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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】可変式節水型洋式便器の汚水排出装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/012 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
E03D5/012
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019571422
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 KR2018005085
(87)【国際公開番号】W WO2018236043
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-02-04
(31)【優先権主張番号】10-2017-0077713
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519453559
【氏名又は名称】ワワ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WAWA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】36,Dalseong2cha 4-ro,Guji-myeon Dalseong-gun Daegu 43013 Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519454017
【氏名又は名称】イ ジョンイン
【氏名又は名称原語表記】LEE,Jong In
【住所又は居所原語表記】(Bangchon-dong,Worivillas)103-301,16,Hwarang-ro 75-gil Dong-gu Daegu 41163 Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519453560
【氏名又は名称】ヒョン ドン
【氏名又は名称原語表記】HYUN,Don
【住所又は居所原語表記】(Donong-dong,somang ARTvilla)A-404,26-16,Donong-ro jungchon 2-gil Namyangju-si Gyeonggi-do 12255 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンイン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ドン
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1442624(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1638427(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0479678(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 5/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面や壁体に設置され、外部から直水流入路(101)を介して直水が流入される直水流入口(111)が形成されており、上部が開口され、一定量の汚水が貯蔵されるボウル(110)を備え、前記ボウル(110)から汚水を排出させる連結管(120)を備え、前記ボウル(110)の後方を覆い、前記連結管(120)を介して排出される汚物を便器の外部に排出させる底管(130)に誘導するカバー部(140)を備える洋式便器本体部(100)と、
前記連結管(120)と連結され、前記ボウル(110)から排水される汚水の流動経路を形成し、一方に曲げ可能である蛇腹管(200)と、
前記直水流入路(101)と連結され、前記ボウル(110)へ直水が流入する時に、前記直水流入路(101)からの直水の一部が分岐されるようにする直水分岐部(300)と、
前記蛇腹管(200)に連結され、汚水を排出する主排出管(410)と、
前記主排出管(410)の外周に備えられており、前記直水分岐部(300)から分岐された直水が供給され、下部に供給された直水が排出されるようにする補助排出孔(422)を備える補助タンク(420)と、からなり、
