では、特徴付け装置112の撮像位置432が筐体438(図4Aに点線で示す)によって少なくとも部分的に囲まれる。トラック121は筐体438を貫通し、筐体438は、キャリア122及び試料容器102が特徴付け装置112に出入りするのに十分な開口をその側面に有する。筐体438は、外部の照明によるばらつきを最小限に抑えるか又はなくすのに寄与すべく提供される箱状構造体であり得る。
【0053】
一実施形態によれば、画像取得装置434はデジタル画像(すなわち、デジタルピクセル化画像)をキャプチャすることができるデジタルカメラである。他の実施形態では、画像取得装置434は電荷結合デバイス(CCD)、光検出器アレイ、1つ以上のCMOSセンサなどである。本実施形態において画像取得装置434は、単一の横視点から撮像位置432の試料容器102及び試料213の1つ以上の画像を取得するように構成されている。画像取得装置434は、2560画素×694画素などの画像サイズを有するデジタル画像を得ることが可能でる。別の実施形態では、画像取得装置434は1280画素×384画素の画像サイズを可能とする。この他の適切な画素密度及びサイズを使用することもできる。
【0054】
画像取得装置434は、試料容器102の予定位置を含む撮像位置432に近接して設けられ、画像ウィンドウを捉えるように向けられ又は焦点合わせされる。一実施形態では、試料容器102は、トラック121上で停止するなどにより撮像位置432に位置決めされるか又は撮像位置432に止められ、その結果、試料213が画像ウィンドウのほぼ中心に位置する。あるいは、試料容器102は、ロボットによって又は手動で、撮像位置441に配置される。設定後、画像取得装置434は、例えば、血清又は血漿成分213SPの一部、沈降血液成分213SBの一部、キャップ214の一部、管115の底102B、基準データ440のいずれか1つ以上を含む1つ以上の画像を取得する。基準データ440は、試料213の定量化、及び光学ビューウィンドウ内の試料容器102の垂直位置の判定に寄与する。基準データ440は、例えば、キャリア122のホルダ122H内における試料容器102の回転にかかわらず捉えることができるように、既知の垂直位置で試料容器102に設けられた1つ以上の可視マーク(例えば、1つ以上の十字、試料容器102を囲繞するリングなど)とすることができる。
【0055】
図4A図4Cを参照すると、特徴付け装置112の照明パネル装置436の実施形態が例示され、詳細が説明される。照明パネル装置436は、第1の側面及び第2の側面を含むフレーム452と、フレーム452に結合され、又は取り付けられ、あるいは付属する光源454とを含む。光源454は、照明パネル装置436の前面436Sから光を放出するように動作する。図示の実施形態では、光源454は、フレーム452の第1の側部及び第2の側部に沿って(例えば、垂直に)配置される複数の個別光源(例えば、第1、第2、第3の個別光素子460,461,462)を含む。個々の光素子460,461,462は図4Cに最も良く示されていて、以下に説明するように、導光板456の側縁456L,456R(側端)に光を放射する光アレイ454L,454Rとして組み立てられる。導光板456は、複数の個別光素子460,461,462に隣接して配置される。
【0056】
照明パネル装置436は、その前面436Sにパターン444を表示するように構成される。パターン444は、例えば、フレーム452に取り付けることができるパターン発生器458によって生成することができる。パターン発生器458は、光源454の前に配置する。パターン発生器458は、光源454の照明域に設けられて識別可能なパターン444を生成することができる、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、薄膜トランジスタ(TFT)スクリーン、発光ダイオード(LED)スクリーン又は有機発光ダイオード(OLED)スクリーン、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、電子ペーパー、Eインク、プラズマディスプレイパネル(PDP)、又は他の適切なデバイス又は機構である。パターン444は、異なる種類の検査を容易にするために、1つのパターンから別のパターンに切り替えることができる(すなわち、切り替え可能)。パターン444は、前面436Sにおいて照明可能な全領域よりも狭い領域が事実上照明される適切なパターンである。パターン444は、照明される一部分である。パターン444は、撮像位置432での撮像を良好にするため、所定の検査プロトコルを実行するため、又は画像取得装置434の較正のためにも有用な適切なパターンである。パターン444は、幅変動パターン、制限照明領域パターン、位置変動パターン、高さ変動パターン、線数変動パターン、ドット照明パターン、ドットアレイパターン、変調伝達関数推定パターン、グレイコードパターン、及びこれらの組み合わせを含む、パターンの群から選択され、これらについては本明細書でより詳細に説明する。
【0057】
一実施形態では、光源は導光板456と共に使用される。導光板456は、例えば内部光拡散粒子その他の内部光拡散手段を含んだプラスチックシートによって提供される、光拡散能力をもった適度に透明な導光物質から形成できる。一例として適切な材料は、Acrylite LED(登録商標)EndLighten、Evonik Industries AG of Essen,ドイツから入手可能な製品である。導光板456は、例えば、60mm~150mm程度の幅、120mm~180mm程度の高さ、及び3mm~5mm程度の厚さを有するシートから形成される。他の適切なサイズの使用も可能である。
【0058】
図4Cに最も良く示されているように、導光板456は、光源454の光アレイ454R,454L(例えば、LED帯状モジュール)によって横方向に放射された光を横方向側縁456L,456Rに導き入れ、導光板456の本体材料を通し、導光板中の光拡散粒子との光相互作用によって導光板456の前面456F及び裏面456Bから放射する機能をもつ。一実施形態では、導光板454の裏面は、裏面456Bに向かう透過光を反射又は後方散乱させて導光板456の本体材料内に戻すように導き、その結果、前面456Fから放射することができるように、高反射材料を形成することができる。あるいは、高反射性材料を、フレーム452の背面457Aに、又はフレーム452と導光板456との間の別要素として、提供することができる。高反射性材料は、例えば、ミラーや白色プラスチック要素、あるいは、銀、金、クロム、スズ、又はその組み合わせの金属コーティングを有する他のプラスチック又はガラス要素として、提供され得る。前面456Fから放射される光は、導光板456の全面にわたって実質的に均一に放射され、パターン発生器458と協働して、試料容器102及び試料213に対するパターン化された照明が提供される。
【0059】
より詳細には、光源454は、導光板456の側縁456L,456Rに隣接して配置される光アレイ454L,454Rを含む。光アレイ454L,454Rは、導光板456の側縁456L,456Rに沿って直線的に配置された個々の光源素子(例えば、発光ダイオード-LED)の直線アレイを含むLED帯状モジュールである。光アレイ454L,454Rはそれぞれ、例えば、回路基板に配置された複数のLED、例えば8~80個のLED、を含む。他の数の個別光源も使用し得る。コネクタ456Cを設けて、光源454をコンピュータ130(図1及び図4A)に電気的に接続することができる。光アレイ454L,454Rは、ポケット457のそれぞれの側面に沿って提供され、光源(例えば、LED)それぞれの発光部分が、側縁456L,456Rに直接隣接するように、可能であれば側縁456L,456Rに接触するように、構成される。
【0060】