汚水が排出されない場合には、前記主排出管(410)の開口は上方を向いており、前記直水分岐部(300)から分岐された直水が所定の量に達すると、自重によって下方に回動し、前記主排出管(410)を介して汚水を外部に排出するとともに、前記補助タンク(420)へ供給された直水が前記補助排出孔(422)を介して排出される速度によって、前記主排出管(410)を介して排出される汚水の排出時間を遅延させる汚水排出管(400)と、
前記連結管(120)と前記汚水排出管(400)を弾性的に連結するものであって、直水の遮断時に、前記汚水排出管(400)が直立状態を成すように弾性力を有する弾性部(500)とを含み、
前記直水分岐部(300)は、
上部が前記直水流入路(101)と結合され、下部が前記補助タンク(420)の上部と連結される分岐蛇腹管(310)と、
前記分岐蛇腹管(310)の上部と連結され、且つ前記直水流入路(101)の内部に配置される分岐水流入部(320)と、を含み、
前記補助タンク(420)には、前記直水分岐部(300)の分岐蛇腹管(310)と連結される連結部(421)が備えられ、前記連結部(421)の開口の方向と前記主排出管(410)の開口の方向とは同じ方向であり、前記連結部(421)の開口の方向は、前記補助排出孔(422)の開口の方向に対して垂直方向であることを特徴とする可変式節水型洋式便器の汚水排出装置。
【請求項2】
前記弾性部は、
前記連結管(120)と前記蛇腹管(200)とを連結する連結部(115)に両側から突出するように設けられ、両端部位に第1掛け孔(511)が形成された第1掛け部材(510)と、
前記汚水排出管(400)の両側部に設けられ、間隔を成す多数の第2掛け孔(521)が形成された一対の第2掛け部材(520)と、
一端が前記一対の第2掛け部材(520)の多数の第2掛け孔(521)の何れか1つに連結され、他端が前記第1掛け孔(511)に連結される一対の弾性部材(530)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の可変式節水型洋式便器の汚水排出装置。
【請求項3】
前記蛇腹管(200)または汚水排出管(400)に設けられており、前記汚水が流動される際には汚水の流動により開放され、前記汚水が流動されない場合には閉塞される悪臭防止部(600)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の可変式節水型洋式便器の汚水排出装置。
【請求項4】
分岐水流入部(320)を有し、前記分岐水流入部(320)の入口部位に、前記直水流入路(101)への直水の供給時には水圧によって開放され、直水の遮断時には自重によって閉塞されることで、前記直水流入路(101)へ悪臭が流入されることを防止する悪臭防止弁(321)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の可変式節水型洋式便器の汚水排出装置。
【請求項5】
前記悪臭防止部(600)は、
前記汚水排出管(400)の内部に配置され、中空状に形成されて、可撓性を有するビニール又はゴム形成される悪臭防止部材(610)を含むが、
前記悪臭防止部材(610)の一端は、前記汚水排出管(400)の内周の一端に固定され、
前記悪臭防止部材(610)の他端は、前記汚水排出管(400)の内周の他端側に沿って自由端を成すように配置され、
前記汚水排出管(400)に汚水が流動し、流動された汚水は前記悪臭防止部材(610)の中空に流入され、前記悪臭防止部材(610)を開放し、
前記汚水排出管(400)からの汚水の流動が完了すると、自由端で配置された前記悪臭防止部材(610)の他端は、汚水排出管(400)に密着されて密閉されるように外形が変わることを特徴とする請求項3に記載の可変式節水型洋式便器の汚水排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変式節水型洋式便器の汚水排出装置に関し、より詳細には、直水流入路から一部の直水が分岐され、洋式便器の汚水排出管の外周にある補助タンクに貯蔵される直水が一定量以上となった場合に、補助タンクの荷重によってボウル内の汚水が外部に排出される、可変式節水型洋式便器の汚水排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、洋式便器においては、糞尿排出口からの悪臭や糞尿の円滑な洗浄のために、便器ボウルに一定量の水を貯水するサイホン(siphon)の原理が用いられている。
【0003】
かかるサイホン原理は、逆U字形管内の水位と便器内の水位とが平衡を保つ時には水が停滞状態であるのに対し、便器ボウル内の水位が急に高くなると、便器ボウル内の圧力上昇が伴われ、相対的に低圧状態であるサイホン管との圧力差によって便器ボウル内の水が排出されることになる原理である。
【0004】