一実施形態によれば、照明パネル装置436の光源454は、スペクトル的に切り替え可能である。光源454は、光の2つ以上の波長スペクトルの間で切り替え可能とすることができる。例えば、光源454は、白色光、赤色光、緑色光、青色光、紫外光、近赤外光、赤外光のうちの2つ以上の間で切り替え可能である。一実施形態において光アレイ454L,454Rは、切り替え可能なマルチスペクトル照明を提供することができる。例えば、光アレイ454L,454Rは、複数の独立して切り替え可能な光素子、又は異なる発光スペクトルを有するLEDなどのグループで切り替え可能とした光素子を含む。光素子(例えば、光素子460~462)のスイッチングは、適切な電源及びドライバと接続したコンピュータ130で動作可能なソフトウェアによって実行することができる。したがって、照明パネル装置436は、一度に照明する光素子をいくつか選択することによって、異なる公称波長を有する複数の異なる波長スペクトルで照明することができる。
【0061】
例えば、照明パネル装置436は、赤色光、緑色光、及び青色光(634nm+/-35nmの赤色(R)スペクトル、537nm+/-35nmの緑色(G)スペクトル、及び455nm+/-35nmの青色(B)スペクトルを含むと推定される)を放射することができる。具体的には光アレイ454L,454Rは、光アレイ454L,454Rの高さ方向に繰り返しパターンで配置することができる光素子460,461,462としてR、G、BのLEDの集合を含む。例えば、ドイツ、レーゲンスブルクのOsram Opto Semiconductors GmbHから入手可能なHigh power Oslon SSL model LEDを使用することができる。他の適切なLED光源も使用可能である。同じ色のLEDの各々が一度に点灯され得る。例えば、各赤色スペクトルLEDを同時にオンにして、照明パネル装置436から赤色スペクトル照明を提供し、撮像装置434による撮像中に試料213を含む試料容器102を照明することができる。同様に、緑色スペクトルLEDの各々を同時にオンにして、撮像中に緑色スペクトル照明を提供することができる。同様に、青色スペクトルLEDの各々を同時にオンにして、撮像中に青色スペクトル照明を提供することができる。R、G、Bは一例であり、他の波長スペクトル光源(例えば、白色、赤外線、近赤外線、UV)を使用してもよいのは当然である。したがって、照明パネル装置436は、パターン444が1つ以上のスペクトルで照明されるように、切り替え可能なマルチスペクトル発光体として構成可能であることが明らかである。
【0062】
一実施形態では、光素子のいくつかは、ある種の撮像のために白色光スペクトル(例えば、400nm~700nm程度の波長範囲)を放射する白色光源を含む。他の実施形態では、紫外線(UV)スペクトル(10nm~400nm程度の波長範囲)、赤外線(IR)(700nm~1mm程度の波長範囲)、又は近赤外線(近IR)(700nm~2500nm程度の波長範囲)を含み、ある種の撮像の時に切り替えられる。例えば、580nmより短い波長と580nmより長い波長との(又は逆の手順)光の連続的な組み合わせが、試料213の血清又は血漿成分213SPにおける溶血を検出するのに有用である。別の例では、500nmより短い波長と500nmより長い波長との(又は逆の手順)光の連続的な組み合わせが、試料213の血清又は血漿成分213SP中の黄疸を検出するのに有用である。別の例では、近赤外線スペクトルが、ラベル218によるある視点の閉鎖に関係なく、試料213の沈降血液成分213SBの高さ、血清又は血漿成分213SPの高さ、沈降血液成分213SBの体積、血清又は血漿成分213SPの体積のいずれか1つ以上を検出するのに有用である。
【0063】
以上のとおり、照明パネル装置436の一実施形態では、異なる発光スペクトルを有する少なくとも2つの切り替え可能な光素子を含む。一実施形態では、切り替え可能なR、G、B光素子が提供される。他の実施形態では、切り替え可能なR、G、B、白色の光素子が提供される。他の実施形態では、切り替え可能なR、G、B、UVの光素子が提供される。他の実施形態では、切り替え可能なR、G、B、赤外線又は近赤外線の光素子が提供される。他の実施形態では、切り替え可能なR、G、B、白色、UV、赤外線、近赤外線の光素子の2つ以上の組み合わせが照明パネル装置436に提供され得る。一実施形態では、切り替え可能な光素子の組み合わせは同数で提供され、導光板456の高さ方向に均等に間隔を空けてある。
【0064】
照明パネル装置436は、選択的に、拡散特性を含む拡散板459を含み、この拡散板459は、例えば、ドイツ、エッセンのEVONIKから入手可能なAcrylite Satince(登録商標)のシートなどの拡散材料のシートとして提供される。他の適切な拡散材料も使用可能である。拡散板459は、パターン発生器458の前に配置する。拡散板459は、例えば、導光板456とほぼ同じ高さ及び幅の寸法と2mm~4mm程度の厚さを有するシートである。他の厚さも使用可能である。拡散板459は、通過する光を散乱させる機能をもつ。拡散板459及び導光板456は、それらの間にわずかなギャップが形成された状態で、互いに離間した関係で提供され得る。ギャップは例えば1mm~5mm程度とし得る。他のギャップ及び寸法も使用可能である。
【0065】
照明パネル装置436は、一実施形態において、均一なサイズの光の視野を提供するために、マスク464を含む。マスク464は、照明パネル装置436から放射される照明領域の最大範囲を画定するフレーム状の遮断要素を含む。一実施形態では、他の構成要素を保護するために、透明シート材料のフロントパネル465を設ける。フロントパネル465は例えば、プラスチック又はディスプレイ用ガラスの透明なシートである。一実施形態では、マスク464がパターン発生器458の前に配置される。フロントパネル465は、マスク464の前面に設けられる。
【0066】
一実施形態では、拡散シートをパターン発生器458に直接取り付けることによって、拡散板459の光拡散機能を置き換えるか、又はそれに加えることができる。拡散シートは例えば、ドイツ、レバークセンのCovestroによるMAKROFOL(登録商標)LM309のシートである。一実施形態では、保護シートがパターン発生器458に直接取り付けられ、フロントパネル465の保護機能に取って代わるか、又はこれに付加される。保護シートは例えば、米国ミネソタ州セントポール(St.Paul)の3MによるADQC27のシートである。
【0067】
フレーム452は、プラスチックなどの剛性材料で作られ、固定取り付けロッド(図示せず)に取り付けられるように構成されたボア467など、適切な固定構造を含む。照明パネル装置436を撮像位置432に一定の向きで取り付けるために、他の適切な取り付け機構を用いてもよい。フレーム452はポケット457を含み、ポケット457は、開口前部及び開口上部と、閉鎖後部表面457A及び閉鎖底部457Bとを含み、光源454、導光板456、パターン発生器458、(使用される場合)拡散板459、(使用される場合)マスク464、及び(使用される場合)フロントパネル465を受け入れて保持するように構成される。一実施形態では、各構成要素は上方からポケット457に挿入され、固定部材468によって適所に固定される。部品をフレーム452に保持するための他の好適な手段を使用してもよい。
【0068】
図5Aは、照明パネル装置436の前面436Sに表示される様々なパターン444(例えば、図4A図4B、及び図4D図4O)を生成するために使用するパターン発生器458Aの一実施形態を示す。パターン発生器458Aは、上側セグメント470及び下側セグメント472を含むマルチセグメント液晶ディスプレイパネルで、上側セグメント470及び下側セグメント472は、その各該当領域の発光を遮断するように独立して制御することができる。例えば、図4Dに示されるパターン444Aは、液晶パネルの各該当領域を活性化することによって、上側セグメント470及び下側セグメント472を遮蔽とするすることによって生成される。これは、例えば、試料213の血清又は血漿成分213SPの予定位置への光放射を可能とするように、撮像位置432の中央の垂直領域にのみ照明する、照明制限のために使用される。したがって、試料213の上下の照明が制限される。
【0069】