通常の洋式便器は、図1に示されたように、所定量の水を湛えているボウル(bowl)2と、前記ボウル2よりも高い位置で所定量の水洗用水を貯水しており、前記ボウル2に対して給水口パッキング5によって閉塞された供給路2aを介して連結される貯水タンク1と、からなり、前記貯水タンク1に設けられた排水レバー3の操作により、その排水レバー3に連動する前記給水口パッキング5が給水口10を開放し、貯水タンク1の水がその供給路2aを介してボウル2に急速に供給されることで、ボウル2内の水位が増加するに伴いボウル2内で発生する水圧、およびその水圧によって前記ボウルの排水路2bを介して排水される水が生成するサイホン効果により、ボウル内に沈殿された大便や小便を排水トラップ2cを介して排出されるように構成されている。
【0005】
しかし、上述のような従来の洋式便器は、ボウル内における悪臭などの逆流防止のための排水トラップ2cの高さ以上の水位を常に維持しなければならず、また、水洗時に、前記排水トラップ2cの高さの水圧に勝つことができる量の水が用いられなければならないため、水の消費量が多いという問題があった。
【0006】
さらに、従来の便器は、円滑な汚物の排出のために、ボウルの排出管の直径がKS規格などで決められた45ミリ以上、すなわち、通常45~55ミリ程でなければならない。そのため、ボウル内の汚物を洗浄するためには、いわゆるサイホン現象を引き起こして吸引力により洗浄すべきであるが、このようなサイホン現象を引き起こすためには、一度に少なくとも60ミリ以上の水をボウルの内部へ供給しなければならない。それを解決するために、従来の便器は、水タンクを設け、常時は水タンクの内部に一定量の水を貯蔵しておき、使用時には、水タンクの内部に設けられた約65ミリ前後の配水管口径に付着された開閉栓の開放により、水タンクとボウルに通じる内部の水路を介してボウルの内部へ水を供給することで、サイホン現象が起こって洗浄が行われる。
【0007】
そのため、従来の便器は、口径が約15ミリ程の水道管の直水では、いくらボウルの内部へ水を供給しても、ボウルの排出管の直径が通常45~55ミリ程であるため、サイホン現象を引き起こすことができず、そのままボウルの排出管を介して排出され、ボウル内の汚物を洗浄することができない。
【0008】
したがって、これまでは、男子用小便器の場合、水道管に直結して用いることで、感知器などによる自動洗浄が一般化されていたが、大便器の場合は、上記のような理由から、水道管への直結では汚物の洗浄が不可能であって、自動大便器は一般化が不可能であった。
【0009】
なお、従来の便器(一部の給水管口径が1インチである洗浄弁型便器は除く)は、水タンク機能を必須に備えなければ洗浄が不可能であるため、デザインの限界だけでなく、水タンクによって便器のサイズを減らすことができないため、空間的な制約もあった。また、水タンクと便座を一体型として陶器で製作(いわゆる、「ワンピース型便器」)する場合には、不良率が高くて生産収率が低く、結果として、陶器原価上昇の要因となる。
【0010】
また、水タンクの内部に設けられた給排水管の不良などによって水漏れが発生しても、使用者が感知しにくいため、上下水道料金の請求書を見てから認知されることもある。また、共用トイレやオフィスビルなどの公共の場所で用いる、いわゆるフラッシュ便器は、水タンクがないため、水道管に直結して用いるために、一度に多量の水を供給できるように、一般の15mmの水道管とは別に、直径25mm(1インチ)の管をさらに設備しなければならない。そのため、莫大な設備コストが追加されるだけでなく、洗浄レバーの作動時に、いわゆる「ウオーターハンマー」という現象によって激しい騒音が伴われるため、一般家庭では使用が不可能であった。
【0011】
さらに、韓国特許第10-1131810号に記載の可変二重直線管式節水型洋式便器の可変二重直線管は、従来の給水流路とボウルリムの方式により動作できるものであって、水道直水の供給時にボウル内部の水位が上昇すると、可変直線管が下向きとなって汚水の排出は可能であるが、水道の圧力が、水タンクとボウルに通じる内部の水路およびボウルリムの内部の水路で急激に低下する。結果として、水道の圧力を利用することができなくなり、ボウル内部の汚水の洗浄において問題があり、汚水の排出時に、可変直線管の下向きにおける遅延時間調節が困難であるため、一部汚水の逆流がたまに発生する。
【0012】
さらに、韓国特許第10-1131810号に記載の可変二重直線管式節水型洋式便器の可変二重直線管は、汚水排出のための可変二重直線管の下向き時まで直水をボウルに供給しなければならず、供給された直水が直ちにボウルに貯蔵された汚水と混合され、供給された直水も汚水に変わってしまい、結果として、洗浄水が浪費され、節水効果を半減させる問題がある。
【0013】