同様に、パターン発生器458Aは、独立して制御することができる左側セグメント474及び右側セグメント476を含む。左側セグメント474及び右側セグメント476は、左側セグメント474及び右側セグメント476の各該当地域の光放射を遮断するように制御される。これは、筐体438内の横方向迷光を最小限に抑えるために使用され、画像取得装置434へ向かう経路を形成して信号対雑音比を改善する。例えば、試料213の入った試料容器102及び照明パネル装置436の少なくとも前面436Sは、筐体438の中に含まれ、パターン444は、筐体438内の横方向迷光の量を低減するように作用する制限照明領域パターンである。
【0070】
パターン発生器458Aは、複数の中央セグメント478を含み、該中央セグメント478は、該当する複数の領域の光放射を遮断するように独立して制御することができる。例えば、図4Eに示されるパターン444Bは、上側及び下側セグメント470,472と、左側セグメント474及び右側セグメント476と、中央セグメント478の一部とについて光放射を遮断することによって、生成される。つまりパターン444Bは、最大幅から最小幅の間で調節することの可能な幅Wをもつ。可変幅Wをもつパターン444Bは、血清又は血漿成分213SPの流体透過特性を決定するため、血清又は血漿成分213SPの流体散乱特性を決定するため、血清又は血漿成分213SPの屈折率特性を決定するため、のいずれか1つ以上のために使用される。例えば、幅Wは、1mm~100mm程度の間で変化させることができる。幅Wは、例えば0.5mmの増分で変化させることができる。他の幅Wと増分も使用可能である。さらに、幅変動パターン444Bは、筐体438内の望ましくない横方向迷光のレベルを低減する目的で、特定の検査用に横方向領域への光の放出を回避又は最小限に抑えることができる、制限照明モードとして使用することができる。
【0071】
図5Bは、様々なパターン444(例えば、図4F図4H)を生成するために使用することができるパターン発生器458Bの別の実施形態を示す。パターン発生器458Bも、マルチセグメント液晶ディスプレイパネルであり、各該当領域の光放射を遮断するように独立して制御することができる、左側セグメント474、右側セグメント476、及び複数の中央セグメント478を含む。例えば、図4F及び図4Gに示されているパターン444C,444C’は、左側セグメント474、右側セグメント476、及び中央セグメント478の一部の光透過を遮断することによって生成することができる。図4Gに図示されたパターン444C’は、パターン発生器458Bの中心線CLから間隔Dだけ位置が(例えば、横方向に)シフトされている。パターン444C’(位置変動パターン)の位置をシフトするこのパターン発生器458Bの能力は、例えば、撮像位置432における試料容器102の位置決め許容誤差を補償するために使用され得る。さらに、一実施形態では、パターン444C’をシフトする能力は、情報量を強化することにつなげられる。
【0072】
図4Hに示すパターン444Dのような追加パターンは、パターン発生器458Bと同様のパターン発生器458B’によって生成することができ、この場合の中央セグメント478は90度回転させてあり、試料213又は試料容器102あるいはその両方の1つ以上の属性の分析に使用される。本実施形態において、パターン444Dの高さHは、最も狭い範囲から最も広い範囲(高さ変動パターン)までの間で変更可能である。高さHの可能な変化の程度は、上側及び下側セグメント470,472の設計高さとパターン発生器458B’の中央セグメント478の線解像度に従う。
【0073】
可変高さHをもつパターン444Dは、血清又は血漿成分213SPの流体透過特性を決定するため、又は血清又は血漿成分213SPの流体散乱特性を決定するために、使用される。高さHは、一実施形態によれば、例えば1mm~200mmの間で変化させることができる。高さHは、例えば0.5mmの増分で変化させることができる。他の高さH及び増分も使用可能である。さらに、高さ変動パターン444Dは、筐体438内の望ましくない垂直方向迷光のレベルを低減する目的で、特定の検査用に所定領域への光の放出を回避又は最小限に抑えることができる、制限照明モードで使用することができる。
【0074】
図4Iに示すパターン444Eなどの追加パターンは、パターン発生器458C(図5C)によって生成可能であり、試料213又は試料容器102あるいはその両方の1つ以上の属性の分析に使用される。本実施形態では、パターン444E(線数変動パターン)の線数だけでなく、点灯されるライン(幅変動パターン)の幅Wも変更することができる。図示の実施形態では、9つの点灯線からなるパターン444Eが示されている。このパターン444Eは、パターン発生器458Cにおいて垂直セグメント480のより多数又はより少数を遮断とすることによって変更できる。例えば1~20本以上の照明線、又は1mm当たり多数の線を含むパターンを生成することができる。これによると、最後に照明パネル装置436に表示したパターン444Eよりも多い又は少ない線数をもった連続パターンの生成が可能である。このような変調伝達関数(MTF)は、例えば流体濁度を推定するために使用できる。
【0075】
図4J及び図4Kは、パターン発生器458Dにより表示することができる様々なドットパターン444F,444Gを示す。パターン発生器458Dは、ドットパターン444F及びドットアレイパターン(ドットマトリックスパターンを含む)444Gなどのパターンを表示可能な、LCD、LED、OLED、TFT、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、電子ペーパー、Eインク、プラズマディスプレイパネル(PDP)、又は他の表示画面である。パターンは、パターン発生器458Dの複数の画素位置を点灯することに基づく。パターン発生器458Dの下縁からの垂直位置L1と、パターン(例えば、ドットパターン444F又はドットアレイパターン444G)の横位置L2のいずれか又は両方を調節することができる。一実施形態では、ドットパターン444F又はドットアレイパターン444Gの幅寸法W(例えば、各ドットの直径)を調節することができる。また、ドットパターン以外の他のパターンを生成してもよい。LCD、LED、OLED、TFT、ELD、電子ペーパー、Eインク、及びPDP画面の汎用性により、前述のパターン444A~444Eを含む所望のパターン形状を生成可能であることが理解される。ドットパターンの使用は、例えば、試料213の血清又は血漿成分213SPの流体透過特性、流体散乱特性、流体屈折率特性のいずれか1つ以上を推定するために使用される。
【0076】
図4L図4Oは、例えばパターン発生器458Cによって生成される、追加パターン444H~444Kを示す。これらのパターン444H~444Kは、例えばシーケンス(例えば、4ビットシーケンス)において使用され得るグレイコードパターンである。これらのパターンは、照明パネル装置436の照明領域の空間符号化に使用することができる。画像取得装置434の各画素は、前面436Sにおいて、起点領域を表すビットシーケンスを、曖昧さなしに又はわずかの曖昧さで、識別することができる。これらのパターン444H~444Kの各々は、画像取得装置434によって撮像できる。このような符号化の目的は、原点(パターン444H~444K)から試料容器102及び試料213を通って画像取得装置434に至る光の伝播を追跡し、光路に沿った障害を明らかにすることである。このような外乱は、試料213及び試料容器102の光学特性に関する情報や、例えばバーコードラベルなどの存在する遮蔽物に関する情報を含む。グレイコードシーケンスは、ハードウェア及び接続(例えば、照明パネル装置436、画像取得装置434、及びコンピュータ130の操作性、接続その他)の動作を自己テストするために使用され得る。
【0077】