また、韓国特許第10-1131810号に記載の可変二重直線管式節水型洋式便器の可変二重直線管は、汚水排出管の外周にある補助タンクの水として、汚水排出物の一部を用いることで、一定期間後に、補助タンクに流入される汚水によって詰まりが発生し、汚水排出管の誤動作を誘発させ、排出ユニットの誤動作を起こすという耐久性の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、洋式便器の供給水路によって一部の直水を分岐させ、分岐された直水の自重により、ボウルの排出口に蛇腹を介して連結される排出ユニットを下方に弾性流動させることで、順に汚水を排出させ、汚水が全て排出された後には、弾性的に排出ユニットを原位置にすることができる、可変式節水型洋式便器の汚水排出装置を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、上水管から直接供給される直水を利用して、水タンクがなくても洋式便器のボウルに湛えられた汚水を排水できるようにする可変式節水型洋式便器の汚水排出装置を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、上水管から供給される上水圧の変化があっても、一定水圧以上になると安定して排出ユニットを動作させることができて、上水圧の影響を殆ど受けないため、安定して洗浄力を維持することができる可変式節水型洋式便器の汚水排出装置を提供することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、上水管から供給される直水を使用可能であるため、従来の一般便器に必須に備えられていた水タンクが不要であって、陶器デザインの多様化と、陶器の生産原価の低減および設置空間の縮小、感知器などを利用した自動洗浄便器の使用の一般化において助けになることができる可変式節水型洋式便器の汚水排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
好ましい実施例において、本発明は、底面や壁体に設置され、外部から直水流入路101を介して直水が流入される直水流入口111が形成されており、上部が開口され、一定量の汚水が貯蔵されるボウル110を備え、前記ボウル110から汚水を排出させる連結管120を備え、前記ボウル110の後方を覆い、前記連結管120を介して排出される汚物を便器の外部に排出させる底管130に誘導するカバー部140を備える洋式便器本体部100と、前記連結管120と連結され、前記ボウル110から排水される汚水の流動経路を形成し、一方に曲げ可能である蛇腹管200と、前記直水流入路101と連結され、前記ボウル110へ直水が流入する時に、前記直水流入路101からの直水の一部が分岐されるようにする直水分岐部300と、前記蛇腹管200に連結され、汚水を排出する主排出管410と、前記主排出管410の外周に備えられており、前記直水分岐部300から分岐された直水が供給され、下部に供給された直水が排出されるようにする補助排出孔422を備える補助タンク420と、からなり、前記直水分岐部300から分岐された直水が所定の量に達すると、自重によって下方に回動し、主排出管410を介して汚水を外部に排出するとともに、前記補助タンク420へ供給された直水が前記補助排出孔422を介して排出される速度によって、前記主排出管410を介して排出される汚水の排出時間を遅延させる汚水排出管400と、前記連結管120と前記汚水排出管400を弾性的に連結するものであって、直水の遮断時に、前記汚水排出管400が直立状態を成すように弾性力を有する弾性部500と、を含むことを特徴とする可変式節水型洋式便器の汚水排出装置を提供する。
【0019】
また、前記弾性部は、前記連結管に両側から突出するように設けられ、両端部位に第1掛け孔が形成された第1掛け部材と、前記汚水排出管の両側部に設けられ、間隔を成す多数の第2掛け孔が形成された一対の第2掛け部材と、一端が前記一対の第2掛け部材の多数の第2掛け孔の何れか1つに連結され、他端が前記第1掛け孔に連結される一対の弾性部材と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、前記蛇腹管200に設けられており、前記汚水が流動される際には汚水の流動により開放され、前記汚水が流動されない場合には閉塞される悪臭防止部600をさらに含むことを特徴とする。
【0021】
なお、前記直水分岐部300は、上部が前記直水流入路101と結合され、下部が前記補助タンク420の上部と連結される分岐蛇腹管310と、前記分岐蛇腹管310の上部と連結され、且つ前記直水流入路101の内部に配置される分岐水流入部320と、を含んでなることを特徴とする。
【0022】
また、前記分岐水流入部320の入口部位に、前記直水流入路101への直水の供給時には水圧によって開放され、直水の遮断時には自重によって閉塞されることで、前記直水流入路101へ悪臭が流入されることを防止する悪臭防止弁321をさらに備えることを特徴とする。
【0023】
また、前記悪臭防止部は、前記汚水排出管の内部に配置され、中空状に形成されて、可撓性を有するビニールや合成ゴムなどで形成される悪臭防止部材を含むが、前記悪臭防止部材の一端は、前記汚水排出管の内周の一端に固定され、前記悪臭防止部材の他端は、汚水排出管の内周の他端側に沿って自由端を成すように配置され、汚水が前記汚水排出管にに流動され、流動した前記汚水が前記悪臭防止部材の中空に流入して前記悪臭防止部材が開放され、前記汚水排出管からの汚水の排出が完了すると、自由端で配置された前記悪臭防止部材の他端は、汚水排出管に密着されて密閉されるように外形が変わることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、汚水排出管の外周に補助タンクを形成し、直水供給水路から一部の直水を補助蛇腹管を介して補助タンクに供給することで、補助タンクの自重により汚水排出管を回動させて汚水を排出させるようにすることにより、排出を迅速に行うことができる利点がある。
【0025】
また、直水が供給されていない時には汚水排出管が可変されず、一時的に多量の汚水をボウルに供給しても、汚水排出管には影響を与えないため、ボウルの貯蔵水量が安定して維持されることで、ボウル内における汚物の付着や悪臭などをできる限り防止する効果がある。
【0026】
また、本発明は、補助タンクに供給される前記直水の供給量が一定以上になると前記汚水排出管の安定した動作が行われ、供給水圧の変化による洗浄力の低下をできる限り防止する効果がある。
【0027】
また、本発明は、前記直水供給水路から直水分岐部を介して直水を補助タンクへ供給し、汚水排出管を下向き動作させることで、直水がボウルに供給される前にボウルの汚水を排出して、最大限の節水効果を有する。
【0028】
また、本発明は、汚水の排出時に下方に回動する汚水排出管への弾性力を、補助タンクの重量によって排出時間を延長する効果を調節することができるため、汚水の残水や逆流を抑制することができて、完璧な洗浄効果を有する。
【0029】
また、本発明は、前記補助タンクに直水を供給することで、汚水を使用して発生する汚水排出管の誤動作を防止する効果がある。
【0030】
また、本発明は、汚水排出管内に中空のビニールや薄いゴムなどを設けることで、汚水の排出後に、悪臭が洋式便器の本体部のボウルに逆流することを最小化する効果がある。
【0031】
さらに、本発明は、従来の洋式便器のように、水タンク式便器に使用可能であることはいうまでもなく、上水管から直接供給される直水を用いて、水タンクがなくても洋式便器のボウルに湛えられた汚水を排水することができるため、自動洗浄便器の一般化を達成することができる効果がある。
【0032】
また、本発明は、水タンクが不要であるため、洋式便器のデザインを多様化することができ、生産不良を減少させて洋式便器の生産原価を低減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来の洋式便器の構成を示す図である。
図2】本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水が排出される前の状態を示した図である。
図3】本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水が排出される前の状態を示した図である。
図4】本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水が排出される状態を示した図である。
図5】本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水が排出される状態を示した図である。
図6】本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水排出管と弾性部の連結状態を示した分解斜視図である。
図7】本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水排出管と弾性部の連結状態を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照し、本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置を説明する。
【0035】
図2および図3は、本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水が排出される前の状態を示した図であり、図4および図5は、本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水が排出される状態を示した図であり、図6および図7は、本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水排出管と弾性部の連結状態を示した分解斜視図である。