照明パネル装置436を含む特徴付け装置612の別の実施形態について図6を参照して説明する。特徴付け装置612は、撮像位置632に位置決めされたホルダ122Hによって保持された試料容器102に入れられた血清又は血漿成分213SPの散乱特性を、自動的に特徴付けするか又は定量化する(あるいは特徴付けし且つ定量化する)ように構成される。撮像位置632は、筐体638によって少なくとも部分的に囲まれる。特徴付け装置612は、上述のように、単一の横視点から血清又は血漿成分213SPの1つ以上の画像を取り込み、メモリに記録するように構成された画像取得装置434を含む。上述のように、照明パネル装置436は、図4E図4F図4H図4J図4Kにそれぞれ示したパターン444B,444C,444D,444F,444Gのうちのいずれか1つなどに従うバックライト及び照明パターンを提供する。各パターンからの光が血清又は血漿成分213SPに入り、そして血清又は血漿成分213SPを通過し得る。血清又は血漿成分213SPが透明な流体である場合、空気、流体、及び試料容器102の境界で屈折を受けるが、大部分は画像取得装置434まで通過する。濁った流体(例えば、脂肪血症であり得る流体)の場合、血清又は血漿成分213SPの液体内での散乱は、光の伝播に、より影響する。特に、散乱効果は、元の進行方向(元の光線682として示されている)に対して光の方向(散乱光線681として示されている)を広げる統計的光拡散と見なすことができる。散乱に係る光強度が画像取得装置434によって取得され、コンピュータ630のメモリに記録される。取得された強度が測定され、先に取得されている既知の散乱特性を有する試料流体を用いた較正読み取り値などの基準読み取り値と比較される。これにより散乱の程度は、最小値から最大値の間で分類することができる。選択的に又は追加して、散乱に係る光強度は、側方画像取得装置434Sによっても取得され、コンピュータ630のメモリに記録される。側方画像取得装置434Sから得られる強度値は、最小値から最大値までの散乱の程度の尺度を提供するために使用される。側方画像取得装置434Sから得られた値は、散乱特性の範囲を規定するために、単独で、又は画像取得装置434によって取得された測定値と組み合わせて、使用され得る。
【0078】
一実施形態では、散乱特性の推定は、画像取得装置434で観測された、バックライトとしての大きい開口照明パターンに対する小さい開口照明パターンの強度を比較することによって、提供される。小開口照明、例えば試料容器102の背後におけるドット源(図4J)照明又は細い線(図4E)照明、は、(例えば、脂肪血症で)濁っている血清又は血漿成分213SP中で拡散を受け、光路内に流体がないときに見た場合よりも低い強度を示す。「濁度」は、光が試料液体を通過する程度を、その液体中にある粒子数の測定値として記述する用語である。平方mm当たり等しい強度の大きな開口照明パターンも、血清又は血漿成分213SPの拡散を受けやすいが、強度の損失はより低くなる。拡散効果は、大きな開口照明パターンで管215のより大きな立体角から集められる光によって、部分的に除去される。その結果、濁った流体は大きな開口の照明において「明るく」見え、一方、同じ濁った流体は小さい開口の照明を「弱める」ように見える。この効果は、透過率比を計算することによって正規化された形で測定することができる。透過率比は、広い照明パターン対狭い照明パターンを使用して観測することができ、以下の式1に従って特徴付けることができる。式中、TBは濁度の単位のない測定値であり、T_wideは比較的広い照明パターンで得られた透過率読み取り値であり、T_narrowは比較的狭い照明パターンで得られた透過率読み取り値である。
[式1] TB=T_wide/T_narrow
【0079】
散乱特性測定は、選択的に、ダークとスペクトルのいずれか又は両方の基準画像を使用することを含み、また、2016年1月28日出願の同一出願人による米国仮特許出願62/288,387「METHODS AND APPARATUS FOR IMAGING A SPECIMEN CONTAINER AND/OR SPECIMEN」に記載された多重露光HDR処理、を使用することができる。測定及び計算は好ましくはグローバルベースで実行され、ピクセル又はスーパーピクセルワイズ:superpixel-wise(すなわち、空間的に離散した)の計算も可能である。寸法変動パターン(例えば、高さ変動、幅変動のパターン)を使用することができる。適切なパターンは、図4E(例えば、幅変動線パターン444B)、図4H(例えば、高さ変動線パターン444D)に示され、さらに、図4J及び図4Kにそれぞれ示されるドットパターン444F及びドットアレイパターン444Gのような直径変動パターンである。一実施形態では、光源の広がりの比率が最大のコントラストを提供するように最大化される。1より大きい幅比(WR=W_wide/W_narrow)を使用することができる。一実施形態では、WR≧5であり、又は5~20の間のWRも含む。
【0080】
本明細書に記載される特徴付け装置112,612によって得られる情報は、正確な吸引プローブ及びグリッパの位置決めと、指定された検査に十分な量(例えば、容量又は高さ)の液体成分(例えば、血清又は血漿成分213SP)の判定と、溶血(H)、黄疸(I)、又は脂肪血症(L)の程度の同定と、アーチファクト(血塊、泡、又は泡沫)の存在の判定とのいずれか1つ以上を可能にする。したがって、特徴付け装置112,612を使用することによって、グリッパの衝突、プローブの目詰まり、及びプローブによる空気吸引を回避し、H、I、L、アーチファクトの1つ以上を識別することが支援され、その結果、貴重な分析器リソースが浪費されず、検査結果の信頼性が改善される。
【0081】
図7A及び図7Bを参照すると、複数の画像取得装置434A~434C及びパターン照明能力をもつ複数の照明パネル装置436A~436Cを含む特徴付け装置712が示されている。2つや4つ以上など、他の数の画像取得装置及び照明パネル装置の対を使用することもできる。エッジ歪みを最小限に抑えるために、3つ以上の画像取得装置434A~434Cを使用する。画像取得装置434A~434Cは、上述したものと同じである。一例として3つの画像取得装置434A~434Cが図7Aの平面図に示されており、天井は例示の目的で図中では除去されており、複数の(例えば、3つの)異なる横方向の視点から画像を撮像するように構成されている。各画像取得装置434A~434Cは、例えば、上述したような画素サイズを有するデジタル画像を取得することができる。場合によっては、コンピュータ730による画像の処理は、計算負荷を低減するために(ピクセルではなく)スーパーピクセルを処理することによるものであってもよい。本明細書で使用される画素は、単一のピクセル又はスーパーピクセル(密接にグループ化された複数のピクセルの集合)である。
【0082】
各画像取得装置434A~434Cは、試料容器102の少なくとも一部分及び試料213の少なくとも一部分(例えば、血清又は血漿成分213SP、沈降血液成分213SBのいずれか又は両方)の複数の側面画像を取得するように構成され動作可能である。例えば、画像取得装置434A~434Cは、ラベル218又はキャップ214の一部、管215の一部、及び試料213を捉え得る(図2図3を参照)。各画像取得装置434A~434Cにより複数の画像から2Dデータセットが生成され、コンピュータ730のメモリに記録される。これらの2Dデータセットから、試料容器102内の試料213の複合モデルを作成することができる。複合モデルは、一実施形態では3Dモデルとすることができ、試料213についての最終判定を行うために、又は個々の画像取得装置434A~434Cによって得られた画像からの2Dデータを使用することによって行われる判定を確認するために、使用することができる。
【0083】
図示の実施形態では、複数の画像取得装置434A~434Cが撮像位置732の周りに配置され、複数の視点から撮像位置732の側面画像を捉えるするように構成される。視点は、3つの画像取得装置434A~434Cが使用される場合、図示のように、互いに120度など、ほぼ等しい間隔で互いに離間するように配置される。図示のように、画像取得装置434A~434Cは、トラック121の縁部あたりに配置することができる。複数の画像取得装置434A~434Cは、他の配置及び間隔で使用することもできる。このようにして、試料容器102がキャリア122のホルダ122Hにある間に、試料容器102内の試料213を撮像することができる。一実施形態では、画像はわずかに重なり合っていてもよい。
【0084】
一実施形態では、キャリア122は、各画像取得装置434A~434Cからの法線ベクトルが互いに交差する点など、特徴付け装置712内の所定の位置で停止する。この停止位置は撮像位置732にある。一実施形態では、キャリア122を停止させるためにゲートを設けることができ、これは、良好な画質の画像を得ることを可能にする。他の実施形態では、キャリア122は、プログラムに従って上記の位置でキャリア122を停止させ、撮像後にキャリア122をトラック121の次のステーションへ移動させるように構成されたリニアモータを含む。特徴付け装置712にゲートがある実施形態では、1つ以上のセンサ(図1のセンサ128のような)を使用して、特徴付け装置712におけるキャリア122の存在を判定することができる。
【0085】
画像取得装置434A~434Cは、試料容器102の予定位置を含む撮像位置732に近接して設けられ、その画像ウィンドウを捉えるように向けられ又は焦点合わせされる。試料容器102は、視野ウィンドウのほぼ中心に位置するように停止する。上述のように、特徴付け装置712は照明パネル装置436A~436Cによってバックライトされ、血清又は血漿成分213SPの一部、沈降血液成分213SBの一部、キャップ214の一部又は全部、そして管215の底215B又は基準データ440を含む画像を取得する。例えば、TC、試料容器102の底215B、又は基準データ440(例えば、既知の位置で試料容器102に付けられた可視マーク)を基準とすることができる。
【0086】
作動中、特徴付け装置712の所定位置にキャリア122が位置決めされたことを示す信号をコンピュータ730が受信したときに、コンピュータ730により送信されて通信回線743A~743Cで提供されるトリガ信号に応答してトリガされて画像が取得される。取得された各画像は、本明細書に開示される方式の実施形態に従って処理される。一実施形態では、HDR画像処理が、高レベルの詳細度及び情報量で試料213及び試料容器102を特徴付けるために画像を取得して処理するべく使用される。
【0087】
より詳細に、複数の異なる露光時間で、複数の異なる波長(又は1つ以上の波長範囲)で、異なる視点から、特徴付け装置712で、(例えば、分画によって前もって分離されている)試料213の複数の画像を取得することができる。例えば、各画像取得装置434A~434Cは、異なる露光時間及び複数の波長で4~8枚の画像を取得することができる。他の枚数でもよい。図4A図4B、及び図4D図4Oに示すパターンなど、適切なパターン444を、撮像中に照明パネル装置436A~436Cに表示することができる。
【0088】
一実施形態において、画像は、上述のように、スペクトル的に切り替え可能である光源454を含む照明パネル装置436A~436Cを使用することによって、背面照明されている間に得られる。一実施形態では、照明パネル装置436A~436Cは、例えば400nm~700nmの白色光で試料容器102及び試料213をバックライトする。また光源454は、R、B、G、UV、IR、近IRの1つ以上など、1つ以上の他のスペクトルに切り替え可能であってもよい。すなわち、一実施形態においては、スペクトル的に切り替え可能な能力をもつ光源454が複数の選択された発光スペクトルで背面照明を提供する。分析する属性に応じて適切なパターン444を、各画像の照明のために使用する。複数のスペクトル点灯された画像の取得及び使用は、分析のための情報量(内容)を増加させ、特定の1波長スペクトルで撮像したときのある特徴的な吸収スペクトルを強調することができる。
【0089】
例えば、第1のスペクトルの照明を用いて画像を取得するために、照明パネル装置436A~436Cの各光素子460(例えば、赤色LED)(634nm+/-35nm程度の公称波長)を使用して、3つの横方向位置から試料213を照明する。照明パネル装置436A~436Cによる赤色照明で、異なる露光時間の複数の画像(例えば、4~8枚以上の画像)を各画像取得装置434A~434Cにより取得することができる。一実施形態では、露光時間は0.1ms~256ms程度の間である。他の露光時間も使用可能である。各画像取得装置434A~434Cの赤色光で照明されている各露光時間の画像は、同時に撮像され、コンピュータ730のメモリに記録される。
【0090】
赤色照明画像が取得されると、赤色光素子460(例えば、赤色LED)がオフにされ、別の光波長、例えば、緑色光素子461(例えば、緑色LED)がオンにされ(537nm+/-35nm程度の公称波長)、該波長で、異なる露光時間の複数の画像(例えば、4~8枚以上の画像)が各画像取得装置434A~434Cによって取得される。この過程は、各画像取得装置434A~434Cについて、光要素462(青色LED-455nm+/-35nm程度の公称波長)を用いて繰り返すことができる。
【0091】
一実施形態において、照明パネル装置436A~436Cは、パターン発生器458の背後に設けられた個々の光源(例えば、R、G、BのLED)の光源マトリックスを含み、その個々の光源が個別に切り替え可能又はスペクトル色グループで切り替え可能である。したがって、異なる色の照明(例えば、R、G、B、多数の他のスペクトルのいずれか1つ以上)を選択的にオン及びオフにして、例えば複数の異なる波長スペクトルで撮像位置732を照明することができる。
【0092】
特徴付け装置712は、トラック121を少なくとも部分的に取り囲むか又は覆うことのできる筐体738を含み、試料容器102は、画像取得過程において筐体738の内側に位置決めされる。筐体738は、キャリア122が筐体738に出入りすることを可能にするために、1つ以上のドア746を含む。一実施形態では、その天井に、試料容器102を把持するように構成されたグリッパを含むロボット(図示せず)によって試料容器102をキャリア122に装填できるようにする開口448(図7B)を含む。
【0093】
一実施形態では、透過撮像、吸光度撮像、又は反射撮像に焦点を合わせることによって、異なるタイプの特徴付けに望ましい複数の照明モードを達成することが可能である。例えば、一実施形態では、照明パネル装置436A~436Cによって提供される撮像位置732のバックライトに加えて、フロントライト照明を選択的に備えることができる。
【0094】
一実施形態によれば、3つの照明パネル装置436A~436Cの全てがパターン444を表示し、3つの画像取得装置434A~434Cの全てによる撮像のための背面照明源として機能するように動作可能である。撮像は、HIL検知、アーチファクト検知(例えば、泡、凝塊、又は泡沫の検知)、セグメント化、濁度分析、又は屈折率判定のためといった、吸光度又は散乱特性測定のための透過撮像である。
【0095】
上記設定のそれぞれについて、各スペクトル(例えば、R、G、B、白色光、UV、IR、又は近IR)ごとに複数の露光時間で撮像する画像の全ては、複数の視点からの試料213についての画像の集合全体が例えば、数秒未満で取得されるように、迅速に連続して取得される。他の長さの時間も使用可能である。
【0096】
画像データを処理する方法によれば、画像データの処理は、例えば、各スペクトル(例えば、RGBカラー画像)ごとに及び各画像取得装置434A~434Cごとに最適な露光で画像データを生成するために、異なる露光時間及び各スペクトルにおいて、そして各画像取得装置434A~434C(複数の装置が使用される場合)に関し、複数の取得画像の画像データから最適露光の画素を選択することを最初に含む。これは、本明細書では「画像統合」と呼ぶ。各対応する画素について、各視点からの画像ごとに、最適な画像強度を示す画素が、異なる露光時間の画像の各々から選択される。一実施形態では、最適な画像強度は、例えば、所定の範囲内(例えば、0~255のスケールで180~230の間)に入る画素である。別の実施形態では、最適な画像強度は、例えば、0~255のスケールで16~254の間である。(1つの画像取得装置からの)2つの画像の対応する位置における2つ以上の画素が最適露光であると決定される場合、該2つの画像のより高い強度が選択される。最適露光の強度値の各々は、そのそれぞれの露光時間によって正規化することができる。この結果は、視点ごとの複数の正規化及び統合された2Dカラー画像データセット(例えば、R、G、B)であり、全ての画素が最適露光されている(例えば、スペクトル(例えば、R、G、B)及び視点ごとの1つの画像データセット)。