【0036】
図2および図4を参照すると、本発明の直水型節水型洋式便器は、大別して、洋式便器本体部100と、蛇腹管200と、直水分岐部300と、汚水排出管400と、弾性部500と、から構成される。
【0037】
上記の各構成を説明する。
【0038】
(洋式便器本体部100)
本発明に係る洋式便器本体部100は、トイレの底面や壁体に設置される。
【0039】
前記洋式便器本体部100は、外部から直水流入路101を介して直水が流入される直水流入口111が形成されており、上部が開口され、一定量の汚水が貯蔵されるボウル110を備える。前記ボウル110には、前記直水流入口111を介して直水が供給され、ボウル110の洗浄が行われる。止水栓(不図示)によって弁が開放されると、前記直水流入路101へ直水が流入され、ボウル110の洗浄に関与することになる。
【0040】
また、前記洋式便器本体部100は、前記ボウル110から汚水を排出させる連結管120を備える。
【0041】
また、前記洋式便器本体部100は、前記ボウル110の後方を覆い、前記連結管120を介して排出される汚物を便器の外部に排出させる底管130に誘導するカバー部140を備える。
【0042】
(蛇腹管200)
本発明に係る蛇腹管200は、前記連結管120と連結される。すなわち、前記蛇腹管200の一端が、前記連結管120の端部に連結される。
【0043】
前記蛇腹管200の一端は、連結管120に嵌め込んで固定されてもよく、スクリュー方式によりスクリュー締結されて連結されてもよい。
【0044】
前記蛇腹管200は、前記ボウル110から排水される汚水の流動経路を形成し、可撓性を有する管であって、外力によって一方に曲げ可能である。
【0045】
(直水分岐部300)
本発明に係る直水分岐部300は、前記直水流入路101と連結され、前記ボウル110へ直水が流入する時に、前記直水流入路101からの直水の一部が分岐されるようにする役割をする。ボウル110の洗浄のためのボウル110への直水供給時に、前記直水流入路101から前記直水分岐部300によって分岐された一部の直水が、後述の汚水排出管400の補助タンク420に流入されて貯蔵されることとなり、補助タンク420の自重によって汚水排出管400を回動させ、汚水排出管400を介した汚水の排出に関与する。
【0046】
前記直水分岐部300は、分岐蛇腹管310と、分岐水流入部320と、からなる。
【0047】
前記分岐蛇腹管310は、上部が前記直水流入路101と結合され、下部が前記補助タンク420の上部と連結される。
【0048】
前記分岐水流入部320は、前記分岐蛇腹管310の上部と連結され、且つ前記直水流入路101の内部に配置されており、直水の一部が分岐された分岐水が流入されるようにする役割をする。流入された分岐水は、前記分岐蛇腹管310を介して後述の汚水排出管400の補助タンク420に流入されて貯蔵される。
【0049】
本発明に係る実施形態は、上水管から直接供給される直水を利用して、水タンクがなくても洋式便器のボウル110に湛えられた汚水を排水可能とすることができる。
【0050】
なお、前記分岐水流入部320の入口部位に、前記直水流入路101への直水の供給時には水圧によって開放され、直水の遮断時には自重によって閉塞されることで、前記直水流入路101へ悪臭が流入されることを防止する悪臭防止弁321をさらに備えることが好ましい。
【0051】
前記悪臭防止弁321を備える場合、直水の遮断時に自重によって閉塞されるため、悪臭が直水流入路101を介してボウル110に流入され、トイレの内部に悪臭が流入されることを防止することができる。
【0052】
図5は、本発明に係る汚水排出管を示す正面図である。
【0053】
(汚水排出管400)
図2から図5を参照すると、本発明に係る汚水排出管400は、前記蛇腹管200に連結されており、前記直水分岐部300を介して流入される直水が補助タンク420に貯蔵されると、汚水排出管400に荷重が発生して汚水排出管400が下向きになることで汚水を外部に排出する。
【0054】
前記汚水排出管400は、前記蛇腹管200の端部に連結される円筒状の主排出管410と、前記主排出管410の外周を囲むように前記主排出管410の外周に設けられる補助タンク420と、からなる。
【0055】
前記主排出管410は、前記蛇腹管200に連結され、汚水を排出する役割をする。
【0056】