【0097】
特徴付け方法の一部として、特徴付け装置112,612,712の校正処理を開始することができ、ここでは、キャリア122に試料容器102がない参照画像を取得することができる。この方法によると、各2D画像データセットから背景(試料容器102の外側の領域)を除去することによって、計算負荷を最小限に抑えることができる。各露光時間及び照明条件(R、G、B、白色光、UV、IR、又は近IR)ごとに1つ以上の参照画像が、特徴付け/定量化を実行する前(又は後)に、特徴付け装置112,612,712によって取得される。これらの参照画像は、一実施形態では、パターン444Eなどのパターンを照明パネル装置436(又は複数の視点の場合は436A,B,C)に表示することによって取得される。選択的に、パターン444H~444K(又はそのいくつかのサブセット)のようなグレイコードシーケンスを較正画像に使用することができる。さらに、1つ以上の参照画像を、特徴付け装置112,612,712のハードウェアの自己テストのために使用することができる。
【0098】
最適露光画素を含む各2D画像データセットごとに、セグメント化プロセスを行って、1つの2D統合画像を生成し、各視点ごとにその中の各画素(又はスーパーピクセル)についてクラスを識別することができる。例えば、画素は、血清又は血漿成分213SP、沈降血液成分213SB、ゲルセパレータ313(存在する場合)、空気216、管215、ラベル218、ホルダ122H、又はキャップ214として分類される。分類は、複数のトレーニングセットから生成されたマルチクラス分類器に基づく。マルチクラス分類器は、例えばサポートベクトルマシン(SVM)又はランダム決定木を含む。
【0099】
画素レベル分類を実行するために、第1の統計データが、2D統計データセットを生成するために、各視点ごとに異なる公称波長(例えば、R、G、B、白色光、UV、IR、又は近IR)で最適露光された画素のそれぞれについて、計算される。2D統計データセットは、平均値及び共分散を含む。他の統計が生成されてもよい。統計データは、平均値、変動、及び相関値を含む2次までの属性を含む。特に、共分散行列は、識別パターンを表す多次元データ全体で計算される。
【0100】
生成された各2D統計データセットは、コンピュータ130,630,730で動作するマルチクラス分類器に提示されて演算され、該分類器は、画像データセット内の画素を、例えば1-血清又は血漿成分、2-沈降血液成分、3-ゲルセパレータ(使用される場合)、4-空気、5-管、6-ラベル、7-ホルダ、8-キャップの1つ以上を含む複数のクラスラベルの1つに分類する。これにより、液体領域(すなわち、血清及び血漿成分213SP)を構成する画素と、他の領域とを識別することができる。セグメンテーションの結果は統合された2Dデータセットであり、全てのピクセルが分類された各視点ごとの1つのデータセットである。
【0101】
マルチクラス分類器は、線形又は非線形の適切なタイプの教師あり分類モデルである。例えば、マルチクラス分類器は、線形又はカーネルベースのいずれかであるサポートベクトルマシン(SVM)である。選択的に、マルチクラス分類器は、適応型ブースティング分類器(例えば、AdaBoost、LogitBoost)、人工ニューラルネットワーク、ツリーベース分類器(例えば、決定ツリー、ランダム決定フォレスト)、及び分類器としてのロジスティック回帰などの、ブースティング分類器である。SVMは、試料213及び試料容器102の分析において見出されるような、液体と非液体との間の分類に特に有効である。SVMは、データを分析してパターンを認識する関連学習アルゴリズムをもつ教師あり学習モデルである。SVMは、分類及び回帰分析のために使用される。
【0102】
訓練例の複数のセットがマルチクラス分類器を訓練するために使用され、次いで、画像データセットがマルチクラス分類器によって演算され、各画素が結果として分類される。マルチクラス分類器は、様々な試料条件、ラベル218による遮蔽、血清又は血漿成分213SP及び沈降血液成分213SBの高さ、ゲルセパレータ313を含むか否か、などを含む試料容器102の多数の例において様々な領域の輪郭を図式的に描くことによって訓練される。500以上もの画像が、マルチクラス分類器を訓練するために使用され得る。各訓練画像は、各クラスに属する領域を識別し、マルチクラス分類器に教示するために、手動で輪郭を描くこともできる。
【0103】
SVMトレーニングアルゴリズムを、新しい試料の画素をクラスの1つに割り当てるマルチクラス分類器を構築するために使用することができる。SVMモデルは、別々のクラスの例が可能な限り広い明確なギャップによって分割されるようにマッピングされる空間内の点として例を表す。画像データセットからの新しい画素が、その同じ空間にマッピングされ、それら画素がマップ上のどこにあるかに基づいて特定のクラスに属すると予測する。一実施形態では、SVMが、いわゆるカーネルトリック(例えば、カーネルベースのSVM分類器)を使用して非線形分類を効率的に実行することができ、その入力を高次元特徴空間に暗黙的にマッピングする。SVM、ツリーベースの分類器、及びブースティングが特に好ましい。他のタイプのマルチクラス分類器も使用可能である。
【0104】
血清又は血漿成分213SPか沈降血液成分213SBあるいはその両方のクラスであるとみなされるマルチクラス分類器の結果を用いて、次に、試料213をさらに定量化することができる。
【0105】
特徴付けは、一実施形態に係る特徴付け方法に従って行われる。まず、キャリア122によって運ばれる試料213を入れた試料容器102が、特徴付け装置112,612,712に提供される。複数の画像が、画像取得装置434又は画像取得装置434A~434Cで取得される。一実施形態では、複数の画像は、上述のように、複数の異なる露光時間及び複数の異なるスペクトルで取得されたマルチスペクトル画像であり、1つ以上の視点をもつ。
【0106】
一実施形態では、試料容器102と試料213のいずれか又は両方の定量化が、屈折によるエッジ(縁)シフトを利用することによって実行される。例えば、管-キャップインターフェースTCと液体-空気インターフェースLAとの間の空気216を含む領域内の試料容器102を通して撮像されるような、照明パネル装置436に表示されるパターン(例えば、パターン444C)の縁の横方向シフトを検出することができる。例えば、図8に示すように、管-キャップインターフェースTCと液体-空気インターフェースLAとの間の領域におけるパターン444Cの屈折により、照明パネル装置436に表示されるパターン444Cと比較して異なる幅及び位置を有する屈折パターン444’が生成され、取得される。例えば、パターン444’は図示のように、幅が広くなって且つ横方向にある距離だけ移動している。幅や位置の変化の程度は、試料容器102の幅Wiに相関させることができる。さらに、管-キャップインターフェースTC及び液体-空気インターフェースLAの位置は、パターン444C,444’,444”を分析することによって判定することができる。キャップ214のキャップ上端CTの位置の画像におけるパターン444の消失は、キャップが存在すること、及びキャップ214の高さを示す。TCは、画像内のパターン444’の上端に結びつく画素の位置を計算することによって判定することができる。
【0107】
試料213の定量化、特に血清又は血漿成分213SPの高さHSPは、血清又は血漿成分213SPを通った屈折パターン444”を撮像することによって達成できる。パターン444”の位置が変化し且つ沈降血液成分213SBがその不透明性によってパターン444を遮蔽するため、パターン444”の高さを画像から割り出し、該高さは、HSPの推定値だけでなく、液体空気界面LAの位置(パターン444”の上端位置)及び血清血液界面SBの位置(パターン444”の下端位置)をも得るために使用することができる。HSBは、ホルダ122H内の管215の着座した底の位置を知ることによって判定することができる。場合によっては、パターン444Cの検出されたエッジシフトが、流体の屈折率や、試料容器の曲率に関する情報をもたらす。同様のアプローチによって、光が異なる屈折率の界面で曲面を通過するときに観察される「レンズ効果」を利用して、(例えば、試料213及び試料容器102を通るパターンの少なくとも2つのコントラストエッジを撮像することによって)照明パターン444Cの倍率係数を計算することができる。
【0108】
表示パターン444を含む特徴付け装置112,612,712の照明設定は、干渉物質を検出するためや、試料213の特に血清又は血漿成分213SPにおけるアーチファクトを検出するためにも使用可能である。それぞれの場合において、取得された複数の画像は、コンピュータ130,630,730のメモリに記録される。これらの画像から、背景は、計算負荷を低減するために、背景低減フェーズにおいて選択的に除去される。背景除去は、選択的に、前に取得してある参照画像を減算することによって行える。一実施形態では、(複数の視点の場合)様々な視点間のデータの正規化を行うことができる。
【0109】
画像取得及び必要に応じた背景除去の後、セグメンテーションを行う。セグメンテーションは、画像統合を含む。画像統合の間、各色(R、G、B、白色光、UV、IR、又は近IR)及び各視点の様々な露光時間画像が、基準(上述)と比較して最適露光の画像を決定するために、画素ごとに(又はスーパーピクセルごとに)レビューされる。各視点ごとの露光時間画像の各対応する画素位置に対して、最適露光画素のうちの最良のものが、各色及び視点ごとに選択され、最適露光の2D画像データセットに含まれる。したがって、画像統合に続いて、各スペクトル及び各視点について、及び画像取得装置434又は各画像取得装置434A~434Cについて、1つの最適露光2D画像データセットが生成される。HDR処理の使用は、特に反射及び吸収に関して、画像の詳細を豊かにするように機能し、これにより、特徴付け及び定量化がより正確になる。
【0110】
画像統合に続いて、可能なら同時に、統計生成が行われ、ここで、平均及び共分散などの、2次までの統計属性が、各画素について生成される。次いで、この統計データ及び最適露光2Dデータセットが、画像データセットに存在する画素のクラスを識別するために、マルチクラス分類器によって演算される。各スーパーピクセル位置ごとに、統計的記述が小さなパッチ(例えば、11×11ピクセルのスーパーピクセル)内で抽出される。各パッチは、評価プロセスにおいて考慮される記述子を提供する。分類器は特徴記述子について演算し、検査/評価中に出力クラスラベルを使用する。各スーパーピクセルの最終クラスは、各スーパーピクセルの信頼値を最大にすることによって判定され得る。計算された統計値はクラスの特定の特性を符号化し、したがって、異なるクラス間の差別のために使用される。このセグメンテーションから、統合された2D画像データセットが視点ごとに生成され、統合画像データセット内の各画素は、上述の複数のクラスタイプのうちの1つとして分類される。このセグメンテーションにより、統合2D画像データセットから3Dモデルを生成して構築することができる。3Dモデルは、複数の画像取得装置434A~434Cが使用される場合、各視点の間で一貫した結果を確実にするために使用され得る。
【0111】
別の方法によれば、液体領域(例えば、血清又は血漿成分213SP)を特徴付けることができる。これは、クラス-血清又は血漿成分213SPから全ての画素をグループ化すること、次いで、統合された2D画像データセットに関して液体(血清又は血漿成分213SP)と空気216との間の上端界面(すなわちLA)の位置を判定することを含む。この過程は、視点ごとに行うことができる。LAの数値は、血清又は血漿成分213SPとして分類された上端の画素の位置を視点ごとに平均することによって、統合2D画像データセットごとに計算することができる。実質的外れ値ははじくことができ、平均において使用されない。事前に実施された画素空間対機械空間(例えば、単位mm)較正は、公知の機械空間対画像空間較正技術によって達成され、そして画素空間を、把持ロボット又は吸引用の他のロボットによって利用可能な機械空間に変換するために、使用される。他にも、液体/空気界面LAは、上述の屈折法を用いて判定又はクロスチェックされる。3Dモデルで使用できるLAの最終値を識別するために、各視点(複数の視点がある場合)のLAの数値を集計することができる。集計は例えば、視点ごとにLAの数値を平均するなど、視点ごとの結果を融合する適切な方法によって行うことができる。1つの値が他の2つより実質的に低い場合、それは外れ値として廃棄してもよい。
【0112】
次に、ゲルセパレータ313が存在する(例えば、使用される)かどうかに応じて、特徴付け方法は、沈降血液成分213SB又はゲルセパレータ313としてモデルによって分類された画素に基づいて、各視点ごとにSB又はSGの位置(ゲルセパレータが存在する場合)を判定する。各視点ごとのSB又はSGの数値は、血清又は血漿成分213SPとして分類された下端画素の位置を平均化又は集計することによって計算することができる。SB又はSGについての単一の値は、視点ごとのSB又はSG値を平均することによって、3Dモデルについて判定される。LA及びSB又はSGの位置により、血清又は血漿成分HSP(図2及び3)の高さを、LAとSB又はSGとの平均値を差し引くことによって判定することができる。この高さHSPは、上述の屈折率方法によってクロスチェックされるか又は提供される。
【0113】
液体領域(例えば、血清又は血漿成分213SP)の定量化は、試料容器102の内側幅Wiを判定することをさらに含む。一実施形態によれば、横幅Wが上述の屈折率方法によって、又は、各統合2D画像データセットで管215として分類される画素を識別し、管215の横の側縁に位置する画素のうちの対応する画素の位置を減算し(例えば、LAとSB又はSGとの間で測定される)、次いで各視点ごとに減算値を平均することによって、判定される。幅Wの最終値は、W値を各視点から平均することによって判定することができる。実質的な外れ値は無視することができる。内側幅Wiは、壁厚Twの2倍を減算することによって幅Wから判定することができ、Twは、全ての試料容器102について推定してコンピュータ130,730のメモリに記憶された平均壁厚値であってもよく、又は、幅Wiは、外側幅W及び試料容器102の高さHT値(TCを判定することに基づく)に基づいて判定された管のタイプに基づいて、メモリ内のルックアップテーブルから得ることもできる。
【0114】
さらに、HSP及びWiから、液体領域(例えば、血清又は血漿成分213SP)の容量(体積)を、3Dモデルに関する以下の式2を使用して判定できる。
[式2] VSP=HSP×Pi/4Wi
【0115】
沈降血液成分213SBの定量化も、同様の方法に従う。沈降血液成分213SBのクラスに対応する画素は、まず分類子によって識別される。ゲルセパレータ313が存在するか否かに応じて、各統合2D画像データセット内の沈降血液成分213SBの下端画素を特定し、次いでSB又はBGのいずれかを減算することによって、各視点ごとに沈降血液成分HSBの高さを判定することができる。ゲルセパレータ313が存在する場合、BGは、ゲルセパレータ313として分類された画素の下端垂直位置を平均することによって、各視点ごとに判定可能である。沈降血液成分213SBの下端画素は、試料容器102の下端縦寸法を求め、各視点の壁厚Twを差し引くことで求めることができる。WiはWからTwを減算することによって判定でき、HSBの最終値は、各視点ごとのHSB値を平均することによって判定することができる。HSB及びWiの最終値から、沈降血液成分213SBの容量(体積)は、3Dモデルに関する以下の式3を使用して判定できる。
[式3] VSB=HSB×Pi/4Wi)-1/2・Wi+(Pi/24)Wi
【0116】