前記補助タンク420は、前記主排出管410の外周に備えられ、前記直水分岐部300から分岐された直水が供給されて貯蔵されるものであって、下部に貯蔵された直水が排出されるようにする補助排出孔422を備える。前記補助タンク420は、ボウル110の洗浄のためのボウル110への直水供給時に、前記直水分岐部300から分岐された直水が供給されて貯蔵され、貯蔵した直水の自重によって汚水排出管400を回動させることで、前記蛇腹管200と連結された前記主排出管410を介して汚水を外部に排出可能とする役割をする。この際、前記補助タンク420は、前記直水分岐部300から分岐された直水が所定の量に達すると、自重によって下方に回動し、主排出管410を介して汚水を外部に排出するとともに、前記補助タンク420へ供給された直水が前記補助排出孔422を介して排出される速度によって、前記主排出管410を介して排出される汚水の排出時間を遅延させる役割を果たす。
【0057】
ここで、前記補助タンク420の上部には、前記直水分岐部300の分岐蛇腹管310と連結される連結部421が備えられ、前記補助タンク420の下部の外郭部位には、貯蔵された直水が排出されるようにする補助排出孔422が備えられる。
【0058】
前記構成を参照すると、汚水が排出されない場合には、汚水排出管400は直立状態を維持する。すなわち、直水分岐部300に直水が流入されないと汚水排出管400は回動(動作)しないため、ボウル110は安定した貯水量を維持することとなり、ボウル110の内部における汚物付着や悪臭発生を抑制することができる。
【0059】
引き続き、使用者が用便後に止水栓、レバーなどを動作させ、直水が直水流入路101に供給されると、直水流入路101から直水分岐部300によって一部の直水が分岐され、汚水排出管400の補助タンク420に貯蔵される。
【0060】
図2および図3の状態で、前記直水分岐部300から分岐された直水が所定の量に達すると、汚水排出管400が自重によって下方に回動する図4および図5の状態になる。汚水排出管400が回動した状態は、図4および図5のように、主排出管410が水平を成してボウル110からの汚水の排出が可能な状態である。
【0061】
汚水排出管400の補助タンク420に貯蔵された直水は、この直水の重量によって主排出管410を下向きに回動させる動力となり、排出時間を遅延させる重要な役割を果たす。
【0062】
このように、汚水排出管400が下向きに回動すると、ボウル110に貯蔵された汚水が蛇腹管200を経て汚水排出管400の主排出管410を介して外部に排出される。この際、補助タンク420に分岐されて貯蔵された直水は、前記補助排出孔422を介して下方に徐々に外部に排出される。
【0063】
なお、直水流入路101を経て直水流入口111を介してボウル110に直水が流入されながらボウル110を洗浄することとなり、洗浄された汚水も蛇腹管200を経て汚水排出管400の主排出管410を介して外部に排出される。
【0064】
直水流入路101を経て直水流入口111を介してボウル110に直水が流入されることは、前記直水分岐部300によって分岐される直水よりも僅かに遅いため、汚水排出管400の汚水排出のための回動よりも僅かに遅いか、略同時にボウル110に直水が流入される。このように汚水排出管400を介した汚水の排出時点より僅かに遅いか略同時にボウル110に直水が供給されると、ボウル110に供給される直水が汚水と混合されずにボウル110を洗浄することができる。これにより、ボウル110に供給される直水は、ボウル110の洗浄のみに関与することができる。このようにボウル110に供給される直水は、ボウル110の洗浄のみに関与するため、ボウル110に供給される直水が、ボウル110に貯蔵された汚水と混合されて上がってくることが防止されるため、ボウル110の清潔状態を保つことができ、節水効果を発揮することができる。
【0065】
補助タンク420に分岐されて貯蔵された直水が前記補助排出孔422を介して一定量排出されると、弾性部500の弾性力により、汚水排出管400が原位置に戻り、図2および図3の状態になる。汚水排出管400の補助タンク420から補助排出孔422を介して排出される直水が完全に排出されるまでは、汚水排出管400が回動状態を維持するため、前記汚水排出管400の主排出管410を介して排出される汚水排出時間を遅延させることができる。このように、主排出管410を介して汚水が排出される時間を遅延させることで、汚水の残水なしに完全に排出し、洗浄の効率を向上させることになる。
【0066】
前記汚水排出管400の主排出管410を介して排出される汚水の排出時間の調節は、前記補助タンク420に供給された直水が前記補助排出孔422を介して排出される速度を大きくするか小さくするかによることであり、結局、前記補助排出孔422の大きさを小さくするか大きくするかに依存する。
【0067】
補助タンク420の後段に形成される補助排出孔422の孔の面積を可変調節することで、主排出管410の汚水排出時間を調節することもできる。
【0068】