選択的に、各視点ごとの統合2D画像の様々な画素クラスを集約し、マッピングして、試料容器102を取り囲む3D仮想ボクセルグリッドを再構成することができる。各画素は、特徴付けられた画素の3Dモデルを生成するために3D仮想ボクセルグリッド上に3つの方向から投影することができる、2D仮想グリッド内の定義された位置を有する。2D透視法からのグリッドは、画像取得装置434A~434Cと各視点ごとの姿勢との間の較正情報に基づいて、3D仮想ボクセルグリッドと位置合わせされる。各2Dグリッドのエッジ構造間には、いくらかの冗長性(重複)が存在し得る。各統合2D画像データセットに割り当てられたクラスは、各視点ごとに血清又は血漿成分213SP、沈降血液成分213SB、ゲルセパレータ313(存在する場合)、空気216、管215、ラベル218、及びキャップ214の領域を形成するために、各視点ごとにまとめてグループ化される。各領域それぞれのボクセルは、3D仮想ボクセルグリッドを横切り、クラスが隣接する視点間で一致している場合、重なり合う領域内の画素に共通のクラスが割り当てられる。
【0117】
その結果、様々な領域が3Dモデルにマッピングされ、各領域は、3D仮想ボクセルグリッドからの較正情報及び測定値を使用して定量化することができる。3Dモデルの領域位置を使用して、空気216又は沈降血液成分213SB又はゲルセパレータ313が吸引されないように、吸引プローブ先端をどこに配置するかを判定することができる。
【0118】
液体領域が識別されると、その中の干渉物質(例えば、H、I、Lの1つ以上)の存在が、1つ以上の干渉物質分類子を用いて液体領域の2Dデータセットを演算することによって判定される。H、I、Lの1つ以上を検知するためのバックライトは、図4D図4E図4Hに示したパターン444A,444B,444Dなどのパターンを含み、これによって縦横方向の迷光を緩和する。一実施形態において、2016年1月28日出願の同時係属米国仮特許出願62/288,375「METHODS AND APPARATUS FOR DETECTING AN INTERFERENT IN A SPECIMEN」に記載されているように、H、I、Lのそれぞれに対して別個の分類子を使用することができ、また、複数の視点の平均として試料213に干渉レベルを与えるために使用可能なHIL指標値(Havg、Iavg、Lavg)を提供するために平均値を使用できることも理解される。このようにして、3DモデルのH、I、L又はN(Normal)に関し1つの一貫した分類を得ることができる。
【0119】
特徴付け装置112,712において、アーチファクト(例えば、血塊、泡、泡沫の1つ以上)の存在は、1つ以上のアーチファクト分類子を用いて液体領域の2Dデータセットを演算することによって判定される。複数の視点の場合、各視点を使用して、特定の視野の領域を生成することができる。次いで、様々な視点からのアーチファクトの領域を使用して、アーチファクトの推定体積を判定することができる。2D画像は3Dにおける構造を三角測量するために使用でき、体積は幾何学的計算から導出される。アーチファクトの推定体積は利用可能な液体のより良好な推定が提供されるように、容量VSPから差し引くことができる。アーチファクトの位置を仮想3Dボクセルグリッドに投影するために様々な視点を使用することができ、各2D投影からの寸法を使用して、アーチファクトの体積及び3D位置をさらに良好に推定することができる。アーティファクト検出は、2016年1月28日出願のされた同時係属米国仮特許出願62/288,358「METHODS AND APPARATUS FOR CLASSIFYING AN ARTIFACT IN A SPECIMEN」に記載されている。
【0120】
以上のとおり、パターン生成能力をもつ本発明の特徴付け装置112,612,712及びこれを使用する方法は、試料213の血清又は血漿成分213SP、沈降血液成分213SB、試料容器102の1つ以上について迅速な定量化をもたらすことが分かる。最終結果及び判定は、複数の視点に全部で集約され、3Dモデルとして表示される。
【0121】
図9は、試料容器102と試料213のいずれか又は両方を特徴付ける方法900のフローチャートを示し、多くの項目が特徴付け装置112,612,712を使用して特徴付けられる。一実施形態によれば、方法900は、試料(例えば、血清及び血漿成分213SPを含む試料213)を入れた試料容器(例えば、試料容器102)を受け入れるように構成された撮像位置(例えば、撮像位置432,632,732)を設けるステップ902を含む。方法900は、撮像位置(例えば、撮像位置432,632,732)に隣接して、1つ以上の画像取得装置(例えば、画像取得装置434,434A~434C)を設けるステップ904を含む。
【0122】
方法900は、撮像位置(例えば、撮像位置132,632)のバックライトを提供するように構成された照明パネル装置(例えば、照明パネル装置436,436A~436C)を設けるステップ906を含む。方法900は、照明パネル装置(例えば、照明パネル装置436,436A~436C)の前面(前面436S)にパターン(例えば、パターン444,444A~444G)を表示するステップ908と、1つ以上の画像取得装置(例えば、画像取得装置434,434A~434C)を用いてパターン(例えば、パターン444,444A~444G)の画像を取得するステプ910とを含む。取得した画像は、上述したように、複数のスペクトル(例えば、R、G、B、白色光、UV、IR、近IRの1つ以上)及び異なる露光時間の画像であり得る。画像は、複数の視点で取得することができる。
【0123】
次いで、画像をさらに処理して、上述の方法でセグメンテーションを判定することができる。同様に、ステップ910で取得した画像は、H、I、Lの1つ以上に関する特徴付けのために使用可能であり、さらに、画像は、本明細書に記載される方法に従って、血清又は血漿成分213SPの同定及び定量化のために使用可能である。液体の定量化は、物理的位置LA、SB、SG、BGなどの試料213の物理的寸法特性の判定、HSP(血清又は血漿成分213SPの深さ)、HSB(沈降血液成分213SBの深さ)、HTOT、血清又は血漿成分SPの容量、沈降血液成分の容量VSBの1つ以上の判定を含む。内側幅Wiは、試料容器の特徴付けから得ることができる。
【0124】
検査に利用可能な血清又は血漿成分213SPの実際の容量にさらに近い測定値をも提供するために、又は単にアーチファクトの存在をフラグするために、アーチファクト検出方法を使用して、血清又は血漿成分213SP中の凝血塊、泡、泡沫の存在を同定できる。パターン照明を使用して、迷走バックライトを最小限に抑えることができる。存在する1つ以上のアーチファクトのそれぞれの推定体積は、より良好な容量予想を得るために、判定後の血清又は血漿成分VSPの推定容量から差し引く。各視点の2D画像データは血清又は血漿成分213SPにおけるアーチファクトの有無を判定するために、アーチファクト分類子を使用して処理され得る。アーチファクト検出によってアーチファクトであると識別された画素は、本明細書で説明する定量化方法では無視することができるが、HIL分類で結果を歪ませないように無視することもできる。アーチファクトの検出は、一実施形態において改善につながる。
【0125】
試料容器102のさらなる特徴付けが、より広範な方法900に従って達成される。様々な視点からの管の種類、キャップの種類、キャップの色の特徴付けを、提供することができ、3Dモデルの生成を可能にする。様々な視野のデータを比較して、各視点からの画像の処理に基づいて同じ特徴付けが達成されたことを検証することができる。わずかに異なる値が得られる場合、値は平均化することができる。本明細書に記載の方法によるHIL分類、試料定量化、アーチファクト検知、及び試料容器検知からの出力の全てを使用して、3Dモデルを生成することができる。3Dモデルは、様々な視点からの結果の最終的な判定、特徴付け、調和などのために使用することができる。
【0126】
本発明は、様々な修正及び代替の態様を許容するが、特定の装置及び方法の実施形態を例として図面に示してここに詳細に説明した。しかし、当然ながら、開示した特定の装置又は方法に本発明を限定することは意図されておらず、反対に、特許請求の範囲内に含まれる全ての修正、均等、及び代替の概念を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図8
図9