図2および図3のように、汚水排出管400が原位置に戻ると、ボウル110内の洗浄水の排出が防止される。この際、汚水排出管400が原位置に戻る時点は、直水流入路101への直水の供給が終わる頃であり、直水流入路101への直水の供給が終わる頃には、直水がボウル110のみに供給され、ボウル110の内部に直水が半分程度満たされている状態になる。
【0069】
図6および図7は、本発明に係る可変式節水型洋式便器の汚水排出装置の汚水排出管と弾性部の連結状態を示した分解斜視図である。
【0070】
(弾性部500)
図6および図7を参照すると、本発明に係る弾性部500は、前記連結管120と前記汚水排出管400を弾性的に連結するものであって、直水の遮断時に、前記汚水排出管400が直立状態を成すように弾性力を有する。
【0071】
前記補助タンク420に供給されて貯蔵された直水の自重を、前記弾性部500の弾性力よりも大きくすることで、補助タンク420に貯蔵された直水の自重によって汚水排出管400が回動するようにすることが好ましい。
【0072】
前記弾性部500は、前記連結管120と前記蛇腹管200とを連結する連結部115に両側から突出するように設けられ、両端部位に第1掛け孔511が形成された第1掛け部材510と、前記汚水排出管400の両側部に設けられ、間隔を成す多数の第2掛け孔521が形成された一対の第2掛け部材520と、一端が前記一対の第2掛け部材520の多数の第2掛け孔521の何れか1つに連結され、他端が前記第1掛け孔511に連結される一対の弾性部材530と、から構成される。
【0073】
ここで、前記第1掛け部材510の第1掛け孔511は、前記第1掛け部材510の両端部で間隔を成して多数形成される。
【0074】
前記第1掛け孔511と前記第2掛け孔521が多数個備えられる理由は、弾性部材530の張力を調節するためである。
【0075】
前記一対の第2掛け部材520は、板状を成し、前記主排出管410の両側端から突出形成される。
【0076】
前記連結管120と前記蛇腹管200とを連結する連結部115は、連結管120と連結される第1連結部115aと、蛇腹管200と連結される第2連結部115bと、からなり、第1連結部115aと第2連結部115bが互いに結合されるようにすることが好ましい。
【0077】
(悪臭防止部600)
図2から図5を参照すると、本発明に係る悪臭防止部600は、前記汚水排出管400の内部に設けられており、前記汚水が流動される際には汚水の流動により開放され、前記汚水が流動されない場合には閉塞される。
【0078】
前記悪臭防止部600は、前記汚水排出管400の内部に配置され、中空状に形成されて、可撓性を有するビニールや薄いゴムで形成される悪臭防止部材610を含む。
【0079】
前記悪臭防止部材610は、中空状となり、柔軟性を有するビニールやゴムで形成されることが好ましい。
【0080】
ここで、前記悪臭防止部材610の一端は、前記汚水排出管400の内周の一端に固定される。前記固定の方式は、接着剤によりなされることができる。
【0081】
前記悪臭防止部材610の他端は、前記汚水排出管400の内周の他端側に沿って自由端を成すように配置される。すなわち、前記悪臭防止部材610の他端は、汚水排出管400の内部で固定されない。
【0082】
これにより、ボウル110に貯蔵される汚水が連結管120を介して蛇腹管200に流動されると、流動された汚水は悪臭防止部材610の中空に流入され、前記悪臭防止部材610を開放することができる。
【0083】
この際、悪臭防止部材610の縁は汚水排出管の外周より大きいため、汚水排出管400に密着されることができる。
【0084】
そして、前記汚水排出管400からの汚水の流動が完了すると、自由端で配置された前記悪臭防止部材610の他端は、汚水排出管400に密着されるように外形が変わる。
【0085】
すなわち、汚水が全て排出された後に、悪臭防止部材610の他端は、汚水排出管400と密着されて閉塞される。
【0086】
これにより、悪臭防止部材610の他端は、ある程度閉塞状態を成し、これにより、汚水が排出される側からの悪臭がボウル110側に逆流されることを最小限に減らすことができる。
【0087】
以上、添付された図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるのではなく、互いに異なる様々な形態で具現可能であり、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更しないまま他の具体的な形態として実施できることを理解できるはずである。従って、以上で記述した実施例はすべての面において例示的なものであり限定的ではないものと理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7